説明

遊技機用装飾パネル及び遊技機

【課題】簡単な構造で、透過画像に起因する彩度低下を防止し、画像品質を維持する。
【解決手段】特定の画像を対象として、主光源部104と画像表示板102との間に、予め特定の画像に合わせて凹陥部110が形成され、かつ凹陥部110の底面を直角三角形状のレンズ部とした色補完板106R、106G、106Bを設け、各色補完板106R、106G、106Bの肉厚面からR色発光光源アレイ108R、G色発光光源アレイ108G、B色発光光源アレイ108Bからの出力する光を入射させ、レンズ部で屈折させて、特定の画像を対象とする補助光としたので、主光源部104からの光によって透過された表示される画像として、損なわれ易い鮮やかさを補完することができ、例えば、深みのある画像としてインク量が多い画像であっても、そのインク量に応じた光量を与えることができるため、全体として明るさを維持し、かつ鮮やかさを復元させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾品の一部として遊技機本体に取り付けられ、意匠に基づく装飾効果に加えて、光を用いた演出を行う遊技機用装飾パネル、及び遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機(パチンコ機やパチスロ機)に用いられる装飾パネルは、透明合成樹脂(アクリル製等)板に当該遊技機のテーマ等に応じた意匠、遊技仕様に基づく説明、操作方法等の画像が印刷されている。
【0003】
装飾パネルの裏面にはバックライト部が設けられ、このバックライト部から照射される光が装飾パネルに印刷された画像を透過することで、印刷された画像を際立たせるようにし、遊技者から見易い工夫がなされている。
【0004】
ここで、特に、意匠が印刷された領域は、遊技者から注目を得て遊技意欲を高める重要な役目を有しており、彩色、配色、陰影等、繊細な画像構成となっている。
【0005】
一例として、画像は、装飾パネルの印刷層に対してシルク印刷が施され、前記バックライト部からの透過光による透過画像を遊技者に提供している。
【0006】
印刷層は、前述した透明アクリル板の下層として設けられており、例えば、透明アクリル板からバックライト部に向けて、ブラック層、マゼンタ層、イエロー層、シアン層、下地・白色層が重ねられている。
【0007】
上記構成の装飾パネルは、印刷層に用いられるインクが、一般紙(不透明)等の反射光の発色を想定したインクよりも透明度が高くなっている。これにより、バックライト部からの光が照射されると、明るさ(明度等)は良好であるが、逆に鮮やかさ(彩度等)は、所謂アンダー気味(カメラ撮影における露出不足と同等に全体的に白っぽくなる傾向)となる場合がある。
【0008】
そこで、前述した下地・白色層を複数回繰り返し印刷して、バックライト部から印刷層へ入射する光を抑制したり、彩度が低下することを予め予測して、該当する領域のインク濃度を高くするといった工夫がなされている。
【0009】
ところが、下地・白色層を複数回繰り返し印刷した場合、明度が犠牲になるため、遊技者の注目度が減退する。また、インク濃度を高くした場合、繊細が画像に制限が生じ、画像が粗くなりがちとなって意匠表現が抑制される。
【0010】
このため、単一色、例えば白色のバックライト部ではなく、バックライトと液晶表示部とを備えたバックライト部を適用し、液晶表示部による画素毎の透過光量調整(発色制御)によって、鮮やかさを回復(補完)することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許2006−173883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1の構造では、画像制御のためのハード構成が複雑であり、また、ハード構成を制御するソフトウェアに関しても制御負担が大きいため、遊技機との組み合せにおいて不向きである。
【0013】
すなわち、制御系にハードウェア及びソフトウェアに開発制限がない場合には、前記特許文献1の技術は有用であるが、遊技機に搭載される画像処理制御能力には限度があり、その大部分が遊技制御のために適用されるため、装飾のための画像に関して、現状の白色のバックライト部の構造から大きく逸脱するような特許文献1の技術は適用し得ないのが現状である。
【0014】
本発明は上記事実を考慮し、簡単な構造で、透過画像に起因する彩度低下を防止し、画像品質を維持することができる遊技機用装飾パネル及び遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、光が表面側から透過されることで、目的の色が表現されるように予め画像が記録された画像記録層を備えた最上層部材と、前記画像記録層の裏面側へ均一に照射されるように発光すると共に、前記画像記録層を透過する光の内、主たる光を発光する主光源部と、前記画像記録層に記憶された画像の内、特定の画像領域を対象として彩度調整用の補助光を供給する補助光供給層を備えた補助光供給手段と、を有している。
【0016】
例えば、画像記録層を主光源部からの光が透過することによって、特定の画像(特定の色)に関してその光量が減少する等を要因として、彩度(所謂鮮やかさ)が減退することがある(以下、「退色」という場合がある)。
【0017】
すなわち、明るさ(明度等)は主光源部からの光によって良好であるが、鮮やかさ(彩度等)は、所謂アンダー気味(カメラ撮影における露出不足と同等に全体的に白っぽくなる傾向)となる場合がある。
【0018】
本発明では、この退色を補うため、特定の画像領域を対象として彩度調整用の補助光を供給する補助光供給層を備えた補助光供給手段を設けた。
【0019】
この補助光供給層によって、主光源部による全体の光量に変化を与えることなく(明るさに変化を与えることなく)、特定の画像の退色分に相当する光を供給することができ、所謂鮮やかさを引き出すことができる。
【0020】
なお、退色し易い色としては、青色、赤色、桃色が挙げられ、特に、桃色の鮮やかさを引き出すには、主光源のみでは困難であり、装飾効果として不具合が発生する。その対策として、液晶表示部等の濃度調整デバイス等を設けることは知られているが、本発明は、濃度調整デバイス等の制御負担が一切不要で、かつ簡単な構成によって、同じ不具合を解決することができる。
【0021】
本発明において、前記補助光供給手段が、前記最上層パネルと前記光源パネルとの間に介在され、肉厚面から入射する前記補助光を前記特定の画像領域に向けて屈折させるレンズ部が形成された補助光供給部材と、前記補助光供給パネルの肉厚面に向けて前記補助的な光を発光する補助光源部と、を備えていることを特徴としている。
【0022】
補助光源部を補助光供給部材の肉厚面に対向させる構成であるため、画像記録層の領域を犠牲することがない。
【0023】
肉厚面から入射した光は、レンズ部によって確実に特定の画像領域に向けて屈折するため、当該特定の画像領域の彩度を復元することができる。
【0024】
本発明において、前記主光源部からは、赤色、緑色、青色の三原色が予め定められた比率によって混合された白色光が出力され、前記補助光供給部材が、前記補助光源部から赤色、緑色、青色の各色の補助光が別々に前記肉厚面から入射する3層構造とされることを特徴としている。
【0025】
前記主光源部からは、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色の三原色(以下、総称する場合「RGB」といい、各色を「R色」「G色」「B色」という場合がある。)が予め定められた比率によって混合された白色光が出力され、前記補助光供給部材が、前記補助光源部からR色、G色、B色の各色の補助光が別々に前記肉厚面から入射する3層構造とされることを特徴としている。
【0026】
RGBの各色毎に補助光供給部材を設けたため、例えば、桃色等の中間色は、複数の補助光供給部材に同じ特定の画像に合わせたレンズ部を形成すれば、それぞれの光が合成されて、特定の画像へ到達するので、目的の色の復元が可能となる。
【0027】
本発明において前記主光源部からの光が前記画像記録層を透過することによって退化する色が、予め演算結果又は実験結果に基づいて選択され、かつ選択された各色の発光量が設定され、前記補助光源部からは、前記選択された色が、前記設定された光量で発光されることを特徴としている。
【0028】
補助光源部から発光される色及びその光量は、演算結果又は実験結果に基づいて、予め設定しておく。
(演算結果による設定)
画像記録層に記憶される画像情報から色を識別し、例えば、登録されている退色し易い色を抽出して特定の画像に選別する。また、選別した特定の画像情報に基づいて、退色補完用演算式等を用いて光量を演算する。
(実験結果による設定)
作成済みの装飾パネルに記録された画像を、人間の目に即したフィルタをもつ濃度センサ等によって検出し、当該検出結果に基づいて補助光の色及び光量を設定する。或いは、検査者の感覚によって必要な色や光量を設定してもよい。特に、検査者の感覚による場合、繰り返し調整を行うようにしてもよい。
【0029】
本発明は、前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の遊技機用装飾パネルと、前記主光源部及び補助光源部の少なくとも一方を制御し、遊技状態に応じて発光光量を変更することで、遊技者に遊技情報を報知する報知制御手段と、を有する遊技機である。
【0030】
遊技機では、主として遊技が実行されており、基本的に装飾パネルは当該遊技に直接関連するものではなく、主たる目的は、遊技機のテーマに即した画像を表示することによる集客である。
【0031】
ここで、本発明の装飾パネルでは、遊技の進行において遊技者に遊技情報を報知する機能を持たせた。すなわち、主光源部及び補助光源部の少なくとも一方を制御し、遊技状態に応じて発光光量を変更することで、遊技者に遊技情報を報知する。
【0032】
例えば、遊技機がパチンコ機の場合、保留した抽選待機中の結果の中に、当たり或いは当たりを予感させるリーチ演出等を行う命令が含まれているような場合に、点滅、色変化等によって報知する、また、遊技機はパチスロ機の場合、大役フラグが成立したときに、点滅、色変化等によって報知する、といった演出が可能である。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した如く本発明では、簡単な構造で、透過画像に起因する彩度低下を防止し、画像品質を維持することができるというすぐれた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態に係る装飾パネルの斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る装飾パネルの分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】本実施の形態の装飾パネルが適用されるパチンコ機の正面図である(実施例1)。
【図5】本実施の形態の装飾パネルが適用されるパチスロ機の斜視図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1及び図2には、本実施の形態に係る装飾パネル100が示されている。
【0036】
装飾パネル100は、最上層部材としての画像表示板102と、この画像表示板102に裏面側から白色光を照射する主光源部104を備えている。
【0037】
画像表示板102は、透明のガラス板又はアクリル等の合成樹脂板で形成され、予め定めた印刷工法により画像が記録された画像記録層102Aが設けられている。本実施の形態の印刷工法は、オフセット印刷(平版印刷)工法が適用されている。なお、画像記録層102Aは画像表示板102の一表面(裏面)であってもよい。また、本実施の形態では、画像は、印刷によることに限定するものではなく、直接手書きであってもよいし、トナー現像やインクジェット記録、熱転写記録等であってもよい。このため、基本的には、「画像記録」とし、必要に応じて「画像印刷」というものとする。
【0038】
オフセット印刷は、インキを版からブランケットを介して被印刷体(印刷用紙など)に印刷する。オフセット印刷の版にはPS版(主原料はアルミニウム)が用いられ、油性のインキと水とが互いに反発し合う性質を利用して印刷する。
【0039】
オフセット印刷の特徴は、媒介物を介して印刷するという点である。凸版印刷とその仲間であるフレキソ印刷は版から直接、被印刷体に印刷されるものである。
【0040】
オフセット印刷の利点は「網点の調子再現性がよい」であり、網点の調子再現性がよいということは、それだけ実際のイメージに近い表現(印刷)ができる。
【0041】
なお、印刷工法としては、上記オフセット印刷(平版印刷)に限定されるものではなく、印刷工法としては、凸版印刷、凹版印刷、孔版(シルク)印刷等であってもよい。
【0042】
オフセット印刷工法で画像が印刷された画像記録層102Aは、前述したように画像表示板102の裏面側であり、表面側は画像を見る側となる。すなわち、本実施の形態の装飾パネル100は遊技機用に製作されており、画像は当該遊技機のテーマに即した画像であり、所謂集客効果を目的としている。従って、相対的に近距離(例えば、1〜2m程度)はもちろん、相対的に遠距離(例えば、2m以上)からでも注目され易い方がよい。なお、近距離、遠距離の関係は、感応的なものであり、要するに、見る者の視野の範囲の中でも、注目度の高いものであればよい。
【0043】
このため、本実施の形態の装飾パネル100では、画像表示板102の裏面側に、主光源部104を配置している。主光源部104は、所謂バックライトとしての機能を有している。
【0044】
本実施の形態の主光源部104は、ベース板104Aに対して、前記画像表示板102の画像記録領域に合わせて発光面部104Bが設けられている。発光面部104Bは、例えば、何れかの周縁に線状の白色発光体を設け、この発光体から発光した光を発光面部104Bに形成された凹凸形状の反射部で略90°反射させて前記画像記録領域に照射するようにしてもよいし、複数のRGBのLED光源を予め定めた配列パターンで配列することで白色光を生成し、これらを点灯することで、直接画像記録領域に光を照射するようにしてもよい。なお、白色光とは、自然光の下での白色であると共に、人間の目に入るときの白色光であることも考慮し、例えば、RGBのLEDの数の配分を決めてもよい。
【0045】
なお、一般的に三原色の配列としてベイヤー配列がある。この配列では、緑色の画素が「2」、赤色及び青色の画素がそれぞれ「1」の比率になっている。これは、色に対する人の目の解像度が、緑色が高く、赤色、青色に対してそれほど高くないため、緑色の画素を増やした方が、より自然項の下での白色となり得る。但し、この配列に限定されるものではなく、例えば、設置場所が屋内の場合、その屋内光のスペクトルによって色の配分を設定してもよい。
【0046】
主光源部104の発光面部104Bから照射された光は、画像表示板102を透過することで、画像記録層102Aの画像が透過画像として表示されることになる。
【0047】
ところで、主光源部104の発光面部104Bからの光が画像記録層102Aに照射されると、その透過画像は、明るさ(明度等)は良好であるが、逆に鮮やかさ(彩度等)は、所謂アンダー気味(カメラ撮影における露出不足と同等に全体的に白っぽくなる傾向)となる場合がある。
【0048】
本実施の形態では、この色の鮮やかさを回復(復元)するための手段として、画像表示板102と、主光源部104との間に、補助供給パネル106を介在させている。
【0049】
補助供給パネル106は、R色、G色、B色のそれぞれの色を担当する3枚の色補完板106R、106G、106Bを備えている。
【0050】
色補完板106R、106G、106Bは、それぞれガラス又は合成樹脂製の透明板であり、少なくも、凹凸加工が可能な程度の肉厚寸法を有している。
【0051】
この色補完板106R、106G、106Bは互いに密着されており、前記画像表示板102と、主光源部104との間に挟まれることで、全てが密着されて装飾パネル本体100Aが完成する。
【0052】
装飾パネル本体100Aの側面には、前記補助供給パネル106の肉厚面に対向するように、補助光源部100Bが配置されている。
【0053】
補助光源部100Bには、前記色補完板106R、106G、106Bのそれぞれの肉厚面に沿って、筋状にR色発光光源アレイ108R、G色発光光源アレイ108G、B色発光光源アレイ108Bが設けられており、その発光面は、前記色補完板106R、106G、106Bのそれぞれの肉厚面に対向している。
【0054】
すなわち、色補完板106Rの肉厚面からは、R色発光光源アレイ108RからR色の光が入射される。
【0055】
また、色補完板106Gの肉厚面からは、G色発光光源アレイ108GからG色の光が入射される。
【0056】
さらに、色補完板106Bの肉厚面からは、B色発光光源アレイ108BからB色の光が入射される。
【0057】
それぞれの色補完板106R、106G、106Bの肉厚面から入射した光は、基本的には、その表裏面(画像表示板102の画像記録層と平行となる面)からは、入射角が小さく出力されることがない。このため、その他の肉厚面から出力され、この場合は、特に意味のある光としては利用されないようになっている。
【0058】
ここで、色補完板106R、106G、106Bには、それぞれ適宜個所に凹陥部110が形成されている。
【0059】
例えば、本実施の形態では、画像記録層102Aに記録された画像は、緑色の地面画像112、空色の背景画像114、緑色の樹木画像116、橙色の果実画像118から生成された風景画像となっている。以下、これらの画像の一部、または全部を指し示す場合に、「特定の画像」という場合がある。特定の画像は、当然であるが、上記のような風景画像に限られるものではなく、適用される遊技機のテーマやコンセプト等に準じて、或いは店の宣伝用とした全ての画像が含まれる。
【0060】
ここで、特定の画像は、透過画像になることで、それぞれ鮮やかさを失う(彩度低下)色が異なり(退色という場合がある)、前記色補完板106R、106G、106Bによって補完する対象となり得る。
【0061】
このため、各画像をRGBの各色の依存率に基づいて分類すると、果実画像118は、透過光によってR色が退色し易いため色補完板106Rによって補完する対象となる。
【0062】
また、地面画像112及び樹木画像116は、透過光によってG色が退色し易いため色補完板106Gによって補完する対象となる。
【0063】
さらに、背景画像114は、透過光によってB色が退色し易いため色補完板106Bによって補完する対象となる。
【0064】
このため、各色補完板106R、106G、106Bには、当該対象画像に合わせて、凹陥部110が形成されている。なお、凹陥部110は、それぞれの画像に合わせて輪郭は異なるが、凹凸加工そのものは同一であるので、以下では、色補完板106Rを例にとり説明する。
【0065】
図3に示される如く、凹陥部110は、色補完板106Rの一方の主面(本実施の形態では、主光源部104に向けられた面)を切削することで形成されている。凹陥部110の底面は、断面が直角三角形状の凹凸状となっており、レンズ部としての役目を有する。
【0066】
このため、発光光源アレイ108Rから出力され、肉厚面から入射した光は、前記直角三角形状の斜辺部110Aによって、略90°屈折し、画像記録層102A方向へ向かうようになっている。
【0067】
このため、画像記録層102Aの特定の画像には、主光源部104からの光と、発光光源アレイ108Rからの光とが合成されて入射されるようになる。すなわち、主光源部104からの光によって、鮮やかさ(彩度低下)が失われた特定の画像の特定部位における彩度低下を補完することで、明るさを維持しつつ、かつ彩度の回復が可能となる。
【0068】
以下、本実施の形態の作用を説明する。
【0069】
主光源部104が通電されると、発光面部104Bから白色光が出力される。この出力光は、画像表示板102の画像記録層102Aの全領域に均一に入射される。この入射され、かつ透過した光を見ることで、画像記録層102Aに記録された画像を見ることができる。
【0070】
この場合、所謂透過画像であるため、近距離はもちろん、遠距離からも視野に入り易く、遊技機の装飾パネル100として、集客機能としての役目を充分発揮することができる。
【0071】
ところで、画像記録層102Aには、オフセット印刷工法によって画像が印刷されている。これは、集客する遊技機のテーマに即した画像をより鮮明に表現するためには、他の印刷工法よりも、実際のイメージに近い表現(印刷)ができる。
【0072】
このような印刷による画像記録の場合、当然色の深み等はインクの厚みに依存することになるため、白色不透明な記録面に記録した場合には、反射光が視野に入るため、目的どおりの明るさ及び鮮やかさを表現することができる。ところが、本実施の形態のように、透過画像として画像を見る場合、インクの厚みに依存する鮮やかさが損なわれる場合があった。
【0073】
そこで、本実施の形態では、主光源部104の他に、R色発光光源アレイ108R、G色発光光源アレイ108G、B色発光光源アレイ108Bを設け、前記主光源部104と画像表示板102との間に、色補完板106R、106G、106Bを設けた。
【0074】
主光源部104は、画像記録層102Aと対向しているため、そのほとんどの光が透過画像のための光として適用される。
【0075】
一方、R色発光光源アレイ108R、G色発光光源アレイ108G、B色発光光源アレイ108Bは、その発光面が色補完板106R、106G、106Bの肉厚面に向いており、まず、色補完板106R、106G、106Bに入射する。このとき、特定の画像に合わせて輪郭が形成された凹陥部110がレンズ部の役割を果たすことで、直角三角形状の斜面によって画像記録層102Aに向けて屈折され、特定の画像の透過光として適用される。
【0076】
このように、本実施の形態では、特定の画像を対象として、主光源部104と画像表示板102との間に、予め特定の画像に合わせて凹陥部110が形成され、かつ凹陥部110をレンズ部とした色補完板106R、106G、106Bを設け、各色補完板106R、106G、106Bの肉厚面からR色発光光源アレイ108R、G色発光光源アレイ108G、B色発光光源アレイ108Bからの出力する光を入射させ、その入射光を凹陥部110におけるレンズ機能によって屈折させて、特定の画像を対象とする補助光としたので、主光源部104からの光によって透過された表示される画像として、特定の画像(或いは、特定の画像の特定部位)における、損なわれ易い鮮やかさを補完することができ、例えば、深みのある画像としてインク量が多い画像であっても、そのインク量に応じた光量を与えることができるため、全体として明るさを維持し、かつ鮮やかさを復元させることができる。
【0077】
また、予め特定の画像に合わせて凹陥部110が形成された色補完板106R、106G、106Bと、それぞれに光を入射させるR色発光光源アレイ108R、G色発光光源アレイ108G、B色発光光源アレイ108Bを追加したのみであるので、液晶表示器によって、細かい画素毎に光量を調整するような複雑な構造及び複雑制御が不要であり、制御系の負担が増すことがなく、遊技機の装飾パネル100として有用である。
【0078】
なお、本実施の形態では、遊技機の装飾パネル100として、透過光量を一定に維持して、集客効果を目的としたが、例えば、遊技の進行に合わせて、点滅、発光量調整等、光量制御を行ってもよい。この場合、色補完板106R、106G、106Bが存在することで、主光源部104の光量制御のみの演出よりも、多彩な演出が可能である。
【0079】
この遊技の進行に応じた演出を行う場合、主光源部104及びR色発光光源アレイ108R、G色発光光源アレイ108G、B色発光光源アレイ108Bの制御を、遊技機に搭載される演出用の制御部からの信号に基づいて行えばよい。
【0080】
また、本実施の形態では、風景画像を画像別に、RGBの各色を補完する補完板106R、106G、106Bに凹陥部110として形成したが、このような分類に限定されるものではなく、退色し易い色(青色、赤色、桃色等)の鮮やかさを引き出すために、複数の補完板106R、106G、106Bに同じ画像に対応した凹陥部110を形成して、RGBの2色以上の混色を補完色とするようにしてもよい。例えば、桃色は、加法混色(光を混ぜて色を生成する混色)では、R色とB色の混色で生成するため、補完板106Rと補完板106Bに当該桃色に発色したい画像の凹陥部110を形成する。
【実施例】
【0081】
本実施の形態で説明した装飾パネル100は、パチンコ機やパチスロ機等に代表される遊技機の各所に適用可能である。以下に、遊技機として、パチンコ機10(図4参照)及びパチスロ機300(図5参照)の概略構成を示すと共に、前記装飾パネル100が取り付けられる部位を適宜指し示す。なお、図4及び図5で指し示した装飾パネル100の取り付け場所は、当該位置に限定されるものではなく、あくまでも代表的な位置であり、他の部位に取り付けるようにしてもよい。
【0082】
また、装飾パネル100を単独のユニットとして、遊技機の周囲に、所謂外付け部材として取り付けてもよい。
【0083】
(実施例1/パチンコ機の概略)
図4に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。この下飾り12として、本実施の形態の装飾パネル100が適用可能である。
【0084】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0085】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図4の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
【0086】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0087】
上皿部28の周縁壁32における図4の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0088】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0089】
一体皿24における下皿部30の図4の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0090】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0091】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0092】
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0093】
この演出部56として、本実施の形態の装飾パネル100が適用可能である。この場合、装飾パネル100は、平面的であってもよいが、最上層のパネルを立体的に遊技者側に突き出すように形成、あるいは、へこませるように形成、さらには、これら凹凸形状を混在させしてもよい。この立体的な形状に合わせて、各色の色補完板106R、106G、106Bも立体的にすることが好ましい。すなわち、本実施の形態の色補完板106R、106G、106Bは、端面から光を導入して、当該光を内部に閉じ込めて案内し、凹陥部110のレンズ部で屈折させる構成であるので、様々な立体構造であっても、目的の位置から光を出力することができる。
【0094】
例えば、比較例として、従来の液晶表示部では、平面であることが必須であり、立体的な構造の補助光(透過光量調整)には、不適である。これに対して、本実施の形態の装飾パネル100は、基本的には平面構造であるが、必要に応じて、立体的な構造とすることも可能であるので、適用範囲を広げることができる。
【0095】
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0096】
なお、上記パチンコ機10において、本実施の形態の装飾パネル100を、下飾り12や演出部56の一部又は全部に適用したが、遊技盤18の基盤として、透明の合成樹脂製板(例えば、アクリル板等)を適用して、当該基盤の表面側に釘、風車、役物装置等を配置して遊技盤とすると共に、裏面側に、従来セル板に印刷されていた画像として装飾パネル100を配置するようにしてもよい。また、役物装置の一部に装飾パネル100を適用してもよい。
【0097】
(実施例2/パチスロ機の概略)
図5に示される如く、パチスロ機300は、本体302と、本体302の正面に設けられた開閉カバーとしての操作兼装飾部303とを備えて構成されている。
【0098】
操作兼装飾部303は、上から装飾部304、操作部306、払出部310に分類することができる。
【0099】
装飾部304は、内部でバックライト部(図示省略)が点灯することで、印刷された絵や文字が透過照明される表示パネル部312が取り付けられている。また、装飾部304の一部として、前記装飾部304の上部には、立体的な装飾ランプ304Aも左右方向に設けられている。また、装飾ランプ304近傍には、演出用の音声等を再生するためのスピーカ305R、305Lが設けられている。
【0100】
装飾部304の表示パネル部312は、演出用の動画像を表示するための液晶表示装置313と、回胴表示図柄を表示するための表示窓314とを備えている。表示窓314は、前記表示パネル部312と一体成型される透明領域で構成されている。
【0101】
この表示窓314の内部には、3個の回胴リール350A、350B、350Cを主要部として構成された図柄変動部316が配設されている。
【0102】
また、表示窓314の下部には、このパチスロ機300の遊技媒体であるメダルの払出枚数を表示する7セグメント表示部315A、ジャックゲーム残回数や遊技状態の設定(6段階)表示等を行なう表示部315B、クレジット枚数を表示する7セグメント表示部315Cが設けられている。
【0103】
操作部306は、その上部が手前に突き出ており、この突き出し部分の上面(テーブル306A)の右端部にはメダル投入部320が設けられ、また、上面左端部からは順にクレジットの払い戻しをする際に押下操作される精算ボタン103、1枚ベット(投入)ボタン352A、マックスベット(最大投入)ボタン352Bが設けられている。また、突き出し部分の前面左端部からは、順に始動レバー354、停止ボタン356A、356B、356C等が設けられている。
【0104】
操作部306の下部には、装飾パネル100が取り付けられている。この装飾パネル100は、当該パチスロ機300のテーマに合わせた画像が記録されており、所謂集客のための画像である。このため、感覚的に遊技者の目に入りやすい、鮮やかな画像であることが好ましく、本実施の形態の装飾パネル100は、印刷だけでは表現できかった色を補助光によって補っているため、集客のための画像として充分の機能を発揮することができる。
【0105】
払出部310は、メダル排出口326と、このメダル排出口326から排出されるメダルを受取る受け皿328とを備えている。
【0106】
3個のリール350A、350B、350Cは、回転することで図柄が順次前記表示窓314から見えるようになり、回転を停止した場合に表示窓314から見える図柄のうち、中行に並んだ図柄の中心を結ぶライン、上行に並んだ図柄の中心を結ぶライン、下行に並んだ図柄の中心を結ぶラインと、2本の対角線上に並んだ図柄の中心をそれぞれ結ぶ2本のラインと、の5本の有効ライン上に停止した図柄の組み合わせが遊技の結果を示す。
【0107】
なお、5本のラインのうち、どのラインが有効ラインとされるかはメダルの投入数によって決まり、1枚のメダルが投入された場合は中行に並んだ図柄の中心を結ぶラインが有効ラインとされ、3枚のメダルが投入された場合は全てのラインが有効ラインとされる。これらの有効ラインは、表示ランプ317が点灯することにより遊技者に対して案内表示される。
【0108】
前記停止ボタン356A、356B、356Cは、図柄変動部316下部に設けられており、各リール350A、350B、350Cに対応している。すなわち、対応するそれぞれのリール350A、350B、350Cの回転を遊技者による停止ボタン356A、356B、356Cの操作で停止させることができる。
【0109】
また、この停止ボタン356A、356B、356Cの左側に設けられた始動レバー354を操作(傾倒)することで、各リール350A、350B、350Cが回転を開始するようになっている。なお、この回転は、通常は3個のリール350A、350B、350Cが同時に回転を開始するようになっている。
【0110】
さらに、この始動レバー354による操作タイミングは、後述する内部抽選のタイミングとなっており、当該始動レバー354の操作によって、当たり(役当選)/外れが決定するようになっている。
【0111】
なお、実施例2のパチスロ機300では、装飾パネル100を操作部306の下部に取り付けるようにしたが、この操作部306以外に、装飾パネル100を前記表示パネル部312として適用してもよい。
【0112】
本実施の形態の装飾パネル100を表示パネル312として適用した場合は、前述の集客効果に加え、有効ラインを示す表示ランプ317としての機能等、すなわち、遊技の進行に関わる情報を報知する機能としての役目を併せ持つことができる。
【0113】
なお、上記パチスロ機300において、本実施の形態の装飾パネル100を、操作部306や表示パネル317の一部又は全部に適用したが、パチスロ機300の前方に突き出た立体的な構造の装飾ランプ304Aに適用してもよい。この立体的な形状に合わせて、各色の色補完板106R、106G、106Bも立体的にすることが好ましい。すなわち、本実施の形態の色補完板106R、106G、106Bは、端面から光を導入して、当該光を内部に閉じ込めて案内し、凹陥部110のレンズ部で屈折させる構成であるので、様々な立体構造であっても、目的の位置から光を出力することができる。
【0114】
例えば、比較例として、従来の液晶表示部では、平面であることが必須であり、立体的な構造の補助光(透過光量調整)には、不適である。これに対して、本実施の形態の装飾パネル100は、基本的には平面構造であるが、必要に応じて、立体的な構造とすることも可能であるので、適用範囲を広げることができる。
【符号の説明】
【0115】
100 装飾パネル
102 画像表示板(最上層部材)
102A 画像記録層
104 主光源部
104A ベース板
104B 発光面部(主光源部)
106 補助供給パネル(補助供給手段)
106R、106G、106B 色補完板(補助供給手段)
100B 補助光源部(補助供給手段)
108R R色発光光源アレイ(補助供給手段)
108G G色発光光源アレイ(補助供給手段)
108B B色発光光源アレイ(補助供給手段)
110 凹陥部
112 地面画像
114 背景画像
116 樹木画像
118 果実画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が表面側から透過されることで、目的の色が表現されるように予め画像が記録された画像記録層を備えた最上層部材と、
前記画像記録層の裏面側へ均一に照射されるように発光すると共に、前記画像記録層を透過する光の内、主たる光を発光する主光源部と、
前記画像記録層に記憶された画像の内、特定の画像領域を対象として彩度調整用の補助光を供給する補助光供給層を備えた補助光供給手段と、
を有する遊技機用装飾パネル。
【請求項2】
前記補助光供給手段が、
前記最上層パネルと前記光源パネルとの間に介在され、肉厚面から入射する前記補助光を前記特定の画像領域に向けて屈折させるレンズ部が形成された補助光供給部材と、
前記補助光供給パネルの肉厚面に向けて前記補助的な光を発光する補助光源部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の遊技機用装飾パネル。
【請求項3】
前記主光源部からは、赤色、緑色、青色の三原色が予め定められた比率によって混合された白色光が出力され、
前記補助光供給部材が、前記補助光源部から赤色、緑色、青色の各色の補助光が別々に前記肉厚面から入射する3層構造とされることを特徴とする請求項2記載の遊技機用装飾パネル。
【請求項4】
前記主光源部からの光が前記画像記録層を透過することによって退化する色が、予め演算結果又は実験結果に基づいて選択され、かつ選択された各色の発光量が設定され、
前記補助光源部からは、前記選択された色が、前記設定された光量で発光されることを特徴とする請求項3記載の遊技機用装飾パネル。
【請求項5】
前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の遊技機用装飾パネルと、
前記主光源部及び補助光源部の少なくとも一方を制御し、遊技状態に応じて発光光量を変更することで、遊技者に遊技情報を報知する報知制御手段と、
を有する遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22319(P2013−22319A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161294(P2011−161294)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】