説明

遊技場の空調機制御装置

【課題】消費電力の単位時間あたりのピーク値を抑制して、電気料金の高騰を防止できる遊技場の空調機制御装置を提供する。
【解決手段】遊技機10及び空調機70が設置される遊技場の空調機制御装置90であって、遊技機10の稼働状況に応じて、空調機70の消費電力を制御する消費電力制御部90bを備える。また、空調機70は、遊技場の室内に設置される空調室内機70aと、遊技場の室外に設置される空調室外機70bとを備え、消費電力制御部90bは、消費電力が多い空調室外機70bのON/OFF制御や運転周波数制御にもとづいて、空調機70の消費電力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロットマシン等の遊技機が設置される遊技場の空調機制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技場には、パチンコ機、スロットマシン等の遊技機が設置されるだけでなく、遊技客が快適な環境で遊技できるように空調機が備えられている。
一般的な空調機は、遊技場の室内に設置される空調室内機と、遊技場の室外に設置される空調室外機とを備えており、例えば、冷房運転時は、液化状態の冷媒を空調室内機において気化し、その気化熱で冷却された風を室内に吹き出すことにより室内を冷房する。
気化された冷媒は、空調室外機に送られるとともに、空調室外機のコンプレッサにより圧縮されて液化状態に戻され、再び空調室内機に送られる。このサイクルを繰り返すことにより、継続的な冷房運転が実施される。
また、冷房運転状態で空調室外機の運転を停止した場合は、空調室内機に対する冷媒の供給が停止するため、空調室内機から常温の風を室内に吹き出す送風運転状態となる。
【0003】
一般的な規模又はそれ以上の規模を有する遊技場では、室内に数多くの空調室内機を備えるとともに、各空調室内機毎に運転状態を調整できるようになっている。
例えば、運転切換え(冷房、除湿、送風、暖房等)、温度設定、風量設定、風向設定等の調整を各空調室内機毎に行うことが可能であるが、遊技場の室内においては、遊技客の分布にばらつきがあるため、各空調室内機の設定温度を同一温度にするだけでは、室内温度を均一にすることが困難であり、温度のばらつきにより遊技客に不快感を与える可能性がある。
この問題は、遊技場の店員が、遊技客の分布に応じて、各空調室内機の運転状態をこまめに調整すれば、解消することが可能であるが、店員の負担が大きくなるため、現実的ではない。
【0004】
そこで、特許文献1においては、遊技客の分布に応じて、空調機の運転内容を自動的に調整するパチンコ店向けの空調システムが提案されている。
具体的には、空調室内機との位置関係から遊技機をグループ化し、グループに属する遊技機の出玉数・使用玉数に応じて、対応する空調室内機の設定温度を自動的に調整する。
これにより、店員の負担を増大させることなく、遊技場の室内を快適な温度にすることができるとしている。
【特許文献1】特開2003−79916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される空調システムは、遊技客の分布に応じて設定温度を自動的に調整することにより、遊技場の室内を快適な温度にすることが可能であると考えられるが、空調機の消費電力については全く考慮されていないため、消費電力の単位時間あたりのピーク値が上昇し、電気料金を高騰させる可能性があった。
【0006】
ちなみに、業務用電力の電気料金は、一年間における消費電力の単位時間(30分)あたりのピーク値にもとづいて基本料金(電気料金単価)が決まり、消費電力に基本料金を掛けた額が使用者に課金される料金体系となっている。
したがって、一年間における消費電力の単位時間あたりのピーク値を抑えること、特に、冷房による電力需要が高い真夏(8月)のピーク値を抑えることは、基本料金の低減効果が高く、ひいては年間電気料金の大幅な削減につながる。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、遊技機の稼働状況に応じて、空調機の消費電力を制御することにより、遊技場における遊技客の分布を考慮しつつ、消費電力の単位時間あたりのピーク値を抑制して、電気料金の高騰を防止できる遊技場の空調機制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の遊技場の空調機制御装置は、遊技機及び空調機が設置される遊技場の空調機制御装置であって、前記遊技機の稼働状況に応じて、前記空調機の消費電力を制御する消費電力制御手段を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技機の稼働状況に応じて、空調機の消費電力を制御することにより、遊技場における遊技客の分布を考慮しつつ、消費電力の単位時間あたりのピーク値を抑制して、電気料金の高騰を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態に係る遊技場の空調機制御装置について、図1〜図9を参照して説明する。
【0011】
(遊技場の構成)
図1は、遊技場の構成を示すブロック図である。
この図に示すように、遊技場は、遊技機10と、遊技媒体貸出機20と、台コントローラ30と、島コントローラ40と、電力計50と、遊技用管理装置60と、空調機70と、コントローラ80と、空調機制御装置90と、電力積算計100を備えている。
【0012】
遊技機10には、パチンコ機10a,スロットマシン10b,アレンジボール機,雀球機等、玉やメダルなどの所定の遊技媒体を使用して遊技を行う各種の遊技機が含まれる。
遊技媒体貸出機20には、遊技球を貸し出す玉貸機20aや、メダルを貸し出すメダル貸機20bがある。
【0013】
台コントローラ30は、一又は二以上の遊技機10等から遊技に関連する所定の信号を入力し、その入力した信号に対して所定の処理を行い、島コントローラ40を介して遊技用管理装置60へ送信する。
島コントローラ40は、一又は二以上の台コントローラ30から送信されてきた所定の信号を遊技用管理装置60へ送信する。
電力計50は、島単位の消費電力を計測し、島コントローラ40を介して遊技用管理装置60へ送信する。
【0014】
遊技用管理装置60は、プログラムにより動作するコンピュータであって、遊技機10や遊技媒体貸出機20から遊技に関連する情報を受信するとともに、電力計50から消費電力に関連する情報を受信する。
遊技機10から受信する遊技関連情報には、例えば、パチンコ機10aからのセーフ玉数(払い出し玉数)情報、アウト玉数(発射玉数)情報、スタート回数情報、大当り回数情報、スロットマシン10bからのスタート回数情報、払い出しメダル数情報、ボーナス回数情報等が含まれており、これらの情報にもとづいて各遊技機10の稼働状況を把握することができる。
【0015】
空調機70は、遊技場の室内に設置される空調室内機70aと、遊技場の室外に設置される空調室外機70bとを備えており、これらの運転により、遊技場室内の冷房、除湿、送風、暖房等を行うことができる。
コントローラ80は、空調機制御装置90からの制御信号を入力し、対応する空調機70へ送信する。
空調機制御装置90は、遊技用管理装置60から遊技に関連する情報を受信するとともに、電力積算計100から消費電力に関連する情報を受信し、これらの情報にもとづいて生成した制御パターンにしたがって空調機70の制御を行う。
電力積算計100は、遊技場全体の消費電力を計測し、空調機制御装置90へ入力する。
これらのうち、空調機70の構成については後記の「空調機の構成」において、空調機制御装置90の構成については後記の「空調機制御装置の構成」において、それぞれ詳述する。
【0016】
(空調機の構成)
空調機70は、空調室内機70aに気化器や送風機を備え、空調室外機70bにコンプレッサやモータを備えており、例えば、冷房運転時は、液化状態の冷媒を空調室内機70aにおいて気化し、その気化熱で冷却された風を室内に吹き出すことにより室内を冷房する。
気化された冷媒は、空調室外機70bに送られるとともに、空調室外機70bのコンプレッサにより圧縮されて液化状態に戻され、再び空調室内機70aに送られる。このサイクルを繰り返すことにより、継続的な冷房運転が実施される。
また、冷房運転状態で空調室外機70bの運転を停止した場合は、空調室内機70aに対する冷媒の供給が停止するため、空調室内機70aから常温の風を室内に吹き出す送風運転状態となる。
【0017】
一般的な規模又はそれ以上の規模を有する遊技場では、室内に数多くの空調室内機70aを備えるとともに、各空調室内機70a毎に運転状態を調整できるようになっている。
例えば、運転切換え(冷房、除湿、送風、暖房等)、温度設定、風量設定、風向設定等の調整を各空調室内機70a毎に行うことが可能である。
【0018】
一方、空調室外機70bにおいても、運転状態の切換えを行うことが可能である。
例えば、本実施形態の空調室外機70bは、外部入力に応じたON/OFF制御や、コンプレッサの運転周波数制御が可能であり、これらの制御によって消費電力を段階的(例えば、100%,75%,50%,0%)に調整することができる。
【0019】
(空調機制御装置の構成)
空調機制御装置90は、操作部90aと、消費電力制御部90b(消費電力制御手段)とを備える。
操作部90aは、空調機70に関する各種の設定操作を行うためのものであって、例えば、各空調室内機70aの運転切換え(冷房、除湿、送風、暖房等)、温度設定、風量設定、風向設定等の調整を集中的に行うことができる。
【0020】
消費電力制御部90bは、遊技用管理装置60から取得した遊技関連情報にもとづいて、遊技機10の稼働状況を判断するとともに、遊技機10の稼働状況に応じて、空調機70の消費電力を制御するように構成されている。
すなわち、遊技機10の稼働状況に応じて、空調機70の消費電力を制御することにより、遊技場における遊技客の分布を考慮しつつ、消費電力の単位時間あたりのピーク値を抑制して、電気料金の高騰を防止できるとともに、地球温暖化等の環境問題にも配慮することができる。
【0021】
消費電力制御部90bは、空調室外機70bのON/OFF制御や運転周波数制御にもとづいて、空調機70の消費電力を制御する構成としてあることが好ましい。
すなわち、消費電力が多い空調室外機70bのON/OFF制御や運転周波数制御にもとづいて、空調機70の消費電力を制御することにより、消費電力の制御幅を広げ、消費電力の大幅な削減が可能になるからである。
【0022】
つぎに、消費電力制御部90bの具体的な制御内容について、図2〜図5を参照して説明する。
図2は、遊技機及び空調室内機の配置例を示す遊技場の概略平面図である。
この図に示すように、遊技場には、複数(例えば、8)の島が構成されている。各島は、複数(例えば、20)の遊技機10、遊技機単位で設置される遊技媒体貸出機20及び台コントローラ30、島単位で設置される島コントローラ40及び電力計50、さらに、遊技機10に遊技媒体を補給する不図示の補給装置などを備えて構成されている。
また、遊技場の天井には、複数(例えば、16)の空調室内機70aが設置されている。図2に示す配置例では、各島に対して2台の空調室内機70aを設置している。
【0023】
図3は、島、空調室内機(遊技機グループ)及び電力計の関係を示す対応表、図4は、空調室内機(遊技機グループ)、遊技機及び稼働の関係を示す対応表である。
図2に示すように、島、遊技機10、電力計50及び空調室内機70aに番号(No.)を付けた場合、島番号、空調室内機番号(遊技機グループ番号)及び電力計番号は、図3に示すような対応関係となる。
また、各島に複数設置される遊技機10を空調室内機70aとの位置関係にもとづいてグループ分けすると、図4に示すような対応関係となる。
そして、図4に示すように、遊技用管理装置60から各遊技機10の稼働情報を取得すると、空調室内機70aとの位置関係にもとづいてグループ分けされた遊技機グループ単位の稼働状況を把握することが可能になる。
【0024】
本実施形態の消費電力制御部90bは、遊技機10の稼働状況をグループ単位で監視するとともに、各遊技機グループの稼働状況に応じて、対応する空調室外機70bのON/OFF制御や運転周波数制御を行う。
このようにすると、空調室内機70aとの位置関係にもとづいてグループ分けされた遊技機グループの稼働状況に応じて、対応する空調室外機70bを適正に制御することができる。
【0025】
図5は、遊技機グループ、稼働率、節電制御の有無及び消費電力の関係を示す対応表である。
この図に示すように、消費電力制御部90bは、遊技用管理装置60から取得した情報にもとづいて、各遊技機グループ毎の稼働率や消費電力を把握することができる。
【0026】
各遊技機グループの稼働率は、遊技機グループに属する遊技機10の稼働情報(図4参照)を取得すれば、下記の式で求めることができる。
稼働率=(遊技機グループの稼働台数/遊技機グループの遊技機台数)×100
例えば、遊技機グループNo.1は、図4に示すように、稼働台数が3台、遊技機台数が10台であるため、稼働率は30%と求めることができ、遊技機グループNo.16は、稼働台数が5台、遊技機台数が10台であるため、稼働率は50%と求めることができる。
【0027】
また、各遊技機グループの消費電力は、人の発熱量を80ワット、遊技機10の稼働時の消費電力を200ワット、遊技機10の非稼働時の消費電力を140ワット、補給装置の消費電力を50%遊技機稼働時で108ワット、55%遊技機稼働時で120ワット、40%遊技機稼働時で86ワットとすると、下記の式で求めることができる。
消費電力=稼働台数×200+非稼働台数×140+遊技者数×80+補給装置消費電力
【0028】
例えば、遊技機グループNo.1の補給装置を除く消費電力は、
稼働遊技機3台×200+非稼働遊技機7台×140+遊技者3人×80=1820ワット
また、遊技機グループNo.2の補給装置を除く消費電力は、
稼働遊技機5台×200+非稼働遊技機5台×140+遊技者5人×80=2100ワット
また、島No.1の補給装置の消費電力は、
島稼働率(30+50)/2=40%から86ワット
これを遊技機グループNo.1、2に等配分すると、
遊技機グループNo.1の消費電力=1863ワット
遊技機グループNo.2の消費電力=2143ワットとなる。
【0029】
本実施形態の消費電力制御部90bは、各遊技機グループの稼働率や消費電力を監視するとともに、稼働率や消費電力が所定値以下(稼働率30%以下又は消費電力2000ワット以下)の遊技機グループを特定し、該遊技機グループに対応する空調室外機70bを節電制御するようになっている。
このようにすると、稼働率や消費電力が低い遊技機グループに対応する空調室外機70bを節電制御することにより、遊技客の快適度を低下させることなく、消費電力を抑えることができる。
【0030】
つぎに、消費電力制御部90bによる空調室外機70bの具体的な制御パターンについて、図6〜図8を参照して説明する。
図6は、稼働状況を考慮していない空調室外機の節電制御パターン(基準制御パターン)を示す説明図である。
この図に示す空調室外機70bの節電制御パターンは、遊技機グループの稼働状況を考慮していないものであって、各島に対応して設置される2台の空調室外機70b(空調室内機70a)を一組とし、3分毎に所定の順番(例えば、ジグザグ状)で節電制御(コンプレッサの停止制御又は運転周波数制御)することにより消費電力を抑制する。
なお、図6に示す節電制御パターンでは、1サイクル(24分)で全ての空調室外機70bが節電制御されるように、同時に節電制御する空調室外機70bの数、時間及び順番を定めているが、これらは、遊技場の規模や空調機70の設置台数に応じて、適宜変更可能である。
【0031】
図7は、稼働状況を考慮した空調室外機の節電制御パターン(パターン例1)を示す説明図、図8は、稼働状況を考慮した空調室外機の節電制御パターン(パターン例2)を示す説明図である。
これらの図に示す空調室外機70bの節電制御パターンは、遊技機グループの稼働状況を考慮して生成されるものであって、基本的には、図6に示す節電制御パターンにもとづいて、各遊技機グループに対応する空調室外機70bを順番に節電制御するが、稼働率の低い遊技機グループに対応する空調室外機70bについては、1サイクル中の節電制御時間を長くしている。
【0032】
例えば、遊技機グループNo.1の稼働率が所定値以下(30%以下)である場合、図7に示す節電制御パターンでは、遊技機グループNo.1に対応する空調室外機70bについて、節電制御の終了タイミングを遅らせることにより、他の空調室外機70bよりも節電制御時間を3分間長くしている。
また、図8に示す節電制御パターンでは、遊技機グループNo.1に対応する空調室外機70bについて、1サイクルにおける節電制御回数を増やすことにより、他の空調室外機70bよりも節電制御時間を3分間長くしている。
【0033】
このように、本実施形態の消費電力制御部90bは、所定時間(例えば、24分)毎に、各遊技機グループの稼働状況に応じて、各遊技機グループに対応する空調室外機70bの節電制御パターンを生成し、該節電制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う。
すなわち、空調室外機70bの節電制御パターンを所定時間毎に更新するので、稼働状況の変化に過敏に反応することなく、安定的に空調室外機70bを節電制御することができる。
【0034】
また、本実施形態の消費電力制御部90bは、各遊技機グループに対応する空調室外機70bを、各遊技機グループの稼働状況に拘わらず所定の順番で節電制御する既定の基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)を有し、該基準制御パターンを、各遊技機グループの稼働状況に応じて補正することにより節電制御パターン(例えば、図7や図8の節電制御パターン)を生成するようになっている。
このようにすると、遊技機グループの稼働状況に応じて、空調室外機70bを節電制御することで得られる消費電力の抑制効果だけでなく、既定の基準制御パターンにしたがって空調室外機70bを節電制御することで得られる消費電力の抑制効果を加味することができる。
【0035】
つぎに、消費電力制御部90bの具体的な制御手順について、図9を参照して説明する。
図9は、空調機制御処理を示すフローチャートである。
この図に示すように、空調機制御装置90の消費電力制御部90bは、まず、所定時間(節電制御パターンの1サイクル)の経過を判断し(S11)、この判断結果がYESの場合は、各遊技機グループの稼働率を算出する(S12)。
つぎに、稼働率が所定値以下(例えば、30%以下)の遊技機グループがあるか否かを判断し(S13)、この判断結果がNOである場合は、既定の基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)をセットし(S14)、この基準制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う(S15)。
一方、稼働率が所定値以下の遊技機グループがあると判断した場合は、既定の基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)をベースとし、稼働率が所定値以下の遊技機グループに対応する空調室外機70bの節電制御時間が長くなるような節電制御パターン(例えば、図7や図8の節電制御パターン)を生成し(S16)、この節電制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う(S15)。
【0036】
以上のように構成された本発明の第一実施形態によれば、遊技機10及び空調機70が設置される遊技場の空調機制御装置90であって、遊技機10の稼働状況に応じて、空調機70の消費電力を制御する消費電力制御部90bを備えているので、遊技場における遊技客の分布を考慮しつつ、消費電力の単位時間あたりのピーク値を抑制して、電気料金の高騰を防止できるとともに、地球温暖化等の環境問題にも配慮することができる。
【0037】
また、空調機70は、遊技場の室内に設置される空調室内機70aと、遊技場の室外に設置される空調室外機70bとを備え、消費電力制御部90bは、消費電力が多い空調室外機70bのON/OFF制御や運転周波数制御にもとづいて、空調機70の消費電力を制御するので、消費電力の制御幅を広げ、消費電力の大幅な削減が可能になる。
【0038】
また、遊技機10は、遊技場の室内に複数設置されるとともに、遊技場の室内に複数設置される空調室内機70aとの位置関係にもとづいて予めグループ分けされ、消費電力制御部90bは、遊技機10の稼働状況をグループ単位で監視するとともに、各遊技機グループの稼働状況に応じて、対応する空調室外機70bのON/OFF制御や運転周波数制御を行うので、空調室内機70aとの位置関係にもとづいてグループ分けされた遊技機グループの稼働状況に応じて、対応する空調室外機70bを適正に制御することができる。
【0039】
また、消費電力制御部90bは、各遊技機グループの稼働率や消費電力を監視するとともに、稼働率や消費電力が所定値以下の遊技機グループを特定し、該遊技機グループに対応する空調室外機70bを節電制御するので、遊技客の快適度を低下させることなく、消費電力を抑えることができる。
【0040】
また、消費電力制御部90bは、所定時間毎に、各遊技機グループの稼働状況に応じて、各遊技機グループに対応する空調室外機70bの節電制御パターンを生成し、該節電制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行うので、稼働状況の変化に過敏に反応することなく、安定的に空調室外機70bを節電制御することができる。
【0041】
また、消費電力制御部90bは、各遊技機グループに対応する空調室外機70bを、各遊技機グループの稼働状況に拘わらず所定の順番で節電制御する既定の基準制御パターンを有し、該基準制御パターンを、各遊技機グループの稼働状況に応じて補正することにより節電制御パターンを生成するので、遊技機グループの稼働状況に応じて、空調室外機70bを節電制御することで得られる消費電力の抑制効果だけでなく、既定の基準制御パターンにしたがって空調室外機70bを節電制御することで得られる消費電力の抑制効果を加味することができる。
【0042】
[第二実施形態]
つぎに、本発明の第二実施形態に係る遊技場の空調機制御装置について、図10及び図11を参照して説明する。
本発明の第二実施形態に係る遊技場の空調機制御装置90は、各遊技機グループの過去の稼働状況に応じて、各遊技機グループに対応する空調室外機70bの節電制御パターンを生成し、該節電制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う点が第一実施形態と相違している。
このようにすると、一週間前の同じ曜日や前日の稼働状況を参照して、所定時間後の節電制御パターンを生成することにより、所定時間後の稼働状況を予測しながら空調室外機70bを適正に節電制御することが可能になる。
【0043】
図10は、遊技機グループ、時間帯、平均稼働率及び節電制御の有無の関係を示す対応表である。
この図に示すように、第二実施形態に係る消費電力制御部90bは、遊技用管理装置60から取得した過去の情報にもとづいて、所定の時間帯毎に各遊技機グループの稼働率を算出し、これを記憶することができる。
また、図10に示す稼働率は、過去4週間分の平均稼働率データであるが、さらに、曜日別平均稼働率データ、平日平均稼働率データ、休日平均稼働率データ等を保持すれば、所定時間後の稼働状況をより正確に予測し、空調室外機70bを適正に節電制御することが可能になる。
【0044】
つぎに、第二実施形態に係る消費電力制御部90bの具体的な制御手順について、図11を参照して説明する。
図11は、第二実施形態の空調機制御処理を示すフローチャートである。
【0045】
この図に示すように、第二実施形態に係る空調機制御装置90の消費電力制御部90bは、まず、所定時間(節電制御パターンの1サイクル)の経過を判断し(S21)、この判断結果がYESの場合は、過去の稼働率データを参照し、各遊技機グループのつぎの時間帯の稼働率を抽出する(S22)。
つぎに、抽出した稼働率が所定値以下(例えば、30%以下)の遊技機グループがあるか否かを判断し(S23)、この判断結果がNOである場合は、既定の基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)をセットし(S24)、この基準制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う(S25)。
一方、稼働率が所定値以下の遊技機グループがあると判断した場合は、既定の基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)をベースとし、稼働率が所定値以下の遊技機グループに対応する空調室外機70bの節電制御時間が長くなるような節電制御パターン(例えば、図7や図8の節電制御パターン)を生成し(S26)、この節電制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う(S25)。
【0046】
[第三実施形態]
つぎに、本発明の第三実施形態に係る遊技場の空調機制御装置について、図12及び図13を参照して説明する。
本発明の第三実施形態に係る遊技場の空調機制御装置90は、前述した基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)よりも消費電力を抑制可能な既定のデマンド制御パターン(例えば、図12の節電制御パターン)を有し、所定単位時間あたりの消費電力が所定のピーク値を超える可能性があるときは、デマンド制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う点が前記実施形態と相違している。
このようにすると、所定単位時間あたりの消費電力が所定のピーク値を超えることを防止できるので、一年間における消費電力の単位時間あたりのピーク値にもとづいて決まる基本料金を低く抑え、年間の電気料金を大幅に削減することができる。
【0047】
図12は、第三実施形態に係る空調室外機の節電制御パターン(デマンド制御パターン)を示す説明図である。
この図に示す空調室外機70bの節電制御パターンは、遊技機グループの稼働状況を考慮していないものであって、各島に対応して設置される2台の空調室外機70b(空調室内機70a)を一組とし、3分毎に所定の順番(例えば、ジグザグ状)で節電制御(コンプレッサの停止制御又は運転周波数制御)することにより消費電力を抑制する。
ただし、二組(4台)の空調室外機70bを節電制御するので、図6の節電制御パターンに比して、より多くの消費電力を抑制することが可能である。
【0048】
つぎに、第三実施形態に係る消費電力制御部90bの具体的な制御手順について、図13を参照して説明する。
図13は、第三実施形態の空調機制御処理を示すフローチャートである。
【0049】
この図に示すように、第三実施形態に係る空調機制御装置90の消費電力制御部90bは、まず、所定時間(節電制御パターンの1サイクル)の経過を判断し(S31)、この判断結果がYESの場合は、遊技場全体の単位時間あたりの消費電力を算出する(S32)。
つぎに、遊技場全体の単位あたりの消費電力が所定のピーク値を超える可能性があるか否かを判断し(S33)、この判断結果がYESの場合は、既定のデマンド制御パターン(例えば、図12の節電制御パターン)をセットし(S34)、このデマンド制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う(S35)。
また、ステップS33の判断結果がNOである場合は、各遊技機グループの稼働率を算出するとともに(S36)、稼働率が所定値以下(例えば、30%以下)の遊技機グループがあるか否かを判断する(S37)。そして、この判断結果がNOである場合は、既定の基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)をセットし(S38)、この基準制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う(S35)。
一方、稼働率が所定値以下の遊技機グループがあると判断した場合は、既定の基準制御パターン(例えば、図6の節電制御パターン)をベースとし、稼働率が所定値以下の遊技機グループに対応する空調室外機70bの節電制御時間が長くなるような節電制御パターン(例えば、図7や図8の節電制御パターン)を生成し(S39)、この節電制御パターンにしたがって空調室外機70bの節電制御を行う(S35)。
【0050】
以上、本発明に係る遊技場の空調機制御装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技場の空調機制御装置は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、遊技機グループの現在又は過去のいずれか一方の稼働状況に応じて、空調室外機の節電制御パターンを生成しているが、過去の稼働状況に応じて生成した制御パターンにしたがって空調室外機を節電制御しつつ、現在の稼働状況に応じて節電制御パターンを逐次補正するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、パチンコ機、スロットマシン等の遊技機が設置される遊技場の空調機制御装置に適用することができる。特に、電気料金の削減や、地球温暖化等の環境問題への配慮が強く求められる大型の遊技場への適用が効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】遊技場の構成を示すブロック図である。
【図2】遊技機及び空調室内機の配置例を示す遊技場の概略平面図である。
【図3】島、空調室内機(遊技機グループ)及び電力計の関係を示す対応表である。
【図4】空調室内機(遊技機グループ)、遊技機及び稼働の関係を示す対応表である。
【図5】遊技機グループ、稼働率、節電制御の有無及び消費電力の関係を示す対応表である。
【図6】稼働状況を考慮していない空調室外機の節電制御パターン(基準制御パターン)を示す説明図である。
【図7】稼働状況を考慮した空調室外機の節電制御パターン(パターン例1)を示す説明図である。
【図8】稼働状況を考慮した空調室外機の節電制御パターン(パターン例2)を示す説明図である。
【図9】空調機制御処理を示すフローチャートである。
【図10】遊技機グループ、時間帯、平均稼働率及び節電制御の有無の関係を示す対応表である。
【図11】第二実施形態の空調機制御処理を示すフローチャートである。
【図12】第三実施形態に係る空調室外機の節電制御パターン(デマンド制御パターン)を示す説明図である。
【図13】第三実施形態の空調機制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
10 遊技機
20 遊技媒体貸出機
30 台コントローラ
40 島コントローラ
50 電力計
60 遊技用管理装置
70 空調機
70a 空調室内機
70b 空調室外機
80 コントローラ
90 空調機制御装置
90a 操作部
90b 消費電力制御部
100 電力積算計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機及び空調機が設置される遊技場の空調機制御装置であって、
前記遊技機の稼働状況に応じて、前記空調機の消費電力を制御する消費電力制御手段を備えることを特徴とする遊技場の空調機制御装置。
【請求項2】
前記空調機は、
遊技場の室内に設置される空調室内機と、
遊技場の室外に設置される空調室外機と、を備え、
前記消費電力制御手段は、
前記空調室外機のON/OFF制御及び/又は運転周波数制御にもとづいて、前記空調機の消費電力を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の遊技場の空調機制御装置。
【請求項3】
前記遊技機は、
遊技場の室内に複数設置されるとともに、遊技場の室内に複数設置される前記空調室内機との位置関係にもとづいて予めグループ分けされ、
前記消費電力制御手段は、
前記遊技機の稼働状況をグループ単位で監視するとともに、各遊技機グループの稼働状況に応じて、対応する前記空調室外機のON/OFF制御及び/又は運転周波数制御を行う
ことを特徴とする請求項2記載の遊技場の空調機制御装置。
【請求項4】
前記消費電力制御手段は、
各遊技機グループの稼働率及び/又は消費電力を監視するとともに、稼働率及び/又は消費電力が所定値以下の遊技機グループを特定し、該遊技機グループに対応する前記空調室外機を節電制御する
ことを特徴とする請求項3記載の遊技場の空調機制御装置。
【請求項5】
前記消費電力制御手段は、
所定時間毎に、各遊技機グループの現在及び/又は過去の稼働状況に応じて、各遊技機グループに対応する前記空調室外機の節電制御パターンを生成し、該節電制御パターンにしたがって前記空調室外機の節電制御を行う
ことを特徴とする請求項3又は4記載の遊技場の空調機制御装置。
【請求項6】
前記消費電力制御手段は、
各遊技機グループに対応する前記空調室外機を、各遊技機グループの稼働状況に拘わらず所定の順番で節電制御する既定の基準制御パターンを有し、該基準制御パターンを、各遊技機グループの現在及び/又は過去の稼働状況に応じて補正することにより前記節電制御パターンを生成する
ことを特徴とする請求項5記載の遊技場の空調機制御装置。
【請求項7】
前記消費電力制御手段は、
前記基準制御パターンよりも消費電力を抑制可能な既定のデマンド制御パターンを有し、所定単位時間あたりの消費電力が所定のピーク値を超える可能性があるときは、前記デマンド制御パターンにしたがって前記空調室外機の節電制御を行う
ことを特徴とする請求項5又は6記載の遊技場の空調機制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−88611(P2010−88611A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260637(P2008−260637)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】