説明

遊技機用台間機システム

【課題】十分な空気吹き出し性能を有するとともに、台間機内の空きスペースの有効利用を図ることができる安価な遊技機用台間機システムの提供を目的としている。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る遊技機用台間機システムでは、遊技空間Sを挟んで対向する第1および第2の台間機としての2つのA型およびB型台間機10A,10Bのそれぞれの送気手段を同時に使用して空気の吸排を行なうようにしているため、1つの台間機内に強力なモータを使用する高性能な大型の送風機を設けなくても、システム全体を通じて十分な空気吹き出し性能を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パチンコ機やスロットマシン等(以下、「遊技機」と総称する)が設置されている遊技場に設置され、遊技機間に配設可能な遊技機用台間機から構成される遊技機用台間機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パチンコホールのような遊技場では、遊技者の便宜を図るため、遊技機が多数設置された領域(「島」とも称する)において、隣接する遊技機間に、パチンコ球やコイン(遊技媒体)を貸し出すための縦長状の台間機(サンド装置とも称する)が設置されている。この台間機は、各遊技機間に固定設置されるフレームに装着されており、対応する挿入口を通じて紙幣、硬貨、プリペイドカード等が挿入されることにより、実際に遊技媒体を貸し出したり、遊技媒体の貸し出しを促す信号を遊技機に送信するようになっている。
【0003】
ところで、図8に示すように、台間機100は、一般に、遊技場Hのスペースを有効活用するため、遊技機120間に形成される遊技機120と略同一の高さ寸法の幅の狭いスペースSに、例えば、カード処理ユニット、制御ユニット、硬貨処理ユニット、紙幣処理ユニットなどの構成要素(図中に破線で示す)が上下に積層配列された構成となっている。また、台間機100は、ホールコンピュータからの信号送受信の配線の設置効率の向上、および、各島両端間の配線経路部材の量産による低コスト化を図るため、通常、島110の両側に対向して設置される。
【0004】
また、一般に、遊技場は、煙草の煙などが充満し易い環境であるため、例えば特許文献1に開示されるように、空気を吹き出す細長状の吹出部と当該吹出部からの空気の吹き出し方向を案内するガイド部とを有する装置本体と、装置本体に空気を供給する送風機とを設けることにより、隣の喫煙者との分煙を図るエアーカーテンを遊技機間に形成するように構成した空気吹出装置も開発されている。
【0005】
また、空気の浄化に関連して、特許文献2には、島毎に空気を吸引して一括排気する排気システムが開示されている。
【特許文献1】実用新案登録第3113706号
【特許文献2】特開2001−141275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるような空気吹出装置は、遊技場スペースの有効活用という観点から考えれば、台間機に設けることが好ましい。しかしながら、台間機は遊技機間の狭い空間内にあり、その内部空間が限られるため、台間機に前記空気吹出装置を設けたとしても、空気を大量に吸い込んで吐き出すことができる強力なモータを使用する高性能な大型の送風機を使用することは困難であり、台間機単体で十分な空気吹き出し性能を得ることは難しい。
【0007】
また、特許文献2に開示されるような排気システムでは、島毎に排気系を設ける必要があり、また、各遊技機に強制排気ファンが設けられているため、排気システムの設置に要するコストが大幅にかかってしまう。
【0008】
また、台間機は、前述したように遊技機の高さ寸法に対応した高さ寸法で設置されるため、場合によっては、機内の空間に空きスペースが発生することがある。しかしながら、そのような空きスペースは無駄なスペースであり、遊技場のスペースを有効活用するという観点からもそのような空きスペースの有効利用を図ることが望まれる。
【0009】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、十分な空気吹き出し性能を有するとともに、台間機内の空きスペースの有効利用を図ることができる安価な遊技機用台間機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された遊技機用台間機システムは、遊技機を使用する遊技者の側で開口する第1の空気吸排口と、前記第1の空気吸排口を通じて空気を機内に対して吸排する送気手段とを有する第1および第2の台間機を備え、前記第1および第2の台間機は所定の遊技空間を挟んで対向して配置されるとともに、前記第1および第2の台間機のそれぞれの送気手段は、協働して、一方の台間機の第1の空気吸排口から吐き出した空気を他方の台間機の第1の空気吸排口から吸引することを特徴とする。
【0011】
この請求項1に記載された遊技機用台間機システムによれば、対向する2つの台間機のそれぞれの送気手段を同時に使用して空気の吸排を行なうようにしているため、1つの台間機内に強力なモータを使用する高性能な大型の送風機を設けなくても、システム全体を通じて十分な空気吹き出し性能を得ることができる。また、第1および第2の台間機とも同一構造または類似構造にすることができるため、システム全体のコストを削減できる。また、上記構成要素を台間機の既存の空きスペースに設けることにより、空きスペースの有効利用も図ることができる。また、遊技空間を挟んで対向する2つの台間機間すなわち島間で空気を吸排しているため、複数の島にわたって共通の空気吸排系を構成することが可能となり、従来のように島毎に排気系を設けずに済む。そのため、空気吸排システムの設置に要するコストを大幅に削減することができる。
【0012】
また、請求項2に記載された遊技機用台間機システムは、請求項1に記載された遊技機用台間機システムにおいて、前記第1および第2の台間機の少なくとも一方は、遊技者の側と異なる側で開口し且つ前記第1の空気吸排口から吸引された空気を吐き出すこと及び前記第1の空気吸排口から吐き出されるべき空気を吸引することのいずれか一方を行なう第2の空気吸排口を有していることを特徴とする。
【0013】
この請求項2に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項1に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、第1および第2の台間機の両側で空気の流れを形成することができるため、複数の台間機間および複数の島間にわたって空気吸排経路を形成することができ、多数の送気手段の協働による空気の連鎖的な吸排流れを生み出すことが可能になる。
【0014】
また、請求項3に記載された遊技機用台間機システムは、請求項2に記載された遊技機用台間機システムにおいて、前記第1および第2の台間機のいずれか一方と対向した状態で隣接する第3の台間機を更に備え、前記第3の台間機は、遊技機を使用する遊技者の側で開口する第1の空気吸排口と、遊技者の側と異なる側で開口する第2の空気吸排口と、前記第1の空気吸排口および前記第2の空気吸排口を通じて空気を機内に対して吸排する送気手段とを有し、前記第3の台間機の前記送気手段は、前記第1および第2の台間機のいずれか一方の送気手段と協働して、第1および第2の台間機のいずれか一方の第1の空気吸排口から吸引した空気をその台間機の第2の空気吸排口から第3の台間機の第2の空気吸排口へと流して第3の台間機の第1の空気吸排口から吐き出す動作、および、第3の台間機の第1の空気吸排口から吸引した空気を第3の台間機の第2の空気吸排口から第1および第2の台間機のいずれか一方の第2の空気吸排口へと流してその台間機の第1の空気吸排口から吐き出す動作のいずれか一方を行なうことを特徴とする。
【0015】
この請求項3に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項2に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、3つの台間機の協働作用により島間および島内の両方で空気吸排流れを形成することができるため、吸排効率を大幅に向上させることができる。
【0016】
また、請求項4に記載された遊技機用台間機システムは、請求項3に記載された遊技機用台間機システムにおいて、前記第3の台間機が前記第1および前記第2の台間機のいずれか一方として機能することを特徴とする。
【0017】
この請求項4に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項3に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、3つの台間機を1つの単位として連続的に組み合わせて、吸排流れの多重化を実現でき、多数の島間を効率的に組み合わせた空気吸排能力の高いグローバルな空気吸排系を得ることができる。
【0018】
また、請求項5に記載された遊技機用台間機システムは、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムにおいて、前記送気手段の送気方向を切り換えるための切換手段を更に備えることを特徴とする。
【0019】
この請求項5に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、前記切換手段により、システムが設置される環境の状況に応じて、空気の流れ方向を変えることができる。
【0020】
また、請求項6に記載された遊技機用台間機システムは、請求項5に記載された遊技機用台間機システムにおいて、前記切換手段は、前記第1の台間機の第1の空気吸排口から吐き出した空気を第2の台間機の第1の空気吸排口から吸引する第1の送気モードと、前記第2の台間機の第1の空気吸排口から吐き出した空気を第1の台間機の第1の空気吸排口から吸引する第2の送気モードとの間で切り換えることを特徴とする。
【0021】
この請求項6に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項5に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、状況に応じた適切な空気流れを形成することができ、空気の吸排を効果的に行なうことが可能になる。
【0022】
また、請求項7に記載された遊技機用台間機システムは、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムにおいて、前記送気手段は、各遊技機の遊技位置における遊技者の側方にエアーカーテンを形成するように第1の空気吸排口から空気を噴出することを特徴とする。
【0023】
この請求項7に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、エアーカーテンを形成して隣り合う遊技者間の分煙を確実に図ることができる。
【0024】
また、請求項8に記載された遊技機用台間機システムは、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムにおいて、前記台間機内に配設された少なくとも1つのユニットを更に備え、前記送気手段は、機内に吸引した空気を前記ユニットを経由して流通させて機外へ吐き出すことを特徴とする。
【0025】
この請求項8に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、台間機内に取り込んだ空気をユニットを経由して流通させてから排気するようにしているため、取り込んだ空気によりユニットを積極的に冷却することができる。したがって、台間機内に熱がこもらないような効果的な放熱を行なうことができる。
【0026】
また、請求項9に記載された遊技機用台間機システムは、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システム発明において、前記台間機のうちの少なくとも1つに設けられ、台間機内に吸引された空気を清浄するためのフィルタを更に備えていることを特徴とする。
【0027】
この請求項9に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、台間機内で流通する空気をフィルタによって積極的に清浄でき、クリーンな外部環境を提供することが可能になる。
【0028】
また、請求項10に記載された遊技機用台間機システムは、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システム発明において、複数の台間機にわたって連続的に吸排された空気を回収する空気回収手段を更に備えることを特徴とする。
【0029】
この請求項10に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、複数の島間にわたって吸排された空気を一括してまとめることができるため、遊技機が設置される遊技場全体にわたって効率的な空気循環を作り出して、効果的な空気清浄等を行なうことができる。島毎に空気を回収しなくて済むため、空気吸排系の設置コストを大幅に削減できる。
【0030】
また、請求項11に記載された遊技機用台間機システムは、請求項10に記載された遊技機用台間機システム発明において、前記空気回収手段に設けられ、空気回収手段により回収された空気を清浄するためのフィルタを更に備えていることを特徴とする。
【0031】
この請求項11に記載された遊技機用台間機システムによれば、請求項10に記載された遊技機用台間機システムと同様の作用効果を得ることができるとともに、島間で流通する空気を一括してフィルタにより清浄できるため、クリーンな外部環境を安価且つ効率的に提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、十分な空気吹き出し性能を有するとともに、台間機内の空きスペースの有効利用を図ることができる安価な遊技機用台間機システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1には、パチンコホール等の遊技場H内に列を成す複数の島I(I1,I2,I3)を形成するように設置された多数の遊技機2(図では、パチンコ機)の設置例が示されている。図示のように、いずれの島I(I1,I2,I3)においても、各遊技機2間には、遊技機2における遊技に必要な遊技媒体の供給を可能にする遊技機用台間機10(10A,10B)が設置されている。また、各島I同士の間には所定の遊技空間Sが確保されている。
【0034】
具体的に、本実施形態において、島Iは、遊技場Hの図中左端に位置する1つの左端島I1と、遊技場Hの図中右端に位置する1つの右端島I3と、左端島I1と右端島I3との間に互いに所定の遊技空間Sを介して離間配置された複数の中間島I2・・・とから成っている。
【0035】
この場合、各中間島I2においては、図3にも示されるように、遊技機2がその背面同士を合わせた状態で両側に列を成して位置されている。そして、列の一方側の遊技機2,2間には後述するA型の台間機10Aが介在され、列の他方側の遊技機2,2間には後述するB型の台間機10Bが介在されている。したがって、列の一方側のA型台間機10Aと列の他方側のB型台間機10Bは互いに対向した状態で隣接している(図6および図7参照)。
【0036】
また、左端島I1では、図2にも示されるように、遊技機2が背面同士で合わされることなく横に一列に並べられているだけであり、それらの遊技機2,2間にB型の台間機10Bが介在されている。更に、右端島I3においても、遊技機2は背面同士で合わされることなく横に一列に並べられているだけであり、それらの遊技機2,2間にA型の台間機10Aが介在されている。そして、左端島I1および右端島I3にはそれぞれ後述する排気システムの排気管50が設置されている。しかしながら、無論、左端島I1および右端島I3においても、遊技機2がその背面同士を合わせた状態で両側に列を成して位置されていても構わない。
【0037】
なお、遊技機2は、遊技者に遊技を提供する装置であり、例えば、パチンコ機、パチスロ機、スロットマシン機、カードゲーム機等であっても良い。また、各台間機10(10A,10B)は、主に、現金やカード(プリペイドカード、ICカード等)を投入することで、メダルやパチンコ玉のような遊技媒体を貸し出す機能を有する。
【0038】
図4には、遊技機2間に設置固定されたフレームに対して着脱可能な台間機10(10A,10B)の一構成例が示されている。本実施形態に係る台間機10は、縦長の箱状に形成されており、遊技機2間に設置固定される断面コの字型のフレーム(遊技者側からは、通常は見えないようになっている)90に対して例えば着脱可能なユニット部3と、このユニット部3の下方側に配置され、ユニット部3と同様の幅を有する縦長の箱状に形成された電源供給部30とを備えている。
【0039】
ユニット部3は、略長方体形状に構成された縦長状の本体(筐体)3A内に、カード処理ユニット5、紙幣処理ユニット7、テンキー操作ユニット19を収容している。カード処理ユニット5は、本体3Aの前面パネル3B(遊技機2を使用する遊技者Pの側すなわち遊技空間S側に面する)に形成されるカード挿入口5aを備えており、例えば、金額情報が記載されたカード(プリペイドカード、ICカード等)を挿入することで、内部に設置されているリーダライタが駆動され、金額情報の読取り、書換えが行われると共に、金額情報が書き換えられたカードの返却、発行、或いは金額が0になった際のカードの回収が可能となっている。遊技者は、カードに記載された金額情報の範囲内で、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体の貸し出し処理を受け、遊技を行うことができる。
【0040】
紙幣処理ユニット7は、本体3Aの前面パネル3Bに形成される紙幣挿入口7aを備えており、紙幣を挿入することで、内部に設置されているセンサによって真偽判断処理が成され、前記カードの場合と同様、挿入された金額の範囲内で、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体の貸し出し処理を受け、遊技を行うことができる。なお、遊技で全ての金額を使用しなかった場合、カード処理ユニット5において、予めストック部に収納されているカードに対して金額情報を書き込んで、その発行が可能な構成となっている。
【0041】
テンキー操作ユニット19は、画像表示部(液晶ディスプレイによって構成される)11、テンキー12、赤外線受光素子13、及び、場合によっては、人体を認証するための撮像素子14等を備えている。なお、図面においては、赤外線受光素子13と撮像素子14は、画像表示部11の上方の同じ位置に設置されている。
【0042】
画像表示部11は、例えば、遊技場の各種情報、二次元バーコード、金額情報等が表示される。テンキー12は、例えば、遊技者が所有するICカードの暗証番号を入力したり、画像表示部11に表示される各種情報をスクロールさせたり、遊技で使用する金額情報等を入力する際に押下される。赤外線受光素子13は、例えば、遊技場の管理者が赤外線リモコンによって、ユニット部3を取り外す際の着脱装置を作動(ロック機構の解除)させるのに用いられ、撮像素子14は、人体を識別するための情報、例えば、当該サンド装置1に隣接する遊技機で遊技者が遊技をしているかいないかの情報等を取得するのに用いられる。
【0043】
なお、ユニット部3は、以上説明した各ユニット5,7,19以外の構成部材を含んでいても良く、例えば、遊技者に異常や所定の状態を報知するためのパイロットランプ18等が設置されている。
【0044】
各ユニット5,7,19は、ユニット部3の内部に設置されたCPUユニット20によってその動作が制御される。CPUユニット20は、電源供給部30側に電気的に接続されており、電源供給部30から電源が供給されるようになっている。
【0045】
一方、電源供給部30内には、ユニット部3の内部に収容されるカード処理ユニット5、紙幣処理ユニット7、テンキー操作ユニット19などに電力を供給すべく外部電源から供給される電圧等を制御する電源基板が主として配設されているだけであり、設置密度が低い、いわゆる空きスペースを形成している。
【0046】
図5には、本実施形態の要部を主に図示したA型台間機10Aの内部構造が示されている。図示のように、A型台間機10Aは筐体3Aを有しており、遊技空間S側に面する筐体3Aの前面(前面パネル3B)には第1の空気吸排口36が設けられている。本実施形態の場合、この第1の空気吸排口36は、台間機10Aの下部の電源供給部30の領域に位置されている。
【0047】
また、遊技機2を使用する遊技者Pの側(遊技空間S側)と異なる側に面する筐体3Aの面、例えば遊技空間Sと反対の側に位置する筐体3Aの背面上部には、第2の空気吸排口37が設けられている。なお、この第2の空気吸排口37には、右端島I3のように、後述する排気管50の分岐管50aを接続することもできる(図6および図7参照)。また、第2の空気吸排口37は、台間機10Aの上面または下面などに設けられていても良い。
【0048】
また、台間機10Aには、第1の空気吸排口36および第2の空気吸排口37を通じて空気を台間機10A内に対して吸排する送気手段が設けられている。特に、本実施形態において、この送気手段は、第1の空気吸排口36および第2の空気吸排口37のいずれか一方から筐体3A内に流入した空気を各ユニット19(CPU20も含む),5,7を経由して第1の空気吸排口36および第2の空気吸排口37のいずれか他方へと流通させるようになっている。具体的には、この送気手段は、第1の空気吸排口36の近傍に設けられ且つ第1の空気吸排口36を通じて筐体3A内に対して空気を吸排するためのファン(またはブロワ)40と、第1の空気吸排口36と第2の空気吸排口37との間で空気を案内する複数の或いは連続した1つの気流ガイド部材43(本実施形態では、複数のガイド部材として形成されている)と、第2の空気吸排口37の近傍に配設され且つ第2の空気吸排口37を通じて筐体3A内に対して空気を吸排するためのファン(またはブロワ)41とから主に構成されている。なお、第1の空気吸排口36側または第2の空気吸排口37側のファン40(または41)だけで空気を第1の空気吸排口36と第2の空気吸排口37との間で送気できる場合には、いずれか一方側のファンを省くことができる。また、ファン40,41のみ(あるいは、ファン40またはファン41だけ)により第1の空気吸排口36と第2の空気吸排口37との間でユニット19,5,7を経由して確実に空気を流通させることができる場合には、気流ガイド部材43を省くこともできる。
【0049】
また、本実施形態の台間機10Aには、筐体3A内の温度を検出するためのセンサ44が設けられている。このセンサ44は、本実施形態においては気流ガイド部材43のうちの1つ又は複数に設置されているが、筐体3Aの内壁などの他の部位に設置されていても構わない。そして、本実施形態では、センサ44からの検出情報に基づいてファン40,41の動作がCPU20によって制御されるようになっている。例えば、通常の換気動作においては、ファン40(またはファン41)のみが駆動されているが、センサ44からの検出情報により筐体3A内の温度が所定の温度以上になった場合には、ファン41(またはファン40)も駆動されて送気出力が増大され、ユニット19,5,7等の冷却効果を高めるようになっている。あるいは、通常はファン40,41の動作が停止されているが、センサ44からの検出情報により筐体3A内の温度が所定の温度以上になった場合には、ファン40,41が動作されるようになっていても良い。
【0050】
また、本実施形態では、第1の空気吸排口36と第2の空気吸排口37との間の空気の流通経路の途中に、流通する空気を清浄するためのフィルタ42が設けられている。特に本実施形態では、フィルタ42が第2の空気吸排口37に隣接して設けられているが、フィルタ42は、第1の空気吸排口36に隣接して設けられていても良く、あるいは、気流ガイド部材43によって規定される空気流通経路の途中にこれらのガイド部材43に支持されつつ設けられていても良い。あるいは、このようなフィルタ42は、中間島I2のように台間機10A,10Bが背中合わせで対向して隣接しているような場合には、これらの対向する台間機10A,10Bの一方側のみに設けられていても良い。
【0051】
また、本実施形態において、CPU20は、ファン40,41による送気方向を切り換えるための切換手段を構成している。すなわち、図6および図7を参照して後述するように、CPU20は、ファン40,41の回転方向を変更して、遊技場H内における空気の流れを反転切り換えできるようになっている。
【0052】
なお、以上は、A型台間機10Aの構造について説明したが、B型台間機10Bは、図6および図7に示されるように、A型台間機10Aと鏡像を成す内部構造を有している。しかしながら、空気吸排口36,37の位置等を工夫することによりA型台間機10AおよびB型台間機10Bを全く同一の構造とすることもできる。
【0053】
また、本実施形態において、左端島I1および右端島I3に設けられる排気システムは、これらの島I1,I3の各台間機10A,10Bから排気される空気を一括して所定の排気領域へ排気するように構成されている。具体的に、この排気システムは、図1または図2に示されるように、左端島I1および右端島I3に沿って延びる長尺な排気管50を備えている。排気管50は、島I1,I3のほぼ全長にわたって延びる主管50bと、主管50bと各台間機10A(または10B)の第2の空気吸排口37とを接続する分岐管50aとから成っており、後述するように、複数の島I1,I2,I3(したがって、複数の台間機10A,10B)にわたって連続的に吸排された空気を回収する空気回収手段を構成している。無論、排気管50を設けることなく、各台間機10A,10Bが個別に第2の空気吸排口37から空気を外部に排気しても良い。また、このような排気管50を設ける場合には、各台間機10A,10Bに個別にフィルタ42を設けるのではなく、排気管50の例えば主管50bにフィルタを設け、島I1,I2.I3全体の台間機10・・・から回収した空気を一括してフィルタ処理するようにしても良い。
【0054】
また、本実施形態では、フィルタ42の交換時期やファン40,41等のメンテナンス時期を報知する報知手段を設けることが好ましい。そのような報知手段では、交換時期やメンテナンス時期をCPUユニット20がパイロットランプ18を点灯させることで知らせるといった構成が考えられる。
【0055】
次に、上記した配列および構成を成す台間機から成るシステム(遊技機用台間機システム)の作用について説明する。
【0056】
まず、第1の送気モードでは、左端島I1から右端島I3へと向かう空気の流れが形成される。具体的には、各台間機10A,10Bのファン40,41が一方向に回転され、これらのファン40,41は、協働して、図6に示されるように、A型台間機10Aの第1の空気吸排口36から吸引した空気を、筐体3A内に流入させて各ユニット19(CPU20も含む),5,7を経由して流通させるとともに、A型台間機10Aの第2の空気吸排口37からB型台間機10Bの第2の空気吸排口37へと流し、B型台間機10Bの第1の空気吸排口36から吐き出す。また、このB型台間機10Bの第1の空気吸排口36から吐き出された空気は、前述したファン40,41の協働作用により、遊技空間Sを横断して各遊技機2の遊技位置における遊技者Pの側方にエアーカーテンCを形成した後、対向するA型台間機10Aの第1の空気吸排口36から吸引される。そして、最終的に、右端島I3の各A型台間機10A内に到達した空気は、右端島I3に設けられた排気管50を通じて遊技場H外に排気される。
【0057】
これに対し、遊技場H内の状況に応じてCPU20により切り換えられる第2の送気モードでは、右端島I3から左端島I1へと向かう空気の流れが形成される。具体的には、各台間機10A,10Bのファン40,41が他方向に回転され、これらのファン40,41は、協働して、図7に示されるように、B型台間機10Bの第1の空気吸排口36から吸引した空気を、筐体3A内に流入させて各ユニット19(CPU20も含む),5,7を経由して流通させるとともに、B型台間機10Bの第2の空気吸排口37からA型台間機10Aの第2の空気吸排口37へと流し、A型台間機10Aの第1の空気吸排口36から吐き出す。また、このA型台間機10Aの第1の空気吸排口36から吐き出された空気は、前述したファン40,41の協働作用により、遊技空間Sを横断して各遊技機2の遊技位置における遊技者Pの側方にエアーカーテンCを形成した後、対向するB型台間機10Bの第1の空気吸排口36から吸引される。そして、最終的に、左端島I1の各B型台間機10B内に到達した空気は、左端島I1に設けられた排気管50を通じて遊技場H外に排気される。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の遊技機用台間機システムによれば、遊技空間Sを挟んで対向する第1および第2の台間機としての2つのA型およびB型台間機10A,10Bのそれぞれの送気手段を同時に使用して空気の吸排を行なうようにしているため、1つの台間機内に強力なモータを使用する高性能な大型の送風機を設けなくても、システム全体を通じて十分な空気吹き出し性能を得ることができる。また、第1および第2の台間機10A,10Bとも同一構造または類似構造にすることができるため、システム全体のコストを削減できる。また、上記構成要素を台間機10(10A,10B)の既存の空きスペース(上記実施形態では、電源供給部30)に設けているため、空きスペースの有効利用を図ることができる。また、遊技空間Sを挟んで対向する2つの台間機10A,10B間すなわち島I間で空気を吸排しているため、複数の島I1,I2,I3にわたって共通の空気吸排系を構成することが可能となり、従来のように島I毎に排気系を設けずに済む。そのため、空気吸排システムの設置に要するコストを大幅に削減することができる。
【0059】
また、本実施形態では、第1および第2の台間10A,10B機の両側で空気の流れを形成することができるため、複数の台間機10間および複数の島I間にわたって空気吸排経路を形成することができ、多数の送気手段の協働による空気の連鎖的な吸排流れを生み出すことが可能になる。
【0060】
また、本実施形態の遊技機用台間機システムは、第1および第2の台間機10A,10Bのいずれか一方と対向した状態で隣接する第3の台間機(10Aまたは10B)を更に備え、この第3の台間機が第1および前記第2の台間機のいずれか一方として機能して、前述した第1の送気モードおよび第2の送気モードを実現している。つまり、3つの台間機の協働作用により島間および島内の両方で空気吸排流れを形成することができるとともに、3つの台間機を1つの単位として連続的に組み合わせて吸排流れの多重化を実現できるため、吸排効率を大幅に向上させることができるとともに、多数の島間を効率的に組み合わせた空気吸排能力の高いグローバルな空気吸排系を得ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、CPU20が送気手段の送気方向を切り換えるための切換手段を構成しているため、システムが設置される環境の状況に応じて、空気の流れ方向を変えることができる。すなわち、状況に応じた適切な空気流れを形成することができ、空気の吸排を効果的に行なうことが可能になる。
【0062】
また、本実施形態では、各遊技機2の遊技位置における遊技者Pの側方にエアーカーテンCが形成されるようになっている。したがって、隣り合う遊技者P間の分煙を確実に図ることができる。
【0063】
また、本実施形態の遊技機用台間機システムでは、台間機10内で流通する空気をフィルタ42によって積極的に清浄できるため、クリーンな外部環境を提供することが可能になる。
【0064】
また、本実施形態では、台間機10内に取り込んだ空気をユニット5,7,19を経由して流通させてから排気するようにしているため、取り込んだ空気によりユニット5,7,19を積極的に冷却することができる。したがって、台間機10内に熱がこもらないような効果的な放熱を行なうことができる。
【0065】
また、本実施形態の遊技機用台間機システムは、複数の台間機にわたって連続的に吸排された空気を回収する空気回収手段としての排気システム(排気管50)を備えているため、複数の島間にわたって吸排された空気を一括してまとめることができ、遊技機2が設置される遊技場H全体にわたって効率的な空気循環を作り出して、効果的な空気清浄等を行なうことができる。また、島毎に空気を回収しなくて済むため、空気吸排系の設置コストを大幅に削減できる。
【0066】
また、本実施形態において排気管50にフィルタを設ければ、島間で流通する空気を一括してフィルタにより清浄できるため、クリーンな外部環境を安価且つ効率的に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係る台間機システムの構成例を示す斜視図である。
【図2】左端島における遊技機および台間機の配列を示す斜視図である。
【図3】中間島における遊技機および台間機の配列を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る台間機の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る台間機の内部の要部構成図である。
【図6】第1の送気モードにおける台間機システムの空気の流れを示す概略図である。
【図7】第2の送気モードにおける台間機システムの空気の流れを示す概略図である。
【図8】従来の台間機システムの構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
2 遊技機
3A 筐体
5,7,19 ユニット
10A A型台間機(第1の台間機;第3の台間機)
10B B型台間機(第2の台間機;第3の台間機)
20 CPU(切換手段)
36 第1の空気吸排口
37 第2の空気吸排口
40,41 ファン(送気手段)
42 フィルタ(送気手段)
43 気流ガイド部材(送気手段)
44 センサ
50 排気管(空気回収手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機を使用する遊技者の側で開口する第1の空気吸排口と、前記第1の空気吸排口を通じて空気を機内に対して吸排する送気手段とを有する第1および第2の台間機を備え、
前記第1および第2の台間機は所定の遊技空間を挟んで対向して配置されるとともに、前記第1および第2の台間機のそれぞれの送気手段は、協働して、一方の台間機の第1の空気吸排口から吐き出した空気を他方の台間機の第1の空気吸排口から吸引することを特徴とする遊技機用台間機システム。
【請求項2】
前記第1および第2の台間機の少なくとも一方は、遊技者の側と異なる側で開口し且つ前記第1の空気吸排口から吸引された空気を吐き出すこと及び前記第1の空気吸排口から吐き出されるべき空気を吸引することのいずれか一方を行なう第2の空気吸排口を有していることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項3】
前記第1および第2の台間機のいずれか一方と対向した状態で隣接する第3の台間機を更に備え、前記第3の台間機は、遊技機を使用する遊技者の側で開口する第1の空気吸排口と、遊技者の側と異なる側で開口する第2の空気吸排口と、前記第1の空気吸排口および前記第2の空気吸排口を通じて空気を機内に対して吸排する送気手段とを有し、前記第3の台間機の前記送気手段は、前記第1および第2の台間機のいずれか一方の送気手段と協働して、第1および第2の台間機のいずれか一方の第1の空気吸排口から吸引した空気をその台間機の第2の空気吸排口から第3の台間機の第2の空気吸排口へと流して第3の台間機の第1の空気吸排口から吐き出す動作、および、第3の台間機の第1の空気吸排口から吸引した空気を第3の台間機の第2の空気吸排口から第1および第2の台間機のいずれか一方の第2の空気吸排口へと流してその台間機の第1の空気吸排口から吐き出す動作のいずれか一方を行なうことを特徴とする請求項2に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項4】
前記第3の台間機が前記第1および前記第2の台間機のいずれか一方として機能することを特徴とする請求項3に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項5】
前記送気手段の送気方向を切り換えるための切換手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項6】
前記切換手段は、前記第1の台間機の第1の空気吸排口から吐き出した空気を第2の台間機の第1の空気吸排口から吸引する第1の送気モードと、前記第2の台間機の第1の空気吸排口から吐き出した空気を第1の台間機の第1の空気吸排口から吸引する第2の送気モードとの間で切り換えることを特徴とする請求項5に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項7】
前記送気手段は、各遊技機の遊技位置における遊技者の側方にエアーカーテンを形成するように第1の空気吸排口から空気を噴出することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項8】
前記台間機内に配設された少なくとも1つのユニットを更に備え、
前記送気手段は、機内に吸引した空気を前記ユニットを経由して流通させて機外へ吐き出すことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項9】
前記台間機のうちの少なくとも1つに設けられ、台間機内に吸引された空気を清浄するためのフィルタを更に備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項10】
複数の台間機にわたって連続的に吸排された空気を回収する空気回収手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の遊技機用台間機システム。
【請求項11】
前記空気回収手段に設けられ、空気回収手段により回収された空気を清浄するためのフィルタを更に備えていることを特徴とする請求項10に記載の遊技機用台間機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−259646(P2008−259646A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104273(P2007−104273)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】