説明

遊技機

【課題】発射ハンドルを回動操作する遊技者の疲労を軽減することを目的とする。
【解決手段】その前面2aが略垂直方向に延びるように設置される前面枠2と、前面枠2に取り付けられる遊技盤5と、遊技盤5の遊技領域へ遊技球を発射する発射装置40と、遊技者の回動操作によって発射装置40の発射勢を調整する発射ハンドル51と、を備えた遊技機1であって、前面枠2における遊技盤5の下方に配置され前面枠2の前面2aから前方に突出するハンドル支持台39を設け、ハンドル支持台39の上部に発射ハンドル51を回動可能に設け、発射ハンドル51をその回動中心軸が上下方向に延びるように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射装置の発射勢を調整する発射ハンドルが配設されるパチンコ機などの遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えば、代表的な遊技機であるパチンコ機では、前面枠の前面下部に、発射ハンドルが配設され、遊技者が発射ハンドルを回動操作することにより、発射装置から遊技球が一つづつ発射され、遊技球が遊技盤の遊技領域内を流下する遊技が行われる。発射ハンドルの操作量(回動角度)に応じて発射装置の発射勢が調整され、発射装置から遊技盤の遊技領域へ発射される遊技球の速度、飛距離が変えられる。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−012170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の遊技機にあっては、前面枠の前面に発射ハンドルが水平軸まわりに回動するように設けられているため、遊技機に対峙する遊技者は、手首を大きく曲げて発射ハンドルを把持しなければならず、長時間に渡って発射ハンドルを把持し続けると、疲労しやすいという問題点があった。
【0004】
このため、発射ハンドルと前面枠の間に遊技球やコインなどを挟み込んで、発射ハンドルから手を離しても発射ハンドルが元の回動位置に戻らないないようにして遊技が行われる不正行為を誘発していた。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、発射ハンドルを回動操作する遊技者の疲労を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、その前面が略垂直方向に延びるように設置される前面枠と、該前面枠に取り付けられる遊技盤と、遊技盤の遊技領域へ遊技球を発射する発射装置と、遊技者の回動操作によって発射装置の発射勢を調整する発射ハンドルと、を備えた遊技機であって、前面枠における遊技盤の下方に配置され前面枠の前面から前方に突出するハンドル支持台を設け、ハンドル支持台の上部に発射ハンドルを回動可能に設け、発射ハンドルをその回動中心軸が上下方向に延びるように配置した。
【0007】
第2の発明は、発射ハンドルの回動中心軸は、水平線に対する傾斜角度が、垂直線に対する傾斜角度より大きくなるように配置される。
【0008】
第3の発明は、発射ハンドルは、上方に向いたハンドル上面を有する。
【0009】
第4の発明は、前面枠に取り付けられる前面下部ハウジングを備え、前面下部ハウジングは遊技球を貯留する下皿が設けられる下皿支持台を有し、ハンドル支持台が下皿支持台に連接して一体形成される。
【0010】
第5の発明は、発射ハンドルに、遊技者の操作によって生じる摩擦力により発射ハンドルの回動を係止する発射ハンドル回動係止機構を設けた。
【0011】
第6の発明は、発射ハンドル回動係止機構として、遊技者が押操作するハンドルボタンと、このハンドルボタンが押し付けられる摩擦部材とを備えた。
【0012】
第7の発明は、ハンドルボタンを発射ハンドルのハンドル上面から突出するように設けた。
【0013】
第8の発明は、ハンドルボタンを発射ハンドルの回動中心軸の方向について移動可能に支持した。
【0014】
第9の発明は、ハンドルボタンを摩擦部材から離す上方向に付勢する押上スプリングを設けた。
【0015】
第10の発明は、摩擦部材として弾性体からなる摩擦パッドを設け、ハンドルボタンに摩擦パッドに押し当てられるピンを設けた。
【0016】
第11の発明は、摩擦部材にハンドルボタンが回動する経路に沿って円弧状に湾曲して延びる係合溝を形成し、ハンドルボタンに係合溝に押し当てられるウェッジ部を設けた。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、遊技機に対峙する遊技者の腕が発射ハンドルの回動中心軸に沿うように延ばされるため、遊技者は手首を大きく曲げることなく発射ハンドルを握って回動させられ、発射ハンドルを回動操作する遊技者の疲労を軽減することができる。
【0018】
このため、発射ハンドルと前面枠の間に遊技球やコインなどを挟み込んで、発射ハンドルから手を離して遊技が行われる不正行為を防止することができる。
【0019】
第2の発明によれば、発射ハンドルの回動中心軸が適正に配置され、遊技者は腕を発射ハンドルの回動中心軸に沿うように延ばし、手首を大きく曲げることなく発射ハンドルを把持することができる。
【0020】
第3の発明によれば、上方に向いたハンドル上面に遊技者の手の平を載せられるため、発射ハンドルを回動操作する遊技者の疲労を軽減することができる。
【0021】
第4の発明によれば、前面下部ハウジングにハンドル支持台と下皿支持台が連接して一体形成されるため、ハンドル支持台の剛性が下皿支持台によって高められる。
【0022】
第5の発明によれば、遊技者が発射ハンドルを一定の操作量に保持するのに、遊技者が発射ハンドル回動係止機構を操作して発射ハンドルの回動を摩擦力により係止することにより、遊技者が発射ハンドルを把持する必要がなくなり、長時間に渡って発射ハンドルを操作し続けても、疲労しにくい。
【0023】
第6の発明によれば、遊技者が発射ハンドルを一定の操作量に保持するのに、遊技者がハンドルボタンを押操作して摩擦部材との間に生じる摩擦力によって発射ハンドルの回動を係止することにより、遊技者が発射ハンドルを把持する必要がなくなり、長時間に渡って発射ハンドルを操作し続けることができる。
【0024】
第7の発明によれば、ハンドル上面とハンドルボタンとが並んで設けられるため、遊技者が発射ハンドルを回動させる操作と、ハンドルボタンを押す操作とを続けて円滑に行うことができ、遊技者が発射ハンドルの操作量を的確に調整し、保持することができる。
【0025】
第8の発明によれば、遊技者が手の平をハンドルボタン上に載せて手にかかる重力によってハンドルボタンを押操作することができ、長時間に渡ってハンドルボタンを操作し続けることができる。
【0026】
第9の発明によれば、遊技者がハンドルボタンを押操作する力を弱めると、押上スプリングの付勢力によりハンドルボタンが摩擦部材から離され、発射ハンドルの回動が自由になり、発射ハンドルの回動操作が円滑に行われる。
【0027】
第10の発明によれば、ハンドルボタンの押操作によって摩擦パッドはピンが当接した部分が弾性変形して窪み、ピンの先端部と摩擦パッドとの間に生じる摩擦力によって発射ハンドルの回動が的確に係止される。
【0028】
第11の発明によれば、ハンドルボタンの押操作によって係合溝にウェッジ部が係合し、係合溝とウェッジ部との間に生じる摩擦力によって発射ハンドルの回動が的確に係止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技機(パチンコ機)1の斜視図である。
【0031】
遊技機1の前面枠2は、遊技機1を設置するための島設備に固定される機枠(図示省略)にヒンジ4を介して一側部が左右に開閉回動自在に取り付けられる。前面枠2は、その前面2aが略垂直方向に延びるように設置される。
【0032】
前面枠2は、その前面2aに略正方形状の開口部を有し、その開口部には遊技盤5が取り付けられる。また、前面枠2には、ガラス枠6がヒンジ7を介して開閉回動自在に取り付けられ、ガラス枠6の開口部には透明なカバーガラス8が取り付けられる。
【0033】
前面枠2における遊技盤5の下方には、遊技球(パチンコ球)を発射装置40(図3参照)に案内する上皿16、上皿16の球貯留部16aをオーバーフローした遊技球を貯留可能な下皿17、スピーカ18、及び灰皿19などが配設される。なお、スピーカ18は、遊技盤5の上部両端部にも配設される。
【0034】
図2は、遊技盤5の正面図である。
【0035】
遊技盤5には、遊技盤5の表面に設けられたガイドレール10によって略円形状の遊技領域11が区画形成される。遊技者は、カバーガラス8を通じて遊技領域11を視認することができる。
【0036】
遊技領域11のほぼ中央には、開口窓部21aを有するセンターケース21が配設される。センターケース21の後方には、複数の識別情報を変動表示する変動表示装置22が、その表示部22aがセンターケース21の開口窓部21aに臨む状態で配設される。
【0037】
変動表示装置22は、表示部22aに複数の変動表示領域(例えば、左側、中央、右側の3つの可変表示領域など)を設定して各表示領域の各々で独立して画像表示がなされるものである。本実施の形態では、例えば、任意の画像を表示可能なLCD(液晶表示器)などで表示画面部分が構成され、この表示画面上の各変動表示領域には複数の識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタなど、遊技の進行に基づく画像が表示される。
【0038】
遊技領域11におけるセンターケース21の下方には、普通変動入賞装置(普通電動役物)23を有する変動表示始動口24(「入賞領域」に該当する。)が配設され、この始動口24の下方には、変動表示装置22の作動結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)25が配設される。また、遊技領域11におけるセンターケース21の左側には、普図変動表示ゲームの普通図柄始動ゲート26が配設される。
【0039】
遊技領域11には、この他に、遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口28、遊技球の落下方向を変える風車(図示省略)や釘(図示省略)などの方向変換部材、及び入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口30が配設される。
【0040】
発射装置40によって打ち出された遊技球は、ガイドレール10の左側部に区画され遊技球を案内する発射球案内通路31から遊技領域11に発射され、遊技領域11内の各所に配置された風車や釘などの方向変換部材によって落下方向を変えながら遊技領域11を流下し、始動口24、一般入賞口28、特別変動入賞装置25に入賞するか、遊技領域11の最下部に設けられたアウト口30から排出される。
【0041】
始動口24、一般入賞口28、特別変動入賞装置25に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出装置(図示省略)から上皿16に排出される。
【0042】
具体的には、始動口24へ遊技球の入賞があると、変動表示装置22では、前述した数字などで構成される識別情報が順に変動表示する変動表示ゲームが開始され、変動表示ゲームに関する画像が表示される。
【0043】
始動口24への入賞が所定のタイミングでなされたときには大当たり状態となり、三つの表示図柄が揃った状態(大当たり図柄)で停止する。このとき、特別変動入賞装置25は、大入賞口ソレノイド(図示省略)への通電によって、大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、大入賞口が所定の時間だけ大きく開くので、この間遊技者は多くの遊技球を獲得することができるという遊技価値が付与される。
【0044】
また、普通図柄始動ゲート26を遊技球が通過すると、表示器(図示省略)で普図変動表示ゲームが開始される。普通図柄始動ゲート26への遊技球の通過が所定のタイミングでなされたときには普通図柄に関する当たり状態となり、表示器に表示される普通図柄が当たり状態で停止する。このとき、始動口24に設けられた普通変動入賞装置23は、普通電動役物ソレノイド(図示省略)への通電によって、始動口24への入口が所定の時間だけ拡開するように変換され、遊技球の始動口24への入賞可能性が高められる。
【0045】
図3は、発射装置40の斜視図である。
【0046】
発射装置40は、前面枠2の内側に取り付けられる発射ベース43と、この発射ベース43に設けられて球貯留部16aから供給される遊技球9を係止する球発射位置44と、この球発射位置44と発射球案内通路31(図2参照)とを上下に連通する発射連通路45と、図中矢印で示す回動動作により球発射位置44に供給された遊技球9を弾発する発射杵41と、発射杵41の回動範囲を規制する回動規制部46と、この発射杵41を駆動するロータリーソレノイド42などの回動駆動源とを備え、遊技球9を1つずつ順次発射する装置である。
【0047】
発射操作部50は、遊技者が回動操作する発射ハンドル51の回動操作量に応じて抵抗値が変化するボリューム59(図7参照)を備えている。コントローラ(図示省略)は、このボリューム59の抵抗値(飛距離信号)の変化により発射装置40の発射杵41の発射勢を調整するように構成される。
【0048】
なお、発射装置40は、これに限らず、付勢ばねの付勢力により発射杵41を回動し、これにより遊技球を発射する構成とし、発射ハンドル51の回動操作量に応じて発射付勢ばねの付勢力を調整して発射勢を調整するように構成してもよい。
【0049】
遊技機1は、遊技者の発射ハンドル51の回動操作に基づいて発射装置40から発射される遊技球9の速度、飛距離が変えられ、遊技球9が遊技領域11内を流下することにより遊技を行うものである。
【0050】
ところで、従来の遊技機にあっては、発射ハンドルが水平軸まわりに回動するように設けられていたため、遊技機に対峙する遊技者は、手首を大きく曲げて発射ハンドルを把持しなければならず、長時間に渡って発射ハンドルを把持し続けると、疲労しやすいという問題点があった。
【0051】
これに対処して、本発明は、遊技者が長時間に渡って発射ハンドルを回動操作しても、疲労しにくい遊技機を提供するものである。
【0052】
図4は、発射操作部50の発射ハンドル51が設けられる前面下部ユニット15の斜視図であり、図5は、図4の矢印A方向から見た同じく前面下部ユニット15の正面図である。
【0053】
前面下部ユニット15は、前面枠2に取り付けられる前面下部ハウジング29を備え、この前面下部ハウジング29に、発射操作部50、下皿17、スピーカ18などが取り付けられる。
【0054】
前面下部ハウジング29の右端部には、前面枠2の前面2aから前方に突出するハンドル支持台39が設けられ、このハンドル支持台39の上部に発射操作部50の発射ハンドル51が回動可能に設けられる。
【0055】
樹脂製の前面下部ハウジング29には、発射ハンドル51が回動可能に設けられるハンドル支持台39と、下皿17が設けられる下皿支持台38とが一体形成される。ハンドル支持台39は、上から見た水平断面が円弧状に湾曲して前方に突出する湾曲壁部39aと、湾曲壁部39aの上端開口を閉塞する平板状の上壁部39bとを有する。
【0056】
前面下部ハウジング29には、ハンドル支持台39の湾曲壁部39aと下皿支持台38とが互いに連接して形成されている。ハンドル支持台39は、同じく前面枠2の前面2aから前方に突出する下皿支持台38に連接して形成されることにより、十分な剛性が確保される。
【0057】
図4において、Oは発射ハンドル51の回動中心軸、Hは水平線、Vは垂直線である。このハンドル支持台39の上部にて回動する発射操作部50の発射ハンドル51は、その回動中心軸Oが上下方向に延びるように配置される。
【0058】
発射ハンドル51の回動中心軸Oは、水平線Hに対する傾斜角度θhが、垂直線Vに対する傾斜角度θvより大きくなるように配置される。すなわち水平線Hに対する傾斜角度θhは、45°<θh≦90°の範囲に設定され、垂直線Vに対する傾斜角度θvは、45°>θv≧0°の範囲に設定される。
【0059】
上記構成に基づき、発射ハンドル51が上下方向に延びる回動中心軸Oまわりに回動するため、遊技機1に対峙する遊技者の腕が発射ハンドル51の回動中心軸Oに沿うように延ばされ、遊技者は手首を大きく曲げることなく発射ハンドル51を把持し、かつ手の平を発射ハンドル51上に載せられる。
【0060】
図6は、図4のB−B線に沿う断面図である。
【0061】
前面下部ハウジング29のハンドル支持台39には、上壁部39bに開口する開口壁部37が一体形成され、この開口壁部37に発射操作部50が収められる。開口壁部37は有底円筒状に形成され、ハンドル支持台39の内側には開口壁部37に渡って延びる左右方向に延びる板状の傾斜リブ36と、前後方向に延びる板状のリブ35とが形成される。これにより、ハンドル支持台39の剛性が十分に確保される。
【0062】
図7は、発射操作部50の断面図である。
【0063】
発射操作部50は、開口壁部37に収められ固定されるケーシング60と、このケーシング60の上端部に固定されるハンドルベース69と、ケーシング60に回動可能に指示される発射ハンドル51と、発射ハンドル51によって回転作動させられるボリューム59とを備え、遊技者が発射ハンドル51を回動操作することにより、ボリューム59の抵抗値が変化し、このボリューム59の抵抗値を飛距離信号として入力するコントローラによって発射装置40が遊技球9に与える速度、飛距離が変えられる。
【0064】
樹脂製のケーシング60は、ハンドル支持台39の開口壁部37に嵌合される嵌合筒部61と、ハンドル支持台39の上壁部39b上に突出する外側筒部62と、この外側筒部62の内側に設けられる内側筒部63とを有する。内側筒部63の上下端部には上下ブッシュ64、65が嵌合し、この上下ブッシュ64、65を介して発射ハンドル51がケーシング60に対して回動可能に支持される。
【0065】
樹脂製の発射ハンドル51は、上下ブッシュ64、65を貫通して支持される支持軸部52を有し、この支持軸部52が上下ブッシュ64、65の内周面に摺接することによってその回動径方向について支持される。
【0066】
図8にも示すように、支持軸部52の上端から拡がる環状段部53が形成され、この環状段部53が上ブッシュ64の上端部に摺接し、発射ハンドル51がその回動軸方向について下降しないように支持される。
【0067】
円盤状のハンドルベース69は、その外周下端部がケーシング60の嵌合筒部61の上端部に当接し、ケーシング60上に取り付けられる。ハンドルベース69は、ケーシング60の内側筒部63と上ブッシュ64と発射ハンドル51の環状段部53を囲むように配置される。
【0068】
ハンドルベース69は、その外周端部に筒状の外周筒部68を有し、この外周筒部68の上端部に発射ハンドル51の内側端面54が摺接することによって、発射ハンドル51が倒れないように回動可能に支持される。
【0069】
支持軸部52の下端にストッパ71がビス72を介して締結され、このストッパ71の上端面が下ブッシュ65の下端部に摺接し、発射ハンドル51がその回動軸方向について上昇しないように支持される。
【0070】
ストッパ71はその下端にジョイント部73を有し、このジョイント部73にボリューム59の上端部が結合され、発射ハンドル51の回動操作がストッパ71を介してボリューム59に伝えられる。
【0071】
発射ハンドル51は、上方に向いたハンドル上面51aを有し、このハンドル上面51aに遊技者の手の平が載せられる構成とする。
【0072】
ハンドル上面51aは、略球面状に湾曲し、遊技者の手のひらや指に沿って円滑に回動するようになっている。
【0073】
発射ハンドル51は、ハンドル上面51aのまわりに、遊技者の手の指が掛けられるグリップ部51b、51c(図1、図4参照)を有する。発射ハンドル51は、図示しない戻しスプリングによって初期回動位置に戻されるように付勢されているが、遊技者は手の指をグリップ部51b、51cに掛けることにより、戻しスプリングに抗して発射ハンドル51を小さな力で回動させられる。
【0074】
発射操作部50は、外側筒部62に取り付けられるストップボタン58が設けられる。遊技者がストップボタン58を押操作することによりスイッチ信号がコントローラに出力され、コントローラの指令によって発射装置40からの遊技球の発射が停止される。
【0075】
ストップボタン58は、発射ハンドル51の下方に配置され、グリップ部51bに掛けられた遊技者の指先によって押操作される。
【0076】
発射操作部50は、遊技者が操作することにより生じる摩擦力により発射ハンドル51の回動を係止する発射ハンドル回動係止機構80が設けられる。
【0077】
発射ハンドル回動係止機構80は、遊技者が押操作するハンドルボタン81と、このハンドルボタン81が押し付けられる摩擦パッド75(摩擦部材)とを備え、ハンドルボタン81と摩擦パッド75との間に生じる摩擦力により発射ハンドル51の回動を係止する。
【0078】
図9は、ハンドルボタン81と摩擦パッド75とを示す斜視図である。
【0079】
樹脂製のハンドルボタン81は、円盤状のボタン部82と、このボタン部82から下方に延びるボタン内筒部83と、このボタン内筒部83より下方に突出する2本のピン84と、このピン84の間に配置される2つの爪85とを有する。
【0080】
ハンドルボタン81は、各ピン84と各爪85を介して発射ハンドル51との相対回転が係止され、発射ハンドル51と一緒に回動するようになっている。
【0081】
発射ハンドル51は、そのハンドル上面51aに開口する凹部55を有し、この凹部55にハンドルボタン81がそのハンドル上面51aから出没可能に収容される。
【0082】
発射ハンドル51は、ガイド筒部56を有し、このガイド筒部56にハンドルボタン81のボタン内筒部83の内周面が摺動可能に嵌合される。これにより、ハンドルボタン81が発射ハンドル51の回動中心軸Oの方向について移動可能に支持される。
【0083】
発射ハンドル51とハンドルボタン81の間には押上スプリング49(図7参照)が介装され、この押上スプリング49の付勢力によってハンドルボタン81が発射ハンドル51のハンドル上面51aから突出する。
【0084】
コイル状の押上スプリング49は、ガイド筒部56の内側に収容され、その下端がガイド筒部56の内側段部56aに着座し、その上端がハンドルボタン81の受け部86に着座する。
【0085】
ハンドルボタン81は、2つの爪85が発射ハンドル51の図示しない部位に係合することにより、発射ハンドル51に対する抜け止めがされる。押上スプリング49の付勢力によって押し上げられるハンドルボタン81は、各爪85によってそのボタン部82がハンドル上面51aから所定量だけ突出する位置に保持される。
【0086】
発射ハンドル51には、2本のピン84をそれぞれ挿通させるピンガイド筒部57が形成される。
【0087】
円柱状の各ピン84は球面状の先端部84aを有し、この先端部84aがピンガイド筒部57を貫通して各摩擦パッド75に対峙する。
【0088】
図7に示すように、ハンドルベース69は、同心円状に並ぶ内周筒部66と中間筒部67とを有し、両者の間に一対の摩擦パッド75が介装される。
【0089】
図9に示すように、摩擦パッド75は、円弧状に湾曲した板状に形成される。
【0090】
摩擦パッド75は、ゴム材などの弾性体によって形成される。遊技者がハンドルボタン81を押操作することにより、図9に示すようにピン84の先端部84aが摩擦パッド75に押し当てられると、ピン84の先端部84aが当接した部分75aが弾性変形して窪み、ピン84の先端部84aと摩擦パッド75との間に生じる摩擦力によって発射ハンドル51の回動が係止される。
【0091】
遊技者がハンドルボタン81を押操作する力を弱めて、押上スプリング49の付勢力によってハンドルボタン81が押し上げられられると、図7に示すように、ピン84の先端部84aが摩擦パッド75から離れ、発射ハンドル51の回動が自由になる。
【0092】
なお、ハンドルボタン81を押し上げる押上スプリング49を廃止し、ピン84の先端部84aが摩擦パッド75に常に接する構成としてもよい。この場合、遊技者がハンドルボタン81を押操作する力を弱めることにより発射ハンドル51を回動させられ、押操作する力を強めることにより発射ハンドル51の回動が係止される。
【0093】
以上のように、遊技者が遊技機1に対峙して席に座り、前面枠2の前面下部に設けられる発射ハンドル51を握って回動させると、発射装置40から遊技球9が一つづつ発射され、遊技球9が遊技領域11内を流下する遊技が行われる。発射ハンドル51の操作量(回動角度)に応じて発射装置40の発射勢が調整され、発射装置40から遊技盤5の遊技領域へ発射される遊技球9の速度、飛距離が変えられる。
【0094】
本実施の形態では、その前面2aが略垂直方向に延びるように設置される前面枠2と、該前面枠2に取り付けられる遊技盤5と、遊技盤5の遊技領域へ遊技球を発射する発射装置40と、遊技者の回動操作によって発射装置40の発射勢を調整する発射ハンドル51と、を備えた遊技機1であって、前面枠2における遊技盤5の下方に配置され前面枠2の前面2aから前方に突出するハンドル支持台39を設け、ハンドル支持台39の上部に発射ハンドル51を回動可能に設け、発射ハンドル51をその回動中心軸Oが上下方向に延びるように配置した。
【0095】
上記構成に基づき、遊技機1に対峙する遊技者の腕が発射ハンドル51の回動中心軸Oに沿うように延ばされるため、遊技者は手首を大きく曲げることなく発射ハンドル51を握って回動させられ、発射ハンドル51を回動操作する遊技者の疲労を軽減することができる。
【0096】
このため、発射ハンドル51と前面枠2の間に遊技球やコインなどを挟み込んで、発射ハンドル51から手を離して遊技が行われる不正行為を防止することができる。
【0097】
本実施の形態では、発射ハンドル51の回動中心軸Oは、水平線Hに対する傾斜角度θhが、垂直線Vに対する傾斜角度θvより大きくなるように配置される。
【0098】
上記構成に基づき、発射ハンドル51の回動中心軸Oが適正に配置され、遊技者がその腕を発射ハンドル51の回動中心軸Oに沿うように延ばして、手首を大きく曲げることなく発射ハンドル51を把持することができる。
【0099】
本実施の形態では、発射ハンドル51は、上方に向いたハンドル上面51aを有する。
【0100】
上記構成に基づき、上方に向いたハンドル上面51aに遊技者の手の平を載せられるため、発射ハンドル51を回動操作する遊技者の疲労を軽減することができる。
【0101】
本実施の形態では、前面枠2に取り付けられる前面下部ハウジング29を備え、前面下部ハウジング29は遊技球を貯留する下皿17が設けられる下皿支持台38を有し、ハンドル支持台39が下皿支持台38に連接して一体形成される。
【0102】
上記構成に基づき、前面下部ハウジング29にハンドル支持台39と下皿支持台38が連接して一体形成されるため、ハンドル支持台39の剛性が下皿支持台38によって高められる。
【0103】
本実施の形態では、発射ハンドル51に、遊技者の操作によって生じる摩擦力により発射ハンドル51の回動を係止する発射ハンドル回動係止機構80を設けた。
【0104】
上記構成に基づき、遊技者が発射ハンドル51を一定の操作量に保持するのに、遊技者が発射ハンドル回動係止機構80を操作して発射ハンドル51の回動を摩擦力により係止することにより、遊技者が発射ハンドル51を把持する必要がなくなり、長時間に渡って発射ハンドル51を操作し続けても、疲労しにくい。
【0105】
本実施の形態では、発射ハンドル回動係止機構80として、遊技者が押操作するハンドルボタン81と、このハンドルボタン81が押し付けられる摩擦部材(摩擦パッド75)とを備えた。
【0106】
上記構成に基づき、遊技者が発射ハンドル51を一定の操作量に保持するのに、遊技者がハンドルボタン81を押操作して摩擦部材(摩擦パッド75)との間に生じる摩擦力によって発射ハンドル51の回動を係止することにより、遊技者が発射ハンドル51を把持する必要がなくなり、長時間に渡って発射ハンドル51を操作し続けることができる。
【0107】
本実施の形態では、ハンドルボタン81を発射ハンドル51のハンドル上面51aから突出するように設けた。
【0108】
上記構成に基づき、ハンドル上面51aとハンドルボタン81とが並んで設けられるため、遊技者が発射ハンドル51を回動させる操作と、ハンドルボタン81を押す操作とを続けて円滑に行うことができ、遊技者が発射ハンドル51の操作量を的確に調整し、保持することができる。
【0109】
本実施の形態では、ハンドルボタン81を発射ハンドル51の回動中心軸Oの方向について移動可能に支持した。
【0110】
上記構成に基づき、遊技者が手の平をハンドルボタン81上に載せて手にかかる重力によってハンドルボタン81を押操作することができ、長時間に渡ってハンドルボタン81を操作し続けることができる。
【0111】
本実施の形態では、ハンドルボタン81を摩擦部材(摩擦パッド75)から離す上方向に付勢する押上スプリング49を設けた。
【0112】
上記構成に基づき、遊技者がハンドルボタン81を押操作する力を弱めると、押上スプリング49の付勢力によりハンドルボタン81が摩擦部材(摩擦パッド75)から離され、発射ハンドル51の回動が自由になり、発射ハンドル51の回動操作が円滑に行われる。
【0113】
本実施の形態では、摩擦部材として弾性体からなる摩擦パッド75を設け、ハンドルボタン81に摩擦パッド75に押し当てられるピン84を設けた。
【0114】
上記構成に基づき、ハンドルボタン81の押操作によって摩擦パッド75はピン84が当接した部分75aが弾性変形して窪み、ピン84の先端部84aと摩擦パッド75との間に生じる摩擦力によって発射ハンドル51の回動が的確に係止される。
【0115】
(第2の実施の形態)
次に、図10及び図11を参照して、本発明の第2の実施の形態の遊技機について説明する。図10は第2の実施の形態の遊技機におけるハンドルボタンとハンドルベースの断面図であり、図11はハンドルボタンの斜視図である。なお、本第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0116】
以下では、本第2の実施の形態の遊技機のうち、上記第1の実施の形態と相違する点について説明する。
【0117】
本第2の実施の形態の遊技機は、発射ハンドル回動係止機構80として、ハンドルボタン81の各ピン84はその先端部にクサビ状のウェッジ部84bを有し、ハンドルベース69(摩擦部材)はこのウェッジ部84bに対峙する係合溝69bを有する。ウェッジ部84bと係合溝69bとはV字形の同一断面形状に形成される。
【0118】
係合溝69bは、ハンドルボタン81が回動する経路に沿って円弧状に湾曲して延びるように形成される。
【0119】
遊技者がハンドルボタン81を押操作することにより、図9に示すようにピン84のウェッジ部84bが係合溝69bに押し当てられると、ウェッジ部84bが係合溝69bに係合し、両者の間に生じる摩擦力によって発射ハンドル51の回動が係止される。
【0120】
遊技者がハンドルボタン81を押操作する力を弱めて、押上スプリング49の付勢力によってハンドルボタン81が押し上げられられると、ピン84のウェッジ部84bが係合溝69bから離れ、発射ハンドル51の回動が自由になる。
【0121】
本実施の形態では、摩擦部材(ハンドルベース69)にハンドルボタン81が回動する経路に沿って円弧状に湾曲して延びる係合溝69bを形成し、ハンドルボタン81に係合溝69bに押し当てられるウェッジ部84を設けた。
【0122】
上記構成に基づき、遊技者がハンドルボタン81を押操作することによってウェッジ部84が係合溝69bに係合し、係合溝69bとウェッジ部84との間に生じる摩擦力によって発射ハンドル51の回動が的確に係止される。
【0123】
また、本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の第1の実施の形態の遊技機の斜視図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】発射装置の斜視図である。
【図4】前面下部ユニットの斜視図である。
【図5】図4の矢印A方向から見た前面下部ユニットの正面図である。
【図6】図4のB−B線に沿う断面図である。
【図7】発射操作部の断面図である。
【図8】発射ハンドルの断面図である。
【図9】ハンドルボタンと摩擦パッドとの斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の遊技機におけるハンドルボタンとハンドルベースの断面図である。
【図11】ハンドルボタンの斜視図である。
【符号の説明】
【0125】
1 遊技機(パチンコ機)
2 前面枠
2a 前面
5 遊技盤
9 遊技球
11 遊技領域
15 前面下部ユニット
17 下皿
29 前面下部ハウジング
38 下皿支持台
39 ハンドル支持台
40 発射装置
49 押上スプリング
50 発射操作部
51 発射ハンドル
51a ハンドル上面
69 ハンドルベース(摩擦部材)
69b 係合溝
75 摩擦パッド(摩擦部材)
80 発射ハンドル回動係止機構
81 ハンドルボタン
84 ピン
84b ウェッジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その前面が略垂直方向に延びるように設置される前面枠と、
該前面枠に取り付けられる遊技盤と、
該遊技盤の遊技領域へ遊技球を発射する発射装置と、
遊技者の回動操作によって前記発射装置の発射勢を調整する発射ハンドルと、を備えた遊技機であって、
前記前面枠における遊技盤の下方に配置され前記前面枠の前面から前方に突出するハンドル支持台を設け、
該ハンドル支持台の上部に前記発射ハンドルを回動可能に設け、
前記発射ハンドルをその回動中心軸が上下方向に延びるように配置したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記発射ハンドルの回動中心軸を、水平線に対する傾斜角度が垂直線に対する傾斜角度より大きくなるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記発射ハンドルは上方に向いたハンドル上面を有したことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記前面枠に取り付けられる前面下部ハウジングを備え、
前面下部ハウジングは遊技球を貯留する下皿が設けられる下皿支持台を有し、
前記ハンドル支持台を下皿支持台に連接して一体形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の遊技機。
【請求項5】
前記発射ハンドルに、前記遊技者の操作によって生じる摩擦力により前記発射ハンドルの回動を係止する発射ハンドル回動係止機構を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の遊技機。
【請求項6】
前記発射ハンドル回動係止機構として、
遊技者が押操作するハンドルボタンと、
このハンドルボタンが押し付けられる摩擦部材とを備えたことを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記発射ハンドルは上方に向いたハンドル上面を有し、
前記ハンドルボタンを前記ハンドル上面から突出するように設けことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記ハンドルボタンを発射ハンドルの回動中心軸の方向について移動可能に支持したことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の遊技機。
【請求項9】
前記ハンドルボタンを摩擦部材から離す上方向に付勢する押上スプリングを設けたことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一つに記載の遊技機。
【請求項10】
前記摩擦部材として弾性体からなる摩擦パッドを設け、
前記ハンドルボタンに前記摩擦パッドに押し当てられるピンを設けたことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一つに記載の遊技機。
【請求項11】
前記摩擦部材にハンドルボタンが回動する経路に沿って円弧状に湾曲して延びる係合溝を形成し、
前記ハンドルボタンに前記係合溝に押し当てられるウェッジ部を設けたことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一つに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−279129(P2009−279129A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133092(P2008−133092)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000132747)株式会社ソフィア (2,465)
【Fターム(参考)】