説明

連続濾過装置

【課題】 構造を簡単かつ小型にし、連続的に汚濁液を濾過すると共に、濾過フィルタに付着した固形物を濾過フィルタと共に回収及び廃棄処理を可能にすること。
【解決手段】 固形物と液体の混在した汚濁液を貯留する汚濁槽2内に液密状態で回転駆動される濾過ドラム10の上部側の近接位置に、濾過ドラムと同期して回転可能な供給用ローラ20及び排出用ローラ30を配設し、濾過ドラム内に、両ローラ間における汚濁槽内と濾過ドラム内との連通を遮断する目隠し部材40を配設する。ロール体3から引き出される濾過フィルタ4を、供給用ローラを介して濾過ドラムに巻き付けると共に、排出用ローラを介して汚濁槽の外部に回収可能に形成する。濾過ドラムと両ローラの回転により、濾過フィルタを連続的に濾過ドラムに巻き付けて移動しつつ、負圧手段の負圧により汚濁液の固形物と浄化液体とを分離し、濾過フィルタに付着した固形物を濾過フィルタと共に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連続濾過装置に関するもので、更に詳細には、例えば、工作機械において金属切削加工に使用され、切粉を含んだ状態の切削油等の汚濁液を濾過する連続濾過装置に関するものである。
【0002】
従来この種の濾過装置として、汚濁液を貯留する汚濁槽と、この汚濁槽内において汚濁槽に対して液密状態で回転駆動されると共に、外周面に巻回された濾過フィルタにより濾過される液体を汚濁槽外に流出する濾過ドラムを具備する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記濾過装置においては、使用により濾過フィルタが目詰まりを生じるため、濾過フィルタを洗浄する噴射ノズルが設けられている。また、濾過フィルタによって分離された汚濁液中の固形物は掬上手段によって回収箱に回収されている。
【0004】
また、濾過フィルタの目詰まりを防止する手段として、回転可能な円筒状をなし、外周面に孔を有する濾過器にフィルターエレメントを巻いて移動させて濾過を行い、濾過後のフィルターエレメントをスラジ回収装置に導いて、汚濁したフィルターエレメントをスラジ落としによって付着物を掃除する濾過装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、フィルタによって分離された汚濁液中の固形物を回収する方法として、回転するフィルタドラムの外周面に濾過材(珪藻土等)をプリコートし、フィルタドラムを回転させつつフィルタドラム内を真空パイプによって吸引することにより、汚濁液を濾過・脱水し、プリコート層に付着した脱水ケーキをカッタによってプリコート層の一部と共に掻き取って排出する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平11−99308号公報(特許請求の範囲、段落番号0001、図2、図3)
【特許文献2】特開平3−224605号公報(特許請求の範囲、第1図、第2図)
【特許文献3】特開平9−173721号公報(特許請求の範囲、段落番号0001、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、使用により濾過フィルタが目詰まりを生じた場合、噴射ノズルによって洗浄することができるが、洗浄中に濾過処理を停止しなければならないため、濾過効率が低下するという問題がある。また、噴射ノズルの他に掬上手段を設けるため、装置が複雑かつ大型化するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術においては、フィルターエレメントに付着した付着物をスラジ回収装置によって掃除することができるが、これにおいても装置が複雑かつ大型化するという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載の技術においては、フィルタドラムの外周面に珪藻土等の濾過材をプリコートし、また、プリコート層に付着した脱水ケーキをカッタによってプリコート層の一部と共に掻き取った後、脱水ケーキを焼却することにより生じた灰を再生利用するため、装置が複雑になると共に、大型化するという問題がある。
【0009】
また、この種の濾過装置においては、濾過によって分離された汚濁液中の固形物の回収及び廃棄処理が重要な課題となっている。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、構造を簡単かつ小型にし、連続的に汚濁液を濾過することができると共に、濾過フィルタに付着した固形物を使用済みの濾過フィルタと共に回収及び廃棄処理可能にした連続濾過装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の連続濾過装置は、固形物と液体の混在した汚濁液を貯留する汚濁槽と、 多数の孔を有する外周面に濾過フィルタを設け、濾過後の浄化液体を上記汚濁槽の外部に流出させるために側面に開口した開口部を有し、かつ、上記汚濁槽内において液密状態で回転駆動される濾過ドラムと、 上記開口部に連通され、上記濾過フィルタによる吸引濾過に必要な負圧を発生する負圧手段と、を具備する濾過装置を前提とし、 上記濾過ドラムの上部側の近接位置に配設され、それぞれ濾過ドラムと同期して回転可能な供給用ローラ及び排出用ローラと、 上記濾過ドラム、供給用ローラ及び排出用ローラを回転する駆動手段と、 上記濾過ドラム内に配設され、上記両ローラ間における上記汚濁槽内と濾過ドラム内との連通を遮断する目隠し部材と、を具備してなり、 ロール体から引き出される濾過フィルタを、上記供給用ローラを介して上記濾過ドラムに巻き付けると共に、上記排出用ローラを介して上記汚濁槽の外部に回収可能に形成し、上記濾過ドラムと上記供給用ローラ及び排出用ローラの回転により、上記濾過フィルタを連続的に濾過ドラムに巻き付けて移動しつつ、上記負圧手段の負圧により汚濁液の固形物と浄化液体とを分離し、濾過フィルタに付着した固形物を濾過フィルタと共に回収する、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、目隠し部材によって汚濁槽内と濾過ドラム内との連通を遮断した状態で、ロール体から引き出された濾過フィルタを、供給用ローラを介して濾過ドラムに巻き付けると共に、排出用ローラを介して汚濁槽の外部に導くことができる。また、濾過ドラムと供給用ローラ及び排出用ローラを回転して、濾過フィルタを連続的に濾過ドラムに巻き付けて移動しつつ、負圧手段を作動して、濾過フィルタによる吸引濾過によって汚濁液の固形物と浄化液体とを分離し、濾過フィルタに付着した固形物を濾過フィルタと共に回収することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の連続濾過装置において、上記濾過ドラムを回転自在に支持すると共に、上記目隠し部材を支持する支持部材と、上記支持部材によって支持され、上記濾過ドラム内における下部側の2箇所に接触する保持ローラと、を更に具備する、ことを特徴とする。
【0014】
このように構成することにより、回転する濾過ドラムに対して供給用ローラと排出用ローラの間における汚濁槽内と濾過ドラム内との連通を目隠し部材によって確実に遮断することができ、また、濾過ドラムは、供給用ローラ及び排出用ローラと2つの保持ローラに接触するので、濾過ドラムの回転を安定させることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の連続濾過装置によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0016】
(1)請求項1記載の発明によれば、目隠し部材によって汚濁槽内と濾過ドラム内との連通を遮断した状態で、ロール体から引き出された濾過フィルタを、供給用ローラを介して濾過ドラムに巻き付けると共に、排出用ローラを介して汚濁槽の外部に導くことができ、濾過フィルタを連続的に濾過ドラムに巻き付けて移動しつつ、濾過フィルタによる吸引濾過によって汚濁液の固形物と浄化液体とを分離し、濾過フィルタに付着した固形物を濾過フィルタと共に回収することができるので、連続的に汚濁液を濾過することができると共に、濾過フィルタに付着した固形物を使用済みの濾過フィルタと共に回収でき、かつ、廃棄処理を容易にすることができる。また、構造を簡単荷することができると共に、装置の小型化を図ることができる。
【0017】
(2)請求項2記載の発明によれば、回転する濾過ドラムに対して供給用ローラと排出用ローラの間における汚濁槽内と濾過ドラム内との連通を目隠し部材によって確実に遮断することができ、また、濾過ドラムの回転を安定させることができるので、上記(1)に加えて、更に装置の信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、この発明に係る連続濾過装置の第1実施形態を示す概略斜視図、図2は、上記連続濾過装置の要部を示す概略断面図である。
【0020】
上記連続濾過装置は、図1及び図2に示すように、固形物と液体の混在した汚濁液1を貯留する汚濁槽2と、汚濁槽2内において液密状態で回転駆動される濾過ドラム10と、ロール体3から引き出されて濾過ドラム10の外周面に巻き付けられる濾過フィルタ4と、濾過ドラム10の側面に設けられた開口部11に連通され、濾過フィルタ4による吸引濾過に必要な負圧を発生する負圧手段である真空ポンプ5と、濾過ドラム10の上部側の近接位置に配設され、それぞれ濾過ドラム10と同期して回転可能な供給用ローラ20及び排出用ローラ30と、濾過ドラム10内に配設され、両ローラ20,30間における汚濁槽2内と濾過ドラム10内との連通を遮断する目隠し部材40と、濾過ドラム10,供給用ローラ20及び排出用ローラ30を回転する駆動手段50とで主に構成されている。
【0021】
上記汚濁槽2は、仕切壁6によって濾過を行う内槽2aと外槽2bとに区画されており、内槽2aからオーバーフローした汚濁液1を受け止める外槽2bの下部に一端が連通する循環管路7の他端が内槽2aの上部に開口しており、循環管路7に開設された循環ポンプ8の駆動によって外槽2b内の汚濁液1が内槽2a内に供給されるように構成されている。
【0022】
上記濾過ドラム10は、外周面に多数の孔12を有すると共に、濾過後の浄化液体を汚濁槽2の外部に流出させるために側面に開口した開口部11を有している。この開口部11に接続する管路9に上記真空ポンプ5が介設されている。また、濾過ドラム10の一方の端部には同期用歯車付円盤13が装着されている。この同期用歯車付円盤13の歯車14には、供給用ローラ20の端部に装着された供給用歯車21が噛合すると共に、排出用ローラ30の端部に装着された排出用歯車31が噛合されている。
【0023】
この場合、濾過ドラム10は、汚濁槽2の内槽2aの底部に設置される支持部材15によって回転自在に支持されている。また、支持部材15によって上記目隠し部材40が濾過ドラム10内の長手方向に沿って支持されている。
【0024】
また、支持部材15の両側下部には、半径方向の下方に向かって支持腕15a,15bが突設されており、両支持腕15a,15bの先端部には、それぞて濾過ドラム10の内壁面に接触する回転可能な保持ローラ16a,16bが装着されている。この場合、両保持ローラ16a,16bの間隔(角度)は約120°になっている。これにより、濾過ドラム10の上部の2箇所が供給用ローラ20及び排出用ローラ30(具体的には、供給用歯車21及び排出用歯車31)に接触し、下部の2箇所が保持ローラ16a,16bに接触した状態で回転するので、濾過ドラム10は安定した状態で回転することができる。
【0025】
また、上記供給用ローラ20の端部に装着される供給用歯車21には、従動プーリ51が一体に設けられており、この従動プーリ51と、供給用ローラ20の上方に配置される駆動手段である駆動モータ50の駆動軸50aに装着された駆動プーリ52に、駆動ベルト53が掛け渡されている(図2参照)。なお、ここでは、駆動モータ50を供給用ローラ20の上方に配置し、ロール体3を汚濁槽2の側部上方に配置した場合について説明したが、図3に示すように、ロール体3を濾過ドラム10の上方位置に配置し、駆動モータ50を供給用ローラ20の斜め上方位置に配置してもよい。
【0026】
なお、供給用ローラ20及び排出用ローラ30は、図示しない支持部例えば支持部材15に設けられる支持部に回転可能に支持されている。
【0027】
上記濾過フィルタ4は、例えば紙,布あるいは不織布等によって形成されており、ロール状に巻回されたロール体3をなしている。このロール体3から引き出される濾過フィルタ4は、供給用ローラ20を介して濾過ドラム10の外周面に巻き付けられた後、排出用ローラ30を介して汚濁槽2の外部に導かれ、汚濁槽2の側部上方に配設されたガイドローラ60を介して汚濁槽2の外部に配設された回収容器70内に回収可能になっている。この際、濾過ドラム10における供給用ローラ20と排出用ローラ30の間には濾過フィルタ4が巻き付けられていないが、この領域には目隠し部材40が配設されることによって汚濁槽2内と濾過ドラム10内との連通が遮断されている。
【0028】
次に、この発明に係る連続濾過装置の動作態様について説明する。
【0029】
まず、ロール体3から引き出される濾過フィルタ4を、供給用ローラ20を介して濾過ドラム10の外周面に巻き付けた後、排出用ローラ30を介して汚濁槽2の外部に導く。この状態で、駆動モータ50を駆動すると共に、真空ポンプ5を駆動する。駆動モータ50の駆動により、駆動プーリ52を介して供給用ローラ20が供給方向(反時計方向)に回転し、次いで、供給用歯車21と噛合する歯車14を有する濾過ドラム10が回転(時計方向に回転)する。また、濾過ドラム10の回転に伴って歯車14と噛合する排出用歯車31を有する排出用ローラ30が排出方向(反時計方向)に回転する。これにより、濾過フィルタ4を連続的に濾過ドラム10に巻き付けて移動しつつ、真空ポンプ5の負圧により汚濁液1の固形物と浄化液体とを分離し、濾過フィルタ4に付着した固形物を濾過フィルタ4と共に回収容器70内に回収することができる。この濾過処理中においては、外槽2b内の汚濁液1は循環ポンプ8の駆動により、循環管路7を介して内槽2a内に供給される。回収容器70内に回収された固形物は使用済みの濾過フィルタ4に付着した状態で廃棄例えば焼却処理される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明に係る連続濾過装置の第1実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】上記連続濾過装置の要部を示す概略断面図である。
【図3】この発明に係る連続濾過装置の第2実施形態の要部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 汚濁液
2 汚濁槽
3 ロール体
4 濾過フィルタ
5 真空ポンプ(負圧手段)
10 濾過ドラム
11 開口部
12 孔
13 同期用歯車付円盤
14 歯車
15 支持部材
15a,15b 支持腕
16a,16b 保持ローラ
20 供給用ローラ
21 供給用歯車
30 排出用ローラ
31 排出用歯車
40 目隠し部材
50 駆動モータ(駆動手段)
51 従動プーリ
52 駆動プーリ
53 駆動ベルト
70 回収容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物と液体の混在した汚濁液を貯留する汚濁槽と、
多数の孔を有する外周面に濾過フィルタを設け、濾過後の浄化液体を上記汚濁槽の外部に流出させるために側面に開口した開口部を有し、かつ、上記汚濁槽内において液密状態で回転駆動される濾過ドラムと、
上記開口部に連通され、上記濾過フィルタによる吸引濾過に必要な負圧を発生する負圧手段と、を具備する濾過装置において、
上記濾過ドラムの上部側の近接位置に配設され、それぞれ濾過ドラムと同期して回転可能な供給用ローラ及び排出用ローラと、
上記濾過ドラム、供給用ローラ及び排出用ローラを回転する駆動手段と、
上記濾過ドラム内に配設され、上記両ローラ間における上記汚濁槽内と濾過ドラム内との連通を遮断する目隠し部材と、を具備してなり、
ロール体から引き出される濾過フィルタを、上記供給用ローラを介して上記濾過ドラムに巻き付けると共に、上記排出用ローラを介して上記汚濁槽の外部に回収可能に形成し、上記濾過ドラムと上記供給用ローラ及び排出用ローラの回転により、上記濾過フィルタを連続的に濾過ドラムに巻き付けて移動しつつ、上記負圧手段の負圧により汚濁液の固形物と浄化液体とを分離し、濾過フィルタに付着した固形物を濾過フィルタと共に回収する、ことを特徴とする連続濾過装置。
【請求項2】
請求項1記載の連続濾過装置において、
上記濾過ドラムを回転自在に支持すると共に、上記目隠し部材を支持する支持部材と、
上記支持部材によって支持され、上記濾過ドラム内における下部側の2箇所に接触する保持ローラと、を更に具備する、ことを特徴とする連続濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−305430(P2006−305430A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128806(P2005−128806)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(505158116)トランザーフィルター日本株式会社 (1)
【Fターム(参考)】