説明

遊技機における制御基板防護シール

【課題】 本発明は、御基板の両面を粘着シールによって防護することによりピアノ線等の侵入を防止する遊技機における制御基板防護シールを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明の制御基板防護シールは、透明の塩ビ製の合成樹脂シート1の一面にアクリル系の粘着部材2が塗布され、この粘着部材2の表面にフィルム状の剥離部材3が貼着され、更に合成樹脂シート1に接続線挿入用切欠部4および電子部品露出用穴5が開設された構成とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機における制御基板防護シールに関する。詳しくはパチンコやスロットマシン等の遊技機において遊技機の作動を制御する制御基板等への不正侵入を防護する制御基板防護シールに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりパチンコ機やスロットマシンなどの遊技機では遊技機の作動を制御する制御基板が設けられている。この制御基板はパチンコ機やスロットマシンの開閉カバーの裏面に取り付けられていることが多い。これら制御基板は賞球もしくはメダルの払出制御、電動役物の開閉制御、リールの回転制御、図柄組み合わせの発生確率制御などパチンコ遊技機もしくはスロットマシンの作動を制御する基板である。
【0003】
したがって遊技者が開閉カバーと開閉カバーの収納枠体との隙間よりピアノ線等を侵入させて制御基板に露出するリード線や制御基板に搭載されるROMの接続端子同士をショートさせて遊技機の作動制御を遊技者に有利となるように不正する行為が頻繁に行われている。
【0004】
このような制御基板の不正行為に対して例えば図6に示す発明がある。この不正着脱防止機構並びにこの機構を備えた基板ケースおよび遊技機は、メイン基板ケースに繋がって本体係合部101と、メイン基板カバー102に繋がった装着係合部103と、両係合部101、103の間に配設される接続部材104とから不正着脱防止機構が構成される。両係合部101、103が間に接続部材104を配設した状態で重ねられると、接続部材104の一端側係合突起105が本体側係合凹部106内に突出して接続部材104が装着係合部103と係合され、接続部材104の他端側係合突起107が本体側係合凹部106内に突出して接続部材が装着係合部とも係合されて、本体部材に装着部材を装着した状態で保持する。本体係合部および装着係合部の少なくともいずれかにおける本体部材もしくは装着部材との連結部108が切断可能に構成されており、連結部108を切断して本体部材から装着部材を外すことができる(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−209238号公報(要約書、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように制御基板にカバーを装着する機構は、偽造ROMへの差し替え等の不正改造を防止する効果はあるが、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機内には幾つかの制御基板が設けられており、しかも遊技機内には他に機器が隙間のないような状態で収納されていることから全ての制御基板にカバーを装着することには非常に無理な状況となる。
【0007】
また、メンテナンスによる制御基板の取替えの都度、カバーを外し再度装着しなければならず、ホール側から見れば非常に煩雑な作業となる問題がある。
【0008】
更に、ピアノ線などの侵入による不正行為では、制御基板上に搭載されるROMへの侵入はカバーによって規制されるが、制御基板裏面には容易に侵入することができ、ピアノ線等の導電線によって故意に回路をショートさせて制御の誤作動を起こさせる問題がある。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、制御基板の両面を粘着シールによって防護することによりピアノ線等の侵入を防止する遊技機における制御基板防護シールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る遊技機における制御基板防護シールは、遊技機内に設置され、該遊技機の作動を制御する制御基板を防護するための制御基板防護シールにおいて、前記制御基板の少なくとも一面を被覆する面積を有する合成樹脂シートと、該合成樹脂シートの一面に塗布される粘着部材と、該粘着部材表面を覆膜する剥離部材を備える。
【0011】
ここで、制御基板の両側面に対して合成樹脂シートを粘着部材によって密着するように貼着することにより制御基板面に設けられるプリント回路やハーネスの接続部の金属部分が覆着されることでピアノ線の先端が合成樹脂シートと制御基板との間に侵入することができずプリント回路やハーネスの接続部分をショートさせて不正な誤作動を生じさせる行為を防止することができる。
【0012】
また、合成樹脂シートに接続線挿通用切欠部を開設することにより、制御基板を遊技機から取り外した状態で合成樹脂シートの貼着が行え、かつ電子部品露出用穴を開設することにより合成樹脂シートを制御基板に密着させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の遊技機における制御基板防護シールは、パチンコ機、あるいはスロットマシンに取り付けられる制御基板の大きさに応じて合成樹脂シートを切断し、制御基板の両面を覆うようにして容易に貼着することができる。
【0014】
また、合成樹脂シートと制御基板面とが粘着部材によって密着することによりピアノ線等の侵入を完全に防止することができ、かつ粘着部材によって合成樹脂シートの取り外しが容易に行えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した遊技機における制御基板防護シールの一例を示すための斜視図、図2は、図1における要部断面説明図である。
【0016】
ここで示す遊技機における制御基板防護シールは、透明の塩ビ製の合成樹脂シート1の一面にアクリル系の粘着部材2が塗布され、この粘着部材2の表面にフィルム状の剥離部材3が貼着される。
【0017】
また、合成樹脂シート1は制御基板(図示せず。)の両側面を充分に覆う面積を有しており、その合成樹脂シート1の略中央に沿って接続線挿入用切欠部4が切り込まれるものである。
【0018】
更に、合成樹脂シート1には制御基板に搭載されるROMなどの各種電子部材を挿通させて制御基板に合成樹脂シート1を密着させるための電子部品露出用穴5を開設するものである。
【0019】
なお合成樹脂シートは必ずしも塩ビ製シートにより形成される必要性は無く、ポリプレン素材などいかなる合成樹脂素材であっても構わないが、柔軟性を有し、かつピアノ線などによって容易に突き破ることがない合成樹脂素材として塩ビ製が最も望ましい。
【0020】
また、合成樹脂シートの面積は必ずしも制御基板の両側面を充分に覆う面積を有している必要性が無く、例えば制御基板の一面の面積を有しているものであっても構わないが、制御基板は通常両側面に電子部品の接続端子やプリント回路が露出している場合が多いために合成樹脂シートにより制御基板を包み込むようにして貼着させることがより一層の不正侵入防止効果を得ることができる。
【0021】
以上の構成よりなる本発明では図3に示すように、遊技機6内に設けられる制御基板7に合成樹脂シート1を貼る場合には、まず制御基板7に接続されるハーネス8を外す。そして合成樹脂シート1から剥離部材3を引き剥がし、制御基板7の裏面側の端に合成樹脂シート1の一端を合わせ貼り付ける。
【0022】
次に図4に示すように、制御基板7の裏面に合成樹脂シート1を貼着させた後に、合成樹脂シート1に開設される接続線挿入用切欠部4より外されたハーネス8を挿通して制御基板7の接続端子(図示せず。)に接続する。
【0023】
そして制御基板7の表面側に合成樹脂シート1を、制御基板7に搭載される電子部品9に対して合成樹脂シート1に開設される電子部品露出用穴5を挿通して貼着させるものである。
【0024】
また、図5に示すように、遊技機内に設けられる制御基板7に接続されるハーネスを取り外した後に、制御基板7を遊技機より取り外し、この制御基板7の一側面の端に合成樹脂シート1の一端を合わせた状態で一側面に貼着し、更に合成樹脂シート1を折り曲げた状態で制御基板7の他側面に貼着するものである。
【0025】
そして制御基板7を遊技機に取り付け、ハーネスを接続線挿入用切欠部4より挿通して制御基板7の接続端子に接続するものである。
【0026】
このようにして制御基板の両側面に対して合成樹脂シートを貼着することにより、制御基板面と合成樹脂シートとの間に隙間が生じることなく密着することでピアノ線の先端が入り込むことが無く、故意による回路のショートを防止することが可能となる。
【0027】
また、粘着部材によって制御基板より合成樹脂シートを剥ぎ取る場合に、制御基板に接着剤が付着することなく容易に取り外すことができ、合成樹脂シートの再使用が可能となる。
【0028】
更に合成樹脂シートを巻きロール式とし、制御基板に大きさに応じて切断し、ハーネスの個数や位置に応じて接続線挿入用切欠部および電子部品の個数に応じて電子部品露出用穴を開設することで遊技機の機種に応じた制御基板に防護シールを作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した遊技機における制御基板防護シールの一例を示すための斜視図である。
【図2】図1における要部拡大断面図である。
【図3】本発明を適用した遊技機における制御基板防護シールの一使用例を示す説明図である。
【図4】図3における制御基板防護シールの装着状態を示す説明図である。
【図5】本発明を適用した遊技機における制御基板防護シールの他の使用例を示す説明図である。
【図6】従来の制御基板の防護手段の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 合成樹脂シート
2 粘着部材
3 剥離部材
4 接続線挿入用切欠部
5 電子部品露出用穴
6 遊技機
7 制御基板
8 ハーネス
9 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機内に設置され、該遊技機の作動を制御する制御基板を防護するための制御基板防護シールにおいて、
前記制御基板の少なくとも一面を被覆する面積を有する合成樹脂シートと、
該合成樹脂シートの一面に塗布される粘着部材を備える
ことを特徴とする遊技機における制御基板防護シール。
【請求項2】
前記合成樹脂シートに接続線挿入用切欠部を開設した
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機における制御基板防護シール。
【請求項3】
前記合成樹脂シートに制御基板に搭載される電子部品露出用穴を開設した
ことを特徴とする請求項1または2記載の遊技機における制御基板防護シール。
【請求項4】
前記粘着部材表面に剥離部材を設ける
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の遊技機における制御基板防護シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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