説明

遊技機の移動装飾体

【課題】特別な態様で演出して遊技の興趣を盛り上げることができる遊技機の移動装飾体を提供する。
【解決手段】遊技機の左右に設けた駆動装置により遊技機の一方の側から他方の側に移動される移動装飾体3であって、多数の連結部材5と両端の先頭部材6、7とからなり、長さが左右の駆動装置に同時に係合する長さであって、前記連結部材5は移動装飾体伸直用の平坦面と、移動装飾体屈曲用の円弧部と、駆動装置との係合部51とを有しており、移動中は真っ直ぐに伸長されるとともに、移動完了後は上向きに屈曲される。連結部材は、一端の突起と他端の孔部を有し、一端の突起が他の連結部材の孔部に嵌合され、他端の孔部に他の連結部材の突起が嵌合されて鎖状に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の前扉やセンター役物を装飾するための移動装飾装置に用いられる移動装飾体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の遊技領域の中央には、液晶等の表示画面の周囲を覆うセンター役物が配設され、このセンター役物に、遊技の興趣を盛り上げるための移動装飾装置を配設したものがある。従来の移動装飾装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に記載されたものは、湾曲状態で収容室内に収容された長尺の移動装飾体が、大当たりなどの特別遊技状態になったときに伸長されながら出入り口から突出される構成になっている。
【0003】
しかしながら、この移動装飾体は、その一端が収容室の内部の作動アームに固定されていて、移動装飾体が常に同じ出入り口から進出、後退するだけであるので、斬新さに欠け遊技の盛り上げ効果において十分満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−79828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、従来にない特別な態様で演出して遊技の興趣を盛り上げることができる遊技機の移動装飾体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明に係る遊技機の移動装飾体は、遊技機の左右に設けた駆動装置により遊技機の一方の側から他方の側に移動される移動装飾体であって、多数の連結部材と両端の先頭部材とからなり、長さが左右の駆動装置に同時に係合する長さであって、前記連結部材は移動装飾体伸直用の平坦面と、移動装飾体屈曲用の円弧部と、駆動装置との係合部とを有しており、移動中は真っ直ぐに伸長されるとともに、移動完了後は上向きに屈曲されることを特徴とするものである。なお、本明細書において、「移動」とは、特に、一方の側に駆動手段と係合し他方の側の駆動手段と係合していない移動装飾体が、一方の側の駆動手段との係合が解除され他方の側の駆動手段と係合する状態に移行することをいう。
【0007】
上記した発明において、係合部を円柱面を有するものとして、この円柱面に駆動装置のスプロケットを噛合させて、移動装飾体を移動させることができる。また、先頭部材の先端を先細りに形成して、収容室の出入り口への飛び込みを容易にすることができるし、先頭部材を重量なものとして、移動装飾体が移動中に上向きに反り返るのを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の移動装飾体は、多数の連結部材と両端の先端部材とからなり、左右の駆動装置に同時に係合する長さとしたので、駆動装置を駆動することにより遊技機の一方の側から他方の側に移動することができるので、従来にない装飾態様でもって遊技の興趣を盛り上げることができる。また、連結部材を、移動装飾体伸直用の平坦面と、移動装飾体屈曲用の円弧部と、駆動装置との係合部とを有するものとしたので、他の連結部材と平坦面同士を当接させることによって、移動装飾体を真っ直ぐに伸長させて、移送通路のない開放空間を移動させることができ、移動完了後は円弧部を他の連結部材の平坦面を摺動させることによって上向きに屈曲して折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】移動装飾体が収容室に収容された移動装飾装置の正面図である。
【図2】移動装飾装置の背面の斜視図である。
【図3】収容室に収容された移動装飾体の拡大図である。
【図4】伸長された移動装飾体の斜視図である。
【図5】連結部材の(a)斜視図、(b)正面図、(c)平面図、(d)斜視図である。
【図6】一方の先頭部材の(a)斜視図、(b)平面図、(c)側面図である。
【図7】他方の先頭部材の(a)斜視図、(b)平面図、(c)側面図である。
【図8】移動装飾体が移動初期である移動装飾装置の正面図である。
【図9】移動装飾体が移動途中である移動装飾装置の正面図である。
【図10】移動装飾体が移動後期である移動装飾装置の正面図である。
【図11】移動装飾体が移動完了した移動装飾装置の正面図である。
【図12】移動装飾装置内を一方向に巡回する移動装飾体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に付いて説明する。
図1−3は、移動装飾装置を示す図であって、この移動装飾装置は遊技機の前扉やセンター役物に配設することができる。図において1は枠体であって、中央の窓11には、例えば役物の表示画面が嵌め込まれる。枠体1の左右には、対向して移動装飾体の収容室2が配置されている。3は移動装飾体、4は移動装飾体3の駆動装置である。
【0011】
収容室2には、渦巻き状の収容通路21と、出入り口22とが設けられている。出入り口22は収納通路21よりも先が広く拡口されていて収納通路21と滑らかに接続されている。また、収納通路21には段差がなく滑らかに形成されている。この収容通路21に移動装飾体3が渦巻状に屈曲されて収容されている。駆動装置4はスプロケット41を備えており、このスプロケット41が出入り口22の近傍に配設されている。スプロケット41の外周の凹部42が移動装飾体3と係合して、移動装飾体3を移動させる。このように、移動装飾体3は駆動手段4と係合、非係合となることが可能である。
【0012】
移動装飾体3の構造を図4〜7により説明する。移動装飾体3は、チェーン構造のものであって、多数の連結部材5と両端の先頭部材6、7とからなる(図4)。連結部材5は、スプロケット41が噛み込まれる係合部51と、係合部51から一方に延出する外側プレート52と、その反対に延出する内側プレート53とを有する(図5)。係合部51は、上部が円柱面511に丸く形成されており、この円柱面511にスプロケット41の凹部42が噛み込まれる。また、係合部51は左右に側面54を有し、この側面54の一側には垂直な平坦面541と、その上方の円弧部542とが形成されている。また、側面54、54の間で円柱面511の下方には、垂直壁面(平坦面)512が形成されている。
【0013】
内側プレート53の外側には突起531が設けられているうえに、一側に垂直な平坦面532と、上方の円弧部533とが形成されている。外側プレート52には、前記突起531が嵌め込まれる孔部521が設けられ、また一側に垂直な平坦面522を有している。平坦面522の上方には円弧部524が形成されている。
【0014】
図6に示す一方の先頭部材6は、外側プレート52に代えて四角錐形状に形成した頭部61を有する。他の構造は、連結部材5と同様である。また、図7に示す他方の先頭部材7は、内側プレート52に代えて四角錐形状に形成した頭部71を有する。他の構造は、連結部材5と同様である。頭部61、71は、収容室2の出入り口22への飛び込みを容易とするために先細りに形成されている。
【0015】
連結部材5は、内側プレート53の突起531を外側プレート52の孔部521に嵌め込むことにより、図4のように鎖状に連結することができる。そして、収容室2から移動装飾体3を引き出した図8に示す状態では、外側プレート52の平坦面522が、隣の連結部材5の平坦面541に当接し、内側プレート53の平坦面532が隣の連結部材5の垂直壁面512に当接されているので、移動装飾体3は下向きに曲がることはできず、真っ直ぐに伸長された直線状態が維持される。なお、移動中に先端が上方に湾曲すると収容室2の出入り口22から先頭部材6又は7が位置ずれして、飛び込みが不可能になるので、上方に反り返るのを防止するために、先頭部材6、7を重量なものとするのが望ましい。あるいは、先頭部材6、7に錘を取り付けるのが望ましい。
【0016】
一方、外側プレート52の平坦面522の上方には円弧部524が形成され、内側プレート53の平坦面532の上方には円弧部533が形成されているので、円弧部524が前方の連結部材5の平坦面541を摺動し、円弧部533が後方の連結部材5の垂直壁面512を摺動して、移動装飾体3は上方には曲がることができる。したがって、図3のように移動装飾体3を渦巻き状に捲回させることができる。なお、移動装飾体3は内側プレート53が外側プレート52により挟み付けられているので、遊技機の前後方向には曲がることはできない。
【0017】
以上に述べたように、長尺な移動装飾体3は、多関節からなるものであって、屈曲可能方向と屈曲不可能方向を有する。遊技機の左右に移動する場合には非屈曲方向が下側となって伸長された状態で移動する。また、長さは、一方の駆動装置と他方の駆動装置に同時に係合可能な長さである。
【0018】
移動装飾体3、収納室2の材質は樹脂であり、その中でも特に摺動性のよい材質のもの、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ナイロン(Ny)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂等を用いることができる。なお、移動装飾体3と収納室2とは、摺動性の観点から別材質のものとするのが望ましい。
【0019】
以上のように構成されたものにおいて、通常の遊技状態では移動装飾体3は、図1に示すように、一方の収容室2に収容されている。そして、大当たりなどの特別遊技状態になったときには、駆動装置4を作動させればスプロケット41が回転されて移動装飾体3は引き出される(図8)。さらに移動装飾体3が引き出されると、図9のように移動装飾体3の先端が他方の収容室2の出入り口22に飛び込む。他方の収容室2の駆動装置4も作動されているので、移動装飾体3は、図10の状態を経て、図11のごとく渦巻状に捲回されて他方の収容室2に収容される。一旦収容された後、駆動装置4を逆転させれば、今度は、元の収容室2に移動装飾体3を移動させることができる。よって、移動装飾体3を例えば表示画面の前を往復移動させて、遊技の興趣を大幅に盛り上げることができる。
【0020】
なお、図12に示すように、収容室3に、出入り口22に連通して水平から垂直方向に湾曲する収容通路21を設け、枠体1の上部には左右の収容室2の収容通路21をつなぐ連絡ガイド23を設けることによって、移動装飾体3を、例えば時計回りの一方向に巡回させることができる。駆動装置4を逆転させることにより、その巡回方向を逆転させることができる。
【符号の説明】
【0021】
3 移動装飾体、5 連結部材、6、7 先頭部材、51 係合部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の左右に設けた駆動装置により遊技機の一方の側から他方の側に移動される移動装飾体であって、多数の連結部材と両端の先頭部材とからなり、長さが左右の駆動装置に同時に係合する長さであって、前記連結部材は移動装飾体伸直用の平坦面と、移動装飾体屈曲用の円弧部と、駆動装置との係合部とを有しており、移動中は真っ直ぐに伸長されるとともに、移動完了後は上向きに屈曲されることを特徴とする遊技機の移動装飾体。
【請求項2】
係合部を円柱面を有するものとして、この円柱面に駆動装置のスプロケットを噛合させて、移動装飾体を移動させるようにした請求項1に記載の遊技機の移動装飾体。
【請求項3】
先頭部材の先端を先細りに形成して、収容室の出入り口への飛び込みを容易にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機の移動装飾体。
【請求項4】
先頭部材を重量なものとして、移動装飾体が移動中に上向きに反り返るのを防止した請求項3に記載の遊技機の移動装飾装置に用いる移動装飾体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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