説明

連続重合装置および重合体組成物の製造方法

【課題】新規な連続重合装置であって、多様な性質を有する重合体組成物をより効率的に製造できる装置を提供する。
【解決手段】 連続重合装置において、少なくとも2つの完全混合型の反応槽(10、20)を用いる。各反応槽(10、20)は、供給口(11a、21a)と、抜き出し口(11b、21b)とを有し、2つの反応槽(10、20)の各供給口(11a、21a)が、独立して、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源(1、1’、3、3’)に接続され、2つの反応槽(10、20)の各抜き出し口(11b、21b)が、共通の抜き出しライン(27)に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続重合装置、すなわち、連続的に重合を実施するための装置に関する。また、本発明は、そのような連続重合装置を用いて実施される重合体組成物の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
メタクリル酸エステル系ポリマーなどの樹脂組成物は、原料モノマーおよび重合開始剤等を連続的に反応槽に供給して重合させる連続重合により製造される。かかる連続重合法としては、溶媒(または分散媒、以下も同様)を用いて連続重合する連続溶液重合法や、溶媒を用いずに連続重合する連続塊状重合法が知られている。
【0003】
一般的に、連続溶液重合法は、溶媒を使用するために生産性が低く、効率的でない。これに対し、連続塊状重合法は、溶媒を使用せずに重合反応が行われることから、重合体組成物を効率的に製造できるという利点がある。しかし、実際には、連続溶液重合法と比べて、連続塊状重合法には、反応混合物の粘度が高いため、反応制御が困難であり、反応系の除熱のために反応槽内面を冷却すると、重合体組成物ひいてはそれより得られる樹脂組成物の品質が低下するなど、種々の問題があった。そこで、完全混合型反応槽を用いて、反応槽内に気相部分のない満液状態とし、外側から熱の出入りのない断熱状態で連続塊状重合を実施する方法が提案されている(特許文献1)。更に、かかる断熱状態を確保するため、反応槽内の温度が反応槽の外壁面の設定温度と同じになるように、原料モノマーの供給量および重合開始剤の供給量を制御する連続重合装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−126308号公報
【特許文献2】特開2006−104282号公報
【特許文献3】特開平01−172401号公報
【特許文献4】特開平05−331212号公報
【特許文献5】特表2008−538794号公報
【特許文献6】国際公開第2007/060891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、メタクリル酸エステル系ポリマーなどの樹脂組成物の用途が一層拡大し、多様な性質を有する重合体組成物をより効率的に製造することに対する要望が高まってきている。しかしながら、従来の連続重合装置(特許文献1および2)では、かかる要望に応えるには必ずしも充分でないことが判明した。
【0006】
本発明の目的は、新規な連続重合装置を提供すること、および、そのような連続重合装置を用いて実施でき、かつ多様な性質を有する重合体組成物をより効率的に製造できる重合体組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、連続重合を実施するため、少なくとも2つの完全混合型の反応槽を組み合わせて用いることについて検討した。連続溶液重合法では、反応槽を2段とし、前段の反応槽で重合の大部分を行い、後段の反応槽で重合を完結させると共に重合開始剤等を除去する装置(特許文献3)や、前段の反応槽である程度重合させ、後段の反応槽で溶媒を添加して重合する装置(特許文献4)が知られている。しかしながら、これらの装置では、反応系の除熱を還流冷却(反応槽内の原料モノマーなどを蒸発させて外部へ取り出し、これを冷却凝縮した上で再度反応槽内に戻す)で行っており、これは、反応系の局所的または急激な冷却をもたらし、反応槽の内壁面にゲルを付着および成長させる原因となり、特に、生産性を上げるために溶媒の少ない条件や高い重合率の条件で重合を行うと、反応系内の混合物の粘度が高くなり、反応系の局所的または急激な冷却が起こりやすく、反応槽の内壁面におけるゲルの付着および成長がより顕著となり、得られる重合体組成物にゲル化物が不純物として混入するなどの問題がある。また、バイモーダルな分子量分布を有する重合体組成物を得る方法として、予め別個に製造した高分子量の重合体と低分子量の重合体とを溶融ブレンドする溶融混練法(特許文献5)や、予め重合体を製造しておき、これと異なる分子量を有する重合体を製造する二段階重合法(特許文献6)が知られている。しかしながら、これら方法は、いずれも従来一般的な重合装置を用いるものに過ぎない。本発明者らは、新規な連続重合装置であって、多様な性質を有する重合体組成物をより効率的に製造できる装置を独自に鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
[1] 少なくとも2つの完全混合型の反応槽を含んで成り、
各反応槽は、供給口と、抜き出し口とを有し、
該2つの反応槽の各供給口は、独立して、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源に接続され、
該2つの反応槽の各抜き出し口が、共通の抜き出しラインに接続されることを特徴とする、メタクリル酸エステル系モノマーを連続重合するために用いられる連続重合装置。
[2] 前記各反応槽の抜き出し口は、各反応槽の頂部に位置する、前記[1]に記載の連続重合装置。
[3] 前記2つの反応槽は、いずれも、連続塊状重合を実施するために用いられる、前記[1]または[2]に記載の連続重合装置。
[4] 前記2つの反応槽は、互いに異なる容積を有する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の連続重合装置。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の連続重合装置を用いて、
前記2つの反応槽のうち第1の反応槽に、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源から、原料モノマーおよび重合開始剤を第1の反応槽の供給口より供給し、第1の反応槽において断熱状態で連続重合に付し、これにより得られる第1の重合体フラクションを第1の反応槽の抜き出し口より抜き出す第1の重合工程と、
前記2つの反応槽のうち第2の反応槽に、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源から、原料モノマーおよび重合開始剤を第2の反応槽の供給口より供給し、第2の反応槽において断熱状態で連続重合に付し、これにより得られる第2の重合体フラクションを第2の反応槽の抜き出し口より抜き出す第2の重合工程と、
第1の重合体フラクションおよび第2の重合体フラクションをブレンドして重合体組成物を得るブレンド工程と
を含んで成る、重合体組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規な連続重合装置が提供される。また、本発明によれば、そのような連続重合装置を用いて実施でき、かつ多様な性質を有する重合体組成物をより効率的に製造できる重合体組成物の製造方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の1つの実施形態における連続重合装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の連続重合装置は、メタクリル酸エステル系モノマーを連続重合するために用いられる連続重合装置であって、少なくとも2つの反応槽を含んで成り、各反応槽において連続重合、例えば連続塊状重合および連続溶液重合のいずれかが実施され得る。本発明の連続重合装置は、全ての反応槽において連続塊状重合が実施される場合には連続塊状重合装置として理解され、全ての反応槽において連続溶液重合が実施される場合には連続溶液重合装置として理解される。しかし、これらに限定されず、本発明の連続重合装置は、ある反応槽(例えば、目標または目安とする重合率が低い反応槽)では連続塊状重合が実施され、ある反応槽(例えば、目標または目安とする重合率が高い反応槽)では連続溶液重合が実施されるものであってよい。
【0012】
以下、本発明の1つの実施形態について、図1を参照しながら詳述する。
【0013】
本実施形態の連続重合装置は、少なくとも第1の反応槽10および第2の反応槽20を含んで成る。これら反応槽10および20は、いずれも、完全混合型の反応槽であり、本実施形態においては連続塊状重合を実施するために用いられる。
【0014】
より具体的には、第1の反応槽10は、供給口11aと抜き出し口11bとを有し、好ましくは、反応槽の外壁面の温度を調節するための温度調節手段としてジャケット13と、内容物を撹拌するための撹拌機14とを更に有する。同様に、第2の反応槽20は、供給口21aと抜き出し口21bとを有し、好ましくは、反応槽の外壁面の温度を調節するための温度調節手段として反応槽の外壁面を取り囲むジャケット23と、内容物を撹拌するための撹拌機24とを更に有する。抜き出し口11bおよび21bは、本実施形態において各反応槽の頂部に位置するように設けられるが、これに限定されない。他方、供給口11aおよび21aは、本実施形態を限定するものではないが、一般的には各反応槽の下方の適切な位置に設けられ得る。これら反応槽10および20は、反応槽内の温度を検知する温度検知手段として温度センサTを各々備え得る。
【0015】
第1の反応槽10および第2の反応槽20の容積は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。第1の反応槽10の容積と、第2の反応槽20の容積とを異ならせることにより、第1の反応槽10と第2の反応槽20とで平均滞留時間を効果的に異ならせることができる。
【0016】
撹拌機14および24は、反応槽内を実質的に完全混合状態とするためのものである。これら撹拌機は、任意の適切な撹拌翼を備えていてよく、例えば、ミグ(MIG)翼、マックスブレンド翼(登録商標、住友重機械工業株式会社製)、パドル翼、ダブルヘリカルリボン翼、フルゾーン翼(登録商標、株式会社神鋼環境ソリューション製)などを備えていてよい。反応槽内での撹拌効果を増大させるためには、反応槽内にバッフルを取り付けることが望ましい。しかし、本実施形態はこれに限定されず、反応槽内を実質的に完全混合状態とし得る限り、撹拌機14および24に代えて任意の適切な構成を有し得る。
【0017】
反応槽10および20は、通常、撹拌効率が高いほど好ましいものの、撹拌操作によって反応槽に余分な熱量を加えないという観点からは、撹拌動力は必要以上に大きくないほうがよい。撹拌動力は特に限定されるものではないが、好ましくは、0.5〜20kW/mであり、より好ましくは、1〜15kW/mである。撹拌動力は、反応系の粘度が高くなるほど(または反応系内の重合体の含有率が高くなるほど)、大きく設定することが好ましい。
【0018】
図示するように、第1の反応槽10の供給口11aは、原料モノマータンク(原料モノマーの供給源)1および重合開始剤タンク(重合開始剤および場合により原料モノマーの供給源)3にそれぞれポンプ5および7を介して、原料供給ライン9を通じて接続されている。同様に、第2の反応槽20の供給口21aは、原料モノマータンク(原料モノマーの供給源)1’および重合開始剤タンク(重合開始剤および場合により原料モノマーの供給源)3’にそれぞれポンプ5’および7’を介して、原料供給ライン9’を通じて接続されている。本実施形態において、第1の反応槽10に対する原料モノマーおよび重合開始剤の供給源は、原料モノマータンク1および重合開始剤タンク3であり、第2の反応槽20に対する原料モノマーおよび重合開始剤の供給源は、原料モノマータンク1’および重合開始剤タンク3’である。第1の反応槽10の抜き出し口11bおよび第2の反応槽20の抜き出し口21bは、それぞれ抜き出しライン15および25を通じて、図示する態様では混合機26を経て、共通の抜き出しライン27へと接続されている。これにより、第1の反応槽10と第2の反応槽20とが並列接続される。第1の反応槽10の抜き出し口11bより下流の抜き出しライン15、および第2の反応槽20の抜き出し口21bより下流の抜き出しライン25、ならびに共通抜き出しライン27上にはポンプが存在しないことが好ましい。
【0019】
本実施形態に必須ではないが、第1の反応槽10は、重合開始剤タンク3に、原料供給ライン9とは別に接続されていてよい。例えば、図1に点線にて示すように追加のライン8が配置され得、第1の反応槽10に別の供給口11cが設けられて、この供給口11cが、図示するように、重合開始剤タンク3にポンプ7を介して、ライン8を通じて接続されていてよい。また、第2の反応槽20は、重合開始剤タンク3’に、原料供給ライン9’とは別に接続されていてよい。例えば、図1に点線にて示すように追加のライン8’が配置され得、第2の反応槽20に別の供給口21cが設けられて、この供給口21cが、図示するように、重合開始剤タンク3’にポンプ7’を介して、ライン8’を通じて接続されていてよい。これらの態様は、それぞれ単独で、または組み合わせて本実施形態に適用され得る。
【0020】
なお、本実施形態において、第1の反応槽10に接続される原料モノマーおよび重合開始剤の供給源(原料モノマータンク1および重合開始剤タンク3)と、第2の反応槽20に接続される原料モノマーおよび重合開始剤の供給源(原料モノマータンク1’および重合開始剤タンク3’)とは、別のものとして図示したが、本発明はこれに限定されず、第1の反応槽10および第2の反応槽20が、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源に、それぞれ独立して(換言すれば、各供給量を反応槽毎に別個に調整可能に)接続されていれば、共通の原料モノマーおよび重合開始剤の供給源(原料モノマータンクおよび重合開始剤タンク)を使用してもよい。また、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源について、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源の数および原料モノマーおよび重合開始剤の態様(例えば混合物の場合にはその組成)などは、原料モノマーおよび重合開始剤を第1の反応槽10および第2の反応槽20に別個に適切に供給し得る限り、特に限定されない。
【0021】
ポンプ5、5’および7、7’は、特に限定されるものではないが、原料モノマータンク1、1’および重合開始剤タンク3、3’からの流量を一定量に設定可能なポンプであることが好ましい。具体的には、好ましくは多連式往復動ポンプが挙げられ、より好ましくは2連式無脈動定量ポンプ、3連式無脈動定量ポンプなどの無脈動定量ポンプが挙げられる。これにより、第1の反応槽10および第2の反応槽20への原料モノマーおよび重合開始剤の供給量(または供給流量、以下も同様)を制御することができる。
【0022】
図1を参照して上述した各部材は適宜、制御装置(図示せず)に接続されて、その動作が制御装置により制御可能であるように全体的に構成されることが好ましい。これにより、ジャケット(温度調節手段)13および23に対して設定される反応槽の外壁面の温度と、温度センサ(温度検知手段)Tによって検知される反応槽内の温度とが、第1の反応槽10および第2の反応槽20のそれぞれについて一致するように、原料モノマーおよび重合開始剤の第1の反応槽10および第2の反応槽20への各供給量をポンプ5、5’および7、7’の動作を調整すること、あるいはジャケット13および23に対して設定される反応槽の外壁面の温度を調節することによって制御可能である。
【0023】
ジャケット13および23は、反応槽10および20のそれぞれについて略全体を覆っており、熱媒供給路(図示せず)から蒸気、熱水、有機熱媒体などの熱媒を導入することにより、反応槽10および20を、適宜加熱または保温する。ジャケット13および23の温度は、供給される熱媒の温度または圧力によって、適宜調節することができる。ジャケット13および23内に導入された熱媒は、熱媒排出路(図示せず)から除去される。また、ジャケット13および23の温度や圧力は、熱媒排出路上に設けられた温度センサ(図示せず)などのセンサによって検知される。温度センサなどのセンサの配置箇所については、特に限定されるものではなく、例えば、熱媒供給路上や、ジャケット13および23内であってもよい。
【0024】
反応槽10および20内での重合反応は、生成する重合体(ポリマー)の品質を一定にするという観点から、反応槽10および20内でそれぞれ重合温度を略一定にして実行することが求められる。それゆえ、上記温度調節手段(ジャケット13および23)は、反応槽10および20のそれぞれの内温を略一定に保つことができるように、予め設定された一定温度に制御される。
上記温度調節手段(ジャケット13および23)の設定温度は、後述する供給流量制御手段に伝えられ、モノマー供給手段(ポンプ5、5’)や開始剤供給手段(ポンプ7、7’)による供給流量の制御の要否を判断するためのデータとなる。また、上記温度調節手段(ジャケット13および23)の設定温度は、上記熱媒の温度または圧力を制御することにより、調節可能である。
【0025】
供給流量制御手段としては、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える制御部(図示せず)が挙げられる。
制御部のROMは、ポンプ5、5’、7、7’を制御するプログラムを格納するための装置であって、制御部のRAMは、上記プログラムを実行するために、温度センサTで検知された反応槽10および20内の温度データや、ジャケット13および23の設定温度のデータを一時的に格納する装置である。
【0026】
制御部のCPUは、上記RAMに格納された、反応槽10および20内の温度データや、ジャケット13および23の設定温度のデータに基づいて、上記ROMに格納されたプログラムを実行して、反応槽10および20内への原料モノマーおよび/または重合開始剤の供給流量を、モノマー供給手段(ポンプ5、5’)および/または開始剤供給手段(ポンプ7、7’)によって制御させる。
【0027】
供給流量制御手段(制御部)による制御の一例を、以下に示す。
温度センサTで検知された反応槽10内の温度が、温度調節手段であるジャケット13の設定温度を超えるときには、上記CPUによって上記ROM内のプログラムを実行することにより、例えば、反応槽10内への重合開始剤の供給流量を減少させるように、ポンプ7を制御する。また、温度センサTで検知された反応槽20内の温度が、温度調節手段であるジャケット23の設定温度を超えるときには、上記CPUによって上記ROM内のプログラムを実行することにより、例えば、反応槽20内への重合開始剤の供給流量を減少させるように、ポンプ7’を制御する。かかる制御を実行することにより、反応槽10および/または20内で発生する重合熱を減少させることができ、その結果、反応槽10および/または20内の温度を低下させることができる。
【0028】
一方、反応槽10の温度がジャケット13の設定温度を下回るときには、上記CPUによって上記ROM内のプログラムを実行することにより、例えば、反応槽10内への重合開始剤の供給流量を増加させるように、ポンプ7を制御する。また、反応槽20の温度がジャケット23の設定温度を下回るときには、上記CPUによって上記ROM内のプログラムを実行することにより、例えば、反応槽20内への重合開始剤の供給流量を増加させるように、ポンプ7’を制御する。かかる制御を実行することにより、反応槽10および/または20内で発生する重合熱を増加させることができ、その結果、反応槽10および/または20内の温度を上昇させることができる。
【0029】
また、例えば、反応槽10および20での重合反応において、ポンプ7、7’を制御した結果、反応槽10および20内への総供給流量が著しく減少する場合には、ポンプ7、7’を制御して重合開始剤の供給流量を減少させることだけでなく、同時に、それぞれに対してポンプ5、5’を制御して原料モノマーの供給流量を増大させることが好ましい。
【0030】
更に、他の制御例として、以下に示す制御が挙げられる。すなわち、温度センサTで検知された反応槽10内の温度が、温度調節手段であるジャケット13の設定温度を超えるときに、ポンプ5を制御して原料モノマーの供給流量を増大させることにより、反応槽10内への重合開始剤の相対的な供給流量を減少させる。また、温度センサTで検知された反応槽20内の温度が、温度調節手段であるジャケット23の設定温度を超えるときに、ポンプ5’を制御して原料モノマーの供給流量を増大させることにより、反応槽20内への重合開始剤の相対的な供給流量を減少させる。このような制御によっても、反応槽10および/または20内の温度を低下させることができる。
【0031】
原料モノマーの供給流量と、重合開始剤の供給流量との比は、生成する重合体の種類、使用する重合開始剤の種類などに応じて、適宜設定すればよい。
また、原料モノマーの供給流量や、重合開始剤の供給流量を増大または減少させる程度についても、生成する重合体(ポリマー)の種類、使用する重合開始剤の種類などに応じて、適宜設定されるものである。但し、開始剤供給手段によって反応槽10および20内に供給されるものが、重合開始剤単独ではなく、重合開始剤を含む原料モノマーである場合には、重合開始剤の供給流量は、重合開始剤を含む原料モノマー中での重合開始剤の含有割合を考慮して制御する必要がある。
【0032】
混合機26は、抜き出しライン15および25からそれぞれ抜き出された重合体フラクションを均一に混合するためのものであり、図示するように抜き出しライン15および25の合流部に設けられてもよいし、共通抜き出しライン27上に設けられてもよい。また、本実施形態に必須ではないが、共通抜き出しライン27の下流には、予熱器31および脱揮押出機33が配置され得る。予熱器31が配置される場合には、別個のものとして図示する混合機26および予熱器31に代えて、混合機26と予熱機31とを組み合わせたもの、例えばスタティックミキサーなどを、図示する予熱器31の位置に設けてもよい。予熱器31および脱揮押出機33の間には、圧力調整弁(図示せず)が設けられ得る。脱揮後の押出物は、排出ライン35より排出される。
【0033】
予熱器31には、粘性流体を加熱し得る限り、任意の適切な加熱器を用い得る。脱揮押出機33には、スクリュー式の単軸または多軸の脱揮押出機を用い得る。
【0034】
更に、脱揮押出機33にて分離される揮発性成分(主に未反応の原料モノマーを含んで成る)から分離回収した原料モノマーを貯蔵する回収タンク37が存在してもよい。
【0035】
次に、かかる装置を用いて実施される重合体組成物の製造方法について説明する。本実施形態では、メタクリル酸エステル系モノマーを連続重合する場合、換言すれば、メタクリル酸エステル系ポリマーを製造する場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
・準備
まず、原料モノマーおよび重合開始剤などを準備する。
【0037】
原料モノマーとして、本実施形態では、メタクリル酸エステル系モノマーを用いる。
メタクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、
・メタクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4であるもの)単独、または
・メタクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4であるもの)80重量%以上と、これと共重合可能な他のビニル単量体20重量%以下との混合物
が挙げられる。
メタクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4であるもの)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどが挙げられ、なかでも、メタクリル酸メチルであることが好ましい。上記例示のメタクリル酸アルキルは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
共重合可能なビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステル類(但し、上記メタクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4であるもの)を除く);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはこれらの酸無水物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのヒドロキシル基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有モノマー;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体が挙げられる。
【0038】
重合開始剤として、本実施形態では、例えばラジカル開始剤を用いる。
ラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸などのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、カプリエルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキシジカーボネート、s−ブチルパーオキシジカーボネート、n−ブチルパーオキシジカーボネート、2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−エチルヘキサノエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソノナエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−イソノナエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物が挙げられる。
これらの重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0039】
重合開始剤は、生成する重合体(ポリマー)や使用する原料モノマーの種類に応じて選定される。例えば、本発明を特に限定するものではないが、ラジカル重合開始剤は、重合温度での半減期が1分以内であるものが好ましい。重合温度での半減期が1分以内であれば、反応速度が遅くなり過ぎず、連続重合装置での重合反応に適する。
【0040】
重合開始剤(ラジカル開始剤)の供給量は、特に限定されるものではないが、通常、原料モノマー(最終的に反応槽10および20に供給される原料モノマーの各々)に対して0.001〜1重量%である。原料モノマーに対する重合開始剤の割合は、第1の反応槽10および第2の反応槽20で異なっていてよい。
【0041】
上記原料モノマーおよび重合開始剤に加えて任意の適切な他の成分、例えば連鎖移動剤や、ブタジエンおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)などのようなゴム状重合体を用いてよい。連鎖移動剤は、生成する重合体の分子量を調整するために用いられる。
連鎖移動剤としては、単官能および多官能のいずれの連鎖移動剤であってもよい。具体的には、例えば、n−プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;フェニルメルカプタン、チオクレゾールなどの芳香族メルカプタン;エチレンチオグリコールなどの炭素数18以下のメルカプタン類;エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール類;水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したもの、1,4−ジヒドロナフタレン、1,4,5,8−テトラヒドロナフタレン、β−テルピネン、テルピノーレン、1,4−シクロヘキサジエン、硫化水素などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組合わせて使用してもよい。
【0042】
連鎖移動剤の供給量は、使用する連鎖移動剤の種類などによって相違することから、特に限定されるものではないが、例えば、メルカプタン類を使用する場合には、原料モノマー(最終的に反応槽10および20に供給される原料モノマーの各々)に対して0.01〜3重量%であることが好ましく、0.05〜1重量%であることがより好ましい。原料モノマーに対する連鎖移動剤の割合は、第1の反応槽10および第2の反応槽20で異なっていてよい。
【0043】
原料モノマータンク1、1’にて、上述のような原料モノマー(1種または2種以上の混合物)を(場合により連鎖移動剤などの他の成分と共に)適宜調合する。また、重合開始剤タンク3、3’にて、上述のような重合開始剤を、必要に応じて原料モノマーと(場合により連鎖移動剤などの他の成分と共に)適宜調合する。重合開始剤タンク3、3’には、重合開始剤を単独で貯留してもよく、原料モノマーと重合開始剤との混合物(場合により連鎖移動剤などの他の成分を更に含み得る)の形態で貯留してもよい。
【0044】
原料モノマータンク1内の原料モノマーの組成と、原料モノマータンク1’内の原料モノマーの組成とは同じであっても、異なっていてもよい。また、重合開始剤タンク3内の重合開始剤の組成と、重合開始剤タンク3’内の重合開始剤の組成とは同じであっても、異なっていてもよい。図示する例では、原料モノマータンク1および重合開始剤タンク3を第1の反応槽10に対して用い、これらとは別個の原料モノマータンク1’および重合開始剤タンク3’を第2の反応槽20に対して用いているが、原料モノマータンク1内の原料モノマーの組成と、原料モノマータンク1’内の原料モノマーの組成とが同じである場合は、原料モノマータンク1および1’が共通の原料モノマータンクであってよく、また、重合開始剤タンク3内の重合開始剤の組成と、重合開始剤タンク3’内の重合開始剤の組成とが同じである場合は、重合開始剤タンク3および3’が共通の重合開始剤タンクであってよい。
【0045】
・第1の重合工程
原料モノマーおよび重合開始剤の供給源である原料モノマータンク1および重合開始剤タンク3から、原料モノマーおよび重合開始剤を第1の反応槽10に供給口11aより供給する。具体的には、原料モノマータンク1から原料モノマーをポンプ5により、および、重合開始剤タンク3から重合開始剤(好ましくは原料モノマーと重合開始剤との混合物、本明細書において単に重合開始剤とも言う)をポンプ7により、原料供給ライン9を通じて一緒にして、第1の反応槽10に供給口11aより供給する。
【0046】
第1の反応槽10への重合開始剤の供給において、原料モノマーと重合開始剤との混合物を重合開始剤タンク3に調合して供給する場合、原料モノマータンク1からの原料モノマーの供給流量A(kg/h)と、重合開始剤タンク3からの原料モノマーと重合開始剤との混合物(重合開始剤の含有割合が0.002〜10重量%であるもの。)の供給流量B(kg/h)との比A:Bは、80:20〜98:2の範囲となるように調整することが好ましい。
【0047】
第1の反応槽10へと供給される原料モノマーおよび重合開始剤の温度は、特に限定されるものではないが、反応槽内の熱バランスを崩して、重合温度を変動させる要因となるものであることから、適宜、加熱/冷却器(図示せず)によって反応槽10に供給される前に温度調節することが好ましい。
【0048】
以上のようにして第1の反応槽10に供給された原料モノマーおよび重合開始剤は、第1の反応槽10にて断熱状態(実質的に反応槽の外部からの熱の出入りがない状態)で連続重合に、本実施形態においては連続塊状重合(換言すれば、溶媒なしでの重合)に付される。この第1の重合工程は、原料モノマーおよび重合開始剤を連続重合に付して、重合反応を所望の重合率まで進行させるものであり、第1の反応槽10の抜き出し口11bより第1の重合体フラクション(または重合シロップ)が抜き出される。
【0049】
第1の重合工程において、連続重合は、反応槽が反応混合物で満たされて実質的に気相が存在しない状態(以下、「満液状態」と言う)で実施されることが好ましい。このことは、連続塊状重合に特に適する。この満液状態により、反応槽の内壁面にゲルが付着して成長するといった問題や、このゲルが反応混合物に混入することによって、最終的に得られる重合体組成物の品質が低下するといった問題が発生することを、未然に防止できる。更に、この満液状態により、反応槽の容積全てを反応空間に有効利用でき、よって、高い生産効率を得ることができる。
【0050】
満液状態は、第1の反応槽10の抜き出し口11bを本実施形態のように反応槽頂部に位置させることにより、第1の反応槽10への供給および抜き出しを連続的に行うだけで簡便に実現できる。反応槽頂部に抜き出し口が位置することは、メタクリル酸エステル系モノマーを連続重合するのに特に適する。
【0051】
また第1の重合工程において、連続重合は、断熱状態で実施される。このことは、連続塊状重合に特に適する。この断熱状態により、反応槽の内壁面にゲルが付着して成長するといった問題や、このゲルが反応混合物に混入することによって、最終的に得られる重合体組成物の品質が低下するといった問題が発生することを、未然に防止できる。更に、この断熱状態により、重合反応を安定化させることができ、暴走反応を抑制するための自己制御性をもたらすことができる。
【0052】
断熱状態は、第1の反応槽10の内部の温度と、その外壁面との温度をほぼ等しくすることによって実現できる。具体的には、上述の制御装置(図示せず)を用いて、ジャケット(温度調節手段)13に対して設定される第1の反応槽10の外壁面の温度と、温度センサ(温度検知手段)Tによって検知される第1の反応槽10内の温度とが一致するように、原料モノマーおよび重合開始剤の第1の反応槽10への供給量をポンプ5および7の動作を調整することによって実現できる。なお、反応槽の外壁面の温度を、反応槽内の温度に比べて高く設定しすぎると、反応槽内に余分な熱が加わることから、好ましくない。反応槽内と反応槽外壁面との温度差は小さいほど好ましく、具体的には±5℃程度の幅で調整することが好ましい。
【0053】
第1の反応槽10内で発生する重合熱や撹拌熱は、通常、第1の反応槽10から第1の重合体フラクションを抜き出す際に持ち去られる。第1の重合体フラクションが持ち去る熱量は、第1の重合体フラクションの流量、比熱、重合反応の温度によって定まる。
【0054】
第1の重合工程における連続重合の温度は、第1の反応槽10内の温度(温度センサTにて検知される)として理解される。この温度は、定常状態に至るまでの諸条件に応じて変動するものであって、特に限定されるものではないが、例えば100〜180℃程度である。
【0055】
第1の重合工程における連続重合の圧力は、第1の反応槽10内の圧力として理解される。この圧力は、反応槽内で原料モノマーの気体が発生しないように、反応槽内の温度における原料モノマーの蒸気圧以上の圧力とされ、通常、ゲージ圧で1.0〜2.0MPa程度である。
【0056】
第1の重合工程における連続重合に付される時間は、第1の反応槽10の平均滞留時間として理解される。平均滞留時間は、第1の重合体フラクションにおける重合体の生産効率などに応じて設定され得るものであって、特に限定されないが、例えば15分〜6時間である。この平均滞留時間は、ポンプ5および7を用いて第1の反応槽10への原料モノマー等の供給量(供給流量)を変更することにより調節できるが、第1の反応槽10の容積に大きく依存するので、後述するように、第1の反応槽10の容積および第2の反応槽20の容積をどのように設計するかが重要である。
【0057】
以上のようにして第1の重合体フラクションが第1の反応槽10の抜き出し口11bから抜き出される。得られた第1の重合体フラクションは、生成した重合体を含んで成り、更に、未反応の原料モノマー、未反応の重合開始剤および重合開始剤分解物などを含み得る。
【0058】
第1の重合体フラクションにおける重合率は、本実施形態を限定するものではないが、例えば5〜90重量%、好ましくは30〜80重量%である。なお、第1の重合体フラクションにおける重合率は、概ね、第1の重合体フラクション中の重合体(ポリマー)含有率に相当する。この重合率が高いほど、重合体の生産性が高くなるものの、重合体フラクションの粘度が高くなって、大きな撹拌動力が必要となる。また、重合率が低いほど、重合体の生産性が低くなり、未反応の原料モノマーを回収するための負担が大きくなってしまう。よって、第1の重合体フラクションにおいて、適切な重合率を目標または目安として設定することが好ましい。
【0059】
・第2の重合工程
第2の重合工程は、第1の重合工程に対して並列的に実施されるものである。
以下、特に説明のない限り第1の重合工程と同様の説明が当て嵌まるものとする。
【0060】
原料モノマーおよび重合開始剤の供給源である原料モノマータンク1’および重合開始剤タンク3’から、原料モノマーおよび重合開始剤を第2の反応槽20に供給口21aより供給する。具体的には、原料モノマータンク1’から原料モノマーをポンプ5’により、および、重合開始剤タンク3’から重合開始剤をポンプ7’により、原料供給ライン9’を通じて一緒にして、第2の反応槽20に供給口21aより供給する。
【0061】
第2の反応槽20への重合開始剤の供給において、原料モノマーと重合開始剤との混合物を重合開始剤タンク3’に調合して供給する場合、原料モノマータンク1’からの原料モノマーの供給流量A’(kg/h)と、重合開始剤タンク3’からの原料モノマーと重合開始剤との混合物(重合開始剤の含有割合が0.002〜10重量%であるもの。)の供給流量B’(kg/h)との比A’:B’は、80:20〜98:2の範囲となるように調整することが好ましい。
【0062】
第2の反応槽20へと供給される原料モノマーおよび重合開始剤の温度は、特に限定されるものではないが、反応槽内の熱バランスを崩して、重合温度を変動させる要因となるものであることから、適宜、加熱/冷却器(図示せず)によって反応槽20に供給される前に温度調節することが好ましい。
【0063】
以上のようにして第2の反応槽20に供給された原料モノマーおよび重合開始剤は、第2の反応槽20にて断熱状態で連続重合に、本実施形態においては連続塊状重合に付される。この第2の重合工程は、原料モノマーおよび重合開始剤を連続重合に付して、重合反応を所望の重合率まで進行させるものであり、第2の反応槽20の抜き出し口21bより第2の重合体フラクション(または重合シロップ)が抜き出される。
【0064】
第2の重合工程においても、連続重合は、満液状態で実施されることが好ましい。このことは、連続塊状重合に特に適する。この満液状態により、反応槽の内壁面にゲルが付着して成長するといった問題や、このゲルが反応混合物に混入することによって、最終的に得られる重合体組成物の品質が低下するといった問題が発生することを、未然に防止できる。更に、この満液状態により、反応槽の容積全てを反応空間に有効利用でき、よって、高い生産効率を得ることができる。
【0065】
満液状態は、第2の反応槽20の抜き出し口21bを本実施形態のように反応槽頂部に位置させることにより、第2の反応槽20への供給および抜き出しを連続的に行うだけで簡便に実現できる。反応槽頂部に抜き出し口が位置することは、メタクリル酸エステル系モノマーを連続重合するのに特に適する。
【0066】
また第2の重合工程においても、連続重合は、断熱状態で実施される。このことは、連続塊状重合に特に適する。この断熱状態により、反応槽の内壁面にゲルが付着して成長するといった問題や、このゲルが反応混合物に混入することによって、最終的に得られる重合体組成物の品質が低下するといった問題が発生することを、未然に防止できる。更に、この断熱状態により、重合反応を安定化させることができ、暴走反応を抑制するための自己制御性をもたらすことができる。
【0067】
断熱状態は、第2の反応槽20の内部の温度と、その外壁面との温度をほぼ等しくすることによって実現できる。具体的には、上述の制御装置(図示せず)を用いて、ジャケット(温度調節手段)23に対して設定される第2の反応槽20の外壁面の温度と、温度センサ(温度検知手段)Tによって検知される第2の反応槽20内の温度とが一致するように、原料モノマーおよび重合開始剤の第2の反応槽20への供給量をポンプ5’および7’の動作を調整することによって実現できる。なお、反応槽の外壁面の温度を、反応槽内の温度に比べて高く設定しすぎると、反応槽内に余分な熱が加わることから、好ましくない。反応槽内と反応槽外壁面との温度差は小さいほど好ましく、具体的には±5℃程度の幅で調整することが好ましい。
【0068】
第2の反応槽20内で発生する重合熱や撹拌熱は、通常、第2の反応槽20から第2の重合体フラクションを抜き出す際に持ち去られる。第2の重合体フラクションが持ち去る熱量は、重合体組成物の流量、比熱、重合反応の温度によって定まる。
【0069】
第2の重合工程における連続重合の温度は、第2の反応槽20内の温度として理解される。この温度は、例えば100〜200℃程度である。第2の重合工程における温度は、第1の重合工程における温度と同等であってよいが、それと異なることが好ましい。
【0070】
第2の重合工程における連続重合の圧力は、第2の反応槽20内の圧力として理解される。この圧力は、通常、ゲージ圧で1.0〜2.0MPa程度であり、第1の重合工程における圧力と同等であってよい。
【0071】
第2の重合工程における連続重合に付される時間は、第2の反応槽20の平均滞留時間として理解される。平均滞留時間は、第2の重合体フラクションにおける重合体の生産効率などに応じて設定され得るものであって、特に限定されないが、例えば15分〜6時間である。第2の重合工程における平均滞留時間は、第1の重合工程における平均滞留時間と同等であってよいが、それと異なることが好ましい。第2の重合工程における平均滞留時間は、ポンプ5’および7’を用いて第2の反応槽20への原料モノマー等の供給量(供給流量)を変更することにより調節できるが、第2の反応槽20の容積に大きく依存するので、後述するように、第1の反応槽10の容積および第2の反応槽20の容積をどのように設計するかが重要である。
【0072】
以上のようにして第2の重合体フラクションが第2の反応槽20の抜き出し口21bから抜き出される。得られた第2の重合体フラクションは、生成した重合体を含んで成り、更に、未反応の原料モノマー、未反応の重合開始剤および重合開始剤分解物などを含み得る。
【0073】
第2の重合体フラクションにおける重合率は、本実施形態を限定するものではないが、例えば5〜90重量%、好ましくは30〜80重量%である。なお、第2の重合体フラクションにおける重合率は、概ね、重合体組成物中の重合体(ポリマー)含有率に相当する。この重合率が高いほど、重合体の生産性が高くなるものの、重合体フラクションの粘度が高くなって、大きな撹拌動力が必要となる。また、重合率が低いほど、重合体の生産性が低くなり、未反応の原料モノマーを回収するための負担が大きくなってしまう。よって、第2の重合体フラクションにおいても、適切な重合率を目標または目安として設定することが好ましい。
【0074】
・ブレンド工程
第1の反応槽10から抜き出しライン15を通じて抜き出された第1の重合体フラクションと、第2の反応槽20から抜き出しライン25を通じて抜き出された第2の重合体フラクションとを混合機26によりブレンドして、共通抜き出しライン27より重合体組成物(重合シロップ)を得る。
【0075】
これにより得られる重合体組成物は、第1の重合体フラクションの性質と第2の重合体フラクションの性質とが合わさった(加算または複合された)性質を有する。
【0076】
本実施形態のように、連続重合(連続塊状重合)を2系列で実施すると、第1の重合工程と第2の重合工程とで重合反応条件、具体的には温度、時間(平均滞留時間)および重合開始剤の量(原料モノマーに対する重合開始剤の割合)などを個別に設定することができる。
【0077】
例えば、第1の反応槽と第2の反応槽とで重合反応条件、具体的には温度、時間(平均滞留時間)および重合開始剤の量(原料モノマーに対する重合開始剤の割合)などを異ならせることによって、第1の重合体フラクションの分子量分布と第2の重合体フラクションの分子量分布を異ならせることができ、これらをブレンドすることによって、分子量分布が制御された重合体組成物を得ることができる。一般的には、分子量が高いほど、機械的強度および耐熱性が高い性質を有するものの、その反面、成形加工性が低くなり、一方、分子量が低いほど、成形加工性は高いものの、十分な機械的強度および耐熱性が得られない。よって、上記第1の重合体フラクションおよび第2の重合体フラクションとして、分子量が高い重合体フラクションと分子量が低い重合体フラクションとを得、これらを混合(ブレンド)することによって、分子量分布が広い、あるいは、バイモーダルな重合体組成物を得ることができ、これによって、成形加工性(例えば流動性および射出成形性など)が良好で、かつ、機械的強度および耐熱性の高い重合体組成物を得ることができる。
【0078】
本実施形態によれば、バイモーダルな分子量分布を有する重合組成物をより効率的に得ることができる。例えば、特許文献5に記載される溶融混練法では、高分子量の重合体と低分子量の重合体とを予め別個に製造してブレンドに適当な形態(一般的にはペレット)としておき、これらを溶融ブレンド、すなわち、所定配合で混合し、押出機に投入して溶融混練し、その後、所定の形態に調えて(一般的にはペレット化して)いる。これに対して、本実施形態によれば、第1の反応槽および第2の反応槽でそれぞれ得られた第1の重合体フラクションおよび第2の重合体フラクションを直接混合しているので、一度重合して形態を調えたものを溶融ブレンド後に再度形態を調えている(再ペレット化)溶融混練法に比べて工程数が少なく、また、溶融混練時の熱履歴による微量着色および異物混入の可能性を回避することができ、高品質の重合体組成物を連続的に生産性良く得ることができる。また、例えば特許文献6に記載される二段階重合法では、反応器に所定の原料を入れて一段階目の重合を行い、次いで、これに所定の原料を添加して二段階目の重合を行っており、かかる二段階重合法は一般的に懸濁重合法により実施される。懸濁重合には通常、懸濁安定化剤が用いられ、重合後に懸濁安定化剤を溶解除去するために硫酸水溶液を添加することもある。また、懸濁重合では、重合後、脱水、乾燥して得られるビーズ状の重合体を、押出機にて溶融混練して、ペレット化することとなる。これに対して、本実施形態によれば、第1の反応槽および第2の反応槽において連続塊状重合を実施しているので、懸濁安定化剤や硫酸水溶液などの添加剤の使用を避けることができ、また、脱水、乾燥等の操作を要さず、よって、これら添加剤や追加の操作に起因する異物混入の可能性を回避することができ、高品質の重合体組成物を連続的に生産性良く得ることができる。
【0079】
第1の重合工程および第2の重合工程とで重合反応条件をそれぞれどのように設定するかは、生成する重合体、使用する原料モノマーおよび重合開始剤、所望される性質および生産効率などに応じて異なり得る。
【0080】
・脱揮工程
以上のようにして得られた重合体組成物(重合シロップ)は、上述のように、生成した重合体のほか、未反応の原料モノマーおよび重合開始剤などを含み得る。かかる重合体組成物は、本実施形態を限定するものではないが、脱揮等に付して原料モノマーを分離回収することが好ましい。
【0081】
具体的には、重合体組成物を共通抜き出しライン27を通じて、予熱器31に移送する。重合体組成物は、予熱器31にて、未反応の原料モノマーを主とする揮発性成分の揮発に必要な熱量の一部または全部が付与される。重合体組成物は、その後、圧力調整弁(図示せず)を介して脱揮押出機33に移送され、脱揮押出機にて揮発性成分が少なくとも部分的に除去され、残部の押出物はペレット状に成形されて、排出ライン35から排出される。これにより、メタクリル酸エステル系ポリマーを含む樹脂組成物がペレットの形態で製造される。
【0082】
上記重合体組成物の移送方法としては、特公平4−48802号公報に記載の方法が好適である。また、脱揮押出機を用いた方法としては、例えば特開平3−49925号公報、特公昭51−29914号公報、特公昭52−17555号公報、特公平1−53682号公報、特開昭62−89710号公報などに記載の方法が好適である。
【0083】
また、上記の脱揮押出機にて重合体組成物を脱揮押出する際に、またはその後に、必要に応じて、高級アルコール類、高級脂肪酸エステル類等の滑剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、帯電防止剤等を、重合体組成物または押出物に添加して樹脂組成物に含めることができる。
【0084】
脱揮押出機33にて除去された揮発性成分は、未反応の原料モノマーを主成分とし、原料モノマーに元々含まれる不純物、必要に応じて用いられる添加剤、重合過程で生成する揮発性副生成物、ダイマーおよびトリマーなどのオリゴマー、重合開始剤分解物などの不純物などを含んで成る。一般に、不純物の量が増えると、得られる樹脂組成物が着色するので好ましくない。そこで、脱揮押出機33にて除去された揮発性成分(未反応の原料モノマーを主成分とし、上記のような不純物などを含んで成る)をモノマー回収塔(図示せず)に通し、モノマー回収塔にて蒸留や吸着等の手段によって処理し、上記揮発性成分から不純物を除去してよく、これによって、未反応の原料モノマーを高純度で回収することができ、重合用の原料モノマーとして好適に再利用できる。例えば、モノマー回収塔では、連続蒸留によりモノマー回収塔の塔頂からの留出液として未反応の原料モノマーを高純度で回収し、回収タンク37に貯留してから、原料モノマータンク1および/または1’に移送してリサイクルしてもよいし、回収タンク37に貯留することなく、原料モノマータンク1および/または1’に移送してリサイクルしてもよい。他方、モノマー回収塔で除去された不純物は、廃棄物として廃棄され得る。
【0085】
なお、回収した原料モノマーは、回収タンク37や原料モノマータンク1および/または1’にて重合反応が進行しないように、回収タンク37または原料モノマータンク1および/または1’中にて重合禁止剤を、例えば原料モノマーに対して2〜8重量ppmの割合で存在させることが好ましく、加えて、回収タンク37や原料モノマータンク1および/または1’の気相部の酸素濃度を2〜8体積%に設定するとより好ましい。また、回収タンク37にて長期間に亘って保存したい場合には、例えば0〜5℃の低温にて貯留することが望ましい。
【0086】
本実施形態においては、第1の反応槽および第2の反応槽のいずれもが連続塊状重合を実施するために用いられる連続塊状重合装置について説明した。しかし、本発明の連続重合装置はこれに限定されず、第1の反応槽および第2の反応槽の一方または双方が、連続溶液重合を実施するために用いられるものであってよい。かかる態様においては、溶液重合のために溶媒が使用されることから、連続重合装置は、図1を参照して上述した連続重合装置と同様の構成に加えて、溶液重合を実施する所定の反応槽へ溶媒を供給するために、溶媒タンクならびにこれに付随する供給ラインおよびポンプ(供給手段)を更に備える。これら溶媒タンクならびにこれに付随する供給ラインおよびポンプ(供給手段)としては、特に限定されるものではなく、従来用いられているものと同様のものを使用することができる。溶媒は、溶液重合を実施する所定の反応槽へ、原料モノマーおよび/または重合開始剤と混合した上で供給してよく、あるいは、溶液重合を実施する所定の反応槽へ直接供給してよい。上記所定の反応槽において、重合工程は、重合反応に溶媒が使用されること以外は、図1を参照して上述した重合工程と同様に(断熱状態で)実施される。溶媒としては、溶液重合反応の原料モノマーなどに応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、オクタン、デカン、シクロヘキサン、デカリン、酢酸ブチル、酢酸ペンチルなどが挙げられる。溶液重合を実施する所定の反応槽への原料モノマーの供給流量C(kg/h)と、該所定の反応槽への溶媒の供給流量D(kg/h)との比C:Dは、これに限定されるものではないが、例えば70:30〜95:5であり、好ましくは80:20〜90:10である。
【0087】
以上、本発明の実施形態を通じて、本発明の連続重合装置および重合体組成物の製造方法について詳述した。本発明によれば、新規な連続重合装置が提供され、かかる連続重合装置を用いれば、少なくとも第1の反応槽および第2の反応槽を用いて重合を少なくとも2系列で並列的に実施できるので、第1の重合工程と第2の重合工程とで重合反応条件、具体的には温度、時間(平均滞留時間)および重合開始剤の量(原料モノマーに対する重合開始剤の割合)などを個別に設定することができ、これにより、最終的に得られる樹脂組成物に含まれる重合体の分子量分布を制御でき、多様な性質、具体的には、良好な成形加工性、高い機械的強度、高い耐熱性などを有する樹脂組成物を得るのに適した重合体組成物をより効率的に製造することができる。
【0088】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の改変が可能である。例えば、3つ以上の反応槽を用いて、重合を3系列以上で並列的に実施してもよい。例えば、反応槽の抜き出し口が、反応槽の頂部以外に位置していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、メタクリル酸エステル系ポリマーを含む樹脂組成物を得るのに適した重合体組成物を製造するのに利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1、1’ 原料モノマータンク(原料モノマーの供給源)
3、3’ 重合開始剤タンク(重合開始剤および場合により原料モノマーの供給源)
5、5’ ポンプ
7、7’ ポンプ
8、8’ ライン
9、9’ 原料供給ライン
10 第1の反応槽
11a 供給口
11b 抜き出し口
13 ジャケット(温度調節手段)
14 撹拌機
15 抜き出しライン
20 第2の反応槽
21a 供給口
21b 抜き出し口
23 ジャケット(温度調節手段)
24 撹拌機
25 抜き出しライン
26 混合機
27 共通抜き出しライン
31 予熱器
33 脱揮押出機
35 排出ライン
37 回収タンク
T 温度センサ(温度検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの完全混合型の反応槽を含んで成り、
各反応槽は、供給口と、抜き出し口とを有し、
該2つの反応槽の各供給口は、独立して、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源に接続され、
該2つの反応槽の各抜き出し口が、共通の抜き出しラインに接続されることを特徴とする、メタクリル酸エステル系モノマーを連続重合するために用いられる連続重合装置。
【請求項2】
前記各反応槽の抜き出し口は、各反応槽の頂部に位置する、請求項1に記載の連続重合装置。
【請求項3】
前記2つの反応槽は、いずれも、連続塊状重合を実施するために用いられる、請求項1または2に記載の連続重合装置。
【請求項4】
前記2つの反応槽は、互いに異なる容積を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の連続重合装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の連続重合装置を用いて、
前記2つの反応槽のうち第1の反応槽に、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源から、原料モノマーおよび重合開始剤を第1の反応槽の供給口より供給し、第1の反応槽において断熱状態で連続重合に付し、これにより得られる第1の重合体フラクションを第1の反応槽の抜き出し口より抜き出す第1の重合工程と、
前記2つの反応槽のうち第2の反応槽に、原料モノマーおよび重合開始剤の供給源から、原料モノマーおよび重合開始剤を第2の反応槽の供給口より供給し、第2の反応槽において断熱状態で連続重合に付し、これにより得られる第2の重合体フラクションを第2の反応槽の抜き出し口より抜き出す第2の重合工程と、
第1の重合体フラクションおよび第2の重合体フラクションをブレンドして重合体組成物を得るブレンド工程と
を含んで成る、重合体組成物の製造方法。

【図1】
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