説明

遊技機

【課題】 他の遊技場で貸し出されたメダルまたは他の遊技機から払い出されたメダルが投入された場合、その旨を適時検知することができる遊技機を提供すること。
【解決手段】 メダル投入口からメダルが投入されると、セレクタ30の裏面に設けられたデータ読取装置によって当該メダルに埋設されたICタグから遊技場識別情報と遊技機識別情報とを読み出し、双方の情報が適正だった場合は、セレクタ30から遊技機貯留経路31を経てホッパー37のメダルタンク37aに収納される。また、遊技場識別情報が適正でなかった場合は、セレクタ30からメダル返却・回収経路32の回収経路32bを経てメダル収納箱33へ回収される。さらに、遊技機識別情報が適正でなかった場合は、セレクタ30からメダル返却・回収経路32の返却経路32aを経てメダル受皿20へ返却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグなどの記憶媒体が埋設された遊技媒体を投入することによって遊技が可能となる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技場に設置されたスロットマシンやパチンコ機で遊技を行うには、これら遊技機の遊技媒体であるメダルやパチンコ球を、遊技場から有償で借り受け、当該遊技媒体を遊技機に投入する必要がある。すなわち、遊技場は、遊技者へ遊技媒体を貸し出すことによって利益を得ているため、他の遊技場で貸し出された遊技媒体を用いて遊技を行うことを禁止している。また、遊技場の中には、ある遊技機から払い出された遊技媒体を用いて、他の遊技機で遊技を行うこと(以下、台移動という)を禁止している所もある。
【0003】
そこで、上述した禁止事項を定めている遊技場のために、当該禁止事項に対する違反行為を検知可能な遊技システムが提案されている。たとえば、特許文献1に開示された遊技システムは、スロットマシンと、当該スロットマシンに対応して設置されたCRサンドと、通信回線を介してこれらと接続されたサーバとからなり、サーバは、スロットマシンへのメダル投入枚数、スロットマシンのメダル払出枚数、および、CRサンドのメダル貸出枚数を管理するとともに、これらに関するデータが送信されてくると、(メダル貸出枚数)+(メダル払出枚数)−(メダル投入枚数)の演算を行う。そして、その演算結果が、所定の許容範囲を超えると、他の遊技場のメダルの使用や台移動などの不正が行われたとみなして、スロットマシンおよびCRサンドに設けられた警報ランプを点灯させるとともに、遊技場の従業員などが所有する携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)に、不正が発生した旨のメッセージを送信するものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2に開示された遊技システムは、スロットマシンと、当該スロットマシンと各種データのやり取りを行うCRサンドとからなり、CRサンドは、自らが貸し出したメダル枚数(メダル貸出枚数)と、スロットマシンへのメダル投入枚数、および、スロットマシンのメダル払出枚数を管理し、スロットマシンからメダル投入枚数またはメダル払出枚数に関するデータが送信されてくると、(メダル貸出枚数)+(メダル払出枚数)−(メダル投入枚数)の演算を行う。そして、その演算結果が、所定の許容範囲を超えると、他の遊技場のメダルの使用や台移動などの不正が行われたとみなして、スロットマシンおよびCRサンドに設けられた警報ランプを点灯させるなどして、遊技場の従業員などに不正が発生したことを知らせるものが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−73497
【特許文献2】特開2004−97685
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された遊技システムにおいては、(メダル貸出枚数)+(メダル払出枚数)−(メダル投入枚数)の演算結果が許容範囲を超えたときに不正が発生したとみなすため、前述した禁止事項の違反行為を適時検出することができなかった。また、たとえば他の遊技場で貸し出されたメダルがスロットマシンに投入された場合、仮にそのことを検出できたとしても、投入されたメダルは、たとえばホッパーのメダルタンクなどに自己の遊技場で貸し出した正当なメダルと一緒に貯留されてしまうため、後で他の遊技場で貸し出されたメダルをより分ける作業が煩雑であった。
【0007】
そこで本発明は、他の遊技場で貸し出されたメダルまたは他の遊技機から払い出されたメダルが投入された場合、その旨を適時検知することができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、遊技場に設置され、遊技者によって遊技媒体が投入されると遊技が可能となる遊技機であって、投入された前記遊技媒体に埋設された記憶媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた情報が予め定められた条件を満たすか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が前記予め定められた条件を満たさないと判断したことに基づいて異常信号を発生する異常信号発生手段とを具備することを特徴としている。
【0009】
ここで、上述した記憶媒体としては、たとえば、外部のリーダ/ライタと無線により非接触でデータの授受および記憶を行うICタグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどがある。
【0010】
上述した遊技機によれば、投入された遊技媒体に埋設された記憶媒体から読み出した情報が、予め定められた条件を満たしていなければ、異常信号を発生する。このため、たとえば遊技媒体に埋設された記憶媒体に、当該記憶媒体を貸し出した遊技場に固有の識別情報もしくは当該遊技媒体を払い出した遊技機に固有の識別情報、または、その両方の識別情報が記憶されていた場合、それら識別情報が所定の条件を満足していなかったとき、たとえば、本発明の遊技機を設置している遊技場に固有の識別情報または本発明の遊技機に固有の識別情報と一致しなかったときは、異常が発生したことを検出することができる。
【0011】
また、本発明の遊技機は、上述した遊技機において、前記判断手段が行った判断のうち、前記予め定められた条件を満たさないと判断した回数を計数する計数手段を有し、前記異常信号発生手段は、前記判断手段が前記予め定められた条件を満たさないと判断したことを、前記計数手段によって連続して所定回数、計数されたときに、前記異常信号を発生することを特徴としている。
【0012】
上記の遊技機によれば、前述した所定の条件を満たさない遊技媒体が、所定回数連続して遊技機に投入されたときに異常信号が発生する。このため、たとえば、何らかの突発的な原因により、読取手段が記憶媒体から情報を読み出すのに失敗したために、本来、前述した所定の条件を満たすと判断すべきところ、誤って異常信号を発生する可能性を低くすることができる。また、前述した所定の条件を満たさない遊技媒体を意図的に連続投入するなど明らかな違反行為のみを検知することができる。
【0013】
また、本発明の遊技機は、上記の各遊技機において、前記遊技場に固有な遊技場識別情報を記憶した遊技場識別情報記憶手段を備え、前記判断手段は、前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技場識別情報とが一致しなかったときに、前記予め定められた条件を満たさないと判断することを特徴としている。
【0014】
上記の遊技機によれば、読取手段によって遊技媒体に埋設された記憶媒体から読み出された情報が、本発明の遊技機が設置された遊技場に固有の識別情報でなかった場合、異常信号発生手段が異常信号を発生する。このため、たとえば、本発明の遊技機が設置された遊技場において貸し出される遊技媒体内の記憶媒体に、予め当該遊技場に固有の識別情報を記憶させておけば、本発明の遊技機に他の遊技場が貸し出した遊技媒体が投入された場合、そのことを検出することができる。
【0015】
また、本発明の遊技機は、上記の遊技機において、投入された前記遊技媒体を格納する格納部材と、前記判断手段が、投入された前記遊技媒体から前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技場識別情報とが一致しなかった結果、前記予め定められた条件を満たさないと判断した場合に、該投入された遊技媒体を、前記格納部材に格納させる格納手段とを有することを特徴とする。
【0016】
上記の遊技機によれば、たとえば、本発明の遊技機に他の遊技場が貸し出した遊技媒体が投入された場合、当該他の遊技場が貸し出した遊技媒体を専用の格納部材に格納させることができる。このため、前述した予め定められた条件を満たす遊技媒体との区別が容易となるとともに、そのような遊技媒体を自己の遊技場内で使用されるのを阻止することができる。
【0017】
また、本発明の遊技機は、上記の遊技機において、前記格納手段は、前記遊技媒体を外部へ排出するために投入された遊技媒体を貯留する遊技媒体貯留部材へ、投入された前記遊技媒体を導く貯留経路と、投入された前記遊技媒体を前記格納部材へ導く格納経路と、投入された前記遊技媒体を前記貯留経路および前記格納経路のいずれか一方へ導く経路切替手段とを有してなり、前記判断手段が、前記予め定められた条件を満たさないと判断した場合、前記経路切替手段に、前記投入された遊技媒体を前記格納経路へ導かせることを特徴としている。
【0018】
ここで、上述した遊技媒体貯留部材としては、たとえば、ホッパーのメダルタンクなどが該当する。
【0019】
また、本発明の遊技機は、上記の各遊技機において、自機に付与された固有の遊技機識別情報を記憶した遊技機識別情報記憶手段を備え、前記判断手段は、前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技機識別情報とが一致しなかったときに、前記予め定められた条件を満たさないと判断することを特徴としている。
【0020】
上記の遊技機によれば、読取手段によって遊技媒体に埋設された記憶媒体から読み出された情報が、自機に付与された固有の識別情報と一致しなかった場合、異常信号発生手段が異常信号を出力する。このため、たとえば、遊技媒体内の記憶媒体に、当該遊技媒体を払い出した遊技機に固有の識別情報を記憶させておけば、本発明の遊技機に、他の遊技機から払い出された遊技媒体が投入された場合、そのことを検出することができる。
【0021】
また、本発明の遊技機は、上記の遊技機において、前記判断手段が、投入された前記遊技媒体から前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技機識別情報とが一致しなかった結果、前記予め定められた条件を満たさないと判断した場合に、該投入された遊技媒体を、前記遊技者へ返却する返却手段を有することを特徴としている。
【0022】
上記の遊技機によれば、たとえば、本発明の遊技機に他の遊技機から払い出された遊技媒体が投入された場合、当該他の遊技機が払い出した遊技媒体を遊技者へ返却する。すなわち、遊技媒体の投入を受け付けないため、他の遊技機が払い出した遊技媒体によって遊技が行われるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の遊技機によれば、他の遊技場で貸し出されたメダルまたは他の遊技機から払い出されたメダルが投入された場合、その旨を適時検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態について、遊技機としてメダルを用いて遊技を行うスロットマシンを例に上げ、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る遊技機1の正面図である。遊技機1の筐体は、箱体と、箱体に開閉自在に取り付けられた前面扉とからなり、当該前面扉の正面ほぼ中央にはリール部パネル2が設けられている。このリール部パネル2のほぼ中央には、箱体内部に設けられた3個のリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応してリール表示窓4L,4C,4Rが形成されている。リール表示窓4L,4C,4Rは、遊技開始前および停止後のリール停止状態において、各々対応するリールの外周面に描かれている図柄を視認可能とする透明な領域であり、それぞれ上段・中段・下段に各1つずつ、リールの回転方向に沿って計3個の図柄が視認可能な大きさに形成されている。
【0026】
遊技機1には、3つのリールの回転が停止した際に、リール表示窓4L,4C,4R内に表示された図柄に基づいて入賞などの成否を判定する基準となる入賞ラインが定められている。入賞ラインとしては、右下がりラインL1、上段ラインL2、中段ラインL3、下段ラインL4および右上がりラインL5が設けられている。有効化される入賞ライン、すなわち有効ラインは、投入されるメダルの枚数に応じて変化する。メダルの投入は、後述するメダル投入口12にメダルを投入することにより行なわれ、1回の遊技に投入可能なメダルは、最大で3枚となっている。また、投入されたメダルの枚数に応じて、例えば1枚の場合1本(中段ラインL3)、2枚の場合3本(加えて上段ラインL2および下段ラインL4)、3枚の場合5本(さらに加えて右下がりラインL1および右上がりラインL5)の入賞ラインが有効化される。
【0027】
リール表示窓4L,4C,4Rの左側には、BETランプ6a,6b,6b’,6c,6c’が設けられている。これらBETランプは、点灯数によって1回の遊技に投入されたメダル枚数を示しており、メダルが1枚投入されたときはBETランプ6aのみが点灯し、2枚投入されたときはBETランプ6a,6b,6b’が点灯し、3枚投入されたときはすべてのBETランプ6a,6b,6b’,6c,6c’が点灯する。
【0028】
リール表示窓4L,4C,4Rの右側には、当たり表示ランプ7a、再遊技表示ランプ7b、遊技待機表示ランプ7c、スタートランプ7d、および、インサートランプ7eの、5つのランプが設けられており、これらランプの点灯状態によって現在の遊技状態を遊技者に報知する。当たり表示ランプ7aは、内部抽籤でボーナス役に当籤したときに点灯する。ボーナス役とは、ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ライン上に揃った(すなわち、ボーナス役に入賞した)遊技の次の遊技から、通常時の遊技(一般遊技)よりも入賞する可能性が高くなる遊技(すなわちボーナスゲーム)を行うことができる役である。このボーナスゲームは、ボーナスゲーム中に行った遊技回数、または、その間の入賞回数に応じて予め定められている終了条件を満たすまで継続する。また、ボーナスゲームには、遊技の内容や終了条件が異なるレギュラーボーナスゲーム(以下、RBゲームという)とビッグボーナスゲーム(以下、BBゲームという)とがあり、一般に、1回のRBゲームによって獲得できるメダル枚数よりも、1回のBBゲームによって獲得できるメダル枚数の方が多くなっている。
【0029】
再遊技表示ランプ7bは、次に開始される遊技が再遊技のときに点灯する。遊技待機表示ランプ7cは、前回の遊技開始(スタートレバーの操作)から4.1秒を経過していないときに後述するスタートレバー16を操作すると、遊技が不可能である状態であることを示すために点灯する。そして、前回の遊技開始から4.1秒が経過した時点で、遊技待機表示ランプ7cが消灯し、リール3L,3C,3Rの回転が開始される。スタートランプ7dは、メダルの投入がなされて遊技の開始が可能な状態となったときに点灯する。インサートランプ7eは、前回の遊技が終了し、次の遊技のためのメダルの投入が可能な状態になると点滅する。
【0030】
リール表示窓4L,4C,4Rの下側には、図1中、左から、貯留枚数表示部8、ボーナスカウント表示部9、および、配当枚数表示部10が配設されている。貯留枚数表示部8は、2桁の7セグメント表示器からなり、遊技機1内に貯留されたメダルの枚数を示す。ボーナスカウント表示部9は3桁の7セグメント表示器からなり、BBゲームおよびRBゲーム中に行った遊技回数および入賞回数を表示する。配当枚数表示部10は、2桁の7セグメント表示器からなり、遊技の結果入賞した場合、払い出されるメダルの枚数を表示する。
【0031】
リール部パネル2の下側には、台座部11が形成されている。この台座部11の、図中上面右側には、前述したメダル投入口12が設けられており、メダル投入口12に投入されたメダルの枚数に応じて、前述したとおり有効ラインが決定される。また、メダルが3枚投入された後、続けてメダルが投入されると、4枚目以降に投入されたメダルが最大50枚まで遊技機1内に貯留され、貯留されたメダルの枚数は、前述した貯留枚数表示部8に表示される。
【0032】
ここで、遊技機1の遊技媒体として用いられるメダルの構造について、図2を参照して説明する。図2は、メダルMの全体を図示したものであり、内部構造の一部を模式的に示したものである。メダルMの本体は、合成樹脂を円板状に成形したものであり、その内部には、識別情報などの各種情報が記録されたICタグITが埋設されている。ICタグITには、太さ1mm程の銅または鉄の線材を曲げて同心円を描くように一筆書きで配設されたアンテナANTが接続されている。ICタグITは、アンテナANTを介して、非接触で図示せぬデータ読取装置またはデータ書込装置と無線でデータ通信を行う。また、ICタグITは、データ読取装置またはデータ書込装置が発する電波を受信し、電磁誘導などの仕組みで電流を発生させるなどして電源を得ている。また、上述したICタグITには、少なくとも遊技場識別情報が予め記録されているものとする。
【0033】
図1に戻り、台座部11の上面左側には、遊技機1に貯留されたメダルからメダルを投入するための各種BETスイッチ13,14が設けられている。遊技機1に3枚以上のメダルが貯留されている状態で、MAX−BETスイッチ13が1回操作されると、一般遊技またはBBゲーム時には貯留されているメダルから3枚のメダルが遊技機1へ投入され、RBゲーム時には1枚のメダルが投入される。また、1−BETスイッチ14が操作されると、1回操作されるごとに貯留されているメダルから1枚ずつ投入され、一般遊技またはBBゲーム時には最大3枚のメダルが遊技機1に投入される。このように、各種BETスイッチ13,14を操作することで、メダル投入口12にメダルが投入された場合と同様に遊技機1へメダルが投入されるとともに、投入されたメダルの枚数に応じて前述の有効ラインが定まる。
【0034】
台座部11の垂直面略中央には、各リール表示窓4L,4C,4Rの下方に各々対応する形で、ストップスイッチ15L,15C,15Rが配置されている。これらのストップスイッチ15L,15C,15Rは、リール3L,3C,3Rに各々対応しており、たとえば、ストップスイッチ15Lが押されると、左リール3Lが停止する。同様に、ストップスイッチ15Cが押されると中リール3C、ストップスイッチ15Rが押されると右リール3Rが停止する。
【0035】
ストップスイッチ15L,15C,15Rの左側には、遊技機1にメダルが投入されて遊技が開始可能な状態にあるときに、遊技者により傾動操作がされると、リール3L,3C,3Rを一斉に回転させ、リール表示窓4L,4C,4Rに表示された図柄の移動を開始させるためのスタートレバー16が設けられている。さらに、スタートレバー16の左側には遊技機1に貯留されたメダルを排出するためのメダル排出スイッチ17が設けられている。
【0036】
台座部11の下側には、遊技機1に付与された機種名や、遊技機1のコンセプトに沿ったキャラクタなどの絵柄が描かれた腰部パネル18が配置されている。腰部パネル18の下側にはメダル払出口19が設けられており、遊技機1で遊技が行われた結果、入賞すると上述したメダル払出口19からメダルが払い出され、メダル受皿20に貯留される。ここで、入賞とは、前述した有効ラインに沿って予め定められた図柄組合せが停止表示された状態をいう。また、遊技機1にメダルが貯留されているときにメダル排出スイッチ17が押されたときにも、貯留されていたメダルがメダル払出口19からメダル受皿20へ払い出される。
【0037】
遊技機1の最上部には、遊技の状況に応じた発光パターンで発光し、演出や報知が行なわれる上部ランプ21が設けられている。この上部ランプ21は、メダル投入口12に、他の遊技場で貸し出されたメダルが投入されたとき、および、他の遊技機から払い出されたメダルが投入されたときにも、それぞれ異なる点滅パターンで発光する。上部ランプ21の下側には、遊技者によって行われた操作に対応する音や、遊技の状況に応じた演出音または報知音などを出力する右スピーカ22Rおよび左スピーカ22Lが配設されている。
【0038】
次に図3を参照して、遊技機1の前面扉裏面の構成および箱体内部の構成について説明する。図3は、遊技機1の前面扉を開いた状態を示す図であり、この図において、図1に示した各部と同じ部位については、同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0039】
前述したように、遊技機1の筐体は、前面扉1aと箱体1bとからなっている。前面扉1aの裏面側には、図1に示したメダル投入口12から投入されたメダルを適正なものと、適正でないものとに選別するセレクタ30が設けられている。このセレクタ30によって、投入されたメダルが適正なものと判断された場合は、メダル貯留経路31へ誘導され、メダル貯留経路31を通って後述するホッパー37のメダルタンク37aへ誘導される。すなわち、メダル貯留経路31は、投入された遊技媒体を、遊技媒体貯留部(メダルタンク37a)へ導く貯留経路に相当する。
【0040】
またセレクタ30によって投入されたメダルが適正でないと判断された場合は、メダル返却・回収経路32へ誘導される。メダル返却・回収経路32の内部は、メダルに埋設されたICタグから読み取った情報に応じて、投入されたメダルをメダル受皿20へ返却する経路(以下、返却経路という)32aと、メダル収納箱33へ通じる経路(以下、回収経路という)32bとに、切り替え可能になっている。メダル収納箱33は、前面扉1aの裏面に対して着脱自在に取り付けられ、メダル返却・回収経路32の回収経路32bを通ってきたメダルを収納する。すなわち、メダル収納箱33は、投入された遊技媒体を格納する格納部材に相当し、メダル収納箱33へ通じる回収経路32bは、格納経路に相当する。
【0041】
箱体1bの内部において、箱体1bの奥板上方には、遊技機1の遊技に関する制御を行うメイン制御部50が着脱可能に取り付けられている。また、箱体1bの内部ほぼ中央には、ミドルボード34が設けられており、当該ミドルボード34には、リール3L,3C,3Rを回転自在に支持するリールユニット35が載置されている。箱体1bの底板36のほぼ中央には、ホッパー37が設置されている。ホッパー37は、メダル投入口12から投入され、セレクタ30およびメダル貯留経路31を通過したメダルを貯留するメダルタンク37aと、入賞時やメダル排出スイッチ17が操作されたときに、メダルタンク37aに貯留されたメダルを遊技者へ払い出すホッパー本体部37bと、ホッパー本体部37bを支持する基台37cとから構成されている。底板36のホッパー37の右側には、メダルタンク37aから溢れたメダルを収納するメダル補助収納庫38が着脱自在に設置されている。また、ホッパー37の左側には、遊技機1の各部に電源を供給する電源装置39が設置されている。
【0042】
次に図4を参照してセレクタ30の構造について説明する。図4において、(a)は、図3に示すように、前面扉1aの背面側からセレクタ30を見たときの正面図を示し、(b),(c)は、ともに(a)におけるA−A断面を示す図である。なお、図4(b),(c)では、図4(a)に示したデータ読取装置(後述する)の図示を省略している。
【0043】
メダルセレクタ30は、外枠体301と、外枠体301の内部に設けられたメダル通路302とを有している。メダル通路302は、図1に示したメダル投入口12に連通し、図4(a)中、矢印アで示すメダルの流下方向の上流端に位置するメダル投入部302aと、メダルの流下方向の下流端に位置するメダル排出部302bと、メダル排出部302bの上流側に位置し、図3に示したメダル返却・回収経路32へと続くメダル返却部302cと、メダル投入部302aからメダル返却部302cの間において、メダルの流下経路を屈曲させた屈曲部302dとを有している。
【0044】
メダル排出部302bとメダル返却部302cとの間には、第1メダル投入スイッチ303aと第2メダル投入スイッチ303bとが隣接して配設されており、第1メダル投入スイッチ303aは、第2メダル投入スイッチ303bの上流側に設けられている。第1メダル投入スイッチ303aおよび第2メダル投入スイッチ303bは、メダルの通過を検出するものであり、たとえば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成されたフォトカプラが用いられる。また、第1メダル投入スイッチ303aおよび第2メダル投入スイッチ303bによるメダル通過の検出順序や検出時間の差などからメダルの通過方向や通過速度を検出することができ、これにより投入枚数だけでなく、不正行為によって逆流するメダルなどを感知することもできる。さらに、第1メダル投入スイッチ303aおよび第2メダル投入スイッチ303bをメダル排出部302bの直近、すなわち、メダル投入部302aから離れた位置に設けることにより不正行為を困難にしている。
【0045】
メダル返却部302cには、通過するメダルをそのままメダル排出部302bへ流下させるか、もしくは、図3に示したメダル返却・回収経路へ流下させるかを切り替える通路切替機構304が設けられている。通路切替機構304は、後述する通路切替ソレノイドと、底面部を揺動自在に支持された断面L字形状の切替板305とを有している。通路切替ソレノイドは、励磁および非励磁により切替板305を揺動可能にしており、この揺動動作によりメダルの進行方向を切り替え可能にしている。切替板305は、通路切替ソレノイドが非励磁状態にあるときは、図4(b)に示すように同図中、右側に傾く位置にあり、メダルMをメダル返却・回収経路32へ流下させる。また、通路切替ソレノイドが励磁状態にあるとき、切替板305は、図4(c)に示すように同図中、直立した位置にあり、メダルMは切替板305の垂直部上面を転動してメダル排出部302bへ流下することになる。そして、メダル排出部302bからセレクタ30の外部へ流出したメダルMは、図3に示したメダル貯留経路31を通って、ホッパー37のメダルタンク37a内に収納される。
【0046】
図1に示したメダル投入口12へ投入されたメダルMは、メダル投入部302aからメダル通路302へ入る。そして、屈曲部302dを通過したときに、セレクタ30の裏面に設けられたデータ読取装置100によって、メダルMに埋設されたICタグIT(図2参照)に記録されているデータが読み出される。すなわち、データ読取装置100は、遊技媒体に埋設された記憶媒体に記録されている情報を読み取る読取手段といえる。この読み出されたデータに基づく処理については後に詳しく述べる。また、データ読取装置100の上流側には、前述した第1メダル投入スイッチ303aおよび第2メダル投入スイッチ303bと同様の、第3メダル投入スイッチ303cが設けられている。
【0047】
ここで、メダル投入口12と、上述したセレクタ30とは、一体的に形成されていてもよいし、それぞれ個別に成形し、メダル投入口12を備えた部材をセレクタ30に組み付けるようにしてもよい。
【0048】
次に図5を参照して、図3に示したメダル返却・回収経路32の構造について説明する。図5は、前面扉1aの背面側からメダル返却・回収経路32を見たときの正面図を示し、その一部を断面で表している。
【0049】
メダル返却・回収経路32の内部には、前述したセレクタ30の切替板305が図4(b)に示す位置にあるときに排出されたメダルを受け入れ、そのメダルを前述した返却経路32aと回収経路32bとに振り分けるための経路切替部材321が回動自在に設けられている。この経路切替部材321は、前述したデータ読取装置100によってメダルMに埋設されたICタグITから読み取ったデータに応じて、後述する経路切替ソレノイドにより、図5中、実線で示す位置と、破線で示す位置とに切り替わる。ここで、経路切替ソレノイドが非励磁状態にあるときは、経路切替部材321が実線で示す位置にあり、励磁状態にあるときは、破線で示す位置に回動する。
【0050】
これにより、経路切替部材321が実線で示す位置にある場合は、セレクタ30のメダル返却部302cから排出されたメダルは、返却経路32aへ流下して、破線で示すメダル払出口19(図1参照)を通ってメダル受皿20へ排出される。一方、経路切替部材321が破線で示す位置にある場合は、回収経路32bを通ってメダル収納箱33に収納される。以上のことから、図4に示したセレクタ30の通路切替機構304を構成する通路切替ソレノイド、切替板305、および、上述した経路切替部材321は、投入された遊技媒体を、貯留経路(メダル貯留経路31)および格納経路(回収経路32b)のいずれか一方に導く経路切替手段に相当する。
【0051】
なお、返却経路32aの途中に形成されているメダル通過孔322は、図3に示したホッパー37から払い出されたメダルを返却経路32a内に飛入させるための孔である。このメダル通過孔322により、ホッパー37から払い出されたメダルは、返却経路32aを通って、メダル払出口19からメダル受皿20へ払い出される。また、図5に示すように、メダル収納箱33には係合片33a〜33dが突出形成されており、それぞれ、前面扉1aの裏面に形成された係合部101a〜101dと係合することで、前面扉1aから着脱自在に取り付けられている。
【0052】
次に図6および図7を参照して、図3に示したホッパー37の構造について説明する。図6は、ホッパー37の外観を示す斜視図である。この図において、図3に示したホッパー37の各部と同じ部位については同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。図6においてホッパー37は、メダルタンク37aと、本体部37bと、基台37cとから構成されている。メダルタンク37aは、本体部37bに取付ねじ370により、着脱自在に取り付けられている。基台37cは、上部が適当な角度(例えば25度)をもって斜めに形成された枠体から成り、その上部には、本体部37bの一部をなす矩形状の金属板である基板371が傾斜した状態で取り付けられる。本体部37bは、上述した基板371と、基板371の上面に取り付けられ、メダルの厚さよりもわずかに厚い矩形の金属板からなり、メダル排出口372aが形成されるメダルガイド板372と、その上面を覆うカバー373からなっている。また、カバー373の上面には、回転円板374が回転自在に取り付けられている。この回転円板374は、基板371の裏面に取り付けられたモータ(図示略)により、図6中、時計回りに回転する。
【0053】
次に図7を参照して、遊技機1に予め付与されている固有の遊技機識別情報を、図2に示したメダルMのICタグITに書き込む、データ書込装置の取付位置について説明する。図7は、ホッパー37のメダルタンク37aおよびカバー373を取り除いた状態で、本体部37bを上方から見た平面図であり、データ書込装置の取付位置を示すため、回転円板374の一部を破断した状態で示している。
【0054】
メダルガイド板372は、上述したメダル排出口372aを形成するための切欠部372b,372cと、この切欠部372b,372cに連続して穿設された円形の開口372dを有する。この開口372dの径は、前述した回転円板374より小さくなっている。また、切欠部372bから開口372dへ至る箇所には、カウンタローラ375が設けられている。このカウンタローラ375の回転軸は、メダルが排出される際に、基板371に穿設された長穴371a内を図中矢印の方向に移動し、この動きを基板371の裏面に設けられているメダル検出部(後述する)によって検出することで、図3に示したメイン制御部50は、メダルが1枚払い出されたことを認識する。カウンタローラ375は、バネなどにより図7に図示されている位置に付勢されており、メダル排出時に矢印の方向に移動し、メダルMが排出された後は、再び図7に図示する位置に復帰する。一方、切欠部372cから開口372dへ至る箇所には、位置固定ローラ376が定位置で回転自在に設けられている。
【0055】
回転円板374には、メダルタンク37aに貯留されているメダルが1枚ずつ入る開口374aが8つ穿設されている。図7においては回転円板374の一部を破断した状態を示しているため、開口374aが4つのみ図示されている。また、回転円板374の裏面側には、回転円板374と一体に回転する爪車状のメダル送出ガイド板377が取り付けられている。さらに、基板371の裏面において、切欠部372b,372cの間からカウンタローラ375および位置固定ローラ376の間にかけて、図7の破線で示すように、メダルMに埋設されたICタグITに、遊技機1に予め付与されている固有の遊技機識別情報を書き込むデータ書込装置150が取り付けられている。
【0056】
メダルタンク37aから開口374aに入ったメダルMは、回転円板374が図示せぬモータによって図7中、時計回りに回転すると、回転円板374と一体に回転するメダル送出ガイド板377により、メダル排出口372aの方向へ、開口372dの開口縁に沿って移動させられる。そして、メダル排出口372aを臨む位置に来たメダルMは、図7に示す位置にあるカウンタローラ375に当接し、図7の矢印で示す方向に移動させる。
【0057】
このとき、基板371の裏面に設けられているデータ書込装置150によって、遊技機1に予め付与されている固有の遊技機識別情報が、メダルMに埋設されたICタグITの所定の記憶領域に書き込まれる。そして、メダルMは、メダル送出ガイド板377によってさらにメダル排出口372aの方向へ押し出され、やがてカウンタローラ375のバネによる復帰力により、カウンタローラ375と位置固定ローラ376との間からメダル排出口372aの出口側へ向けて付勢される。これにより、メダルMは、メダル排出口372aの出口から勢いよく排出され、図3および図5に示したメダル返却・回収経路32の返却経路32aに穿設されたメダル通過孔322に飛入し、図1に示すメダル払出口19からメダル受皿20へ払い出される。
【0058】
次に図8を参照して、遊技機1における遊技および演出に関する制御を行う制御部の構成について説明する。遊技機1の制御部は、メイン制御部50と、サブ制御部70とによって構成されている。メイン制御部50は、主にメダルの投入、リールの回転/停止、入賞時の払い出しなど、遊技機1で行われる遊技に関する制御を行う。サブ制御部70は、主に遊技に伴って実行される音、光などによる演出に関する制御を行う。
【0059】
メイン制御部50は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称す)51を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン51は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うメインCPU52と、記憶手段であるプログラムROM53及び制御RAM54を含む。
【0060】
メインCPU52には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路55及び基準クロックパルスを分周する分周器56と、所定の数値範囲(たとえば0〜16383)内で乱数を発生する乱数発生器57及び発生した乱数をサンプリングするサンプリング回路58とが接続されている。また、メインCPU52は、I/Oポート59を介して後述する各種入出力装置と信号のやりとりを行う。
【0061】
なお、乱数サンプリングの手段としてメインCPU52の動作プログラム上で乱数サンプリングを実行するように構成してもよい。その場合、乱数発生器57及びサンプリング回路58は省略可能となるが、省略せずに、乱数サンプリング動作のバックアップ用としてそのまま残しておくことも可能である。
【0062】
メインCPU52は、クロックパルス発生回路55が発生する基準クロックパルスに基づいて処理を行うとともに、分周器56が発生するパルス信号に基づいて割込処理などを一定時間ごとに行う。
【0063】
マイコン51のプログラムROM53には、遊技機1における遊技制御を行うためのプログラムに加え、遊技機1が設置された遊技場に固有の遊技場識別情報および、遊技機1に予め付与された固有の遊技機識別情報が記憶されている。これにより、プログラムROM53は、遊技場識別情報記憶手段であると同時に、遊技機識別情報記憶手段であるともいえる。さらにプログラムROM53には、図柄テーブル、複数の確率抽籤テーブル、停止テーブル群、および、図柄組合せテーブルなどの各種テーブル等が記憶されている。
【0064】
図柄テーブルは、リール3L,3C,3Rにそれぞれ対応するステッピングモータ25L,25C,25Rの各ステップと、リール3L,3C,3Rにそれぞれ描かれた各図柄およびその図柄の種類とを対応づけたものである。メイン制御部50は、図柄テーブルを参照して、各リールの停止制御およびリール表示窓4L,4C,4Rに停止表示された図柄の認識を行っている。
【0065】
確率抽籤テーブルは、乱数発生器57が発生する乱数の数値範囲において、各数値と各種役との対応を定めたものであり、前述したサンプリング回路58による乱数サンプリングの結果に基づく内部抽籤を行う際に参照されるものである。
【0066】
内部抽籤で決定される役の種類には、大別すると入賞役とリプレイ役とがある。入賞役は、遊技者に特典を付与する役であり、付与する特典の内容に応じてさらに複数種類の入賞役が存在する。たとえば、小役は、予め定められた枚数のメダルを遊技者へ払い出す入賞役であり、本形態では払出枚数によってさらに複数種類の小役が存在する。BB役またはRB役(これらをまとめてボーナス役という)は、所定枚数のメダルを払い出すとともに、次の遊技からBBゲームまたはRBゲーム遊技が開始されることとなる役である。また、リプレイ役は、メダルの払い出しはないが、次の遊技が再遊技となる役である。そして、内部抽籤の結果、上述した各種役のいずれにも該当しなかった場合は、ハズレとなる。
【0067】
確率抽籤テーブルは、上述した各役の当籤確率が異なる複数のテーブルが用意されており、各確率抽籤テーブルには独自の番号が付与されている。そして、内部抽籤を行う際に、どの番号の確率抽籤テーブルを用いるかを、遊技場の係員などによって設定可能になっている。
【0068】
停止テーブル群は、内部抽籤の結果と、停止制御の対象となるリールとに応じた複数の停止テーブルからなり、各々の停止テーブルは、リール上の各図柄に対して滑りコマ数(最大4図柄分)を対応づけた内容となっている。ここで、滑りコマ数とは、リール上のある図柄が、リール表示窓内の所定の位置(たとえば中段)に来たときにストップスイッチが操作された場合、その図柄位置からさらに移動させる図柄数を示している。たとえば、ある図柄について滑りコマ数「1」が対応付けられていた場合、当該ある図柄がリール表示窓内の中段に来たときにストップスイッチが操作されたとすると、当該ある図柄に続く次の図柄がリール表示窓内の中段に来たときにリールが停止する。この停止テーブルは、ストップスイッチ15L,15C,15Rの操作に応じてリールの停止制御を行う際に参照される。
【0069】
図柄組合せテーブルは、前述した各種入賞役およびリプレイ役と、これら各役の成立する図柄組合せと、各種入賞役に対応するメダル配当枚数とを対応付けたものである。ここで、図柄組合せとは、リール3L,3C,3Rが停止したときに、前述した有効ライン上に沿って停止表示された右リール3L,中リール3C,左リール3Rの図柄によって構成される組合せをいう。
【0070】
制御RAM54には、メインCPU52が処理を行う過程で発生する種々の情報がセットされる。例えば、内部抽籤を行う際に参照される確率抽籤テーブルを設定するための設定値、内部抽籤の結果、当籤した役の種類、各種遊技状態等の情報などがセットされる。これらの情報は、サブ制御部通信ポート60を介してサブ制御部70に送信される。メイン制御部50とサブ制御部70との間で行われる各種情報のやりとりは、メイン制御部50からサブ制御部70への一方向で行われ、サブ制御部70からメイン制御部50へは何らかの情報が送信されることはない。
【0071】
マイコン51からの制御信号により動作が制御される主要な出力装置としては、リール部パネル2(図1参照)に設けられた各種表示器類、前述したホッパー37(払出しのための駆動部を含む)、リール3L,3C,3Rを回転駆動するためのステッピングモータ25L,25C,25Rがある。
【0072】
マイコン51は、各ランプ駆動回路61を介して、リール部パネル2bに設けられたBETランプ6a,6b,6b’,6c,6c’、当たり表示ランプ7a、再遊技表示ランプ7b、遊技待機表示ランプ7c、スタートランプ7d、および、インサートランプ7eを駆動制御する。また、マイコン51は、各表示部駆動回路62を介して、貯留枚数表示部8、ボーナスカウント表示部9、および、配当枚数表示部10の各7セグメント表示器を駆動制御する。
【0073】
さらに、マイコン51は、ホッパー駆動回路63を介してホッパー37を駆動制御し、ソレノイド駆動回路64を介して図4に示したセレクタ30の切替板305を揺動させる通路切替ソレノイド71と、図5に示したメダル返却・回収経路32内に設けられた経路切替部材321の位置を切り替えるための経路切替ソレノイド72とを駆動する。また、マイコン51は、モータ駆動回路65を介してステッピングモータ25L,25C,25Rを駆動制御する。上述した各種駆動回路は、I/Oポート59を介してメインCPU52に接続されており、それぞれメインCPU52から出力される駆動指令などの制御信号を受けて、各々対応する出力装置の動作を制御する。
【0074】
次に、マイコン51が制御指令を発生するために必要な入力信号を発生する主な入力装置としては、まず、メダル投入口12から投入されたメダルを検出するメダル投入スイッチ303a,303b,303c(図4参照)、BETスイッチ13,14、ストップスイッチ15L,15C,15R、スタートレバー16が操作されたことを検出するスタートスイッチ16S、メダル排出スイッチ17といったスイッチ類がある。これらスイッチ類から出力される信号は、I/Oポート59を介してメインCPU52へ出力される。なお、ストップスイッチ15L,15C,15Rについては、リール停止信号回路73から、遊技者によって押されたストップスイッチに対応する停止信号が出力され、I/Oポート59を介してメインCPU52へ出力される。
【0075】
また、メインCPU52には、上述したスイッチ類の他にも、リール3L,3C,3Rに各々対応して設けられたフォトカプラ(図示略)から出力される信号も入力される。これらフォトカプラは、メイン制御部50内のリール位置検出回路66と接続されており、それぞれ対応するリールに設けられた基準位置を検出すると、リール位置検出回路66からそのリールに対応する基準位置信号が出力され、I/Oポート59を介してメインCPU52へ送信される。
【0076】
さらに、メインCPU52には、ホッパー37が払い出したメダルを検出するメダル検出部74から出力される信号も入力される。メダル検出部74は、ホッパー37がメダルを1枚排出するごとに変動するカウンタローラ375の動きをフォトカプラによって検出し、その検出信号をメイン制御部50内の払出信号発生回路67へ出力する。また、メダル検出部74から出力された検出信号は、図7に示したデータ書込装置150に対しても出力され、当該検出信号を受けたデータ書込装置150は、排出されるメダルMに埋設されたICタグITの所定記憶領域に、遊技機1に付与されている固有の遊技機識別情報を書き込む。払出信号発生回路67は、メダル検出部74から出力された検出信号をI/Oポート59を介してメインCPU52へ出力する。
【0077】
サブ制御部70は、サブ制御部通信ポート60を介してメイン制御部50から送信される各種情報を受信する。そして、受信した情報に基づいて実行する演出内容や、投入されたメダルに関する異常が発生したことを知らせる報知内容を決定し、決定した演出内容または報知内容に従って、上部ランプ21の駆動制御、および、スピーカ22L,22Rからの音声出力制御を行う。
【0078】
次に上述した構成のメイン制御部50における遊技制御の内容について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0079】
遊技機1の電源が投入されると、まず、メインCPU51は、制御RAM54の記憶内容の初期化、サブ制御部70に対する送信データの初期化、遊技場の係員などにより設定された設定値の読み込み等、遊技開始時の初期化処理を行う(ステップS1)。そして、前回の遊技に関する制御を行った過程で、制御RAM54に記憶させた各種データ(たとえば前回の遊技機における内部抽籤の結果など)を消去するなどの遊技終了時の初期化を行う(ステップS2)。この遊技終了時の初期化においては、メダルの投入を受け入れ可能とするために、図4に示したセレクタ30の切替板305を直立した位置(図4(c)参照)に変位させるために、ソレノイド駆動回路64を介して通路切替ソレノイド71をONにする。このとき、経路切替ソレノイド72はOFFとなっており、図5に示す経路切替部材321は実線で示す位置にある。
【0080】
次いで、メダル投入口12からメダルが投入されたか、もしくは、BETスイッチ13,14が操作された場合、それぞれの操作に応じたメダル投入処理を行った後(ステップS3)、1回の遊技に要する枚数のメダルが投入され、かつ、スタートレバー16が操作されたか否かを判断する(ステップS4)。1回の遊技に必要なメダルが投入されていない、または、スタートレバー16が操作されないと判断した場合は、判断結果がNOとなって、再度ステップS3のメダル投入処理を行い、以下、メダルが投入され、かつ、スタートレバー16が操作されるまで、ステップS3およびステップS4の処理を繰り返す。
【0081】
そして、遊技者によってスタートレバー16が操作され、スタートスイッチ16SがONされると、ステップS4の判断結果がYESとなり、リール回転処理へ移行し、リール3L,3C,3Rを一斉に回転させ(ステップS5)、サンプリング回路58によって内部抽籤用の乱数が抽出される(ステップS6)。次いで、遊技状態監視処理が実行されることによって、今回のゲームにおける遊技状態が確認される(ステップS7)。ここで、遊技機1における遊技状態には、一般遊技状態、RBゲーム状態、および、BBゲーム状態の3種類の遊技状態がある。
【0082】
現在の遊技の遊技状態が確認されると、前述した確率抽籤テーブルに基づく確率抽籤処理を行って、ステップS7で確認した遊技状態に応じた入賞役の内部抽籤を行い(ステップS8)、当籤した入賞役の情報をサブ制御部70へ送信する。内部抽籤により入賞役を決定すると、決定した入賞役に応じてプログラムROM53に記憶されている停止テーブル群の中から停止テーブルを選択する停止テーブル群選択処理が実行される(ステップS9)。そして、何れかのストップスイッチ15R,15C,15Rが操作されると、選択した停止テーブルに基づいてリール回転停止処理が実行される(ステップS10)。この後、リール3R,3C,3Rがすべて停止すると、入賞判定(入賞検索)によりリール表示窓4L,4C,4Rに停止表示された図柄において、各有効ラインに沿って停止表示されている図柄の組合せと、プログラムROM53に記憶されている図柄組合せテーブルとを比較して、入賞役が成立しているか否かが識別される(ステップS11)。このとき、BB役またはRB役が成立していた場合は、成立したボーナス役に応じて遊技機1の遊技状態がBBゲーム状態またはRBゲーム状態となる。
【0083】
そして、入賞役が成立していた場合は、当該成立した入賞役に応じてメダルが払い出される。ここで、遊技機1に貯留されていたメダルの枚数が50枚に達していなかった場合は、入賞役が成立したことにより遊技者に払い出されるメダルが遊技機1に貯留される。そして、貯留枚数が50枚を超えると、ホッパー駆動回路63を介してホッパー37を駆動し、メダル受皿20へメダルを払い出す。このとき、図7に示したデータ書込装置150により、メダルMに埋設されているICタグITに遊技機1に付与されている固有の遊技機識別情報を書き込んでからメダルMが払い出される(ステップS12)。
【0084】
次に、現在の遊技状態がBBゲーム状態またはRBゲーム状態であるか否かが判定される(ステップS13)。遊技状態がBBゲーム状態またはRBゲームでなかった場合には、判断結果がNOとなり、ステップS2の遊技終了時の初期化処理へ戻る。一方、ステップS13において、遊技状態がBBゲーム状態またはRBゲーム状態であった場合は、判断結果がYESとなり、BBゲームまたはRBゲームの終了条件が成立したか否かを判断する(ステップS14)。ここで、BBゲームおよびRBゲームの終了条件が成立する場合としては、たとえば、BBゲームまたはRBゲーム中に払い出されたメダル枚数が各ゲームに応じてそれぞれ定められていた枚数を超えた場合、BBゲームまたはRBゲームの遊技回数が所定回数を超えた場合、もしくは、BBゲームまたはRBゲーム中における入賞回数が所定回数を超えた場合などが考えられる。さらに、上述した各終了条件を適宜組合せて、最も先に終了条件を満たしたときに、BBゲームまたはRBゲームの終了条件が成立したと判断してもよい。
【0085】
そして、ステップS14において終了条件が成立したと判断されなかった場合は、判断結果がNOとなり、BBゲーム状態またはRBゲーム状態を維持したまま、ステップS2の遊技終了時の初期化処理へ戻る。一方、終了条件が成立したと判断された場合は、判断結果がYESとなり、ボーナス終了信号がサブ制御部70へ出力した後(ステップS16)、遊技状態を一般遊技状態に戻して、ステップS2の遊技終了時の初期化処理へ戻る。
【0086】
次に図10を参照して、図9に示したメインフローのステップS3におけるメダル投入処理の詳細フローについて説明する。図9のステップS2において、遊技終了時の初期化が終了し、ステップS3のメダル投入処理へ移行すると、図10において、まず、MAX−BETスイッチ13または1−BETスイッチ14が操作されたか否かを判断する(ステップS20)、いずれかのBETスイッチが操作された場合は、判断結果がYESとなり、後述するメダル認識処理を行う。一方、BETスイッチが操作されなかった場合は、判断結果がNOとなり、メダル投入口12からメダルが投入されたか否かを判断する。すなわち、メダル投入口12からメダルが投入され、第3メダル投入スイッチ303cがONになったか否かを判断する(ステップS21)。
【0087】
もし、第3メダル投入スイッチ303cがONになっていなければ、判断結果がNOとなり、メダル投入口12からメダルが投入されなかったとみなして、図10に示すメダル投入処理を終了し、図9のステップS4へ移行する。一方、第3メダル投入スイッチ303cがONになっていた場合は、判断結果がYESとなり、データ読取装置100によって投入されたメダルから読み取られた遊技場識別情報と、プログラムROM53に記憶されていた遊技場識別情報とを比較し、メダルから読み取った遊技場識別情報が適正であるか否かを判断する(ステップS22)。そして、両者が一致しなかった場合、または、メダルから遊技場識別情報が読み取れなかった場合は、判断結果がNOとなって、セレクタ30に設けられた通路切替ソレノイド71をOFFにする(ステップS23)。さらに、図5に示すメダル返却・回収経路32に設けられた経路切替ソレノイド72をONにする(ステップS24)。
【0088】
すなわち、ステップS22の処理は、データ読取手段によって読み取られた情報が予め定められた条件を満たすか否かを判断する判断手段であり、データ読取手段によって読み取られた情報が、遊技場識別情報記憶手段に記憶された遊技場識別情報と一致しなかった場合、上記予め定められた条件を満たさないと判断する判断手段といえる。
【0089】
これにより、図9のステップS2においてONにされていた通路切替ソレノイド71がOFFにされて、セレクタ30の切替板305を傾斜した位置(図4(b)参照)に変位するため、投入されたメダルは、メダル返却・回収経路32へ流下する。また、経路切替ソレノイド72がONにされることにより、流路切替部材321が図5中、実線で示す位置から破線で示す位置へ変位するため、メダル返却・回収経路32へ流下したメダルは、回収経路32bへ流下してメダル収納箱33に回収される。
【0090】
すなわち、メダル収納箱33は、格納部材であり、ステップS23およびS24の処理、および、これらの処理により駆動される通路切替ソレノイド71、経路切替ソレノイド72、切替板305、流路切替部材321は、投入された遊技媒体を格納部材に格納する格納手段であるといえる。
【0091】
次いで、上部ランプ21を、遊技場識別情報が一致しなかったことを示す態様(以下、異常報知パターン1という)で点滅させるよう、サブ制御部70へコマンドを送信する(ステップS25)。これにより、サブ制御部70は、上部ランプ21を異常報知パターン1で点滅させるように駆動し、周囲に対し他の遊技場で貸し出されたメダルが遊技機1へ投入されたことを報知する。したがって、上部ランプ21を駆動制御するコマンドが異常信号に相当し、当該コマンドを発生するステップS25の処理は、異常信号発生手段に相当する。そして、ステップS25の処理が終わると、メインCPU52は、図9に示したメインフローへ戻ることなく処理を終了する。これにより、遊技機1は、遊技場の係員などにより、リセット操作がなされるまで不能動化される。
【0092】
一方、ステップS22において、メダルから読み出した遊技場識別情報が、プログラムROM53に記憶されていた遊技場識別情報と一致した場合は、メダルに記憶されていた遊技場識別情報が適正であるとみなして、判断結果がYESとなり、次にメダルから読み出した遊技機識別情報と、プログラムROM53に記憶されていた遊技機識別情報とが一致するか否かを判断する(ステップS26)。両者が一致しなかった場合、または、メダルから遊技機識別情報が読み取れなかった場合は、メダルに記憶されている遊技機識別情報が適正でないとみなし、判断結果がNOとなって、セレクタ30に設けられた通路切替ソレノイド71をOFFにする(ステップS27)。
【0093】
すなわち、ステップS26の処理は、データ読取手段によって読み取られた情報が予め定められた条件を満たすか否かを判断する判断手段に相当し、データ読取手段によって読み取られた情報が、遊技機識別情報記憶手段に記憶された遊技機識別情報と一致しなかった場合、上記予め定められた条件を満たさないと判断する判断手段に相当する。また、
【0094】
そして、上部ランプ21を、遊技機識別情報が一致しなかったことを示す態様(以下、異常報知パターン2という)で点滅させるよう、サブ制御部70へコマンドを送信する(ステップS28)。ステップS28の処理が終わると、メインCPU52は、図9に示したメインフローへ戻ることなく処理を終了する。これにより、遊技機1は、遊技場の係員などにより、リセット操作がなされるまで不能動化される。
【0095】
以上のように、遊技機識別情報が適正でなかったと判断した場合は、ステップS27の処理により、通路切替ソレノイド71をOFFにするのみで、経路切替ソレノイド72はONにしないため、メダル返却・回収経路32内の流路切替部材321は、図5中、実線で示す位置にとどまる。よって、セレクタ30に流入したメダルは、メダル返却・回収経路32から返却経路32aへ流下して、メダル払出口19からメダル受皿20へ返却されることになる。すなわち、ステップS27の処理、および、当該処理により駆動される通路切替ソレノイド71、切替板305、流路切替部材321は、投入された遊技媒体を遊技者へ返却する返却手段に相当する。
【0096】
また、ステップS28の処理により、サブ制御部70により、上部ランプ21が異常報知パターン2で点滅し、周囲に対し他の遊技機から払い出されたメダルが遊技機1へ投入されたことを報知する。したがって、上部ランプ21を駆動制御するコマンドが異常信号に相当し、当該コマンドを発生するステップS28の処理は、異常信号発生手段に相当する。
【0097】
さて、ステップS22およびステップS26において、メダル投入口12から投入されたメダルに記憶されていた遊技場識別情報および遊技機識別情報がともに適正だったと判断した場合は、メダル認識処理が行われる(ステップS29)。すなわち、メダル投入口12からメダルが投入された場合、第1メダル投入スイッチ303aおよび第2メダル投入スイッチ303bの作動状態に基づいてメダルの流下方向および流下速度が判断され、異常が認められた場合は、サブ制御部70に対して異常が発生したことを報知するためのコマンドを送信する。また、異常が認められなかった場合は、投入されたメダル枚数の計数し、サブ制御部70に対してメダル投入信号を出力する。一方、ステップS20で、BETスイッチ13,14が操作されたと判断していた場合は、遊技機1にメダルが貯留されているか否かを判断し、貯留されていた場合は操作されたBETスイッチに応じたメダル投入信号をサブ制御部70に対して出力する。そして、メダル認識処理が終了すると、図10に示すメダル投入処理を終え、図9のステップS4へ移行する。
【0098】
なお、上記のメダル投入処理において、遊技場識別情報または遊技機識別情報が適正でなかったと判断した場合、上部ランプ21をそれぞれ対応するパターンで点灯/消灯させることにより報知を行っていたが、スピーカ22R,22Lからそれぞれに対応する警告音を発生させるようにしてもよい。また、遊技場識別情報または遊技機識別情報が適正でなかったと判断した場合、遊技場内の各遊技機を管理する管理コンピュータに対してその旨を報知するようにしてもよい。また、図9のステップS12において、データ書込装置150によってメダルに書き込まれた遊技機識別情報は、たとえば、遊技を終えて遊技者がメダルの枚数を計数するために使用する計数装置、または、計数後に回収したメダルを再度貸し出す際に使用されるメダル貸出機において消去するようにすればよい。
【0099】
上述した遊技機1によれば、メダルに埋設されたICタグに遊技機1が設置されている遊技場に固有の遊技場識別情報が記録されていなかった場合、換言すると、他の遊技場で貸し出されたメダルが投入された場合、自己の遊技場で貸し出されたメダルとは別に、遊技機1内に回収される。このため、他の遊技場で貸し出されたメダルが投入された場合、そのメダルが、ホッパー37のメダルタンク37a内で、自己の遊技場のメダルと混ざってしまうことなく、回収が容易となるだけでなく、自己の遊技場でそのようなメダルが使用されるのを阻止することができる。また、自己の遊技場で貸し出されたメダルであるものの、他の遊技機から払い出されたメダルが投入された場合、そのメダルはそのまま遊技者へ返却される。このため、台移動を禁止している遊技場においては、その規則を遵守することが容易になるとともに、遊技者にとっては、返却されたメダルを払い出した遊技機で使用することができるため、損失を蒙ることはない。
【0100】
次に、図10に示したメダル投入処理の別形態について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。図11に示すメダル投入処理は、図10に示すメダル処理と同様、図9のステップS3に示すメダル投入処理の詳細フローを示すものである。
【0101】
図11のメダル投入処理へ移行すると、まず、MAX−BETスイッチ13または1−BETスイッチ14が操作されたか否かを判断する(ステップS40)、いずれかのBETスイッチが操作された場合は、判断結果がYESとなり、後述するメダル認識処理を行う。一方、BETスイッチが操作されなかった場合は、判断結果がNOとなり、メダル投入口12からメダルが投入され、第3メダル投入スイッチ303cがONになったか否か、すなわち、メダル投入口12からメダルが投入されたか否かを判断する(ステップS41)。
【0102】
もし、第3メダル投入スイッチ303cがONになっていなければ、判断結果がNOとなり、メダル投入口12からメダルが投入されなかったとみなして、図11に示すメダル投入処理を終了し、図9のステップS4へ移行する。一方、第3メダル投入スイッチ303cがONになっていた場合は、判断結果がYESとなり、データ読取装置100によって投入されたメダルから読み取られた遊技場識別情報と、プログラムROM53に記憶されていた遊技場識別情報とを比較し、メダルから読み取った遊技場識別情報が適正であるか否かを判断する(ステップS42)。そして、両者が一致しなかった場合、または、メダルから遊技場識別情報が読み取れなかった場合は、判断結果がNOとなって、遊技場識別情報不一致回数V1(以下、単に変数V1という)の値を「1」加算する(ステップS43)。すなわち、ステップS43の処理は、判断手段が予め定められた条件を満たさないと判断した回数を計数する計数手段に相当する。この変数V1の値は、制御RAM54の所定記憶領域に記憶されるものであり、図9のステップS2における遊技終了時の初期化処理によってクリアされる。
【0103】
そして、変数V1の値が「10」を超えたか否かを判断し(ステップS44)、超えていた場合は、セレクタ30に設けられた通路切替ソレノイド71をOFFにし(ステップS45)、図5に示すメダル返却・回収経路32に設けられた経路切替ソレノイド72をONにする(ステップS46)。これにより、投入されたメダルは、メダル返却・回収経路32へ流下し、さらに回収経路32bへ流下してメダル収納箱33に回収される。次いで、上部ランプ21を、図10に示したメダル投入処理と同様、異常報知パターン1で駆動するよう、サブ制御部70へコマンドを送信する(ステップS47)。サブ制御部70は、上部ランプ21を異常報知パターン1で駆動し、周囲に対し他の遊技場で貸し出されたメダルが遊技機1へ投入されたことを報知する。したがって、ステップS44,S47の処理は、計数手段によって予め定められた条件を満たさないと判断した回数が連続して所定回数計数されたときに異常信号を発生する異常信号発生手段に相当する。ステップS47の処理が終わると、メインCPU52は、図9に示したメインフローへ戻ることなく処理を終了する。これにより、遊技機1は、遊技場の係員などにより、リセット操作がなされるまで不能動化される。
【0104】
一方、ステップS42で、投入されたメダルから読み出した遊技場識別情報が適正だったと判断された場合、判断結果がYESとなり、変数V1がクリア、すなわち、変数V1の値「0」にされる(ステップS48)。そして、次にメダルから読み出した遊技機識別情報と、プログラムROM53に記憶されていた遊技機識別情報とが一致するか否かを判断する(ステップS49)。ここで、前述したステップS44において、変数V1の値が「10」を超えていないと判断した場合も、上述したステップS49の処理へ移行する。そして、メダルから読み出した遊技機識別情報と、プログラムROM53に記憶されていた遊技機識別情報とが一致しなかった場合、または、メダルから遊技機識別情報が読み取れなかった場合は、メダルに記憶されている遊技機識別情報が適正でないとみなし、判断結果がNOとなり、遊技機識別情報不一致回数V2(以下、単に変数V2という)の値を「1」加算する(ステップS50)。すなわち、ステップS50の処理は、判断手段が予め定められた条件を満たさないと判断した回数を計数する計数手段に相当する。この変数V2の値は、変数V1と同様、制御RAM54の所定記憶領域に記憶されるものであり、図9のステップS2における遊技終了時の初期化処理によってクリアされる。
【0105】
そして、変数V2の値が「10」を超えたか否かを判断し(ステップS51)、超えていた場合は判断結果がYESとなって、セレクタ30に設けられた通路切替ソレノイド71をOFFにする(ステップS52)。そして、上部ランプ21を、異常報知パターン2で点滅させるよう、サブ制御部70へコマンドを送信する(ステップS53)。このように、遊技機識別情報が適正でなかったと判断した場合は、通路切替ソレノイド71をOFFにするのみで、経路切替ソレノイド72をONしないため、メダル返却・回収経路32内の流路切替部材321は、図5中、実線で示す位置にとどまる。よって、セレクタ30に流入したメダルは、メダル返却・回収経路32から返却経路32aへ流下して、メダル払出口19からメダル受皿20へ返却されることになる。また、サブ制御部70により、上部ランプ21が異常報知パターン2で点滅し、周囲に対し他の遊技機から払い出されたメダルが遊技機1へ投入されたことを報知する。したがって、ステップS51,S53の処理は、計数手段によって予め定められた条件を満たさないと判断した回数が連続して所定回数計数されたときに異常信号を発生する異常信号発生手段に相当する。ステップS53の処理が終わると、メインCPU52は、図9に示したメインフローへ戻ることなく処理を終了する。これにより、遊技機1は、遊技場の係員などにより、リセット操作がなされるまで不能動化される。
【0106】
一方、ステップS49で、メダルから読み出した遊技機識別情報が適正であると判断した場合は、判断結果がYESとなって、変数V2をクリアしたのち(ステップS54)、図10のステップS29に示したメダル認識処理と同様の処理を行う(ステップS55)。すなわち、メダル投入口12からメダルが投入された場合、第1メダル投入スイッチ303aおよび第2メダル投入スイッチ303bの作動状態に基づいてメダルの流下方向および流下速度が判断され、異常が認められた場合は、サブ制御部70に対して異常が発生したことを報知するためのコマンドを送信する。また、異常が認められなかった場合は、投入されたメダル枚数の計数し、サブ制御部70に対してメダル投入信号を出力する。一方、ステップS40で、BETスイッチ13,14が操作されたと判断した場合は、遊技機1にメダルが貯留されているか否かを判断し、貯留されていた場合は操作されたBETスイッチに応じたメダル投入信号をサブ制御部70に対して出力する。そして、メダル認識処理が終了すると、図11に示すメダル投入処理を終え、図9のステップS4へ移行する。
【0107】
以上、図11に示すメダル投入処理においては、メダルから読み出した遊技場識別情報または遊技機識別情報が連続して所定回数(上記の場合、10回)、適正でないと判断した場合に、それ以降投入された不適正なメダルが、回収または返却される。このため、たとえば、データ読取装置100の読取誤差などに柔軟に対応することが可能となる。また、不適正なメダルを意図的に連続投入するなど明らかな違反行為のみを検知することができる。
【0108】
上述した遊技機1は、メダルを遊技媒体とするスロットマシンを例に挙げて説明したが、遊技媒体にICタグを埋設可能であれば、パチンコ球を遊技媒体として用いるスロットマシンまたは弾球遊技機に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態における遊技機の外観を示す正面図である。
【図2】同遊技機に使用される遊技媒体の内部構造を示す模式図である。
【図3】同遊技機の前面扉を開けた状態を示す正面図である。
【図4】同遊技機に設けられたセレクタの構造を示す正面図およびA−A断面図である。
【図5】同遊技機に設けられたメダル返却・回収経路の構造を示す一部断面を含む正面図である。
【図6】同遊技機の内部に設置されたホッパーの外観を示す斜視図である。
【図7】同ホッパーのメダルタンクを除いた状態でホッパー本体部の上面を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態における遊技機のメイン制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】同メイン制御部により実行される遊技制御に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】同メイン制御部により実行されるメダル投入処理の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図10に示すメダル投入処理とは異なるメダル投入処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
1 遊技機
12 メダル投入口
30 セレクタ
32 メダル返却・回収経路
32a メダル返却経路
32b メダル回収経路
33 メダル回収箱
50 メイン制御部
52 メインCPU
53 プログラムROM
54 制御RAM
64 ソレノイド駆動回路
71 通路切替ソレノイド
72 経路切替ソレノイド
100 データ読取装置
150 データ書込装置
304 通路切替機構
305 切替板
321 流路切替部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設置され、遊技者によって遊技媒体が投入されると遊技が可能となる遊技機であって、
投入された前記遊技媒体に埋設された記憶媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた情報が予め定められた条件を満たすか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が前記予め定められた条件を満たさないと判断したことに基づいて異常信号を発生する異常信号発生手段と
を具備することを特徴する遊技機。
【請求項2】
前記判断手段が行った判断のうち、前記予め定められた条件を満たさないと判断した回数を計数する計数手段を有し、
前記異常信号発生手段は、前記判断手段が前記予め定められた条件を満たさないと判断したことを、前記計数手段によって連続して所定回数、計数されたときに、前記異常信号を発生する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技場に固有な遊技場識別情報を記憶した遊技場識別情報記憶手段を備え、
前記判断手段は、
前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技場識別情報とが一致しなかったときに、前記予め定められた条件を満たさないと判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
投入された前記遊技媒体を格納する格納部材と、
前記判断手段が、投入された前記遊技媒体から前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技場識別情報とが一致しなかった結果、前記予め定められた条件を満たさないと判断した場合に、該投入された遊技媒体を、前記格納部材に格納させる格納手段と
を有することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記格納手段は、
前記遊技媒体を外部へ排出するために投入された遊技媒体を貯留する遊技媒体貯留部材へ、投入された前記遊技媒体を導く貯留経路と、
投入された前記遊技媒体を前記格納部材へ導く格納経路と、
投入された前記遊技媒体を前記貯留経路および前記格納経路のいずれか一方へ導く経路切替手段とを有してなり、
前記判断手段が、前記予め定められた条件を満たさないと判断した場合、前記経路切替手段に、前記投入された遊技媒体を前記格納経路へ導かせる
ことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
自機に付与された固有の遊技機識別情報を記憶した遊技機識別情報記憶手段を備え、
前記判断手段は、
前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技機識別情報とが一致しなかったときに、前記予め定められた条件を満たさないと判断する
ことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記判断手段が、投入された前記遊技媒体から前記読取手段によって読み取られた情報と、前記遊技機識別情報とが一致しなかった結果、前記予め定められた条件を満たさないと判断した場合に、該投入された遊技媒体を、前記遊技者へ返却する返却手段
を有することを特徴とする請求項6に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−82740(P2007−82740A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274990(P2005−274990)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】