説明

遊技機の球払出装置

【課題】高速での払い出しが可能であると同時に球噛みを起こすことなく、しかも、遊技球の正確な払い出しもでき、余剰切りのない遊技機の球払出装置を提供する。
【解決手段】遊技球Bが一列に流下する球通路11と、通過する遊技球の球検出範囲が設定されその球検出状態となる位置aと球非検出状態となる位置bとを検出する球検出器13と、球検出器の下方に配置され、球検出状態と球非検出状態との間に位置する遊技球の検出に伴い電動アクチュエータ17により球通路内に移動して規定量の遊技球のうちの最後の遊技球とその次の規定量外の遊技球との間に介入し、規定量外の遊技球を受け止める球受部材15と、を有し、規定量外の遊技球が球受部材により受け止められたとき、その位置はその遊技球の球中心を通り球受部材の移動方向と直交する面内で球中心O2からずれかつ該遊技球による球受部材に加わる球圧の方向と該球受部材の移動方向とは前記面内で互いに直交している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の裏側に装着され入賞球に合った規定量の遊技球を払い出す遊技機の球払出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機は、上下に長い外枠に装着された内枠に遊技盤が配設されると共に、該内枠の裏側に遊技盤の裏面を覆うようにして合成樹脂製の機構板が開閉自在に装着されている。該機構板の裏面には、その上部一側に遊技球を貯留する球タンクが配設されると共にその下方に該球タンクから排出されるパチンコ球を他側へ誘導するタンクレールが設けられ、該タンクレールの終端にカーブレールを介して球流通樋が接続されている。そして、該球流通樋の下端に球払出装置が接続されている。また、球流通樋を流下する遊技球が、球払出装置に供給されるようになっている。通常、球払出装置が作動していないときは、該球払出装置内の最先の遊技球は停止している。そこで、例えば入賞球が発生して中央制御装置から規定量の遊技球を払い出すようにという指令が発せられると、球払出装置が作動して該球払出装置から規定量の遊技球が払い出される。これら払い出された遊技球は、パチンコ遊技機の表面に装着される球受皿に貯留される。貯留された遊技球は、打球発射位置に一個ずつ供給され前記遊技盤面に形成される遊技部に打ち込まれるようになっている。
【0003】
ところで、前記球払出装置として例えば次のような構成からなるものがある。すなわち、該球払出装置は、装置本体内に遊技球が流下する上下方向の球通路が形成され、その一側に近接させて外周縁に遊技球が受けられる複数の球受凹部を列設した球受部材としてのスプロケットが鉛直面内で自在に回転するように軸装されている。また、その近傍には係合して該スプロケットの回転を制御する制御部材が配置されている。そして、制御部材を作動させ係合を解除してスプロケットを所要回転数回転させることにより、規定量の遊技球が払い出される。これら払い出された遊技球は、球検出器により検出されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−312055号公報(第3−6頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に係る球払出装置にあっては、球通路を含む面内でスプロケットが回転し、該スプロケットの外周縁に沿って複数の球受凹部が列設される関係から、隣接する球受凹部間には先端山形の突起部が形成される。このように山形の突起部が複数個形成されていると、スプロケットを回転させて遊技球を払い出しているときに、遊技球の流下速度とスプロケットの回転速度とがずれて食い違うことがある。このように、遊技球の流下速度とスプロケットの回転速度とがずれると、スプロケットにおける前記先端山形の突起部と球通路の内壁面との間で遊技球が噛んでしまい、遊技球の払出動作が続行できなくなるといったいわゆる球噛み現象の起きることが有った。
【0006】
また、スプロケットはその外周縁の球受凹部に遊技球を受け入れながらその遊技球の流れに沿って自在に回転することから、仮に一度に多くの遊技球を払い出す場合などスプロケットが高速で回転すると、該スプロケットの所定の停止位置が狂うことが有る。このように停止位置が狂うと、スプロケットが停止した後に該スプロケットが球圧に押されて余分に回転し、誤って規定量以上の遊技球を払い出してしまい、中央コンピュータ上での遊技球の数が一致しなくなって、遊技球の管理が難しくなるという課題が有った。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、高速での払い出しが可能であると同時に球噛みを起こすことなく、しかも、遊技球の正確な払い出しもでき、規定量以上に過剰に払い出すといったことのない遊技機の球払出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明に係る遊技機の球払出装置は、上下方向に設けられ遊技球が一列に流下する球通路と、前記球通路に配置され、通過する遊技球の球検出範囲が設定されその球検出状態となる位置と球非検出状態となる位置とを検出する球検出器と、前記球検出器の下方に配置され、前記球検出状態と球非検出状態との間に位置する遊技球の検出に伴い電動アクチュエータにより前記球通路内に移動して払い出される規定量の遊技球のうちの最後の遊技球とその次の規定量外の最先の遊技球との間に介入し、前記規定量外の最先の遊技球を受け止める球受部材と、を有し、前記規定量外の最先の遊技球が前記球受部材により受け止められたとき、その受け止められた位置はその遊技球の球中心を通り前記球受部材の移動方向と直交する面内で球中心からずれかつ該遊技球による前記球受部材に加わる球圧の方向と該球受部材の移動方向とは前記面内で互いに直交するようになっており、前記規定量の遊技球は前記球受部材により受け止められず自然に落下して払い出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技機の球払出装置は、上下方向に設けられ遊技球が一列に流下する球通路と、該球通路に配置され、通過する遊技球の球検出範囲が設定されその球検出状態となる位置と球非検出状態となる位置とを検出する球検出器と、球検出器の下方に配置され、球検出状態と球非検出状態との間に位置する遊技球の検出に伴い電動アクチュエータにより球通路内に移動して払い出される規定量の遊技球のうちの最後の遊技球とその次の規定量外の最先の遊技球との間に介入し、規定量外の最先の遊技球を受け止める球受部材と、を有し、規定量外の最先の遊技球が球受部材により受け止められたとき、その受け止められた位置はその遊技球の球中心を通り球受部材の移動方向と直交する面内で球中心からずれかつ該遊技球による球受部材に加わる球圧の方向と該球受部材の移動方向とはその面内で互いに直交し、規定量の遊技球は球受部材により受け止められず自然に落下して払い出される。このように、規定量の遊技球を自然に落下させて払い出すようにしているので、高速の払い出しが可能になる。
【0010】
また、規定量外の最先の遊技球が球受部材により受け止められたとき、その受け止められた位置はその遊技球の球中心を通り球受部材の移動方向と直交する面内で球中心からずれかつ該遊技球による球受部材に加わる球圧の方向と該球受部材の移動方向とは前記面内で互いに直交するようになっていることから、球受部材は必ず上下方向で受け止められた遊技球の球中心からずれた下方位置で接触して該遊技球を受け止めることになり、これにより球噛みが防止される。更に、球圧によって球受部材が必要もなく回転することもないので、球圧により球受部材が必要もなく回転し誤って規定量以上に遊技球を払い出すという誤動作がないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る球払出装置の斜視図。
【図2】同分解斜視図。
【図3】同拡大中央縦断面図。
【図4】(イ)〜(ニ)は作用を示す球払出装置の正面断面図。
【図5】(イ)は球受部材の作用説明図、(ロ)は球受部材の動作状態を示す縦断面図。
【図6】球流通樋の分解斜視図。
【図7】同正面図。
【図8】図7のX−X線拡大断面図。
【図9】球流通樋の一部拡大正面断面図。
【図10】本発明が適用されるパチンコ遊技機の裏面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の球払出装置の最良の実施の形態を図面に基き詳しく説明する。本発明に係る球払出装置は、パチンコ遊技機、アレパチ機、雀球遊技機などの遊技機に適用されるが、本発明にあってはそのうちパチンコ遊技機に適用される場合について説明する。まず、本発明が適用されるパチンコ遊技機について説明する。
【0013】
図10は、本発明が適用されるパチンコ遊技機の裏面図である。パチンコ遊技機Pは正面縦長長方形状の外枠100に内枠101が開閉自在に装着され、該内枠101に遊技盤102が配設されている。また、前記内枠101の裏面に、遊技盤102の裏面を覆う合成樹脂製の機構板103が開閉自在に装着されている。該機構板103の裏面には、その上部の一側に遊技球であるパチンコ球を貯留しておく球タンク104が配置されている。また、球タンク104の下方に該球タンク104から排出されるパチンコ球を下方へ誘導するタンクレール105が配設され、該タンクレール105の流下端にカーブレール106を介して上下方向に設けられた球流通樋107が配置されている。そして、該球流通樋107の流下端に、本発明に係る球払出装置108が配設されている。
【0014】
そこで、例えば遊技中に入賞球が発生した場合、該球払出装置108から規定量のパチンコ球が賞球として払い出されることになるが、これらパチンコ球は前記内枠101の前側に誘導されてパチンコ遊技機P表面の図示しない球受皿に貯留されることになる。
【0015】
ここで、先に球流通樋107について説明する。該球流通樋107は、流通管1からなる。該流通管1は上端がカーブレール106に接続され、下端が球払出装置108に接続されており、ほぼ鉛直に起立している。流通管1の長さは、球払出装置108から少なくとも上方へ約120mm以上あれば良い。流通管1は、図6乃至図8に示すように円筒状に形成されると共に両端が開放されている。また、該流通管1はその中心軸線に沿って二分割される一対の半割筒体2,2からなり、各半割筒体2の中心軸線と平行な両側縁に互いに対向位置して外側へ広がる取付片3,3が設けられている。これら取付片3,3には、その長手方向に沿って複数の取付孔4が開設され、両半割筒体2,2を開放面を互いに向かい合わせ、両取付片3,3の互いに連通する取付孔4,4にビス5,5を挿通すると共にナット6,6を螺締めして流通管1が組立てられるようになっている。
【0016】
前記流通管1における管通路7の内径は、パチンコ球Bが一個通過できる程度の寸法、例えば12〜13mmの間で設定される。そして、管通路7の内周面7aに所定のピッチで螺旋突条8が周設されている。この螺旋突条8は、前記内周面7aから例えば0.5mmの高さで突設ている。これにより、流通管1の管通路7内のパチンコ球Bは螺旋突条8に支持され該螺旋突条8に沿って回転しつつ流下することになる。なお、螺旋突条8のピッチの幅を狭くすると、管通路7内を流下するパチンコ球Bの流下速度が遅くなり、ピッチの幅を広くすると、パチンコ球の流下速度が速くなる。よって、払い出すパチンコ球Bの速度を勘案して適正なピッチが設定される。
【0017】
流通管1には、両半割筒体2,2ごとに両取付片3,3に沿ってかつ前記螺旋突条8に沿って複数のゴミ排出口9が列設されている。一方の取付片3に沿って列設されるゴミ排出口9と他方の取付片3に沿って列設されるゴミ排出口9とは、段違いになるように設けられている。これらゴミ排出口9は、流通管1の管通路7内に溜まるゴミを排出するためのものである。このように、螺旋突条8に沿ってパチンコ球Bが回転しながら流下し、いずれのゴミ排出口9も螺旋突条8に沿って設けられるので、ゴミが管通路7内に溜まり難く、流通管1内が綺麗になるばかりかパチンコ球Bの汚れも軽減できる。
【0018】
流路管1の管通路7内を流下するパチンコ球Bは、螺旋突条8のピッチに制御されて流下するので、上下のパチンコ球B,B間に隙間ができにくく、管通路7内を流下するパチンコ球Bの流下速度はほぼ一定となる。よって、球払出装置108にパチンコ球Bがスムーズに供給されて安定し、球払出装置108にて球噛みの生ずるおそれもない。また、球流通樋107の流通管1は、真直ぐに起立するばかりか流通管1の内径はパチンコ球Bの外径よりもやや大きい程度にすぎないことから、球流通樋7は広いスペースを採らない。よって、球流通樋107の設置スペースが小さくて済む。
【0019】
更にまた、球流通樋107は流通管1が円筒状に形成されると共にその中心軸線に沿って二分割され、各分割端縁にはそれぞれ対向位置して互いに連結するための取付片3,3が設けられているという構成であって、その構造が簡単であり、製作が容易に行なえる。
【0020】
次に、図1乃至図5に基づき本発明に係る球払出装置について説明する。図1は本発明に係る球払出装置の斜視図、図2は同分解斜視図、図3は同拡大中央縦断面図、図4(イ)〜(ニ)は作用を示す球払出装置の正面断面図、図5(イ)は球受部材の作用説明図、同図(ロ)は球受部材の動作状態を示す縦断面図である。球払出装置108は、合成樹脂材からなる中空直方体形状のケース本体10から形成される。該ケース本体10は、ほぼ中央で縦方向に切断して左右に二分割され、正面から見て右側の右半割体10aと、正面から見て左側の左半割体10bと、から構成される。そして、右半割体10aと左半割体10bとを合わせることにより、その中央の前側に上下方向に設けられ上端に球入口12a、下端に球出口12bが開設された球通路11が形成されている。
【0021】
前記球通路11は、上半分11aが真直ぐになっており、下半分11bが少し前側へ湾曲している。球通路11の上端部に球検出器13が配設され、その下方であって球通路11の後側に空洞部14が形成されている。そして、該空洞部14に球通路11と向き合い鉛直面内で自在に回転する球受部材15が配置されている。該球受部材15は、軸筒部15aの前側に該軸筒部15aの中心軸線に対して直交する回転円板15bが一体に設けられている。また、図5に示すように該回転円板15bの前面がその回転中心O1から放射状に延びる複数の法線hにより6等分され、その一個おきの領域の外周縁に沿ってそれぞれ前記回転中心O1を中心とする円弧状に湾曲した球受部としての球受片16a〜16cが前方へ突設されている。各球受片16a〜16c間の間隔wは、パチンコ球Bが通過できる範囲で設定される。
【0022】
ケース本体10の後面に電動アクチュエータとしてのステッピングモータ17が配置され、その水平な駆動軸18の前端側に前記球受部材15の軸筒部15aが嵌着固定されている。これにより、ステッピングモータ17の回転に伴い球受部材15が回転する。この場合、球受部材15が必要時に60度の回転角度をもって回転することになる。
【0023】
更に詳しく説明すると、球受部材15は球通路11に対しその回転面が前側を向いて対向位置している。そして、球受部材15の回転円板15bが球通路11から少し後方へずれ、上端に位置する球受片16a〜16cがそれぞれ回転円板15bの回転と共に球通路11の両側に開設された切欠部19,19を介して該球通路11内に介入し得るようになっている。例えば、回転円板15bの上端に一番目の球受片16aが位置するとき、反時計回り方向で二番目の球受片16bと三番目の球受片16cとは球通路11の外側下方であってその両側に位置する。一番目の球受片16aが球通路11の上半部11a内に位置しているときは、その先端と対向する球通路11の内周面との間隔はパチンコ球Bの直径より短く半径より長い寸法に設定されている。
【0024】
よって、一番目の球受片16aにより球通路11内に流入するパチンコ球Bを受け止めたとき、球受片16aの先端位置Fはそのパチンコ球Bの球中心O2を通り球受部材15の移動方向である回転方向と直交する面内で球中心O2から後方へずれている。また、そのパチンコ球Bによる球受部材15に加わる球圧の方向と該球受部材15の回転方向とは前記面内で互いに直交するようになっており、その球圧は球受部材15を回転し得る方向には働かない。よって、該パチンコ球Bの球圧により球受部材15が必要もなく回転することはない。換言すれば、パチンコ球Bの球圧によって球受部材15を回転させる力は生じない。
【0025】
前記球検出器13は近接スイッチが使用され、図5(ロ)想像線に示すように球検出器13の上面13aを基準として、その基準面から7.4mm下がった位置が球検出状態となる位置aであり、それより更に2.7mm下がった位置が球非検出状態となる位置bであって、パチンコ球Bの検出と共に該パチンコ球Bのそれぞれの位置a,bをも検出できるようになっている。そして、前記位置a〜位置bまでの間が球検出範囲にあたる。すなわち、球検出器13によりパチンコ球Bの検出と球受部材15の原点検出を併せ行なうことができるようになっている。
【0026】
前記ケース本体10における右・左半割体10a,10bの必要個所に螺子挿通孔20や螺子孔21が設けられ、右・左半割体10a,10bを合わせ螺子挿通孔20を介して各螺子孔21に各螺子22を螺締めすることにより、右・左半割体10a,10bが組み合わされる。同様にステッピングモータ17にも前面両側に螺子挿通孔20,20が設けられると共に、右・左半割体10a,10b側にこれらに対応して螺子孔21,21が設けられている。そして、各螺子挿通孔20を介して各螺子孔21に螺子22を螺締めすることによりステッピングモータ17が取り付けられる。
【0027】
次に、図3乃至図5に基づき作用を説明する。まず、図3、図4(イ)に示すようにステッピングモータ17が停止しているときは、球受部材15の一番目の球受片16aが回転円板15bの上端に位置すると共に球通路11内に位置している。この状態で、球流通樋107である流通管1内を螺旋突条8に沿って回転しつつ連続して流下するパチンコ球Bが球通路11内に流入することになるが、球入口12aから球通路11内へは最先のパチンコ球B1が一個入り、前記一番目の球受片16aの先端に受け止められる。この際、前記最先のパチンコ球B1は球通路11における上半部11aに位置する球検出器13の検出孔23の内周面23aにもたれかかりながら球受片16aの先端で受け止められている。
【0028】
この状態で、例えば入賞球が発生し、賞球として規定量のパチンコ球Bの払出命令が出されると、図4(ロ)に示すようにステッピングモータ17が駆動して球受部材15を同図(ロ)の矢視方向へ60度回転させる。これにより、それまで受け止められていた最先のパチンコ球B1が、支持を失って一番目と二番目の球受片16a,16bの間隔wの間から自重で落下する。同時に、続く第二番目のパチンコ球B2が球通路11内に入ると共に球検出器13内に入る。これに伴い、二番目のパチンコ球B2が球検出器13により検出されると共に二番目のパチンコ球B2が流下して球検出状態となる位置a及びその下方の球非検出状態となる位置bで検出され、そのまま下方へ自然に落下する。このようにして、球検出器13を通過するパチンコ球Bが検出されながら規定量のパチンコ球Bが払い出される。
【0029】
そして、払い出されるパチンコ球Bが規定量に達し、最後のパチンコ球Bが球検出器13を通過する。それ以後は規定量外のパチンコ球Bとなるが、図4(ハ)に示すように規定量外のパチンコ球Bのうちの最先のパチンコ球Bnが球検出器13に入る。このとき、該パチンコ球Bnが球検出状態となる位置aと球非検出状態となる位置bとでそれぞれ検出され、その間にステッピングモータ17が作動して図4(ニ)に示すように球受部材15が更に時計回り方向へ60度回転する。これにより、二番目の球受片16bが最も高い位置に来て規定量外の最先のパチンコ球Bnを受け止める。
【0030】
本発明にあっては、球受部材15をステッピングモータ17により回転させるようにしたが、構造を変えソレノイドを使って球受部材を進退動させ、該球受部材を水平面内で往復動させることによりパチンコ球を受け止めるようにしても良い。
【0031】
このように、球通路11に流入するパチンコ球Bを検出しつつ自然に落下させて排出することになる。規定量のパチンコ球Bを自然に落下させて排出するようにしているので、多くのパチンコ球Bを一度に払い出すのに都合が良い高速の払出しが可能となる。例えば、本発明の球払出装置108によれば、一分間に1000〜1500個のパチンコ球Bを払い出すことができる。
【0032】
また、図5(ロ)実線に示すように球受部材15における球受片16a〜16cにより規定量外のパチンコ球Bのうちの最先のパチンコ球Bnを受け止めたとき、その受け止めた先端位置Fがそのパチンコ球Bnの球中心O2を通り球受部材15の回転方向と直交する面内で該パチンコ球Bnの球中心O2からずれている。このため、球受片16a〜16cは必ず上下方向でパチンコ球Bnの球中心O2よりもずれた下方位置で接触しパチンコ球Bnを受け止めることになる。よって、パチンコ球Bnが球受部材15の球受片16a〜16cと球通路11の内周面との間で挟まれる所謂球噛みが防止される。
【0033】
更に、球受部材15に加わるパチンコ球Bnの球圧の方向と該球受部材15の回転方向とはパチンコ球Bnの球中心O2を通り球受部材15の回転方向と直交する面内で互いに直交することから、仮にパチンコ球Bnからの球圧が球受部材15に加わったとしても、球受部材15を回転させようとする力が生じない。このため、球圧により誤って規定量以上のパチンコ球Bを払い出すという誤動作がなくなり、ホールにおけるパチンコ球Bの管理が行ない易い。
【0034】
更にまた、球払出装置108はその構成部品が、二分割されるケース本体10、球検出器13、球受部材15及びステッピングモータ17という5点と少なく、該球払出装置108の組立てが簡単であるばかりか、製作費用も低廉になし得る。球受部として球受片16a〜16cを示したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
11 球通路
13 球検出器
15 球受部材
17 電動アクチュエータ(ステッピングモータ)
108 球払出装置
B 遊技球(パチンコ球)
B1 遊技球(パチンコ球)
B2 遊技球(パチンコ球)
Bn 遊技球(パチンコ球)
O1 回転中心
O2 球中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に設けられ遊技球が一列に流下する球通路と、
前記球通路に配置され、通過する遊技球の球検出範囲が設定されその球検出状態となる位置と球非検出状態となる位置とを検出する球検出器と、
前記球検出器の下方に配置され、前記球検出状態と球非検出状態との間に位置する遊技球の検出に伴い電動アクチュエータにより前記球通路内に移動して払い出される規定量の遊技球のうちの最後の遊技球とその次の規定量外の最先の遊技球との間に介入し、前記規定量外の最先の遊技球を受け止める球受部材と、を有し、
前記規定量外の最先の遊技球が前記球受部材により受け止められたとき、その受け止められた位置はその遊技球の球中心を通り前記球受部材の移動方向と直交する面内で球中心からずれかつ該遊技球による前記球受部材に加わる球圧の方向と該球受部材の移動方向とは前記面内で互いに直交するようになっており、前記規定量の遊技球は前記球受部材により受け止められず自然に落下して払い出されることを特徴とする遊技球の球払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−102821(P2013−102821A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246756(P2011−246756)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(593045053)株式会社内藤商会 (112)
【Fターム(参考)】