説明

遊技システム

【課題】遊技者に還元される利益に隔たりが生じるのを防止することができ、遊技者に不公平感を与えないようにすることができる遊技システムを提供すること。
【解決手段】所定の遊技が規定回数実行されたときに遊技球の無線タグ170に識別情報として遊技機IDを書き込み、この遊技機IDとパチンコ遊技機に固有の遊技機IDとを比較し、遊技機ID同士が一致した場合には、今現在遊技を行っているパチンコ遊技機で遊技を継続できるように発射ソレノイド142の操作を有効にし、遊技機ID同士が一致しない場合には、他のパチンコ遊技機から移動して遊技が行われたものと判断して発射ソレノイド142の操作を無効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技システムに関し、例えば、遊技者にとって不利な遊技状態が継続した場合に、遊技者に利益を還元することができる遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ遊技機等の遊技機にあっては、表示図柄等の識別情報が表示される表示装置でこの表示図柄が変動表示ないし停止表示される1サイクルを1回の可変表示ゲームとして、この可変表示ゲームを繰返し表示するようになっており、この可変表示ゲームにおいて表示図柄が所定の組み合わせで停止表示した場合には、所謂、大当り遊技状態という遊技者に対して有利な状態を提供するようになっている。
【0003】
可変表示ゲーム時にこの大当り遊技状態が発生する確率は、例えば1/250といった確率に設定されている。すなわち、大当り遊技状態が発生する確率が1/250の場合は、単純に考えれば250回の可変表示ゲームを繰返すことにより、1回大当り遊技状態が発生するということである。
【0004】
近年、パチンコホールにおいて、大当り遊技状態が発生する確率を表示することにより遊技者に報知することが行われるようになってきており、また、パチンコ遊技機毎に、前回大当りが発生して以来、何回可変表示ゲームが実行されているか、すなわち、どの程度の回数の可変表示ゲームの間だけ大当り遊技状態が発生していないかを、回数表示することが行われている。
【0005】
ところで、大当り遊技状態が発生する確率は、あくまで確率であるために、当然のことながら、可変表示ゲームを100回繰返す前に大当り遊技状態が発生する場合もあれば、1000回以上繰返しても発生しない場合もある。
【0006】
そこで、どこまで続くか分からないような長期の間大当り遊技状態が発生しない状態、所謂、「ハマリ」を遊技者に対して緩和するために、所謂、「天井」が設けられるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
天井とは、可変表示ゲームを繰返し実行したときに大当り遊技状態が少なくとも1回は発生するという可変表示ゲームの最大回数であり、換言すれば、これだけの回数可変表示ゲームを行えば最低1回は大当り遊技状態が発生するという可変表示ゲームの回数をいう。
【0008】
しかしながら、このような従来のパチンコ遊技機にあっては、長期の間大当り遊技状態が発生しない状態が可変表示ゲームの最大回数行われた場合に、救済措置として大当り遊技等の遊技に関する利益を還元するようにしていたため、パチンコ遊技機の釘の良し悪し、遊技者の技量等によって還元される利益に隔たりが生じ易くなってしまう。
【0009】
すなわち、大当りが発生すると、大入賞口が開放し、大入賞口に遊技媒体である遊技球を入賞させることで多くの賞球を払出すことができる大当り遊技状態に移行する。この大入賞口の周辺には釘が配置されており、この釘の開き具合に応じて、大入賞口への遊技球の入賞の難易度が異なるようになっており、釘の開き具合が良いパチンコ遊技機と釘の開き具合が悪いパチンコ遊技機とでは、大当り遊技状態中に払い出される賞球数が異なってしまう。
【0010】
また、1ラウンド当りの大入賞口の最大開放時間は一定時間となっているとともに、1ラウンド当りの遊技球の入賞数も一定数になっており、一定時間内に一定数の遊技球が大入賞口に入賞しないと次のラウンドに移行してしまうため、釘の開き具合が悪いと、遊技球の取りこぼしが多くなる上に、払い出される賞球数も少なくなる。
【0011】
これに加えて、技量のある遊技者は、止め打ちと呼ばれる遊技を行うことにより、大入賞口が閉塞した状態では、遊技球の発射を停止して無駄な遊技球の消費を抑制するようにした遊技を行うが、このような遊技を知らない初心者は、大入賞口が閉塞した状態でも遊技球を発射して遊技球を無駄に消費する遊技を行うことになる。
【0012】
このため、折角、大当り遊技状態が発生した場合でも、遊技機の釘の良し悪しや遊技者の技量によって遊技者に還元される遊技球の量に差がついてしまうのである。
【特許文献1】特開2003−190528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、従来のパチンコ遊技機で行われる救済措置では、遊技者に還元される利益に対して遊技者が不公平を感じるという問題があった。
【0014】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、遊技者に還元される利益に隔たりが生じるのを防止することができ、遊技者に不公平感を与えないようにすることができる遊技システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る遊技システムは、(1)遊技機(例えば、パチンコ遊技機10A、10B、10C等)および前記遊技機に併設され、前記遊技機に遊技媒体の貸し出しを行うカードユニット(例えば、カードユニット300A、300B、300C等)によって構築される遊技システム(例えば、遊技システム1等)であって、前記遊技機は、所定の遊技が実行されたことが特定可能な遊技実行情報を送信する遊技実行情報送信手段(例えば、CPU61、外部出力端子板139等)と、遊技者に有利な特定遊技状態であることを特定可能な遊技状態情報を送信する遊技状態情報送信手段(例えば、CPU61、外部出力端子板139等)と、遊技媒体を遊技盤(例えば、遊技盤15等)の遊技領域に向けて発射する発射手段(例えば、発射ソレノイド142等)と、遊技媒体貯留部(例えば、上皿20等)に貯留された遊技媒体を前記発射手段に供給する遊技媒体供給手段(例えば、球送りソレノイド143等)と、前記遊技媒体に格納された無線タグ(例えば、無線タグ170等)から発せられる無線信号を受信する無線受信部(例えば、無線受信部140等)と、前記無線受信部によって受信された無線信号に基づいて遊技媒体の識別情報(例えば、遊技機ID等)を認識する認識手段(例えば、CPU61等)と、前記遊技機に固有の識別情報(例えば、遊技機ID等)を記憶する識別情報記憶手段(例えば、RAM62等)と、前記認識手段によって認識された識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報とを比較し、比較結果に基づいて前記発射手段の操作を有効または無効とする発射制御手段(例えば、CPU310等)とを備え、前記カードユニットは、前記遊技機から送信された遊技実行情報を受信する遊技実行情報受信手段(例えば、CPU310、遊技機接続用I/O318等)と、前記遊技機から送信された遊技状態情報を受信する遊技状態情報受信手段(例えば、CPU310、遊技機接続用I/O318等)と、前記遊技実行情報受信手段によって受信された遊技実行情報に基づいて、前記遊技機において所定の遊技が実行された遊技実行回数を計数する遊技実行回数計数手段(例えば、CPU310等)と、遊技に使用される遊技用価値を特定可能な情報が記録された記録媒体を受け付ける受付手段(例えば、カード挿入口308等)と、前記受付手段によって受け付けられた記録媒体から情報を読み取る読取手段(例えば、カードR/W313等)と、前記読取手段によって読み取られた情報から特定される遊技用価値の大きさである残高情報を記憶する残高情報記憶手段(例えば、RAM312等)と、前記読取手段によって読み取られた情報から特定される遊技用価値の大きさの範囲内において、遊技に使用するための遊技媒体を貸し出すための制御を行う貸出制御手段(例えば、CPU310等)と、所定の計数開始条件が成立してから、前記遊技状態情報受信手段によって特定遊技状態となったことが検出されることなく、前記遊技実行回数計数手段によって計数された結果に基づいて所定の遊技が規定回数実行されたことを検出する遊技実行回数検出手段(例えば、CPU310等)と、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、前記残高情報記憶手段に記憶された残高情報に所定量の残高情報を加算する残高情報加算手段(例えば、CPU310等)と、遊技用価値の大きさを度数で表した場合に、前記貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数を設定する遊技媒体価値設定手段(例えば、CPU310等)と、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、遊技媒体の内部に格納された無線タグに遊技媒体を識別するための識別情報を書き込む識別情報書込手段(例えば、無線タグR/W151、CPU310等)とを備え、前記遊技媒体価値設定手段は、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、前記貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数を、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたものと検出される前よりも多く設定するものから構成されている。
【0016】
この構成により、受信された遊技状態情報に基づいて、遊技機において特定遊技状態になったことを検出し、受信された遊技実行情報に基づいて、遊技機において所定の遊技が実行された遊技実行回数を計数し、所定の計数開始条件が成立してから、特定遊技状態となったことが検出されることなく、遊技実行回数が計数された結果に基づいて所定の遊技が規定回数実行されたときに、残高情報に所定量の残高情報を加算するので、特定遊技状態となることなく、所定の遊技が規定回数実行されたときには、所定量の残高情報が加算される。
【0017】
このため、所定の遊技が規定回数実行されるまでに遊技者が消費した遊技媒体に応じた残高情報が加算されるので、釘の良し悪しや遊技者の技量等の差にかかわらず、遊技媒体の消費における損失を補填することができる。したがって、遊技媒体の消費量にかかわらず遊技者に還元される利益に隔たりが生じるのを防止することができ、遊技者に不公平感を与えないようにすることができる。
【0018】
また、遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数を、遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたものと検出される前よりも多くしたので、所定の遊技が規定回数実行されたときに所定量の残高情報が加算された後の遊技で消費される金額を少なくすることができる。
【0019】
具体的には、所定の遊技が規定回数実行されるまでに1度数25球で貸し出されていた遊技媒体が、所定の遊技が規定回数実行された後には1度数50球で貸し出されるようになるので、1度数当りに貸し出される遊技媒体が多くなる分だけ遊技に消費される金額を少なくすることができ、遊技者により多くの利益を還元することができる。
【0020】
さらに、所定の遊技が規定回数実行されたときに遊技媒体に識別情報を書き込み、この識別情報と遊技機に固有の識別情報とを比較し、識別情報が一致した場合には、今現在遊技を行っている遊技機で遊技を継続できるように発射手段の操作を有効にし、識別情報が一致しない場合には、他の遊技機から移動して遊技が行われたものと判断して発射手段の操作を無効にする。
【0021】
このため、1度数当りの貸出数が多い遊技媒体を用い、所定の計数開始条件が成立されていない他の遊技機に移動して遊技を行うことができないようにすることができ、1度数当りの貸出数が少ない遊技媒体を用いて他の遊技機で遊技を行う遊技者が不利益を被るのを防止することができる。
【0022】
また、本発明に係る遊技システムは、(2)前記カードユニットは、前記遊技実行回数計数手段による計数結果をリセットするか否かを選択するリセット選択手段(例えば、CPU310、表示装置321等)と、前記リセット選択手段の選択結果に基づいて、前記遊技状実行回数計数手段による計数結果をリセットするリセット手段(例えば、CPU310等)とを有し、前記リセット手段によって遊技実行回数計数手段による計数結果がリセットされたときに、前記遊技媒体価値設定手段が、前記貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数を、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたものと検出される前と同等に設定するものから構成されている。
【0023】
この構成により、遊技実行回数計数手段による計数結果をリセットするリセット手段を設けたので、所定の計数開始条件が成立してから、特定遊技状態となったことが検出されることなく、所定の遊技が規定回数実行される前に遊技実行回数計数手段による計数結果をリセットすることができる。
【0024】
このため、例えば、遊技機の規定回数が600回転に設定される場合に、規定回数に到達する前の500回転で遊技者が遊技を終了して他の遊技機に移動した場合に、遊技を終了した遊技機で異なる遊技者が100回転だけ所定の遊技を実行しただけで、本来は先に遊技を行っていた遊技者に還元されるべき利益が異なる遊技者に取られてしまうのを防止することができる。
【0025】
また、リセット手段によって遊技実行回数計数手段による計数結果がリセットされたときに、貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数が、遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたものと検出される前と同等に設定されるので、1度数当りの遊技機の貸し出し数を他の遊技機で貸し出される遊技媒体の貸し出し数と同等にすることができるとともに、遊技媒体を持ち出して他の遊技機で遊技を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、遊技者に還元される利益に隔たりが生じるのを防止することができ、遊技者に不公平感を与えないようにすることができる遊技システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る遊技システムの実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図18は本発明に係る遊技システムの一実施の形態を示す図である。
【0028】
[遊技システムの構成]
本実施の形態における遊技システムを示すブロック図を図1に示す。
図1に示すように、遊技システム1は、パチンコ遊技機10A、10B、10C、・・・、カードユニット300A、300B、300C、・・・、カード発行機400、システムコントローラ700、売上管理コンピュータ800等から構成される。
【0029】
また、遊技場1000には複数のパチンコ遊技機10A、10B、10C、・・・、が設置されている。なお、本実施の形態における図1においては、理解を容易とするために、パチンコ遊技機10A、10B、10C等を除く遊技機(パチンコ遊技機以外も含む)や、カードユニット300A、300B、300C以外のカードユニット等については省略して表す。
【0030】
また、図1において、符号の付されているパチンコ遊技機10A、10B、10Cと符号の付されていないパチンコ遊技機が図示されているが、以後、パチンコ遊技機の説明にあっては、符号が付されているパチンコ遊技機10A、10B、10Cを代表して説明するものとする。
【0031】
また、遊技システム1は、遊技場1000の範囲内、範囲外を跨いで設けられている。具体的には、遊技場1000の範囲内には複数のカードユニット300A、300B、300C、カード発行機400、システムコントローラ700等が設置されており、遊技場1000の範囲外には売上管理コンピュータ800等が設置されている。
【0032】
勿論、複数のパチンコ遊技機10A、10B、10Cは、遊技場1000の範囲内に設置されている。なお、本実施の形態においては、遊技システム1を、遊技場1000の範囲内、範囲外を跨いで設置するように構成したが、これに限らず、例えば、遊技システム1を遊技場1000の範囲内だけに設置するように構成してもよい。
【0033】
パチンコ遊技機10A、10B、10Cは、パチンコ遊技に関する制御を行うものである。パチンコ遊技機10A、10B、10Cは、カードユニット300A、300B、300Cが接続されている。すなわち、カードユニット300A、300B、300Cは、パチンコ遊技機10A、10B、10Cにそれぞれ併設されている。
【0034】
また、パチンコ遊技機10A、10B、10Cは、カードユニット300A、300B、300Cとの間で各種の情報の送受信を行う機能を有する。また、パチンコ遊技機10A、10B、10Cは、カードユニット300A、300B、300Cやシステムコントローラ700に対して、遊技に関する遊技情報を送信する。
【0035】
なお、この遊技情報とは、大当りとなった旨の情報、大当りとなる確率が向上された旨の情報、識別情報の可変表示の回数を示す情報、払い出された遊技球の数を示す情報、貸し出した遊技球の数を示す情報等、遊技(特に、遊技の結果および経過)に関するものであればよい。
【0036】
カードユニット300A、300B、300Cは、主に、遊技球の貸し出し等を管理するための遊技用制御装置である。このカードユニット300A、300B、300Cは、詳しく後述するが、遊技場1000におけるパチンコ遊技機10A、10B、10Cのそれぞれに対応して電気的に接続されている。すなわち、カードユニット300A、300B、300Cは、複数のパチンコ遊技機10A、10B、10C毎に対応して設けられている。
【0037】
また、これらカードユニット300A、300B、300Cにはプリペイドカードを読み書き可能とするカードR/W(リーダ/ライター)313(図4参照)が設けられている。
【0038】
プリペイドカードとは、カード発行機400において、遊技媒体としての遊技球を借りるために代金を前払いすることによって発行されるカードである。また、本実施の形態においては、プリペイドカードにはプリペイドカードのカードIDのみが記憶されており、システムコントローラ700においてカードIDに対応する残高度数が記憶されている。
【0039】
そして、プリペイドカードに記憶されているカードIDに対応する残高度数をシステムコントローラ700から受信することによって、カードユニット300Aは、残高度数を認識可能となるが、これに限らず、例えば、プリペイドカードにおいて、カードID以外にも残高情報自体が記憶されていてもよい。すなわち、このプリペイドカードは、遊技に使用される遊技用価値を特定可能なデータが記録された記録媒体である。
【0040】
また、これらカードユニット300A、300B、300Cは、遊技場1000におけるLAN1にそれぞれ接続されている。このため、カードユニット300A、300B、300Cは、システムコントローラ700と通信可能である。
【0041】
具体的な例について以下に説明する。
上述したカードユニット300A、300B、300Cは、それぞれに予め設定され、それぞれ対応して接続された遊技機としてのパチンコ遊技機10A、10B、10Cが特定可能な遊技機特定情報(装置識別情報、例えば、カードユニットID等)を、LAN1を介してシステムコントローラ700に対して供給する。
【0042】
また、カードユニット300A、300B、300Cは、上述したようなプリペイドカードに記憶されているカードIDをカードR/W313により読み取る。カードユニット300A、300B、300Cは、読み取られたカードIDをシステムコントローラ700に対して供給し、そのカードIDに対応する残金があるか否かに応じて、所定数の遊技球を貸し出すことになる。
【0043】
また、これらパチンコ遊技機10A、10B、10Cは、カードユニット300A、300B、300Cやシステムコントローラ700に対して、遊技に関する遊技情報を、LAN1を介してシステムコントローラ700に供給するようになっている。
【0044】
この遊技情報とは、プリペイドカードを受け付けた旨の情報や、大当りとなった旨の情報、大当りとなる確率が向上された旨の情報、識別情報の可変表示の回数を示す情報、払い出された遊技球の数を示す情報、貸し出した遊技球の数を示す情報等、遊技(特に、遊技の結果および経過)に関するものであればよい。
【0045】
なお、本実施の形態においては、カードユニット300A、300B、300Cのそれぞれを、LAN1を介してシステムコントローラ700に通信可能に直接接続したが、これに限らず、例えば、カードユニット300A、300B、300Cのそれぞれを、所定数毎に(例えば、パチンコ台島毎に)中継コンピュータ(図示せず)と接続し、それら中継コンピュータと、システムコントローラ700等とを通信可能に接続するように構成してもよい。
【0046】
また、システムコントローラ700は、プリペイドカードに関する情報を含めてカードユニット300A、300B、300Cおよびパチンコ遊技機10A、10B、10Cを一元的に管理するためのコンピュータであり、システムコントローラ700は、LAN1に接続されている。
【0047】
システムコントローラ700は、カードユニット300A、300B、300Cや、カード発行機400から供給されるプリペイドカードのカードID等を受け取り、プリペイドカードのカードID毎に、残度数等のプリペイドカードに関する各種の情報の管理を行う。
【0048】
これによって、プリペイドカード自体には残度数に関する情報が記憶されずに、カードIDのみが記憶されており、システムコントローラ700によって、そのカードIDに基づいて残度数の管理が行われる。
【0049】
また、プリペイドカードにおいては、随時入金することによって、その残度数を増加させることが可能である。カード発行機400は、プリペイドカードを発行するための端末であり、LAN1に接続されている。
【0050】
カード発行機400は、遊技者等の操作に応じて、システムコントローラ700に対して、プリペイドカードを発行する旨の情報を供給するようになっている。
【0051】
売上管理コンピュータ800は、各遊技場における売上を一括管理するためのコンピュータであり、第三者機関(主に、プリペイドカード発行会社)に設置されている。売上管理コンピュータ800は、システムコントローラ700とネットワークNT1を介して接続されている。売上管理コンピュータ800は、システムコントローラ700から供給されるプリペイドカードに関する売上情報を受け取り、各遊技場における売上情報を管理する。
【0052】
なお、本実施の形態におけるネットワークNT1等は、インターネット、専用回線、プロバイダ、音声通信局、および、携帯電話機用基地局、衛星通信局等から構成されるが、これに限らず、システムコントローラ700と売上管理コンピュータ800とが通信可能に接続される構成であればよい。勿論、LAN1についても、各装置間で通信可能であれば通信方式を問わない。
【0053】
[パチンコ遊技機の構成]
上述したパチンコ遊技機10A、10B、10Cを示す斜視図を図2に示す。なお、以下において、パチンコ遊技機10Aを代表として説明し、それ以外の説明を省略する。
パチンコ遊技機10Aの外枠11には本体枠13が取り付けられており、この本体枠13には遊技盤15が組み込まれている。この遊技盤15の前面には複数の障害釘(図示せず)が打ち込まれており、遊技盤15を覆うようにガラス扉(図示せず)が備えられている。
【0054】
本体枠13の前面には上皿20および下皿30が設けられており、上皿20には遊技に使用される遊技球が貯留され、上皿20の遊技機が満杯になったり、図示しないレバーが操作されると、上皿20から下皿30に遊技球が誘導されるようになっている。
【0055】
なお、遊技盤15の前面の略中央には図示しない液晶表示装置が設けられており、この液晶表示装置は、図示しない表示領域を有し、この表示領域には所定の識別情報が可変表示される。この識別情報は、数字、記号、図柄等から構成されており、装飾図柄を構成するものである。
【0056】
下皿30の右側に備えられた発射ハンドル35は、本体枠13に対して回動自在に設けられた回動レバー33を備えており、回動レバー33を時計周りに回転させると、発射ソレノイド142および球送りソレノイド143(図4参照)が作動し、パチンコ遊技が行われる。
【0057】
また、発射ハンドル35の裏側には図示しない発射モータが設けられており、発射ハンドル35の縁周部には図示しないタッチセンサ(図示せず)が設けられている。このタッチセンサが触接されたときには、遊技者により発射ハンドル35が握持されたことが検知されるようになっており、発射ハンドル35が遊技者によって握持され、かつ、回動レバー33が時計回り方向へ回動操作されたときには、その回動角度に応じて発射モータに電力が供給され、上皿20に貯留された遊技球が遊技盤15の遊技領域に順次発射される。
【0058】
なお、発射ハンドル35の縁周部に設けられるタッチセンサは、遊技者が発射ハンドル35を握持したと判別できるものであればよく、光学的に検知するものや、熱により検知するもの等、センサの種類を問わない。
【0059】
発射された遊技球は、遊技盤15上に設けられた図示しないガイドレールに案内されて遊技盤15の上部に移動した後、遊技盤15上の複数の障害釘との衝突により遊技領域において進行方向を変えながら遊技盤15の下方(遊技領域の下方)に向かって落下する。
【0060】
外枠11の左側面にはカードユニット300Aが取り付けられており、カードユニット300Aとパチンコ遊技機10Aは電気的に接続され、カードユニット300Aとパチンコ遊技機10Aとの間で、遊技球の貸し出しに必要な所定の制御信号等が送受信されるようになっている。
【0061】
上皿20の前面には貸出操作パネル18が設けられており、貸出操作パネル18の制御はカードユニット300Aにより行われる。貸出操作パネル18は、残度数表示LED22、貸出可表示LED24、球貸操作スイッチ26、返却スイッチ28を含んで構成されている。
【0062】
貸出操作パネル18とそれに含まれる残度数表示LED22、貸出可表示LED24、球貸操作スイッチ26、返却スイッチ28の制御は、全てカードユニット300Aにより、所定の通信信号の送受信によって行われる。
【0063】
残度数表示LED22は、数桁の7セグメントLEDから構成されており、この残度数表示LED22にはカードユニット300Aに挿入されたプリペイドカードに対応する金額の残高が、100円を1度数として数字で表示される。
【0064】
したがって、残度数表示LED22に"5.00"と表示されるときには、500円分の遊技球が貸出可能である。なお、本実施の形態における残度数表示LED22は、表示切替スイッチ322(図4参照)の操作により、小数点未満の数字へ切替表示可能であるが、これに限らず、例えば、小数点以上の数字だけを表示するようにしてもよい。
【0065】
また、小数点未満の数字を示す表示LEDを備え、残度数表示LED22は、整数の数字を表示するようにしてもよい。また、残度数表示LED22は、LEDに限らず、数値を表示可能な表示装置であれば、いずれの表示装置でもよい。また、"5.00"といったように、小数点以上と小数点未満とを同時に表示可能としてもよい。
【0066】
貸出可表示LED24には遊技球の貸し出しが可能か否かの情報が表示される。すなわち、貸出可表示LED24が点灯状態であれば、遊技者は球貸操作スイッチ26を押下して遊技球の貸し出しを受けることができる。
【0067】
また、球貸操作スイッチ26が遊技者に押下されることによって、遊技球の貸し出しが行われるようになっており、球貸操作スイッチ26が押下されると、カードユニット300Aからパチンコ遊技機10Aの払出・発射制御回路126(図4参照)に出力される信号に応じて、パチンコ遊技機10Aの払出・発射制御回路126が遊技球の貸出処理を実行する。
【0068】
また、返却スイッチ28が遊技者に押下されることによって、プリペイドカードのリセット処理が行われる。なお、リセット処理については後述する。
【0069】
[カードユニットの構成]
上述したカードユニットを示す斜視図を図3に示す。なお、以下において、カードユニット300Aを代表として説明し、それ以外のカードユニットの説明を省略する。
カードユニット300Aの筐体の前面最上部には状態表示ランプ301が設けられており、この状態表示ランプ301は、カードユニット300Aと、遊技場1000に設置されるシステムコントローラ700との接続状況および通信状態を所定の態様で表示する。
【0070】
なお、カードユニット300Aとシステムコントローラ700との接続状況や通信状態に何らかの異常があるためオフラインとなっているときには、カードユニット300Aで計上されたプリペイドカードの売上情報は、一時的にカードユニット300AのRAM312(図4参照)に記憶され、システムコントローラ700との接続状況や通信状態が復旧(オンライン)となったときに、その情報が一括してシステムコントローラ700に送信される。
【0071】
状態表示ランプ301の上方にはカード挿入中ランプ302が設けられており、このカード挿入中ランプ302は、プリペイドカードがカードユニット300Aに挿入されているか否かを所定の表示態様で報知するようになっている。
【0072】
状態表示ランプ301の側方には各種の画像を表示可能な表示手段としての表示装置321が設けられており、この表示装置321には、例えば、パチンコ遊技機10Aにおける図柄の変動回数や、大当りとなった回数等の遊技情報が表示可能である。
【0073】
また、この表示装置321にはタッチパネルが設けられており、詳しく後述するが、その操作に応じてレスキューペイモードに設定可能である。状態表示ランプ301の下方には硬貨投入口303と硬貨返却スイッチ304と硬貨返却口305とがそれぞれ設けられており、硬貨投入口303は、硬貨が投入可能である。
【0074】
カードユニット300Aにおける硬貨投入口303の内方には硬貨投入検知センサ315(図4参照)が設けられており、この硬貨投入検知センサ315は、投入された所定の硬貨を検知し、その種類を識別するようになっている。
【0075】
硬貨投入口303に硬貨が投入された場合には、システムコントローラ700との間で通信が行われ、投入された硬貨に応じて入金が行われる。また、硬貨返却スイッチ304が操作されることにより、投入された硬貨が硬貨返却口305より返却される。
また、硬貨返却口305の下方には紙幣挿入口307が設けられており、紙幣挿入口307には、紙幣が挿入可能となっている。
【0076】
また、カードユニット300Aにおける紙幣挿入口307の内方には紙幣識別装置314(図4参照)が設けられており、この紙幣識別装置314は、紙幣挿入口307に挿入された紙幣を検知し、その種類を識別する。
【0077】
紙幣挿入口307に紙幣が挿入された場合には、上述した硬貨投入口303と同様に、システムコントローラ700との間で通信が行われ、その挿入された紙幣に応じた入金が行われる。
【0078】
紙幣挿入口307の下方にはカード挿入口308が設けられており、カード挿入口308にはプリペイドカードが挿入可能である。カードユニット300Aにおけるカード挿入口308の内方にはカードR/W313(図4参照)が設けられている。
【0079】
このカードR/W313は、カード挿入口308に挿入されたプリペイドカードに記録された磁気情報を読み取り、また情報の書き込みも可能である。カード挿入口308にプリペイドカードが挿入された場合には、カードユニット300Aは、プリペイドカードに記録されたカードID等の情報を読み出す。
【0080】
このように、カードユニット300Aは、パチンコ遊技機10Aに併設され、遊技に使用される遊技用価値を特定可能なデータが記録されたプリペイドカード(記録媒体)を受け付ける受付手段としてのカード挿入口308を有している。なお、本実施の形態においては、プリペイドカードに記憶されている情報を磁気情報としたが、これに限らず、例えば、ICカード等であってもよい。
【0081】
カード挿入口308の下方には、鍵穴309が設けられており、この鍵穴309に鍵を挿入して操作することにより、カードユニット300Aをパチンコ台島から取り外すことができる。このパチンコ台島とは、複数のパチンコ遊技機と、それらに対応するカードユニットとが取り付けられる設備である。
【0082】
また、紙幣挿入口307の上方には残高度数の表示を、小数点以上と小数点未満とを選択的に切り替えるための表示切替スイッチ322が設けられている。
【0083】
[遊技機およびカードユニットの電気的構成]
上述したパチンコ遊技機10A、カードユニット300Aの電気的構成について図4を用いて説明する。
図4に示すように、パチンコ遊技機10Aは、主制御回路60、副制御回路200、払出・発射制御回路126、貸出操作パネル18、外部出力端子板139、無線受信部140、無線タグR/W(リーダ/ライター)151等を含んで構成される。
【0084】
なお、本実施の形態において、各種の信号の出力は、主制御回路60から副制御回路200、主制御回路60から払出・発射制御回路126への方向のみ送信されるが、これに限らず、例えば、逆方向の通信、双方向の通信を行うように構成してもよい。貸出操作パネル18は、制御的にはパチンコ遊技機10Aにおける各種の回路から独立しており、カードユニット300Aによって制御されるものであり、カードユニット300Aの構成に含まれる。
【0085】
無線受信部140は、予め遊技球に格納されているRFID(Radio Frequency Identification)からなる無線タグ170に記憶された識別情報を読み込むようになっている。
この無線タグ170は、例えば1mm以下の微小なICチップと微小なアンテナで構成されており、無線タグ170は、アンテナを通して受信した遊技機IDからなる識別情報をICチップに記憶するようになっている。
【0086】
無線タグ170は、後述する無線発信部51aから発信される電波により駆動されてその識別情報を無線信号の形で発信することができるようになっており、無線受信部140は、無線タグ170から発進された識別情報を含んだ電波を受信するようになっている。
【0087】
無線受信部140は、例えば、上皿20と発射ソレノイド142の発射位置までの間の遊技球の供給通路上に設けられている。なお、無線受信部140は、上皿20の近傍に設けられていてもよく、遊技球が通過する任意の位置、例えば、始動口、一般入賞口、大入賞口、通過ゲート等の入賞口内またはその近傍に設けられていてもよい。
【0088】
主制御回路60は、CPU(Central Processing Unit)61、RAM(Random Access Memory)62、ROM(Read Only Memory)63等から構成されている。ROM63にはパチンコ遊技機10Aの遊技を実行するための制御プログラムが記憶されており、CPU61は、ROM63に記憶された制御プログラムに基づいて遊技の進行(遊技の結果および経過)を決定する機能を有する。
【0089】
また、RAM62は、遊技に関するデータを一時的に記憶したり、パチンコ遊技機10Aの固有の情報である識別情報として遊技機IDが記憶されている。CPU61は、無線受信部140によって受信された無線タグ170からの無線信号からパチンコ遊技球の識別情報を認識することにより、その遊技球によって遊技が行われていたパチンコ遊技機を認識する。本実施の形態では、CPU61が認識手段を構成している。
【0090】
また、副制御回路200は、CPU、RAM、ROM等から構成されており、主制御回路60によって決定された遊技の進行に応じて、図示しない液晶表示装置において各種の画像を表示させ、図示しないスピーカから各種の音声を発生させ、さらに、図示しないランプを発光させる等、各種の演出を実行する機能を有する。
【0091】
外部出力端子板139は、カードユニット300Aとの間で情報の遣り取りを行うための外部端子であり、遊技に関する各種の遊技情報をカードユニット300Aに供給するようになっている。この外部出力端子板139は、カードユニット300Aの図示しない外部端子に電気的に接続されるようになっている。
【0092】
したがって、外部出力端子板139は、所定の遊技が実行されたことが特定可能な遊技実行情報、遊技者に有利な大当り遊技状態(特定遊技状態)であることを特定可能な遊技状態情報等をカードユニット300Aに供給することになる。本実施の形態では、CPU61、外部出力端子板139が遊技実行情報送信手段、遊技状態情報送信手段を構成している。
【0093】
払出・発射制御回路126は、CPU133、図示しないRAM、ROM、カードユニット接続用I/O137等を含んで構成される。
【0094】
払出・発射制御回路126のROMには、払出・発射制御、カードユニット300Aとの通信の制御を行う各種のプログラムが格納されており、このプログラムは、CPU133によって、ROMから読み出され、実行される。
【0095】
CPU133は、払出・発射制御回路126のROMに記憶されている各種のプログラムに従って、払出・発射制御回路126の制御、カードユニット300Aとの通信等を行う。払出・発射制御回路126のRAMは、CPU133の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。
【0096】
カードユニット接続用I/O137は、カードユニット300A等と所定の通信信号を入出力するためのインターフェースであり、このカードユニット接続用I/O137は、カードユニット300A側の遊技機接続用I/O318と電気的に接続されている。
【0097】
また、払出・発射制御回路126には、図示しない払出装置および発射装置141が接続されており、これら払出装置および発射装置141の制御を行うようになっている。
【0098】
発射装置141は、発射ソレノイド142および球送りソレノイド143を含んで構成されている。球送りソレノイド143は、回動レバー33を時計周りに回転させたときに払出・発射制御回路126から送信される発射要求信号に基づいて作動され、遊技媒体貯留手段としての上皿20に貯留された遊技球を発射ソレノイド142の発射位置に送り込むための図示しない球送りスライダを作動させるようになっている。
【0099】
また、発射ソレノイド142は、回動レバー33を時計周りに回転させたときに払出・発射制御回路126から送信される発射要求信号に基づいて作動され、球送りソレノイド143によって発射位置に送り込まれた遊技球を遊技盤15上の遊技領域に発射する。本実施の形態では、発射ソレノイド142が発射手段を構成し、球送りソレノイド143が遊技媒体供給手段を構成している。
【0100】
貸出操作パネル18は、図示しない各種のLED、各種の操作スイッチ等を含んで構成されており、各種の操作スイッチには、球貸操作スイッチ26、返却スイッチ28が含まれている。
【0101】
貸出操作パネル18は、カードユニット300A側の遊技機接続用I/O318と電気的に接続されており、カードユニット300Aとの通信に応じて、遊技球の貸出要求等を行うことができる。
【0102】
また、無線タグR/W151は、無線発信部151aを有し、カードユニット300Aから送信される識別情報書込信号に基づいて、無線発信部151a通して遊技球に格納された無線タグに識別情報を書き込んだり、識別情報を消去する機能を有している。
【0103】
また、無線タグR/W151は、払出装置によって貸し出された直後の遊技球に格納された無線タグ170との間で通信可能な位置に設けられており、パチンコ遊技機10Aにおける各種の回路から独立している。すなわち、無線タグR/W151は、カードユニット300Aの一部を構成している。
【0104】
カードユニット300Aは、CPU310、ROM311、RAM312、カードR/W313、紙幣識別装置314、硬貨投入検知センサ315、状態表示ランプ301、カード挿入中ランプ302、遊技機接続用I/O318、表示装置321、表示切替スイッチ322、入力装置323等を含んで構成されている。
【0105】
ROM311には、カードユニット300Aを制御するためのプログラム、カードユニット300Aとパチンコ遊技機10Aとの通信を制御するプログラム等、各種のプログラムが格納されている。
【0106】
このような各種のプログラムは、CPU310によってROM311からそれぞれ読み出され、実行される。CPU310は、ROM311から読み出されたプログラムに従って、カードユニット300Aの制御、パチンコ遊技機10Aとの間における通信の制御を行う。RAM312は、CPU310の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能、プリペイドカードの残高情報を記憶する機能を有する。
【0107】
カードR/W313は、CPU310の制御に応じて、カード挿入口308から挿入されたプリペイドカードに記録されている各種の情報の読出しや、プリペイドカードへの情報の書き込み等を行うための装置である。なお、本実施の形態において、このカードR/W313は、カード挿入口308に受け付けられたプリペイドカード(記録媒体)からデータを読み取る読取手段を構成している。
【0108】
紙幣識別装置314は、CPU310の制御により挿入された紙幣の識別を行い、紙幣の識別情報をCPU310に出力する。硬貨投入検知センサ315は、CPU310の制御により、硬貨投入口303に硬貨が投入されたことを検知し、その検知情報をCPU310に出力する。
【0109】
状態表示ランプ301は、カードユニット300Aにおける各種の異常状態(例えば、紙幣詰まり等)等、各種の情報を所定の態様で表示する。また、カードユニット300Aと遊技場1000に設置されるシステムコントローラ700との接続状況および通信状態を、所定の態様で報知する。
【0110】
カード挿入中ランプ302は、プリペイドカードがカードユニット300Aに挿入されているか否かを所定の態様で報知するようになっている。遊技機接続用I/O318は、パチンコ遊技機10Aのカードユニット接続用I/O137、パチンコ遊技機10Aの貸出操作パネル18、システムコントローラ700等と所定の通信信号を入出力するためのインターフェースである。
【0111】
この遊技機接続用I/O318は、パチンコ遊技機10Aのカードユニット接続用I/O137、貸出操作パネル18、システムコントローラ700と電気的に接続されている。特に、遊技機接続用I/O318は、パチンコ遊技機10Aから、所定の遊技が実行されたことが特定可能な遊技実行情報、遊技者に有利な大当り遊技状態(特定遊技状態)であることを特定可能な遊技状態情報を受信することになる。なお、本実施の形態において、このようなCPU310、遊技機接続用I/O318は、遊技実行情報受信手段、遊技状態情報受信手段を構成している。
【0112】
表示装置321は、CPU310に接続されている。この表示装置321は、画像制御回路321aおよび表示部321bから構成されており、CPU310からの出力される画像表示信号に基づいて画像制御回路321aで画像を生成し、生成した画像を表示部321bに表示する。
【0113】
表示切替スイッチ322は、残度数表示LED22の残高度数の表示を切り替えるためのスイッチであり、主に、残高度数に端数があるときに、その端数を表示するために用いられる。
【0114】
入力装置323は、CPU310に接続されている。この入力装置323は、タッチパネルを含む構成であり、その操作状態を検知し、検知結果に基づく操作信号をCPU310に出力する。このタッチパネルは、表示部321bを覆うようにして表示装置321に設けられている。
【0115】
[カード発行機の電気的構成]
本実施の形態におけるカード発行機400の電気的構成について図5を用いて説明する。
カード発行機400においては、図5に示すように、制御部402であるCPU404およびメモリ406、データバス408、記憶部410、表示部412、操作部414、通信制御部416、カード発行部418、紙幣識別装置420、硬貨投入検知センサ422等を含むように構成されている。
【0116】
また、データバス408には、制御部402であるCPU404、メモリ406、記憶部410、表示部412、操作部414、通信制御部416、カード発行部418、紙幣識別装置420、硬貨投入検知センサ422等が接続されている。
【0117】
CPU404は、記憶部410に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有しており、プログラムに従って、後述する各種の手段として機能することになる。
【0118】
また、記憶部410には、CPU404によりカード発行機400の動作を制御するためのプログラム、各種のテーブルが記憶されている。なお、本実施の形態においては、プログラム、テーブル等を記憶する媒体として記憶部410を用いるように構成したが、これに限らず、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ROM、CD−ROMおよびDVD等の記憶媒体に記録されていてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にメモリ406等に記録されるものでもよく、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。メモリ406は、CPU404の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。
【0119】
表示部412は、液晶表示パネルやCRT等で構成されるものであり、CPU404の制御によって画像が表示される。操作部414は、操作者にとって操作可能な操作手段であり、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ等を含んで構成されるものである。
【0120】
なお、本実施の形態においては、スイッチ、タッチパネル等から操作部414を構成したが、これに限らず、操作者等(ユーザ)によって操作可能(入力可能)なものであればよく、例えば、マイク等であってもよい。
【0121】
通信制御部416は、システムコントローラ700等、各種の装置と通信するためのものである。カード発行部418は、CPU404からの発行信号に基づいて、プリペイドカードを発行する機能を有する。
【0122】
紙幣識別装置420は、CPU404の制御により挿入された紙幣の識別を行い、紙幣の識別情報をCPU404に出力する。硬貨投入検知センサ422は、CPU404の制御により、硬貨投入口に硬貨が投入されたことを検知し、その検知情報をCPU404に出力する。
上述したような電気的に構成したカード発行機400等において、記憶部に記憶された各種のテーブルについて詳しく後述する。
【0123】
[システムコントローラの電気的構成]
本実施の形態におけるシステムコントローラ700、売上管理コンピュータ800等の電気的構成について図6を用いて説明する。なお、本実施の形態においては、システムコントローラ700および売上管理コンピュータ800は、共に同じような電気的構成であるため、システムコントローラ700を代表して説明し、それ以外の装置に関しては説明を省略する。また、図6において、括弧で囲んだ符号は、売上管理コンピュータ800における符号である。
【0124】
システムコントローラ700においては、図6に示すように、制御部702であるCPU704およびメモリ706、データバス708、記憶部710、表示部712、操作部714、通信制御部716等を含むように構成されている。また、データバス708には、制御部702であるCPU704、メモリ706、記憶部710、表示部712、操作部714、通信制御部716等が接続されている。
【0125】
なお、本実施の形態においては、システムコントローラ700等において、表示部712、操作部714等を備えるように構成したが、これに限らず、例えば、表示部712、操作部714等を備えないように構成してもよい。
【0126】
CPU704は、記憶部710に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。また、CPU704は、プログラムに従って、後述する各種の手段として機能することになる。
【0127】
また、記憶部710には、CPU704によりシステムコントローラ700の動作を制御するためのプログラム、各種のテーブルが記憶されている。なお、本実施の形態においては、プログラム、テーブル等を記憶する媒体として記憶部710を用いるように構成したが、これに限らず、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ROM、CD−ROMおよびDVD等の記憶媒体に記録されていてもよい。
【0128】
また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にメモリ706等に記録されるものでもよい。さらにまた、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。
【0129】
メモリ706は、CPU704の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。表示部712は、液晶表示パネルやCRT等で構成されるものであり、CPU704の制御によって画像が表示される。
【0130】
操作部714は、操作者にとって操作可能な操作手段であり、マウス、キーボード、タッチパネル等を含んで構成されるものである。なお、本実施の形態においては、マウス、タッチパネル等から操作部714を構成したが、これに限らず、操作者等(ユーザ)によって操作可能(入力可能)なものであればよく、例えば、マイク等であってもよい。
【0131】
通信制御部716は、カードユニット300A、売上管理コンピュータ800等、各種の装置と通信するためのものである。
上述したような電気的に構成したシステムコントローラ700等において、記憶部に記憶された各種のテーブルについて詳しく説明する。
【0132】
[プリペイドカードデータテーブル]
上述した電気的な構成において、システムコントローラ700の記憶部710に記憶されているプリペイドカードデータテーブルについて図7を用いて説明する。なお、以下に説明するプリペイドカードデータテーブルが記憶部710に記憶されていない場合であっても、このような機能を有するデータ、プログラムが記憶部710に記憶されていればよい。
【0133】
記憶部710には、図7に示すように、プリペイドカードに対応する各種のデータを管理し、遊技場1000における売上を管理するためのプリペイドカードデータテーブルが記憶されている。このプリペイドカードデータテーブルには、発行されたプリペイドカードのカードID(発行カードID)と、ユニットIDと、残度数データとが対応付けられて記録されている。
【0134】
カードIDは、プリペイドカードを識別するための情報であり、プリペイドカード毎に異なるIDが割り振られている。ユニットIDは、プリペイドカードが挿入されたカードユニット300A等を識別するための情報である。残度数データは、プリペイドカードに残っている度数(遊技球を貸し出すための度数)を示すデータである。
【0135】
また、本実施の形態においては、このようなプリペイドカードデータテーブルでは、プリペイドカードの発行に応じて対応するレコードが生成される。
【0136】
このようなプリペイドカードデータテーブルが記録されることによって、発行されたプリペイドカードの残度数等、プリペイドカードに関する情報が管理可能であり、その情報が売上管理コンピュータ800に供給されることによって、売上管理コンピュータ800により遊技場1000等における売上が管理可能となる。
【0137】
[レスキューペイモード]
上述した遊技システム1の電気的な構成において、遊技球の消費における損失を補填するとともに、その遊技球の消費における損失を減少させることができるレスキューペイモードについて図8を用いて以下に説明する。
レスキューペイモードとは、遊技者の操作に応じて設定可能なモードである。
【0138】
例えば、図8(A)に示すように、遊技者の操作が行われずに、レスキューペイモードに設定されていない場合には、遊技を開始してから、遊技球の消費における損失を補填するための処理がなく、遊技を開始してから1度数当りの遊技用価値を一律"4円/1球"として1度数当り25球の遊技球の貸し出しが行われる。
【0139】
また、図8(B)に示すように、遊技者の操作が行われた場合には、その後の遊技からレスキューペイモードに設定され、保険料が徴収される。そして、レスキューペイモードに設定されてから特別図柄の可変表示回数の計数が開始される。なお、レスキューペイモード設定中は、一律"4円/1球"で遊技球の貸し出しが行われる。
【0140】
そして、レスキューペイモードに設定されてから特別図柄の可変表示の回数が600回となる以前に、大当りとなった場合には、遊技球の消費における損失を補填するための処理が行われることなく、レスキューペイモードの設定が解除されてレスキューペイモード非設定状態となり、その後、遊技者の操作が行われない場合には、レスキューペイモードに設定されず、図8(C)に示すように、遊技者の操作が行われた場合には、その操作後において開始される遊技からレスキューペイモードが再度設定される。これによって、保険料が徴収され、レスキューペイモードに設定されてから特別図柄の可変表示回数の計数が再度開始されることになる。
【0141】
また、図8(D)に示すように、遊技者の操作に応じてレスキューペイモードに設定されてから、大当りとなることなく、特別図柄の可変表示の回数が600回となった場合には、所定の残高度数が加算され、遊技球の消費における損失を補填するための処理が行われる。
【0142】
詳しくは後述するが、この加算される残高度数は、レスキューペイモードに設定されてから行われた600回の特別図柄の可変表示が行われる間において遊技球の貸し出しに使用された残高度数に対応する度数であり、その貸し出された残高度数の"1/4"だけ遊技者に返却されることになる。
【0143】
また、遊技者の操作に応じてレスキューペイモードに設定されてから、大当りとなることなく、特別図柄の可変表示の回数が600回となった場合には、それ以降、1度数当りの遊技用価値を"2円/1球"として、50球の遊技球の貸し出しが行われ、遊技者の操作に応じてレスキューペイモードに設定されてから、大当りとなることなく、特別図柄の可変表示の回数が900回となった場合には、それ以降、1度数当りの遊技用価値を"1円/1球"として、1度数当り100球の遊技球の貸し出しが行われる。
【0144】
なお、遊技球の貸し出しが安価になってから大当りとなった場合には、それ以降、最初の"4円/1球"で遊技球の貸し出しが行われることになる。
【0145】
[表示画面の説明]
カードユニット300Aにおける表示装置321の表示部321bに表示される表示画面について図9、図10を用いて説明する。
表示装置321においては、レスキューペイモードに設定されていない場合には、表示部321bには、図9(A)に示すように、レスキューペイの特典に関する画像が表示されている。
【0146】
具体的には、600回ゲームハマリとなった(大当りとならなかった)場合には、その間に使用したプリペイドカード残高が割引され、割引分がカードにチャージされる旨が表示されている。
【0147】
また、600ゲームハマリとなった場合には、その後の球貸し単価を2円とする旨の画像や、900ゲームハマリとなった場合には、その後の球貸し単価を1円とする旨の画像が表示されている。
【0148】
また、表示装置321における左下にはレスキューペイボタン331を表す画像が表示されており、レスキューペイボタン331が遊技者によってタッチされるとレスキューペイが開始される。
【0149】
遊技者の意志によってレスキューペイボタン331が押下されると、10度数の保険料を支払われ、大ハマリ(例えば、600ゲームハマリ等)した場合でも保険金が支払われるレスキューペイが開始される旨の画像が表示されることになる。
【0150】
また、図9(B)に示すように、レスキューペイモード中においてプリペイドカードを抜くときは、返却スイッチ(返却スイッチ28)を操作する旨の画像も表示される。また、図9(C)に示すように、上記条件を満たすと、レスキューペイによって特典が受けられる旨の画像も表示される。
【0151】
そして、図9(D)に示すように、遊技者によってレスキューペイボタン331がタッチされた場合には、レスキューペイモードを実行することになる。そして、図9(E)に示すように、ゲームが行われると計数されるゲーム回数と、プリペイドカードにおける残高度数が減算されると計数されるカード使用残高度数とが表示される。
【0152】
また、CPU310は、レスキューペイモードの実行中には、表示装置321の画像制御回路321aを制御して表示部321bに「レスキューペイモードの終了時には返却スイッチを押して下さい」という情報を表示する。
【0153】
そして、例えば、図9(F)に示すように、ゲーム回数が600回となった場合に、カード使用残高度数が230度数であったときには、レスキューペイが実行され、カード使用残高度数としての230度数が、実際には"4円/1球"で貸し出されたところを、"3円/1球"で貸し出されたことにして割引が行われ、その割引分であるカード使用残高度数の1/4である57.5度数がボーナスとしてチャージされる。
【0154】
また、これ以降においては、"2円/1球"で貸し出される旨の画像が表示される。また、ゲーム回数が900回となった場合には、以降"1円/1球"で貸し出される旨の画像が表示されることになる。遊技者は、"2円/1球"で貸し出される旨の画像を視認して1度数当り50球の遊技球が貸し出されるものと認識し、"1円/1球"で貸し出される旨の画像を視認して、1度数当り50球の遊技球が貸し出されるものと認識し、"1円/1球"で貸し出される旨の画像を視認する。
【0155】
このように、レスキューペイモードの設定に応じて、遊技球の消費における損失を補填するとともに、その遊技球の消費における損失を減少させることができる。
【0156】
また、返却スイッチ28によるプリペイドカードの返却操作があった場合には、カードユニット300Aにおける表示装置321の表示部321bに表示される表示画面には、図10(A)に示すように、リセットボタン332を含んだリセット画像が表示される。
【0157】
入力装置323によってリセットボタン332が押下されると、図10(B)に示すように、今まで計数されていたゲーム回数のリセットが行われ、レスキューペイモードが終了する画像が表示され、レスキューペイモードが終了することになる。このとき、CPU310は、表示装置321の画像制御回路321aを制御して表示部321bに「遊技回数をリセットしました。カードをお取り下さい」という情報を表示する。
【0158】
[遊技システムの動作]
遊技システム1で実行される処理について図11〜図18を用いて以下に説明する。
なお、複数のパチンコ遊技機10A、10B、10C、複数のカードユニット300A、300B、300Cを代表して、パチンコ遊技機10A、カードユニット300Aによって遊技を行うものとして説明する。
【0159】
最初に、図11に示すように、カード発行機400において遊技者によって入金処理が行われた場合には(ステップS401)、カード発行処理を行う(ステップS402)。この処理においては、CPU404は、遊技者によって入金された貨幣に基づいて、発行するプリペイドカードに対する残高度数を決定する。
【0160】
次いで、CPU404は、カード発行機毎に付されている発行機IDと、発行するプリペイドカードに付されているカードIDと、発行度数を示す発行金額情報とをシステムコントローラ700に送信する(ステップS403)。
【0161】
次いで、システムコントローラ700において、CPU704は、カードIDと、発行金額情報とをカード発行機400から受信し(ステップS701)、カードIDおよび発行金額情報に基づいてプリペイドカードに関するカードデータを作成し、プリペイドカードデータテーブル(図7参照)において、それらカードIDと、発行金額情報とを新規に追加登録する(ステップS702)。
【0162】
次いで、CPU704は、プリペイドカードを発行させる旨のカード発行指令情報をカード発行機400に送信する(ステップS703)。カード発行機400において、CPU404は、カード発行指令情報をシステムコントローラ700から受信し(ステップS404)、カードを発行する(ステップS405)。
【0163】
このように、カード発行機400、システムコントローラ700が制御されることによってカードの発行が行われる。
【0164】
また、カードユニット300Aにおいて、プリペイドカードが挿入された場合には、図12(a)に示すように、そのプリペイドカードを受け付ける(ステップS301)。次いで、CPU310は、プリペイドカードが挿入されたと検知された場合には、カードR/W313にプリペイドカードからカードIDを読み取らせる。
【0165】
すなわち、カードユニット300AのCPU310は、遊技に使用される遊技用価値を特定可能なデータが記録されたプリペイドカード(記録媒体)を受け付け、受け付けられたプリペイドカードからカードID等のデータを読み取る。なお、本実施の形態において、このような処理を実行するカードユニット300Aのカード挿入口308が受付手段を構成し、カードR/W313が読取手段を構成している。
【0166】
ステップS302において、CPU310は、カードユニット固有のユニットIDと、読み取ったカードIDとをシステムコントローラ700に送信する。
【0167】
システムコントローラ700では、CPU704は、ユニットIDとカードIDとをカードユニット300Aから受信し(ステップS711)、プリペイドカードデータテーブル(図7参照)を参照し、カードIDの照合を行い(ステップS712)、カードIDに対応する残高度数を読み出し、残高情報をユニットIDに対応するカードユニット300Aに送信するとともに(ステップS713)、プリペイドカードデータテーブルにユニットIDの登録を行う。この結果、システムコントローラ700は、プリペイドカードが挿入されたカードユニットとそのカードユニットの残高情報を把握することができる。
【0168】
次いで、カードユニット300Aにおいて、CPU310は、残高情報を受信した場合には(ステップS303)、その残高情報をRAM312の所定領域に記憶する(ステップS304)。
【0169】
すなわち、カードユニット300AのCPU310は、プリペイドカードから読み取られたデータから特定される遊技用価値の大きさである残高情報を記憶することになる。なお、本実施の形態では、このような処理を実行するカードユニット300AのCPU310およびRAM312が残高情報記憶手段を構成している。
【0170】
次いで、CPU310は、残高表示信号をパチンコ遊技機10Aに出力し(ステップS305)、パチンコ遊技機10Aにおける残度数表示LED22に残高表示を行わせる(ステップS101)。
【0171】
また、図12(b)に示すように、パチンコ遊技機10において、球貸操作スイッチ26の貸出操作があった場合には(ステップS102)、貸出操作信号がカードユニット300Aに出力され(ステップS103)、カードユニット300Aにおいて、貸出操作信号を受信した場合には(ステップS311)、パチンコ遊技機10A、カードユニット300Aにおいて、貸出処理を行う(ステップS312)。
【0172】
この処理において、パチンコ遊技機10Aの払出・発射制御回路126におけるCPU133や、カードユニット300AにおけるCPU310は、貸出可能な状態である場合か否かを判定し、貸出可能である場合には、遊技球の貸し出しの制御を行うことになる。具体的な処理について以下に説明する。
【0173】
最初に、パチンコ遊技機10Aとカードユニット300Aとが通信可能に接続された場合には、パチンコ遊技機10Aからカードユニット300Aに所定の信号が出力されている。このため、カードユニット300Aにおいて、通信可能な状態であることが認識可能である。
【0174】
そして、CPU133は、プリペイドカードが挿入されており、ステップS102に示すように球貸操作スイッチ26(図4参照)が遊技者により押圧操作された場合には、ステップS103に示すようにカードユニット300Aに貸出操作信号を出力する。
【0175】
その貸出操作信号を受け取ったカードユニット300Aにおいて、CPU310は、RAM312に記憶されている残高情報を参照し、残高度数が所定の大きさ(例えば、遊技球25球を貸し出すために必要な残高度数)未満であるか否か、例えば、残高情報が"0"であるか否かを判定する。
【0176】
また、CPU310は、残高度数以外にも、各種の通信状態、装置の状態等も参照し、遊技球の払出が可能な状態であるか否かを判定する。そして、CPU310は、残高情報が所定の大きさ未満ではない等、遊技球の払出が可能な状態であると判定された場合には、遊技球の貸し出しを許可することになり、払出動作を要求する払出要求信号をパチンコ遊技機10Aにおける払出・発射制御回路126に出力する。
【0177】
CPU133は、払出装置に所定数(例えば、25球等)の遊技球を払い出させるための指示を行い、所定数の遊技球の払出が終了した場合に、その払出が終了した旨の信号をカードユニット300Aに出力する。これによって、所定数の遊技球の貸し出しが終了することになる。
【0178】
このように、カードユニット300AのCPU310は、遊技用価値の大きさの範囲内において、遊技者による操作に応じて遊技に使用するための遊技球を貸し出すための制御を行うことになる。本実施の形態において、このような処理を実行するカードユニット300AのCPU310は、貸出制御手段を構成している。
【0179】
次いで、CPU310は、遊技球の貸し出しに対応して、売上情報を算出し、その売上情報を、カードユニット300AのユニットIDと、そのカードユニット300Aに受け付けられているプリペイドカードIDとともに、システムコントローラ700に送信する(ステップS313)。
【0180】
この処理において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを読み出し、貸出操作に応じて、貸出モードに基づく売上情報として算出することになる。
【0181】
具体的には、CPU310は、貸出モードが貸出モードAである場合には、1球の遊技球を4円で貸し出すものとして、25球を貸し出すために1度数だけ減算させ、貸出モードが貸出モードBである場合には、1球の遊技球を2円で貸し出すものとして、50球を貸し出すために1度数だけ減算させ、貸出モードが貸出モードCである場合には、1球の遊技球を1円で貸し出すものとして、100球を貸し出すために1度数だけ減算させることになる。
【0182】
次いで、CPU310は、残高度数を減算させるように更新を行う(ステップS314)。この処理において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられた残高情報を読み出し、残高度数を所定数だけ減算し、その減算した残高度数を残高情報としてRAM312の所定領域に記憶する。
【0183】
すなわち、カードユニット300A(CPU310)は、貸し出された遊技球に対応する遊技用価値の大きさ分だけ、記憶されている残高情報を減算することになる。
【0184】
換言すると、CPU310は、遊技者による貸出操作を受け付ける毎に、選択された遊技球の貸出単価の大きさ(例えば、"4円/1球"、"2円/1球"、"1円/1球")、すなわち、使用する遊技用価値の大きさの1度数で表したときに、1度数当りの遊技用価値を"4円/1球"とした場合には、25球、"2円/1球"とした場合には、50球、"1円/1球"とした場合には、100球の遊技球を貸し出すための制御を行うことになる。
【0185】
このようにCPU310は、貸出モードA、貸出モードBおよび貸出モードCに応じて貸し出される1度数当たりの遊技球の数を設定して払出要求信号を生成して、払出要求信号を払出・発射制御回路126に出力するようになっており、払出・発射制御回路126は、この払出要求信号に基づいて払出装置を制御することにより、1度数当たりに設定された数の遊技球を払出すようになっている。本実施の形態では、CPU310が遊技媒体価値設定手段を構成している。
【0186】
次いで、CPU310は、残高表示信号をパチンコ遊技機10Aに出力し(ステップS315)、パチンコ遊技機10Aにおける残度数表示LED22に、残高度数が減算された残高表示を行わせる(ステップS104)。
【0187】
一方、システムコントローラ700においては、CPU704は、売上情報を受信した場合には(ステップS716)、カードユニット300AのユニットIDと、そのカードユニット300Aに受け付けられているプリペイドカードIDに対応する残高度数を、受信した売上情報に対応する度数だけ減算させるように更新を行う(ステップS717)。
【0188】
なお、本実施の形態において、上述した貸出処理を複数回実行するときは、貸出処理から再度実行することになる。
【0189】
また、図13(a)に示すように、カードユニット300Aにおいて、遊技者によって貨幣が投入された場合には(ステップS321)、CPU310は、貨幣を特定する(ステップS322)。すなわち、カードユニット300AのCPU310は、所定の貨幣を受け付け可能であり、受け付けられた貨幣の種類を特定することになる。
【0190】
次いで、CPU310は、カード情報を更新する要求をシステムコントローラ700に対して行う(ステップS323)。この処理において、CPU310は、ユニットIDと、カードIDと、特定された貨幣に対応する情報とともに、カード情報の更新をシステムコントローラ700に要求する。
【0191】
一方、システムコントローラ700において、CPU704は、カード情報の更新要求を受信し(ステップS721)、その更新要求に基づいて、カードユニット300Aに受け付けられているプリペイドカードIDに対応する残高度数を、特定された貨幣に対応する度数だけ加算させるように更新を行う(ステップS722)。次いで、CPU704は、ユニットIDに対応するカードユニット300Aに更新完了通知を行う(ステップS723)。
【0192】
CPU310は、更新完了通知を受信した場合には(ステップS324)、特定された貨幣に対応して、残高度数を加算させる更新を行う(ステップS325)。この処理において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられた残高情報を読み出し、投入された貨幣に対応する数だけ残高度数を加算し、その加算した残高度数を残高情報としてRAM312の所定領域に記憶する。
【0193】
具体的な一例として、残高度数が"0"である場合において、5千円が投入されたときには、CPU310は、5千円に対応する"50"を、既存の残高度数"0"に加算し、加算結果の"50"を記憶することになる。すなわち、カードユニット300AのCPU310は、投入され、特定された貨幣の種類に対応する遊技用価値の大きさ分だけ、RAM312に記憶されている残高情報を加算することになる。
【0194】
次いで、CPU310は、残高表示信号をパチンコ遊技機10Aに出力し(ステップS326)、パチンコ遊技機10Aにおける残度数表示LED22に、残高度数が加算された残高表示を行わせる(ステップS105)。
【0195】
また、図13(b)に示すように、パチンコ遊技機10Aにおいて、返却スイッチ28の返却操作、すなわち、精算が行われた場合には(ステップS106)、返却操作信号がカードユニット300Aに出力され(ステップS107)、カードユニット300Aが返却操作信号を受信した場合には(ステップS331)、カードユニット30AのCPU310は、リセット処理を実行した後(ステップS332)、カード情報更新要求をシステムコントローラ700に対して行う(ステップS333)。
【0196】
本実施の形態のリセット処理は、返却操作信号を受信したときに、図10(A)に示すリセット画像を表示する処理と、リセットボタン332を押下したときにレスキューペイモードが設定されてから計数された遊技実行回数をリセットする機能とを含んで構成されており、入力装置323によりリセットボタン332が押下されると、カードユニット300Aは、遊技実行回数をリセットしてカード情報更新要求をシステムコントローラ700に対して行う。
【0197】
カードユニット300Aは、返却スイッチ28を操作することで生成される返却操作信号を受信すると、表示装置321の画像制御回路321aを制御して表示部321bにリセット画像を表示する。
【0198】
そして、遊技者によってリセットボタン332が操作されると、カード情報更新要求をシステムコントローラ700に送信する。本実施の形態では、返却スイッチ28およびCPU310が排出要求手段を構成し、表示装置321が表示制御手段を構成している。
【0199】
ステップS333の処理において、CPU310は、カードユニット300Aを示すユニットID、受け付けられているプリペイドカードを示すカードID、その残高度数を含めたカード情報更新要求をシステムコントローラ700に対して行うことになる。
【0200】
一方、システムコントローラ700において、CPU704は、カード情報の更新要求を受信し(ステップS726)、その更新要求に基づいて、カードユニット300Aに受け付けられているカードIDに対応する残高度数を、排出されるプリペイドカードにおける残高度数となるように更新を行う(ステップS727)。そして、CPU704は、ユニットIDに対応するカードユニット300Aに更新完了通知を行う(ステップS728)。
【0201】
また、このとき、CPU704は、プリペイドカードデータテーブル(図7参照)に記憶されているユニットIDを抹消して、プリペイドカードがいずれのカードユニットにも受け付けられていないものとして処理することになる。
次いで、CPU310は、更新完了通知を受信した場合には(ステップS334)、カード挿入口308からプリペイドカードを排出させる(ステップS335)。
【0202】
[保険実行処理]
カードユニット300Aにおいて、所定の周期で実行される保険実行処理について図14〜図18を用いて以下に説明する。
【0203】
最初に、カードユニット300Aにおいて、図14に示すように、カード受付中であるか否かを判断する(ステップS201)。この処理において、CPU310は、カードR/W313からの信号に基づいてカード受付中であるか否かを判断することになる。CPU310は、カード受付中であると判別した場合には、ステップS202に処理を移す。
【0204】
一方、CPU310は、カード受付中ではないと判別した場合には、ステップS207に処理を移す。
【0205】
ステップS202において、CPU310は、レスキューペイモードフラグが"オン"であるか否かを判断する。この処理において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられたレスキューペイモードフラグから値を読み出し、レスキューペイモードフラグが"オン"であるか否かを判断することになる。
【0206】
CPU310は、レスキューペイモードフラグが"オン"であると判別した場合には、ステップS208に処理を移す。一方、CPU310は、レスキューペイモードフラグが"オン"ではないと判別した場合には、ステップS203に処理を移す。
【0207】
ステップS203において、CPU310は、レスキューペイボタン331が"オン"であるか否かを判断する。この処理において、CPU310は、入力装置323からの信号に基づいて、レスキューペイボタン331が押下され、レスキューペイボタン331が"オン"であるか否かを判断することになる。
【0208】
すなわち、表示装置321においては、レスキューペイモードに設定されていない場合には、CPU310は、表示装置321の画像制御回路321aを制御して図9(A)〜(C)に示す画像を表示部321bに一定の時間間隔で繰り返し表示する。
【0209】
遊技者が入力装置323のレスキューペイボタン331を押下すると、CPU310は、レスキューペイボタン331が"オン"であると判別して、ステップS204に処理を移す。
一方、CPU310は、レスキューペイボタン331が"オフ"であると判別した場合には、ステップS207に処理を移す。
【0210】
ステップS204において、CPU310は、カード残高度数が手数料以上であるか否かを判断する。この処理において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられたプリペイドカードの残高度数を示すデータを読み出し、カード残高度数が手数料(例えば、10度数等)以上であるか否かを判断することになる。
【0211】
CPU310は、カード残高度数が手数料以上であると判別した場合には、手数料徴収処理を行い(ステップS205)、RAM312の所定領域に位置付けられたプリペイドカードの残高度数を示すデータから手数料分の度数を減算して更新する。
【0212】
この場合において、CPU310は、システムコントローラ700に対して、減算された残高度数を示す情報を送信するとともに、パチンコ遊技機10Aに対して、その残高度数に対応する表示を行わせる旨の情報を送信する。
【0213】
次いで、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられたレスキューペイモードフラグを"オン"とし、RAM312の所定領域に位置付けられた遊技実行回数カウンタ、使用度数カウンタをクリアし、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを示すデータを貸出モードAとしてセットする(ステップS206)。この処理が終了した場合には、返却スイッチ28が押下されたか否かを判別する(ステップS208)。
【0214】
ステップS208において、CPU310は、返却操作信号を受信したか否かによって返却スイッチ28が押下されたか否かを判別し(図13(b)参照)、返却操作信号を受信した場合には、ステップS209に処理を移して図16に示すリセット処理を実行し、ステップS208で返却スイッチ28が押下されていないものと判断した場合には、図15のステップS211に処理を移す。
【0215】
一方、CPU310は、カード残高度数が手数料未満であると判別した場合には、ステップS207に処理を移す。ステップS207において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを示すデータを貸出モードAとしてセットする。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
【0216】
これによって、プリペイドカードが受け付けられていない場合や、プリペイドカードが受け付けられ、レスキューペイモードに設定されていないが、レスキューペイボタン331が"オン"とされたときにプリペイドカードの残高度数が手数料分の度数未満である場合においては、RAM312の所定領域に位置付けられたレスキューペイモードを"オフ"として、貸出モードを貸出モードAにセットすることになる。
【0217】
図15のステップS211において、CPU310は、遊技実行回数カウンタが600以上であるか否かを判断する。この処理において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられた遊技実行回数カウンタから値を読み出し、遊技実行回数カウンタが600以上であるか否かを判断することになる。
【0218】
なお、この遊技実行回数カウンタは、詳しくは後述するように、レスキューペイモードが開始されたとき、大当り遊技状態となったとき、リセットボタン332が押下されたときにおいてリセットされ、図柄確定信号が"オン"となったとき、すなわち、図柄の変動表示が終了した場合にカウントされるため、この処理において、CPU310は、600回の図柄の変動表示が終了したか否かを判断することにもなる。
【0219】
すなわち、このような処理を実行するCPU310は、プリペイドカードが受け付けられ、レスキューペイモードが設定されている、すなわち、レスキューペイボタン331が押下されたこと等を含む所定の計数開始条件が成立してから、特定遊技状態(大当り遊技状態)となったと検出されることなく、計数された結果に基づいて所定の遊技が規定回数(例えば、600回等)実行されたことを検出することになる。なお、本実施の形態において、このような処理を実行するCPU310は、遊技実行回数検出手段を構成している。
【0220】
CPU310は、遊技実行回数カウンタが600以上であると判別した場合には、ステップS212に処理を移す。一方、CPU310は、遊技実行回数カウンタが600未満であると判別した場合には、ステップS216に処理を移す。
【0221】
ステップS212において、CPU310は、残高加算処理済みであるか否かを判断する。この処理において、CPU310は、レスキューペイモードとなってから、後述するステップS214における残高加算処理が実行されたか否かによって、残高加算処理済みであるか否かを判断することになる。
【0222】
CPU310は、残高加算処理済みであると判別した場合には、ステップS213からステップS215の処理を実行することなく、ステップS216に処理を移す。一方、CPU310は、残高加算処理済みではないと判別した場合には、加算する残高度数を算出する加算残高算出処理を実行し(ステップS213)、その算出された残高度数を加算させる残高加算処理を実行する(ステップS214)。
【0223】
この処理において、CPU310は、詳しく後述するが、RAM312の所定領域に位置付けられた使用度数カウンタから値を読み出し、その値に基づいて、レスキューペイモードに設定されてから使用した残高度数(例えば、200度数)の"1/4"を算出し、その算出した残高度数(例えば、50度数)だけ、プリペイドカードにおける残高度数に加算させることになる。ここでは、CPU310は、実際に"4円/1球"で球貸しをしていたが、"3円/1球"で球貸しをしていたことに仮定した場合における残高度数の差分を算出することになる。
【0224】
具体的には、CPU310は、レスキューペイモードに設定されてから使用した残高度数(例えば、200度数)を読み出し、その使用した残高度数に"3/4"を掛けることによって、"3円/1球"で球貸しをしていたことに仮定した場合における残高度数(例えば、150度数)を算出する。そして、CPU310は、実際に使用した残高度数から、割引したものと仮定した場合における残高度数を引き、その結果が加算残高度数(例えば、50度数)となる。
【0225】
すなわち、CPU310は、所定の遊技が規定回数(例えば、600回等)実行されたと検出されたときに、特定された遊技用価値の大きさ(残高度数)に基づいて、所定の計数開始条件が成立してから(レスキューペイボタン331が押下されることにより、レスキューペイモードに設定されてから)実際に貸し出された貸出遊技球の数量(使用した残高度数に対応する遊技球数)を特定し、遊技球の貸出単価が第1の大きさ(例えば、"4円/1球"等)よりも小さい第2の大きさ(例えば、"3円/1球")で特定された貸出遊技球の数量分の遊技球が貸し出されたものとした場合において使用される遊技用価値の大きさ(例えば、実際に使用した残高度数の"3/4"等)を特定する。
【0226】
CPU310は、実際の特定された遊技用価値の大きさ(例えば、実際に使用した残高度数等)と、上述したように割引されたと仮定した場合に特定された遊技用価値の大きさ(例えば、実際に使用した残高度数の"3/4"等)との差を特定し、その特定された差に相当する残高情報(例えば、実際に使用した残高度数の"1/4"等)を、加算する加算残高情報(所定量の残高情報)として決定し、実際の残高情報に加算することになる。
【0227】
本実施の形態のCPU310は、所定の計数開始条件が成立してから所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、RAM312に記憶された残高情報に所定量の残高情報を加算する残高情報加算手段を構成している。
【0228】
このように本実施の形態のカードユニット300Aは、パチンコ遊技機10Aから受信された遊技状態情報に基づいて、パチンコ遊技機10Aにおいて大当り遊技状態になったことを検出し、パチンコ遊技機10Aから受信された遊技実行情報に基づいて、パチンコ遊技機10Aにおいて所定の遊技が実行された遊技実行回数を計数し、レスキューペイボタン331が操作されることによりレスキューペイモードが設定されてから、大当り遊技状態となったことが検出されることなく、遊技実行回数が計数された結果に基づいて所定の遊技が規定回数実行されたときに、RAM312に記憶された残高情報に所定量の残高情報を加算する。
【0229】
このため、所定の遊技が規定回数実行されるまでに遊技者が消費した遊技球に応じた残高情報を加算することで、釘の良し悪しや遊技者の技量等の差に関わらず、遊技球の消費における損失を補填することができる。したがって、遊技球の消費量にかかわらず遊技者に還元される利益に隔たりが生じるのを防止することができ、遊技者に不公平感を与えないようにすることができる。
【0230】
また、本実施の形態では、レスキューペイモードを設定させるか否かを、レスキューペイボタン331を操作することによって選択することができるため、レスキューペイモードを設定して遊技を行うことおよびレスキューペイモードを非設定として遊技を行うことを選択することができ、多様な遊技を行うことができる。
【0231】
次いで、ステップS214の処理が終了すると、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを示すデータを貸出モードBとしてセットする(ステップS215)。
【0232】
これによって、CPU310は、貸出モードを貸出モードBとして設定することになり、貸し出し処理において、1度数当りの遊技用価値を2円/1球として1度数当り50球の遊技球の貸し出しを行わせる制御を行うことになる。
【0233】
すなわち、CPU310は、所定の遊技が規定回数(例えば、600回等)実行されたと検出される以前においては、遊技者による貸出操作を受け付ける毎に、遊技球の貸出単価として第1の大きさ(例えば、"4円/1球"等)を選択し、所定の遊技が規定回数実行されたと検出された後には、遊技者による貸出操作を受け付ける毎に、遊技球の貸出単価として、第1の大きさよりも小さい第2の大きさ(例えば、"2円/1球")を選択する。
【0234】
換言すると、CPU310は、所定の遊技が規定回数実行されたと検出された後には、遊技者による貸出操作を受け付ける毎に、所定数量の遊技球を貸し出すために使用する遊技用価値として、第1の大きさよりも小さい第2の大きさを選択する。
【0235】
すなわち、CPU310は、遊技用価値の大きさを度数で表した場合に、貸し出される1度数当たりの遊技球の数を設定し、所定の遊技が規定回数実行、すなわち、遊技実行回数カウンタが600以上になったときに、貸し出される1度数当たりの遊技球の数を、遊技実行回数カウンタが600になる前よりも25球多く設定するようになっている。本実施の形態では、CPU310が遊技媒体価値設定手段を構成している。
【0236】
ステップS214の処理が終了すると、CPU310は、遊技機IDフラグを"オン"にして(ステップS216)、本サブルーチンを終了する。ステップS216では、CPU310は、遊技機IDフラグを"オン"にすると、パチンコ遊技機10Aに識別情報書込信号を送信して、払出装置から貸し出される遊技球に格納された無線タグ170に、無線タグR/W151によって識別情報として遊技機IDを書き込むことになる。
【0237】
また、ステップS217において、CPU310は、遊技実行回数カウンタが900以上であるか否かを判断する。この処理において、CPU310は、RAM312の所定領域に位置付けられた遊技実行回数カウンタから値を読み出し、遊技実行回数カウンタが900以上であるか否かを判断することになる。遊技実行回数カウンタが900以上になった移行も遊技機IDフラグが"オン"であるため、払出装置から貸し出される遊技球に格納された無線タグ170に、無線タグI/W151によって識別情報として遊技機IDが書き込まれる。本実施の形態では、CPU310および無線タグR/W151が識別情報書込手段を構成している。
【0238】
なお、この遊技実行回数カウンタは、詳しくは後述するように、レスキューペイモードが開始されたとき、大当り遊技状態となったとき、図16に示すリセット処理が実行されたときにおいてリセットされ、図柄確定信号が"オン"となったとき、すなわち、図柄の変動表示が終了した場合にカウントされるため、この処理において、CPU310は、900回の図柄の変動表示が終了したか否かを判断することにもなる。
【0239】
すなわち、このような処理を実行するCPU310は、プリペイドカードが受け付けられ、レスキューペイモードが設定されていること等を含む所定の計数開始条件が成立してから、特定遊技状態(大当り遊技状態)となったと検出されることなく、計数された結果に基づいて所定の遊技が規定回数(例えば、900回等)実行されたことを検出することになる。
【0240】
CPU310は、遊技実行回数カウンタが900以上であると判別した場合には、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを示すデータを貸出モードCとしてセットし(ステップS218)、本サブルーチンを終了する。
【0241】
これによって、CPU310は、貸出モードを貸出モードCとして設定することになり、貸出処理において、1度数当りの遊技用価値を1円/1球として1度数当り100球の遊技球の貸し出しを行わせる制御を行うことになる。一方、CPU310は、遊技実行回数カウンタが900未満であると判別した場合には、本サブルーチンを終了する。
【0242】
すなわち、CPU310は、所定の遊技が規定回数(例えば、600回等)実行されたと検出された後における遊技球の貸出単価を、所定の計数開始条件が成立してから計数された遊技実行回数(例えば、600回、900回等)に対応して、複数種類の遊技球の第2の貸出単価の大きさのうち(例えば、"2円/1球"、"1円/1球"等)のいずれかを選択することになり、第2の貸出単価を"2円/1球"に換算した場合には50球の遊技球を払出し、"1円/1球"と換算した場合には100球の遊技球を払い出すことになる。
【0243】
このように、大当り遊技状態となることなく、所定の遊技が規定回数実行されたときには、多くの遊技球を消費することになり、この場合において、それ以前における1度数当りに貸し出される遊技球の数を多くして貸し出すことになるため、それ以降の遊技球の貸出数を多くすることで、その遊技球の消費における損失を減少させることができ、遊技者に対する不利益の度合いを小さくし、健全な遊技を行わせることができる。
【0244】
また、パチンコ遊技機10Aにおいて、貸し出す遊技球の数量を変更させる等の設計変更を必要とせず、単に、カードユニット300Aにおいて1度の貸出操作にて使用する遊技用価値の大きさを条件により変更することによって遊技球の貸出単価を変化させることが実現可能であり、既存のパチンコ遊技機10Aにおいても容易に適用させることができる。
【0245】
また、遊技実行回数に対応して遊技球の貸出数が決定されることになるため、特定遊技状態に移行することなく実行された所定の遊技の実行回数(所謂、「ハマリの深さ」)によって、遊技球の貸出数が変化することになり、より一層、遊技者に対する不利益の度合いを小さくし、より健全な遊技を行わせることができる。
【0246】
一方、図16に示すリセット処理では、CPU310は、表示装置321の画像制御回路321aを制御して図10(A)に示すようなリセット画像を表示部321bに表示する(ステップS221)。
【0247】
すなわち、CPU310は、パチンコ遊技機10Aの返却スイッチ28が操作されたときに返却操作信号(図13(b)参照)が入力したことを、所定の排出条件が成立したものと判断し、リセット画像を表示する。
【0248】
次いで、CPU310は、リセットボタン332が押下されたか否かを判別する(ステップS222)。CPU310は、ステップS222でリセットボタン332が押下されたものと判断した場合には、RAM312の所定領域に位置付けられたレスキューペイモードフラグを"オフ"とし、RAM312の所定領域に位置付けられた遊技実行回数カウンタ、使用度数カウンタをクリアし、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを示すデータを貸出モードAとしてセットする(ステップS223)。
【0249】
次いで、CPU310は、遊技機IDフラグを"オフ"にした後(ステップS224)、システムコントローラ700に対して返却操作信号を有効にした後(ステップS225)、本サブルーチンを終了する。
【0250】
このように本実施の形態では、CPU310、表示装置321および入力装置323は、レスキューペイモードが設定されてからCPU310によって計数された遊技実行回数の計数結果を、表示装置321の表示部321bに表示されたリセットボタン332を操作することによってリセットするか否かを選択するリセット選択手段を構成し、CPU310は、リセットボタン332の操作結果に基づいて、遊技実行回数の計数結果をリセットするリセット手段を構成している。
【0251】
CPU310は、遊技機IDフラグが"オフ"となるため、無線タグ170に遊技機IDを書き込む処理を実行しない。また、返却操作信号が有効であるので、カード情報更新要求をシステムコントローラ700に送信する。このため、図13(b)に示すように、CPU310は、システムコントローラ700との間でプリペイドカードの排出を行うための信号の遣り取りを行った後に、カード挿入口308からプリペイドカードを排出する。
【0252】
すなわち、本実施の形態のカードユニット300Aは、表示装置321にリセット画像が表示された後に、リセットボタン332の操作の有無がないと、CPU310がプリペイドカードをカード挿入口308から排出しないようになっている。
【0253】
また、ステップS222でリセットボタン332が押下されていないものと判断した場合には、リセット画像が表示されてから一定時間経過したか否かを判別し(ステップS226)、CPU310は、一定時間経過したものと判断した場合には、システムコントローラ700から受信した返却操作信号を無効にして(ステップS227)、本サブルーチンを終了する。CPU310は、返却操作信号を無効にした場合には、遊技者が遊技をレスキューペイモードでの遊技を継続するものと判断し、システムコントローラ700にカード情報更新要求を送信しない。
【0254】
システムコントローラ700は、図13(b)のステップS107で返却操作信号をカードユニット300Aに送信した後、一定時間経過してもカードユニット300Aからのカード情報更新要求を受信しない場合には、遊技者が遊技をレスキューペイモードでの遊技を継続する、すなわち、プリペイドカードの返却の意志がないものと判断し、ステップS727、ステップS728の処理を実行しない。
【0255】
[カードユニットの信号入力処理]
カードユニット300Aにおいて、所定の周期で実行される信号入力処理について図17を用いて以下に説明する。
最初に、カードユニット300Aにおいて、図17に示すように、CPU310は、図柄確定信号が"オン"であるか否かを判断する(ステップS231)。この処理において、CPU310は、併設されたパチンコ遊技機10Aからの図柄確定信号に基づいて、図柄確定信号が"オン"であるか否かを判断することになる。
【0256】
この図柄確定信号は、パチンコ遊技機10において、図柄が導出表示され、確定されたタイミングで"オン"となるため、CPU310は、図柄の可変表示が終了したか否かを判定することになる。
【0257】
CPU310は、図柄確定信号が"オン"であると判別した場合には、RAM312の所定領域に位置付けられた遊技実行回数カウンタを"1"増加させ(ステップS232)、ステップS233に処理を移す。
【0258】
すなわち、このような処理を実行するCPU310は、遊技機から出力され、所定の遊技が実行されたことが特定可能な遊技実行情報を受信し、その受信された遊技実行情報に基づいて、遊技機において所定の遊技が実行された遊技実行回数を計数することになり、遊技実行回数計数手段を構成している。
【0259】
なお、本実施の形態において、このような処理を実行するCPU310は、遊技実行情報受信手段、遊技実行回数計数手段を構成している。一方、CPU310は、図柄確定信号が"オン"ではないと判別した場合には、ステップS232を実行することなく、ステップS233に処理を移す。
【0260】
ステップS233において、CPU310は、球貸処理を実行したか否かを判断する。
この処理において、CPU310は、パチンコ遊技機10Aからの信号に基づいて、球貸処理を実行したか否かを判断することになる。
【0261】
CPU310は、球貸処理を実行したと判別した場合には、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを読み出し、貸出モードが貸出モードAであるか否かを判断する(ステップS234)。
【0262】
CPU310は、貸出モードAであると判別した場合には、RAM312の所定領域に位置付けられた使用度数カウンタを、上述した球貸し処理にて使用した残高度数に相当する分だけ加算し(ステップS235)、ステップS236に処理を移す。すなわち、このような処理を実行するCPU310は、所定の計数開始条件が成立してからの遊技球を貸し出すために使用された遊技用価値の大きさを特定することになる。
【0263】
一方、CPU310は、貸出モードAではないと判別した場合には、ステップS235を実行することなく、ステップS236に処理を移す。一方、CPU310は、球貸処理を実行していないと判別した場合には、ステップS234やステップS235を実行することなく、ステップS236に処理を移す。
【0264】
ステップS236において、CPU310は、大当り信号が"オン"であるか否かを判断する。この処理において、CPU310は、併設されたパチンコ遊技機10Aからの大当り信号に基づいて、大当り信号が"オン"であるか否かを判断することになる。この大当り信号は、パチンコ遊技機10Aにおいて、大当り遊技状態が開始したタイミングで"オン"となるため、CPU310は、大当り遊技状態となったか否かを判定することになる。
【0265】
CPU310は、大当り信号が"オン"であると判別した場合には、RAM312の所定領域に位置付けられたレスキューペイモードフラグ、レスキューペイボタン331を"オフ"にするとともに、RAM312の所定領域に位置付けられた貸出モードを示すデータを貸出モードAとしてセットし(ステップS237)、本サブルーチンを終了する。これによって、CPU310は、貸出モードを貸出モードAとして設定することになり、貸出処理において、1度数当りの遊技機遊技用価値を"4円/1球"と換算して1度数当り25球の遊技球の貸し出しを行わせる制御を行うことになる。
【0266】
すなわち、このような処理を実行するCPU310は、遊技機から出力され、遊技者に有利な特定遊技状態であることを特定可能な遊技状態情報を受信し、受信された遊技状態情報に基づいて、遊技機において特定遊技状態になったことを検出することになる。
【0267】
一方、CPU310は、大当り信号が"オン"ではないと判別した場合には、ステップS237を実行することなく、本サブルーチンを終了する。
【0268】
[発射処理]
パチンコ遊技機10Aにおいて、所定の周期で実行される発射処理について図18を用いて以下に説明する。
まず、CPU61は、無線受信部140が、上皿20から発射ソレノイド142の発射位置までの間の供給通路において、遊技球に格納された無線タグ170から遊技機IDを受信したか否かを判別する(ステップS241)。
【0269】
CPU61は、無線受信部140が、遊技機IDを受信していないものと判断した場合には本サブルーチンを終了する。また、CPU61は、遊技機IDを受信していないものと判断した場合には、払出・発射制御回路126の禁止動作を行わないので、払出・発射制御回路126は、発射ソレノイド142に発射要求信号を出力する。このため、球送り球送りソレノイド143によって発射位置に送り込まれた遊技球は、発射ソレノイド142によって遊技盤15の遊技領域に向かって発射される。
【0270】
また、ステップS241において、CPU61が遊技機IDを受信したものと判断した場合には、RAM62に記憶されているカードユニット300Aに固有の遊技機IDと無線タグ170から受信した遊技機IDとを比較する(ステップS242)。
【0271】
ステップS242において、CPU61は、RAM62に記憶されているカードユニット300Aに固有の遊技機IDと無線タグ170から受信した遊技機IDとが一致したものと判断した場合には、すなわち、同一のパチンコ遊技機10Aにおいて、貸出モードAから貸出モードBまたは貸出モードCにモードが移行した状態で貸し出された遊技球を使用して同一のパチンコ遊技機10Aで遊技を行っているものと判断して、本サブルーチンを終了する。このため、上述したように、球送りソレノイド143によって発射位置に送り込まれた遊技球は、発射ソレノイド142によって遊技盤15の遊技領域に向かって発射される。
【0272】
一方、ステップS242において、CPU61は、RAM62に記憶されているカードユニット300Aに固有の遊技機IDと無線タグ170から受信した遊技機IDとが一致しないものと判断した場合には、貸出モードAから貸出モードBまたは貸出モードCにモードが移行した状態で貸し出された遊技球を使用して同一のパチンコ遊技機10Aで遊技を行っていないものと判断して、発射要求信号の出力を拒否する拒否信号を払出・発射制御回路126に出力する(ステップS243)。
【0273】
このような状況としては、例えば、パチンコ遊技機10Aと異なるパチンコ遊技機10B、10Cにおいて、貸出モードBまたは貸出モードCで貸し出された遊技球を用いた遊技を終了し、遊技者がパチンコ遊技機10Aに移動して遊技を行うことが考えられる。
【0274】
このような状況のときには、CPU310は、拒否信号を払出・発射制御回路126に出力するので、拒否信号を払出・発射制御回路126から払出装置に発射要求信号が出力されないため、発射ハンドル35が操作されても発射ソレノイド142が作動しない。このため、球送りソレノイド143によって発射位置に送り込まれた遊技球は、発射ソレノイド142によって遊技盤15の遊技領域に向かって発射されず、遊技を行うことができ ない。
【0275】
なお、CPU310が発射要求信号の出力を拒否する拒否信号を払出・発射制御回路126に出力して発射ソレノイド142の操作ができないようにした場合には、遊技場1000の管理者等が遊技球の供給通路から遊技球を取り除いた後、遊技機IDが一致する遊技球または遊技機IDが書き込まれていない遊技球を用いて遊技を行うようにすることができる。
【0276】
本実施の形態では、CPU310が 遊技球に格納された無線タグ170の遊技機IDとRAM312に記憶された遊技機IDとを比較し、この比較結果に基づいて発射ソレノイド142の操作を有効または無効とする発射制御手段を構成している。
【0277】
このように本実施の形態では、レスキューペイモードが設定されてからの遊技実行回数の計数結果をリセットするCPU310および表示装置321を設けたので、レスキューペイモードが設定されてから、大当り遊技状態となったことが検出されることなく、所定の遊技が規定回数実行される前に遊技実行回数をリセットすることができる。
【0278】
このため、例えば、パチンコ遊技機10Aの規定回数を、本実施の形態において600回転に設定した場合に、規定回数に到達する前の500回転で遊技者が遊技を終了して他のパチンコ遊技機10B、10Cに移動した場合に、遊技を終了したパチンコ遊技機10Aで異なる遊技者が100回転だけ所定の遊技を実行しただけで、本来は先に遊技を行っていた遊技者に還元されるべき利益が異なる遊技者に取られてしまうのを防止することができる。
【0279】
また、所定の排出条件の成立として、遊技者が返却スイッチ28を操作することで精算が行われたときに、プリペイドカードを排出するための排出要求を行い、排出要求が行われた場合に表示装置321にリセット画像を表示するようにしたので、遊技者がレスキューペイモードでの遊技を継続する場合には、レスキューペイモードが開始されてから計数された遊技実行回数をリセットすることなく遊技を継続することができる。また、遊技者が遊技を終了する場合には、レスキューペイモードに設定されたことを忘れて遊技を終了してしまうのを防止することができる。
【0280】
このように遊技の終了時に画像情報として遊技実行回数をリセットすることを遊技者に促すことができるため、本来は先に遊技を行っていた遊技者に還元されるべき利益が異なる遊技者に取られてしまうのをより確実に防止することができる。
【0281】
また、本実施の形態のカードユニット300Aは、表示装置321にリセット画像が表示され、リセットボタン332の操作の有無を条件として、排出要求に基づいてプリペイドカードの排出を行うようにしたので、遊技実行回数をリセットするか否かを遊技者に促し、遊技者がリセット操作を行った後に、カード挿入口308からプリペイドカードを排出することができる。
【0282】
換言すれば、リセットボタン332の操作が行われないと、プリペイドカードの排出が行われないことになる。このようにプリペイドカードをカード挿入口308に受け付けた状態で遊技者が他のパチンコ遊技機、例えば、パチンコ遊技機10Aからパチンコ遊技機10Bに移ってしまうことはないので、異なる遊技者がパチンコ遊技機10Aで遊技を行うような事態が発生することはなく、異なる遊技者に還元されるべき利益が取られてしまうのをより確実に防止することができる。
【0283】
なお、本実施の形態では、リセットボタン332が押下されない場合には、一定時間経過後にレスキューペイモードでの遊技を継続するようにしているが、リセットボタン332に非リセットボタンや遊技終了ボタンを併設し、非リセットボタンや遊技終了ボタンを押下したときに遊技実行回数をリセットしないような選択を行い、プリペイドカードを排出するようにしてもよい。
【0284】
また、本実施の形態では、レスキューペイモードが設定されてから遊技実行回数が600回になったときに、払出装置から貸し出される1度数当たりの遊技球の数を、遊技実行回数が600回になる前よりも多くしたので、所定の遊技が規定回数実行されたときに所定量の残高情報が加算された後の遊技で消費される金額を少なくすることができる。
【0285】
具体的には、所定の遊技が規定回数実行されるまでに、すなわち、貸出モードAにおいて、1度数25球で貸し出されていた遊技球が、所定の遊技が規定回数実行された後、すなわち、貸出モードBにおいて1度数50球で貸し出されるようになるので、1度数当りに貸し出される遊技球が多くなる分だけ遊技に消費される金額を少なくすることができ、遊技者により多くの利益を還元することができる。
【0286】
また、本実施の形態では、所定の遊技が規定回数実行されたときに遊技球の無線タグ170に識別情報として遊技機IDを書き込み、この遊技機IDとパチンコ遊技機10Aに固有の遊技機IDとを比較し、遊技機ID同士が一致した場合には、今現在遊技を行っているパチンコ遊技機10Aで遊技を継続できるように発射ソレノイド142の操作を有効にし、遊技機ID同士が一致しない場合には、他のパチンコ遊技機10Bまたはパチンコ遊技機10Cからパチンコ遊技機10Aに移動して遊技が行われたものと判断して発射ソレノイド142の操作を無効にするので、1度数当りの貸出数が多い遊技球を用い、レスキューペイモードが実行されていない他のパチンコ遊技機に移動して遊技を行うことができないようにすることができ、1度数当りの貸出数が少ない遊技球を用いて他のパチンコ遊技機で遊技を行う遊技者が不利益を被るのを防止することができる。
【0287】
また、本実施の形態では、遊技実行回数をリセットしたときに、貸出モードBまたは貸出モードCから貸出モードAに変更して、払出装置から貸し出される1度数当たりの遊技球の数を最小の25球とするので、1度数当りの遊技機の貸し出し数を他のパチンコ遊技機で貸し出される遊技媒体の貸し出し数と同等にすることができるとともに、遊技球を持ち出して他のパチンコ遊技機で遊技を行うことができる。
さらに、本実施の形態では、遊技実行回数をリセットしたときに、払出装置から貸し出される遊技機に格納された無線タグ170に遊技機IDを書き込むのを中止したので、例えば、パチンコ遊技機10Aで遊技を終了して遊技球を持ち出し、他のパチンコ遊技機10B、10Cで遊技を行うことができる。
【0288】
[その他の実施の形態]
また、本実施の形態においては、遊技球の貸出単価を、"4円/1球"、"2円/1球"、"1円/1球"の3段階で変化させたが、これに限らず、例えば、2段階、4段階以上であってもよい。また、大当りとなることなく、600回、900回を規定回数として所定の遊技が実行された場合に、遊技球の貸出単価を変化させたが、これに限らず、例えば、1つの規定回数だけであってもよく、さらには、3つ以上の規定回数だけであってもよい。
また、例えば、プリペイドカードではなく、会員カードの使用を条件として、レスキューペイモードを実行するようにしてもよく、顧客獲得にもつながり、遊技場の売上にも寄与できる。
【0289】
さらには、本実施の形態においては、レスキューペイモードを開始する場合に、保険料を徴収したが、これに限らず、例えば、保険料を徴収しないようにしてもよい。また、レスキューペイボタン331の操作に応じて、レスキューペイモードを開始するようにしたが、これに限らず、例えば、レスキューペイボタン331の操作にかかわらず、各種のカード等で遊技者を特定した場合に、レスキューペイモードを開始するようにしてもよい。また、この場合においては、保険料を徴収してもしなくてもよい。
【0290】
さらには、本実施の形態においては、レスキューペイモードが開始されてから規定回数の遊技が実行された場合に、レスキューペイモードが開始されてからそれまでに貸し出された遊技球に対応する残高度数を計数し、その残高度数に基づいて算出された加算残高度数を決定するようにしたが、これに限らず、例えば、貸し出された遊技球に対応する残高度数の範囲で加算残高度数を決定するようにしてもよい。
【0291】
例えば、200〜250度数を消費した場合には50度数を、250〜300度数を消費した場合には62.5度数を、それぞれ加算残高度数として決定してもよい。また、例えば、貸し出された遊技球に対応する残高度数を計数せず、一定の加算残高度数を加算するようにしてもよい。
【0292】
また、加算残高度数の目安について具体的な一例を挙げると、10度数あたり所定の遊技が30回行われるとすると、所定の遊技が600回実行には、200度数が消費されることになる。そして、実際には"4円/1球"であり、1000円で250球の遊技球が貸し出されたが、"3円/1球"に割引すると750円で250球の遊技球が貸し出されることになる。そして、上述したように、200度数を消費した場合には、"3円/1球"に割引すると150度数となり、その差分である50度数がチャージバックされることになる。このように、実際に消費された残高度数に基づくことなく、一定の加算残高度数を決定してもよい。
【0293】
さらには、本実施の形態においては、所定の遊技が規定回数(例えば、600回)に到達する直前(例えば、598回等)に大当りとなった場合には、遊技者に特別有利な制御を行わないが、これに限らず、例えば、遊技者に有利な制御を行ってもよい。例えば、595〜599回に到達している場合に、所定数量の残高度数をチャージバックしてもよい。
【0294】
さらには、本実施の形態においては、プリペイドカードに対応する残高度数に、加算残高度数を加算することによって、大ハマリに対する補填を行ったが、これに限らず、例えば、現金を返却したり、遊技球の払出を行ったり、他の方法で大ハマリに対する補填を行ってもよい。
【0295】
さらには、本実施の形態においては、レスキューペイモードを開始してから、大当りとなることなく所定の遊技を規定回数行った場合に、それ以降、遊技球の貸出単価を小さく変更したが、これに限らず、例えば、遊技球の貸出単価を変更しなくてもよい。
【0296】
さらには、本実施の形態においては、カード発行機400、システムコントローラ700、売上管理コンピュータ800等を備えるシステム構成であったが、これに限らず、カード発行機400、システムコントローラ700、売上管理コンピュータ800の機能を一体としても、分散しても問題ない。また、例えば、遊技情報を閲覧する機能や、遊技者を特定する機能、会員情報に関する制御を行う機能を備えてもよい。
【0297】
また、例えば、カード発行機400、売上管理コンピュータ800等の少なくともいずれかを備えないシステム構成であってもよい。
【0298】
さらには、本実施の形態においては、受け付けられた貨幣の種類に対応する遊技用価値の大きさ分だけ残高情報を加算したが、これに限らず、例えば、貨幣を受付不可能としてもよい。この場合においては、遊技者の入れ替えと同一遊技者による離席とをそれぞれ特定可能に検知できる構成とすることが好ましく、同一遊技者である場合には、カウンタ等を継続させ、異なる遊技者である場合には、カウンタ等の初期化を行うことになる。
【0299】
なお、本実施の形態においては、遊技場に設置する遊技機としてパチンコ遊技機を用いて説明したが、これに限らず、例えば、スロット遊技機(パチスロ遊技機を含む)等、少なくとも遊技の結果を決定する機能を有する遊技機であればよい。上述したようなパチンコ遊技機において大当り遊技状態に移行することが特定遊技状態となることであったが、スロット遊技機においては、変動表示された図柄が所定のボーナス図柄として停止表示され、その後に、メダル(遊技媒体)の払出が行われる所定の図柄が停止表示され易いBB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)となる。このBBやRBが特定遊技状態の一例に相当する。また、図柄が変動表示されてから停止表示されるまでが所定の遊技の一例に相当する。
【0300】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0301】
【図1】本発明の一実施の形態に係る遊技システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るパチンコ遊技機における外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るカードユニットの外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るパチンコ遊技機およびカードユニットを示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るカード発行機を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るシステムコントローラを示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るシステムコントローラにおけるプリペイドカードデータテーブルを示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るカードユニットにおける制御内容を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るカードユニットにおける表示画面を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るカードユニットにおけるリセット画像の表示画面を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る遊技システムにおいて実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施の形態に係る遊技システムにおいて実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施の形態に係る遊技システムにおいて実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施の形態に係るカードユニットにおいて実行される保険実行処理を示すフローチャートである。
【図15】図14に後続する制御処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施の形態に係るカードユニットにおいて実行されるリセット処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施の形態に係るカードユニットにおいて実行される信号入力処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施の形態に係るカードユニットにおいて実行される発射処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0302】
1 遊技システム
10A、10B、10C パチンコ遊技機(遊技機)
61 CPU(遊技実行情報送信手段、遊技状態情報送信手段)
139 外部出力端子板(遊技実行情報送信手段、遊技状態情報送信手段)
170 無線タグ
300A、300B、300C カードユニット
308 カード挿入口(受付手段)
310 CPU(遊技実行情報受信手段、遊技状態情報受信手段、遊技実行回数計数手段、受付手段、残高情報記憶手段、貸出制御手段、リセット選択手段、リセット手段、遊技実行回数検出手段、残高情報加算手段、排出要求手段)
312 RAM(残高情報記憶手段)
313 カードR/W(読取手段)
318 遊技機接続用I/O(遊技実行情報受信手段、遊技状態情報受信手段)
321 表示装置(リセット選択手段)
323 入力装置(リセット選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機および前記遊技機に併設され、前記遊技機に遊技媒体の貸し出しを行うカードユニットによって構築される遊技システムであって、
前記遊技機は、
所定の遊技が実行されたことが特定可能な遊技実行情報を送信する遊技実行情報送信手段と、
遊技者に有利な特定遊技状態であることを特定可能な遊技状態情報を送信する遊技状態情報送信手段と、
遊技媒体を遊技盤の遊技領域に向けて発射する発射手段と、
遊技媒体貯留部に貯留された遊技媒体を前記発射手段に供給する遊技媒体供給手段と、
前記遊技媒体に格納された無線タグから発せられる無線信号を受信する無線受信部と、
前記無線受信部によって受信された無線信号に基づいて遊技媒体の識別情報を認識する認識手段と、
前記遊技機に固有の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記認識手段によって認識された識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報とを比較し、比較結果に基づいて前記発射手段の操作を有効または無効とする発射制御手段とを備え、
前記カードユニットは、
前記遊技機から送信された遊技実行情報を受信する遊技実行情報受信手段と、
前記遊技機から送信された遊技状態情報を受信する遊技状態情報受信手段と、
前記遊技実行情報受信手段によって受信された遊技実行情報に基づいて、前記遊技機において所定の遊技が実行された遊技実行回数を計数する遊技実行回数計数手段と、
遊技に使用される遊技用価値を特定可能な情報が記録された記録媒体を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた記録媒体から情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた情報から特定される遊技用価値の大きさである残高情報を記憶する残高情報記憶手段と、
前記読取手段によって読み取られた情報から特定される遊技用価値の大きさの範囲内において、遊技に使用するための遊技媒体を貸し出すための制御を行う貸出制御手段と、
所定の計数開始条件が成立してから、前記遊技状態情報受信手段によって特定遊技状態となったことが検出されることなく、前記遊技実行回数計数手段によって計数された結果に基づいて所定の遊技が規定回数実行されたことを検出する遊技実行回数検出手段と、
前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、前記残高情報記憶手段に記憶された残高情報に所定量の残高情報を加算する残高情報加算手段と、
遊技用価値の大きさを度数で表した場合に、前記貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数を設定する遊技媒体価値設定手段と、
前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、遊技媒体の内部に格納された無線タグに遊技媒体を識別するための識別情報を書き込む識別情報書込手段とを備え、
前記遊技媒体価値設定手段は、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたと検出されたときに、前記貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数を、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたものと検出される前よりも多く設定することを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記カードユニットは、前記遊技実行回数計数手段による計数結果をリセットするか否かを選択するリセット選択手段と、前記リセット選択手段の選択結果に基づいて、前記遊技実行回数計数手段による計数結果をリセットするリセット手段とを有し、
前記リセット手段によって遊技実行回数計数手段による計数結果がリセットされたときに、前記遊技媒体価値設定手段が、前記貸出制御手段によって貸し出される1度数当たりの遊技媒体の数を、前記遊技実行回数検出手段によって所定の遊技が規定回数実行されたものと検出される前と同等に設定することを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−207829(P2009−207829A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56672(P2008−56672)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】