説明

遊技機の皿揚球装置

【課題】遊技者が球に触れることなく、上球受皿や下球受皿から全ての球が抜き取れるようにする。
【解決手段】球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖し、上球抜取操作体19が操作され、球が上球受皿11から下球受皿12に抜き取られることによって揚送球入口26に取り込まれることなく下球受皿12に貯蔵され、その後、下球抜取操作体25が操作されると、球が下球受皿12から球箱37に抜き取られ、または、揚送操作体41が操作されると、球揚送扉43が揚送球入口26を開放するとともに揚送モータ32が駆動し、球が下球受皿12から上球受皿11に揚送されて上球受皿11に貯蔵され、その後、揚送操作体41が再操作されると、球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖してから規定時間後に揚送モータ31が停止し、球が揚送球導入路34から揚送球搬送体33の下部に残らないようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が球に触れることなく、下球受皿や上球受皿から全ての球が抜き取れる遊技機の皿揚球装置に関する。
【背景技術】
【0002】
球を遊技媒体として使用するパチンコ遊技機などの遊技機では、下球受皿から上球受皿に球を搬送する皿揚球装置が知られている。図5および図6は、特許文献1で開示された皿揚球装置を備えたパチンコ遊技機を示す。
【0003】
図6において、パチンコ遊技機は、遊技機枠1の内部に図外の遊技盤を交換可能に取り付ける形態である。遊技機枠1は、固定枠2の前部に可動枠3を備え、可動枠3の前部に前扉4および皿構造体5を備える。固定枠2は、遊技機設置設備に固定される。遊技機設置設備は、パチンコ遊技機を設置する遊技店の島と呼ばれる設備である。可動枠3は、左側に位置するヒンジ6を中心とし、固定枠2の前で前方に開かれかつ後方に閉じられるように、開閉可能である。可動枠3には、図外の施錠装置、図外の遊技盤を交換可能に取り付けるための機構、図外の球発射機構、図外の球払出装置が設けられる。前扉4および皿構造体5は、個別に、左側に位置するヒンジ7を中心とし、可動枠3の前で前方に開かれかつ後方に閉じられるように、開閉可能である。
【0004】
前扉4には、窓9、前面パネル10が設けられる。窓9は、前後方向への貫通孔として構成される。前面パネル10は、窓9を後から塞ぐ大きさの板状である。皿構造体5は、前扉4よりも下部に配置される。皿構造体5の前部には、上球受皿11、下球受皿12、球発射操作機構13が設けられる。上球受皿11は、遊技に使用する球を貯蔵する容器である。下球受皿12は、上球受皿11から抜き取られる球を貯蔵する容器である。
【0005】
上球受皿11には、球払出口15、発射球供給口16、上抜取球入口17、上球抜取扉18、上球抜取操作体19、揚送球出口20が設けられる。上球受皿11の球と接触する底面は、上球受皿11に取り込まれた球を発射球供給口16に向けて流下させる斜面を構成する。上球抜取扉18と上球抜取操作体19とは互いに図外の連結機構で連結されており、上球抜取操作体19がばねのばね力に抗し遊技者に操作されるのに伴い連結機構を介して上球抜取扉18が上抜取球入口17を開放するように動作し、上記上球抜取操作体19への遊技者からの操作が解除されるのに伴いばねのばね力で連結機構を介して上球抜取扉18が上抜取球入口17を閉鎖するように動作する。つまり、上球抜取扉18は上球抜取操作体19の操作に伴い機械式に開閉する構造になっている。
【0006】
下球受皿12には、下抜取球入口22、下抜取球出口23、下球抜取扉24、下球抜取操作体25、揚送球入口26、揚送操作体27が設けられる。下球受皿12の球と接触する底面28は、下球受皿12の内部に取り込まれた球を揚送球入口26に向けて流下させる斜面を構成する。下球抜取扉24と下球抜取操作体25とは互いに図外の連結機構で連結されており、下球抜取操作体25が遊技者で操作されるのに伴い連結機構を介して下球抜取扉24が下抜取球出口23を開放するように動作し、上記下球抜取操作体25への遊技者からの操作が解除されるのに伴い連結機構を介して下球抜取扉24が下抜取球出口23を閉鎖するように動作する。つまり、下球抜取扉24は下球抜取操作体25の操作に伴い機械式に開閉する構造になっている。
【0007】
図5において、上球受皿11および下球受皿12には、抜取球通路29および球揚送機構30が設けられる。球揚送機構30は、揚送筐体31、揚送モータ32、揚送球搬送体33、揚送球導入路34、揚送球導出路35を備える。
【0008】
図5において、皿揚球装置の動作について説明する。上抜取球入口17が上球抜取扉18で閉鎖され、球払出装置から賞球または貸球としての球が払い出された場合、当該球は、図6の球払出口15から上球受皿11に払い出され、上球受皿11の球と接触する底面を球発射球供給口16に向けて流下して上球受皿11に貯蔵される。
【0009】
図5に戻り、前記のように球が上球受皿11に貯蔵された状態において、遊技者が上球抜取操作体19を操作し、上球抜取扉18が実線で示す位置から仮想線で示す位置に移動しかつ停止し上抜取球入口17を開放する。これによって、球が、矢印X1で示すように上球受皿11から上抜取球入口17と抜取球通路29および下抜取球入口22を経由して下球受皿12に排出された後に下球受皿12の底面28を揚送球入口26に向けて流下して下球受皿12に貯蔵されるとともに、矢印X2で示すように揚送球入口26を経由して揚送球導入路34に貯蔵される。
【0010】
そして、球が下球受皿12および揚送球導入路34に貯蔵され、球箱37が下球受皿12の真下に位置するように遊技機設置設備の棚38の上に置かれた状態において、遊技者が下球抜取操作体25を操作すると、下球抜取扉24が実線で示す位置から仮想線で示す位置に移動しかつ停止して下抜取球出口23を開放する。これによって、球が、矢印X3で示すように下抜取球出口23から落下して球箱37に取り込まれる。この場合、上記揚送球導入路34に貯蔵された球は、揚送球導入路34に残存されたままである。
【0011】
また、下球抜取扉24が仮想線で示す位置から実線で示す位置に移動しかつ停止して下抜取球出口23を閉鎖し、球が下球受皿12および揚送球導入路34に貯蔵された状態において、遊技者が揚送操作体27を操作すると、揚送モータ32が揚送球搬送体33を回転し、揚送球搬送体33が揚送球導入路34に残存する球および下球受皿12に貯蔵された球を上方に搬送する。この上方に搬送された球は矢印X4で示すように揚送球搬送体33の上部から揚送球導出路35を経由して揚送球出口20から上球受皿11に排出される。
【0012】
しかしながら、下球受皿12の底面28が球を揚送球入口26に向けて流下させる斜面を構成し、球が揚送球導入路34に残る構造になっている。このため、揚送球導入路34に残存する球を抜き取る場合、遊技者が、揚送球入口26を手などで塞ぎ、揚送操作体27および上球抜取操作体19を操作し、球を揚送操作体27で上球受皿11に揚送し、この球を上球受皿11から上球抜取扉18と抜取球通路29および下抜取球入口22を経由して下球受皿12に排出させ、この球を下球受皿12から下抜取球出口23を経由して球箱37に抜き取られる必要があり、遊技者が揚送球入口26を手で塞ぐことから、遊技者が球に触れなければならないという欠点がある。
【特許文献1】特開2001−353322号公報
【特許文献2】特開2003−340086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明が解決しようとする問題点は、揚送球導入路に残存する球を抜き取る場合、遊技者が球に触れなければならないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る遊技機の皿揚球装置は、遊技に使用する球を貯蔵する上球受皿と、上球受皿から抜き取られる球を貯蔵する下球受皿と、上球受皿から下球受皿に球を抜き取る開閉可能な上抜取球入口と、下球受皿から下方外部に球を抜き取る開閉可能な下抜取球出口と、球受皿から上球受皿に球を搬送する球揚送機構と、下球受皿から球揚送機構に球を取り込む開閉可能な揚送球入口とを備え、下球受皿の球と接触する底面が球を下抜取球出口に向けて流下させる斜面として構成され、揚送球入口が閉鎖すると球を下抜取球出口または下球受皿の球と接触する底面に向けて流下させる斜面として構成され、上抜取球入口が閉鎖すると球が上球受皿に貯蔵され、上抜取球入口が開放しかつ下抜取球出口および揚送球入口が閉鎖すると球が上球受皿から抜き取られて下球受皿に貯蔵され、揚送球入口が閉鎖しかつ下抜取球出口が開放すると球が上記底面を流下して下球受皿から下方外部に全て抜き取られ、下抜取球出口が閉鎖しかつ揚送球入口が開放すると球揚送機構が下球受皿から上球受皿に球を搬送するように駆動し、その球揚送機構の駆動中に揚送球入口が閉鎖するとその閉鎖から規定時間後に上記球揚送機構が停止するように、揚送球入口の開閉と球揚送機構の駆動とが制御されたことを最も主要な特徴とする。下抜取球出口が閉鎖すると球を揚送球入口に流下させる斜面として構成されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る遊技機の皿揚球装置は、下抜取球出口および揚送球入口が閉鎖して球が下球受皿に貯蔵された状態において、下抜取球出口が開放すると球が下球受皿の球と接触する底面を流下して下球受皿から下方外部に全て抜き取られ、また、下抜取球出口および揚送球入口が閉鎖して球が下球受皿に貯蔵された状態において、下抜取球出口が閉鎖しかつ揚送球入口が開放すると球揚送機構が下球受皿から上球受皿に球を搬送するように駆動し、その球揚送機構の駆動中に揚送球入口が閉鎖するとその閉鎖から規定時間後に上記球揚送機構が停止し、球が揚送球入口から球揚送機構に残らないので、遊技者が揚送球入口を手などで塞ぐことが不要であって、遊技者が球に触れることがなく、下球受皿や上球受皿から全ての球が抜き取れるという利点がある。下抜取球出口が閉鎖すると球を揚送球入口に流下させる斜面として構成されれば、遊技者が球に触れることがなく、球が下球受皿から揚送球入口に全て取り込まれるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1乃至図3は、発明を実施するための最良の形態である。図1乃至図3において、従来と同一機能を有する部分には図5および図6の符号と同一符号を付し、重複説明を省略する。図1は、皿構造体5に設けられた皿揚球装置の縦に切断した模式的な断面を示す。図2は、パチンコ遊技機の遊技機枠1を示す。図3は、皿揚球装置の制御の流れを示す。本明細書において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向は、図2の状態に遊技機枠1を置いて矢印Aで示す前方から見た場合に特定される方向である。
【0017】
図2において、球払出口15が上球受皿11の右側に設けられたこと、発射球供給口16と上抜取球入口17および上球抜取扉18が上球受皿11の左側に設けられたこと、上球抜取操作体19および揚送操作体41が皿構造体5における上球受皿11の前を覆い隠す前面42に設けられたこと、下球受皿12の底面28が下球受皿12の内部に取り込まれた球を下抜取球出口23に向けて流下させる斜面を構成したこと、揚送球入口26には球揚送扉43が設けられたこと、下球抜取扉24および球揚送扉43の双方が閉じた場合に球揚送扉43の上面が下球抜取扉24の上面よりも上方に配置され、下球抜取扉24が閉じた場合に下球抜取扉24の上面が球を揚送球入口26に向けて流下させる斜面を構成し、球揚送扉43が閉じた場合に球揚送扉43の上面が球を下抜取球出口23または底面28に向けて流下させる斜面を構成したこと、球揚送扉43が開いた場合に球揚送扉43の上面が球を揚送球入口26から揚送球導入路34(図1参照)に向けて流下させる斜面を構成したことが図6と相違する。揚送操作体41は、遊技者に操作された場合、球揚送扉43と図1の揚送モータ32とが動くように構成されたことで、図5の揚送操作体27と機能が異なる。
【0018】
つまり、上記球揚送扉43が揚送球入口26に設けられたことは、揚送球入口26が開閉可能に構成されことと、同義語である。下球抜取扉24および球揚送扉43の双方が閉じた場合に球揚送扉43の上面が下球抜取扉24の上面よりも上方に配置されたことは、揚送球入口26および下抜取球出口23の双方が閉鎖した場合に揚送球入口26が下抜取球出口23よりも上方に配置されたことと、同義語である。下球抜取扉24が閉じた場合に下球抜取扉24の上面が球を揚送球入口26に向けて流下させる斜面を構成することは、下抜取球出口23が閉鎖した場合に球を揚送球入口26に向けて流下させる斜面を構成することと、同義語である。球揚送扉43が閉じた場合に球揚送扉43の上面が球を下抜取球出口23または底面28に向けて流下させる斜面を構成したことは、揚送球入口26が閉鎖した場合に球を下抜取球出口23または底面28に向けて流下させる斜面を構成することと、同義語である。球揚送扉43が閉じた場合に球揚送扉43の上面が球を下抜取球出口23または底面28に向けて流下させる斜面を構成したことは、揚送球入口26が開放した場合に球を揚送球入口26から揚送球導入路34の方に流下させる斜面を構成することと、同義語である。
【0019】
球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖しかつ揚送モータ32が停止した状態において、揚送操作体41が操作されると、球揚送扉43が揚送球入口26を開放し、揚送モータ32が駆動する。球揚送扉43が揚送球入口26を開放しかつ揚送モータ32が駆動した状態において、揚送操作体41が操作されると、球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖し、それから規定時間後に揚送モータ32が停止する。この球揚送扉43が揚送球入口26を開放しかつ揚送モータ32が駆動した状態において、揚送操作体41が操作される場合を、揚送操作体41の再操作と称する。
【0020】
図3を参照し、皿揚球装置の制御の流れについて説明する。図3において、揚送操作体41が操作されるごとに揚送操作検出器49が揚送開始信号を制御装置50に出力し、制御装置50が揚送モータ32を制御する。具体的には、制御装置50に内蔵されたコンピュータが、電気の供給を受けたことによって起動すると、制御装置50を示すブロックの中に図示したフローチャートにしたがった揚送モータ32に対する処理を実行する。つまり、揚送操作体41が操作され、揚送操作検出器49が揚送開始信号を制御装置50に出力すると、ステップ101における揚送操作の判定がYESとなり、ステップ102に進む。
【0021】
ステップ102では、揚送操作中であることを示すフラグがコンピュータのRAMに設定されているか否かを判定する。ステップ102の判定において、フラグがRAMに設定されていなければ、揚送操作中ではなく、ステップ101で入力された揚送開始信号が再入力ではない揚送開始信号であり、ステップ102がNOであるので、ステップ103に進む。ステップ103では、揚送操作中であることを示すフラグをコンピュータのRAMに設定し、ステップ104に進む。ステップ104では、制御装置50が揚送モータ32を駆動するとともに揚送モータ32に対する駆動を自己保持し、コンピュータによる処理の1サイクルを終わる。
【0022】
上記ステップ102の判定において、フラグがRAMに設定されていれば、揚送操作中であり、ステップ101で入力された揚送開始信号が再入力された揚送開始信号であり、ステップ102がYESであるので、ステップ105に進む。ステップ105では、揚送経過時間を計時し、ステップ106に進む。ステップ106では、ステップ105で計時した揚送経過時間が規定時間に到達したか否かを判定する。ステップ106の判定において、揚送経過時間が規定時間に到達していなければ、ステップ106がNOであり、ステップ105にジャンプする。ステップ106の判定において、揚送経過時間が規定時間に到達していれば、ステップ106がYESであり、ステップ107に進む。ステップ107では、制御装置50が揚送モータ32に対する駆動の自己保持を解除するとともに揚送モータ32を停止し、ステップ108に進む。ステップ108では、フラグをRAMから消去し、コンピュータによる処理の1サイクルを終わる。
【0023】
上記制御の処理によれば、揚送操作体41が操作されると、制御装置50が揚送モータ32を駆動するともに揚送モータ32に対する駆動を自己保持する。そして、制御装置50が揚送モータ32に対する駆動を自己保持した状態において、揚送操作体41が操作されると、制御装置50が揚送操作検出器49からの揚送開始信号の再入力を検出し、この再入力の検出から規定時間後に、制御装置50が揚送モータ32に対する駆動の自己保持を解除するとともに揚送モータ32を停止する。規定時間は、制御装置50の再入力を検出してから揚送球搬送体33が揚送球導入路34に残存する全ての球を揚送球導出路35に揚送するまでに要する時間として、経験則から求められ、制御装置50におけるコンピュータのROMに設定される。
【0024】
図1を参照し、皿揚球装置の動作について説明する。上球抜取扉18が上抜取球入口17を閉鎖した状態において、球が上球受皿11に貯蔵される場合、当該球は上球受皿11から球発射球供給口16と上球抜取扉18の底面を経由しつつ球発射球供給通路46から発射球送出口47に到達する。そして、遊技者が図2の球発射操作機構13を操作すると、発射球送出機構48における電磁ソレノイドのようなアクチュエータが発射球送出体を駆動し、発射球送出体が球を図外の球発射機構の発射動作に合わせて球発射機構に発射球として1個ずつ供給する。球発射機構は、球発射操作機構13(図2参照)から出力された操作量に応じた発射力で例えば1分間に1から100発未満までの規定数の間隔で駆動し、発射球送出機構48から供給された図外の遊技盤の前面に向けて発射する。
【0025】
前記のように球が上球受皿11に貯蔵された状態において、遊技者が上球抜取操作体19を操作すると、上球抜取扉18が例えば図1の紙面の表面から裏面の方に横移動して上抜取球入口17を開放する。これによって、上球受皿11から発射球送出口47に到達している球が、発射球送出口47に残ることなく、矢印X1で示すように球発射球供給通路46から抜取球通路29および下抜取球入口22を経由して下球受皿12に排出される。
【0026】
そして、下球抜取扉24が実線で示す位置に停止して下抜取球出口23を閉鎖し、球揚送扉43が実線で示す位置に停止して揚送球入口26を閉鎖した状態において、上記のように球が上球受皿11から下球受皿12に排出された場合、当該球は下球受皿12の底面28または球揚送扉43の上面44を下抜取球出口23に向けて流下して下球受皿12に貯蔵される。
【0027】
前記のように球が下球受皿12に貯蔵され、球箱37が下球受皿12の真下に位置するように遊技機設置設備の棚38の上に置かれた状態において、遊技者が下球抜取操作体25を操作すると、下球抜取扉24が実線で示す位置から仮想線で示す位置に移動しかつ停止して下抜取球出口23を開放し、球が矢印X3で示すように下球受皿12の下抜取球出口23から下球受皿12の下方外部に落下して球箱37に取り込まれる。
【0028】
下球抜取扉24が仮想線で示す位置から実線で示す位置に移動しかつ停止して下抜取球出口23を閉鎖し、球が下球受皿12に貯蔵された状態において、遊技者が揚送操作体41を操作すると、球揚送扉43が実線で示す位置から仮想線で示す位置に移動しかつ停止して揚送球入口26を開放するとともに揚送モータ32が駆動する。これによって、球が、矢印X2で示すように、下球抜取扉24の上面45から球揚送扉43の上面44に到達した後、球揚送扉43の上面44から図1の紙面の表面または裏面の方に流下して揚送球入口26から揚送球入口26を経由して揚送球導入路34および揚送球搬送体33の下部に到達する。そして、揚送モータ32の駆動によって回転された揚送球搬送体33が上記揚送球搬送体33の下部に到達した球を上方に搬送する。この上方に搬送された球は矢印X4で示すように揚送球搬送体33の上部から揚送球導出路35を経由して揚送球出口20から上球受皿11に排出される。上記揚送モータ32の駆動は、制御装置50(図3参照)により自己保持される。
【0029】
揚送モータ32の駆動に伴い、球が下球受皿12から上球受皿11に揚送されている最中において、遊技者が揚送操作体41を再操作すると、球揚送扉43が仮想線で示す位置から実線で示す位置に移動しかつ停止して揚送球入口26を閉鎖し、球が揚送球導入路34に進入することなく下球受皿12に貯蔵される。球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖してから規定時間を経過したら、揚送モータ32が停止する。これによって、上記球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖した時点において、揚送球導入路34に残る球が、上記揚送モータ32の規定時間での駆動によって、上球受皿11に揚送される。つまり、球揚送機構30の駆動中に球揚送扉43が閉鎖された場合、球が揚送球入口26から球揚送機構30に残らない。
【0030】
前記揚送操作体41の再操作後に、遊技者が上球抜取操作体19を操作すると、上球抜取扉18が上抜取球入口17を開放し、球が矢印X1で示すように上球受皿11から下球受皿12に排出される。この場合、すでに、球揚送扉43が実線で示す位置に停止して揚送球入口26を閉鎖しているので、下抜取球入口22から下球受皿12に排出された球は、下球受皿12の底面28または球揚送扉43の上面44を下抜取球出口23に向けて流下して下球受皿12に貯蔵される。
【0031】
最良の形態によれば、図1に示すように、下球受皿12の底面28が球を下抜取球出口23に向けて流下させる斜面として構成され、揚送球入口26が開閉可能に構成され、揚送球入口26が閉鎖すると球を下抜取球出口23または底面28に向けて流下させる斜面として構成され、そして、下抜取球出口23および揚送球入口26が閉鎖して球が下球受皿12に貯蔵された状態において、下抜取球出口23が開放すると球が底面28を流下して下球受皿12から下方外部に全て抜き取られ、また、抜取球出口23および揚送球入口26が閉鎖して球が下球受皿12に貯蔵された状態において、下抜取球出口23が閉鎖しかつ揚送球入口26が開放すると球揚送機構30が下球受皿12から上球受皿11に球を搬送するように駆動し、その球揚送機構30の駆動中に揚送球入口26が閉鎖するとその閉鎖から規定時間後に球揚送機構30が停止し、球が揚送球入口26から球揚送機構30に残らないので、遊技者が揚送球入口を手などで塞ぐことが不要であって、遊技者が球に触れることがなく、下球受皿や上球受皿から全ての球が抜き取れるという利点がある。
【0032】
具体的には、球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖し、下球抜取扉24が下抜取球出口23を閉鎖した状態において、遊技者が上球抜取操作体19を操作した場合、球が上球受皿11から下球受皿12に抜き取られて貯蔵される。そして、球箱37が下球受皿12の真下に位置するように遊技機設置設備の棚38の上に置かれ、遊技者が下球抜取操作体25を操作すると、球が下球受皿12から下球受皿12の下方外部の球箱37に全て抜き取られる。また、上記のように球が下球受皿12に貯蔵された後、遊技者が下球抜取操作体25を操作しないで揚送操作体41を操作すると、球揚送扉43が揚送球入口26を開放するとともに揚送モータ32が駆動し、球が下球受皿12から上球受皿11に揚送されて上球受皿11に貯蔵される。その後、遊技者が下揚送操作体41を再操作すると、球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖してから規定時間後に揚送モータ32が停止し、球が揚送球入口26から球揚送機構30に残らない。このため、遊技者が揚送球入口26を手などで塞ぐことが不要であり、遊技者が球に触れることがなく、下球受皿12から上球受皿11に球を揚送させたり、上球受皿11から下球受皿12に球を抜き取ったり、下球受皿12から球箱37に球を抜き取ったりすることができるという利点がある。つまり、遊技者が球に触れることがなく、下球受皿12や上球受皿11から全ての球が抜き取れるという利点がある。
【0033】
最良の形態によれば、図1に示すように、下球抜取扉24が閉じた場合に下球抜取扉24の上面45が球を揚送球入口26に向けて流下させる斜面を構成するというように、下抜取球出口23が閉鎖すると球を揚送球入口26に流下させる斜面として構成されているので、下抜取球出口23が閉鎖しかつ揚送球入口26が開放すると、遊技者が球に触れることがなく、球が下球受皿12から揚送球入口26に全て取り込まれ、球揚送機構30が球を下球受皿12から上球受皿11に全て搬送することができるという利点がある。
【0034】
図1において、閉じた下球抜取扉24と閉じた球揚送扉43との間の距離Dは、1個の球の半径よりも小さな寸法に設定され、下球抜取扉24が開放しかつ球揚送扉43が閉鎖した場合、球が距離Dの部分に滞留しないようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0035】
球揚送扉43は、電動式または機械式に開閉することができる。球揚送扉43を電動式に開閉する場合、球揚送扉43にアクチュエータを設け、揚送操作体41の操作に伴いアクチュエータが球揚送扉43を開放するように動かし、揚送操作体41の再操作に伴いアクチュエータが球揚送扉43を閉鎖するように動かす。球揚送扉43を機械式に開閉する場合、揚送操作体41と球揚送扉43とを互いに連結機構で連結しておき、揚送操作体41の操作に伴い連結機構を介して球揚送扉43が開放するように動作してその開放状態を保持し、揚送操作体41の再操作に伴い連結機構を介して球揚送扉43が閉鎖するように動作してその閉鎖状態を保持する。また、球揚送扉43を機械式に開閉する場合、揚送操作体41と球揚送扉43とを互いに連結機構で連結しておき、揚送操作体41が遊技者で操作されるのに伴い連結機構を介して球揚送扉43が揚送球入口26を開放するように動作し、上記揚送操作体41への遊技者からの操作が解除されるのに伴い連結機構を介して球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖するように動作してもよい。つまり、揚送操作体41が遊技者で操作されている間は球揚送扉43が揚送球入口26を開放し、揚送操作体41への遊技者による操作が解除されると球揚送扉43が揚送球入口26を閉鎖する構造になっている。この場合、揚送操作体41への遊技者からの操作の解除が揚送操作体41の再操作に相当する。
【0036】
図1において、球揚送扉43が、例えば図1の紙面の表面から裏面の方に横移動して揚送球入口26を開放するというように、揚送球入口26に対し左右方向または前後方向に横移動して揚送球入口26を開放するようにしてもよい。
【0037】
図1において、下抜取球出口23および揚送球入口26が1つの孔となるように連接されたが、下抜取球出口23および揚送球入口26が2つの孔として個別に構成さてもよい。
【0038】
図2において、前扉4および皿構造体5は一体であってもよい。また、球揚送機構30は、皿構造体5の後部ではなく、皿構造体5の前面と皿構造体5の前面42との間に位置されるように、皿構造体5の前部にも設けられてもよい。
【0039】
図2において、遊技機はパチンコ遊技機に限定されるものではなくスロットマシンでもよい。つまり、遊技盤を図柄表示器に置換し、球発射操作機構13を球取込操作機構に置換し、球発射機構を球取込機構に置換し、遊技開始操作機構および図柄停止操作機構を皿構造体5の前部または前扉4の前部に設ければ、皿揚球装置はスロットマシンにも適用できる。
【0040】
図4に示すように、球揚送扉43を構成してもよい。図4のa図では、球揚送扉43が実線で示す閉鎖位置と仮想線で示す開放位置とに軸51を中心として回転するようになっている。この場合、球揚送扉43は、片開きに限定されるものではなく、両開きであってもよい。図4のb図では、球揚送扉43が実線で示す閉鎖位置と仮想線で示す開放位置とに軸52を中心として回転する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】皿揚球装置の縦断面図に相当する模式図(最良の形態)。
【図2】遊技機枠の斜視図(最良の形態)。
【図3】皿揚球装置のフローチャート(最良の形態)。
【図4】球揚送扉を示す模式図(異なる形態)。
【図5】皿揚球装置の縦断面図に相当する模式図(従来)。
【図6】遊技機枠の斜視図(従来)。
【符号の説明】
【0042】
1は遊技機枠、2は固定枠、3は可動枠、4は前扉、5は皿構造体、6はヒンジ、7はヒンジ、8は欠番、9は窓、10は前面パネル、11は上球受皿、12は下球受皿、13は球発射操作機構、14は欠番、15は球払出口、16は発射球供給口、17は上抜取球入口、18は上球抜取扉、19は上球抜取操作体、20は揚送球出口、21は欠番、22は下抜取球入口、23は下抜取球出口、24は下球抜取扉、25は下球抜取操作体、26は揚送球入口、27は揚送操作体、28は下球受皿12の底面、29は抜取球通路、30は球揚送機構、31は揚送筐体、32は揚送モータ、33は揚送球搬送体、34は揚送球導入路、35は揚送球導出路、36は欠番、37は球箱、38は棚、39;40は欠番、41は揚送操作体、42は皿構造体5の前面、43は球揚送扉、44は球揚送扉43の上面、45は下球抜取扉24の上面、46は球発射球供給通路、47は発射球送出口、48は発射球送出機構、49は揚送操作検出器、50は制御装置、51;52は軸、Dは下球抜取扉24と球揚送扉43との間の距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に使用する球を貯蔵する上球受皿と、上球受皿から抜き取られる球を貯蔵する下球受皿と、上球受皿から下球受皿に球を抜き取る開閉可能な上抜取球入口と、下球受皿から下方外部に球を抜き取る開閉可能な下抜取球出口と、下球受皿から上球受皿に球を搬送する球揚送機構と、下球受皿から球揚送機構に球を取り込む開閉可能な揚送球入口とを備え、下球受皿の球と接触する底面が球を下抜取球出口に向けて流下させる斜面として構成され、揚送球入口が閉鎖すると球を下抜取球出口または下球受皿の球と接触する底面に向けて流下させる斜面として構成され、上抜取球入口が閉鎖すると球が上球受皿に貯蔵され、上抜取球入口が開放しかつ下抜取球出口および揚送球入口が閉鎖すると球が上球受皿から抜き取られて下球受皿に貯蔵され、揚送球入口が閉鎖しかつ下抜取球出口が開放すると球が上記底面を流下して下球受皿から下方外部に全て抜き取られ、下抜取球出口が閉鎖しかつ揚送球入口が開放すると球揚送機構が下球受皿から上球受皿に球を搬送するように駆動し、その球揚送機構の駆動中に揚送球入口が閉鎖するとその閉鎖から規定時間後に上記球揚送機構が停止するように、揚送球入口の開閉と球揚送機構の駆動とが制御されたことを特徴とする遊技機の皿揚球装置。
【請求項2】
請求項1記載の下抜取球出口が閉鎖すると球を揚送球入口に流下させる斜面として構成されたことを特徴とする遊技機の皿揚球装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−132104(P2008−132104A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319663(P2006−319663)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】