説明

遊具

【課題】 従来の木製の遊具にくらべて長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることができるとともに、多くの平面スペースを必要としない遊具を提供すること。
【解決手段】 遊具は、移動体1と、遊具台11と、遊具台11の上に互いに離間して立設される一対の軸受け部材13,15と、一対の軸受け部材13,15により回転可能に軸支される回転体24と、回転体24を回転するハンドル部材22aと、回転体24に形成され、移動体1が収容される収容部36と、収容部36に収容され上方に運ばれ、その後収容部36から離れた移動体1が再び上方に運ばれるために下方に移動する循環路と、を有する。ハンドル部材22aを回転させることで、回転体24の収容部36に収容される移動体1を持ち上げる動きを持たせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児などが遊ぶ遊具には、木製のものと、プラスチック製のものとがある。木製の遊具は、プラスチック製の遊具に比べて、その手触り、質感などがより好ましいものと考えられている。また、木製の遊具は、プラスチック製のもののように経年劣化による割れなどが生じ難いため、きちんと作られたものであれば長く使用することができるという利点がある。しかしながら、木材は、プラスチックなどのように金型で自由な形状に形成することが難しい。
【0003】
そのため、従来の木製の遊具は、特許文献1にあるような積み木や、乳幼児が手で振ったり押したり引いたりして遊ぶ単純な動きをするものや、トンカチでたたいて遊ぶものなどに限られている。また、従来の木製の遊具は、乳幼児が乗車して遊ぶことができる木馬や自動車などを模した乗用遊具などに限られている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−16700号公報(要約書、特許請求の範囲、発明の詳細な説明など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の積み木などに見られる従来の遊具は、動きが単純であり、長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることが難しいものとなっている。なお、木製でない遊具、たとえばプラスチック製の遊具などであっても、その遊具の動きが単純である場合、同様の問題が生ずる。
【0006】
また、従来の遊具で動きのあるものは、たとえば電車のように平面的なものが多く、広い平面スペースが必要とされるものが多い状況である。
【0007】
本発明は、以上の課題に鑑みなされたものであり、従来の木製の遊具にくらべて長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることができるとともに、多くの平面スペースを必要としない遊具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る遊具は、移動体と、遊具台と、遊具台の上に互いに離間して立設される一対の軸受け部材と、一対の軸受け部材により回転可能に軸支される回転体と、回転体を回転するハンドル部材と、回転体に形成され、移動体が収容される収容部と、収容部に収容され上方に運ばれ、その後収容部から離れた移動体が再び上方に運ばれるために下方に移動する循環路と、を有するものである。
【0009】
この構成を採用すれば、ハンドル部材を回転させることで、回転体の収容部に収容される移動体を持ち上げることができる。また、持ち上げられた移動体は循環路を移動する。したがって、この移動体の動きを用いて、従来の木製の遊具にくらべて長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることができる。また、移動体は、縦に移動するので、遊具として多くの平面スペースを必要としない。
【0010】
本発明に係る第二の遊具は、球体と、遊具台と、遊具台の上に立設される前面カバー板と、遊具台の上に前面カバー板に対し球体の大きさより広い間隔で離間して立設される背面カバー板と、前面カバー板と背面カバー板との間に配設され、前面カバー板および背面カバー板により回転可能に軸支される回転体と、回転体を回転するハンドルアームと、回転体の外周部に孔として形成され、球体が収容される収容部としての搬送孔と、背面カバー板の上部であって搬送孔と重なる位置に開設される球体排出孔と、前面カバー板の下部であって球体排出孔より下側において搬送孔と重なる位置に開設される球体吸込み孔と、球体排出孔から球体吸込み孔まで球体が転がる循環路と、を有するものである。
【0011】
この構成を採用すれば、ハンドルアームを回転させることで、球体吸込み孔にある球体は、回転体の搬送孔に収容され、前面カバー板および背面カバー板により落下しないように支えられながら持ち上げられ、球体排出孔から排出され、循環路を転がって再び木球吸込み孔まで移動する。ハンドルアームが回しつづけられることで、球体は、循環し続ける。したがって、この移動体の動きにより、従来の木製の遊具にくらべて長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることができる。また、球体は、縦に移動するので、遊具として多くの平面スペースを必要としない。
【0012】
本発明に係る第三の遊具は、一方向に長い略立方体形状を有するボディ、そのボディの長尺方向両端部に回転可能に軸支される一対の車軸、および一対の車軸の両端に設けられる2組の車輪を有する移動体となる走行体と、遊具台と、遊具台の上に互いに間隔を空けて立設される一対の軸受け部材と、一対の軸受け部材の間において回転可能に配設され、少なくともその外周部が各組の車輪の間隔より薄く形成される円板と、円板と同一面内に並ぶように遊具台に立設され、円板の外周部との間にボディの高さより狭い微小な間隔を空けて配設される半月凹部を有する固定板と、円板を回転するハンドルアームと、円板の外周部に凹部として形成され、走行体のボディが収容される収容部としての搬送凹部と、円板により持ち上げられた走行体が走行し元の位置に復帰する走行路となる循環路と、を有するものである。
【0013】
この構成を採用すれば、ハンドルアームを回転させることで、円板の下にある走行体を、回転する円板の外周部に形成される搬送凹部に収容し、固定板との間で挟んで落下しないように支えながら円板の回転で持ち上げることができる。円板で持ち上げられた走行体は、走行路を走行する。したがって、この一連の走行体の動きにより、従来の木製の遊具にくらべて長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることができる。また、走行体は、縦に移動するので、遊具として多くの平面スペースを必要としない。
【0014】
本発明に係る第四の遊具は、球体と、遊具台と、遊具台の一端側に球体の大きさより広い間隔で互いに離間して立設される一対の軸受け部材と、一対の軸受け部材により回転可能に軸支される駆動軸と、一対の軸受け部材の間において駆動軸に固定される回転体と、一対の軸受け部材の外において一端が駆動軸に固定されるハンドルアームと、回転体から外側へ突出するように配設され、それらの間に球体を挟んで収容する弾性を有する一対の第一フック部材と、一対の軸受け部材の間であって一対の第一フック部材の間に収容されている球体の軌道上となる位置に配設される球体受け部材と、球体受け部材に乗った後に一対の第一のフック部材で収容され上方へ持上げられた球体がその後再び球体受け部材へ戻る循環路と、を有するものである。
【0015】
この構成を採用すれば、ハンドルアームを回転させることで、球体は一対の第一フック部材の間に挟まれて持ち上げられ、球体受け部材に乗せられる。その後、球体は、循環路を移動する。したがって、この一連の球体の動きにより、従来の木製の遊具にくらべて長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることができる。また、球体は、縦に移動するので、遊具として多くの平面スペースを必要としない。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、遊具に動きを持たせることで、従来の木製の遊具にくらべて長い期間にわたって乳幼児などにその遊具で遊ばせることができるとともに、垂直方向の動きを取り入れることで多くの平面スペースを必要としない遊具とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る遊具を、図面に基づいて説明する。
【0018】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る遊具は、移動体あるいは球体としての木球1と、木製からなる遊具本体2とを有する。この木製の遊具は、乳幼児、小学生、老人などを対象とする遊具である。木球1は、木材を直径約2〜5cmの球体に形成したものである。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る遊具の遊具本体2および木球1を示す正面図である。図2は、図1の遊具本体2の背面図である。図3は、図1の遊具本体2の左側面図である。以下、図1の正面図における遊具本体2の姿勢を基準として、本発明の実施の形態1に係る遊具の説明において、上下左右前後の呼び名を使用する。
【0020】
遊具本体2は、遊具台11を有する。遊具台11は、ぶな材などの木材の一枚板を、四角形の長方形形状に形成したものである。遊具台11の厚さは、1〜3cmである。
【0021】
遊具台11の上には、図3に示すように、遊具の前方側から順番に、レール台12、前面カバー板13、補強固定部材14、背面カバー板15、が配設される。また、図1に示すように、背面カバー板15の右側には、右サイドカバー部材16が配設され、背面カバー板15の左側には、左サイドカバー部材17が配設される。
【0022】
レール台12は、略長方体形状を有する。レール台12は、その長手方向、すなわち図1で左右方向が遊具台11の長尺方向に沿う姿勢にて、前面カバー板13の右半部の前に配設される。その配設状態におけるレール台12の上面は、右から左にかけて下がっている。レール台12の上に配設される後述する第六レール部材51の上には、木球1が載置される。
【0023】
前面カバー板13は、1cm弱の厚さの合板を舌に似た形状に形成したものである。合板は、それ自体の強度が高く、一枚板の木材に比べて曲げ難く、反り難い。前面カバー板13は、舌形状の根元側の端面が遊具台11に当接し、且つ、背面が補強固定部材14に当接する状態で、遊具台11の上に立設される。前面カバー板13は、補強固定部材14の前方に立設される。前面カバー板13は、木ネジを用いて遊具台11および補強固定部材14にネジ止めされる。
【0024】
遊具台11の上に立設される前面カバー板13は、その上下方向中央部の左右に、くびれ部13a,13aが形成される。くびれ部13a,13aが形成されることで、前面カバー板13の上部は、正面から見たときに略円形状の外形となるとともに、後述するように上方へ移動していく木球1を確認できる。この前面カバー板13の上部には、前面カバー板13を貫通する4つのデザイン孔13bが開設される。
【0025】
補強固定部材14は、木材を略長方体形状に形成したものである。補強固定部材14は、その長手方向が遊具台11の長尺方向、すなわち図1において左右方向に沿う向きで、且つ、遊具台11の中央部に、木ネジを用いてネジ止めされる。補強固定部材14は、遊具台11の上に配設された状態において、前後方向に、木球1の直径より若干広い奥行きを有する。
【0026】
背面カバー板15は、1cm弱の厚さの合板を略長方形形状に形成したものである。背面カバー板15は、前面カバー板13より二周り程度大きい大きさを有する。背面カバー板15は、その短辺となる下端が遊具台11に当接し、且つ、前面が補強固定部材14に当接する姿勢で、遊具台11の上に立設される。背面カバー板15は、補強固定部材14の後側に立つように、木ネジを用いて遊具台11および補強固定部材14にネジ止めされる。背面カバー板15と前面カバー板13との間隔は、補強固定部材14の前後方向の幅に相当する間隔、すなわち木球1の直径よりも若干広い間隔となる。
【0027】
背面カバー板15の上部には、背面カバー板15を貫通する長方形の取っ手孔19が開設される。取っ手孔19は、大人の指が数本入る程度の大きさである。遊具本体2は、取っ手孔19を手で持つことで、バランス良く持ち上げて運ぶことができる。また、前面カバー板13と背面カバー板15とは、遊具台11に立設するようにネジ止めされるとともに、補強固定部材14にネジ止めされている。したがって、取っ手孔19を手で持ったときに、背面カバー板15と前面カバー板13との間隔が広がり難い。また、取っ手孔19のみを持って遊具本体2を持ち上げても、遊具本体2は壊れない。
【0028】
右サイドカバー部材16および左サイドカバー部材17は、略長方形形状を有する木製の板材である。これらの板材の一方の面には、溝部16a,17aが形成される。右サイドカバー部材16と左サイドカバー部材17とは、それらの溝部16a,17a同士が向かい合う姿勢で、遊具台11の左右両端部に立設される。
【0029】
また、遊具本体2は、図1において左下方に配設される駆動軸21と、その駆動軸21に取り付けられるハンドル部材22と、略正面中央に配設される従動軸23と、従動軸23とともに回転する回転体24と、を有する。前面カバー板13には、それらに対応して、駆動軸孔25と、従動軸孔26とが開設される。また、背面カバー板15にも、駆動軸孔27と、従動軸孔28とが開設される。
【0030】
前面カバー板13の駆動軸孔25は、前面カバー板13の下部であって、且つ、前面カバー板13の左端寄りの位置に開設される。背面カバー板15の駆動軸孔27は、遊具台11に固定される前面カバー板13の駆動軸孔25と一直線状に並ぶ位置に開設される。駆動軸孔25,27は、駆動軸21が遊びを持って挿入されるように、駆動軸21のそれぞれの挿入部分より一回り大きい円形状を有する。
【0031】
前面カバー板13の従動軸孔26は、前面カバー板13の上部において、その円形状の中心に開設される。背面カバー板15の従動軸孔28は、遊具台11に固定される前面カバー板13の従動軸孔26と一直線状に並ぶ位置に開設される。従動軸孔26,28は、共に、上下方向に長い長孔形状を有する。
【0032】
駆動軸21は、略均一な半径の円柱形状を有する大径円柱部21aと、その大径円柱部21aの後方面から突出する小径の第一の突出部21bと、大径円柱部21aの前方面から突出する第一の突出部21bと同径の第二の突出部21cと、を有する。大径円柱部21a、第一の突出部21bおよび第二の突出部21cは、同心である。大径円柱部21aの外径は、背面カバー板15の駆動軸孔27および前面カバー板13の駆動軸孔25の各内径より大きい。
【0033】
第一の突出部21bは、背面カバー板15の駆動軸孔27に挿入される。第二の突出部21cは、前面カバー板13の駆動軸孔25に挿入される。第二の突出部21cは、前面カバー板13の前方へ突出する。駆動軸21は、前面カバー板13および背面カバー板15により、回転可能に支持される。
【0034】
ハンドル部材22は、4〜8cmの長さの略長方体形状を有するハンドルアーム22aと、つまみ部材22bと、を有する。ハンドルアーム22aの一端部は、前面カバー板13より前方に突出する駆動軸21の第二の突出部21cに固定される。ハンドルアーム22aと前面カバー板13との間には、木製のスペーサ29が配設される。ハンドルアーム22aの他端部には、つまみ部材22bが回転可能に取付られる。
【0035】
従動軸23は、円柱形状を有する。従動軸23は、その一端が背面カバー板15の従動軸孔28に挿入され、他端が前面カバー板13の従動軸孔26に挿入される。従動軸23は、前面カバー板13および背面カバー板15により、回転可能に支持される。また、従動軸23は、従動軸孔26,28が上下方向に長い長孔とされるため、これらの従動軸孔26,28内において上下方向に移動できる。従動軸23の他端部は、前面カバー板13より前へ突出し、他端部には、半球形状の軸カバー部材30が固定される。
【0036】
回転体24は、1cm弱の厚さの合板を、略均一な半径の円板形状に形成したものである。回転体24の外周面は、円柱の外周面と同様に軸方向に関して平らである。回転体24の中心には、従動軸23が固定される。従動軸23は、図3に示すように、その両端が回転体24の前面および背面から突出する。
【0037】
図4は、回転体24の支持状態を示す説明図である。図4に示すように、従動軸23は、従動軸孔26,28内において上下方向に移動することができる。一方、従動軸孔26,28と駆動軸孔25,27との間隔は、駆動軸21の大径円柱部21aの半径と回転体24の半径とを加算した長さと同一か若干短くしてある。したがって、前面カバー板13および背面カバー板15により駆動軸21および従動軸23を支持した状態では、回転体24の外周面は、駆動軸21の大径円柱部21aの周面に、回転体24に働く重力の作用により所定の圧力をもって当接する。この当接状態では、従動軸23は、従動軸孔26,28の下端から離間する一方、回転体24および従動軸23は、駆動軸21の上に乗っかることとなる。木製の回転体24および従動軸23の重さは、駆動軸21に加えられる。たとえば駆動軸21を回転させたときに、回転体24の外周面と駆動軸21の大径円柱部21aの周面との間に作用する摩擦力は、それらの重さで大きくなる。よって、回転体24は、駆動軸21の回転に追従して回転する。
【0038】
また、前面カバー板13と回転体24との間には、木製のスペーサ31が配設される。背面カバー板15と回転体24との間には、他の木製のスペーサ32が配設される。これにより、回転体24は、前面カバー板13と背面カバー板15との間において、その略中央部に配設される(図3参照)。また、従動軸23は、回転体24に固定され、一体的に動作する。これらの構造により、回転体24は、前面カバー板13と背面カバー板15との間で、大きく倒れてしまうことはない。
【0039】
また、回転体24の外周面は、上述したように平らであり、駆動軸21の大径円柱部21aの外周面と直線状または面的に当接する。回転体24は前面カバー板13と背面カバー板15との間で大きく倒れにくくなっている。そのため、回転体24と駆動軸21とが回転している状態であっても回転体24の姿勢が維持され、回転体24と駆動軸21とは、直線状または面的に接触する。駆動軸21と回転体24との間には、上述した大きな摩擦力が略常時作用することになる。なお、両者が面的に当接する場合とは、回転体24と駆動軸21のいずれか一方または両方が弾性変形し、面的に係合する場合をいう。よってたとえば駆動軸21の外周にゴム部材を配置すれば、そのゴム部材がたわむことで面的な当接状態が得られる。
【0040】
また、図3に示すように、駆動軸21の大径円柱部21aには、ゴム製の2つの環状部材33,34が配設される。2つの環状部材33,34は、大径円柱部21aにおいて、回転体24の外周面が当接する部位の前後に配設される。回転体24の周縁部の側面、すなわち前後面は、この2つの環状部材33,34の間に挟まれる(図3、図4参照)。この結果、回転体24は、より倒れ難くなり、且つ、大径円柱部21aの回転に対してよりスリップし難くなる。
【0041】
ところで、回転体24の外周部には、8個の搬送孔36が形成される。8個の搬送孔36は、所定の等角度間隔(度)、この実施の形態では45度間隔にて、回転体24の外周面に沿って配列される。搬送孔36は、木球1の外径より一回り大きい穴径を有する。搬送孔36は、前面カバー板13の上方に位置するとき、この実施の形態では上方の約270度にわたる範囲に位置するとき、その孔の上半分が前面カバー板13の上から露出する。よって、搬送孔36内に収容されている木球1は、斜め下方から上端の約135度にわたる範囲に位置するとき、前方から見えることとなる。
【0042】
また、遊具本体2は、次のような木球1の循環路を有する。
【0043】
まず、背面カバー板15には、球体排出孔としての木球排出孔41と、木球1を背面から前方に移動させる木球前出し孔42とが開設されている。前面カバー板13には、球体吸込み孔としての木球吸込み孔43が開設されている。前面カバー板13の背面には、玉当て部材44が配設されている。背面カバー板15の前面には、玉ガイド部材45が配設されている。遊具本体2は、レール部材としての第一レール部材46と、レール部材としての第二レール部材47と、レール部材としての第三レール部材48と、レール部材としての第四レール部材49と、レール部材としての第五レール部材50と、レール部材としての第六レール部材51と、を有する。第一レール部材46、第二レール部材47、第三レール部材48および第四レール部材49は、背面カバー板15の背面に、上から順番に縦に並べて配設される。
【0044】
背面カバー板15の木球排出孔41は、背面カバー板15の上部中央部に配設される。木球排出孔41は、遊具を前方から見たときに、その孔の上半分が前面カバー板13の上方から露出する高さ位置に形成される。また、木球排出孔41は、取っ手孔19の下方に配設される。木球排出孔41は、木球1の外径より一回り大きい内径を有する。よって、木球1は、木球排出孔41をスムースに通過することができる。
【0045】
玉当て部材44は、前面カバー板13の背面に配設される。玉当て部材44は、木球排出孔41の略中央へ向かって突出して配設される。玉ガイド部材45は、背面カバー板15の前面に配設される。玉ガイド部材45は、木球排出孔41の下方から左にかけて、木球排出孔41の孔縁に沿って配設される。
【0046】
第一レール部材46は、図2に示すように、一方向に長い平板形状を有する平板部46aと、平板部46aの短尺方向の一端に沿って立設されるガード部46bと、を有し、略L字断面形状とされている。第一レール部材46は、前方から見た場合、左下がりの姿勢で、背面カバー板15の背面に固定される。第一レール部材46の右端は、木球排出孔41より右側に延びる。第一レール部材46の左端部には、木球1が通過できる大きさの長方形孔46cが形成される。
【0047】
第二レール部材47は、一方向に長い平板形状を有する平板部47aと、平板部47aの短尺方向の一端に沿って立設されるガード部47bと、を有し、略L字断面形状に形成される。第二レール部材47は、前方から見た場合、右下がりの姿勢で、背面カバー板15の背面に固定される。第二レール部材47の左端部には、切欠部47cが形成される。切欠部47cの右側には、コルク製の緩衝部材52が配設される。緩衝部材52の上面は、右下がりになっている。第二レール部材47の右端部には、木球1が通過できる大きさの長方形孔47dが形成される。
【0048】
第三レール部材48は、一方向に長い平板形状を有する平板部48aと、平板部48aの短尺方向の一端に沿って立設されるガード部48bと、を有し、略L字断面形状に形成される。第三レール部材48は、前方から見た場合、左下がりの姿勢で、背面カバー板15の背面に固定される。第三レール部材48の右端部には、切欠部48cが形成される。切欠部48cは、ガード部48bを残して、平板部48aに形成される。切欠部48cの左側には、コルク製の緩衝部材53が配設される。緩衝部材53の上面は、左下がりになっている。第三レール部材48の左端部には、木球1が通過できる大きさの長方形孔48dが形成される。
【0049】
第四レール部材49は、一方向に長い平板形状を有する平板部49aと、平板部49aの短尺方向の一端部に立設されるガード部49bと、を有し、略L字断面形状に形成される。第四レール部材49は、前方から見た場合、右下がりの姿勢で、背面カバー板15の背面に固定される。第四レール部材49の左端は、左サイドカバー部材17に当接する。第四レール部材49の左端部には、長方形孔49cが形成される。長方形孔49cの右側には、コルク製の緩衝部材54が配設される。緩衝部材54の上面は、右下がりになっている。第四レール部材49の右端部には、長方形孔49dが形成される。
【0050】
第四レール部材49の右端部の前には、木球前出し孔42がある。この木球前出し孔42の後方に位置する平板部49aには、わずかに前下がりの溝が設けられている。木球前出し孔42は、前方から見たときに、第六レール部材51より少し上側となる位置に開設される。木球1は、木球前出し孔42を通過することができる。
【0051】
前面カバー板13の木球吸込み孔43は、前面カバー板13のくびれ部13aと略同じ高さ位置であって、且つ、前面カバー板13の左右方向中央部より右寄りの位置に開設される。木球1は、木球吸込み孔43を通過することができる。
【0052】
第五レール部材50は、平板形状を有する平板部50aと、この平板部50aの両端部に沿って立設される一対のガード部50b,50cと、を有し、断面形状を略コの字断面形状に形成される。第五レール部材50は、木球前出し孔42の下において前下がりとなる姿勢にて配設される。後述する第六レール部材51の右端は、第五レール部材50より右側に延びる。
【0053】
第六レール部材51は、一方向に長い平板形状を有する平板部51aと、平板部51aの短尺方向の一端部に沿って立設されるガード部51bと、を有し、略L字断面形状に形成される。第六レール部材51は、平板部51aの長尺方向がレール台12の上面の長尺方向にそって配設される。第六レール部材51の左端は、木球吸込み孔43より左側に延びる。第六レール部材51は、木球吸込み孔43の下となる部位に、溝51cが形成される。この溝51cは、平板部51aの短尺方向に沿って形成される。溝51cの深さは、前側より後側にかけてだんだんと深くなるように形成される。溝51cに入り込んだ木球1は、その場に静止しようとしても、溝51cに沿って後側方向に移動し、溝51cの後ろ側にある木球吸込み孔43に入り込む。
【0054】
第六レール部材51の溝51cの左側には、棒部材55が立設される。棒部材55は、第六レール部材51の平板部51aの前後方向中央部よりわずかに前寄りに立設される。棒部材55と前面カバー板13との間隔は、木球1の半径より広い。また、棒部材55とガード部51bとの間隔は、木球1の半径より狭い。よって、第六レール部材51の上をころがって棒部材55にあたった木球1は、後ろ側に跳ね返る。
【0055】
また、遊具本体2は、音板としての第一の木琴板61と、音板としての第二の木琴板62と、を有する。
【0056】
第一の木琴板61は、左サイドカバー部材17の溝部17a内であって、背面カバー板15の後側となる位置において、第一レール部材46の長方形孔46cと、第二レール部材47の切欠部47cと、第三レール部材48の長方形孔48dと、第四レール部材49の長方形孔49cと、を貫通するように配設される。第二の木琴板62は、右サイドカバー部材16の溝部16a内であって、背面カバー板15の後側となる位置において、第二レール部材47の長方形孔47dと、第三レール部材48の切欠部48cと、第四レール部材49の長方形孔49dと、を貫通するように配設される。第一の木琴板61と第二の木琴板62とは、それらの平らな表面が互いに向かい合わせに配設される。これら木琴板61,62は、たとえば木球1がぶつかると、所定の音階の心地よい音を発するものである。第二の木琴板62が発する音の音階は、第一の木琴板61と同じものであっても、異なるものであってもよい。
【0057】
なお、木琴板61,62の材料としては、たとえば樫材、アフリカンパドックなどのカリン系材、ローズウッド材などのシロフォンなどに使用されるものを使用するのが好ましい。木琴板61,62の替わりに、金属製の板からなる鉄琴板を使用してもよい。
【0058】
次に、以上の構成を有する実施の形態1に係る遊具の動作を、その遊び方とともに説明する。実施の形態1に係る遊具で遊ぶ場合、第六レール部材51の上に、木球1を乗せる。木球1は、1つであっても、複数であってもよい。
【0059】
第六レール部材51の上に乗せられた木球1は、第六レール部材51の左下がりの傾きにしたがって、左側に移動し、棒部材55に当たる。棒部材55の右側には、溝51cが形成されている。木球1は、溝51cの深さおよび後下がりの形状にガイドされて木球吸込み孔43にスムースに入る。
【0060】
第六レール部材51の上に木球1を乗せた後、使用者は、つまみ部材22bを手でもち、つまみ部材22bを時計周り(右周り)に回す。つまみ部材22bの回転にしたがって駆動軸21の大径円柱部21aは右周りに回る。大径円柱部21aには、回転体24が当接している。回転体24は、大径円柱部21aの右周りの回転にしたがって、反時計周り(左周り)に回る。
【0061】
回転体24の搬送孔36は、回転体24の回転にしたがって、木球吸込み孔43と重なる位置に移動する。第六レール部材51の溝51cは、前側より後側にかけてだんだんと深くなるように形成される。また、木球吸込み孔43の下面も前側よりも後側が下がっている斜面に形成されている。よって、木球吸込み孔43内にある木球1は、回転体24の搬送孔36に吸い込まれるようにスムースに移動する。木球1は、搬送孔36に収容される。
【0062】
つまみ部材22bの回転にしたがって回転体24がさらに回転すると、搬送孔36に収容された木球1は、搬送孔36とともに持ち上げられる。回転体24の前後には、前面カバー板13と背面カバー板15とが立設されている。木球1は、前面カバー板13および背面カバー板15により落下しないように支えられ、搬送孔36から脱落することなく持ち上げられる。前面カバー板13の上部は、搬送孔36の半分が露出するように形成されている。使用者は、つまみ部材22bの回転にしたがって木球1が回転して持ち上げられている様子を、観察することができる。
【0063】
回転体24の回転とともに持ち上げらける木球1は、玉当て部材44に当接する。玉当て部材44は、木球排出孔41の略中央へ向かって突出している。木球1は、回転体24の回転にしたがって、搬送孔36から後ろへ押出され、搬送孔36が木球排出孔41に重なる際に、木球排出孔41から背面カバー板15の裏側へ移動する。なお、背面カバー板15と回転体24との間には、玉ガイド部材45が配設されている。そのため、木球1は、背面カバー板15と回転体24との間で引っかかってしまうことなく、スムースに背面カバー板15の裏側へ移動する。
【0064】
木球排出孔41の後ろ側には、第一レール部材46が配設される。第一レール部材46は、左下がりの姿勢で配設されている。背面カバー板15の裏側へ移動した木球1は、第一レール部材46の傾きにしたがって、左側へ移動する。背面カバー板15の裏側へ移動した木球1は、第一レール部材46のガード部46bにより、第一レール部材46から落下しない。
【0065】
第一レール部材46の左端部には、木球1より大きい長方形孔46cが形成される。第一レール部材46上を移動する木球1は、この長方形孔46cから落下する。なお、第一レール部材46の傾きで加速された木球1は、落下しながら第一の木琴板61に当たる。第一の木琴板61は、木球1にたたかれることで、所定の音階の心地よい音を発する。
【0066】
第一の木琴板61で跳ね返った木球1は、第二レール部材47の上に配設されたコルク製の緩衝部材52の上に落下する。コルク製の緩衝部材52は、木球1が落下しても耳障りな大きな音を発しない。コルク製の緩衝部材52に落下した木球1は、緩衝部材52の上面の右下がりの傾きにしたがってスムースに第二レール部材47の上に移動する。木球1は、右下がりの第二レール部材47上を右側へ移動する。木球1は、第二レール部材47のガード部47bにより、第二レール部材47から落下しない。
【0067】
第二レール部材47の右端部には、木球1より大きい長方形孔47dが形成される。第二レール部材47上を移動する木球1は、この長方形孔47dから落下する。なお、第二レール部材47の傾きで加速された木球1は、落下しながら第二の木琴板62に当たる。第二の木琴板62は、木球1にたたかれることで、所定の音階の心地よい音を発する。
【0068】
第二の木琴板62で跳ね返った木球1は、第三レール部材48の上に配設されたコルク製の緩衝部材53の上に落下する。コルク製の緩衝部材53は、木球1が落下しても耳障りな大きな音を発しない。コルク製の緩衝部材53に落下した木球1は、緩衝部材53の上面の左下がりの傾きにしたがってスムースに第三レール部材48の上に移動する。木球1は、左下がりの第三レール部材48上を左側へ移動する。木球1は、第三レール部材48のガード部48bにより、第三レール部材48から落下しない。
【0069】
第三レール部材48の左端部には、木球1より大きい長方形孔48dが形成される。第三レール部材48上を移動する木球1は、この長方形孔48dから落下する。なお、第三レール部材48の傾きで加速された木球1は、落下しながら第一の木琴板61に当たる。第一の木琴板61は、木球1にたたかれることで、所定の音階の心地よい音を発する。
【0070】
第一の木琴板61で跳ね返った木球1は、第四レール部材49の上に配設されたコルク製の緩衝部材54の上に落下する。コルク製の緩衝部材54は、木球1が落下しても耳障りな大きな音を発しない。コルク製の緩衝部材54に落下した木球1は、緩衝部材54の上面の右下がりの傾きにしたがってスムースに第四レール部材49の上に移動する。木球1は、右下がりの第四レール部材49上を右側へ移動する。木球1は、第四レール部材49のガード部49bにより、第四レール部材49から落下しない。
【0071】
第四レール部材49の右端部には、第二の木琴板62がある。第四レール部材49上を移動する木球1は、第二の木琴板62に当たる。第二の木琴板62は、木球1にたたかれることで、所定の音階の心地よい音を発する。
【0072】
第四レール部材49の右端部の前には、木球前出し孔42がある。木球1は、第二の木琴板62に当たった後、わずかに前下がりとなっている平板部49aの傾斜に沿って前方へ移動し、木球前出し孔42を通って、木球前出し孔42から第五レール部材50に移動する。木球1は、遊具の前側に出てくる。木球1は、第五レール部材50を転がり落ちて第六レール部材51に移動する。木球1は、第六レール部材51のガード部51bにより、第六レール部材51から落ちない。第六レール部材51の上に移動した木球1は、第六レール部材51の左下がりの傾きにしたがって、左側に移動する。木球1は、棒部材55にあたって後ろ側に跳ね返され、溝51cに沿って移動し、再び木球吸込み孔43に入る。
【0073】
このとき、つまみ部材22bが右回りに回されていると、木球吸込み孔43に入った木球1は、再び回転体24の搬送孔36に収容されて持ち上げられる。また、木球1は、玉当て部材44に当接して木球排出孔41から背面カバー板15の裏側へ排出される。木球1は、第一レール部材46、第二レール部材47、第三レール部材48および第四レール部材49の上を転がって移動し、木球前出し孔42から第五レール部材50を介して、第六レール部材51に戻ってくる。木球1は、つまみ部材22bが回しつづけられることで、回転体24により持ち上げられ、この複数のレール部材などで構成される循環路を循環し続ける。
【0074】
使用者は、つまみ部材22bを回すだけで、木球1が回転体24により持ち上げられる様子を見て楽しみ、木球1が木球前出し孔42から飛び出してくる様子を楽しみ、第一の木琴板61および第二の木琴板62により繰り返される心地よい音色を楽しむことができる。すなわち、使用者は、つまみ部材22bを回し続けることで、立体的な動きと音色とを継続的に楽しむことができる。また、複数の木球1を使用すれば、木球1の立体的且つ連続的な動きと連続的な音とを同時に楽しむことができる。
【0075】
さらに、遊具の裏側にいる他の人などは、木球排出孔41から飛び出してくる木球1が、第一レール部材46、第二レール部材47、第三レール部材48および第四レール部材49を順番に移動しながら落下する様子を見て楽しみ、第一の木琴板61および第二の木琴板62による心地よい音色を聞いて楽しむことができる。
【0076】
また、第二レール部材47の傾き、第三レール部材48の傾き、および第四レール部材49の傾きは、略等しくなっている。また、第二レール部材47と第三レール部材48との間隔と、第三レール部材48と第四レール部材49との間隔とは、略等しくなっている。また、第二レール部材47、第三レール部材48および第四レール部材49の木球1の落下位置には、木球1の勢いを吸収するコルク製の緩衝部材52,53,54が配設されている。そのため、第一レール部材46から落下してから第二レール部材47から落下するまでの時間間隔と、第二レール部材47から落下してから第三レール部材48から落下するまでの時間間隔と、第三レール部材48から落下してから第四レール部材49の右端まで移動するまでの時間間隔とは、略等しい。落下する木球1は、第一の木琴板61と第二の木琴板62とに略等間隔の時間で回当たる。第一の木琴板61および第二の木琴板62による心地よい音色は、繰り返し、リズミカルに発せられる。
【0077】
さらに、第二レール部材47において木球1が落下してくる位置と、第三レール部材48において木球1が落下してくる位置と、第四レール部材49において木球1が落下してくる位置とには、それぞれコルク製の緩衝部材52,53,54が配設されている。そのため、木球1が第二レール部材47などへ落下するときに大きな落下音が発生しない。使用者などは、第一の木琴板61および第二の木琴板62以外のものによる大きな音を耳にすることなく、第一の木琴板61および第二の木琴板62による心地よい音色を鑑賞することができる。
【0078】
以上のように、この実施の形態1に係る遊具では、ハンドル部材22の回転にしたがって回転する回転体24で木球1を持ち上げ、持ち上げた木球1を複数のレール部材などにより構成される循環路で転がらせて回転体24の下に戻す。また、第一レール部材46、第二レール部材47、第三レール部材48および第四レール部材49は、九十九折りに配列され、その複数の折り返し箇所には複数の木琴板61,62が設けられている。
【0079】
その結果、乳幼児、小学生、老人などの使用者は、木球1の立体的な動き(垂直方向の動き)と木琴板61,62の心地良い音色により、たとえば積み木などの従来の木製の遊具に比べて長い期間にわたって飽きることなく遊ぶことになる。また、木球1は、縦に移動するので、遊具として多くの平面スペースを必要としない。
【0080】
また、前面カバー板13の従動軸孔26および背面カバー板15の従動軸孔28は、上下方向に長い長孔形状を有する。また、回転体24は、その外周面が駆動軸21の大径円柱部21aの外周面に当接し、且つ、従動軸23が一対の従動軸孔26,28の下端から離間するように形成している。そのため、回転体24および従動軸23は、駆動軸21の上に乗った状態となる。回転体24および従動軸23の重さで、回転体24と駆動軸21の大径円柱部21aとの間に作用する摩擦力は、大きくなる。
【0081】
特に、回転体24と駆動軸21とを一体化し、回転体24の前後に一対のスペーサ31,32を配設している。これにより、回転体24を倒れ難くなる。また、大径円柱部21aには、回転体24の外周面が当接する部位の前後に、ゴム製の2つの環状部材33,34が配設されている。これにより、たとえばつまみ部材22bの回転速度にむらがあったとしても、その回転むらなどに起因するすべりの発生が抑制される。また、回転体24の外周面と、駆動軸21の大径円柱部21aとは、一点で接触するのではなく、線的または面的に接触する状態に維持される。
【0082】
その結果、回転体24は、つまみ部材22bの回転にしたがって当該摩擦力により駆動軸21とともにスムースに回転する。回転体24は、遊具の外観として大きく露出しているその外周面にたとえば駆動軸21との摩擦力を確保するためのゴムテープなどを貼着する必要が無くなり、ゴムテープなどによって木製の遊具の外観を損なってしまうことはない。しかも、乳幼児などがたとえば回転体24の搬送孔36と木球吸込み孔43とに誤って指をいれたとしても、駆動力は回転体24などの重さによって発生する摩擦力に起因するものであり、その力は大きくないため、その指を回転体24と前面カバー板13とで強く挟んでしまうことはない。よって、指が切れたりすることはなく、安全である。
【0083】
また、前面カバー板13の裏面には、背面カバー板15の木球排出孔41に向かって突出する玉当て部材44が配設されているので、回転体24の搬送孔36に収容されている木球1は、玉当て部材44に当接する。したがって、木球1は、回転体24の回転にともなって玉当て部材44により搬送孔36から後ろへ押出され、木球排出孔41から背面カバー板15の裏側へスムースに移動する。
【0084】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る遊具は、移動体としての走行体と、遊具本体とを有する。この木製の遊具は、乳幼児、小学生、老人などを対象とする遊具である。
【0085】
図5(A)は、本発明の実施の形態2に係る走行体101を示す正面図である。図5(B)は、図5(A)の走行体101を示す上面図である。走行体101は、ボディ102と、一対の車輪体103,104と、を有する。
【0086】
ボディ102は、木製で、一方向に長い略立方体形状を有する。ボディ102は、図5(A),(B)の各状態で共に左右対称に形成されている。ボディ102の長尺方向両端部には、一対の面を貫通するように、一対の貫通孔102a,102bが開設される。一方の車輪体103は、車軸103aと、車軸103aの両端に設けられる1組の車輪103b,103cと、を有する。車軸103aは、貫通孔102aに回転可能に挿入される。1組の車輪103b,103cは、ボディ102の長尺方向中央部の厚さより大径の円板形状に形成されたものである。1組の車輪103b,103cは、ボディ102の両側面から突出する車軸103aの両端に取り付けられる。また、各車輪103b,103cは、画鋲の頭部のように、その中心部より周縁部が薄くなっている。他方の車輪体104も、ボディ102の貫通孔102bに回転可能に挿入される車軸104aと、車軸104aの両端に設けられる1組の車輪104b,104cと、を有する。
【0087】
ボディ102に2組の車輪103,104が取り付けられると、走行体101は、その2組の車輪103,104で接地する。また、ボディ102の上下を裏返しても、走行体101は、その2組の車輪103,104で接地する。以下、ボディ102の一対の貫通孔102a,102bが開設される一対の面をボディ102の側面とよぶ。ボディ102の長尺方向両端部の上下の両面には、テーパー面加工が施され、テーパー面102cが形成される。この結果、ボディ102の前後部となる長尺方向両端は、先細りの形状となり、ボディ102の長尺方向中央部の厚さより薄くなる。また、図5に示すように、ボディ102の長尺方向の一端は一方の組の車輪103b,103cの間に隠れ、ボディ102の長尺方向の他端は他方の組の車輪104b,104cの間に隠れる。
【0088】
図6は、本発明の実施の形態2に係る遊具の遊具本体110を示す正面図である。図7は、図6の遊具本体110の上面図である。以下、図6の正面図における遊具本体110の姿勢を基準として、本発明の実施の形態に係る遊具の説明において、上下左右前後の呼び名を使用する。
【0089】
遊具本体110は、遊具台111を有する。遊具台111は、ぶな材などの木材を、四角形の長尺な一枚板に形成したものである。遊具台111の厚さは、1〜3cmである。図6において、遊具台111の長尺方向は、左右方向となる。
【0090】
遊具台111の上には、前支柱112と、一対の軸受け部材の中の一方としての中支柱113と、一対の軸受け部材の中の他方としての後支柱114と、左支柱115と、右支柱116と、固定板117と、レール軸受け部材としてのシーソー台118とが立設される。
【0091】
前支柱112および後支柱114は、長尺な平板である。前支柱112と後支柱114とは同じ大きさである。前支柱112は、長尺方向両端の一方の面が遊具台111に当接する姿勢で、遊具台111の長尺方向のやや左寄りであって、遊具台111の短尺方向一端寄りの位置(図6では前寄りの位置)に立設される。後支柱114は、長尺方向両端の一方の面が遊具台111に当接する姿勢で、遊具台111の長尺方向やや左寄りであって、遊具台111の短尺方向他端寄りの位置(図6では後寄りの位置)に立設される。図6において、後支柱114は、前支柱112の裏側に重なった状態で位置する。
【0092】
前支柱112の上端部と、後支柱114の上端部とは、取手棒119により固定される。遊具本体110は、取手棒119を手で持つことで、バランス良く持ち上げて運ぶことができる。取手棒119のみを持って遊具本体110を持ち上げても、遊具本体110は壊れない。
【0093】
中支柱113は、前支柱112および後支柱114より若干短い長尺な平板である。中支柱113は、長尺方向両端の一方の面が遊具台111に当接する姿勢で、遊具台111の長尺方向のやや左寄りであって、遊具台111の短尺方向中央部の位置に立設される。図6において、中支柱113は、前支柱112の裏側に位置する。前支柱112、中支柱113および後支柱114は、互いに並行に並ぶ。
【0094】
なお、後述するように、中支柱113の上部と後支柱114の上部との間には、第一レール部材121が固定される。中支柱113と前支柱112との間には、第二レール部材123、第四レール部材126および第六レール部材129が固定される。中支柱113は、前支柱112と後支柱114との間で前後にぶれない。
【0095】
左支柱115は、略長方形形状を有する木製の板材である。左支柱115の一方の面には、溝部115aが形成される。右支柱116は、略長方形形状を有する木製の板材である。右支柱116の一方の面には、溝部116aが形成される。右支柱116の溝部116aと、左支柱115の溝部115aとは、向かい合う。溝部115aは、溝部116a2本分の幅より若干広い幅に形成される。
【0096】
固定板117は、略四角形の合板を、その一つの辺から、後述する円板144と略同じ半径の円弧にて、くりぬいた外形形状を有する。以下、このくりぬきにより形成される凹部を、半月凹部117aと呼ぶ。固定板117の厚さは、走行体101のボディ102の幅W1と略等しい。固定板117は、中支柱113と後支柱114との間の位置から、左支柱115にかけて立設される。固定板117は、その半月凹部117aが右支柱116に対向する向きで、立設される。固定板117の左支柱115側の面は、左支柱115の溝部115a内に、背面寄りの位置に固定される。
【0097】
シーソー台118は、一対の板材からなる。一対の板材は、遊具台111の中央部と右端部との間に立設される。シーソー台118の一対の板材は、後述する第五レール部材128の略中間点より若干中央部寄り(図6では左より)となる位置に立設される。シーソー台118の一対の板材の間には、シーソー台118を中心として揺動することとなる第五レール部材128が配設される。
【0098】
また、遊具本体110は、走行体101が走行する走行路を有する。すなわち、遊具本体110は、レール部材および最上部レール部材としての第一レール部材121と、第一反転部材122と、レール部材としての第二レール部材123と、第二反転部材124と、レール部材としての第三レール部材125と、レール部材としての第四レール部材126と、第三反転部材127と、供給レール部材としての第五レール部材128と、第六レール部材129と、を有する。なお、以下の説明では、遊具本体101の下方に位置するものから上方に位置するものへと順番に説明してゆく。
【0099】
第五レール部材128は、平板形状を有する平板部128aと、この平板部128aの両端部に沿って立設される一対のガード部128bと、を有し、略コの字断面形状に形成される。第五レール部材128は、シーソー台118となる一対の板材の間に、揺動可能に軸支される。第五レール部材128は、中支柱113と後支柱114との間の位置から、右支柱116に近接する位置までにわたる長さを有する。シーソー台118は、中支柱113と後支柱114との間の位置と右支柱116との間の略中間点より若干中支柱113および後支柱114寄り(図6では左より)の位置に立設される。第五レール部材128は、シーソー台118の左側の部分より、右側の部分が長い。第五レール部材128は、右支柱116側(右側)の端部の下面に、脚部材130が固定される。第五レール部材128は、この脚部材130の重さなどにより、軸支位置118aより右側が重く、通常状態(走行体101が乗っていない状態)では、脚部材130の裏面が遊具台111に当接した状態になる。
【0100】
第五レール部材128の下面に固定される脚部材130の高さは、遊具台111から、上述した第五レール部材128の軸支位置118aまでの高さより高い。脚部材130が遊具台111に当接した状態において、第五レール部材128は、左下がりの姿勢となる。この脚部材130が遊具台111に当接した状態において、第五レール部材128の左端部は、遊具台111から離間する。また、第五レール部材128は、固定板117の半月凹部117aの下方位置での接線方向に延びるようにして、一直線状にならぶ。
【0101】
第三反転部材127は、右支柱116の溝部116a内に一部が入り込むように配設される。第三反転部材127は、その上面が左下がりとなる。第三反転部材127は、その左下端部が、第五レール部材128の右端部の真上より若干右側に位置する高さで配設される。
【0102】
第四レール部材126は、平板形状を有する平板部126aと、この平板部126aの両端部に沿って立設される一対のガード部126bと、を有し、略コの字断面形状を有する。第四レール部材126は、その途中でS字に屈曲しており、後述する第二レール部材123の右方と略同形状とされている。第四レール部材126の右端部には、切欠部126dが形成される。切欠部126dは、一対のガード部126bを残して、且つ、走行体101の全長より若干短い長さの立方体形状にて、平板部126aに形成される。第四レール部材126は、一対のガード部126bの間に第三反転部材127の上部を挟む位置高さで、右支柱116に固定される。第四レール部材126の左端部は、前支柱112と中支柱113との間に固定されるとともに、右下がりの姿勢となる高さで、前支柱112および中支柱113に固定される。
【0103】
第六レール部材129は、平板形状を有する平板部129aと、この平板部129aの両端部に沿って立設される一対のガード部129bと、を有し、略コの字断面形状を有する。第六レール部材129の右端部は、右支柱116の手前側において、遊具台111に固定され、第六レール部材129の左端部は、前支柱112と中支柱113との間に固定される。第六レール部材129は、右下がりの姿勢となる高さで、前支柱112および中支柱113に固定される。第六レール部材129の左端部は、第四レール部材126の左端部の略真下に位置する。
【0104】
第二反転部材124は、左支柱115の溝部115a内に、前寄りの位置にて配設され、その上面が右下がりとなる。第二反転部材124の右下端部は、第四レール部材126の右端部より高い位置にある。第二反転部材124の右下端部には、前後方向に突出させて、後述する第三レール部材125の揺動支点となる揺動軸124bが形成される。
【0105】
第三レール部材125は、平板形状を有する平板部125aと、この平板部125aの両端部に沿って立設される一対のガード部125bと、を有し、略コの字断面形状を有する。第三レール部材125は、直線状であり、左支柱115から、前支柱112と中支柱113との間の位置までに至る長さを有する。
【0106】
第三レール部材125の左端部には、切欠部125dが形成される。切欠部125dは、一対のガード部125bを残して、平板部125aに形成される。一対のガード部125bの左端部には、一対の貫通孔が開設される。その一対の貫通孔には、第二反転部材124の揺動軸124bが挿入される。第三レール部材125は、この揺動軸124bを支点として、上下方向に揺動することができる。
【0107】
前支柱112の裏面には、レール受け部材131が配設される。レール受け部材131は、第六レール部材129の右方向延長線上より若干下側となる位置に配設される。第三レール部材125の右端部は、時計方向に回動した際、このレール受け部材131に当たる。この状態で、第三レール部材125の平板部125aと、第六レール部材129の平板部129aとは、略連続する面を形成する。
【0108】
前支柱112の下部と中支柱113の下部とには、レール受け部材131より低い位置に、貫通孔が形成される。これらの貫通孔には、回転軸132が回転可能に挿入される。回転軸132には、縦に長い板形状を有する支板133が固定される。支板133は、遊具台111から第四レール部材126の左端部までの高さより若干短い高さを有する。支板133の下端部には、支板133から下へ突出させて環状のゴム部材134が配設される。支板133の上部には、支板133の前方に突出させて取手部135が取付られる。回転軸132は、支板133の略中央部を貫通する。
【0109】
図6に示すように、取手部135を持って支板133を時計回り(右周り)に回転すると、支板133の下部から突出するゴム部材134が、支板133と遊具台111との間に挟まる。ゴム部材134が両者の間に挟まることで、ゴム部材134と遊具台111との間に摩擦係合力が発生し、支板133は立ち姿勢に保持される。支板133の上端は、第四レール部材126の左端部より高い位置に保持される。第三レール部材125の右端部は、その支板133の上端により支えられる。この状態で、第三レール部材125の平板部125aと、第四レール部材126の平板部126aとは、略連続する面を形成する。なお、取手部135は、前支柱12の側面に突き当たり、それ以上の時計回りの回転は阻止される。
【0110】
取手部135を持って支板133を反時計回り(左周り)に回転させると、ゴム部材134が遊具台111から外れ、支板133は倒れ、第三レール部材125から離間する。この状態では、第三レール部材125は時計方向に回動し、その右端部は、レール受け部材131に乗る。このとき、第三レール部材125の平板部125aと、第六レール部材129の平板部129aとは、略連続する面を形成する。
【0111】
第二レール部材123は、平板形状を有する平板部123aと、この平板部123aの両端部に沿って立設される一対のガード部123bと、を有し、略コの字断面形状を有する。第二レール部材123は、図7に示されるように、その途中でS字に屈曲している。第二レール部材123の左端部には、切欠部123dが形成される。切欠部123dは、一対のガード部123bを残して、且つ、走行体101の全長より若干短い長さの立方体形状にて、平板部123aに形成される。第二レール部材123は、一対のガード部123bの間に第二反転部材124の上部を挟む位置高さで、左支柱115に、前方寄りの位置に固定される。第二レール部材123の右端部は、右支柱116の溝部116aに固定される。なお、第二レール部材123は、途中で、前支柱112および中支柱113に固定される。
【0112】
第一反転部材122は、右支柱116の溝部116a内に配設される。第一反転部材122は、その上面が左下がりとなる。第一反転部材122は、その下部が第二レール部材123の一対のガード部123bの間に位置する高さ位置にて、右支柱116に固定される。
【0113】
第一レール部材121は、平板形状を有する平板部121aと、この平板部121aの両端部に沿って立設される一対のガード部121bと、を有し、略コの字断面形状を有する。第一レール部材121は、直線状であり、右支柱116から左支柱115までの長さを有する。第一レール部材121の右端部には、切欠部121dが形成される。切欠部121dは、一対のガード部121bを残して、且つ、走行体101の全長より若干短い長さの立方体形状にて、平板部121aに形成される。第一レール部材121は、一対のガード部121bの間に第一反転部材122の上部を挟む位置高さで、右支柱116に固定されるるともに、第一レール部材121の左端部が、左支柱115の溝部115aに後方寄りに固定される。なお、第一レール部材121は、中支柱113と後支柱114との間を通過し、その通過部位が中支柱113および後支柱114に固定される。
【0114】
第一レール部材121の平板部121aは、固定板117の上面に当接する。第一レール部材121の平板部121aには、開口部となる第一開口部136およびこの第一開口部136と連続する開口として形成される第二開口部137が開設される。第一開口部136は、第二開口部137と固定板117との間に位置する。第二開口部137は、開口部の残部に相当する。
【0115】
第一開口部136は、一対のガード部121bの間隔と同じ幅を有する上下方向から見て四角形の開口部である。第一開口部136の幅は、走行体101の各組の車輪(たとえば103bと103cと)による車幅W2より幅広である。第一開口部136は、固定板117の上面の右端部の位置から、中支柱113と後支柱114をわずかに超える位置までにかけて形成され、その長さはL1(図7参照)とされる。
【0116】
第二開口部137は、走行体101の各組の車輪(たとえば103bと103cと)による車幅W2より若干狭い幅を有する四角形の開口部である。第二開口部137は、走行体101のボディ102の幅W1より幅広である。第二開口部137は、第一開口部136と略同じ左右方向の長さL2を有する。第二開口部137の前側および後側には、第一レール部材121の平板部121aが残っている。平板部121aのこの部位において、第一開口部136側の端部には、平板部121aの表面から裏面にかけて左方向に向かって斜めに下がるテーパー面138が形成されている。
【0117】
以上のように、第一レール部材121が右下がりに配設され、第一レール部材121の下側に第二レール部材123が左下がりに配設され、第二レール部材123の下側に第三レール部材125および第四レール部材126が右下がりに配設され、第四レール部材126の下側に第五レール部材128が左下がりに取り付けられることで、走行体101が走行する走行路が、右支柱116と左支柱115との間に九十九折れに形成される。また、第五レール部材128の左端部は、第一レール部材121の開口部の下に位置する。
【0118】
また、遊具本体110は、ハンドル部材141と、駆動軸142と、駆動回転体143と、回転体としての円板144と、姿勢安定化板145と、2つの従動回転体146,147と、を有する。図8は、円板144、その駆動機構およびその周辺部を示す説明図である。
【0119】
前支柱112の上部、中支柱113の上部および後支柱114の上部には、図示外の駆動軸孔が開設される。駆動軸142は、円柱の棒形状を有し、これら3つの駆動軸孔に、回転可能に配設される。駆動軸142は、前支柱112の前面から前方へ突出する。なお、これら3つの駆動軸孔は、第五レール部材128の左端部の略上方の位置に開設される。別な言い方をすれば、第五レール部材128の左端部と第一レール部材121の開口部との間の位置に開設される。
【0120】
ハンドル部材141は、ハンドルアーム141aと、つまみ部材141bと、を有する。ハンドルアーム141aは、3〜8cmの長さの略長方体形状を有する。ハンドルアーム141aの一端部は、前支柱112より前に突出する駆動軸142が固定される。ハンドルアーム141aの他方部には、つまみ部材141bが回転可能に取付られる。
【0121】
円板144は、固定板117と同様に走行体101のボディ102の幅と略等しい厚さの合板を、所定の半径の円形状に形成したものである。円板144の半径は、固定板117の半月凹部117aの半径に対し、わずかに小さい。円板144の外周部には、移動体としての走行体101が収容される収容部としての8個の搬送凹部148が形成される。搬送凹部148は、走行体101のボディ102を収容できる幅および深さの溝として形成される。すなわち、走行体101が搬送凹部148に収容された状態では、車輪103b,103c,104b,104cが固定板117と円板144を挟み込む状態になる。この結果、走行体101は、搬送凹部148から外れることなく上方に移動してゆくことになる。8個の搬送凹部148が外周部に略等間隔に形成されることで、円板144は、ギアに似た外形形状となる。また、円板144は、その外周と同心に大きな円孔149が形成される。この実施の形態2では、円孔149は、円板144の半径に対して、60〜80%程度の半径にて形成されている。
【0122】
駆動回転体143は、円板144より厚みのある薄い円板形状を有する回転体本体143aと、回転体本体143aの一方(前側)の外周に沿って突出する第一のリブ部143bと、回転体本体143aの他方(後側)の外周に沿って突出する第二のリブ部143cと、を有し、略ボビン形状に形成される。駆動回転体143は、中支柱113と後支柱114との間に配設される。駆動回転体143の中心には、駆動軸142が固定される。また、回転体本体143aの周囲には、ゴム製のOリング150が2つ配設される。
【0123】
円板144は、その円孔149内に駆動回転体143が位置するように、中支柱113と後支柱114との間に縦に配設される。円板144は、回転体本体143aの外周に巻設されるゴム製のOリング150の上に乗る。この状態で、円板144の下端は、固定板117および第五レール部材128から離間し、円板144の重さは、ゴム製のOリング150に加重される。たとえば駆動回転体143を回転させたときに、ゴム製のOリング150の外周面と円板144の内周面との間に作用する摩擦力は、大きくなる。円板144は、駆動回転体143の回転に追従して回転する。駆動軸142が挿入される3つの駆動軸孔は、第五レール部材128の左端部の略上方の位置に開設される。したがって、円板144がゴム製のOリング150の上に乗っている状態において、第五レール部材128は、円板144の下端の下に位置する。また、円板144がゴム製のOリング150の上に乗っている状態において、円板144の外周と、固定板117の半月凹部117aとは、若干離間する。その離間間隔は、1〜3mm程度であり、走行体101のボディ102の厚さYより狭い。
【0124】
円板144がゴム製のOリング150の上に乗っている状態において、円板144の上部は、第一レール部材121に開設される開口部136,137内に位置する。搬送凹部148が形成される円板144の外周部は、第一レール部材121の一対のガード部121bの間に位置する。この円板144の上部に搬送凹部148があるとき、搬送凹部148のその位置での底面は、第一レール部材121の平板部121aの裏面と略同一高さとなる。
【0125】
駆動回転体143と後支柱114との間には、図示外の木製のスペーサが配設される。駆動回転体143と中支柱113との間には、図示外の木製のスペーサが配設される。円板144は、駆動回転体143の第一のリブ部143bと第二のリブ部143cとの間に挟まれる。これにより、遊具の上から見たときに、駆動回転体143および円板144は、固定板117と同一面内に並ぶ。また、円板144は、遊具本体110の前後方向に殆どぶれなくなる。円板144の外周部は、円板144が回転する際に、第一レール部材121の平板部121aにぶつかってしまうことなくスムースに回転する。
【0126】
姿勢安定化板145は、円板144と略同じ厚さを有し、円板144と面一となるように配置される一方向に長尺な図示外の安定化板本体と、安定化板本体の厚さ方向両面に貼着され、両端がそれぞれ円板144を挟み込むように配置されて安定化板本体より長尺な図示外の一対の押板と、を有し、上方から見て全体がアルファベット大文字の「H」に似た形状に形成される。一方の従動回転体146は、姿勢安定化板145の長尺方向の一端側で軸支され、他方の従動回転体147は、姿勢安定化板145の長尺方向の他端側で軸支される。2つの従動回転体146,147の外周には、ゴム製のOリング151,152が巻設される。
【0127】
姿勢安定化板145は、遊具台111と略平行な姿勢で、2つの従動回転体146,147が円板144の円孔149の下半分の一部に当接するように固定される。円板144の下部は、一対の押板により二箇所で挟まれ、前後にぶれなくなる。円板144の下部の位置は、第五レール部材128の一対のガード部128bの間の略中央位置で安定する。
【0128】
また、姿勢安定化板145は、2つの従動回転体146,147の外周に巻設けられたOリング151,152が円板144の内周面と接する高さ位置より、若干下側となる位置で中支柱113および後支柱114に固定される。2つのOリング151,152は、それぞれの従動回転体146,147と円板144との間に挟まれる。この2つのOリング151,152の弾性力により、円板144には下向きの力が若干作用する。その下向きの力の分だけ、円板144と駆動回転体143との間に配設される上側のOリング150に作用する加重は、大きくなる。円板144とOリング150との摩擦力は大きくなる。円板144は、より一層、駆動回転体143の回転に追従して回転するようになる。また、姿勢安定化板145から円孔149の下半分の側で円板144に接しているため、円板144の重さが加わらず、姿勢安定化のための構成を小型化できるとともに、円板144の回転駆動力の妨げとはならない。
【0129】
次に、以上の構成を有する実施の形態に係る遊具の動作を、その遊び方とともに説明する。この第二の実施の形態に係る遊具で遊ぶ場合、第五レール部材128の上に、走行体101を乗せる。第五レール部材128には、一度に、複数個の走行体101を乗せてもよい。
【0130】
第五レール部材128の上に乗せられた走行体101は、第五レール部材128の左下がりの傾きにしたがって、左側に移動する。第五レール部材128の平板部128aの両側には、一対のガード部128bが配設されているため、走行体101は、第五レール部材128から落下することなく、左側に移動する。走行体101は、第五レール部材128の左端部までくると、円板144に当たる。
【0131】
第五レール部材128の上に走行体101を乗せた後、使用者は、つまみ部材141bを手でもち、つまみ部材141bを時計周り(右周り)に回す。つまみ部材141bの回転にしたがって駆動軸142および駆動回転体143は、右周りに回る。駆動回転体143の上に乗っている円板144は、時計周り(右周り)に回る。
【0132】
円板144の外周部に形成される搬送凹部148は、円板144の回転にしたがって、第五レール部材128の左端部と対向する位置へ移動する。第五レール部材128の左端部上にある走行体101は、第五レール部材128の傾きによって左へ進み、搬送凹部148に収容される。走行体101のボディ102が搬送凹部148に収容される。このとき、車輪103b,103cは、円板144を挟み込み、同様に車輪104b,104cも円板144を挟み込む。
【0133】
なお、第五レール部材128の左端部の直上に搬送凹部148が位置し走行体101が収容されている状態で、次の走行体101が第五レール部材128の上を左へ移動する場合、その走行体101の前部は、その搬送凹部148に入ろうとする。この状態で、円板144が回転すると、円板144の外周部は、次の走行体101の上面に当たる。さらに円板144が回転すると、円板144の外周部は、通外次の走行体101の上面を押し下げようとする。第五レール部材128は、シーソー台118により揺動可能に軸支されている。第五レール部材128の左端部は、遊具台111から、走行体101の車輪の高さより高く離間している。したがって、第五レール部材128の左端部は、図8において反時計方向に回動し、当該次の走行体101は左方向に進むとともに円板144は時計方向に回転する。そして、第五レール部材128の左端部は、当該次の走行体101の高さに相当する分だけ下がる。円板144の外周部は、押し下げられた走行体101の上面の上をすべる。そして、次の搬送凹部148が第五レール部材128の左端部の直状に回転してくると、第五レール部材128は自らのバランスで戻り、第五レール部材128の左端部の上にある当該次の走行体101が、搬送凹部148に収容される。
【0134】
したがって、円板144は、第五レール部材128との間に複数の走行体101が入り込んだとしても、それにより回転が止められてしまうことはなく、駆動回転体143の回転に追従してスムースに回転する。
【0135】
搬送凹部148に収容された移動体は、円板144とともに右周りに回転する。円板144の右側には、固定板117が立設されている。固定板117の半月凹部117aと円板144の外周部との間隔は、走行体101のボディ102の厚さYより狭い。搬送凹部148に収容されている走行体101は、円板144と固定板117との間に挟まれ、且つ、その車輪103b,103cと車輪104b,104cが円板144と固定板117を挟み込むため、落下せずに持ち上げられる。すなわち、走行体101の2組の車輪103b,103c,104b,104cは、円板144および固定板117の前後に位置し、それらを挟み込んだ状態となる。
【0136】
走行体101は、円板144の回転にしたがって円板144の上部となる位置まで持ち上げられると、搬送凹部148に収容されたまま、第一レール部材121に開設された第一開口部136に進入する。走行体101は、第一レール部材121の一対のガード部121bの間に進入する。
【0137】
第一開口部136に進入した走行体101は、円板144の右回りの回転にしたがって、第一開口部136から第二開口部137に向かって移動する。第二開口部137は、各組の車輪(たとえば103bと103c)の内側の間隔より若干狭い幅に形成されている。走行体101の前側の一対の車輪は、第二開口部137の両脇(図7の遊具姿勢において第二開口部137の前後)に残っている平板部121aの残部に当たる。この残部の第一開口部136側の端部には、テーパー面138が形成されている。したがって、円板144が更に右回りに回転すると、搬送凹部148の左側の壁部に押されて、走行体101から見て前方側の一対の車輪(たとえば103bと103c)は、平板部121aの上に乗る。
【0138】
さらに、円板144が右回りに回転すると、搬送凹部148の左側の壁部に押されて、走行体101から見て後方側の一対の車輪(たとえば103bと103c)も、平板部121aの上に乗る。この結果、走行体101は、その全体が第一レール部材121の上に乗る。
【0139】
第一レール部材121は、右下がりに配設されている。走行体101は、この第一レール部材121の傾きにより右方向へ移動する。第一レール部材121の右端部には、切欠部121dが形成されている。走行体101の走行方向前側の一対の車輪(以下、前輪とよぶ。)は、切欠部121dから下に落ちる。切欠部121dから下に落ちたその前輪は、第一反転部材122に当たる。
【0140】
第一反転部材122の上面は、左下がりの斜面に形成されている。また、切欠部121dは、走行体101の全長より若干短い長さに形成されている。したがって、この前輪が第一反転部材122の上面に当たる状態で、走行方向後側の一対の車輪(以下、後輪とよぶ。)は、第一レール部材121の上に残る。走行体101は、その後輪が第一レール部材121の上に残ったまま、その前輪が第一反転部材122の上面の傾斜にしたがって左方向へ移動し始める。第一反転部材122の下には、第二レール部材123が左下がりに配設されている。したがって、後輪が第一レール部材121から落下するときには、前輪は第二レール部材123の上を左方向へ移動している。走行体101は、ボディ102の上面と下面とを入れ替えて、第二レール部材123の上に乗る。
【0141】
第二レール部材123の上に乗った走行体101は、左下がりに配設される第二レール部材123を左へ移動する。走行体101の車輪は、画鋲の頭部のように、その中心部より周縁部が薄くなるように形成されている。したがって、走行体101は、第二レール部材123がS字形状に形成さているにもかかわらず、そのS字による屈曲部分のガード部123bにつかえてしまうことなく、スムースに第二レール部材123の左端部まで移動する。
【0142】
第二レール部材123の左端部には、切欠部123dが形成されている。切欠部123dの下には、第二反転部材124が配設される。第二反転部材124の下には、第三レール部材125が配設される。したがって、走行体101は、まず、その前輪が切欠部123dから下に落ち、第二反転部材124の右下がりの斜面を走行し始めてから、後輪が切欠部123dから下に落ちる。走行体101は、ボディ102の上面と下面とを入れ替えて、第三レール部材125の上に乗る。
【0143】
第三レール部材125の右側には、第四レール部材126と、第六レール部材129とが配設されている。支板133が立ち姿勢にある場合、第三レール部材125の平板部125aと、第四レール部材126の平板部126aとは、略連続する面を形成する。取手部135を持って支板133を左回転させて倒すと、第三レール部材125の平板部125aと、第六レール部材129の平板部129aとが、略連続する面を形成する。
【0144】
支板133が倒れている場合、走行体101は、第三レール部材125から第六レール部材129に移動し、第六レール部材129の右端部から遊具台111の外へ走り出る。
【0145】
支板133が立ち姿勢に保持されている場合、走行体101は、第三レール部材125から第四レール部材126へ移動する。第四レール部材126は、右下がりに配設される。走行体101は、第四レール部材126の上を更に右へ移動する。
【0146】
第四レール部材126の右端部には、切欠部126dが形成されている。切欠部126dの下には、第三反転部材127が配設される。第三反転部材127の下には、第五レール部材128が配設される。したがって、走行体101は、まず、その前輪が切欠部126dから下に落ち、落ちた前輪が第三反転部材127の左下がりの斜面を左へ走行し始めてから、後輪が切欠部126dから下に落ちる。走行体101は、ボディ102の上面と下面とを入れ替えて、第五レール部材128の上に乗る。
【0147】
第五レール部材128は、左下がりに配設されている。走行体101は、第五レール部材128の上を左へ移動する。走行体101は、第五レール部材128の左端部まで移動し、円板144に当たる。
【0148】
このとき、つまみ部材141bが右回りに回されていると、走行体101は、右回りに回転する円板144の搬送凹部148に再び収容される。走行体101は、円板144により再び持ち上げられる。持ち上げられた走行体101は、第一レール部材121、第二レール部材123、第三レール部材125、第四レール部材126および第五レール部材128の上を移動する。走行体101は、再び円板144に当たる。走行体101は、この複数のレール部材などで構成される走行路を循環し続ける。
【0149】
使用者は、つまみ部材141bを駆動軸142を中心として回すだけで、走行体101が円板144により持ち上げられる様子を見て楽しみ、走行体101が九十九折れに配設された複数のレール部材121,123,125,126,128の上をその上下を入れ替えながら走行する様子を楽しむことができる。使用者は、つまみ部材141bを回し続けることで、この立体的な動きを継続的に楽しむことができる。複数の走行体101を使用すれば、走行体101が持ち上げられる様子と、走行体101が走行する様子とを、同時に楽しむことができる。また、使用者は、支板133を倒すことで、走行路から走行体101が勢いよく走り出す様子を楽しむことができる。
【0150】
以上のように、この実施の形態に係る遊具では、ハンドル部材141の回転にしたがって回転する円板144で走行体101を持ち上げ、持ち上げた走行体101を複数のレール部材121,123,125,126,128などにより構成される走行路で転がらせて円板144の下へ戻す。また、走行体101が複数のレール部材121,123,125,126,128の上を、その表裏を入れ替えながら走行する。
【0151】
その結果、乳幼児、小学生、老人などの使用者は、走行体101が円板144により立体的に持ち上げられる様子と、走行体101が循環する様子とを楽しむことができ、たとえば積み木などの従来の木製の遊具に比べて長い期間にわたって飽きることなく遊ぶことになる。また、走行体101は、縦に移動するので、遊具として多くの平面スペースを必要としない。
【0152】
また、円板144は、駆動回転体143の上に乗っている。加えて、円板144には、2つの従動回転体146,147により、下向きの力が付勢される。円板144の重さおよびこの下向きの付勢力により、円板144と駆動回転体143のOリング150との間に作用する摩擦力は、大きくなる。したがって、たとえば駆動回転体143の回転速度にむらがあったとしても、その回転むらなどに起因するすべりの発生が抑制され、円板144は、駆動回転体143の回転にしたがってスムースに回転する。
【0153】
しかも、乳幼児などがたとえば円板144の搬送凹部148に誤って指をいれたとしても、その指を円板144と中支柱113などとの間で強く挟んでしまうことはない。よって、指が切れたりすることはなく、安全である。
【0154】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る遊具は、移動体あるいは球体としての木球と、遊具本体とを有する。この木製の遊具は、乳幼児、小学生、老人などを対象とする遊具である。
【0155】
図9は、本発明の実施の形態3に係る遊具の遊具本体202において、レール棒が最も上がったときの状態を示す正面図である。図10は、図9の遊具本体202の上面図である。以下、図9の正面図における遊具本体202の姿勢を基準として、本発明の実施の形態3に係る遊具の説明において、上下左右前後の呼び名を使用する。
【0156】
木球201は、木材を直径約2〜3cmの球体に形成したものである。
【0157】
遊具本体202は、遊具台211を有する。遊具台211は、ぶな材などの木材の一枚板を、四角形の長方形形状に形成したものである。遊具台211の厚さは、1〜3cmである。遊具台211は、図9における左右方向が長尺方向となる。
【0158】
遊具台211の上には、一対の軸受け部材の中の一方のものとしての前面軸受け板212と、一対の軸受け部材の中の他方のものとしての背面軸受け板213と、玉止め部材としての玉止め板214と、リンク台215と、傾斜部材216と、レール部材217とが配設される。
【0159】
前面軸受け板212は、遊具台211の右端部の前側に立設される。前面軸受け板212は、遊具台211の長尺方向の長さの約3分の1程度の左右方向の幅を有する下部と、下部の半分程度の幅を有する突出部としての上部とを有する。前面軸受け板212の上部は、前面軸受け板212の下部の右寄りの部位から上方へ突出する。前面軸受け板212は、厚さ約1cmの板材を上述した略L字の外形形状に形成したものである。
【0160】
前面軸受け板212の下部には、駆動軸孔が開設される。駆動軸孔は、下部の左右方向中央部であって、下部の上端寄りの部位に開設される。駆動軸孔には、後述する駆動軸231が挿入される。前面軸受け板212の上部には、リンク孔221が開設される。リンク孔221は、前面軸受け板212の上部の略下端から略上端にかけて開設されるもので、縦に長い長孔形状を有する。
【0161】
背面軸受け板213は、遊具台211の右端部の後側に立設される。図9において、背面軸受け板213は前面軸受け板212と重なっており、図示されていない。背面軸受け板213は、上部および下部を有し、前面軸受け板212と同様の外形形状を有する。背面軸受け板213の下部には、図9の正面側から見たときに前面軸受け板212の駆動軸孔と重なる位置に、後述する駆動軸231が挿入される駆動軸孔が開設される。
【0162】
玉止め板214は、遊具台211の右端部に配設される。玉止め板214は、縦に長い長方形の板で、高さは両受け板212,213の約2/3である。玉止め板214は、前面軸受け板212と背面軸受け板213との間に立設される。玉止め板214は、前面軸受け板212の右端および背面軸受け板213の右端に沿って立設され、両受け板212,213とで上方から見てコ字状を形成している。
る。
【0163】
前面軸受け板212の上部と背面軸受け板213の上部とは、玉止め板214の上方において取手棒222により固定される。遊具本体202は、取手棒222を手で持つことで、バランス良く持ち上げて運ぶことができる。取手棒222のみを持って遊具本体202を持ち上げても、遊具本体202は壊れない。
【0164】
リンク台215は、遊具台211の左端部に立設される。リンク台215は、前面軸受け板212および背面軸受け板213に対向する側(図9では右側)の側面に縦に長い縦溝部215aが形成される。リンク台215の高さは、前面軸受け板212の下部より高い。リンク台215の上部には、一対の貫通孔が開設される。この一対の貫通孔の間には、縦溝部215aが位置する。一対の貫通孔は、遊具台211を基準として、リンク孔221の下端より高い位置に開設される。一対の貫通孔には、貫通軸223が挿入される。
【0165】
傾斜部材216は、傾斜前面板216aと、傾斜背面板216bと、傾斜上面板216cと、4つの木琴板224と、を有する。傾斜前面板216aは、遊具台211の左半分において前側に立設される。傾斜前面板216aの左端部は、リンク台215と前方から見て重なる。傾斜前面板216aの上面は、リンク台215から前面軸受け板212に向かって高さが段階的に下がる階段形状になっている。傾斜背面板216bは、傾斜前面板216aと同一の外形形状を有し、遊具台211の左半分において後側に立設される。リンク台215は、傾斜前面板216aと傾斜背面板216bとの間に挟まれる。傾斜上面板216cは、階段状になっている傾斜前面板216aの最上段の部分と、階段状になっている傾斜背面板216bの最上段の部分との間に配設される。それ以外の残りの傾斜前面板216aの各段および傾斜背面板216bの残りの各段の上には、複数の木琴板224が配設される。傾斜上面板216cおよび複数の木琴板224により、傾斜前面板216aと傾斜背面板216bとの間は、ふさがれる。傾斜部材216の上面は、左側から右側に向かって高さが階段状に下がる傾斜面になる。
【0166】
複数の木琴板224は、略同一のサイズに形成される。また、複数の木琴板224は、略並行に立設される傾斜前面板216aと傾斜背面板216bとにネジ225で留められる。この場合、複数の木琴板224に開設されるネジ留め用の2つの孔の間隔は、揃える必要がある。打楽器として使用される木琴において、複数の木琴板224のネジ留めされる2つの孔同士の間隔は、それぞれの木琴板224が発する音階に応じて異なっている。そのため、ネジ留め用の2つの孔の間隔が決まってしまうと、その木琴板224の音階も一意に決まってしまうかのように考えられる。このように略並行に立設される傾斜前面板216aと傾斜背面板216bとに、略同一のサイズの複数の木琴板224をネジ留めする場合、その複数の木琴板224の音階は、従来であると、1種類になってしまうものと考えられる。しかしながら、複数の木琴板224の裏側に形成する窪みの深さを音階に応じて調整することで、ネジ留め用の2つの孔の間隔をそろえたまま、複数の木琴板224の音階を互いに異なる音階とすることができる。このようにすると、複数の木琴板224の成形および固定作業が効率化し、NC加工時の冶具やネジ止め用の冶具も多種容易する必要がなくなる。この複数の木琴板224の成形方法や固定方法は、木琴玩具にも適用することができる。
【0167】
レール部材217は、遊具台211の長尺方向の略半分の長さの平板形状を有する平板部217aと、この平板部217aの両端部に沿って立設される一対のガード部217bと、を有する。このような形状は、たとえば長方形の板に対して、その両端部を残すように中央部を削ることにより形成することができる。平板部217aは、木球201の直径より若干広い幅を有する。
【0168】
レール部材217は、遊具台211の右半分において前後方向の真中に配設される。レール部材217の左端部は、傾斜部材216の右端部に隣接する。レール部材217の左端部の下には、レール部材217を支持するレール台226が配設される。レール部材217の左端部は、その平板部217aの上面が最下段の木琴板224の上面より若干下がった高さ位置になる。レール部材217は、右下がりの姿勢にて遊具台211の上に配設される。
【0169】
レール部材217の右半分は、前面軸受け板212と背面軸受け板213との間に入る。前面軸受け板212の左端部と、リンク台215の前部との間には、ガード棒227が配設される。背面軸受け板213の左端部と、リンク台215の後部との間には、他のガード棒228が配設される。この2つのガード棒227は、傾斜部材216の上面の傾斜面に沿った傾きで、配設される。2つのガード棒227と、傾斜部材216あるいはレール部材217との間の隙間は、木球201の直径より狭くされており、傾斜部材216の上を落ちてゆく木球201は、遊具台211の前方あるいは後方へ落ちず、遊具本体202から飛び出してしまうことはない。
【0170】
レール部材217の右端部は、玉止め板214に隣接する位置まで延びている。玉止め板214の左側面には、傾斜体229が配設される。傾斜体229は、断面が直角三角形である三角柱の外形形状を有する。傾斜体229は、断面において直角となる部分が下側となるように、且つ、その直角に対向する辺による面229aが左上方向きとなる姿勢にて、レール部材217の右端部の上側に配設される。傾斜体229は、その配設姿勢での上面229aが左下がりの斜面となる。この傾斜体229の傾斜面229aから前面軸受け板212に開設される駆動軸孔(駆動軸231が挿入される孔)までの距離は、木球201の直径より若干広い。この傾斜体229の傾斜面229aから背面軸受け板213に開設される駆動軸孔までの距離は、木球201の直径より若干広い。
【0171】
また、遊具本体202は、駆動軸231と、ハンドル部材と、回転体232と、2組で計4本の第一フック部材233と、球体受け部材としての玉置板234と、を有する。図11は、回転体232およびその周辺部を正面側から見た説明図である。図12は、回転体232およびその周辺部を右側側から見た説明図である。
【0172】
駆動軸231は、前面軸受け板212に開設される駆動軸孔と背面軸受け板213に開設される駆動軸孔とに挿入される。駆動軸231は、これらの駆動軸孔内において回転可能である。駆動軸231の一端は、前面軸受け板212から前側に突出する。
【0173】
ハンドル部材は、ハンドルアームとしてのハンドル板235と、つまみ部材236と、を有する。ハンドル板235は、その半径が3〜8cmの円板形状を有する。ハンドル板235の中心には貫通孔が開設される。このハンドル板235の中心の貫通孔には、駆動軸231の一端が圧入され、駆動軸231とハンドル板235とは、一体化される。ハンドル板235の外周部には、他の貫通孔が開設される。他の貫通孔には、つまみ部材236が回転可能に取付られる。
【0174】
回転体232は、略立方体形状を有する。回転体232には、貫通孔が開設される。回転体232の貫通孔には、駆動軸231が挿入される。これにより、回転体232は、駆動軸231に固定される。なお、回転体232は、NC(Numerical Control)工作機械などを用いて、駆動軸231と一体に加工製造することもできる。
【0175】
第一フック部材233は、略L字の釣針に似た外形形状を有する。第一フック部材233は、釣針の首に相当する部位が回転体232の外周部に固定される。第一フック部材233は、駆動軸231の下側に位置するときに、針先に相当する先端部が右側にくる向きで固定される。このように取り付けることで、第一フック部材233が駆動軸231の上側に位置するときには、第一フック部材233の先端部は左向きとなる。釣針の内側に相当する先端部の内側は、円弧形状の曲面233aに形成される。この円弧状の曲面233aは、その中心M1が、一対の第一フック部材233の間に木球201を収容したときに、その木球201を前方から見たときの中心M2と重なるように形成される。第一フック部材233は、プラスチック製である。
【0176】
1組の第一フック部材233は、2つの第一フック部材233で構成される。この一対の第一フック部材233は、遊具本体202の前後方向において互いに離間して回転体232に固定される。一対の第一フック部材233同士の間隔は、木球201の直径より狭い。したがって、図11および図12に示すように、駆動軸231の下に位置する一対の第一フック部材233の間に、木球201を挟んで収容することができる。平板部217a上に置かれた木球201の下側には、一対の第一フック部材233の一対の先端部がくる。このとき、木球201は、その一部となる前後面が一対の第一フック部材233の外側またはその厚さ内に突出する。第一フック部材233には、それぞれ内側の面に、切欠溝233aが形成される。第一フック部材233は、その間隔が広がり易くなる。すなわち、一対の第一フック部材233は、開き易くなる。
【0177】
また、2組の第一フック部材233は、駆動軸231を中心として180度対称に配設される。
【0178】
玉置板234は、玉置板基部234aを有する。玉置板基部234aは、前面軸受け板212と背面軸受け板213との間隔に相当する幅を有する。玉置板基部234aは、前面軸受け板212の下部の左寄りの部位と、背面軸受け板213の下部の左寄りの部位との間に配設される。玉置板基部234aは、後述するレール棒242が最も下がったときの角度と略同じ角度にて右下がりに配設される。
【0179】
玉置板基部234aの上には、玉置板上部234bが配設される。玉置板上部234bは、木球201の2つ分より若干長い長さと、一対の第一フック部材233の間隔より狭い幅とを有する。玉置板上部234bは、玉置板基部234aと前後方向の中心を揃えて、玉置板基部234aの上に形成される。玉置板上部234bは、その左端部が玉置板基部234aの左端部と揃い、その右端部が玉置板基部234aの右端部より右側に突出する。玉置板上部234bの右端部と、前面軸受け板212および背面軸受け板213との間には、一対の第一フック部材233が通過する隙間Gが形成される。
【0180】
玉置板上部234bの右端部の上面には、円形の凹部となる窪部234cが形成される。玉置板上部234bの左右方向両端部には、上方に突出させて一対の柵部234d,234eが形成される。玉置板上部234bの右端部およびその上に突出する柵部234dは、一対の第一フック部材233に収容された木球201が移動する軌道上にある。一対の第一フック部材233に収容された木球201は、下方から上方に持上げられ、この柵部234dに当たる。
【0181】
また、遊具本体202は、リンク軸241と、レール棒242と、ハンドル板235と、リンクアーム243などからなるリンク機構と、搬送体244と、一対の第二フック部材245と、玉押し棒246と、を有する。図13は、レール棒242が最も上がったときの、遊具本体202のリンク機構およびその周辺部を正面側から見た説明図である。
【0182】
リンク軸241は、前面軸受け板212の上部に縦長に開設されたリンク孔221に挿入される。リンク軸241は、このリンク孔221内において上下方向に移動可能である。リンク軸241の両端は、前面軸受け板212の前後に突出する。
【0183】
レール棒242は、棒本体242aと、軌道突起部242bと、を有する。棒本体242aは、遊具台211の左右方向の長さより若干短い長尺な棒部材である。棒本体242aの一端には、外円形の貫通孔が開設される。この棒本体242aの一端の貫通孔には、リンク台215の一対の貫通孔に挿入される貫通軸223が挿入される。棒本体242aは、この貫通軸223を支点として揺動可能である。棒本体242aの他端には、棒本体242aの長尺方向に沿って長孔が開設される。この棒本体242aの他端の長孔には、リンク軸241が挿入される。棒本体242aの他端は、前面軸受け板212と背面軸受け板213との間に位置する。棒本体242aは、リンク軸241が他端の長孔内を移動自在となるようにリンク軸241とゆるく係合している。
【0184】
レール棒242の軌道突起部242bは、棒本体242aの上面中央から上方へ突出するように形成され、棒本体242aの幅に比べ、その幅が短くされている。軌道突起部242bは、棒本体242aの長尺方向全長に渡って形成される。
【0185】
リンクアーム243は、ハンドル板235の前側に位置する。リンクアーム243は、ハンドル板235の直径より長い棒形状を有する。リンクアーム243の両端には、一対の貫通孔が開設される。リンクアーム243の一端の貫通孔には、つまみ部材236が挿入される。リンクアーム243の一端は、つまみ部材236の周囲で回転可能である。リンクアーム243の他端の貫通孔には、リンク軸241が挿入される。
【0186】
図9に示すように、つまみ部材236がその最も下の位置にあるとき、リンク軸241およびレール棒242の他端は、リンク台215の一対の貫通孔に挿入される貫通軸223より下側に位置する。よって、レール棒242は、右下がりの姿勢になる。図13に示すように、つまみ部材236がその最も上の位置にあるとき、リンク軸241およびレール棒242の他端は、リンク台215の一対の貫通孔に挿入される貫通軸223より上側に位置する。よって、レール棒242は、左下がりの姿勢になる。
【0187】
図14は、搬送体244およびその周辺部を示す正面図である。搬送体244は、搬送体本体244aを有する。搬送体本体244aは、この実施の形態では鳥を模した形状を有する。鳥は、図9に示すように、遊具本体202の左側を向いている。搬送体本体244aには、その下部にスリット244bが形成される。スリット244bは、レール棒242より若干広く、搬送体本体244aの前後方向(図14では左右方向)に沿って形成される。
【0188】
スリット244b内の上部には、2つのローラ体251が配設される。ローラ体251は、ローラ体本体251aと、一対のリブ部251bとを有し、略ボビン形状を有する。ローラ体本体251aの回転軸方向の長さは、レール棒242の軌道突起部242bの前後方向の幅より若干長い。
【0189】
2つのローラ体251は、搬送体本体244aの移動方向の前後に並べて配設される。2つのローラ体251は、搬送体本体244aに回転可能に軸支されるローラ軸252とともに回転する。ローラ軸252は、搬送体本体244aに回転可能に配設される回転軸である。移動体のローラは、このローラ軸252とローラ体251とにより構成される。
【0190】
移動体となる搬送体244は、この2つのローラ体251がレール棒242に当接するように、レール棒242の上に配設される。ローラ体本体251aの外周面は、レール棒242の軌道突起部242bの上面に当接し、軌道突起部242bは、一対のリブ部251bの間に位置する。
【0191】
2つのローラ体251の中、搬送体本体244aの前側(遊具本体202で言えば左側、以下、前側ローラ体とよぶ。)のローラ体251のローラ体本体251aの外周には、図示外の円筒のゴム材が巻設される。これにより、前側ローラ体と軌道突起部242bとの間に作用する摩擦力が大きくなり、すべり難くなる。
【0192】
前側ローラ体とともに回転するローラ軸252は、その両端部が搬送体本体244aから外へ突出する。この突出する両端部には、移動速度を遅くするカバナ機能として働くガバナ体としての一対の羽部材253が固定される。一対の羽部材253は、移動体のバランスをとるために、180度ずれた姿勢でローラ軸252に固定される。一対の羽部材253は、前側ローラ体のローラ軸252とともに回転する。
【0193】
また、搬送体本体244aのスリット244bは、2つのローラ体251がレール棒242の上に乗せられている状態において、搬送体本体244aの下端がレール棒242の下側へ突出する深さに形成される。搬送体本体244aの下部には、スリット244bの下方を塞ぐ保持板254が固定される。保持板254には、一対の第二フック部材245が固定される。
【0194】
第二フック部材245は、第一フック部材233と同じ略L字の釣針に似た外形形状を有する。ただし、切欠溝はない。このように、第二フック部材245を第一フック部材233と略同じ形状とすることで、第二フック部材245と第一フック部材233とを1つの金型で製造することができる。
【0195】
一対の第二フック部材245は、保持板254の下に固定される。一対の第二フック部材245は、遊具本体202の前後方向において、木球201の直径より狭い間隔にて互いに離間して固定される。一対の第二フック部材245の間隔は、一対の第一フック部材233の間隔と略同じ間隔である。したがって、一対の第二フック部材245の間に、木球201を挟んで収容することができる。木球201の下側には、一対の第二フック部材245の一対の先端部がくる。このとき、木球201の前後面は、一対の第二フック部材245の外側へ張り出すか、第二フック部材245の厚さ内に位置している。
【0196】
図9および図13に戻って説明を続ける。玉押し棒246は、円柱形状を有する。玉押し棒246は、レール棒242の一端の真下において、リンク台215から右側へ突出するように配設される。玉押し棒246の先端は、傾斜部材216の最上段にある傾斜上面板216cの右端部の上方に位置する。玉押し棒246は、搬送体244が最も左側に移動したときに、その先端の位置が、一対の第二フック部材245の右端と略同じ位置となる長さである。また、玉押し棒246は、搬送体244が最も左側に移動したときに、その先端部が一対の第二フック部材245の間に位置する高さに配設される。
【0197】
次に、以上の構成を有する実施の形態3に係る遊具の動作を、その遊び方とともに説明する。実施の形態3に係る遊具で遊ぶ場合、レール部材217の上に、木球201を乗せる。木球201は、1つであっても、複数であってもよい。
【0198】
レール部材217の上に乗せられた木球201は、レール部材217の右下がりの傾きにしたがって、右側に移動し、玉止め板214の左面に配設された傾斜体229に当たって止まる。木球201は、図11に示すように、駆動軸231の下方の位置で止まる。
【0199】
レール部材217の上に木球201を乗せた後、使用者は、つまみ部材236を手でもち、つまみ部材236を反時計周り(左周り)に回す。ハンドル板235は、左周りに回転する。ハンドル板235の回転にしたがって、回転体232および2組の第一フック部材233は、駆動軸231の周囲で反時計回りで回転する。駆動軸231の下方の位置で止まっている木球201は、上から反時計回りで下りてくる組の第一フック部材233の間に挟まれ、収容される。
【0200】
ハンドル板235がさらに回転すると、木球201は、一対の第一フック部材233により左回りで持上げられ、駆動軸231の上を通過し、玉置板234の柵部234dに当たる。すなわち、木球201の下部が玉置板234の柵部234dに当たる。木球201が玉置板234の柵部234dに当たってからさらにハンドル板235が回転すると、一対の第一フック部材233が回転にしたがって下側へ下がろうとする動作と、玉置板234の柵部234dが木球201を支えようとすることにより、木球201は、一対の第一フック部材233の間から抜け、跳ね上がる。木球201は、一対の柵部234d,234eの間において玉置板234の上を転がり、最終的には、窪部234cの上で安定し止まる。
【0201】
一対の第一フック部材233には、切欠溝233aが形成されている。一対の第一フック部材233は、木球201が抜け出るときに、スムースに開く。これにより、木球201は、比較的スムースに一対の第一フック部材233の間から抜け出ることができ、非力な乳幼児などであっても、ハンドル板235を回すことができる。木球201が抜けた後の一対の第一フック部材233は、玉置板上部234bと前面軸受け板212および背面軸受け板213との間に形成される隙間Gを抜けて、ハンドル板235の回転にしたがって回転する。
【0202】
なお、木球201は、一対の第一フック部材233の間から抜け、跳ね上がる。したがって、玉置板234の上に他の木球201が既に乗っている場合であっても、跳ね上がった木球201は、その勢いでこの他の木球201を押しのけ、玉置板234の上に乗ることができる。玉置板234の上には、複数の木球201が同時に乗ることができる。
【0203】
また、玉置板234の上などから木球201が落ちることがある。傾斜体229の上面が左下がりに配設されている。レール部材217が右下がりに配設されている。したがって、玉置板234から落ちた木球201は、駆動軸231の下方の位置に止まる。したがって、2組の第一フック部材233は、次の回転の際に、この落ちた木球201を持上げることができる。
【0204】
また、ハンドル板235が回転すると、リンクアーム243は上下方向に往復運動をする。また、レール棒242の右側の端部(他端)も、リンクアーム243とともに上下方向に往復運動をする。ハンドル板235が1回転すると、リンクアーム243およびレール棒242の右側の端部は、上下に1往復する。
【0205】
ハンドル板235を半回転させて図13に示す状態となると搬送体244は左方へ移動する。そして、さらに半回転させて図9に示すように、つまみ部材236がその最も下の位置にさせると、レール棒242は、右下がりの姿勢になる。レール棒242が右下がりの姿勢にあるとき、搬送体244は、レール棒242の傾きにしたがって、右方向へ移動する。玉置板234は、レール棒242が最も下がったときの角度と略同じ角度にて右下がりに配設される。したがって、搬送体244の下に取り付けられた一対の第二フック部材245の先端部は、玉置板上部234bと前面軸受け板212および背面軸受け板213との間の隙間に入る。搬送体244は、一対の第二フック部材245が木球201に当接する状態で停止する。このとき、一対の第二フック部材245の先端部は、最も左方に位置する木球201の下にスムースに入っていく。
【0206】
ハンドル板235をさらに半回転させると、図13に示すように、リンクアーム243およびレール棒242の右側の端部は、上がる。玉置板234の上に乗っている木球201は、一対の第二フック部材245の先端部により支えられ、搬送体244とともに持上げられる。木球201は、一対の第二フック部材245の間に挟まれて持ち上げられる。
【0207】
また、レール棒242の左下がりの傾きが大きくなると、搬送体244は、レール棒242の傾きにしたがって、左方向へ移動し始める。前側ローラ体には、一対の羽部材253が固定されている。一対の羽部材253は、ガバナとして機能する。したがって、前側ローラ体の回転は、この一対の羽部材253の重さの分だけ抑制される。また、搬送体244には、その移動方向に沿って2つのローラ体251が設けられている。搬送体244の姿勢はレール棒242に対して安定している。その結果、搬送体244は、レール棒242の左下がりの傾きがある程度大きくなるまで左方向への移動を開始せず、しかも、一対の羽部材253の重さで制限されたゆっくりと安定した速度で、レール棒242の上をスムースに移動する。このように搬送体244は、レール棒242の上げ下げの速さにかかわらず、ゆっくりと上昇し且つ移動するので、一対の第二フック部材245の間に収容されている木球201は、搬送体244の移動の途中で落ちることはない。
【0208】
搬送体244がリンク台215の近くまで移動すると、一対の第二フック部材245の間に保持されている木球201は、玉押し棒246の先端に当たる。玉押し棒246は、搬送体244が最も左側に移動したときに、その先端の位置が、一対の第二フック部材245の右端と略同じ位置となる長さで突出している。搬送体244には、その移動方向に沿って2つのローラ体251が設けられている。したがって、木球201が玉押し棒246の先端に当たった後、搬送体244は、完全に停止してしまうことなく、さらに左へ移動する。搬送体244は、カバナとして機能する一対の羽部材253の回転により、木球201が玉押し棒246の先端に当たってから更に左へ移動する。その結果、木球201は、玉押し棒246により右向きに押し出されるようにして、一対の第二フック部材245の間から確実に落ちる。木球201は、常に、玉押し棒246の先端のほぼ真下に落ちる。
【0209】
玉押し棒246の先端の下方には、複数の木琴板224が右下がりに並べて配設されている。一対の第二フック部材245の間から落ちた木球201は、この複数の木琴板224に当たる。一対の第二フック部材245の間から玉押し棒246により右向きに押し出されるようにして落下した木球201は、右方向へゆっくりと移動しながら、複数の木琴板224に順番に当たる。これにより、木球201は、確実に複数の木琴板224を順番にたたき、所定のリズムおよび音色の音を自動的に発することになる。
【0210】
複数の木琴板224に順番に当たった後、木球201は、レール部材217の上に移動する。木球201は、レール部材217の右下がりの傾斜にしたがって、レール部材217の上を転がり、駆動軸231の下の位置で停止する。
【0211】
以上のように、使用者は、つまみ部材236を持ってハンドル板235を回転させることで、木球201が一対の第一フック部材233により玉置板234に持上げられ、一対の第二フック部材245により玉置板234から持上げられ、搬送体244によりゆっくりと安定した速度で運搬され、搬送体244から落下して、右下がりに並べられている複数の木琴板224およびレール部材217(循環路)の上を移動して戻ってゆく様子を、観察することができる。木球201は、この搬送経路によりスムースに循環する。また、複数の木琴板224は、木球201にたたかれることで、所定の音階の心地よい音を発する。使用者は、ハンドル板235を回し続けることで、木球201の複雑な機械的で且つ立体的な制御された動きと音色とを継続的に楽しむことができる。複数の木球201を使用すれば、木球201の動きと音とを同時に楽しむことができる。
【0212】
その結果、乳幼児、小学生、老人などの使用者は、上述した木球201の複雑な機械的で且つ立体的な動きと、玉置板234の上に乗っている木球201を鳥が運ぶ様子と、木琴板224の心地良い音色とにより、たとえば積み木などの従来の木製の遊具に比べて長い期間にわたって飽きることなく遊ぶことになる。また、木球201は、縦に移動するので、遊具として多くの平面スペースを必要としない。
【0213】
また、回転体232と2組の第一フック部材233とは、前面軸受け板212、背面軸受け板213、玉止め板214および玉置板234により囲われた部位に配設される。したがって、乳幼児などがたとえば回転する第一フック部材233などに触れ難くなっており、安全である。
【0214】
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。たとえば、上記各実施の形態では、遊具の殆どの部品が木製である。この他にもたとえば、遊具の殆どの部品を、プラスチックなどで成形するようにしてもよい。ただし、プラスチックで部品を成形する場合、部品ごとに金型を作成し、使用する必要がある。金型を使用する場合、遊具は、大量に生産しなけばコスト的に高くついてしまう。上述した各実施の形態のように、遊具の殆どの部品を木製とすることで、遊具を大量に生産しなくとも、遊具のコストをユーザが購入することができる価格帯に抑えることができる。
【0215】
実施の形態1に係る遊具において、前面カバー板13の全体または外周部分を透明にすることで、下方から上方に上がってゆく木球1の全体を目で見ることができ、趣向性が向上する。また、木琴板61,62は、一枚の板ではなく、音が違う数枚の木琴板を縦に並べて配置してもよい。また、木球1の替わりにさいころなどの立方体形状のものや、他の形状のものを採用してもよい。
【0216】
実施の形態2に係る遊具において、第六レール部材129を設けないようにしてもよい。また、走行体101の代わりに、走行体101を中央で半分に切断したようなもの、すなわち、ボディ102と一対の車輪103b,103cからなる移動体としたり、単なる球体としてもよい。なお、球体の場合、搬送凹部148からその球体が落ちないように木固定板117の半月凹部117aの前側と後側とに円弧状の落下防止手段を設置したりなどの工夫が必要となる。
【0217】
実施の形態3に係る遊具において、搬送体244は、鳥の形状ではなく、犬の形状としたり、猿の形状としたり、人間の形状としたりしてもよい。複数の木琴板224は、複数の鉄琴板としたり、複数とせず斜めに配置した一枚の大きな木琴板または鉄琴板としたりしてもよい。また、実施の形態3では、ハンドル板235の回転に伴ってレール棒242が揺動するようになっているが、レール棒242の揺動と第一フック部材233の回動をリンクしないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る遊具の遊具本体および木球を示す正面図である。
【図2】図2は、図1の遊具本体の背面図である。
【図3】図3は、図1の遊具本体の左側面図である。
【図4】図4は、前面カバー板および背面カバー板による駆動軸および従動軸の軸支状態を示す説明図である。
【図5】図5(A)は、本発明の実施の形態2に係る走行体を示す正面図である。図5(B)は、図5(A)の走行体を示す上面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2に係る遊具の遊具本体を示す正面図である。
【図7】図7は、図6の遊具本体の上面図である。
【図8】図8は、実施の形態2に係る円板、その駆動機構およびその周辺部を示す説明図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3に係る遊具の遊具本体において、レール棒が最も上がったときの状態を示す正面図である。
【図10】図10は、図9の遊具本体の上面図である。
【図11】図11は、実施の形態3に係る回転体およびその周辺部を正面側から見た説明図である。
【図12】図12は、実施の形態3に係る回転体およびその周辺部を右側側から見た説明図である。
【図13】図13は、実施の形態3に係るレール棒が最も上がったときの、遊具本体のリンク機構およびその周辺部を正面側から見た説明図である。
【図14】図14は、実施の形態3に係る搬送体およびその周辺部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0219】
1 木球(移動体、球体)、11 遊具台、13 前面カバー板(軸受け部材)、15 背面カバー板(軸受け部材)、22a ハンドルアーム(ハンドル部材)、24 回転体、36 搬送孔(収容部)、41 木球排出孔(球体排出孔)、43 木球吸込み孔(球体吸込み孔)、46 第一レール部材(循環路)、47 第二レール部材(循環路)、48 第三レール部材(循環路)、49 第四レール部材(循環路)、50 第五レール部材(循環路)、51 第六レール部材(循環路)。
101 走行体(移動体)、102 ボディ、103a,104a 車軸、103b,103c,104b,104c 車輪、111 遊具台、113 中支柱(軸受け部材)、114 後支柱(軸受け部材)、117 固定板、117a 半月凹部、121 第一レール部材(走行路)、123 第二レール部材(走行路)、125 第三レール部材(走行路)、126 第四レール部材(走行路)、128 第五レール部材(走行路)、141a ハンドルアーム(ハンドル部材)、144 円板(回転体)、148 搬送凹部(収容部)。
201 木球(移動体、球体)、211 遊具台、212 前面軸受け板(軸受け部材)、213 背面軸受け板(軸受け部材)、216 傾斜部材(循環路)、231 駆動軸、232 回転体、235 ハンドル板(ハンドルアーム、ハンドル部材)、233 第一フック部材、234 玉置板(球体受け部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、
遊具台と、
上記遊具台の上に互いに離間して立設される一対の軸受け部材と、
上記一対の軸受け部材により回転可能に軸支される回転体と、
上記回転体を回転するハンドル部材と、
上記回転体に形成され、上記移動体が収容される収容部と、
上記収容部に収容され上方に運ばれ、その後上記収容部から離れた上記移動体が再び上方に運ばれるために下方に移動する循環路と、
を有することを特徴とする遊具。
【請求項2】
球体と、
遊具台と、
上記遊具台の上に立設される前面カバー板と、
上記遊具台の上に上記前面カバー板に対し上記球体の大きさより広い間隔で離間して立設される背面カバー板と、
上記前面カバー板と上記背面カバー板との間に配設され、上記前面カバー板および上記背面カバー板により回転可能に軸支される回転体と、
上記回転体を回転するハンドルアームと、
上記回転体の外周部に孔として形成され、上記球体が収容される収容部としての搬送孔と、
上記背面カバー板の上部であって上記搬送孔と重なる位置に開設される球体排出孔と、
上記前面カバー板の下部であって上記球体排出孔より下側において上記搬送孔と重なる位置に開設される球体吸込み孔と、
上記球体排出孔から上記球体吸込み孔まで上記球体が転がる循環路と、
を有することを特徴とする遊具。
【請求項3】
一方向に長い略立方体形状を有するボディ、そのボディの長尺方向両端部に回転可能に軸支される一対の車軸、および一対の車軸の両端に設けられる2組の車輪を有する移動体となる走行体と、
遊具台と、
上記遊具台の上に互いに間隔を空けて立設される一対の軸受け部材と、
上記一対の軸受け部材の間において回転可能に配設され、少なくともその外周部が上記各組の車輪の間隔より薄く形成される円板と、
上記円板と同一面内に並ぶように上記遊具台に立設され、上記円板の外周部との間に上記ボディの高さより狭い微小な間隔を空けて配設される半月凹部を有する固定板と、
上記円板を回転するハンドルアームと、
上記円板の外周部に凹部として形成され、上記走行体の上記ボディが収容される収容部としての搬送凹部と、
上記円板により持ち上げられた上記走行体が走行し元の位置に復帰する走行路となる循環路と、
を有することを特徴とする遊具。
【請求項4】
球体と、
遊具台と、
上記遊具台の一端側に上記球体の大きさより広い間隔で互いに離間して立設される一対の軸受け部材と、
上記一対の軸受け部材により回転可能に軸支される駆動軸と、
上記一対の軸受け部材の間において上記駆動軸に固定される回転体と、
上記一対の軸受け部材の外において一端が上記駆動軸に固定されるハンドルアームと、
上記回転体から外側へ突出するように配設され、それらの間に上記球体を挟んで収容する弾性を有する一対の第一フック部材と、
上記一対の軸受け部材の間であって上記一対の第一フック部材の間に収容されている上記球体の軌道上となる位置に配設される球体受け部材と、
上記球体受け部材に乗った後に上記一対の第一のフック部材で収容され上方へ持上げられた上記球体がその後再び上記球体受け部材へ戻る循環路と、
を有することを特徴とする遊具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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