説明

連鎖状食品材料の処理システム

【課題】食品材料製造装置の下流側の装置で停止や処理能力低下などがあった場合でも、各装置に対する一時的な処理能力の調整を行なって食品材料製造装置を止めずに済む連鎖状食品材料の処理システムの提供を目的とする。
【解決手段】連鎖状食品材料Vの処理システム1は、食品材料製造装置4と、食品材料分割装置6,7と、食品材料製造装置4と食品材料分割装置6との間に配備される受渡装置5とを備え、受渡装置5は、搬入機構13からの連鎖状食品材料V付きの竿Lを保持する保持機構14と、連鎖状食品材料V付きの竿Lを保持機構14から搬出して食品材料分割装置6に供給する搬出機構15とを備え、保持機構14は、食品材料分割装置6,7の処理速度が食品材料製造装置4からの連鎖状食品材料Vの供給速度を下回ったときに、連鎖状食品材料V付きの竿Lを保管するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竿に吊り下げた例えば連鎖状ソーセージ材料などの連鎖状食品材料を複数工程で製造処理をする処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
連鎖状ソーセージ材料は、例えばウインナソーセージのように、ケーシング(腸等の表皮)に一定間隔で設けられた結束部を介して複数のソーセージが鎖状に連なっているものである。この連鎖状ソーセージ材料を製造する処理システムでは、食肉充填機により、ケーシングに原料(ミンチ肉等)を詰め、所定間隔毎にねじることにより、結束部とソーセージを形成して連鎖状体とした後に竿に吊り下げて、連続加熱装置により加熱(70〜80℃)、燻煙、冷却を2時間くらいかけて行なう連続処理を施している。その後、ソーセージを個々に切り離し、検品、包装、梱包を経て出荷するようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−51736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の処理システムのように連続加熱装置を有するものでは、連鎖状体を連続加熱装置に通過させると約2時間かかる。そのため、下流側の装置が停止したり処理能力が急に低下したりしても、基本的に連続加熱装置を一時停止させることはできない。但し、15〜20分程度の短時間であれば、連続加熱装置の停止が許される処理システムもある。もし、下流側装置で機械の一時停止や能力低下があり、連続加熱装置から出てくる連鎖状ソーセージ材料を処理しきれない場合は、竿ごと製造ラインから取り外して保管するか、食品材料分割装置の出口で個々のウィンナソーセージ(包装前)の状態で容器に一時保管しなければならない。尚、上記した下流側装置における一時停止の場合として、作業員の休憩などによる人為的な停止なども含まれる。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、食品材料製造装置の下流側の装置で停止や処理能力低下などがあった場合でも、各装置に対する一時的な処理能力の調整を行なって食品材料製造装置を止めずに済む連鎖状食品材料の処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る連鎖状食品材料の処理システムは、複数の食品が連なった連鎖状食品材料を製造し連鎖状食品材料を竿に吊下げて供給する食品材料製造装置と、食品材料製造装置で製造された連鎖状食品材料に出荷のための前処理を施す食品材料処理装置と、を有する連鎖状食品材料の処理システムであって、食品材料製造装置から供給された連鎖状食品材料が吊り下げられた竿を食品材料処理装置に受け渡す受渡装置が配備され、前記受渡装置は、装置基台に設けられていて前記連鎖状食品材料付きの竿を吊り掛けて保持する保持機構と、食品材料製造装置で製造された連鎖状食品材料付きの竿を保持機構に搬入する搬入機構と、保持機構に保持されている連鎖状食品材料付きの竿を保持機構から搬出して食品材料処理装置に供給する搬出機構と、を備え、前記保持機構は、食品材料処理装置の処理速度が食品材料製造装置からの連鎖状食品材料の供給速度を下回ったときに、連鎖状食品材料付きの竿を保管するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、前記構成において、食品材料製造装置が、連鎖状食品材料を連続して加熱する連続加熱装置を含んで成ることを特徴とするものである。
【0008】
そして、前記した各構成において、受渡装置は、搬入機構により保持機構に搬入された鎖状食品材料付きの竿の搬入順および保持機構における吊り掛け位置を記憶する記憶手段と、保持機構からの搬出に際して記憶手段に記憶されている竿の搬入順および保持機構における吊り掛け位置に基づいて搬入順が最先の竿を搬出機構により搬出させる搬出制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
更に、前記した各構成において、受渡装置の保持機構は、鎖状食品材料付きの竿を吊り掛ける複数の無端状チェーンコンベアが上下複数段に配置されて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る連鎖状食品材料の処理システムによれば、食品材料処理装置の処理速度が食品材料製造装置からの連鎖状食品材料の供給速度を下回ったときに、受渡装置の保持機構が連鎖状食品材料付きの竿を保管するので、各装置の能力バランスが崩れた場合でも、一時的に能力調整を行なって各装置の能力バランスをとることができ、食品材料製造装置を停止させずに済む。
【0011】
また、連鎖状食品材料を連続して加熱する連続加熱装置を含んで成る食品材料製造装置の場合、連続加熱装置は基本的に停止させられないが、前記のように一時的に能力調整を行なって各装置の能力バランスをとることにより、連続加熱装置を停止させずに済む。
【0012】
そして、記憶手段と搬出制御手段を備えているものでは、記憶手段に記憶されている搬入順で最先の竿を、搬出制御手段が搬出機構により搬出させるので、鎖状食品材料付きの竿を保持機構により一時保持させた場合でも、先入れ先出しとするため、食品の鮮度を好適に保持することができる。
【0013】
更に、鎖状食品材料付きの竿を吊り掛ける複数の無端状チェーンコンベアが上下複数段に配置されて成る保持機構を有するものでは、各装置の能力バランスが崩れたときに、複数の無端状チェーンコンベアを使用して、鎖状食品材料付きの竿を一時的に長時間保持することができる。加えて、複数の無端状チェーンコンベアを水平方向に並べる構成と比べて、小さな設置スペースに設置できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る連鎖状食品材料の処理システムの全体構成の概略を示すブロック図である。
【図2】前記処理システムの要部を示す概略側面構成図である。
【図3】前記処理システムの受渡装置を示す概略側面構成図である。
【図4】前記受渡装置を示す概略平面構成図である。
【図5】前記受渡装置の概略制御系統を示すブロック図である。
【図6】前記受渡装置の搬入機構における竿受渡し動作の説明図である。
【図7】前記受渡装置の搬入機構から保持機構への竿受渡し動作の説明図 である。
【図8】前記受渡装置の保持機構から搬出機構への竿受渡し動作の説明図 である。
【図9】前記受渡装置の搬出機構における竿受渡し動作の説明図である。
【図10】前記受渡装置における図3のB−B線矢視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明の一実施形態に係る連鎖状食品材料の処理システムの全体構成の概略を示すブロック図、図2は前記処理システムの要部を示す概略側面構成図である。
各図において、この実施形態に係る連鎖状食品材料の処理システム1は、肉材、つなぎ材、調味料などを混練して成る充填物をケーシングに充填し捻って結束させることにより複数のソーセージ源が連なった連鎖状体を得る充填装置2と、充填装置2からの連鎖状体を所定温度に連続して加熱しながら燻煙加工を施して複数のソーセージ(食品)S,S,S,・・・が連なって得られた連鎖状食品材料Vを竿Lに吊下げて供給する連続加熱装置3と、連続加熱装置3で製造された連鎖状食品材料Vを後続の食品材料処理装置80に受け渡す受渡装置5と、食品材料処理装置80からのソーセージSを良品と不良品に選別する選別装置8と、所定数のソーセージSの重量を計量する計量装置9と、計量後のソーセージSを袋詰めして袋体とする包装装置10と、袋体をダンボール箱などに梱包する梱包装置11とから構成されている。前記した充填装置2と連続加熱装置3とから、本実施形態の食品材料製造装置4が構成される。
【0016】
前記の食品材料処理装置80は、食品出荷のための前処理を連鎖状食品材料Vに施す装置である。この食品材料処理装置80としては、例えば、受渡装置5からの連鎖状食品材料Vを複数個(例えば6個ずつ)連なったソーセージS,S,S,・・・ごとに分割する1次食品材料分割装置6、1次食品材料分割装置6からの連なったソーセージS,S,S,・・・を切断して1つのソーセージSごとに分割する2次食品材料分割装置7、受渡装置5からの連鎖状食品材料VのソーセージS,S,S,・・・のそれぞれに多数の切れ目を入れて連なったままのバーベキュー用食品材料を得るバーベキュー用食品材料処理装置70、または、食品材料製造装置4の充填装置2で合成樹脂フィルム製の非食ケーシングに充填した連鎖性ソーセージ材料に対し、非食ケーシングを剥きとって皮なしウィンナソーセージを得る皮なしウィンナ処理装置71等が挙げられる。因みに、以下の実施形態では、食品材料処理装置80として、1次食品材料分割装置6および2次食品材料分割装置7を用いた例を詳しく説明する。
【0017】
竿Lに吊り下げられる連鎖状食品材料Vは、図2中で1点鎖線の円A内に示すように、ケーシング(腸等の表皮)に一定間隔で設けられた結束部T,T,T,・・・を介して複数のソーセージS,S,S,・・・が鎖状に繋がっているものである。この連鎖状食品材料Vは、竿Lにループ状に巻き掛けられて、竿Lを介して連続加熱装置3内に搬入されスモーク(加熱薫煙)処理が施される。竿Lは、例えば直径10〜13mm程度の断面円形としたステンレス製のロッドから形成されている。
【0018】
食品材料製造装置4と1次食品材料分割装置6との間には、受渡装置5が配備されており、連続加熱装置3から供給された連鎖状食品材料Vが吊り下げられた竿Lを1次食品材料分割装置6に受け渡す役目を果たす。この受渡装置5は、図2〜図4に示すように、装置基台16の四隅に立設された縦フレーム52に設けられた上下5段の保持機構14(A)〜(E)と、食品材料製造装置で製造された連鎖状食品材料V付きの竿Lを保持機構14(A)〜(E)のいずれかに搬入する搬入機構13と、保持機構14(A)〜(E)に吊り掛けられて保持されている連鎖状食品材料V付きの竿Lを保持機構14(A)〜(E)から搬出して1次食品材料分割装置6に供給する搬出機構15とを備えている。
【0019】
搬入機構13は、それぞれ左右一対で配備された、食品材料製造装置4からの連鎖状食品材料V付きの竿Lを搬送する横コンベア17と、横コンベア17からの連鎖状食品材料V付きの竿Lを送り出すスライディングロッド24と、スライディングロッド24からの連鎖状食品材料V付きの竿Lを受け取って保持機構14に搬入する縦コンベア18とから構成されている。スライディングロッド24は、横コンベア17における搬送方向先端側のスプロケット22付近から縦コンベア18に向かって斜め下方に傾斜するように配置されている。横コンベア17は、左右一対で前後に配置されたスプロケット22,21と、これら前後のスプロケット22,21間にそれぞれ架け渡された左右一対の無端状チェーンコンベア23と、スプロケット21を回転駆動させるための駆動装置25とを備え、無端状チェーンコンベア23の表面には、多数の突起部23Aが一定間隔で突設され、突起部23A,23A間はそれぞれ竿Lを載置する受け部23Bとなっている。縦コンベア18は、左右一対で上下に配置された上下のスプロケット27,26と、上下のスプロケット27,26間に掛け回された無端状チェーン28と、スプロケット26を回転駆動させるための駆動装置29と、無端状チェーン28に所定間隔で取り付けられて前述の竿Lの長さ方向端部を保持するための受け部30,31を有する複数のC字金具32とを備えている。
【0020】
左右1対で上下5段に配備された保持機構14は、左右一対で前後に配置されたスプロケット34,33と、これら前後のスプロケット34,33間にそれぞれ架け渡された左右一対の無端状チェーンコンベア35と、スプロケット34を回転駆動させるための駆動装置36とを備え、無端状チェーンコンベア35の表面には、多数の突起部35Aが一定間隔で突設され、突起部35A,35A間はそれぞれ竿Lを載置する受け部35Bとなっている。
【0021】
搬出機構15は、それぞれ左右一対の、保持機構14からの連鎖状食品材料V付きの竿Lを受け取って横コンベア20に搬送する縦コンベア19と、縦コンベア19からの連鎖状食品材料V付きの竿Lを受け取って下流側の1次食品材料分割装置6に搬出する横コンベア20とから構成されている。縦コンベア19は、左右一対で上下に配置された上下のスプロケット46,45と、上下のスプロケット46,45間に掛け回された無端状チェーン47と、スプロケット45を回転駆動させるための駆動装置48とを備えてなり、無端状チェーン47に所定間隔で取り付けられて前述の竿Lの長さ方向端部を保持するための受け部49,50を有する複数のC字金具保持体51とを備えている。横コンベア20は、左右前後に配置された4本の縦フレーム65(図9参照)に軸支された左右一対のスプロケット54,53と、これら前後のスプロケット54,53間にそれぞれ架け渡された左右一対の無端状チェーンコンベア55と、スプロケット54を回転駆動させるための駆動装置59とを備え、無端状チェーンコンベア55の表面には、多数の突起部55Aが一定間隔で突設され、突起部55A,55A間はそれぞれ竿Lを載置する受け部55Bとなっている。
【0022】
保持機構14における搬入側で左右のスプロケット33の内側には、回転盤39がそれぞれ配備され、水平軸心回りに回転駆動する駆動装置41により回転するようになっている。左右の回転盤39の外周面には、それぞれ、縦コンベア18に向かって斜め下方位置と斜め上方位置との間を上下揺動するスライディングロッド40が取り付けられている。また、保持機構14における搬出側で左右のスプロケット34の内側には、回転盤42がそれぞれ配備され、水平軸心回りに回転駆動する駆動装置44により回転するようになっている。左右の回転盤42の外周面には、それぞれ、搬出機構15の縦コンベア19に向かって斜め下方位置とほぼ垂直位置との間を上下揺動するスライディングロッド43が取り付けられている。また、搬出機構15の横コンベア20における搬入側で左右のスプロケット53の内側には、回転盤56がそれぞれ配備され、水平軸心回りに回転駆動する駆動装置58により回転するようになっている。左右の回転盤56の外周面には、それぞれ、縦コンベア19に向かって斜め下方位置と斜め上方位置との間を上下揺動するスライディングロッド57が取り付けられている。
【0023】
そして、搬入機構13の横コンベア17の搬出側近傍位置には、スライディングロッド24からの竿Lを受け部30で受けられる位置に縦コンベア18のC字金具32が到着したことを検出する位置検出センサ60が配備されている。また、保持機構14(A)〜(E)の無端状チェーンコンベア35の搬入側近傍位置には、竿Lを受けた縦コンベア18のC字金具32が到着したことを検出する位置検出センサ61(A)〜(E)がそれぞれ配備されている。そして、保持機構14(A)〜(E)の無端状チェーンコンベア35の搬出側近傍位置には、スライディングロッド43からの竿Lを受け部49で受けられる位置に縦コンベア19のC字金具51が到着したことを検出する位置検出センサ62(A)〜(E)が配備されている。また、搬出機構15の無端状チェーンコンベア55の搬入側近傍位置には、竿Lを受けた縦コンベア19のC字金具51が到着したことを検出する位置検出センサ63が配備されている。
【0024】
また、コントローラ12は、図5に示すように、CPU37およびメモリM(記憶手段の例)を中心として構成され、これらはデータバス38と相互データ通信自在に接続されている。そして、データバス38のデータ入力側には、外部から操作者によりデータを入力するための例えばキーボードなどの外部入力器64と、位置検出センサ60,61(A)〜(E),62(A)〜(E),63が接続されている。データバス38のデータ出力側には、コンベア駆動用の駆動装置25,29,36,48,59と、ロッド駆動用の駆動装置41,44,58とが接続されている。CPU37は、後で詳述する搬出制御手段66の機能と、第1食品材料分割装置6の処理速度、第2食品材料分割装置7の処理速度、および食品材料製造装置4から供給される連鎖状食品材料Vの供給速度を監視する機能も備えている。
【0025】
上記のように構成された連鎖状食品材料Vの処理システム1の動作を次に説明する。
先ず、食品材料製造装置4の充填装置2でケーシングに充填物を充填して得られた連鎖状体は、連続加熱装置3で燻製処理されて連鎖状食品材料Vとなり竿Lに吊り下げられて受渡装置5の搬入機構13の横コンベア17に供給される(図6参照)。横コンベア17における無端状チェーンコンベア23の受け部23Bに載った連鎖状食品材料V付きの竿Lは駆動装置25の回転駆動により縦コンベア18に向かって搬送され、スプロケット22の近傍位置にきたときに無端状チェーンコンベア23が一時停止される。一方、駆動装置29の回転駆動により無端状チェーン28は周回駆動している。そして、C字金具32のひとつが位置検出センサ60により検出されたとき、無端状チェーンコンベア23が再起動され連鎖状食品材料V付きの竿Lがスライディングロッド24上を滑り落ちて、C字金具32の受け部30に支持される。スプロケット27を越えたところでC字金具32が上下反転するので、受け部30に支持されていた連鎖状食品材料V付きの竿Lは受け部30から受け部31に移動して支持される。
【0026】
尚、この受渡装置5において、第1食品材料分割装置6の処理速度または第2食品材料分割装置7の処理速度が食品材料製造装置4から供給される連鎖状食品材料Vの供給速度とほぼ同じとなる、いわゆる通常運転時には、5台の保持機構14(A)〜14(E)のうちの2台、例えば保持機構14(A),14(B)を用いるようにしている。すなわち、一方の保持機構14を、搬入機構13から搬入される連鎖状食品材料V付きの竿Lを保持し貯めて行く受入専用とし、他方の保持機構14を、保持した連鎖状食品材料V付きの竿Lを搬出機構15に搬出する払出専用とする。これは、1台の保持機構14のみで連鎖状食品材料V付きの竿Lの搬入および搬出の双方をさせると、縦コンベア18のC字金具32からの受入タイミングと、縦コンベア19のC字金具51への払出タイミングを合わせることが難しく、これらのタイミングを合わせるためには複雑で高価な機構および制御を必要とするからである。そこで、この受渡装置5では、受入専用にした例えば保持機構14(A)が連鎖状食品材料V付きの竿Lで満杯になると、CPU37が保持機構14(A)を払出専用に切り換えるとともに、保持機構14(B)を払出専用から受入専用に切り換えて、保持機構14(B)へ連鎖状食品材料V付きの竿Lを搬入させるようにしている。一方、受入専用の保持機構14が満杯になる前でも、他方の払出専用の保持機構14が空もしくは空直前になれば、その払出専用の保持機構14と受入専用の保持機構14とを互いに切り換えるようにしている。
【0027】
そうして、上記した縦コンベア18のC字金具32が、例えば、搬入される保持機構14(A)の手前に到達して位置検出センサ61(A)で検出されたとき、駆動装置41が回転駆動しスライディングロッド40を無端状チェーン28に向かって斜め上向きに揺動させる(図7参照)。すると、C字金具32に支持されていた連鎖状食品材料V付きの竿Lはスライディングロッド40上に支持されて(図7参照)、C字金具32から抜け出し、保持機構14(A)における無端状チェーンコンベア35の受け部35B上に吊り掛けられる。このとき、コントローラ12のCPU37は、搬入機構13により保持機構14に搬入された鎖状食品材料V付きの竿Lの搬入順および保持機構14における吊り掛け位置(どの段の保持機構14(A)〜(E)であるか、その段における無端状チェーンコンベア35上で前から何番目であるか)をメモリMに記憶させる。
【0028】
そして、第1食品材料分割装置6の処理速度または第2食品材料分割装置7の処理速度が食品材料製造装置4から供給される連鎖状食品材料Vの供給速度を下回るような状態とは、例えば第1食品材料分割装置6から梱包装置11までのいずれかが故障などで停止や能力低下をしたり、あるいは包装装置10や梱包装置11が作業員の休憩などのために一時停止されるような状態である。このような状態のときは、保持機構14(A)および保持機構14(B)の双方で連鎖状食品材料V付きの竿Lが満杯になってくる。このような状態になったとコントローラ12のCPU37が判断したとき、CPU37は連鎖状食品材料V付きの竿Lを残りの保持機構14(C)〜(E)のいずれかに保管させるように搬入機構13および保持機構14を制御する。竿Lの保管先は保持機構14(C)〜(E)のいずれでもよいが、搬入先および搬入順をメモリMで記憶できていればそれでよい。例えば、保持機構14(D)、保持機構14(E)、保持機構14(C)といった順に、搬入機構13からの連鎖状食品材料V付きの竿Lを吊り掛けるようにしても構わない。
【0029】
その後、CPU37は、搬出制御手段66のプログラム機能により、保持機構14からの竿Lの搬出に際して、メモリMに記憶されている竿Lの搬入順および保持機構14(A)〜(E)における吊り掛け位置を読み出し、搬入順が最先の竿Lを搬出機構15の駆動により保持機構14(A)〜(E)から搬出させるのである。例えば、保持機構14(A)に載っている連鎖状食品材料V付きの竿Lは駆動装置36の回転駆動により縦コンベア19に向かって搬送され、スプロケット34の近傍位置にきたときに無端状チェーンコンベア35が一時停止される。一方、駆動装置48の回転駆動により縦コンベア19の無端状チェーン47は周回駆動している。そして、C字金具51のひとつが位置検出センサ62(A)により検出されたとき、駆動装置44の回転駆動によりスライディングロッド43が縦コンベア19に向かって斜め下向き位置まで揺動する。この状態で、無端状チェーンコンベア35が再起動され、連鎖状食品材料V付きの竿Lがスライディングロッド43上を滑り落ちて、無端状チェーン47のC字金具51の受け部49に支持される(図8参照)。その後、スプロケット46を越えたところでC字金具51が上下反転し、連鎖状食品材料V付きの竿Lは受け部50に移動して支持される。そうして、C字金具51が位置検出センサ63で検出されたとき、駆動装置58が回転駆動してスライディングロッド57を無端状チェーン47に向かって斜め上向きの位置まで揺動させる。すると、C字金具51に支持されていた連鎖状食品材料V付きの竿Lが57上に支持され(図9参照)、受け部50から抜け出て搬出機構15における無端状チェーンコンベア55の受け部55B上に吊り掛けられる。その後、第1食品材料分割装置6に向けて搬出される。
尚、参考までに、全ての14(A)〜(E)に連鎖状食品材料V付きの竿Lを吊り掛けた場合の図を図10に掲示しておく。
【0030】
斯くして、本実施形態の処理システム1によれば、1次食品材料分割装置6の処理速度または2次食品材料分割装置7の処理速度が連続加熱装置3からの連鎖状食品材料Vの供給速度を下回ったときに、受渡装置5の保持機構14が連鎖状食品材料V付きの竿Lを保管するので、連続加熱装置3と、1次食品材料分割装置6〜梱包装置11との能力バランスが崩れた場合でも、受渡装置5が一時的に能力調整を行なうから、労力を要することなく自動的に各装置の能力バランスをとることができ、連続加熱装置3を停止させずに済むという効果がある。あるいは、このような受渡装置5の存在により、第1食品材料分割装置6の処理速度が食品材料製造装置4の食品供給速度を下回ったときに、連鎖状食品材料Vの切断が間に合わず、連鎖状に連なったままの食品材料の在庫が増え続けるという厳しい不具合を回避することができる。
【0031】
また、この受渡装置5は構造がシンプルであり安価に提供され得る。そして、メモリMに記憶されている搬入順で最先の竿Lが、搬出制御手段66の機能によって保持機構14から搬出されるので、鎖状食品材料V付きの竿Lを保持機構14で一時保持させた場合でも先入れ先出しとなる。従って、食品の鮮度を好適に保持することができる。また、保持機構14(A)〜(E)は、通常の連続運転時はひとつの無端状チェーンコンベア35を使用しながら、各装置の能力バランスが崩れたときは他の無端状チェーンコンベア35も使用して、鎖状食品材料V付きの竿Lを一時的に保持して能力バランスをとることができる。加えて、受渡装置5は、複数の無端状チェーンコンベア35を水平方向に並べた配置と比べて、小さな設置スペースで設置することができる。
【0032】
尚、上記の実施形態では、連鎖状食品材料として連鎖状ソーセージ材料を処理する例を示したが、本発明はそれに限定されるものでなく、連鎖状食品材料として、例えばウインナ形態の納豆食品、ウインナ形態の豆腐食品などを処理することも可能である。
また、上記では、食品材料製造装置4と第1食品材料分割装置6との間に受渡装置5を配備した例を示したが、第1食品材料分割装置6と第2食品材料分割装置7との間に受渡装置5を配備したものも、本発明に含まれる。あるいは、食品材料製造装置4と食品材料分割装置6との間に別の処理装置を配備するとともに、当該別の処理装置と食品材料製造装置4との間に受渡装置5を配備しても構わない。
あるいは、食品材料製造装置4から受渡装置5を経て、食品材料処理装置80であるバーベキュー材料処理装置70や皮なしウィンナ処理装置71に連鎖状食品材料V付きの竿Lを受け渡す場合も、上記と同様の効果を奏することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1 処理システム
3 連続加熱装置
4 食品材料製造装置
5 受渡装置
6 1次食品材料分割装置(食品材料分割装置、食品材料処理装置)
7 2次食品材料分割装置(食品材料分割装置、食品材料処理装置)
12 コントローラ
13 搬入機構
14 保持機構
15 搬出機構
16 装置基台
35 無端状チェーンコンベア
37 CPU
66 搬出制御手段
70 バーベキュー材料処理装置(食品材料処理装置)
71 皮なしウィンナ処理装置(食品材料処理装置)
80 食品材料処理装置
L 竿
M メモリ(記憶手段)
S ソーセージ(食品)
V 連鎖状食品材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食品が連なった連鎖状食品材料を製造し連鎖状食品材料を竿に吊下げて供給する食品材料製造装置と、食品材料製造装置で製造された連鎖状食品材料に出荷のための前処理を施す食品材料処理装置と、を有する連鎖状食品材料の処理システムであって、
食品材料製造装置から供給された連鎖状食品材料が吊り下げられた竿を食品材料処理装置に受け渡す受渡装置が配備され、
前記受渡装置は、装置基台に設けられていて前記連鎖状食品材料付きの竿を吊り掛けて保持する保持機構と、
食品材料製造装置で製造された連鎖状食品材料付きの竿を保持機構に搬入する搬入機構と、
保持機構に保持されている連鎖状食品材料付きの竿を保持機構から搬出して食品材料処理装置に供給する搬出機構と、を備え、
前記保持機構は、食品材料処理装置の処理速度が食品材料製造装置からの連鎖状食品材料の供給速度を下回ったときに、連鎖状食品材料付きの竿を保管するように構成されていることを特徴とする連鎖状食品材料の処理システム。
【請求項2】
食品材料製造装置が、連鎖状食品材料を連続して加熱する連続加熱装置を含んで成ることを特徴とする請求項1に記載の連鎖状食品材料の処理システム。
【請求項3】
受渡装置は、搬入機構により保持機構に搬入された鎖状食品材料付きの竿の搬入順および保持機構における吊り掛け位置を記憶する記憶手段と、保持機構からの搬出に際して記憶手段に記憶されている竿の搬入順および保持機構における吊り掛け位置に基づいて搬入順が最先の竿を搬出機構により搬出させる搬出制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連鎖状食品材料の処理システム。
【請求項4】
受渡装置の保持機構は、鎖状食品材料付きの竿を吊り掛ける複数の無端状チェーンコンベアが上下複数段に配置されて成ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の連鎖状食品材料の処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate