説明

遊技機のメダル補給装置

【課題】大当たり信号が発信されずメダルが払い出される遊技機が設置された場合であっても、遊技機に対する不正行為を把握することができるとともにメダルの要求信号に応じて自動的にメダルを補給することができる遊技機のメダル補給装置を提供する。
【解決手段】メダル供給搬送手段1を介して遊技機Hに補給されるメダルの枚数を計数可能な計数手段(27、28)と、遊技機Hで所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値を入力可能な入力手段45と、理論値と遊技機Hに実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が理論値より多いか否かを判定する判定手段46とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置島に設置された複数の遊技機のそれぞれに対してメダルを供給及び回収可能な遊技機のメダル補給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置される設置島には、通常、スロットマシンやコインゲーム機などメダルを投入して遊技するものが並列に設置されたものがある。このようなメダルを使用する遊技機は、遊技の過程において、多数のメダルが供給されるとともに、多数のメダルが排出されるため、当該メダルをそれぞれの遊技機に対して自動的に供給及び回収させるべく、従来より、各設置島において、メダル補給装置が配設されている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる従来のメダル補給装置は、設置島の上部において長手方向に配設され、メダルを搬送しつつ各遊技機にメダルを供給するためのメダル供給搬送手段と、設置島の下部において長手方向に設置され、各遊技機から排出されたメダルを回収しつつ搬送するメダル回収搬送手段と、メダル回収搬送手段で搬送されたメダルを収容するとともに、その回収したメダルを揚送リフトにて揚送し、メダル供給手段にメダルを補給するメダル補給手段とを具備していた。そして、各遊技機にてメダルの要求信号が発信されると、その遊技機に対して所定量のメダルを自動的に補給するよう制御可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−349009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のメダル補給装置においては、以下の如き問題があった。
すなわち、各遊技機にてメダルの要求信号が発信されると、その遊技機に対して所定量のメダルを自動的に補給するよう構成されているため、第三者が不正を目的として遊技機内のホッパに収容されたメダルを抜き取った場合でも、従業員等が気付くことなくメダルが自動的に補給され続けてしまう虞がある。
【0006】
かかる不具合を防止すべく、防犯上、遊技機からの大当たり(或いは小当たり)信号を受信している場合に限りメダルの補給を許可するものとし、当該信号がないにも関わらずメダルの要求信号を受信した場合は、エラー表示等を行わせるよう構成されたものが提案されるに至っている。しかし、所謂(ART)と称される大当たり信号が発信されない状態でメダルが払い出される遊技機もあることから、このような遊技機が設置されている場合、エラー表示が頻繁になされてしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、大当たり信号が発信されずメダルが払い出される遊技機が設置された場合であっても、遊技機に対する不正行為を把握することができるとともにメダルの要求信号に応じて自動的にメダルを補給することができる遊技機のメダル補給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、複数の遊技機が設置される設置島に延設され、それぞれの遊技機に対してメダルを搬送して供給するメダル供給搬送手段と、前記設置島に延設され、それぞれの遊技機から排出されたメダルを回収して搬送するメダル回収搬送手段と、前記メダル回収搬送手段で回収されたメダルを収容するとともに、前記メダル供給搬送手段にメダルを補給するメダル補給手段とを具備し、前記メダル補給手段を介して任意の遊技機に対してメダルを補給可能な遊技機のメダル補給装置であって、前記メダル供給搬送手段を介して前記遊技機に補給されるメダルの枚数を計数可能な計数手段と、前記遊技機で所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値を入力可能な入力手段と、前記理論値と前記遊技機に実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が前記理論値より多いか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の遊技機のメダル補給装置において、前記理論値は、最速の時間で消化し得るメダルの枚数であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の遊技機のメダル補給装置において、前記判定手段により前記遊技機に対する実際の補給枚数の方が前記理論値より多いと判定された場合、不正が行われていると判断し、警報のための出力を行わせることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の遊技機のメダル補給装置において、前記入力手段は、前記設置島に設置された貸出機で所定時間あたり貸し出されるメダル枚数の理論値を入力可能とされるとともに、前記判定手段は、当該貸出の理論値と前記貸出機に実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が前記貸出の理論値より少ないか否かを判定可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の遊技機のメダル補給装置において、前記判定手段により前記貸出機に対する実際の補給枚数の方が前記貸出の理論値より少ないと判定された場合、不正が行われていると判断し、警報のための出力を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、メダル供給搬送手段を介して遊技機に補給されるメダルの枚数を計数可能な計数手段と、遊技機で所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値を入力可能な入力手段と、理論値と遊技機に実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が理論値より多いか否かを判定する判定手段とを備えたので、大当たり信号が発信されずメダルが払い出される遊技機が設置された場合であっても、遊技機に対する不正行為を把握することができるとともにメダルの要求信号に応じて自動的にメダルを補給することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、理論値は、最速の時間で消化し得るメダルの枚数であるので、遊技機に対する不正行為の把握をより確実に行わせることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、判定手段により遊技機に対する実際の補給枚数の方が理論値より多いと判定された場合、不正が行われていると判断し、警報のための出力を行わせるので、遊技機に対する不正行為を円滑且つ確実に知らせることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、入力手段は、設置島に設置された貸出機で所定時間あたり貸し出されるメダル枚数の理論値を入力可能とされるとともに、判定手段は、当該貸出の理論値と前記貸出機に実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が貸出の理論値より少ないか否かを判定可能とされたので、遊技機に対する不正行為の把握に加え、貸出機に対する不正行為の把握も行わせることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、判定手段により貸出機に対する実際の補給枚数の方が貸出の理論値より少ないと判定された場合、不正が行われていると判断し、警報のための出力を行わせるので、遊技機に対する不正行為に加え貸出機に対する不正行為を円滑且つ確実に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技機のメダル補給装置を示す平面模式図
【図2】同遊技機のメダル補給装置を示す側面模式図
【図3】同遊技機のメダル補給装置におけるメダル補給手段の内部構成を示す正面模式図
【図4】同メダル補給手段の内部構成を示す側面模式図
【図5】同メダル補給手段における振分け手段を示す拡大図
【図6】同遊技機のメダル補給装置におけるメダル供給搬送手段を示す側面模式図
【図7】同メダル供給搬送手段を示す平面模式図
【図8】同メダル供給搬送手段を示す平面拡大図
【図9】同メダル供給搬送手段を示す側面拡大図
【図10】同メダル供給搬送手段を示す断面図
【図11】同遊技機のメダル補給装置における計数手段、入力手段及び判定手段の接続関係を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る遊技機のメダル補給装置は、設置島に設置された複数の遊技機のそれぞれに対してメダルを供給及び回収可能なもので、図1〜10に示すように、設置島Kの内部に配設されたメダル供給搬送手段1及びメダル回収搬送手段2と、当該設置島Kの一端部に設置されたメダル補給手段3と、当該設置島Kの他端部に設置されたメダル計数機4とから主に構成されている。
【0020】
設置島Kは、複数の遊技機H(スロットマシンやコインゲーム機などメダルを投入して遊技するもの)及びメダルを貸出可能な貸出機J(プリペイドカードや貨幣又は紙幣を投入して所定量のメダルを貸出可能とされたもの)が並んで設置されたもので、その内側上部における長手方向には、メダル供給搬送手段1が延設されるとともに、内側下部における長手方向には、メダル回収搬送手段2が配設されている。
【0021】
なお、遊技場においては、通常、設置島Kが複数(遊技場によって適宜の数)設置されており、各設置島には、上方に向かって分配タワー(不図示)がそれぞれ形成され、それぞれの分配タワー内にはリフタ(不図示)が配設されるとともに、当該分配タワー間には搬送コンベア等から成る渡り手段(不図示)が配設されている。これにより、一の設置島から隣接する他の設置島にメダル(小径メダル又は大径メダル)を供給することができ、他の設置島におけるメダルの不足を回避することができる。
【0022】
本実施形態に係る各設置島Kには、互いに異なる外径の大径メダル(直径が30mmのメダル)及び小径メダル(直径が25mmのメダル)が使用される遊技機Hがそれぞれ設置されている。然るに、大径メダルが使用される遊技機Hからメダルの要求信号が発信されると、メダル補給手段3がその要求信号に基づいて、大径メダルを使用する遊技機Hか小径メダルを使用する遊技機Hかを識別して大径メダルをメダル供給搬送手段1に補給する一方、小径メダルが使用される遊技機Hからメダルの要求信号が発信されると、メダル補給手段3がその要求信号に基づいて、大径メダルを使用する遊技機Hか小径メダルを使用する遊技機Hかを識別して小径メダルをメダル供給搬送手段1に補給するよう構成されている。
【0023】
メダル回収搬送手段2は、設置島Kに設置された遊技機Hから排出されたメダル(小径メダル及び大径メダル)を回収し、メダル補給手段3まで搬送するためのもので、図2に示すように、一端(図中左端)をメダル補給手段3の筐体3a内に臨ませた回収用搬送コンベア2aを有している。かかる回収用搬送コンベア2aは、モータM1にて駆動可能な駆動ローラW1及び従動ローラW2に懸架された搬送ベルトを有して成り、各遊技機Hから排出されて落下したメダルを受けて、メダル補給手段3内まで搬送し得るよう構成されている。
【0024】
メダル計数機4は、設置島Kに隣接して設けられたもので、内部に遊技者が獲得したメダル(小径メダル及び大径メダル)を投入すると、自動的に計数して出力可能とされたものである。かかるメダル計数機4内には、投入されたメダルを収容するための収容空間Uが形成されているとともに、当該収容空間U内のメダルをメダル計数機4外部に搬送するためのコンベアから成る搬送手段25が配設されている。そして、搬送手段25が駆動すると、収容空間U内のメダル(小径メダル及び大径メダル)が設置島Kのシュート26を介してメダル回収搬送手段2に至るよう構成されている。
【0025】
メダル補給手段3は、メダル回収搬送手段2で回収されたメダル(小径メダル及び大径メダル)を収容するとともに、メダル供給搬送手段1にメダル(小径メダル又は大径メダル)を補給するためのもので、図3〜5に示すように、主に、メダル選別手段5と、振分け手段6と、第1貯留タンク7と、第2貯留タンク8と、搬送コンベア21と、洗浄手段9と、リフタ15とが筐体3a内に配設されたものである。
【0026】
メダル選別手段5は、メダル回収搬送手段2で回収されたメダルを小径メダルと大径メダルとに選別するためのものであり、本実施形態においては、メダル選別手段5aと5bの2つを有している。これらメダル選別手段5a、5bは、構成及び機能が同一のものから成り、メダル補給手段3の筐体3aの上部にそれぞれ設置されている。このメダル選別手段5は、メダルを一時的に収容する収容部aと該収容部a内に配設されてモータM2にて作動可能な送出し手段(図示せず)とを有しており、当該モータM2を駆動させて送出し手段を作動させることにより、収容部aから1枚ずつメダル(小径メダル及び大径メダル)を送り出し可能とされている。
【0027】
送り出されたメダルは、収容部aと連通したメダル通路16を通過するよう構成されているとともに、図5に示すように、当該メダル通路16の一部には、小径メダルのみを落下させ得る径の切欠き16aが形成されている。而して、メダル選別手段5の収容部aから送り出されたメダルがメダル通路16を通過する過程で、大径メダルは、大径メダル通路29に至るとともに、小径メダルは、切欠き16aから落下して小径メダル通路30に至るようになっている。
【0028】
更に、図4に示すように、メダル通路16における切欠き16aより上流側には、小径メダル及び大径メダルを検知する検知手段27が配設されるとともに、小径メダル通路30にも小径メダルを検知する同様の検知手段28が配設されている。これら検知手段(27、28)は、メダル供給搬送手段1を介して遊技機Hに補給されるメダルの枚数を計数可能な「計数手段」(図11参照)を構成している。そして、これら一対の検知手段(27、28)がそれぞれ通過するメダルを検知してカウントすることにより、メダル通路16を通過する小径メダル及び大径メダルの個数(N1)と、小径メダル通路30を通過する小径メダルの個数(N2)を把握することができる。これにより、N1からN2を減算した値が選別された大径メダルの個数であり、N2が選別された小径メダルの個数であるので、これら個数が補給制御手段24にて認識されるようになっている。
【0029】
振分け手段6は、図5に示すように、大径メダル通路29の所定部位を開閉可能な開閉手段29aと、小径メダル通路30の所定部位を開閉可能な開閉手段30aと、揺動によってメダルの落下経路を選択可能な振分け部材34とから主に構成されている。尚、図中符号31は、開閉手段30aの開閉動作を行わせるソレノイド、符号33は、振分け部材34の揺動動作を行わせるソレノイドを示している。また、開閉手段29aは、図示しないソレノイド(ソレノイド31と同様のソレノイド)によって開閉動作が行われるよう構成されている。
【0030】
然るに、開閉手段29a、30aが閉じた状態では、メダル選別手段5で選別された小径メダル及び大径メダルがそれぞれ小径メダル通路30及び大径メダル通路29を介してシュート17に至り、メダル供給搬送手段1の小径メダル搬送部36a、大径メダル搬送部36bにそれぞれ補給される。また、開閉手段29a又は30aが開いた状態では、メダル選別手段5で選別された小径メダル及び大径メダルがそれぞれ振分け部材34に至ることとなる。尚、図中符号32は、開閉手段30aが開いた状態のとき、小径メダルを振分け部材34まで案内するシュートを示している。
【0031】
振分け部材34は、ソレノイド33を駆動させることにより、図中破線で示した状態と二点鎖線で示した状態とで揺動可能とされており、破線で示した状態では、大径メダルを大径メダル用ジョッキ18aに落下させて収容させ、小径メダルを小径メダル用ジョッキ18bに落下させて収容させるとともに、二点鎖線で示した状態では、大径メダルを第1貯留タンク7に落下させて収容させ、小径メダルを第2貯留タンク8に落下させて収容させるものである。尚、図中符号35は、振分け部材34で振り分けられた大径メダルを第1貯留タンク7まで案内する通路を示しており、これと同様の通路(図示せず)(小径メダルを第2貯留タンク8まで案内する通路)も第2貯留タンク8側に配設されている。
【0032】
即ち、振分け手段6の動作によって、メダル選別手段5で選別された小径メダル及び大径メダルを、メダル供給搬送手段1の小径メダル搬送部36a及び大径メダル搬送部36bにそれぞれ補給する経路と、小径メダル用ジョッキ18b及び大径メダル用ジョッキ18aにそれぞれ収容させる経路と、第1貯留タンク7及び第2貯留タンク8にそれぞれ収容させる経路とに切換可能とされているのである。尚、小径メダル用ジョッキ18b及び大径メダル用ジョッキ18aは、それぞれメダル補給手段3から取り外し可能とされており、手作業にて任意の遊技機Hにメダルを補給することが可能とされている。
【0033】
第1貯留タンク7は、メダル選別手段5で選別された小径メダル又は大径メダルの一方を専ら貯留するためのもので、本実施形態においては、大径メダルを専ら貯留可能とされている。かかる第1貯留タンク7は、大径メダルを所定量貯留可能とされており、当該第1貯留タンク7内のメダル(大径メダル)が所定量に達したことを検知する第1検知手段7aが配設されている。この第1検知手段7aは、接触式センサ又は非接触式センサ等を用いることができる。
【0034】
また、第1貯留タンク7は、その底面にメダルを自重にて落下させて吐出可能な吐出口7bが形成されるとともに、当該吐出口7bは、撹拌手段20の下端部にて塞がれている。この撹拌手段20は、螺旋状部材から成り、モータ19にて回転駆動可能とされてたもので、回転駆動によって第1貯留タンク7内のメダルを撹拌させつつ吐出口7bまで導き、当該吐出口7bから吐出可能とされている。
【0035】
第2貯留タンク8は、メダル選別手段5で選別された小径メダル又は大径メダルの他方を貯留(本実施形態においては小径メダルを貯留)するとともに、当該小径メダル及び大径メダルを混合させて貯留可能なものである。即ち、第1貯留タンク7が大径メダルを専ら貯留するのに対し、第2貯留タンク8は、通常状態においては、小径メダルを収容するとともに、所定条件下で、小径メダルと大径メダルとを混合させて貯留可能とされているのである。
【0036】
また、第2貯留タンク8には、当該第2貯留タンク8内のメダル(小径メダル)が所定量に達したことを検知する第2検知手段8aが配設されている。この第2検知手段8aは、第1検知手段7aと同様、接触式センサ又は非接触式センサ等を用いることができる。更に、第2貯留タンク8は、その底面にメダルを自重にて落下させて吐出可能な吐出口8bが形成されるとともに、当該吐出口8bは、撹拌手段20の下端部にて塞がれている。この撹拌手段20は、第1貯留タンク7内に配設されたものと同様、螺旋状部材から成り、モータ19にて回転駆動可能とされたもので、回転駆動によって第2貯留タンク8内のメダルを撹拌させつつ吐出口8bまで導き、当該吐出口8bから吐出可能とされている。
【0037】
然るに、第2貯留タンク8は、第1貯留タンク7よりメダルの貯留量が多く設定(即ち、第1貯留タンク7より大きな容量)されており、第2貯留タンク8にて小径メダル及び大径メダルを混合させて貯留させる際、より多くのメダルを貯留させることができるようになっている。尚、本実施形態においては、第1貯留タンク7に大径メダルを専ら貯留させるとともに、第2貯留タンク8に小径メダルを貯留させるものとされているが、これに代え、第1貯留タンク7に小径メダルを専ら貯留させるとともに、第2貯留タンク8に大径メダルを貯留させるものとしてもよい。
【0038】
ここで、本実施形態においては、メダル選別手段で選別された小径メダル又は大径メダルの一方(本実施形態においては大径メダル)を所定量貯留可能な第1貯留タンク7と、第1貯留タンク7と相違するメダルの貯留量とされるとともに、メダル選別手段5で選別された小径メダル又は大径メダルの他方(本実施形態においては小径メダル)を所定量貯留する第2貯留タンク8とを有しており、特に本実施形態においては、第2貯留タンク8は、第1貯留タンク7よりメダルの貯留量が多く設定(即ち、第1貯留タンク7より大きな容量)されている。
【0039】
而して、設置島Kに設置された遊技機において、小径メダルを使用する遊技機Hの数と大径メダルを使用する遊技機Hの数とに応じて、第1貯留タンク7若しくは第2貯留タンク8の何れに小径メダル又は大径メダルを貯留させるのか任意設定することができる。従って、設置島Kに小径メダルを使用する遊技機Hと大径メダルを使用する遊技機Hとを併設可能とするとともに、当該設置島に設置された遊技機Hに対応させつつ小径メダル及び大径メダルを効率的且つスムーズに貯留させることができる。
【0040】
即ち、設置島Kに設置される遊技機Hに応じて第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8に貯留させるメダルの種類が設定可能とされたので、設置島Kに設置された遊技機Hにより確実に対応させつつ小径メダル及び大径メダルを更に効率的且つスムーズに貯留させることができるのである。尚、本実施形態においては、第2貯留タンク8は、第1貯留タンク7よりメダルの貯留量が多く設定(即ち、第1貯留タンク7より大きな容量)されているが、これに代えて、第2貯留タンクは、第1貯留タンクよりメダルの貯留量が少なく設定(即ち、第1貯留タンク7より小さな容量)されたものとしてもよい。
【0041】
搬送コンベア21は、第1貯留タンク7の吐出口7b下方と第2貯留タンク8の吐出口8b下方とに亘って配設された搬送ベルト21aを有したもので、搬送方向を異ならせることが可能とされたものである。而して、搬送コンベア21の搬送方向を図3中左から右へ設定した場合、第1貯留タンク7の吐出口7b又は第2貯留タンク8の吐出口8bから吐出されたメダルが同図中右側へ搬送され、リフタ15の受け部23に至る一方、搬送コンベア21の搬送方向を同図中右から左へ設定した場合、第1貯留タンク7の吐出口7b又は第2貯留タンク8の吐出口8bから吐出されたメダルが同図中左側へ搬送され、受け通路22を介して受け部10に至るよう構成されている。
【0042】
洗浄手段9は、メダル回収搬送手段2で回収されたメダルを洗浄するためのもので、整列コンベア11と、洗浄コンベア12、13とを有している。整列コンベア11は、受け部10で受けたメダル(小径メダル及び大径メダル)を整列させつつ搬送するものである。この整列コンベア11の終端側に洗浄コンベア12が配設されており、更に当該洗浄コンベア12の終端側に洗浄コンベア13が続いて配設されている。これら洗浄コンベア12、13は、所望の洗浄液で浸された部材をメダル表面及び裏面に押圧させることにより当該メダル表面と裏面とを払拭可能とされたものである。尚、洗浄コンベア13の終端側には、リフタ15の受け部14が形成されており、洗浄コンベア12、13にて洗浄されたメダルが受け部14を介してリフタ15に至るようになっている。
【0043】
リフタ15は、メダル補給手段3の筐体3a内において上下に延設された搬送手段から成り、受け部23又は受け部14で受けたメダル(小径メダル及び大径メダル)を上方に搬送し、シュート15aを介してメダル選別手段5に至らせるためのものである。而して、搬送コンベア21にて受け部23に搬送されたメダル及び洗浄手段9にて洗浄されたメダルは、リフタ15によってメダル選別手段5まで搬送され、小径メダルと大径メダルとに選別されることとなる。
【0044】
補給制御手段24は、例えばマイコン等を具備した制御盤から成るもので、各遊技機Hからメダルの要求信号を受けるとともに、当該要求信号に応じた動作を行わせ得るものである。例えば、補給制御手段24が遊技機H側から大径メダルの要求信号を受信すると、第1貯留タンク7内の撹拌手段20を動作させるとともに、搬送コンベア21を左向きの搬送方向にて駆動させる。このとき、振分け手段6の開閉手段29a、30aは閉じた状態とされる。これにより、第1貯留タンク7内の大径メダルは、洗浄手段9にて洗浄された後、リフタ15にて搬送されるとともに、メダル選別手段5にて選別された後、メダル供給搬送手段1に補給される。
【0045】
また、補給制御手段24が遊技機H側から小径メダルの要求信号を受信すると、第2貯留タンク8内の撹拌手段20を動作させるとともに、搬送コンベア21を左向きの搬送方向にて駆動させる。このとき、振分け手段6の開閉手段29a、30aは閉じた状態とされる。これにより、第2貯留タンク87内の小径メダルは、洗浄手段9にて洗浄された後、リフタ15にて搬送されるとともに、メダル選別手段5にて選別された後、メダル供給搬送手段1に補給される。
【0046】
尚、遊技機H側に急いでメダルを補給させる場合、搬送コンベア21を右向きの搬送方向にて駆動させる。この場合、第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8内のメダルは、洗浄手段9を介さずリフタ15に至り、当該リフタ15にて搬送されるとともに、メダル選別手段5にて選別された後、メダル供給搬送手段1に補給されることとなる。而して、本実施形態によれば、第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8で貯留された小径メダル又は大径メダルを任意選択的にメダル供給搬送手段1に補給可能とされている。
【0047】
更に、本実施形態に係るメダル補給手段3は、第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8を介さずメダル選別手段5で選別された小径メダル又は大径メダルをメダル供給搬送手段1に補給可能とされている。即ち、補給制御手段24が遊技機H側からメダル(小径メダル又は大径メダル)の要求信号を受信したとき、メダル回収搬送手段2にて回収された後、洗浄手段9にて洗浄されたメダルをメダル選別手段5にて選別させ、そのメダルを直接(第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8で貯留させることなく)メダル供給搬送手段1に補給することができるのである。これにより、メダル回収搬送手段2で回収された小径メダル又は大径メダルを素早くメダル供給搬送手段1に補給することができる。
【0048】
更に本実施形態においては、第1検知手段7a又は第2検知手段8aの何れか一方によりメダルが所定量に達したことを検知したことを条件として、その検知がなされた第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8内のメダルをメダル供給搬送手段1に補給させるとともに、その補給したメダルをメダル回収搬送手段2にて回収させることにより当該メダルを循環させるよう構成されている。これにより、第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8の何れか一方に偏ってメダルが貯留されてしまうのを抑制することができ、より効率的に小径メダル及び大径メダルを貯留させることができる。
【0049】
また更に、上記の如きメダルの循環時、設置島Kに並設されたメダル計数機4内の搬送手段25(図2参照)を駆動させて当該メダル計数機4で計数されたメダルをメダル回収搬送手段2に至らせて、当該メダル計数機4内のメダルも併せて循環させるようにするのが好ましい。この場合、よりスムーズ且つ確実に第1貯留タンク7又は第2貯留タンク8の一方に偏ってメダルが貯留されてしまうのを抑制することができる。
【0050】
メダル供給搬送手段1は、メダル補給手段3から補給されたメダル(小径メダル及び大径メダル)をそれぞれの遊技機Hに対して搬送して供給するための搬送コンベアから成るもので、図6〜10に示すように、左右一対に配設された小径メダル搬送部36a及び大径メダル搬送部36bと、これら小径メダル搬送部36a及び大径メダル搬送部36bにおける長手方向に亘って所定位置に配設された供給手段A及びシュート38とから主に構成されている。なお、図中符号39は、メダル供給搬送手段1の終端に配設された回収用シュートを示しており、当該回収用シュート39まで至ったメダルをメダル回収搬送手段2まで落下させ得るようになっている。
【0051】
小径メダル搬送部36a及び大径メダル搬送部36bは、その基端(図6、7中左端)がメダル補給手段3の筐体3a内に臨ませて配設されており、当該基端側の従動プーリR2、先端(図6、7中右端)側の駆動プーリR1に懸架された左右一対の搬送ベルトから成るものである。尚、本実施形態に係る小径メダル搬送部36a及び大径メダル搬送部36bは、テンションプーリR3にて所定のテンションが付与されるとともに、駆動プーリR1は、モータM3の出力軸Maに連結されている。
【0052】
一方、小径メダルを排出させるシュート17の下方には、小径メダル搬送部36aの基端部が位置するとともに、大径メダルを排出させるシュート17の下方には、大径メダル搬送部36bの基端部が位置している。而して、モータM3を駆動させることにより、小径メダル搬送部36a及び大径メダル搬送部36bを動作させ、シュート17から排出された小径メダルを小径メダル搬送部36aにて搬送させるとともに、シュート17から排出された大径メダルを大径メダル搬送部36bにて搬送させるよう構成されている。
【0053】
また、メダル供給搬送手段1は、図10に示すように、小径メダル搬送部36a及び大径メダル搬送部36bを配設するとともに、後述する供給手段A、シュート38及び閉塞部材44を取り付けるための本体1aを具備しており、かかる本体1aが設置島Kの長手方向に延設されている。この本体1aにおける遊技機Hの設置箇所に対応する部位には、開口1aaがそれぞれ形成されており、当該開口1aaの縁部(具体的には、左縁部、右縁部及び下縁部)には、シュート38或いは閉塞部材44を係止可能な係止部Mが一体形成されている。
【0054】
更に、図10に示すように、本体1aにおける小径メダル搬送部36aと大径メダル搬送部36bとの間には、隔壁1ab(隔成手段)が形成されており、当該隔壁1abによって、小径メダル搬送部36aと大径メダル搬送部36bとが隔成されている。この隔壁1abは、メダル供給搬送手段1の延設方向に延びて形成された壁部から成る。かかる隔壁1abにより、小径メダル搬送部36aと大径メダル搬送部36bとを隔成(分離)し、小径メダル及び大径メダルを同時に搬送させる際、これら小径メダルと大径メダルとが搬送過程で混ざってしまうのを回避することができる。
【0055】
シュート38は、本体1aにおける任意位置の係止部Mに係止可能とされたもので、当該係止部Mに係止された状態で、所定部位に開口1aaと通じる開口が形成されており、小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bからのメダル(小径メダル又は大径メダル)を内部に至らせることが可能とされている。然るに、シュート38を小径メダル搬送部36a側の係止部M、又は大径メダル搬送部36b側の係止部Mに対して選択的に係止させることができ、任意位置での脱着が自在とされている。また、シュート38は、その下端の吐出口にフレキシブルチューブから成る補給管Tが連結されており、この補給管Tを介して各遊技機Hと連結されている。而して、シュート38内に至ったメダル(小径メダル又は大径メダル)は、補給管Tを介して遊技機Hに供給されるよう構成されている。
【0056】
供給手段Aは、小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bで搬送されるメダル(小径メダル又は大径メダル)を所望の位置に係止されたシュート38に対して選択的に供給可能なもので、本体1aにおける小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bの上方の部位に脱着自在とされている。かかる供給手段Aは、ソレノイド40と、ソレノイド40により揺動可能な揺動部材43と、該揺動部材43に取り付けられたスクレーパ37とを有している。
【0057】
より具体的に説明すると、ソレノイド40の作動軸40aには、アーム部42を介して揺動部材43が連結されているとともに、当該揺動部材43は、軸L1を中心として揺動可能とされている。そして、通常状態(ソレノイド40への通電がなされない状態)においては、揺動部材43はコイルスプリング41の付勢力により、図9中2点鎖線で示した状態とされており、スクレーパ37が小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bから離間した状態となっている。かかる状態では、小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bで搬送されるメダルは、スクレーパ37の下方を通過することとなる。
【0058】
然るに、ソレノイド40への通電がなされると、作動軸40aがコイルスプリング41の付勢力に抗してアーム部42を引っ張り、軸L1を中心として揺動部材43を揺動させることによりスクレーパ37を小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bに近接させる。かかる状態では、小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bで搬送されるメダルは、スクレーパ37と干渉してその部位における開口1aa側に搬送の向きが変わることとなり、その開口1aaの係止部Mに取り付けられたシュート38内に至ることとなる。
【0059】
本実施形態に係る供給手段A及びシュート38は、小径メダル搬送部36a側、又は大径メダル搬送部36b側に任意選択的に取り付けられることにより、遊技機Hに対応した任意位置に取り付け可能とされている。即ち、小径メダルを使用する遊技機Hに対しては、供給手段A及びシュート38を小径メダル搬送部36a側に取り付けるとともに、大径メダルを使用する遊技機Hに対しては、供給手段A及びシュート38を大径メダル搬送部36b側に取り付けることにより、適宜のメダルを供給可能とされているのである。
【0060】
更に、本実施形態に係る供給手段Aは、スクレーパ37の向きを任意変更可能とされている。具体的には、スクレーパ37は、図8に示すように、揺動部材43に形成された軸L2を中心として回動自在とされるとともに、ネジnにて当該揺動部材43に対して固定可能とされている。尚、図中の符号43aは、スクレーパ37の回動時、ネジnの干渉を回避するべく弧状に形成された切欠きを示している。
【0061】
而して、小径メダル搬送部36a側に取り付けられた供給手段Aを大径メダル搬送部36b側に取り付ける場合、或いは大径メダル搬送部36b側に取り付けられた供給手段Aを小径メダル搬送部36a側に取り付ける場合、ネジnを緩めてスクレーパ37を回動させてその向きを変更した後、ネジnを再び締めて当該スクレーパ37を固定させる。これにより、供給手段Aを小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bの何れにも容易に取り付け可能とされている。また、本実施形態においては、切欠き43aの途中でネジnを締め付けることができることから、スクレーパ37の角度を任意に調整することができ、メダルの種類に応じたスクレーパ37の角度とすることができる。
【0062】
一方、供給手段A及びシュート38が取り付けられた側と反対側の小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bの開口1aaには、閉塞部材44が取り付けられる。かかる閉塞部材44は、側壁部44aと、蓋部44bとが一体的に形成された部材から成り、側壁部44aの縁部(具体的には、左縁部、右縁部及び下縁部)を係止部Mに係止させることにより、小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bに取り付け可能とされている。
【0063】
この閉塞部材44を取り付けた状態においては、側壁部44aが開口1aaを塞ぐとともに、蓋部44bが小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bの上部を覆うようになっている。これにより、小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bにて搬送される過程において、小径メダル又は大径メダルが、供給手段A及びシュート38が取り付けられた側と反対側の開口1aaから意図せず溢れ落ちてしまうのを防止することができる。
【0064】
本実施形態によれば、図10に示すように、シュート38、供給手段A及び閉塞部材44がメダル供給搬送手段1の任意位置に脱着自在とされているため、遊技機Hに応じたメダルを適宜供給させることができる。また、小径メダル搬送部36aと大径メダル搬送部36bとが左右に並設されているため、複数の遊技機Hに対して、小径メダルの供給と大径メダルの供給とを同時に行わせることができ、メダルの供給を適宜且つスムーズに行わせることができる。特に本実施形態においては、シュート38が供給手段Aとは別部材とされているため、シュート38のみの取り付け位置の変更が容易とされる。
【0065】
上記構成により、本実施形態においては、メダル供給搬送手段1は、メダル補給手段3で補給された小径メダルを搬送する小径メダル搬送部36aと、メダル補給手段3で補給された大径メダルを搬送する大径メダル搬送部36bとを具備することにより、小径メダル及び大径メダルを並行して同時に搬送可能とされ、小径メダルを使用する遊技機と大径メダルを使用する遊技機との両方からメダルの要求信号が発せられた際、その両方の遊技機に対してメダル選別手段5で選別された小径メダル及び大径メダルを同時に搬送させて供給可能とされている。
【0066】
一方、各遊技機Hの内部には、所定量のメダルを収容可能なホッパ(不図示)がそれぞれ配設されており、メダル供給搬送手段1にて搬送された小径メダル又は大径メダル、或いは遊技者が投入した小径メダル又は大径メダルが当該ホッパに収容され、大当たり時や小当たり時において遊技者側に払い出し可能とされている。かかるホッパには、収容されたメダルが所定量より少ないことを検知する検知手段(不図示)が配設されており、当該検知手段による検知に基づき、補給制御手段24に対してメダルの要求信号を発信し得るようになっている。
【0067】
また、各遊技機Hの隣接した位置には、プリペイドカードや貨幣又は紙幣を投入して所定量のメダルを貸出可能とされた貸出機Jが配設されている。かかる貸出機Jの内部には、遊技機Hと同様、所定量のメダルを収容可能なホッパ(不図示)がそれぞれ配設されており、メダル供給搬送手段1にて搬送された小径メダル又は大径メダルが当該ホッパに収容され、貸出時に投入金額に応じたメダルを排出可能とされている。かかるホッパには、収容されたメダルが所定量より少ないことを検知する検知手段(不図示)が配設されており、当該検知手段による検知に基づき、補給制御手段24に対してメダルの要求信号を発信し得るようになっている。
【0068】
ここで、本実施形態に係るメダル補給手段3には、図11に示すように、補給制御手段24の他、計数手段(27、28)、入力手段45及び判定手段46が形成されており、これらが互いに電気的に接続されるとともに、当該判定手段46には、報知手段47が電気的に接続されている。このうち、計数手段(27、28)は、既述の如く、検知手段(27、28)で構成されており、メダル供給搬送手段1を介して遊技機Hに補給されるメダルの枚数を計数(カウント)可能なものである。すなわち、遊技機Hからメダルの要求信号が発信されると、メダル補給手段3における検知手段(27、28)によりメダル(小径メダル又は大径メダル)が計数されつつ小径メダル搬送部36a又は大径メダル搬送部36bにて搬送され、当該遊技機H内のホッパに供給されるよう構成されているのである。
【0069】
入力手段45は、遊技機Hで所定時間あたり消化されるメダル枚数(本実施形態においては、各遊技機Hのホッパから払い出されるメダル枚数)の理論値を入力可能なものであり、本実施形態に係る理論値は、最速の時間で遊技機Hが消化し得るメダルの枚数とされている。例えば、現状のパチスロと称される遊技機Hにおいては、1ゲームの消化時間が最速で4.1秒、ARTによる1ゲームあたりの増加枚数が多くて2枚とされていることから、ARTが30分継続した場合のメダルの増加枚数は、約880枚とされる。この「880枚」が遊技機Hで所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値とされるのである。
【0070】
なお、ART(アシスト・リプレイ・タイプ)とは、所定ゲーム数(例えば50ゲーム)の間、子役が揃い易くなる状態を指し、リプレイの確率が上昇(例えば1/7が1/1.1に上昇)するとともに、例えば子役(ベル)の押し順が案内(ナビ)され、押し順通りである場合は10枚払い出され、押し順を間違えた場合は5枚払い出されるものとされる。したがって、通常時は押し順の案内が行われないが、ART中は押し順が案内されることから常に10枚のメダルの払出が可能とされており、リプレイの揃い易さと併せて獲得できるメダルの枚数が増加するのである。
【0071】
判定手段46は、理論値と遊技機Hに実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が当該理論値より多いか否かを判定するものである。例えば、上記の如く、遊技機Hで所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値として「30分で880枚のメダルが消化される」ものとした場合、各遊技機Hに対して1回目の補給した時点から起算して30分で880枚の払出がない場合は次のメダルの要求信号による補給を許可するとともに、30分以内に補給枚数が880枚を超えた場合は不正が行われると判断し得るよう構成されている。
【0072】
このように、判定手段46により遊技機Hに対する実際の補給枚数の方が理論値より多いと判定された場合、不正が行われていると判断し、報知手段47に対して警報のための出力を行わせるよう構成されている。かかる報知手段47は、不正を報知し得るものであれば足り、遊技機H若しくはその近傍に配設された表示装置やホールの中央監視装置における表示手段で表示し得るもの、さらには警告音や音声を出力し得るスピーカ等であってもよい。また、判定手段46により遊技機Hに対する実際の補給枚数の方が理論値より多いと判定された場合、遊技機Hに対する不正が行われていると判断し、補給制御手段24に信号を送信してその遊技機Hに対する補給動作を停止させるのが好ましい。
【0073】
さらに、本実施形態に係る入力手段45は、上記構成に加え、設置島Kに設置された貸出機Jで所定時間あたり貸し出されるメダル枚数の理論値を入力可能とされるとともに、判定手段46は、当該貸出の理論値と貸出機Jに実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が貸出の理論値より少ないか否かを判定可能とされている。例えば、貸出機Jによる貸出時、メダル50枚を排出させるのに最速で1分かかるものの場合、10分あたり500枚を理論値とすることができる。
【0074】
この場合、遊技機Hの場合と同様、判定手段46により貸出機Jに対する実際の補給枚数の方が貸出の理論値より少ないと判定された場合、不正が行われていると判断し、報知手段47に対して警報のための出力を行わせるよう構成されている。また、判定手段46により貸出機Jに対する実際の補給枚数の方が貸出の理論値より少ないと判定された場合、貸出機Jに対する不正が行われていると判断し、補給制御手段24に信号を送信してその遊技機Hに対する補給動作を停止させるのが好ましい。
【0075】
上記実施形態によれば、メダル供給搬送手段1を介して遊技機Hに補給されるメダルの枚数を計数可能な計数手段(27、28)と、遊技機Hで所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値を入力可能な入力手段45と、理論値と遊技機Hに実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が理論値より多いか否かを判定する判定手段46とを備えたので、大当たり信号が発信されずメダルが払い出される遊技機H(例えばARTを生じさせ得る遊技機)が設置された場合であっても、遊技機Hに対する不正行為を把握することができるとともにメダルの要求信号に応じて自動的にメダルを補給することができる。
【0076】
また、理論値は、最速の時間で消化し得るメダルの枚数であるので、遊技機に対する不正行為の把握をより確実に行わせることができる。さらに、判定手段46により遊技機Hに対する実際の補給枚数の方が理論値より多いと判定された場合、不正が行われていると判断し、報知手段47に対して警報のための出力を行わせるので、遊技機Hに対する不正行為を円滑且つ確実に知らせることができる。
【0077】
さらに、入力手段45は、設置島Kに設置された貸出機Jで所定時間あたり貸し出されるメダル枚数の理論値を入力可能とされるとともに、判定手段46は、当該貸出の理論値と貸出機Jに実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が貸出の理論値より少ないか否かを判定可能とされたので、遊技機Hに対する不正行為の把握に加え、貸出機Jに対する不正行為の把握も行わせることができる。また、判定手段46により貸出機Jに対する実際の補給枚数の方が貸出の理論値より少ないと判定された場合、不正が行われていると判断し、報知手段47に対して警報のための出力を行わせるので、遊技機Hに対する不正行為に加え貸出機Jに対する不正行為を円滑且つ確実に知らせることができる。
【0078】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば同一径のメダル(大径メダル又は小径メダルの何れか一方)が使用される遊技機のみ設置された設置島に適用されたものであってもよい。この場合であっても、メダル供給搬送手段1を介して遊技機Hに補給されるメダルの枚数を計数可能な計数手段は必要とされるものの、大径メダルと小径メダルとを選別するためのメダル選別手段5等が不要とされる。
【0079】
また、本実施形態においては、遊技機で所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値として、最速の時間で消化し得るメダルの枚数とされているが、かかる最速の時間で消化し得るメダルの枚数に所定枚数(余裕値)を加算して理論値とするようにしてもよい。さらに、本実施形態に係る入力手段45は、遊技機Hで所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値、及び設置島Kに設置された貸出機Jで所定時間あたり貸し出されるメダル枚数の理論値の両方を入力可能可能とされているが、遊技機Hで所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値のみを入力するものとし、専ら遊技機Hに対する不正を把握し得るものとしてもよい。
【0080】
また更に、入力手段は、作業者が理論値を入力可能なテンキー等の操作ボタンやタッチパネル等の他、別個のパーソナルコンピュータや携帯端末等で設定された理論値を入力可能な入力端子等であってもよい。なお、本実施形態においては、メダル補給手段3の筐体3a内に洗浄手段9が配設されているが、設置島K内に配設されたものであってもよく、洗浄手段9を具備しないものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
メダル供給搬送手段を介して遊技機に補給されるメダルの枚数を計数可能な計数手段と、遊技機で所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値を入力可能な入力手段と、理論値と遊技機に実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が理論値より多いか否かを判定する判定手段とを備えた遊技機のメダル補給装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 メダル供給搬送手段
2 メダル回収搬送手段
3 メダル補給手段
4 メダル計数機
5 メダル選別手段
6 振分け手段
7 第1貯留タンク
7a 第1検知手段
8 第2貯留タンク
8a 第2検知手段
9 洗浄手段
10 受け部
11 整列コンベア
12 洗浄コンベア
13 洗浄コンベア
14 受け部
15 リフタ
16 メダル通路
17 シュート
18a 大径メダル用ジョッキ
18b 小径メダル用ジョッキ
19 モータ
20 撹拌手段
21 搬送コンベア
22 受け通路
23 受け部
24 補給制御手段
25 搬送手段
26 シュート
27 検知手段(計数手段)
28 検知手段(計数手段)
29 大径メダル通路
30 小径メダル通路
31 ソレノイド
32 シュート
33 ソレノイド
34 振分け部材
35 通路
36a 小径メダル搬送部
36b 大径メダル搬送部
37 スクレーパ
38 シュート
39 回収用シュート
40 ソレノイド
41 コイルスプリング
42 アーム部
43 揺動部材
44 閉塞部材
45 入力手段
46 判定手段
47 報知手段
A 供給手段
K 設置島

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機が設置される設置島に延設され、それぞれの遊技機に対してメダルを搬送して供給するメダル供給搬送手段と、
前記設置島に延設され、それぞれの遊技機から排出されたメダルを回収して搬送するメダル回収搬送手段と、
前記メダル回収搬送手段で回収されたメダルを収容するとともに、前記メダル供給搬送手段にメダルを補給するメダル補給手段と、
を具備し、前記メダル補給手段を介して任意の遊技機に対してメダルを補給可能な遊技機のメダル補給装置であって、
前記メダル供給搬送手段を介して前記遊技機に補給されるメダルの枚数を計数可能な計数手段と、
前記遊技機で所定時間あたり消化されるメダル枚数の理論値を入力可能な入力手段と、
前記理論値と前記遊技機に実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が前記理論値より多いか否かを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機のメダル補給装置。
【請求項2】
前記理論値は、最速の時間で消化し得るメダルの枚数であることを特徴とする請求項1記載の遊技機のメダル補給装置。
【請求項3】
前記判定手段により前記遊技機に対する実際の補給枚数の方が前記理論値より多いと判定された場合、不正が行われていると判断し、警報のための出力を行わせることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機のメダル補給装置。
【請求項4】
前記入力手段は、前記設置島に設置された貸出機で所定時間あたり貸し出されるメダル枚数の理論値を入力可能とされるとともに、前記判定手段は、当該貸出の理論値と前記貸出機に実際に所定時間あたりで補給されるメダルの補給枚数とを比較して実際の補給枚数の方が前記貸出の理論値より少ないか否かを判定可能とされたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の遊技機のメダル補給装置。
【請求項5】
前記判定手段により前記貸出機に対する実際の補給枚数の方が前記貸出の理論値より少ないと判定された場合、不正が行われていると判断し、警報のための出力を行わせることを特徴とする請求項4記載の遊技機のメダル補給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−34666(P2013−34666A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173178(P2011−173178)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】