説明

遊技機

【課題】 遊技球の案内路内での揺動性を維持しつつ、かつ球詰まりを発生させるような凹凸を設けることなく、確実に遊技球を案内路の幅方向の所望の位置に集中させて排出させる。
【解決手段】 遊技盤32の奥側から手間側にかけて徐々に低位となる傾斜面をもつ横孔部78Bの幅方向に亘り、中央部を最も低位する左右対称の徐々に変化する傾斜面を形成し、θ2/L2>θ1/L1の関係を維持するようにした。また、横孔部78B内での揺動を可能とすることで遊技の趣向性を維持しつつ、ほぼ確実に(わずかではあるが、不確実性を残す)、横孔部78Bの中央の位置で通過出口80から排出させるようにしたため、始動口46への入賞率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦置きされた遊技盤面の上部に遊技球を送り出し、この遊技球が遊技盤面に設けられた少なくとも障害物によって移動方向を変えながら、当該遊技盤面に沿って落下するように構成された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機、特にパチンコ機において、通常遊技状態で、始動口(特別図柄始動入賞口)に入賞したパチンコ球を検出することで抽選がなされ、この抽選の結果、当たりとなると、前記通常遊技状態では閉止状態とされている大入賞口が所定期間、所定回数開放され(1回の開閉を1ラウンドとし、一般に10〜16ラウンド継続する。)、遊技球の入賞率を高める、遊技者に有利な状態とする特別遊技状態(以下、大当り処理という)を持つパチンコ機がある。
【0003】
この種のパチンコ機では、遊技盤面(一般には中央にあるセンター役物等)に液晶表示装置等の画像表示制御による表示部を配置し、この表示部に、例えば複数の図柄列をスクロール変動させ、当該変動が停止したときの各列の図柄の状態(図柄配列状態)で、前記抽選の結果を報知することがなされている(以下、図柄変動パターン演出という)。
【0004】
上記のように大当たりの抽選の権利を得るためには、まず始動口への入賞が条件となる。始動口への案内は、遊技盤に取り付けられ、熟練の技術者によって調整された釘等によって行われるが、この釘とは別に、始動口の上部に設けられたセンター役物にパチンコ球が乗り上がるステージを設けている。このステージは、乗り上がったパチンコ球を始動口の近くへ案内することができる。
【0005】
さらに、このステージには、始動口の直上に案内路を設け、ステージに乗り上がった一部のパチンコ球をほぼ確実に始動口へ案内するようにしている。
【0006】
ここで、この案内路では、100%確実に始動口へ案内するのではなく、ある程度の失敗(始動口への入賞がない)状態を作り込むため、案内路幅寸法を、始動口の入賞開口幅寸法よりも若干大きくしている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0007】
これにより、案内路に案内されるパチンコ球は、若干左右に揺動しながら、案内路から排出され、その一部は始動口に入賞しないことになる。
【0008】
ところが、案内路の幅方向の揺動が大きいと、所望の始動口への入賞確率が得られない。一方、案内路の幅方向を狭めると、パチンコ球の揺動が制限され、遊技の趣向性が低下する。
【0009】
これを解消するため、案内路におけるパチンコ球の重力荷重がかかる面に、パチンコ球の直径よりも小さいピッチ寸法で、互いにに略平行な一対のレールを設けることが考えられている。
【0010】
これにより、パチンコ球は、案内路内で揺動可能な状態を維持しつつ、前記レールに乗ることで、案内路の幅方向中央部を移動することになり、始動口への入賞確率を高めることができる。
【特許文献1】特開2000−51448公報
【特許文献2】特開2003−225383公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記レールによるパチンコ球の案内構造では、案内路の幅方向端部を移動してくる(レールに乗らない)パチンコ球と、レールに乗るパチンコ球と、が案内路内で明確に仕分けられてしまい、パチンコ球が案内路内で揺動する趣向性が低下する、という問題点がある。
【0012】
また、レールのような凸部、或いは溝のような凹部を案内路内に設けると、パチンコ球の流動性が低下し、最悪の場合球詰まりを生じる可能性がある。
【0013】
本発明は上記事実を考慮し、遊技球の案内路内での揺動性を維持しつつ、かつ球詰まりを発生させるような凹凸を設けることなく、確実に遊技球を案内路の幅方向の所望の位置に集中させて排出させることができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、縦置きされた遊技盤面の上部に遊技球を送り出し、この遊技球が遊技盤面に設けられた少なくとも障害物によって移動方向を変えながら、当該遊技盤面に沿って落下するように構成された遊技機であって、前記遊技盤に設けられ、前記遊技球が入賞することで、大当たり抽選の権利を得る始動口と、前記始動口よりも上部に設けられ、前記遊技球が乗り上がることで、当該乗り上がった遊技球の前記始動口への入賞率を高めた状態で前記遊技盤へ戻すステージ部と、前記ステージ部における前記始動口の直上に設けられ、当該ステージ部に乗り上がった遊技球の一部を、始動口へ案内する案内路が形成された案内手段と、を有し、前記案内路の案内幅寸法が、前記始動口の入賞幅寸法よりも大きく形成され、前記案内路の遊技球案内面形状を、当該案内路の入口から出口まで前記案内路幅内で揺動されながら案内移動されている間に、前記遊技球が徐々に前記案内路幅の中央に収束するように形成した、ことを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、ステージ部に遊技球が乗りあがると、その一部は、案内路に入り込む。遊技球は、入口から出口まで、この案内路内で揺動されながら移動し、始動口の直上へと至る。
【0016】
ここで、遊技球は、当該案内路幅内で案内移動されている間に、徐々に案内路幅の中央に収束する。これにより、遊技球は案内路内での揺動することで趣向性が維持される。また、出口から排出される遊技球は、ほぼ確実に始動口へ導くことで、遊技者に安心感を与えることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記ステージ部及び前記案内手段が、前記遊技盤の中央部に設けられ、前記抽選の結果を図柄変動パターン演出によって報知する表示装置を搭載したセンター役物ユニットに設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、ステージ部及び案内手段が、センター役物の一部として形成されており、ユニット化されているため、組み付け性が向上する。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記案内路の入口の位置が、前記遊技盤面に対して垂直方向の奥側に変位されており、入口から出口にかけての案内路が徐々に低位となる第1の平均角度θ1の傾斜面とされ、前記案内路における前記遊技球の重力荷重がかかる面が、案内幅両端のそれぞれから中央にかけて徐々に低位となる第2の平均角度θ2の傾斜面とされ、前記入口から出口への移動量がL1、前記案内幅の何れか一方の端部から中央への移動量がL2の場合に、
θ2/L2>θ1/L1・・・(1)
の関係を維持するように、移動距離及び傾斜角度を設定することを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、遊技球が入口から出口へ移動する場合、L1の距離を移動する。一方、遊技球が案内幅の何れか一方の端部から中央へ移動する場合、L2の距離の移動する。
【0020】
そこで、これらの距離を移動するとき、中央による時間を早くすれば出口から排出されるときには、ほぼ確実に案内路幅の中央に位置ことになる。
【0021】
これを式で表すと、(1)式のようになる。
【0022】
すなわち、移動量L1、L2は分母であるため、例えば、L1が小さくなると、その分θ1を小さくするか、θ2を大きくする必要がある。また、L2が大きくなると、その分θ2を大きくするか、θ1を小さくする必要がある。
【0023】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記移動量L1と移動量L2が同一であることを特徴としている。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、移動量L1とL2が同一であれば、傾斜角度θ1とθ2との関係だけを考慮すればよく、設計が容易となる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、前記請求項3又は請求項4記載の発明において、前記案内幅両端から中央までの傾斜面が、相対的に端部に近いほうが緩傾斜であり、中央に近いほうが急傾斜とされ、無段階に傾斜角度が変化していることを特徴としている。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、案内路幅の傾斜面は、案内幅両端から中央までの傾斜面が、相対的に端部に近いほうが緩傾斜であり、中央に近いほうが急傾斜とされ、無段階に傾斜角度が変化している。これにより、早期に遊技球が中央に寄ることがなく、また、段差がないため、球詰まり等も生じることがない。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した如く本発明では、遊技球の案内路内での揺動性を維持しつつ、かつ球詰まりを発生させるような凹凸を設けることなく、確実に遊技球を案内路の幅方向の所望の位置に集中させて排出させることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1には、本実施の形態に係るパチンコ機10が示されている。パチンコ機10は外枠12を備え、外枠12の前面には、窓部を有する額縁状の内枠14の一側部(図1の左辺部)が開閉可能に取付けられている。
【0029】
内枠14には、複数の表示灯62やスピーカ64が設けられている。また、内枠14の中央には、窓部となっており、この窓部には紙面奥行き方向に所定の間隔で互いに平行とされた一対のガラス16(二重構造)が装着されたガラス枠20が設けられている。また、内枠14の図1の右辺部には施錠装置(シリンダ)22が設けられている。
【0030】
ガラス枠20の下方位置には、球皿部24を備えた一体皿26が配設されている。この一体皿の球皿部24には、貯球タンク(図示省略)と連通し、この貯球タンク内のパチンコ球を球皿部24へ流出させる連通口23が設けられている。
【0031】
一体皿26は、その一側部(図1の左辺部)が内枠14に対して開閉可能に取付けられている。一体皿26の前面には、左側下部に灰皿28が配置され、右側下部には発射装置(図示省略)から発射する打球の飛距離を調整するための発射ハンドル30が設けられている。
【0032】
また内枠14の窓部には、遊技盤載置台に載せて交換可能とされた遊技盤32が窓部に対応して設置されている。
【0033】
図2に示される如く、遊技盤32は、外バンド36及び内バンド38によって囲まれた略円形状の遊技領域40が形成されている。
【0034】
遊技領域40には、図示しない釘や風車の他、センター役物42、当該センター役物42の中央部に設けられた表示部(液晶表示装置)43、並びに大入賞口(変動入賞装置)44等の役物、始動口46や通過装置48、入賞装置49等の遊技部品が取り付けられており、最下位置にアウト口54が配置されている。なお、センター役物42の上端部には、普通図柄表示装置42Aが設けられている。
【0035】
前記始動口46にパチンコ球が入賞すると、内部的に抽選(乱数カウンタから乱数を取得)が実行、当該抽選の結果を判定(取得した乱数と、当たり値との照合)が行われ、当該抽選の結果に基づいて、表示部43により、図柄変動パターン演出を実行する。
【0036】
この図柄変動パターン演出では、複数列(例えば、3列)の図柄列が変動し、最終的に停止した停止図柄列により、当たり/外れを遊技者に報知する。
【0037】
抽選の結果が当たり(大当たり)の場合には、前記大入賞口44が所定時間(例えば30秒)開放することを1ラウンドとして複数ラウンド(例えば15ラウンド)繰り返される。なお、大入賞口44の開放中に所定数(例えば10個)の入賞すると、所定時間経過する前でも大入賞口44は一旦閉じられ、所定の条件(例えば、Vゾーン通過)が成立している場合に、次ラウンドへ移行する(大当たり処理)。
【0038】
通過装置48は、前記普通図柄表示装置42Aの始動トリガとなっており、通過装置48をパチンコ球が通過すると普通図柄抽選が実行され、当たりの場合、普通図柄表示装置42Aの表示が当りを表示し、電動チューリップ47が開放し、始動口46への入賞の確率が物理的に高まるようになっている。
【0039】
図3及び図4に示される如く、センター役物42における表示部43の周縁部70には、様々な装飾が施されている。この装飾は、表示部43に表示される図柄や背景等のテーマ(コンセプト)に対応して設定される。
【0040】
特に、近年では、装飾によって形成される形状に対し、色付けを施したり、クロームメッキが施され、表示部43に表示される映像と共に演出の相乗効果を図っている。
【0041】
このセンター役物42の周縁部70は、表示部43の表示面に対して、手前(遊技者が着座する側)に突出しており、略箱状となっている。この突出することによって形成される周縁部70の内、下面を除く三方(左右側面と天井面)は、遊技者が着座している側に向かって徐々に、広がるように形成されている。このため、遊技者は、この三方の周縁部70を直視可能となる。
【0042】
前記周縁部70の下面は、パチンコ球が乗り上がることができるステージ72として機能する。ステージ72は、図3及び図4の手前側と奥側とで高さが異なる2段形状とされ、手前側が奥側よりも若干低く形成され、手前側が、主にパチンコ球の乗り上がりを受けるメインステージ部72A、奥側がサブステージ部72B(図4参照)となっている。
【0043】
メインステージ部72Aは、図3の左右方向に波型となっており、遊技盤32面の釘等の跳ね返りで、乗り上がったパチンコ球自身の勢いで、当該メインステージ部72A上を左右に移動した後、再度手前側から落ちるようになっている。
【0044】
また、図4に示される如く、メインステージ部72Aの左右方向中間は、波型の凸側となっているが、その頂点にパチンコ球をメインステージ部72Aの奥側(サブステージ部72B側)に案内する凹部74が形成されている。
【0045】
この凹部74に対応して、サブステージ部72Bとの境界段差面からサブステージ部72Bにかけて、通過入口部76が設けられており、前記凹部74によって案内されたパチンコ球は、この通過入口部76に入り易くなる。この通過入口部76に入ったパチンコ球は、通過路78を通って、センター役物42の下部に設けられた通過出口80(ハート型)から排出されるようになっている。
【0046】
通過出口80の直下には、始動口46(図2参照)が設けられており、通過出口80から排出されるパチンコ球のほとんどを始動口46へ導く役目を有している。
【0047】
図5に示される如く、通過路78は、略L字型に屈曲されており、前記通過入口部76を上端開口とする縦孔部78Aと、前記通過出口80を先端開口とする横孔部78Bとが連通している。
【0048】
縦孔部78Aは、断面が略U字型とされ、その内側幅寸法は、パチンコ球の直径よりも若干大きく、当該パチンコ球が1個ずつ通過する空間とされている。
【0049】
また、縦孔部78Aの上端から下端にかけて、互いに平行な一対の凸部82が形成されている。一対の凸部82は、縦孔部78Aから横孔部78Bへパチンコ球を円滑に受け渡す案内部材として機能する。
【0050】
すなわち、通過入口76から入ったパチンコ球は、自重で縦孔部78Aを落下し、その下端部で、遊技盤32の前方向(着座している遊技者方向)へ方向転換する。この方向転換時に、縦孔部78Aの上端から下端へ直線的に延設された前記一対の凸部82が、前記下端部で所謂R形状に遊技盤32の前方向に屈曲されているため、パチンコ球は落下の衝撃を受けずに方向転換されるようになっている。
【0051】
一方、横孔部78Bは、その内側幅寸法が、パチンコ球の直径に比べて、約3倍程度の幅寸法となっている。このため、縦孔部78Aからほぼ同一軌跡で送り出されたパチンコ球は、横孔部78Bでは、揺動することが可能となっている。
【0052】
この横孔部78は、遊技盤32の奥行きの奥側(上方に通過入口部76がある縦孔部78Aからの方向転換位置)から手前側(通過出口部80が存在する先端位置)にかけて(距離L1)、徐々に低位となるように傾斜されている(傾斜角度θ1)。なお、本実施の形態では、この傾斜角度θ1は、全行程で一定(例えば、θ≦5°)であるが、平均傾斜角度がθ1であればよい。
【0053】
また、図6に示される如く、この横孔部78Bは、遊技盤32の正面から見て、内方空間の輪郭が略ハート型とされている(図6(B)参照)。
【0054】
より具体的に言えば、横孔部78Bにおける前記パチンコ球が接触して、重力荷重が直接かかる支持面は、中央が最も低位となるように傾斜されており、かつ傾斜角度は、幅方向のそれぞれの端部から中央にかけて(距離L2)、左右対称に徐々に変化している。
【0055】
傾斜角度は、通過出口部80の幅方向のそれぞれの端部に近い側が最も小さく(θ2min、中央が最も大きくθ2maxなっている(平均傾斜角度をθ2(本実施の形態では、約20°)とする)。
【0056】
上記構成の横孔部78Bにおいて、前記縦孔部78Aから受け渡された直後にパチンコ球が幅方向のいずれかの端部に位置している場合、通過出口80へは距離L1を所定の傾斜角度θ1のスロープによって所定時間t1移動すると共に、距離L2を所定の傾斜角度θ2のスロープに従って、所定時間t2でで移動することになる。
【0057】
ここで、通過出口80から排出されるとき、幅方向中央部に位置していることが、最も始動口46に入賞し易いため、移動時間は、t2<t1であることが好ましい。
【0058】
そこで、上記移動時間をt2<t1とするべく、遊技盤32の奥側から手前側への移動時間のパラメータである移動距離L1、傾斜角度θ1、並びに横孔部78Bの何れかの端部から中央への移動時間のパラメータである移動距離L2、傾斜角度θ2を用い、形状を特定するようにした。
【0059】
すなわち、θ2/L2>θ1/L1の関係を維持することで、パチンコ球を横孔部78Bで揺動を許容しつつ、かつ、ほぼ確実に幅方向中央位置から排出させることが可能となる。
【0060】
以下に、本実施の形態の作用を説明する。
【0061】
まず、通常遊技の流れを説明する。
【0062】
遊技者がハンドル30を把持し、発射のための操作を行なうと、このハンドル操作量(回転量)に応じた強度で、パチンコ球が打ち出される。
【0063】
パチンコ球が打ち出されると、外バンド36及び内バンド38に案内されて盤面32の釘や風車等に当接しながら、予測し得ない移動をしながら落下していく。ここで、始動口46にパチンコ球が入賞すると、乱数カウンタ等を備えた抽選部250により所定の確率下で抽選が開始される。
【0064】
抽選の結果が当りの場合は、大当たり処理の実行が開始され、予め設定したラウンド数(例えば、15ラウンド)の大当たり処理が実行される。この大当たり処理中は、大入賞口44がほとんど開放状態であるため、遊技者によって有利な状態とすることができる。所定ラウンドの大当たり処理が終了すると、通常の遊技に戻る。
【0065】
このように、大当たり処理があると、遊技者は多くのパチンコ球の賞球払出を受けることができるため、その最初の契機である抽選、すなわち始動口46への入賞を目指してパチンコ球を発射する。
【0066】
始動口46への入賞は、釘等に跳ね返りながら入賞する場合と、メインステージ部72Aに乗り上がり、ほぼ中央に寄せられたあと入賞する場合と、があるが、これだけでは始動口46への入賞確実性は低い。
【0067】
そこで、メインテーブル部72Aに通過路78の通過入口76を設け、メインステージ部72Aに乗り上がったパチンコ球の一部を、凹部74等によりこの通過入口部76へ案内する。
【0068】
通過路78に入ったパチンコ球は、縦孔部78Aによって所定量自重落下した後、横孔部78Bへ受け渡されるように方向転換する。このとき、縦孔部78Bに形成したレール形状の一対の凸部82のR形状により、方向転換が円滑に行われ、ほとんど速度低下がない状態で方向転換が可能となる。
【0069】
横孔部78Bへ受け渡されたパチンコ球は、この横孔部78Bの内側幅寸法がパチンコ球の直径のほぼ3倍以上あるため、この間で揺動しながら傾斜角度θ1の傾斜面に沿って通過出口80に向かって転動する。
【0070】
一方、横孔部78Bの断面は、略ハート型形状となっており、パチンコ球が直接支持され、重力荷重がかかる面は、幅方向端部から中央にかけて徐々に傾斜角度が大きくなっている(平均傾斜角度θ2)。
【0071】
このため、幅方向端部に位置するパチンコ球は緩傾斜に沿ってゆっくりと中央へ移動し、中央に近づくに従い速度を増していく。この速度増加によって、中央へ到達したパチンコ球が中央を通り過ぎて、他方の端部へいく要素を含ませることができる。この不確実性を含ませることで、遊技の趣向性を維持することができる。
【0072】
ここで、理論的には、前記横孔部78Bの奥がわから手前側(通過出口80)に到達する移動時間のパラメータは、傾斜角度θ1と、移動距離L1である。一方、横孔部78Bの幅方向の一端部から中央へ到達する移動時間のパラメータは、傾斜角度(平均傾斜角度)θ2と、移動距離L2である。
【0073】
このとき、θ2/L2>θ1/L1の関係を維持することで、横孔部78Bの奥の位置、かつ幅方向一端部に位置するパチンコ球は、通過出口80に至るまでに、横孔部78Bの幅方向中央部に位置することになり、この中央部から排出されることで、始動口46への入賞率を高めることができる。
【0074】
図7において、横孔部における、パチンコ球の揺動と中央への案内とを共有する形状の従来と本実施の形態との比較する。
【0075】
図7(A)に示される如く、従来の一般的な構造では、横孔部100の床面に互いに平行な一対のレール部材102を設け、中央に案内している。しかし、これでは、幅方向の一端部にパチンコ球が位置すると、その位置に保持される可能性があると共に、段差により移動速度が変化の度合いが大きく、円滑な移動が妨げられ、最悪の場合球詰まりを発生させる可能性がある。
【0076】
これに対して、図7(B)に示される本実施の形態の横孔B78Bの形状では、揺動方向に対して段差がなく、連続して変化する傾斜面となっているため、端部で保持されることがなく、かつ移動速度の変化が円滑となり、球詰まり等の不具合は一切生じない。
【0077】
このように本実施の形態では、遊技盤32の奥側から手間側にかけて徐々に低位となる傾斜面をもつ横孔部78Bの幅方向に亘り、中央部を最も低位する左右対称の徐々に変化する傾斜面を形成することで、横孔部78B内での揺動を可能とすることで遊技の趣向性を維持しつつ、ほぼ確実に(わずかではあるが、不確実性を残す)、横孔部78Bの中央の位置で通過出口80から排出させるようにしたため、始動口46への入賞率を高めることができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、横孔部78Bを所謂ハート型とし、幅方向の傾斜角度を徐々に変化させるようにしたが、一定の傾斜角度(例えば、ホームベース型)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】本実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】本実施の形態に係るセンター役物の正面図である。
【図4】本実施の形態に係るセンター役物の斜視図である。
【図5】通過路の側面断面図である。
【図6】(A)は通過路の平面断面図、(B)は横孔部の正面図である。
【図7】横孔部の正面図であり、(A)は従来構造、(B)は本実施の形態の構造である。
【符号の説明】
【0080】
10 パチンコ機(遊技機)
32 遊技盤
42 センター役物
43 表示部
44 大入賞口
46 始動口
70 周縁部
72 ステージ部
72A メインステージ部
72B サブステージ部
74 凹部
76 通過入口部(案内手段)
78 通過路(案内手段、案内路)
78A 縦孔部(案内手段)
78B 横孔部
80 通過出口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦置きされた遊技盤面の上部に遊技球を送り出し、この遊技球が遊技盤面に設けられた少なくとも障害物によって移動方向を変えながら、当該遊技盤面に沿って落下するように構成された遊技機であって、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技球が入賞することで、大当たり抽選の権利を得る始動口と、
前記始動口よりも上部に設けられ、前記遊技球が乗り上がることで、当該乗り上がった遊技球の前記始動口への入賞率を高めた状態で前記遊技盤へ戻すステージ部と、
前記ステージ部における前記始動口の直上に設けられ、当該ステージ部に乗り上がった遊技球の一部を、始動口へ案内する案内路が形成された案内手段と、を有し、
前記案内路の案内幅寸法が、前記始動口の入賞幅寸法よりも大きく形成され、 前記案内路の遊技球案内面形状を、当該案内路の入口から出口まで前記案内路幅内で揺動されながら案内移動されている間に、前記遊技球が徐々に前記案内路幅の中央に収束するように形成した、ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ステージ部及び前記案内手段が、前記遊技盤の中央部に設けられ、前記抽選の結果を図柄変動パターン演出によって報知する表示装置を搭載したセンター役物ユニットに設けられていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記案内路の入口の位置が、前記遊技盤面に対して垂直方向の奥側に変位されており、入口から出口にかけての案内路が徐々に低位となる第1の平均角度θ1の傾斜面とされ、
前記案内路における前記遊技球の重力荷重がかかる面が、案内幅両端のそれぞれから中央にかけて徐々に低位となる第2の平均角度θ2の傾斜面とされ、
前記入口から出口への移動量がL1、前記案内幅の何れか一方の端部から中央への移動量がL2の場合に、
θ2/L2>θ1/L1・・・(1)
の関係を維持するように、移動距離及び傾斜角度を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記移動量L1と移動量L2が同一であることを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記案内幅両端から中央までの傾斜面が、相対的に端部に近いほうが緩傾斜であり、中央に近いほうが急傾斜とされ、無段階に傾斜角度が変化していることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate