説明

遅延ゲル化組成物およびその使用法

【課題】改善されたインプラントを提供すること。
【解決手段】必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つのポリサッカリド;必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの塩;および必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの反応性成分を含む、組成物であって、このポリサッカリド、塩および反応性成分のうちの少なくとも1つは、1つの溶液中に存在し、この組成物は、この少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後にゲルを形成する、組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は、2008年10月31日に出願された、米国仮出願第61/109,995号(この開示全体は、参考として本明細書に援用される)の利益およびそれへの優先権を主張する。
【0002】
本開示は、外科用インプラントとして使用するのに適した組成物およびそれを作製するための方法を提供する。本開示の組成物を含むインプラントは、延長された時間にわたってインビボで形成し得、それによって、最終的な形成の前に、それらの操作を可能にする。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
生物学的なインプラントの使用は、公知である。しかしながら、多くのインプラントは、一度身体内に配置されると、予め形成された形状であるか、またはインビボで迅速に形成し、このことは、インビボで一度配置されたインプラントのサイズおよび/または形状を調整することを困難にする。
【0004】
改善されたインプラントが依然として所望されている。加えて、組織によってゆっくり再吸収されるか、または全く再吸収されない合成組成物を提供することは有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
以下:
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つのポリサッカリド;
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの塩;および
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの反応性成分
を含む、組成物であって、
該ポリサッカリド、塩および反応性成分のうちの少なくとも1つは、1つの溶液中に存在し、該組成物は、該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後にゲルを形成する、組成物。
(項目2)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、アルギネート、サルフェート、セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目に記載の組成物。
(項目3)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目4)
前記少なくとも1つの塩が、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目5)
前記少なくとも1つの塩が、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目6)
前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目7)
前記少なくとも1つの反応性成分が、約0.001重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目8)
前記少なくとも1つのポリサッカリドがアルギン酸ナトリウムを含み、前記少なくとも1つの塩が炭酸カルシウムを含み、そして前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目9)
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤(chemo agent)、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目10)
組織と少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分を含むキットであって、
該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分はゲルを形成し;そして、該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後に、該ゲルが形成する、キット。
(項目11)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、アルギネート、サルフェート、セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目12)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目13)
前記少なくとも1つの塩が、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目14)
前記少なくとも1つの塩が、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目15)
前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目16)
前記少なくとも1つの反応性成分が、約0.001重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目17)
前記少なくとも1つのポリサッカリドがアルギン酸ナトリウムを含み、前記少なくとも1つの塩が炭酸カルシウムを含み、前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目18)
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目19)
前記ゲルが、括約筋の増強、癒着の防止、美容的な再建、皮膚の充填およびこれらの組み合わせからなる群より選択される医療手順に使用される、上記項目のうちのいずれかに記載のキット。
(項目20)
以下:
アルギン酸ナトリウムを含む少なくとも1つのポリサッカリド;
炭酸カルシウムを含む少なくとも1つの塩;および
ゲニピンを含む少なくとも1つの反応性成分
を含む組成物であって、ここで、
該少なくとも1つのポリサッカリド、該少なくとも1つの塩および該少なくとも1つの反応性成分を組み合わせた際に、該組成物は約0.01ポアズ〜約1000ポアズの粘度を有し、かつ
該少なくとも1つのポリサッカリド、該少なくとも1つの塩および該少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後に、該組成物はゲルを形成する、組成物。
(項目21)
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目1A)
以下:
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つのポリサッカリド;
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの塩;および
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの反応性成分
を含む、組成物であって、
該ポリサッカリド、塩および反応性成分のうちの少なくとも1つは、1つの溶液中に存在し、該組成物は、該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後にゲルを形成する、組成物。
(項目2A)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、アルギネート、サルフェート、セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目3A)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目4A)
前記少なくとも1つの塩が、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目5A)
前記少なくとも1つの塩が、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目6A)
前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目7A)
前記少なくとも1つの反応性成分が、約0.001重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目8A)
前記少なくとも1つのポリサッカリドがアルギン酸ナトリウムを含み、前記少なくとも1つの塩が炭酸カルシウムを含み、そして前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目9A)
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤(chemo agent)、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目10A)
以下:
組織と少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分とを接触させる工程;ならびに、
該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分にゲルを形成させる工程
を包含する方法であって、ここで、
該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後に、該ゲルが形成する、方法。
(項目11A)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、アルギネート、サルフェート、セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目12A)
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目13A)
前記少なくとも1つの塩が、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目14A)
前記少なくとも1つの塩が、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目15A)
前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16A)
前記少なくとも1つの反応性成分が、約0.001重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17A)
前記少なくとも1つのポリサッカリドがアルギン酸ナトリウムを含み、前記少なくとも1つの塩が炭酸カルシウムを含み、前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18A)
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目19A)
前記ゲルが、括約筋の増強、癒着の防止、美容的な再建、皮膚の充填およびこれらの組み合わせからなる群より選択される医療手順に使用される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目20A)
以下:
アルギン酸ナトリウムを含む少なくとも1つのポリサッカリド;
炭酸カルシウムを含む少なくとも1つの塩;および
ゲニピンを含む少なくとも1つの反応性成分
を含む組成物であって、ここで、
該少なくとも1つのポリサッカリド、該少なくとも1つの塩および該少なくとも1つの反応性成分を組み合わせた際に、該組成物は約0.01ポアズ〜約1000ポアズの粘度を有し、かつ
該少なくとも1つのポリサッカリド、該少なくとも1つの塩および該少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後に、該組成物はゲルを形成する、組成物。
(項目21A)
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
【0006】
摘要
少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分を含み得る生体適合性組成物が提供される。これらの少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分は、単一の溶液または多数の溶液に存在し得、当業者の技量の範囲内の手段を使用して組み合わせられ得る。本開示の組成物は、遅延ゲル化を起こし、組織への適用後にそれらの操作を可能にし、これは、美容外科を含む特定の外科手順および/または医療手順に望ましくあり得る。
【0007】
要旨
本開示は、遅延ゲル化を示し得る組成物を提供する。実施形態において、この組成物は、少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分を含み得る。この少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分は、単一の溶液または多数の溶液に存在し得る。実施形態において、本開示の組成物は、必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つのポリサッカリド、必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの塩、および必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの反応性成分を含み得、これらのポリサッカリド、塩および反応性成分のうちの少なくとも1つは、溶液中に存在し、この組成物は、上記少なくとも1つのポリサッカリド、上記少なくとも1つの塩および上記少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後にゲルを形成する。
【0008】
他の実施形態において、本開示の組成物は、アルギン酸ナトリウムのような少なくとも1つのポリサッカリド、炭酸カルシウムのような少なくとも1つの塩、およびゲニピン(genipin)のような少なくとも1つの反応性成分を含み得、この組成物は、上記少なくとも1つのポリサッカリド、上記少なくとも1つの塩、および上記少なくとも1つの反応性成分を組み合わせた際に、約0.01ポアズ〜約1000ポアズの粘度を有し、この組成物は、上記少なくとも1つのポリサッカリド、上記少なくとも1つの塩および上記少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後にゲルを形成する。
【0009】
本開示の組成物を形成するための方法およびその使用のための方法もまた本明細書に提供される。実施形態において、本開示の方法は、組織と少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分とを接触させる工程、ならびに、これらの少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分にゲルを形成させる工程を包含し得、ここで、これらの少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後に、このゲルが形成する。
【0010】
実施形態において、本開示の方法は、括約筋の増強, 癒着の防止、美容的な再建(cosmetic reconstruction)、皮膚の充填およびそれらの組み合わせなどのような医療手順の一部として本開示の組成物を適用する工程を包含し得る。
【0011】
本開示の様々な実施形態が、図を参照しながら本明細書中で以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図は、本開示の組成物について粘度(Eta、単位ポアズ)、貯蔵弾性率(G’、単位ダイン/cm)、損失弾性率(G”、単位ダイン/cm)、および交差点(G’/G”)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本開示は、充填剤、接着剤、シーラント、および他の活性インプラントをインビボで形成する用途に適した組成物を提供する。実施形態において、本開示の組成物は遅延ゲル化を示し得る。実施形態において、本明細書中で使用される場合、「遅延ゲル化」は、本開示の組成物が最初は低粘度であること、すなわち、本開示の組成物を形成するために利用される組成物が、上記成分を組み合わせてから約3時間後〜約5時間後まで、実施形態においては上記成分を組み合わせてから約4時間後〜約4.5時間後まで、ゲルを形成し始めないことを意味する。
【0014】
実施形態において、本開示の組成物は少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩、および少なくとも1つの反応性成分を含み得る。本開示の組成物を形成するときに利用され得る適したポリサッカリドとしては、例えば、でんぷんおよび多糖(polysugar)(グルコサミン残基を含有するポリマーを含む)が挙げられる。特定の例としては、限定はされないが、カルボキシメチルセルロース、キトサン、ペクチン、アルギネート、グリコサミノグリカン、イオン化可能寒天、カラゲナン、ヒアルロナン、セルロース、ヘパリン、サルフェート(例えば、キトサン硫酸、コンドロイチン硫酸、および/またはデルマタン硫酸)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。実施形態において、アルギネートは本開示の組成物を形成するときに利用され得る。適したアルギネートとしては、限定はされないが、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、少量のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンで改質されたアルギン酸ナトリウム、これらの組み合わせなどが挙げられる。上記アルギネートの分子量は、約50,000ダルトン〜約500,000ダルトンであり得、実施形態においては約60,000ダルトン〜約100,000ダルトンであり得る。
【0015】
実施形態において、上記ポリサッカリド(例えば、アルギネート)は溶液中に存在し得る。そのような溶液を形成するのに適した溶媒としては、限定はされないが、食塩水、水、アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、N−メチルピロリドン、およびこれらの組み合わせを含む、任意の薬学的に受容可能な溶媒が挙げられる。そのような溶液を形成するための方法は、当業者の理解し得る範囲内であり、限定はされないが、混合、ブレンド、音波処理、加熱、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0016】
上記ポリサッカリドは、そのような溶液中に、溶液の約0.1重量%〜約10重量%の量で存在し得、実施形態においては溶液の約0.5重量%〜約5重量%の量で存在し得、いくつかの実施形態においては溶液の約1重量%の量で存在し得る。
【0017】
本開示の組成物を形成するのに適した塩としては、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、これらの組み合わせなどが挙げられる。実施形態において、塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸亜鉛、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、これらの組み合わせなど)は、本開示の組成物を形成するために利用され得る。
【0018】
実施形態において、上記塩は上記ポリサッカリドを有する溶液と組み合わされ得る。他の実施形態において、上記塩は、溶媒(例えば、食塩水、水、アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、およびこれらの組み合わせ)を利用する別の溶液中に存在し得る。そのような溶液を形成するための方法は、当業者の理解し得る範囲内であり、限定はされないが、混合、ブレンド、音波処理、加熱、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0019】
上記塩は、そのような溶液中に、溶液の約0.1重量%〜約10重量%の量で存在し得、実施形態においては溶液の約0.3重量%〜約5重量%の量で存在し得、いくつかの実施形態においては溶液の約0.5重量%の量で存在し得る。
【0020】
次いで、上記塩溶液はポリサッカリドと、必要に応じて上記のような溶液中で組み合わされ得る。
【0021】
また、実施形態において、本開示の組成物は反応性成分を含み得る。適した反応性成分は、本開示の組成物を形成し、そして/または、その組成物を組織へつなげることが可能である少なくとも1つの遊離反応性基を用いて官能化された架橋剤、接着剤、シーラント、カプラーを含み得る。より具体的には、反応性成分としては、限定はされないが、イソシアネート、N−ヒドロキシコハク酸イミド(「NHS」)、シアノアクリレート、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、およびジアルデヒド)、ゲニピン、ならびに本開示の組成物の他の成分、組織、またはその両方へ対するある親和性を有する化学的性質を有する他の化合物が挙げられる。本開示の反応性成分はまた、任意の天然架橋剤または合成架橋剤(限定はされないが、アルデヒド(例えば、上で列挙されたもの);ジイミド;ジイソシアネート;シアンアミド;カルボジイミド;ジメチルアジピミデート(adipimidate);でんぷん;およびこれらの組み合わせ)を含み得る。上記反応性成分は、移植の前または間に形成される一官能性モノマー、二官能性モノマー、もしくは多官能性モノマー、一官能性ダイマー、二官能性ダイマー、もしくは多官能性ダイマー、一官能性小分子、二官能性小分子、もしくは多官能性小分子、または、一官能性オリゴマー、二官能性オリゴマー、もしくは多官能性オリゴマーであり得る。
【0022】
1つの実施形態において、上記反応性成分は構造Iに示されるゲニピンである。
【0023】
【化1】

本明細書中で使用される場合、用語「ゲニピン」は、ゲニピン、その誘導体、そのアナログ、およびゲニピンの任意の立体異性体、または立体異性体混合物を含む。ゲニピンは、アミン含有タンパク質(限定はされないが、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、およびキトサンが挙げられる)に対する天然架橋剤として使用され得る。ゲニピンは、親化合物であるゲニポシド(geniposide)の酸化その後の還元および加水分解によって、または酵素的加水分解によって調製され得る。あるいは、ラセミのゲニピンは合成的に調製され得る。
【0024】
ゲニピンは、タンパク質、コラーゲン、ゼラチン、およびキトサンに対する天然架橋剤である。二官能性ダイマーであるゲニピンは、それ自体、本開示の組成物の追加成分、および/または組織(例えば、内因性コラーゲン)と反応し得、本開示の組成物を組織へ架橋、すなわち結合させ得る。
【0025】
実施形態において、ゲニピン、その誘導体、そのアナログ、ゲニピンの任意の立体異性体、もしくは立体異性体混合物、または任意のこれらの組み合わせが、上記反応性成分として使用され得る。実施形態において、ゲニピンは多数の反応基を有し得る。例えば、ゲニピン上の第一反応基は上記の他の成分と化学的に結合するために使用され得、本開示の組成物を形成し、ゲニピン上の第二反応基は、生じた組成物を組織へ化学的に結合させるために使用され得る。化学的に結合することは共有結合、架橋、イオン結合などを含む全ての種類の化学結合を指す。
【0026】
ゲニピンそれ自体は無色であるが、アミン含有置換基と自発的に反応し得、青色顔料を形成し得る。驚くべきことに、上記ポリサッカリドおよび塩を含む本開示の組成物は、インビトロで反応した場合、青色を作り出すのではなく、代わりに、乳白色になり、時間が経過しても色が変化しないことが理解されてきた。しかし、インビボでの導入の際、ゲニピンは、少なくとも本開示の組成物と組織との接着場所で内因性組織と反応し得、青色を作り出し得る。
【0027】
実施形態において、上記反応性成分は上記の他の成分と溶液として組み合わされ得る。そのような溶液を形成する用途に適した溶媒は、限定はされないが、水;食塩水;緩衝塩溶液;アルコール(メタノール、エタノール、およびプロパノールを含む);ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド;塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロ−エタン);アセトン;および、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、および酢酸エチル)、ならびに前述のものの組み合わせが挙げられる。そのような溶液を形成するための方法は、当業者の理解し得る範囲内であり、限定はされないが、混合、ブレンド、音波処理、加熱、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0028】
上記反応性成分は、そのような溶液中に、溶液の約0.001重量%〜約10重量%の量で存在し得、実施形態においては溶液の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在し得、いくつかの実施形態においては溶液の約0.5重量%の量で存在し得る。
【0029】
上記成分、すなわち、上記ポリサッカリド、上記塩、または上記反応性成分のうちの少なくとも1つは、溶液中で存在すべきであり、他の成分(必要に応じて、溶液中の他の成分)がそこへ加えられる。例えば、上で言及された通り、上記ポリサッカリドは溶液中に存在し得る。上記反応性成分もまた、溶液中に存在し得るか、またはポリサッカリド溶液と組み合わされ得る。上記塩は溶液中に存在し得るか、またはポリサッカリド溶液、反応性成分溶液、もしくはその両方と組み合わされ得る。上で言及された通り、いくつかの実施形態において、上記成分のうちの1つ、2つ、または3つ全てが別々の溶液中に存在し得る。上記成分は任意の順序で、または全てを一度に組み合わされ得、本開示の組成物を形成し得る。上記溶液は混合され得、撹拌され得、振盪され得、これらを組み合わせてなどされ得、混合、および本開示の組成物の形成を向上させ得る。
【0030】
実施形態において、アルギン酸ナトリウムは炭酸カルシウムおよびゲニピンと組み合わされ得、本開示の組成物を形成し得る。
【0031】
したがって、上記ポリサッカリドは本開示の組成物中に、組成物の約0.1重量%〜約10重量%の量で存在し得、実施形態においては組成物の約0.5重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0032】
上記塩は本開示の組成物中に、組成物の約0.1重量%〜約10重量%の量で存在し得、実施形態においては組成物の約0.5重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0033】
上記反応性成分は、ゲニピンの実施形態において、それゆえに本開示の組成物の約0.001重量%〜約10重量%の量で存在し得、実施形態においては本開示の組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0034】
組織は、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン、および他のタンパク質を含む、様々な細胞外マトリクス物質を含有する。上記成分の導入の間、上記反応性成分は本開示のゲルを形成するのを助け得るだけでなく、また、周囲の組織(周囲の組織のタンパク質を含む)と結合し、それによってゲルを組織へ付着させ得る。
【0035】
上記反応性成分が組織へ結合するのに必要な時間量は、約5秒〜約24時間に変わり得、実施形態においては約60分〜約12時間に変わり得る。上記時間量は、反応性成分の濃度、本開示の組成物中で利用される他の成分、混合物のpH、これらの組み合わせなどに応じて変わり得る。
【0036】
上記3つの成分、すなわち、ポリサッカリド、塩、および反応性成分は、そのうちのいくつかまたは全ては溶液中に存在し得、そして、当業者の理解し得る範囲内の任意の方法を利用してインビボで導入され得る。そのような方法としては、限定はされないが、混合、ブレンド、滴下、はけ塗りなど、または組織の表面上での上記成分の任意の他の直接操作、もしくは、組織の表面上への上記成分の噴霧が挙げられる。開腹手術(open surgery)において、手または鉗子などによる塗布が企図される。内視鏡手術において、上記組成物はトロカールのカニューレを通して送達され得、当業者の理解し得る範囲内の任意のデバイスにより部位で広げられ得る。
【0037】
例えば、いくつかの実施形態において、上記ポリサッカリド、塩、および反応性成分は単一の溶液または多数の溶液中に存在し得、次いで、単純なデバイス(例えば、スパチュラ)を用いて混合し、組み合わされ得る。他の実施形態において、溶液中の成分は、上記成分を第一シリンジ中へ単に配置し、第一シリンジの成分を第二シリンジ中へ放出し、続いて第二シリンジの成分を第一シリンジへ放出し、上記成分が混合されるまで2つのシリンジ間でこのプロセスを繰り返すことにより組み合わされ得る。
【0038】
実施形態において、上記成分(必要に応じて、単一の溶液または多数の溶液中の成分)は、投与前に組み合わされ得る。他の実施形態において、上記成分(必要に応じて、単一の溶液または多数の溶液中の成分)は、投与のときに組み合わされ得る。1つの例としては、上記の各成分を互いに別々にしておき、同じ位置へ連続的な様式にて個々の材料を噴霧し、それにより上記材料が混合され、インサイチュでゲルを形成することを可能にする工程が挙げられる。他の実施形態において、上記成分のうちの2つは一緒にされたままであり得るが、第三成分からは別にされ得、上記3つの成分が組み合わされたときにゲルが形成され得る。
【0039】
別の例としては、上記ポリサッカリド、塩、および反応性成分を互いに別々にしておき、同じデバイス(例えば、噴霧器またはノズル)を通して上記3つの材料を同時に噴霧し、それにより上記材料が組織上へ噴霧される間に混合されることが可能になり、そのときに上記材料がインサイチュでゲルを形成する工程が挙げられる。上記3つの成分を投与するときに組み合わせるための方法は、当業者の理解し得る範囲内であり、例えば、上記3つの成分を従来の接着剤ディスペンサーから分配する方法(代表的には、分配の前に上記成分を混合する工程を提供する)が挙げられる。そのようなディスペンサーは、例えば、米国特許第4,978,336号、同第4,361,055号、同第4,979,942号、同第4,359,049号、同第4,874,368号、同第5,368,563号、および同第6,527,749号に開示される(これらの各米国特許の開示全体が参考として本明細書中で援用される)。
【0040】
他の実施形態において、上記3つの成分はインビボでの投与前に組み合わされ得、それにより投与前に一部架橋が起きることを可能にし得る。そのような実施形態において、本開示の組成物は次いで、インビボで塗布され得、上記組成物がゲルを形成する前に所望される形状および量を満たすように操作する;上記組成物がインビボでゲルを形成するとき、ゲルは、塗布され、前もって操作されて満たした空間の形状および量にきっちりと合うべきである。
【0041】
混合の際、上記ポリサッカリド、塩、および反応性成分は、約0.01ポアズ〜約1000ポアズ(約0.001Pa・s〜約100Pa・s)の低粘度、実施形態においては約0.1ポアズ〜約500ポアズ(約0.01Pa・s〜約50Pa・s)の低粘度を有する流動可能な液体を形成する。上記組成物がこの流動可能な状態のままである期間の後、実施形態においては少なくとも約2.5時間でゲル化が起こり始め、それにより本開示の組成物を形成する。上で言及された通り、本開示の組成物を形成するこの遅延ゲル化は、上記成分を組み合わせてから約3時間後〜約5時間後まで、実施形態においては上記成分を組み合わせてから約4時間後〜約4.5時間後まで、上記成分は本開示の組成物としてゲル化しないことを意味する。ゲル化反応は約20℃〜約40℃の温度で、実施形態においては約25℃〜約37℃の温度で実施され得る。本開示の組成物のゲル化を達成するための正確な反応条件は、上記組成物を形成するために利用される成分、利用される量、特定の溶媒、および、もしあれば他のものを含む様々な要因に依存する。
【0042】
実施形態において、本開示の組成物は他の材料と組み合わされ得、また、他の材料は熱反応性であり得る。これらの追加の熱反応性材料の例としては、限定はされないが、「ポロキサマー(poloxamer)」として知られ、PLURONIC(登録商標)(BASF Corp.)またはSYNPERONIC(登録商標)(ICI)という商標名の下で市販されるポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーを含む、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー;キトサン;ヒアルロン酸とポリエチレングリコールとのコポリマー(HA−PEG)、ヒアルロン酸とPLURONICSとのコポリマー(HA−PLURONICS)を含む、ヒアルロン酸(HA)およびその誘導体;ポリエチレングリコールとポリ乳酸とのコポリマー(PEG−PLLA);n−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM);これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0043】
(追加インプラント)
さらに他の実施形態において、本開示の組成物は別のインプラントと組み合わされ得、上記インプラントを組織へ接着させるために利用され得る。本開示の組成物と組み合わされ得るインプラントとしては、縫合糸、ステープル、ステント、メッシュ、テープ、ガーゼ、軟組織修復デバイス、グラフト、バトレス、バンド、リボン、グラフト、足場(scaffold)、創傷被覆剤(wound dressing)、発泡体などが挙げられる。
【0044】
上記インプラントは、外科的処置において使用され得る任意の材料から作製され得る。上記インプラントは、任意の生体適合性天然材料または生体適合性合成材料であり得る。天然材料、合成材料、生体吸収性材料、および/または非生体吸収性材料の任意の組み合わせが上記インプラントを形成するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0045】
上記インプラントが作製され得る吸収性材料の一部の非限定的な例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ポリホスファゼン、ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられる。
【0046】
インプラントを形成するために利用され得る他の材料としては、非吸収性材料、例えば、ポリアミド、アラミド、発泡性ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリブテステル(polybutester)、金属、合金(例えば、マグネシウム合金)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0047】
実施形態において、天然ポリマーは上記インプラントを形成するときに使用され得る。適したポリマーとしては、限定はされないが、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノゲン、エラスチン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、これらのホモポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
上記インプラントを形成するのに適した他のポリマーとしては、キトサン、アミノ官能性デキストラン、ポリリジン、少なくとも1つの一級アミンを含む任意のタンパク質またはペプチド、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0049】
実施形態において、上記インプラントはメッシュの形態であり得る。メッシュを形成するための技術は、当業者の理解し得る範囲内であり、例えば、鋳造、成形、ニードルパンチ(needle−punching)、鉤針で織る(hooking)、製織、圧延、圧縮、束ねる(bundling)、編組、紡糸、パイル化(piling)、編成、縮充(felting)、延伸、組み継ぎ(splicing)、縄編み(cabling)、押出し成形、および/またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
メッシュインプラントのストランドを産生するために利用されるフィラメントは、約10μm〜約150μmの直径、実施形態においては約0.08mm〜0.1mmの直径を有し得る。
【0051】
したがって、上記メッシュは約0.2mm〜約5mmの厚さ、実施形態においては約1mm〜約3mmの厚さを有し得る。上記ストランドは直径が約100ミクロン(μm)〜約2000ミクロン(μm)の孔を、実施形態においては直径が約200ミクロン(μm)〜約1500ミクロン(μm)の孔を、他の実施形態においては直径が約750ミクロン(μm)〜約1250ミクロン(μm)の孔を形成するように、離して配置され得る。様々なメッシュの例としては、米国特許第6,596,002号、同第6,408,656号、同第7,021,086号、同第6,971,252号、同第6,695,855号、同第6,451,032号、同第6,443,964号、同第6,478,727号、同第6,391,060号、および米国特許出願公開第2007/0032805号に記載されるものが挙げられる(これらの各米国特許および特許出願公開の開示全体が、参考として本明細書中で援用される)。
【0052】
他の代替の実施形態において、少なくとも1つの基材層、および多孔質構造または非多孔質構造を有する1つ以上の層を有する複合メッシュを含むメッシュは、反応性インプラントを形成するときに使用され得る。
【0053】
実施形態において、複合メッシュは多孔質層を有し得る。多孔質層は、多孔質層の表面の少なくとも一部分上に開口部または孔を有する。上記孔は、多孔質層の表面の一部分上で、多孔質層の厚さ部分にわたって部分的に、多孔質層の厚さ部分にわたって全体的に、またはこれらの組み合わせで、相互連結されるのに十分な数およびサイズであり得る。本開示を読む当業者は、上記多孔質層について他の孔分散パターンおよび孔の配置を想定する。上記多孔質層を形成するのに適した材料としては、限定はされないが、上記の通り、連続気泡発泡体または独立気泡発泡体が挙げられる。
【0054】
上記多孔質層は、上記の通り、任意の生体適合性天然材料または生体適合性合成材料から作製され得る。上記多孔質層を形成する材料は、生体吸収性または非生体吸収性であり得る。上記多孔質層は、上記の通り、発泡体、繊維、フィラメント、メッシュ、製織されたウェブおよび不織ウェブ、圧迫ガーゼ、パッド、粉末、薄片、粒子、およびこれらを組み合わせた形態をとり得る。上記多孔質層を形成するのに適した技術は、当業者の理解し得る範囲内であり、凍結乾燥、製織、溶媒蒸発などが挙げられる。
【0055】
他の実施形態において、複合メッシュは非多孔質層を有し得る。存在する場合、非多孔質層は任意の生体適合性天然材料または生体適合性合成材料から作製され得る。上記非多孔質層を形成する材料は、上記の通り、生体吸収性または非生体吸収性であり得る。非多孔質層はフィルムまたはシートであり得る。非多孔質層は、組織の内方成長が組織を取り囲むのを遅らせ得るか、または妨げ得、それによって癒着バリアとして作用し、所望されない瘢痕組織の形成を妨げる。例えば、PARIETEXTMメッシュ(Covidien製)のようなコラーゲン複合メッシュは、本開示の組成物を有する反応性インプラントを形成するときに使用され得る。PARIETEXTMメッシュは、片側に再吸収性コラーゲンフィルムが結合した3次元ポリエステルウィーブである。
【0056】
本開示の組成物がインプラントへ塗布され、上記インプラントを組織へ接着させるために利用される場合、本開示の組成物は当業者の理解し得る範囲内の任意の方法を利用してインプラントへ塗布され得る。実施形態において、本開示の組成物は、噴霧、浸漬コーティング、浸水、堆積、上記インプラントと組成物との間の任意の他の物理的接触、これらの組み合わせなどによりインプラントへ塗布され得る。
【0057】
例えば、上記インプラントは、生体組織と化学的に結合可能な少なくとも1つの遊離反応基を有する反応性成分を有する本開示の組成物と組み合わされ得る。特定の実施形態において、上記反応性成分は、それ自体、本開示の組成物の他の成分、ならびに上記インプラントの周囲および/または上記インプラントの全体と架橋し得る一方で、組織表面と架橋するための遊離反応基を保持する。他の実施形態において、上記反応性成分は、アミン含有インプラント、またはインプラント上のアミン含有コーティングと架橋し得、さらに組織に対して反応し得る。代替の実施形態において、上記反応性成分の第一反応基は上記インプラントへ化学的に結合するために使用され得、上記反応性成分の第二反応基は上記インプラントを組織へ化学的に結合させるために使用され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物はそれ自体と反応することにより上記インプラントへ固定され得る。例えば、上記反応性成分はそれ自体、および/または本開示の組成物の他の成分と反応し得、上記インプラントを被包し、上記インプラントまたはその一部分を取り囲む複雑な網目構造を形成する。特定の実施形態において、上記反応性成分は、上記インプラントへ化学的に結合しなくともよい(遊離アミンが存在しない場合)。上記反応性成分はまた、組織とさらに反応するために遊離反応基を保持し得る。
【0059】
代替の実施形態において、本開示の組成物は上記インプラントと化学的に結合することによりインプラントへ固定され得る。したがって、上記反応性成分は2つより多い反応基を有し得る。例えば、上記反応性成分の第一反応基は上記インプラントおよび/または本開示の組成物の他の成分と反応し得、第二反応基は組織と反応するために遊離状態のままであり得る。1つより多くの反応基が組織と反応するために遊離状態であり得る;実施形態においては、約1つ〜約8つの反応基が組織と反応するために遊離状態であり得る。例えば、上記反応性成分はタンパク様インプラントに対して反応性があり得る。上記反応性成分と上記インプラントとの間の化学反応は、本開示の組成物を上記インプラントへ結合させ得る一方で、いくつかの反応基を、インサイチュでの組織表面との後の化学反応のために未反応のままにする。
【0060】
別の実施形態において、反応性成分を有する本開示の組成物は医療用デバイス上のコーティングとして供給され得る(時として、本明細書中では「反応性コーティング」と呼ばれる)。医療用デバイスをコーティングするための方法は、当業者の理解し得る範囲内であり、限定はされないが、噴霧、浸漬、はけ塗り、蒸着、共有押出し成形、キャピラリーウィッキング(capillary wicking)、フィルムキャスティング、成形、溶媒蒸発などが挙げられる。本開示の組成物は、上記インプラントの少なくとも一部分上でコーティング、フィルム、発泡体、または粉末の形態でインプラントと組み合わされ得る。
【0061】
本開示の組成物は、上記インプラントの約0.001重量%〜約10重量%、実施形態においては上記インプラントの約0.05重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0062】
あるいは、本開示の組成物は物理的相互作用(例えば、孔へのウィッキング、すなわち毛管現象)を通して上記インプラントへ固定され得る。例えば、製織されたまたは編成されたインプラント(例えば、グラフトまたはメッシュ)を用いて、本開示の組成物を含む溶液は孔の中にまたは繊維の間に物理的に閉じ込められ得る。上記インプラントは特定の温度かつ湿度レベルでさらに乾燥され得、残留溶媒を除去し、反応性コーティングを残し、反応性インプラントを作り出す。
【0063】
あるいは、上記反応性コーティングは移植前に上記デバイスへ塗布され得る(例えば、移植前に手術室で医療用デバイスを浸す)。
【0064】
例えば、本開示の組成物はインプラントを含む特別な注入可能パッケージ材料と共に使用される導管中に供給され得る。注入可能パッケージの例は、2006年1月26日に出願された米国特許出願公開第2007/0170080号に記載される(この米国特許出願公開の開示全体が本明細書中で参考として援用される)。本開示の組成物は、外科的使用の前にいつでも上記インプラントパッケージへ注入され得る。実施形態において、本開示の組成物は水溶性または水分散性であり、使用のための調製において上記インプラントに十分に染み込み、インプラントを膨張させる。生物活性剤もまた、使用時に本開示の組成物か、または上記インプラントパッケージ中へ直接かのいずれかで加えられ得る。
【0065】
他の実施形態において、本開示の組成物は、インプラント(例えば、メッシュ)を上記反応性成分に浸すことにより、インプラントと接触し得、その結果、複雑な網目構造が上記インプラントの周囲および/または上記インプラントを通して、またはその孔(例えば、メッシュの孔、必要に応じて上記インプラントと結合しているメッシュの孔)を通して形成される。次いで、上記遊離反応基は組織へ結合し得、それにより上記インプラントを組織へ付着させ得る。
【0066】
アミン含有組織と反応する際、上記反応性インプラントは有用な時間範囲内に組織へ固定するべきである。代替の実施形態において、上記反応性成分は、組織との反応を遅らせることを目的として化学的に「保護され」得るか、または「遮蔽され」得る、すなわち、上記反応性成分は単に遅い反応速度を有し得る。
【0067】
本開示の組成物の反応性成分が上記インプラントを組織へ結合させるのに必要な時間量は、約1秒〜約6時間の範囲で、実施形態においては約30秒〜約60分の範囲で変わり得る。
【0068】
実施形態において、本開示の組成物は化学的結合により上記インプラントへ固定され得る。例えば、上記組成物からのゲニピンの遊離反応基は上記インプラントと反応し得、ゲニピンからの第二遊離反応基は組織と反応し得る。例えば、上記組成物は組織中の官能基(例えば、一級アミノ基、二級アミノ基、ヒドロキシル基、これらの組み合わせなど)と反応し得、それにより適した場所に上記インプラントを固定し得る。
【0069】
(任意の生物活性剤)
様々な任意の材料(限定はされないが、界面活性剤、抗菌剤、着色剤、保存料、造影剤(例えば、ヨウ素もしくは硫酸バリウム、またはフッ素)、または医薬が挙げられる)もまた、本開示の組成物へ加えられ得る。いくつかの実施形態において、本組成物は、必要に応じて1つ以上の生物活性剤を含み得る。
【0070】
用語「生物活性剤」は、本明細書中で使用される場合、その最も広範な意味で使用され、臨床用途を有する任意の物質または物質の混合物を含む。結果として、生物活性剤はそれ自体が薬理学的活性を有していてもいなくともよい(例えば、染料)。あるいは、生物活性剤は、治療効果もしくは予防効果を提供する任意の薬剤、組織の成長、細胞の成長、細胞の分化に影響を与えるもしくは関与する化合物、抗癒着性化合物、生物学的作用(例えば、免疫応答)を生じさせることが可能であり得る化合物であり得、または1つ以上の生物学的プロセスにおいて任意の他の役割を果たし得る。上記生物活性剤は、物質の任意の適した形態(粉末、粒子、液体、ゲル、これらの組み合わせなどを含む)で本開示の組成物へ加えられ得ることが想定される。
【0071】
本開示に従って利用され得る生物活性剤の分類の例としては、抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物(ポリアスピリンおよびポリジフルニサルを含む)、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬、タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、増殖因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、ならびに酵素が挙げられる。また、生物活性剤の組み合わせが用いられ得ることも意図される。
【0072】
適した抗菌剤としては、それら自体で、または体を助けることを通して、病原性であり得る微生物を殺すのを助け得るか、または微生物に抵抗するのを助け得る薬剤が挙げられる。抗菌剤の例としては、抗生物質、集団感知遮断薬、界面活性剤、金属イオン、防腐剤、消毒薬、抗ウィルス薬、抗真菌剤、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしても知られる);クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジングルコネート、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンを含む);銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、プロテイン銀、およびスルファジアジン銀を含む);ポリミキシン;テトラサイクリン;アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン);リファンピシン;バシトラシン;ネオマイシン;クロラムフェニコール、ミコナゾール;キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、エノキサシン、およびシプロフロキサシン);ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil));ノノキシノール9;フシジン酸;セファロスポリン;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。加えて、抗菌性タンパク質および抗菌性ペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンB(lactoferricin B))、ならびに抗菌性ポリサッカリド(例えば、フカンおよびその誘導体)は、本開示の組成物中に生物活性剤として含まれ得る。
【0073】
本開示の組成物中に生物活性剤として含まれ得る他の生物活性剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド系避妊薬;副交感神経作用薬;精神治療薬;精神安定剤;充血緩和剤;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経作用薬;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗偏頭痛薬;抗パーキンソン病薬(例えば、L−ドパ);抗痙攣薬;抗コリン作用薬(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管薬(例えば、血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛剤;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリシレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニソロン、プレドニソン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬物;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウィルス薬;抗凝固剤;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに、免疫学的薬剤が挙げられる。
【0074】
本開示の組成物へ加えられ得る適した生物活性剤の他の例としては、ウィルスおよび細胞;ペプチド;ポリペプチドおよびタンパク質、これらのアナログ、ムテイン、および活性フラグメント、例えば、免疫グロブリン、抗体、ナノボディ(nanobody)、サイトカイン(例えば、リンフォカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子;造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFN、およびγ−IFN);エリトロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および腫瘍抑制剤;血液タンパク質;ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原、およびウィルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば、神経成長因子、インスリン様成長因子);タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、DNAインターカレーター(intercalator)、RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、およびリボザイム)が挙げられる。
【0075】
天然に存在するポリマー(タンパク質(例えば、コラーゲン)および様々な天然に存在するポリサッカリド(例えば、グリコサミノグリカン)を含む)は、必要に応じて本開示の組成物中へ生物活性剤として組み込まれ得る。
【0076】
単一の生物活性剤は本組成物において利用され得る、または代替の実施形態においては、生物活性剤の任意の組み合わせが本組成物において利用され得る。
【0077】
様々な利点が、本開示のゲルを利用することによって獲得され得る。例えば、本開示の組成物により示される遅延ゲル化は、上記組成物を導入する医師および/または外科医が低粘度液体として組成物を導入し、次いで、永続的な形状でのゲル化の前に組織を形作り、そして/または組成物を再分配するのに時間を必要とする場合、特定の医療手順において有利であり得る。したがって、本開示の組成物は、ゲル化時間のより遅いことが有益である場合(限定はされないが、括約筋の増強(胃食道逆流性疾患(GERD)を処置するためのより下部食道括約筋の増大(bulking)、尿失禁を処置するための尿道周囲の増大を含む)、組織の切開および/または切除を助けるための組織層間のクッションの作成(ポリープ切除処置における例としては、癒着の防止)、皮膚用充填剤としての形成外科的処置、これらの組み合わせなどが挙げられる)、多くの外科的処置において有用であり得る。
【0078】
例えば、本開示の組成物は括約筋の増強(限定はされないが、泌尿器の括約筋(尿道括約筋)、肛門括約筋、および食道括約筋の増強を含む)への適用において利用され得る。当業者の理解し得る範囲内の任意の方法は、本開示の組成物を括約筋へ導入するために利用され得る。当業者に明らかであるように、選択される方法は、体内の括約筋の位置にある程度依存し得る。
【0079】
例えば、本開示の組成物は哺乳類の括約筋(例えば、下部食道括約筋(LES))を増強するために目標の組織部位へ送達され得る。実施形態において、カテーテルアセンブリが本開示の組成物を導入するために利用され得る。そのようなカテーテルアセンブリは、注入針が付着している遠心端を有する柔軟なカテーテルを含み得、この注射針は本開示の組成物を括約筋中へ導入するために利用され得る。上記カテーテルは、その近心端でシリンジへつなげられ得る。上記シリンジは、標準的なルアー接続を使って本開示の組成物を含み得る。上記針は括約筋の組織、または括約筋に隣接した組織に刺され得、本開示の組成物を括約筋の一部分へ送達する。次いで、圧力がシリンジプランジャーへかけられ得、次いで、シリンジプランジャーが本開示の組成物を上記カテーテルの管腔中へ、続いて上記針の管腔中へ注入する。
【0080】
実施形態において、本開示の組成物はまた、美容外科においても利用され得る。例えば、皮膚組織の増大(筋膜組織、皮下組織、および真皮組織を含む)は、皮膚の障害(瘢痕、しわ、皮膚のたるみ、および皮膚の菲薄化を含む)を処置するために使用され得、そして、いくつかの種類の美容外科および再建形成外科において使用され得る。皮膚のそのような障害はしばしば外形の欠陥として示され、外形の欠陥は本開示の組成物を用いて処置され得る。皮膚における外形の欠陥は、例えば、加齢、環境暴露、体重減少、妊娠から分娩までの過程、手術、または疾患のような要因の結果として発生し得る。外形の欠陥は、眉間のしわ、額のしわ、しわ、目尻のしわ、マリオネットライン(marionette line)、皮膚萎縮線条、内部瘢痕および外部瘢痕、これらの組み合わせなどを含む。したがって、本開示の組成物を用いる皮膚層の増強は、そのような外形の欠陥を減少させるか、または除去する。
【0081】
上記組成物は、所望される皮膚層へ導入され得、実施形態においては注入により、組織を膨張させ得る過剰膨張について心配しなければならないこともなく導入され得る。リンクルフィラー(wrinkle filler)として、本開示の組成物は注入され得、さもなければ、液体形態で皮下に配置され得、投与後にゲル化が起こる。本開示の組成物は、都合良く形作られ得るか、または薄く広げられ得、依然として液体形態のままの間に所望される効果を達成し得る。
【0082】
美容外科または再建外科への適用に対して、本開示の組成物は選択された体の部位へ液体形態で適用され得(または、本明細書中に記載されるように挿入前に形成され得)、所望される形状へ操作され得るか、または固化前に所望される量を充填するべきであり得る。再建外科または審美的強化は、本開示の組成物を組み込み得る。顔の領域(例えば、頬、鼻、耳、および目に隣接する皮膚(軟組織))は、本開示の組成物を用いて再建増強、または強化され得る。
【0083】
現在の美容用増量剤製品(bulking product)(この多くは、例えば、架橋コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸などの天然物質を基にする)は、体によって吸収され得、このことはそれらの組織への持続性(tissue persistence)を限定し得、過矯正を必要とし得、注入を繰り返し得るが、本開示の合成ゲルは吸収されないか、または、少なくとも天然物質と同じ程度ではなく、そのことは過矯正および度重なる注入の必要性を避け得る。あるいは、本開示の合成ゲルは、反応性薬剤の導入による選択的開裂(例えば、酵素的手段または非酵素的手段によるアミド結合またはエステル結合の開裂)を受けやすい分解性結合を含むことにより、必要があるときに分解し、体によって吸収されるように調合され得る。ゲル化の遅延はまた、固化前にインビボでゲルの操作を可能にし得、この操作は、インビボでのゲルのサイズおよび/または形状の調節が、美容的短所を修正するために上記組成物の配置および形状を最大化することを可能にするので、美容への適用において特に有用であり得る。
【0084】
さらに、本開示のゲルは、例えば、整形外科での適用のための足場、組織エンジニアリング、細胞播種の足場、薬物送達のマトリクス、これらの組み合わせなどの適用に対して使用され得る。本開示の組成物が薬物またはタンパク質の送達を意図される場合、成分の量はゲル中の上記薬物またはタンパク質の初期の保持、続くその放出を促進するように調節され得る。そのような調節をなすための方法および手段は、当業者には容易に明らかである。
【0085】
例えば、いくつかの実施形態において、本開示のゲルはインビボで細胞を送達するために利用され得る。例えば、生存細胞(例えば、軟骨細胞)は本開示のゲルへ加えられ得る。上記ゲルは上記細胞を体の中の所望される位置へ運ぶことが可能な流動する液体であり得、その後、上記ゲルは固体になり、上記細胞は生存可能でありかつ活性である状態を保つ。軟骨細胞の場合、軟骨の形成はそれ故に、本開示のゲルを用いて達成され得る。例えば、軟骨細胞を播種された本開示の組成物は、最小限度での侵襲性外科的処置の間に、焦点である軟骨の損傷または空隙へ容易に注入される液体形態であり得る。上記液体は軟骨の損傷または空隙を満たし、そこへ付着し、次いで固体になり、ここで、この固体は上記細胞に対する3次元の足場として作用する。
【0086】
本明細書中に記載される組成物はまた、縫合糸、クランプ、または他の従来の組織を閉じるための機構がさらなる組織の損傷を引き起こし得る、繊細な組織を伴う使用に適し得る。例えば、本開示の組成物は、物理的な圧力を引き起こし得る従来の道具の代わりに、繊細な組織(例えば、肺組織)を一緒に密封するためか、または付着させるために使用され得る。本組成物はまた、組織中の空気および/または流体の漏れ口を塞ぐため、そして、手術後の癒着を防ぐため、かつ組織中の空隙および/または欠損を満たすためにも使用され得る。
【0087】
本明細書中に記載される組成物はまた、シーラントとしても使用され得る。シーラントとして使用される場合、本開示の組成物は手術において、外科的処置後の出血または流体の漏出を防ぐまたは妨げるために使用され得る。本開示の組成物はまた、肺の手術後の空気の漏出を防ぐために塗布され得る。本明細書中の組成物は、組織中のいずれの欠損も密封し、かついずれの流体または気体の動きも封じ込めるのに十分な最低限の量で所望される領域へ直接塗布され得る。
【0088】
本組成物はまた、手術後の癒着を防ぐためにも使用され得る。そのような適用において、本開示の組成物は、治癒プロセスの間の手術部位での癒着の形成を防ぐ目的で、塗布され得、ゲルが内部組織の表面上に層を形成することを可能にし得る。
【0089】
実施形態において、本開示のゲルは炭酸カルシウムおよびゲニピンと併せてアルギネートを含み得る。この混合物はそれ自体でゲル化し得、このゲルはゲニピンの存在に起因して周囲の組織とさらに架橋し得る。他の実施形態において、二成分系が利用され得、アルギネート、炭酸カルシウム、およびゲニピンが第一成分として組み合わせられ得る;そして、タンパク質溶液(ゼラチン含有溶液、アルブミン含有溶液、血漿含有溶液、またはアミン含有溶液(例えば、キトサン含有溶液)、これらの組み合わせなど)が第二成分として利用され得る。上記2つの成分を混合する際、架橋が起こり、それにより固形ゲルを形成する。
【0090】
生体接着性(bioadhesive)組成物を形成するために利用される化合物の選択を変えることにより、生体接着性組成物の強度および弾性が制御され得、ゲル化時間も同様に制御され得る。
【0091】
以下の実施例は本開示の実施形態を例示するために提示されている。これらの実施例は例示のみであることが意図されており、本開示の範囲を限定することは意図されていない。また、部およびパーセンテージは、別途指示されない場合、重量による値である。
【実施例】
【0092】
実施例1
本開示の組成物を下記の通りに調製した。アルギン酸ナトリウムの水溶液(約0.1ポアズの低粘度、約7のpHおよび約1%の濃度を有する)を、炭酸カルシウム溶液(水中で約0.5重量%の濃度、および約8〜約9のpHを有する)およびゲニピン溶液(水中で約0.5重量%の濃度および約7.5のpH)と組み合わせた。混合の際に、この材料は、流動可能なままであり、室温で約0.2ポアズの粘度を有していた。この材料を、一晩(約15時間)放置した。この時間の後、この材料は、激しい振とうに供した場合でさえ、流動も分解もしない固形の白色ゲルであった。
【0093】
さらなる組成物を記載されるように調製し、ゲル化の時間を決定するために試験した。上記の3成分の混合の際に、液体混合物が、室温において約0.2ポアズの低粘度を有し、これが、約2.5時間の間、一定のままであったことが見出された。この時間からまもなく、この組成物の貯蔵弾性率(storage modulus)(G’(ダイン/cm))および粘度(Eta(ポアズ))が、急に上昇し始めた。これらの結果を図面に示す。この液体は、目視検査および傾斜試験(tilt test)によって決定されるように、.約3時間と約4時間との間で流動しないゲルに変化した。交差ゲル化点(crossover gel point)(G’=G”(G”は、ダイン/cmでの損失弾性率(loss modulus)である)を、時間掃引操作(time−sweep run)を使用してARESレオメーター(TA Instruments製)から取得し、レオメーターを、約50%の一定のひずみ、約10rad/秒の一定の回転数および約25℃の一定温度で作動させた。交差ゲル化点を、図に示されるように、これらの3つの成分の混合後、約4時間〜約5時間の時間に存在すると決定した。形成されたゲルは、約1000ダイン/cmの貯蔵弾性率(G’)および白色であり、堅固なきめを有していた。
【0094】
比較実施例1
実施例1に記載される溶液の種々の実施形態を、ゲル化特徴を調べるために作製した。0.5重量%ゲニピンの水溶液を、約7.5〜約8のpHで調製した。それに、0.5重量%炭酸カルシウムの溶液を加え、ゲニピンと炭酸カルシウムとの組み合わせが実施例1と同様にゲル化するか否かを調べた。ゲル化は観察されなかった。
【0095】
同様に、アルギン酸ナトリウムを脱イオン水に溶解させることによって、アルギネート溶液を約1重量%の濃度で調製した。生じたアルギネート溶液は、約9のpHを有していた。このアルギネート溶液を上記のゲニピン溶液(炭酸カルシウムなし)と組み合わせ、ゲニピンとアルギネートとの組み合わせが実施例1と同様にゲル化するか否かを調べた。ゲル化は観察されなかった。.
同様に、アルギネートおよび炭酸カルシウムの溶液を、上記の約1%アルギネート溶液と約6よりも高いpHの約0.5%CaCOとを組み合わせることによって調製した。数ヶ月後でさえも、ゲル化は観察されなかった。
【0096】
上記されるように、本開示の組成物は、約3時間〜5時間の、実施形態において、約4時間〜約4.5時間の遅延ゲル化を示す。興味深いことに、上記データは、3成分全てが遅延ゲル化を得るために必要であり得ることを示す:約4〜約10の任意のpHで、ゲニピンとアルギネート溶液とを混合するが、炭酸カルシウムを含まないことは、ゲルを生成しなかった;同様に、ゲニピンと炭酸カルシウムとを組み合わせるが、アルギネートを含まないことは、ゲルを生成しなかった;そして、約6よりも高いpHで、アルギネートと炭酸カルシウムとを組み合わせるが、ゲニピンを含まないことは、ゲルを生成しなかった。アルギネート−ゲニピン溶液のpHが、約6よりも高い場合、実施形態において、約6〜約8.5である場合、実施形態において、約7〜約8である場合、一部の実施形態において、約7.5である場合、このpHは、炭酸カルシウムが可溶化/イオン化してアルギネートを架橋するには十分低くない可能性がある。一般的に、溶液のpHは、カルシウムが可溶化/イオン化してアルギネートを架橋するために、約5よりも低くあるべきであり、この点において、即座のゲル化が観察され、上記の成分の3つ全てを本開示の組成物を形成するために利用する場合、遅延ゲル化は観察されない。
【0097】
実施例2
1重量%アルギン酸ナトリウム、約0.5重量%CaCO、および約0.5重量%ゲニピンの溶液で作製された、実施例1のゲルを、実施例1に記載されるように調製し、室温(約20℃〜約25℃)、約48時間置いた。
【0098】
約48時間後、25重量%ゼラチン溶液を、約25グラムのゼラチンを約75グラムの脱イオン水中に溶解させることによって調製した。約10mLの生じたゼラチン溶液を実施例1のゲルに添加し、一晩(約16時間〜約24時間)置いた。
【0099】
翌日の検査時、実施例1からの白色ゲルは、目視検査および手動操作で決定した場合、ゼラチンの存在下で暗い青色に変わり、そしてはるかにより堅くなった。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、実施例1のゲルを形成するために利用したゲニピンの少なくとも一部が、活性なままであり、それがゼラチンのアミノ基と反応し得、それによって暗い青色を形成するようである。
【0100】
暗い青色および反応の速度が証拠となる、ゼラチンとの反応が生じる速度は、実施例1のゲルのポリサッカリド(アルギネート)または塩(CaCO)によって触媒され得た。なぜなら、実施例1のゲルとゼラチンとの間の反応が、ゼラチンとゲニピン単独との反応よりも迅速に生じたからである。
【0101】
実施例3
約1重量%のアルギン酸ナトリウムの水溶液を調製した。約0.5重量%CaCOおよび約0.5重量%ゲニピンの白みがかった(light)粉末をそれに加えた。約0.2ポアズの粘度を有する、流動性の乳白色の懸濁物を形成した。
【0102】
2つの矩形の断片を、ポリ乳酸(Covidien製)から作製したメッシュから切断した。各断片は約1cm×約2cmであった。第一のメッシュの断片を、流動性の乳様懸濁物中で約10秒間浸漬コーティングし、室温(約20℃〜約25℃)、約4時間、閉じたペトリ皿中でゲル化させた。乳白色の懸濁物が、第一のメッシュの断片の細孔上およびその中の白色の固形ゲルに変化したことが観察された。
【0103】
第二のメッシュの断片を、乳様懸濁物中に完全に浸漬した。乳様懸濁物および第二のメッシュの断片を含む容器を覆ってカバーを配置し、室温(約20℃〜約25℃)でゲル化させた。約4時間後、流動性の懸濁物は、非流動性の白色ゲルに変化した。第二のメッシュの断片をゲル(時折、本明細書においてゲル型と称される)から取り出し、空の皿に配置した。ゲル型を、別個の空の皿に配置した。
【0104】
約25重量%ゼラチンを有するゼラチン溶液を、第一のメッシュの断片、第二のメッシュの断片およびゲル型に注いだ。ゼラチンを、組織をシミュレートするために使用した。3つの皿(1つの皿は第一のメッシュの断片を含み、第二の皿は第二のメッシュの断片を含み、そして第三の皿はゲル型を含んだ)を、約37℃の温度のオーブン内に配置し、一晩(約12時間〜約24時間)置いた。
【0105】
上記の皿をオーブンから取り出した。この時点で、暗い青色が、3つ全ての皿に認められ、ゲニピンがゼラチンに見出されるアミン基と架橋したことを示唆した。皿からメッシュの断片を取り外す試みは、ゼラチン溶液によって、これらのメッシュが良好に粘着し、封入されたことを実証した。したがって、ゲニピンが、乳白色の懸濁物および続く白色ゲルの両方の最初の形成、ならびにゲルを組織に架橋することにおいて重要な役割を果たすようだった。上記は、反応性の外科用インプラントとして本開示の組成物を使用することの実行可能性を明確に実証する。
【0106】
種々の改変が、本明細書に開示された実施形態になされ得ることが理解される。したがって、上記の説明は、限定としてみなされるべきではなく、好ましい実施形態の例示として単にみなされるべきである。当業者は、本開示の範囲および精神内の他の改変を企図する。このような改変および変形は、以下の特許請求の範囲内に入ることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つのポリサッカリド;
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの塩;および
必要に応じて溶液中に存在する少なくとも1つの反応性成分
を含む、組成物であって、
該ポリサッカリド、塩および反応性成分のうちの少なくとも1つは、1つの溶液中に存在し、該組成物は、該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後にゲルを形成する、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、アルギネート、サルフェート、セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの塩が、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの塩が、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの反応性成分が、約0.001重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのポリサッカリドがアルギン酸ナトリウムを含み、前記少なくとも1つの塩が炭酸カルシウムを含み、そして前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤(chemo agent)、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
組織と少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分を含むキットであって、
該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分はゲルを形成し;そして、該少なくとも1つのポリサッカリド、少なくとも1つの塩および少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後に、該ゲルが形成する、キット。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、アルギネート、サルフェート、セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記少なくとも1つのポリサッカリドが、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、請求項10に記載のキット。
【請求項13】
前記少なくとも1つの塩が、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載のキット。
【請求項14】
前記少なくとも1つの塩が、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、請求項10に記載のキット。
【請求項15】
前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、請求項10に記載のキット。
【請求項16】
前記少なくとも1つの反応性成分が、約0.001重量%〜約10重量%の濃度で溶液中に存在する、請求項10に記載のキット。
【請求項17】
前記少なくとも1つのポリサッカリドがアルギン酸ナトリウムを含み、前記少なくとも1つの塩が炭酸カルシウムを含み、前記少なくとも1つの反応性成分がゲニピンを含む、請求項10に記載のキット。
【請求項18】
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項19】
前記ゲルが、括約筋の増強、癒着の防止、美容的な再建、皮膚の充填およびこれらの組み合わせからなる群より選択される医療手順に使用される、請求項10に記載のキット。
【請求項20】
以下:
アルギン酸ナトリウムを含む少なくとも1つのポリサッカリド;
炭酸カルシウムを含む少なくとも1つの塩;および
ゲニピンを含む少なくとも1つの反応性成分
を含む組成物であって、ここで、
該少なくとも1つのポリサッカリド、該少なくとも1つの塩および該少なくとも1つの反応性成分を組み合わせた際に、該組成物は約0.01ポアズ〜約1000ポアズの粘度を有し、かつ
該少なくとも1つのポリサッカリド、該少なくとも1つの塩および該少なくとも1つの反応性成分が組み合わされてから約3時間〜約5時間後に、該組成物はゲルを形成する、組成物。
【請求項21】
抗癒着剤、抗菌剤、抗感染薬、抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗増殖抑制薬、心臓血管薬、診断薬、化学療法剤、テロメラーゼインヒビター、ポリマー薬物、抗血小板薬、血小板活性化薬、脈管形成薬、遺伝子治療薬タンパク質治療薬、交感神経興奮剤、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリサッカリド、ポリサッカリド、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの生物活性剤をさらに含む、請求項20に記載の組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−104791(P2010−104791A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251506(P2009−251506)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】