説明

進捗情報表示装置、進捗情報表示方法、及び進捗情報表示プログラム

【課題】 進捗情報表示装置が、情報処理システムの情報処理の処理速度の変化に応じて情報処理の進捗状況を示す進捗情報を表示できない。
【解決手段】 進捗情報表示装置は、情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定する処理速度特定部と、前記情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、前記処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示する表示部と、前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が第一の閾値以下の場合に、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度を前記標準速度とは異なる速度に変更する変更部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況が表示される進捗情報表示装置、進捗情報表示方法、及び進捗情報表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータや携帯情報端末などの情報処理機器は、情報処理システムにおける情報処理中に、その情報処理が進行中であることや情報処理の進捗状況を進捗バーやアニメーションなどを用いて表示する進捗情報表示機能を備えている。
【0003】
進捗情報表示機能の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1の進捗情報表示機能は、CPU(Central Processing Unit)が複数のハンディターミナルのそれぞれに対する各データ通信処理の進捗状況を同時に進捗バーにて表示することで実現される。
【0004】
進捗情報表示機能の他の例が、特許文献2に記載されている。特許文献2の進捗情報表示機能は、CPUが印刷処理の負荷量に応じた表示速度を特定することで実現される。
【0005】
進捗情報表示機能の他の例が、特許文献3に記載されている。特許文献3の進捗情報表示機能は、オーダー管理システムがプログレスバーの長さに応じてプログレスバーの長さの変化速度を調整することで実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−053936号公報
【特許文献2】特開2007−083690号公報
【特許文献3】特開2008−197947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献に記載の各技術は、情報処理システムの情報処理の処理速度の変化に応じて進捗情報を表示できないという課題があった。その理由は、上述の特許文献に記載の各技術が進捗状況を表示する際に情報処理システムの情報処理の処理速度の変化を考慮していないからである。
[発明の目的]
本発明の目的の一つは、上述した課題を解決する進捗情報表示装置、進捗情報表示方法、及び進捗情報表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の進捗情報表示装置は、情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定する処理速度特定部と、前記情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、前記処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示する表示部と、
前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が第一の閾値以下の場合に、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度を前記標準速度とは異なる速度に変更する変更部と、を備える。
【0009】
本発明の第一の進捗情報表示方法は、情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定し、前記情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、前記処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示し、前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が第一の閾値以下の場合に、前記進捗情報の変化速度を前記標準速度とは異なる速度に変更する、工程を備える。
【0010】
本発明の第一の進捗情報表示プログラムは、コンピュータに、情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定する処理速度特定処理と、前記情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、前記処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示する表示処理と、前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が第一の閾値以下の場合に、前記表示処理によって表示させる前記進捗情報の変化速度を前記標準速度とは異なる速度に変更する変更処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の進捗情報表示装置は、情報処理システムにおける処理速度の変化に応じて進捗情報を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態の進捗情報表示装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第一の実施の形態の変更部30の具体的な動作の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第一の実施の形態における進捗情報の具体的な一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第一の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第一の実施の形態の変更部30の具体的な動作の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、本発明の第二の実施の形態の進捗情報表示装置1の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の第二の実施の形態の変更部30が、進捗情報の変化速度を特定するための条件と、その特定方法の一例を示した表である。
【図8】図8は、本発明の第二の実施の形態の進捗情報表示装置1の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、本発明の第二の実施の形態の第一の変形例におけるアニメーションの一例を示した図である。
【図10】図10(A)および(B)は、第二の実施の形態の第一の変形例における、アニメーションの周期の変更の具体例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、発明を実施するための形態についての詳細な説明である。なお、各図面および本明細書記載の各実施の形態において、同様の機能を備える構成要素には同一の符号が与えられている。
【0014】
[第一の実施の形態]
図1は、本発明の第一の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の第一の実施の形態における進捗情報表示装置1は、表示部10と、処理速度特定部20と、変更部30と、を備える。表示部10と処理速度特定部20と変更部30とは、それぞれ接続されている。
【0016】
===処理速度特定部20===
処理速度特定部20は、情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定する。情報処理は、情報処理システムで行われうるあらゆる情報処理を含む。例えば情報処理は、他の装置とのデータ通信でもよいし、プログラムやソフトウェアのインストール処理またはアンインストール処理でもよい。さらに情報処理は、GUI(Graphical User Interface)における画像データの描画処理であってもよい。
【0017】
情報処理の処理速度は、例えばCPUの動作周波数(クロック)、情報処理システムの通信速度、ウェブブラウザにおける所定のウェブサイトのコンテンツが完全に表示されるまでの時間から特定される表示速度、などを含む。上記は、例示であって、これらに限定されるものではない。本明細書ではこの情報処理の処理速度は、以降単に処理速度と示される。
【0018】
本実施の形態では、処理速度は、情報処理システムの通信速度であるとする。この場合、処理速度特定部20は、この情報処理システムが所定時間に通信するデータ量を基に処理速度を特定してもよい。
【0019】
===表示部10===
第一に、表示部10は、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、処理速度特定部20が特定した情報処理システムにおける処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示する。
【0020】
進捗情報とは、進捗バー(プログレスバー)や百分率の数値などが挙げられる。ただし、進捗情報は、これらに限定されるものではない。例えば進捗情報が進捗バーで表される場合、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況とは、進捗バーの大きさ(長さ)で表現されてもよい。また、例えば進捗情報が百分率で表される場合、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況とは、百分率の数値の大きさで表現されてもよい。上記は、例示であって、進捗情報が上記の記載に限定されるものではない。進捗情報は、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す情報であればよい。
【0021】
本実施の形態では、進捗情報とは、進捗バーで表されるものとする。
【0022】
標準速度とは、進捗情報表示装置1の設計者などがあらかじめ定めた所定値である。例えば、この進捗情報表示装置1の設計者は、処理速度が5.0[Mbps](Megabit per second)である場合、標準速度が5.0[px/sec](pixel per second)であると定めてもよい。ここで、bpsとは1秒間に通信できる情報量であり、pxとは、コンピュータにおいて画像を扱うことのできる最小単位である。
【0023】
進捗情報表示装置1の設計者は、処理速度に基づいて標準速度を算出するための比例係数を定めてもよい。例えば進捗情報表示装置1の設計者は、この比例係数を1.0[px/Mbit]と定めてもよい。この場合、進捗情報表示装置1は、処理速度が5.0[Mbps]の場合に、標準速度を5.0[px/sec]と特定することができる。本実施の形態では標準速度を算出するための比例係数は、1.0[px/Mbit]であるとする。本明細書では標準速度を算出するための比例係数は、変換係数と示される。
【0024】
進捗情報表示装置1の設計者は、進捗バーの長さと人間が視覚的に認識できる情報の表示速度と情報処理システムにおける情報処理の量とに基づいて標準速度を定めてもよい。人間が視覚的に認識できる情報の表示速度については、後で説明される。
【0025】
第二に、表示部10は、後述の変更部30が進捗情報の変化速度を変化させた場合に、その変化速度に応じて進捗情報を変化させて表示する。
【0026】
===変更部30===
第一に、変更部30は、情報処理システムにおける処理速度の加速度が所定の条件を満たす場合に、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度を標準速度と異なる速度に変更する。ここで、変更部30は、情報処理システムにおける処理速度の加速度を、処理速度特定部20が特定した情報処理システムにおける処理速度に基づいて算出する。具体的には変更部30は、処理速度特定部20が特定した処理速度とその処理速度を処理速度特定部20が特定する間隔とに基づいて処理速度の加速度を算出すればよい。
【0027】
例えば、変更部30は、慣性モデルを処理速度に適用することで進捗情報の変化速度の加速度を算出する。変更部30は、処理速度の加速度にこの慣性モデルを適用し、進捗情報の変化速度の加速度を、処理速度の加速度に変換係数を乗じた値よりも小さくなるよう算出する。具体的には、変更部30は、処理速度の加速度に変換係数を乗じた値に対し、さらに所定の慣性質量係数を乗じて進捗情報の変化速度の加速度を算出する。
【0028】
この慣性質量係数は、進捗情報表示装置1の設計者があらかじめ定める値である。具体的には慣性質量係数は、0より大きく1未満の実数値をとる。本実施の形態では慣性質量係数は、0.75であるとする。この値は、例示であって、慣性質量係数は、0より大きく1未満の実数値であればよい。
【0029】
慣性とは、ある物体が外力を受けないとき、その物体の運動状態は、慣性系に対して変わらないという性質である。すなわち、慣性とは、外から力を受けない限り、運動し続けようとする性質のことである。
【0030】
本発明の各実施の形態では、処理速度が変化した際に、変更部30は、進捗情報の変化速度の加速度の絶対値を実際よりも小さく算出して進捗情報の変化速度の揺らぎを緩和する。進捗情報の変化速度の揺らぎが緩和されることで、ユーザは、快適に感じることができる。進捗情報の変化速度の揺らぎが緩和されることで、さらに、待ち時間によるユーザの心理的負荷が軽減できる。
【0031】
変更部30は、処理速度の加速度が所定の第一の閾値以下になった場合に、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度を標準速度よりも大きな値に変更してもよい。この場合、第一の閾値は、負の実数値をとることが好ましい。例えば、情報処理システムにおける情報処理が急速に遅くなった場合に、変更部30は、進捗情報の変化速度の加速度の絶対値を実際よりも小さく算出して進捗情報の変化速度の揺らぎを緩和してもよい。
【0032】
進捗情報の変化速度の加速度の絶対値が実際よりも小さく算出されることで、進捗情報の変化速度は、標準速度よりも大きな値に算出されることとなる。従って、進捗情報の変化速度の揺らぎが緩和されるので、ユーザは、快適に感じることができる。進捗情報の変化速度の揺らぎが緩和されることで、さらに、待ち時間によるユーザの心理的負荷が軽減できる。
【0033】
進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ所定の第一の閾値を定めておいてもよい。第一の閾値は、学習により定められるものであってもよい。
【0034】
図3は、本発明の第一の実施の形態における進捗情報の具体的な一例を示す図である。
【0035】
図3において、進捗表示101aは、進捗バーの初期状態を示したものである。進捗表示101bは、情報処理システムの情報処理が順調であり、進捗情報の変化速度が標準速度である場合を示したものである。進捗情報102は、進捗情報が標準速度で変化している場合を示している。進捗表示101cは、情報処理システムの情報処理が滞り、処理速度の加速度が所定の第一の閾値以下である場合を示している。進捗情報104は、進捗情報が標準速度より大きい速度で変化している場合を示している。進捗バー上の表示位置103は、情報処理システムの情報処理の実際の進捗状況から特定される位置である。進捗情報104で特定される進捗バー上の表示位置は、実際の進捗状況から特定される表示位置103よりも処理が進んだように見える位置を示している。
【0036】
変更部30は、処理速度特定部20が特定した情報処理システムにおける処理速度に基づいて算出される処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以上の場合に、慣性モデルを処理速度に適用することで進捗情報の変化速度の加速度を算出してもよい。これにより、処理速度が大きく変化した際に、変更部30は、進捗情報の変化速度の加速度を実際よりも小さく算出するので進捗情報の変化速度の揺らぎをさらに緩和できる。
【0037】
変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差に基づいて第一の閾値を特定してもよい。この場合、処理速度特定部20は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況を特定する。例えば、処理速度特定部20は、情報処理システムにおける情報処理の量に基づいて実際の進捗状況を特定してもよい。
【0038】
変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差に所定の比例係数を乗じた値を第一の閾値と特定してもよい。また、変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差が所定の値を超えた際に第一の閾値を増減させてもよい。
【0039】
変更部30は、情報処理システムにおける処理速度に応じて第一の閾値を増減させてもよい。例えば、情報処理システムにおける処理速度が10[Mbps]の場合、変更部30は、第一の閾値を例えば1.0[Mbit/sec]と特定する。一方、情報処理システムにおける処理速度が100[Mbps]の場合、変更部30は、第一の閾値を例えば10[Mbit/sec]と特定してもよい。
【0040】
第二に、変更部30は、算出した加速度を現在の進捗情報の変化速度に適用して、新たな進捗情報の変化速度を特定する。
【0041】
例えば、処理速度特定部20が特定した情報処理システムにおける処理速度の加速度が、0.05[Mbit/sec]のとき、変更部30は、この処理速度の加速度に変換係数1.0[px/Mbit]を乗じる。そして変更部30は、算出して得られた値にさらに慣性質量係数の0.75を乗じた0.0375[px/sec]を進捗情報の変化速度の加速度として算出してもよい。そして、変更部30は、算出した加速度に基づいて現在の進捗情報の変化速度を変更して、新たな進捗情報の変化速度を特定してもよい。
【0042】
変更部30は、処理速度が所定の範囲外にあるか否かに基づいて進捗情報の変化速度の加速度を算出してもよい。所定の範囲とは、その範囲内にある処理速度から算出される進捗情報の変化速度で変化しながら表示される情報を、人間が快適に感じることができるとされている情報の表示速度になるような、処理速度の範囲である。本明細書では前述の所定の範囲は、許容範囲と示される。
【0043】
変更部30は、この許容範囲を以下のように定めてもよい。情報処理システムが行っている情報処理の量と人間が快適に待てるとされている待ち時間とから、変更部30が、許容範囲の最小値(第二の閾値)を算出する。また、情報処理システムにおける情報処理の量と人間が視覚的に認識することができる情報の表示速度とから、変更部30が、許容範囲の最大値を算出する。
【0044】
本実施の形態では、人間が快適に待てるとされている待ち時間とは、HI(Human Interface)の既存研究で明らかとなっている5秒とする。この待ち時間は、例示であって、この記載に限定されるものではない。進捗情報表示装置1の設計者は、人間が快適に待てるとされている待ち時間をあらかじめ与えておいてもよい。
【0045】
また、人間が視覚的に認識できる情報の表示速度とは、任意の閾値である。本実施の形態では人間が視覚的に認識できる情報の表示速度は、1.0[px/sec]とする。進捗情報表示装置1の設計者は、人間が視覚的に認識できる情報の表示速度をあらかじめ与えておいてもよい。
【0046】
変更部30は、例えば、情報処理システムにおける処理速度が許容範囲の最小値(第二の閾値)以下の場合、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度を標準速度より大きくさせる。
【0047】
また、変更部30は、例えば、情報処理システムにおける処理速度が許容範囲の最大値以上の場合、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度を標準速度より小さくさせる。具体的には、情報処理システムにおける処理速度が許容範囲の最小値以下の場合、変更部30は、その最小値に対応する標準速度を新たな進捗情報の変化速度と特定する。特定された進捗情報の変化速度は、実際の処理速度に対応する標準速度よりも大きい値となる。また、情報処理システムにおける処理速度が許容範囲の最大値以上の場合、変更部30は、その最大値に対応する標準速度を新たな進捗速度の変化速度と特定する。特定された進捗情報の変化速度は、実際の処理速度に対応する標準速度よりも小さい値となる。
【0048】
例えば、許容範囲は、処理速度が1[Mbps]よりも大きく100[Mbps]未満である範囲と定められているとする。処理速度が1[Mbps]以下の場合、変更部30は、進捗情報の変化速度を1[Mbps]に所定の比例係数1.0[px/Mbps]を乗じた1.0[px/sec]と特定する。また、処理速度が100[Mbps]以上の場合、変更部30は、進捗情報の変化速度を100[Mbps]に所定の比例係数1.0[px/Mbps]を乗じた100[px/sec]と特定する。
【0049】
変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差に応じて、進捗情報の変化速度を算出してもよい。
【0050】
例えば、変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差が所定の第三の閾値以下の場合に、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度を現在の処理速度に対応する標準速度と特定してもよい。つまり、変更部30は、進捗情報の変化速度の加速度を、処理速度の加速度に変換係数を乗じた値と特定してもよい。
【0051】
上記は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況とが再び一致しそうな状態である。この場合、進捗情報表示装置1は、通常の進捗情報の表示を行う。
【0052】
進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ所定の第三の閾値を定めておいてもよい。第三の閾値は、学習により定められるものであってもよい。
【0053】
変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差が所定の第四の閾値以上の場合に、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度の加速度を前述の差に比例した値として特定してもよい。
【0054】
具体的には変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況を表示する際に必要とする画素数から進捗情報の画素数を減じ、この値に所定の比例係数を乗じて得られる値を進捗情報の変化速度の加速度として特定してもよい。進捗情報表示装置1の設計者は、所定の比例係数をあらかじめ定めておいてもよい。本実施の形態では、この所定の比例係数は、0.3[1/sec]と定められているとする。
【0055】
例えば情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況を表示するために必要とする画素数が30pxであり、進捗情報の画素数が40pxであるとする。この場合、変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況を表示する際に必要とする画素数から進捗情報の画素数を減じる。この計算により得られた値は、−10[px]である。変更部30は、この値に所定の比例係数0.3[1/sec]を乗じて得られた値である−0.3[px/sec]を進捗情報の変化速度の加速度として特定する。
【0056】
例えば情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況を表示するために必要とする画素数が50pxであり、進捗情報の画素数が40pxであるとする。この場合、変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況を表示する際に必要とする画素数から進捗情報の画素数を減じる。得られた値は、10[px]である。変更部30は、この値に所定の比例係数0.3[1/sec]を乗じて得られた値である0.3[px/sec]を進捗情報の変化速度の加速度として特定する。
【0057】
そして、変更部30は、算出した加速度に基づいて現在の進捗情報の変化速度を変更して、新たな進捗情報の変化速度を特定してもよい。
【0058】
進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ所定の第四の閾値および前述の所定の比例係数を定めておいてもよい。第四の閾値および前述の所定の比例係数は、学習により定められるものであってもよい。
【0059】
変更部30は、前述の第四の閾値の代わりに、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗率と進捗情報に基づいて特定される進捗率との差である第一の差分に基づいて、変更速度の加速度を算出してもよい。具体的には変更部30は、前述の第一の差分が所定の閾値以上の場合に、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度の加速度を前述の差に比例した値として特定してもよい。この場合変更部30は、第一の差分に所定の比例係数を乗じて得られる値を進捗情報の変化速度の加速度として特定してもよい。進捗情報表示装置1の設計者は、所定の比例係数をあらかじめ定めておいてもよい。本実施の形態では、この所定の比例係数は、0.05[px/sec]と定められているとする。
【0060】
例えば情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗率が75%であり、進捗情報に基づいて特定される進捗率が65%であるとする。この場合、変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗率から進捗情報に基づいて特定される進捗率を減じる。この計算により得られた値は、10である。変更部30は、この値に所定の比例係数0.05[px/sec]を乗じて得られた値である0.5[px/sec]を進捗情報の変化速度の加速度として特定する。
【0061】
そして、変更部30は、算出した加速度に基づいて現在の進捗情報の変化速度を変更して、新たな進捗情報の変化速度を特定してもよい。
【0062】
進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ前述の第一の差分および前述の所定の比例係数を定めておいてもよい。第一の差分および前述の所定の比例係数は、学習により定められるものであってもよい。この第一の差分は、任意の値をとりえる。第一の差分は、10%ないし20%の値をとることが好ましい。
【0063】
変更部30は、処理速度が所定の閾値以下の場合に、情報処理システムに異常が発生しているなどの理由で情報処理が停止していると判定し、情報処理システムが異常な状態である旨をユーザに伝えてもよい。具体的には変更部30は、情報処理システムの情報処理を停止するか継続するかなどの判断をユーザに促す情報を表示部10に表示させてもよい。
【0064】
変更部30は、情報処理システムにおける処理速度または情報処理システムにおける情報処理の量に応じて慣性質量係数を増減させてもよい。変更部30が、情報処理システムにおける情報処理の量に応じて慣性質量係数を増減させる場合には、処理速度特定部20は、情報処理システムの情報処理の量を示す情報を特定してもよい。
【0065】
例えば変更部30は、慣性質量係数xを[数1]で示される式に基づいて算出してもよい。ただし、vは、情報処理システムにおける処理速度を示す。qは、情報処理システムにおける情報処理の量を示す。Cは実数の定数を示す。
【0066】
【数1】

【0067】
[数1]は、情報処理の量に反比例して慣性質量係数が定められることを示している。情報処理の量が多いときには、一時期の処理速度の変化は、全体の情報処理の進捗状況に与える影響が相対的に小さい。したがって、進捗情報表示装置1は、情報処理の量が多い場合には、進捗情報の変化速度の揺らぎをさらに緩和できる。また、[数1]は、処理速度に比例して慣性質量係数が定められることを示している。処理速度が遅いときには、処理速度の加速度が大きい場合であっても、情報処理システムが単位時間当たりに処理できる情報処理の量の変化は、小さい。したがって、進捗情報表示装置1は、処理速度が遅い場合には、進捗情報の変化速度の揺らぎをさらに緩和できる。
【0068】
変更部30は、情報処理システムにおける情報処理の未処理の量が所定の閾値であるD以下となった場合に、所定の算出方法によって進捗情報の変化速度を算出してもよい。具体的には、変更部30は、処理速度および情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差に基づいて、進捗情報の変化速度を算出してもよい。
【0069】
図2に示される具体例に基づくと[数2]の方程式が得られる。ただしtは、時間を示す。D[Mbit]は、情報処理システムにおける情報処理の未処理の量を示す。v[Mbps]は、処理速度を示す。α[px/Mbit]は、変換係数を示す。d[px]は、処理速度および情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差を示す。v[px/sec]は、変更部30が求める進捗情報の変化速度を示す。
【0070】
【数2】

【0071】
よって、変更部30が求める進捗情報の変化速度vは、[数3]で示される式で表せる。
【0072】
【数3】

【0073】
進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ所定の閾値Dを定めておいてもよい。閾値Dは、学習により定められるものであってもよい。
【0074】
変更部30は、前述の所定の閾値Dの代わりに、情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗率または進捗情報に基づいて特定される進捗率が所定の閾値P以上となった場合に、所定の算出方法によって進捗情報の変化速度を算出してもよい。この場合、変更部30は、前述の[数3]に基づいて、進捗情報の変化速度を算出してもよい。進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ所定の閾値Pを定めておいてもよい。閾値Pは、学習により定められるものであってもよい。この閾値Pは、任意の値をとりえる。閾値Pは、80%ないし90%の値をとることが好ましい。
【0075】
図4は、本発明の第一の実施の形態における進捗情報表示装置1の動作の概要を示すフローチャートである。
【0076】
進捗情報表示装置1は、動作を開始する。まず表示部10は、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。変更部30は、処理速度の加速度が所定の条件を満たしているか否か判定する(ステップS3)。所定の条件とは、前述の通り、例えば処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以上であるか否か、あるいは、処理速度の加速度が所定の閾値(第一の閾値)以下であるか否か、などが挙げられる。
【0077】
変更部30は、処理速度の加速度が所定の条件を満たしていると判定した場合(ステップS3の“Yes”)、進捗情報の変化速度の加速度を算出する(ステップS4)。そして変更部30は、算出した加速度に基づいて進捗情報の変化速度を特定する(ステップS5)。進捗情報表示装置1は、情報処理システムの情報処理が終了しているか否か判定する(ステップS6)。情報処理システムの情報処理が終了していなければ(ステップS6の“No”)、進捗情報表示装置1の動作は、ステップS1に戻る。情報処理システムの情報処理が終了していれば(ステップS6の“Yes”)、進捗情報表示装置1は、動作を終了する。
【0078】
一方、変更部30は、処理速度が所定の条件を満たしていないと判定した場合(ステップS3の“No”)、処理速度が所定の範囲(許容範囲)外にあるか否か判定する(ステップS7)。変更部30は、処理速度が許容範囲外にあると判定した場合(ステップS7の“Yes”)、許容範囲の閾値に対応する標準速度を新たな進捗情報の変化速度と特定する(ステップS8)。そして、進捗情報表示装置1の動作の手順は、ステップS6に進む。以降の動作の説明は、前述の通りである。
【0079】
変更部30は、処理速度が許容範囲外にないと判定した場合(ステップS7の“No”)、進捗情報表示装置1の動作の手順は、ステップS6に進む。以降の動作の説明は、前述の通りである。
【0080】
なお、上述のステップS3およびステップS7における変更部30の各種の判定の処理は、進捗情報表示装置1が備える他の構成要素が行ってもよい。
【0081】
図5は、本発明の第一の実施の形態における進捗情報表示装置1の具体的な動作を示す一例である。
【0082】
図5のAの場合、まず表示部10は、情報処理システムの進捗情報を図3の進捗表示101bとして表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。ここで処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を10[Mbps]と特定したとする。
【0083】
次に変更部30は、処理速度の加速度が所定の条件を満たしているか否か判定する(ステップS3)。本例では所定の条件とは、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以上であるか否か、であるとする。また本例では、所定の閾値とは、1.0[Mbit/sec]と定められているとする。変更部30は、処理速度の加速度が0であり、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判定する(ステップS3の“No”)。
【0084】
変更部30は、処理速度が所定の範囲(許容範囲)外にあるか否か判定する(ステップS7)。ここで、許容範囲は、1.0[Mbps]より大きく100[Mbps]未満であると定められているとする。変更部30は、処理速度が10[Mbps]であり許容範囲外にないと判定する(ステップS7の“No”)。情報処理システムの情報処理が終了していないので、(ステップS6の“No”)、進捗情報表示装置1の動作は、ステップS1に戻る。
【0085】
図5のBの場合、表示部10は、情報処理システムの進捗情報を図3の進捗表示101bとして表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。ここで処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を10[Mbps]と特定する。
【0086】
次に変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。図5のBにおいて例えば、処理速度の加速度が−1.25[Mbit/sec]であったとする。この場合、変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値1.0[Mbit/sec]以上である1.25[Mbit/sec]となったと判定する(ステップS3の“Yes”)。
【0087】
変更部30は、進捗情報の変化速度の加速度を算出する(ステップS4)。変更部30は、処理速度の加速度−1.25[Mbit/sec]に対して変換係数1[px/Mbit]を乗じる。そして変更部30は、算出された値−1.25[px/sec]にさらに慣性質量係数の0.75を乗じた−0.9375[px/sec]を進捗情報の変化速度の加速度として算出する。
【0088】
変更部30は、算出した加速度−0.9375[px/sec]に基づいて現在の進捗情報の変化速度を変更して新たな進捗情報の変化速度を特定する(ステップS5)。図5のBにおける時刻をt、tにおける進捗情報の変化速度をvとおくと、新たな進捗情報の変化速度vは、[数4]のように表される。
【0089】
【数4】

【0090】
進捗情報表示装置1は、情報処理システムの情報処理が終了しているか否か判定する(ステップS6)。情報処理システムの情報処理が終了していないので(ステップS6の“No”)、進捗情報表示装置1の動作は、ステップS1に戻る。
【0091】
図5のCの場合、表示部10は、情報処理システムの進捗情報を図3の進捗表示101cとして表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。ここで処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を1.0[Mbps]と特定したとする。
【0092】
次に変更部30は、処理速度の加速度の加速度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。変更部30は、処理速度の加速度が0であり、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判定する(ステップS3の“No”)。
【0093】
変更部30は、処理速度が許容範囲外にあるか否か判定する(ステップS7)。図5のCにおいて例えば、処理速度が0.9[Mbps]であったとする。この場合、変更部30は、処理速度が許容範囲外にあると判定する(ステップS7の“Yes”)。
【0094】
変更部30は、許容範囲の閾値に対応する標準速度を新たな進捗情報の変化速度と特定する(ステップS8)。ここで、変更部30は、許容範囲の最小値(第二の閾値)である処理速度1.0[Mbps]に対応する標準速度1.0[px/sec]を新たな進捗情報の変化速度と特定する。
【0095】
進捗情報表示装置1は、情報処理システムの情報処理が終了しているか否か判定する(ステップS6)。情報処理システムの情報処理が終了していないので(ステップS6の“No”)、進捗情報表示装置1の動作は、ステップS1に戻る。
【0096】
図5のDの場合、表示部10は、情報処理システムの進捗情報を図3の進捗表示101cとして表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。ここで処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を0.9[Mbps]と特定する。
【0097】
次に変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。図5のDにおいて例えば、処理速度の加速度が1.25[Mbit/sec]であったとする。この場合、変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値1.0[Mbit/sec]以上である1.25[Mbit/sec]となったと判定する(ステップS3の“Yes”)。
【0098】
変更部30は、進捗情報の変化速度の加速度を算出する(ステップS4)。変更部30は、この処理速度の加速度1.25[Mbit/sec]に対して変換係数1.0[px/Mbit]を乗じる。そして変更部30は、算出された値1.25[px/sec]にさらに慣性質量係数の0.75を乗じた0.9375[px/sec]を進捗情報の変化速度の加速度として算出する。
【0099】
変更部30は、算出した加速度0.9375[px/sec]に基づいて現在の進捗情報の変化速度を変更して新たな進捗情報の変化速度を特定する(ステップS5)。図5のBにおける時刻をt、tにおける進捗情報の変化速度をvとおくと、新たな進捗情報の変化速度vは、[数5]のように表される。
【0100】
【数5】

【0101】
進捗情報表示装置1は、情報処理システムの情報処理が終了しているか否か判定する(ステップS6)。情報処理システムの情報処理が終了していないので(ステップS6の“No”)、進捗情報表示装置1の動作は、ステップS1に戻る。
【0102】
図5のEの場合、表示部10は、情報処理システムの進捗情報を図3の進捗表示101dとして表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。ここで処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を13[Mbps]と特定する。
【0103】
次に変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。図5のEにおいて例えば、処理速度の加速度が0であったとする。この場合、変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判定する(ステップS3の“No”)。
【0104】
変更部30は、処理速度が許容範囲外にあるか否か判定する(ステップS7)。図5のEにおいて例えば、処理速度が13[Mbps]であったとする。この場合、変更部30は、処理速度が許容範囲外にあると判定する(ステップS7の“Yes”)。
【0105】
変更部30は、許容範囲の閾値に対応する標準速度を新たな進捗情報の変化速度と特定する(ステップS8)。ここで、変更部30は、所定の範囲の最大値である処理速度10[Mbps]に対応する標準速度10[px/sec]を新たな進捗情報の変化速度と特定する。
【0106】
進捗情報表示装置1は、情報処理システムの情報処理が終了しているか否か判定する(ステップS6)。情報処理システムの情報処理が終了していないので(ステップS6の“No”)、進捗情報表示装置1の動作は、ステップS1に戻る。
【0107】
図5のFの場合、表示部10は、情報処理システムの進捗情報を図3の進捗表示101dとして表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。ここで処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を13[Mbps]と特定する。
【0108】
次に変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。図5のFにおいて例えば、処理速度の加速度が0であったとする。この場合、変更部30は、処理速度の加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判定する(ステップS3の“No”)。
【0109】
変更部30は、処理速度が許容範囲外にあるか否か判定する(ステップS7)。図5のFにおいて例えば、処理速度が13[Mbps]であったとする。この場合、変更部30は、処理速度が許容範囲外にあると判定する(ステップS7の“Yes”)。
【0110】
変更部30は、許容範囲の閾値に対応する標準速度を新たな進捗情報の変化速度と特定する(ステップS8)。ここで、変更部30は、所定の範囲の最大値である処理速度10[Mbps]に対応する標準速度10[px/sec]を新たな進捗情報の変化速度と特定する。
【0111】
進捗情報表示装置1は、情報処理システムの情報処理が終了しているか否か判定する(ステップS6)。ここで、情報処理システムの情報処理が終了すると仮定すると、進捗情報表示装置1は、動作を終了する。
【0112】
なお、上述のステップS3およびステップS7における変更部30の各種の判定の処理は、進捗情報表示装置1が備える他の構成要素が行ってもよい。
【0113】
第一の実施の形態では、進捗情報表示装置1は、処理速度に基づいて算出される処理速度の加速度に応じて、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度を標準速度とは異なる速度に変更する変更部30を備える。処理速度が変化した際に、進捗情報表示装置1は、進捗情報の変化速度の加速度の絶対値を実際よりも小さく算出するので、進捗情報の変化速度の揺らぎを緩和できる。進捗情報の変化速度の揺らぎが緩和されることで、ユーザは、快適に感じることができる。進捗情報の変化速度の揺らぎが緩和されることで、さらに、待ち時間によるユーザの心理的負荷が軽減できる。
【0114】
[第二の実施の形態]
図6は、本発明の第二の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0115】
図6を参照すると、本発明の第二の実施の形態における進捗情報表示装置1は、表示部10と、処理速度特定部20と、変更部30と、表示時間計測部40と、を備える。表示部10は、処理速度特定部20と変更部30とそれぞれ接続されている。処理速度特定部20は、表示部10と変更部30と表示時間計測部40とそれぞれ接続されている。変更部30は、表示部10と処理速度特定部20と表示時間計測部40とそれぞれ接続されている。表示時間計測部40は、処理速度特定部20と変更部30とそれぞれ接続されている。ここでは第二の実施の形態における第一の実施の形態と異なる点が説明される。第二の実施の形態における第一の実施の形態と同様の構成には、同様の符号が付され、その構成についての説明は、省略される。
【0116】
===表示時間計測部40===
表示時間計測部40は、表示部10が進捗情報を表示している表示時間を計測する。そして、表示時間計測部40は、計測した表示時間を変更部30に通知する。
【0117】
===変更部30===
変更部30は、第一の実施の形態に挙げた動作のほか、表示時間計測部40が計測した表示時間が所定の第五の閾値以上の場合にも、表示部10に表示させる進捗情報の変化速度を標準速度と異なる速度に変更する。進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ所定の第五の閾値を定めておいてもよい。第五の閾値は学習により定められるものであってもよい。
【0118】
具体的には、変更部30は、処理速度が前述の第二の閾値以下であり、進捗情報の表示時間が所定の第五の閾値以上である場合に、その第二の閾値に対応する標準速度に所定の比例係数を乗じて得られた値を新たな進捗情報の変化速度と特定する。
【0119】
図7は、変更部30が変化速度を特定するための条件と、その特定方法の具体例を示した表である。図7に示した条件の場合、変更部30は、以下のように動作する。すなわち変更部30は、処理速度が1.0[Mbps]未満で、かつ進捗情報の表示時間が5秒以上の場合、処理速度1.0[Mbps]における標準速度の120%の値である、1.2[px/sec]を新たな進捗情報の変化速度として特定する。
【0120】
所定の比例係数は1より大きい任意の値であり、進捗情報表示装置1の設計者は、あらかじめ所定の比例係数を定めておいてもよい。また、この比例係数は学習により定められるものであってもよい。
【0121】
図8は、本発明の第二の実施の形態における進捗情報表示装置1の動作の概要を示すフローチャートである。
【0122】
進捗情報表示装置1は、動作を開始する。まず表示部10は、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を表示する(ステップS1)。処理速度特定部20は、情報処理システムにおける処理速度を特定する(ステップS2)。
【0123】
変更部30は、処理速度の加速度が所定の条件を満たしているか否か判定する(ステップS3)。変更部30は、処理速度の加速度が所定の条件を満たしていると判定した場合(ステップS3の“Yes”)、進捗情報の変化速度の加速度を算出する(ステップS4)。
【0124】
そして変更部30は、算出した加速度に基づいて進捗情報の変化速度を特定する(ステップS5)。進捗情報表示装置1は、情報処理システムの情報処理が終了しているか否か判定する(ステップS6)。情報処理システムの情報処理が終了していなければ(ステップS6の“No”)、進捗情報表示装置1の動作は、ステップS1に戻る。情報処理システムの情報処理が終了していれば(ステップS6の“Yes”)、進捗情報表示装置1は、動作を終了する。
【0125】
一方、変更部30は、処理速度が所定の条件を満たしていないと判定した場合(ステップS3の“No”)、処理速度が所定の範囲(許容範囲)外にあるか否か判定する(ステップS7)。
【0126】
変更部30は、処理速度が許容範囲外にあると判定した場合(ステップS7の“Yes”)、処理速度が所定の第二の閾値以下であり、進捗情報の表示時間が所定の第五の閾値以上であるか否か判定する(ステップS9)。この第二の閾値とは、例えば許容範囲の最小値などであってもよい。
【0127】
変更部30は、処理速度が所定の第二の閾値以下であると判定した場合(ステップS9の“Yes”)、その第二の閾値に対応する標準速度に所定の比例係数を乗じて得られた値を新たな進捗情報の変化速度と特定する(ステップS10)。そして、進捗情報表示装置1の動作の手順は、ステップS6に進む。以降の動作の説明は前述の通りである。
【0128】
一方、変更部30は、処理速度が所定の第二の閾値より大きいと判定した場合または、進捗情報の表示時間が所定の第五の閾値よりも短いと判定した場合、ステップS9の“No”へ進む(ステップS9の“No”)。そして、変更部30は、許容範囲の閾値に対応する標準速度を新たな進捗情報の変化速度と特定する(ステップS8)。そして、進捗情報表示装置1の動作の手順は、ステップS6に進む。以降の動作の説明は前述の通りである。
【0129】
変更部30は、処理速度が許容範囲外にないと判定した場合(ステップS7の“No”)、進捗情報表示装置1の動作の手順は、ステップS6に進む。以降の動作の説明は前述の通りである。
【0130】
なお、上述のステップS3、ステップS7およびステップS9における変更部30の各種の判定の処理は、進捗情報表示装置1が備える他の構成要素が行ってもよい。
【0131】
第二の実施の形態では、進捗情報表示装置1が、処理速度の加速度と進捗情報の表示時間とに応じて進捗情報の変化速度に変化をつける。従って、進捗情報表示装置1は、情報処理システムにおける情報処理の進捗状況によってユーザに与える停滞感を軽減でき、ユーザに与える体感時間を短くすることができる。すなわち進捗情報表示装置1は、ユーザに対して待ち時間による心理的負荷を軽減できる。
【0132】
第二の実施の形態において、表示部10は、情報処理システムにおける情報処理が進行中であることを示すアニメーションを表示してもよい(第二の実施の形態の第一の変形例)。このアニメーションは、一定周期で変化するものであるとする。図9に示されるアニメーション105(105a〜105f)は、第二の実施の形態の第一の変形例におけるアニメーションの具体例の一部を示したものである。変更部30は、表示時間計測部40から表示時間を示す情報を受け取り、この情報に基づいて表示部10に表示させるアニメーションの周期を変更してもよい。
【0133】
図10(A)および(B)は、第二の実施の形態の第一の変形例における、アニメーションの周期の変更の具体例を示した図である。図10(A)および(B)に示されるように、表示時間が前述の第五の閾値以上になった場合、変更部30は、アニメーションの周期を、これまでの125%に変更してもよい。この場合において、アニメーションの周期の変更前では、アニメーションが1周期分表示される時間が1秒かかっていたとする。するとこのアニメーションが10秒間に表示される回数は、10回である。前述の変更により、アニメーションの周期の変更後ではアニメーションが1周期分表示される時間が1.25秒となる。変更後においては、アニメーションが10秒間に表示される回数は、約8回である。従って、ユーザの待ち時間の体感時間は、約8秒となり、実際の待ち時間よりも短くなる。
【0134】
第二の実施の形態の第一の変形例では、このようなアニメーションの表示により、アニメーションの表示が一定であるとユーザが認識しているアニメーションの周期を進捗情報の表示時間に応じて変更する。これにより、本変形例の進捗情報表示装置1は、アニメーションの周期と時間との関係に基づいてユーザに錯覚させることができ、ユーザの待ち時間の体感時間を短くできる。さらに本変形例の進捗情報表示装置1は、待ち時間によるユーザの心理的負荷を軽減できる。
【0135】
以上、これまで述べてきた各実施の形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施の形態のみに本発明の範囲を限定するものではない。各実施の形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0136】
また、本発明の各実施の形態における各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、コンピュータとプログラムとで実現することができる。プログラムは、磁気ディスクや半導体メモリなどのコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られる。この読み取られたプログラムは、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを前述した各実施の形態における構成要素として機能させる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の各実施の形態による進捗情報表示装置1は、GUIを備える情報処理機器上で動作するOS(Operating System)、アプリケーションソフトウェアに有効である。例えばコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、TV(Television)などがGUIを備える情報処理機器に該当する。
【符号の説明】
【0138】
1 進捗情報表示装置
10 表示部
20 処理速度特定部
30 変更部
40 表示時間計測部
101a 進捗表示
101b 進捗表示
101c 進捗表示
101d 進捗表示
102 進捗情報
103 表示位置
104 進捗情報
105 アニメーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定する処理速度特定部と、
前記情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、前記処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示する表示部と、
前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が第一の閾値以下の場合に、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度を前記標準速度とは異なる速度に変更する変更部と、を備える進捗情報表示装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が前記第一の閾値以下の場合に、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度を前記標準速度よりも大きくさせる請求項1に記載の進捗情報表示装置。
【請求項3】
前記変更部は、前記処理速度が第二の閾値以下の場合に前記進捗情報の変化速度を前記標準速度よりも大きくさせる請求項1または2に記載の進捗情報表示装置。
【請求項4】
前記処理速度特定部は、前記情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況を特定し、
前記変更部は、前記情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と前記進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差に基づいて、前記第一の閾値を特定する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の進捗情報表示装置。
【請求項5】
前記変更部は、前記処理速度の加速度と、前記情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と前記進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差と、に基づいて、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度を変更させる、請求項4に記載の進捗情報表示装置。
【請求項6】
前記変更部は、前記情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と前記進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差が第三の閾値以下の場合に、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度を前記標準速度にさせる、請求項5に記載の進捗情報表示装置。
【請求項7】
前記変更部は、前記情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と前記進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差が第四の閾値以上の場合に、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度の加速度を前記差に比例した値として特定する、請求項5または6に記載の進捗情報表示装置。
【請求項8】
前記変更部は、情報処理システムにおける情報処理の未処理の量が所定の閾値以下となった場合に、当該未処理の量と、前記情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と前記進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差と、前記処理速度と、に基づいて、前記進捗情報の変化速度を算出する請求項4ないし7のいずれか1項に記載の進捗情報表示装置。
【請求項9】
前記変更部は、前記処理速度または前記情報処理システムにおける情報処理の総量に基づいて前記進捗情報の変化速度の加速度を算出する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の進捗情報表示装置。
【請求項10】
前記進捗情報を表示している表示時間を計測する表示時間計測部を備え、
前記変更部は、前記表示時間が第五の閾値以上の場合に前記進捗情報の変化速度を前記標準速度よりも大きくさせる請求項1ないし9のいずれか1項に記載の進捗情報表示装置。
【請求項11】
前記変更部は、前記表示時間と、前記処理速度の加速度と、前記情報処理システムにおける情報処理の実際の進捗状況と前記進捗情報に基づいて特定される進捗状況との差と、に基づいて、前記表示部に表示させる前記進捗情報の変化速度を変更させる、請求項10に記載の進捗情報表示装置。
【請求項12】
情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定し、
前記情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、前記処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示し、
前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が第一の閾値以下の場合に、前記進捗情報の変化速度を前記標準速度とは異なる速度に変更する、工程を備える進捗情報表示方法。
【請求項13】
コンピュータに、
情報処理システムにおける情報処理の処理速度を特定する処理速度特定処理と、
前記情報処理システムにおける情報処理の進捗状況を示す進捗情報を、前記処理速度に比例した速度である標準速度で変化させて表示する表示処理と、
前記処理速度に基づいて算出される前記処理速度の加速度が第一の閾値以下の場合に、前記表示処理によって表示させる前記進捗情報の変化速度を前記標準速度とは異なる速度に変更する変更処理と、を実行させるための進捗情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−123701(P2011−123701A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281250(P2009−281250)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】