説明

遊技機

【課題】 視覚障害者が健常者と同様な感覚で遊技を行うことが可能な新規な遊技機を提供する。
【解決手段】 触感を変化させて伝達する情報を変更することができる自動点字表示装置8を上皿部5に配置するとともに、遊技の進行状況に応じて遊技方法の案内や遊技状態等を自動点字表示装置8により遊技者に報知(伝達)する。これにより、時々刻々と変化する遊技状態等を的確に視覚障害者に伝えることが可能となるので、視覚障害者も健常者と同様な遊技の興趣を享受することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ(パチンコ)遊技機、アレンジボール遊技機、及びじゃん球遊技機等の弾球遊技機、並びにスロットマシン等の回胴式遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の弾球遊技機や回胴式遊技機では、遊技状態、遊技の進行及び遊技方法等の遊技に関する情報は、視覚を通じて遊技者に伝達されるので、視覚障害者は、遊技の興趣を十分に享受することができない。
【0003】
そこで従来は、遊技球の動きを触感にて認識することができるようにする(例えば、特許文献1参照)、又は遊技球の位置を音声にて認識することができるようにする(例えば、特許文献2参照)等して視覚障害者であっても遊技の興趣を享受することができるようにしていた。
【特許文献1】特開平10−305134号公報
【特許文献2】特許第2762344号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1又は特許文献2に記載の遊技機では、時々刻々と変化する遊技状態を的確に視覚障害者に伝えることは難しい。つまり、近年の遊技機(パチンコ、スロットマシン)では、液晶装置を可変表示装置として使用することが多く、その液晶表示に様々な遊技状態を表示する。例えば、大当りに関係する予告であったり、リーチ状態であったり、チャンス目であったり、視覚的要素を通じて遊技者に遊技状態を表示する。
【0005】
また、アレンジボール遊技機等では、大当りした後、盤面の右側に遊技球を発射する必要がある場合に液晶表示を介して遊技者にナビゲーションすることもある。
これら視覚的要素の多い近年の遊技機において、視覚障害者が健常者と同様な遊技の興趣を享受することは困難である。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、視覚障害者が健常者と同様な感覚で遊技を行うことが可能な新規な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、触感により情報を伝達するとともに、その触感を変化させて伝達する情報を変更する自動点字表示装置(8)を有し、自動点字表示装置(8)により、遊技方法の案内及び遊技状態のうち少なくとも一方の情報を遊技者に報知することを特徴とする。
【0008】
ここで、「遊技状態」とは、パチンコ遊技機等の弾球遊技機においては、例えば「出玉数」「球抜き」、「予告」、「大当り」、「リーチ」、「ラウンド」、「低確率状態」「確変状態」又は「時短状態」等の遊技の進行に伴って時々刻々と変化する遊技状況をいい、スロットマシン等の回胴式遊技機においては、例えば回胴の回転に伴って時々刻々と変化する図柄等をいう。また、「遊技方法」とは、例えば遊技状態に応じて遊技者がすべき行為及びその行為を実施するタイミング等の遊技進行に関する案内をいう。
【0009】
そして、本発明にかかる遊技機では、遊技の進行状況に応じて遊技方法の案内や遊技状態等を自動点字表示装置(8)により遊技者に報知(伝達)するので、時々刻々と変化する遊技状態等を的確に視覚障害者に伝えることが可能となる。したがって、視覚障害者も健常者と同様な遊技の興趣を享受することが可能となるので、遊技の興趣をより多くの人々に享受してもらえることができる。
【0010】
したがって、例えば回胴式遊技機においては、回胴の回転に伴って時々刻々と変化する図柄を自動点字表示装置(8)を介して触感の変化にて認知することができるので、健常者と同様に、図柄の変動表示を意識しながら停止ボタン等の変動停止操作部を操作でき、視覚障害者も健常者と同様な遊技の興趣を享受することが可能となる。
【0011】
なお、本発明は、自動点字表示装置(8)を有していることを特徴とするものであるもで、自動点字表示装置(8)の配置位置は、遊技機に一体的に配置する場合は勿論のこと、遊技機本体とは別体として配置され、接続ケーブル等を介して遊技機本体に接続されたものも含むものである。
【0012】
ところで、弾球遊技機の遊技中においては、遊技者はいずれか一方の手にて発射ハンドル(7)を操作しているので、他方の手は、遊技に直接的に関与していない場合が多い。
したがって、請求項2に記載の発明のごとく、発射ハンドルが遊技機枠体(2)、(3)、(4)を正面から見て、右側又は左側のいずれかに配置されている場合において、自動点字表示装置(8)を正面から見て、発射ハンドル(7)と反対側に配置すれば、遊技者は、遊技に直接的に関与していない手により自動点字表示装置(8)に表示された情報を読み取ることができるので、遊技者は遊技を中断させることなく、遊技方法や遊技状態に関する情報を入手することができる。延いては、視覚障害者であってもより一層、健常者と同様な遊技の興趣を享受することができる。
【0013】
ところで、弾球遊技機を新機種に変更する際には、変更時の費用を抑制するために、通常、ホール(遊技場)に設置された既存の外枠をそのまま利用し、遊技盤等のみ交換する、いわゆる「面替」にて対応する場合が多い。
【0014】
そこで、請求項3に記載の発明では、自動点字表示装置(8)が遊技者に付与される遊技球を溜める球皿部(5、6)に配置されていることを特徴としているので、一度自動点字表示装置(8)を有する弾球遊技機を導入すれば、次回の遊技機の導入からは、「面替」にて対応することができる。したがって、本発明に係る遊技機を用いれば、視覚障害者も健常者と同様な遊技の興趣を享受することができる遊技機を比較的に安価に提供することができる。
【0015】
また、自動点字表示装置(8)が球皿部(5、6)に配置されて遊技機に一体化されているので、例えば自動点字表示装置(8)を遊技機と別体として配置した場合に比べて、自動点字表示装置(8)の設置スペースについて苦慮する必要がなく、自動点字表示機能を容易に得ることができる。
【0016】
また、通常の人は右利きであるので、視覚障害者においても左手では点字を素早く読めない人もいると思われる。
これに対して、本発明では、通常、灰皿より上方側に配置される上皿部等の球皿部に自動点字表示装置(8)を配置しているので、例えば灰皿に自動点字表示装置(8)を配置した場合に比べて、左手は勿論のこと右手でも容易に自動点字表示装置(8)に触れることができる。延いては、遊技の興趣をより一層確実に享受することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、自動点字表示装置(8)は、灰皿部(6a)に配置されていることを特徴とする。
これにより、本発明においても、「面替」にて既存の遊技機を自動点字表示装置(8)を有する遊技機に変更することができるとともに、自動点字表示装置(8)の設置スペースについて苦慮する必要がなく、自動点字表示機能を容易に得ることができる。
【0018】
ところで、遊技状態等に関する情報は時々刻々と変化するのに対して、発射ハンドル(7)の操作方法に関する情報は変化しない情報である。したがって、発射ハンドル(7)の操作方法に関する情報は、自動点字表示装置(8)等の表示内容を変更することができる表示装置に表示する必要はない。
【0019】
したがって、請求項5に記載の発明のごとく、発射ハンドル(7)の操作方法に関する情報を示す凹部又は凸部を発射ハンドル(7)に成形すれば、発射ハンドル(7)の操作方法に関する点字情報を安価に提供することができる。
【0020】
また、本発明のごとく、発射ハンドル(7)に発射ハンドル(7)の操作方法に関する情報を表示すれば、視覚障害を有する遊技者は、発射ハンドル(7)の操作方法についての点字情報が表示された部位を特に探すことなく、発射ハンドル(7)の操作方法についての情報を容易に得ることができるので、より簡単に遊技の興趣を享受することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、遊技球が流下する遊技盤(10)には、遊技球の自由流下を阻む障害部材(10d、10e)が配置されており、さらに、遊技盤(10)の正面側には、障害部材(10d、10e)の配置を示す凹部又は凸部が成形された略透明な障害部材構成表示板(17)が配設されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、視覚障害を有する遊技者は、障害部材構成表示板(17)に触れることにより、障害部材の配置構成を認知することができる。したがって、健常者と同様に、障害部材の配置構成を意識しながら遊技球の発射方向や発射速度等を調節することができるので、健常者と同様な遊技の興趣を享受することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明では、図柄を変動表示させる回胴手段(113)と、遊技者により操作され、図柄の変動表示を停止させる停止指令を発する変動停止操作部(143)と、回胴手段(113)及び変動停止操作部(143)が配置された筐体(103)とを有し、自動点字表示装置(8)は、変動停止操作部(143)の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、回胴式遊技機にて遊技を行う場合に、自動点字表示装置(8)にて表示される図柄を認知しながら変動停止操作部(143)を操作することが可能となるので、より一層、遊技の興趣を享受することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明では、停止表示される図柄の組み合わせと遊技者に付与する賞態様との対応関係を示す凹部又は凸部が、筐体(103)の正面側に成形されていることを特徴とする。
【0026】
これにより、遊技者は、自動点字表示装置(8)によって表示される図柄を認知しながら、健常者が目押しにて変動停止操作部(143)を操作するように変動停止操作部(143)を操作することができるので、遊技の興趣を一層享受することができる。
【0027】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、パチンコ遊技機(以下、単に遊技機という。)に本発明を適用したものであり、以下、本発明の実施形態について図1〜図7に基づいて説明する。
【0029】
先ず、遊技機1本体の概略構造について図1〜図5に基づいて説明する。なお、図1は遊技機1の正面図であり、図2は遊技機1の斜視図であり、図3は図1のA部拡大図であり、図4は図1のA部を上方から見た拡大図(一部透視図)であり、図5は自動点字表示装置8の概略構造を示す構造図であり、図6は遊技盤10の詳細図である。
【0030】
本実施形態に係る遊技機1の概要は、周知のパチンコ遊技機とほぼ同様であり、遊技機1の前面部は、図1及び図2に示すように、主として外枠2、中枠(本体枠)3、前面枠4、上皿部5、下皿部6及び発射ハンドル7等が設けられており、前面枠4内には、遊技盤10が配設されている。
【0031】
ここで、中枠3は、図2に示すように、外枠2の左端側に設けられたヒンジ2aを介して開閉可能に外枠2に組み付けられ、前面枠4は、中枠3の前面に配置された状態で中枠3の左端側にて中枠3に対して開閉可能に支持されている。
【0032】
また、上皿部5は、中枠3の前面であって、かつ、前面枠4の下側に配置されて中枠3の左端側にて中枠3に開閉可能に支持されており、この上皿部5には、上皿部5に溜まった遊技球を下皿部6に流下させるための排出口及びこの排出口を開閉するための玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタンが設けられている。そして、本実施形態では、上皿部5及び下皿部6により遊技者に付与される遊技球を溜める球皿部が構成されている。
【0033】
また、図1、図3及び図4に示すように、上皿部5のうち、正面から見て発射ハンドル7と反対側、つまり上皿部5の左側には、自動点字表示装置8が埋設されている。この自動点字表示装置8は、凸状の触感により文字情報等の情報を伝達するとともに、その触感を変化させて伝達する情報を変更することができるものである。
【0034】
すなわち、点字は、周知のごとく、3行2列の格子状に区切られた6つ領域を想定し、凸部が設けられた領域の位置及び組み合わせにより、五十音(ひらがな)や数字等の文字情報を表すものである。
【0035】
そこで、本実施形態に係る自動点字表示装置8では、図5に示すように、リニアソレノイドや小型モータ等のアクチュエータ8aにより略円柱状の可動ピン8bを基盤8cから出没させて、6つの領域各々に凸部を設ける場合と設けない場合とを創り出している。
【0036】
そして、後述する電子制御装置20(図7参照)によりアクチュエータ8aの作動を制御することによって、凸部が設けられた領域の配置及び組み合わせを変化させて凸状の触感を変更し、伝達する情報を変更している。
【0037】
なお、本実施形態に係る自動点字表示装置8は、図3に示すように、6つの領域からなる1組の自動点字表示装置を3つ組み合わせることにより1台の自動点字表示装置8を構成しているが、本発明に係る自動点字表示装置8はこれに限定されるものではない。因みに、図3に示す自動点字表示装置8の状態は、「あたり」という点字を表示している。
【0038】
そして、本実施形態では、遊技方法の案内や遊技状態等の遊技に関する情報を自動点字表示装置8により遊技者に報知(伝達)する。なお、遊技状態とは、例えば「出玉数」「球抜き」、「予告」、「大当り」、「リーチ」、「ラウンド」、「低確率状態」「確変状態」又は「時短状態」等の遊技の進行に伴って時々刻々と変化する遊技状況をいい、遊技方法とは、例えば遊技状態に応じて遊技者がすべき行為及びその行為を実施するタイミング等の遊技進行に関する案内をいう。
【0039】
また、上皿部5の下方に設けられた下皿部6には、下皿部6に貯留された遊技球を遊技機1から排出するめの排出口や灰皿6a等が設けられている。
そして、発射ハンドル7は、下皿部6の右側に配置された遊技球の発射装置ユニット(図示せず。)を操作する操作手段であり、この発射ハンドル7には、遊技者が発射ハンドル7に触れていることを検知するタッチスイッチや遊技球の発射を一時的に停止させる発射停止スイッチ等が設けられている。
【0040】
また、遊技盤10には、図6に示すように、遊技盤10の表面に設けられた外レール10aと内レール10bとにより略円形状の遊技領域10cが形成されており、この遊技領域10c内には、中央装置11と、第1始動口12、変動入賞装置13、第2始動口14、普通図柄作動ゲート15等に加えて、遊技釘10dや風車10e等の遊技球の自由流下を阻む障害部材が設けられている。
【0041】
中央装置11は、遊技領域10cの略中央部に位置し、主に演出用の図柄を表示する液晶パネル製の演出表示装置11aを有して構成されており、この演出表示装置11aでは、遊技状態に応じた演出用の図柄が表示される。
【0042】
そして、例えば遊技球が第1始動口12又は第2始動口14に入球すると、演出表示装置11aに表示される演出用の図柄、及び特別図柄表示装置11b(図7参照)に表示される特別図柄が変動表示された後に停止表示される。
【0043】
また、普通図柄作動ゲート15内には、普通図柄作動ゲート通過検知スイッチS1(図7参照)が配設されており、この普通図柄作動ゲート通過検知スイッチS1により遊技球が普通図柄作動ゲート15を通過したことが検知されると、普通図柄表示装置11c(図7参照)表示される普通図柄が変動して、所定時間経過後に表示される普通図柄が停止表示され、特定の図柄にて図柄が停止表示されると、第1始動口12が所定時間(例えば、0.5秒)開放される。
【0044】
第1始動口12は、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉することにより、入賞口を開閉するもので、その内部には、遊技球の通過を検知する始動口入賞検知スイッチS2(図7参照)、及び翼片部を作動させるためのアクチュエータ12a(図7参照)が設けられている。
【0045】
変動入賞装置13は、変動入賞装置13の略中央に位置して帯状に開口した大入賞口13a、この大入賞口13aを開閉する開閉板13b、この開閉板13bを開閉作動させるためのアクチュエータ13c(図7参照)、大入賞口13aに入賞した後に遊技球が通過する特定領域であるV入賞口及び一般入賞口(図示せず。)、並びに入賞球を検知する入賞球検知スイッチS3(図7参照)等から構成されている。
【0046】
なお、遊技盤10の最下部には、第1始動口12及び第2始動口14等のいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技盤10外に排出するためのアウト口16が設けられている。
【0047】
次に、遊技機1の電子制御装置20の概略を、図7に示すブロック図に基づいて説明する。
電子制御装置20は、主制御部21と、主として賞球の払出制御を行う払出制御部22、演出表示装置11aを制御する演出図柄制御部23、並びに演出用の音声及び照明を制御する音声・ランプ制御部24等の副制御部を有して構成されている。
【0048】
なお、演出表示装置11aは副制御部の1つである演出図柄制御部23にて制御されているのに対して、特別図柄表示装置11b及び普通図柄表示装置11cは主制御部21にて直接制御される。
【0049】
そして、主制御部21の入力回路部(図示せず。)には、普通図柄作動ゲート通過検知スイッチS1、始動口入賞検知スイッチS2、入賞球検知スイッチS3等の遊技球検知手段、並びに前面枠4や中枠3の開閉状態を示す信号を出力するドアスイッチS4等が接続されている。
【0050】
なお、ドアスイッチS4は、リミットスイッチ等の可動接点が変位することにより回路を機械的に開閉する機械スイッチにて構成されており、本実施形態では、前面枠4や中枠3が閉じた状態では信号回路が開いた状態となり、前面枠4や中枠3が開いた状態では信号回路が閉じるように設定されている。
【0051】
因みに、本実施形態では、ドアスイッチS4により前面枠4や中枠3が開いたことが検知されたときは、主制御部21は、遊技球を遊技盤10内に発射するための発射装置制御部22bに対して遊技球の発射を禁止する制御指令を発する。
【0052】
また、音声・ランプ制御部24のコネクタ出力部(図示せず。)には、演出用のランプ及びLEDに装着された各種ランプ基板24a及び各種LED基板25b、並びに演出用の音声を出力するスピーカ(図示せず。)を駆動する音声出力基板24c等が接続されており、これらの各基板に接続されたランプ、LED及びスピーカは、ゲームの進行状況に応じて点灯・消灯又は点滅等の作動を行う。
【0053】
また、払出制御部22には、賞球を払い出す賞球払出装置22a、遊技球を遊技盤10内に発射するための発射装置制御部22b及び払出用端子基板22cが接続されており、この払出用端子基板22cには、発射停止スイッチ、タンク球切れ検知スイッチ及び補給球切れ検知スイッチ等の図示しない各種スイッチが接続されている。
【0054】
次に、電子制御装置20にて実行される賞球動作の概略を説明する。
先ず、主制御部21は、払出制御部22を作動指令対象とする指令信号として所定個数の賞球個数データを、その検知順に払出制御部22に送信し、払出制御部22は、主制御部21からの賞球個数データを受け取り、賞球払出信号の送信により賞球払出装置22aを作動させる。
【0055】
具体的には、主制御部21は、入賞球検知スイッチS3により遊技球が大入賞口13aを通過したことを検知した場合には15個、始動口入賞検知スイッチS2により第1始動口12又は第2始動口14を通過したことを検知した場合には3個、それ以外の場合には10個を賞球個数データとして払出制御部22に送信し、払出制御部22は、この受信した賞球個数データに対応する個数の遊技球を払い出す。
【0056】
また、主制御部21は、上述の各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断して、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、その判定結果に応じた図柄表示態様で画面表示制御を行うためのデータを読み込む。
【0057】
具体的には、主制御部21は、始動口入賞検知スイッチS2、入賞球検知スイッチS3等の検知結果、及び特別図柄当否判定乱数の取得値等に基づいて、遊技が行われているか否か、遊技は行われているものの始動入賞がない状態(いわゆる、変動準備状態)であるか否か、始動入賞があった状態であるか否か、又は特別遊技状態であるか否か等を判断するとともに、その判断された遊技状態に応じて自動点字表示装置8で表示すべき情報が表示されるようにアクチュエータ8a、並びに演出表示装置11a、特別図柄表示装置11b及び普通図柄表示装置11cを制御する。
【0058】
このとき、例えば始動入賞が検知されると乱数値に基づいて当否判定が行われ、その判定結果に応じた特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む。)、又は確定等の表示態様制御のためのデータが読み込まれ、この読み込まれたデータは、特別図柄制御部23に送信される。
【0059】
なお、主制御部21により実行されるジョブの概要は、例えば特開2004−261496号公報に記載されている弾球遊技機と同様であるので、本明細書では、主制御部21により実行されるジョブの説明を省略する。
【0060】
次に、本実施形態に係る遊技機1の特徴を説明する。
本実施形態に係る遊技機1は、触感を変化させて伝達する情報を変更することができる自動点字表示装置8を有しているとともに、遊技の進行状況に応じて遊技方法の案内や遊技状態等を自動点字表示装置8により遊技者に報知(伝達)するので、時々刻々と変化する遊技状態等を的確に視覚障害者に伝えることが可能となる。したがって、視覚障害者も健常者と同様な遊技の興趣を享受することが可能となるので、遊技の興趣をより多くの人々に享受してもらえることができる。
【0061】
ところで、遊技中においては、遊技者はいずれか一方の手(通常は、右手)にて発射ハンドル7を操作しているので、他方の手(通常は、左手)は、遊技に直接的に関与していない場合が多い。
【0062】
したがって、本実施形態のごとく、自動点字表示装置8を、正面から見て、発射ハンドル7と反対側に配置すれば、遊技者は、遊技に直接的に関与していない手により自動点字表示装置8に表示された情報を読み取ることができるので、遊技者は遊技を中断させることなく、遊技方法や遊技状態に関する情報を入手することができる。延いては、視覚障害者であってもより一層、健常者と同様な遊技の興趣を享受することができる。
【0063】
ところで、遊技機を新機種に変更する際には、変更時の費用を抑制するために、通常、パチンコホールに設置された既存の外枠2をそのまま利用し、遊技盤10等のみ交換する、いわゆる「面替」にて対応する場合が多い。
【0064】
そこで、本実施形態では、自動点字表示装置8を上皿部5等の球皿部に配置しているので、一度自動点字表示装置8を有する弾球遊技機を導入すれば、次回の遊技機の導入からは、「面替」にて対応することができる。したがって、本実施形態に係る遊技機1を用いれば、視覚障害者も健常者と同様な遊技の興趣を享受することができる遊技機を比較的に安価に提供することができる。
【0065】
また、自動点字表示装置8が上皿部5等の球皿部に配置されて遊技機1に一体化されているので、例えば自動点字表示装置8を遊技機1と別体として配置した場合に比べて、自動点字表示装置8の設置スペースについて苦慮する必要がなく、自動点字表示機能を容易に得ることができる。
【0066】
ところで、通常の人は右利きであるので、視覚障害者においても左手では点字を素早く読めない人もいる。
これに対して、本実施形態では、通常、灰皿6aより上方側に配置される上皿部5に自動点字表示装置8を配置しているので、例えば灰皿6aに自動点字表示装置8を配置した場合に比べて、左手は勿論のこと、右手でも容易に自動点字表示装置8に触れることができる。
【0067】
したがって、視覚障害者が確実に自動点字表示装置8に表示された情報を読み取ることができるので、視覚障害者も遊技の興趣を確実に享受することが可能となる。
(第2実施形態)
第1実施形態に係る自動点字表示装置8は、「日本点字表記法」に基づいて主に文字情報を表示する装置であったが、本実施形態は、「日本点字表記法」に基づく文字情報に加えて、図8に示すように、基盤8cから可動ピン8bを出没させることによって文字や図形の形状そのものを表示することができる自動点字表示装置8を採用したものである。
【0068】
すなわち、本実施形態に係る自動点字表示装置8は、1つの基盤8c当たりの可動ピン8bの本数を、文字や図形の形状そのものを表示することができる程度まで増大させるとともに、ドットマトリックス表示装置において各ドットを点滅させるがごとく、各可動ピン8bを基盤8cから出没させて文字や図形を描くものである。
【0069】
因みに、本実施形態では、アクチュエータ8aとして、形状記憶合金製のコイルへの通電を制御することによりコイルの温度を変化させて可動ピン8bを基盤8cから出没させるものを採用し、かつ、可動ピン8bの表面を磁性材料からなるチューブで覆うことにより磁力を利用して可動ピン8bの位置を保持している。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態では、文字や図形の形状そのものを表示するので、時々刻々と変化する遊技状態等をより的確に視覚障害者に伝えることが可能となり、視覚障害者もより一層、遊技の興趣を享受することができる。
【0071】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、自動点字表示装置8を上皿部5に配置したが、本実施形態は、図9に示すように、灰皿6aに自動点字表示装置8を配置したものである。
【0072】
なお、本実施形態においても、第1実施形態に係る遊技機1と同様に、一度自動点字表示装置8を有する弾球遊技機を導入すれば、次回の遊技機の導入からは、「面替」にて対応することができるとともに、自動点字表示装置8の設置スペースについて苦慮する必要がなく、自動点字表示機能を容易に得ることができる。
【0073】
(第4実施形態)
本実施形態は、図10に示すように、発射ハンドル7の操作方法に関する情報を示す凹部又は凸部、つまり点字情報7aを発射ハンドル7に一体成形したものである。
【0074】
なお、発射ハンドル7の操作方法に関する情報とは、例えば「発射ハンドル7を右向きに回すと、遊技球が遊技領域10c内に向けて発射され、その発射速度は、発射ハンドル7の回す角度に略比例して大きくなる」等の情報をいう。
【0075】
次に、本実施形態に係る遊技機1の特徴を説明する。
遊技状態等に関する情報は時々刻々と変化するのに対して、発射ハンドル7の操作方法に関する情報は変化しない情報である。したがって、発射ハンドル7の操作方法に関する情報は、自動点字表示装置8等の表示内容を変更することができる表示装置に表示する必要はない。したがって、本実施形態のごとく、点字情報を発射ハンドル7に固定表示すれば、発射ハンドル7の操作方法に関する情報を安価に視覚障害者に提供することができる。
【0076】
そして、本実施形態のごとく、発射ハンドル7の操作方法に関する情報を発射ハンドル7に表示すれば、視覚障害を有する遊技者は、発射ハンドル7の操作方法についての点字情報が表示された部位を特に探すことなく、発射ハンドル7の操作方法についての情報を容易に得ることができる。したがって、本実施形態に係る遊技機1では、より簡単に遊技の興趣を享受することができる。
【0077】
また、点字情報を示す凹又は凸形状を成形に形成しているので、発射ハンドル7を樹脂成形するための金型に凸又は凹加工を施すことで、容易に点字情報を発射ハンドル7に設けることができる。
【0078】
(第5実施形態)
本実施形態は、図11に示すように、遊技釘10dや風車10e等の障害部材の配置を示す凹又は凸(本実施形態では、凸部17a)が成形された略透明な障害部材構成表示板17を遊技盤10の正面側に貼り付けたものである。
【0079】
そして、本実施形態では、障害部材構成表示板17を遊技盤10の正面側に貼り付けているので、障害部材構成表示板17に触れることにより、視覚障害者であっても遊技釘10d等の障害部材の配置構成を認知することができる。したがって、健常者と同様に、遊技釘10d等の障害部材の配置構成を意識しながら遊技球の発射方向や発射速度等を調節することができるので、健常者と同様な遊技の興趣を享受することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、アクリル等の透明樹脂材料にインジェクション成形を施すことにより障害部材構成表示板17及び凸部17aを一体成形しているが、本実施形態に係る障害部材構成表示板17の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0081】
(第6実施形態)
上述の実施形態では、自動点字表示装置8を用いて点字情報のみで遊技状態(遊技状況)等を遊技者に伝えていたが、本実施形態は、自動点字表示装置8に加えて、軽い振動等の軽微な衝撃を遊技者に与えることにより遊技状態等を遊技者に伝えるものである。
【0082】
具体的には、図12に示すように、衝撃プレート30に手形状の凹部30aを形成するとともに、凹部30aのうち各指の先端に相当する部位に、ピエゾ素子(圧電素子)等の軽い振動又は衝撃を発する衝撃発生装置30bを埋設し、自動点字表示装置8の制御と連動して各衝撃発生装置30bを電子制御装置20にて制御するものである。
【0083】
そして、本実施形態では例えば、大当りが確定したときには凹部30aのうち小指に相当する部位に埋設された衝撃発生装置30bを作動させ、確変状態となったときには凹部30aのうち薬指に相当する部位に埋設された衝撃発生装置30bを作動させ、大当りによる賞球がされるときには凹部30aのうち中指に相当する部位に埋設された衝撃発生装置30bを作動させ、大入賞口13a以外の入賞による賞球がされるときには凹部30aのうち人差し指に相当する部位に埋設された衝撃発生装置30bを作動させ、大当り等の予告がされるときには凹部30aのうち親指に相当する部位に埋設された衝撃発生装置30bを作動させる。
【0084】
なお、本実施形態に係る衝撃プレート30は、遊技機1とは別体の補助機器として構成され、かつ、必要に応じて衝撃プレート30と遊技機1に設けられた接続端子(図示せず。)とを接続ケーブル30cで接続すること使用可能となるものであるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0085】
また、通常の遊技者は右手で発射ハンドル7を操作するので、図12に示す衝撃プレート30では、遊技に直接的に関与していない左手に衝撃を付与することを想定しているが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、左右いずれかの手、又は手以外の部位(例えば、足)に軽い衝撃を与えてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、軽い衝撃として振動を付与したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば温熱や冷熱等の熱的衝撃を与えてもよい。
(第7実施形態)
本実施形態は、第6実施形態の変形例である。すなわち、第6実施形態では、衝撃プレート30が遊技機1と別体であったが、本実施形態では、図13に示すように、遊技機1に衝撃プレート30を格納する空間31及びこの空間31を閉塞する蓋31aを設けるとともに、衝撃プレート30を使用しないときは、蓋31aを閉じて施錠装置31bにて施錠するものである。
【0087】
そして、遊技者(健常者又は視覚障害者のいずれでもよい)が衝撃プレート30の使用を申し出たときに、ホール係が施錠装置31bを解除して衝撃プレート30を使用可能とするものである。
【0088】
(第8実施形態)
本実施形態は、本発明に係る遊技機を回胴式遊技機(スロットマシン)に適用したものである。以下、図14〜図17を用いて本実施形態に係る遊技機100について説明する。
【0089】
先ず、本実施形態に係る回胴式遊技機の装置構成を説明する。
図14は、本実施形態に係る遊技機100の外観を示す斜視図であり、図15は、遊技機100の前面構造を示す説明図である。以下、図14及び図15に基づいて遊技機100の全体構成について説明する。
【0090】
図14及び図15に示すように、遊技機100の全体的形状を構成する筐体103の正面部には、表示窓105、操作パネル部107、遊技メダル払出口109、及び表示パネル111等が設けられている。
【0091】
表示窓105は、遊技機100の上段部分に設けられ、遊技者に対して図柄を表示するための窓であり、この表示窓105は透明なパネルで覆われている。このため、遊技者は、表示窓105を介して、回胴手段を構成する回胴113L、113C、113Rの外周面に表示された図柄を目視することができる。
【0092】
また、筐体103の内部のうち表示窓105の内側に対応する部位には、略円筒状に形成された複数個(本実施形態では、3個)の回胴(リール)113L、113C、113Rが横一列に回転可能に配設されており、これら各回胴113L〜113Rの外周面には、複数種類の図柄からなる図柄配列が回転方向(円周方向)に沿って形成されている。
【0093】
このとき、表示窓105は、回胴113L〜113Rの外周面に形成された図柄をそれぞれ3つずつ目視できるように設定されており、これらの回胴113L〜113Rを回転又は停止させることにより、表示窓105内のうち各回胴113L〜113Rに対応する3の領域で図柄を変動表示(スクロール表示)又は停止表示させることができる。
【0094】
なお、以下、左端の回胴113Lを「第1回胴113L」と記し、中央の回胴113Cを「第2回胴113C」と記し、右端の回胴113Rを「第3回胴113R」と記す。さらに、これら回胴113L〜113Rを総称するときは、単に「回胴113」と記す。
【0095】
因みに、図16は、第1回胴113L、第2回胴113C、及び第3回胴113Rの外周面に形成された図柄配列を示す説明図であり、各回胴113L〜113Rには、第0番から第20番までの21個の図柄が形成されている。そして、回胴113L〜113Rが回転すると、表示窓105には、各回胴毎に3個の図柄が第0番から第20番へと順に表示され、第20番の図柄が表示されると、再び第0番の図柄から順に図柄の表示が行われる。
【0096】
また、表示窓105の左側には、図15に示すように、第1メダルラインランプ115a、第2メダルラインランプ115b、第3メダルラインランプ115c、及び遊技開始表示ランプ117が設けられており、第1メダルラインランプ115aは、1枚の遊技メダルがベットされたこと、又は各回胴113L〜113Rが停止して停止表示された図柄が中央の入賞ラインL1の上で揃って入賞したことを表示するランプである。
【0097】
なお、第2メダルラインランプ115bは、2枚の遊技メダルがベットされたこと、又は各回胴113L〜113Rが停止して停止表示された図柄が上段若しくは下段の入賞ラインL2の上で揃って入賞したことを表示するランプであり、第3メダルラインランプ115cは、3枚の遊技メダルがベットされたこと、又は各回胴113L〜113Rが停止して停止表示された図柄が斜めの入賞ラインL3の上で揃って入賞したことを表示するランプである。そして、遊技開始表示ランプ117は、回胴113L〜113Rの回転が開始可能な状態になったことを示すランプである。
【0098】
一方、表示窓105の右側には、打止め表示ランプ119、再遊技ランプ121、ビッグボーナス告知ランプ123a、123b、123c、及び遊技メダル投入ランプ125が設けられており、打止め表示ランプ119は、遊技者に対して払い出される遊技メダルの総数が上限に到達し、遊技機100がいわゆる打ち止め状態となったことを表示するランプである。
【0099】
また、再遊技ランプ121は、遊技メダルを使用することなく、続けて遊技を実行することが可能である旨を遊技者に報知するためのランプであり、ビッグボーナス告知ランプ123a〜123cは、遊技機100がビッグボーナス遊技状態に移行したことを示すランプであり、遊技メダル投入ランプ125は、遊技メダルのベットを受け入れ可能であることを示すランプである。
【0100】
また、表示窓105の下側には、役物回数表示器127、払出枚数表示器129、及び貯留枚数表示器131が設けられており、役物回数表示器127は、レギュラーボーナス役の入賞可能回数等を表示し、払出枚数表示器129は、遊技機100から払い出される遊技メダルの枚数を表示し、貯留枚数表示器131は、遊技機100に貯留されている遊技メダルの枚数を表示する。
【0101】
操作パネル部107は、遊技機100の中段部に位置して手前に向かって突出して棚状に形成されたものであり、その上面部には、遊技メダル投入口133、1枚投入ボタン135、3枚投入ボタン137、精算ボタン139、及び自動点字表示装置8が設けられている。
【0102】
また、本実施形態では、自動点字表示装置8として、第2実施形態に係る自動点字表示装置8と同様に、文字や図形の形状そのものを表示することができるものを採用するとともに、回胴113と同一個数(本実施形態では、3個)の自動点字表示装置8を各回胴113L〜113Rに対応する位置に配置している。
【0103】
そして、各自動点字表示装置8は、対応する回胴113の回転(変動表示)と連動して表示する図柄が変化するように制御されることにより、視覚障害者のための点字リール(点字回胴手段)を構成している。
【0104】
そして、遊技メダル投入口133は、遊技メダルを遊技機100に投入するための投入口であり、1枚投入ボタン135は、遊技機100に貯留されている遊技メダルのうち1枚をベットするためのボタンであり、3枚投入ボタン137は、遊技機100に貯留されている遊技メダルのうち3枚をベットするためのボタンであり、精算ボタン139は、遊技機100に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に押されるボタンである。
【0105】
なお、遊技において入賞が成立した場合、又は1回の遊技に必要な枚数(規定数)を超えて余分な枚数の遊技メダルが遊技メダル投入口133から投入された場合等には、遊技メダルは遊技機100の内部に貯留される。ここで、貯留とは、後述する主制御基板201のRAM115に遊技メダルの数を記憶する、いわゆるクレジットのことであり、本実施形態では、貯留可能な枚数の上限は50枚である。
【0106】
操作パネル部107の前面部には、スタートレバー141、停止ボタン143L、143C、143R、返却ボタン145等が設けられており、これら141、143L〜143R、145は、遊技者により手動操作される。
【0107】
また、スタートレバー141は、回胴113、つまり後述するモータ233L〜233R(図17参照)を回転させる回転開始信号を後述する主制御基板201(図17参照)に向けて発する変動開始手段であり、停止ボタン143L〜143Rは、各回胴113の個数に対応した個数(本実施形態では、3個)設けられているとともに、自動点字表示装置8、つまり点字リールの近傍に配置されて対応する回胴113の回転、つまりモータ233L〜233Rの回転を停止させる回転停止信号を主制御基板201に向けて発する変動停止操作部である。
【0108】
因みに、返却ボタン145は、投入された遊技メダルが遊技機100内部で詰まった場合に、遊技者がこの詰まりを解消すべく押されるボタンである。
なお、以下では、第1回胴113Lに対応する停止ボタン143Lを「第1停止ボタン143L」と記し、第2回胴113Cに対応する停止ボタン143Cを「第2停止ボタン143C」と記し、第3回胴113Rに対応する停止ボタン143Rを「第3停止ボタン143R」と記し、これらを総称するときは、単に「停止ボタン143」と記すこととする。
【0109】
また、遊技メダル払出口109は、遊技機100の下部に設けられており、遊技機100の下部には、遊技メダル払出口109のほか、遊技メダル払出口109から払い出される遊技メダルを受け止めるための受け皿部147が設けられている。
【0110】
表示パネル111は、図柄の変動表示の開始と連動して開始される演出を表示する演出表示手段をなすもので、本実施形態では、表示窓105の上方側に配設したドットマトリックス表示装置又は液晶表示装置等にて表示パネル111を構成している。
【0111】
また、筐体103の正面側であって、操作パネル部107(停止ボタン143)の下方側には、停止表示される図柄の組み合わせと遊技者に付与する賞態様との対応関係を示す凹部又は凸部(本実施形態では凸部)が形成された点字シート104が貼り付けられている。つまり、点字シート104には、入賞役、リーチ目及びチャンス目となる図柄であって、自動点字表示装置8により表示されるものと賞態様との関係が示されている。
【0112】
なお、本実施形態では、樹脂製のシート部材にプレス成形を施すことにより点字シート104を成形しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば筐体103の成形と同時に凸部(点字情報)を一体成形してもよいことはいうまでもない。
【0113】
次に、本実施形態に係る遊技機100の電気的構成を説明する。
図17は、本実施形態に係る遊技機100の電気的構成を示す説明図である。遊技機100には、主制御基板201を中心として、回胴基板203、副制御基板205、中央表示ランプ基板207、及び電源基板209等が設けられている。
【0114】
主制御基板201は、遊技機100で行われる遊技の進行及び演出を制御する電子制御装置であり、この主制御基板201は、CPU(中央演算装置)211、ROM(読込専用記憶装置)213、及びRAM(随時読込書込可能記憶装置)215等を互いに接続して構成される周知のマイクロコンピュータにて構成されており、CPU211を中心として構成されるマイクロコンピュータである。
【0115】
主制御基板201に接続された副制御基板205には、主制御基板201と同様にCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータによって構成されているとともに、各種の照明用基板219、各種のスピーカ221及び表示パネル111等が接続されている。
【0116】
そして、副制御基板205は、主制御基板201からの信号に基づき、各種のスピーカ221に音声信号及び表示パネル111に表示される演出の画像信号を出力するとともに、各種の照明用基板219に対しても信号を出力する。また、照明用基板219は、副制御基板205からの信号に基づいて、照明類223の点灯及び消灯等を制御する。
【0117】
中央表示ランプ基板207には、役物回数表示器127、払出枚数表示器129、貯留枚数表示器131、1枚投入ボタン135、3枚投入ボタン137、精算ボタン139、第1停止ボタン143L、第2停止ボタン143C、及び第3停止ボタン143R等が接続されており、これらの各ボタン135、137、139、143L〜143Rが遊技者によって操作されると、その操作結果を示す信号が、中央表示ランプ基板207を介して主制御基板201に入力される。
【0118】
そして、主制御基板201は、中央表示ランプ基板207を介して送信される入力信号に基づいて、各ボタン135、137、139、143L〜143Rに対する操作状態を判断し、これに基づいて、後述するモータ233L、233C、233Rの制御を行う。
【0119】
また、中央表示ランプ基板207には、停止ボタン143等からの信号に加えて、左表示ランプ基板225、右表示ランプ基板227、スタートレバーユニット229、及びメダルセレクター231等も接続されている。
【0120】
左表示ランプ基板225は、表示窓105の左側に設けられた第1メダルラインランプ115a、第2メダルラインランプ115b、第3メダルラインランプ115c、遊技開始表示ランプ117の点灯及び消灯を制御するための基板であり、これらランプ115a〜115cの制御は、中央表示ランプ基板207及び左表示ランプ基板225を介して主制御基板201にて行われる。
【0121】
右表示ランプ基板227は、表示窓105の右側に設けられた打止め表示ランプ119、再遊技ランプ121、ビッグボーナス告知ランプ123a〜123c、遊技メダル投入ランプ125の点灯及び消灯を制御するための基板であり、これらランプ119、121、123a〜123c、125の制御は、中央表示ランプ基板207及び右表示ランプ基板227を介して主制御基板201にて行われる。
【0122】
スタートレバーユニット229は、スタートレバー141や、このスタートレバー141の操作を検出するための回胴回転始動センサー基板(図示せず。)等から構成されており、スタートレバー141が遊技者により操作されると、その操作が回胴回転始動センサー基板によって検出され、この検出結果を示す回転開始信号が、中央表示ランプ基板207を介して主制御基板201に入力される。そして、主制御基板201上のコンピュータは、回転開始信号に基づいてスタートレバー141に対する操作状態を判断し、これに基づいて、後述するモータ233L、233C、233Rの制御を行う。
【0123】
また、主制御基板201は、回胴回転始動センサー基板から信号を受けると、モータ233L、233C、233Rの回転、つまり回胴113により表示される図柄の変動に連動して自動点字表示装置8で表示される情報が変動表示されるように自動点字表示装置8を制御する。
【0124】
なお、本実施形態では、主制御基板201は、回胴基板203を介して自動点字表示装置8を制御しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、回胴基板203を介すことなく、直接、自動点字表示装置8を制御してもよい。
【0125】
メダルセレクター231は、遊技メダル投入口133より投入された遊技メダルを寸法に基づいて選別して規格寸法に適合した遊技メダルのみを受け付けるとともに、投入された遊技メダルの通過をメダルセンサー基板(図示せず)によって検出し、その検出結果を示すメダル検出信号を出力する。
【0126】
そして、メダルセレクター231から出力されたメダル検出信号は、中央表示ランプ基板207を介して主制御基板201に送信され、主制御基板201は、このメダル検出信号に基づいて遊技メダル投入口133から遊技メダルが投入されたか否かを判断する。
【0127】
回胴基板203には、各回胴113を回転又は停止させる電動式のモータ233L、233C、233R、及びモータ233L〜233Rの回転角や回転速度を検出するための回胴センサー基板235L、235C、235R、並びに各自動点字表示装置8等が接続されている。なお、モータ233L、233C、233R、及び回胴センサー基板235L、235C、235Rは、各回胴113毎にそれぞれ設けられている。
【0128】
以下、モータ233L〜233Rを総称するときは、モータ233と記し、回胴センサー基板235L〜235Rを総称するときは回胴センサー基板235と記す。
そして、モータ233の作動は、回胴基板203を介して主制御基板201からモータ233に信号を送ることにより制御されており、本実施形態では、モータ233として、入力されるパルス信号数に比例した角度だけ回転するステッピングモータを採用している。
【0129】
また、回胴センサー基板235は、各回胴113に設けられたインデックス部(図示せず。)の通過を検出するものであり、各回胴113のインデックス部が回胴センサー基板235を通過し、その通過が回胴センサー基板235によって検出されると、この検出結果を示す回胴インデックス信号が、回胴基板203を介して主制御基板201に入力される。そして、主制御基板201は、回胴インデックス信号に基づいて各回胴113の回転角度、つまり各回胴113の外周面に形成された図柄の位置を検知する。
【0130】
また、電源基板209には、主制御基板201及びメダル払出装置237等が接続されており、本実施形態では、回胴基板203、副制御基板205、中央表示ランプ基板207等は主制御基板201を介して電力が供給され、メダル払出装置237は電源基板209から直接電力の供給を受けている。
【0131】
なお、本実施形態では、電源基板209は、主制御基板201とメダル払出装置237との間で行われる信号の送受を中継する機能も担っており、遊技メダルを払い出す旨の信号が主制御基板201から出力されると、その信号は、電源基板209を介してメダル払出装置237に入力され、その結果、メダル払出装置237から前述の遊技メダル払出口109に、遊技メダルが排出される。
【0132】
そして、払い出された遊技メダルの数はメダル払出装置237により計数され、その結果を示す遊技メダル払出信号が、電源基板209を介して主制御基板201に入力されることによって、主制御基板201は、遊技者に払い出される遊技メダルの枚数を検出している。
【0133】
次に、本実施形態に係る遊技機100における制御の概要を説明する。
先ず、遊技開始に先立って遊技メダルがベットされると、そのベット数に応じて入賞ラインL1〜L3を有効化する。そして、遊技者によってスタートレバー141が操作され、回胴113が回転し始めると同時に入賞役の抽選(内部抽選)が行われる。その後、遊技者によって停止ボタン143が操作されると、停止ボタン143の押下タイミングに基づいて回胴113の回転が停止させられ、一回の遊技を終了する。
【0134】
なお、自動点字表示装置8は、回胴113の回転開始と連動して図柄を変化させながら表示し、停止ボタン143の操作(回胴113の停止)に連動して表示する図柄を固定する。
【0135】
次に、遊技機100は、有効ラインの上に揃った図柄組合せの判定を行い、その図柄判定の結果、有効ラインの上に停止表示された図柄組合せが、内部抽選で当選した入賞役を成立させる図柄組合せである場合には、その入賞役が成立(確定)したものとして、所定枚数の遊技メダルを遊技者に払い出す。
【0136】
次に、本実施形態に係る遊技機100の特徴を説明する。
本実施形態に係る遊技機100では、回胴113の回転に連動させて自動点字表示装置8で表示される図柄を変化させるので、視覚障害者であっても、回胴113の回転に伴って変動表示される図柄を触感の変化を通じて認知することができる。
【0137】
したがって、健常者と同様に、図柄の変動表示を意識しながら停止ボタン143を操作できるので、視覚障害者も健常者と同様な遊技の興趣を享受することが可能となる。
また、自動点字表示装置8が停止ボタン143の近傍に配置されているので、自動点字表示装置8にて表示される図柄を認知しながら停止ボタン143を操作することが可能となり、より一層、遊技の興趣を享受することができる。
【0138】
また、停止表示される図柄の組み合わせと遊技者に付与する賞態様との対応関係を示す点字シート104が筐体103の正面に貼り付けられているので、遊技者が視覚障害を有する場合であっても容易に賞態様と図柄の組み合わせとの関係を認知できる。
【0139】
したがって、遊技者は、自動点字表示装置8によって表示される図柄を認知しながら、健常者が目押しにて停止ボタン143を操作するように停止ボタン143を操作することができるので、遊技の興趣を一層享受することができる。
【0140】
(その他の実施形態)
上述の形態では、パチンコ機又は回胴式遊技機を例に本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その他の遊技機にも適用することができる。
【0141】
本発明に係る自動点字表示装置8は、触感により情報を伝達するとともに、その触感を変化させて伝達する情報を変更することができるものであればよく、上述の実施形態に示されたものに限定されるものではない。
【0142】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遊技機の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る遊技機の斜視図である。
【図3】図1のA部拡大図である。
【図4】図1のA部を上方から見た拡大図(一部透視図)である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る自動点字表示装置の概略構造を示す構造図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る遊技盤の詳細図である。
【図7】本発明の実施形態に係る遊技機の電気系ブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る自動点字表示装置の概念図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る遊技機の正面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る遊技機の正面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る障害部材構成表示板の正面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る衝撃プレートの正面図である。
【図13】本発明の第7実施形態に係る遊技機の正面図である。
【図14】本発明の第8実施形態に係る遊技機の外観を示す斜視図である。
【図15】本発明の第8実施形態に係る遊技機の前面構造を示す説明図である。
【図16】本発明の第8実施形態に係る遊技機の回胴の外周面に形成された図柄配列を示す説明図である。
【図17】本発明の第8実施形態に係る遊技機の電気的構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0144】
1…遊技機、2…外枠(遊技機枠体)、2a…ヒンジ、3…中枠(遊技機枠体)、
4…前面枠(遊技機枠体)、5…上皿部、
6…下皿部、6a…灰皿、7…発射ハンドル、8…自動点字表示装置、
8a…アクチュエータ、8b…可動ピン、8c…基盤、10…遊技盤、
10a…外レール、10b…内レール、10c…遊技領域、10d…遊技釘、
11…中央装置、11a…演出表示装置、11b…特別図柄表示装置、
11c…普通図柄表示装置、12…第1始動口、12a…アクチュエータ、
13…変動入賞装置、13a…大入賞口、13b…開閉板、
13c…アクチュエータ、14…第2始動口、15…普通図柄作動ゲート、
16…アウト口、17…障害部材構成表示板、17a…凸部、20…電子制御装置、
21…主制御部、22…払出制御部、22a…賞球払出装置、
22b…発射装置制御部、22c…払出用端子基板、23…演出図柄制御部、
23…特別図柄制御部、24…音声・ランプ制御部、30…衝撃プレート、
30a…凹部、30b…衝撃発生装置、30c…接続ケーブル、31…空間、
31a…蓋、31b…施錠装置、100…遊技機、103…筐体、
104…点字シート、105…表示窓、107…操作パネル部、
109…遊技メダル払出口、111…表示パネル、113…回胴(回胴手段)、
115a…第1メダルラインランプ、115b…第2メダルラインランプ、
115c…第3メダルラインランプ、117…遊技開始表示ランプ、
119…打止め表示ランプ、123a…ビッグボーナス告知ランプ、
125…遊技メダル投入ランプ、127…役物回数表示器、
129…払出枚数表示器、131…貯留枚数表示器、133…遊技メダル投入口、
135…枚投入ボタン、137…枚投入ボタン、139…精算ボタン、
141…スタートレバー、143…停止ボタン(変動停止操作部)、
145…返却ボタン、147…受け皿部、201…主制御基板、
203…回胴基板、205…副制御基板、207…中央表示ランプ基板、
209…電源基板、219…照明用基板、221…スピーカ、
225…左表示ランプ基板、227…右表示ランプ基板、
229…スタートレバーユニット、231…メダルセレクター、
233…モータ、235…回胴センサー基板、237…メダル払出装置、
S1…普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ、S2…始動口入賞検知スイッチ、
S3…入賞球検知スイッチ、S4…ドアスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触感により情報を伝達するとともに、その触感を変化させて伝達する情報を変更する自動点字表示装置を有し、
前記自動点字表示装置により、遊技方法の案内及び遊技状態のうち少なくとも一方の情報を遊技者に報知することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技者により操作され、遊技盤面上に遊技球を発射するための発射ハンドルと、
前記発射ハンドルが前面側に配置された遊技機枠体とを有し、
前記発射ハンドルは、前記遊技機枠体を正面から見て、右側又は左側のいずれかに配置されており、
さらに、前記自動点字表示装置は、正面から見て、前記発射ハンドルと反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記自動点字表示装置は、遊技者に付与される遊技球を溜める球皿部に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技機枠体は、灰皿部を有し、
前記自動点字表示装置は、前記灰皿部に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記発射ハンドルの操作方法に関する情報を示す凹部又は凸部が、前記発射ハンドルに成形されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の遊技機。
【請求項6】
遊技球が流下する遊技盤面には、遊技球の自由流下を阻む障害部材が配置されており、
さらに、前記遊技盤の正面側には、前記障害部材の配置を示す凹部又は凸部が成形された略透明な障害部材構成表示板が配設されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の遊技機。
【請求項7】
図柄を変動表示させる回胴手段と、
遊技者により操作され、前記図柄の変動表示を停止させる停止指令を発する変動停止操作部と、
前記回胴手段及び前記変動停止操作部が配置された筐体とを有し、
前記自動点字表示装置は、前記変動停止操作部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項8】
停止表示される図柄の組み合わせと遊技者に付与する賞態様との対応関係を示す凹部又は凸部が、前記筐体の正面側に成形されていることを特徴とする請求項7に記載の遊技機。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−247024(P2006−247024A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65358(P2005−65358)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】