説明

遊技機の監視システム及び遊技機

【課題】遊技機で発生する乱数を不正に初期化する行為を発見する。
【解決手段】メモリクリアスイッチが押されたとき、メイン基板はサブ基板へ乱数発生を初期化したことを報知するためのコマンドを送り、サブ基板はホールコンピュータへ乱数発生を初期化した旨の信号を送る。同時に、メイン基板は、集中端子板の出力信号のうち予め選択された2以上の信号を同時にオンしてホールコンピュータへ送る。ホールコンピュータは、サブ基板から乱数発生を初期化した旨の信号を受けたとき、同時に、集中端子板からの予め選択された2以上の信号がオンしていないときは、不正行為と判定する。乱数発生器を初期化した旨の信号を副制御部経由と集中端子板経由の2系統でホールコンピュータへ送っているので、不正行為を確実に検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)などの遊技機及びその監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機設置営業店(ホール)などに設置されている弾球遊技機(いわゆるパチンコ機)は、遊技球(遊技媒体とも呼ぶ)を用いて遊技を行うものである。借り受けた遊技球を弾球遊技機の遊技盤に設けられている盤面へ打ち出し、当該遊技球が予め定められた入賞口に入るごとに所定数の遊技球を払出すようになっている。払い出される遊技球は賞球と呼ばれる。
【0003】
弾球遊技機の盤面に設けられている入賞口には次のようなものがある。
(1)普通入賞装置
(2)スタートチャッカー(始動入賞装置)
(3)アタッカー(大入賞装置)
(4)スルーチャッカー(入賞チャッカー)
【0004】
スタートチャッカー(始動入賞装置)は特定入賞装置とも呼ばれる。遊球球がスタートチャッカー(始動入賞装置)に受け入れられて入賞状態になったとき、賞球を払い出すとともに電子的な抽選を行い、当選の場合に通常状態から遊技者にとって有利な遊技状態となるよう、アタッカー(大入賞装置)を開放状態にするものである。
アタッカー(大入賞装置)は特別入賞装置とも呼ばれる。
【0005】
スルーチャッカー(入賞チャッカー)は直接賞球を払い出すものではないが、本明細書において入賞口に含める。遊技球がスルーチャッカー(入賞チャッカー)を通過したことが検知されたとき、電子的な抽選を行い、当選したときは遊技者にとって有利な遊技状態となるよう、スタートチャッカー(始動入賞装置)を所定時間開放し、遊技球がスタートチャッカー(始動入賞装置)に入りやすくする。スルーチャッカー(入賞チャッカー)に受け入れられた遊技球はそのまま盤面を移動し、他の入賞口又は排出口(アウト口)に受け入れられる。
【0006】
近年、パチンコ機においては、遊技盤の中央に設けられる可変表示装置(センター役物)の表示画面によって遊技者に特別な利益を発生させるものが知られている。例えば、可変表示装置(センター役物)に表示される図柄が変動し停止した時の図柄の組合せによって「当り」と称される動作が開始し、遊技盤面の下方に設けられる大入賞装置が連続して開放され、その間に多数の入賞が得られることから遊技者に大量の賞球が払出されるものがある。このようなパチンコ機は、当り判定用の乱数発生手段を具備し、始動入賞装置に遊技球が入賞したときに、乱数発生手段の乱数を抽出するとともに可変表示装置(センター役物)の図柄変動を開始させ、当該抽出した乱数の値が予め定めた条件に合致するときに可変表示装置(センター役物)の表示変動を当り図柄で停止させ、当り動作を開始する。乱数発生手段として、カウンタやレジスタ等のハードウエアで構成されるもの又はソフトウエアで実行されるカウンタで実現されるものがある。
【0007】
図15を参照して、従来の遊技機における乱数発生、特に電源投入時の乱数発生処理について説明を加える。同図は、遊技機の制御部のメモリの内容をクリア(初期状態)するためのメモリクリアスイッチをオンにしつつ、遊技機の電源をオンにしたときの処理部(CPU)の処理と、そのときの乱数発生の様子を示している。発生される乱数が、初期値(0000)から始まり、一定の周期TRで繰り返される点に注意されたい。なお、メモリクリアスイッチをオフのままで電源をオンにすると、遊技機は、前回の電源オフ時点の状態から継続して動作するので、図15のように発生される乱数が初期値(0000)から始まるとは限らない。本明細書では、特に断らない限り、メモリクリアスイッチをオンにしつつ遊技機の電源をオンにしたときの動作について説明を加える。なお、以下に説明する乱数の発生方法は、カウンタICなどのハードウエアを用いたハード乱数の生成方式、プログラムによるソフト乱数の発生方式のいずれにも適用可能である。
【0008】
t1で電源がオンになると、CPUはそのときのメモリクリアスイッチの状態を読みに行く。図15ではメモリクリアスイッチがオンであるので、CPUは起動処理を行った後に、メモリの全領域をクリア(初期状態)する。しかる後に(図15では電源オンから時間TS経過後に)通常処理を行うための所定の起動処理を実行し、通常処理に移行させて遊技の受け付けが可能になる。通常処理において、乱数が発生される。具体的には、メモリの所定の領域(番地)のデータを乱数値(例えば、0〜65535の範囲の数値)と定義しておき、当該データを所定の間隔で+1するというカウント動作(例えば、0から65535とするまでカウントアップする動作)を繰り返す。図15では、メモリクリアされているので、乱数値の初期値は常に一定である(例えば0000)。カウント動作に基づいて乱数値が増加して最大値MAXに達すると最小値MIN(例えば0000)に戻る。再び同じことが繰り返される。
【0009】
以上の説明からわかるように、遊技機の乱数は、入賞などの特定の処理が行われない限り、一定周期TRで規則的にカウント動作が繰り返される更新値である。そして、図15のようにメモリクリアスイッチをオンにして電源をオンにした場合は、その初期値も毎回同じである。従って、電源オンから通常処理を開始するまでの時間TSと乱数の更新に係る繰り返し周期TRを知れば、任意の時点で更新される乱数値を予測することができ、所望の乱数値を取得して意図的に大当りを獲得することも可能である。
【0010】
実際の乱数発生周期TRは非常に短いので、人間技で所望の更新された乱数値を取得するように打球タイミングを調整することは難しい。しかし、打球タイミングを知らせるために一定のテンポを直接的に体に感知させる体感器という装置を使い、所望の更新された乱数値を取得するという不正行為が行われている。予め起動処理時間TSと乱数発生周期TRを記憶させた体感器を身体に装着して遊技を行い、電源オンの時点で体感器の動作を開始させることで、当りを発生させる確率が高くなる打球タイミングを知らせているようである。このような体感器の使用は許されるものではないが、その摘発は困難である。そのため、体感器の対策として、遊技機の発生する乱数を予測困難にすることが求められている。
【0011】
【特許文献1】特開2006−223585号公報 電源投入時において、RAMクリアスイッチの操作によってRAMの内容が消去されると、主制御基板はサブ制御基板にRAMクリアコマンドを送信し、スピーカから音声を発生させる。
【特許文献2】特開2004−57718号公報 サブ制御装置は、メイン制御装置から初期化報知手段の実行を指令されると、保持回路に初期化報知手段の実行していることを記憶する。
【特許文献3】特開2002−204872号公報 スイッチSWを押すと、主基板に設けられた発光色の異なるLED、及び、払出制御基板に設けられた発光色の異なる2個のLEDのうち、バックアップデータの消去の完了を報知するほうのLEDを点灯する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来技術は、初期化処理(メモリクリア)が行われたら、そのことを外部へ報知するものである。こうすることで、遊技中に不正に初期化処理が行われたことをホール店員が知ることができ、当該不正行為を摘発することができる。
【0013】
しかしながら、上記報知機能を無効にしたうえで当該不正行為を行う例が見られる。これについて簡単に説明を加える。遊技機は、乱数値に基づき抽選を行い、当該抽選の結果に基づき入賞判定を行う入賞抽選手段を含み、遊技に係る制御を実行する制御部(メイン基板)と、前記制御部で生成した情報に基づき所定の処理を実行する副制御部(サブ基板)を備える。制御部で乱数の発生及びその初期化処理が行われ、副制御部で、制御部からのコマンドに基づき初期化処理の実行の報知が行われる。不正行為者は、制御部と副制御部を接続するワイヤハーネスに細工を加え、前記コマンドが副制御部に到達しないようにしているようである。例えば、電子部品を搭載した基板(ぶら下がり基板)を取り付け、前記コマンドの伝送のみを妨害している。副制御部による画面表示やランプの点灯などは正常に行わせているので、一見して不正行為とはわからない。このような不正行為が行われると、遊技機のせっかくの警報機能が殺されてしまい、上記不正行為の摘発は困難である。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、不正行為者により監視機能が無効にされる可能性を低くでき、もって不正行為を防止できる遊技機の監視システム及び遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、乱数を発生する乱数発生器、及び、前記乱数発生器で発生した乱数に基づき抽選を行い、当該抽選の結果に基づき入賞判定を行う入賞抽選手段を含み、遊技に係る制御を実行する制御部と、前記制御部で生成した情報に基づき所定の処理を実行する副制御部と、前記乱数発生器を初期化するためのスイッチと、前記制御部の出力に基づき複数のオンオフ信号であって前記遊技の状態を示す複数の信号を外部へ出力する集中端子板と、を備える遊技機と、
前記集中端子板から前記複数の信号を受けて前記遊技機を管理するホールコンピュータと、を備える遊技機の監視システムにおいて、
前記制御部は、前記スイッチが操作されたとき、前記乱数発生器を初期化するとともに、前記副制御部へ前記乱数発生器を初期化したことを報知するためのコマンドを送り、
前記副制御部は、前記制御部から前記コマンドを受けたとき、前記ホールコンピュータへ前記乱数発生器を初期化した旨の信号を送り、
前記制御部は、前記集中端子板の出力である前記複数の信号から2以上の信号を予め選択し、前記スイッチが操作されたとき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンにさせる信号を前記集中端子板へ送り、
前記集中端子板は、前記制御部からの前記信号に基づき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンして前記ホールコンピュータへ送り、
前記ホールコンピュータは、前記副制御部から前記乱数発生器を初期化した旨の信号を受けた場合において、予め選択された前記2以上の信号が同時にオンになったときは不正行為ではないと判断し、そうでないときは前記遊技機の前記乱数発生器の初期化が不正に行われたと判断する、ものである。
【0016】
なお、「前記遊技の状態を示す複数の信号」とは、入賞発生に係る情報信号、入賞に基づいて通常状態から移行する有利遊技(大当り)に係る情報信号、入賞に基づいて行う演出開始に係る情報信号、遊技機本体に設けられメンテナンス等の際に開放する扉に係る情報信号を含む。
そして、「前記複数の信号から2以上の信号を予め選択」とは、前述の情報信号の全て、又は一部の組み合わせを含むものを予め選択することである。この選択にあたっては、例えば、有利遊技に係る情報信号と扉に係る情報信号の組み合わせのように、通常時において同時にオンとなる可能性が低い、若しくは全く無いという組み合わせにすることが好適である。
「前記複数の信号から2以上の信号を予め選択」して、それらの組み合わせにRWMクリアの意味を持たせることにより、前記集中端子板の出力に、乱数発生器の初期化を示す信号(専用のRWMクリア信号)を特別に設ける必要がなくなる。
また、既存の遊技の状態を示す信号(前記集中端子板の出力)を活用しているため、不正行為により異常な信号が出力されたとき、例えば、遊技に関係なく有利遊技(大当り)に係る情報信号が出力され、それをホールコンピュータが受信したときにも遊技状態の異常を検知することができるので、不正抑止力として大きな効果が得られる。
【0017】
前記ホールコンピュータは、予め定められた期間において、前記集中端子板からの前記複数の信号のいずれもがオンにならなかったとき、不正行為と判断するようにしてもよい。
【0018】
この発明は、乱数を発生する乱数発生器、及び、前記乱数発生器で発生した乱数に基づき抽選を行い、当該抽選の結果に基づき入賞判定を行う入賞抽選手段を含み、遊技に係る制御を実行する制御部と、前記制御部で生成した情報に基づき所定の処理を実行する副制御部と、前記乱数発生器を初期化するためのスイッチと、前記制御部の出力に基づき複数のオンオフ信号であって前記遊技の状態を示す複数の信号を外部へ出力する集中端子板と、を備える遊技機において、
前記制御部は、前記スイッチが操作されたとき、前記乱数発生器を初期化するとともに、前記副制御部へ前記乱数発生器を初期化したことを報知するためのコマンドを送り、
前記副制御部は、前記制御部から前記コマンドを受けたとき、前記乱数発生器を初期化した旨の信号を外部へ送り、
前記制御部は、前記集中端子板の出力である前記複数の信号から2以上の信号を予め選択し、前記スイッチが操作されたとき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンにさせる信号を前記集中端子板へ送り、
前記集中端子板は、前記制御部からの前記信号に基づき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンして外部へ送る、ものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乱数発生器を初期化した旨の信号を副制御部経由と集中端子板経由の2系統でホールコンピュータへ送っているので、不正行為を確実に検出できる。よって、体感器などを用いた不正行為を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
弾球遊技機の構造概略について図1及び図2を参照して説明を加える。
まず、図1を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の外部的構造につき説明する。
外枠50は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備など)へと固定させるための縦長方形状からなる木製の枠部材である。
本体部材51は、外枠50の内部に備えられ、ヒンジ部51aを介して外枠に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。この本体部材51は、枠状に形成されその内側に空間部を有している。
開口枠扉52は、遊技機の前面側となる前記本体部材51の前面に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部とした扉部材である。
なお、開口枠扉52の開口部にガラス製又は樹脂製からなる透明板部材が設けられ、開口部近傍に電飾52a、スピーカ52b、などが取り付けられている。
後述する遊技盤(図1では示していない)は、本体部材51の空間部に臨むように、本体部材51に所定の固定部材を用いて着脱自在に装着されている。遊技盤の本体部材51への装着後は、その遊技領域を前記開口部より観察することができる。
【0021】
球受皿付き扉53は、遊技機前面において本体部材51の下部に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、遊技球を貯留する球受皿を少なくとも備えた扉部材である。なお、本実施形態における球受皿付き扉には、以下の部材が取り付けられている。
(1)複数の遊技球が貯留可能で且つ発射駆動装置48へと遊技球を案内させる通路が設けられた球受皿。
(2)該貯留され発射駆動装置48へと案内された遊技球を前記遊技盤10の盤面11に設けられた遊技領域へと打出す操作を行う回動式操作ハンドル48b。
(3)ブリペイドカード読込み処理関係及び借り受ける遊技球の貸出し処理関係の指示をするボタンを備えた球貸し関係の操作部。
(4)球受皿に貯留させた遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出解除するための球受皿用の貯留球排出操作ボタン。
【0022】
次に、図2を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の内部的構成を説明する。
40は、前述したように、本体部材51若しくは遊技盤11又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部である。
40bは、前記本体部材51若しくは遊技盤11又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、前記制御部40にて生成した処理情報を得ることにより所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部である。
42は、賞球の払い出し制御を行う払出制御部である。
43は、遊技球を払い出す遊技球払出装置である。
44は、図示しないランプや電飾52aを制御する電飾制御部である。
46は、スピーカ52bを制御駆動して音響を発生させる音響制御部である。
49は発射駆動装置48を制御する制御装置であって、回動式操作ハンドル48bを介して遊技球を盤面に設けられた遊技領域へと打出し制御を行うための発射制御装置である。
【0023】
図3は遊技機の遊技盤の正面図である。
図3において、11は遊技盤10の盤面である。盤面11は、誘導レール12と、誘導レール12で区画された略円形の遊技領域を落下した遊技球を外部へ導く排出口(アウト口)13と、遊技領域を移動する遊技球の方向を変化せしめる釘14や風車14aなどの障害物を複数個備える矩形の盤面である。
【0024】
前述した盤面11の遊技領域は、誘導レール12(遊技球を滑走させる滑走部と遊技球を規制する規制部を含む)により略円形状となるように区画形成され、打出された遊技球の移動範囲を規制する領域である。前記滑走部に規制部が続くように設けられている。前記滑走部は全体として螺旋をなして盤面11に配設されている。
【0025】
前記排出口(アウト口)13は、遊技領域に投入された遊技球が集束する位置に設けられた回収開口部である。
【0026】
障害物14としての遊技釘は、遊技球と接触させることにより移動方向を不規則にし、又は移動方向を規制するために、盤面11の適宜な位置に打込まれる複数の棒状部材である。
【0027】
30aは、遊技領域の中央やや上側に設けられ、演出用表示ランプやLCD(液晶表示装置)などの可変表示部をひとつ又は複数有する可変表示装置(センター役物)である。
30bは、スルーチャッカー(入賞チャッカー)である。
30cは、普通入賞口を有する普通入賞装置である。
30dは、始動入賞口を有するスタートチャッカー(始動入賞装置)である。
30eは、大入賞口を有するアタッカーである。
以下の説明で、30b乃至30dをまとめて入賞口30などと記すことがある。
なお、図示されていないが、上記30b、30c、30dの内部には球通過検出器20b、20c、20dが設けられている(同図の括弧内の符号はそのことを意味する)。
【0028】
スタートチャッカー30dの始動入賞装置は特定入賞装置と、アタッカー30eの大入賞装置は特別入賞装置とも呼ばれる。
スタートチャッカー(始動入賞装置)30dは、入賞口の開口範囲の拡縮を行わせる可動片をその両側に備え、遊技球を入賞させることにより可変表示を行わせると共に賞球を遊技者に獲得させる入賞装置である。
アタッカー(大入賞装置)30eは、入賞口を露出させる開口状態と入賞口を閉鎖する閉口状態となる可動扉が駆動制御されるものであり、遊技球を入賞させることにより他の入賞装置と比較してより多くの賞球を獲得させる入賞装置である。
【0029】
図4は本発明の実施の形態に係る遊技機の機能ブロック図である。
40は、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部(「メイン基板」とも呼ばれる)である。制御部40は遊技領域を移動(流下)して入賞口30b〜30dを通過した遊技球をそれぞれ検出する球通過検出器20b〜20dの信号を入力とし、入賞口30b〜30dの遊技球通過に応じた抽選・判定を行う入賞判定部40aを含む。
【0030】
入賞判定部40aは、抽選用の乱数を発生する乱数発生部40a−1を含む。乱数発生部40a−1は、各種抽選用に複数の乱数を発生している。それらの発生方法は、具体的には、メモリの所定の領域(番地)のデータを乱数値と定義しておき、当該データを所定の時間間隔で+1するというカウント動作である。乱数値が増加して最大値MAXに達すると最小値MIN(例えば0000)に戻る。そして、再び同じことが繰り返される。この処理を乱数の更新処理とも呼ぶ。なお、メモリクリアスイッチMCLRをオンにした状態で電源をオンにしたときはメモリクリアされるので、その際は、乱数発生部40a−1の乱数値は初期値(例えば0000)に戻る。
【0031】
41は可変表示装置(センター役物)30aの演出用表示ランプを点灯させたり、LCD(液晶表示装置)に演出に係る画像を表示させる表示制御部である。表示制御部41は、制御部40に設けられた入賞判定部40aにおける所定条件の成立(例えば、始動入賞装置30dヘの遊技球の入賞等)に基づく電子的な当否抽選の結果に応じて、その識別表示情報(可変表示装置(センター役物)30aのLCDに演出表示される)を可変表示させた後に停止表示を行う表示制御装置でもある。さらに、表示制御部41は、入賞判定部40aにおける所定条件の成立(例えば、予め定められた通過口ヘの遊技球の通過)に基づく電子的な当否抽選の結果に応じて、識別点灯情報(可変表示装置(センター役物)30aの演出用表示ランプに点灯表示される)を可変表示させた後に停止表示を行う表示制御装置である。
【0032】
可変表示装置(センター役物)30aのLCDは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。スタートチャッカー(始動入賞装置)30dを遊技球が通過したことが検出されると、表示される図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のスタートチャッカー(始動入賞装置)30dの通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄をLCDに表示して停止するようになっている。アタッカー30eは、前方に開放可能な開閉板を備える。LCDの変動停止後の図柄が「777」などの当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、アタッカー30eの開閉板が予め定めた回数だけ開放されるようになっている。アタッカー30eの開閉板が開放された後、所定時間が経過し、又は所定数の遊技球が入賞すると開閉板が閉じる。
【0033】
42は、入賞判定部40aの信号を受けて入賞口30b〜30dの遊技球通過に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた遊技球払出装置43を制御する払出制御部である。
43は、遊技利益として入賞口30b〜30dの遊技球通過に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた所定数の遊技球を払出す駆動源を備えた遊技球払出装置である。
【0034】
40bは、制御部40にて生成した処理情報を得ることにより、光の点滅・音響の発生などの演出を含む所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部(「サブ基板」とも呼ばれる)である。
【0035】
44は、遊技盤10あるいは遊技機筐体に設けられたランプ・電飾52aなどを点灯制御するためのランプ制御部である。
46は、遊技盤10あるいは遊技機筐体に設けられたスピーカ52bを通じて効果音・音声を発生させる音響制御部である。
【0036】
PSは、制御部40、副制御部40bその他のユニットに+5Vなどの直流電圧を供給する電源部である。電源部PSは、電源をオンオフする電源スイッチPWとともに、メモリクリアスイッチMCLRを備えている。電源スイッチPWをオンする際に、メモリクリアスイッチMCLRを操作することで、メモリをクリアして遊技機を初期状態から起動することができる。
【0037】
30は、制御部40からの信号を中継して図示しないホールコンピュータへ送る集中端子板である。
【0038】
遊技球が遊技領域に設けられた入賞装置30b〜30dには、それぞれ内部に球通過検出器(例えばスイッチ)20b〜20dが設けられ、遊技球の通過を検出できるようになっている。いずれかの入賞装置30b〜30dの位置を通過すると、これを球通過検出器20b〜20dが検出し、これを受けて入賞判定部40aが所定の抽選・判定処理を行う。例えば、球通過検出器20bがスルーチャッカー(入賞チャッカー)30bを通過した遊技球を検知したとき、所定の抽選を行い、当選したときはスタートチャッカー(始動入賞装置)30dを所定時間開放する。すなわち、スタートチャッカー(始動入賞装置)30dの左右両側に互いに対向して設けられた一対の可動片を、それぞれ外側へ開放させる。併せて当選の旨を可変表示装置(センター役物)30aに表示する。そして、遊技球がスタートチャッカー(始動入賞装置)30dを通過したことを検知したとき、所定の抽選を行い、当選したときはアタッカー30eの大入賞装置を開放する。
【0039】
図5は、制御部40のハードウエア構成の説明図である。図4の制御部40は、実際には図5のハードウエア構成で実現される(なお、副制御部40bも同様である)。すなわち、複数のビット(配線)からなるBUSに、CPU(処理装置)、ROM(不揮発性記憶部)、メモリM(読み出し及び書き込み可能なメモリ、RWM)及びI/O(入出力装置)が接続されている。図4の制御部40で実行される遊技に係る通常処理は、図5のROMに予め記憶されたプログラムに従ってCPUが動作することで実行される。図4の入賞判定部40aの処理も同じである。CPUは、処理を行う際に各種データをメモリMに記憶させ、必要に応じて読み出し、処理を行い、必要に応じて再度記憶する、といった処理を行う。メモリMはバッテリバックアップを受けていることがあり、この場合は電源断の間でもその記憶内容は保持されている。本明細書において、特に断らない限り、メモリとは図5の書き換え可能なメモリM(RWM)のことを意味する。
【0040】
図6は集中端子板30のブロック図を示す。図6は標準的な集中端子板30を示すものである。集中端子板30は、統一した規格に基づき製作されることで、ホールで遊技機が入れ替えられた場合にも島設備の電気配線などに変更を加えることなく使用することができるものである。日本電動遊技機工業協同組合が販売する外部集中端子板がよく知られている。
【0041】
パチンコホール等の遊技場では、島設備と称される遊技機の集合用設備によって、複数の遊技機が整列して効率よく収容されている。遊技場に設置される遊技機には、パチンコ機(弾球遊技機)と、スロットマシン(回胴式遊技機)が知られている。遊技場のフロアは複数の島設備によって区画され、来場者及び従業員が歩行でき、遊技者が遊技を行うのに十分な空間が確保される。島設備には、遊技機に隣接して球貸機又はメダル貸機等の関連機器が設けられ、遊技者の便宜を図っている。島設備に整列された遊技機は、遊技の配当の払い出しと特定の遊技状態を監視するホールコンピュータにそれぞれ接続されている。ホールコンピュータは、遊技機から払い出された配当や特定の遊技状態となった回数を島設備ごとに集計する。これにより、島設備に設置された遊技機がどのような遊技状態に推移しているかを概ね把握でき、遊技機に異常が発生していないかどうかがわかる。
【0042】
遊技機から払い出された配当や特定の遊技状態となった回数、遊技機の異常信号をホールコンピュータへ送信するために、各遊技機又は島設備は集中端子板30を備えている。
【0043】
集中端子板30は、遊技機のCPU(メイン基板)からデジタル信号を受け、当該デジタル信号で駆動されるリレーを備える。当該リレーの接点信号がホールコンピュータへ送られる。集中端子板30は、例えば、7つのリレーを備えるので、最大7種類の信号を中継して遊技機からホールコンピュータへ送ることができる。前記リレーはデジタル信号のL/Hに応じてオン/オフするという単純な動作を行うのみであり、パルス信号のような複雑な(つまり情報量の大きい)信号を扱うものではなかった。
【0044】
集中端子板で中継する信号は次の6種類である。
(1)始動口情報
(2)図柄確定回数情報
(3)大当り1情報
(4)大当り2情報
(5)大当り3情報
(6)扉開放情報
【0045】
図6を参照して説明を加える。
31はメイン基板10からの信号を受ける入力コネクタ、32はメイン基板10からの信号で駆動されるリレーコイル、33はリレーコイル32によりオンオフする接点、34はホールコンピュータへオンオフ信号を送るための出力コネクタである。リレーコイル32とその接点33がリレーを構成する。図6の集中端子板30は合計7個のリレーを含む。これらを、その符号に−1乃至−7を付すことで区別する。接点33−1乃至33−7の一方の端子は全部共通の端子(出力コネクタ34の端子6)に接続され、他方の各端子は出力コネクタ34の別々の端子に接続されている。端子6が共通端子(コモン)となり、各接点33のオンオフは、ホールコンピュータから見れば、出力コネクタ34の端子1乃至5、6及び8のいずれかと端子6との導通の有無を意味する。なお、入力コネクタには接地(グランド)端子も含まれるが、図6ではその表示を省略している。
【0046】
例えば、メイン基板10から入力コネクタ31の端子1に始動口情報(Lレベルの信号)を受けると、当該信号(情報)によりリレーコイル32−1が磁力を発生し、接点33−1を引き寄せることで当該接点がオンになる。したがって、出力コネクタ34の端子1と端子6が導通する。これをホールコンピュータで検出することで、始動口のセンサが遊技球を検出したことを伝達できる。
【0047】
なお、図6では、リレーコイル32が駆動されたときにオンになる接点33の出力がホールコンピュータへ送られているが、本発明はこれに限定されず、オフになる接点33の出力が送られるようにしてもよい。ホールコンピュータは、リレーの接点のオン又はオフ信号のどちらも受けることができる。
【0048】
図7及び図8を参照して、集中端子板30からホールコンピュータへ送られる信号について説明を加える。
(1)始動口情報(図7(a))
始動口を遊技球が通過したことを示す信号(情報)であり、球通過検出器による遊技球が通過したことを検出してから252msの間、始動口情報信号がオンになる。ただし、出力された本信号が連続しないように、信号と信号の間は252msの間隔が設けられる。
(2)図柄確定回数情報(図7(b))
図柄確定回数情報として、特別図柄の変動停止から252msの間、図柄確定回数情報信号がオンになる。
(3)大当り1情報(図7(c))
大当り1情報として、役物連続作動装置作動終了後に変動時間短縮機能が作動することとなる役物連続作動装置作動中又は特別図柄表示装置の変動時間短縮機能作動中に大当り1情報信号を出力する。役物連続作動装置が作動中又は変動時間短縮機能が作動中のときにオンになる。それらの両方が作動していないときオフになる。図中において、役物連続作動装置が停止から作動に変わるタイミングが、役物連続作動装置作動終了後に変動時間短縮機能が作動することとなる役物連続作動装置作動開始時点になる。
(4)大当り2情報(図8(d))
大当り2情報として、役物連続作動装置作動中に大当り2情報を出力する。役物連続作動装置作動中においてオンになる。
(5)大当り3情報(図8(c))
大当り3情報として、役物連続作動装置作動終了後に変動時間短縮機能が作動することとなる役物連続作動装置作動中に大当り2情報を出力する(オンになる)。図中において、役物連続作動装置が停止から作動に変わるタイミングが、役物連続作動装置作動終了後に変動時間短縮機能が作動することとなる役物連続作動装置作動開始時点になる。
(6)扉開放情報(図8(d))
扉開放情報として、図示しない扉開放スイッチ信号がオフ(開口枠扉52が開放されている状態)の間、扉開放情報信号を出力する(オンになる)。
【0049】
発明の実施の形態に係る遊技機の監視システムは、図9に示すように、RWMクリアスイッチMCLRがオンになり乱数発生処理を初期化したとき、制御部40は集中端子板30の出力信号のうち通常は同時にオンにならない信号であって予め選択されたもの(同図の例では3つの信号)を同時にオンにし、それらをホールコンピュータHCに向け送信するというものである。ホールコンピュータHCは、通常は同時にオンにならない複数の信号が同時にオンになったことで遊技機がRWMクリアを行ったことを検知する。
【0050】
さらに、制御部40は副制御部40bへRWMクリアを行った旨を報知することを命じるコマンドを送信し、副制御部40bはその旨の報知を行うとともに、RWMクリアを行うというコマンドを受けたことを示すRWMクリア信号をホールコンピュータHCに送信する。
【0051】
ホールコンピュータHCは、集中端子板30からの上記信号と、副制御部40bからのRWMクリア信号の両方を同時に受けないとき、不正なRWMクリアが行われたという判断を行う。図10(a)の符号Pは正常なRWMクリアと判断する場合を示す。符号Qは、副制御部40bからのRWMクリア信号を何らかの理由(例えば、前述のぶら下がり基板が取り付けられた)で受信できなかったので、異常なRWMクリアであり不正行為と判断する。図10(b)の符号Rは、集中端子板30からRWMクリア信号を何らかの理由(集中端子板30が無効にされているなど)で受信できなかったので、異常なRWMクリアであり不正行為と判断する。符号QはRMWクリアが行われていない状態における通常の集中端子板30からの信号を示す。通常の状態(RWMクリアが行われていない状態)においては、3つの信号の全部がオンになることはない。
【0052】
同時にオンになるとは、例えば、RWMクリア信号と外部情報信号1〜3の論理積(AND)をとったとき、それがオン(Hレベル)になることがある、という意味である。図10の4つの信号のオンのタイミングとオフのタイミングが一致することまでは必要ではない。各信号には伝送遅れがあり、それらの遅延時間は同じではなく、前記タイミングが多少不一致となるからである。特に、RWMクリア信号と外部情報信号1〜3では伝送経路が異なるのでタイミングのずれは大きくなる。したがって、副制御部40bからのRWMクリア信号についてはそれを直接使用するのではなく、RWMクリア信号のオンの時間を延長したものを用いて「同時にオン」になったかどうか判断するようにしてもよい。延長の程度は伝送経路に異存する遅延時間の差に基づき設定すると良い(例えば、遅延時間と同程度の延長時間とする)。
【0053】
また、制御部40が集中端子板30へ予め選択された複数の信号をオンするように信号を送るタイミングを、副制御部40bがホールコンピュータHCへRWMクリア信号を送るタイミングよりも遅延させるとよい。具体的には、上記遅延時間の差を考慮したうえで、タイミングを調整する。
副制御部40bからのRWMクリア信号が先にホールコンピュータHCへ送られることで、集中端子板30からの信号を遊技の状態を示す信号として誤って認識することを防止できる。
また、ホールコンピュータHCで副制御部40bからのRWMクリア信号を受けてから、集中端子板30から前記予め選択された複数の信号を受けるまでの期間を監視し、所定期間を経過しても前記予め選択された複数の信号を受けないとき異常を報知するようにしてもよい。こうすることで不正行為を発見しやすくでき、その抑制を図ることができる。
【0054】
なお、副制御部40bと集中端子板30を接続する配線を追加し、副制御部40bから集中端子板30へ信号を送り、通常は同時にオンにならない複数の信号を同時にオンするようにしてもよい。例えば、制御部40は、従来どおり集中端子板30のひとつの信号をオンにするが、副制御部40bが他のひとつの信号をオンにするので複数の信号を同時にオンすることができる。このやり方によれば、制御部40の構成又はプログラムを変更することなく、副制御部40bの構成又はプログラムを変更し、図9の点線で示すようにワイヤハーネスを追加するだけで済む。図6の回路を例にとれば、入力コネクタ31の端子1〜6をそれぞれ制御部40用と副制御部40b用に分岐し、それぞれを制御部40の図示しない駆動回路と副制御部40bの図示しない駆動回路に接続すればよい。回路上の大きな変更は生じないので、製造コストを抑えることができる。
【0055】
発明の実施の形態に係る遊技機の監視システムによれば、RWMクリア信号を2系統でホールコンピュータHCへ送っているので、不正行為を確実に検出できる。例えば、副制御部40bからRWMクリア信号を受信できなければ、制御部40と副制御部40bの間のハーネスに不正な工作が加えられたと判定でき、集中端子板30からRWMクリア信号を受信できなければ、集中端子板30のハーネスが外されていると判定できる。なお、集中端子板30のハーネスが外されているときは、ホールコンピュータで何らの情報も受けられなくなるので、この点からも不正行為を発見できる。
【0056】
図11は、遊技機の電源をオンしたときの制御部40の処理フローチャートである。
電源がオンにされると制御部40のCPUが動作を開始し、最初にメモリクリアスイッチMCLRがオンかどうかを見に行く。メモリクリアスイッチMCLRがオンであれば(S1でYES)、S2とS3の処理を実行する。メモリクリアスイッチMCLRがオンでなければ(S1でNO)、通常起動処理を開始する。
【0057】
メモリクリアスイッチMCLRがオンのとき、制御部40のCPUは、メモリMの領域を初期化する(S2)。例えば全ての番地に0000を書き込む。図15に示すように乱数値が0000になる。そして、副制御部40bへRWMクリアコマンドを送信する(S3)。
【0058】
図12は、制御部40が集中端子板30を経由して行うRWMクリア信号の送信処理のフローチャートである。
【0059】
集中端子板の複数の信号から2つ以上の信号を予め選択する(S10)。(1)始動口情報(2)図柄確定回数情報(3)大当り1情報(4)大当り2情報(5)大当り3情報(6)扉開放情報のうち、(3)大当り1情報(4)大当り2情報(5)大当り3情報は同時にオンになる可能性があるのでこれらの組み合わせは避ける。(1)始動口情報(2)図柄確定回数情報についても同様の可能性がある。これに対し、(6)扉開放情報は単独でオンになる可能性が高い。そこで、例えば、(1)始動口情報(4)大当り2情報(6)扉開放情報の3つを選択することが考えられる。この選択の指定は予めメモリMにフラグとして、またはROMにプログラムとして記憶されている。S10は記憶されたフラグ又はプログラムにしたがって実行される。
【0060】
制御部40は、メモリ初期化処理(RWMクリア)が実行されたかどうか判断する(S11)。実行されたとき(S11でYES)、集中端子板30へ信号を送り、S10で選択された複数の信号を同時にオンにする(S12)。なお、S11の処理は監視処理であり、電源オンとは無関係に定期的に実行されることが好ましい。
【0061】
図13は、ホールコンピュータが行う監視処理Aのフローチャートである。監視処理Aとは、図14の監視処理と区別するための便宜的な名称である。
【0062】
集中端子板30の複数の信号から2つ以上の信号を予め選択する(S20)。これは、図12のS10と同じである。S10とS20で選択された信号は一致する必要が有る。
【0063】
ホールコンピュータHCは、集中端子板30の選択された複数の信号と副制御部40bからのRWMクリア信号を監視する(S21)。いずれかの信号が発生したとき、同じタイミングで副制御部からのRWMクリア信号を受信し、かつ、選択された複数の信号が同時にオンしたとき(S22でYES)、不正行為ではないと判断する(S23)。そうでないとき(S22でNO)、初期化が不正に行われた(不正なRWMクリアが行われた)と判断し(S24)、警報を報知する(S25)。
【0064】
図10の例では、符号Qと符号Rの場合に不正行為と判断し、符号Pと符号Sの場合は正常と判断する。
【0065】
図14は、ホールコンピュータが行う監視処理Bのフローチャートである。この処理は、集中端子板30の信号が所定時間全くオンにならなかったとき警報を報知するものである。遊技機で遊技が行われていれば、(1)始動口情報(2)図柄確定回数情報(3)大当り1情報(4)大当り2情報(5)大当り3情報(6)扉開放情報のいずれかはオンになるはずである。特に(1)始動口情報がオンに一度もならないことは考えにくい。したがって、一定時間において、例えば(1)始動口情報がオンにならなかったときは、集中端子板30が故障しているか、不正な工作が加えられていると考えてよい。監視すべき期間(以下の説明ではタイムアウトになる時間)は、通常に遊技が行われていれば(1)始動口情報が一度はオンになる程度の期間であり、例えば1時間程度を見ておけば十分である。
【0066】
ホールコンピュータHCは、図示しないタイマーを起動する(S30)。タイマーには予め一定の時間がセットされている。
【0067】
ホールコンピュータHCは、集中端子板30の選択された複数の信号を監視する(S31)。選択された複数の信号のいずれかがオンになったとき(S32でYES)、タイマーをリセットする(S33)。これによりタイマーは初期値から計時を再開する。
【0068】
タイマーで予めセットされていた時間が経過しても、選択された複数の信号のいずれもオンにならなかったとき、タイムアウトと判断する(S34)。遊技されていればいずれかの信号がオンになるはずであって、集中端子板30からの信号が全くオンにならないことは考えられない。このような場合、不正行為と判断してよい(S35)。そして、警報を報知する(S25)。
【0069】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】遊技機の表面構造を示す斜視図である。
【図2】遊技機の裏面構造を示す斜視図である。
【図3】遊技者から見た盤面の様子を示す図(正面図)である。
【図4】発明の実施の形態に係る遊技機の機能ブロック図である。
【図5】制御部のハードウエア構成の説明図である。
【図6】集中端子板のブロック図である。
【図7】集中端子板を経由して送る信号の説明図(タイミングチャート)である。
【図8】集中端子板を経由して送る信号の説明図(タイミングチャート)である(続き)。
【図9】発明の実施の形態に係る、遊技機の副制御部と集中端子板を介してホールコンピュータへRWMクリア信号を伝送する方式の説明図である。
【図10】発明の実施の形態に係る、遊技機の副制御部と集中端子板を介してホールコンピュータへRWMクリア信号を伝送する方式における不正行為判定の説明図である。
【図11】発明の実施の形態に係る、制御部の電源投入時の処理フローチャートである。
【図12】発明の実施の形態に係る、制御部の集中端子板を経由してRWMクリア信号を送る送信処理のフローチャートである。
【図13】発明の実施の形態に係る、ホールコンピュータの監視処理のフローチャートである。
【図14】発明の実施の形態に係る、ホールコンピュータの他の監視処理のフローチャートである。
【図15】従来の遊技機の動作タイミングチャートである。
【符号の説明】
【0071】
30 集中端子板
40 制御部
40a 入賞抽選手段
40a−1 乱数発生器
40b 副制御部
HC ホールコンピュータ
MCLR メモリクリアスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱数を発生する乱数発生器、及び、前記乱数発生器で発生した乱数に基づき抽選を行い、当該抽選の結果に基づき入賞判定を行う入賞抽選手段を含み、遊技に係る制御を実行する制御部と、前記制御部で生成した情報に基づき所定の処理を実行する副制御部と、前記乱数発生器を初期化するためのスイッチと、前記制御部の出力に基づき複数のオンオフ信号であって前記遊技の状態を示す複数の信号を外部へ出力する集中端子板と、を備える遊技機と、
前記集中端子板から前記複数の信号を受けて前記遊技機を管理するホールコンピュータと、を備える遊技機の監視システムにおいて、
前記制御部は、前記スイッチが操作されたとき、前記乱数発生器を初期化するとともに、前記副制御部へ前記乱数発生器を初期化したことを報知するためのコマンドを送り、
前記副制御部は、前記制御部から前記コマンドを受けたとき、前記ホールコンピュータへ前記乱数発生器を初期化した旨の信号を送り、
前記制御部は、前記集中端子板の出力である前記複数の信号から2以上の信号を予め選択し、前記スイッチが操作されたとき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンにさせる信号を前記集中端子板へ送り、
前記集中端子板は、前記制御部からの前記信号に基づき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンして前記ホールコンピュータへ送り、
前記ホールコンピュータは、前記副制御部から前記乱数発生器を初期化した旨の信号を受けた場合において、予め選択された前記2以上の信号が同時にオンになったときは不正行為ではないと判断し、そうでないときは前記遊技機の前記乱数発生器の初期化が不正に行われたと判断する、ことを特徴とする遊技機の監視システム。
【請求項2】
前記ホールコンピュータは、予め定められた期間において、前記集中端子板からの前記複数の信号のいずれもがオンにならなかったとき、不正行為と判断することを特徴とする請求項1記載の遊技機の監視システム。
【請求項3】
乱数を発生する乱数発生器、及び、前記乱数発生器で発生した乱数に基づき抽選を行い、当該抽選の結果に基づき入賞判定を行う入賞抽選手段を含み、遊技に係る制御を実行する制御部と、前記制御部で生成した情報に基づき所定の処理を実行する副制御部と、前記乱数発生器を初期化するためのスイッチと、前記制御部の出力に基づき複数のオンオフ信号であって前記遊技の状態を示す複数の信号を外部へ出力する集中端子板と、を備える遊技機において、
前記制御部は、前記スイッチが操作されたとき、前記乱数発生器を初期化するとともに、前記副制御部へ前記乱数発生器を初期化したことを報知するためのコマンドを送り、
前記副制御部は、前記制御部から前記コマンドを受けたとき、前記乱数発生器を初期化した旨の信号を外部へ送り、
前記制御部は、前記集中端子板の出力である前記複数の信号から2以上の信号を予め選択し、前記スイッチが操作されたとき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンにさせる信号を前記集中端子板へ送り、
前記集中端子板は、前記制御部からの前記信号に基づき、予め選択された前記2以上の信号を同時にオンして外部へ送る、ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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