説明

遊技システム、遊技機、および制御方法

【課題】遊技媒体の管理および運搬を容易にすることができる遊技システムの提供。
【解決手段】遊技システム1は、パチンコ機2と、遊技球の貯留数を記憶する記憶部32を備えるRFタグ3とを有する。パチンコ機2は、RFタグ3に対して情報の読み書きを実施するリーダライタ4と、制御装置7とを備える。制御装置7は、遊技球の貯留数を記憶するメインメモリ71と、リーダライタ4を介して記憶部32に記憶された遊技球の貯留数を取得してメインメモリ71に記憶させる取得手段72と、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数を、パチンコ機2が遊技されることによる遊技球の増減に応じて増減させる管理手段73と、リーダライタ4を介して記憶部32に記憶された遊技球の貯留数をメインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数に書き換える書換手段74とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技システム、遊技機、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技球や遊技メダル等の遊技媒体を用いて遊技されるパチンコ機やパチスロ機等の遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のパチンコ機は、複数の入賞口等が設けられた遊技盤と、この遊技盤に遊技球を発射する発射装置とを備え、発射装置から発射された遊技球が入賞口に入賞した場合に所定数の遊技球を払い出している。
このようなパチンコ機には、一般的に、発射装置に遊技球を供給し、かつ、パチンコ機から払い出された遊技球を貯留するための上皿と、この上皿に貯留された遊技球が所定数を超えた場合に、パチンコ機から払い出された遊技球を貯留するための下皿とが設けられている。そして、パチンコ機の遊技者は、パチンコ機から払い出された遊技球を、遊技球を収納するための玉箱に下皿から移し、この玉箱をパチンコ機の近傍に積み上げて管理している。また、パチンコ機の遊技者は、パチンコ機から払い出された遊技球を景品と交換する場合等には、遊技球を玉箱ごと運搬している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−112938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなパチンコ機によると、パチンコ機の遊技者が遊技をしながら、または遊技を一旦止めて遊技球の管理をしなければならないという問題があった。また、遊技球は、金属製であるため量が増加すると重くなり運搬が容易ではなくなるという問題があった。
なお、このような問題は、遊技メダルを用いて遊技されるパチスロ機等のような他の遊技媒体を用いて遊戯される遊技機においても同様である。
【0005】
本発明の目的は、遊技媒体の管理および運搬を容易にすることができる遊技システム、遊技機、および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技システムは、遊技媒体を用いて遊技される遊技機と、通信により非接触で情報の読み書きを可能とする非接触記憶装置とを有する遊技システムであって、前記非接触記憶装置は、前記通信をする装置側通信手段と、前記遊技媒体の貯留数を記憶する装置側記憶手段とを備え、前記遊技機は、前記非接触記憶装置に対して前記通信をする遊技機側通信手段と、前記遊技媒体の貯留数を記憶する遊技機側記憶手段と、前記遊技機側通信手段および前記遊技機側記憶手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して前記遊技機側記憶手段に記憶させる取得部と、前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を、前記遊技機が遊技されることによる前記遊技媒体の増減に応じて増減させる管理部と、前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換える書換部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、遊技システムは、遊技媒体の貯留数を記憶する装置側記憶手段を備える非接触記憶装置を有し、遊技機は、取得部と、管理部と、書換部とを備えるので、非接触記憶装置にて遊技媒体を管理することができる。
すなわち、取得部は、装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して遊技機側記憶手段に記憶させる。そして、遊技機は、遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体を用いて遊技される。この際、管理部は、遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を、遊技機が遊技されることによる遊技媒体の増減に応じて増減させる。具体的に、管理部は、遊技機が遊技されることにより遊技媒体が増加すると遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を増加させ、遊技媒体が減少すると遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を減少させる。さらに、書換部は、装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換える。
【0008】
したがって、非接触記憶装置の装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数は、管理部にて管理される遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数と同じになるので、非接触記憶装置にて遊技媒体を管理することができる。
ここで、非接触記憶装置としては、例えば、RF(Radio Frequency)タグ等を採用することができる。RFタグは、無線通信によって外部から非接触で情報を読み書きすることができるものであり、近年では、小型で軽量のIC(Integrated Circuit)により構成されている。
したがって、非接触記憶装置として、このような小型で軽量のRFタグ等を採用すれば、遊技者は、遊技媒体を直接管理する必要がなく、さらに、非接触記憶装置を携帯することができるので、遊技媒体の管理を容易にすることができる。また、遊技者は、遊技媒体の量が増加した場合であっても非接触記憶装置を容易に運搬することができる。
【0009】
さらに、本発明によれば、以下のような副次的な効果が期待できる。
遊技者に対する効果としては、次のような効果が期待できる。
例えば、遊技者は、遊技媒体を直接管理する場合において自己が所有する遊技媒体の貯留数を正確に把握することが困難である。これに対して、本発明によれば、遊技媒体の貯留数は、非接触記憶装置の装置側記憶手段に記憶されているので、貯留数を照会すること等により正確に把握することができる。また、例えば、遊技者は、遊技媒体を直接管理する場合には遊技媒体に触れる必要がある。これに対して、本発明によれば、遊技媒体に直接触れることがないので衛生的である。
【0010】
また、例えば、パチンコ機およびパチスロ機の遊技機は、同一の店舗内に設置され、遊技者は、店舗内に設置された貸出機等から遊技球および遊技メダルの遊技媒体を借り、借りた遊技媒体を用いて遊技を行っている。しかしながら、一度、遊技球および遊技メダルの遊技媒体を借りた場合には、遊技球から遊技メダルに交換する等のように、遊技媒体間で相互に交換することができない。これに対して、本発明によれば、例えば、遊技媒体の貯留数を、遊技球および遊技メダルの遊技媒体間で相互に交換することができるように構成することができ、遊技者の利便性を向上させることができる。
【0011】
遊技機を設置している店舗に対する効果としては、次のような効果が期待できる。
例えば、パチンコ機においては、遊技者は、玉箱をパチンコ機の近傍に積み上げて管理している。これに対して、本発明によれば、遊技者は、玉箱を積み上げる必要がなくなるので、店舗内のスペースを有効に利用することができる。さらに、店舗では、玉箱に移されて滞留する遊技球を保有する必要がなくなり、遊技機内で用いられる分の遊技球のみを保有すればよく、かつ、玉箱を保有する必要もなくなるので、運営コストを低減させることができる。また、例えば、パチンコ機においては、遊技者は、遊技球を直接管理するので、遊技球が落下して店舗内の床に転がる等の問題がある。これに対して、本発明によれば、遊技者は、遊技球を直接管理することがないので、このような問題も生じない。
【0012】
遊技機を製造している製造者に対する効果としては、次のような効果が期待できる。
例えば、パチンコ機においては、遊技者に遊技球を払い出すために、上皿および下皿などを設けていた。これに対して、本発明によれば、遊技者は、遊技球を直接管理することがないので、上皿および下皿などを設ける必要がなくなる。したがって、製造コストを低減させることができる。さらに、遊技機を設計する上での制約を低減させることができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0013】
本発明では、前記遊技機は、当該遊技機に固有の識別情報を記憶する識別情報記憶手段を備え、前記制御手段は、前記遊技機側通信手段を介して前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報を前記装置側記憶手段に書き込みする識別情報書込部を備え、前記装置側記憶手段は、前記遊技媒体の貯留数と、前記識別情報とを関連付けて記憶することが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、装置側記憶手段は、遊技媒体の貯留数と、遊技機の識別情報とを関連付けて記憶するので、例えば、遊技システムを設置している店舗は、回収した非接触記憶装置を保有していた遊技者の遊技状況のデータを収集することができる。
また、例えば、遊技機から払い出された遊技媒体により、この遊技機とは異なる他の遊技機にて遊技することを禁止する等の規制を柔軟に設けることができる。
【0015】
本発明では、前記遊技機側通信手段は、所定方向に指向性を有するアンテナを備えることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、遊技機側通信手段は、所定方向に指向性を有するアンテナを備えるので、例えば、パチンコ機や、パチスロ機等の遊技機において、遊技者が遊技をする際に着席する座席の方向に強い電波が放射されるようにアンテナを設置することで、隣接する他の遊技機のアンテナから放射される電波との干渉を防止することができる。
【0017】
本発明の遊技機は、遊技媒体を用いて遊技される遊技機であって、通信により非接触で情報の読み書きを可能とし、当該通信をする装置側通信手段と、前記遊技媒体の貯留数を記憶する装置側記憶手段とを備える非接触記憶装置に対して当該通信をする遊技機側通信手段と、前記遊技媒体の貯留数を記憶する遊技機側記憶手段と、前記遊技機側通信手段および前記遊技機側記憶手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して前記遊技機側記憶手段に記憶させる取得部と、前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を、前記遊技機が遊技されることによる前記遊技媒体の増減に応じて増減させる管理部と、前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換える書換部とを備えることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、前述した遊技システムに好適な遊技機として利用することができる。したがって、前述した遊技システムと同様の作用効果を奏することができる。すなわち、遊技者は、遊技媒体の管理および運搬を容易にすることができる。
【0019】
本発明の制御方法は、遊技媒体を用いて遊技される遊技機と、通信により非接触で情報の読み書きを可能とする非接触記憶装置とを有する遊技システムに用いられる制御方法であって、前記非接触記憶装置は、前記通信をする装置側通信手段と、前記遊技媒体の貯留数を記憶する装置側記憶手段とを備え、前記遊技機は、前記非接触記憶装置に対して前記通信をする遊技機側通信手段と、前記遊技媒体の貯留数を記憶する遊技機側記憶手段と、前記遊技機側通信手段および前記遊技機側記憶手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して前記遊技機側記憶手段に記憶させる取得ステップと、前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を、前記遊技機が遊技されることによる前記遊技媒体の増減に応じて増減させる管理ステップと、前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換える書換ステップとを実行することを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、制御手段が、取得ステップと、管理ステップと、書換ステップとを実行するので、前述した遊技システムと同様の作用効果を奏することができる。すなわち、遊技者は、遊技媒体の管理および運搬を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔遊技システムの概要〕
図1は、遊技システム1を示す概念図である。
遊技システム1は、図1に示すように、遊技媒体として遊技球を用いて遊技される遊技機としてのパチンコ機2と、無線通信により非接触で情報の読み書きを可能とし、遊技球の貯留数を記憶するためのRFタグ3と、遊技者がパチンコ機2にて遊技をする際に着席するための座席10とを有する。また、パチンコ機2の上部には、RFタグ3に対して無線通信をする後述するリーダライタ4(図3参照)に接続されるアンテナ41が露出している。
なお、アンテナ41は、所定方向に指向性を有しており、座席10の方向に強い電波が放射されるように設置されている。すなわち、遊技システム1の遊技者は、RFタグ3を所持し、座席10に着席することで、リーダライタ4のアンテナ41におけるRFタグ3の検出可能な範囲に進入させることができる。
【0022】
〔パチンコ機の概略構成〕
図2は、パチンコ機2を示す概略斜視図である。
パチンコ機2は、遊技者の操作に応じて遊技球を遊技盤上に射出し、射出された遊技球が遊技盤に設けられた入賞口等に入賞した場合に、所定数の遊技球を払い出すものである。このパチンコ機2は、図2に示すように、枠体21と、枠体21内に収納される遊技機本体22とを備えて構成されている。
遊技機本体22は、図2に示すように、枠体21の前面側に取り付けられる遊技盤23と、遊技盤23の前面を覆う透光板を有する前扉24と、遊技球を発射するためのハンドル25と、パチンコ機2にて遊技を開始するための開始ボタン261、および終了するための終了ボタン262を有する遊技ボタン26とを備えて構成されている。
【0023】
遊技盤23は、ハンドル25を回転させることで打ち出された遊技球を導くレール231によって囲まれた略円形状の遊技領域23Aを有し、遊技領域23Aには、適所に遊技球の軌道を変更する複数の釘232が配設されている。また、遊技盤23の略中央、すなわち、遊技領域23Aの略中央には、略矩形状の開口23Bが形成され、この開口23Bを介して後述する画像表示装置6が露出している。また、開口23Bは、透光性の基板233により覆われている。
【0024】
この開口23Bの左右両側には、遊技球が入賞する2つの入賞口234が設けられている。また、開口23Bの下方略中央には、遊技球が入賞することで後述する制御装置7(図3参照)にて抽選処理が実行される始動入賞口235が設けられ、始動入賞口235の下方には、抽選処理により大当りとなった場合に開放される大入賞口236が設けられている。さらに、遊技領域23Aの下端には、各入賞口234,235,236に入賞しなかった遊技球を回収する回収口237が形成されている。
【0025】
〔遊技システムの構成〕
図3は、遊技システム1の構成を示すブロック図である。
非接触記憶装置としてのRFタグ3は、後述するリーダライタ4から送信される電波の電力を利用して情報の記憶および送信をすることができる受動型のRFタグであり、図3に示すように、リーダライタ4との無線通信をする通信部31と、情報の記憶をする記憶部32と、通信部31および記憶部32を制御する制御部33とを備えている。
【0026】
装置側通信手段としての通信部31は、リーダライタ4から送信される電波を受信するとともに、受信した電波を整流することにより電力を発生させ、発生させた電力を記憶部32および制御部33に供給する。
装置側記憶手段としての記憶部32は、遊技球の貯留数、およびパチンコ機2の後述する識別情報を関連付けて記憶する。
制御部33は、通信部31にて受信された電波に重畳された情報を、記憶部32に記憶させる。また、制御部33は、記憶部32に記憶された情報を、リーダライタ4に通信部31を介して送信する。
【0027】
また、パチンコ機2は、図3に示すように、リーダライタ4と、発射装置5と、画像表示装置6と、制御装置7とを備える。
遊技機側通信手段としてのリーダライタ4は、RFタグ3に対して無線通信をするものであり、RFタグ3に対して情報が重畳された電波を送受信するためのアンテナ41を備えている。そして、リーダライタ4は、制御装置7による制御の下、アンテナ41を介してRFタグ3に対して情報の読み書きを実施する。したがって、RFタグ3は、リーダライタ4との無線通信により非接触で情報の読み書きを可能としている。なお、RFタグ3およびリーダライタ4は、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)システムを構成している。
発射装置5は、ハンドル25と連動して遊技球を遊技盤23に打ち出すものであり、遊技球を発射すると、発射した遊技球の数に係る情報を制御装置7に出力する。
【0028】
画像表示装置6は、遊技盤23の背面側から取り付けられ、制御装置7による抽選処理の結果に応じて所定の表示画像を表示させるものであり、CGROM(Character Generator Read Only Memory)61と、グラフィックチップ62と、VRAM(Video Random Access Memory)63と、LCD(Liquid Crystal Display)ユニット64とを備える。
CGROM61は、画像表示装置6にて表示画像を形成するための画像データを格納する。
【0029】
グラフィックチップ62は、制御装置7による制御の下、CGROM61に格納された画像データに基づいて画像信号を生成して出力する。
具体的に、グラフィックチップ62は、制御装置7から入力される制御信号に基づいて、CGROM61に格納された1画面分に対応する画像データを生成し、生成した画像データをVRAM63に一旦格納する。VRAM63は、画像データを一時的に記憶するバッファであり、グラフィックチップ62は、このVRAM63に記憶された画像データに基づく画像信号を、LCDユニット64に出力する。
LCDユニット64は、グラフィックチップ62から入力される画像信号に応じて表示画像を形成し、この表示画像を、遊技盤23の開口23Bを介して表示するものである。したがって、パチンコ機2の遊技者は、表示画像を、開口23Bを介して見ることができる。
【0030】
制御手段としての制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成され、前述した抽選処理を実施する他、パチンコ機2全体を制御するものであり、図3に示すように、メインメモリ71と、取得手段72と、管理手段73と、書換手段74と、識別情報書込手段75とを備える。また、これら各構成要素71〜75は、図示しないバスにより接続され、必要な情報が伝送可能に構成されている。
【0031】
メインメモリ71は、制御装置7で所定の処理を実行するためのプログラムやデータ等を記憶するものであり、遊技球の貯留数を記憶する他、パチンコ機2に固有の識別情報が記憶されている。すなわち、本実施形態では、メインメモリ71は、本発明の遊技機側記憶手段および識別情報記憶手段に相当する。
取得部としての取得手段72は、開始ボタン261が押下されると、リーダライタ4を介してRFタグ3の記憶部32に記憶された遊技球の貯留数を取得してメインメモリ71に記憶させる。これにより、遊技システム1の遊技者は、メインメモリ71に記憶された遊技球を用いてパチンコ機2にて遊技することができる。
【0032】
なお、遊技球の貯留数の取得に際しては、まず、リーダライタ4は、遊技球の貯留数を取得する旨の情報が重畳された電波をRFタグ3に送信し、RFタグ3の通信部31は、この電波を受信する。次に、RFタグ3の制御部33は、通信部31にて受信された電波に重畳された情報に基づいて、記憶部32に記憶された遊技球の貯留数の情報を電波に重畳させて通信部31を介してリーダライタ4に送信する。そして、リーダライタ4は、RFタグ3から送信された電波を受信し、受信した電波に重畳された遊技球の貯留数の情報を取得する。
【0033】
管理部としての管理手段73は、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数を、パチンコ機2が遊技されることによる遊技球の増減に応じて増減させるものであり、加算部731と、減算部732とを備える。
加算部731は、遊技盤23の各入賞口234,235,236に、遊技盤23に射出された遊技球が入賞すると、各入賞口234,235,236に応じた所定数の遊技球を、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数に加算することで払い出す。
減算部732は、発射装置5により遊技球が遊技盤23に打ち出されると、発射装置5から出力される情報に応じた数の遊技球を、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数から減算する。
【0034】
書換部としての書換手段74は、リーダライタ4を介してRFタグ3の記憶部32に記憶された遊技球の貯留数をメインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数に書き換える。なお、書換手段74は、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数が加算部731および減算部732により変動した際に書き換えを実施する。
識別情報書込部としての識別情報書込手段75は、リーダライタ4を介してメインメモリ71に記憶されたパチンコ機2に固有の識別情報をRFタグ3の記憶部32に書き込みする。
【0035】
なお、書換手段74による遊技球の貯留数の書き換え、および識別情報書込手段75によるパチンコ機2の識別情報の書き込みに際しては、まず、リーダライタ4は、書き換え、および書き込みする情報が重畳された電波をRFタグ3に送信し、RFタグ3の通信部31は、この電波を受信する。次に、RFタグ3の制御部33は、通信部31にて受信された電波に重畳された情報を記憶部32に記憶させる。
【0036】
ここで、表1は、RFタグ3の記憶部32に記憶される遊技球の貯留数およびパチンコ機2の識別情報を例示する表である。RFタグ3の記憶部32には、前述したように、遊技球の貯留数、およびパチンコ機2の識別情報が関連付けて記憶される。なお、表1は、左側の列から順に、遊技システム1の遊技者による遊技の履歴数、遊技球の貯留数、パチンコ機2の識別情報を示している。
【0037】
【表1】

【0038】
遊技の履歴数が1番目の行は、RFタグ3の記憶部32に遊技球の貯留数として「5000」が記憶されていることを示している。なお、この貯留数は、遊技システム1が設置される店舗内に設置された貸出機(図示略)にてRFタグ3が貸し出された際に、貸出機により書き込まれた遊技球の貯留数である。したがって、記憶部32には識別情報が記憶されていない。
【0039】
また、遊技の履歴数が2番目の行は、RFタグ3の記憶部32に遊技球の貯留数として「7000」が記憶され、識別情報として「A」が記憶されていることを示している。すなわち、遊技システム1の遊技者は、貸出機により書き込まれた貯留数が「5000」の遊技球を用いて「A」という識別情報を有するパチンコ機2にて遊技を行い、貯留数が「7000」まで増加したことを示している。同様に、遊技の履歴数が3番目の行は、RFタグ3の記憶部32に遊技球の貯留数として「4500」が記憶され、識別情報として「D」が記憶されていることを示している。すなわち、遊技システム1の遊技者は、「A」という識別情報を有するパチンコ機2にて増加した貯留数が「7000」の遊技球を用いて「D」という識別情報を有するパチンコ機2にて遊技を行い、貯留数が「4500」まで減少したことを示している。
【0040】
ここで、遊技の履歴数の更新は、遊技システム1の遊技者がRFタグ3を所持し、座席10に着席した状態で、開始ボタン261が押下されることによりなされる。具体的に、開始ボタン261が押下されると、識別情報書込手段75は、リーダライタ4を介してメインメモリ71に記憶されたパチンコ機2に固有の識別情報をRFタグ3の記憶部32に書き込みする。この際、RFタグ3の制御部33は、遊技の履歴数を追加して記憶部32に記憶させることで、遊技の履歴数を更新する。そして、更新される前の遊技の履歴数における遊技球の貯留数と、識別情報書込手段75により書き込みされたパチンコ機2の識別情報とを、最新の遊技の履歴数に関連付けて記憶させる。
【0041】
例えば、表1に例示したRFタグ3を所持する遊技システム1の遊技者が、「B」という識別情報を有するパチンコ機2の座席10に着席し、開始ボタン261を押下した場合には、RFタグ3の制御部33は、遊技の履歴数「4」を追加して記憶部32に記憶させることで、遊技の履歴数を更新する。そして、更新される前の遊技の履歴数「3」における遊技球の貯留数「4500」と、識別情報書込手段75により書き込みされたパチンコ機2の識別情報「B」とを、最新の遊技の履歴数「4」に関連付けて記憶させる。
そして、遊技システム1の遊技者は、最新の遊技の履歴数「4」に関連付けて記憶される貯留数が「4500」の遊技球を用いて「B」という識別情報を有するパチンコ機2にて遊技を行う。
【0042】
したがって、遊技システム1の遊技者の所有する遊技球の貯留数は、常に、最新の遊技の履歴数における遊技球の貯留数となる。
なお、書換手段74は、リーダライタ4を介してRFタグ3の記憶部32に記憶された最新の遊技の履歴数における遊技球の貯留数をメインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数に書き換える。また、リーダライタ4のアンテナ41におけるRFタグ3の検出可能な範囲にRFタグ3がなく、書き換えができない場合、すなわち、遊技システム1の遊技者が座席10から離席した場合には、制御装置7は、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数を消去する。この場合には、遊技システム1の遊技者は、遊技をするために、RFタグ3を所持し、座席10に着席した状態で、再度、開始ボタン261を押下する必要がある。
以上のように、遊技システム1の遊技者による遊技状況のデータがRFタグ3の記憶部32に記憶され、その履歴が蓄積される。
【0043】
〔遊技システムの制御方法〕
次に、遊技システム1の制御方法について、図4を参照して説明する。
図4は、遊技システム1の制御方法を示すフローチャートである。
まず、遊技システム1の遊技者は、遊技システム1が設置される店舗内に設置された貸出機から記憶部32に所定数の遊技球の貯留数が書き込まれたRFタグ3を借りる。そして、遊技システム1の遊技者は、座席10に着席し、RFタグ3を所持した状態で開始ボタン261を押下することで遊技を開始する。
開始ボタン261が押下されると、遊技システム1は、以下のステップS1〜S5を実行する。
【0044】
まず、取得手段72は、リーダライタ4を介してRFタグ3の記憶部32に記憶された最新の遊技の履歴数における遊技球の貯留数を取得してメインメモリ71に記憶させる(取得ステップS1)。
次に、識別情報書込手段75は、リーダライタ4を介してメインメモリ71に記憶されたパチンコ機2に固有の識別情報をRFタグ3の記憶部32に書き込みする(識別情報書込ステップS2)。なお、この際、RFタグ3の制御部33は、前述した遊技の履歴数の更新を実施する。
【0045】
そして、管理手段73は、メインメモリ71に記憶された遊技媒体の貯留数を、パチンコ機2が遊技されることによる遊技球の増減に応じて増減させる(管理ステップS3)。
メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数が増減すると、書換手段74は、リーダライタ4を介してRFタグ3の記憶部32に記憶された最新の遊技の履歴数における遊技球の貯留数をメインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数に書き換える(書換ステップS4)。
【0046】
次に、制御装置7は、終了ボタン262が押下されたか否かを判定する(終了判定ステップS5)。そして、終了ボタン262が押下されていないと判定された場合には、制御装置7は、再度、管理ステップS3以降を実行する。一方、終了ボタン262が押下されたと判定された場合には、制御装置7は、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数を消去する。
以上のステップS1〜S5により、遊技システム1の遊技者は、パチンコ機2にて遊技することができる。なお、パチンコ機2を設置している店舗は、最終的にRFタグ3を遊技者から回収する。
【0047】
本実施形態に係る遊技システム1によれば、次のような効果がある。
(1)遊技システム1は、遊技球の貯留数を記憶する記憶部32を備えるRFタグ3を有し、パチンコ機2は、取得手段72と、管理手段73と、書換手段74とを備えるので、RFタグ3にて遊技球を管理することができる。したがって、遊技システム1の遊技者は、遊技球を直接管理する必要がなく、さらに、RFタグ3を携帯することができるので、遊技球の管理を容易にすることができる。また、遊技者は、遊技球の量が増加した場合であってもRFタグを容易に運搬することができる。
【0048】
(2)RFタグ3の記憶部32は、遊技球の貯留数と、遊技されたパチンコ機2の識別情報とを関連付けて記憶するので、パチンコ機2を設置している店舗は、回収したRFタグ3を保有していた遊技者の遊技状況のデータを収集することができる。
(3)書換手段74は、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数が増減すると、RFタグ3の記憶部32に記憶された遊技球の貯留数をメインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数に書き換えるので、記憶部32に記憶された遊技球の貯留数を実時間で管理することができ、遊技者の利便性を向上させることができる。
(4)パチンコ機2は、上皿および下皿を設けていないので、製造コストを低減させることができる。
【0049】
〔実施形態の変形〕
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、非接触記憶装置として受動型のRFタグを採用していたが、例えば、能動型のRFタグを採用してもよく、要するに、非接触で情報の読み書きを可能とすることができる非接触記憶装置であればよい。
前記実施形態では、識別情報記憶手段には、メインメモリ71を採用していたが、例えば、ハードウェアキー等を採用してもよく、要するに、遊技機に固有の識別情報を記憶することができるものであればよい。
前記実施形態では、制御装置7は、識別情報書込手段75を備えていたが、RFタグ3にて遊技球の貯留数のみを記憶すればよく、識別情報を書き込む必要がない場合には、識別情報書込手段75を備えていなくてもよい。
【0050】
前記実施形態では、アンテナ41は、指向性を有していたが、隣接する他の遊技機のアンテナとの干渉がなければ、指向性を有していなくてもよい。
前記実施形態では、取得手段72は、開始ボタン261が押下されることにより、RFタグ3の記憶部32に記憶された遊技球の貯留数を取得していたが、例えば、リーダライタ4のアンテナ41におけるRFタグ3の検出可能な範囲に、RFタグ3が進入した場合に、自動的に取得するようにしてもよい。要するに、取得部は、遊技機側通信手段を介して装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して遊技機側記憶手段に記憶させることができればよい。
【0051】
前記実施形態では、書換手段74は、メインメモリ71に記憶された遊技球の貯留数が加算部731および減算部732により変動した際に書き換えを実施していたが、例えば、書換手段74は、所定時間ごとや、所定数の遊技球の変動ごと等に書き換えを実施してもよく、要するに、装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換えることができればよい。
前記実施形態では、遊技機として、遊技球を用いて遊技されるパチンコ機2を採用していたが、例えば、遊技メダルを用いて遊技されるパチスロ機や、コイン等を用いて遊技されるゲーム機等であってもよく、要するに、遊技媒体を用いて遊技される遊技機であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、遊技媒体を用いて遊技される遊技機を有する遊技システムに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技システムを示す概念図。
【図2】前記実施形態におけるパチンコ機を示す概略斜視図。
【図3】前記実施形態における遊技システムの構成を示すブロック図。
【図4】前記実施形態における遊技システムの制御方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0054】
1…遊技システム、2…パチンコ機(遊技機)、3…RFタグ(非接触記憶装置)、4…リーダライタ(遊技機側通信手段)、7…制御装置(制御手段)、31…通信部(装置側通信手段)、32…記憶部(装置側記憶手段)、71…メインメモリ(遊技機側記憶手段)、72…取得手段(取得部)、73…管理手段(管理部)、74…書換手段(書換部)、75…識別情報書込手段(識別情報書込部)、S1…取得ステップ、S3…管理ステップ、S4…書換ステップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を用いて遊技される遊技機と、通信により非接触で情報の読み書きを可能とする非接触記憶装置とを有する遊技システムであって、
前記非接触記憶装置は、
前記通信をする装置側通信手段と、
前記遊技媒体の貯留数を記憶する装置側記憶手段とを備え、
前記遊技機は、
前記非接触記憶装置に対して前記通信をする遊技機側通信手段と、
前記遊技媒体の貯留数を記憶する遊技機側記憶手段と、
前記遊技機側通信手段および前記遊技機側記憶手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して前記遊技機側記憶手段に記憶させる取得部と、
前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を、前記遊技機が遊技されることによる前記遊技媒体の増減に応じて増減させる管理部と、
前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換える書換部とを備えることを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技システムにおいて、
前記遊技機は、当該遊技機に固有の識別情報を記憶する識別情報記憶手段を備え、
前記制御手段は、
前記遊技機側通信手段を介して前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報を前記装置側記憶手段に書き込みする識別情報書込部を備え、
前記装置側記憶手段は、前記遊技媒体の貯留数と、前記識別情報とを関連付けて記憶することを特徴とする遊技システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の遊技システムにおいて、
前記遊技機側通信手段は、所定方向に指向性を有するアンテナを備えることを特徴とする遊技システム。
【請求項4】
遊技媒体を用いて遊技される遊技機であって、
通信により非接触で情報の読み書きを可能とし、当該通信をする装置側通信手段と、前記遊技媒体の貯留数を記憶する装置側記憶手段とを備える非接触記憶装置に対して当該通信をする遊技機側通信手段と、
前記遊技媒体の貯留数を記憶する遊技機側記憶手段と、
前記遊技機側通信手段および前記遊技機側記憶手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して前記遊技機側記憶手段に記憶させる取得部と、
前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を、前記遊技機が遊技されることによる前記遊技媒体の増減に応じて増減させる管理部と、
前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換える書換部とを備えることを特徴とする遊技機。
【請求項5】
遊技媒体を用いて遊技される遊技機と、通信により非接触で情報の読み書きを可能とする非接触記憶装置とを有する遊技システムに用いられる制御方法であって、
前記非接触記憶装置は、
前記通信をする装置側通信手段と、
前記遊技媒体の貯留数を記憶する装置側記憶手段とを備え、
前記遊技機は、
前記非接触記憶装置に対して前記通信をする遊技機側通信手段と、
前記遊技媒体の貯留数を記憶する遊技機側記憶手段と、
前記遊技機側通信手段および前記遊技機側記憶手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、
前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を取得して前記遊技機側記憶手段に記憶させる取得ステップと、
前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を、前記遊技機が遊技されることによる前記遊技媒体の増減に応じて増減させる管理ステップと、
前記遊技機側通信手段を介して前記装置側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数を前記遊技機側記憶手段に記憶された遊技媒体の貯留数に書き換える書換ステップとを実行することを特徴とする制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−237641(P2008−237641A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83504(P2007−83504)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】