説明

連鎖端子

【課題】簡単な構造で連鎖端子の端子金具の変形を効果的に防止する。
【解決手段】連鎖端子10は、複数の端子金具11の少なくとも一端部を帯板状のキャリア12によって連結支持することで複数の端子金具11が並設され、端子保護部20は、キャリア12の側縁部12aからキャリア12の板面12bと面一状に延びる延長部21と、延長部21から板面12bと交差する方向に立ち上がる立ち上がり部22と、立ち上がり部22から板面12bに沿った方向に延び、連鎖端子10が立ち上がり部22の立ち上がり方向に沿って重畳された場合に立ち上がり方向の一方に隣接する層間紙29に当接する第1当接部23と、板面12bと面一状に延びて第1当接部23と立ち上がり方向に離間配置され、立ち上がり方向の他方に隣接する層間紙29に当接する第2当接部24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の接続端子がキャリアによって平行に並べられてなる連鎖端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の接続端子をキャリアにより連結して平行に並べた連鎖端子として、次のようなものが知られている。すなわち、連鎖端子は、長尺帯状をなすキャリアの側縁に多数の端子金具素片を並列状に連結したものであり、層間紙と重ねた状態でリールに対して巻き付け・繰り出しが行われるものである。
【0003】
そして、端子金具素片には外向きに突出する突起部が形成され、この突起部の突出方向は、リールの径方向と直交する方向、すなわち層間紙の紙面に沿った方向とされている。これにより、突起部が層間紙に突き刺さることはなく、繰り出しの際に突起部が層間紙に引っ掛かって変形することはないとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−164317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている従来技術の連鎖端子では、輸送の際などに層間紙と一緒にリールに巻き付けた状態のときに、キャリアの側縁に設けられて立ち上がり部の先端部を端子金具素片側へ屈曲したL字形の保護部が層間紙に当接して突っ張る状態となる。このため、端子金具素片の層間紙との接触は防止できるとされているが、次のような問題がある。
【0006】
すなわち、図9に示すように、従来技術の連鎖端子の保護部と同様の構造(先端部119aの屈曲方向は90°異なっている構造)の保護部119を有する連鎖端子100においては、キャリア(図示せず)からの保護部119の立ち上がり高さは端子金具111のキャリアからの高さよりも大きくなっているため、層間紙(図示せず)を介装した場合はこの保護部119が層間紙と当接する。
【0007】
しかし、例えばリールに巻き付けた際に保護部119の先端部119aが図中白抜き矢印で示すような層間紙から受ける圧力は、保護部119の立ち上がり部119bがキャリアとの連結部119cからオフセットして形成されているため、立ち上がり部119bおよび連結部119cを回転させる力となる。
【0008】
この圧力が大きくなったり、連鎖端子100の寸法が極小である場合は、図中二点短鎖線で示すように、保護部119が端子金具111側へ倒れ込んでしまい、連鎖端子100の変形を防止できないおそれがある。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構造で変形を効果的に防止することができる連鎖端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る連鎖端子は、複数の端子金具の少なくとも一端部を帯板状のキャリアの側縁部に連結支持させてその長手方向に並設されてなり、層間部材を介在させて上下方向に重ねられる連鎖端子であって、前記キャリアの表面と面一状に前記キャリアの側縁部から延びる延長部と、前記延長部の側縁部からその上端が前記層間部材に当接可能なように立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から前記層間部材に面で当接可能に延びる第1当接部と、前記キャリアの表面と同一の平面上に表面を形成するように、前記第1当接部と対向する領域およびそれに隣接する領域に形成された第2当接部と、を有する端子保護部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る連鎖端子は、複数の端子金具の少なくとも一端部を帯板状のキャリアの側縁部に連結支持させてその長手方向に並設されてなり、層間部材を介在させて上下方向に重ねられる連鎖端子であって、前記キャリアの側縁部からその上端が前記層間部材に当接可能なように立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から前記層間部材に面で当接可能に延びる第1当接部と、前記キャリアの表面と同一の平面上に表面を形成するように、前記第1当接部と対向する領域およびそれに隣接する領域に形成された第2当接部と、を有する端子保護部を備えたことを特徴とする。
【0012】
なお、前記第2当接部は、例えば前記延長部の側縁部の一部に形成されてもよい。
【0013】
また、前記第2当接部は、例えば前記キャリアの側縁部に形成されてもよい。
【0014】
さらに、前記第2当接部は、例えば前記第1当接部の先端から下方に屈曲された立ち下がり部の下端に形成されてもよい。
【0015】
この場合、前記第2当接部は、前記立ち下がり部の下端から前記キャリア側に延びるとよい。また、前記第2当接部は、前記立ち下がり部の下端から前記キャリアと反対側に延びてもよい。
【0016】
前記立ち上がり部は、例えば前記キャリアの前記端子金具が存する側の側縁部から立ち上がる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単な構造で変形を効果的に防止することができる連鎖端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る連鎖端子の全体構成の例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】同連鎖端子の重畳状態を示す図1のa矢視図である。
【図4】図3の一部を拡大して示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る連鎖端子の全体構成の例を示す平面図である。
【図6】図5のB−B’断面図である。
【図7】本発明に係る連鎖端子の端子保護部の他の例を一部を断面で示す側面図である。
【図8】本発明に係る連鎖端子の端子保護部の他の例を一部を断面で示す側面図である。
【図9】従来の連鎖端子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付の図面を参照して、本発明に係る連鎖端子の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る連鎖端子の全体構成の例を示す斜視図、図2は図1のA−A’断面図、図3は同連鎖端子の重畳状態を示す図1のa矢視図、図4は図3の一部を拡大して示す説明図である。まず、本実施形態に係る連鎖端子10の製造手順について説明する。すなわち、連鎖端子10は、長尺の帯板状に形成された金属母材を端子金具11等を形作る所定の形状にプレス等により打ち抜き加工する。
【0021】
この打ち抜き加工により、例えば帯板状のキャリア12の一方の側縁部12aから複数の板状の端子金具素片(端子金具11の展開状態の片部材、図示省略)を、いわゆる片持ち状にキャリア12と面一に突出形成する。そして、このように形成された端子金具素片に曲げ加工等を施して端子金具11を成形することで、連鎖端子10を製造する。なお、端子金具11については、周知の端子金具と同様のものであるため、ここでは説明を省略する。
【0022】
このように製造される連鎖端子10のキャリア12の側縁部12aには、例えば各端子金具11ごとに端子保護部20が形成されている。この端子保護部20は、キャリア12の側縁部12aからこのキャリア12の板面(表面)12bと面一状(すなわち、同一面となるように)かつ端子金具11の長手方向に沿って延びる延長部21と、この延長部21の側縁部21aから板面12bと交差する方向に立ち上がり、かつその上端が後述する層間部材に当接可能なように立ち上がる立ち上がり部22とを備える。
【0023】
また、端子保護部20は、立ち上がり部22の上端から板面12bに沿った方向に延びるとともに、例えば連鎖端子10が図3に示すように、立ち上がり部22の立ち上がり方向(上下方向)に沿って重畳された場合に、立ち上がり方向の一方に隣接する部材(ここでは、層間部材である層間紙29)に面で当接する第1当接部23と、キャリア12の板面12bと同一の平面上に表面を形成するように面一状に延びて第1当接部23と立ち上がり方向に離間配置されるとともに、第1当接部23と対向する領域およびそれに隣接する領域に形成され、例えばこの立ち上がり方向の他方に隣接する部材(同じく、層間部材である層間紙29)に当接する第2当接部24とを備える。なお、第2当接部24は、具体的には延長部21の側縁部21aの一部に立ち上がり部22および第1当接部23と上方から見て隣り合うように(すなわち、隣接する領域に)形成されている。
【0024】
端子保護部20は、このように構成されることにより、図2に示すように、第1当接部23に対して図中白抜き矢印で示す方向に圧力が加えられた場合であっても、第2当接部24がこの圧力を受けて踏ん張る構造を備える。このため、例えばこの圧力が大きくなっても、連鎖端子10の寸法が極小であっても、図中二点短鎖線で示すように延長部21が捻れて持ち上がり、立ち上がり部22や第1当接部23が図示のように倒れることはなく、端子金具11の変形を効果的に防止することができる。
【0025】
なお、このように構成された連鎖端子10は、具体的には、図3および図4に示すように、図示しないリール等に層間紙29をそれぞれ介して立ち上がり部22の立ち上がり方向に重畳された状態で巻き付けられ、端子金具11を基板等に接続する作業現場などに輸送されたり運搬されたりする。
【0026】
このとき、本実施形態に係る連鎖端子10は、上述したように、第1当接部23および第2当接部24が、それぞれ立ち上がり方向の一方および他方に隣接する層間紙29と面で当接し、上記立ち上がり方向に加わる圧力を受ける。このため、端子金具11には直接圧力が加わることはなく、端子金具11の変形を確実に防止することができる。なお、第1当接部23は、立ち上がり部22の上端から板面12bに沿って延長部21の上方側に延びるように形成されてもよい。この場合は、第2当接部24の代わりに延長部21が圧力を受ける。
【0027】
図5は、本発明の他の実施形態に係る連鎖端子の全体構成の例を示す平面図、図6は図5のB−B’断面図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を割愛する。図5および図6に示すように、本例の連鎖端子30は、端子保護部20の構成が先の例の連鎖端子10とは相違している。
【0028】
すなわち、連鎖端子30は、複数の端子金具11の先端部がキャリア32に連結されるとともに基端部がキャリア12に連結されて並設されたものであり、端子保護部20は、キャリア12の側縁部12aからキャリア12の板面12bと交差する方向にその上端が層間紙29に当接可能なように立ち上がる立ち上がり部22を有する。
【0029】
また、端子保護部20は、立ち上がり部22の上端から板面12bに沿った方向(ここでは、端子金具11の長手方向)に延びるとともに、例えば連鎖端子30が図3および図4に示すように重畳された場合に立ち上がり方向の一方に隣接する層間紙29に面で当接する第1当接部23と、キャリア12の板面12bと同一の平面上に表面を形成するように面一状にキャリア12の側縁部12aから延びて第1当接部23と離間配置されるとともに、第1当接部23と対向する領域およびそれに隣接する領域に形成され、例えばこの立ち上がり方向の他方に隣接する層間紙29に当接する第2当接部24とを有する。
【0030】
なお、ここでは、第2当接部24は、具体的にはキャリア12の側縁部12aに立ち上がり部22および第1当接部23と上方から見て隣り合うように形成されている。このように構成された端子保護部20は、上記実施形態における端子保護部20から延長部21を廃したような構造を有する。
【0031】
そして、この連鎖端子30においても、例えば第1当接部23に対して立ち上がり方向から圧力が加えられたとしても、第2当接部24がこの圧力を受けて踏ん張るため、圧力が大きくても連鎖端子30の寸法が極小でも、キャリア12が捻れて立ち上がり部22や第1当接部23が上述したように倒れることはなく、端子金具11の変形を効果的に防止することができる。
【0032】
同様に、連鎖端子30がリールに巻き付けられた場合には、第1当接部23および第2当接部24が、それぞれ立ち上がり方向の一方および他方に隣接する層間紙29(図示せず)と当接し、上記立ち上がり方向に加わる圧力を受ける。このため、端子金具11には直接圧力が加わることはなく、端子金具11の変形を確実に防止することができる。なお、端子保護部20は、例えば次のような構造であってもよい。
【0033】
図7および図8は、本発明に係る連鎖端子の端子保護部の他の例を一部を断面で示す側面図である。すなわち、図7に示すように、端子保護部20の第2当接部24は、例えば第1当接部23の先端から下方に屈曲された立ち下がり部25の下端に形成され、延長部21またはキャリア12から離れる方向(すなわち、延長部21またはキャリア12と反対側)に面一状に延びるものや、図8に示すように、立ち下がり部25の下端に形成され、延長部21またはキャリア12に近づく方向(すなわち、延長部21またはキャリア12側)に面一状に延びるものであってもよい。
【0034】
このように構成しても、第1当接部23に対して立ち上がり方向から圧力が加えられても第2当接部24が圧力を受けて踏ん張り、延長部21やキャリア12が捻れて立ち上がり部22や第1当接部23が倒れることはなく、端子金具11の変形を効果的に防止することができる。
【0035】
また、リールに巻き付けられたとしても、第1当接部23および第2当接部24が、それぞれ層間紙29(図示せず)と面で当接して圧力を受けるので、端子金具11には直接圧力が加わることはなく、端子金具11の変形を確実に防止することができる。さらに、端子保護部20の立ち上がり部22は、延長部21またはキャリア12の端子金具11が存する側の側縁部21a,12aから立ち上がるため、確実に端子金具11の変形を防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 連鎖端子
11 端子金具
12 キャリア
12a 側縁部
12b 板面
20 端子保護部
21 延長部
21a 側縁部
22 立ち上がり部
23 第1当接部
24 第2当接部
25 立ち下がり部
29 層間紙
30 連鎖端子
32 キャリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子金具の少なくとも一端部を帯板状のキャリアの側縁部に連結支持させてその長手方向に並設されてなり、層間部材を介在させて上下方向に重ねられる連鎖端子であって、
前記キャリアの表面と面一状に前記キャリアの側縁部から延びる延長部と、
前記延長部の側縁部からその上端が前記層間部材に当接可能なように立ち上がる立ち上がり部と、
前記立ち上がり部の上端から前記層間部材に面で当接可能に延びる第1当接部と、
前記キャリアの表面と同一の平面上に表面を形成するように、前記第1当接部と対向する領域およびそれに隣接する領域のいずれかに形成された第2当接部と、を有する端子保護部を備え、
前記第2当接部は、前記第1当接部の先端から下方に屈曲された立ち下がり部の下端に形成されている
ことを特徴とする連鎖端子。
【請求項2】
複数の端子金具の少なくとも一端部を帯板状のキャリアの側縁部に連結支持させてその長手方向に並設されてなり、層間部材を介在させて上下方向に重ねられる連鎖端子であって、
前記キャリアの側縁部からその上端が前記層間部材に当接可能なように立ち上がる立ち上がり部と、
前記立ち上がり部の上端から前記層間部材に面で当接可能に延びる第1当接部と、
前記キャリアの表面と同一の平面上に表面を形成するように、前記第1当接部と対向する領域およびそれに隣接する領域のいずれかに形成された第2当接部と、を有する端子保護部を備え、
前記第2当接部は、前記第1当接部の先端から下方に屈曲された立ち下がり部の下端に形成されている
ことを特徴とする連鎖端子。
【請求項3】
前記第2当接部は、前記立ち下がり部の下端から前記立ち上がり部側に延びることを特徴とする請求項1又は2記載の連鎖端子。
【請求項4】
前記第2当接部は、前記立ち下がり部の下端から前記立ち上がり部と反対側に延びることを特徴とする請求項1又は2記載の連鎖端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−30492(P2013−30492A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243509(P2012−243509)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2008−288976(P2008−288976)の分割
【原出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】