説明

遊技機

【課題】 遊技機で記憶するデータ量を削減しつつ、なめらかな輝度変化を実現する技術を提供する。
【解決手段】 スケジューラ222において、例えば、設計値S1(0)から導出される第1の設計階調値を、階調値に基づいて輝度制御する階調制御ICに設定する。そして、第1の設計階調値を設定してから発光期間B1(0)が経過するに応じて、設計値S1(1)から導出される第2の設計階調値を階調制御ICに設定する。発光期間B1(0)の間は、第1の設計階調値と、第2の設計階調値と、発光期間B1(0)と、第1の設計階調値を設定してから経過した間隔とに基づいて補間階調値を導出し、補間階調値を階調制御ICに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に備えられた発光器の輝度の階調制御に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機には、複数の発光ダイオード(Light Emitting Diode,以下、LEDと呼ぶ)が備えられている。そのLEDの輝度の階調制御を行うためには、パチンコ機に備えられたサブ制御基板がコマンドを出力する。サブ制御基板がコマンドを出力することにより、LEDの輝度の階調制御をする手法には、2通りの手法が存在する。
【0003】
1通り目の手法は、サブ制御基板のCPUが、例えば2ms毎に実行する割り込み処理の中で、LEDに駆動パルス信号を出力する手法である。CPUがLEDに駆動パルス信号を出力する手法では、CPUがLEDの駆動パルス信号のON時間とOFF時間の比を制御することにより、LEDに印加される単位時間あたり(以下、1サイクルと呼ぶ)の平均電流量を制御し、LEDの輝度の階調制御をする。LEDの駆動パルス信号は、CPUが2ms毎に実行する割り込み処理の中で、1回ONまたはOFFする。図13は、駆動パルス信号が1サイクルの中でONまたはOFFされる様子を示す説明図である。図のように駆動パルス信号が1サイクル(16ms)の中で2msおきにONまたはOFFできるので、1サイクルにおける駆動パルス信号のON時間とOFF時間の比は8通りとなる。よって、一般的に行われるパルス制御では、8階調分の輝度調整しか行うことができない。8階調の輝度の変化は一般的に人間が視認可能であり、8階調分の輝度で輝度制御を行っても、なめらかな輝度変化は実現しがたい。
【0004】
2通り目の手法は、LEDの輝度を階調制御するための階調制御ICを利用して階調制御する手法である。階調制御ICは、階調制御ICが備えるレジスタに階調値が設定されると、該階調値に応じた輝度でLEDを点灯させる機能を有する。階調制御ICのレジスタには、パチンコ機のサブ制御基板のCPUが階調値を設定する。CPUは、サブ制御基板に備えられたROMが記憶する内容に基づいてレジスタに階調値を設定する。ROMが記憶する内容は、レジスタに階調値を設定するタイミングや設定する階調値自体である。階調制御ICは、例えば128階調分の輝度で輝度制御をすることが可能である。128階調であれば、一の階調値が示す輝度から一の階調値と連続する次の階調値が示す輝度への変化を一般的に人間は視認しがたい。よって、該階調制御ICのレジスタに設定する階調値を128階調の中で少しずつ変化させれば、なめらかな輝度変化を実現することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−190410号公報
【特許文献2】特開2003−190416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、所定時間内になめらかにLEDの輝度を変化させるためには、階調制御ICのレジスタに上記所定時間より短い時間間隔おきに階調値を設定する必要がある。よって、上記所定時間が短くなればなるほど、サブ制御基板のROMにおいて、階調制御ICのレジスタに設定するための階調値を大量に記憶しておかなければならず、ROMに記憶させるデータ量が大きくなるという問題があった。
【0007】
このような問題は、階調制御ICに限らず、階調値に応じてLEDの輝度をなめらかに階調制御する輝度制御部を用いて階調制御する場合に共通する問題であった。更に、LEDに限らず、一般に発光器の輝度の階調制御を実行する場合に共通する問題であり、パチンコ機に限らず、スロットマシンを含む遊技機に共通する問題であった。
【0008】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、遊技機で記憶するデータ量を削減しつつ、なめらかな輝度変化を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による遊技機は、
発光器を備え、該発光器の輝度をなめらかに変化させることを目的とする遊技機であって、
前記発光器の輝度を示す階調値に基づいて、前記発光器の輝度を制御する輝度制御部と、
前記輝度制御部に階調値を設定する階調値設定部と、
を備え、
前記輝度制御部は、1つの階調値が示す輝度から該階調値と連続する次の階調値が示す輝度への変化を、人間が視認困難な程度の階調数で、前記発光器の輝度を制御可能であって、
前記階調値設定部は、
時間経過に伴う前記発光器の輝度変化を規定するためのスケジューラを予め記憶する記憶部を備え、
前記スケジューラのデータは、複数の設計階調値の各設計階調値を前記輝度制御部に設定する順序と、前記各設計階調値に関する発光期間とを含み、
前記複数の設計階調値のうち一の設計階調値に関する発光期間は、前記一の設計階調値を設定してから、前記順序において該一の設計階調値の次に設定すると規定されている設計階調値である次順設計階調値を設定するまでの期間であって、
前記階調値設定部は、前記スケジューラのデータに基づいて前記輝度制御部に前記設計階調値を設定し、更に、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記一の設計階調値と、前記次順設計階調値と、前記一の設計階調値に関する発光期間と、前記一の設計階調値を設定してから経過した期間とに基づいて、前記一の設計階調値と前記次順設計階調値との間の値を示す階調値である補間階調値を導出し、前記補間階調値を輝度制御部に設定することを特徴とする。
【0010】
本発明では、記憶部がスケジューラのデータさえ記憶しておけば、発光期間中は、階調値設定部が補間階調値を導出して輝度制御部に設定するので、記憶部に記憶させるデータ量を抑えつつ、発光器の輝度変化をなめらかにすることができる。
【0011】
前記階調値設定部は、前記発光期間中は、予め定められた周期毎に前記補間階調値を導出し、前記輝度制御部に設定することを特徴とするものとしても良い。
【0012】
これによれば、1周期毎に補間階調値を輝度制御部に設定するので、ある程度規則的に補間階調値を設定することができる。
【0013】
1フレームの画像を表示させるための制御信号を所定間隔おきに出力する表示制御部と、
前記制御信号に基づいて、複数フレームの画像を連続的に切り替えて表示することで動画像を表示する動画像表示部と、
を備え、
前記周期は、前記所定間隔と一致することを特徴とするものとしても良い。
【0014】
これによれば、周期と所定間隔が一致するので、補間階調値を輝度制御部に設定する処理が実行されるタイミングと、動画像表示部に1フレームの画像を表示させる処理が実行されるタイミングが大きくずれてしまうことを防ぐことができる。
【0015】
前記スケジューラのデータは、前記補間階調値を前記輝度制御部に設定するか否かを示す補間階調値設定フラグを含み、
前記階調値設定部は、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記補間階調値設定フラグが前記補間階調値を設定すると示す場合にのみ、前記補間階調値を前記輝度制御部に設定することを特徴とするものとしても良い。
【0016】
これによれば、遊技機の設計者は、補間階調値設定フラグを任意に設定することにより、補間階調値を導出し、輝度制御部に設定するか否かを選択することができる。前記補間階調値設定フラグが前記補間階調値を設定しないと示す場合には、発光期間中は階調値を設定しないものとしても良い。
【0017】
あるいは、前記階調値設定部は、前記補間階調値設定フラグが前記補間階調値を設定しないと示す場合には、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記補間階調値の代わりに、前記一の設計階調値または前記次順設計階調値を前記輝度制御部に設定することを特徴とするものとしても良い。
【0018】
これによれば、補間階調値を設定しない場合にも、一の設計階調値または次順設計階調値を輝度制御部に設定することで、輝度制御部に設定された設定階調値を更新することができる。このように設定階調値を更新することにより、輝度制御部に設定された設定階調値がノイズの発生により書き換えられることがあっても、正確なデータを上書きすることができ、ノイズ対策となる。
【0019】
前記記憶部は、前記複数の設計階調値のうち互いに異なる値の設計階調値を、各々異なる数値である階調レベルと関連づけて記憶する階調レベルテーブルを記憶しており、
前記スケジューラのデータには、前記複数の設計階調値に代えて、前記複数の設計階調値の各々と前記階調レベルテーブルにおいて関連づけられている各々の階調レベルが含まれ、
前記階調値設定部は、前記スケジューラのデータに含まれる階調レベルと前記階調レベルテーブルにおいて関連づけられている設計階調値を導出し、導出した設計階調値に基づいて前記輝度制御部に設計階調値または補間階調値を設定することを特徴とするものとしても良い。
【0020】
スケジューラのデータの設計階調値に同じ値の設計階調値が含まれている場合、スケジューラのデータの設計階調値を階調レベルに代えても、スケジューラのデータには同じ値の階調レベルが含まれる。この場合、階調レベルテーブルに記憶されている1つの設計階調値の値を変更することにより、スケジューラのデータを変更することなく、スケジューラのデータに含まれる複数の階調レベルが意味する設計階調値を変更することができる。よって、これによれば、設計階調値の変更を容易に行うことが可能となる。
【0021】
前記階調レベルは、2進数で表現すると4桁以下で表現され、前記設計階調値は、2進数で表現すると5桁以上で表現されることを特徴とするものとしても良い。
【0022】
これによれば、階調レベルは1バイトに2個以上記憶され、設計階調値は1バイトに1個以下しか記憶されない。よって、階調レベルと設計階調値を各々同じ個数記憶させる場合、階調レベルの方が設計階調値より少ないバイト数で記憶させることができる。つまり、設計階調値の代わりに、階調レベルをスケジューラのデータに含むことで、スケジューラのデータ量を減少させることができる。
【0023】
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、方法またはコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施例では、本発明の階調値設定部に相当するサブ制御基板を備えたパチンコ機について説明する。図1は、パチンコ機10の正面図である。パチンコ機10は、外枠11と、内枠12と、遊技板13と、ガラス枠14と、ハンドル15を備える。外枠11は、パチンコ店の島設備に固定される。外枠11の前面には、ヒンジ金具16a,16bで軸着した開閉可能な内枠12を備える。遊技板13は、内枠12の中央上寄りに嵌め込まれる。遊技板13において、遊技球による遊技が行われる。ガラス枠14は、中央部にガラス板を有し、遊技板13の前面に配置される。ハンドル15は、遊技者から遊技球の発射の指示を受け付ける。遊技者から発射の指示を受けると、遊技球は遊技板13に向けて発射される。
【0025】
遊技板13の中央部には、動画像を表示する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display,以下、LCDと呼ぶ)35が備えられている。LCD35の下方には、入賞口61が備えられている。入賞口61内に遊技球が入ると入賞となる。入賞口61内には、入賞した遊技球を検知するスイッチ65が備えられている。ソレノイド66は、所定の場合に入賞口61を拡縮する。
【0026】
パチンコ機10は、発光ダイオード(Light Emitting Diode,以下、LEDと呼ぶ)を内蔵して発光する電飾55〜59を備える。電飾55,56,57は遊技板13に設けられ、電飾58,59はガラス枠14に設けられている。以下、遊技板13に備えられた電飾55,56,57は特にパネル電飾55〜57と呼ぶ。本実施例のパチンコ機10においては、パネル電飾55〜57に内蔵されているLEDの輝度を制御する。なお、ガラス枠14に備えられた電飾58,59に内蔵されているLEDの輝度を制御するものとしても良い。内枠12の正面中央には、音声を出力するスピーカ45が内蔵されている。
【0027】
図2は、パチンコ機10の電気的な概略構成を示すブロック図である。パチンコ機10は、メイン制御基板100と、サブ制御基板200と、ランプ制御基板300と、LCD35を制御する表示制御基板400を備える。ここでは図示を省略したが、パチンコ機10は、上記以外にも、電源基板と、払出制御基板と、発射モータ制御基板等も備える。
【0028】
メイン制御基板100はCPU110を備え、遊技の進行に関する制御を行う。具体的には、スイッチ65からの入力を受け付けたり、ソレノイド66を制御したりする。また、メイン制御基板100は、サブ制御基板200へのコマンド出力も行う。
【0029】
サブ制御基板200は、RAM211を内蔵するCPU210と、ROM220を備える。サブ制御基板200は、効果音の制御など演出に関する制御を行う。演出に関する制御として、例えば、サブ制御基板200は、メイン制御基板100から出力されたコマンドに基づいて、表示制御基板400にコマンドを出力する。表示制御基板400は、サブ制御基板200から受信したコマンドに基づいて、LCD35を制御する。LCD35は、表示制御基板400からの制御信号に基づいて動画像を表示する。LCD35は、本発明の画像表示部に相当する。
【0030】
なめらかに動く動画像を表示させるために、LCD35には、各フレームを16ms間隔で表示させる。サブ制御基板200は、LCD35がフレームを表示する処理と、効果音などの演出の制御が大きくずれてしまうことを防ぐために、16ms毎に効果音などの演出の制御に関するいくつかの処理を実行する。以下では、この16msを1サイクルと呼ぶ。
【0031】
ランプ制御基板300は、レジスタ311を内蔵する階調制御IC310を備える。本実施例で用いる階調制御IC310は、128段階で輝度を制御することが可能である。サブ制御基板200は、スケジューラ222に基づきレジスタ311に階調値を設定する。スケジューラ222については後述する。階調制御IC310は、レジスタ311に設定された階調値に基づいて128段階でLED600の輝度を制御する。LED600は、1つのみ図示したが複数存在する。サブ制御基板200は、レジスタ311にLED600毎の階調値を設定し、階調制御IC310は、LED600毎の階調値に応じてパネル電飾55〜57に内蔵されたLED600の輝度制御を行う。階調制御IC310は、本発明の輝度制御部に相当し、LED600は、本発明の発光器に相当する。本実施例では、階調制御IC310として128段階で輝度を制御することが可能なものを用いることとしたが、これ以外のものを用いるものとしても良い。階調制御IC310としては、一の階調値が示す輝度から一の階調値と連続する次の階調値が示す輝度への変化を少なくとも人間が視認困難な程度の階調数で輝度を制御可能な階調制御ICを用いることとすれば良い。
【0032】
サブ制御基板200のROM220は、階調値導出プログラム221と、スケジューラ222と、階調レベルテーブル223を記憶する。ROM220は、本発明の記憶部に相当する。ROM220は、図2に図示した以外にも、表示制御基板400等にコマンドを出力するために、各種プログラムやスケジューラやテーブルを記憶しているが、ここでは図示を省略する。
【0033】
図3は、階調レベルテーブル223を示す説明図である。階調レベルテーブル223は、階調レベルと、階調値を関連づけて記憶するテーブルである。階調レベルは、本実施例では0〜7の8種類とする。パチンコ機10の設計者は、0〜127の階調値のうち8つを選択し、階調レベルテーブル223に各階調レベルに関連づけて記憶させる。設計者は、本実施例で示す階調制御によりLED600の輝度がなめらかに変化するように8つの階調値を選択する。本実施例では、階調レベルは8種類であるものとしたが、これに限らず、7種類以下であっても良いし、9種類以上であっても良い。但し、階調レベルを0〜7の8種類とすると、階調レベルは3bitで記憶可能となる。従って、階調レベルと補間階調値設定フラグ(後述する)を併せて設計値として記憶する場合も、必要なビット数は4bitとなり、1バイトに2個の設計値を記憶させることができる。これによれば、設計値を記憶するために必要なメモリの容量を小さくすることができる。
【0034】
先述したように、サブ制御基板200は、レジスタ311にLED600毎の階調値を設定するが、本実施例では、パチンコ機10に備えられた全てのLED600を任意にグループ分けして、LED600毎の階調値を設定する。例えば、1つの部材に備えられている複数のLED600を1つのグループとすることにより、LED600をグループ分けする。
【0035】
図4は、スケジューラ222を模式的に示す説明図である。1種類のスケジューラ222には、LED600のグループ数分のスケジューラ222が含まれる。図4の最前面には、LED600のグループの1つであるLED_G1に関するスケジューラ222_G1が示されている。スケジューラ222_G1は、LED_G1に属するLED600に関する設計値と、発光期間を記憶する。
【0036】
スケジューラ222_G1内の設計値S1(0)〜S1(4)と発光期間B1(0)〜B1(3)の「S」と「B」の添え字「1」は、設計値や発光期間がLED1のデータであることを示している。複数のLED600は、各々LEDに添え字iを付けてLEDi(i:自然数)と呼ぶ。LEDi(i:自然数)のデータは、同じ添え字iを用いてスケジューラ222においてSi(1)〜Si(4),Bi(1)〜Bi(4)と示す。
【0037】
ところで、同一グループ内では発光期間は同じであるものとする。具体的には、以下の関係が成り立つ。
B1(1)=B2(1)=・・・=Bi(1) (i:自然数)
B1(2)=B2(2)=・・・=Bi(2) (i:自然数)
B1(3)=B2(3)=・・・=Bi(3) (i:自然数)
B1(4)=B2(4)=・・・=Bi(4) (i:自然数)
よって、スケジューラ222_G1は、LED2〜LEDi(i:自然数)の発光期間を記憶しておらず、LED2〜LEDi(i:自然数)の発光期間に関してはLED1の発光期間B1(1)〜B1(4)を使用する。また、同一グループ内では設計値の個数も同じであるものとする。
【0038】
図5は、設計値のデータ構造を示す説明図である。設計値は4bitのデータであり、4bitのうち先頭の1bitは補間階調値設定フラグを示し、残り3bitは階調レベルを示す。補間階調値設定フラグについては詳しくは後述する。例えば、図4の設計値S1(1)においては、補間階調値設定フラグは1であり、階調レベルは2進数で「011」である。つまり、階調レベルは「3」である。該階調レベルは、図3の階調レベルテーブル223において階調値に関連づけられている。ここでは階調レベルが3であるので、図3から階調値は19ということである。つまり、設計値S1(1)から導出した階調値は19である。以下では、スケジューラ222の設計値から導出される階調値は、設計階調値と呼ぶ。同様に、図4の設計値S1(2)においては、補間階調値設定フラグは1であり、階調レベルは「5」であるので、設計階調値は65である。
【0039】
図4の発光期間B1(0)〜B1(3)は、1の設計階調値をレジスタ311に設定してから次の設計階調値をレジスタ311に設定するまでの期間をサイクル数で示したものである。図4では、設計値S1(1)から導出される設計階調値「19」を設定してから次の設計値S1(2)から導出される設計階調値「65」を設定するまでの期間は、発光期間B1(1)により5サイクル分であると定められている。仮に後述の補間階調値を使用しない場合は、図4のスケジューラ222は、発光期間B1(1)は、設計値S1(1)から導出した設計階調値に基づいてLED600を発光させ、その次の発光期間B1(2)は設計値S1(2)から導出した設計階調値に基づいてLED600を発光させることを意味する。
【0040】
階調値導出プログラム221は、スケジューラ222に基づいてレジスタ311に設定する階調値を導出し、RAM211に該階調値をセットする機能を実現するためのプログラムである。階調値導出プログラム221は、CPU210で実行される。以下では、階調値導出プログラム221により導出され、RAM211にセットされる階調値をセット階調値と呼ぶ。
【0041】
階調値導出プログラム221は1サイクル中に1回実行され、セット階調値は1サイクル中に1回RAM211にセットされる。階調値導出プログラム221は、図4の矢印A1で示すように、スケジューラ222の設計値を上の行から順に読み取り、設計階調値をセット階調値としてRAM211にセットする。ここで、スケジューラ222の発光期間中にRAM211にセットするセット階調値が問題となる。階調値導出プログラム221では、発光期間中のセット階調値は、先述した補間階調値設定フラグにより判別するよう設定されている。
【0042】
補間階調値設定フラグが「0」の場合は、発光期間中は、設計値から導出される設計階調値をセット階調値とする。具体的には、図4のスケジューラにおいて、設計値S1(2)の補間階調値設定フラグが「0」であるので、次の発光期間B1(2)の間は、設計値S1(2)から導出される設計階調値「65」をセット階調値とする。一方、補間階調値設定フラグが「1」の場合は、発光期間中は、補間階調値を算出して、補間階調値をセット階調値とする。補間階調値の算出方法については後述する。具体的には、図4のスケジューラにおいて、設計値S1(0)の補間階調値設定フラグが「1」であるので、次の発光期間B1(0)の間は、補間階調値を算出し、該補間階調値をセット階調値としてRAM211にセットする。
【0043】
図6は、階調値導出プログラム221を実行することにより図4のスケジューラ222に基づいてRAM211にセットされるセット階調値を示す説明図である。図6の太線がRAM211にセットされるセット階調値である。図4のスケジューラ222_G1の例では、設計値S1(0)と設計値S1(1)の補間階調値設定フラグが「1」であるので、発光期間B1(0),B1(1)の間は、各サイクルで補間階調値がセット階調値としてセットされる。また、設計値S1(2)の補間階調値設定フラグが「0」であるので、発光期間B1(2)の間は、各サイクルで設計値S1(2)から導出される設計階調値「65」がセット階調値としてセットされる。図の細線は、仮に設計値S1(0)と設計値S1(1)の補間階調値設定フラグが「0」である場合のセット階調値を示している。
【0044】
以下、サブ制御基板200において実行される処理について説明する。階調値導出プログラム221は、この中で実行される。図7は、サブ制御基板200において実行される処理を示すフローチャートである。サブ制御基板200は、メイン処理と、割り込み処理を実行する。割り込み処理は、2ms毎に実行する。サブ制御基板200は、パチンコ機10の電源がONになると、メイン処理を実行する。メイン処理においては、まず、割り込み処理の実行を禁止し(ステップS100)、初期処理を行ってから(ステップS200)、割り込み処理の実行を許可する(ステップS300)。初期処理では、CPU210の初期設定処理などを実行するが、ここでは説明を省略する。ステップS300により割り込み処理の実行を許可されると、メイン処理実行中も2ms経過毎に割り込み処理を実行する。
【0045】
割り込み処理では、毎2ms処理を実行する(ステップS10)。毎2ms処理とは、サブ制御基板200において2ms毎に実行すべき処理をいう。例えば、毎2ms処理には、表示制御基板400が正常に動作しているか否かを示すRUN信号の履歴を作成する処理を含む。RUN信号は、表示制御基板400から送信される。そして、変数Sをインクリメントする(ステップS20)。なお、変数Sの初期値は0である。変数Sが8ではない場合は(ステップS30:NO)、メイン処理における割り込み処理の実行前に実行していた処理に戻る。例えば、ステップS400の判定処理に戻る。16ms経過フラグが1ではない場合は(ステップS400:NO)、16ms経過フラグが1になるまでループする。16ms経過フラグは、割り込み処理において設定されるフラグである。
【0046】
割り込み処理の8回目の実行で、変数Sが8になると(ステップS30:YES)、16ms経過フラグを1とする(ステップS40)。2ms毎に実行される割り込み処理を8回実行したのであるから、16ms経過したと考え、16ms経過フラグを1とする。そして、変数Sを0とする(ステップS50)。16ms処理中フラグが1ではない場合は(ステップS60:NO)、RAM211の作業領域をバックアップする(ステップS70)。16ms処理中フラグは、メイン処理において設定されるフラグであり、後述する16ms定常処理を実行中であるか否かを示すフラグである。1であれば実行中である。割り込み処理の実行を終了すると、メイン処理における割り込み処理の実行前に実行していた処理に戻る。
【0047】
例えば、ステップS400の判定処理に戻る。16ms経過フラグが1である場合は(ステップS400:YES)、16ms経過フラグを0とし(ステップS500)、16ms処理中フラグを1にする(ステップS600)。そして、16ms定常処理を実行する(ステップS700)。16ms定常処理実行中も、2ms毎に割り込み処理が実行される。
【0048】
該割り込み処理において、ステップS10〜S50を実行した後、16ms処理中フラグが1の場合は(ステップS60:YES)、メイン処理における割り込み処理の実行前に実行していた処理に戻る。ここでは、16ms定常処理を実行中であることを示す16ms処理中フラグが1であるので、ステップS700の16ms定常処理に戻ることになる。
【0049】
そして、サブ制御基板200は、16ms定常処理のうち、割り込み処理の実行前に実行していた処理を実行する(ステップS700)。16ms定常処理を終えると、16ms処理中フラグを0にする(ステップS800)。そして、再度ステップS400に戻る。ステップS400〜ステップS800の処理は1サイクルに1回実行される。
【0050】
図8は、16ms定常処理を示すフローチャートである。16ms定常処理では、階調値導出処理を実行する(ステップS720)。階調値導出処理の内容については後述する。階調値導出処理は、グループ分けしたLED600の各グループについて一度ずつ実行するので、全てのグループについて階調値導出処理を実行していない場合は(ステップS740:NO)、次のグループに移行し(ステップS750)、そのグループの階調値導出処理を実行する。そして、全てのグループについて階調値導出処理を実行すると(ステップS740:YES)、導出したセット階調値をランプ制御基板300のレジスタ311に設定する処理を実行する(ステップS760)。16ms定常処理では、上記以外にも種々の処理を実行するが、ここでは説明を省略する。
【0051】
図9は、階調値導出処理を示すフローチャートである。上述したように、階調値導出処理は、1サイクル中に実行される。階調値導出処理は、階調値導出プログラム221をCPU210が実行することにより実現される。以下では、変数kは、図4のスケジューラ222における発光期間と設計値の括弧内の値を示す。変数kの初期値は0である。また、スケジューラ222の設計値と発光期間の符号「S」と「B」の添え字を示すjの初期値は1である。先には説明を省略したが、階調値導出処理を実行する前の図7のメイン処理における初期処理(ステップS200)の中で、変数kと変数jの初期値は各々「0」と「1」に設定されている。更に、以下の処理における残りサイクル数C(k)とは、発光期間Bj(k)から、発光期間Bj(k)のうちセット階調値をセット済みのサイクル数を引いたサイクル数である。残りサイクル数C(0)の初期値は、発光期間B1(0)の値とする。残りサイクル数C(0)の初期値も、図7のメイン処理における初期処理(ステップS200)の中で設定されている。残りサイクル数C(0)の初期値は、初期処理(ステップS200)の中に限らず、種々のタイミングで設定するものとしても良い。
【0052】
ここでは、グループLED_G1に関する階調値導出処理について説明する。グループLED_G1以外のグループに関しても実行する階調値導出処理の内容は同じであるので、他のグループに関しては説明を省略する。階調値導出処理の実行の際には、スケジューラ222を参照する。ここでは、図4のスケジューラ222_G1の具体的な値を用いて説明する。例えば、残りサイクル数C(0)の初期値には、スケジューラ222_G1の発光期間B1(0)の値の「5」が設定されている。
【0053】
CPU210は、現在の残りサイクル数C(0)が「5」であるので(ステップS721)、まず、LED1の設計値S1(0)をスケジューラ222_G1から取得する(ステップS725)。設計値S1(0)の補間階調値設定フラグは1であるので(ステップS726)、設計値S1(1)から設計階調値を導出し、目標値L2とする(ステップS727)。そして、設計値S1(0)から設計階調値を導出し、初期値L1とする(ステップS728)。次に、CPU210は、スケジューラ222_G1から発光期間B1(0)を取得し、補間階調値IPを算出する(ステップS729)。補間階調値IPを算出するための算出式(1)を以下に示す。
IP=L1+(L2―L1)×(Bj(k)―C(k)+1)/Bj(k)・・・(1)
ここでは、変数kは0とし、jは1として、補間階調値IPを算出する。補間階調値IPは、初期値L1と目標値L2の間の値となる。
【0054】
そして、算出した補間階調値IPをセット階調値としてRAM211にセットする(ステップS730)。ここまでで、LED1に関するセット階調値をRAM211にセットした。更に次のLED2に関するセット階調値を導出するために、変数jをインクリメントし(ステップS733)、ステップS724〜ステップS732の処理を繰り返す。ステップS724〜ステップS732をグループLED_G1に属するLED600の個数分繰り返し、グループLED_G1内の全てのLED600に関するセット階調値をRAM211にセットすると(ステップS732:YES)、残りサイクル数C(0)から1を引く(ステップS734)。ここではC(0)は4となる。ここでRAM211にセットされるセット階調値は図6のSt1(0)に相当する。
【0055】
図9の階調値導出処理をLED600の全てのグループについて実行することにより(図8のステップS720〜S750)、全てのLED600に関するセット階調値がRAM211にセットされる。そして、RAM211にセットされたセット階調値は、図8の階調値設定処理(ステップS760)により、ランプ制御基板300のレジスタ311に設定される。ランプ制御基板300の階調制御IC310は、レジスタ311に設定されたセット階調値に応じて、LED600の輝度制御を行う。つまり、輝度制御も1サイクル中に1回実行される。
【0056】
先述したように、16ms定常処理(ステップS700)は1サイクル毎に実行されるので、階調値導出処理(ステップS720)も1サイクル毎に実行される。2度目に階調値導出処理を実行する際、残りサイクル数C(0)は4となっている。よって、CPU210は、残りサイクル数C(0)が0ではないので、上記と同様に、ステップS725〜ステップS734を繰り返す。これによりRAM211にセットされるセット階調値は図6のSt1(1)に相当する。階調値導出処理(ステップS720)が発光期間B1(0)のサイクル数分、つまり5回実行されると、各サイクルで、図6のセット階調値St1(0)〜St1(4)が各々随時RAM211にセットされる。
【0057】
階調値導出処理(ステップS720)が発光期間B1(0)のサイクル数分実行されると、残りサイクル数C(0)は0となるので(ステップS721:YES)、変数kをインクリメントして1にし(ステップS722)、jを1とする(ステップS723)。これにより、スケジューラ222における次の設計値S1(1)と発光期間B1(1)に移行する。更に、残りサイクル数C(1)に発光期間B1(1)を代入する(ステップS724)。そして、上記と同様に残りサイクル数C(1)が0になるまで処理を繰り返す。これにより、各サイクルで、図6のセット階調値St2(0)〜St2(4)が各々随時RAM211にセットされる。
【0058】
次に、ステップS722でkが2となり、発光期間B1(2)と設計値S1(2)に移行し処理をする際には、ステップS726において、補間階調値設定フラグが0となる(ステップS726:YES)。このときは、設計値S1(2)から設計階調値を導出し、設計階調値をセット階調値としてRAM211にセットする(ステップS731)。そして、上記と同様に残りサイクル数C(2)が0になるまで処理を繰り返す。これにより、各サイクルで、図6のセット階調値St3(0)〜St3(4)が各々随時RAM211にセットされる。
【0059】
上記したように、1サイクル中に1回スケジューラ222_G1に従い階調値導出処理を繰り返すことで、セット階調値がRAM211にセットされる。スケジューラ222_G1の最後の行の設計値や発光期間(図4の場合は設計値S1(n),発光期間B1(n))に基づいてセット階調値をセットした後は、再度スケジューラ222_G1の最初の行の設計値や発光期間(図4の場合は設計値S1(0),発光期間B1(0))に戻り、階調値導出処理を繰り返すものとしても良い。この場合、設計値S1(0)から導出される設計階調値は「0」であるので、LED600の輝度変化をなめらかにするためには、スケジューラ222_G1の最後の行の設計値(図4の場合は設計値S1(n))から導出される設計階調値も「0」であることが望ましい。また、他のスケジューラ222_G1a(図示せず)を用意し、スケジューラ222_G1の最後の行の設計値や発光期間(図4の場合は設計値S1(n),発光期間B1(n))に基づいてセット階調値をセットした後は、他のスケジューラ222_G1aの最初の行の設計値や発光期間に移行して、階調値導出処理を繰り返すものとしても良い。LED600の輝度変化をなめらかにするためには、スケジューラ222_G1の最後の行の設計値(図4の場合は設計値S1(n))から導出される設計階調値と、他のスケジューラ222_G1aの最初の行の設計値から導出される設計階調値が一致することが望ましい。例えば、スケジューラ222_G1の最後の行の設計値から導出される設計階調値と、他のスケジューラ222_G1aの最初の行の設計値から導出される設計階調値が共に「0」であることが望ましい。
【0060】
つまり、スケジューラ222において、最初に設定すると規定されている設計階調値と、最後に設定すると規定されている設計階調値が同じ値であることが望ましい。あるいは、複数のスケジューラ222を備える場合、1のスケジューラ222において最後に設定すると規定されている設計階調値と、他のスケジューラ222において最初に設定すると規定されている設計階調値が同じ値であることが望ましい。
【0061】
本実施例のパチンコ機10によれば、発光期間B1(0)の間は、補間階調値IPがセット階調値としてRAM211にセットされる。図6にも示すように、補間階調値IPは、1サイクル毎に値が初期値L1から目標値L2に徐々に近づくように算出式(1)で定義されている。具体的には、残りサイクル数C(k)は各サイクルでデクリメントされるので、補間階調値IPも各サイクルで変化する。一方、仮に図6の細線のように設計階調値をセット階調値としてRAM211にセットした場合は、初期値L1から目標値L2にセット階調値が急激に変化する。ところが、補間階調値IPを用いることにより、セット階調値の変化を緩やかにすることができ、LED600の輝度をなめらかに変化させることができる。
【0062】
図10は、階調制御IC310を用いてLED600の輝度をなめらかに変化させることを目的とした、本来の階調制御で使用されるスケジューラScと、補間階調値IPを算出する本実施例のパチンコ機10で使用されるスケジューラ222aのデータ量の違いを示す説明図である。図10(a)は本来の階調制御で使用されるスケジューラScの一例である。図10(b)は、図10(a)と同様の輝度制御を実現するために本実施例のパチンコ機10で使用されるスケジューラ222aである。なお、図10のスケジューラSc,222aには、例示として1つのLEDについての設計階調値または設計値のみ示した。本来の階調制御では、なめらかな階調制御を実現するために1サイクル中に1回セット階調値を変更する場合は、スケジューラScには1サイクル毎の設計階調値を各々記憶させておく必要があった。40サイクルにわたり、セット階調値を徐々に増やす場合にも、40サイクル分の設計階調値を記憶させておく必要があった。
【0063】
一方、本実施例のパチンコ機10では、補間階調値IPを1サイクル中に1回算出して、セット階調値の変化を実現するので、図10(a)の本来の階調制御とほぼ同様の輝度制御を実現するために、設計値Sdと発光期間Bnのみをスケジューラ222aに設定しておけば良い。よって、スケジューラ222に記憶させるデータ量を抑えつつ、LED600の輝度変化をなめらかにすることができる。
【0064】
本実施例では、1サイクル毎に補間階調値IPを算出し、RAM211にセットするので、ある程度規則的に補間階調値IPを算出し、セットすることができる。この1サイクルは、LCD35に1フレームの画像が表示される間隔と一致する。よって、補間階調値IPを算出し、RAM211にセットするタイミング、つまり、LED600の輝度が変化するタイミングと、LCD35に1フレームの画像が表示されるタイミングが大きくずれてしまうことを防ぐことができ、人間に違和感を与えることを防ぐことができる。また、1サイクルは16msという比較的短い時間であるので、短い時間間隔で補間階調値IPがRAM211にセットされ、短い時間間隔でLED600の輝度が変更されることになる。よって、更になめらかな輝度変化を実現することができる。
【0065】
また、パチンコ機10の設計者は、補間階調値設定フラグを任意に設定することにより、補間階調値IPを算出し、レジスタ311に設定するか否かを選択することができる。更に、本実施例では、補間階調値IPを算出しない場合にも、1サイクル毎に設計階調値をレジスタ311に設定することで、レジスタ311に設定されたセット階調値を1サイクル毎に更新することができる。これにより、レジスタ311のセット階調値がノイズの発生により書き換えられることがあっても、正確なデータを上書きすることができ、ノイズ対策となる。
【0066】
本実施例では、階調レベルテーブル223を備え、スケジューラ222には設計階調値の代わりに階調レベルを記憶させている。この場合、階調レベルテーブル223における階調値を変更すると、スケジューラ222の階調レベルが意味する階調値を変更することになる。具体的には、図3の階調レベル「1」に関連づけられた階調値「2」を階調値「3」に変更すると、スケジューラ222の階調レベル「1」が意味する階調値を「2」から「3」に変更することになる。これによれば、スケジューラ222に同じ値の階調レベルが複数含まれている場合であっても、一括してその複数の階調レベルが意味する階調値を変更することができる。つまり、設計者は、階調レベルテーブル223の階調値を変更することで、スケジューラ222の意味する階調値を容易に変更することが可能となる。
【0067】
更に、128階調の階調制御IC310を用いる場合は、階調値を記憶するには通常7bit必要である。一方、本実施例の階調レベルを記憶するには3bitが必要となる。この場合、階調レベルは1バイトに2個記憶され、階調値は1バイトに1個しか記憶されない。よって、階調レベルと階調値を各々同じ個数記憶させる場合、階調レベルの方が階調値より少ないバイト数で記憶させることができる。つまり、階調値の代わりに、階調レベルをスケジューラのデータに含むことで、スケジューラのデータ量を減少させることができる。
【0068】
その他の実施例:
(1)上記実施例では、LED600の輝度制御に使用するスケジューラ222,222aは、1種類であるものとしたが、スケジューラ222を数種類し、主制御基板が、使用するスケジューラ222を指定するものとしても良い。
【0069】
(2)上記実施例では、下記算出式(1)の下線で示した部分のように、1を加算することで、発光期間B1(1)の1サイクル目で、初期値L1ではなくセット階調値St(0)がRAM211にセットされるように設定しているが、1を加算しなくとも良い。その場合は、初期値L1がセット階調値としてRAM211にセットされる。
IP=L1+(L2―L1)×(Bi(k)―C(k)+1)/Bi(k)・・・(1)
【0070】
(3)上記実施例では、同一グループ内のLED600に関しては、発光期間は同じであるものとしたが、同一グループ内であっても、異なるLED600については発光期間は異なるものとしても良い。また、同一グループ内のLED600に関しては、スケジューラ222において設定されている設計値の個数も同じであるものとしたが、同一グループ内であっても、異なるLED600についてはスケジューラ222における設計値の個数は異なるものとしても良い。また、上記実施例では、パチンコ機10に備えられた複数のLED600を複数のグループに分割して制御するものとして説明したが、グループに分割することなく制御するものとしても良い。あるいは、パチンコ機10に備えられた全てのLED600を1つのグループに含めるものとしても良い。
【0071】
(4)上記実施例では、スケジューラ222において、サイクル数により発光期間を定めているが、これに限らず、実時間により発光期間を定めるものとしても良い。
【0072】
(5)上記実施例では、スケジューラ222の設計値の中に補間階調値設定フラグを備え、各サイクルで、補間階調値をセット階調値とするか、設計階調値をセット階調値とするかを判定しているが、スケジューラ222とは別個に補間階調値設定フラグを備えるものとしても良い。
【0073】
(6)上記実施例では、設計値Sj(k)の補間階調値設定フラグの値により、補間階調値をセット階調値とするか、設計階調値をセット階調値とするか判別しているが(ステップS726)、スケジューラ222において設計値Sj(k)の次に設定すると規定されている設計値である次順設計値Sj(k+1)の補間階調値設定フラグの値により、補間階調値をセット階調値とするか、設計階調値をセット階調値とするか判別するものとしても良い。更に、ステップS731において、設計階調値は次順設計値Sj(k+1)から導出される値を用いるものとしても良い。この場合、図11で示すスケジューラ222bに従い、LED1についてのセット階調値を導出すると、RAM221にセットされるセット階調値は図12の太線で示す値となる。図12の細線は、補間階調値設定フラグの値が1であっても、仮に設計階調値をセット階調値とする場合のセット階調値を示す。
【0074】
(7)上記実施例では、階調レベルテーブル223を備え、スケジューラ222には、設計階調値の代わりに階調レベルを含む設計値を設定し、ステップS727,S728,S731で階調レベルから設計階調値を導出しているが、これに限らず、設計階調値を直接スケジューラ222に設定するものとしても良い。
【0075】
(8)上記実施例では、補間階調値設定フラグが0の場合も、1サイクル中に1回設計階調値をレジスタ311に設定しているが、1サイクル中に1回設計階調値を設定しなくとも良い。但し、1サイクル中に1回設計階調値をレジスタ311に設定すると、レジスタ311のデータがノイズの発生により書き換えられることがあっても、正確なデータを上書きすることができ、ノイズ対策となる。
【0076】
(9)上記実施例では、補間階調値設定フラグを備え、補間階調値設定フラグが0か1かにより、補間階調値IPを算出し、レジスタ311に設定するか否か判別しているが、補間階調値設定フラグを備えなくとも良い。補間階調値設定フラグを備えない場合は、常に補間階調値IPを算出し、レジスタ311に設定する。
【0077】
(10)上記実施例では、1サイクル中に1回補間階調値IPをRAM211にセットするものとしているが、これに限らず、スケジューラ222に設定された発光期間より短い間隔であれば、予め定めた等間隔おきに補間階調値IPをRAM211にセットするものとしても良いし、任意のタイミングで補間階調値IPをRAM211にセットするものとしても良い。
【0078】
(11)上記実施例では、パネル電飾55〜57に備えられているLED600の輝度制御について説明したが、パネル電飾55〜57に限らず、ガラス枠14に備えられている電飾58,59に備えられたLEDに関しても、上記実施例と同様に輝度制御するものとしても良い。更に、輝度制御の対象となる発光器はLED600に限らず、階調値により階調制御可能な発光器であれば良い。
【0079】
(12)上記実施例では、パチンコ機10について説明したが、パチンコ機10以外の遊技機に本発明を適用するものとしても良い。例えば、メダル又は遊技球を用いて遊戯するスロットマシンに本発明を適用するものとしても良い。
【0080】
以上、実施例に基づき本発明に係る遊技機、発光器の輝度をなめらかに変化させることを目的とする方法およびこれらの機能を実現させるためのプログラムを説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】パチンコ機10の正面図である。
【図2】パチンコ機10の電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図3】階調レベルテーブル223を示す説明図である。
【図4】スケジューラ222を模式的に示す説明図である。
【図5】設計値のデータ構造を示す説明図である。
【図6】階調値導出プログラム221を実行することにより図4のスケジューラ222に基づいてRAM211にセットされるセット階調値を示す説明図である。
【図7】サブ制御基板200において実行される処理を示すフローチャートである。
【図8】16ms定常処理を示すフローチャートである。
【図9】階調値導出処理を示すフローチャートである。
【図10】従来のスケジューラScと本実施例のパチンコ機10で使用されるスケジューラ222aの違いを示す説明図である。
【図11】スケジューラ222bを模式的に示す説明図である。
【図12】図11のスケジューラ222bに基づいてRAM211にセットされるセット階調値を示す説明図である。
【図13】駆動パルス信号が1サイクルの中でONまたはOFFされる様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
10…パチンコ機
11…外枠
12…内枠
13…遊技板
14…ガラス枠
15…ハンドル
45…スピーカ
55〜59…電飾
55〜57…パネル電飾
61…入賞口
65…スイッチ
66…ソレノイド
100…メイン制御基板
200…サブ制御基板
221…階調値導出プログラム
222,222a…スケジューラ
223…階調レベルテーブル
300…ランプ制御基板
310…階調制御IC
311…レジスタ
400…表示制御基板
600…LED
IP…補間階調値
Sc…スケジューラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光器を備え、該発光器の輝度をなめらかに変化させることを目的とする遊技機であって、
前記発光器の輝度を示す階調値に基づいて、前記発光器の輝度を制御する輝度制御部と、
前記輝度制御部に階調値を設定する階調値設定部と、
を備え、
前記輝度制御部は、1つの階調値が示す輝度から該階調値と連続する次の階調値が示す輝度への変化を、人間が視認困難な程度の階調数で、前記発光器の輝度を制御可能であって、
前記階調値設定部は、
時間経過に伴う前記発光器の輝度変化を規定するためのスケジューラを予め記憶する記憶部を備え、
前記スケジューラのデータは、複数の設計階調値の各設計階調値を前記輝度制御部に設定する順序と、前記各設計階調値に関する発光期間とを含み、
前記複数の設計階調値のうち一の設計階調値に関する発光期間は、前記一の設計階調値を設定してから、前記順序において該一の設計階調値の次に設定すると規定されている設計階調値である次順設計階調値を設定するまでの期間であって、
前記階調値設定部は、前記スケジューラのデータに基づいて前記輝度制御部に前記設計階調値を設定し、更に、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記一の設計階調値と、前記次順設計階調値と、前記一の設計階調値に関する発光期間と、前記一の設計階調値を設定してから経過した期間とに基づいて、前記一の設計階調値と前記次順設計階調値との間の値を示す階調値である補間階調値を導出し、前記補間階調値を輝度制御部に設定することを特徴とする、
遊技機。
【請求項2】
請求項1記載の遊技機であって、
前記階調値設定部は、前記発光期間中は、予め定められた周期毎に前記補間階調値を導出し、前記輝度制御部に設定することを特徴とする、
遊技機。
【請求項3】
請求項2記載の遊技機であって、
1フレームの画像を表示させるための制御信号を所定間隔おきに出力する表示制御部と、
前記制御信号に基づいて、複数フレームの画像を連続的に切り替えて表示することで動画像を表示する動画像表示部と、
を備え、
前記周期は、前記所定間隔と一致することを特徴とする、
遊技機。
【請求項4】
請求項1記載の遊技機であって、
前記スケジューラのデータは、前記補間階調値を前記輝度制御部に設定するか否かを示す補間階調値設定フラグを含み、
前記階調値設定部は、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記補間階調値設定フラグが前記補間階調値を設定すると示す場合にのみ、前記補間階調値を前記輝度制御部に設定することを特徴とする、
遊技機。
【請求項5】
請求項4記載の遊技機であって、
前記階調値設定部は、前記補間階調値設定フラグが前記補間階調値を設定しないと示す場合には、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記補間階調値の代わりに、前記一の設計階調値または前記次順設計階調値を前記輝度制御部に設定することを特徴とする、
遊技機。
【請求項6】
請求項1記載の遊技機であって、
前記記憶部は、前記複数の設計階調値のうち互いに異なる値の設計階調値を、各々異なる数値である階調レベルと関連づけて記憶する階調レベルテーブルを記憶しており、
前記スケジューラのデータには、前記複数の設計階調値に代えて、前記複数の設計階調値の各々と前記階調レベルテーブルにおいて関連づけられている各々の階調レベルが含まれ、
前記階調値設定部は、前記スケジューラのデータに含まれる階調レベルと前記階調レベルテーブルにおいて関連づけられている設計階調値を導出し、導出した設計階調値に基づいて前記輝度制御部に設計階調値または補間階調値を設定することを特徴とする、
遊技機。
【請求項7】
請求項6記載の遊技機であって、
前記階調レベルは、2進数で表現すると4桁以下で表現され、前記設計階調値は、2進数で表現すると5桁以上で表現されることを特徴とする、
遊技機。
【請求項8】
発光器の輝度をなめらかに変化させることを目的とする方法であって、
前記発光器の輝度を示す階調値に基づいて、前記発光器の輝度を制御する工程と、
前記階調値を設定する工程と、
を備え、
前記発光器の輝度を制御する工程では、1つの階調値が示す輝度から該階調値と連続する次の階調値が示す輝度への変化を、少なくとも人間が視認困難な程度の階調数で、前記発光器の輝度を制御可能であって、
前記階調値を設定する工程は、
時間経過に伴う前記発光器の輝度変化を規定するためのスケジューラを予め記憶する工程を備え、
前記スケジューラのデータは、複数の設計階調値の各設計階調値を設定する順序と、前記各設計階調値に関する発光期間を含み、
前記複数の設計階調値のうち一の設計階調値に関する発光期間は、前記一の設計階調値を設定してから、前記順序において該一の設計階調値の次に設定すると規定されている設計階調値である次順設計階調値を設定するまでの期間であって、
前記階調値を設定する工程では、前記スケジューラのデータに基づいて前記設計階調値を設定し、更に、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記一の設計階調値と、前記次順設計階調値と、前記一の設計階調値に関する発光期間と、前記一の設計階調値を設定してから経過した期間とに基づいて、前記一の設計階調値と前記次順設計階調値との間の値を示す階調値である補間階調値を導出し、設定する、
方法。
【請求項9】
発光器の輝度をなめらかに変化させることを目的とするコンピュータプログラムであって、
前記発光器の輝度を示す階調値に基づいて、前記発光器の輝度を制御する機能と、
前記階調値を設定する機能と、
を備え、
前記発光器の輝度を制御する機能では、1つの階調値が示す輝度から該階調値と連続する次の階調値が示す輝度への変化を、少なくとも人間が視認困難な程度の階調数で、前記発光器の輝度を制御可能であって、
前記階調値を設定する機能は、
時間経過に伴う前記発光器の輝度変化を規定するためのスケジューラを予め記憶する機能を備え、
前記スケジューラのデータは、複数の設計階調値の各設計階調値を設定する順序と、前記各設計階調値に関する発光期間を含み、
前記複数の設計階調値のうち一の設計階調値に関する発光期間は、前記一の設計階調値を設定してから、前記順序において該一の設計階調値の次に設定すると規定されている設計階調値である次順設計階調値を設定するまでの期間であって、
前記階調値を設定する機能では、前記スケジューラのデータに基づいて前記設計階調値を設定し、更に、前記一の設計階調値に関する発光期間中は、前記一の設計階調値と、前記次順設計階調値と、前記一の設計階調値に関する発光期間と、前記一の設計階調値を設定してから経過した期間とに基づいて、前記一の設計階調値と前記次順設計階調値との間の値を示す階調値である補間階調値を導出し、設定する、
ことをコンピュータにより実現するためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−130371(P2007−130371A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328371(P2005−328371)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(398057880)株式会社大万 (205)
【Fターム(参考)】