遊技機及び遊技場システム
【課題】 遊技機の状態を診断し、遊技の進行上好ましくない状態が生じた際に、迅速に発見して対応することを可能とするとともに、正規の作業が行われる場合は、遊技者の遊技に差し障りが出ないようにする。
【解決手段】 遊技機において、遊技の進行上好ましくない状態を発見する手段を設けるとともに、開閉する機構が正常に開いたときはこの手段を働かないように制御する。
【解決手段】 遊技機において、遊技の進行上好ましくない状態を発見する手段を設けるとともに、開閉する機構が正常に開いたときはこの手段を働かないように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ等の弾球遊技機やスロット等の回胴式遊技機といった遊技機及びこれら遊技機を複数台設置した遊技場システムに関し、特に振動によるもの等不正行為を検出し得るものの改良に係わる。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ遊技機は、筐体に発射装置や遊技盤などを装備し、その発射装置により遊技球を遊技盤の遊技領域に発射し、この遊技球が遊技領域に設けた入賞口や入賞ゲートなどの特定の領域を通過すると所定数の遊技球の払出を行うように構成されている。それ故、遊技球を入賞部に導くために筐体を叩くなどの不正な行為が行われることがある。特に、近年のパチンコ遊技機としては、特別入賞口に遊技球が入ると遊技盤の遊技領域中央部に設けた可変表示装置の表示面上に絵柄を変動表示し、その絵柄が例えば「7,7,7」などで揃うと遊技球の払出を大量に受け得る特別遊技に移行するいわゆるデジタル式のものが主流になっているが、この種のパチンコ遊技機では、遊技球を特別入賞口に導くために不正行為が行われる危険性が高くなる。また、遊技領域の中央部に設けた振り分け役物の下流にいわゆるVゾーンという入賞口を設け、この入賞口に遊技球が入るだけで特別遊技に移行する型式のパチンコ遊技機では更に危険性が高くなる。また、このようなパチンコ遊技機に限らず、スロットマシン等の回胴式遊技機においても、振動によって遊技機を誤動作させて利益を得ようとする不正行為のおそれもある。
【0003】
そこで、このような不正行為を防止するために、例えば特許文献1及び2に開示されて
いるように、不正行為による振動を検出する振動センサをパチンコ遊技機の筐体などに設
け、この振動センサにより振動を検出した場合、入賞を無効にした上で、筐体に設けたラ
ンプやスピーカで警報を発して店員などに知らせたり、パチンコ遊技機の遊技を停止した
りすることが提案され、実用化されている。特に、特許文献1には、不正行為を防止しつ
つ、不正行為でない振動を不正としないために、パチンコ遊技機で振動が発生したタイミ
ングと、遊技球が入賞部に入ったタイミングとを比較し、その時間的差分が所定の時間間
隔よりも長い場合にのみ入賞を有効とすることが開示されている。
【特許文献1】特開2002−159717号公報
【特許文献2】特開2002−901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パチンコ遊技機等の遊技機の筐体には遊技盤を透視可能に覆う筐体前扉(
ガラス扉ともいう)が開閉自在に設けられている。また、スロットマシン等の回胴式遊技機についても、回胴等を収納した筐体に対して開閉可能に取り付けられた筐体扉を有している。特に、パチンコ遊技機では、通常、遊技島に固定した木枠に筐体前扉がヒンジなどを介して開閉可能に取り付けられている。このようなパチンコ遊技機では、遊技中に店員が点検調整のために筐体を開閉し、あるいは筐体前扉を開閉することがあり、その際に振動が発生する。このため、パチンコ遊技機に設けた振動センサにより振動を検出した場合常に入賞を無効にした上で警報を発するものでは、遊技者は不正行為を行っていないにも拘わらず、入賞が無効にされた上、警報が発せられることから、不信感や苛立ちを持つようになり、遊技の興趣を損なうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1の如く振動発生タイミングと入賞タイミングとを比較し、その時間的
差分が所定の時間間隔よりも長い場合にのみ入賞を有効とするものでも同様な問題がある
。すなわち、筐体の開閉及び筐体前扉の開閉では、不正に開けられるのを防ぐために確実
に閉め、またその閉状態を確認する確認作業をも含んでいることから、比較的に大きな振
動が発生する。このため、遊技島のように多数のパチンコ遊技機が互いに隣接して設置さ
れている場合、店員が点検調整をするパチンコ遊技機に隣接する他のパチンコ遊技機の振
動センサが開閉に伴う振動を検出することがある。一方、遊技者は隣接する他のパチンコ
遊技機で店員が点検調整を行っていても遊技を中断することはないので、公正な遊技で入
賞したにも拘わらず、その入賞タイミングと振動発生タイミングとが近ければ入賞が無効
にされることになるからである。
【0006】
さらに、上記のような方法をとった場合、不正を行う対象の警報装置を隠蔽されたり、断線させることによって無効化されたりした場合、不正行為を検知しえない。この為、不正を確実に防止しえないにも関わらず、隣接遊技機の作業時の開閉によっても誤反応を起こすという悪循環が生じることになる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その第1に課題とするところは、筐体の不正な開閉や、筐体を叩くなどの不正行為を確実に防止し、なおかつ被害が拡大する前に早期に対処することを可能にする事である。そして、その第2に課題とするところは、第1の課題を解決する為に検出感度の高い異常検知手段、例えば振動センサなどの振動検出手段を用いても筐体又は筐体前扉の開閉による振動を誤って検出して不正なものとしないようにし、公正な遊技をする遊技者に不信感や苛立ちを与えることなくトラブルを防止し得ることである。これらを解決することによって、不正防止に効果的な遊技機および遊技場システムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、筐体又は筐体前扉に開閉機構を有し、該筐体の異常状態を検出する異常状態検知手段を備える遊技機において、上記異常状態検知手段による異常状態の検出出力を受け入れ、不正行為を防止するための制御の実行を遊技機の所定部に対して指令する不正行為防止制御手段と、上記筐体の開閉機構の開閉動作を検出する開閉検知手段と、を有し、上記不正行為防止制御手段は、開閉検知手段による開閉動作の検出をも受け、筐体又は筐体前扉の開閉時に、開閉動作が正規に行われたことを条件に、異常状態検知手段の検出出力の受け入れを無効化するように構成されていることを特徴とする。ここで、異常状態とは、遊技機が振動している状態、あるいはパチンコ機であれば大入賞口が開いている状態等をセンサにより検出している状態を含むものである。更に、所定部とは報知ランプあるいはスピーカ、発射部等を含む意味であり、不正行為を防止する為の制御とは、警報音や光を出力する制御、あるいは遊技球の発射を止める制御等を含むものである。開閉動作が正規に行われたとは、施錠部の操作等において、センサ等により正常な開放動作が行われたことを検出した場合を含むものである。異常検出出力の受け入れを無効化するとは、センサ等による出力信号、あるいはフラグを検出しても異常と判定しない場合はもちろん、センサ等の信号を無視する場合も含むものである。
【0009】
この構成では、遊技機において、何らかの不正が行われた事を示す異常状態を異常状態検知手段が検出し、この異常状態検出手段の信号を受ける不正行為防止手段は、不正行為を防止するための制御、例えばスピーカ等からの警報音の発生や遊技機の機能停止などの制御を実行する為、不正行為を防止することができる。一方、店員が作業のために筐体の開閉機構を開閉したとき、あるいはメンテナンス作業中には、筐体に設けられた開閉機構の開閉動作を検出する開閉検出手段からの信号をうけて、異常状態検知手段の信号を無効にするため、上記不正行為防止の為の制御が誤って為されることはなく、隣接機や周囲の遊技者に不快感や苛立ち等を与える事がない。また、正規な開閉動作が行われた場合のみ、無効にする制御を行うことで、筐体あるいは前扉が不正にこじ開けられた時には正常に不正行為を検出することができるので、不正行為を防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、異常検知手段を有する外部機器が遊技機本体の所定位置、例えば遊技機枠背面部に付設され、遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、この筐体に開閉機構を有する遊技機であって、前記外部機器は、隣接遊技機に付設される隣接外部機器と相互に通信可能に接続されているとともに、前記開閉機構に対する開閉動作に基づいて、前記隣接外部機器に異常検知手段の検知機能を無効化する指令信号を導出するとともに、前記異常検知手段を無効化し、一方、該指令信号を受信したときにも前記異常検知手段の検知機能を無効化するように構成されていることを特徴とする。なお、遊技機本体の所定位置に付設とは、遊技機本体に直接付設される場合に限らず、遊技機本体に対して間接的に付設される場合も含むものである。例えば、遊技島内の幕板、床板等の固定構造を介して付設される場合も含む。
【0011】
この構成では、開閉動作中、相互通信によって検知機能を制御すべき異常検知手段を外部機器として遊技機外部に設置した構成としている。この検知機能を制御すべき異常検知手段は、作業中誤反応を起こしうる検知手段、例えば振動センサ、大入賞口開閉センサ等を指すものである。このため、主制御部の制御は開閉動作を検出した事をこの外部機器に向けて送信するのみで足り、主制御部の負担が軽減できる。また、主制御部に向かって信号を入力する必要が無い為、この機構を利用した不正行為が発生するおそれもない。
【0012】
請求項3に係る発明は、異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した座標を含む情報を記憶する機能を有し、遊技機の動作を制御する制御部は、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、特定の遊技機で発生した不正行為等に起因する異常を、異常の発生した遊技機の座標情報と同時に送信するため、これらの情報に基づいて異常発生台を報知することが可能となり、不正行為に迅速に対応できる。しかも、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して複数台の遊技機にこの異常情報が複製記憶されるため、これら複数台の遊技機が報知処理を行った場合、これらを一度に隠蔽するのは困難である。従って、不正行為が迅速に発見できる効果がある。また、本発明で言う座標情報とは、各遊技台間の隣接関係である左右隣の台や対面の台、遊技島裏に設置された台の位置を明確にする為の情報を言い、数学等で一般的に使用される(x,y)のような情報管理方法に限定されるものではない。
【0014】
請求項4に係る発明は、異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した経路情報を含む情報を記憶する機能を有し、遊技機の動作を制御する制御部は、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、特定の遊技機で発生した不正行為等に起因する異常を、異常の発生した遊技機の経路情報と同時に送信するため、同じ遊技台であっても経路の違いから正常と異常の矛盾を発見することができ、異常がある遊技台間を容易に特定することが可能となる。また、これらの経路情報に基づいて異常発生経路を特定し報知することが可能となり、不正行為に迅速に対応できる。しかも、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して複数台の遊技機にこの異常情報が複製記憶されるため、これら複数台の遊技機が報知処理を行った場合、これらを一度に隠蔽するのは困難である。従って、不正行為が迅速に発見できる効果がある。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項3あるいは4の遊技機が複数台相互に送受信可能に接続される構成を有する遊技場システムであって、各遊技機には、遊技場システム内における自機の座標位置を特定する座標位置特定手段を有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、請求項3および4に記載した遊技機において、各遊技機には、自機の座標を特定する座標特定手段、具体的には、記憶部に記憶された座標情報が記憶されている。このため、座標を特定する際には、これらの座標情報を直接使用することができ、また異常経路を特定する際には、座標間の経路を特定する事に使用することができることから、異常情報の位置特定を簡易に行う事が可能となり、不正の迅速な発見に、より一層寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、本発明の第1実施例にかかる遊技機について説明する。
【0020】
図1は、本発明の遊技機で構成される遊技島を示した模式図である。
該遊技島においては、複数の遊技機A1,A2,…を横並びに設置して1つの遊技機列を構成し、この遊技機列を2つ互いに背中合わせに設置し、またはホール壁面などに沿って設置して1つの遊技島Bを構成している。1つの遊技機A1は、同じ遊技機列の左右両隣の遊技機A2,A3、及び背面側の遊技機列の後隣りの遊技機A4とそれぞれ接続線74a,74b,74cを介して相互通信可能に接続されている。
【0021】
該実施例に係る遊技機の一例として、図2にパチンコ遊技機Aの外観を示す。このパチンコ遊技機Aは、ホールの遊技島Bに固定した木枠1と、この木枠1に対して上側ヒンジ2及び下側ヒンジ3を介して一方向に開閉自在に取り付けた開閉機構を有する筐体4とからなる。木枠1は、矩形枠状のものであって、本実施形態の場合、その下部枠材1aのみが正面側に見えるようになっている。
【0022】
上記筐体4は、発射装置や遊技盤5などの部品を装備してなり、この筐体4の正面側上部には遊技盤5を透視可能に覆う筐体前扉としての前扉6が上側ヒンジ7及び下側ヒンジ8を介して開閉自在に開閉機構を有して設けられており、この前扉には、遊技機前面から遊技盤5が視認うるように、透明のガラス板を有してなるとともに、筐体4の正面側下部には上受け皿11、下受け皿12、左右一対のスピーカ13a,13b及び発射装置の操作ハンドル14などが設けられている。
【0023】
上記前扉6は、中央部に略円形のガラス面6aを残して正面略全体が演出用ランプ
を内蔵する装飾パネル6bにより覆われてなり、このガラス扉6の左上隅角部には振動等の異常を報知する異常報知手段としての異常報知ランプ16が設けられているとともに、ガラス扉6の右下隅角部には鍵装置17が設けられている。この鍵装置17は、図3に拡大詳示する如き鍵穴18に所定の鍵を挿入して時計方向(図3の(b)状態から(c)状態)に回すと、図4に示す如き筐体4の背面側で上下方向に延びる竿部材19がコイルスプリング20の付勢力に抗して上方に移動し、この竿部材19の上下両端端にそれぞれ連結した上下一対のフック部材21a,21bが各支軸22a,22b回りに図示の状態から時計方向に回動することにより、この各フック部材21a,21bと木枠1に設けた係合部材(図示せず)との係合が外れて筐体4を開放でき、また鍵穴18に挿入した鍵を反時計方向(図3の(b)状態から(a)状態)に回すと、図示していないが、筐体4の場合と同様な構成によって前扉6を開放できるようになっている。また、筐体と木枠の隙間から異物を侵入させて、このフック部材21を引き下げ、筐体を開閉動作させる不正行為を防ぐために、鍵装置17を操作して開閉する時には上下のフック部材は同時に引き下げられるが、フック部材自体、つまり21a、21bのどちらかを直接操作した際には、上下のフック部材は連動して動かないように構成されている。
【0024】
上記遊技盤5は、図5に示すように遊技盤保持枠101に固定支持されて遊技機内部に設置され、その遊技領域が前述の前扉のガラス部から視認可能となっている。遊技領域には、下部から打ち出した遊技球を案内する為のレール部100が周回状に設けられている。また、中央部に中央役物装置30が設けられている。この中央役物装置30は、中央部が奥側に凹んだ形状のもので、その中央部に液晶表示部31(図6参照)を、下部に水平方向に移動可能な大入賞口としてのVゾーン32を、左右両側部に可動式の羽根33a,33bをそれぞれ有している。また、遊技盤5の遊技領域には、中央役物装置30の外に複数(図では4つ)の普通入賞口34a,34b,33c,33d、羽根33a,33bを所定回数開放させるための複数(図では3つ)の始動口35a,35b,35c、1つのアウト口36(図2参照)及び多数の障害釘(図示せず)などが設けられている。さらに、遊技盤保持枠101上には、後述する前扉側開閉センサ45が複数(図では2箇所)設けられている。具体的には、前扉閉鎖時に、扉の一部あるいはガラス板によって押圧される部分に設けられる上側のセンサ45a、下側のセンサ45bとして構成される。これらのセンサは、軸着された前扉の回動軸と平行方向に、所定間隔離間させて設けられる。また、離間配置する際には、遊技領域を上下に挟むように設ける事が好ましい。これは、不正に扉をこじ開けて遊技領域内に侵入しようとする際には上下いずれかのセンサのみが押圧された状態が所定時間以上続く事で、この状態を検出可能にする為である。
【0025】
そして、各始動口から入球した遊技球は、盤面に設けられた検出手段としてのセンサによって検出されるようになっており、上記発射装置の操作ハンドル14を操作することによって発射された遊技球が遊技領域内の入賞部である中央役物装置30内、普通入賞口34a〜34d又は始動口35a〜35cに入ると所定数の遊技球が上受け皿11に払い出されるようになっている。具体的には、まず、始動口35のいずれかに遊技球が入球すると、ハネ33a,33bを所定時間あるいは所定回数開閉する制御を行い、中央役物装置を狙って打球する事で、中央役物装置への入球を狙う事になる。そして、特に、Vゾーン32に遊技球が入ると所定数の遊技球の払出とは別に、中央役物装置30の液晶表示部31の画面上で入賞を祝う遊技演出が行われると同時に、羽根33a,33bが比較的長時間でかつ複数回に亘って開放されることなどで遊技球の払出を大量に受け得る特別遊技に移行するようになっている。このようなパチンコ遊技機Aでは、遊技球を中央役物装置30内、あるいは中央役物装置30内のVゾーン32などの入賞部に導くために筐体4を叩くなどの不正な行為が行われることがある。このような行為が行われた場合、本来発射技量に左右されるべき遊技結果が、それ以外の要因により左右されることで、遊技の公正を害するばかりか、遊技機の故障につながる虞がある。このため、筐体4の背面側には筐体4の振動を検出する振動検出手段としての振動センサ38が取り付けられている。また、この振動センサ38の他に、異常検知センサ102が取り付けられている。この異常検知センサ102としては、遊技球を磁石により不正に操作する事を防止するための磁石センサ、電波により不正に当選を狙う電波ゴトを防止するための電波センサ等があり、図では一つのセンサで図示しているが、複数のセンサによって構成されていてもよい。振動センサ38及び異常検知センサ102は、遊技機に対する異常状態を検出する異常状態検知手段を構成している。尚、図5中、39は羽根33a,33bを通して中央役物装置30内に入る遊技球をカウントするカウントセンサである。また、図示していないが、このカウントセンサは、賞球を払い出す時の賞球払出センサとしての機能を併用して実施しても良い。
【0026】
図6はパチンコ遊技機Aの制御系のブロック構成を示し、41は始動口35a〜35cに遊技球が入ったことを検出する始動口センサ、42は普通入賞口34a〜34dに遊技球が入ったことを検出する普通入賞口センサ、43はVゾーン32に遊技球が入ったことを検出するVゾーンセンサであり、これらのセンサ41〜43の検出信号は、上記振動センサ38及びカウントセンサ39の検出信号と共に、制御部50に入力される。また、44は筐体4の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれフック部材21a,21bの動きにより検出する開閉検出手段としての筐体側開閉センサ、45は前述したように、遊技盤保持枠に設置され、押圧されることによって前扉の開閉動作を検出する開閉検出手段としての前扉側開閉センサであり、この両開閉スイッチ44,45の信号も制御部50に入力される。また、制御部は、図3にて前述した鍵装置17の回動操作の有無を電極(図示せず)の短絡により把握する電極スイッチで構成される解錠操作有無把握手段を有している。
【0027】
上記制御部50は、各種センサ38,39,41〜43及びスイッチ44,45の信号
をI/Oポート51を通して受ける主制御部52と、この主制御部52の制御指令を中継
基板53を介して受ける第1及び第2の副制御部54,55とを備えている。主制御部5
2は、制御主体であるCPU57と、プログラム及び固定データなどを格納するROM5
8と、データの読み書きなどに用いられるRAM59とを有し、遊技状況に応じて、ドラ
イバ回路60を介して羽根駆動部61及びVゾーン駆動部62に動作指令を出力するとと
もに、第1及び第2の副制御部54,55に制御指令を出力するようになっている。第1
の副制御部54は、主制御部52と同じくCPU63とROM64とRAM65とを有し
、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路66を介して中央役物装置30の液
晶表示部31に動作指令を出力するようになっている。第2の副制御部55も、主制御部
52と同じくCPU67とROM68とRAM69とを有し、主制御部52の制御指令に
基づいて、ドライバ回路70を介してスピーカ13及びガラス扉6の装飾パネル6b内又
は遊技盤5上の各種演出ランプ71に動作指令を出力するようになっている。
【0028】
上記主制御部52は、遊技状況に応じた制御とは別に、振動センサ38の検出信号に基
づいて、不正行為を防止するために、ドライバ回路60を介して異常報知手段としての振動報知ランプ16を制御する不正行為防止制御手段としての機能を有するものであり、また、この制御に関連して、外部通信部73を介して、遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aとの間で相互通信を行うようになっている。また、本実施形態の場合、振動センサ38の検出信号に基づかない異常状態、つまり異常検知センサ100に基づく異常状態を外部通信部73をも介して送信可能となっている。
【0029】
また、主制御部52は、前述した開閉センサ44,45について以下のような制御を行う。
【0030】
筐体側開閉センサとしての第1開閉スイッチ44はフック部材21a、21bに対応して設けられる二つのセンサ44a、44bからなる。制御部は両センサの出力状態を割込単位で監視しており、いずれか一方のセンサの出力状態が変化した際にタイマーの計時を開始する。そして、所定時間後までに他方のセンサの出力状態が同じ状態に変化しない場合、これを異常開放として検知する制御を行うようになっている。同時及び所定時間後までに変化した場合は、正常開放と判断する。
【0031】
前扉側開閉センサとしての第2開閉スイッチ45は前述したように、盤面保持枠101の上部、下部に設けられた二つのセンサ45a、45bからなる。制御部は両センサの出力状態を割込単位で監視しており、いずれか一方のセンサの出力状態が変化した際にタイマーの計時を開始する。そして、所定時間後までに他方のセンサの出力状態が同じ状態に変化しない場合、これを異常開放として検知する制御を行うようになっている。同時及び所定時間後までに変化した場合は、正常開放と判断する。
【0032】
そして、異常開放が検出された場合には、所定の異常処理を行う異常処理手段を備えている。この異常処理としては、この異常状態をスピーカやランプ等により報知する動作、および遊技機の動作を不能動化すること等が含まれる。解錠によって正常に開放されるときは、フック部材が同時に変位し、前扉による押圧状態も同時に解除されるので、片側のみ変化することはない。この事によって、筐体あるいは前扉の隙間から異物を侵入させて隙間をこじ開ける不正行為を異常として検知することができる。前述の所定時間としては、設計誤差や、動作時の誤差等を考慮して、2秒間程度に設定することが好ましい。これらの処理は、不正行為による異常な開放を検出する異常開放検出手段として働くものである。
【0033】
上記の例では、複数箇所に設けたセンサの出力状態変化の時間的差分をもとに異常開放を判定する例を示したが、これに限らず、錠装置17に設けられる電極スイッチの出力と、開閉センサの出力状態の比較によって異常開放を検知する構成であってもよい。例えば、電極スイッチの状態によって錠装置の回動操作がなされていない事を検出しているときに開閉センサの出力状態が変化した場合には、これを異常開放として検出することなどである。また、上記の例では、第1開閉スイッチ44、第2開閉スイッチ45(以後、各開閉スイッチ44,45とする)として二箇所に設ける例を例示したが、これに限らず複数あれば上記の効果を奏する事は明らかである。
【0034】
上記主制御部52のRAM60には、図7に示すように、不正行為防止制御に関連して
、振動センサ38の信号を記憶する記憶領域としての振動センサ信号記憶部91と、開閉
スイッチ44,45の信号を記憶する記憶領域としての開閉センサ信号記憶部92と、後
述する計測時間を記憶する記憶領域としての計測時間記憶部93とが設けられている。
【0035】
図8は上記主制御部52による不正行為防止制御の一例を示すフローチャートである。
図8において、スタートした後、ステップS1で振動センサ38からの検出信号があるか
否かを判定するとともに、ステップS2で振動センサフラグFaが1であるか否かを判定
する。振動センサフラグFaは、振動センサ38を有効状態又は無効状態にするためのも
のであり、振動センサフラグFaが「0」のときは振動センサ38が無効状態であり、振
動センサフラグFaが「1」のときは振動センサ38が有効状態である。
【0036】
そして、上記両判定が共にYESのときには、ステップS3で振動報知ランプ16をO
Nつまり点灯し、リターンする一方、いずれかの判定がNOのときには、ステップS4で
振動報知ランプ16をOFFつまり消灯し、リターンする。
【0037】
また、上記振動センサフラグFaの設定・変更のための制御は、主制御部52において
不正行為防止制御と同時並行しかつ図9に示すフローチャートに従って行われる。
【0038】
すなわち、図9において、ステートした後、先ず、ステップS11で振動センサフラグ
Faに、有効とするための「1」を設定する。
【0039】
続いて、ステップS12で自機A1の開閉センサ44,45の信号に基づいていずれかが開状態、つまり筐体4又は前扉6が開状態であるか否かを判定する。この判定がNOのときには、ステップS13で外部通信部73の信号を読み取り、しかる後、ステップS14で読み取った外部通信信号に基づいて遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で同じく開閉スイッチ44,45のいずれかが開状態であるか否かを判定する。この時同時にこの開状態が異常開放状態か正常開放状態かを判定し、異常開放状態の場合は開状態と判定しない制御を行う。
【0040】
そして、自機A1及び隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれも開閉スイッチ
44,45が閉状態のときには、更に、ステップS15でその開閉スイッチ44,45は
前回開状態であるか否かを判定し、その判定がYESのときにはステップS16でタイマ
ーTを零にセットした後、ステップS17へ移行する一方、判定がNOのときにはステッ
プS16をスキップしてステップS17へ移行する。ステップS17では経過時間計測処
理を行い、しかる後、ステップS18で所定時間が経過したか否かを判定し、その判定が
YESのときには、ステップS19で外部送信処理を行った後、ステップS11に戻る一
方、判定がNOのときには、ステップS21で外部送信処理を行った後、ステップS12
に戻る。
【0041】
一方、自機A1及び隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれかで開閉スイッチ
44,45が開状態のとき(ステップS12又はS14の判定がYESのとき)には、ス
テップS20で振動センサフラグFaに、無効とするための「0」を設定し、ステップS
21に移行する。
【0042】
上記ステップS17の経過時間計測処理は、図10に示すフローチャートに従って行われる。すなわち、スタートした後、ステップS31で経過時間Tが所定時間Ta以上であるか否かを判定する。ここで、経過時間Taは、図9のステップS16でタイマーをセットした時点、つまり開閉センサ44,45が開状態から閉状態になった時点からの経過時間であり、所定時間Taは、図9のステップS18の所定時間と同じであって、3〜5秒の間に設定される。ステップS31の判定がNOの所定時間Ta未満のときには、ステップS32で制御サイクルタイムe(例えば4msec)を経過時間Tに加算して経過時間Tを更新した後、リターンする一方、判定がYESの所定時間Ta以上のときにはステップS32をスキップしてリターンする。
【0043】
また、上記ステップS19及びS21の外部送信処理は、図11に示すフローチャートに従って行われる。すなわち、スタートした後、ステップS41で自機Aの開閉センサ44,45のいずれかが開状態であるか否かを判定し、その判定がYESのときにはステ
ップS42で遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aに対し外部通信部73を介して
開状態信号を送信し、リターンする一方、判定がNOのときにはステップS43で遊技島
B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aに対し外部通信部73を介して閉状態信号を送信し
、リターンする。
【0044】
従って、上記パチンコ遊技機Aにおいては、遊技者が筐体4を叩いたり揺すったりした
ときには、その振動を筐体4の背面側に設けた振動センサ38が検出し、この振動センサ
38の検出信号を受ける制御部50の主制御部52の制御の下に振動報知ランプ16が点
灯するため、その点灯を見た店員が遊技者に注意することができ、不正行為を防止するこ
とができる。また、異常開放を検出した際には、これを開状態とはせず、不正検知状態が続行されるため、前扉の不正な開放によって検知機能が無効化されることはなく、正規な開放動作が行われたときのみ検知状態を無効化することができる。
【0045】
上記の例では、振動センサ38を例にとって説明したが、この他に、店員の作業中には誤検出されうるようなセンサ、例えば大入賞口の開閉を検知し、大入賞口を不正に開けて入球させるような不正を防止する大入賞口の開閉センサを異常状態検知手段として用いることもできる。
【0046】
一方、遊技中に店員がパチンコ遊技機Aの点検調整のために筐体4又はガラス扉6を開
閉し、その開閉に伴って振動が発生したときには、上記主制御部52は、振動センサ38
の検出信号を受けるだけでなく、筐体4及びガラス扉6の開閉をそれぞれ検出する開閉ス
イッチ44,45の信号を受け、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ3
8の検出信号を無効にする(図9のステップS12,S20及び図8のステップS1,S
2)。このため、振動報知ランプ16が誤って点灯することはなく、遊技者に不快感や苛
立ちなどを与えることもない。
【0047】
特に店員が遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機、具体的には左右両隣又は後隣りのパチンコ遊技機A2〜A4の点検調整のためにその遊技機A2〜A4の筐体4又はガラス扉6を開閉し、その開閉に伴う振動を自機A1の振動センサ38が検出したときでも、自機A1の主制御部52は、外部通信部73を介して受ける他のパチンコ遊技機A2〜A4からの開閉スイッチ44,45の開状態信号に基づいて、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号を無効にする(図9のステ
ップS13,S14,S20及び図8のステップS1,S2)。このため、自機A1の点
検調整のために筐体4又はガラス扉6を開閉して振動が発生したときと同様に、振動報知
ランプ16が誤って点灯することはなく、振動報知ランプ16の信頼性を高めることがで
きるとともに、遊技者とのトラブル防止化を一層図ることができる。
【0048】
しかも、上記開閉スイッチ44,45は、比較的検出が容易な筐体4又はガラス扉6の
開操作の開始時点及び閉操作の終了時点を検出するものであって、構造的に簡易でかつコ
スト的に安価なもので足りるため、実施化を容易に図ることができる。
【0049】
さらに、上記主制御部52は、自機A1又は隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で
開閉スイッチ44,45が開状態のとき、つまり筐体4又はガラス扉6の開操作の開始時
点から閉操作の終了時点までの間、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ
38の検出信号を無効にするだけでなく、筐体4又はガラス扉6の閉操作の終了時点から
所定時間Taが経過するまでの間も振動センサフラグFaに「0」を維持して振動センサ
38の検出信号を継続的に無効にしている(図9のステップS15〜S18、図10)。
このことは、図12に示す開閉スイッチ44,45のON・OFF信号と振動センサ38
の有効・無効領域との関係からも分かる。このため、店員が筐体4又はガラス扉6の閉鎖
後に閉鎖状態を確認するために筐体4又はガラス扉6を引いたり押したりし、その操作に
よって振動が発生したときでも振動報知ランプ16が誤って点灯することはなく、振動報
知ランプ16の信頼性をより高めることができる。
【0050】
ここで、上記所定時間Taは、固定的に設定されるものである必要はなく、任意に設定
変更が可能であることが好ましい。例えば、3秒、5秒、10秒というように数段階に変
更、あるいは連続的な値に設定変更可能にすることが好ましい。従業員の施錠確認作業が
長くかかり、頻繁に確認作業時間が設定時間を超えてしまうようなときには、作業中に頻
繁に不正行為を検知してしまうことが考えられる。このような場合に、所定時間Taを長
い値に変更することが可能となり、営業に支障を来さないという効果が得られる。
【0051】
また、上記の開閉検知手段は、図13に示すような開閉動作中センサで構成されていてもよい。開閉動作中センサ80は、図15に示すように、木枠1の上部枠材の上面に支軸82回りに回転自在に支持されかつ筐体4の上側ヒンジ2(図1参照)の軸部2aに固定したヒンジ側ギヤ83と噛合する筐体側ギヤ84を被検出体とし、この筐体側ギヤ84に対向して木枠1の上部枠材の上面に固定された磁石85及び半導体磁気抵抗素子86からなり、筐体4の開閉動作中に筐体側ギヤ84の回転に伴って磁石85による磁界が変化し、この磁界の変化を半導体磁気抵抗素子86により検知するようになっている。この例では、筐体と木枠の関係で示したが、同様の構成が前扉と筐体の関係においても適用できる。この構成によって、開閉動作中のみを検出状態とし、この期間のみを無効とするような構成とすることができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施例にかかる遊技機について説明する。
【0053】
図14は、本実施例にかかるパチンコ遊技機Aを複数設置した状態を遊技島裏面から見た図である。遊技機Aの前面の基本構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは省略する。遊技機Aは、遊技媒体を貸し出すための台間機Cを挟むようにしてこの台間機Cと電気的に接続(図示せず)されて設置されている。そして、遊技機Aの裏面にはそれぞれ、島補給装置(図示せず)から遊技球の補給を受け、賞球として払い出すために貯留する部分である貯留タンク400、遊技制御に関する制御を行うための制御基板を収納した制御基板ケース401等が設けられ、遊技機Aは前述した実施例1と同様に、木枠1によって遊技島Bに固定されてなる。
【0054】
本実施例の特徴点は、木枠1の所定位置に振動検知装置300が配置されている点である。振動検知装置300は、振動センサ38を内蔵してなり、遊技機本体に加えられた振動を検出する事が可能なように構成されている。そして、遊技機の状態を外部に出力するための基板でる外部端子板500と、信号線200を介して接続されており、振動検知装置300同士は、信号線74を介して相互に信号を送受信可能なように接続されている。なお、信号線74とはことなり、信号線200は、外部端子板から振動検知装置300への一方向のみ信号が送信可能となるように構成されている。盤面の構成及び筐体の開閉機構、開閉検知機構については第1実施例と共通であるので、ここでは省略する。なお、以下の例では、外部機器の一例として振動検知装置300を例示するが、これに限らず、既存の島報知装置、台間機などの内部に以下に述べる振動検知装置の制御部の構成を組み込む事も、本実施例の概念に含まれるものである。
【0055】
図15は、本実施例にかかるパチンコ遊技機Aの制御系のブロック構成を示し、41は始動口35a〜35cに遊技球が入ったことを検出する始動口センサ、42は普通入賞口34a〜34dに遊技球が入ったことを検出する普通入賞口センサ、43はVゾーン32に遊技球が入ったことを検出するVゾーンセンサであり、これらのセンサ41〜43の検出信号は、カウントセンサ39の検出信号と共に、制御部50に入力される。また、44は筐体4の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれフック部材21a,21bの動きにより検出する開閉検出手段としての筐体側開閉センサとしての第1開閉スイッチ、45は遊技盤保持枠に設置され、押圧されることによって前扉の開閉動作を検出する開閉検出手段としての前扉側開閉センサとしての第2開閉スイッチであり、この両開閉スイッチ44,45の信号も制御部50に入力される。
【0056】
上記制御部50は、各種センサ39,41〜43及び各開閉スイッチ44,45の信号をI/Oポート51を通して受ける主制御部52と、この主制御部52の制御指令を中継基板53を介して受ける第1及び第2の副制御部54,55とを備えている。主制御部52は、制御主体であるCPU57と、プログラム及び固定データなどを格納するROM58と、データの読み書きなどに用いられるRAM59とを有し、遊技状況に応じて、ドライバ回路60を介して羽根駆動部61及びVゾーン駆動部62に動作指令を出力するとともに、第1及び第2の副制御部54,55に制御指令を出力するようになっている。第1の副制御部54は、主制御部52と同じくCPU63とROM64とRAM65とを有し、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路66を介して中央役物装置30の液晶表示部31に動作指令を出力するようになっている。第2の副制御部55も、主制御部52と同じくCPU67とROM68とRAM69とを有し、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路70を介してスピーカ13及びガラス扉6の装飾パネル6b内又は遊技盤5上の各種演出ランプ71に動作指令を出力するようになっている。
【0057】
上記主制御部52は、遊技状況に応じた制御とは別に、各開閉スイッチ44,45の出力状態を、外部と接続される外部端子板500に向けて送信する制御を行う。この外部端子板500に向けて送信された信号は、信号線200を通じて振動検知装置300に入力される。
【0058】
図16は、本実施例において用いられる振動検知装置300の制御系のブロック構成を示した図である。この振動検知装置300内の制御機構301は、外部からの信号を受けて、各部に指令を行うためのCPU307、制御を行うためのプログラムが書き込まれたROM308、信号の状態を一時的に記憶するためのRAM309が設けられた制御部302を有してなる。この制御部302には、I/Oポート306を介して遊技機側接続端子305からの信号が入力されるようになっている。遊技機側接続端子305は、信号線200を介して前述の外部端子板500に接続されるものであり、前述の開閉センサ44,45の信号はこの遊技機側接続端子305を通じて入力される。また、制御部302には、振動検知装置300内に設けられた振動センサ38の信号も入力されるようになっている。また、振動検知装置300は、スピーカやランプ等で構成される報知装置312を有しており、振動センサ38の出力状態に基づいて、制御部302は、スピーカやランプ等で構成される報知装置312を駆動して警報を出力するようになっている。
【0059】
また、この振動検知装置300は、受信側接続端子304、送信側接続端子311を有している。受信側接続端子304は、他の、例えば隣接遊技機に設けられる振動検知装置300内に設けられる送信側接続端子311と信号線74を介して相互に送受信可能に接続されている。送信側接続端子311は、他の、例えば隣接遊技機に設けられる振動検知装置300内に設けられる受信側接続端子304と信号線74を介して相互に送受信可能に接続される。制御部302は、遊技機から開閉センサの信号を受け取った事に基づいて、振動センサ38の検知状態を無効にする指令信号を送信側接続端子から導出するとともに、自機の振動センサ38の検知状態を無効にするように制御する。ここで、「無効にする」とは、振動センサの検出状態をオフにする事に加え、検出状態をオンにしたまま報知のみを行わないようにすることをも含む意味である。一方、指令信号を受け取った側の振動検知装置300は、振動検知センサ38の検出状態を無効にするように制御する。これらの制御については以下詳述する。
【0060】
図17は、本実施例の主制御部で行われる制御を示した図である。主制御部では、開閉センサ44あるいは45、の出力状態、あるいは錠装置の回動状態をもとに、前扉あるいは筐体に対して開閉操作が行われたかどうかをステップS99にて常時監視している。そして、このステップS99がYESになったとき、前述の外部端子板500を通じて、振動検知装置300に向けて開閉動作検出信号を導出するようになっている。この開閉動作検出信号は、開放時は開放開始時点で、閉鎖時は閉鎖終了時点で出力されるようになる。
【0061】
図18は、本実施例の振動検知装置300の制御部302において行われる制御を示した図である。これについて以下詳述する。
【0062】
まず、ステップS101にて隣接する振動検知装置300から信号を受信したかどうかを判定し、これがYESであれば、ステップS102の受信時処理にうつる。このステップS102の受信時処理については後記に詳述する。そして、受信していないとき、つまりNOであれば、ステップS103にうつり、主制御部から外部端子板を通じて出力される開閉動作検出信号を受信したかどうかを確認する。開閉動作検出信号を受信したときには、ステップS104にて開状態フラグFxの状態をもとに、信号受信前現在の状態が開状態であるかどうかどうかを判定する。この開状態フラグFxは、開状態のときは1、閉状態のときは0の値にて、振動検知装置300の制御部のRAMに書き込まれているものである。そしてNOのとき、つまりFx=0の場合、信号の受信によって、開状態に移行したことが示されるので、ステップS105にてFxの値を1に反転させるとともに、ステップS106にて振動検知無効状態を設定する。これと同時に、ステップS107にて、隣接する振動検知装置にむけて無効状態設定信号を送信する。ステップS104がYESの場合、信号の受信によって、閉状態に移行したことが示されるので、ステップS108にてFxの値を0に反転させるとともに、ステップS109にて振動検知を有効状態に戻す。この場合、有効状態に戻す前に所定の時間差、例えば、3〜10秒程度を設けることが好ましい。これは、前述した第1実施例でも述べた如く、店員による確認作業の時間を確保するためである。そして、ステップS110にて隣接する振動検知装置にむけて無効状態設定解除信号を送信する。
【0063】
これらの制御により、遊技機からの開閉動作検出信号を元に、振動の検知状態を変化させ、作業時に振動センサが誤反応することを防ぐことができ、この制御は誤反応防止手段として働くものである。
【0064】
図19は、ステップS102の受信時処理の内容を示した図である。隣接した振動検知装置300からの信号を受けた場合、ステップS111にて、うけた信号が無効状態設定信号かどうかを判断する。YES、つまり無効状態設定信号の場合、隣接する遊技機にて作業中であるため、現在の状態が開状態か閉状態かに関わらず、S112にて振動検知無効状態を設定する。NO、つまり無効状態設定解除信号の場合、ステップS113にて前述の開状態フラグFxの状態をもとに、現在の状態が開状態か、閉状態かを判断する。開状態、つまりYESの場合、ステップS112にて振動検知無効状態を設定してリターンする。閉状態、つまりNOの場合、ステップS114にて振動検知有効状態を設定してリターンする。これらの制御により、隣接する振動検知装置300からの信号を受けて、振動検知状態を制御する為、隣接機の作業によって遊技が影響を受けることはない。
【0065】
本実施例によれば、前述した実施例1と同様、遊技台を振動させる等の不正な遊技を抑制できるとともに、隣接機の作業中に振動センサが誤反応することが無いため、遊技者に不快感や苛立ちなどを与えることもない。その上、主制御部の制御としては、開閉センサからの信号を外部端子板に向けて送信するのみであるため、主制御部に余分な負担がかかることがない。また、主制御部に信号を入力する必要が無いため、この機構を利用した不正行為のおそれがない。このため、容易に実施化を図ることができ、不正防止に優れた効果を有する。また、本実施例においては、遊技機枠に振動検知装置300を付設した例を示したが、本発明はこれに限定されず、遊技島内の固定構造、例えば幕板や床板を介して振動検知装置が付設されている場合も含むものである。更に、振動検知装置は上記のように遊技機から信号を受けて制御を行う構成に限らず、振動検知装置自体に遊技機前扉や筐体の開閉を検知する検知手段を有している場合も含むものである。
【0066】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0067】
該実施例は、遊技島の通信制御に関するものであり、基本的な遊技機の構成は前述の第1実施例と同様である。構成として異なる点は、図20で示すように、主制御部のROM58に識別情報記憶部900、設置島情報記憶部901が設けられている点と、図21で示すように、RAM59に異常内容記憶部902、自機情報記憶部903が設けられている点である。
【0068】
識別情報記憶部900は、後述するように、設置されるべき座標情報が予め書き込まれてなるものである。設置島情報記憶部901は、その遊技島の構成情報、つまり、何台何列の島か等の情報等が書き込まれている。
【0069】
図22は、本発明の遊技場システムの構成を示した図である。このシステムを構成する遊技機は、単数あるいは複数の遊技島からなるm×n個の遊技機の集合体で構成されている。なお、本実施の形態では、座標値m、nは1以上の任意の自然数であるが、多くの遊技台数を管理する場合は、データ長をなるべく小さくすることを目的に全体の遊技台数の中央値を0とした正負の整数を使用する方がRAM容量節約の観点から好ましい。具体的には、数字をビットデータにした場合、たとえば0から1000までの整数よりも、正負を表すビット(符号部)+数字を表すビット(数値部)の形、例えば−500から+499の整数にてデータを構成した方がデータ長が短くなるためである。この座標値を符号部と数値部から構成する事は、特に、遊技機の台数が多い場合、数千台、数万台となった場合に効果的である。ここでは、簡便のために、6×2個の集合体で構成された島を例に説明する。各遊技機A101〜A112は前述のように接続線74でそれぞれ相互通信可能に接続されており、図中、(X,Y)で表される自機の座標情報を主制御部内のRAMに記憶している。例えば、A101〜A112に対しては、1つの遊技島に設置された12台ある遊技機それぞれに(1,1)〜(2,6)で表される座標情報が記憶されている。本システムでは、図示するように、例えば(2,5)で表されるA103の遊技機で不正行為等による異常が検知された場合、その情報が物理的に隣接しているA101、A104、A105の遊技機に送信されるようになっている。この構成を実現するための手段を以下に詳述する。
【0070】
図23は、本構成に用いられる遊技機の主制御部で行われる制御を示した図である。この制御について、以下説明する。
【0071】
まず、電源が投入されると、ステップS200で自機の位置情報(X,Y)の読み込み処理を行う。この読み込み処理は、主制御部のROM部分に書き込まれた識別情報記憶部900の座標データをRAM部分の自機情報記憶部903にロードすることによって行われる。この処理と同時に、設置島情報記憶部901から最大値(m,n)の読込処理を行う。m、nは位置情報(X,Y)としての最大値を示すものであり、設置時に何台の遊技機が何列設置されるかによって予め遊技機に書き込まれている。この各座標読み込み処理は、主制御部が遊技場の中央管理装置(図示せず)と相互通信可能に接続されている場合は、中央管理装置から座標位置情報の初期データ送信を受け、該データを初期値としてRAM領域に書き込む処理としてもよい。この場合、中央管理装置において座標情報(X,Y)及び最大値(m,n)を各遊技機毎に指定して書き込む構成とする。以下、X座標として値の大きい方を便宜的に右側、Y座標として値の小さい方を前列として説明するが、本発明はこのことにより限定されるものではない。この処理は、例えば最前列の一番左側の遊技機に(1,1)、最後列の一番右側の遊技機に(m,n)といったように、各遊技機の座標を特定する座標位置特定手段として機能する。ここで座標とは遊技機の配置における絶対位置の事であり、この例では(X,Y)の形式で位置を特定するものを示したが、これに限らず、ID等で位置が規定されているものでもよい。
【0072】
次に、ステップS201では、異常台情報正常値読込処理を行う。この処理は、RAM内の異常台情報記憶領域に初期値を読み込む処理であり、異常台の情報を書き込む為の座標情報(X0,Y0)に(0,0)を書き込む。この座標情報としての(0,0)の値は正常値を表す値であるため、(X0,Y0)の値が(0,0)であるときは後述する異常報知等の処理は行われない。
【0073】
次に、ステップ202では、隣接する遊技機からの接続情報を受信したかどうかを確認する。これは、後述する隣接遊技機監視処理において、接続状態を確認するための信号を送信する処理を行うが、この信号を隣接遊技機から受けているかどうかを確認する処理である。YESであればステップ203にうつり、隣接遊技機に対して応答信号を送信するとともに、自機の異常情報記憶部100に記憶された情報を隣接機に向けて送信する応答処理を行う。NOであれば、そのままステップ204にうつる。これらの処理は隣接機からの接続情報を受信し、これに応答するための応答指令受信手段として働くものである。
【0074】
ステップS204では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X+1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS205において、X1の値がmより大きいかどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より右側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS207に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS206の監視処理を行う。次に、S207では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X−1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS208において、X1の値が0かどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より左側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS210に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS209の監視処理を行う。このようにして、X方向、つまり左右の遊技機の有無を確認し、監視処理の有無を決める。同様に、Y方向についても、ステップS210〜ステップS214の処理を行い、該遊技機の前後に接続された遊技機の有無を確認し、監視処理の有無を決定する。これらの処理を行った後、ステップ202に再度復帰する。この処理を繰り返すことにより、周囲の遊技機が存在するかどうかを判別し、監視の有無を決定する。ステップS206、ステップS209、ステップS212、ステップS215の各処理は、隣接遊技機に対する監視処理であり、これについては後記に詳述する。制御部のこの機能は、周囲の遊技機について監視を行うか否かを決定する監視有無判別手段として働くものである。なお、上記の例においては、各方向の遊技機の監視を順に行う例を示したが、これに限らず、監視順を抽選等によってランダムに決定してもよい。
【0075】
以上、図23で述べた一連の処理は、CPUの割込単位で反復試行されるものである。
【0076】
図24は、先述した隣接遊技機に対する監視処理の制御内容を示したものである。まず、ステップS299にて、接続情報を発信済みかどうか判断する。YESの場合、そのままステップS301に移行する。NOの場合、ステップS300にて接続情報発信処理を行う。この発信処理とともに、タイマー値の計時開始を行う。この処理は、所定の信号を隣接遊技機に対して送信し、該信号に対して隣接遊技機が応答するか否かを判別するための処理である。この処理と同時に、ステップS301にて制御部内のタイマー値を更新する。そして、ステップS302にて、正常な応答があるかどうかを監視する。YESの場合は、ステップS303にすすみ、隣接遊技機からの異常情報取得処理を行う。このステップS303の異常情報取得処理については後記に詳述する。NOの場合は、ステップS304にすすみ、ステップS301にて取得した更新値をもとに応答時間が所定時間を超えたかどうかを判断する。この判断は、図23で述べた一連の処理が複数回反復試行される毎に、タイマー値が加算更新されることによって、所定時間内に正常応答があるかどうかを判定する正常応答判定手段として働くものである。この所定値としては、隣接機との接続線の信号伝達速度によって予め定められたものを用いる。具体的には、例えば、10〜12mS程度に定める事が好ましい。
【0077】
そして、ステップS304がNOの場合は、直接リターンする。ステップS304がYESの場合は、続くステップ305にて、現在監視中の隣接機の座標(X,Y)を「接続異常」と対応づけて異常内容記憶部902に記憶する処理を行う。ステップ306では、記憶された異常内容に基づいて異常報知処理を行う。この異常報知処理については後記に詳述する。これらの隣接遊技機に対する監視処理は、隣接遊技機との接続異常を検出する接続異常検出手段として機能する。これらの処理を行ったあと、図23のフローに復帰する。この監視処理を周囲の隣接遊技機について順に行う事で、監視機能を実現している。
【0078】
図25は、異常情報取得処理の内容を示すものである。接続情報発信処理をうけた隣接遊技機は、応答信号を送信した後、自機の異常内容記憶部902に格納された異常情報を送信するので、この処理では、まず、ステップS400でこの異常情報を受信する処理を行う。次に、ステップS401で受信した異常情報が初期値(0,0)かどうかを判定する。YESの場合、初期値(0,0)は正常値なので、そのままリターンする。NOの場合、受信した情報をステップS402にて異常内容記憶部902に上書きして格納する。続いて、受信した情報に基づいてステップS403にて異常報知処理を行う。
【0079】
図26は先述した異常報知処理の内容を示すものである。まず、ステップS500で遊技機がアイドリング状態であるかどうかを判断する。これは、主制御部のRAM部分に書き込まれたアイドリングフラグの状態を見て行うものである。YESの場合、液晶等演出装置を用いて異常状態報知を行うべく、異常情報記憶部の記憶内容を演出制御部に送信する処理を行う。この信号の送信をうけた演出制御部では、アイドリングを中断し、受信した情報をもとに、図27の如き異常報知を液晶演出部等で行うように制御する。NOの場合、異常情報記憶部の記憶内容を島報知ランプ等、外部に接続されている機器に送信する。これをうけて、島報知ランプ等が異常が起こった台の情報を報知するようになっている。このような制御を行うことによって、遊技中の遊技台の阻害となったり、興趣を下げたりする事無しに、異常を正確に報知しうる。
【0080】
また、起こった異常が店員によって解消された場合、店員が異常発生遊技機に付設された異常解消ボタン(図示せず)を操作すると、前述した(X,Y)等の座標情報を含む異常情報消去データを異常情報記憶部に記憶するとともに、当該遊技機で行っている異常報知を消去する制御を行う。この異常情報消去データは、前述した異常情報と同様に扱われ、前述と同様に図23〜図25のフローに従って隣接遊技機に伝達される。異常情報消去データを受信した遊技機では、この特定の異常情報に関する異常報知を消去する制御を行う。この異常情報消去データは隣接遊技機に対して一度発信されるとその後に異常情報記憶部から消去される。この制御は、発生した異常報知に対して、各台の異常を一度に消去する機能を持つ異常報知消去手段として機能するものである。これらの制御によって、各遊技機の異常報知を一度に消去する事ができ、作業の迅速化が図れる。
【0081】
上記した実施例によれば、遊技島において発生した異常状態を、隣接遊技機および通信可能に接続された遊技島の全体にて行うため、一部の遊技機について不正操作を行って報知機能を無効化しても、他の遊技機によって報知が行われるため、不正行為の発生を確実に知ることができる。これらの報知を隠蔽するためには島全体の各遊技機を改変する必要が生じ、このような事が実質的には不可能であるため、不正を効果的に防止できる。また、報知情報として異常発生台の位置を正確に報知できるため、不正の発生に対して迅速に対処できる。
【0082】
次に、上記した遊技機で構成される本発明の遊技場システムの第4実施例について説明する。
【0083】
本実施例における遊技機は、基本的なハード構成は第3実施例と同様であるが、図28の如く、RAM59の部分に巡回情報記憶部904が設けられている構成である点が異なっている。
【0084】
図29は巡回情報記憶部904に記憶される記憶データの仕様の概念図を示したものである。巡回情報記憶部904には、巡回座標、つまり各遊技機の座標が順番に記憶されており、それぞれの座標の間の経路について、巡回した結果、異常「1」か正常「0」であるかが記憶されている。そして、各巡回が一巡したかを監視するために、座標の端点(1,1)からX軸方向、Y軸方向の最大値まで、つまり、(m,n)のポイントまで巡回が終了したかどうかも記憶している。これらの構成によって、各経路が正常かどうかの監視を随時行っている。これらの制御について以下詳述する。簡便のために、以下実施例ではn=2、つまりm行2列に遊技機が配置された遊技島についての実施例を示すが、これによって限定をうけるものではない。
【0085】
図30は、本実施例において用いられる遊技機の主制御部制御を示した図である。この制御について、以下説明する。
【0086】
まず、電源が投入されると、ステップS600で自機の位置情報(X,Y)の読み込み処理を行う。この読み込み処理は、主制御部のROM部分に書き込まれた座標データをRAM部分にロードすることによって行われる。この処理と同時に、最大値(m,2)の読込処理を行う。m、2は位置情報(X,Y)としての最大値を示すものであり、設置時に何台の遊技機が何列設置されるかによって予め遊技機に書き込まれている。この各座標読み込み処理は、主制御部が遊技場の中央管理装置(図示せず)と相互通信可能に接続されている場合は、中央管理装置から座標位置情報の初期データ送信を受け、該データを初期値としてRAM領域に書き込む処理としてもよい。この場合、中央管理装置において座標情報(X,Y)及び最大値(m,2)を各遊技機毎に指定して書き込む構成とする。以下、X座標として値の大きい方を便宜的に右側、Y座標として値の小さい方を前列として説明するが、本発明はこのことにより限定されるものではない。この処理は、例えば最前列の一番左側の遊技機に(1,1)、最後列の一番右側の遊技機に(m,2)といったように、各遊技機の座標を特定する座標位置特定手段として機能する。ここで座標とは遊技機の配置における絶対位置の事であり、この例では(X,Y)の形式で位置を特定するものを示したが、これに限らず、ID等で位置が規定されているものでもよい。
【0087】
続いて、ステップS601で情報の送信が正常に行えるかどうかを判定する巡回情報送信判定処理を行う。この巡回情報送信判定処理については後記に詳述する。
【0088】
次に、ステップS602にて隣接遊技機からの巡回情報を受信し、ステップS603にて受信した巡回情報を巡回情報記憶部に記憶する処理を行う。このときに記憶される巡回情報は、図29において示した如く、巡回の開始点の遊技機から送信元までの遊技機までの経路が巡回経路として記憶され、異常有無の情報が順に羅列されたデータとして送信されるものである。
【0089】
次に、ステップS603にて、受信した巡回情報と、予め記憶している巡回情報を照合する巡回情報照合処理を行う。この事により、経路上に異常状態が発生している接続経路を特定する。この処理については後記に詳述する。次に、ステップS604にて、受信した巡回情報についてこのデータが(m,1)の座標を通過したか、つまり巡回済みかどうかを判定する。(m,1)の点は、前述したように、一番最後列の一番左側の遊技機を意味するものである。巡回済みでなければNOなのでステップS601に戻り、隣接遊技機にむけて巡回情報を発信するとともに、新たに隣接遊技機から巡回情報を受信する処理を行う。YESならステップS604に移行し、同様に(1,2)で規定される最前列左隅の遊技機を通過した情報かどうかを判定し、NOならステップS601に戻る。YESなら、続いてS605にて同様に(m,2)で規定される最後列右隅の遊技機を通過したかどうかを判定する。これらの制御により、遊技機設置列の端部を通ったかどうか確認し、次のステップS606にて巡回情報の最初に記憶された座標(初期位置)が自機のものかどうか確認する。この制御によって、自機から発信された巡回情報データが、遊技機列の端部をそれぞれ通過して自機に戻ってきたかどうか確認し、全遊技機を通過したデータであることを確認する。そして、YESの場合は巡回情報記憶部に記憶されている複数のデータをクリアする制御を行う。NOの場合は再びステップS601に戻り、新たに情報を送受信する処理を行う。これらの処理を行うことによって、複数の巡回経路情報をステップS603で照合することができる。従って、得られた情報により、経路上の異常あるいは、接続状態の異常を検出することができる。
【0090】
上述の例においては、2列構成の遊技島単位で巡回を行う例を示したが、3列以上の場合は、巡回単位を構成する遊技機の全座標情報を記憶しておき、これらの座標情報が全て網羅されている経路であるかどうかを確認することにより、全遊技機を通過したデータであることを確認する構成とすることが考えられる。
【0091】
次に、巡回情報送信判定処理について図31を参照しながら説明する。ステップS700では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X+1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS701において、X1の値がmより大きいかどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より右側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS703に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS702の隣接遊技機送信処理を行う。次に、ステップS703では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X−1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS704において、X1の値が0かどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より左側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS706に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS704の隣接遊技機送信処理を行う。このようにして、X方向、つまり左右の遊技機の有無を確認し、監視処理の有無を決める。同様に、Y方向についても、ステップS707〜ステップS711の処理を行い、該遊技機の前後に接続された遊技機の有無を確認し、隣接遊技機送信処理の有無を決定する。これらの処理を行った後、メイン処理に戻る。この処理を繰り返すことにより、周囲の遊技機が存在するかどうかを判別し、送信処理の有無を決定する。なお、上記の例においては、各方向の遊技機に対する送信を順に行う例を示したが、これに限らず、送信処理順を抽選等によってランダムに決定してもよい。
【0092】
図32は隣接遊技機送信処理を示した図である。まず、ステップS800では、該当隣接機に対して、応答確認データを送信し、これが正常に送信できるかどうかを確認する。正常に送信できた場合、隣接遊技機からは確認データが送信される。これを確認した場合にYESとなり、ステップS801にて巡回経路情報に正常値「0」を書き込むとともに、ステップS802で送信先の座標を巡回情報記憶部の巡回座標データに追加する。追加した後、巡回情報記憶部のデータを隣接遊技機に向かって送信する。隣接遊技機から確認データの送信がなされなかった場合にはNOとなり、ステップS803にて巡回経路情報に異常値「1」を書き込み、このデータを巡回情報記憶部に記憶する。つまり、この巡回経路の最終値が異常値「1」となったデータは、異常を持った遊技機の隣接機によってプールされ、この遊技機に接続されている他の正常遊技機に次回送信されることになる。経路上に異常が生じた際には、このような経路の途中で異常値「1」となったデータが複数発生するため、この複数のデータを照合する事によって異常箇所を特定することが可能となる。
【0093】
図33は図30のステップS604の巡回情報照合処理を示した図である。巡回情報記憶部には、隣接する遊技機から受けた複数の巡回経路情報が記憶されている。ステップS900では、これらの複数の巡回経路情報を照合する。そして、ステップS901でこの照合した結果に不一致があるかどうかを確認する。そして、YESであれば、ステップS902で接続異常報知処理を行う。この異常報知は、報知される異常情報内容が異なる他は、第3実施例の異常報知処理と同様に行われる。例えば、途中経路上に「正常」のみを返す基板が接続されている場合、この経路を通過しない巡回経路と、通過する巡回経路で経路情報の不一致が生じる。この場合に不正な改変を報知する接続異常報知手段としてこの制御は働くものである。そして、ステップS903でこの経路情報に異常「1」があるかどうかを確認する。異常がある場合、YESとなり、ステップS904にて異常経路報知処理を行う。この処理は、報知される異常情報内容が異なる他は、第3実施例の異常報知処理と同様に行われる。
【0094】
上記の実施例によれば、異常報知処理を島単位で可能とする事で、不正を隠蔽するためには島単位で改変する事が必要となり、不正防止効果が高まっている。また、途中に不正基板を接続するような行為に関しても検出が可能となる。
【0095】
上記実施例3、4においては、遊技機同士を接続した実施例を示したが、これに代えて、遊技機と隣接して設置されて相互通信可能に接続され、遊技媒体の貸出を行う為の台間機について、台間機同士を接続し、遊技機から受信する異常信号を元に同様の制御を行うことも可能である。
【0096】
本発明によれば、筐体に対して働かれる不正行為を、隣接して相互通信可能に接続された機器を利用して報知する事が可能となり、これらに対して迅速に対処する事が可能となる。
【0097】
なお、上記各実施例においては、パチンコ機において本発明を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、アレンジボール、雀球等の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機等にも適用可能であることはもちろんである。なお、上記した実施例は、実施するための一形態を例示したものであり、本発明は、上記実施例に限定されず、その思想の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0098】
また、異常情報記憶処理の方法として異常台の座標情報をコピーして隣接遊技機に送信・記憶処理を行っているものを例にとって説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、異常台を基準とし、基準値から離れている度合い(所謂「絶対値」)を計算し、その絶対値から異常台を特定し、異常台報知を行うアブソリュート方式や、異常台の軌跡データを計算し、その増分値から異常台を特定し、異常台報知を行うインクレメンタル方式を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明における遊技島内のパチンコ遊技機同士の配置状態及び接続状態を示す配置・配線図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面図である。
【図3】上記パチンコ遊技機における鍵装置の鍵穴の3つの状態をそれぞれ拡大して示す図である。
【図4】パチンコ遊技機における筐体の開状態をその右側端面から見た側面図である。
【図5】パチンコ遊技機における遊技盤の遊技領域の部品配置状態を示す正面図である。
【図6】パチンコ遊技機の制御系のブロック構成図である。
【図7】主制御部のRAMのブロック構成図である。
【図8】不正行為防止制御のフローチャート図である。
【図9】振動センサフラグの設定・変更制御のフローチャート図である。
【図10】経過時間計測処理のフローチャート図である。
【図11】外部通信処理のフローチャート図である。
【図12】開閉スイッチのON・OFF信号と振動センサの有効・無効との関係を示すタイムチャート図である。
【図13】開閉動作中センサの取付状態を示す図である。
【図14】遊技機の背面構造を示す図である。
【図15】遊技機の制御系のブロック構成図である。
【図16】振動検知装置の制御系のブロック構成図である。
【図17】遊技機の開閉動作検知制御を示す図である。
【図18】振動検知装置の振動検知機構の有効・無効制御を示す図である。
【図19】振動検知装置の受信時処理を示す図である。
【図20】ROMの記憶部の構成を示す図である。
【図21】RAMの記憶部の構成を示す図である。
【図22】遊技島の構成を示す概念図である。
【図23】通信制御のフローチャートである。
【図24】隣接遊技機の監視処理を示すフローチャートである。
【図25】異常情報取得処理を示すフローチャートである。
【図26】異常報知処理を示すフローチャートである。
【図27】異常報知の一形態を示す図である。
【図28】RAMの記憶部の構成を示す図である。
【図29】巡回情報の内容を示す概念図である。
【図30】通信制御を示すフローチャートである。
【図31】巡回情報判定処理を示すフローチャートである。
【図32】隣接遊技機送信処理を示すフローチャートである。
【図33】巡回情報照合処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
A,A1,A2,A3,A4,A´1,A´2 パチンコ遊技機
B 遊技島
C 台間機
1 木枠
4 筐体
5 遊技盤
6 ガラス扉(筐体前扉)
16 振動報知ランプ
32 Vゾーン(入賞部)
34a,34b,34c,34d 普通入賞口(入賞部)
35a,35b,35c 始動口(入賞部)
38 振動センサ(振動検出手段)
44a、44b 筐体側開閉センサ(開閉検知手段)
45a、45b 前扉側開閉センサ(開閉検知手段)
52 主制御部(不正行為防止制御手段)
73 外部通信部
80,81 開閉動作中センサ
87 開閉検出手段
102 異常検知センサ
300 振動検知装置
500 外部端子板
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ等の弾球遊技機やスロット等の回胴式遊技機といった遊技機及びこれら遊技機を複数台設置した遊技場システムに関し、特に振動によるもの等不正行為を検出し得るものの改良に係わる。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ遊技機は、筐体に発射装置や遊技盤などを装備し、その発射装置により遊技球を遊技盤の遊技領域に発射し、この遊技球が遊技領域に設けた入賞口や入賞ゲートなどの特定の領域を通過すると所定数の遊技球の払出を行うように構成されている。それ故、遊技球を入賞部に導くために筐体を叩くなどの不正な行為が行われることがある。特に、近年のパチンコ遊技機としては、特別入賞口に遊技球が入ると遊技盤の遊技領域中央部に設けた可変表示装置の表示面上に絵柄を変動表示し、その絵柄が例えば「7,7,7」などで揃うと遊技球の払出を大量に受け得る特別遊技に移行するいわゆるデジタル式のものが主流になっているが、この種のパチンコ遊技機では、遊技球を特別入賞口に導くために不正行為が行われる危険性が高くなる。また、遊技領域の中央部に設けた振り分け役物の下流にいわゆるVゾーンという入賞口を設け、この入賞口に遊技球が入るだけで特別遊技に移行する型式のパチンコ遊技機では更に危険性が高くなる。また、このようなパチンコ遊技機に限らず、スロットマシン等の回胴式遊技機においても、振動によって遊技機を誤動作させて利益を得ようとする不正行為のおそれもある。
【0003】
そこで、このような不正行為を防止するために、例えば特許文献1及び2に開示されて
いるように、不正行為による振動を検出する振動センサをパチンコ遊技機の筐体などに設
け、この振動センサにより振動を検出した場合、入賞を無効にした上で、筐体に設けたラ
ンプやスピーカで警報を発して店員などに知らせたり、パチンコ遊技機の遊技を停止した
りすることが提案され、実用化されている。特に、特許文献1には、不正行為を防止しつ
つ、不正行為でない振動を不正としないために、パチンコ遊技機で振動が発生したタイミ
ングと、遊技球が入賞部に入ったタイミングとを比較し、その時間的差分が所定の時間間
隔よりも長い場合にのみ入賞を有効とすることが開示されている。
【特許文献1】特開2002−159717号公報
【特許文献2】特開2002−901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パチンコ遊技機等の遊技機の筐体には遊技盤を透視可能に覆う筐体前扉(
ガラス扉ともいう)が開閉自在に設けられている。また、スロットマシン等の回胴式遊技機についても、回胴等を収納した筐体に対して開閉可能に取り付けられた筐体扉を有している。特に、パチンコ遊技機では、通常、遊技島に固定した木枠に筐体前扉がヒンジなどを介して開閉可能に取り付けられている。このようなパチンコ遊技機では、遊技中に店員が点検調整のために筐体を開閉し、あるいは筐体前扉を開閉することがあり、その際に振動が発生する。このため、パチンコ遊技機に設けた振動センサにより振動を検出した場合常に入賞を無効にした上で警報を発するものでは、遊技者は不正行為を行っていないにも拘わらず、入賞が無効にされた上、警報が発せられることから、不信感や苛立ちを持つようになり、遊技の興趣を損なうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1の如く振動発生タイミングと入賞タイミングとを比較し、その時間的
差分が所定の時間間隔よりも長い場合にのみ入賞を有効とするものでも同様な問題がある
。すなわち、筐体の開閉及び筐体前扉の開閉では、不正に開けられるのを防ぐために確実
に閉め、またその閉状態を確認する確認作業をも含んでいることから、比較的に大きな振
動が発生する。このため、遊技島のように多数のパチンコ遊技機が互いに隣接して設置さ
れている場合、店員が点検調整をするパチンコ遊技機に隣接する他のパチンコ遊技機の振
動センサが開閉に伴う振動を検出することがある。一方、遊技者は隣接する他のパチンコ
遊技機で店員が点検調整を行っていても遊技を中断することはないので、公正な遊技で入
賞したにも拘わらず、その入賞タイミングと振動発生タイミングとが近ければ入賞が無効
にされることになるからである。
【0006】
さらに、上記のような方法をとった場合、不正を行う対象の警報装置を隠蔽されたり、断線させることによって無効化されたりした場合、不正行為を検知しえない。この為、不正を確実に防止しえないにも関わらず、隣接遊技機の作業時の開閉によっても誤反応を起こすという悪循環が生じることになる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その第1に課題とするところは、筐体の不正な開閉や、筐体を叩くなどの不正行為を確実に防止し、なおかつ被害が拡大する前に早期に対処することを可能にする事である。そして、その第2に課題とするところは、第1の課題を解決する為に検出感度の高い異常検知手段、例えば振動センサなどの振動検出手段を用いても筐体又は筐体前扉の開閉による振動を誤って検出して不正なものとしないようにし、公正な遊技をする遊技者に不信感や苛立ちを与えることなくトラブルを防止し得ることである。これらを解決することによって、不正防止に効果的な遊技機および遊技場システムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、筐体又は筐体前扉に開閉機構を有し、該筐体の異常状態を検出する異常状態検知手段を備える遊技機において、上記異常状態検知手段による異常状態の検出出力を受け入れ、不正行為を防止するための制御の実行を遊技機の所定部に対して指令する不正行為防止制御手段と、上記筐体の開閉機構の開閉動作を検出する開閉検知手段と、を有し、上記不正行為防止制御手段は、開閉検知手段による開閉動作の検出をも受け、筐体又は筐体前扉の開閉時に、開閉動作が正規に行われたことを条件に、異常状態検知手段の検出出力の受け入れを無効化するように構成されていることを特徴とする。ここで、異常状態とは、遊技機が振動している状態、あるいはパチンコ機であれば大入賞口が開いている状態等をセンサにより検出している状態を含むものである。更に、所定部とは報知ランプあるいはスピーカ、発射部等を含む意味であり、不正行為を防止する為の制御とは、警報音や光を出力する制御、あるいは遊技球の発射を止める制御等を含むものである。開閉動作が正規に行われたとは、施錠部の操作等において、センサ等により正常な開放動作が行われたことを検出した場合を含むものである。異常検出出力の受け入れを無効化するとは、センサ等による出力信号、あるいはフラグを検出しても異常と判定しない場合はもちろん、センサ等の信号を無視する場合も含むものである。
【0009】
この構成では、遊技機において、何らかの不正が行われた事を示す異常状態を異常状態検知手段が検出し、この異常状態検出手段の信号を受ける不正行為防止手段は、不正行為を防止するための制御、例えばスピーカ等からの警報音の発生や遊技機の機能停止などの制御を実行する為、不正行為を防止することができる。一方、店員が作業のために筐体の開閉機構を開閉したとき、あるいはメンテナンス作業中には、筐体に設けられた開閉機構の開閉動作を検出する開閉検出手段からの信号をうけて、異常状態検知手段の信号を無効にするため、上記不正行為防止の為の制御が誤って為されることはなく、隣接機や周囲の遊技者に不快感や苛立ち等を与える事がない。また、正規な開閉動作が行われた場合のみ、無効にする制御を行うことで、筐体あるいは前扉が不正にこじ開けられた時には正常に不正行為を検出することができるので、不正行為を防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、異常検知手段を有する外部機器が遊技機本体の所定位置、例えば遊技機枠背面部に付設され、遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、この筐体に開閉機構を有する遊技機であって、前記外部機器は、隣接遊技機に付設される隣接外部機器と相互に通信可能に接続されているとともに、前記開閉機構に対する開閉動作に基づいて、前記隣接外部機器に異常検知手段の検知機能を無効化する指令信号を導出するとともに、前記異常検知手段を無効化し、一方、該指令信号を受信したときにも前記異常検知手段の検知機能を無効化するように構成されていることを特徴とする。なお、遊技機本体の所定位置に付設とは、遊技機本体に直接付設される場合に限らず、遊技機本体に対して間接的に付設される場合も含むものである。例えば、遊技島内の幕板、床板等の固定構造を介して付設される場合も含む。
【0011】
この構成では、開閉動作中、相互通信によって検知機能を制御すべき異常検知手段を外部機器として遊技機外部に設置した構成としている。この検知機能を制御すべき異常検知手段は、作業中誤反応を起こしうる検知手段、例えば振動センサ、大入賞口開閉センサ等を指すものである。このため、主制御部の制御は開閉動作を検出した事をこの外部機器に向けて送信するのみで足り、主制御部の負担が軽減できる。また、主制御部に向かって信号を入力する必要が無い為、この機構を利用した不正行為が発生するおそれもない。
【0012】
請求項3に係る発明は、異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した座標を含む情報を記憶する機能を有し、遊技機の動作を制御する制御部は、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、特定の遊技機で発生した不正行為等に起因する異常を、異常の発生した遊技機の座標情報と同時に送信するため、これらの情報に基づいて異常発生台を報知することが可能となり、不正行為に迅速に対応できる。しかも、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して複数台の遊技機にこの異常情報が複製記憶されるため、これら複数台の遊技機が報知処理を行った場合、これらを一度に隠蔽するのは困難である。従って、不正行為が迅速に発見できる効果がある。また、本発明で言う座標情報とは、各遊技台間の隣接関係である左右隣の台や対面の台、遊技島裏に設置された台の位置を明確にする為の情報を言い、数学等で一般的に使用される(x,y)のような情報管理方法に限定されるものではない。
【0014】
請求項4に係る発明は、異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した経路情報を含む情報を記憶する機能を有し、遊技機の動作を制御する制御部は、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、特定の遊技機で発生した不正行為等に起因する異常を、異常の発生した遊技機の経路情報と同時に送信するため、同じ遊技台であっても経路の違いから正常と異常の矛盾を発見することができ、異常がある遊技台間を容易に特定することが可能となる。また、これらの経路情報に基づいて異常発生経路を特定し報知することが可能となり、不正行為に迅速に対応できる。しかも、相互に送受信可能に接続された通信手段を介して複数台の遊技機にこの異常情報が複製記憶されるため、これら複数台の遊技機が報知処理を行った場合、これらを一度に隠蔽するのは困難である。従って、不正行為が迅速に発見できる効果がある。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項3あるいは4の遊技機が複数台相互に送受信可能に接続される構成を有する遊技場システムであって、各遊技機には、遊技場システム内における自機の座標位置を特定する座標位置特定手段を有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、請求項3および4に記載した遊技機において、各遊技機には、自機の座標を特定する座標特定手段、具体的には、記憶部に記憶された座標情報が記憶されている。このため、座標を特定する際には、これらの座標情報を直接使用することができ、また異常経路を特定する際には、座標間の経路を特定する事に使用することができることから、異常情報の位置特定を簡易に行う事が可能となり、不正の迅速な発見に、より一層寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、本発明の第1実施例にかかる遊技機について説明する。
【0020】
図1は、本発明の遊技機で構成される遊技島を示した模式図である。
該遊技島においては、複数の遊技機A1,A2,…を横並びに設置して1つの遊技機列を構成し、この遊技機列を2つ互いに背中合わせに設置し、またはホール壁面などに沿って設置して1つの遊技島Bを構成している。1つの遊技機A1は、同じ遊技機列の左右両隣の遊技機A2,A3、及び背面側の遊技機列の後隣りの遊技機A4とそれぞれ接続線74a,74b,74cを介して相互通信可能に接続されている。
【0021】
該実施例に係る遊技機の一例として、図2にパチンコ遊技機Aの外観を示す。このパチンコ遊技機Aは、ホールの遊技島Bに固定した木枠1と、この木枠1に対して上側ヒンジ2及び下側ヒンジ3を介して一方向に開閉自在に取り付けた開閉機構を有する筐体4とからなる。木枠1は、矩形枠状のものであって、本実施形態の場合、その下部枠材1aのみが正面側に見えるようになっている。
【0022】
上記筐体4は、発射装置や遊技盤5などの部品を装備してなり、この筐体4の正面側上部には遊技盤5を透視可能に覆う筐体前扉としての前扉6が上側ヒンジ7及び下側ヒンジ8を介して開閉自在に開閉機構を有して設けられており、この前扉には、遊技機前面から遊技盤5が視認うるように、透明のガラス板を有してなるとともに、筐体4の正面側下部には上受け皿11、下受け皿12、左右一対のスピーカ13a,13b及び発射装置の操作ハンドル14などが設けられている。
【0023】
上記前扉6は、中央部に略円形のガラス面6aを残して正面略全体が演出用ランプ
を内蔵する装飾パネル6bにより覆われてなり、このガラス扉6の左上隅角部には振動等の異常を報知する異常報知手段としての異常報知ランプ16が設けられているとともに、ガラス扉6の右下隅角部には鍵装置17が設けられている。この鍵装置17は、図3に拡大詳示する如き鍵穴18に所定の鍵を挿入して時計方向(図3の(b)状態から(c)状態)に回すと、図4に示す如き筐体4の背面側で上下方向に延びる竿部材19がコイルスプリング20の付勢力に抗して上方に移動し、この竿部材19の上下両端端にそれぞれ連結した上下一対のフック部材21a,21bが各支軸22a,22b回りに図示の状態から時計方向に回動することにより、この各フック部材21a,21bと木枠1に設けた係合部材(図示せず)との係合が外れて筐体4を開放でき、また鍵穴18に挿入した鍵を反時計方向(図3の(b)状態から(a)状態)に回すと、図示していないが、筐体4の場合と同様な構成によって前扉6を開放できるようになっている。また、筐体と木枠の隙間から異物を侵入させて、このフック部材21を引き下げ、筐体を開閉動作させる不正行為を防ぐために、鍵装置17を操作して開閉する時には上下のフック部材は同時に引き下げられるが、フック部材自体、つまり21a、21bのどちらかを直接操作した際には、上下のフック部材は連動して動かないように構成されている。
【0024】
上記遊技盤5は、図5に示すように遊技盤保持枠101に固定支持されて遊技機内部に設置され、その遊技領域が前述の前扉のガラス部から視認可能となっている。遊技領域には、下部から打ち出した遊技球を案内する為のレール部100が周回状に設けられている。また、中央部に中央役物装置30が設けられている。この中央役物装置30は、中央部が奥側に凹んだ形状のもので、その中央部に液晶表示部31(図6参照)を、下部に水平方向に移動可能な大入賞口としてのVゾーン32を、左右両側部に可動式の羽根33a,33bをそれぞれ有している。また、遊技盤5の遊技領域には、中央役物装置30の外に複数(図では4つ)の普通入賞口34a,34b,33c,33d、羽根33a,33bを所定回数開放させるための複数(図では3つ)の始動口35a,35b,35c、1つのアウト口36(図2参照)及び多数の障害釘(図示せず)などが設けられている。さらに、遊技盤保持枠101上には、後述する前扉側開閉センサ45が複数(図では2箇所)設けられている。具体的には、前扉閉鎖時に、扉の一部あるいはガラス板によって押圧される部分に設けられる上側のセンサ45a、下側のセンサ45bとして構成される。これらのセンサは、軸着された前扉の回動軸と平行方向に、所定間隔離間させて設けられる。また、離間配置する際には、遊技領域を上下に挟むように設ける事が好ましい。これは、不正に扉をこじ開けて遊技領域内に侵入しようとする際には上下いずれかのセンサのみが押圧された状態が所定時間以上続く事で、この状態を検出可能にする為である。
【0025】
そして、各始動口から入球した遊技球は、盤面に設けられた検出手段としてのセンサによって検出されるようになっており、上記発射装置の操作ハンドル14を操作することによって発射された遊技球が遊技領域内の入賞部である中央役物装置30内、普通入賞口34a〜34d又は始動口35a〜35cに入ると所定数の遊技球が上受け皿11に払い出されるようになっている。具体的には、まず、始動口35のいずれかに遊技球が入球すると、ハネ33a,33bを所定時間あるいは所定回数開閉する制御を行い、中央役物装置を狙って打球する事で、中央役物装置への入球を狙う事になる。そして、特に、Vゾーン32に遊技球が入ると所定数の遊技球の払出とは別に、中央役物装置30の液晶表示部31の画面上で入賞を祝う遊技演出が行われると同時に、羽根33a,33bが比較的長時間でかつ複数回に亘って開放されることなどで遊技球の払出を大量に受け得る特別遊技に移行するようになっている。このようなパチンコ遊技機Aでは、遊技球を中央役物装置30内、あるいは中央役物装置30内のVゾーン32などの入賞部に導くために筐体4を叩くなどの不正な行為が行われることがある。このような行為が行われた場合、本来発射技量に左右されるべき遊技結果が、それ以外の要因により左右されることで、遊技の公正を害するばかりか、遊技機の故障につながる虞がある。このため、筐体4の背面側には筐体4の振動を検出する振動検出手段としての振動センサ38が取り付けられている。また、この振動センサ38の他に、異常検知センサ102が取り付けられている。この異常検知センサ102としては、遊技球を磁石により不正に操作する事を防止するための磁石センサ、電波により不正に当選を狙う電波ゴトを防止するための電波センサ等があり、図では一つのセンサで図示しているが、複数のセンサによって構成されていてもよい。振動センサ38及び異常検知センサ102は、遊技機に対する異常状態を検出する異常状態検知手段を構成している。尚、図5中、39は羽根33a,33bを通して中央役物装置30内に入る遊技球をカウントするカウントセンサである。また、図示していないが、このカウントセンサは、賞球を払い出す時の賞球払出センサとしての機能を併用して実施しても良い。
【0026】
図6はパチンコ遊技機Aの制御系のブロック構成を示し、41は始動口35a〜35cに遊技球が入ったことを検出する始動口センサ、42は普通入賞口34a〜34dに遊技球が入ったことを検出する普通入賞口センサ、43はVゾーン32に遊技球が入ったことを検出するVゾーンセンサであり、これらのセンサ41〜43の検出信号は、上記振動センサ38及びカウントセンサ39の検出信号と共に、制御部50に入力される。また、44は筐体4の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれフック部材21a,21bの動きにより検出する開閉検出手段としての筐体側開閉センサ、45は前述したように、遊技盤保持枠に設置され、押圧されることによって前扉の開閉動作を検出する開閉検出手段としての前扉側開閉センサであり、この両開閉スイッチ44,45の信号も制御部50に入力される。また、制御部は、図3にて前述した鍵装置17の回動操作の有無を電極(図示せず)の短絡により把握する電極スイッチで構成される解錠操作有無把握手段を有している。
【0027】
上記制御部50は、各種センサ38,39,41〜43及びスイッチ44,45の信号
をI/Oポート51を通して受ける主制御部52と、この主制御部52の制御指令を中継
基板53を介して受ける第1及び第2の副制御部54,55とを備えている。主制御部5
2は、制御主体であるCPU57と、プログラム及び固定データなどを格納するROM5
8と、データの読み書きなどに用いられるRAM59とを有し、遊技状況に応じて、ドラ
イバ回路60を介して羽根駆動部61及びVゾーン駆動部62に動作指令を出力するとと
もに、第1及び第2の副制御部54,55に制御指令を出力するようになっている。第1
の副制御部54は、主制御部52と同じくCPU63とROM64とRAM65とを有し
、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路66を介して中央役物装置30の液
晶表示部31に動作指令を出力するようになっている。第2の副制御部55も、主制御部
52と同じくCPU67とROM68とRAM69とを有し、主制御部52の制御指令に
基づいて、ドライバ回路70を介してスピーカ13及びガラス扉6の装飾パネル6b内又
は遊技盤5上の各種演出ランプ71に動作指令を出力するようになっている。
【0028】
上記主制御部52は、遊技状況に応じた制御とは別に、振動センサ38の検出信号に基
づいて、不正行為を防止するために、ドライバ回路60を介して異常報知手段としての振動報知ランプ16を制御する不正行為防止制御手段としての機能を有するものであり、また、この制御に関連して、外部通信部73を介して、遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aとの間で相互通信を行うようになっている。また、本実施形態の場合、振動センサ38の検出信号に基づかない異常状態、つまり異常検知センサ100に基づく異常状態を外部通信部73をも介して送信可能となっている。
【0029】
また、主制御部52は、前述した開閉センサ44,45について以下のような制御を行う。
【0030】
筐体側開閉センサとしての第1開閉スイッチ44はフック部材21a、21bに対応して設けられる二つのセンサ44a、44bからなる。制御部は両センサの出力状態を割込単位で監視しており、いずれか一方のセンサの出力状態が変化した際にタイマーの計時を開始する。そして、所定時間後までに他方のセンサの出力状態が同じ状態に変化しない場合、これを異常開放として検知する制御を行うようになっている。同時及び所定時間後までに変化した場合は、正常開放と判断する。
【0031】
前扉側開閉センサとしての第2開閉スイッチ45は前述したように、盤面保持枠101の上部、下部に設けられた二つのセンサ45a、45bからなる。制御部は両センサの出力状態を割込単位で監視しており、いずれか一方のセンサの出力状態が変化した際にタイマーの計時を開始する。そして、所定時間後までに他方のセンサの出力状態が同じ状態に変化しない場合、これを異常開放として検知する制御を行うようになっている。同時及び所定時間後までに変化した場合は、正常開放と判断する。
【0032】
そして、異常開放が検出された場合には、所定の異常処理を行う異常処理手段を備えている。この異常処理としては、この異常状態をスピーカやランプ等により報知する動作、および遊技機の動作を不能動化すること等が含まれる。解錠によって正常に開放されるときは、フック部材が同時に変位し、前扉による押圧状態も同時に解除されるので、片側のみ変化することはない。この事によって、筐体あるいは前扉の隙間から異物を侵入させて隙間をこじ開ける不正行為を異常として検知することができる。前述の所定時間としては、設計誤差や、動作時の誤差等を考慮して、2秒間程度に設定することが好ましい。これらの処理は、不正行為による異常な開放を検出する異常開放検出手段として働くものである。
【0033】
上記の例では、複数箇所に設けたセンサの出力状態変化の時間的差分をもとに異常開放を判定する例を示したが、これに限らず、錠装置17に設けられる電極スイッチの出力と、開閉センサの出力状態の比較によって異常開放を検知する構成であってもよい。例えば、電極スイッチの状態によって錠装置の回動操作がなされていない事を検出しているときに開閉センサの出力状態が変化した場合には、これを異常開放として検出することなどである。また、上記の例では、第1開閉スイッチ44、第2開閉スイッチ45(以後、各開閉スイッチ44,45とする)として二箇所に設ける例を例示したが、これに限らず複数あれば上記の効果を奏する事は明らかである。
【0034】
上記主制御部52のRAM60には、図7に示すように、不正行為防止制御に関連して
、振動センサ38の信号を記憶する記憶領域としての振動センサ信号記憶部91と、開閉
スイッチ44,45の信号を記憶する記憶領域としての開閉センサ信号記憶部92と、後
述する計測時間を記憶する記憶領域としての計測時間記憶部93とが設けられている。
【0035】
図8は上記主制御部52による不正行為防止制御の一例を示すフローチャートである。
図8において、スタートした後、ステップS1で振動センサ38からの検出信号があるか
否かを判定するとともに、ステップS2で振動センサフラグFaが1であるか否かを判定
する。振動センサフラグFaは、振動センサ38を有効状態又は無効状態にするためのも
のであり、振動センサフラグFaが「0」のときは振動センサ38が無効状態であり、振
動センサフラグFaが「1」のときは振動センサ38が有効状態である。
【0036】
そして、上記両判定が共にYESのときには、ステップS3で振動報知ランプ16をO
Nつまり点灯し、リターンする一方、いずれかの判定がNOのときには、ステップS4で
振動報知ランプ16をOFFつまり消灯し、リターンする。
【0037】
また、上記振動センサフラグFaの設定・変更のための制御は、主制御部52において
不正行為防止制御と同時並行しかつ図9に示すフローチャートに従って行われる。
【0038】
すなわち、図9において、ステートした後、先ず、ステップS11で振動センサフラグ
Faに、有効とするための「1」を設定する。
【0039】
続いて、ステップS12で自機A1の開閉センサ44,45の信号に基づいていずれかが開状態、つまり筐体4又は前扉6が開状態であるか否かを判定する。この判定がNOのときには、ステップS13で外部通信部73の信号を読み取り、しかる後、ステップS14で読み取った外部通信信号に基づいて遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で同じく開閉スイッチ44,45のいずれかが開状態であるか否かを判定する。この時同時にこの開状態が異常開放状態か正常開放状態かを判定し、異常開放状態の場合は開状態と判定しない制御を行う。
【0040】
そして、自機A1及び隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれも開閉スイッチ
44,45が閉状態のときには、更に、ステップS15でその開閉スイッチ44,45は
前回開状態であるか否かを判定し、その判定がYESのときにはステップS16でタイマ
ーTを零にセットした後、ステップS17へ移行する一方、判定がNOのときにはステッ
プS16をスキップしてステップS17へ移行する。ステップS17では経過時間計測処
理を行い、しかる後、ステップS18で所定時間が経過したか否かを判定し、その判定が
YESのときには、ステップS19で外部送信処理を行った後、ステップS11に戻る一
方、判定がNOのときには、ステップS21で外部送信処理を行った後、ステップS12
に戻る。
【0041】
一方、自機A1及び隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれかで開閉スイッチ
44,45が開状態のとき(ステップS12又はS14の判定がYESのとき)には、ス
テップS20で振動センサフラグFaに、無効とするための「0」を設定し、ステップS
21に移行する。
【0042】
上記ステップS17の経過時間計測処理は、図10に示すフローチャートに従って行われる。すなわち、スタートした後、ステップS31で経過時間Tが所定時間Ta以上であるか否かを判定する。ここで、経過時間Taは、図9のステップS16でタイマーをセットした時点、つまり開閉センサ44,45が開状態から閉状態になった時点からの経過時間であり、所定時間Taは、図9のステップS18の所定時間と同じであって、3〜5秒の間に設定される。ステップS31の判定がNOの所定時間Ta未満のときには、ステップS32で制御サイクルタイムe(例えば4msec)を経過時間Tに加算して経過時間Tを更新した後、リターンする一方、判定がYESの所定時間Ta以上のときにはステップS32をスキップしてリターンする。
【0043】
また、上記ステップS19及びS21の外部送信処理は、図11に示すフローチャートに従って行われる。すなわち、スタートした後、ステップS41で自機Aの開閉センサ44,45のいずれかが開状態であるか否かを判定し、その判定がYESのときにはステ
ップS42で遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aに対し外部通信部73を介して
開状態信号を送信し、リターンする一方、判定がNOのときにはステップS43で遊技島
B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aに対し外部通信部73を介して閉状態信号を送信し
、リターンする。
【0044】
従って、上記パチンコ遊技機Aにおいては、遊技者が筐体4を叩いたり揺すったりした
ときには、その振動を筐体4の背面側に設けた振動センサ38が検出し、この振動センサ
38の検出信号を受ける制御部50の主制御部52の制御の下に振動報知ランプ16が点
灯するため、その点灯を見た店員が遊技者に注意することができ、不正行為を防止するこ
とができる。また、異常開放を検出した際には、これを開状態とはせず、不正検知状態が続行されるため、前扉の不正な開放によって検知機能が無効化されることはなく、正規な開放動作が行われたときのみ検知状態を無効化することができる。
【0045】
上記の例では、振動センサ38を例にとって説明したが、この他に、店員の作業中には誤検出されうるようなセンサ、例えば大入賞口の開閉を検知し、大入賞口を不正に開けて入球させるような不正を防止する大入賞口の開閉センサを異常状態検知手段として用いることもできる。
【0046】
一方、遊技中に店員がパチンコ遊技機Aの点検調整のために筐体4又はガラス扉6を開
閉し、その開閉に伴って振動が発生したときには、上記主制御部52は、振動センサ38
の検出信号を受けるだけでなく、筐体4及びガラス扉6の開閉をそれぞれ検出する開閉ス
イッチ44,45の信号を受け、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ3
8の検出信号を無効にする(図9のステップS12,S20及び図8のステップS1,S
2)。このため、振動報知ランプ16が誤って点灯することはなく、遊技者に不快感や苛
立ちなどを与えることもない。
【0047】
特に店員が遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機、具体的には左右両隣又は後隣りのパチンコ遊技機A2〜A4の点検調整のためにその遊技機A2〜A4の筐体4又はガラス扉6を開閉し、その開閉に伴う振動を自機A1の振動センサ38が検出したときでも、自機A1の主制御部52は、外部通信部73を介して受ける他のパチンコ遊技機A2〜A4からの開閉スイッチ44,45の開状態信号に基づいて、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号を無効にする(図9のステ
ップS13,S14,S20及び図8のステップS1,S2)。このため、自機A1の点
検調整のために筐体4又はガラス扉6を開閉して振動が発生したときと同様に、振動報知
ランプ16が誤って点灯することはなく、振動報知ランプ16の信頼性を高めることがで
きるとともに、遊技者とのトラブル防止化を一層図ることができる。
【0048】
しかも、上記開閉スイッチ44,45は、比較的検出が容易な筐体4又はガラス扉6の
開操作の開始時点及び閉操作の終了時点を検出するものであって、構造的に簡易でかつコ
スト的に安価なもので足りるため、実施化を容易に図ることができる。
【0049】
さらに、上記主制御部52は、自機A1又は隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で
開閉スイッチ44,45が開状態のとき、つまり筐体4又はガラス扉6の開操作の開始時
点から閉操作の終了時点までの間、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ
38の検出信号を無効にするだけでなく、筐体4又はガラス扉6の閉操作の終了時点から
所定時間Taが経過するまでの間も振動センサフラグFaに「0」を維持して振動センサ
38の検出信号を継続的に無効にしている(図9のステップS15〜S18、図10)。
このことは、図12に示す開閉スイッチ44,45のON・OFF信号と振動センサ38
の有効・無効領域との関係からも分かる。このため、店員が筐体4又はガラス扉6の閉鎖
後に閉鎖状態を確認するために筐体4又はガラス扉6を引いたり押したりし、その操作に
よって振動が発生したときでも振動報知ランプ16が誤って点灯することはなく、振動報
知ランプ16の信頼性をより高めることができる。
【0050】
ここで、上記所定時間Taは、固定的に設定されるものである必要はなく、任意に設定
変更が可能であることが好ましい。例えば、3秒、5秒、10秒というように数段階に変
更、あるいは連続的な値に設定変更可能にすることが好ましい。従業員の施錠確認作業が
長くかかり、頻繁に確認作業時間が設定時間を超えてしまうようなときには、作業中に頻
繁に不正行為を検知してしまうことが考えられる。このような場合に、所定時間Taを長
い値に変更することが可能となり、営業に支障を来さないという効果が得られる。
【0051】
また、上記の開閉検知手段は、図13に示すような開閉動作中センサで構成されていてもよい。開閉動作中センサ80は、図15に示すように、木枠1の上部枠材の上面に支軸82回りに回転自在に支持されかつ筐体4の上側ヒンジ2(図1参照)の軸部2aに固定したヒンジ側ギヤ83と噛合する筐体側ギヤ84を被検出体とし、この筐体側ギヤ84に対向して木枠1の上部枠材の上面に固定された磁石85及び半導体磁気抵抗素子86からなり、筐体4の開閉動作中に筐体側ギヤ84の回転に伴って磁石85による磁界が変化し、この磁界の変化を半導体磁気抵抗素子86により検知するようになっている。この例では、筐体と木枠の関係で示したが、同様の構成が前扉と筐体の関係においても適用できる。この構成によって、開閉動作中のみを検出状態とし、この期間のみを無効とするような構成とすることができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施例にかかる遊技機について説明する。
【0053】
図14は、本実施例にかかるパチンコ遊技機Aを複数設置した状態を遊技島裏面から見た図である。遊技機Aの前面の基本構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは省略する。遊技機Aは、遊技媒体を貸し出すための台間機Cを挟むようにしてこの台間機Cと電気的に接続(図示せず)されて設置されている。そして、遊技機Aの裏面にはそれぞれ、島補給装置(図示せず)から遊技球の補給を受け、賞球として払い出すために貯留する部分である貯留タンク400、遊技制御に関する制御を行うための制御基板を収納した制御基板ケース401等が設けられ、遊技機Aは前述した実施例1と同様に、木枠1によって遊技島Bに固定されてなる。
【0054】
本実施例の特徴点は、木枠1の所定位置に振動検知装置300が配置されている点である。振動検知装置300は、振動センサ38を内蔵してなり、遊技機本体に加えられた振動を検出する事が可能なように構成されている。そして、遊技機の状態を外部に出力するための基板でる外部端子板500と、信号線200を介して接続されており、振動検知装置300同士は、信号線74を介して相互に信号を送受信可能なように接続されている。なお、信号線74とはことなり、信号線200は、外部端子板から振動検知装置300への一方向のみ信号が送信可能となるように構成されている。盤面の構成及び筐体の開閉機構、開閉検知機構については第1実施例と共通であるので、ここでは省略する。なお、以下の例では、外部機器の一例として振動検知装置300を例示するが、これに限らず、既存の島報知装置、台間機などの内部に以下に述べる振動検知装置の制御部の構成を組み込む事も、本実施例の概念に含まれるものである。
【0055】
図15は、本実施例にかかるパチンコ遊技機Aの制御系のブロック構成を示し、41は始動口35a〜35cに遊技球が入ったことを検出する始動口センサ、42は普通入賞口34a〜34dに遊技球が入ったことを検出する普通入賞口センサ、43はVゾーン32に遊技球が入ったことを検出するVゾーンセンサであり、これらのセンサ41〜43の検出信号は、カウントセンサ39の検出信号と共に、制御部50に入力される。また、44は筐体4の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれフック部材21a,21bの動きにより検出する開閉検出手段としての筐体側開閉センサとしての第1開閉スイッチ、45は遊技盤保持枠に設置され、押圧されることによって前扉の開閉動作を検出する開閉検出手段としての前扉側開閉センサとしての第2開閉スイッチであり、この両開閉スイッチ44,45の信号も制御部50に入力される。
【0056】
上記制御部50は、各種センサ39,41〜43及び各開閉スイッチ44,45の信号をI/Oポート51を通して受ける主制御部52と、この主制御部52の制御指令を中継基板53を介して受ける第1及び第2の副制御部54,55とを備えている。主制御部52は、制御主体であるCPU57と、プログラム及び固定データなどを格納するROM58と、データの読み書きなどに用いられるRAM59とを有し、遊技状況に応じて、ドライバ回路60を介して羽根駆動部61及びVゾーン駆動部62に動作指令を出力するとともに、第1及び第2の副制御部54,55に制御指令を出力するようになっている。第1の副制御部54は、主制御部52と同じくCPU63とROM64とRAM65とを有し、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路66を介して中央役物装置30の液晶表示部31に動作指令を出力するようになっている。第2の副制御部55も、主制御部52と同じくCPU67とROM68とRAM69とを有し、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路70を介してスピーカ13及びガラス扉6の装飾パネル6b内又は遊技盤5上の各種演出ランプ71に動作指令を出力するようになっている。
【0057】
上記主制御部52は、遊技状況に応じた制御とは別に、各開閉スイッチ44,45の出力状態を、外部と接続される外部端子板500に向けて送信する制御を行う。この外部端子板500に向けて送信された信号は、信号線200を通じて振動検知装置300に入力される。
【0058】
図16は、本実施例において用いられる振動検知装置300の制御系のブロック構成を示した図である。この振動検知装置300内の制御機構301は、外部からの信号を受けて、各部に指令を行うためのCPU307、制御を行うためのプログラムが書き込まれたROM308、信号の状態を一時的に記憶するためのRAM309が設けられた制御部302を有してなる。この制御部302には、I/Oポート306を介して遊技機側接続端子305からの信号が入力されるようになっている。遊技機側接続端子305は、信号線200を介して前述の外部端子板500に接続されるものであり、前述の開閉センサ44,45の信号はこの遊技機側接続端子305を通じて入力される。また、制御部302には、振動検知装置300内に設けられた振動センサ38の信号も入力されるようになっている。また、振動検知装置300は、スピーカやランプ等で構成される報知装置312を有しており、振動センサ38の出力状態に基づいて、制御部302は、スピーカやランプ等で構成される報知装置312を駆動して警報を出力するようになっている。
【0059】
また、この振動検知装置300は、受信側接続端子304、送信側接続端子311を有している。受信側接続端子304は、他の、例えば隣接遊技機に設けられる振動検知装置300内に設けられる送信側接続端子311と信号線74を介して相互に送受信可能に接続されている。送信側接続端子311は、他の、例えば隣接遊技機に設けられる振動検知装置300内に設けられる受信側接続端子304と信号線74を介して相互に送受信可能に接続される。制御部302は、遊技機から開閉センサの信号を受け取った事に基づいて、振動センサ38の検知状態を無効にする指令信号を送信側接続端子から導出するとともに、自機の振動センサ38の検知状態を無効にするように制御する。ここで、「無効にする」とは、振動センサの検出状態をオフにする事に加え、検出状態をオンにしたまま報知のみを行わないようにすることをも含む意味である。一方、指令信号を受け取った側の振動検知装置300は、振動検知センサ38の検出状態を無効にするように制御する。これらの制御については以下詳述する。
【0060】
図17は、本実施例の主制御部で行われる制御を示した図である。主制御部では、開閉センサ44あるいは45、の出力状態、あるいは錠装置の回動状態をもとに、前扉あるいは筐体に対して開閉操作が行われたかどうかをステップS99にて常時監視している。そして、このステップS99がYESになったとき、前述の外部端子板500を通じて、振動検知装置300に向けて開閉動作検出信号を導出するようになっている。この開閉動作検出信号は、開放時は開放開始時点で、閉鎖時は閉鎖終了時点で出力されるようになる。
【0061】
図18は、本実施例の振動検知装置300の制御部302において行われる制御を示した図である。これについて以下詳述する。
【0062】
まず、ステップS101にて隣接する振動検知装置300から信号を受信したかどうかを判定し、これがYESであれば、ステップS102の受信時処理にうつる。このステップS102の受信時処理については後記に詳述する。そして、受信していないとき、つまりNOであれば、ステップS103にうつり、主制御部から外部端子板を通じて出力される開閉動作検出信号を受信したかどうかを確認する。開閉動作検出信号を受信したときには、ステップS104にて開状態フラグFxの状態をもとに、信号受信前現在の状態が開状態であるかどうかどうかを判定する。この開状態フラグFxは、開状態のときは1、閉状態のときは0の値にて、振動検知装置300の制御部のRAMに書き込まれているものである。そしてNOのとき、つまりFx=0の場合、信号の受信によって、開状態に移行したことが示されるので、ステップS105にてFxの値を1に反転させるとともに、ステップS106にて振動検知無効状態を設定する。これと同時に、ステップS107にて、隣接する振動検知装置にむけて無効状態設定信号を送信する。ステップS104がYESの場合、信号の受信によって、閉状態に移行したことが示されるので、ステップS108にてFxの値を0に反転させるとともに、ステップS109にて振動検知を有効状態に戻す。この場合、有効状態に戻す前に所定の時間差、例えば、3〜10秒程度を設けることが好ましい。これは、前述した第1実施例でも述べた如く、店員による確認作業の時間を確保するためである。そして、ステップS110にて隣接する振動検知装置にむけて無効状態設定解除信号を送信する。
【0063】
これらの制御により、遊技機からの開閉動作検出信号を元に、振動の検知状態を変化させ、作業時に振動センサが誤反応することを防ぐことができ、この制御は誤反応防止手段として働くものである。
【0064】
図19は、ステップS102の受信時処理の内容を示した図である。隣接した振動検知装置300からの信号を受けた場合、ステップS111にて、うけた信号が無効状態設定信号かどうかを判断する。YES、つまり無効状態設定信号の場合、隣接する遊技機にて作業中であるため、現在の状態が開状態か閉状態かに関わらず、S112にて振動検知無効状態を設定する。NO、つまり無効状態設定解除信号の場合、ステップS113にて前述の開状態フラグFxの状態をもとに、現在の状態が開状態か、閉状態かを判断する。開状態、つまりYESの場合、ステップS112にて振動検知無効状態を設定してリターンする。閉状態、つまりNOの場合、ステップS114にて振動検知有効状態を設定してリターンする。これらの制御により、隣接する振動検知装置300からの信号を受けて、振動検知状態を制御する為、隣接機の作業によって遊技が影響を受けることはない。
【0065】
本実施例によれば、前述した実施例1と同様、遊技台を振動させる等の不正な遊技を抑制できるとともに、隣接機の作業中に振動センサが誤反応することが無いため、遊技者に不快感や苛立ちなどを与えることもない。その上、主制御部の制御としては、開閉センサからの信号を外部端子板に向けて送信するのみであるため、主制御部に余分な負担がかかることがない。また、主制御部に信号を入力する必要が無いため、この機構を利用した不正行為のおそれがない。このため、容易に実施化を図ることができ、不正防止に優れた効果を有する。また、本実施例においては、遊技機枠に振動検知装置300を付設した例を示したが、本発明はこれに限定されず、遊技島内の固定構造、例えば幕板や床板を介して振動検知装置が付設されている場合も含むものである。更に、振動検知装置は上記のように遊技機から信号を受けて制御を行う構成に限らず、振動検知装置自体に遊技機前扉や筐体の開閉を検知する検知手段を有している場合も含むものである。
【0066】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0067】
該実施例は、遊技島の通信制御に関するものであり、基本的な遊技機の構成は前述の第1実施例と同様である。構成として異なる点は、図20で示すように、主制御部のROM58に識別情報記憶部900、設置島情報記憶部901が設けられている点と、図21で示すように、RAM59に異常内容記憶部902、自機情報記憶部903が設けられている点である。
【0068】
識別情報記憶部900は、後述するように、設置されるべき座標情報が予め書き込まれてなるものである。設置島情報記憶部901は、その遊技島の構成情報、つまり、何台何列の島か等の情報等が書き込まれている。
【0069】
図22は、本発明の遊技場システムの構成を示した図である。このシステムを構成する遊技機は、単数あるいは複数の遊技島からなるm×n個の遊技機の集合体で構成されている。なお、本実施の形態では、座標値m、nは1以上の任意の自然数であるが、多くの遊技台数を管理する場合は、データ長をなるべく小さくすることを目的に全体の遊技台数の中央値を0とした正負の整数を使用する方がRAM容量節約の観点から好ましい。具体的には、数字をビットデータにした場合、たとえば0から1000までの整数よりも、正負を表すビット(符号部)+数字を表すビット(数値部)の形、例えば−500から+499の整数にてデータを構成した方がデータ長が短くなるためである。この座標値を符号部と数値部から構成する事は、特に、遊技機の台数が多い場合、数千台、数万台となった場合に効果的である。ここでは、簡便のために、6×2個の集合体で構成された島を例に説明する。各遊技機A101〜A112は前述のように接続線74でそれぞれ相互通信可能に接続されており、図中、(X,Y)で表される自機の座標情報を主制御部内のRAMに記憶している。例えば、A101〜A112に対しては、1つの遊技島に設置された12台ある遊技機それぞれに(1,1)〜(2,6)で表される座標情報が記憶されている。本システムでは、図示するように、例えば(2,5)で表されるA103の遊技機で不正行為等による異常が検知された場合、その情報が物理的に隣接しているA101、A104、A105の遊技機に送信されるようになっている。この構成を実現するための手段を以下に詳述する。
【0070】
図23は、本構成に用いられる遊技機の主制御部で行われる制御を示した図である。この制御について、以下説明する。
【0071】
まず、電源が投入されると、ステップS200で自機の位置情報(X,Y)の読み込み処理を行う。この読み込み処理は、主制御部のROM部分に書き込まれた識別情報記憶部900の座標データをRAM部分の自機情報記憶部903にロードすることによって行われる。この処理と同時に、設置島情報記憶部901から最大値(m,n)の読込処理を行う。m、nは位置情報(X,Y)としての最大値を示すものであり、設置時に何台の遊技機が何列設置されるかによって予め遊技機に書き込まれている。この各座標読み込み処理は、主制御部が遊技場の中央管理装置(図示せず)と相互通信可能に接続されている場合は、中央管理装置から座標位置情報の初期データ送信を受け、該データを初期値としてRAM領域に書き込む処理としてもよい。この場合、中央管理装置において座標情報(X,Y)及び最大値(m,n)を各遊技機毎に指定して書き込む構成とする。以下、X座標として値の大きい方を便宜的に右側、Y座標として値の小さい方を前列として説明するが、本発明はこのことにより限定されるものではない。この処理は、例えば最前列の一番左側の遊技機に(1,1)、最後列の一番右側の遊技機に(m,n)といったように、各遊技機の座標を特定する座標位置特定手段として機能する。ここで座標とは遊技機の配置における絶対位置の事であり、この例では(X,Y)の形式で位置を特定するものを示したが、これに限らず、ID等で位置が規定されているものでもよい。
【0072】
次に、ステップS201では、異常台情報正常値読込処理を行う。この処理は、RAM内の異常台情報記憶領域に初期値を読み込む処理であり、異常台の情報を書き込む為の座標情報(X0,Y0)に(0,0)を書き込む。この座標情報としての(0,0)の値は正常値を表す値であるため、(X0,Y0)の値が(0,0)であるときは後述する異常報知等の処理は行われない。
【0073】
次に、ステップ202では、隣接する遊技機からの接続情報を受信したかどうかを確認する。これは、後述する隣接遊技機監視処理において、接続状態を確認するための信号を送信する処理を行うが、この信号を隣接遊技機から受けているかどうかを確認する処理である。YESであればステップ203にうつり、隣接遊技機に対して応答信号を送信するとともに、自機の異常情報記憶部100に記憶された情報を隣接機に向けて送信する応答処理を行う。NOであれば、そのままステップ204にうつる。これらの処理は隣接機からの接続情報を受信し、これに応答するための応答指令受信手段として働くものである。
【0074】
ステップS204では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X+1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS205において、X1の値がmより大きいかどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より右側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS207に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS206の監視処理を行う。次に、S207では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X−1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS208において、X1の値が0かどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より左側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS210に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS209の監視処理を行う。このようにして、X方向、つまり左右の遊技機の有無を確認し、監視処理の有無を決める。同様に、Y方向についても、ステップS210〜ステップS214の処理を行い、該遊技機の前後に接続された遊技機の有無を確認し、監視処理の有無を決定する。これらの処理を行った後、ステップ202に再度復帰する。この処理を繰り返すことにより、周囲の遊技機が存在するかどうかを判別し、監視の有無を決定する。ステップS206、ステップS209、ステップS212、ステップS215の各処理は、隣接遊技機に対する監視処理であり、これについては後記に詳述する。制御部のこの機能は、周囲の遊技機について監視を行うか否かを決定する監視有無判別手段として働くものである。なお、上記の例においては、各方向の遊技機の監視を順に行う例を示したが、これに限らず、監視順を抽選等によってランダムに決定してもよい。
【0075】
以上、図23で述べた一連の処理は、CPUの割込単位で反復試行されるものである。
【0076】
図24は、先述した隣接遊技機に対する監視処理の制御内容を示したものである。まず、ステップS299にて、接続情報を発信済みかどうか判断する。YESの場合、そのままステップS301に移行する。NOの場合、ステップS300にて接続情報発信処理を行う。この発信処理とともに、タイマー値の計時開始を行う。この処理は、所定の信号を隣接遊技機に対して送信し、該信号に対して隣接遊技機が応答するか否かを判別するための処理である。この処理と同時に、ステップS301にて制御部内のタイマー値を更新する。そして、ステップS302にて、正常な応答があるかどうかを監視する。YESの場合は、ステップS303にすすみ、隣接遊技機からの異常情報取得処理を行う。このステップS303の異常情報取得処理については後記に詳述する。NOの場合は、ステップS304にすすみ、ステップS301にて取得した更新値をもとに応答時間が所定時間を超えたかどうかを判断する。この判断は、図23で述べた一連の処理が複数回反復試行される毎に、タイマー値が加算更新されることによって、所定時間内に正常応答があるかどうかを判定する正常応答判定手段として働くものである。この所定値としては、隣接機との接続線の信号伝達速度によって予め定められたものを用いる。具体的には、例えば、10〜12mS程度に定める事が好ましい。
【0077】
そして、ステップS304がNOの場合は、直接リターンする。ステップS304がYESの場合は、続くステップ305にて、現在監視中の隣接機の座標(X,Y)を「接続異常」と対応づけて異常内容記憶部902に記憶する処理を行う。ステップ306では、記憶された異常内容に基づいて異常報知処理を行う。この異常報知処理については後記に詳述する。これらの隣接遊技機に対する監視処理は、隣接遊技機との接続異常を検出する接続異常検出手段として機能する。これらの処理を行ったあと、図23のフローに復帰する。この監視処理を周囲の隣接遊技機について順に行う事で、監視機能を実現している。
【0078】
図25は、異常情報取得処理の内容を示すものである。接続情報発信処理をうけた隣接遊技機は、応答信号を送信した後、自機の異常内容記憶部902に格納された異常情報を送信するので、この処理では、まず、ステップS400でこの異常情報を受信する処理を行う。次に、ステップS401で受信した異常情報が初期値(0,0)かどうかを判定する。YESの場合、初期値(0,0)は正常値なので、そのままリターンする。NOの場合、受信した情報をステップS402にて異常内容記憶部902に上書きして格納する。続いて、受信した情報に基づいてステップS403にて異常報知処理を行う。
【0079】
図26は先述した異常報知処理の内容を示すものである。まず、ステップS500で遊技機がアイドリング状態であるかどうかを判断する。これは、主制御部のRAM部分に書き込まれたアイドリングフラグの状態を見て行うものである。YESの場合、液晶等演出装置を用いて異常状態報知を行うべく、異常情報記憶部の記憶内容を演出制御部に送信する処理を行う。この信号の送信をうけた演出制御部では、アイドリングを中断し、受信した情報をもとに、図27の如き異常報知を液晶演出部等で行うように制御する。NOの場合、異常情報記憶部の記憶内容を島報知ランプ等、外部に接続されている機器に送信する。これをうけて、島報知ランプ等が異常が起こった台の情報を報知するようになっている。このような制御を行うことによって、遊技中の遊技台の阻害となったり、興趣を下げたりする事無しに、異常を正確に報知しうる。
【0080】
また、起こった異常が店員によって解消された場合、店員が異常発生遊技機に付設された異常解消ボタン(図示せず)を操作すると、前述した(X,Y)等の座標情報を含む異常情報消去データを異常情報記憶部に記憶するとともに、当該遊技機で行っている異常報知を消去する制御を行う。この異常情報消去データは、前述した異常情報と同様に扱われ、前述と同様に図23〜図25のフローに従って隣接遊技機に伝達される。異常情報消去データを受信した遊技機では、この特定の異常情報に関する異常報知を消去する制御を行う。この異常情報消去データは隣接遊技機に対して一度発信されるとその後に異常情報記憶部から消去される。この制御は、発生した異常報知に対して、各台の異常を一度に消去する機能を持つ異常報知消去手段として機能するものである。これらの制御によって、各遊技機の異常報知を一度に消去する事ができ、作業の迅速化が図れる。
【0081】
上記した実施例によれば、遊技島において発生した異常状態を、隣接遊技機および通信可能に接続された遊技島の全体にて行うため、一部の遊技機について不正操作を行って報知機能を無効化しても、他の遊技機によって報知が行われるため、不正行為の発生を確実に知ることができる。これらの報知を隠蔽するためには島全体の各遊技機を改変する必要が生じ、このような事が実質的には不可能であるため、不正を効果的に防止できる。また、報知情報として異常発生台の位置を正確に報知できるため、不正の発生に対して迅速に対処できる。
【0082】
次に、上記した遊技機で構成される本発明の遊技場システムの第4実施例について説明する。
【0083】
本実施例における遊技機は、基本的なハード構成は第3実施例と同様であるが、図28の如く、RAM59の部分に巡回情報記憶部904が設けられている構成である点が異なっている。
【0084】
図29は巡回情報記憶部904に記憶される記憶データの仕様の概念図を示したものである。巡回情報記憶部904には、巡回座標、つまり各遊技機の座標が順番に記憶されており、それぞれの座標の間の経路について、巡回した結果、異常「1」か正常「0」であるかが記憶されている。そして、各巡回が一巡したかを監視するために、座標の端点(1,1)からX軸方向、Y軸方向の最大値まで、つまり、(m,n)のポイントまで巡回が終了したかどうかも記憶している。これらの構成によって、各経路が正常かどうかの監視を随時行っている。これらの制御について以下詳述する。簡便のために、以下実施例ではn=2、つまりm行2列に遊技機が配置された遊技島についての実施例を示すが、これによって限定をうけるものではない。
【0085】
図30は、本実施例において用いられる遊技機の主制御部制御を示した図である。この制御について、以下説明する。
【0086】
まず、電源が投入されると、ステップS600で自機の位置情報(X,Y)の読み込み処理を行う。この読み込み処理は、主制御部のROM部分に書き込まれた座標データをRAM部分にロードすることによって行われる。この処理と同時に、最大値(m,2)の読込処理を行う。m、2は位置情報(X,Y)としての最大値を示すものであり、設置時に何台の遊技機が何列設置されるかによって予め遊技機に書き込まれている。この各座標読み込み処理は、主制御部が遊技場の中央管理装置(図示せず)と相互通信可能に接続されている場合は、中央管理装置から座標位置情報の初期データ送信を受け、該データを初期値としてRAM領域に書き込む処理としてもよい。この場合、中央管理装置において座標情報(X,Y)及び最大値(m,2)を各遊技機毎に指定して書き込む構成とする。以下、X座標として値の大きい方を便宜的に右側、Y座標として値の小さい方を前列として説明するが、本発明はこのことにより限定されるものではない。この処理は、例えば最前列の一番左側の遊技機に(1,1)、最後列の一番右側の遊技機に(m,2)といったように、各遊技機の座標を特定する座標位置特定手段として機能する。ここで座標とは遊技機の配置における絶対位置の事であり、この例では(X,Y)の形式で位置を特定するものを示したが、これに限らず、ID等で位置が規定されているものでもよい。
【0087】
続いて、ステップS601で情報の送信が正常に行えるかどうかを判定する巡回情報送信判定処理を行う。この巡回情報送信判定処理については後記に詳述する。
【0088】
次に、ステップS602にて隣接遊技機からの巡回情報を受信し、ステップS603にて受信した巡回情報を巡回情報記憶部に記憶する処理を行う。このときに記憶される巡回情報は、図29において示した如く、巡回の開始点の遊技機から送信元までの遊技機までの経路が巡回経路として記憶され、異常有無の情報が順に羅列されたデータとして送信されるものである。
【0089】
次に、ステップS603にて、受信した巡回情報と、予め記憶している巡回情報を照合する巡回情報照合処理を行う。この事により、経路上に異常状態が発生している接続経路を特定する。この処理については後記に詳述する。次に、ステップS604にて、受信した巡回情報についてこのデータが(m,1)の座標を通過したか、つまり巡回済みかどうかを判定する。(m,1)の点は、前述したように、一番最後列の一番左側の遊技機を意味するものである。巡回済みでなければNOなのでステップS601に戻り、隣接遊技機にむけて巡回情報を発信するとともに、新たに隣接遊技機から巡回情報を受信する処理を行う。YESならステップS604に移行し、同様に(1,2)で規定される最前列左隅の遊技機を通過した情報かどうかを判定し、NOならステップS601に戻る。YESなら、続いてS605にて同様に(m,2)で規定される最後列右隅の遊技機を通過したかどうかを判定する。これらの制御により、遊技機設置列の端部を通ったかどうか確認し、次のステップS606にて巡回情報の最初に記憶された座標(初期位置)が自機のものかどうか確認する。この制御によって、自機から発信された巡回情報データが、遊技機列の端部をそれぞれ通過して自機に戻ってきたかどうか確認し、全遊技機を通過したデータであることを確認する。そして、YESの場合は巡回情報記憶部に記憶されている複数のデータをクリアする制御を行う。NOの場合は再びステップS601に戻り、新たに情報を送受信する処理を行う。これらの処理を行うことによって、複数の巡回経路情報をステップS603で照合することができる。従って、得られた情報により、経路上の異常あるいは、接続状態の異常を検出することができる。
【0090】
上述の例においては、2列構成の遊技島単位で巡回を行う例を示したが、3列以上の場合は、巡回単位を構成する遊技機の全座標情報を記憶しておき、これらの座標情報が全て網羅されている経路であるかどうかを確認することにより、全遊技機を通過したデータであることを確認する構成とすることが考えられる。
【0091】
次に、巡回情報送信判定処理について図31を参照しながら説明する。ステップS700では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X+1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS701において、X1の値がmより大きいかどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より右側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS703に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS702の隣接遊技機送信処理を行う。次に、ステップS703では、先に読込をおこなったXの値に関連して、X−1の値をX1としてロードする。そして、次のステップS704において、X1の値が0かどうかを判定する。YESの場合は、その遊技機より左側には遊技機は存在しないと判断し、次のステップS706に移行する。NOの場合は、座標(X1,Y)に該当する遊技機についてステップS704の隣接遊技機送信処理を行う。このようにして、X方向、つまり左右の遊技機の有無を確認し、監視処理の有無を決める。同様に、Y方向についても、ステップS707〜ステップS711の処理を行い、該遊技機の前後に接続された遊技機の有無を確認し、隣接遊技機送信処理の有無を決定する。これらの処理を行った後、メイン処理に戻る。この処理を繰り返すことにより、周囲の遊技機が存在するかどうかを判別し、送信処理の有無を決定する。なお、上記の例においては、各方向の遊技機に対する送信を順に行う例を示したが、これに限らず、送信処理順を抽選等によってランダムに決定してもよい。
【0092】
図32は隣接遊技機送信処理を示した図である。まず、ステップS800では、該当隣接機に対して、応答確認データを送信し、これが正常に送信できるかどうかを確認する。正常に送信できた場合、隣接遊技機からは確認データが送信される。これを確認した場合にYESとなり、ステップS801にて巡回経路情報に正常値「0」を書き込むとともに、ステップS802で送信先の座標を巡回情報記憶部の巡回座標データに追加する。追加した後、巡回情報記憶部のデータを隣接遊技機に向かって送信する。隣接遊技機から確認データの送信がなされなかった場合にはNOとなり、ステップS803にて巡回経路情報に異常値「1」を書き込み、このデータを巡回情報記憶部に記憶する。つまり、この巡回経路の最終値が異常値「1」となったデータは、異常を持った遊技機の隣接機によってプールされ、この遊技機に接続されている他の正常遊技機に次回送信されることになる。経路上に異常が生じた際には、このような経路の途中で異常値「1」となったデータが複数発生するため、この複数のデータを照合する事によって異常箇所を特定することが可能となる。
【0093】
図33は図30のステップS604の巡回情報照合処理を示した図である。巡回情報記憶部には、隣接する遊技機から受けた複数の巡回経路情報が記憶されている。ステップS900では、これらの複数の巡回経路情報を照合する。そして、ステップS901でこの照合した結果に不一致があるかどうかを確認する。そして、YESであれば、ステップS902で接続異常報知処理を行う。この異常報知は、報知される異常情報内容が異なる他は、第3実施例の異常報知処理と同様に行われる。例えば、途中経路上に「正常」のみを返す基板が接続されている場合、この経路を通過しない巡回経路と、通過する巡回経路で経路情報の不一致が生じる。この場合に不正な改変を報知する接続異常報知手段としてこの制御は働くものである。そして、ステップS903でこの経路情報に異常「1」があるかどうかを確認する。異常がある場合、YESとなり、ステップS904にて異常経路報知処理を行う。この処理は、報知される異常情報内容が異なる他は、第3実施例の異常報知処理と同様に行われる。
【0094】
上記の実施例によれば、異常報知処理を島単位で可能とする事で、不正を隠蔽するためには島単位で改変する事が必要となり、不正防止効果が高まっている。また、途中に不正基板を接続するような行為に関しても検出が可能となる。
【0095】
上記実施例3、4においては、遊技機同士を接続した実施例を示したが、これに代えて、遊技機と隣接して設置されて相互通信可能に接続され、遊技媒体の貸出を行う為の台間機について、台間機同士を接続し、遊技機から受信する異常信号を元に同様の制御を行うことも可能である。
【0096】
本発明によれば、筐体に対して働かれる不正行為を、隣接して相互通信可能に接続された機器を利用して報知する事が可能となり、これらに対して迅速に対処する事が可能となる。
【0097】
なお、上記各実施例においては、パチンコ機において本発明を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、アレンジボール、雀球等の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機等にも適用可能であることはもちろんである。なお、上記した実施例は、実施するための一形態を例示したものであり、本発明は、上記実施例に限定されず、その思想の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0098】
また、異常情報記憶処理の方法として異常台の座標情報をコピーして隣接遊技機に送信・記憶処理を行っているものを例にとって説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、異常台を基準とし、基準値から離れている度合い(所謂「絶対値」)を計算し、その絶対値から異常台を特定し、異常台報知を行うアブソリュート方式や、異常台の軌跡データを計算し、その増分値から異常台を特定し、異常台報知を行うインクレメンタル方式を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明における遊技島内のパチンコ遊技機同士の配置状態及び接続状態を示す配置・配線図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面図である。
【図3】上記パチンコ遊技機における鍵装置の鍵穴の3つの状態をそれぞれ拡大して示す図である。
【図4】パチンコ遊技機における筐体の開状態をその右側端面から見た側面図である。
【図5】パチンコ遊技機における遊技盤の遊技領域の部品配置状態を示す正面図である。
【図6】パチンコ遊技機の制御系のブロック構成図である。
【図7】主制御部のRAMのブロック構成図である。
【図8】不正行為防止制御のフローチャート図である。
【図9】振動センサフラグの設定・変更制御のフローチャート図である。
【図10】経過時間計測処理のフローチャート図である。
【図11】外部通信処理のフローチャート図である。
【図12】開閉スイッチのON・OFF信号と振動センサの有効・無効との関係を示すタイムチャート図である。
【図13】開閉動作中センサの取付状態を示す図である。
【図14】遊技機の背面構造を示す図である。
【図15】遊技機の制御系のブロック構成図である。
【図16】振動検知装置の制御系のブロック構成図である。
【図17】遊技機の開閉動作検知制御を示す図である。
【図18】振動検知装置の振動検知機構の有効・無効制御を示す図である。
【図19】振動検知装置の受信時処理を示す図である。
【図20】ROMの記憶部の構成を示す図である。
【図21】RAMの記憶部の構成を示す図である。
【図22】遊技島の構成を示す概念図である。
【図23】通信制御のフローチャートである。
【図24】隣接遊技機の監視処理を示すフローチャートである。
【図25】異常情報取得処理を示すフローチャートである。
【図26】異常報知処理を示すフローチャートである。
【図27】異常報知の一形態を示す図である。
【図28】RAMの記憶部の構成を示す図である。
【図29】巡回情報の内容を示す概念図である。
【図30】通信制御を示すフローチャートである。
【図31】巡回情報判定処理を示すフローチャートである。
【図32】隣接遊技機送信処理を示すフローチャートである。
【図33】巡回情報照合処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
A,A1,A2,A3,A4,A´1,A´2 パチンコ遊技機
B 遊技島
C 台間機
1 木枠
4 筐体
5 遊技盤
6 ガラス扉(筐体前扉)
16 振動報知ランプ
32 Vゾーン(入賞部)
34a,34b,34c,34d 普通入賞口(入賞部)
35a,35b,35c 始動口(入賞部)
38 振動センサ(振動検出手段)
44a、44b 筐体側開閉センサ(開閉検知手段)
45a、45b 前扉側開閉センサ(開閉検知手段)
52 主制御部(不正行為防止制御手段)
73 外部通信部
80,81 開閉動作中センサ
87 開閉検出手段
102 異常検知センサ
300 振動検知装置
500 外部端子板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、筐体又は筐体前扉に開閉機構を有し、該筐体の異常状態を検出する異常状態検知手段を備える遊技機において、
上記異常状態検知手段による異常状態の検出出力を受け入れ、不正行為を防止するための制御の実行を遊技機の所定部に対して指令する不正行為防止制御手段と、
上記筐体の開閉機構の開閉動作を検出する開閉検知手段と、
を有し、
上記不正行為防止制御手段は、開閉検知手段による開閉動作の検出をも受け、筐体又は筐体前扉の開閉時に、開閉動作が正規に行われたことを条件に、異常状態検知手段の検出出力の受け入れを無効化するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
異常検知手段を有する外部機器が遊技機本体の所定位置に付設され、遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、この筐体に開閉機構を有する遊技機であって、
前記外部機器は、隣接遊技機に付設される隣接外部機器と相互に通信可能に接続されているとともに、
前記開閉機構に対する開閉動作に基づいて、前記隣接外部機器に異常検知手段の検知機能を無効化する指令信号を導出するとともに、前記異常検知手段を無効化し、
一方、該指令信号を受信したときにも前記異常検知手段の検知機能を無効化するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、
上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した座標を含む情報を記憶する機能を有し、
遊技機の動作を制御する制御部は、
相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする遊技機。
【請求項4】
異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、
上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した経路情報を含む情報を記憶する機能を有し、
遊技機の動作を制御する制御部は、
相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項3あるいは4の遊技機が複数台相互に送受信可能に接続される構成を有する遊技場システムであって、
各遊技機には、遊技場システム内における自機の座標位置を特定する座標位置特定手段を有することを特徴とする遊技場システム。
【請求項1】
遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、筐体又は筐体前扉に開閉機構を有し、該筐体の異常状態を検出する異常状態検知手段を備える遊技機において、
上記異常状態検知手段による異常状態の検出出力を受け入れ、不正行為を防止するための制御の実行を遊技機の所定部に対して指令する不正行為防止制御手段と、
上記筐体の開閉機構の開閉動作を検出する開閉検知手段と、
を有し、
上記不正行為防止制御手段は、開閉検知手段による開閉動作の検出をも受け、筐体又は筐体前扉の開閉時に、開閉動作が正規に行われたことを条件に、異常状態検知手段の検出出力の受け入れを無効化するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
異常検知手段を有する外部機器が遊技機本体の所定位置に付設され、遊技制御に関わる各種機構を筐体内部に備えているとともに、この筐体に開閉機構を有する遊技機であって、
前記外部機器は、隣接遊技機に付設される隣接外部機器と相互に通信可能に接続されているとともに、
前記開閉機構に対する開閉動作に基づいて、前記隣接外部機器に異常検知手段の検知機能を無効化する指令信号を導出するとともに、前記異常検知手段を無効化し、
一方、該指令信号を受信したときにも前記異常検知手段の検知機能を無効化するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、
上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した座標を含む情報を記憶する機能を有し、
遊技機の動作を制御する制御部は、
相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする遊技機。
【請求項4】
異常状態検知手段が付設され、異常発生時に異常内容を記憶する異常内容記憶手段を設けた遊技機であって、
上記異常内容記憶手段には、前記異常の発生した経路情報を含む情報を記憶する機能を有し、
遊技機の動作を制御する制御部は、
相互に送受信可能に接続された通信手段を介して該異常内容記憶手段の記憶情報を送信し、送信を受けた際には該記憶情報を異常内容記憶手段に記憶するように制御することを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項3あるいは4の遊技機が複数台相互に送受信可能に接続される構成を有する遊技場システムであって、
各遊技機には、遊技場システム内における自機の座標位置を特定する座標位置特定手段を有することを特徴とする遊技場システム。
【図5】
【図6】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図6】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−245899(P2008−245899A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90590(P2007−90590)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000169477)アビリット株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000169477)アビリット株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
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