説明

遊技機

【課題】 簡素な構成でもって、始動入賞時に可動部材が作動する際の発射球を確保することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】 始動入賞領域の入口から入賞した遊技球を検出する前段検出手段(賞球先出スイッチ200a)と、前記前段検出手段によって検出された遊技球を、再度検出する後段検出手段(可動部材作動スイッチ202a)と、前記前段検出手段による検出に基づいて、前記発射球供給手段に所定数の遊技球を供給させる発射球供給制御手段(遊技制御装置400)と、前記前段検出手段で検出された遊技球を、当該検出時から所定時間だけ待機させた後に前記後段検出手段によって検出可能な領域へ案内する待機案内手段(ロータリー部材201a)と、前記後段検出手段による検出に基づいて、前記可動部材を作動させる可動部材制御手段(遊技制御装置400)とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域に発射された遊技球が、始動入賞領域を通過した場合に、可動部材を作動させて遊技領域を流下する遊技球を内部へ受け入れる変動入賞装置を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
発射装置によって遊技領域に発射された遊技球が始動入賞領域へ入賞すると、可動部材が作動して、遊技領域を流下する遊技球を内部へ受け入れる変動入賞装置が知られている。
このような変動入賞装置を備えた、所謂、第2種パチンコ機等の遊技機では、変動入賞装置の内部へ受け入れた遊技球が、さらに特定の領域へ入賞すると、遊技者に有利な特別遊技状態を発生する。
【0003】
従来における第2種パチンコ機は、例えば、下記の特許文献1の「従来の技術」に記載された遊技機を例に説明すると、遊技者が発射ハンドルを操作して発射された遊技球が遊技盤の下部に設けられた第2種始動口に入賞すると、その入賞を検出する第2種始動口スイッチがONし、所定個数の賞球が払出され、その入賞から時間(例えば1.5秒)経過後に変動入賞装置に設けられた可動部材が横方向に開動作し、その開動作した可動部材と変動入賞装置との間に大入賞口が開口する。大入賞口が開口している時間(例えば0.3秒)が経過すると、可動部材が閉動作し、大入賞口が閉口し、特定領域の有効時間が開始する。そして、その大入賞口から入賞した遊技球が変動入賞装置の内部に設けられた特定領域を通過すると、その通過を検出する特定領域スイッチがONし、大当りが発生し、時間経過後に可動部材が複数回(例えば18回)連続して開放動作する。この複数回の連続開放動作を1ラウンドとして複数ラウンド(例えば15ラウンド)行うというものである。
【特許文献1】特開2003−181012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の遊技機においては、遊技球が始動入賞領域へ入賞して可動部材が作動するときに、発射球が無い状態を生じ得る。このような発射球が無い状態を生じてしまうと、変動入賞装置へ入賞することがないので、遊技者は失望し興趣を損なうという問題があった。
【0005】
かかる課題を解決すべく、上記特許文献1に示す遊技機では、発射装置によって発射可能な遊技球があるか否かを検出する構成を設け、発射可能な遊技球が存在しない状態で、遊技球が始動入賞領域へ入賞した場合には、変動入賞装置の可動部材の作動を待機させるようにしていた。
しかしながら、上記のような構成では、機構が非常に複雑となり、製造コストが嵩むという問題を抱えていた。
【0006】
そこで本発明は、遊技球が始動入賞領域へ入賞した場合に、入賞による賞球を遊技者に与えるタイミングと、入賞により変動入賞装置の可動部材が作動するタイミングとを分離することに着目し、簡素な構成でもって、始動入賞時に可動部材が作動する際の発射球を確保することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、遊技球供給皿の遊技球を取り込んで、遊技領域へ遊技球を発射する発射装置(602)が設けられ、前記発射装置によって発射された遊技球を、可動部材の作動によって取り込む変動入賞装置(3)と、前記発射装置によって発射された遊技球が入賞することにより前記可動部材(332)を作動させる始動入賞領域と、前記遊技球供給皿へ遊技球を供給する遊技球供給手段とを備えた遊技機において、前記始動入賞領域の入口から入賞した遊技球を検出する前段検出手段(賞球先出スイッチ200a)と、前記前段検出手段によって検出された遊技球を、再度検出する後段検出手段(可動部材作動スイッチ202a)と、前記前段検出手段による検出に基づいて、前記遊技球供給手段に所定数の遊技球を供給させる遊技球供給制御手段(遊技制御装置400)と、前記前段検出手段で検出された遊技球を、当該検出時から所定時間だけ待機させた後に前記後段検出手段によって検出可能な領域へ案内する待機案内手段(ロータリー部材201a)と、前記後段検出手段による検出に基づいて、前記可動部材を作動させる可動部材制御手段(遊技制御装置400)とを備えるようにした。
【0008】
また、前記待機案内手段には、前記前段検出手段によって検出された遊技球を受け入れ可能な複数の領域が個別に設けられ、何れかの領域へ受け入れられた遊技球が前記後段検出手段によって検出された場合に作動する前記可動部材の作動態様と、他の領域へ受け入れられた遊技球が前記後段検出手段によって検出された場合に作動する前記可動部材の作動態様とを互いに異ならせるようにできる。
【0009】
また、前記待機案内手段は、上方に凹面形状を備えその凹面において遊技球を旋回転動させて待機可能な遊技球旋回部が形成され、この遊技球旋回部の最深部近傍に、遊技球が通過可能な開口部を複数形成して構成されるとともに、前記前段検出手段によって検出された遊技球を遊技球旋回部へ誘導する誘導部を備え、前記後段検出手段は、複数の開口部の何れかの開口部で受け入れられた遊技球を検出する第1の後段検出手段と、他の開口部で受け入れられた遊技球を検出する第2の後段検出手段とによって個別に備えられ、前記誘導部を介して前記遊技球旋回部に案内された遊技球が、遊技球旋回部上で旋回転動された後に、前記複数の開口部の何れかへ誘導されるように構成してもよい。
【0010】
さらに、前記待機案内手段は、電気的駆動源によって回転駆動され且つ前記前段検出手段で検出された遊技球を受け入れる球受け部が周方向に所定間隔を空けて複数設けられた回転体により形成されるとともに、前記球受け部が所定の位置へ到達した際に保持していた遊技球を前記後段検出手段によって検出可能な位置へ向けて開放するように構成されるとともに、前記後段検出手段による遊技球の検出タイミングに基づいて、遊技球検出時点での前記回転体の位相を判定する位相判定手段を備え、前記可動部材制御手段は、前記位相判定手段によって判定された位相に基づいて、遊技球が保持されていた球受け部を特定し、特定された球受け部に対応させた所定の作動態様で前記可動部材を作動させるようにしてもよい。
【0011】
また、前記回転体を回転駆動する電気的駆動源を制御する電気的駆動源制御手段が備えられ、所定の遊技条件の成立により、前記可動部材の作動態様と前記球受け部との対応関係を変化させるか、若しくは、前記球受け部を有する回転体の回転速度を変化させるようにできる。
【0012】
さらにまた、前記前段検出手段と後段検出手段とによる検出結果に基づいて、前記回転体に遊技球が保有されているか否かを判定する保有判定手段と、前記保有判定手段により遊技球が保有されていると判定された状態で、新たに前記前段検出手段によって他の遊技球が検出された場合には、当該検出に基づいた前記遊技球供給手段による遊技球の供給を待機させるとともに、前記回転体の回転を停止させる始動待機手段とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、前段検出手段による検出の時点で賞球が排出され、且つ後段検出手段による検出があった際に変動入賞装置の可動部材が作動するので、可動部材の作動よりも先に発射装置に遊技球を確保することができる。
よって、遊技球が始動入賞領域へ入賞して可動部材が作動するときに、発射球が無いといった状態を抑制することができ、遊技者を失望させることなく興趣を維持することのできる遊技機を提供することができる。
【0014】
さらに、前段検出手段で検出された遊技球を、当該検出時から所定時間だけ待機させた後に後段検出手段によって検出可能な領域へ案内する待機案内手段と、後段検出手段による検出に基づいて、可動部材を作動させる可動部材制御手段とを備えているので、従来のように前段検出手段による検出結果を可動部材の作動時点まで記憶しておく必要が無くなり、制御手順を簡素化して、遊技機の製造コストを低減することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、前段検出手段によって検出された遊技球を受け入れ可能な複数の領域が個別に設けられ、何れかの領域へ受け入れられた遊技球が前記後段検出手段によって検出された場合に作動する前記可動部材の作動態様と、他の領域へ受け入れられた遊技球が前記後段検出手段によって検出された場合に作動する前記可動部材の作動態様とを互いに異ならせるようにしているので、前段検出手段で遊技球を検出した時点では、可動部材の作動態様が一意に決定しないため、前段検出手段で遊技球が検出した時点から、遊技球を受け入れ可能な複数の領域へ案内されるまでの待機時間中においても、遊技者にとって遊技球の行方が気になる遊技演出を実現でき、興趣を高めることができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、遊技球旋回部で遊技球を旋回させることにより、前段検出手段による検出の時点で排出された賞球が、発射装置に到達するまでの時間を確保することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、回転体によって誘導される時間を用いて、前段検出手段による検出の時点で排出された賞球が、発射装置に到達するまでの時間を確保することができる上に、1個の後段検出手段のみで、遊技球が保持されていた球受け部を特定できるので、簡素な構成で、興趣を高めることができる遊技機を実現できる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、後段検出手段で遊技球が検出された際の可動部材の作動態様を、様々に変化させることができるので、興趣を高めることが可能な遊技機を実現できる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、後段検出手段で遊技球が検出されるより前に後続の遊技球が前段検出手段で検出されても、回転体の回動が停止して、後続の遊技球が続けて後段検出手段へ到達することを防止できるので、後続の遊技球により可動部材を有効に作動させることができる。また、後続の遊技球による賞球排出を遅らせるので、後続の遊技球により可動部材を作動させるタイミングに合わせて、発射装置に遊技球を確保させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
第1の実施形態は、本発明に係る遊技機の構成例としてのパチンコ遊技機、特に、所謂「第2種」に属するタイプのパチンコ遊技機である。
この実施形態のパチンコ遊技機100は、内部の遊技領域1a内に遊技球(遊技媒体)を発射して遊技を行うもので、その前面枠(図示略)の前側上半部におけるガラス板(図示略)の奥側には、図1に示すように、遊技領域1aを構成する遊技盤1が設置されている。
【0021】
この遊技盤1のガイドレール2で囲まれた遊技領域1a内には、変動入賞装置3、一般入賞口4a〜4c、普図ゲート5、普通電動役物6、本発明の主要な構成となる始動入賞領域を構成する待機案内機構A1、特別遊技用の変動入賞装置B等が設けられている。なお、図示は省略するが、遊技領域1aには、その他に、風車と呼ばれる打球方向変換部材や多数の障害釘10等が配設されている。
【0022】
変動入賞装置3は、その内部となる凹室32に、凹室32の下部の床上を転動する遊技球を、凹室32の上部の後部に設けられた上部一般入賞領域32aと特別入賞領域32bとに揚送する揚送装置8を構成する第1の回転ドラム81と第2の回転ドラム82とを備えるものである。
【0023】
そして、変動入賞装置3は、遊技盤1に形成された取付用開口部(図示略)に遊技盤1の前面側から取り付けられるもので、遊技盤1の前側から後方に延在するように遊技盤1に取り付けられている。
【0024】
そして、変動入賞装置3は、その周縁部に設けられた取付基板31と、取付基板31の内側に設けられ、前側が開放された枠状で、前方に開放した凹室32を形成する前面枠部材33を備えている。
取付基板31は、変動入賞装置3の周縁部に遊技盤1の前面に沿って鍔状に形成されている。
【0025】
前面枠部材33は、その前部が遊技盤1より前側に突出して遊技領域1a内に配置され、変動入賞装置3の可動部材332,332(詳細は後述する)が開状態となっていない場合に、凹室32内への遊技球の侵入を阻止するようになっている。
【0026】
前面枠部材33の凹室32より上の上部を構成する上部構造部材34は、その前部が遊技盤1の前面(表面)より前方に配置され、遊技盤1の前方を覆うガラス板の近傍まで突出した状態となっており、遊技領域1a内で、変動入賞装置3の部分を流下しようとする遊技球の移動を規制すると共に、変動入賞装置3の左側もしくは右側に誘導するように配置されている。
【0027】
上部構造部材34は、変動入賞装置3の上部の装飾装置として機能すると共に、遊技領域1aの変動入賞装置3より上の部分から、開状態となった変動入賞装置3の後述する可動部材332,332の上部へ遊技球を誘導するワープ装置35,35を有するものである。
【0028】
上部構造部材34の上面部には、上に凸となる略円弧板状の鎧部材341が配置されている。そして、鎧部材341の中央より左右にずれた位置の上面には、左右のワープ装置35,35のワープ入口(図には現れない)が開口されている。
【0029】
また、中央の装飾部材342と左右の側部構成部材343,343との間の空間は、上記ワープ入口と連通して遊技球が流入可能で、かつ、流下可能とされると共に、第2ワープ通路(図示略)に遊技球を導出する第1ワープ通路352,352となっている。
【0030】
また、左右の側部構成部材343,343の下部の斜め外側を向いた面には、ワープ出口(図には現れない)が形成されている。そして、側部構成部材343,343内部の導入口からワープ出口までの部分が、遊技球が流動可能な上述の第2ワープ通路となっている。また、ワープ入口、第1ワープ通路352,352、導入口、第2ワープ通路及びワープ出口によってワープ装置35が構成されている。
【0031】
前記前面枠部材33は、上部構造部材34の直下の左右側部に、前面枠部材33内部となる凹室32内に遊技球を流入させる流入口331,331を有している。そして、前面枠部材33の左右の流入口331,331の部分には、流入口331,331を開閉するようにそれぞれ可動部材332,332が設けられている。
【0032】
可動部材332,332は、その下端部に回転中心を有して、左右に回動可能となっており、可動部材332、332が略垂直に立った状態で、流入口331,331を遊技球の流入が不可となるように閉塞した閉状態となる。
【0033】
また、左側の可動部材332が下端部を中心に左斜め上を向いた状態に回転し、右側の可動部材332が下端部を中心に右斜め上を向いた状態に回転した場合に、前記流入口331,331を遊技球の流入が可となるよう開放した開状態となる。また、左側の可動部材332が左斜め上を向いた状態となり、右側の可動部材332が右斜め上を向いた状態となった開状態では、可動部材332,332上に流下する遊技球を、斜め上を向いた当該可動部材332,332が変動入賞装置3の凹室32内に誘導するようになっている。
これにより、可動部材332,332は、凹室32を形成する前面枠部材33を備えた変動入賞装置3を開状態と閉状態とに変換することができる。
【0034】
また、隔壁334の後端部から上部構造部材34に向かって上に延出する仕切壁335の前面部には、液晶表示装置等で構成される情報表示部Jが設けられ、後述する待機案内機構A1における入賞態様に応じた可動部材332の作動態様等が表示される。
【0035】
また、前面枠部材33には、その内部の凹室32の奥の略下半分に遊技盤1の左右方向に設定された回転軸を中心に回転可能な2重構造の揚送装置8が設けられている。
【0036】
図2に示すように、ドラム機構8は、第1の回転ドラム81と第2の回転ドラム82が配置されると共に、第1の回転ドラム81と第2の回転ドラム82の後方に、上部入賞領域仕切壁337が垂直に設けられている。なお、第1の回転ドラム81と第2の回転ドラム82とは、同軸上に配置されると共に、これらの回転軸81dがパチンコ遊技機100の左右方向に軸支されている。
【0037】
揚送装置8は、上述のように第1の回転ドラム81と第2の回転ドラム82とを有すると共に、第1の回転ドラム81を回転させる第1のモータ811と、第2の回転ドラム82を回転させる第2のモータ821とを有する。これら第1及び第2のモータ811,821は、回転速度及び回転方向を変更可能な例えばステッピングモータからなる。
【0038】
第1の回転ドラム81は、左右方向に設定された回転軸を中心に回転可能に構成され、前記転動部の遊技球を吸着する磁石81aを有すると共に、吸着した遊技球を回転動作により前記一般入賞領域32a又は特別入賞領域32bに揚送可能となっている。
【0039】
また、前面枠部材33には、凹室32の第2の回転ドラム82上の第2の回転ドラム82の回転軸より僅かに後方の位置の左右に、誘導部材39,39が配置されている。誘導部材39,39は、扇状の形状を有し、円弧辺側を外周とし、基端部となる鋭角側を回転中心として回転移動するようになっている。また、誘導部材39,39は、上部入賞領域仕切壁337の左の一般入賞領域32aを左の誘導部材39が遮り、右の一般入賞領域32aを右の誘導部材39が遮る位置から、左の誘導部材39は左に、右の誘導部材39は右に回転移動し、それぞれ、一般入賞領域32aを遮らない位置に移動可能となっている。
【0040】
なお、図2において符号130は、凹室32の底面に形成された開口部(図示せず)を開閉可能な床板部材である。この床板部材130が閉じている間は、床板部材130の上部に乗った遊技球が揚送装置8により上方へ揚送される可能性があるが、床板部材130が開放すると床板部材130の上部に乗っていた遊技球は下方へ落下するようになっている。
【0041】
なお、可動部材332,332に拾われて、変動入賞装置3内に流入した全ての遊技球は、補助遊技カウントスイッチHS(図4参照)を通過した後に、上述のように変動入賞装置3内部を流下し、最後は、変動入賞装置3内の残存球を検出する補助遊技残留確認スイッチHKS(図4参照)を通過して、変動入賞装置3から排出される。なお、補助遊技残留確認スイッチHKSは、変動入賞装置3の所定の排出流路に設置される。
【0042】
すなわち、変動入賞装置3内に流入した遊技球は、補助遊技カウントスイッチHSにより内部へ入ったことが検出され、また、補助遊技残留確認スイッチHKSを通過してから排出されるので、補助遊技カウントスイッチHSが計数した数と補助遊技残留確認スイッチHKSが計数した数の差が「0」となったときに、変動入賞装置3内の遊技球がすべて排出されたことを確認できる。但し、補助遊技残留確認スイッチHKSは、本実施の形態(第1実施形態)では用いず、後述する第2実施形態で用いられるものとする。
【0043】
次に、図3を参照して、待機案内機構A1について説明する。
待機案内機構A1は、変動入賞装置3の直下に配置され、遊技球が通過可能な賞球先出ゲート200と、該賞球先出ゲート200と所定距離だけ離間させた下方に配設される待機案内手段としての球分別装置201と、該球分別装置201と所定距離だけ離間させた下方に配設される可動部材作動部202と、から構成されている。
【0044】
賞球先出ゲート200は、近接センサで構成される前段検出手段としての賞球先出スイッチ200aと、該センサを係合させて遊技盤1に固定する固定部材200bとから構成されている。
【0045】
球分別装置201は、周面に120度間隔で3箇所の球保持用の凹部(球受け部)H1〜H3を形成した回動可能なロータリー部材201aと、該ロータリー部材201aの周面と非接触状態でロータリー部材201aの側部を左右から覆う一対のガイド部材201c,201cを備えたケース部材201bと、ケース部材201bの後方に配置されてロータリー部材201aを時計回りあるいは反時計回りに回転させるパルスモータからなる始動口モータ201f(電気的駆動源)と、から構成されている。
なお、ガイド部材201c,201cの間の上端側と下端側には、遊技球Qが通過可能な間隙201d,201eがそれぞれ形成されている。
【0046】
可動部材作動部202は、近接センサで構成される後段検出手段としての可動部材作動スイッチ200aと、該センサを係合させて遊技盤1に固定する固定部材202bとから構成されている。
【0047】
なお、図1において図示は省略したが、この待機案内機構A1の周囲には案内釘が適宜立設され、球分別装置201のロータリー部材201aに対しては、賞球先出ゲート200を通過した遊技球Qのみが入るようにされ、脇側から他の遊技球が流入することを防ぐようになっている。同様に、球分別装置201と可動部材作動部202との間にも案内釘が適宜立設され、球分別装置201のロータリー部材201aから下方へ放出された遊技球のみが、可動部材作動部202へ入賞するようにされ、脇側から他の遊技球が流入することを防ぐようになっている。
【0048】
これにより、賞球先出ゲート200を経て流下した遊技球Qが、ロータリー部材201aの回動によって、上方の間隙201dから下方の間隙201eまで誘導される時間を用いて、賞球先出ゲート200による検出の時点で、遊技球供給手段を構成する排出装置601により排出された賞球が、遊技球供給皿を経て発射装置602に到達するまでの時間を確保することができる。なお、排出装置601、遊技球供給皿、発射装置602についは、後述する。
【0049】
また、ロータリー部材201aの近傍(あるいは内部)には、始動口モータ201fの初期位置を検出する始動口モータ初期位置センサMS(図4参照)が設けられており、遊技制御装置400は、この始動口モータ初期位置センサMSと、始動口モータ201fに付加された駆動パルスの数によって、始動口モータ201fの現在の位相が把握できるようになっている(位相判定手段として機能している)。そのため、可動部材作動スイッチ202aで遊技球Qを検出したタイミングに基づいて、遊技球Qが、ロータリー部材201aの球受け部H1,H2,H3のうちの、どの球受け部から放出されたのかを判定することができるようになっている。
【0050】
さらに、球受け部H1,H2,H3は、それぞれ異なる色(例えば、H1が赤色,H2が黄色,H3が青色等)に塗り分けられており、各色(即ち、各球受け部H1〜H3)に応じて、可動部材332の作動態様(作動する回数)が異なるように設定されている。(詳細は、図11を用いて後述する。)
【0051】
従って、1個の可動部材作動スイッチ202aのみで、遊技球Qが保持されていた球受け部の位置を特定し、その特定された球受け部に対応した可動部材332の作動態様を決定することができるので、簡素かつ安価な構成で、興趣を高めることができる遊技機を実現できる。
【0052】
また、賞球先出ゲート200による検出の時点で賞球が排出され、且つ可動部材作動スイッチ202による検出があった際に変動入賞装置3の可動部材332が作動するようになっているので、可動部材332の作動よりも先に発射装置602に遊技球を確保することが可能となる。よって、遊技球が可動部材作動スイッチ202へ入賞して可動部材332が作動するときに、発射球が無いといった状態を抑制することができ、遊技者を失望させることなく興趣を維持することができる。
【0053】
さらに、賞球先出ゲート200で検出された遊技球を、当該検出時から所定時間だけ待機させた後に可動部材作動スイッチ202によって検出可能な領域へ案内する待機案内機構A1と、可動部材作動スイッチ202による検出に基づいて、可動部材332を作動させる後述の可動部材制御手段(遊技制御装置400)とを備えているので、従来のように賞球先出ゲート等の前段検出手段による検出結果を可動部材の作動時点まで記憶しておく必要が無くなり、制御手順を簡素化して、遊技機の製造コストを低減することができる。
【0054】
なお、図1に示す特別遊技用変動入賞装置Bは、変動入賞装置3に入賞した遊技球が特別入賞領域32bへ入賞して、遊技者が有利な特別遊技状態が発生すると、所定時間あるいは所定の賞球数に達するまで、開閉扉250を開放させて遊技球を容易に受け入れるものである。
【0055】
ここで、図4に基づいて、遊技制御装置400と演出制御装置500の一例を説明する。図4は、遊技制御装置400と演出制御装置500の概略構成を示すブロック図である。
図4に示されているように、遊技制御装置400は遊技に必要な役物制御を行う半導体集積回路化されたマイクロチップ(広義のCPU)からなる遊技用マイクロコンピュータ411と、水晶発振子の発振信号を分周して所定の周波数のクロック信号を得るクロック生成回路(図示せず)と、各種センサからの信号を受け入れる入出力インターフェース(I/F)413とを含んで構成される。
【0056】
前記遊技用マイクロコンピュータ411は、演算制御手段としての中央処理ユニット(CPU)と、記憶手段としてROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)などを内蔵しており、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造されている。CPUが行なう遊技進行制御に必要なプログラムや賞球数データはROMに格納されている。
【0057】
遊技制御装置400には、入出力インターフェース413を介して、一般入賞口4a〜c等に設けられる入賞口スイッチSS1〜SSnからの信号、待機案内機構A1に関連する各種スイッチ(賞球先出ゲート200に設けられる賞球先出スイッチ200a,始動口モータ初期位置センサMS,可動部材作動スイッチ202a)からの検出信号、補助遊技用変動入賞装置3に関連する各種スイッチ(補助遊技カウントスイッチHS,特定領域スイッチTS,補助遊技残留確認スイッチHKS)からの検出信号、特別遊技用変動入賞装置Bに関連する大当りカウントスイッチCSからの検出信号などが入力される。
【0058】
一方、遊技制御装置200からは入出力インターフェース413を介して、始動口モータ201f、可動部材ソレノイドSOL1、床板部材ソレノイドSOL2、誘導部材ソレノイドSOL3、第1モータ811、第2モータ821、大入賞口ソレノイドSOL4、図示しない遊技店の管理装置に対して大当り発生などのデータを送信する外部出力端子700、普電用ソレノイドSOL5、普通図柄表示器および普図記憶表示器601への信号などが出力される。
【0059】
演出制御装置500は、演出制御用のCPU、入出力インターフェース(I/F)、制御用プログラムや固定データを記憶するリードオンリメモリ(ROM)、演出制御用CPUの作業領域を提供したり遊技制御装置400から送られて来たデータや演出用データを記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)などで構成される。
【0060】
演出制御装置500の演出制御用CPUには、入出力インターフェースを介して、遊技制御装置400から演出制御データ等が入力される。また、入出力インターフェースを介して装飾ランプ・LED710、スピーカSP、情報表示部J等が接続されている。
また、遊技制御装置400には、排出発射制御装置600が接続され、該排出発射制御装置600には排出装置601および発射装置602が接続されている。
【0061】
排出装置601は、賞球としての遊技球を遊技者に供与する装置であり、排出装置601から排出された遊技球は、遊技機の前面に設けた右方向に緩傾斜する周知の受け皿形状の遊技球供給皿へ流下する。発射装置602は、遊技球供給皿へ確保された遊技球を受け入れて、遊技領域へ発射する周知のものである。従って、排出装置601から排出された遊技球は、遊技球供給皿の上面を流下して、そのまま発射装置602に供給される。
【0062】
次に、上記構成のパチンコ遊技機の状態遷移について図5の状態遷移図を参照して説明する。
まず、No=0の「可動部材作動待ち状態」から作動の各種条件成立によりNo=1の「可動部材1回作動状態」,No=2の「可動部材2回作動状態」,No=3の「可動部材3回作動状態」にそれぞれ遷移する。なお、「No」とは後述する処理願号を意味するものであり、処理願号が「0」、「1」、・・・の場合を、No=0、No=1、・・・と表記している。次いで、タイムアップ時に補助遊技入賞数カウンタが「0」で、且つ特定入賞検出フラグがオフである場合はNo=0の「可動部材作動待ち状態」に戻る。
【0063】
ここで、No=1の「可動部材1回作動状態」とは、可動部材332が開放開始してから閉止するまで(1回のみの開放)の期間に相当する。また、No=2の「可動部材2回作動状態」とは、可動部材332が最初に開放開始した時点を起点とし、次いで可動部材332が一旦閉止し、次いで2回目の開放を開始した後に、当該開放が閉止した時点を終点とする期間に相当する(計2回の開放を行う)。また、No=3の「可動部材3回作動状態」とは、可動部材332が最初に開放開始した時点を起点とし、次いで可動部材332が一旦閉止し、次いで2回目の開放を開始し、次いで可動部材332が一旦閉止し、次いで3回目の開放を開始した後に、当該開放が閉止した時点を終点とする期間に相当する(計3回の開放を行う)。
【0064】
一方、No=1〜3の状態において、タイムアップ時に特定入賞検出フラグがオンである場合はNo=5の「特別遊技状態の開始演出中」の状態に遷移し、この状態でタイムアップするとNo=6の「特別遊技状態の賞付与動作中」の状態に遷移し、特別遊技用変動入賞装置Bが作動する。さらに、特別遊技状態の終了条件が成立するとNo=7の「特別遊技状態の終了演出中」の状態に遷移し、特定遊技作動カウンタ=10がセット(あるいは、抽選により任意の値を設定)されてタイムアップするとNo=0の「可動部材作動待ち状態」に戻る。
【0065】
また、No=1〜3の状態において、タイムアップ時に補助遊技入賞数カウンタが「>0」の場合には、No=4の「特定領域監視延長状態」に遷移し、タイムアップ時に特定入賞検出フラグがオフである場合はNo=0の「可動部材作動待ち状態」に戻る。
【0066】
次に、図6のタイミングチャートを参照して、遊技制御装置400に接続されている各種スイッチおよび装置の動作タイミングについて説明する。
まず、待機案内機構A1において賞球先出スイッチ200aを遊技球Qが通過して検出信号P1が出力されると、排出装置601から賞球が排出されて発射装置602に遊技球が供給される。なお、図示はしないが、検出信号P1aに基づいて、遊技制御装置400から排出制御装置600へ賞球排出指令が出力されることにより、所定数の賞球の払い出しが行われている(図7を参照して後述する)。次いで、可動部材作動スイッチ202aによる検出が有効な状態において、球分別装置201のロータリー部材201aの何れかの球受け部H1〜3に遊技球が受け入れられて移送される時間T1を経て、可動部材作動スイッチ202aにより遊技球Qの検出信号P2が出力される。
【0067】
したがって、この時間T1の間において、可動部材332の作動よりも先に発射装置602に遊技球を確保することができる。よって、遊技球Qが始動入賞領域へ入賞して可動部材332が作動するときに、発射球が無いといった状態を抑制することができ、遊技者を失望させることなく興趣を維持することができる。
そして、可動部材作動スイッチ202aの検出信号に基づいて可動部材332が所定の回数(図6では2回)の作動K1,K2を行う。
【0068】
また、カウントの有効期間中にカウントスイッチCSにより遊技球の検出信号K3が出力された場合には、その検出信号K3に基づいて特定入賞が有効となる状態が発生し、この有効状態のときに特定領域スイッチTSで遊技球を検出すると、特定入賞検出フラグがオンとなって特定遊技(大当り)が開始される。ただし、有効状態が発生しても、特定領域スイッチTSで遊技球が検出されないまま、所定期間T4が経過すると、特定入賞の有効状態は解除される。
【0069】
次に、図7のタイミングチャートを参照して、待機案内機構A1によって遊技球が待機されている状態において、さらに賞球先出スイッチ200aによって後続の遊技球が検出された場合の処理について説明する。
まず、待機案内機構A1において賞球先出スイッチ200aを遊技球Qが通過すると検出信号P1aが出力される。図6では図示を省略したが、この検出信号P1aに基づいて、遊技制御装置400から排出制御装置600へ賞球排出指令P3aが出力され、所定数の賞球の払い出しが行われる。
【0070】
次いで、検出信号P1aを発生させた遊技球が可動部材作動スイッチ202aへ到達する以前に(つまり、後述する始動口残留部カウンタの値が0より大きい時に)、新たな遊技球が賞球先出スイッチ200aを通過した場合には、新たに検出信号P1bが発生する。このとき、遊技制御装置400は保有判定手段として機能しており、球分別装置201に球が残留していると判定した場合には、この検出信号P1bに基づく賞球排出指令P3bを生成するが、図で表されるタイミング(可動部材作動スイッチ202aの検出が有効な状態に変化するタイミングであり、特定入賞の有効状態が解除されるタイミングでもある)まで排出制御装置600への送信を待機する。
【0071】
次いで、可動部材作動スイッチ202aによる検出が有効な状態において、球分別装置201のロータリー部材201aの何れかの球受け部H1〜3に遊技球が受け入れられて、所定時間後に可動部材作動スイッチ202aにより遊技球Qの検出信号P2が出力される。
そして、可動部材作動スイッチ202aの検出信号P2に基づいて可動部材332が所定の回数(図7では2回)の作動K1,K2を行う。
【0072】
このとき、始動口モータ201fが、可動部材作動スイッチ202aの検出信号P2の立下がりタイミングから所定時間t2後に停止する(始動待機手段として機能している)。このとき、ロータリー部材201aの回動が停止することになり、ロータリー部材201aが停止している間は、賞球先出スイッチ200aで2回目に検出された遊技球(検出信号P1bを発生させた遊技球)は、可動部材作動スイッチ202aまで誘導されない。
【0073】
また、カウントの有効期間中にカウントスイッチCSにより遊技球の検出信号K3が出力された場合には、その検出信号K3に基づいて特定入賞が有効となる状態が発生し、この有効状態のときに特定領域スイッチTSで遊技球を検出すると、特定入賞検出フラグがオンとなって特定遊技(大当り)が開始される。但し、有効状態が発生しても、特定領域スイッチTSで遊技球が検出されないまま、所定期間T4が経過すると、特定入賞の有効状態は解除され、始動口モータ201fの回動が開始し(ロータリー部材201aの回動が開始し)、待機していた賞球排出指令P3bが遊技制御装置400から排出制御装置600への送信されて、新たに所定数の賞球の払い出し(検出信号P1bを発生させた遊技球に対応する賞球の払い出し)が行われる。
【0074】
これにより、可動部材作動スイッチ202aによる検出信号P2が出力されるより前に後続の遊技球が賞球先出スイッチ200aに検出されて検出信号P1bが出力されると、ロータリー部材201aの回動が一時停止して、後続の遊技球が続けて可動部材作動スイッチ202aへ到達することを防止できるので、後続の遊技球により可動部材332を有効に作動させることができる。また、後続の遊技球による賞球排出を遅らせる(遊技制御装置400から排出制御装置600に対して、賞球排出指令P3bの送信を一時的に待機させている)ので、後続の遊技球により可動部材332を作動させるタイミングに合わせて、発射装置602に遊技球を確保させることができる。
【0075】
次に、図8〜図13のフローチャートおよび表1,表2を参照して第1の実施形態に係るパチンコ遊技機100の制御手順について説明する。
まず、図8と図9のフローチャートに基づいてパチンコ遊技機100の遊技制御のメインフローに関する処理について説明する。
この処理では、パチンコ遊技機100への電源が投入された後、図8のフローチャートに示す処理が実行されて、所定時間周期(例えば1ms)毎にタイマ割り込みが発生すると図9のタイマ割込処理の各プログラムが呼び出されて実行されるようになっている。
【0076】
まず、パチンコ遊技機100が起動されると、図8のステップS1で初期化処理が実行され、遊技機を初期状態に設定する。次いでステップS2で攪拌用乱数の更新処理が実行され、「撹拌用カウンタ」を更新する処理を行う(詳細については後述する)。
以後このステップS2の処理を、パチンコ遊技機100への電源供給がなくなるまで、繰り返し行う。
【0077】
次に、タイマ割り込みが発生した際に遊技制御装置400で実行される処理手順について、図9のフローチャートを参照して説明する。
以下に説明するステップS3〜ステップS15のタイマ割り込み処理は、例えば、1msといった比較的短い比較的短い時間周期で繰り返し実行される。
【0078】
まず、ステップS3では、割り込み禁止の設定と、レジスタ退避の処理を行う。
ステップS4では、入力処理を行う。ここにいう入力処理とは、例えば入力インターフェースを介して入力される各種センサやスイッチ等からの信号にチャタリング除去等の処理を施し、入力情報を確定する処理である。
【0079】
ステップS5では、出力インターフェースを介し、予め決められたデータを予め決められた出力先に出力する処理を行う。出力されるデータとしては、各種ソレノイド、モータ等のデータが含まれる。
【0080】
ステップS6では、後述する表示制御指令信号(コマンド)を演出表示制御装置500に出力する処理や、排出制御装置600に賞球指令信号を出力する処理などを行う。ここでは、後述する図10のステップS902で準備された賞球指令コマンド(賞球排出指令)を、排出制御装置600に送信するが、図7のP3bに示す様に賞球指令コマンドを待機させる場合は、準備された賞球指令コマンドを保持しておく。
【0081】
ステップS7では、乱数更新処理を行い、普図変動表示ゲームが当たりか否かを判定するための「普図乱数カウンタ」、及び変動表示ゲームを進行させる際の演出あるいは装飾(変動表示パターンや停止図柄等)にランダム性を付与するための各乱数カウンタの値を更新する。「普図乱数カウンタ」を更新するときには、例えば0から99の間でカウンタの値を所定の時間周期、例えば1ms周期で1づつ増加させ、値が99を越したときに再び0に戻すような処理を行っており、遊技球が普図始動ゲートを通過した際の「普図乱数カウンタ」の値が、特定の値であった場合には、普図変動表示ゲームが当たりとなる様になっている。
【0082】
ステップS8では、遊技機の球詰まりや各種スイッチ、センサ等の異常などを監視するエラー監視処理を行う。
【0083】
ステップS9では、スイッチの監視処理を行う。なお、このスイッチ監視処理については図10のフローチャートを参照して後述する。
【0084】
ステップS10では、メインゲーム処理、すなわち始動口への入賞に伴う変動入賞装置の可動部材の作動、並びに、大当たりが発生して変動入賞装置を作動させる処理を行う。なお、このメインゲーム処理については図13のフローチャートを参照して後述する。
【0085】
ステップS11では、普通図柄ゲーム処理、すなわち普図変動表示ゲームの進行ならびに普通変動入賞装置を制御する処理を行う。具体的には、普図始動センサで検知された普図ゲートの遊技球の通過に基づいて抽出した普図乱数カウンタ値(ステップS9で抽出した普図変動表示ゲームの結果態様に関する乱数)が当たりか否か判定し、普通図柄表示器601の変動表示のための処理を行う。普図乱数値が所定の値であれば、普図に関する当たり状態となり、普図が当たり図柄で変動表示が停止する。この当たり状態になると普電ソレノイドを駆動して普通変動入賞装置を開放し、入賞が容易な状態になる。
【0086】
ステップS12では、内部構造制御情報編集処理を行う。この処理では、変動入賞装置3の可動部材(可動部材用ソレノイドSOL1)の出力バッファ、誘導部材(誘導部材用ソレノイドSOL3)の出力バッファ、床板部材(床板部材用ソレノイドSOL2)の出力バッファ、第1のモータ811の出力バッファ、第2のモータ821の出力バッファへデータを設定する。
【0087】
ステップS13では、始動口モータ制御処理を行う。この処理では、始動口モータ201fを回動/停止させる処理を行うために、始動口モータ201fの出力バッファへデータを設定する。
【0088】
ステップS14では、外部情報編集処理を行う。この処理では、外部出力端子700を介して接続されるホールコンピュータ(管理装置)に遊技機の状態を出力するための遊技情報を編集する処理を行う。
【0089】
遊技制御装置400は、上述の処理を実行し、一時退避していたレジスタの復帰処理および禁止設定されていた割り込みの許可設定をする処理をステップS15のレジスタの復帰割込許可で行い、リターンする。そして、次のタイマ割り込みが発生するまでステップS2における撹拌用乱数更新処理を繰り返し行う。
【0090】
なお、前述したステップS7で、常時、「普図乱数カウンタ」の値を、0〜99の間で単純に巡回させてしまうと、普図変動表示ゲームが当たりとなってしまうタイミングが簡単に判明するという不都合があるので、ステップS7の処理では、「普図乱数カウンタ」の値が1周した際に、「普図乱数カウンタ」の値を、「普図乱数カウンタ」とは別のタイミングで更新される「撹拌用カウンタ」の値に置換してから、再度、周回させる処理を行っている。そのため「撹拌用カウンタ」自体を更新する処理がステップS2における撹拌用乱数更新処理で行なわれている。
【0091】
次に、図10のフローチャートに基づいて、前出のステップS9の「スイッチ監視処理」のサブルーチンの処理手順について説明する。
この処理では、まずステップS901で、賞球先出スイッチ200aで遊技球を検出したか否かが判定され、"No"の場合にはステップS904にジャンプし、"Yes"の場合にはステップS902に移行する。
ステップS902では、賞球指令コマンドの準備を行い、次いで、ステップS903で、始動口残留部カウンタを+1更新してステップS904に移行する。
【0092】
ステップS904では、賞球関連スイッチ監視処理を行い、ステップS905では、可動部材作動スイッチ202aの監視処理を実行する。なお、可動部材作動スイッチ監視処理については図11のフローチャートを参照して後述する。
【0093】
ステップS906では、普図始動スイッチ監視処理を行い、ステップS907では、補助遊技関連スイッチ監視処理を実行する。なお、補助遊技関連スイッチ監視処理については図12のフローチャートを参照して後述する。
ステップS908では、大当りカウントスイッチCSの監視処理を行った後に図9のタイマ割込処理にリターンする。
【0094】
次に、図11のフローチャートを参照して、前出のステップS905の「可動部材作動スイッチ監視処理」のサブルーチンの処理手順について説明する。
この処理では、まずステップS100において、可動部材作動スイッチ202aで遊技球を検出したか否かが判定される。そして、"No"の場合にはそのまま図10のスイッチ監視処理にリターンし、"Yes"の場合には、ステップS101に移行する。
ステップS101では、始動口残留部カウンタを−1更新してステップS102に移行する。
【0095】
ステップS102では、処理番号が「0」か否かが判定される。図5の状態遷移図の説明で前述したように、現在の遊技状態が「可動部材作動待ち状態」であれば処理番号=「0」である。そして、ステップS102において、処理番号=0ではない(現在の遊技状態が「可動部材作動待ち状態」でないので、現在の遊技状態が可動部材作動スイッチ202を無効としている)と判定された場合にはそのまま図10のスイッチ監視処理にリターンし、処理番号=0である(現在の遊技状態が「可動部材作動待ち状態」なので、可動部材作動スイッチ202を有効としている)と判定された場合には、ステップS103に移行する。
【0096】
ステップS103では、現時点(可動部材作動スイッチ202を遊技球が通過した時点)の始動口モータ201fの位相を、始動口モータ初期位置センサMSからの信号に基づいて算出し、球受け部H1〜H3のどこから遊技球が放出されたのかを判定する。この判定は、始動口モータ201fの位相と球受け部H1〜H3との位置関係、遊技球が球受け部H1〜H3から放出されて可動部材作動スイッチ202へ到達するまでの時間、始動口モータ201fの回転速度に基づいて行われ、前述したように、始動口モータ初期位置センサMSの検出結果と、始動口モータ201fに付加された駆動パルスの数とを用いて判定を行う。
【0097】
次に、ステップS104では可動部材332の作動回数を決定する。これは、球受け部H1〜H3の中から、ステップS103で特定された球受け部に対応するものを1つ特定し、その特定された球受け部の位置と、特定遊技作動カウンタの値とに基づいて、以下の表1又は表2に従うことにより、可動部材332の作動回数が決定されるものである。
【0098】
【表1】

【0099】
ここにいう処理番号は、先に図5の状態遷移図で説明した処理番号に対応するものであり、ロータリー部材201aの球受け部H1,H2,H3に施された色、「赤色」,「黄色」,「青色」に応じて、予め定められた番号が割り当てられるようになっている。なお、処理番号=1は可動部材332が1回作動することに対応し、処理番号=2は可動部材332が2回作動することに対応し、処理番号=3は可動部材332が3回作動することに対応する。
【0100】
まず、表1は、通常時(即ち、特定遊技作動カウンタ=0の時)の作動態様を示している。
表1において、ロータリー部材201aの赤色の球受け部H1に遊技球Qが受け入れられた場合の処理番号「2」では、可動部材332を0.4秒開放→0.4秒閉止→0.4秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで計2回の開閉動作を行う。
【0101】
また、ロータリー部材201aの黄色の球受け部H2または青色の球受け部H3に遊技球Qが受け入れられた場合の処理番号「1」では、可動部材332を0.2秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで1回の開閉動作を行う。
【0102】
一方、表2は、大当り後の特定遊技状態時(即ち、特定遊技作動カウンタ>0の時)の作動態様を示している。
【0103】
【表2】

【0104】
表2において、ロータリー部材201aの赤色の球受け部H1に遊技球Qが受け入れられた場合の処理番号「3」では、可動部材332を0.6秒開放→0.6秒閉止→0.6秒開放→0.6秒閉止→0.6秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで計3回の開閉動作を行う。
【0105】
また、ロータリー部材201aの黄色の球受け部H2または青色の球受け部H3に遊技球Qが受け入れられた場合の処理番号「2」では、可動部材332を0.4秒開放→0.4秒閉止→0.4秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで計2回の開閉動作を行う。
このようにして、遊技球が受け入れられたとみなされる球受け部の位置(H1、H2、H3)と、特定遊技作動カウンタの値とから、可動部材332の作動回数が決定される。
【0106】
ステップS105において作動回数に応じて分岐処理(ステップS106からステップS108)を行う。
ステップS106では、1回作動として、処理番号に「1」を設定すると共に処理タイマ設定を行い、ステップS107では、2回作動として、処理番号に「2」を設定すると共に処理タイマ設定を行い、ステップS108では、3回作動として、処理番号に「3」を設定すると共に処理タイマ設定を行う。
【0107】
次いで、ステップS109では、補助遊技入賞数カウンタに「0」を設定し、特定入賞検出フラグをオフにして、ステップS110に移行する。ステップS110では、特定遊技作動カウンタが「>0」か否かが判定され、"No"の場合には図10のスイッチ監視処理にリターンし、"Yes"の場合には、ステップS111に移行する。
ステップS111では、特定遊技作動カウンタを「−1」更新して図10のスイッチ監視処理にリターンする。
【0108】
次に、図12のフローチャートを参照して、前出の図10のステップS907に係る補助遊技関連スイッチ監視処理の処理手順について説明する。
まず、ステップS200で、補助遊技カウントスイッチHSで遊技球を検出したか否かが判定され、"No"の場合にはステップS203に移行し、"Yes"の場合にはステップS201に移行する。
【0109】
ステップS201では、処理番号が「1」,「2」,「3」の何れかに該当するかが判定され、該当しない場合にはステップS203に移行し、該当する場合にはステップS202に進む。
ステップS202では、補助遊技入賞数カウンタを+1更新してステップS203に移行する。ステップS203では、特定入賞検出スイッチで遊技球を検出したか否かが判定され、"No"の場合にはそのまま図10のスイッチ監視処理にリターンし、"Yes"の場合にはステップS204に移行する。
【0110】
ステップS204では、処理番号が「1」,「2」,「3」,「4」の何れかに該当するかが判定され、該当しない場合には図10のスイッチ監視処理にリターンし、該当する場合にはステップS205に進む。
ステップS205では、補助遊技入賞数カウンタが「>0」か否かが判定され、"No"の場合には図10のスイッチ監視処理にリターンし、"Yes"の場合にはステップS206に移行する。ステップS206では、特定入賞検出フラグをオンして図10のスイッチ監視処理にリターンする。
【0111】
次に、図13のフローチャートを参照して、前出の図9のステップS10に係るメインゲーム処理のサブルーチンの処理手順について説明する。
この処理では、ステップS300で、処理番号による分岐処理が行われる。
そして、処理番号=0のときはステップS301へ分岐して可動部材作動待ち状態の処理を行い、処理番号=1のときはステップS302へ分岐して可動部材1回作動状態の処理を行い、処理番号=2のときはステップS303へ分岐して可動部材2回作動状態の処理を行い、処理番号=3のときはステップS304へ分岐して可動部材3回作動状態の処理を行い、処理番号=4のときはステップS305へ分岐して特定領域監視延長状態の処理を行い、処理番号=5のときはステップS306へ分岐して特別遊技状態の開始演出中の処理を行い、処理番号=6のときはステップS307へ分岐して特別遊技状態の賞付与動作中の処理を行い、処理番号=7のときはステップS308へ分岐して特別遊技状態の終了演出中の処理を行う。
【0112】
そして、上記ステップS301〜308の処理が終了した後、図9のタイマ割込処理にリターンする。なお、前述したように、特定遊技作動カウンタが0より大きい場合は、可動部材332の作動態様は表1(遊技者に不利な作動態様)に従って決定されるが、特定遊技作動カウンタが0の場合は、可動部材332の作動態様は表2(遊技者に有利な態様)に従って決定される。よって、ステップS111にて、特定遊技作動カウンタを「−1」更新した際に、特定遊技作動カウンタの値が0になると、可動部材332の作動態様が、遊技者に有利な作動態様から、遊技者に不利な作動態様へ変更される(ロータリー部材201aの各球受け部と、可動部材332の作動回数との関係が変化する。)
【0113】
一方、大当たりが終了して、図5に示すように、処理番号=7の「特別遊技状態の終了演出中」の状態から、処理番号=0の「可動部材作動待ち状態」へ移行する際には、特定遊技作動カウンタの値に所定の値(例えば、10)が設定される。この場合は、可動部材332の作動態様が、遊技者に不利な作動態様から、遊技者に有利な作動態様へ変更される。
【0114】
もちろん、ロータリー部材201aの各球受け部と、可動部材332の作動回数との関係を変化させることに限らず、ロータリー部材201aの回転速度を変化させて、遊技者に不利な作動態様と、遊技者に有利な作動態様とを自在に作り出すことは可能である。
【0115】
次に、図14〜図16を参照して、本発明に係るパチンコ遊技機の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係るパチンコ遊技機の構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態で用いなかった補助遊技残留確認スイッチHKSを用いて、補助遊技カウントスイッチHSが計数した数と補助遊技残留確認スイッチHKSが計数した数の差が0となったときに、変動入賞装置3内の遊技球がすべて排出されたことを確認するようにしており、この確認が出来た場合に、図14に示すように、No=4の状態から他の状態へ移行する点が、第1の実施形態(図5参照)と異なっている。すなわち、No=4の状態へ移行した場合において補助遊技入賞数カウンタが0となった場合は、タイムアップを待たずにNo=0の状態へ移行し、No=4の状態へ移行した場合において特定入賞検出フラグがオンとなった場合は、タイムアップを待たずにNo=5の状態へ移行し、No=4の状態へ移行した場合において、補助遊技入賞数カウンタが「>0」となったままタイムアップとなった場合(補助遊技用の変動入賞入賞装置に遊技球が残ってしまった場合)にエラー状態を発生するようになっている。
【0116】
ここで、図15のタイミングチャートを参照して、遊技制御装置400に接続されている各種スイッチおよび装置の動作タイミングについて説明する。
まず、待機案内機構A1において賞球先出スイッチ200aを遊技球Qが通過して検出信号P1が出力されると、排出装置601から賞球が排出されて発射装置602に遊技球が供給される。次いで、可動部材作動スイッチ202aによる検出が有効な状態において、球分別装置201のロータリー部材201aの何れかの球受け部H1〜H3に遊技球が受け入れられて移送される時間T1を経て、可動部材作動スイッチ202aにより遊技球Qの検出信号P2が出力される。
【0117】
したがって、この時間T1の間において、可動部材332の作動よりも先に発射装置602に遊技球を確保することができる。よって、遊技球Qが始動入賞領域へ入賞して可動部材332が作動するときに、発射球が無いといった状態を抑制することができ、遊技者を失望させることなく興趣を維持することができる。
そして、可動部材作動スイッチ202aの検出信号に基づいて可動部材332が所定の回数(図6では2回)の作動K1,K2を行う。
【0118】
また、カウントの有効期間中にカウントスイッチCSにより遊技球の検出信号K5,K6が出力されると、先の検出信号K5に基づいて特定入賞が有効となる状態が発生し、この有効状態のときに特定領域スイッチTSで遊技球を検出すると、特定入賞検出フラグがオンとなって特定遊技(大当り)が開始される。但し、有効状態が発生しても、特定領域スイッチTSで遊技球が検出されないまま、残留確認スイッチHKSにより残留検出信号が出力され、後の残留検出信号Z2が出力される(残存球がなくなる)と、特定入賞の有効状態が解除される。即ち、カウントスイッチCSで検出された遊技球が全て出て行くまでの間、特定入賞が有効とされる。
【0119】
なお、第2の実施形態における遊技制御装置400の制御内容は、第1の実施形態の場合と略同様であるが、「補助遊技関連スイッチ監視処理」の処理手順が相違する。
第2の実施形態における「補助遊技関連スイッチ監視処理」は、前出の図12のフローチャートに代えて、図16のフローチャートの手順による。
まず、ステップS401で、補助遊技カウントスイッチHSで遊技球を検出したか否かが判定され、"No"の場合にはステップS404に移行し、"Yes"の場合にはステップS402に移行する。
【0120】
ステップS402では、処理番号が「1」,「2」,「3」の何れかに該当するかが判定され、該当しない場合にはステップS404に移行し、該当する場合にはステップS403に進む。
【0121】
ステップS403では、補助遊技入賞数カウンタを+1更新してステップS404に移行する。ステップS404では、特定入賞検出スイッチで遊技球を検出したか否かが判定され、"No"の場合にはステップS408に移行し、"Yes"の場合にはステップS405に移行する。
【0122】
ステップS405では、処理番号が「1」,「2」,「3」,「4」の何れかに該当するかが判定され、該当しない場合にはステップS408に移行し、"Yes"の場合にはステップS406に移行する。
【0123】
ステップS406では、補助遊技入賞数カウンタが「>0」か否かが判定され、"No"の場合にはステップS408に移行し、"Yes"の場合にはステップS407に移行する。
【0124】
ステップS407では、特定入賞検出フラグをオンしてステップS408に移行する。
ステップS408では、補助遊技確認スイッチHKSで遊技球を検出したか否かが判定され、"No"の場合には前出の図10のスイッチ監視処理にリターンする。また、"Yes"の場合にはステップS409に移行し、処理番号が「1」,「2」,「3」,「4」の何れかに該当するかが判定される。そして、該当しない場合には図10のスイッチ監視処理にリターンし、"Yes"の場合にはステップS410に移行して、補助遊技入賞数カウンタを−1更新してから図10のスイッチ監視処理にリターンする。
【0125】
次に、本発明に係るパチンコ遊技機の第3の実施形態について、図17〜図19および表3,表4を参照して説明する。
図17は、第3の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤を示す正面図である。
図17に示す第3の実施形態に係る遊技盤1の構成は、待機案内機構A1に代えて待機案内機構A2を設けたほかは、第1の実施形態における遊技盤(図1)と同じであるので、同一の構成については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0126】
ここで、第3の実施形態における待機案内機構A2について説明する。
待機案内機構A2は、変動入賞装置3の直下に配置され、上部に配設される前段検出手段としての賞球先出ゲート200と、該賞球先出ゲート200と所定距離だけ離間させた下方に配設される待機案内手段としての球分別器800とから構成されている。
【0127】
賞球先出ゲート200は、近接センサで構成される賞球先出スイッチ200aと、該センサを係合させて遊技盤1に固定する固定部材200bとから構成されている。
【0128】
球分別器800は、中空部830を有する筐体Cの上方に遊技盤1と直交する方向に延設され、かつ上面が開放され、盤面1に向かうに従って下側に傾斜された樋状の遊技球誘導溝(誘導部)810が設けられている。遊技球誘導溝810の下端側には、該遊技球誘導溝810によって流下して来た遊技球Qを受け入れて転動させるステージ部820が設けられている。
【0129】
このステージ部820の略中央には、凹面形状(或いは、すり鉢状でもよい)の遊技球旋回部822が形成されており、該遊技球旋回部822の最深部近傍に、遊技球Qが通過可能な2つの開口部(左穴)801a,(右穴)801bが形成されている。
【0130】
各開口部801a,801bの下方には、後段検出手段としての近接センサで構成される第1始動口スイッチ802a(第1の後段検出手段)と第2始動口スイッチ802b(第2の後段検出手段)が、個別に配設されている。
なお、図17では図示を省略したが、この待機案内機構A2の周囲には案内釘が適宜立設され、球分別器800に対しては、賞球先出ゲート200を通過した遊技球Qのみが入るようにされ、脇側から他の遊技球が流入することを防ぐようになっている。
【0131】
この球分別器800によれば、賞球先出ゲート200を通過した遊技球Qは、遊技球誘導溝810に流下して受け入れられ、傾斜に従って転動し、遊技球誘導溝810の下端部から図18に示すルートR1のようにステージ部820上に流下する。
【0132】
次いで、ステージ部820上の遊技球Qは、自らの勢いにより遊技球旋回部822上を旋回転動しながら最深部近傍まで流下し、図18に示すルートR2を辿った場合には、開口部801aへ流入し、第1始動口スイッチ802aによって検出される。一方、図18に示すルートR3を辿った場合には、開口部801aへ流入し、第2始動口スイッチ802bによって検出されることとなる。
【0133】
これにより、賞球先出ゲート200を経て流下した遊技球Qが、球分別器800の遊技球旋回部822で旋回転動される時間を用いて、賞球先出ゲート200による検出の時点で排出された賞球が、発射装置602に到達するまでの時間を確保することができる。
【0134】
また、開口部801a,801bには、個別に第1始動口スイッチ802aと第2始動口スイッチ802bを備えていることから、何れの近接センサに検出されたかによって、変動入賞装置3の可動部材332の作動態様を変えることができ、興趣を高めることができる遊技機を実現することができる。
【0135】
また、賞球先出ゲート200による検出の時点で賞球が排出され、且つ第1始動口スイッチ802aまたは第2始動口スイッチ802bによる検出があった際に変動入賞装置3の可動部材332が作動するようになっているので、可動部材332の作動よりも先に発射装置602に遊技球を確保することが可能となる。よって、遊技球が始動入賞領域としての開口部801a(第1始動口スイッチ802aを備える)または開口部801b(第2始動口スイッチ802bを備える)へ入賞して可動部材332が作動するときに、発射球が無いといった状態を抑制することができ、遊技者を失望させることなく興趣を維持することができる。
【0136】
さらに、賞球先出ゲート200で検出された遊技球を、当該検出時から所定時間だけ待機(旋回転動)させた後に第1始動口スイッチ802aまたは第2始動口スイッチ802bによって検出可能な領域へ案内する待機案内機構A2と、第1始動口スイッチ802aまたは第2始動口スイッチ802bによる検出に基づいて、可動部材332を作動させる可動部材制御手段(遊技制御装置400)とを備えているので、従来のように賞球先出ゲートの賞球先出スイッチ200a等の前段検出手段による検出結果を可動部材の作動時点まで記憶しておく必要が無くなり、制御手順を簡素化して、遊技機の製造コストを低減することができる。
【0137】
ここで、図19のブロック図を参照して、第3の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御装置400と演出制御装置500の一例を説明する。但し、遊技制御装置400と演出制御装置500の殆どの構成は、第1の実施形態における制御装置(図4)と同じであるので、共通の構成については同一符号を付して詳細な説明は割愛する。
【0138】
第1の実施形態と第3の実施形態の遊技制御装置400関連で異なる点は、入出力インターフェース(I/F)413を介して接続される始動入賞部の一部を構成する始動口モータ初期位置センサMS,始動口モータ201fおよび可動部材作動スイッチ202aに代えて、球分別器800の第1始動口スイッチ802aと第2始動口スイッチ802bが接続されていることである。
【0139】
また、図11の処理において、ステップS110の判断の処理が、第1始動口スイッチ802a又は第2始動口スイッチ802bの何れかがオンとなった場合に、判定結果がYESとなってステップS110へ移行する(第1始動口スイッチ802a及び第2始動口スイッチ802bの何れもオンしない場合は、判定結果がNOとなって復帰する)処理に置き換えられる。
【0140】
さらに、ステップS103のモータの位相判定の処理が削除され、ステップS104の可動部材作動回数の決定の処理は、以下の表3又は表4に従って可動部材332の作動回数が決定される処理に置き換えられる。
【0141】
【表3】

【0142】
ここにいう処理番号は、第1の実施形態で説明した処理番号と同様のものであり、遊技球が開口部(左穴)801aへ入賞したか,開口部(右穴)801bへ入賞したかによって、つまり第1始動口スイッチ802aと第2始動口スイッチ802bの何れがオンとなったかによって、予め定められた番号が割り当てられるようになっている。なお、第1実施形態と同様に、処理番号=1は可動部材332が1回作動することに対応し、処理番号=2は可動部材332が2回作動することに対応し、処理番号=3は可動部材332が3回作動することに対応する。
【0143】
まず、表3は、通常時(即ち、特定遊技作動カウンタ=0の時)の作動態様を示している。
表3において、開口部(左穴)801aに遊技球Qが流入した場合の処理番号「2」では、可動部材332を0.4秒開放→0.4秒閉止→0.4秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで計2回の開閉動作を行う。
【0144】
また、開口部(右穴)801bに遊技球Qが流入した場合の処理番号「1」では、可動部材332を0.2秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで1回の開閉動作を行う。
【0145】
一方、表4は、大当り後の特定遊技状態時(即ち、特定遊技作動カウンタ>0の時)の作動態様を示している。
【0146】
【表4】

【0147】
表4において、開口部(左穴)801aに遊技球Qが流入した場合の処理番号「3」では、可動部材332を0.6秒開放→0.6秒閉止→0.6秒開放→0.6秒閉止→0.6秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで計3回の開閉動作を行う。
【0148】
また、開口部(右穴)801bに遊技球Qが流入した場合の処理番号「2」では、可動部材332を0.4秒開放→0.4秒閉止→0.4秒開放→1.5秒閉止するカウント監視時間のパターンで計2回の開閉動作を行う。
【0149】
このようにして、ステップS104の可動部材作動回数の決定の処理では、遊技球が入賞した開口部の位置(左穴又は右穴)と、特定遊技作動カウンタの値とから、可動部材332の作動回数が決定される。
【0150】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0151】
例えば、上記実施形態では、前段検出手段としての賞球先出ゲート200は、開口部から近接センサに単純に流入する構成とされているが、これに代えて、可動式の羽根を開口部の左右に配設する構成とし、所定の入賞に基づいてこの可動式の羽根を作動させる構成としてもよい。
【0152】
また、第1および第2の実施形態では、球分別装置201のロータリー部材201aの周面に120度おきに3箇所の球受け部H1〜H3を設ける場合について述べたが、これに限定されるものではなく、球受け部を2箇所あるいは4箇所以上としてもよい。また、それに従って、可動部材332の作動態様のパターン数を増減することも可能である。
【0153】
また、第3の実施形態では、球分別器800の遊技球旋回部822に2箇所の開口部(左穴801aと右穴801b)を設け、それぞれに第1始動口スイッチ802aと第2始動口スイッチ802bを配設する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、3箇所以上の開口部を設け、それぞれの開口部に始動口スイッチを配設するようにしてもよい。この場合には、可動部材332の作動態様のパターン数を3つ以上に増やすことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤の構成例を示す正面図である。
【図2】遊技盤が備えるドラム機構の構成を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤が備える待機案内機構A1の構成を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御装置400と演出制御装置500の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の状態遷移の様子を示す状態遷移図である。
【図6】第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御装置400に接続されている各種スイッチおよび装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】待機案内機構A1によって遊技球が待機されている状態において、さらに賞球先出スイッチによって後続の遊技球が検出された場合を示すタイミングチャートである。
【図8】第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御のメインフローに関するフローチャートである。
【図9】第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御のメインフロー(タイマ割込処理)の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】「スイッチ監視処理」のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】「可動部材作動スイッチ監視処理」のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】「補助遊技関連スイッチ監視処理」のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】「メインゲーム処理」のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態に係るパチンコ遊技機の状態遷移の様子を示す状態遷移図である。
【図15】第2の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御装置400に接続されている各種スイッチおよび装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図16】第2の実施形態における「補助遊技関連スイッチ監視処理」のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図17】第3の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤の構成例を示す正面図である。
【図18】第3の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤が備える待機案内機構A2の構成を示す一部断面斜視図である。
【図19】第3の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御装置400と演出制御装置500の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0155】
100 遊技盤
2 ガイドレール
3 補助遊技用変動入賞装置
8 ドラム機構
332 可動部材
A1 待機案内機構
200 賞球先出ゲート(前段検出手段)
201 球分別装置(待機案内手段)
201a ロータリー部材
H1〜H3 球受け部
201f 始動口モータ
202 可動部材作動スイッチ(後段検出手段)
400 遊技制御装置
500 演出制御装置
600 排出発射制御装置
602 発射装置
A2 待機案内機構
800 球分別器
810 遊技球誘導溝(誘導部)
820 ステージ部
822 遊技球旋回部
801a,801b 開口部
802a 第1始動口スイッチ
802b 第2始動口スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球供給皿の遊技球を取り込んで、遊技領域へ遊技球を発射する発射装置が設けられ、
前記発射装置によって発射された遊技球を、可動部材の作動によって取り込む変動入賞装置と、
前記発射装置によって発射された遊技球が入賞することにより前記可動部材を作動させる始動入賞領域と、
前記遊技球供給皿へ遊技球を供給する遊技球供給手段と、
を備えた遊技機において、
前記始動入賞領域の入口から入賞した遊技球を検出する前段検出手段と、
前記前段検出手段によって検出された遊技球を、再度検出する後段検出手段と、
前記前段検出手段による検出に基づいて、前記遊技球供給手段に所定数の遊技球を供給させる遊技球供給制御手段と、
前記前段検出手段で検出された遊技球を、当該検出時から所定時間だけ待機させた後に前記後段検出手段によって検出可能な領域へ案内する待機案内手段と、
前記後段検出手段による検出に基づいて、前記可動部材を作動させる可動部材制御手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記待機案内手段には、前記前段検出手段によって検出された遊技球を受け入れ可能な複数の領域が個別に設けられ、
何れかの領域へ受け入れられた遊技球が前記後段検出手段によって検出された場合に作動する前記可動部材の作動態様と、他の領域へ受け入れられた遊技球が前記後段検出手段によって検出された場合に作動する前記可動部材の作動態様と、を互いに異ならせたことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記待機案内手段は、上方に凹面形状を備えその凹面において遊技球を旋回転動させて待機可能な遊技球旋回部が形成され、この遊技球旋回部の最深部近傍に、遊技球が通過可能な開口部を複数形成して構成されるとともに、前記前段検出手段によって検出された遊技球を遊技球旋回部へ誘導する誘導部を備え、
前記後段検出手段は、複数の開口部の何れかの開口部で受け入れられた遊技球を検出する第1の後段検出手段と、他の開口部で受け入れられた遊技球を検出する第2の後段検出手段と、によって個別に備えられ、
前記誘導部を介して前記遊技球旋回部に案内された遊技球が、遊技球旋回部上で旋回転動された後に、前記複数の開口部の何れかへ誘導されるように構成したことを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記待機案内手段は、電気的駆動源によって回転駆動され且つ前記前段検出手段で検出された遊技球を受け入れる球受け部が周方向に所定間隔を空けて複数設けられた回転体により形成されるとともに、前記球受け部が所定の位置へ到達した際に保持していた遊技球を前記後段検出手段によって検出可能な位置へ向けて開放するように構成されるとともに、
前記後段検出手段による遊技球の検出タイミングに基づいて、遊技球検出時点での前記回転体の位相を判定する位相判定手段を備え、
前記可動部材制御手段は、
前記位相判定手段によって判定された位相に基づいて、遊技球が保持されていた球受け部を特定し、特定された球受け部に対応させた所定の作動態様で前記可動部材を作動させることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記回転体を回転駆動する電気的駆動源を制御する電気的駆動源制御手段が備えられ、
所定の遊技条件の成立により、前記可動部材の作動態様と前記球受け部との対応関係を変化させるか、若しくは、前記球受け部を有する回転体の回転速度を変化させることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記前段検出手段と後段検出手段とによる検出結果に基づいて、前記回転体に遊技球が保有されているか否かを判定する保有判定手段と、
前記保有判定手段により遊技球が保有されていると判定された状態で、新たに前記前段検出手段によって他の遊技球が検出された場合には、当該検出に基づいた前記遊技球供給手段による遊技球の供給を待機させるとともに、前記回転体の回転を停止させる始動待機手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−87664(P2006−87664A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276619(P2004−276619)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000132747)株式会社ソフィア (2,465)
【Fターム(参考)】