説明

遊技機

【課題】封印機構の切断痕跡の発見漏れを低減できる遊技機を提供する。
【解決手段】基板ボックス263の封印ユニット270は、有色液体を収容したインクカプセル280と、それを保持する透明な部材であって保持されたインクカプセル280の周囲で所定方向に沿う第1凹凸部286を備えた保持部材285と、第1凹凸部286と咬合する第2凹凸部297を有し、第2凹凸部297に第1凹凸部286を咬合させて保持部材285が取り付けられる被取付部295とを備え、被取付部295は封印解除の際に切断される箇所に位置しているので、切断箇所を切断すると、その箇所に有色液体が付着するだけでなく、その切断箇所またはその近傍箇所の第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間に流出液体が浸入して毛細管現象のように広がって付着し、より切断箇所が目立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の代表例として例えばパチンコ機がある。このパチンコ機は、例えば、当該パチンコ機の外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定される外枠と、この外枠の正面視での左端側を開閉軸として外枠に対して開閉可能に支持される内枠と、この内枠の略中央に形成された開口に遊技領域が位置するように取り付けられる遊技盤と、この内枠の正面視での左端側を開閉軸として内枠に対して開閉可能に支持され、遊技領域を視認するための視認窓を有する前面扉とを備えている。
【0003】
また、遊技盤は、その裏面側に基板ユニットを備えている。この基板ユニットは、遊技を制御する制御基板と、この制御基板を内部空間に収容する上,下ケースと、この上,下ケースを封印する封印機構とを備えている。
【0004】
また、上,下ケースと封印機構とは、制御基板を外部から視認できるように透明樹脂部材で形成されている。また、封印機構による封印を解除する際には、当該封印機構の所定箇所を切断することでその封印が解除され、その切断痕跡が残るようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−74217号公報(第10−12頁,第3−5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来のパチンコ機では、例えば、封印機構の所定箇所が不正に切断された場合に、その切断痕跡を見逃すおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、封印機構の切断痕跡の発見漏れを低減できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
遊技球の打ち込まれる遊技領域が形成される遊技盤を備えた遊技機において、
前記遊技盤は、その裏面側に、所定の遊技に関する制御を行う制御基板を有する基板ユニットを備え、
前記基板ユニットは、前記制御基板を内部に収容する基板ケースと、前記基板ケースを開封不能に封印し、かつ、開封された場合に痕跡が残る封印手段とを備え、
前記封印手段は、有色または流出後に有色化する所定の液体を収容した液体収容体と、前記液体収容体の所定箇所を覆うように保持する透明な部材であって保持された前記液体収容体の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部を備えた保持部材と、前記第1凹凸部と咬合する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部を有し、前記第2凹凸部に前記第1凹凸部を咬合させて前記保持部材が取り付けられる被取付部と、を備え、
前記被取付部は、その少なくとも一部が、前記封印手段による封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所に、位置するように備えられており、
前記封印手段は、前記被対象箇所が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、前記液体収容体も切断されて当該液体収容体から液体が流出して前記第1凹凸部と前記第2凹凸部との咬合箇所の少なくとも一部に付着するものである
ことを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、遊技機は、遊技球の打ち込まれる遊技領域が形成される遊技盤を備えている。遊技盤は、その裏面側に基板ユニットを備えている。この基板ユニットは、所定の遊技に関する制御を行う制御基板と、この制御基板を内部に収容する基板ケースと、この基板ケースを開封不能に封印し、かつ、開封された場合に痕跡が残る封印手段とを備えている。封印手段は、有色または流出後に有色化する所定の液体を収容した液体収容体と、この液体収容体の所定箇所を覆うように保持する透明な部材であって保持された液体収容体の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部を備えた保持部材と、第1凹凸部と咬合する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部を有し、第2凹凸部に第1凹凸部を咬合させて保持部材が取り付けられる被取付部と、を備えている。被取付部は、その少なくとも一部が、封印手段による封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所に、位置するように備えられている。そして、封印手段は、被対象箇所が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、液体収容体も切断されてこの液体収容体から液体が流出して第1凹凸部と第2凹凸部との咬合箇所の少なくとも一部に付着する。
【0009】
したがって、封印手段(封印機構)の切断箇所(つまり、被対象箇所を切断した後の箇所)に有色液体(有色化した液体を含む)が付着するだけでなく、その切断箇所またはその近傍箇所の第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所よりも内部での第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所だけでなく当該切断箇所から内部までわたって付着させることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。つまり、封印手段(封印機構)の切断痕跡の発見漏れを低減できる遊技機を提供することができる。
【0010】
なお、本明細書で言う「流出後に有色化する液体」とは、液体収容体から液体が流出する際または流出後に、空気などの気体や他の液体との化学反応等によって、無色から有色化あるいはある色から他の色に変化する液体を含む。また、本明細書で言う「複数個の凹凸部」は、凹部または凸部が並べられた形状を含む。
【0011】
なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
【0012】
(1) 遊技球の打ち込まれる遊技領域が形成される遊技盤を備えた遊技機において、
前記遊技盤は、その裏面側に、所定の遊技に関する制御を行う制御基板を有する基板ユニットを備え、
前記基板ユニットは、前記制御基板を内部に収容する基板ケースと、前記基板ケースを開封不能に封印する封印手段とを備え、
前記封印手段は、所定の有色液体を収容した液体収容体と、前記液体収容体の所定箇所を覆うように保持する透明な保持部材と、前記保持部材が取り付けられる被取付部と、を備え、
前記被取付部は、その少なくとも一部が、前記封印手段による封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所に、位置するように備えられており、
前記保持部材は、前記液体収容体の所定箇所を間に挟むようにして組み合わされる第1部材および第2部材を備え、
前記第1部材は、前記液体収容体の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部を備え、
前記第2部材は、前記第1凹凸部と咬合する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部を備え、
前記第1部材および前記第2部材は、前記液体収容体の所定箇所を間に挟み、かつ、前記第1凹凸部と前記第2凹凸部とを咬合させるようにして組み合わされており、
前記封印手段は、前記被対象箇所が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、前記液体収容体も切断されて当該液体収容体から液体が流出して当該封印手段に付着するものである
ことを特徴とする遊技機。
【0013】
前記(1)に記載の発明によれば、遊技機は、遊技球の打ち込まれる遊技領域が形成される遊技盤を備えている。遊技盤は、その裏面側に基板ユニットを備えている。この基板ユニットは、所定の遊技に関する制御を行う制御基板と、この制御基板を内部に収容する基板ケースと、この基板ケースを開封不能に封印する封印手段とを備えている。封印手段は、所定の有色液体を収容した液体収容体と、この液体収容体の所定箇所を覆うように保持する透明な保持部材と、この保持部材が取り付けられる被取付部と、を備えている。被取付部は、その少なくとも一部が、封印手段による封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所に、位置するように備えられている。保持部材は、液体収容体の所定箇所を間に挟むようにして組み合わされる第1部材および第2部材を備えている。第1部材は、液体収容体の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部を備えている。第2部材は、第1凹凸部と咬合する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部を備えている。第1部材および第2部材は、液体収容体の所定箇所を間に挟み、かつ、第1凹凸部と前記第2凹凸部とを咬合させるようにして組み合わされている。封印手段は、被対象箇所が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、液体収容体も切断されて当該液体収容体から液体が流出して当該封印手段に付着する。
【0014】
したがって、第1部材の第1凹凸部と第2部材の第2凹凸部とを咬合させた状態で当該第1部材と第2部材との間に液体収容体を挟むという保持部材を採用した場合であっても、封印手段(封印機構)の切断箇所(つまり、被対象箇所を切断した後の箇所)に有色液体が付着するだけでなく、その切断箇所またはその近傍箇所の第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所よりも内部での第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所だけでなく当該切断箇所から内部までわたって付着させることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。つまり、封印手段(封印機構)の切断痕跡の発見漏れを低減できる遊技機を提供することができる。
【0015】
(2) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)に記載の遊技機において、
前記保持部材は、前記液体収容体を保持した状態で前記封印手段に係止する係止部を備えている
ことを特徴とする遊技機。
【0016】
前記(2)に記載の発明によれば、保持部材は、液体収容体を保持した状態で封印手段に係止する係止部を備えているので、液体収容体を保持した状態の保持部材を、封印手段に係止させる(つまり、取り付ける)ことができ、液体収容体を保持した状態の保持部材の取付操作が簡単である。
【0017】
(3) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)または(2)に記載の遊技機において、
前記保持部材は、前記液体収容体の所定箇所を覆う覆い部と、前記覆い部に設けられた、前記液体収容体を保持する保持部と、を備えている
ことを特徴とする遊技機。
【0018】
前記(3)に記載の発明によれば、保持部材の覆い部は、液体収容体の所定箇所を覆う。この保持部材の保持部は、覆い部に設けられており、液体収容体を保持する。つまり、液体収容体は、保持部材の保持部で保持された状態となり、しかもこの保持部材の覆い部で所定箇所が覆われた状態となっている。したがって、液体収容体を、保持部材の保持部で保持し、かつ、その保持部材の覆い部で保持した状態で取り扱うことができ、液体収容体を封印手段に装着する等の際に、液体収容体を誤って破損させることを低減できる。
【0019】
(4) 前記(3)に記載の遊技機において、
前記液体収容体は、内部空間に有色液体を収容密閉した筒状部材であり、
前記覆い部は、前記液体収容体の長手方向長さと同程度の長さかそれよりも長くした形状のものであり、
前記保持部は、前記液体収容体の外周所定箇所を保持するように、前記覆い部の短手方向の両側から前記液体収容体側に向けてそれぞれ延出された延出部を備えている
ことを特徴とする遊技機。
【0020】
前記(4)に記載の発明によれば、液体収容体は、内部空間に有色液体を収容密閉した筒状部材である。覆い部は、液体収容体の長手方向長さと同程度の長さかそれよりも長くした形状となっている。保持部は、液体収容体の外周所定箇所を保持するように、覆い部の短手方向の両側から液体収容体側に向けてそれぞれ延出された延出部を備えている。したがって、筒状の液体収容体の長手方向を覆い部に沿わせるとともに、当該液体収容体の外周所定箇所を保持部の両延出部で保持するので、筒状の液体収容体をその長手方向にわたって保護することができ、液体収容体を保持部材に保持させた状態で封印手段に取り付けることができる。
【0021】
(5) 前記(4)に記載の遊技機において、
前記覆い部は、その前記液体収容体と対向する面を見た状態で、前記液体収容体の長手方向長さと同程度の長さかそれよりも長く、かつ、前記液体収容体の胴幅と同程度かそれよりも大きい形状であり、
前記両延出部は、前記液体収容体の外周所定箇所を挟持するように、前記液体収容体の胴幅よりも僅かに小さい開口幅で設けられている
ことを特徴とする遊技機。
【0022】
前記(5)に記載の発明によれば、覆い部は、その液体収容体と対向する面を見た状態で、液体収容体の長手方向長さと同程度の長さかそれよりも長く、かつ、液体収容体の胴幅と同程度かそれよりも大きい形状としている。両延出部は、液体収容体の外周所定箇所を挟持するように、液体収容体の胴幅よりも僅かに小さい開口幅で設けられている。したがって、覆い部の両延出部間に液体収容体の胴部を入れることで、その液体収容体の胴部が両延出部で挟持され、覆い部で液体収容体の長手方向が覆われるので、筒状の液体収容体をその長手方向にわたって保護することができ、液体収容体を保持部材に挟持させた状態で封印手段に取り付けることができる。
【0023】
なお、本明細書で言う「液体収容体の胴幅よりも僅かに小さい開口幅」とは、液体収容体を破壊することなく挟持可能である、両延出部についての幅を意味するものである。
【0024】
(6) 前記(4)に記載の遊技機において、
前記覆い部は、その前記液体収容体と対向する面を見た状態で、前記液体収容体の長手方向長さと同程度の長さかそれよりも長く、かつ、前記液体収容体の胴幅と同程度かそれよりも大きい形状であり、
前記両延出部は、その先端同士の間隔を前記液体収容体の胴幅よりも僅かに小さくし、かつ、当該先端以外の箇所を前記液体収容体の外周に当接または近接することで、前記液体収容体を保持する
ことを特徴とする遊技機。
【0025】
前記(6)に記載の発明によれば、覆い部は、その液体収容体と対向する面を見た状態で、液体収容体の長手方向長さと同程度の長さかそれよりも長く、かつ、液体収容体の胴幅と同程度かそれよりも大きい形状としている。両延出部は、その先端同士の間隔を液体収容体の胴幅よりも僅かに小さくし、かつ、当該先端以外の箇所を液体収容体の外周に当接または近接することで、液体収容体を保持する。したがって、覆い部の両延出部の先端間から液体収容体の胴部を入れてしまえば、両延出部の先端間は液体収容体の胴幅よりも小さいので、その液体収容体が両延出部から外れないようにでき、覆い部で液体収容体の長手方向が覆われるので、筒状の液体収容体をその長手方向にわたって保護することができ、液体収容体を保持部材に保持させた状態で封印手段に取り付けることができる。
【0026】
(7) 前記(3)から(6)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記基板ユニットは、第1ケースと第2ケースとを備え、前記第1ケースと前記第2ケースとを合わせた状態でのその内部空間に前記制御基板を収容し、
前記封印手段は、前記第1ケースに設けられた第1封印部と、前記第2ケースに設けられた第2封印部とを備え、前記第1ケースと前記第2ケースとを合わせた状態で前記第1封印部と前記第2封印部とを封印部材で連結固定することで、前記第1ケースおよび前記第2ケースを開封不能に封印し、前記被対象箇所としての前記第1封印部または前記第2封印部の少なくとも一方の所定箇所を切断することで当該封印が解除されるものであり、
前記第1ケースと前記第2ケースとは、透明部材である
ことを特徴とする遊技機。
【0027】
前記(7)に記載の発明によれば、基板ユニットは、第1ケースと第2ケースとを備え、この第1ケースと第2ケースとを合わせた状態でのその内部空間に制御基板を収容する。封印手段は、第1ケースに設けられた第1封印部と、第2ケースに設けられた第2封印部とを備え、第1ケースと第2ケースとを合わせた状態で第1封印部と第2封印部とを封印部材で連結固定することで、第1ケースおよび第2ケースを開封不能に封印し、被対象箇所としての第1封印部または第2封印部の少なくとも一方の所定箇所を切断することで当該封印が解除されるものである。したがって、このような構成の基板ユニットであっても、被対象箇所の切断によって液体収容体(例えばインクカプセル)も切断されて、切断箇所に有色液体(有色化した液体を含む)が付着するだけでなく、その切断箇所またはその近傍箇所の第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所よりも内部での第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所だけでなく当該切断箇所から内部までわたって付着させることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。また、第1ケースと第2ケースとは透明部材としているので、その内部に収容された制御基板を目視確認できる。
【0028】
(8) 前記(3)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記封印手段は、流出液体が前記制御基板に付着することを防ぐ防護壁を備えていることを特徴とする遊技機。
【0029】
前記(8)に記載の発明によれば、封印手段は、流出液体が制御基板に付着することを防ぐ防護壁を備えている。したがって、封印手段の被対象箇所の切断によって液体収容体(例えばインクカプセル)が切断されて流出した液体は、防護壁で阻まれ、流出液体の制御基板への付着を防ぐことができる。
【0030】
(9) 前記(4)から(6)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記第1凹凸部は、前記覆い部の短手方向の両側に沿ってそれぞれ設けられ、かつ、前記覆い部から前記液体収容体側に向けて突出した凸部を間隔を空けて複数個形成することで凹凸形状としたものである
ことを特徴とする遊技機。
【0031】
前記(9)に記載の発明によれば、第1凹凸部は、覆い部の短手方向の両側に沿ってそれぞれ設けられ、かつ、覆い部から液体収容体側に向けて突出した凸部を間隔を空けて複数個形成することで凹凸形状としたものである。つまり、第1凹凸部は、液体収容体の幅方向の両側で、かつ、この液体収容体の長手方向に沿って設けられている。したがって、封印手段の被対象箇所を切断すると、その切断箇所に有色液体が付着するだけでなく、その切断箇所またはその近傍箇所の第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所よりも内部で液体収容体の長手方向に沿った第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所だけでなく当該切断箇所から内部までわたって付着させることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。
【0032】
(10) 前記(9)に記載の遊技機において、
前記覆い部を前記液体収容体側から見た状態で、当該覆い部の短手方向の両側のうちで一方側の前記凸部をその他方側の前記凸部に対して当該覆い部の長手方向にずらした位置に形成している
ことを特徴とする遊技機。
【0033】
前記(10)に記載の発明によれば、覆い部を液体収容体側から見ると、覆い部の短手方向の両側のうちの一方側の凸部は、その他方側の凸部に対して覆い部の長手方向にずらした位置に形成されている。つまり、覆い部の短手方向から第1凹凸部を見た状態では、覆い部の両側での第1凹凸部および第2凹凸部の咬合隙間が覆い部の長手方向にずれた位置となっているために、より多くの咬合隙間を見ることができ、流出液体がこれらの咬合隙間に広がって付着した状態を見ることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。
【0034】
(11) 前記(9)または(10)に記載の遊技機において、
前記第1凹凸部の前記凸部は、前記覆い部を前記液体収容体側から見た状態で、四角形状であり、かつ、その四面のうちで外面および内面の二面が前記覆い部の短手方向の両側に平行な面または略平行な面であり、残り二面が前記覆い部の短手方向の両側に対して傾斜した傾斜面としている
ことを特徴とする遊技機。
【0035】
前記(11)に記載の発明によれば、第1凹凸部の凸部は、覆い部を液体収容体側から見ると、四角形状であり、かつ、その四面のうちで外面および内面の二面が覆い部の短手方向の両側に平行な面または略平行な面であり、残り二面が覆い部の短手方向の両側に対して傾斜した傾斜面としている。つまり、第1凹凸部は、覆い部の短手方向の両側に沿って二列設けられており、各列の複数個の凸部は、その凸部同士で近接する面が覆い部の短手方向の両側に対して傾斜した傾斜面となっていることから、第1凹凸部および第2凹凸部の咬合隙間が覆い部の短手方向の両側に対して傾斜した傾斜方向に形成されている。したがって、覆い部の短手方向から第1凹凸部を見た状態では、凸部の傾斜面の存在によって、覆い部の両側での第1凹凸部および第2凹凸部の咬合隙間を、当該隙間間隔以上の所定幅にわたって見ることができ、流出液体がこれらの咬合隙間に広がって付着した状態を見ることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。
【0036】
(12) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
【0037】
前記(12)に記載の遊技機によれば、封印手段(封印機構)の切断痕跡の発見漏れを低減できるパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0038】
(13) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
【0039】
前記(13)に記載の遊技機によれば、封印手段(封印機構)の切断痕跡の発見漏れを低減できるスロットマシンを提供できる。なお、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技用媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0040】
(14) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機。
【0041】
前記(14)に記載の遊技機によれば、封印手段(封印機構)の切断痕跡の発見漏れを低減できる、パチンコ機とスロットマシンとを融合させたものを提供できる。なお、この融合させたものの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する識別情報変動表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技用媒体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【発明の効果】
【0042】
この発明に係る遊技機によれば、封印手段(封印機構)の切断箇所(つまり、被対象箇所を切断した後の箇所)に有色液体(有色化した液体を含む)が付着するだけでなく、その切断箇所またはその近傍箇所の第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所よりも内部での第1凹凸部と第2凹凸部との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所だけでなく当該切断箇所から内部までわたって付着させることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。つまり、封印手段(封印機構)の切断痕跡の発見漏れを低減できる遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の各種の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0044】
実施例1のパチンコ機を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、パチンコ機10の遊技盤30の正面図であり、図3は、パチンコ機10の裏面図である。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。図5は、第3図柄表示装置42の表示内容を示す説明図である。
【0045】
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定される外枠11と、この外枠11の一側部(例えば正面視での左側部)を開閉軸として外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12と、この内枠12の一側部(例えば正面視での左側部)を開閉軸として内枠12に対して開閉自在に取り付けられる前面枠セット14とを備えている。
【0046】
外枠11は、木製の板材により全体として正面視で矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、例えば、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属などにより構成されていてもよい。
【0047】
図1に示すように、内枠12は、大別すると、その外形を形成する主要部材としての樹脂ベース(図示省略)と、この樹脂ベースの前面側で片開き自在な前面枠セット14と、樹脂ベース(図示省略)に取り付けられる遊技盤30(図2参照)とを備えている。
【0048】
具体的には、樹脂ベース(図示省略)は、正面視で、その外形が略矩形状で、かつ、その略中央箇所を開口中心とする開口部(後述する遊技領域30a(図2参照)と同等の大きさの開口)が形成された板状部材としている。
【0049】
前面枠セット14は、正面視左側で上下方向の開閉軸を軸心にして当該内枠12に対して開閉自在に取り付けられている。言い換えれば、前面枠セット14は、樹脂ベース(図示省略)に対して開閉自在となっている。
【0050】
遊技盤30(図2参照)は、その遊技領域30aを樹脂ベース(図示省略)の開口部に位置させるようにして当該樹脂ベースに着脱自在に取り付けられる。
【0051】
ここで、もう少し詳細に前面枠セット14について説明する。
【0052】
前面枠セット14は、図1に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
【0053】
前面枠セット14は、図1に示すように、その前面視すると、最下部に位置する下皿ユニット13と、この下皿ユニット13の上側に位置する上皿ユニット21と、この上皿ユニット21の上側に位置するガラス枠部23とを備えている。
【0054】
下皿ユニット13は、図1に示すように、前面枠セット14の最下部箇所に位置するように、ネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13は、その前面側に、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18とを備えている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜く(排出する)ためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に貯留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して下方向外部に抜くことができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、例えば、遊技球発射ハンドル18と発射装置229(図4参照)などで構成されている。音出力部24は、前面枠セット14の正面視で上部の左右2箇所で、その前面枠セット14の内部あるいは背面箇所に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。
【0055】
上皿ユニット21は、図1に示すように、前面枠セット14の下部箇所(前述の下皿15の上方位置)に位置するように、ネジ等の締結具により固定されており、遊技球の受皿としての上皿19を備えている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。
【0056】
ガラス枠部23は、図1に示すように、上皿ユニット21の上側に形成された窓部101と、この窓部101の周囲に設けられた各種の電飾部とを備えている。
【0057】
つまり、前面枠セット14には、図1に示すように、前述した上皿ユニット21の上側に、遊技盤30の遊技領域30a(図2参照)のほとんどを外部から視認することができるよう略縦長楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、略縦長楕円形状で中央が空洞となっており、その空洞部分を略縦長楕円形状等のガラス板137で覆うように、図示省略のガラスユニットが前面枠セット14の裏面側に取り付けられたものである。図示省略のガラスユニットは、二枚のガラス板137を前後方向に近設させて並べた二重ガラス構造としている。なお、窓部101の前記略中央部が直線状になるようにし、ガラス板137もその形状に合わせるようにしてもよい。また、ガラス板137は、ガラスに限定されず、所定の強度がある透明板であればその材質などは問わない。
【0058】
加えて、前面枠セット14は、図1に示すように、その前面側で窓部101の周囲(例えば、上箇所、左箇所、右箇所など)に各種の電飾部を備えている。これらの電飾部は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁でその左箇所及び右箇所には、LED等を内蔵した左側電飾部及び右側電飾部がそれぞれに設けられ、窓部101の周縁でその上箇所(パチンコ機10の最上部)には、同じくLED等を内蔵した上側電飾部が設けられている。
【0059】
本パチンコ機10では、左側電飾部、右側電飾部および上側電飾部は、大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。その他、本パチンコ機10のコーナー部には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが備えられている。また、窓部101の周縁で右斜め下箇所には、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
【0060】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード(例えばプリペイドカード)等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、貸球操作部120にさらに度数表示部(図示省略)を設けるようにしてもよい。この度数表示部(図示省略)は、カード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0061】
遊技盤30は、図2に示すように、正面視で四角形状の合板よりなり、その周縁部が内枠12の樹脂ベース(図示省略)の裏側に当接した状態で取着されており、この遊技盤30の前面側の略中央部分たる遊技領域30aが樹脂ベースの略楕円形状の図1に示した窓部101(ガラス板137)を通じて内枠12の前面側から視認可能な状態となっている。
【0062】
次に、図2を用いて遊技盤30の構成を説明する。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33a,33b(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33a,33b(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33a,33bに遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。なお、前述したように、上部側の第1の始動口33aには作動口スイッチ(通過検出スイッチ)が設けられ、この第1の始動口33aへの入球をその作動口スイッチにより検出されるようになっている。また、下部側の第1の始動口33bにも作動口スイッチ(通過検出スイッチ)が設けられ、この第1の始動口33bへの入球をその作動口スイッチにより検出されるようになっている。すなわち、上部側の第1の始動口33aへの遊技球の入球または下部側の第1の始動口33bへの遊技球の入球のどちらの場合にも、それが始動入賞であることに変わりは無い。なお、上部側の第1の始動口33aと下部側の第1の始動口33bとは、図2に示すように、単一の始動入賞装置33で構成されている。
【0063】
その他に、図2に示すように、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
【0064】
可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33a,33bへの入賞をトリガとして、識別情報としての第1図柄(例えば特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置40と、第2の始動口34の通過をトリガとして、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置41と、第1の始動口33a,33bへの入賞をトリガとして、第3図柄(例えば装飾図柄)を変動表示する第3図柄表示装置42とを備えている。
【0065】
第1図柄表示装置40は、例えば、複数個(本実施例では2個)の2色発光タイプのLED(発光ダイオード)40a,40bと、このLED40a,40bでの変動表示の保留数を示す保留ランプ40cとを備えている。このLED40a,40bは、例えば、赤色と青色に発光可能なものである。第1図柄表示装置40は、各LED40a,40bの発光色を交互に変更させることで、第1図柄(本実施例では各LED40a,40bの発光色態様)の変動表示状態を発生させ、例えば、両方のLED40a,40bが赤色発光状態で停止すると確変大当り(特定当り)を示し、両方のLED40a,40bが青色発光状態で停止すると通常大当り(非特定当り)を示し、両方のLED40a,40bが互いに異なる色の発光状態で停止すると外れを示す。
【0066】
なお、この第1図柄表示装置40として、少なくとも3色以上の発光が可能なタイプの単一のLEDを採用してもよく、各色の発光を交互などに行うようにすることで、第1図柄の変動表示状態を発生させ、LEDが第1の色の発光状態で停止すると確変大当り(特定当り)を示し、LEDが第2の色の発光状態で停止すると通常大当り(非特定当り)を示し、LEDが第3の色の発光状態で停止すると外れを示すようにしてもよい。なお、上述した第1図柄表示装置40が本発明における識別情報変動表示手段に相当する。
【0067】
第2図柄表示装置41は、第2図柄用としての例えば「○」が描かれた表示部41aと、第2図柄用としての例えば「×」が描かれた表示部41bと、保留ランプ41cとを有し、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えば表示部41a,41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に下部側の第1の始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ41cにて点灯表示されるようになっている。なお、表示部41a,41bは、その内部にLED(発光ダイオード)を有しており、このLEDの発光(あるいはランプの点灯)を切り換えることにより変動表示される構成としている。なお、上述した第2図柄表示装置41が本発明における普通識別情報変動表示手段に相当する。
【0068】
第3図柄表示装置42は、例えば液晶表示装置で構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第3図柄表示装置42には、例えば後述する図5に示すように、左、中及び右の3つの装飾図柄列L,M,Rが表示される。各装飾図柄列L,M,Rは複数の装飾図柄によって構成されており、これら装飾図柄が装飾図柄列L,M,R毎にスクロールされるようにして第3図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、第3図柄表示装置42(液晶表示装置)は、例えば、11インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第3図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。なお、上述した第3図柄表示装置42が本発明における装飾識別情報(図柄)変動表示手段に相当し、上述した表示制御装置45が本発明における表示制御手段に相当する。
【0069】
図2に示すように、可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるものである。このように、大当たりの際に可変入賞装置32が開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動される状態は、特別遊技状態(例えば、大当り状態)と呼ばれ、可変入賞装置32に多数の遊技球が入球(入賞)し、その入賞に対して大量の遊技球が賞球払い出しされることから、遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
【0070】
より詳しくは、第1の始動口33a,33bに対し遊技球が入賞すると第1図柄表示装置40の2個のLED40a,40bが変動表示され、その変動停止後のLED40a,40bの表示が予め設定した発光態様の組合せとなった場合に特別遊技状態が発生する。例えば、両方のLED40a,40bが赤色発光状態で停止するという発光態様の場合には、確変大当り(特定当り)の特別遊技状態に当選したことを示し、両方のLED40a,40bが青色発光状態で停止するという発光態様の場合には、通常大当り(非特定当り)の特別遊技状態に当選したことを示し、両方のLED40a,40bが互いに異なる色の発光状態で停止するという発光態様の場合には外れ(特別遊技状態に落選したこと)を示す。
【0071】
そして、可変入賞装置32は、その大入賞口32aが所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、当該開放状態についての所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口32aが所定回数(ラウンド数)繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33a,33bを通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ40cにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ40cは、第3図柄表示装置42の表示画面の一部で保留表示等される構成等であっても良い。
【0072】
また、遊技盤30には、図2に示すように、遊技球発射装置38(図3参照)から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するための複数本のレール51,52が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は複数本のレール51,52の後述する球案内通路49を通じて所定の遊技領域30aに案内されるようになっている。複数本のレール51,52は長尺状をなすステンレス製の金属帯状部材であり、内外二重に遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されている。外レール52は、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路49が形成されている。なお、球案内通路49は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0073】
内レール51の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51及び外レール52間の球案内通路49から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路49内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、遊技盤30が内枠12に取り付けられた状態において、外レール52における、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図2の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)には、内枠12に設けられた返しゴム(図示省略)が位置するようになっている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム(図示省略)に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52は、長尺状をなすステンレス製の金属帯としているので、遊技球の飛翔をより滑らかなものとする、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくすることができる。
【0074】
なお、遊技盤30の右下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図2のS1)やプレートを貼着するためのスペースとなっている。遊技盤30の右下隅部に、証紙等のシール(図2のS1)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
【0075】
次に、遊技盤30の遊技領域30aについて説明する。遊技領域30aは、図2に示すように、内レール51と外レール52との内周部(内外レール)により略縦長円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される当該遊技領域30aが従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
【0076】
本実施の形態では、遊技領域30aを、パチンコ機10の正面から見て、内レール51及び外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域30aと言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域30aの向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域30aの向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域30aの下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域30aの上側限界位置は外レール52によって特定される。
【0077】
従って、本実施の形態では、遊技領域30aの幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域30aの高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
【0078】
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。
【0079】
次に、パチンコ機10の背面の構成について説明する。図3に示すように、パチンコ機10は、その背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構部352)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台(図示省略)に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、後述する図4に示した主制御装置261とサブ制御装置262とを一方の取付台(図示省略)に搭載してユニット化すると共に、後述する図4に示した払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313を他方の取付台(図示省略)に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
【0080】
また、払出機構部352及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0081】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0082】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチが設けられ、可変入賞装置32にはカウントスイッチが設けられている。カウントスイッチは入賞球をカウントするスイッチである。また、第1の始動口33a,33bに対応する位置には作動口スイッチがそれぞれ設けられ、第1の始動口33a,33bへの遊技球の入球を当該作動口スイッチで検出される。第2の始動口34に対応する位置にはゲートスイッチが設けられ、第2の始動口34への遊技球の通過を当該作動口スイッチで検出される。なお、上述した作動口スイッチが本発明における入賞検出手段に相当する。
【0083】
入賞口スイッチ及びゲートスイッチは、図示しない電気配線を通じて盤面接続基板(図示省略)に接続され、さらにこの盤面接続基板が後述する主制御装置261内の主制御基板261a(図4参照)に接続されている。また、カウントスイッチは大入賞口中継端子基板(図示省略)に接続され、さらにこの大入賞口中継端子基板(図示省略)がやはり主制御基板261aに接続されている。これに対し、作動口スイッチは中継基板を介さずに直接に主制御基板261aに接続されている。
【0084】
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口32aを開放するための大入賞口ソレノイドが設けられ、下部側の第1の始動口33bには、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
【0085】
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主制御装置261内の主制御基板261aに取り込まれ、該主制御基板261aよりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板311aに送信される。そして、該払出制御基板311aの出力により所定数の遊技球の払出が実施される。
【0086】
第1制御基板ユニット201は、例えば略矩形状の取付台(図示省略)を有し、この取付台(図示省略)を遊技盤30の裏面側から見た状態での手前側に主制御装置261が搭載され、この取付台(図示省略)の奥側(裏側)にサブ制御装置262が搭載されている。ここで、主制御装置261は、図4に示すように、主たる制御を司るCPU501と、遊技プログラムを記憶したROM502と、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM503と、各種機器との連絡をとる入出力ポート505と、各種抽選の際に用いられる乱数発生器(図示省略)と、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路(図示省略)などを含む主制御基板261aを具備しており、この主制御基板261aが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベース265と該ボックスベース265の開口部を覆うボックスカバー267とを備えている。これらボックスベース265とボックスカバー267とは、後述する図6に示す封印ユニット270によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0087】
また、サブ制御装置262は、例えば主制御装置261内の主制御基板261aからの指示に従い音声やランプ表示の制御や表示制御装置45の制御を司るCPU551や、その他ROM552、RAM553、バスライン554及び入出力ポート555等を含むサブ制御基板262aを具備しており、このサブ制御基板262aが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス(図示省略)に収容されて構成されている。サブ制御装置262上には電源中継基板(図示省略)が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板(図示省略)を介してサブ制御装置262および表示制御装置45に出力されるようになっている。
【0088】
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台(図示省略)を有し、この取付台に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311は制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、発射制御装置312は発射制御基板を具備しており、電源装置313は電源制御基板を具備している。払出制御装置311の払出制御基板311aは、賞品球や貸出球の払出を制御する。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射装置229(図4参照)の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。本実施例の発射装置229は、発射ソレノイド(図示省略)への通電/非通電に従って進退自在な発射槌部(図示省略)で遊技球を打ちつけて発射させるソレノイド式発射部品を採用しているが、それ以外の発射装置229としては、発射モータの駆動に従って動作する発射杵で遊技球を打ちつけて発射させる機械式発射部品や、電磁場を発生させることで遊技球を発射させる電磁式発射部品など種々のタイプのものが採用できる。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
【0089】
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスにそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス(被包手段)を構成するボックスベース(図示省略)とボックスカバー(図示省略)とが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0090】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ(図示省略)が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ(図示省略)が押下されると、払出モータ358a(図4参照)がゆっくり正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0091】
また、電源監視基板261bにはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
【0092】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、図3に示すように、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0093】
裏パックユニット203は、その最上部に上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備(遊技島設備)から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに下り傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。ケースレール357の最下流部には、払出装置358が設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は払出通路(図示省略)等を通じて前記上皿19に供給される。
【0094】
また、タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が設けられている。例えば、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0095】
払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板(図示省略)が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0096】
タンク355から払出通路(図示省略)に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0097】
なお、図3に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられている。内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。
【0098】
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図4を用いて説明する。本パチンコ機10は、主制御装置261と、払出制御装置311と、発射制御装置312と、サブ制御装置262と、表示制御装置45と、電源装置313などを備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。
【0099】
パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0100】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアを備えている。
【0101】
つまり、停電などの発生により電源が切断された場合において、主制御装置261のCPU501は、通常処理を最後までを実行するので、RAM503は、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のカウンタ用バッファや保留球格納エリアの内容を記憶保持するだけでよく、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させることができる。具体的には、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)における通常処理の途中の遊技情報についての各レジスタやI/O等の値を記憶しておくための専用のバックアップエリアをRAM503に設ける必要がない。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号S1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0102】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、第1図柄表示装置40、第2図柄表示装置41や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。また、主制御装置261は、第1図柄表示装置40における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置41における第2図柄の変動表示とを制御する機能を備えている。
【0103】
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0104】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアを備えている。
【0105】
RAM513は、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時の状態に関する情報を記憶保持する。つまり、このRAM513の記憶保持は、NMI割込み処理と払出制御処理の後半部分のステップとによって電源切断時に実行され、逆にRAM513の記憶情報の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0106】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0107】
図4に示すように、発射制御装置312は、発射装置229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、発射制御装置312は、払出制御装置311からのカードユニット接続信号S4(前述したカードユニットがパチンコ機10に接続されている場合に出力される信号である)と、遊技者が遊技球発射ハンドル18をタッチしている場合に出力されるタッチ検出信号S5と、遊技球発射ハンドル18に設けられている、発射を停止させるための発射停止スイッチ18aが操作されていない場合に出力される発射維持信号S6との全てが入力されていることを条件に、発射許可信号S7を主制御装置261に出力する。
【0108】
すなわち、発射許可信号S7がON(ハイレベル)である期間は発射許可状態であり、発射許可信号S7がOFF(ローレベル)である期間は発射不許可状態である。つまり、主制御装置261は、入力される発射許可信号S7がON(ハイレベル)である期間において、遊技球を発射する発射ソレノイド(図示省略)の制御を行う発射制御信号S8(パルス信号)と、発射レール401に遊技球を送る球送りソレノイドの制御を行う球送り制御信号S9(パルス信号)とを、発射制御装置312に所定の繰り返し周期で繰り返し出力する。発射制御装置312は、発射制御信号S8及び球送り制御信号S9に基づいて発射装置229を駆動制御し、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。逆に、主制御装置261は、入力される発射許可信号S7がOFF(ローレベル)である期間においては、発射制御信号S8及び球送り制御信号S9を発射制御装置312に出力せず、発射装置229によって遊技球が発射されることはない。
【0109】
表示制御装置45は、第3図柄表示装置42における第3図柄(装飾図柄)の変動表示を制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力にはサブ制御装置262の出力が接続され、入力ポート527には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置である第3図柄表示装置42が接続されている。
【0110】
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261からの各種コマンドがサブ制御装置262で編集等されて送信される各種コマンドに基づいて、第3図柄表示装置42での装飾図柄表示を制御する。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
【0111】
ビデオRAM524は、第3図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第3図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第3図柄表示装置42に表示される装飾図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置42に表示させるものである。
【0112】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0113】
図4に示すように、主制御装置261は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263内に、主制御基板261aと、この主制御基板261aとは別体の電源監視基板261bとを備えている。電源監視基板261bは、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
【0114】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号S1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541で交流24ボルトの電圧を監視し、この電圧が24ボルト未満になった時間が例えば20ミリ秒を超えた場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号S1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号S1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
【0115】
なお、電源部541は、電源部541で監視している交流5ボルトが5ボルト未満となった時間が20ミリ秒を越えた後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0116】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号S2を主制御基板261aに出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261においてRAM503のデータがクリアされ、払出制御装置311は主制御装置261からの初期化コマンドを受けるとRAM513のデータがクリアされる。
【0117】
ところで、第3図柄表示装置42(液晶表示装置)には、図5に示すように、左・中・右の3つの装飾図柄列L,M,Rが設定されており、装飾図柄列L,M,R毎に上装飾図柄、中装飾図柄、下装飾図柄の3個ずつの装飾図柄が変動表示される。本実施の形態では、一連の図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄SZと、菱形状の絵図柄からなる副装飾図柄FZとにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄SZが表示されると共に各主装飾図柄SZの間に副装飾図柄FZが配されて一連の装飾図柄列L,M,Rが構成されている。そして、周期性を持って主装飾図柄SZと副装飾図柄FZが上から下へと変動表示されるようになっている。
【0118】
かかる場合、左装飾図柄列Lにおいては、上記一連の装飾図柄が降順(すなわち、主装飾図柄SZの番号が減る順)に表示され、中装飾図柄列M及び右装飾図柄列Rにおいては、同じく上記一連の装飾図柄が昇順(すなわち、主装飾図柄SZの番号が増える順)に表示される。そして、左装飾図柄列L→右装飾図柄列R→中装飾図柄列Mの順に変動表示が停止し、その停止時に第3図柄表示装置42上の5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかで主装飾図柄SZが大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主装飾図柄SZの組合せ)で揃えば大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている。
【0119】
続いて、本実施例のパチンコ機10のさらなる特徴部分について図6〜図18を用いて説明する。
【0120】
図6は、基板ボックス263の正面左側視の斜視図である。図7は、基板ボックス263の正面右側視の斜視図である。図8は、基板ボックス263の裏面左側視の斜視図である。図9は、基板ボックス263の裏面右側視の斜視図である。図10(a)〜(c)は、基板ボックス263の平面図、左側面図、正面図である。図11(a)〜(c)は、封印ユニット270により基板ボックス263を開封不能に封印する様子を示す図である。図12(a),(b)は、基板ボックス263を閉じる様子を示す部分斜視図である。図13(a),(b)は、封印ユニット270により基板ボックス263を開封不能に封印する様子を示す部分斜視図である。図14は、基板ボックス263の封印ユニット270の箇所を示す部分正面図である。図15(a)は、封印蓋275の取付前における基板ボックス263の封印ユニット270の箇所の図14に示したA−A線断面図、図15(b)は、封印蓋275の取付後における基板ボックス263の封印ユニット270の箇所の図14に示したA−A線断面図である。図16(a),(b)は、基板ボックス263の封印ユニット270の箇所の図14に示したB−B線断面図、C−C線断面図である。図17(a),(b)は、順に、基板ボックス263の封印ユニット270の箇所の図13に示したD−D線断面図、E−E線断面図である。図18(a)〜(c)は、基板ボックス263の封印ユニット270の箇所の図14に示したB−B線断面での封印の様子を示す図である。
【0121】
本実施例のパチンコ機10は、図2に示すように、遊技球が打ち込まれる遊技領域30aを有する遊技盤30を備えている。また、本実施例のパチンコ機10は、図3に示すように、遊技盤30の裏面側に、第1制御基板ユニット201や裏パックユニット203が設けられているため、パチンコ機10の裏面側から遊技盤30の裏面側が直接に見えないようになっている。
【0122】
裏パックユニット203は、図3に示すように、パチンコ機10の裏面視で左側での開閉軸J2を基準に片開き自在となっている。つまり、裏パック351と払出機構部352とが一体で開閉軸J2を基準に片開きするようになっている。このように裏パックユニット203を、開閉軸J2(図3参照)を基準に片開き状態とすると、遊技盤30の裏面側があらわになってくるし、第1制御基板ユニット201のうち裏パックユニット203で隠れていた部分もあらわになる。
【0123】
第1制御基板ユニット201は、図6〜図9に示すように、所定の遊技に関する制御としての当該パチンコ機10の遊技を統括制御する主制御装置261を備えている。この主制御装置261は、前述のパチンコ機10の遊技を統括制御する主制御基板261a(図4参照)を収容する基板ボックス263を備えている。
【0124】
基板ボックス263は、図6〜図11(a)に示すように、ボックスベース265とボックスカバー267とを備え、このボックスベース265とボックスカバー267とが合わされた状態でその内部空間に主制御基板261aを収容するものである。なお、図6〜図9には、基板ボックス263の内部に主制御基板261aが収容された状態を図示している。本実施例では、図11(a)に示すように、有底箱型のボックスベース265の開口部を塞ぐように、ボックスカバー267がこのボックスベース265の長手方向(図11(a)での矢印方向)にスライド装着されるようになっている。また、ボックスベース265とボックスカバー267とは、例えば、樹脂成形品であって、透明部材となっている。
【0125】
また、基板ボックス263は、前述したように取付台(図示省略)に取り付けられている。具体的には、基板ボックス263は、図8,図9に示すように、その裏面側で長手方向に間隔を空けて2個の回動自在な留め具264が設けられている。また、取付台(図示省略)の取付面には、図8,図9に示した横向き状態の留め具264がそれぞれ挿入可能な程度の大きさである横向きの長孔(図示省略)が2個形成されている。つまり、基板ボックス263の図8,図9に示した横向き状態の留め具264を、取付台(図示省略)の長孔(図示省略)に挿入し、この挿入した状態で留め具264を縦向きに回動させることで、留め具264が長孔(図示省略)から外れないようにロック(固定)でき、基板ボックス263を取付台(図示省略)に取り付けた状態で保持されるようになっている。
【0126】
さらに、この基板ボックス263は、図6に示すように、ボックスベース265およびボックスカバー267を開封不能に封印(封止)する封印ユニット270を備えている。この封印ユニット270は、複数個(本実施例では4個)の封印構成部271を備えており、封印に関与している封印構成部271の所定箇所(図13,図14に破線で示す箇所d1〜d3)が破壊(切断)されることで、その封印構成部271による封印が解除されるものである。
【0127】
封印構成部271は、図6,図9に示されているように、基板ボックス263に4個備えられていることから、封印ユニット270は、最大で4回分の封印を行うことができるようになっている。
【0128】
具体的には、封印構成部271は、ボックスベース265に設けられた第1封印部266と、ボックスカバー267に設けられた第2封印部268とを備え、ボックスベース265とボックスカバー267とを合わせた状態で第1封印部266と第2封印部268とを封印部材としての移動防止ピン273および封印蓋275で連結固定することで、ボックスベース265およびボックスカバー267を開封不能に封印し、封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所としての第1封印部266の所定箇所(図13,図14に破線で示す箇所d1〜d3)を切断することで当該封印が解除されるものである。
【0129】
なお、移動防止ピン273は、図11〜図13に示すように、側面視でコノ字状の金属製部材としている。
【0130】
第1封印部266および第2封印部268には、図12(a)に示すように、移動防止ピン273の両先端がそれぞれ挿入される2個の長孔266a,268aが形成されている。具体的には、第1封印部266には、後述する図19に示すように、移動防止ピン273の両先端がそれぞれ挿入される2個の長孔266aが形成されている。また、第2封印部268には、図12(a)に示すように、移動防止ピン273の両先端がそれぞれ挿入される2個の長孔268aが形成されている。
【0131】
また、封印蓋275は、図13(a)に示すように、第1封印部266の2個の長孔266aに移動防止ピン273が挿入された状態で、図13(b)に示すように、その第1封印部266の開口266bを閉塞する部材である。また、この封印蓋275は、図15(b)に示すように、第1封印部266の開口266bを閉塞するように当該第1封印部266に取り付けられた状態で、第1封印部266と係止する係止爪276を備えており、第1封印部266への取り付けは許容されているが、第1封印部266からの取り外しが不可となっている。具体的には、封印蓋275は、図13に示すように、第1封印部266の開口266bを閉塞する蓋部277と、この蓋部277の第1封印部266と対向する側に形成された係止爪276とを備えている。
【0132】
図11(b)に示すように、ボックスベース265とボックスカバー267とを合わせた状態で第1封印部266および第2封印部268の2個の長孔266a,268aに移動防止ピン273を挿入することで、ボックスベース265とボックスカバー267とのスライド方向への移動ができなくなり、第1封印部266の開口266bを封印蓋275で閉塞すると、ボックスベース265とボックスカバー267とが開封不能に連結されるようになっている。すなわち、封印ユニット270を構成する4つの封印構成部271のうち、少なくとも一つの封印構成部271の長孔266a,268aに移動防止ピン273を挿入し、その封印構成部271の開口266bを封印蓋275で閉塞することにより封印処理が行われる。
【0133】
なお、図6,図7,図11〜図14などには、説明の便宜上の理由から、全ての封印構成部271に移動防止ピン273及び封印蓋275を着ける図が示されているが、1回の封印に対して全ての封印構成部271を封印する必要は少なく、そのうちの1つの封印構成部271を封印し、他の封印構成部271に移動防止ピン273及び封印蓋275を着けないようにするのが通常の使用方法である。
【0134】
そして、収容した主制御基板261aの不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、移動防止ピン273が挿入されて封印蓋275で閉塞された封印構成部271の所定箇所(図13,図14に破線で示す箇所d1〜d3)を切断し(この切断された封印構成部271は当然にその切断跡、つまり破壊痕跡が残った状態となっている)、移動防止ピン273および封印蓋275による封印を解除する。その後、再度封印処理する場合は、封印解除した封印構成部271から取り出した移動防止ピン273を他の封印構成部271の長孔266a,268aに挿入し、その封印構成部271の開口266bを、封印解除した封印構成部271から取り出した封印蓋275で閉塞する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0135】
ここで、封印ユニット270のさらなる特徴部分について図19〜図33を用いて説明する。
【0136】
図19〜図21は、封印ユニット270の内部にインクカプセル280を取り付ける様子を示す基板ボックス263の要部の裏面左側視の分解斜視図である。図22〜図24は、封印ユニット270の内部にインクカプセル280を取り付ける様子を示す基板ボックス263の要部の裏面右側視の分解斜視図である。図25〜図27は、封印ユニット270の内部にインクカプセル280を取り付ける様子を示す基板ボックス263の要部の正面右側視の分解斜視図である。図28〜図30は、封印ユニット270の内部にインクカプセル280を取り付ける様子を示す基板ボックス263の要部の正面右側視の分解斜視図である。図31〜図33は、封印ユニット270の内部にインクカプセル280を取り付ける様子を示す基板ボックス263の要部の断面図である。
【0137】
さらに、封印構成部271は、図19〜図33に示すように、所定の有色液体(例えば、赤、青、緑、紫、黄色など所定の色のインク)を収容したインクカプセル280と、このインクカプセル280の所定箇所を覆うように保持する透明な部材であって保持されたインクカプセル280の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部286を備えた保持部材285と、第1凹凸部286と咬合(噛合)する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部297を有し、第2凹凸部297に第1凹凸部286を咬合させて保持部材285が取り付けられる被取付部295とを備えている。この被取付部295は、その少なくとも一部が、封印ユニット270による封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所(図13,図14,図21,図24,図27,図30,図33に破線で示す箇所d2)に、位置するように備えられている。封印構成部271は、被対象箇所(図13,図14,図21,図24,図27,図30,図33に破線で示す箇所d2)が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、インクカプセル280も切断されて当該ンクカプセル280から液体が流出して当該封印ユニット270に付着するものである。
【0138】
第1凹凸部286は、覆い部287の短手方向の両側に沿ってそれぞれ設けられ、かつ、覆い部287からインクカプセル280側に向けて突出した凸部(延出部291)を間隔を空けて複数個形成することで凹凸形状としたものである。また、被取付部295の第2凹凸部297は、前述したように第1凹凸部286と咬合する形状となっている。
【0139】
インクカプセル280は、図19〜図33に示すように、内部空間に有色液体を収容密閉した筒状部材である。
【0140】
また、封印構成部271は、被対象箇所(図13,図21,図27,図33などに破線で示す箇所d2)が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、インクカプセル280も切断されて当該インクカプセル280から液体が流出して当該封印構成部271に付着するようになっている。
【0141】
また、保持部材285は、図19,図31,図33などに示すように、インクカプセル280を保持した状態で封印構成部271に係止する係止部293を備えている。
【0142】
また、保持部材285は、図25,図31などに示すように、インクカプセル280の所定箇所を覆う覆い部287と、この覆い部287に設けられた、インクカプセル280を保持する保持部289と、を備えている。
【0143】
覆い部287は、図19〜図33に示すように、インクカプセル280の長手方向長さと同程度の長さとした形状のものである。
【0144】
保持部289は、図19〜図33に示すように、インクカプセル280の外周所定箇所を保持するように、覆い部287の短手方向の両側からインクカプセル280側に向けてそれぞれ延出された延出部291を備えている。
【0145】
覆い部287は、図19〜図33に示すように、そのインクカプセル280と対向する面を見た状態で、インクカプセル280の長手方向長さと同程度の長さで、かつ、インクカプセル280の胴幅とよりも大きい形状である。両延出部291は、インクカプセル280の外周所定箇所を挟持するように、インクカプセル280の胴幅よりも僅かに小さい開口幅で設けられている。
【0146】
封印ユニット270は、図19〜図33に示すように、流出液体が主制御基板261aに付着することを防ぐ防護壁267aを備えている。
【0147】
なお、上述した主制御基板261aが本発明における制御基板に相当し、上述した基板ボックス263が本発明における基板収容ユニットに相当し、上述した基板ボックス263が本発明における基板ケースに相当し、上述した封印ユニットが本発明における封印手段に相当し、上述したインクカプセル280が本発明における液体収容体に相当し、上述したボックスベース265が本発明における第1ケース部材に相当し、上述したボックスカバー267が本発明における第2ケース部材に相当し、上述した移動防止ピン273および封印蓋275が本発明における封印部材に相当し、上述した延出部291が本発明における凸部に相当する。
【0148】
ここで、基板ボックス263を封印ユニット270によって封印する手順について説明する。
【0149】
まず、インクカプセル280を封印ユニット270の内部に取り付ける。
【0150】
つまり、インクカプセル280は、図19,図25,図31に示すように、保持部材285とは別体であるが、図20,図26,図32に示すように、インクカプセル280を覆い部287の両延出部291の間に挟持させるように当該インクカプセル280を保持部材285に取り付ける。このようにインクカプセル280が保持部材285に付けられており、保持部材285で保持された状態でインクカプセル280が取り扱われることになる。
【0151】
そして、保持部材285で保持された状態でのインクカプセル280を、図21,図27,図33に示すように、一の封印構成部271の第1封印部266での第2封印部268と対向する側での被対象箇所(図13,図21,図27,図33などに破線で示す箇所d2)にある被取付部295に取り付ける。つまり、インクカプセル280付きの保持部材285の第1凹凸部286を、被取付部295の第2凹凸部297に咬合させて取り付ける。
【0152】
図21,図27,図33に示すように、保持部材285で保持された状態でのインクカプセル280が一の封印構成部271の第1封印部266での被取付部295に取り付けられた状態では、保持部材285の係止部293が第1封印部266の被取付部295に係止されている。
【0153】
このようにインクカプセル280が第1封印部266に取り付けられた状態とした後に、ボックスベース265でのボックスカバー267と対向する面に主制御基板261aを取り付け、図11(a)に示すように、ボックスベース265とボックスカバー267とスライド装着し、ボックスベース265とボックスカバー267とを合わせる。
【0154】
そして、図11(b)に示すように、ボックスベース265とボックスカバー267とを合わせた状態で第1封印部266および第2封印部268の2個の長孔266a,268aに移動防止ピン273を挿入し、図11(c)に示すように、第1封印部266の開口266bを封印蓋275で閉塞する。
【0155】
前記の移動防止ピン273の挿入によって、ボックスベース265とボックスカバー267とのスライド方向への移動ができなくなり、第1封印部266の開口266bを封印蓋275で閉塞することで、移動防止ピン273にアクセスできなくなるので、ボックスベース265とボックスカバー267とを開封不能に連結した状態となる。
【0156】
続いて、基板ボックス263の封印ユニット270の開封によってインクカプセル280の有色液体が封印ユニット270に付着する様子について説明する。
【0157】
図13,図14に示すように、封印ユニット270のうち封印に関与している封印構成部271の所定箇所d1〜d3を切断することで、その封印構成部271による封印が解除される。
【0158】
特に、箇所d2の切断によって、図17,図21に示すように、インクカプセル280も箇所d2で切断され、このインクカプセル280の内部の有色液体(インク)が流出して封印ユニット270に付着する。
【0159】
つまり、図17,図21に示すように、封印ユニット270の封印構成部271の切断箇所d2に有色液体が付着するだけでなく、その切断箇所またはその近傍箇所の第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所d2よりも内部での第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所d2だけでなく当該切断箇所から内部までわたって付着する。
【0160】
上述したように、本実施例のパチンコ機10によれば、遊技球の打ち込まれる遊技領域30aが形成される遊技盤30を備え、この遊技盤30は、その裏面側に、所定の遊技に関する制御を行う主制御基板261aを有する基板ボックス263を備え、この基板ボックス263は、主制御基板261aを内部に収容するボックスベース265およびボックスカバー267と、このボックスベース265およびボックスカバー267を開封不能に封印し、かつ、開封された場合に痕跡が残る封印ユニット270とを備え、この封印ユニット270は、所定の有色液体を収容したインクカプセル280と、このインクカプセル280の所定箇所を覆うように保持する透明な部材であって保持されたインクカプセル280の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部286を備えた保持部材285と、第1凹凸部286と咬合する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部297を有し、第2凹凸部297に第1凹凸部286を咬合させて保持部材285が取り付けられる被取付部295とを備えている。この被取付部295は、その少なくとも一部が、封印ユニット270による封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所(図13,図14,図21,図24,図27,図30,図33に破線で示す箇所d2)に、位置するように備えられており、封印構成部271は、被対象箇所d2が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、インクカプセル280も切断されて当該ンクカプセル280から液体が流出して第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合箇所の少なくとも一部に付着するものである。したがって、封印ユニット270の封印構成部271の切断箇所d2を切断すると、その箇所d2に有色液体が付着するだけでなく、その切断箇所d2またはその近傍箇所の第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所d2よりも内部での第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所d2だけでなく当該切断箇所d2から内部までわたって付着させることができ、より切断箇所d2を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。つまり、封印ユニット270(封印機構)の切断痕跡の発見漏れを低減できるパチンコ機を提供することができる。
【0161】
また、第1凹凸部286は、覆い部287の短手方向の両側に沿ってそれぞれ設けられ、かつ、覆い部287からインクカプセル280側に向けて突出した凸部(延出部291)を間隔を空けて複数個形成することで凹凸形状としているので、封印ユニット270の封印構成部271の切断箇所d2を切断すると、その箇所d2に有色液体が付着するだけでなく、その切断箇所d2またはその近傍箇所の第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間に流出液体が浸入し、切断箇所d2よりも内部での第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間にまで、その流出液体が毛細管現象のように広がって付着し、流出液体をその切断箇所d2だけでなく当該切断箇所d2から内部までわたって付着させることができ、より切断箇所d2を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。
【0162】
また、インクカプセル280が保持部材285により保持されているので、封印ユニット270(封印機構)に装着する等の際に、インクカプセル280を誤って破損させることを低減でき、基板ボックス263等に流出液体が誤って付着することを低減でき、当該付着に起因する基板ボックス263の破棄や清掃など二次的被害の発生を低減できる。
【0163】
また、保持部材285は、インクカプセル280を保持した状態で封印ユニット270に係止する係止部293を備えているので、インクカプセル280を保持した状態の保持部材285を、封印ユニット270に係止させる(つまり、取り付ける)ことができ、インクカプセル280を保持した状態の保持部材285の取付操作が簡単である。
【0164】
また、保持部材285は、インクカプセル280の所定箇所を覆う覆い部287と、この覆い部287に設けられた、インクカプセル280を保持する保持部289と、を備えているので、インクカプセル280を、保持部材285の保持部289で保持し、かつ、その保持部材285の覆い部287で保持した状態で取り扱うことができ、インクカプセル280を封印ユニット270に装着する等の際に、インクカプセル280を誤って破損させることを低減できる。
【0165】
また、インクカプセル280は、内部空間に有色液体を収容密閉した筒状部材であり、覆い部287は、インクカプセル280の長手方向長さと同程度の長さとした形状のものであり、保持部289は、インクカプセル280の外周所定箇所を保持するように、覆い部287の短手方向の両側からインクカプセル280側に向けてそれぞれ延出された延出部291を備えているので、筒状のインクカプセル280の長手方向を覆い部287に沿わせるとともに、当該インクカプセル280の外周所定箇所を保持部289の両延出部291で保持するので、筒状のインクカプセル280をその長手方向にわたって保護することができ、インクカプセル280を保持部材285に保持させた状態で封印ユニット270に取り付けることができる。
【0166】
また、覆い部287は、そのインクカプセル280と対向する面を見た状態で、インクカプセル280の長手方向長さと同程度の長さで、かつ、インクカプセル280の胴幅よりも大きい形状であり、両延出部291は、インクカプセル280の外周所定箇所を挟持するように、インクカプセル280の胴幅よりも僅かに小さい開口幅で設けられているので、覆い部287の両延出部291間にインクカプセル280の胴部を入れることで、そのインクカプセル280の胴部が両延出部291で挟持され、覆い部287でインクカプセル280の長手方向が覆われるので、筒状のインクカプセル280をその長手方向にわたって保護することができ、インクカプセル280を保持部材285に挟持させた状態で封印ユニット270に取り付けることができる。
【0167】
また、基板ボックス263は、ボックスベース265とボックスカバー267とを備え、ボックスベース265とボックスカバー267とを合わせた状態でのその内部空間に主制御基板261aを収容し、封印ユニット270は、ボックスベース265に設けられた第1封印部266と、ボックスカバー267に設けられた第2封印部268とを備え、ボックスベース265とボックスカバー267とを合わせた状態で第1封印部266と第2封印部268とを封印部材(移動防止ピン273および封印蓋275)で連結固定することで、ボックスベース265およびボックスカバー267を開封不能に封印し、被対象箇所としての第1封印部266の箇所d2を切断することで当該封印が解除されるものであり、ボックスベース265とボックスカバー267とは、透明部材であるとしているので、このような構成の基板ユニットであっても、被対象箇所d2の切断によってインクカプセル280も切断されて、切断箇所に有色液体が付着し、その切断箇所が目立ち、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。また、インクカプセル280が保持部材285により保持されているので、封印ユニット270(封印機構)に装着する等の際に、インクカプセル280を誤って破損させることを低減でき、基板ボックス263(基板ケース)等に流出液体が誤って付着することを低減でき、当該付着に起因する基板ボックス263の破棄や清掃など二次的被害の発生を低減できる。また、ボックスベース265とボックスカバー267とは透明部材としているので、その内部に収容された主制御基板261aを目視確認できる。
【0168】
また、封印ユニット270は、流出液体が主制御基板261aに付着することを防ぐ防護壁267aを備えているので、封印ユニット270の被対象箇所d2の切断によってインクカプセル280が切断されて流出した液体は、防護壁267aで阻まれ、流出液体の主制御基板261aへの付着を防ぐことができる。
【実施例2】
【0169】
次に、実施例2のパチンコ機を、図面に基づいて詳細に説明する。図34は、実施例2での保持部材285の両延出部291を示す断面図である。
【0170】
前述の実施例1では、保持部材285の両延出部291は、インクカプセル280の外周所定箇所を挟持するように、インクカプセル280の胴幅よりも僅かに小さい開口幅で設けられているが、実施例2の保持部材285の両延出部291は、その先端同士の間隔をインクカプセル280の胴幅よりも僅かに小さくし、かつ、当該先端以外の箇所をインクカプセル280の外周に当接または近接することで、インクカプセル280を保持するものである点が前述の実施例1と異なっている。
【0171】
上述したように、本実施例2のパチンコ機10によれば、覆い部287は、そのインクカプセル280と対向する面を見た状態で、インクカプセル280の長手方向長さと同程度の長さで、かつ、インクカプセル280の胴幅よりも大きい形状であり、両延出部291は、その先端同士の間隔をインクカプセル280の胴幅よりも僅かに小さくし、かつ、当該先端以外の箇所をインクカプセル280の外周に当接または近接することで、インクカプセル280を保持するので、覆い部287の両延出部291の先端間からインクカプセル280の胴部を入れてしまえば、両延出部291の先端間はインクカプセル280の胴幅よりも小さいので、その液体収容体が両延出部291から外れないようにでき、覆い部287でインクカプセル280の長手方向が覆われるので、筒状のインクカプセル280をその長手方向にわたって保護することができ、インクカプセル280を保持部材285に保持させた状態で封印ユニット270に取り付けることができる。
【0172】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0173】
(1)上述した各実施例では、覆い部287はインクカプセル280の長手方向長さと同程度の長さとしているが、それよりも長くしてもよい。
【0174】
(2)上述した各実施例では、覆い部287はインクカプセル280の胴幅よりも大きい形状としているが、インクカプセル280の胴幅と同程度としてもよい。
【0175】
(3)上述した各実施例では、前記被対象箇所として第1封印部266の所定箇所(図13(b)の箇所d1〜d3)を採用しているが、第2封印部268の所定箇所や、第1封印部266と第2封印部268の両方の所定箇所としてもよい。ただし、その所定箇所にインクカプセル280が設け、当該所定箇所の切断に伴ってこのインクカプセル280も切断される構成とすることが必要である。
【0176】
(4)上述した各実施例では、制御基板として主制御基板261aを被包する基板ケースに封印ユニット270を採用した例を挙げて説明しているが、他の制御基板(例えば、払出制御基板311aやサブ制御基板262aなどの各種の制御基板)に適用してもよい。
【0177】
(5)上述した各実施例では、インクカプセル280内の液体は、有色液体としているが、インクカプセル280から流出する際または流出後に、空気などの気体や他の液体との化学反応等によって、無色から有色化あるいはある色から他の色に変化する液体を採用してもよい。
【0178】
(6)上述した各実施例に替えて、図35に示すような保持部材285を採用してもよい。つまり、本変形例での保持部材285は、図35に示すように、覆い部287をインクカプセル280側から見た状態において、当該覆い部287の短手方向の両側のうちで一方側の凸部(延出部291)をその他方側の凸部(延出部291)に対して当該覆い部287の長手方向にずらした位置に形成しているものである。
【0179】
この場合には、図35に示すように、覆い部287をインクカプセル280側から見ると、覆い部287の短手方向の両側のうちの一方側の延出部291は、その他方側の延出部291に対して覆い部の長手方向にずらした位置に形成されている。つまり、覆い部287の短手方向から第1凹凸部286を見た状態では、覆い部287の両側での第1凹凸部286および第2凹凸部297の咬合隙間が覆い部287の長手方向にずれた位置となっているために、より多くの咬合隙間を見ることができ、流出液体がこれらの咬合隙間に広がって付着した状態を見ることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。
【0180】
なお、図35では、覆い部287の短手方向の両側のうちの一方側の延出部291を、その他方側の延出部291に対して覆い部287の長手方向に、ちょうど延出部291を一個分ずらした位置に形成しているが、延出部291の何分の一かの長さでずらすようにしてもよい。
【0181】
(7)上述した各実施例に替えて、図36に示すような保持部材285を採用してもよい。つまり、本変形例での保持部材285は、図36に示すように、第1凹凸部286の凸部としての延出部292は、覆い部287をインクカプセル280側から見た状態で、四角形状であり、かつ、その四面のうちで外面および内面の二面が覆い部287の短手方向の両側に平行な面または略平行な面292aであり、残り二面が覆い部287の短手方向の両側に対して傾斜した傾斜面292bとしているものである。
【0182】
この場合には、図36に示すように、覆い部287の短手方向から第1凹凸部286を見た状態では、延出部292の傾斜面292bの存在によって、覆い部287の両側での第1凹凸部286および第2凹凸部297の咬合隙間を、当該隙間間隔以上の所定幅にわたって見ることができ、流出液体がこれらの咬合隙間に広がって付着した状態を見ることができ、より切断箇所を目立たすことができ、不正に切断された場合にその痕跡を見逃すことを低減できる。
【0183】
(8)上述した各実施例では、インクカプセル280を保持する保持部材285に第1凹凸部286を備え、この保持部材285が取り付けられる被取付部295自体に第2凹凸部297を形成していたが、図37に示すような構成としてもよい。例えば、図37に示すように、保持部材299は、インクカプセル280の所定箇所を間に挟むようにして組み合わされる第1部材301および第2部材302を備え、この第1部材301は、インクカプセル280の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部286を備え、第2部材302は、第1凹凸部286と咬合する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部297を備え、第1部材301および第2部材302は、インクカプセル280の所定箇所を間に挟み、かつ、第1凹凸部286と第2凹凸部297とを咬合させるようにして組み合わされ、この保持部材299が被取付部295に取り付けられるという構成が挙げられる。
【0184】
この場合には、図37に示すように、第1部材301の第1凹凸部286と第2部材302の第2凹凸部297とを咬合させた状態で当該第1部材301と第2部材302との間にインクカプセル280を挟むという保持部材299を採用した場合であっても、前述の各実施例と同様の効果を有する。
【0185】
(9)上述した各実施例では、図33に示すように、切断箇所d2でインクカプセル280および保持部材285が切断されることから、インクカプセル280および保持部材285を、図33を見た状態で右手方向にさらに長くしたものを採用してもよい。つまり、切断箇所d2で切断されて第1封印部266に残る保持部材285の部分を多くする。つまり、切断箇所d2で切断されて第1封印部266に残る保持部材285についての第1凹凸部286と第2凹凸部297との咬合隙間を多く残すことで、その多く残った咬合隙間を流出液体が毛細管現象のようにより広がって付着し、より切断箇所d2を目立たすことができる。
【0186】
(10)本発明を各種(例えば第一種、第三種など)の遊技機に実施してもよいし、上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施するようにしてもよい。
【0187】
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の遊技球の投入後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受け皿に多量の球が払い出されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0188】
以上のように、この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に適している。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】本発明の実施例のパチンコ機の概略正面図である。
【図2】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図3】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図4】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】第3図柄表示装置の表示内容を示す説明図である。
【図6】実施例1での基板ボックスの正面左側視の斜視図である。
【図7】基板ボックスの正面右側視の斜視図である。
【図8】基板ボックスの裏面左側視の斜視図である。
【図9】基板ボックスの裏面右側視の斜視図である。
【図10】(a)〜(c)は、基板ボックスの平面図、左側面図、正面図である。
【図11】(a)〜(c)は、封印ユニットにより基板ボックスを開封不能に封印する様子を示す図である。
【図12】(a),(b)は、基板ボックスを閉じる様子を示す部分斜視図である。
【図13】(a),(b)は、封印ユニットにより基板ボックスを開封不能に封印する様子を示す部分斜視図である。
【図14】基板ボックスの封印ユニットの箇所を示す部分正面図である。
【図15】(a)は、封印蓋取付前における基板ボックスの封印ユニットの箇所の図14に示したA−A線断面図、(b)は、封印蓋取付後における基板ボックスの封印ユニットの箇所の図14に示したA−A線断面図である。
【図16】(a),(b)は、基板ボックスの封印ユニットの箇所の図14に示したB−B線断面図、C−C線断面図である。
【図17】(a),(b)は、順に、基板ボックスの封印ユニットの箇所の図13に示したD−D線断面図、E−E線断面図である。
【図18】(a)〜(c)は、基板ボックスの封印ユニットの箇所の図14に示したB−B線断面での封印の様子を示す図である。
【図19】封印ユニットの内部にインクカプセルを取り付ける様子を示す基板ボックスの要部の裏面左側視の分解斜視図である。
【図20】インクカプセルに保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の裏面左側視の分解斜視図である。
【図21】インクカプセル付きの保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の裏面左側視の分解斜視図である。
【図22】封印ユニットの内部にインクカプセルを取り付ける様子を示す基板ボックスの要部の裏面右側視の分解斜視図である。
【図23】インクカプセルに保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の裏面右側視の分解斜視図である。
【図24】インクカプセル付きの保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の裏面右側視の分解斜視図である。
【図25】封印ユニットの内部にインクカプセルを取り付ける様子を示す基板ボックスの要部の正面右側視の分解斜視図である。
【図26】インクカプセルに保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の正面右側視の分解斜視図である。
【図27】インクカプセル付きの保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の正面右側視の分解斜視図である。
【図28】封印ユニットの内部にインクカプセルを取り付ける様子を示す基板ボックスの要部の正面右側視の分解斜視図である。
【図29】インクカプセルに保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の正面右側視の分解斜視図である。
【図30】インクカプセル付きの保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の正面右側視の分解斜視図である。
【図31】封印ユニットの内部にインクカプセルを取り付ける様子を示す基板ボックスの要部の断面図である。
【図32】インクカプセルに保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の断面図である。
【図33】インクカプセル付きの保持部材を取り付けた状態での基板ボックスの要部の断面図である。
【図34】実施例2での保持部材の両延出部を示す断面図である。
【図35】変形例での保持部材を示す断面図である。
【図36】変形例での保持部材を示す断面図である。
【図37】変形例での保持部材などを示す断面図である。
【符号の説明】
【0190】
30 …遊技盤
30a…遊技領域
261a…主制御基板(制御基板)
263 …基盤ボックス(基板ユニット)
265 …ボックスベース(基板ケース,第1ケース)
266 …第1封印部
267 …ボックスカバー(基板ケース,第2ケース)
268 …第2封印部
270 …封印ユニット(封印手段)
273 …移動防止ピン(封印部材)
275 …封印蓋(封印部材)
280 …インクカプセル(液体収容体)
285 …保持部材
287 …覆い部
289 …保持部
291 …延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の打ち込まれる遊技領域が形成される遊技盤を備えた遊技機において、
前記遊技盤は、その裏面側に、所定の遊技に関する制御を行う制御基板を有する基板ユニットを備え、
前記基板ユニットは、前記制御基板を内部に収容する基板ケースと、前記基板ケースを開封不能に封印し、かつ、開封された場合に痕跡が残る封印手段とを備え、
前記封印手段は、有色または流出後に有色化する所定の液体を収容した液体収容体と、前記液体収容体の所定箇所を覆うように保持する透明な部材であって保持された前記液体収容体の周囲で所定方向に並べられた複数個の凹凸部からなる第1凹凸部を備えた保持部材と、前記第1凹凸部と咬合する複数個の凹凸部からなる第2凹凸部を有し、前記第2凹凸部に前記第1凹凸部を咬合させて前記保持部材が取り付けられる被取付部と、を備え、
前記被取付部は、その少なくとも一部が、前記封印手段による封印を解除する場合に切断される箇所である被対象箇所に、位置するように備えられており、
前記封印手段は、前記被対象箇所が切断されることで、当該封印が解除されるとともに、前記液体収容体も切断されて当該液体収容体から液体が流出して前記第1凹凸部と前記第2凹凸部との咬合箇所の少なくとも一部に付着するものである
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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