遊技媒体計数装置
【課題】取得者の異なる遊技媒体が混入して計数されたときに、各自の最適な持分を推定する遊技媒体計数装置を提供する。
【解決手段】計数装置10は、計数された計数値に複数の遊技台10で取得された遊技球が含まれている場合において、管理装置60から入力される、当該装置に投入される遊技球の予定数を示す投入予定数に基づいて各遊技台10で遊技を行った遊技者の持分計数値を推定する推定手段と、推定された持分計数値を選択可能に表示する表示手段と、を備える構成としてある。
【解決手段】計数装置10は、計数された計数値に複数の遊技台10で取得された遊技球が含まれている場合において、管理装置60から入力される、当該装置に投入される遊技球の予定数を示す投入予定数に基づいて各遊技台10で遊技を行った遊技者の持分計数値を推定する推定手段と、推定された持分計数値を選択可能に表示する表示手段と、を備える構成としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入された遊技媒体を計数する計数装置に関し、特に、複数の遊技者が遊技媒体を混入させたときに、各遊技者の持分を推定する遊技媒体計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホール,パチスロホール等の遊技場には、遊技球やメダルなどの遊技媒体を計数する計数装置が設置されている。
このような計数装置は、計数された計数値がレシート等に記録されて発行される発行ボタン等が操作されるまで、遊技媒体が投入され続ける限り、計数値が累積して加算されるようになっている。
【0003】
このような計数装置において、一人の遊技者が、取得した遊技媒体を計数する場合、一度にすべての遊技媒体を計数装置まで持ち運ぶことができず、何回かに分けて計数することがある。
この場合、一の遊技者が、発行ボタンを操作せず、先に計数した計数値を放置したまま、遊技媒体を持ち運んでいる最中に、他の遊技者が、割り込んで、取得した遊技媒体を投入してしまうことがあった。その結果、両者の計数値が合算されてしまうため、両者の持分を特定することが不可能となっていた。
【0004】
このようなトラブルを解消すべく、計数終了後、一定時間経過毎にタイマ信号を発生させ、レシートが発行されずにタイマ信号が発生したときの計数値を識別可能に記憶する技術が提案されている(特許文献1)。
これにより、タイマ信号が発生した後に、他の遊技者が遊技媒体を投入しても、先の計数値は、識別可能に記憶されているため、両者の持分となる計数値を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−31251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明では、タイマ信号は、一定時間毎に発生するため、この一定時間に満たずに、他の遊技者が連続して遊技媒体を投入した場合には、持分となる計数値を特定することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、取得者の異なる遊技媒体が混入して計数されたときに、各自の最適な持分を推定する計数装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の遊技媒体計数装置は、投入された遊技媒体を計数する計数装置において、遊技台で取得された遊技媒体数であって、当該装置に投入される遊技媒体の予定数を示す投入予定数を入力する投入予定数入力手段と、計数された計数値に複数の遊技台で取得された遊技媒体が含まれている場合において、前記投入予定数に基づいて各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値を推定する推定手段と、推定された前記持分計数値を選択可能に表示する表示手段と、を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技媒体計数装置によれば、取得者の異なる遊技媒体が混入して計数されたときに、各自の最適な持分を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】計数装置を備える遊技場システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】計数装置の概略斜視図である。
【図3】計数装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】計数装置の表示部における表示例を示す説明図である。
【図5】計数装置の計数部で計数された途中計数値に、投入予定数に近似した計数値がある場合の説明図である。
【図6】計数装置の表示部における表示例を示し、投入予定数に近似した途中計数値を強調表示した場合の説明図である。
【図7】計数装置の計数部で計数された途中計数値に、投入予定数に近似した計数値がなく、一部が混入したときに、積算値を持分計数値として推定する場合の説明図である。
【図8】計数装置の表示部の表示例を示し、積算値を強調表示した場合の説明図である。
【図9】計数装置の計数部で計数された途中計数値に、投入予定数に近似した計数値がなく、全てが混入したときに、配分値を持分計数値として推定する場合の説明図である。
【図10】計数装置の表示部の表示例を示し、配分値を強調表示した場合の説明図である。
【図11】計数装置の発行部から発行されたレシートを示す図である。
【図12】計数装置の発行部から発行された発行明細書を示すである。
【図13】計数装置の制御部で実行される持分計数値の推定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る遊技媒体計数装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の計数装置を備える遊技場システムの構成を模式的に示す説明図、図2は、本実施形態の計数装置の概略斜視図、図3は、本実施形態の計数装置の制御構成を示すブロック図、図4は、本実施形態の計数装置の表示部における表示例を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の遊技場システムは、本発明に係る計数装置10と、複数の遊技台20と、各遊技台20に併設された貸出機30と、各遊技台20で取得される遊技球数を記憶・管理する管理装置60と、遊技台20と貸出機30からの遊技信号を管理装置60に送信する、遊技台毎に設置される台コンピュータ40及び遊技台島毎に設置される島コンピュータ50とを備え、これらは、所定のネットワーク回線を介して通信可能に接続されて、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を構成している。
【0013】
本実施形態の遊技台20は、遊技球を遊技媒体とするパチンコ機である。
この遊技台20から出力される遊技信号には、大当り状態を示す大当り信号、大当りの抽せん確率がアップする確率変動状態を示す確変信号、遊技台20から払出される遊技球の払出数を示すセーフ信号、遊技台20に投入される遊技球の投入数を示すアウト信号などがあり、これらの遊技信号は、台コンピュータ40と島コンピュータ50を中継して管理装置60に入力されている。
【0014】
本実施形態の貸出機30は、遊技球を貸し出すカード式玉貸機である。
貸出機30は、プリペードカードなどの有価価値を有する記録媒体を投入して、このプリペードカードに記録された有価価値を示す度数の範囲内で、遊技球を貸し出すことができるようになっている。また、貯玉会員カードを投入することで、管理装置60が記憶・管理する、会員が事前に蓄えた貯留遊技球数(貯玉数)の範囲内で、遊技球を引き出して再プレイすることができるようになっている。
貸出機30から出力される遊技信号は、貸し出し又は引き出された遊技球数を示す貸出数信号であり、この遊技信号は、台コンピュータ40と島コンピュータ50を中継して管理装置60に入力されている。
【0015】
台コンピュータ40は、一組の遊技台20と貸出機30に接続された情報処理装置であり、遊技台20と貸出機30から出力される遊技信号が入力され、この遊技信号を蓄積又は集計し、島コンピュータ50へ送信する中継ユニットとして構成されている。
島コンピュータ50は、複数の台コンピュータ40に接続された情報処理装置であり、台コンピュータ40から受信した遊技信号を蓄積又は集計し、これを管理装置60へ送信する中継ユニットとして構成されている。
【0016】
管理装置60は、遊技台20と貸出機30から、台コンピュータ40及び島コンピュータ50を介して送信される、遊技信号(大当り信号、確変信号、セーフ信号、アウト信号、貸出数信号)を収集して、所定の遊技データを集計・管理する情報処理装置(ホールコンピュータ)である。
管理装置60は、セーフ信号、アウト信号、貸出数信号に基づいて、各遊技台20における遊技者が所有している手持ちの遊技球数を算出するとともに、計数装置10からの要求に応じて、算出した手持ちの遊技球数を計数装置10に投入される投入予定数として、計数装置10に送信する。
【0017】
具体的には、セーフ信号、アウト信号、貸出数信号のそれぞれの入力数より、遊技台20から払出された遊技球の払出数、遊技台20に投入された遊技球の投入数、貸出機30から貸し出し又は引き出された遊技球の貸出数を各々算出するとともに、貸出数と払出数との和から投入数を減じて、遊技者が実際に所有している手持ちの遊技球数を遊技台20毎に算出する。
【0018】
また、管理装置60は、貯玉会員カードの排出タイミング、アウト信号の入力間隔、貸出数信号の入力タイミングを監視し、遊技者の入替わりを判定する。
具体的には、貯玉会員カードが投入された後に排出されたとき、アウト信号が継続して入力された後に一定時間以上入力されないとき、手持ちの遊技球数があるにもかかわらずに新たな貸出数信号が入力されたときは、遊技者の入替わりと判定する。これにより、各遊技台で遊技を行う遊技者毎の遊技期間が特定できるため、この遊技期間における手持ちの遊技球数は、その遊技台で遊技を行った遊技者の手持ちの遊技球数とすることができる。
そして、管理装置60は、このように特定した手持ちの遊技球数を、遊技台20毎及び遊技期間毎に記憶するとともに、計数装置10から遊技台20を特定可能な台番号を含む要求信号を受信したときには、その遊技台20における最新の手持ちの遊技球数を投入予定数として返送する。
【0019】
本実施形態の計数装置10は、遊技機島毎に設置され、投入された遊技球を計数するとともに、計数された計数値を記録媒体であるレシートに記録して発行する計数装置であり、図2、3に示すように、遊技球を投入する投入口10aと、投入口10aから投入された遊技球を計数する計数部11と、計数された計数値等を表示する表示部12と、押下操作によりレシートを発行させる発行ボタン13と、レシートに計数値を印字して発行する発行部14と、管理装置60と通信を行う通信部15と、発行履歴等を記憶する記憶部16と、これらの各部を制御する制御部17と、を備えている。
【0020】
制御部17は、CPU、制御プログラムやデータが記憶されたROM、ワークメモリとして機能するRAM、I/Oポートなどを備えるマイクロコンピュータで構成され、取得者が異なる遊技球が投入口10aから連続して投入されたときに、管理装置60が記憶する、各遊技者が遊技を行った遊技台20における手持ちの遊技球数(投入予定数)に基づいて、各遊技者の持分を推定するとともに、表示部12を制御して、推定した各遊技者の持分を選択可能に表示させるようになっている。
以下に、本発明に係る計数装置10の特徴的な構成について説明する。
【0021】
計数部11は、転動する遊技球を一列に整列させる複数のレーンと、遊技球を検出する計数スイッチをレーン毎に備え(不図示)、計数スイッチが遊技球を検出する毎に制御部17に検出信号を出力する。
これにより、制御部17は、検出信号が入力される毎に、RAMの計数値を+1更新しつつ、表示部12を制御してこの計数値を表示させる。
【0022】
表示部12は、本発明の表示手段の一例であり、液晶ディスプレイと、指触された位置に対応した座標信号を出力することで、当該指触位置に対応した表示領域を選択可能な透明電極板と、を備えるタッチパネルで構成されている。
具体的には、表示部12は、図4の各図に示すように、複数の表示領域に区画され、例えば、計数値表示領域121には、投入した遊技球を累計した計数値を表示するとともに、選択肢表示領域122には、所定の案内表示とともに、タッチ操作により選択可能な選択肢122aを表示することができる。
そして、計数値表示領域121に表示された計数値に、複数の遊技台20で取得された遊技球が混入している場合は、例えば、図4(a)に示すように、選択肢122aをタッチ操作して、各遊技者の持分に応じた計数値が印字されたレシートの分割発行を、「する」又は「しない」のいずれかを選択できるようにしてある。
【0023】
また、図4(a)において、分割発行を「する」がタッチ操作された場合は、図4(b)に示すように、選択肢122aをタッチ操作して、その混入状態が、「一部」又は「全て」のいずれかであるかを選択できるようにしてある。
ここで混入状態について説明すると、遊技球が混入している場合には、一又は複数の遊技台20で取得された全ての遊技球と他の遊技台20で取得された遊技球の一部が含まれている場合である「一部混入」と、複数の遊技台で取得された全ての遊技媒体が混入している場合である「全て混入」とがある。
【0024】
一部混入は、後続して投入した店員や遊技者が混入に気がついて、手持ちの遊技球の投入を途中で止めた場合であって、少なくとも一又は複数の遊技台20で取得された全ての遊技球を含み、かつ、他の遊技台20で取得された遊技球の全てが含まれていない状態を示している。
また、全て混入は、後続して投入した店員や遊技者が手持ちの遊技球を全て投入させた場合であって、複数の遊技台20で取得された全ての遊技媒体が混入している状態を示している。
そして、このように混入状態を選択させることで、後述するように、推定される各遊技者の持分をこの混入状態に応じた適切な値とすることができるようになっている。
【0025】
また、図4(b)において、いずれかの混入状態が選択された場合は、図4(c)に示すように、選択肢122aをタッチ操作するとともに、このタッチ操作によって新たに表示されるテンキー表示領域(不図示)において、混入に該当する遊技台20の台番号を入力させるようにしてある。
入力する台番号に係る遊技台20は、一部混入のときは、途中まで投入した他の遊技台20の台番号を除いた全ての遊技台20であり、全て混入のときは、投入した全ての遊技台20の台番号である。
すなわち、例えば、2台の遊技台に係る遊技球と、他の1台に係る遊技球の一部が投入された場合は、先の2台の遊技台番号を投入順に入力する。また、3台の遊技台に係る遊技球が全て投入された場合は、3台の遊技台番号を投入順に全て入力する。
そして、入力の終了(選択肢122aの「3」)がタッチ操作されると、入力された台番号は、本発明の投入予定数入力手段として動作する通信部15によって、管理装置60に送信されるとともに、管理装置60からこの台番号に対応する遊技台20の手持ちの遊技球数(投入予定数)を受信するようになっている。
【0026】
制御部17は、推定手段の一例であり、表示部12において上述したようなタッチ操作が行われると、管理装置60から送信された混入に係る遊技台10の投入予定数に基づいて、計数値表示領域121に表示された計数値から、各遊技台10で遊技を行った遊技者の持分計数値をそれぞれ推定する。その推定は、以下に示す手順で行われる。
【0027】
制御部17は、計数部11から入力される検出信号の検出間隔を監視し、検出間隔が所定時間以上のときの計数値を途中計数値として、本発明の記憶手段の一例であるRAMに順次記憶する。
制御部17は、この記憶した途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値があるか否かを判定し、近似した計数値がある場合には、この途中計数値を最初に投入した遊技者の持分計数値として優先的に推定する。
一方、途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値がない場合、又は、検出間隔が所定時間未満であり、記憶すべき途中計数値がない場合は、投入予定数から持分計数値を推定する。この場合には、図4(b)において選択した混入状態(一部混入又は全て混入)によって、推定方法が異なるようになっている。
【0028】
最初に、途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値がある場合について、図5、図6を用いて説明する。
図5は、途中計数値に、投入予定数と近似した計数値がある場合の説明図であり、図6は、近似した途中計数値を強調表示した表示部12の表示例を示す図である。
また、これらの図に示す例では、計数されたトータルの計数値(7777個)は、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者が取得した遊技球の一部が混入したものとしてある。
【0029】
制御部17は、図5に示すように、計数部11から入力される検出信号の検出間隔を監視し、検出間隔が所定時間(例えば、1秒)以上ときの計数値を途中計数値として、RAMに順次記憶する。
同図の例では、A点、B点、C点において、検出間隔が所定時間以上となり、途中計数値として3つの計数値(2353個,3056個,5768個)がRAMに記憶された場合を示している。
また、前述した表示部12におけるタッチ操作により、一部混入が選択されるとともに(図4(b)参照)、混入に係る遊技台番号として101番台が入力されることで(図4(c)参照)、管理装置60から遊技台101番台の投入予定数(5700個)が既に送信され、RAMに記憶されているとともに、図6に示すように、投入予定数表示領域123に、その投入予定数が表示されている。
【0030】
制御部17は、まず、この3つの途中計数値に、遊技台101番台の投入予定数と近似した計数値があるか否かを判定する。具体的には、投入予定数を中央値として所定の範囲内(例えば、±500個)に、途中計数値があるか否かを判定する。
図5に示す例では、C点における途中計数値(5768個)が、投入予定数(5700個)と近似している。
【0031】
そこで、制御部17は、投入予定数(5700個)と近似したこの途中計数値(5768個)を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として推定するとともに、表示部12を制御して、図6に示すように、選択肢表示領域122に、3つの途中計数値(選択肢122aの「1」,「2」,「3」)と、投入予定数(選択肢122aの「4」)と、手入力により任意の計数値を選択可能な選択肢(選択肢122a「5」)とを、いずれかを選択可能に表示するとともに、投入予定数に近似した途中計数値(5768個)を四角で囲むなど他の選択肢に係る計数値と識別可能な態様で強調表示する。
なお、選択肢表示領域122に表示されている「2人目」の欄における計数値は、トータルの計数値(7777個)から「1人目」の欄における計数値を減算した値となっている。
また、メッセージ表示領域124には、投入予定数と近似した途中計数値がある旨を具体的に表示するようになっている。
なお、投入予定数を中央値とした所定の範囲内(例えば、±500個)に、途中計数値が複数存在する場合には、投入予定数に最も近似する途中計数値を強調表示するようになっている。
【0032】
このように、制御部17は、投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、この途中計数値を遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として優先的に推定して、この途中計数値の選択を促すように表示部12に表示させる。
これにより、選択肢122aをタッチ操作することで(この場合には、「1」を選択)、途中計数値(5768個)を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とするとともに、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者の持分計数値を、トータルの計数値(7777個)からこの途中計数値(5768個)を減じた計数値(2009個)とすることができ、発行ボタン13を押下操作することで、これらの計数値が印字されたレシートを発行部14からそれぞれ発行させることができる(後述)。
【0033】
また、投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、図4(b)において選択した混入状態(一部混入又は全て混入)にかかわらず、持分計数値として、この途中計数値を優先的に推定するようになっている。
このように、投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、この途中計数値を持分計数値として推定することで、推定精度を向上させることができる。
【0034】
次に、途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値がない場合、又は検出間隔が所定時間未満であり、記憶すべき途中計数値がない場合であって(以下、単に、投入予定数と近似した途中計数値がない場合という。)、混入状態が一部混入である場合について、図7、図8を用いて説明する。
図7は、途中計数値に、投入予定数と近似した計数値がなく、一部が混入したときに、投入予定数と投入率との積算値を持分計数値として推定する場合の説明図であり、図8は、この積算値を強調表示した表示部12の表示例を示す図である。
【0035】
また、これらの図に示す例では、投入予定数と近似した途中計数値がある場合と同様、計数されたトータルの計数値(7777個)は、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者が取得した遊技球の一部が混入したものである。
そして、前述した表示部12におけるタッチ操作により、一部混入が選択されるとともに(図4(b)参照)、混入に係る遊技台番号として101番台が入力されることで(図4(c)参照)、管理装置60から遊技台101番台の投入予定数(5700個)が既に送信され、RAMに記憶されているとともに、図8に示すように、投入予定数表示領域123に、その投入予定数が表示されている。
【0036】
図7に示す例では、A点、B点において、検出間隔が所定時間以上となり、途中計数値として2つの計数値(2353個,3056個)がRAMに記憶されている場合を示している。
制御部17は、同図に示すように、遊技台101番台の投入予定数(5700個)を中央値として所定の範囲内(例えば、±500個)に含まれる途中計数値があるか否かを判定し、この場合、近似した途中計数値がなく、混入状態が一部混入であることから、投入予定数に投入率を乗じた値を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として推定する。
【0037】
この場合の投入率とは、投入予定数のうち投入口10aに投入されずに未計数となる遊技球を除外した割合であり、投入予定数に対する実際に投入口10aに投入された遊技球数が占める割合を示す。
投入予定数は、遊技台20と貸出装置30から出力される遊技信号に基づいて算出される、各遊技者が所有する手持ちの遊技球数を正確に表したものであるが、投入口10aに投入される実投入数は、以下のような理由から、この投入予定数よりも少ない数量となる。
【0038】
遊技者の手持ちの遊技球数は、遊技の途中で、その一部をジュース、たばこなどの小額景品と交換したり、また、その一部が遊技球を収容する、いわゆる玉箱からこぼれ落ちたりするため、実投入数は、投入予定数を超えることはなく、少なくなる傾向にある。
そこで、このような投入口10aに投入されずに未計数となる遊技球を除外した、投入予定数に対して実際に投入口10aに投入される遊技球数が占める平均的な割合を予め設定し、これを投入率とする。
例えば、管理装置60において、遊技場の各営業日における、全ての遊技台10における総投入予定数を示す総差玉(貸出数+払出数−投入数)に対する、遊技場に設置される全ての計数装置10で計数された総計数値が占める割合を投入率(例えば、0.99)として算出し、計数装置10が、電源投入時に前日の投入率を管理装置60から受信し、記憶部16に記憶しておくこともできる。
【0039】
そして、制御部17は、表示部12を制御して、図8に示すように、選択肢表示領域122に、2つの途中計数値(選択肢122aの「1」,「2」)と、投入予定数(選択肢122aの「3」)と、投入予定数と投入率との積算値(選択肢122aの「4」)と、手入力により任意の計数値を選択可能な選択肢(選択肢122a「5」)とを、いずれかを選択可能に表示するとともに、積算値(5643個)を四角で囲むなど他の選択肢に係る計数値と識別可能な態様で強調表示する。
また、メッセージ表示領域124には、投入予定数と近似した途中計数値がないことと、投入予定数に投入率を乗じて補正した積算値を選択可能であることを具体的に表示するようになっている。
【0040】
このように、制御部17は、投入予定数と近似した途中計数値がなく、かつ、計数されたトータルの計数値(7777個)が、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者が取得した遊技球の一部が混入した値となっている場合には、遊技台101番台の投入予定数に投入率を積算した積算値を遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として優先的に推定して、この積算値の選択を促すように表示部12に表示させる。
【0041】
これにより、選択肢122aをタッチ操作することで(この場合には、「4」を選択)、積算値(5643個)を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とするとともに、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者の持分計数値を、トータルの計数値(7777個)からこの積算値(5643個)を減じた計数値(2134個)とすることができ、発行ボタン13を押下操作することで、これらの計数値が印字されたレシートを発行部14からそれぞれ発行させることができる。
また、このように、投入予定数と近似した途中計数値がない場合であって、一部混入の場合には、この一部混入に係る他の遊技者の持分はまったく不明であるため、全ての遊技球を投入した遊技者の投入予定数に投入率を乗じて補正した積算値を先に投入した遊技者の持分計数値とし、残りを他の遊技者の持分計数値として推定することで、推定精度を向上させることができる。
【0042】
次に、上記の場合(投入予定数と近似した途中計数値がない)において、計数されたトータルの計数値(10000個)が、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、遊技台171番台で遊技を行った他の遊技者が取得した遊技球の全てが混入した値となっている場合について、図9、図10を用いて説明する。
図9は、途中計数値に、投入予定数と近似した計数値がなく、全てが混入したときに、配分値を持分計数値として推定する場合の説明図であり、図10は、この配分値を強調表示した表示部12の表示例を示す図である。
【0043】
また、これらの図に示す例では、計数されたトータルの計数値(10000個)は、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、遊技台171番台で遊技を行った他の遊技者が取得した遊技球の全てが混入したものである。
そして、前述した表示部12におけるタッチ操作により、全て混入が選択されるとともに(図4(b)参照)、混入に係る遊技台番号として101番台と171番台が入力されることで(図4(c)参照)、管理装置60から遊技台101番台の投入予定数(5700個)と遊技台171番台の投入予定数(4800個)とが既に送信され、RAMに記憶されているとともに、図10に示すように、投入予定数表示領域123に、それぞれの投入予定数が表示されている。
【0044】
図9に示す例では、A点、B点において、検出間隔が所定時間以上となり、途中計数値として2つの計数値(2353個,3056個)がRAMに記憶されている場合を示している。
制御部17は、同図に示すように、遊技台101番台の投入予定数(5700個)を中央値として所定の範囲内(例えば、±500個)に含まれる途中計数値があるか否かを判定し、この場合、近似した途中計数値がなく、かつ、混入状態が全て混入であることから、トータルの計数値(10000個)を各遊技台の投入予定数に対応する比率で配分した配分値を、各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値として推定する。
【0045】
具体的には、図9に示す配分値を算出する数式のように、トータルの計数値(10000個)に、遊技台101番台の投入予定数(5700個)と遊技台171番台の投入予定数(4800個)との和に対するそれぞれの投入予定数が占める割合を乗じて、遊技台101番台の配分値(5429個)と遊技台171番台の配分値(4571個)とを算出する。
【0046】
そして、制御部17は、表示部12を制御して、図10に示すように、選択肢表示領域122に、2つの途中計数値(選択肢122aの「1」,「2」)と、算出した配分値(選択肢122aの「3」)と、手入力により任意の計数値を選択可能な選択肢(選択肢122a「4」)とを、いずれかを選択可能に表示するとともに、配分値(5429個,4571個)を四角で囲むなど他の選択肢に係る計数値と識別可能な態様で強調表示する。
また、メッセージ表示領域124には、投入予定数と近似した途中計数値がないことと、トータルの計数値を各遊技台の投入予定数に対応する比率で配分した配分値を選択可能であることを具体的に表示するようになっている。
【0047】
このように、制御部17は、投入予定数と近似した途中計数値がなく、かつ、計数されたトータルの計数値(7777個)が、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、遊技台171番台で遊技を行った他の遊技者が取得した遊技球の全てが混入した値となっている場合には、この配分値を各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値として優先的に推定して、この配分値の選択を促すように表示部12に表示させる。
【0048】
これにより、選択肢122aをタッチ操作することで(この場合には、「3」を選択)、配分値(5429個)を遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とするとともに、配分値(4571個)を遊技台171番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とすることができ、発行ボタン13を押下操作することで、これらの計数値が印字されたレシートを発行部14からそれぞれ発行させることができる。
また、このように、投入予定数と近似した途中計数値がない場合であって、全て混入の場合には、全て混入に係る各遊技台の投入予定数は明確であり、このような投入予定数に基づいてトータルの計数値を配分するので、各持分計数値を適正かつ平等な値として推定できる。
【0049】
このように、制御部17は、途中計数値に投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、その途中計数値を持分計数値として優先的に推定し、途中計数値に投入予定数と近似した途中計数値がない場合には、混入状態に応じて、投入予定数から持分計数値を推定することで、投入予定数と途中計数値のそれぞれが有する信頼性を利用しつつ、最適な持分計数値を推定するようになっている。
【0050】
そして、本実施形態の計数装置10は、このようにして推定された各遊技者の持分計数値を、レシート130に記録して各遊技者に発行する。
発行部14は、制御部17によって制御され、発行ボタン13が押下操作されると、計数値表示領域121に表示されたトータルの計数値をレシート130に印字して発行する。
また、発行部14は、図4(a)において分割発行「する」が選択されたときには、タッチ操作に係る選択肢122aに対応した持分計数値が印字されたレシート130をそれぞれ発行する。
【0051】
図11は、図6において強調表示された途中計数値(選択肢122aの「1」)が選択されたとき、発行部14から発行されたレシート130を示す図である。
同図に示す例では、発行部14は、遊技台101番台で遊技を行い、先に遊技球を投入した遊技者(1人目)のレシート130aと、他の遊技台で遊技を行い、後から遊技球を投入して混入させた遊技者(2人目)のレシート130bとを、連続して発行する。
これにより、トータルの計数値(7777個)は、各遊技者の持分として分割される。
【0052】
記憶部16は、不揮発性メモリを備え、前述した投入率やレシート130の発行履歴情報などを記憶する。
このレシート130の発行履歴情報は、タッチ操作により、表示部12に表示させることができ、また、発行部14からこの発行履歴情報が印字された発行明細書131を発行させることができる。
【0053】
図12は、発行部14から発行された発行明細書131を示す図である。
同図に示すように、発行明細書131には、発行時刻、発行番号、計数値の累計値を示す累計、レシート130に印字された計数値を示す発行数などの情報が印字されるとともに、一の計数値を複数の持分計数値に分割して発行した場合には、分割発行に係る各発行数を四角で囲むなど他の発行数と識別させるマーク131aが印字されるようになっている。
これにより、レシートの発行履歴のうち、分割して発行した履歴を容易に確認することができる。
【0054】
次に、上述した制御部17において実行される持分計数値を推定する処理について、図13を参照して説明する。
図13は、制御部17で実行される持分推定処理を示すフローチャートである。制御部17に設けられたROMには、このフローチャートに基づいて作成されたプログラムが記憶され、CPUがこのプログラムを実行することで、制御部17が推定手段として動作するようになっている。
【0055】
図13に示すように、まず、制御部17は、計数されたトータルの計数値を分割するか否かの選択操作を監視し(S1)、分割しないが選択された場合は(S1−No)、処理を終了し、発行ボタン13の押下操作によって、その計数値が印字されたレシート130を発行する。
一方、分割するが選択された場合は(S1−Yes)、混入状態が一部か全てかの選択操作を監視する(S2)。
一部混入が選択されたときには(S2−Yes)、一部を混入させた遊技者以外の遊技者に係る遊技台番号を全て入力させ(S3)、全て混入が選択されたときには(S2−No)、混入させた遊技者に係る遊技台番号を全て入力させる(S4)。
入力の終了が選択されると、入力された遊技台番号を管理装置60に送信し(S5)、管理装置60からこの遊技台番号に対応した遊技台20の投入予定数を受信する(S6)。
【0056】
続いて、制御部17は、RAMに記憶した途中計数値があるか否かを判定し、(S7)、記憶した途中計数値がある場合には(S7−Yes)、受信した投入予定数と記憶した途中計数値とを比較・照合する(S8)。
比較・照合の結果、投入予定数に近似した途中計数値がある場合には(S8−Yes)、その近似した途中計数値を表示部12に強調表示させる(S9)。
一方、途中計数値がRAMに記憶されていない場合と(S7−No)、比較・照合の結果、記憶した途中計数値に投入予定数と近似した途中計数値がない場合は(S8−No)、混入状態に応じてその後の処理を分岐する。
【0057】
具体的には、一部混入の場合は(S10−Yes)、投入予定数に予め記憶した投入率を積算するとともに(S11)、その積算値を表示部12に強調表示させる(S12)。全て混入の場合は(S10−No)、トータルの計数値を各遊技台の投入予定数に対応した比率で配分するとともに(S13)、その配分値を表示部12に強調表示させる(S14)。
そして、各強調表示(S9,S12,S14)によって、持分推定処理は終了し、制御部17は、選択肢122aの入力操作を監視する。
【0058】
以上のように構成された本実施形態の計数装置10によれば、取得者の異なる遊技媒体が混入して計数されたときに、各自の最適な持分を推定することができる。
【0059】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、管理装置60で記憶・管理する各遊技台の投入予定数を、通信部15を介して受信したが、例えば、表示部12に備えるテンキー入力画面において、直接入力することもできる。
また、本実施形態では、遊技球を計数する遊技球計数装置として構成したが、遊技メダル(コイン)を計数する遊技メダル計数装置とすることもできる。
【0060】
また、本実施形態では、制御部17が計数部11から入力される検出信号の検出間隔を監視し、検出間隔が所定時間以上のときの計数値を途中計数値として、記憶したが、検出信号の単位時間当りの入力頻度(回数)を監視し、入力頻度が所定数以下のときの計数値を途中計数値として、記憶することもできる。
計数部11は、転動する遊技球を一列に整列させる複数のレーンと、遊技球を検出する計数スイッチをレーン毎に備えるため、混入のタイミングでは、検出間隔が途切れることなく、単に入力頻度が低下することも想定できる。
そこで、計数スイッチから入力される検出信号の入力頻度を監視して、入力頻度が所定数以下(例えば、10秒当り5回(個)以下)となったときの計数値を途中計数値として、RAMに記憶させることもできる。これにより、推定する持分計数値の有効性を拡大できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、遊技場に設置された遊技媒体を計数する計数装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0062】
10 計数装置
11 計数部
12 表示部(表示手段)
15 通信部(入力手段)
17 制御部(推定手段)
20 遊技台
30 貸出機
40 台コンピュータ
50 島コンピュータ
60 管理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入された遊技媒体を計数する計数装置に関し、特に、複数の遊技者が遊技媒体を混入させたときに、各遊技者の持分を推定する遊技媒体計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホール,パチスロホール等の遊技場には、遊技球やメダルなどの遊技媒体を計数する計数装置が設置されている。
このような計数装置は、計数された計数値がレシート等に記録されて発行される発行ボタン等が操作されるまで、遊技媒体が投入され続ける限り、計数値が累積して加算されるようになっている。
【0003】
このような計数装置において、一人の遊技者が、取得した遊技媒体を計数する場合、一度にすべての遊技媒体を計数装置まで持ち運ぶことができず、何回かに分けて計数することがある。
この場合、一の遊技者が、発行ボタンを操作せず、先に計数した計数値を放置したまま、遊技媒体を持ち運んでいる最中に、他の遊技者が、割り込んで、取得した遊技媒体を投入してしまうことがあった。その結果、両者の計数値が合算されてしまうため、両者の持分を特定することが不可能となっていた。
【0004】
このようなトラブルを解消すべく、計数終了後、一定時間経過毎にタイマ信号を発生させ、レシートが発行されずにタイマ信号が発生したときの計数値を識別可能に記憶する技術が提案されている(特許文献1)。
これにより、タイマ信号が発生した後に、他の遊技者が遊技媒体を投入しても、先の計数値は、識別可能に記憶されているため、両者の持分となる計数値を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−31251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明では、タイマ信号は、一定時間毎に発生するため、この一定時間に満たずに、他の遊技者が連続して遊技媒体を投入した場合には、持分となる計数値を特定することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、取得者の異なる遊技媒体が混入して計数されたときに、各自の最適な持分を推定する計数装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の遊技媒体計数装置は、投入された遊技媒体を計数する計数装置において、遊技台で取得された遊技媒体数であって、当該装置に投入される遊技媒体の予定数を示す投入予定数を入力する投入予定数入力手段と、計数された計数値に複数の遊技台で取得された遊技媒体が含まれている場合において、前記投入予定数に基づいて各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値を推定する推定手段と、推定された前記持分計数値を選択可能に表示する表示手段と、を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技媒体計数装置によれば、取得者の異なる遊技媒体が混入して計数されたときに、各自の最適な持分を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】計数装置を備える遊技場システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】計数装置の概略斜視図である。
【図3】計数装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】計数装置の表示部における表示例を示す説明図である。
【図5】計数装置の計数部で計数された途中計数値に、投入予定数に近似した計数値がある場合の説明図である。
【図6】計数装置の表示部における表示例を示し、投入予定数に近似した途中計数値を強調表示した場合の説明図である。
【図7】計数装置の計数部で計数された途中計数値に、投入予定数に近似した計数値がなく、一部が混入したときに、積算値を持分計数値として推定する場合の説明図である。
【図8】計数装置の表示部の表示例を示し、積算値を強調表示した場合の説明図である。
【図9】計数装置の計数部で計数された途中計数値に、投入予定数に近似した計数値がなく、全てが混入したときに、配分値を持分計数値として推定する場合の説明図である。
【図10】計数装置の表示部の表示例を示し、配分値を強調表示した場合の説明図である。
【図11】計数装置の発行部から発行されたレシートを示す図である。
【図12】計数装置の発行部から発行された発行明細書を示すである。
【図13】計数装置の制御部で実行される持分計数値の推定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る遊技媒体計数装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の計数装置を備える遊技場システムの構成を模式的に示す説明図、図2は、本実施形態の計数装置の概略斜視図、図3は、本実施形態の計数装置の制御構成を示すブロック図、図4は、本実施形態の計数装置の表示部における表示例を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の遊技場システムは、本発明に係る計数装置10と、複数の遊技台20と、各遊技台20に併設された貸出機30と、各遊技台20で取得される遊技球数を記憶・管理する管理装置60と、遊技台20と貸出機30からの遊技信号を管理装置60に送信する、遊技台毎に設置される台コンピュータ40及び遊技台島毎に設置される島コンピュータ50とを備え、これらは、所定のネットワーク回線を介して通信可能に接続されて、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を構成している。
【0013】
本実施形態の遊技台20は、遊技球を遊技媒体とするパチンコ機である。
この遊技台20から出力される遊技信号には、大当り状態を示す大当り信号、大当りの抽せん確率がアップする確率変動状態を示す確変信号、遊技台20から払出される遊技球の払出数を示すセーフ信号、遊技台20に投入される遊技球の投入数を示すアウト信号などがあり、これらの遊技信号は、台コンピュータ40と島コンピュータ50を中継して管理装置60に入力されている。
【0014】
本実施形態の貸出機30は、遊技球を貸し出すカード式玉貸機である。
貸出機30は、プリペードカードなどの有価価値を有する記録媒体を投入して、このプリペードカードに記録された有価価値を示す度数の範囲内で、遊技球を貸し出すことができるようになっている。また、貯玉会員カードを投入することで、管理装置60が記憶・管理する、会員が事前に蓄えた貯留遊技球数(貯玉数)の範囲内で、遊技球を引き出して再プレイすることができるようになっている。
貸出機30から出力される遊技信号は、貸し出し又は引き出された遊技球数を示す貸出数信号であり、この遊技信号は、台コンピュータ40と島コンピュータ50を中継して管理装置60に入力されている。
【0015】
台コンピュータ40は、一組の遊技台20と貸出機30に接続された情報処理装置であり、遊技台20と貸出機30から出力される遊技信号が入力され、この遊技信号を蓄積又は集計し、島コンピュータ50へ送信する中継ユニットとして構成されている。
島コンピュータ50は、複数の台コンピュータ40に接続された情報処理装置であり、台コンピュータ40から受信した遊技信号を蓄積又は集計し、これを管理装置60へ送信する中継ユニットとして構成されている。
【0016】
管理装置60は、遊技台20と貸出機30から、台コンピュータ40及び島コンピュータ50を介して送信される、遊技信号(大当り信号、確変信号、セーフ信号、アウト信号、貸出数信号)を収集して、所定の遊技データを集計・管理する情報処理装置(ホールコンピュータ)である。
管理装置60は、セーフ信号、アウト信号、貸出数信号に基づいて、各遊技台20における遊技者が所有している手持ちの遊技球数を算出するとともに、計数装置10からの要求に応じて、算出した手持ちの遊技球数を計数装置10に投入される投入予定数として、計数装置10に送信する。
【0017】
具体的には、セーフ信号、アウト信号、貸出数信号のそれぞれの入力数より、遊技台20から払出された遊技球の払出数、遊技台20に投入された遊技球の投入数、貸出機30から貸し出し又は引き出された遊技球の貸出数を各々算出するとともに、貸出数と払出数との和から投入数を減じて、遊技者が実際に所有している手持ちの遊技球数を遊技台20毎に算出する。
【0018】
また、管理装置60は、貯玉会員カードの排出タイミング、アウト信号の入力間隔、貸出数信号の入力タイミングを監視し、遊技者の入替わりを判定する。
具体的には、貯玉会員カードが投入された後に排出されたとき、アウト信号が継続して入力された後に一定時間以上入力されないとき、手持ちの遊技球数があるにもかかわらずに新たな貸出数信号が入力されたときは、遊技者の入替わりと判定する。これにより、各遊技台で遊技を行う遊技者毎の遊技期間が特定できるため、この遊技期間における手持ちの遊技球数は、その遊技台で遊技を行った遊技者の手持ちの遊技球数とすることができる。
そして、管理装置60は、このように特定した手持ちの遊技球数を、遊技台20毎及び遊技期間毎に記憶するとともに、計数装置10から遊技台20を特定可能な台番号を含む要求信号を受信したときには、その遊技台20における最新の手持ちの遊技球数を投入予定数として返送する。
【0019】
本実施形態の計数装置10は、遊技機島毎に設置され、投入された遊技球を計数するとともに、計数された計数値を記録媒体であるレシートに記録して発行する計数装置であり、図2、3に示すように、遊技球を投入する投入口10aと、投入口10aから投入された遊技球を計数する計数部11と、計数された計数値等を表示する表示部12と、押下操作によりレシートを発行させる発行ボタン13と、レシートに計数値を印字して発行する発行部14と、管理装置60と通信を行う通信部15と、発行履歴等を記憶する記憶部16と、これらの各部を制御する制御部17と、を備えている。
【0020】
制御部17は、CPU、制御プログラムやデータが記憶されたROM、ワークメモリとして機能するRAM、I/Oポートなどを備えるマイクロコンピュータで構成され、取得者が異なる遊技球が投入口10aから連続して投入されたときに、管理装置60が記憶する、各遊技者が遊技を行った遊技台20における手持ちの遊技球数(投入予定数)に基づいて、各遊技者の持分を推定するとともに、表示部12を制御して、推定した各遊技者の持分を選択可能に表示させるようになっている。
以下に、本発明に係る計数装置10の特徴的な構成について説明する。
【0021】
計数部11は、転動する遊技球を一列に整列させる複数のレーンと、遊技球を検出する計数スイッチをレーン毎に備え(不図示)、計数スイッチが遊技球を検出する毎に制御部17に検出信号を出力する。
これにより、制御部17は、検出信号が入力される毎に、RAMの計数値を+1更新しつつ、表示部12を制御してこの計数値を表示させる。
【0022】
表示部12は、本発明の表示手段の一例であり、液晶ディスプレイと、指触された位置に対応した座標信号を出力することで、当該指触位置に対応した表示領域を選択可能な透明電極板と、を備えるタッチパネルで構成されている。
具体的には、表示部12は、図4の各図に示すように、複数の表示領域に区画され、例えば、計数値表示領域121には、投入した遊技球を累計した計数値を表示するとともに、選択肢表示領域122には、所定の案内表示とともに、タッチ操作により選択可能な選択肢122aを表示することができる。
そして、計数値表示領域121に表示された計数値に、複数の遊技台20で取得された遊技球が混入している場合は、例えば、図4(a)に示すように、選択肢122aをタッチ操作して、各遊技者の持分に応じた計数値が印字されたレシートの分割発行を、「する」又は「しない」のいずれかを選択できるようにしてある。
【0023】
また、図4(a)において、分割発行を「する」がタッチ操作された場合は、図4(b)に示すように、選択肢122aをタッチ操作して、その混入状態が、「一部」又は「全て」のいずれかであるかを選択できるようにしてある。
ここで混入状態について説明すると、遊技球が混入している場合には、一又は複数の遊技台20で取得された全ての遊技球と他の遊技台20で取得された遊技球の一部が含まれている場合である「一部混入」と、複数の遊技台で取得された全ての遊技媒体が混入している場合である「全て混入」とがある。
【0024】
一部混入は、後続して投入した店員や遊技者が混入に気がついて、手持ちの遊技球の投入を途中で止めた場合であって、少なくとも一又は複数の遊技台20で取得された全ての遊技球を含み、かつ、他の遊技台20で取得された遊技球の全てが含まれていない状態を示している。
また、全て混入は、後続して投入した店員や遊技者が手持ちの遊技球を全て投入させた場合であって、複数の遊技台20で取得された全ての遊技媒体が混入している状態を示している。
そして、このように混入状態を選択させることで、後述するように、推定される各遊技者の持分をこの混入状態に応じた適切な値とすることができるようになっている。
【0025】
また、図4(b)において、いずれかの混入状態が選択された場合は、図4(c)に示すように、選択肢122aをタッチ操作するとともに、このタッチ操作によって新たに表示されるテンキー表示領域(不図示)において、混入に該当する遊技台20の台番号を入力させるようにしてある。
入力する台番号に係る遊技台20は、一部混入のときは、途中まで投入した他の遊技台20の台番号を除いた全ての遊技台20であり、全て混入のときは、投入した全ての遊技台20の台番号である。
すなわち、例えば、2台の遊技台に係る遊技球と、他の1台に係る遊技球の一部が投入された場合は、先の2台の遊技台番号を投入順に入力する。また、3台の遊技台に係る遊技球が全て投入された場合は、3台の遊技台番号を投入順に全て入力する。
そして、入力の終了(選択肢122aの「3」)がタッチ操作されると、入力された台番号は、本発明の投入予定数入力手段として動作する通信部15によって、管理装置60に送信されるとともに、管理装置60からこの台番号に対応する遊技台20の手持ちの遊技球数(投入予定数)を受信するようになっている。
【0026】
制御部17は、推定手段の一例であり、表示部12において上述したようなタッチ操作が行われると、管理装置60から送信された混入に係る遊技台10の投入予定数に基づいて、計数値表示領域121に表示された計数値から、各遊技台10で遊技を行った遊技者の持分計数値をそれぞれ推定する。その推定は、以下に示す手順で行われる。
【0027】
制御部17は、計数部11から入力される検出信号の検出間隔を監視し、検出間隔が所定時間以上のときの計数値を途中計数値として、本発明の記憶手段の一例であるRAMに順次記憶する。
制御部17は、この記憶した途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値があるか否かを判定し、近似した計数値がある場合には、この途中計数値を最初に投入した遊技者の持分計数値として優先的に推定する。
一方、途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値がない場合、又は、検出間隔が所定時間未満であり、記憶すべき途中計数値がない場合は、投入予定数から持分計数値を推定する。この場合には、図4(b)において選択した混入状態(一部混入又は全て混入)によって、推定方法が異なるようになっている。
【0028】
最初に、途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値がある場合について、図5、図6を用いて説明する。
図5は、途中計数値に、投入予定数と近似した計数値がある場合の説明図であり、図6は、近似した途中計数値を強調表示した表示部12の表示例を示す図である。
また、これらの図に示す例では、計数されたトータルの計数値(7777個)は、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者が取得した遊技球の一部が混入したものとしてある。
【0029】
制御部17は、図5に示すように、計数部11から入力される検出信号の検出間隔を監視し、検出間隔が所定時間(例えば、1秒)以上ときの計数値を途中計数値として、RAMに順次記憶する。
同図の例では、A点、B点、C点において、検出間隔が所定時間以上となり、途中計数値として3つの計数値(2353個,3056個,5768個)がRAMに記憶された場合を示している。
また、前述した表示部12におけるタッチ操作により、一部混入が選択されるとともに(図4(b)参照)、混入に係る遊技台番号として101番台が入力されることで(図4(c)参照)、管理装置60から遊技台101番台の投入予定数(5700個)が既に送信され、RAMに記憶されているとともに、図6に示すように、投入予定数表示領域123に、その投入予定数が表示されている。
【0030】
制御部17は、まず、この3つの途中計数値に、遊技台101番台の投入予定数と近似した計数値があるか否かを判定する。具体的には、投入予定数を中央値として所定の範囲内(例えば、±500個)に、途中計数値があるか否かを判定する。
図5に示す例では、C点における途中計数値(5768個)が、投入予定数(5700個)と近似している。
【0031】
そこで、制御部17は、投入予定数(5700個)と近似したこの途中計数値(5768個)を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として推定するとともに、表示部12を制御して、図6に示すように、選択肢表示領域122に、3つの途中計数値(選択肢122aの「1」,「2」,「3」)と、投入予定数(選択肢122aの「4」)と、手入力により任意の計数値を選択可能な選択肢(選択肢122a「5」)とを、いずれかを選択可能に表示するとともに、投入予定数に近似した途中計数値(5768個)を四角で囲むなど他の選択肢に係る計数値と識別可能な態様で強調表示する。
なお、選択肢表示領域122に表示されている「2人目」の欄における計数値は、トータルの計数値(7777個)から「1人目」の欄における計数値を減算した値となっている。
また、メッセージ表示領域124には、投入予定数と近似した途中計数値がある旨を具体的に表示するようになっている。
なお、投入予定数を中央値とした所定の範囲内(例えば、±500個)に、途中計数値が複数存在する場合には、投入予定数に最も近似する途中計数値を強調表示するようになっている。
【0032】
このように、制御部17は、投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、この途中計数値を遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として優先的に推定して、この途中計数値の選択を促すように表示部12に表示させる。
これにより、選択肢122aをタッチ操作することで(この場合には、「1」を選択)、途中計数値(5768個)を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とするとともに、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者の持分計数値を、トータルの計数値(7777個)からこの途中計数値(5768個)を減じた計数値(2009個)とすることができ、発行ボタン13を押下操作することで、これらの計数値が印字されたレシートを発行部14からそれぞれ発行させることができる(後述)。
【0033】
また、投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、図4(b)において選択した混入状態(一部混入又は全て混入)にかかわらず、持分計数値として、この途中計数値を優先的に推定するようになっている。
このように、投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、この途中計数値を持分計数値として推定することで、推定精度を向上させることができる。
【0034】
次に、途中計数値に、管理装置60から送信された投入予定数と近似した計数値がない場合、又は検出間隔が所定時間未満であり、記憶すべき途中計数値がない場合であって(以下、単に、投入予定数と近似した途中計数値がない場合という。)、混入状態が一部混入である場合について、図7、図8を用いて説明する。
図7は、途中計数値に、投入予定数と近似した計数値がなく、一部が混入したときに、投入予定数と投入率との積算値を持分計数値として推定する場合の説明図であり、図8は、この積算値を強調表示した表示部12の表示例を示す図である。
【0035】
また、これらの図に示す例では、投入予定数と近似した途中計数値がある場合と同様、計数されたトータルの計数値(7777個)は、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者が取得した遊技球の一部が混入したものである。
そして、前述した表示部12におけるタッチ操作により、一部混入が選択されるとともに(図4(b)参照)、混入に係る遊技台番号として101番台が入力されることで(図4(c)参照)、管理装置60から遊技台101番台の投入予定数(5700個)が既に送信され、RAMに記憶されているとともに、図8に示すように、投入予定数表示領域123に、その投入予定数が表示されている。
【0036】
図7に示す例では、A点、B点において、検出間隔が所定時間以上となり、途中計数値として2つの計数値(2353個,3056個)がRAMに記憶されている場合を示している。
制御部17は、同図に示すように、遊技台101番台の投入予定数(5700個)を中央値として所定の範囲内(例えば、±500個)に含まれる途中計数値があるか否かを判定し、この場合、近似した途中計数値がなく、混入状態が一部混入であることから、投入予定数に投入率を乗じた値を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として推定する。
【0037】
この場合の投入率とは、投入予定数のうち投入口10aに投入されずに未計数となる遊技球を除外した割合であり、投入予定数に対する実際に投入口10aに投入された遊技球数が占める割合を示す。
投入予定数は、遊技台20と貸出装置30から出力される遊技信号に基づいて算出される、各遊技者が所有する手持ちの遊技球数を正確に表したものであるが、投入口10aに投入される実投入数は、以下のような理由から、この投入予定数よりも少ない数量となる。
【0038】
遊技者の手持ちの遊技球数は、遊技の途中で、その一部をジュース、たばこなどの小額景品と交換したり、また、その一部が遊技球を収容する、いわゆる玉箱からこぼれ落ちたりするため、実投入数は、投入予定数を超えることはなく、少なくなる傾向にある。
そこで、このような投入口10aに投入されずに未計数となる遊技球を除外した、投入予定数に対して実際に投入口10aに投入される遊技球数が占める平均的な割合を予め設定し、これを投入率とする。
例えば、管理装置60において、遊技場の各営業日における、全ての遊技台10における総投入予定数を示す総差玉(貸出数+払出数−投入数)に対する、遊技場に設置される全ての計数装置10で計数された総計数値が占める割合を投入率(例えば、0.99)として算出し、計数装置10が、電源投入時に前日の投入率を管理装置60から受信し、記憶部16に記憶しておくこともできる。
【0039】
そして、制御部17は、表示部12を制御して、図8に示すように、選択肢表示領域122に、2つの途中計数値(選択肢122aの「1」,「2」)と、投入予定数(選択肢122aの「3」)と、投入予定数と投入率との積算値(選択肢122aの「4」)と、手入力により任意の計数値を選択可能な選択肢(選択肢122a「5」)とを、いずれかを選択可能に表示するとともに、積算値(5643個)を四角で囲むなど他の選択肢に係る計数値と識別可能な態様で強調表示する。
また、メッセージ表示領域124には、投入予定数と近似した途中計数値がないことと、投入予定数に投入率を乗じて補正した積算値を選択可能であることを具体的に表示するようになっている。
【0040】
このように、制御部17は、投入予定数と近似した途中計数値がなく、かつ、計数されたトータルの計数値(7777個)が、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者が取得した遊技球の一部が混入した値となっている場合には、遊技台101番台の投入予定数に投入率を積算した積算値を遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値として優先的に推定して、この積算値の選択を促すように表示部12に表示させる。
【0041】
これにより、選択肢122aをタッチ操作することで(この場合には、「4」を選択)、積算値(5643個)を、遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とするとともに、他の遊技台で遊技を行った異なる遊技者の持分計数値を、トータルの計数値(7777個)からこの積算値(5643個)を減じた計数値(2134個)とすることができ、発行ボタン13を押下操作することで、これらの計数値が印字されたレシートを発行部14からそれぞれ発行させることができる。
また、このように、投入予定数と近似した途中計数値がない場合であって、一部混入の場合には、この一部混入に係る他の遊技者の持分はまったく不明であるため、全ての遊技球を投入した遊技者の投入予定数に投入率を乗じて補正した積算値を先に投入した遊技者の持分計数値とし、残りを他の遊技者の持分計数値として推定することで、推定精度を向上させることができる。
【0042】
次に、上記の場合(投入予定数と近似した途中計数値がない)において、計数されたトータルの計数値(10000個)が、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、遊技台171番台で遊技を行った他の遊技者が取得した遊技球の全てが混入した値となっている場合について、図9、図10を用いて説明する。
図9は、途中計数値に、投入予定数と近似した計数値がなく、全てが混入したときに、配分値を持分計数値として推定する場合の説明図であり、図10は、この配分値を強調表示した表示部12の表示例を示す図である。
【0043】
また、これらの図に示す例では、計数されたトータルの計数値(10000個)は、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、遊技台171番台で遊技を行った他の遊技者が取得した遊技球の全てが混入したものである。
そして、前述した表示部12におけるタッチ操作により、全て混入が選択されるとともに(図4(b)参照)、混入に係る遊技台番号として101番台と171番台が入力されることで(図4(c)参照)、管理装置60から遊技台101番台の投入予定数(5700個)と遊技台171番台の投入予定数(4800個)とが既に送信され、RAMに記憶されているとともに、図10に示すように、投入予定数表示領域123に、それぞれの投入予定数が表示されている。
【0044】
図9に示す例では、A点、B点において、検出間隔が所定時間以上となり、途中計数値として2つの計数値(2353個,3056個)がRAMに記憶されている場合を示している。
制御部17は、同図に示すように、遊技台101番台の投入予定数(5700個)を中央値として所定の範囲内(例えば、±500個)に含まれる途中計数値があるか否かを判定し、この場合、近似した途中計数値がなく、かつ、混入状態が全て混入であることから、トータルの計数値(10000個)を各遊技台の投入予定数に対応する比率で配分した配分値を、各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値として推定する。
【0045】
具体的には、図9に示す配分値を算出する数式のように、トータルの計数値(10000個)に、遊技台101番台の投入予定数(5700個)と遊技台171番台の投入予定数(4800個)との和に対するそれぞれの投入予定数が占める割合を乗じて、遊技台101番台の配分値(5429個)と遊技台171番台の配分値(4571個)とを算出する。
【0046】
そして、制御部17は、表示部12を制御して、図10に示すように、選択肢表示領域122に、2つの途中計数値(選択肢122aの「1」,「2」)と、算出した配分値(選択肢122aの「3」)と、手入力により任意の計数値を選択可能な選択肢(選択肢122a「4」)とを、いずれかを選択可能に表示するとともに、配分値(5429個,4571個)を四角で囲むなど他の選択肢に係る計数値と識別可能な態様で強調表示する。
また、メッセージ表示領域124には、投入予定数と近似した途中計数値がないことと、トータルの計数値を各遊技台の投入予定数に対応する比率で配分した配分値を選択可能であることを具体的に表示するようになっている。
【0047】
このように、制御部17は、投入予定数と近似した途中計数値がなく、かつ、計数されたトータルの計数値(7777個)が、遊技台101番台で遊技を行った遊技者が取得した遊技球に、遊技台171番台で遊技を行った他の遊技者が取得した遊技球の全てが混入した値となっている場合には、この配分値を各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値として優先的に推定して、この配分値の選択を促すように表示部12に表示させる。
【0048】
これにより、選択肢122aをタッチ操作することで(この場合には、「3」を選択)、配分値(5429個)を遊技台101番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とするとともに、配分値(4571個)を遊技台171番台で遊技を行った遊技者の持分計数値とすることができ、発行ボタン13を押下操作することで、これらの計数値が印字されたレシートを発行部14からそれぞれ発行させることができる。
また、このように、投入予定数と近似した途中計数値がない場合であって、全て混入の場合には、全て混入に係る各遊技台の投入予定数は明確であり、このような投入予定数に基づいてトータルの計数値を配分するので、各持分計数値を適正かつ平等な値として推定できる。
【0049】
このように、制御部17は、途中計数値に投入予定数と近似した途中計数値がある場合には、その途中計数値を持分計数値として優先的に推定し、途中計数値に投入予定数と近似した途中計数値がない場合には、混入状態に応じて、投入予定数から持分計数値を推定することで、投入予定数と途中計数値のそれぞれが有する信頼性を利用しつつ、最適な持分計数値を推定するようになっている。
【0050】
そして、本実施形態の計数装置10は、このようにして推定された各遊技者の持分計数値を、レシート130に記録して各遊技者に発行する。
発行部14は、制御部17によって制御され、発行ボタン13が押下操作されると、計数値表示領域121に表示されたトータルの計数値をレシート130に印字して発行する。
また、発行部14は、図4(a)において分割発行「する」が選択されたときには、タッチ操作に係る選択肢122aに対応した持分計数値が印字されたレシート130をそれぞれ発行する。
【0051】
図11は、図6において強調表示された途中計数値(選択肢122aの「1」)が選択されたとき、発行部14から発行されたレシート130を示す図である。
同図に示す例では、発行部14は、遊技台101番台で遊技を行い、先に遊技球を投入した遊技者(1人目)のレシート130aと、他の遊技台で遊技を行い、後から遊技球を投入して混入させた遊技者(2人目)のレシート130bとを、連続して発行する。
これにより、トータルの計数値(7777個)は、各遊技者の持分として分割される。
【0052】
記憶部16は、不揮発性メモリを備え、前述した投入率やレシート130の発行履歴情報などを記憶する。
このレシート130の発行履歴情報は、タッチ操作により、表示部12に表示させることができ、また、発行部14からこの発行履歴情報が印字された発行明細書131を発行させることができる。
【0053】
図12は、発行部14から発行された発行明細書131を示す図である。
同図に示すように、発行明細書131には、発行時刻、発行番号、計数値の累計値を示す累計、レシート130に印字された計数値を示す発行数などの情報が印字されるとともに、一の計数値を複数の持分計数値に分割して発行した場合には、分割発行に係る各発行数を四角で囲むなど他の発行数と識別させるマーク131aが印字されるようになっている。
これにより、レシートの発行履歴のうち、分割して発行した履歴を容易に確認することができる。
【0054】
次に、上述した制御部17において実行される持分計数値を推定する処理について、図13を参照して説明する。
図13は、制御部17で実行される持分推定処理を示すフローチャートである。制御部17に設けられたROMには、このフローチャートに基づいて作成されたプログラムが記憶され、CPUがこのプログラムを実行することで、制御部17が推定手段として動作するようになっている。
【0055】
図13に示すように、まず、制御部17は、計数されたトータルの計数値を分割するか否かの選択操作を監視し(S1)、分割しないが選択された場合は(S1−No)、処理を終了し、発行ボタン13の押下操作によって、その計数値が印字されたレシート130を発行する。
一方、分割するが選択された場合は(S1−Yes)、混入状態が一部か全てかの選択操作を監視する(S2)。
一部混入が選択されたときには(S2−Yes)、一部を混入させた遊技者以外の遊技者に係る遊技台番号を全て入力させ(S3)、全て混入が選択されたときには(S2−No)、混入させた遊技者に係る遊技台番号を全て入力させる(S4)。
入力の終了が選択されると、入力された遊技台番号を管理装置60に送信し(S5)、管理装置60からこの遊技台番号に対応した遊技台20の投入予定数を受信する(S6)。
【0056】
続いて、制御部17は、RAMに記憶した途中計数値があるか否かを判定し、(S7)、記憶した途中計数値がある場合には(S7−Yes)、受信した投入予定数と記憶した途中計数値とを比較・照合する(S8)。
比較・照合の結果、投入予定数に近似した途中計数値がある場合には(S8−Yes)、その近似した途中計数値を表示部12に強調表示させる(S9)。
一方、途中計数値がRAMに記憶されていない場合と(S7−No)、比較・照合の結果、記憶した途中計数値に投入予定数と近似した途中計数値がない場合は(S8−No)、混入状態に応じてその後の処理を分岐する。
【0057】
具体的には、一部混入の場合は(S10−Yes)、投入予定数に予め記憶した投入率を積算するとともに(S11)、その積算値を表示部12に強調表示させる(S12)。全て混入の場合は(S10−No)、トータルの計数値を各遊技台の投入予定数に対応した比率で配分するとともに(S13)、その配分値を表示部12に強調表示させる(S14)。
そして、各強調表示(S9,S12,S14)によって、持分推定処理は終了し、制御部17は、選択肢122aの入力操作を監視する。
【0058】
以上のように構成された本実施形態の計数装置10によれば、取得者の異なる遊技媒体が混入して計数されたときに、各自の最適な持分を推定することができる。
【0059】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、管理装置60で記憶・管理する各遊技台の投入予定数を、通信部15を介して受信したが、例えば、表示部12に備えるテンキー入力画面において、直接入力することもできる。
また、本実施形態では、遊技球を計数する遊技球計数装置として構成したが、遊技メダル(コイン)を計数する遊技メダル計数装置とすることもできる。
【0060】
また、本実施形態では、制御部17が計数部11から入力される検出信号の検出間隔を監視し、検出間隔が所定時間以上のときの計数値を途中計数値として、記憶したが、検出信号の単位時間当りの入力頻度(回数)を監視し、入力頻度が所定数以下のときの計数値を途中計数値として、記憶することもできる。
計数部11は、転動する遊技球を一列に整列させる複数のレーンと、遊技球を検出する計数スイッチをレーン毎に備えるため、混入のタイミングでは、検出間隔が途切れることなく、単に入力頻度が低下することも想定できる。
そこで、計数スイッチから入力される検出信号の入力頻度を監視して、入力頻度が所定数以下(例えば、10秒当り5回(個)以下)となったときの計数値を途中計数値として、RAMに記憶させることもできる。これにより、推定する持分計数値の有効性を拡大できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、遊技場に設置された遊技媒体を計数する計数装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0062】
10 計数装置
11 計数部
12 表示部(表示手段)
15 通信部(入力手段)
17 制御部(推定手段)
20 遊技台
30 貸出機
40 台コンピュータ
50 島コンピュータ
60 管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された遊技媒体を計数する計数装置において、
遊技台で取得された遊技媒体数であって、当該装置に投入される遊技媒体の予定数を示す投入予定数を入力する投入予定数入力手段と、
計数された計数値に複数の遊技台で取得された遊技媒体が含まれている場合において、前記投入予定数に基づいて各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値を推定する推定手段と、
推定された前記持分計数値を選択可能に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする遊技媒体計数装置。
【請求項2】
計数中における遊技媒体が検出される検出間隔が所定時間以上のときの途中計数値を記憶する記憶手段を備え、
前記推定手段は、記憶した前記途中計数値のうち前記投入予定数と近似した途中計数値を前記持分計数値として推定する請求項1記載の遊技媒体計数装置。
【請求項3】
前記投入予定数と近似した前記途中計数値がなく、前記計数値に、一又は複数の遊技台で取得された全ての遊技媒体と、他の遊技台で取得された遊技媒体の一部が含まれている場合において、
前記推定手段は、前記投入予定数と、前記投入予定数のうち当該装置に投入されずに未計数となる遊技媒体を除外する投入率との積算値を前記持分計数値として推定する請求項2記載の遊技媒体計数装置。
【請求項4】
前記投入予定数と近似した前記途中計数値がなく、前記計数値に、複数の遊技台で取得された全ての遊技媒体が含まれている場合において、
前記推定手段は、この計数値を各遊技台に対応する前記投入予定数の比率で配分した配分値を前記持分計数値として推定する請求項2記載の遊技媒体計数装置。
【請求項5】
前記配分値は、各遊技台に対応する前記投入予定数の和に対する、それぞれの投入予定数が占める割合と、前記計数値との積である請求項4記載の遊技媒体計数装置。
【請求項6】
前記表示手段は、推定された前記持分計数値を強調表示する請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊技媒体計数装置。
【請求項1】
投入された遊技媒体を計数する計数装置において、
遊技台で取得された遊技媒体数であって、当該装置に投入される遊技媒体の予定数を示す投入予定数を入力する投入予定数入力手段と、
計数された計数値に複数の遊技台で取得された遊技媒体が含まれている場合において、前記投入予定数に基づいて各遊技台で遊技を行った遊技者の持分計数値を推定する推定手段と、
推定された前記持分計数値を選択可能に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする遊技媒体計数装置。
【請求項2】
計数中における遊技媒体が検出される検出間隔が所定時間以上のときの途中計数値を記憶する記憶手段を備え、
前記推定手段は、記憶した前記途中計数値のうち前記投入予定数と近似した途中計数値を前記持分計数値として推定する請求項1記載の遊技媒体計数装置。
【請求項3】
前記投入予定数と近似した前記途中計数値がなく、前記計数値に、一又は複数の遊技台で取得された全ての遊技媒体と、他の遊技台で取得された遊技媒体の一部が含まれている場合において、
前記推定手段は、前記投入予定数と、前記投入予定数のうち当該装置に投入されずに未計数となる遊技媒体を除外する投入率との積算値を前記持分計数値として推定する請求項2記載の遊技媒体計数装置。
【請求項4】
前記投入予定数と近似した前記途中計数値がなく、前記計数値に、複数の遊技台で取得された全ての遊技媒体が含まれている場合において、
前記推定手段は、この計数値を各遊技台に対応する前記投入予定数の比率で配分した配分値を前記持分計数値として推定する請求項2記載の遊技媒体計数装置。
【請求項5】
前記配分値は、各遊技台に対応する前記投入予定数の和に対する、それぞれの投入予定数が占める割合と、前記計数値との積である請求項4記載の遊技媒体計数装置。
【請求項6】
前記表示手段は、推定された前記持分計数値を強調表示する請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊技媒体計数装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−24928(P2011−24928A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176103(P2009−176103)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】
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