説明

遊技機稼働率表示システム

【課題】複数の遊技店に設置された遊技機の稼働率を対象項目別に一見してわかりやすい形式で表示できる遊技機稼働率表示システムを提供する。
【課題手段】複数の遊技店A〜Cにそれぞれ設置された複数台の遊技機2と、遊技機の稼働中信号D1をリアルタイムで取得する稼働中信号取得手段3と、稼働中信号を総計して稼働台数D3とするローカルコンピュータ4と、ローカルコンピュータと通信回線Nを介してアクセス可能なメインサーバ8と、メインサーバにアクセス可能であり入力部61と表示画面62とを備える店端末6と、遊技機の設置台数D2を予め記憶した記憶部と該記憶部から読み出した設置台数D2とメインサーバに集約された遊技機の稼働台数D3’とに基づき、入力部から入力された要求信号D4に応じた遊技機の稼働率D5を算出し該稼働率を表データ及びグラフデータに加工して表示画面に表示する処理部とを備える稼働率算出手段5とにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機稼働率表示システムに関する。より詳しくは、複数の遊技店に設置された遊技機の稼働率を表示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ店等の遊技店においては、チェーン展開し複数の店をもつところが増えている。これに伴い経営者または管理者は、各店における遊技機の稼働状況を常に把握及び分析し、その結果に基づいて遊技機を入れ替えたり、各種イベントを設けたりして遊技客を増やすように努める必要がある。
【0003】
このような複数の店における遊技機の稼働状況を把握できるようにしたシステムとして、例えば特開2002−149892号公報に開示されたシステムがある。このシステムでは、パチンコ機の使用状況データを収集するホストコンピュータと外部サーバとを電話回線で接続し、外部サーバでパチンコ機の「入賞球数」と「非入賞球数」とに基づいて使用球数を算出する。経営者は、この使用球数から複数店における各遊技機の使用状況を把握することができ、経営方針を決定することができる。
【0004】
【特許文献1】2002−149892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記システムでは、個々の遊技機の稼働状況を把握することはできても、個々の遊技店、全遊技店、機種等の種々の対象項目別の稼働率については集計作業等を経てからでないとわからず、それらの稼働状況をすぐには把握できないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、複数の遊技店に設置された遊技機の稼働率を対象項目別に一見してわかりやすい形式で表示できる遊技機稼働率表示システムを提供することにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、複数の遊技店に設置された遊技機の稼働率を対象項目別に一見してわかりやすい形式で表示できる遊技機稼働率表示システムを提供することができ、遊技店の経営方針の決定に大きく貢献できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、図1及び図2によく示されるように、複数の遊技店A,B,Cに設置された遊技機2の稼働率D5を表示する遊技機稼働率表示システム1であって、各遊技店A,B,Cにそれぞれ設置された複数台の遊技機2と、前記遊技機2の稼働中信号D1をリアルタイムで取得する稼働中信号取得手段3と、前記稼働中信号D1を総計して稼働台数D3とするローカルコンピュータ4と、前記ローカルコンピュータ4と通信回線Nを介してアクセス可能なメインサーバ8と、前記メインサーバ8にアクセス可能であり入力部61と表示画面62とを備える店端末6と、遊技機2の設置台数D2を予め記憶した記憶部51と該記憶部51から読み出した設置台数D2と前記メインサーバ8に集約された遊技機2の稼働台数D3’とに基づいて、前記入力部61から入力された要求信号D4に応じた遊技機2の稼働率D5を算出し該稼働率D5を表データ及びグラフデータに加工して前記表示画面62に表示する処理部52とを備える稼働率算出手段5とを有する。
【0009】
請求項1の発明によると、遊技客が遊技機2で遊技しているとき、その遊技機2に対応する稼働中信号取得手段3は稼働中信号D1をリアルタイムで取得する。ローカルコンピュータ4は稼働中信号D1を総計し稼働台数D3とする。算出した稼働台数D3はそれぞれ通信回線Nを介してメインサーバ8に送信される。
【0010】
一方、店端末6の入力部61からは、ユーザによる要求信号D4が入力可能である。要求信号D4とは、ユーザが見たい対象項目の稼働率D5の表示を要求する信号である。処理部52は、記憶部51から設置台数D2を読み出し、この設置台数D2とメインサーバ8に集約された遊技機2の稼働台数D3’とに基づいて、入力部61から入力された要求信号D4に応じた遊技機2の稼働率D5を算出し該稼働率D5を表データ及びグラフデータに加工して表示画面62に表示する。このようにして、遊技機稼働率表示システム1では、複数の遊技店A,B,Cに設置された遊技機2の稼働率D5を対象項目別に一見してわかりやすい形式で表示できる。
【0011】
請求項2の発明では、前記稼働率算出手段は、各遊技店A,B,Cに設置され前記通信回線Nを介して前記メインサーバ8と接続されたローカルサーバ5で構成される。請求項2の発明によると、ローカルサーバ5は各遊技店A,B,Cに設置され、通信回線Nを介して前記メインサーバ8と接続される。稼働率D5の算出及び稼働率D5の表データ及びグラフデータへの加工は、各遊技店A,B,Cの側で処理されるため、メインサーバ8は稼働台数D3’のみを送信するだけでよく、通信回線を介して送信するデータ量が少なくて済む。
【0012】
請求項3の発明では、図3によく示されるように、前記設置台数D2及び前記稼働台数D3は、それぞれ遊技店A,B,C、遊技機2の類型a〜e、及び遊技機2の機種P,Sに対応して設けられた属性データとされる。請求項3の発明によると、遊技店A,B,C、遊技機2の類型a〜e、及び遊技機2の機種P,Sに応じた稼働率D5の算出が可能となる。
【0013】
請求項4の発明では、図7から図9によく示されるように、前記稼働率算出手段5は、前記要求信号D4に応じた複数の対象項目に対する稼働率D5のグラフGを前記表示画面62に同時に表示可能である。請求項4の発明によると、各グラフGは同じ表示画面62に同時に表示されるので、複数の対象項目についての稼働状況の比較がしやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係る遊技機稼働率表示システム1を示す構成図、図2はローカルサーバ5の演算部50を示すブロック図である。図1に示すように、遊技機稼働率表示システム1は、複数の店A,B,Cにそれぞれ設置された遊技機2、稼働中信号取得装置3、ローカルコンピュータ4、ローカルサーバ5、店端末6、印刷装置7、及び本部店または管理会社などに設置されたメインサーバ8を備える。
【0015】
遊技機2はパチンコ機及びスロットマシンである。稼働中信号取得装置3は、各遊技機2または所定台数の遊技機毎に設けられ遊技機2の稼働中信号D1を出力する。稼働中信号D1とは、遊技機2が稼働中か否かを示す2値信号であり、稼働中は“H”(ハイ)レベルの信号を、稼働中でないときは“L”(ロー)レベルの信号を出力する。この信号は、パチンコ機であれば例えば1分間あたりのはずれ玉数に基づいて求められ、スロットマシンであれば例えば1分間あたりのメダルの投入枚数に基づいて求められる。
【0016】
ローカルコンピュータ4は、稼働中信号取得装置3から取得した稼働中信号D1に基づいて、遊技機2の稼働台数D3を算出する。稼働台数D3は、“H”レベルの稼働中信号D1の総計値であり、これにより稼働中の遊技機2の台数がわかる。メインサーバ8は、ローカルコンピュータ4と通信回線Nを介して接続される。
【0017】
ローカルサーバ5は、通信回線Nを介してメインサーバ8にアクセス可能である。図2のように、ローカルサーバ5は記憶部51と処理部52とを有する。記憶部51は、遊技機2の設置台数D2を、店、遊技機2の類型、及び遊技機2の機種に対応して設けられた属性データとして予め記憶している(図3参照)。またメインサーバ8から送信された稼働台数D3’や処理部52で算出した過去の稼働率D5や集計データを日毎、時間毎に記憶する。
【0018】
処理部52は、記憶部51とアクセス可能なCPU等の演算処理装置で構成され、組み込まれた適当なプログラムにより遊技機稼働率表示システム1の稼働率表示処理(後述)を実行する。店端末6は、ローカルサーバ5及び通信回線Nを介してメインサーバ8にアクセス可能であり、入力部61と表示画面62とを備える。印刷装置7は、表示画面62に表示された内容を印字可能である。
【0019】
図3は記憶部51に予め記憶された設置台数D2のデータシンボルを概念的に示す図、図4は稼働台数D3のデータシンボルを概念的に示す図である。図3,4において、アルファベット部分は遊技機2の稼働台数D3のデータシンボルを表し、図3の括弧内の数字は遊技機2の設置台数を表す。
【0020】
設置台数D4及び稼働台数D3は、店、遊技機2の類型(パチンコ機であるかスロットマシンであるか)、及び遊技機2の機種に対応して設けられた属性データとされ、図3,4のようにシンボル化されている。図3のシンボルにおいて「A」「B」「C」は店、「P」はパチンコ機、「S」はスロットマシン、「a」「b」「c」はパチンコ機の機種、「d」「e」はスロットマシンの機種、「T」は設置台数であることを表す。各シンボルには、対応する遊技機2の設置台数が入っている。例えばAPaTは、店Aにおけるa機種のパチンコ機の設置台数50台を表す。なお、図4における各シンボルの末尾の「K」は稼働台数であることを表す。
【0021】
次に、以上のように構成された遊技機稼働率表示システム1における稼働率表示処理について説明する。図5は表示画面62に表形式で表示された稼働率推移の一例を示す図、図6は表示画面62にリアルタイム形式で表示された稼働率D5の一例を示す図、図7は表示画面62にグラフ形式で表示された稼働率推移の一例を示す図、図8は表示画面62にグラフ形式で表示された稼働率平均推移の一例を示す図、図9は表示画面62にグラフ形式で表示された稼働率平均推移の一例を示す図である。
【0022】
遊技客が遊技機2で遊技しているとき、その遊技機2に対応する稼働中信号取得装置3は“H”レベルの稼働中信号D1を出力する。ローカルコンピュータ4は“H”レベルの稼働中信号D1を、図4のように分類されたデータ毎に総計し稼働台数D3とする。各店A,B,Cのローカルコンピュータ4は、算出した稼働台数D3をそれぞれ通信回線Nを介してリアルタイムでメインサーバ8に送信する。メインサーバ8は、各店A,B,Cから集約した稼働台数D3’をそれぞれ通信回線Nを介してローカルサーバ5に送信する。ローカルサーバ5はこれらの稼働台数D3’を、所定時間幅毎に記憶部51に記憶する。
【0023】
一方、各店A,B,Cにおける店端末6の入力部61からは、ユーザによる要求信号D4が入力可能である。要求信号D4により、稼働率D5の対象項目の条件が設定される。例えば特定店の遊技機全体についての稼働率や、全店の特定類型の遊技機2についての稼働率などの表示が設定される。期間の指定をすることも可能である。入力した要求信号D4は、ローカルサーバ5に送信される。
【0024】
ローカルサーバ5の処理部52は、記憶部51から設置台数D2を読み出し、この設置台数D2とメインサーバ8から受信した遊技機2の稼働台数D3’とに基づいて、入力部61から入力された要求信号D4に応じた遊技機2の稼働率D5を算出し該稼働率D5を表データ及びグラフデータに加工して表示画面62に表示する。
【0025】
例えば要求信号D4が、店Aにおける6月21日の遊技機全体の稼働率推移を表形式で見たいという内容であれば、処理部52は、記憶部51から、店Aにおける6月21日の所定時間幅毎の全ての遊技機2の稼働台数D3’と全ての設置台数D2とを読み出し、(全遊技機稼働台数)/(全設置台数)の計算、すなわち(APaK+APbK+APcK+ASdK+ASeK)/(APaT+APbT+APcT+ASeT+ASeT)を行う。これにより上記要求信号D4に応じた稼働率D5を算出し、図5のように、パチンコ機及びスロットマシンの稼働率D5を一定時間間隔毎の表形式で表示する。なお、図6のように要求信号D4の入力時点の稼働率D5をリアルタイムで見ることも可能である。
【0026】
この後、更に全機種のパチンコ機の稼働率推移をグラフで見たいという内容の要求信号D4が入力されると、処理部52は、APaK/APaT,APbK/APbT,APcK/APcTの計算を行い、図7のようにA店におけるa,b,c機種のパチンコ機の一定時間間隔毎の稼働率D5を同じ表示画面62に同時にグラフG1,G2,G3として表示する。このように、各グラフG1,G2,G3は同じ表示画面62に同時に表示されるので、一目で店Aにおけるa,b,c機種のパチンコ機の稼働率推移の比較ができる。
【0027】
また要求信号D4が、店Bにおける6月21から6月28日までのパチンコ機及びスロットマシンの日毎の稼働率平均推移をグラフで見たいという内容であれば、上と同様な考え方で処理部52は、図8のように、6月21から6月28日までの同遊技機の一日における稼働率平均を一日毎のグラフG4,G5で表示する。
【0028】
また要求信号D4が、店Cにおける6月21から6月28日までの全遊技機2の日毎の稼働率平均推移を店毎のグラフで表示するという内容の要求信号D4であれば、上と同様な考え方で処理部52は、各日の各店A,B,Cの全遊技機2の稼働率平均を店別に算出し、図9のように、各店の全遊技機2の稼働率平均を一日毎のグラフG6,G7,G8で表示する。以上のように表示画面62に表示した各データは印刷装置7により、印字可能である。
【0029】
このように、遊技機稼働率表示システム1によると、複数の店A,B,Cに設置された遊技機2の稼働率D5を対象項目別に一見してわかりやすい形式で表示できる。この表示結果に基づいて、経営者または管理者は遊技店の稼働状況をすばやく把握及び判断できる。稼働状況は、多方面から分析されて表示可能であるため、適切な経営方針を決定できる。したがって、複数の店を管理する際に有効である。
【0030】
上の実施形態において、稼働率D5の計算は、ローカルサーバ5で行ったが、ローカルサーバ5における記憶部51及び処理部52をメインサーバ8に設けメインサーバ8で稼働率D5の計算を行うようにすることも可能である。その他、遊技機稼働率表示システム1の全体または各部の構成、個数、設置場所、店の数、遊技機の類型、処理部52における稼働率表示処理の内容や順序、及び表示画面62における表示形態などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る遊技機稼働率表示システムを示す構成図である。
【図2】ローカルサーバの演算部を示すブロック図である。
【図3】記憶部に予め記憶された設置台数のデータシンボルを概念的に示す図である。
【図4】稼働台数のデータシンボルを概念的に示す図である。
【図5】表示画面に表形式で表示された稼働率推移の一例を示す図である。
【図6】表示画面にリアルタイム形式で表示された稼働率の一例を示す図である。
【図7】表示画面にグラフ形式で表示された稼働率推移の一例を示す図である。
【図8】表示画面にグラフ形式で表示された稼働率平均推移の一例を示す図である。
【図9】表示画面にグラフ形式で表示された稼働率平均推移の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 遊技機稼働率表示システム
2 遊技機
3 稼働中信号取得装置(稼働中信号取得手段)
4 ローカルコンピュータ
5 稼働率算出手段(ローカルサーバ)
6 店端末
8 メインサーバ
51 記憶部
52 処理部
61 入力部
62 表示画面
A 店(遊技店)
B 店(遊技店)
C 店(遊技店)
D1 稼働中信号
D2 設置台数
D3 稼働台数
D3’ 稼働台数
D4 要求信号
D5 稼働率
N 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技店に設置された遊技機の稼働率を表示する遊技機稼働率表示システムであって、各遊技店にそれぞれ設置された複数台の遊技機と、前記遊技機の稼働中信号をリアルタイムで取得する稼働中信号取得手段と、前記稼働中信号を総計して稼働台数とするローカルコンピュータと、前記ローカルコンピュータと通信回線を介してアクセス可能なメインサーバと、前記メインサーバにアクセス可能であり入力部と表示画面とを備える店端末と、遊技機の設置台数を予め記憶した記憶部と、該記憶部から読み出した設置台数と前記メインサーバに集約された遊技機の稼働台数とに基づいて、前記入力部から入力された要求信号に応じた遊技機の稼働率を算出し該稼働率を表データ及びグラフデータに加工して前記表示画面に表示する処理部とを備える稼働率算出手段とを有することを特徴とする遊技機稼働率表示システム。
【請求項2】
前記稼働率算出手段は、各遊技店に設置され前記通信回線を介して前記メインサーバと接続されたローカルサーバで構成される請求項1記載の遊技機稼働率表示システム。
【請求項3】
前記設置台数及び前記稼働台数は、それぞれ遊技店、遊技機の類型、及び遊技機の機種に対応して設けられた属性データとされる請求項1または2記載の遊技機稼働率表示システム。
【請求項4】
前記稼働率算出手段は、前記要求信号に応じた複数の対象項目に対する稼働率のグラフを前記表示画面に同時に表示可能である請求項1から3のいずれかに記載の遊技機稼働率表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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