説明

遊技機の球払出装置

【課題】遊技機枠の全体的な構造の簡単化を図る。
【解決手段】可動枠3の後部にはタンク20が設けられ、可動枠3の前部には前扉4がヒンジ6を中心として前後方向に片開き可能に取り付けられ、前扉4の前部には球受皿部25が設けられ、前扉4には通路視認部51が設けられ、球払出機構21の動作によってタンク20から球受皿部25の側に払い出される球を前扉4の前から見えるように誘導する球払出通路28が通路視認部51と対応するように前扉4の後部に設けられ、球払出機構21の球払出モータが前後方向に直線的に延びる球払出構造体を一方向に駆動すると、球払出構造体がタンクから球を1個ずつ分離しながら球払出通路28に払い出すようになっており、また、球払出構造体が球払出モータで他方向に駆動されてタンクから球を1個ずつ分離しながら球一掃通路29に払い出したり、球払出通路28を後から照明したりしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機枠の全体的な構造が簡単になる遊技機の球払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機などのパチンコ球と呼ばれる球を遊技媒体として使用する遊技機の球払出装置には、特許文献1乃至特許文献6で開示されたように、球払出通路を通過する球が遊技機枠の前方から見えるように、球払出通路が遊技機枠の前面側に設けられたものが公知である。しかしながら、特許文献1で開示されるように、球払出通路が遊技盤に設けられたり、または、特許文献2乃至特許文献6で開示されるように、球払出通路が遊技機枠の前面から前方に突出されるように遊技機枠に設けられたりすることから、遊技機枠の全体的な構造が複雑となり、にわかに採用しがたいという欠点がある。
【特許文献1】特開2003−38799号公報
【特許文献2】特開2006−43266号公報
【特許文献3】特開2006−68238号公報
【特許文献4】特開2006−68239号公報
【特許文献5】特開2006−87567号公報
【特許文献6】特開2006−95014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする問題点は、遊技機枠の全体的な構造が複雑となり、にわかに採用しがたいという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る遊技機の球払出装置は、遊技盤を交換可能に取り付ける可動枠と、可動枠の後部に設けられたタンクと、可動枠の前部にヒンジを中心として前後方向に片開き可能に取り付けられた前扉と、前扉の前部に設けられた球受皿部と、タンクに設けられタンクから球受皿部の側に球を1個ずつ分離しながら払い出す球払出機構と、前扉に設けられた通路視認部と、通路視認部と対応して前扉の後部に設けられかつ球払出機構の動作によってタンクから球受皿部の側に払い出される球を前扉の前方から見えるように誘導する球払出通路と、球払出機構が球払出構造体と球払出モータとを備えかつタンクに設けられ、球払出構造体が前後方向に直線的に延びる丸棒状の払出軸と払出軸の軸心と平行な方向に球を1個ずつ分離する間隔で払出軸の外周面から径方向外側に螺旋形状に突出した螺旋体とを備え、球払出モータが球払出構造体を払出軸の軸心を中心とする円周の一方向に駆動することによって、球払出構造体の螺旋体がタンクの内部における球を1個ずつ分離しながら球払出通路の方に払い出すことを最も主要な特徴とする。可動枠に球払出機構から払い出された球を球払出通路を迂回して可動枠の後方に排出する球一掃通路を備え、球払出モータが球払出構造体を払出軸の軸心を中心とする円周の他方向に駆動することによって、球払出構造体の螺旋体がタンクの内部における球を1個ずつ分離しながら球一掃通路の側に払い出すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る遊技機の球払出装置は、可動枠の後部にはタンクが設けられ、可動枠の前部には前扉がヒンジを中心として前後方向に片開き可能に取り付けられ、前扉の前部には球受皿部が設けられ、前扉には通路視認部が設けられ、球払出機構の動作によってタンクから球受皿部の側に払い出される球を前扉の前から見えるように誘導する球払出通路が通路視認部と対応するように前扉の後部に設けられ、球払出モータが球払出構造体の前後方向に直線的に延びる丸棒状の払出軸の軸心を中心とする円周の一方向に駆動することによって、球払出構造体の螺旋体がタンクの内部における球を1個ずつ分離しながら球払出通路に払い出すようになっているので、球払出通路が遊技盤に設けられたりまたは遊技機枠から前方に突出されるように遊技機枠に設けられたりしたものよりも、遊技機枠の全体的な構造を簡単にすることができるという利点がある。可動枠に球払出機構から払い出された球を球払出通路を迂回して可動枠の後方に排出する球一掃通路を備え、球払出モータが球払出構造体を払出軸の軸心を中心とする円周の他方向に駆動することによって、球払出構造体の螺旋体がタンクの内部における球を1個ずつ分離しながら球一掃通路の側に払い出されれば、球払出モータの動作によって、球をタンクから遊技機設置設備に容易に抜き取れるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図7は、発明を実施するための最良の形態である。図1は、パチンコ遊技機を分解して示す。図2は、パチンコ遊技機の正面を示す。図3は、図2のA−A線に沿って切断した断面を示す。図4は、図2のB−B線に沿って切断した断面を示す。図5は、球払出通路28のB−B線と同じ方向の線で切断した断面を示す。図6は、前扉4および球払出通路28を分解して示す。図7は、タンク20および球払出機構21の縦に切断した断面を示す。本明細書において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向は、図1の状態に遊技機枠1および遊技盤41を置いて矢印Sで示す前方から見た場合に特定される方向である。
【0007】
図1を参照し、遊技機としてパチンコ遊技機を例として説明する。パチンコ遊技機は、遊技機枠1の内部に遊技盤41を交換可能に取り付ける形態である。遊技機枠1は、固定枠2の前部に可動枠3を開閉可能に備え、可動枠3の前部に前扉4を開閉可能に備える。固定枠2は、遊技機設置設備に固定される。遊技機設置設備は、パチンコ遊技機を設置する遊技店の島と呼ばれる設備である。可動枠3は、左側に位置するヒンジ5を中心とし、固定枠2の前で前方に開かれかつ後方に閉じられるように、片開き可能である。前扉4は、左側に位置するヒンジ6を中心とし、可動枠3の前で前方に開かれかつ後方に閉じられるように、片開き可能である。
【0008】
可動枠3は、盤収容部7、中央開口部8、盤後押出部9、盤前受止部10、盤掛止操作体11、盤棚12、球発射機構13、球発射レール14、戻り球取入口15、機外排出樋16、施錠装置17、掛止機構18;19、タンク20、球払出機構21を備える。盤収容部7は、遊技盤41を可動枠3の前方から格納させるように、前方に開口した方形な箱形である。中央開口部8は、遊技盤41の後面に固定された部品を盤収容部7から後方に突出するように挿入するための部分であって、前後方向への貫通孔として、盤収容部7の後壁に形成される。盤後押出部9は、遊技盤41を前方に押す板ばねのような弾性体である。盤前受止部10は、盤後押出部9で前方に押された遊技盤41を受け止める突起である。盤後押出部9が後方で盤前受止部10が前方となるように、盤後押出部9および盤前受止部10が盤収容部7の左側部に設けられる。盤後押出部9と盤前受止部10および盤掛止操作体11は、遊技盤41を盤収容部7に固定するための機構を構成する。
【0009】
盤掛止操作体11は、盤収容部7の後壁から前方に突出し、盤収容部7の後壁の前面と平行な方向に回転可能に、盤収容部7の右側部に設けられる。盤棚12は、遊技盤41を搭載する左右方向に平坦な面として、盤収容部7の下縁部に形成される。球発射機構13、球発射レール14、戻り球取入口15は、盤棚12から下方に延設された前壁の前面に設けられる。機外排出樋16は、盤棚12の後方に設けられる。施錠装置17、掛止機構18;19は、可動枠3の右側部に設けられる。タンク20は、可動枠3の上部に位置し、可動枠3の後面から後方に突出し、遊技機設置構造体の補給機構から供給された球を受ける上方に開口した上方から下方に窪む容器である。球払出機構21は、タンク20に設けられ、タンク20から球受皿部25の側に球を1個ずつ分離しながら払い出す機構である。
【0010】
前扉4は、窓22、パネル構造体23、掛止部材24、球受皿部25、球発射操作機構26、球供給口27、球払出通路28、球一掃通路29を備える。窓22は、前後方向への貫通孔として、前扉4に設けられる。パネル構造体23は、前扉4の後部に開閉可能に設けられる。パネル構造体23は、左側に位置するヒンジ30を中心とし、前扉4の後で後方に開かれかつ前方に閉じられるように、片開き可能であって、前面パネル31を備える。前面パネル31は、窓22を塞ぐ大きさのガラスまたは合成樹脂からなる光透過性の有る無色な板状に構成される。パネル構造体23が閉じられて前扉4に掛止部材24で開閉不能に支持されると、前面パネル31が窓22を後から塞ぐ。掛止部材24は、前扉4の後部に設けられる。
【0011】
球受皿部25は、窓22よりも下部に位置し、前扉4から前方に突出し、遊技に使用する球を受ける上方に開口しかつ上から下に窪む容器であって、前扉4の前部に設けられる。球発射操作機構26は、遊技者が球を発射するために操作するものであって、前扉4の前面から前方に突出するように、前扉4の前部に設けられる。球払出通路28は、球払出機構21の動作によってタンク20から球受皿部25の側に払い出される球を遊技機枠1の前方から見えるように誘導するものであって、窓22よりも右側に位置し、前扉4の後部に設けられる。
【0012】
つまり、球払出通路28は、左右方向において、ヒンジ5;6;30の設けられた側の反対側に位置する。球払出通路28の上部には、球入口部32が設けられる。球入口部32は、球払出機構21から排出された球を球払出通路28に導入する部分である。球払出通路28の下部には、球出口部33が設けられる。球出口部33は、球払出通路28から球受皿部25に球を排出する部分である。球一掃通路29は、球抜き通路とも呼ばれ、球払出機構21から払い出された球を可動枠3の後から遊技機設置設備に排出するように、可動枠3の後部に設けられる。
【0013】
遊技盤41は、ガイドレール42、入賞部品43、アウト口44、球発射通路45、取付孔部46、証紙台47を備える。ガイドレール42は、遊技盤41の前面に固定される。ガイドレール42で囲まれた遊技盤41の前面には、入賞部品43、アウト口44、球発射通路45が設けられる。取付孔部46は、ガイドレール42よりも外側の遊技盤41の右側部に上下に分かれて設けられる。証紙台47は、下部の取付孔部46の前部に開閉可能に設けられる。証紙台47が閉じられると、下部の取付孔部46が証紙台47で覆い隠される。
【0014】
パネル構造体23が閉じられて前扉4に掛止部材24で開閉不能に支持され、前扉4が閉じられて可動枠3に掛止機構19で開閉不能に支持され、可動枠3が閉じられて固定枠2に掛止機構18で開閉不能に支持された状態において、遊技店の店員が図外のキープレート(鍵)を遊技機枠1の前方から施錠装置17の鍵穴に挿入し、当該キープレートを例えば右側に90度回転操作すると、固定枠2と可動枠3との掛止機構18による支持形態が解除される。この支持形態の解除後に、店員が可動枠3を前方に引くことによって、可動枠3はヒンジ5を中心として前方に片開きされる。また、店員が施錠装置17の鍵穴に挿入されたキープレートを例えば左側に90度回転操作すると、可動枠3と前扉4との掛止機構19による支持形態が解除される。この支持形態の解除後に、店員が前扉4を前方に引くことによって、前扉4はヒンジ6を中心として前方に片開きされる。
【0015】
そして、少なくとも、前扉4が前方に開かれた状態において、遊技盤41の左側部が可動枠3の前方から盤後押出部9と盤前受止部10との間に挿入され、遊技盤41の右側部が遊技店の店員によって前から後に押され、盤掛止操作体11が遊技盤41の後方から取付孔部46に挿入され、遊技店の店員が遊技盤41の前に突出した盤掛止操作体11を例えば90度回転操作することによって、盤掛止操作体11が遊技盤41の前面に掛け止められ、遊技盤41の前面が前方に向けられ、遊技盤41が可動枠3の内部における盤収容部7に装着される。
【0016】
その後、前扉4が閉じられ、前扉4が可動枠3に掛止機構19で開閉不能に支持されると、図2に示すように、ガイドレール42で囲まれた遊技盤41の前面、ガイドレール42、入賞部品43、アウト口44、球発射通路45が、遊技機枠1の前方から窓22および前面パネル31を通して視認可能になり、球払出通路28が窓22よりも右側に位置して遊技機枠1の前方から視認可能になり、球入口部32が球払出機構21の真下に配置され、図2乃至図4に示すように、ガイドレール42で囲まれた遊技盤41の前面と前面パネル31との間の空間が球の飛び交う遊技領域48になる。
【0017】
図2に示すように、遊技盤41が可動枠3に取り付けられ、前扉4が閉じられて可動枠3に開閉不能に支持され、遊技者が球受皿部25にパチンコ球と呼ばれる球を入れて球発射操作機構26を操作すると、球発射機構13が球発射操作機構26から出力された操作量に応じた発射力で例えば1分間に1から100発未満までの規定数の間隔で駆動し、球発射機構13が球受皿部25から図1の球供給口27を経由して球発射レール14に供給された球を発射球として1個ずつ遊技盤41の球発射通路45に向けて発射する。この球発射通路45に発射された球が、球発射通路45から遊技領域48に到達する。遊技領域48に到達した球は、遊技盤41の前面に設けられた入賞部品43などの遊技部品に衝突して流れる方向を変えながら、遊技領域48を流下する過程において、入賞部品43に入賞する。球が入賞部品43に入賞すると、入賞部品43の入賞に対する賞球としての球が、球払出機構21の動作によってタンク20から球払出通路28を経由して球受皿部25に払い出される。遊技者は、球払出通路28を通過する球を遊技機枠1の前方から見ることができる。
【0018】
図6を参照し、球払出通路28が前扉4の後部に設けられる構造について説明する。前扉4は、通路視認部51、通路取付部52を備える。通路視認部51は、前後方向への貫通孔として、前扉4の前部に設けられる。球払出通路28は、前通路構造体53と後通路構造体54とを備える。前通路構造体53は、光を透過する性質の有る無色または有色な合成樹脂からなる後方に開口する縦長な溝状に構成され、前壁55、左壁56、右壁57、取付片58、ねじ挿入孔59、突面部60を備える。左壁56は、前壁55の左縁部から後方に突出する。右壁57は、前壁55の右縁部から後方に突出し、左壁56と対向する。取付片58は、左壁56の後縁部から左側に突出し、また、右壁57の後縁部から右側に突出する。ねじ挿入孔59は、前後方向への貫通孔として、取付片58に設けられる。突面部60は、前壁55の前面から前方に突出し、通路視認部51に嵌め込まれる大きさとして、前壁55の前面に設けられる。
【0019】
後通路構造体54は、光を透過する性質の有る有色な合成樹脂からなる縦長な板状に構成され、球入口部32、球出口部33、ねじ挿入孔62を備える。球入口部32は、後通路構造体54から後方に突出し、底部と左右の側壁とを有し、上方および前後方向に開口した溝状として、後通路構造体54の上部に設けられる。球出口部33は、後通路構造体54から前方に突出し、底部と左右の側壁とを有し、上方および前方に開口した溝状として、後通路構造体54の下部に設けられる。ねじ挿入孔62は、前後方向への貫通孔として、後通路構造体54の左縁部および右縁部に設けられる。
【0020】
球払出通路28が前扉4に取り付けられる場合、前通路構造体53の突面部60が前扉4の後方から通路視認部51に嵌め込まれ、突面部60の上縁部と通路視認部51の上縁部とが互いに接触され、突面部60の下縁部と通路視認部51の下縁部との間に前後方向に貫通する開口63(図3参照)が形成され、前通路構造体53の取付片58の前面が通路取付部52の後面に接触される。
【0021】
次に、後通路構造体54が前扉4の後方から前通路構造体53に組み合わせられる。その場合、後通路構造体54の左縁部および右縁部が前通路構造体53の取付片58に重ね合わされ、後通路構造体54の中間部が前通路構造体53の前壁55と左壁56および右壁57で囲まれた空間を塞ぐことによって、球払出通路28が形成される。その後、タッピングスクリューのような止ねじ64が後通路構造体54の後方からねじ挿入孔62;59を経由して通路取付部52に締結される。これによって、球払出通路28が、図1乃至図5に示すように、前扉4の後部に設けられる。
【0022】
図7を参照し、タンク20および球払出機構21の構造について説明する。タンク20は、遊技機設置構造体の補給機構から排出されたパチンコ球と呼ばれる球を貯蔵するものであって、上方に開口した箱形の部屋として構成される。タンク20の底部67には、タンク球出口68および球払出機構21が設けられる。底部67における球の接触する底面は、タンク20の内部に取り込まれた球を、タンク球出口68に向けて流下させる斜面を構成する。タンク球出口68は、タンク20の内部に取り込まれた球を球払出機構21の球取込部70に落下させる上下方向への貫通孔である。
【0023】
球払出機構21は、球取込部70、球払出口部71、球一掃口部72、球払出モータ73、球払出構造体74、払出球検出器75、一掃球検出器76を備える。球取込部70は、底部67に設けられ、底部67から下方に突出し、かつ、前後方向に細長い内部空間を構成する。球払出口部71は、球取込部70から球払出通路28に球を誘導するように、球取込部70の前部に設けられ、可動枠3を前後に貫通する。球一掃口部72は、球取込部70から球一掃通路29に球を誘導するように、球取込部70の後部に設けられる。球払出モータ73は、タンク20の後壁の後面に取り付けられる。
【0024】
球払出構造体74は、払出軸77、螺旋体78を備える。払出軸77は、前後方向に直線的に延びる丸棒により構成され、球払出モータ73の出力軸に連結される。螺旋体78は、払出軸77に設けられ、払出軸77の前後方向に延びる軸心と平行な方向に球を1個ずつ分離する間隔で、払出軸77の外周面から径方向外側に螺旋形状に突出する。払出球検出器75は、球払出口部71に設けられ、通過する球を検出することごとに電気的な球検出信号を図外の制御装置に出力する。一掃球検出器76は、球一掃口部72に設けられ、通過する球を検出することごとに電気的な球検出信号を図外の制御装置に出力する。
【0025】
球払出機構21の動作について説明する。球Pが、タンク20からタンク球出口68を経由して球取込部70に入って螺旋体78の隙間に取り込まれる。その状態において、球払出モータ73が球払出構造体74を矢印W1で示す方向に回転すると、螺旋体78が球取込部70における球を1個ずつ分離しながら矢印X1で示すように前方に移動させ、この前方に移動した球が球払出口部71の真上に到達して螺旋体78から外れて自重で球払出口部71に落下する。つまり、球払出モータ73が球払出構造体74を払出軸77の軸心を中心とする円周の一方向である矢印W1で示す方向に駆動すると、螺旋体78がタンク20の内部における球を1個ずつ分離しながら球払出通路28の側に払い出す。
【0026】
また、球払出モータ73が球払出構造体74を矢印W2で示す方向に回転すると、螺旋体78がタンクの内部としての球取込部70における球を1個ずつ分離しながら矢印X2で示すように後方に移動させ、この後方に移動した球が球一掃通路29の真上に到達して螺旋体78から外れて自重で球一掃通路29に落下する。つまり、球払出モータ73が球払出構造体74を払出軸77の軸心を中心とする円周の他方向である矢印W2で示す方向に駆動すると、螺旋体78がタンク20の内部における球を1個ずつ分離しながら球一掃通路29の側に払い出す。つまり、球払出モータ73の矢印W2で示す方向に回転によって、球をタンク20から遊技機設置設備に容易に抜き取れるという利点がある。
【0027】
最良の形態によれば、図1および図2に示すように、可動枠3の後部にはタンク20が設けられ、可動枠3の前部には前扉4がヒンジ6を中心として前後方向に片開き可能に取り付けられ、前扉4の前部には球受皿部25が設けられ、前扉4には通路視認部51が設けられ、前扉4の後部には球払出機構21の動作によってタンク20から球受皿部25の側に払い出される球を前扉4の前方から見えるように誘導する球払出通路28が通路視認部51と対応して設けられ、球一掃通路29が可動枠に設けられ、球払出モータ73が球払出構造体74を払出軸77の軸心を中心とする円周の一方向に駆動することによって、球払出構造体74の螺旋体78がタンク20の内部における球を1個ずつ分離しながら球払出通路28の側に払い出し、球払出モータ73が球払出構造体74を払出軸77の軸心を中心とする円周の他方向に駆動することによって、球払出構造体74の螺旋体78がタンク20の内部における球を1個ずつ分離しながら球一掃通路29の側に払い出すようになっているので、特許文献1乃至特許文献6で開示された構造よりも、遊技機枠1の全体的な構造を簡単にすることができるという利点がある。
【0028】
図1および図2に示すように、球払出機構21がタンク20に設けられているので、不正操作部材が遊技機枠1の前方から球出口部33に挿入された場合でも、不正操作部材が球払出通路28から球払出機構21に到達しにくくなり、球払出機構21に対する不正操作がやりにくくなるという利点がある。
【0029】
図1および図2に示すように、球払出機構21がタンク20に設けられ、球払出通路28の上部には球払出機構21から排出された球を球払出通路28に導入する球入口部32が設けられ、球入口部32は球払出通路28から後方に突出しかつ底部と左右の側壁とを有する上方および後方向に開口した溝状に構成され、前扉4が可動枠3の側に閉じられた場合、球入口部32が球払出機構21の球払出口部71の真下に配置されているので、前扉4の開閉時において、球入口部32と球払出口部71とが互いに干渉することがなく、不正操作部材が遊技機枠1の前方から球出口部33に挿入された場合でも、不正操作部材が球払出通路28の球入口部32から後方に突出して球払出機構21の球払出口部71に到達することがなく、球払出機構21に対する不正操作を防止できるという利点がある。
【0030】
図3および図4に示すように、球払出通路28が前扉4の後部に取り付けられかつ前扉4とパネル構造体23との間の空間に配置されているので、前扉4とパネル構造体23との取付構造を変更することなく、球払出通路28が前扉4に設けられ、遊技機枠1の全体的な構造を簡単にすることができるという利点がある。
【0031】
前後方向の貫通孔として構成された通路視認部51が突面部60で塞がれ、通路視認部51と突面部60との間の隙間が前通路構造体53の前壁55の前面で覆われているので、不正操作部材が遊技機枠1の前方から通路視認部51と突面部60との間の隙間から前扉4の後方に侵入することがなく、球払出機構21に対する不正操作を防止できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0032】
図8は、異なる第1形態に係る球出口部33の周りの断面を示す。図8において、球出口部33には、蓋80が蓋軸81を中心として開閉可能に設けられる。球出口部33の底部には、蓋受部82が設けられる。蓋受部82は、球出口部33の底部における球の接触する底面から上方に突出する。そして、球が球払出通路28から球受皿部25の側に排出される場合、球が蓋80を後方から前方に押し開ける。そして、球が蓋80から球受皿部25の側に離れることによって、蓋80が前方から後方に閉じる。蓋80が前方から後方に閉じる場合、蓋80の下部が蓋受部82で受け止められ、蓋80が、それ以上、後方に行かない。
【0033】
よって、遊技者が不正操作部材を球受皿部25の前方から開口63に挿入して蓋80を後方に押しても、蓋80が蓋受部82で受け止められるので、不正操作部材が蓋80よりも奥の球払出通路28に侵入することがなく、不正操作が防止できるという利点がある。図8に点線で示すように、蓋80が蓋軸81を中心として前方に開いた場合でも、遊技者が点線の蓋80に触れることができないように、蓋80が開口63から後方に離れていれば、不正操作防止上、良好である。また、図8に仮想線で示すように、蓋80や蓋受部82を設けてもよい。この場合、蓋80は、図外のばねなどによって、仮想線で示すように、閉じた状態を保持される。そして、球が球払出通路28から球受皿部25の側に排出される場合、球が図外のばねの弾性に抗して蓋80を上方から下方に押し開ける。
【0034】
図9は、異なる第2形態に係る前扉4を示す。前扉4の前部には、上球受皿部84および下球受皿部85が設けられる。上球受皿部84は、球払出通路28から排出される球を遊技に使用する球として受ける上方に開口した上方から下方に窪む容器であって、図1の球受皿部25に相当する。下球受皿部85は、上球受皿部84から溢れた遊技に使用する球を受ける上方に開口した上方から下方に窪む容器であって、上球受皿部84よりも下部に位置する。前扉4の後部には、溢れ球通路86が設けられる。
【0035】
図10は、異なる第3形態に係る球払出通路28の縦に切断した断面を示す。球払出通路28の後部には、照明構造体88が設けられる。照明構造体88は、回路基板89に複数のLEDなどの表示灯90を電気的に動作するように実装した形態である。照明構造体88が球払出通路28に取り付けられる場合、表示灯90が後通路構造体54の側に向けられ、回路基板89がタッピングスクリューのような止ねじ91で後通路構造体54の後部に固定される。よって、照明構造体88が球払出通路28を後方から照明するので、遊技者は、上記球払出通路28を通過する球を遊技機枠1の前方から適切に見ることができる。
【0036】
図1において、遊技盤41を盤収容部7に固定する機構は、盤後押出部9、盤前受止部10、盤掛止操作体11などからなる以外の機構であってもよい。遊技盤41が可動枠3の後方から可動枠3の後面に交換可能に取り付けられる構造でもよい。ガイドレール42は、可動枠3の後面またはパネル構造体23の後面に設けられてもよい。突面部60が除去され、前通路構造体53の前壁55が通路視認部51を後方から塞ぐように前扉4の後面に取り付けられてもよい。突面部60が前通路構造体53から除去された場合、通路視認部51は前後方向への貫通孔に置換し光を透過する性質の有る合成樹脂により形成されてもよい。球一掃通路29は除去してもよい。球一掃通路29が設けられない場合、図7において、球一掃口部72や一掃球検出器76は除去され、球取込部70における球一掃口部72の部分は閉鎖される。図6のように後からの照明を使用ない場合、後通路構造体54は、光を遮蔽する性質の有る合成樹脂により形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】遊技機枠および遊技盤の分解斜視図(最良の形態)。
【図2】パチンコ遊技機の正面図(最良の形態)。
【図3】図2のA−A線断面図(最良の形態)。
【図4】図2のB−B線断面図(最良の形態)。
【図5】球払出通路のB−B線断面図に相当する断面図(最良の形態)。
【図6】球払出通路の分解斜視図(最良の形態)。
【図7】タンクにおける球払出機構の周りの断面図(最良の形態)。
【図8】球払出通路における球出口部の周りの断面図(異なる第1形態)。
【図9】前扉の斜視図(異なる第2形態)。
【図10】球払出通路の縦断面図(異なる第3形態)。
【符号の説明】
【0038】
1は遊技機枠、2は固定枠、3は可動枠、4は前扉、5はヒンジ、6はヒンジ、7は盤収容部、8は中央開口部、9は盤後押出部、10は盤前受止部、11は盤掛止操作体、12は盤棚、13は球発射機構、14は球発射レール、15は戻り球取入口、16は機外排出樋、17は施錠装置、18は掛止機構、19は掛止機構、20はタンク、21は球払出機構、22は窓、23はパネル構造体、24は掛止部材、25は球受皿部、26は球発射操作機構、27は球供給口、28は球払出通路、29は球一掃通路、30はヒンジ、31は前面パネル、32は球入口部、33は球出口部、34乃至40は欠番、41は遊技盤、42はガイドレール、43は入賞部品、44はアウト口、45は球発射通路、46は取付孔部、47は証紙台、48は遊技領域、49;50は欠番、51は通路視認部、52は通路取付部、53は前通路構造体、54は後通路構造体、55は前壁、56は左壁、57は右壁、58は取付片、59はねじ挿入孔、60は突面部、61は欠番、62はねじ挿入孔、63は開口、64は止ねじ、65;66は欠番、67は底部、68はタンク球出口、69は欠番、70は球取込部、71は球払出口部、72は球一掃口部、73は球払出モータ、74は球払出構造体、75は払出球検出器、76は一掃球検出器、77は払出軸、78は螺旋体、79は欠番、80は蓋、81は蓋軸、82は蓋受部、83は欠番、84は上球受皿部、85は下球受皿部、86は溢れ球通路、87は欠番、88は照明構造体、89は回路基板、90は表示灯、91は止ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤を交換可能に取り付ける可動枠と、可動枠の後部に設けられたタンクと、可動枠の前部にヒンジを中心として前後方向に片開き可能に取り付けられた前扉と、前扉の前部に設けられた球受皿部と、タンクに設けられタンクから球受皿部の側に球を1個ずつ分離しながら払い出す球払出機構と、前扉に設けられた通路視認部と、通路視認部と対応する前壁の後面に設けられ球払出機構の動作によってタンクから球受皿部の側に払い出される球を前扉の前方から見えるように誘導する球払出通路と、球払出機構が球払出構造体と球払出モータとを備えかつタンクに設けられ、球払出構造体が前後方向に直線的に延びる丸棒状の払出軸と払出軸の軸心と平行な方向に球を1個ずつ分離する間隔で払出軸の外周面から径方向外側に螺旋形状に突出した螺旋体とを備え、球払出モータが球払出構造体を払出軸の軸心を中心とする円周の一方向に駆動することによって、球払出構造体の螺旋体がタンクの内部における球を1個ずつ分離しながら球払出通路の方に払い出すことを特徴とする遊技機の球払出装置。
【請求項2】
請求項1記載の可動枠に球払出機構から払い出された球を球払出通路を迂回して可動枠の後方に排出する球一掃通路を備え、球払出モータが球払出構造体を払出軸の軸心を中心とする円周の他方向に駆動することによって、球払出構造体の螺旋体がタンクの内部における球を1個ずつ分離しながら球一掃通路の側に払い出すことを特徴とする遊技機の球払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−119114(P2008−119114A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304203(P2006−304203)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】