説明

遊技機

【課題】主制御部と周辺制御部との間、特に主制御部から周辺制御部への信号の伝達方式を改良することにより、信号線系統の煩雑化を解消し、電気的構成の簡略化を図ることができる遊技機を提供する。
【解決手段】主制御部140から周辺制御部150,160,170,180への指令信号の伝送を、作動指令対象となる周辺制御部を特定可能な状態にて行う。これにより、複数の周辺制御部150,160,170,180への信号伝送経路500を共通化することが可能となる。その結果、指令信号の伝達経路を個々の周辺制御部毎に形成する態様と比較して信号線の数を大幅に減らすことができ、また、主制御部140側の指令信号の出力ポートを統合できるので信号線系統の煩雑化を解消し、電気的構成の簡略化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるフィーバー機、羽根物、権利物又はアレンジボール等の弾球遊技機や、スロットマシンなどのコイン式遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機には、遊技進行の基本進行を司る主制御部と、主制御部からの指令信号に基づいて遊技機に備えられている各種の周辺装置を制御する周辺制御部とがある。例えば主制御部は、主制御基板上に搭載されたCPU等の主制御部側制御指令主体と、少なくとも特定の入球検出器(=始動口検出器)からの入球情報を記憶する手段や、ゲームを進行するための乱数創出用カウンターから取得した数値に基づく当否判定結果を記憶する手段等によって構成される。但し、画像記憶手段、画像処理手段、大入賞口開閉制御装置又はこれら以外の機能を有する装置を主制御基板に組み込むこともできる。
【0003】
一方、周辺制御部は、主制御基板からの指令信号に基づき、個々の周辺制御指令を発するCPU等の周辺制御部側制御指令主体を含んで構成される。この周辺制御部側制御指令主体は周辺制御基板上に設けられるが、該周辺制御基板には、周辺制御部側制御指令主体からの制御指令に基づき作動する各種装置、例えば遊技者に判るように遊技の進行状態を表示する装置とか、遊技者の興趣、利益を具体的に実現する装置を制御する手段等も合わせて搭載される。後者は例えば、画像記憶手段、画像処理手段、大入賞口開閉制御装置、ランプ制御手段、音声制御手段、賞球排出処理手段、球抜き処理手段、球数管理手段(これには発射球数、戻り球数、賞球排出数等を含む)等である。通常のパチンコ遊技機では複数の周辺制御基板を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−117428
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、遊技機の興趣を高めるためにゲームの進行も複雑化し、それに伴いゲームの進行を司る制御系も同様に複雑化してきている。こうした状況においては、不正な改造、変造、改修の防止を図ったり、あるいは機種の設計変更を行ったりする場合に、多大な労力と時間とを必要とするため、特定の機能を有する装置を基板毎にまとめて各機種に共用できるようにし、設計変更した部分のみ新基板に切り替えることにより、設計開発の負担やコストを軽減することが行われている。例えば、ゲームの基本進行に関する制御を主制御部に委ねる一方、ゲームの進行に沿って遊技者にその進行状況を表示する手段、例えば状況に対応したランプの点灯あるいはゲームの進行に関する表示を行う手段や、遊技者の利益を具現化する手段、例えば賞球払出し手段の制御を、複数の周辺制御部に振り分けて分散制御を行うことが一般化してきている。この場合、主制御部と周辺制御部とは、関連する電気装置とともに主制御基板あるいは周辺制御基板上に形成されることとなる。しかしながら、それら主制御基板と周辺制御基板との間を接続する信号線や、その信号線を各基板に接続するためのコネクタが多数必要となるため、これらの装置、部品を装着したパチンコ機の裏面は複雑化するため、コストも高額なものとなり、さらには、不正な改造がなされた場合の発見も困難になってきている。
【0006】
一方、遊技機の電気的構成がこのように複雑化しているにも拘わらず、遊技機各部への電力供給系統の区分が十分に考慮されておらず、例えば故障時の部品交換等を行う場合は、遊技機全体の電力供給を遮断せざるを得ない構成になっていた。例えば、ランプ等の、賞球獲得上の利害に関係ない枠部品を交換する場合も、賞球の払出し機構などが抱き合わせで電源遮断されてしまい、遊技客との間にトラブルが発生することもあり得た。
【0007】
本発明の第一の課題は、この主制御部と周辺制御部との間、特に主制御部から周辺制御部への信号の伝達方式を改良することにより、信号線系統の煩雑化を解消し、電気的構成の簡略化を図ることができる遊技機の制御方式と、これを用いた遊技機とを提供することにある。また、第二の課題は、賞球獲得上の利害に関係ないの制御基板の統合が可能であり、電気的構成の簡略化を図ることができる遊技機の制御方式と、これを用いた遊技機とを提供することにある。さらに、第三の課題は、賞球獲得上の利害に影響を及ぼすことなく部品交換等を行うことができるように電力供給系統を工夫した遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第一の課題を解決するために、本発明の遊技機の制御方式の第一は、主制御部と、その主制御部からの指令信号を受けることにより対応する処理動作を行う複数の周辺制御部とを備えた遊技機の制御方式において、周辺制御部の全て又は2以上の一部のものが、主制御部からの共通信号伝送経路に接続されるとともに、その共通信号伝送経路により指令信号が、作動指令対象となる周辺制御部を特定可能な状態にて送信されるようになっており、周辺制御部は自らを作動指令対象とする指令信号を受けた場合にのみ、その指令信号の指令内容に基づいた処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の遊技機の第一は、上記の制御方式の第一を採用した遊技機である。
【0010】
すなわち、主制御部から周辺制御部への指令信号の伝送を、作動指令対象となる周辺制御部を特定可能な状態にて行うことにより、複数の周辺制御部への信号伝送経路を共通化することが可能となる。その結果、指令信号の伝達経路を個々の周辺制御部毎に形成する態様と比較して信号線の数を大幅に減らすことができ、また、主制御部側の指令信号の出力ポートを統合できるので信号線系統の煩雑化を解消し、電気的構成の簡略化を図ることができる。
【0011】
主制御部は、例えばCPU等により構成された主制御部側制御指令主体を含むものである。この主制御部側制御指令主体は、RAMあるいはROM等の半導体記憶手段や、その他の補助回路等とともに主制御基板上に設けることができる。他方、周辺制御部は、例えばCPU等により構成された周辺制御部側制御指令主体を含むものである。この周辺制御部側制御指令主体は、RAMあるいはROM等の半導体記憶手段や、その他の補助回路等とともに周辺制御基板上に設けることができる。
【0012】
周辺制御部は、共通信号伝送経路を介して受信した指令信号が、自らを作動指令対象とするものでなかった場合に、これを無視するか、又は共通信号伝送経路を用いて下流側の他の周辺制御部に転送するものとすることができる。ある周辺制御部にて特に必要としない指令信号が共通信号伝送経路を介して送られてきた場合、該共通信号伝送経路によりその指令信号を下流側へ流すようにすれば、その指令信号を必要とする周辺制御部が下流側に存在した場合に該指令信号を直ちに活用することができるので、主制御部からの指令信号の再送信が不要となり、処理が簡略化できる。なお、主制御部から発せられる1つの指令信号により、複数の周辺制御部を作動指令対象として指定することも可能である。
【0013】
周辺制御部は、共通信号伝送経路を介して受信した指令信号が、自らを作動指令対象とするものでなかった場合に、該指令信号の内容を変更することなく、下流側の他の周辺制御部に転送するようにすれば、周辺制御部では指令信号の受信あるいは転送のみを行えばよいから、その処理負担が軽減される。ただし、指令信号に何らかの加工を施して下流側に転送すること、例えば複数の周辺制御部を作動指令対象として指定された場合、個々の周辺制御部にて信号受信済みであることが識別できるように、指令信号に加工を施すこと等が可能である。これは、指令信号への新たな情報の追加であっても、あるいは情報の削除であっても、さらには両者の組み合わせであってもいずれでもよい。
【0014】
共通信号伝送経路は、主制御部側から周辺制御部側への一方向の信号伝送のみに使用されるものとすることができる。このようにすれば、主制御部と周辺制御部との間の信号伝送系統を一層簡略化することができ、例えば遊技機の検定作業に要する時間と労力も大幅に削減できる。事実、現行の遊技の検査基準では、複数の制御部が遊技機中に分散して設けられる場合、その信号伝送経路を追跡しやすくするために、主制御部から他の制御部(すなわち、周辺制御部)への一方向の信号伝送しか許可されていないが、上記の方式ではこれに直ちに対応できる利点がある。
【0015】
作動指令対象となる周辺制御部を特定可能な状態にて指令信号を送信する方式としては、種々の態様が可能である。例えば、複数の作動指令内容のそれぞれに対応して複数の指令信号が定められており、それら指令信号は、該指令信号の示す処理の実行先となる周辺制御部との間に一義的な対応関係を有するとともに、周辺制御部は、受信した指令信号が自らに対応するものであるか否かを判別し、対応するものであった場合に、その指令信号の指令内容に基づいた処理を行う。この方法によれば、指令信号自体が作動指令対象となる周辺制御部を特定するための情報を内包する形となるので、例えば周辺制御部を追加する設計変更を行う場合に、指令信号の発生及び識別に関するソフトウェア内容を変更するだけで対応できる利点が生ずる。
【0016】
この場合、周辺制御部側には、自らに対応する指令信号を識別するための参照用指令信号パターンを記憶する参照用指令信号パターン記憶手段を設けておき、受けた指令信号と参照用指令信号パターンとを照合することにより、上記の判別を行うようにすることができる。この場合、複数のデータビット列(例えば配列順の定められたもの)からなるコマンドデータが指令信号として送信されるようにし、そのコマンドデータを構成する特定の1又は複数のデータビットを周辺制御部選択信号として使用し、残余のデータビットの少なくとも一部を、指令内容を特定する指令内容特定信号として使用するようにすれば、その特定ビットの照合のみで、その指令信号が自らに対応するものであるか否かを容易に識別できる。
【0017】
また、主制御部から周辺制御部へ送信される指令信号に随伴して、作動指令対象となる周辺制御部を選択するための周辺制御部選択信号を、共通信号伝送経路により作動指令対象となる周辺制御部に送信することが可能である。周辺制御部選択信号の使用により、同じ指令信号でもって異なる指令内容を指示するものとして、複数の周辺制御部にて共用できるようになり、少ない種類の指令信号により、複数の周辺制御部の多様な制御態様に対応できるようになる。
【0018】
この場合、主制御部から該信号伝送経路へ送信される指令信号に対応して、作動指令対象となる周辺制御部を選択するための周辺制御部選択信号を、共通信号伝送経路とは別に設けられた周辺制御部選択信号伝送経路により、作動指令対象となる周辺制御部に送信するようにすれば、指令信号を送信する共通信号伝送経路のバス幅を一定にすることができるので、周辺制御部の増加する設計変更にも容易に対応できる。さらに、指令信号の伝送経路を一定バス幅(例えば8ビット)とし、周辺制御部選択信号の伝送を別経路にて行う方が、周辺制御部選択信号の伝送ビット数を見込んでバス幅を広げるよりも処理能率を高めることができる。
【0019】
なお、周辺制御部選択信号伝送経路は、各周辺制御部間にて共通化することもできるし、周辺制御部毎に別の周辺制御部選択信号伝送経路を設けてもよい。前者の場合、主制御部から共通信号伝送経路(例えばデータバス)を介して、複数のデータビット列からなるコマンドデータが指令信号として送信される一方、周辺制御部選択信号は、コマンドデータとは別系統の1又は複数ビットのデータ信号(例えばアドレス信号)の形で送信することができる。
【0020】
また、後者の場合は、主制御部から該信号伝送経路へ共通信号伝送経路を介して、複数のデータビット列からなるコマンドデータが指令信号として送信される一方、周辺制御部選択信号は、各周辺制御部毎に個別に発せられるストローブ信号により、対応する周辺制御部に送信することができる。これにより、主制御部側には、指令信号出力のためのポートを周辺制御部間で共通化でき、かつ周辺制御部選択信号がビット数が1のストローブ信号となるので、該周辺制御部選択信号出力のための回路構成も簡略化される。
【0021】
この場合、主制御部からの指令により、作動指令対象となる周辺制御部にのみストローブ信号を発信するストローブ信号発生手段を設けることができる。このようにすると、主制御部側においては、ストローブ信号作成用のポートも一本化でき、回路構成が一層簡単なものとなる。また、周辺制御部毎に個別の経路により指令信号を送信する場合は、周辺制御部毎に独立したアドレスを割り当てる必要が生ずるので、主制御部側のアドレスデコード回路の構成が極めて複雑なものになるが、上記の構成では、指令信号の共通出力ポートと、ストローブ信号作成用のポートとを選択すれば十分となるから、アドレスデコード回路の構成も極めて簡略化できる。なお、主制御部を主制御基板上に形成する場合、ストローブ信号発生手段もその主制御基板上に設けることができる。
【0022】
次に、前記の第二の課題を解決するために、本発明の遊技機の制御方式の第二は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与しない制御対象である補助制御対象の組が2以上存在し、各補助制御対象の組の作動制御を司る補助制御手段を1つの周辺制御部に対応して2以上設けるとともに、それら2以上の補助制御手段を、該周辺制御部に設けられた共通の制御指令主体からの指令により制御作動させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の遊技機の第二は、上記の制御方式の第二を採用した遊技機である。
【0024】
この方式を採用することにより、賞球獲得上の利害に関係ないの周辺制御部の統合が可能となり、電気的構成の簡略化を図ることができるようになる。この場合、それらの補助制御手段を、対応する周辺制御部が搭載される周辺制御基板上に実装することができる。なお、補助制御対象は、例えば遊技機に設けられたランプ点灯機構と音声出力機構とを含み、それらランプ点灯機構と音声出力機構との作動制御を司るランプ制御用手段と音声制御用手段とを、同一の周辺制御部に対応して設けることができる。これにより、ランプ制御用と音声制御用とに、別々に周辺制御部(あるいは周辺制御基板)を設ける必要がなくなり、コスト削減に寄与する。なお、上記本発明の遊技機の制御方式(あるいはそれを用いた遊技機)の第二は、前記の制御方式の第一(あるいはそれを用いた遊技機)と組み合わせることができる。
【0025】
次に、第三の課題を解決するために、本発明の遊技機の第三は、遊技機の各部への電力供給系統が、少なくとも主動制御部を含む第一種作動部への第一電力供給系と、該主動制御部からの指令信号を受けて処理動作をする受動制御部の一部又は全てを含む作動部である第二種作動部への第二電力供給系との少なくとも2つに区分されており、前記第一電力供給系への電力投入状態を維持しつつ、前記第二電力供給系の電力遮断が可能となるように構成されたことを特徴とする。例えば、第一電力供給系は、例えば遊技者の賞球獲得上の利害に関与する作動部への電力供給系とし、第二電力供給系は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与しない作動部への電力供給系とする区分を例示できるが、賞球獲得上の利害の観点において必ずしも厳密に区分されている必要はないし、また、区分の観点もこれに限られるものではない。
【0026】
これによれば、賞球獲得上の利害に関係ない枠部品(第二種作動部に関連する部品)を交換する場合等においても、賞球の払出し機構など、遊技者の賞球獲得上の利害に関与する第一種作動部への電力投入状態は維持できるので、第一種作動部が抱き合わせで電源遮断されてしまい、遊技客との間にトラブルが発生したりするトラブルを未然に回避できる。なお、第一種作動部は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与する制御情報を記憶する第一種制御情報記憶手段を含むものとしておけば、第二種制御対象の電源遮断を行っても、第一種作動部への電力投入状態が維持されるに伴い、賞球獲得に関与する遊技機制御に必要な情報が記憶保持されるので、これを用いて遊技機の必要な動作を問題なく継続するができる。
【0027】
なお、上記遊技機の第三の構成は、前記した第一ないし第二の構成と組み合わせることができる。さらに、これら第一〜第三の構成に、下記の遊技機の第四の構成を組み合わせることも可能である。すなわち、該第四の構成は、入賞球を検知する入賞球検知部と、入賞球検知信号に基づいて払い出すべき賞球個数の情報である賞球個数情報を生成する賞球個数情報生成手段と、その生成された賞球個数情報に基づいて賞球払出機構に所定数の賞球の払い出しを行わせる賞球払出制御手段と、賞球払出制御手段による賞球の払出しを検知する払出賞球検知機構と、賞球個数情報生成手段が生成する賞球個数情報と、払出賞球検知機構による払出賞球の検知情報とに基づいて、賞球払出機構による賞球の払い出しを管理する賞球払出管理手段とを備えたことを特徴とする。
【0028】
上記弾球遊技機の構成には、遊技盤には賞球払い出しの対象となる各入賞口が配設されており、各入賞口に対応して設けた入賞球検知部からの入賞球検知信号に基づいて、払い出すべきそれぞれの賞球個数を情報として生成している。この賞球個数情報によって各入賞口に対応した所定数の賞球が払い出され、この払い出された賞球個数を検知して、賞球個数情報と実際に払い出された賞球個数の確認を図っている。
【0029】
今までの弾球遊技機においては、賞球の払出確認を以下のようにして行っている。すなわち、前記各入賞口にはセーフ球集合樋がそれぞれ接続されており、これらのセーフ球集合樋の下端が漏斗状に形成されたセーフ球大集合樋に集結され、このセーフ球大集合樋の下端には、入賞球排出ソレノイド、入賞球検知レバー、入賞球検知スイッチ等のユニット化された入賞再検知処理手段が配設されている。前記各入賞口に入球した入賞球はセーフ球大集合樋へ案内され、所定数の払出賞球の賞球個数データが送信されるとき、賞球を払い出すとともに、賞球払出完了に伴い払出完了信号を受けて入賞球排出ソレノイドを消・励磁させることにより、入賞球1個を排出するようにしている。
【0030】
これに対して、上記弾球遊技機によれば、遊技盤に配設された入賞口に対応して設けた入賞球検知処理手段からの入賞球検知信号の入力のみに基づいて賞球個数が払い出せるので、上述した今までの賞球払出システムの一装置を構成していた入賞球再検知処理手段が不要となって、部品点数を減らすことができる。そして、この入賞球再検知処理手段は上述したように、部品点数の多い機械的な機構により構成されていたため、これを省くことにより、故障の発生を低減させることができる。また、第三者検査機関は、弾球遊技機の検査が比較的容易となって、その検定時間を短縮することができる。例えば、上記弾球遊技機によれば、入賞球再検知処理の機構が不要となるため、入賞口への入球に伴い入賞球検知部によって入球検知された入賞球は、以降に再度検知されることなくアウト球とともに回収することができるのである。また、賞球払出管理手段は、払出賞球の検知個数が払い出すべき賞球個数に到達した場合に、賞球の払い出しが完了したものとして判断するものとして構成することが、入賞球検知処理に代わる確実な賞球払出確認処理として合理的である。
【0031】
具体的には、賞球払出管理手段は、払い出すべき総賞球個数を記憶する総賞球個数記憶手段と、入賞球が検知される毎に、対応する賞球個数を総賞球個数記憶手段に記憶されている総賞球個数に加算する賞球個数加算手段と、払出賞球の検知情報に基づいて、払い出された賞球数を総賞球個数記憶手段に記憶されている総賞球個数から減算する賞球個数減算手段とを備え、総賞球個数記憶手段に記憶されている総賞球個数に基づいて、賞球の払い出しが完了したか否かを管理するものとすることができる。
【0032】
実際の遊技機では、入賞球が単発的ではなく連続的に発生することも多く(特に大当たり時など)、先の入賞球に対する賞球の払い出しが完了しないうちに、次の入賞球が発生することもしばしばである。この場合、上記のように、賞球払い出しの完了していない入賞球の賞球数を総賞球個数としてプールした形にて記憶し、新たな入賞球が発生した場合は、これに対応する賞球数を総賞球個数に加算する一方、払い出された賞球に関しては、払出賞球の検知情報に基づいて総賞球個数から減算するようにすれば、刻々変化する(払出未完了の)総賞球個数を正確に把握することができ、球詰まり等のトラブルによる賞球払出の滞り等も迅速に検出できる。
【0033】
上記の遊技機は、賞球個数情報生成手段及び賞球払出管理手段として機能する主制御部と、賞球払出制御手段として機能する枠制御部(これは、周辺制御部の1つをなす)とを備え、主制御部からの賞球個数情報が枠制御部に対して一方向に転送されるとともに、該枠制御部はその賞球個数情報に基づいて賞球払出機構に賞球の払い出しを行わせる一方、その賞球払出機構に取り付けられた払出賞球検知機構からの払出賞球の検知情報が主制御部に送信される構成とすることができる。
【0034】
従来の遊技機において、入賞検知に伴い発生する払出賞球の発生に関し、賞球払出確認を行うための入賞球再検知処理が必要となっていた根本的な要因は、以下のような背景による。すなわち、多くの遊技機においては、入賞検知を受けることによる所定個数の入賞球払出の指令は、遊技機全体の作動処理を統括する主制御部が行うのに対し、その処理負担軽減のため、入賞球払出の指令を受けて実際に賞球払出機構をして、賞球払出の実行動作を制御するのは、上記主制御部とは別の枠制御部が担う形となっている。すなわち、賞球払出指令の制御主体と、賞球払出実行の制御主体とが別体に形成されているのである。
【0035】
この場合、指令された賞球払出が実際に実行されたか否かを確認するためには、枠制御部が入賞球払出が完了するに伴い、払出完了信号を主制御部に返す方式が最も合理的でわかりやすい方式であるといえる。ところが、このような主制御部と枠制御部との双方向通信を行うようにすると信号伝送系統が複雑化したり、不正な制御の発見が困難になるため、前記した通り、現行の遊技の検査基準では、主制御部から枠制御部も含めた周辺制御部へは、一方向の信号伝送しか許可されていない。従って上記のように払出完了信号を枠制御部から主制御部に返す方式は、事実上採用できない事情がある。
【0036】
そこで従来は、前記した入賞球再検知処理機構に含まれる入賞球排出ソレノイドの作動を枠制御部に制御させ、賞球払出が完了すると、枠制御部はこのソレノイドを作動させて、入賞球の排出を促す。そして、入賞球が排出されると、主制御部に接続された入賞球検知スイッチが付勢され、主制御部は賞球払出を確認する。すなわち、枠制御部から主制御部への直接的な信号伝送を行うのではなく、ソレノイドの作動による入賞球の機械的な移動を媒介として主制御部へ賞球払出完了を認識させていたのである。しかし、この機構は入賞球再検知処理の機構が複雑で、遊技機の価格高騰につながることは既に述べた。また、賞球払出の直接的な確認は枠制御部側で行うしかないのであるが、これがノイズ等の影響により誤った払出確認がなされ、ソレノイドが誤動作してしまうと、主制御部側ではこれを認識する術がなく、結果として賞球払出が正常に行われなくなってしまう不具合が生ずる。
【0037】
そこで、このように主制御部と枠制御部とに制御分担がふり分けられる場合に、前記した通り、(枠制御部の制御を受けない)払出賞球検知機構からの、払出賞球の検知情報が主制御部に送信されるようにするのである。払出賞球検知機構自体は、払い出しに伴う球の空間的な移動を検知するだけでよいから、例えば後述する通り、払出カムに設けられた賞球払出センサや、あるいはリミットスイッチ、近接センサあるいは光センサ等の公知のセンサにより簡単に構成できる。そして、主制御部では払出賞球検知機構からの信号に基づき、賞球払出の流れをより直接的に検知できるので、賞球払出を常に正確に把握することができる。また、主制御部と、枠制御部を含めた周辺制御部との間の信号伝送方式として、前記した本発明の第一を採用すれば、周辺制御部の数が増大した場合でも信号線系統も含めて回路構成を大幅に簡略化できる。
【0038】
上記弾球遊技機は、好適には、各入賞口に対応して、各々特定の個数の賞球数が固有賞球数として定められており、賞球払出制御手段は、入賞球検知信号の入力順に、その入賞球検知信号に対応する賞球数設定用信号を出力する賞球個数指令出力手段と、賞球数設定用信号の入力順に、その賞球数設定用信号に対応する固有賞球数データを記憶格納する固有賞球数データ記憶手段とを備え、その固有賞球数記憶手段に記憶格納されている固有賞球数データを先に格納されているものから順に読み出し、その読み出し順に、対応する個数の賞球の払い出しを賞球払出機構に行わせるものである。
【0039】
上記構成では、賞球払出制御手段が賞球払出手段に対し、最終的に各入賞口に入球した入賞球の検出順に従って、対応する賞球個数(固有賞球数)を順次払い出させる制御を行うので、遊技者にとって、何個の賞球を獲得できたかが、容易に把握可能となる。したがって、遊技者に対する遊技の透明性も確保できる。
【0040】
弾球遊技機の電子制御装置においては、各入賞口に入球すると入賞球検知部から出力される入賞球検知信号に対応して払い出す所定数の賞球個数を主制御部内で一旦記憶し、これを枠制御部へ賞球個数データとして送信している。このため、主制御部においては入賞した順に該当する賞球個数を或程度記憶するバッファが必要となる。このとき、記憶容量の最低単位として1バイト(8ビット)の記憶容量を用いて、各入賞口に対応した所定数の賞球個数データが入賞した順に、その都度一時的に記憶され、枠制御部において賞球が払い出される毎に1バイト(8ビット)の記憶容量が解放されることになる。
【0041】
しかしながら、通常、主制御部では現状のメインプログラム用に作業領域が確保されており、この作業領域以外を緩衝域としてのバッファに供出する領域は限られている。したがって、入賞口に入球する入賞球の頻度が高くなった場合、例えば、大入賞口が所定時間(例えば、約30秒)又は所定個数(例えば、10個)の遊技球が入球するまで開放される場合など、記憶すべき賞球個数データ量が多くなってバッファの記憶容量が不足する事態が発生することになる。
【0042】
そこで、賞球数設定用信号に対応する固有賞球数データは、各々一定個数のデータビットを含むと共に、そのデータビットの組み合わせが、払い出すべき賞球数に一対一に対応する形で定められたビット組の形で記憶されるものとすることができる。賞球数設定用信号に対応する賞球個数データが、賞球個数データ記憶手段に予め設定したビット単位毎で記憶格納されるので、比較的メモリ容量を少なくして済ませることができて、他のメモリに対する影響も最小限に抑えることが可能となる。
【0043】
この好適な形態の一つとして、固有賞球数データ記憶手段には、直列的に形成されたビット記憶セルの列に対し、その一方の側からビット組が入力順に格納され、その格納されているビット列の他方の側から予め定められた個数のデータビットを取り出したときに、これが払い出すべき固有賞球数を表すビット組となるようにすることができる。上記ビット組を1バイト未満、例えばビット数を8の約数である1、2、4のいずれかに設定することで、1バイトのバッファに複数のビット組を無駄な空きビットを生ずることなく格納することができる。この場合、固有賞球数データ記憶手段には、直列的に形成されたビット記憶セルの列に対し、その一方の側からビット組が入力順に格納され、その格納されているビット列の他方の側から予め定められた個数のデータビットを取り出したときに、これが払い出すべき固有賞球数を表すビット組となる形となる。なお、ビット組に含まれるビット数は、好適には2ビットであり、この2ビットを払い出すべき賞球個数データとすることによって、1バイトのバッファ内の記憶容量を4倍に拡張して使用できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例たるパチンコ機の正面図。
【図2】その遊技盤の正面図。
【図3】遊技盤上における各役物の基板の配置を示す説明図。
【図4】遊技盤裏面の遊技球経路とスイッチ等取付配置を示す説明図。
【図5】図1のパチンコ機の裏面図。
【図6】図1のパチンコ機の裏機構盤の説明図。
【図7】セーフ球の流下経路の構造の一部の説明図。
【図8】図7のセーフ球の流下経路の一部の拡大斜視図。
【図9】図7のセーフ球の流下経路の一部の断面図。
【図10】賞球払出装置の説明図。
【図11】賞球払出装置の構造説明図。
【図12】図11の矢視断面図。
【図13】賞球払出装置の作動説明図。
【図14】賞球払出装置の作動説明図。
【図15】賞球払出センサの他の態様を示す説明図。
【図16】図1のパチンコ機の電子制御装置の一例を示すブロック図。
【図17】図16の電子制御装置におけるメインジョブの流れを示すフローチャート。
【図18】賞球総数記憶ジョブの流れを示すフローチャート。
【図19】賞球個数データ記憶ジョブの流れを示すフローチャート。
【図20】賞球個数データ記憶取出しジョブの流れを示すフローチャート。
【図21】賞球個数データ記憶バッファの説明図。
【図22】従来において払い出すべき賞球個数の記憶と記憶の取出しを示す説明図。
【図23】本発明における払い出すべき賞球個数の記憶状態を示す説明図。
【図24】記憶された賞球個数の取り出しを示す説明図。
【図25】賞球個数データ記憶ジョブの他の態様の流れを示すフローチャート。
【図26】賞球個数データ記憶取出しジョブの他の態様の流れを示すフローチャート。
【図27】図25に対応する賞球個数の記憶状態を示す説明図。
【図28】図26に対応する記憶された賞球個数の取り出しを示す説明図。
【図29】図18におけるコマンドデータの送信形態と、各基板のいくつかの接続態様を示す模式図。
【図30】コマンドデータの例を示す説明図。
【図31】周辺制御部におけるコマンドデータの照合処理の内容を概念的に示す図。
【図32】コマンドデータの周辺制御部を特定するデータビットから、周辺制御部を選択するストローブ信号を生成する態様を示す回路図。
【図33】コマンドデータをシリアル伝送する概念を説明する図。
【図34】その変形例を示す図。
【図35】コマンドデータに随伴させて周辺制御部選択信号を、共有バスにて送信する態様の一例を示す説明図。
【図36】図35に対応するコネクタピンは位置の一例を示す模式図。
【図37】周辺制御部選択信号の例を示す説明図。
【図38】図38の周辺制御部選択信号の1つの対応するコマンドデータの例を示す説明図。
【図39】コマンドデータに随伴させて周辺制御部選択信号を、個別のストローブ信号にて送信する態様を示す回路図。
【図40】ランプ制御部と音声制御部とを統合する周辺制御基板の構成例を示す模式図。
【図41】遊技機の第一電力供給系と第二電力供給系との電力供給を、独立にオン・オフできるようにした回路構成例を示す模式図。
【図42】遊技機の第二電力供給系への電力供給のオン・オフを、第一電力供給系系への電力供給のオン・オフに従属させた回路構成例を示す模式図。
【図43】各制御基板毎に電力供給のオン・オフを独立に行えるようにした回路構成例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照して説明する。ここでは弾球遊技機として、いわゆるフィーバー機と呼ばれるタイプの第一種パチンコ機(弾球遊技機)を例にとり、その構造を図1〜図5を参照して説明する。パチンコ機1の前面部は、本体枠2と、中枠3と、前面枠4と、上皿部5と、下皿部6と、施錠装置7とから構成されている。本体枠2は、木製の板状体を略長方形の額縁状に組立て固着したものである。中枠3は、全体がプラスチック製で、枠体部(図示略)と下板部(図示略)とを有して本体枠2の内周側に嵌合し取り付けられている。
【0046】
ここで枠体部は、上端から下方へ略2/3程度に略長方形の額縁状に形成され、上端部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応して、左側に賞球表示LED(図示略)及び賞球表示LED基板4d(図16参照)が、右側にストップ表示LED(図示略)及びストップ表示LED基板4f(図16参照)が配設されている。
【0047】
また、下板部は、下端から上方へ略1/3程度を占め、その左端には、上皿部5に形成されたスピーカ面5aに対応すべく、遊技状態に応じた効果音その他の音(以下音声情報等という)を発生させるスピーカ400(図16参照)が配設され、略中央には、遊技球を発射する発射装置ユニット8(図5参照)に上皿部5に貯留された遊技球を供給する供給装置等(図示略)が設けられている。さらに、下方には下皿部6が設けられ、右端中央には施錠装置7が設けられている。
【0048】
下皿部6は、灰皿や玉抜きレバー等を備えて、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6cが開設され、右端に発射ユニット8を操作する発射ハンドル9が設けられている。また、この発射ハンドル9には、遊技者がタッチしていることを検出するタッチスイッチ9aが装着され、その近傍には、発射停止を一時的に指令する発射停止スイッチ9bが配置されている。施錠装置7は、正面視すると鍵穴を備えた略長方形状を呈し、前面枠4を閉鎖した場合に施錠するためのものである。
【0049】
前面枠4は、全体がプラスチック製であり、遊技盤10を前方から視認するべく、遊技盤10に形成された遊技領域11の形状に対応して上側が略円弧状を呈し、全体が略弾丸形状に開設された開口部4aを有している。そして、その裏面には、開口部4aに応じてガラス板が嵌められた略長方形状のガラス枠(図示略)が装着されている。また、この前面枠4は、パチンコ機1の前面全体の2/3のサイズを占め、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。さらに、上端部には、枠飾りランプ用レンズ4bが設けられ、このレンズ4bの両側には複数個の遊技効果ランプ601〜604が配設されている。
【0050】
上皿部5は、前面枠4の下側で、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。皿外縁部5dには、玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタン等が配設されている。またパチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口5cが開設されている。左端には、複数の長孔を有するスピーカ面5aが形成され、その裏面には、音量スイッチ基板12(図16参照)が設けられている。パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が装着されている。
【0051】
次に、本実施例の遊技盤10の表面構造を図2を参照して説明する。遊技盤10は、略長方形の木製の板状体であって、後述する裏機構盤100(図5参照)により保持され、その表面に設けられた外レール14と内レール15とにより略円形状に形成される遊技領域11内に、特別図柄表示装置16と、第一種始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18と、左上入賞口19、右上入賞口20、左下入賞口21、右下入賞口22と、多数の障害釘23と、一対のランプ風車24、25や一対の風車26、27等が配設されて、構成されている。
【0052】
特別図柄表示装置16は、遊技領域11の略中央部に配置され、センター役物28と、液晶表示盤29とを備えている。ここで、液晶表示盤29は、複数種類の特別図柄(図示略)等を変動表示するもので、その映像画面は略長方形状を呈している。また、この液晶表示盤29は、遊技球が第一種始動口(普通電動役物)17に入球することにより、その映像画面に表示される各特別図柄をそれぞれ変動させて停止表示させるものである。そして、例えば、図柄が「7、7、7」の3桁同一図柄で揃って停止表示すると、変動入賞装置18に配設された後述する大入賞装置30が開放される。また、センター役物28は、液晶表示盤29の前面周辺部に額縁状に突設して装着され、普通図柄表示装置31と、翼状部32、33とステージ34とを備えている。
【0053】
普通図柄表示装置31は、センター役物28上部中央に配置され、7セグメント表示器31aと、普通図柄保留表示LED31bとを有している。また、この普通図柄表示装置31の両側にはそれぞれ、略翼状に延びた翼状部32、33が配設されている。さらに、その下側には、4個の丸形の緑色LEDで構成され、横一列状に特別図柄保留表示LED35が設けられている。これは、第一種始動口(普通電動役物)17に入球した遊技球の数を4個まで保留し、入球ごとに順次点灯し左へシフト表示するものである。そして、液晶表示盤29で次の特別図柄の変動が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の特別図柄保留表示LED35は消灯される。
【0054】
7セグメント表示器31aは、1〜9の奇数数字を変動表示させるもので、後述する左右の普通図柄作動通過口36、37のいずれかを遊技球が通過することにより、変動して所定時間経過後に1種類の奇数数字が停止表示される。そして、例えば「7」で停止表示すると、第一種始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば、0.5秒)開放される。
【0055】
普通図柄保留表示LED31bは、4個の丸形の赤色LEDで構成され、7セグメント表示器31aの両側に2個ずつに分けて配置されている。これは、左右の普通図柄作動通過口36、37を通過した遊技球の数を4個まで保留とし、通過ごとに順次点灯しシフト表示するものである。次の7セグメント表示器31aの変動表示が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の普通図柄保留表示LED31bは消灯される。
【0056】
翼状部32、33は、上述したように、センター役物28上部から側部にかけて中空状に形成され、上部内部には、複数個の遊技効果ランプ38(図3参照)が配設されている。また、各外側部上端には、遊技球の普通図柄作動通過口36、37がそれぞれ左右両側に設けられ、各内側部下端には、遊技球の通過口出口(図示略)がそれぞれ設けられて、これらの通過口36、37と通過口出口間には、それぞれ図示しない通過筒部が設けられている。そして、各通過口36、37から入った遊技球は、内部に配設された左、右普通図柄作動通過口通過検知スイッチ36s、37s(図4参照)を通過し、各通過筒部を通過して各通過口出口から飛び出し、ステージ34上を転動する。ステージ34はセンター役物28下部に配置され、各通過口出口からの遊技球を中央寄りに集めつつ、さらに、遊技盤10面上を流下させるべく、一部傾斜状に形成されている。なお、遊技球の普通図柄作動通過口通過検知スイッチ36s、37sのいずれかの通過により、普通図柄表示装置31における7セグメント表示器31aが変動表示する。
【0057】
第一種始動口(普通電動役物)17は、特別図柄表示装置16におけるセンター役物28に有するステージ34の中央直下に配設され、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。内部には、遊技球の通過を検知する第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図4参照)が備えられている。この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球の容易な開放状態となり、一対の翼片部が閉じると、遊技球の入球のし易さが通常状態となる。
【0058】
変動入賞装置18は、上記第一種始動口(普通電動役物)17の下方に配設され、前面側が略逆台形状に形成された基板41に、大入賞装置30と、左入球口42と右入球口43とを備えている。ここで、大入賞装置30は、略中央に形成され、帯状に開口された大入賞口44と、この大入賞口44を開放・閉鎖する開閉板39と、この開閉板39を開閉するための大入賞口ソレノイド45(図4参照)と、連動杆(図示略)と、特定領域開閉シャッター(図示略)と、この特定領域開閉シャッターを作動させるための開閉シャッターソレノイド40と、特定領域(図示略)と、特定領域外領域(図示略)とから構成されている。
【0059】
また、左入球口42は、大入賞装置30の左斜め上方に配設されて、内部に左入球口通過検知スイッチ42s(図4参照)が設けられている。さらに、右入球口43は、大入賞装置30の右斜め上方に配設されて、内部に右入球口通過検知スイッチ43s(図4参照)が設けられている。アウト口46は、変動入賞装置18における大入賞装置30の中央直下に配設されている。バック球防止部材47は、アウト口46の下部に設けられ、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止するものである。ファール球防止部材48は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム49は、ファール球防止部材48の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
【0060】
一対のランプ風車24、25はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右斜め上方に配設されている。左上入賞口19及び右上入賞口20はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右両側方に配設されている。左下入賞口21及び右下入賞口22はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右斜め下方に配設されている。
【0061】
一対の風車26、27はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右両側方であって、特別図柄表示装置16と左上入賞口19または右上入賞口20間に配設されている。一対のサイドランプ50、51はそれぞれ、遊技領域11の左右両端部において、縦帯状で相対称状に配設されている。なお、多数の障害釘23は、以上説明した各装置との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設されている。
【0062】
次に、本実施例の遊技盤10上に位置する各種LED、ランプと、これらの基板について図3を参照して説明する。遊技盤10における遊技領域11には、センター役物28に備える普通図柄表示装置31に、4個の丸形の普通図柄保留表示LED31b用の略長方形状の基板31fが配設されている。また、この基板31fの下側であって、左右の翼状部32、33周辺に、4個の丸形の特別図柄保留表示LED35及び4個の遊技効果ランプ38兼用の基板35fが配設されている。また、一対のランプ風車24、25の位置には、2個の丸形の遊技効果ランプ24r、25rを各ランプ風車軸の両側にそれぞれ備えた略円形状の基板24f、25fが配設されている。また、一対のサイドランプ50、51の位置には、3個の丸形の遊技効果ランプ50r、51rを縦列にそれぞれ備えた略縦帯状のサイドランプ基板50f、51fが配設されている。
【0063】
また、左上入賞口19の位置には、1個の丸形の遊技効果ランプ19rを略中心に備えた略V字状の左上入賞口基板19fが、右上入賞口20の位置には、1個の丸形の遊技効果ランプ20rを略中心に備えた略V字状の右上入賞口基板20fが、それぞれ配設されている。また、左下入賞口21の位置には、1個の丸形の遊技効果ランプ21rを略中心に備えた略U字状の左下入賞口基板21fが、右下入賞口22の位置には、1個の丸形の遊技効果ランプ22rを略中心に備えた略U字状の右下入賞口基板22fが、それぞれ配設されている。さらに、第一種始動口(普通電動役物)17の位置には、2個の丸形の遊技効果ランプ17rを並列に備えた略コ字状の第一種始動口(普通電動役物)基板17fが配設されている。
【0064】
次に、本実施例の遊技盤10の裏面側の遊技球経路及びスイッチ等の配設について図4を参照して説明する。遊技盤10の中央部には、略横楕円形状のセンター役物取付用貫設孔28hが設けられ、このセンター役物取付貫設孔28hの左右斜め上側には、円形状のランプ風車取付用貫設孔24h、25hが、左右側方には、略だるま形状の左上入賞口取付用貫設孔19h及び右上入賞口取付用貫設孔20hが、左右斜め下側には、略楕円形状の左下入賞口取付用貫設孔21h及び右下入賞口取付用貫設孔22hが、中央直下には、略逆円錐台形状の第一種始動口取付用貫設孔17hが、それぞれ設けられている。また、左上入賞口取付用貫設孔19h及び右上入賞口取付用貫設孔20hのそれぞれの外側には、縦長孔状のサイドランプ取付用貫設孔50h、51hが設けられている。さらに、第一種始動口取付用貫設孔17hの下側には、略逆台形状の変動入賞装置取付用貫設孔18hが設けられている。
【0065】
また、第一種始動口(普通電動役物)17の裏側には、第一種始動口(普通電動役物)ソレノイド52が配設され、その内部には、上述したように、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sが配設されている。左、右普通図柄作動通過口36、37の内部には、上述したように、普通図柄作動通過口通過検知スイッチ36s、37sがそれぞれ配設されている。さらに、変動入賞装置18に形成された大入賞装置30には、左右に分かれて、開閉板39を開閉するための大入賞口ソレノイド45と、特定領域開閉シャッターを作動させるための開閉シャッターソレノイド40とがそれぞれ配設され、大入賞口44の左右端側の特定領域外領域内、特定領域内にもそれぞれ、カウント通過検知スイッチ53とカウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54とが配設されている。なお、上述したように、左入球口42及び右入球口43の内部にもそれぞれ、左入球口通過検知スイッチ42s、右入球口通過検知スイッチ43sが配設されている。
【0066】
さらに、遊技盤10の裏面側には、後述する機構盤100において、左上入賞口19、左下入賞口21、第一種始動口(普通電動役物)17及び左入球口42を接続した左セーフ球集合樋55と、右上入賞口20、右下入賞口22及び右入球口43を接続した右セーフ球集合樋56とが接続されている。また、アウト口46の裏側から漏斗状にアウト球集合樋58が配設されている。
【0067】
次に、本実施例のパチンコ機1の裏面構造について図5を参照して説明する。前面枠4は中枠3にあって、前面枠4の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ101により、開閉可能に支持されている。機構盤102は中枠3にあって機構盤102の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ103により、開閉可能に支持されている。遊技盤10は中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられている。上端側にあるヒンジ101の配設位置からみて左側には、タンク球切れ検知スイッチ104をタンク底部に備えた賞球タンク105と、この賞球タンク105に接続されるタンクレール106とが取り付けられている。また、タンクレール106の右側には、球抜きレバー107が設けられ、その下流側には、補給球切れ検知センサ108が、さらに、その下流側には、賞球払出装置109(賞球払出機構)が配設されている。
【0068】
続いて、遊技球の振り分け部110が賞球払出装置109の下流側に設けられている。タンクレール106の下流側には、特別図柄表示装置16における液晶表示盤29を格納した蓋付きの裏ケース111が、この裏ケース111の下側には、後述する主制御部140(図16参照)が形成される主制御基板340を格納した主制御基板ケース112がそれぞれ設けられている。主制御基板ケース112の左側には、発射装置制御基板(図示略)を格納した発射装置制御基板ケース113、タッチ感度調整つまみ114、球飛び強弱調整つまみ115及び発射制御集合中継基板116が設けられている。
【0069】
機構盤102の左下方部には、上述した発射装置ユニット8が、同じく右下方部には、補給球詰まり、下皿部満タン、主電源電圧異常、発射停止、主制御基板通信異常、賞球モータ異常などを7セグメントLEDで表示する枠状態表示器117を備えた枠制御基板ケース118が設けられている。ここに、枠制御部150(図16参照:第一周辺制御基部)が形成される枠制御基板350(第一周辺制御基板)が格納される。また、特別図柄表示装置16の液晶表示盤29の作動制御を行う、特別図柄制御部160(図16参照:第二周辺制御部)が形成される特別図柄制御基板360(第二周辺制御基板)、各種ランプ類の制御を統括して行う、ランプ制御部170(図16参照:第三周辺制御部)が形成されるランプ制御基板370(第三周辺制御基板)、スピーカ400からの音声出力制御を司る音声制御部180(図16参照:第四周辺制御部)が形成されるランプ音声基板380(第三周辺制御基板)もそれぞれ取り付けられている。
【0070】
一方、機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121及び大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。また、外部からの電力の供給を受けるための主電源ケーブル123も端子基板122の下側に配設されている。枠制御基板を格納した枠制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
【0071】
次に、本実施例のパチンコ機1の裏機構盤100について、上記と重複する部分はあるが、図6を参照して説明する。裏機構盤100の上部には、タンク球切れ検知スイッチ104をタンク底部に備えた賞球タンク105と、この賞球タンク105に接続されるタンクレール106とが取り付けられている。また、タンクレール106の中間位置には、補給球切れ検知スイッチ108が、さらに、その下流側には、賞球払出装置109が配設されている。続いて、遊技球の振り分け部110が賞球払出装置109の下流側に設けられている。タンクレール106の下流側には、下皿部満タンスイッチ127が設けられ、ガイドレール131は、裏機構盤100の略中央下端部に設けられた下皿部用球通路部材126に連通している。また、裏機構盤100の右下部にはアンプ基板128が取り付けられ、その外側にはリセットスイッチ129が設けられている。
【0072】
次に、本実施例のパチンコ機1のセーフ球の流下経路について図7〜図9を参照して説明する。図7に示すように、前記左セーフ球集合樋55及び前記右セーフ球集合樋56はそれぞれその下端部分が、なだらかな下向勾配あるいは階段形状に形成されたセーフ球の流下経路を有し、さらにそれらの下部がそれぞれ開口状態とされて、アウト口46の裏側から漏斗状に配設されたアウト球集合樋58にそれぞれ連通されている。図8には、右セーフ球集合樋56の下端に階段状に区画形成された通路57上を、右上入賞口20、右下入賞口22及び右入球口43に入球したセーフ球が転動しながらアウト球集合樋58へ流下している形態を表している。また、図9には、アウト球集合樋58に形成された通路57上をセーフ球が流下している形態を表している。
【0073】
次に、本実施例のパチンコ機1の賞球払出装置109について、図10〜図14を参照して説明する。図10に示すように、賞球払出装置109は、ガイドレール223上を流下される賞球を受け止め、この賞球を1個宛払い出すカム210と、このカム210のカム軸211を駆動させるモータ212と、このカム軸211にカム210と並列して取り付けられ、複数のスリットが形成された回転円板213と、この回転円板213に近接して配置され、カム210の回転角を検知する賞球払出センサ214と、この賞球払出センサ214が取り付けられている賞球払出装置センサ基板215と、これらの部品を格納するケース本体217とそのケース蓋216とから構成されている。
【0074】
本実施例において前記カム210は、カム軸211と直交する方向に凸部210aが所定角度間隔、例えば90度毎に4個設けられており、図12(c)に示すように、賞球は各凸部210a間に形成される凹所内に一旦乗せられ、カム軸211が90度回転されるとき、カム210の凸部210a間の凹所内の賞球が払い出されることになる。本実施例においては賞球の払出能力を高めるため、図11に示すように、ガイドレール223に隔壁を設けて賞球を流下させる2列の球通路218を並列状態に配置している。したがって、カム軸211には、払い出すべき賞球を受け止め、この賞球を1個宛払い出すために2個のカム210が、カム軸211と直交する方向に取付角度を変えて(本実施例では90度)、並列状態で取り付けられている。
【0075】
各球通路218は、図12、図13に示すように、カム軸211の手前において蛇行状態に形成されており、これによって形成された球通路218の突起部219とカム210との間隔において、1個宛の賞球の払い出しを規制している。本実施例においてカム軸211には、上述したように、並列して2個のカム210が取付角度を変えて取り付けられているので、カム軸211が90度回転されれば、各球通路218においてそれぞれ1個、合計2個の賞球が、またカム軸211が1回転されれば、それぞれ4個、合計8個の賞球が払い出されることになる。
【0076】
モータ212は払い出すべき賞球に応じて駆動され、この駆動に基づいてカム軸211は回転制御される。このカム軸211の回転数は、賞球払出センサ214において、その回転円板213に所定角度間隔(例えば45度)毎に形成されたスリット位置を光電的に検知することによって求められる。求められた回転数はモータ212にフィードバックされるとともに、上述したように、賞球の払出数としてカウントされる。例えば、15球の賞球払出であれば、図13(a)に示す一方の球通路218においては斜線を付した7個の賞球が、また図13(b)に示す他方の球通路218においては斜線を付した8個の賞球がそれぞれ、払い出しの対象となり、カム軸211は1回転と7/8だけ回転し、このとき賞球払出センサ214はスリットを15回カウントしている。カム軸211の回転後、図14(a)に示す一方の球通路218においては7個の賞球が払い出され、次に払い出される賞球はカム210の凸部と球通路218の突起部219との間隔において規制されている。また、図14(b)に示す他方の球通路218においては8個の賞球が払い出され、次に払い出される賞球はカム210の凸部210a間に形成される凹所内に乗せられる(図12も参照)。
【0077】
なお、賞球払出センサ214としては、上述のようなスリットを光電的に検知する態様のほか、図15(a)に示すように、回転円板213の円周上に溝220を設け、この溝220を近接スイッチ221によって非接触状態で検知したり、あるいは図15(b)に示すように、溝220をマイクロスイッチ222によって接触状態で検知することも可能である。また、カム軸211の回転を検知す方式に代えて、払い出される賞球を、賞球通路に設けられたリミットスイッチ、近接センサあるいは光電管等で直接検知することも可能である。
【0078】
次に、本実施例のパチンコ機1の電子制御装置130について、図16を参照して説明する。まず、電子制御装置130は、主制御部140と、共通信号伝送経路である共有バス500により、その主制御部140に直列的に接続された枠制御部150、特別図柄制御部160、ランプ制御部170及び音声制御部180とを含んで構成されている。主制御部以外の4つの制御部150,160,170,180は前述の通り、第一〜第四の周辺制御部をなすものである。
【0079】
主制御部140は、CPU141と、RAM142と、ROM143と、入出力ポート144とをバス145により相互に接続したものである。そして、CPU141はROM143に格納された制御プログラムにより、RAM142をワークエリアとしてパチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司る。また、ROM143に記憶された当否判定プログラムにより、CPU141が主体となって第1種始動口の入賞検知スイッチ17sからの信号に基づき当否判断制御を行う。また、入出力ポート144には前記した共有バス500が接続され、後述する通り入出力ポート144からその共有バス500へ、各周辺制御部150,160,170,180へ処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを送信する。なお、主制御部140から各周辺制御部150,160,170,180へは、一方向形式でデータが伝送される。また、該主制御部140には、電源ターミナル基板121が接続されている。なお、主制御部140は、それ自体が遊技者の賞球獲得上の利害に関与する第一種作動部となっていることは明らかである。
【0080】
中継基板200には、右普通図柄作動通過口通過検知スイッチ37s、左普通図柄作動通過口通過検知スイッチ36s、カウント検知スイッチ53、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54、左入球口通過検知スイッチ42s、右入球口通過検知スイッチ43s等が接続され、中継基板200の出力端子は、入出力ポート144と接続されている。また、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sも、入出力ポート144に接続されている。また、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ202、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れスイッチ108等は枠用端子基板200aに接続され、その出入力端子が枠制御部150に接続されている。
【0081】
枠制御部150は、主制御部140と同様の演算回路構成要素151〜155を含んで構成され、入出力ポート154において共有バス500に接続されている。また、入出力ポート154には、普通図柄表示装置基板31f、役物作動を司る各種ソレノイド40,45、賞球払出装置109、発射装置制御基板201等が接続されている。なお、枠制御部150と普通図柄表示装置基板31f(及びこれに接続される普通図柄表示装置31)、役物作動を司る各種ソレノイド45、52、賞球払出装置109、発射装置制御基板201(及びこれに接続される発射装置)等は受動制御部を構成する。また、RAM152は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与する制御情報を記憶する第一種制御情報記憶手段をなす。
【0082】
特別図柄制御部160は、主制御部140と同様の演算回路構成要素161〜165を含んで構成され、入出力ポート164において共有バス500に接続されている。入出力ポート164には、液晶表示盤29が接続されている。
【0083】
ランプ制御部170は、主制御部140と同様の演算回路構成要素171〜175を含んで構成され、入出力ポート174において共有バス500に接続されている。入出力ポート174には、枠飾りランプ基板4g、各種ランプ基板17f、20f、21f、22f、24f、25f、50f、51f、各種LED基板4d、4f、35fが接続されている。これら各基板にランプあるいはLEDが1又は複数個接続される。本実施例では遊技機の正面にランプ及びLED(以下、これらを総称する場合は単にランプといい、符号410により代表させる)が例えば32個配置してある(これには、図1の遊技制御ランプ601〜604も含まれる)。これらランプのうちの幾つかは、複数個のランプを常に同時に点灯し消灯するものであるが、ここではこれらの複数個からなるランプの組を夫々1個とみなす。これら32個のランプはゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。なお、ランプ制御部170とこれに接続される各種基板類(ひいてはランプ等)は、いずれも遊技者の賞球獲得上の利害に関与しない第二種作動部となっている。
【0084】
音声制御部180は、主制御部140と同様の演算回路構成要素181〜185を含んで構成され、入出力ポート184において共有バス500に接続されている。入出力ポート184には、サウンドジェネレーター203、音量スイッチ基板12が接続されている。サウンドジェネレーター203は、図示しないLSI等に格納された音声データと音声出力モジュールとに基づいて、これに接続されたスピーカ400より、ゲームの進行に対応した各種の音声出力を行う。音量スイッチ基板12は、図示しない音量スイッチの操作に伴い、サウンドジェネレーター203に対して出力音量の設定を行うものである。なお、音声制御部180とこれに接続されるサウンドジェネレーター203等は、いずれも遊技者の賞球獲得上の利害に関与しない第二種作動部となっている。なお、上記以外にも、前記の発射装置制御基板上に形成される発射装置制御部等が周辺制御部に該当する。
【0085】
次に、賞球動作は、以下の順序で実行される。主制御部140は、遊技球がカウント検知スイッチ53またはカウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54を通過したら15個の賞球個数データを、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sを通過したら6個の賞球個数データを、それ以外の場合、例えば、左右入球口42、43の通過検知スイッチ42s、43sの通過を検知した場合などにおいては、10個の賞球個数データを、枠制御部150に対してその検知順に、枠制御部150を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信する(すなわち、固有賞球数はここでは、6個、10個あるいは15個である)。その送信形態については後に詳しく説明する。枠制御部150は、主制御部140からの賞球個数データを受け取り、賞球払出信号の送信により賞球払出装置109を作動させる。
【0086】
また、主制御部140は、上述の各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを作成する。例えば、主制御部140は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、カウント検知スイッチ53、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、遊技が行われていない客待ちの状態、遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)、始動口入賞があった状態、及び、特別遊技状態なども判断する。また、始動口入賞が検知されると乱数値に基づいて当否判定が行われ、その判定結果に基づいて特別図柄の変動、または確定などの表示態様制御のためのデータが作成される。このデータは、特別図柄制御部160を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信される。
【0087】
さらに、枠飾りランプ基板4g等の各種ランプやサウンドジェネレーター203は、特別図柄制御部160の制御による特別図柄の変動・停止表示態様、リーチ発生の有無、リーチ表示態様(全回転、コマ送り、逆進、図柄の拡大・縮小など)、特別遊技態様、及び、遊技モード(確率変動、時短など)等に応じてその態様は制御される。その制御指令の指令信号は、ランプ制御部170あるいは音声制御部180を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信される。
【0088】
次に、主制御部140と特別図柄制御部160とにより実行される各種ジョブのうち、主要なジョブについて以下に説明する。まず、主制御部140により実行されるメインジョブについて図17を参照して説明する。これは、主制御部140のROM143に格納されたプログラムに基づき、CPU141により実行されるものである。すなわち、スタックポインタをRAM142の所定のアドレスに設定した後(S10)、初期化終了の判定が行われる(S20)。初期化が終了していれば(S20:YES)、LEDジョブ(S30)からスイッチジョブ(S70)までのジョブが実行される。また、初期化が終了していなければ(S20:NO)、初期化ジョブ(190)が実行される。
【0089】
LEDジョブ(S30)においては、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データや、特別図柄未始動回数の表示態様データなどが出力される。等速乱数ジョブ(S40)では、RAM142の特別図柄当否判定乱数メモリや汎用カウントメモリ(図示略)などが更新される。非等速乱数更新処理(S50)では、外れ普通図柄決定乱数メモリ(図示略)が更新される。なお、汎用カウントメモリ(図示略)は、ユーザーリセットごとの「0」〜「255」の値の作成や、コマンドジョブ、飾りジョブの実行などに使用される。また、音楽作成ジョブ(S60)では、音楽や音声に関するデータの作成が行われ、スイッチジョブ(S70)では、各種検知スイッチの読み込みが行われる。すなわち、発射停止検知信号、タッチ検知信号、ヴォリューム検知信号、カウント検知信号、特定領域通過検知信号、普通図柄作動通過口通過検知信号、左右入球口通過検知信号などの各種信号が中継基板200を介して主制御部140に取り込まれ、また、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sから第一種始動口入賞検知信号が取り込まれる。
【0090】
さらに、カウント検知スイッチ53またはカウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54に異常があるか否かが判定され(S80)、異常がなければ(S80:YES)、特別図柄メインジョブ(S90)から音声ジョブ(S110)までのジョブが実行される。また、異常(球詰まりや断線など)があれば(S80:NO)、エラージョブ(S130)が実行される。
【0091】
特別図柄メインジョブ(S90)においては、主制御部140と特別図柄制御部160とが協調して動作するために必要なデータに関するジョブが実行される。このジョブについては後述する。また、普通図柄メインジョブ(S100)では、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データの作成が行われる。音声ジョブ(S110)では、遊技状態に応じた音声のデータが出力される。
【0092】
この後、再び、カウント検知スイッチ53またはカウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54に異常があるか否かが判定され(S120)、異常がなければ(S120:YES)、各フラグ状態がバックアップメモリにセットされ(S140)、賞球信号ジョブ(S150)、情報信号ジョブ(S160)、コマンドジョブ(S170)、及び残余時間ジョブ(S180)が実行される。各種スイッチに異常がある場合には(S120:NO)、エラージョブ(S130)が実行される。
【0093】
賞球信号ジョブ(S150)においては、賞球払い出しに関するデータの作成や出力が行われ、情報信号ジョブ(S160)では、他の制御部への情報出力に必要なデータの作成が行われる。さらに、コマンドジョブ(S170)では、特別図柄管理のためのコマンドの入出力が行われ、残余時間ジョブ(S180)では、非等速乱数の呼出しや、汎用乱数メモリ(図示略)の更新が行われる。
【0094】
次に、上記メインジョブの一連の流れの中で実行される、賞球総数記憶ジョブの流れを図18を参照して説明する。S200において各入賞口に入賞球があったか否かを確認し、肯定判断(YES)であれば、S210において入賞した入賞口の賞球払出個数が15個用か否かを判断する。肯定判断(YES)であれば、S220に進んで残球数カウンタに賞球個数として「15」を加算し、S270へスキップする。また、S210において否定判断(NO)であれば、S230に進み、入賞した入賞口の賞球払出個数が6個用か否かを判断する。肯定判断(YES)であれば、S240に進んで残球数カウンタに賞球個数として「6」を加算し、S270へスキップする。さらに、S230において否定判断(NO)であれば、S250に進み、入賞した入賞口の賞球払出個数が10個用か否かを判断する。肯定判断(YES)であれば、S260に進んで残球数カウンタに賞球個数として「10」を加算する。
【0095】
次いで、S270において、賞球個数信号を主制御部140側から枠制御部150側へ送信する。なお、S200、あるいはS250において、否定判断(NO)であれば、S280へスキップする。S280に進んで、賞球払出装置109において賞球が賞球払出センサ214により検出されたか否かを確認する。肯定判断(YES)であれば、S290に進んで、主制御部140の残球数カウンタから「1」だけ減算する。
【0096】
次に、上記メインジョブの一連の流れの中で実行される、賞球個数データ記憶ジョブの好適な態様について説明する。通常、パチンコ機1の電子制御装置130においては、各入賞口に入球すると入賞球検知部から出力される入賞球検知信号に対応して払い出す所定数の賞球個数を主制御部140内で一旦記憶し、これを枠制御150部側へ送信していた。このため、主制御部140側においては入賞した順に該当する賞球個数を或程度記憶するバッファが必要となる。このとき、記憶容量の最低単位として1バイト(8ビット)の記憶容量を用いて、各入賞口に対応した所定数の賞球個数データが入賞した順に、その都度一時的に記憶され、枠制御部において賞球が払い出される毎に1バイト(8ビット)の記憶容量が解放されることになる。
【0097】
各入賞口に入球した入賞球の入賞順が、例えば、6個払い入賞→15個払い入賞→15個払い入賞→6個払い入賞→6個払い入賞の場合、図22に示すように、払い出すべき賞球個数の記憶が順次積み立てられていく。また、枠制御部150側においては、賞球個数が記憶された順に賞球の払い出しが行われる。バッファ内に記憶される賞球個数と賞球の払い出しに伴って解放される記憶容量が、バランス良く処理されていれば、バッファの記憶容量が不足することはないが、入賞口に入球する入賞球の頻度が高くなった場合、例えば、大入賞口44が所定時間(例えば、約30秒)又は所定個数(例えば、10個)の遊技球が入球するまで開放される場合など、記憶すべき賞球個数データ量が多くなってバッファの記憶容量が不足する事態が発生することになる。
【0098】
以下に、大入賞口44に入賞した場合を想定して、具体的な数値に基づいて必要とされるバッファの記憶容量を求める。遊技球の発射間隔を、例えば0.6秒/1回、1ラウンドを8秒(10カウント+2秒のインターバル)とすれば、大当り中の時間は16ラウンドの場合で128秒となる。一方、賞球の払い出し速度を15個賞球の払い出しで1秒/1回として、128個分の賞球の払い出しが可能となる。大当り中の賞球数は、160個(16ラウンド×10個)であるので、大当り終了時、32個(160個−128個)の賞球分がバッファの記憶容量として必要となる。ただし、この計算は正常に賞球が払い出された場合を想定しており、実際には、球切れ、球詰まり、球貸し処理等で、賞球の払い出しが遅れる可能性もあり、さらに多くのバッファが必要となる。
【0099】
しかしながら、主制御部140の作業領域が合計256バイト程度の場合、現状のメインプログラム用に作業領域を確保する必要上、この作業領域以外を緩衝域としてのバッファに供出する領域は、30〜50バイト程度の範囲に限られている。したがって、各入賞口への入賞順に賞球の払い出しを行えば、上述した方法ではバッファのオーバーフローが頻繁に発生すると思われる。
【0100】
そこで、バッファ内において記憶される記憶容量の最低単位が1バイトであるという概念を払拭し、賞球個数データの記憶手段として予め設定した2ビット単位を記憶容量の最低単位として用い、限られた緩衝域の記憶容量を大幅に増加した状態で使用させれば、記憶すべき賞球個数データ量が一時的に増加しても記憶容量の不足とならない。すなわち、2ビットを払い出すべき賞球個数データとすることによって、バッファ内の記憶容量を4倍に拡張して使用できることになる。この2ビットを記憶容量の最低単位とした場合には、所定数の賞球個数データを2ビットによって表すことになる。例えば、払出賞球個数が6個であれば「01b」、払出賞球個数が10個であれば「10b」、払出賞球個数が15個であれば「11b」、入賞なしの場合であれば「00b」となる。
【0101】
例えば、各入賞口に入球した入賞球の入賞順が、上述と同様、6個払い入賞→15個払い入賞→15個払い入賞→6個払い入賞→6個払い入賞であれば、バッファの記憶容量としては10ビットで済むことになる。図23には、これら入賞球の入賞順を時系列に示しており、この時系列にて示した態様は、図19に示す賞球個数データ記憶ジョブの好適な実施例を模式的に表すものである。すなわち、賞球の払い出し個数はバッファ内に2ビット単位で記憶され、次の払出個数データを記憶する毎に左へシフトされる。このシフトされたビット列は8ビット(1バイト)毎に桁上がりされて蓄積されることになる。
【0102】
バッファの記憶容量としては、上述したように緩衝域として供出し得る領域が40バイトをほぼ上限とされているので、バッファ0〜49となり、最大200個(50バイト×8ビット/2ビット)の賞球個数データを書き込むことができる。図24(a)、(b)は、図20に示す賞球個数データ記憶取出しジョブの流れを模式的に示している。図24(a)は記憶時の様子を表すもので、賞球個数データが、すでに記憶されている賞球個数データのメモリシフトを行うことなく、データ列の先頭側に順次付け加わる形で上述した入賞球の入賞順に記憶されてゆく。
【0103】
一方、図24(b)は記憶取出時の様子を表すもので、先頭の(すなわち、最も古い)賞球個数データが、常にバッファ0の先頭位置(すなわち、オフセット0=0、オフセット1=0)にて取り出され、その2ビット取り出し後の残るビット列は、2ビット単位で右詰めにメモリシフトされる。これにより、入賞順位の賞球個数データ(「11」:15個払い入賞)がバッファ0の記憶取り出し位置に移り、再び2ビット単位で払い出すべき賞球個数の情報が隙間なく配列した形となる。なお、このようにビット列を2ビット毎に転送する方式に代えて、バッファ内に記憶領域を別途設定し、この領域へ残るビット列を一旦退避させ、これをブロック毎転送することも可能である。
【0104】
以下、図23及び図24の具体的な処理の流れを、図19を参照して説明する。なお、この賞球個数データ記憶ジョブ及び図20に示す賞球個数データ記憶取出しジョブの説明中のオフセットは下記のことを意味する。主制御部140において、RAM141中の、メインプログラム用に確保された作業領域以外の領域を緩衝域とし、この緩衝域に記憶バッファを割り当てる(あるいは、RAM141とは別に、バッファメモリを設けてもよい)。この記憶バッファは、図21に示すように、1バイト(8ビット)毎に0〜49の記憶容量で構成され、この記憶バッファのビット列中のメモリセルの配列方向をオフセット0とし、また、ビット列の配列方向をオフセット1として、マトリックス状のオフセットテーブルとして表している。記憶容量の最低単位を2ビットとすれば、オフセット0は「0」〜「3」で表される。オフセットカウンタは、データの書き込まれている先頭の次の空きになっているセル位置をオフセット番号となるようにルーチンが組まれている。
【0105】
まず、図19のS700において賞球個数信号を受信したか否かを確認し、肯定判断(YES)であれば、S710に進む。S710に進みオフセット1の値は「50」か否かを確認する。すなわち、オフセット1の値が記憶バッファ0〜49の領域外であるか否かを確認して、否定判断(NO)であれば、S720へ進む。また、肯定判断(YES)であれば、記憶バッファ0〜49の全てに書き込みがあると判断され、その入賞賞球は無効となり、スキップする。S720において、記憶バッファ0のアドレスにオフセット1の値を加算し記憶バッファ0〜49のいずれかを選択し、データを書き込みたい記憶バッファのアドレスを選択する。
【0106】
続くS730において、選択した記憶バッファにオフセット0の値を加算し、記憶a〜dのいずれかのエリアを選択する。続くS740において、賞球個数信号は「15」か否かを確認し、肯定判断(YES)であればS750に進み、選択したエリアに「03h」をセットする。すなわち、選択した記憶エリアに、賞球個数信号「15」に対応するデータ「03h」を書き込む。S760において、オフセット0の値に「1」を加算し、続くS770においてオフセット0の値は「4」以上か否かを確認し、肯定判断(YES)であれば、S780に進む。S780において、オフセット0に「0」をセットしオフセット1に「1」を加算する。すなわち、記憶バッファの桁上げを行う。
【0107】
なお、S740において否定判断(NO)であれば、S790に進んで賞球個数信号は「6」か否かを確認する。肯定判断(YES)であればS800に進み、選択したエリアに「01h」をセットし、S760へスキップする。すなわち、選択した記憶エリアに、賞球個数信号「6」に対応するデータ「01h」(16進数、2進数の「01b」に相当)を書き込む。また、否定判断(NO)であれば、S810に進む。S810において賞球個数信号は「10」か否かを確認し、肯定判断(YES)であればS820に進み、選択したエリアに「02h」をセットし、S820へスキップする。すなわち、選択した記憶エリアに、賞球個数信号「10」に対応するデータ「02h」(16進数、2進数の「10b」に相当)を書き込む。
【0108】
また、賞球個数データ記憶取出しジョブは、図20のようになる。S900において記憶バッファ0の値は「0」か否かを確認し、否定判断(NO)であれば、S910に進む。S910において、記憶バッファ0の記憶aの値を取得し、続くS920において、記憶バッファ49〜0の順に値を2ビット右シフトする。S930に進んで、オフセット0の値は「0」か否かを確認する。すなわち、オフセットカウンタを参照することによってオフセット番号のセル位置、すなわちオフセットポインタの位置を求めるとともに、そのオフセットポインタの位置が記憶バッファの先頭か否かを確認する。肯定判断(YES)であれば、S940に進み、オフセット1を「1」減算する。すなわち、データの書き込みがある先頭のセル位置へ戻るため、記憶バッファの桁下げを行う。S950に進み、オフセット0に「3」をセットし、桁下げした記憶バッファの先頭セル位置にオフセットポインタを移動させる。なお、S930において否定判断(NO)であれば、S960に進み、データの書き込みがある先頭のセル位置へ戻るため、オフセット0を「1」減算する。
【0109】
次に、賞球個数データ記憶ジョブは、上記と逆の態様、すなわち図27に示すように、記憶時にメモリシフトを行って、データ列の先頭に空白のメモリセルを作り、常に同じメモリセル位置にて新規データの書込みを行う一方、図28に示すように、記憶取出時は、先頭側のものから順にメモリセル位置を後退させながらデータ読出しを行う態様としてもよい。この流れを図25及び図26のフローチャートを参照して説明する。S300において賞球個数信号を受信したか否かを確認し、肯定判断(YES)であれば、S310に進む。S310において、オフセット0の値は「0」か否かを確認する。すなわち、オフセットカウンタを参照することによってオフセット番号(データの書き込まれている先頭の次)のセル位置を求める。オフセットテーブルの先頭列の縦方向(記憶バッファ0〜49にわたって)のセル位置がデータの空き領域となっているか否かを確認して、否定判断(NO)であれば(書き込みがあれば)S320に進み、オフセット0の値は「3」か否かを確認する。すなわち、オフセットテーブルのビット列の最後尾(第4番目)の縦方向(記憶バッファ0〜49にわたって)のセル位置が空き領域であるか否かを確認して、肯定判断(YES)であればS330に進む。
【0110】
S330において、オフセット1に「1」を加算し、オフセット0の値をクリアする。すなわち、オフセット1の桁上げを行い、オフセット0の「3」の値をクリアすることになる。続くS340において、記憶バッファ0〜記憶バッファ49を左に2ビットシフトする。これにより、記憶バッファ0の先頭列に書き込み領域を設ける。S350において、賞球個数信号は「15」か否かを確認し、肯定判断(YES)であればS360に進み、記憶バッファ0と「03h」とを論理和する。すなわち、記憶バッファ0の先頭列の書き込み領域に、賞球個数信号「15」に対応するデータ「03h」(16進数表示:2進数の「11b」に相当)を書き込む。また、否定判断(NO)であれば、S370に進む。
【0111】
S370において賞球個数信号が「6」か否かを確認し、肯定判断(YES)であればS380に進み、記憶バッファ0と「01h」とを論理和する。すなわち、記憶バッファ0の先頭列の書き込み領域に、賞球個数信号「6」に対応するデータ「01h」(16進数表示:2進数の「01b」に相当)を書き込む。また、否定判断(NO)であれば、S390に進む。
【0112】
S390において賞球個数信号は「10」か否かを確認し、肯定判断(YES)であればS400に進み、記憶バッファ0と「02h」とを論理和する。すなわち、記憶バッファ0の先頭列の書き込み領域に、賞球個数信号「10」に対応するデータ「02h」(16進数表示:2進数の「10b」に相当)を書き込む。
【0113】
なお、S310において肯定判断(YES)であれば(すなわち、記憶バッファ先頭のセル位置が空き領域でなければ)、S410に進みオフセット1の値は「50」か否かを確認する。すなわち、オフセット1の値が記憶バッファ0〜49の領域外であるか否かを確認して、否定判断(NO)であれば、S420へ進む。また、肯定判断(YES)であれば、記憶バッファ0〜49の全てに書き込みがあると判断され、その入賞賞球は無効となりスキップする。また、S320において否定判断(NO)であれば記憶バッファの先頭のセル位置が空き領域であることを意味するから、S420においてオフセット0の値に「1」を加算し、次のセルにオフセットポインタを設定する。
【0114】
また、賞球個数データ記憶取出しジョブの流れは図26のようになる。S500において記憶バッファ0の値は「0」か否かを確認し、肯定判断(YES)であれば、S510に進む。S510において、オフセット0の値は「0」か否かを確認する。すなわち、オフセットカウンタを参照することによってオフセット番号(データの書き込まれている先頭の次)のセル位置を求める。まず、オフセット0の値が「0」か否かを確認し、否定判断(NO)であればS520に進み、オフセット1を「1」減算する。すなわち、データの書き込みがある先頭のセル位置へ戻るため、記憶バッファの桁下げを行う。そして、S530に進み、オフセット0に「3」をセットして、桁下げした記憶バッファの最後尾(第4番目)のセル位置にオフセットポインタを設定する。
【0115】
S540に進んで、記憶バッファ0のアドレスにオフセット1の値を加算し、記憶バッファ0〜49のいずれかを選択し、その中の記憶データを取得する。すなわち、読み出すべきデータのある記憶バッファのアドレスに戻って記憶データを取得する。S550において、オフセット0は「0」か否かを確認して、肯定判断(YES)であれば、S560に進んで対応する記憶データの記憶値a(図21参照)を取得し、続くS570にて該当する記憶領域を「0」にクリアする。また、S550にて否定判断(NO)であれば、S580に進んで、オフセット0は「1」か否かを確認して、肯定判断(YES)であれば、S590に進んで対応する記憶データの記憶bを取得し、S570へスキップする。S580において否定判断(NO)であれば、S600に進んで、オフセット0は「2」か否かを確認して、肯定判断(YES)であれば、S610に進んで対応する記憶データの記憶cを取得し、S570へスキップする。また、否定判断(NO)であれば、S620に進んで対応する記憶データの記憶dを取得し、S570へスキップする。
【0116】
なお、S510において否定判断(NO)であれば、S630に進み、データの書き込みがある先頭のセル位置へ戻るため、オフセット0を「1」減算する。
【0117】
以下、共有バス500を介した、主制御部140から、各周辺制御部150,160,170,180への指令信号の送信形態について、遊技機1の作動の流れと関連付けて詳しく説明する。例えば、遊技機1の電源が入っている状態で発射ハンドル9に遊技者が触れていないときは、音声の出力はなく、図1の遊技効果ランプ601,604と遊技効果ランプ602,603とが交互に点灯、消灯を繰返している(この点灯パターンを点灯パターン1という)。この時はモード2なる指令信号が主制御部140からランプ制御部170(第三周辺制御部)に送信される。
【0118】
遊技者が発射ハンドル9に手を触れると、発射ハンドル9に装着されているタッチスイッチ9bが働き、その信号が周辺制御部の1つである発射装置制御部へ送信される。発射ハンドル9のレバーを回して遊技を始めると、回転量に応じた信号が発射装置制御部へ送信される。発射装置制御部はこれを受けて発射装置を作動させ、その槌により球が打撃されて遊技領域へ打ち込まれる。
【0119】
発射された遊技球が始動口17に入球すると、入賞検知スイッチ17s(図4)により、遊技球が始動口17に入球したことが検出され、その検出信号が主制御部140に送信される。主制御部140に組み込まれているCPU141はその検出信号を受けて乱数取得を行い、それにより取得した数値が所定の条件に合うか否か(すなわち、当選の有無)を判定し、その判定結果に基づいたコマンドデータを各周辺制御基板150,160,170,180へ、共有バス500により送信する。
【0120】
なお、主制御部140から複数の周辺制御部150,160,170,180へのコマンドデータ(指令信号)は、主制御基板340上に設けられるとともに共有バス(共通信号伝送経路)500の基端部を形成する単一のコネクタ341から出力される。他方、周辺制御基板350,360,370,380上には、主制御部340又は共有バス500上にて自身よりも上流側に配置される他の周辺制御部からの指令信号を受け入れる入力側コネクタ342と、その入力側コネクタ342で受け入れたコマンドデータを、自身よりも下流側の他の周辺制御部へ中継出力する出力側コネクタ343とが設けられている。そして、それらコネクタ342,343を介して周辺制御部150,160,170,180が共有バス500に接続されている。これによれば、いわゆるデイジーチェーン接続と類似の原理により、主制御部140に対する共有バス(共通信号伝送経路)500を介した周辺制御部の接続を簡略に実現することが可能となる。そして、周辺制御部の個数の多寡に関わらず、主制御基板には少なくとも1個のコネクタ341を、周辺制御基板には少なくとも2個のコネクタ342,343を配置することにより、コマンドデータを主制御部140からすべての周辺制御部150,160,170,180へ同一バスにより送信することができ、例えばバス指定のための煩瑣な処理が不要になるとともに、周辺制御部(基板)数の増減を伴う遊技機の設計変更にも極めて簡単に対応できる。
【0121】
なお、図29(b)に示す例では、各コネクタ341,342,343は、バスケーブル500e側の第一コネクタ要素(例えばピンプラグ)341a,342a,343aと、これらにそれぞれ係合する基板側の第二コネクタ要素(例えばピンソケット)341b,342b,343bとからなり、第一コネクタ要素を両端に形成したバスケーブル500eにより、各第二コネクタ要素を接続するようにしている。他方、図29(c)に示す例では、基板片側のコネクタ342を基板と分離不能なターミナル342cにより、バスケーブル500eを基板と一体化して基板ユニットとした例を示している。また、図29(e)では、複数の第一コネクタ要素341c,342c,343cを備えたバスケーブル500fにより、基板側の第二コネクタ要素341e,342e,343eを接続する例を示している。
【0122】
ここで、周辺制御部150,160,170,180毎に、指令すべき動作内容(あるいは処理内容)は異なるわけであるから、指令信号も各周辺制御部に対し、互いに異なる指令信号を個別に送信しなければならない。そして、それら複数の指令信号が共有バス(共通信号伝送経路)500を介して送信できるよう、指令信号の内容には以下のような工夫がなされている。すなわち、図30は、指令信号を8ビットのコマンドデータ信号にてパラレル送信する場合の例を示している(なお、本実施例ではデータ信号に関し、閾電圧との大小によりH(High)及びL(Low)の信号レベルを設定したときに、Lレベルをアクティブ(「1」)、Hレベルをノンアクティブ(「0」)として定めている)。この8ビットのデータの特定の2ビット、ここでは上位の2ビットが、周辺制御部を特定するための周辺制御部特定情報として機能している。この例では、「00b」がランプ制御部170、「01b」が枠制御部150、「10b」が音声制御部180、「11b」が特別図柄制御部160を特定するものとして定められている。
【0123】
始動口17への入賞の場合、枠制御部150が分担する動作は前述の通り6個賞球の払出しであるから、図30において、コマンドデータとして固有賞球数データ、すなわちモードq1:「01000001b」(41h)が出力される。このデータは供給バス500を介して全ての周辺制御部に分配されるが、各周辺制御部では、そのデータの前記した特定ビットである上位2ビットをチェックし、その内容が自身に対応するものであった場合に限りそのデータを取り込む一方、自身に対応しないものであった場合は、例えばこれを無視するように処理が行われる。前記のモードq1のデータは、上位2ビットが「01b」であるから、枠制御部150のみが該データの取込みを行う。
【0124】
例えば、図29(a)に示すように、各周辺制御基板上の共有バス500aから分岐バス500bを用いて信号を制御部に導く場合は、共有バス500a上はデータの流れが遮断されることなく、いわば垂れ流しの状態となる。そして、周辺制御部は、そのCPUが、分岐バス500bの接続されるデータ入出力端子を書込み可能状態に設定することで、共有バス500a上のデータが取り込まれることとなる。一方、周辺制御部において、コマンドデータが自身に対応しないものであった場合も、該データの取込みのみは行い、何もせずに共有バス500を介して下流側の周辺制御部に転送するようにしてもよい。この場合は、図29(d)のように、周辺制御部への入力側のバス500cと、出力側のバス500dとを別ポートとしておく。
【0125】
なお、各周辺制御部において、主制御部140からの受信コマンドデータの上位2ビットが、自身を特定するものでるか否かの特定は、各々がROM(図16:153,163,173,183)に記憶した参照ビットパターンとの照合により、周辺制御部のCPUが主体となるソフトウェア処理にて行うことができる。すなわち、周辺制御部特定情報となるビットの存在により、指令信号たるコマンドデータと、そのコマンドデータの取込み先となる周辺制御部との間には、一義的な対応関係が形成されている。
【0126】
特定のビットを周辺制御部特定用に使用することで、周辺制御部のCPUにおける照合処理を簡略化できること、コマンドデータの種別が特定ビットの参照により特定できるので、検定やデバッグを行う際にも有利である等の利点が生ずる。また、後述するように、主制御部140による周辺制御部の選択をストローブ信号の送信により行うこともできるのであるが、この場合、図32に示すように、上記特定ビットを入力として使用し、これが予め定められた組み合わせの場合にのみストローブ信号を出力するストローブ信号生成回路503を設けておくことで、周辺制御部の選択をハード的に行うことも可能である。なお、図32は枠制御部150における例を示し、共有バス500のビット7の出力がそのまま入力され、ビット6の出力が反転入力される2入力AND回路501を用いることにより、上位2ビットが「01b」の場合にのみストローブ信号STBが出力されるように構成している。
【0127】
なお、固有賞球数データは前述の通り下位2ビットにより固有賞球数を特定するものであり、図23等に示すように、記憶バッファへの8ビットパラレル入力を前提とすれば、先に格納されている固有賞球数データと干渉しないよう、下位2ビット以外のビットが全て「0」になっている必要がある。この場合、受けたコマンドデータの上位2ビットを、ソフトウェア処理(あるいは等価な処理結果が得られるハードウェア処理でもよい)により強制的に「00b」としてから、記憶バッファに取り込むようにすればよい。
【0128】
図29に戻り、主制御部140は、特別図柄制御部160用、ランプ制御基板170用及び音声制御部180用にも、それぞれ所定のモードのコマンドデータ(指令信号)を送信する。ランプ制御部170へは、図30においてモード1〜nのいずれか、例えば所定の点灯パターンを表すモード3なるコマンドデータを送信する。コマンドの上位2ビットが「00b」であるから、複数の周辺制御部のうちランプ制御部170のみがこのコマンドデータを取り込み、対応する点灯パターン制御の処理を行なう。引き続き、音声制御部180へは、図30においてモードm1〜mnのいずれか、すなわち特定の音声パターンを表す例えばモードm3なるコマンドデータを送信する。上位2ビットが「10b」であるから、複数の周辺制御部のうち音声制御部180のみがこのコマンドデータを取り込み、対応する音声パターンをスピーカ400から出力させる処理を行なう。さらに、特別図柄制御部160へは、図30においてモードp1〜pnのいずれか、すなわち特定の特別図柄変動パターンを表す例えばモードp2なるコマンドデータを送信する。上位2ビットが「11b」であるから、複数の周辺制御部のうち特別図柄制御部160のみがこのコマンドデータを取り込み、対応する特別図柄変動パターンを液晶表示板29に出力される処理を行なう。
【0129】
なお、上記の実施例では、周辺制御部特定のためのビットは上位2ビット(7,6)であるが、この形式に限られることはなく、他のビットを周辺制御部特定用として設定してもよいし、5個以上の周辺制御基板へ指示を出力するときには3つ以上のビットを周辺制御部特定用として設定すればよく、また、特定のモード毎に特定の周辺制御基板へのコマンドデータを定めるようにしてもよい。具体的には、図31に示すように、受信コマンドデータの全体(全ビット)を参照用コマンドデータ(ビットパターン)と照合して、上記の特定を行うようにしてもよい。この場合は、例えば、同一のコマンドデータが複数の周辺制御部に割りふられないようにしておくことで、周辺制御部特定専用のビットを定める必要はなくなる。
【0130】
また、上記の実施例では8ビットパラレル送信としているが、この場合、全ての周辺制御基板への1回の発信で情報量が最大256通りに限られるため、送信する情報量を多く必要とするときは、1コマンドでの発信回数を複数回とするパラレル・シリアル方式としてもよく、例えば、1コマンド当り2回の発信で送信することにより256×256種類(16ビット幅と等価)の発信をすることができ、送信する情報量を飛躍的に増加することもできる。
【0131】
また、図33(a)に示すように、コマンドデータを所定ビット数のパルス列にて構成することで、シリアル方式のコマンドデータ送信を行うことができる(つまり、1ビット幅のシリアル)。この場合、各制御部のコマンドデータの入出力ポートとしてシリアルポートが使用され、共有バス500もシリアルバスを使用する。この方式は、共有バスを構成する信号線の数を大幅に減少することができるほか、データビット長の設計変更にも極めて容易に対応できる利点がある。この場合、コマンドデータとしては、図33(b)に示すように、開始識別部をデータの先頭に付与することにより、データパルス列の先頭を識別できるようにしておく。そして、データの本体は、周辺制御部特定部(例えば、前記したパラレル方式と同じ2ビット)と、コマンド部(前記したパラレル方式と同じ6ビットでもよいが、さらに多くしてもよい)とを含むものとしておく。なお、データパルス列の終わりは終了識別部により識別させることができるが、データ長を一定とすることで終了識別部は省略できる。
【0132】
なお、図33の実施例では、周辺制御部特定部は単一の周辺制御部のみを指定するものとしていたが、図34に示すように、複数の周辺制御部を指定できるようにしてもよい。この場合、指定された複数の周辺制御部にて同じコマンド(以下、共通コマンドという)がそれぞれ取り込まれるが、同一であるのはコマンドの記述内容だけであり、対応する処理は周辺制御部毎に異なる。このようにすることで、共通コマンドにて指定されるそれら複数の周辺制御部の処理を互いに連動させること(例えば同期させること)が可能となる。例えば、図34では、ランプ制御部と音声制御部とで、共通コマンドに対して点灯パターン内容と音声パターン内容とが互いに対応付けられた形で設定されており、例えば周辺制御部特定部によりランプ制御部と音声制御部とを指定して、ある共通コマンドを送信すると、これがランプ制御部と音声制御部とに取り込まれ、対応する点灯パターンと音声パターンとを同期的に実行させることが可能となる。
【0133】
次に、図35(a)は、主制御部140からの共通バス500(共通信号伝送経路)に対し、コマンドデータ(指令信号)の信号線とは別系統の信号線からなる周辺制御部選択信号線を組み入れた例を示している。各周辺制御部150,160,170,180は、共通バス500中の周辺制御部選択信号線の出力を参照し、これが自身を指定するものであった場合にのみコマンドデータの取込みを行う。
【0134】
周辺制御部選択信号線としては、図35(b)に示すように、例えば主制御部140からのアドレスバスの信号線のうち、必要なビット数を分岐させて共有バス500に組入れることができるが、データバス及びアドレスバス以外の信号線系統を、周辺制御部選択用に別途形成してもよい。なお、主制御部140は、アドレスバスを構成する信号線(例えば16ビット)のうち、共通バス500に組み入れられるアドレス線の出力を、後述する図37のように、選択すべき周辺制御部を特定するものとなるように設定する。他方、他のアドレス線については、共通バス500へのデータ送信を行う場合には、周辺制御部150,160,170,180に割りふられたアドレス空間が選択されるよう、固定的に出力設定されることとなる。
【0135】
図36は、この場合の共有バスの構成例を示すものであり、データ信号として8ビットパラレル・1バイト信号を発信し、周辺制御部選択用信号は2ビットのアドレス信号とした。2ビットの信号により、4個の周辺制御部を選択可能となり、周辺制御部の数が8個あるいはそれを超える場合は3ないし4ビットとする等、周辺制御部の数量に応じて適切なビット数とすればよい。すなわち、3ビット、4ビット、5ビット、6ビット、7ビット、8ビットで各々8個、16個、32個、64個、128個、256個の基板を指定できる。なお、送信すべきデータ量が大きい場合はデータバス幅を8ビットから16ビットあるいは32ビット等に変更したり、1コマンドに発信する回数を増加したパラレル・シリアル方式を用いればよい。
【0136】
なお、この方式の場合、図35の方式と比較して、少なくとも周辺制御部選択信号を組み入れる分だけ共有バス500の幅は増加する。例えば、共有バス500の接続コネクタのピン数は、図36では、コマンドデータ8ビット、周辺制御部選択信号2ビット、さらに別目的で使用されるストローブ信号1ビット、接地線1ビットの計12ピンとなっている。それ以外は、基本的に図35と同じコネクタ341〜343が使用できる。
【0137】
図37は、ランプ制御部170、音声制御部180及び特別図柄制御部160をそれぞれ選択するるモード及び周辺制御部選択信号の組み合わせの例を示している。また、図38は、ランプ制御部170が選択された場合の、各作動指令のモードと対応するコマンドデータの内容例を示す。ここでは、図30と異なり、8ビットのデータ幅をフルに利用してコマンドデータを送信できるから、実質的に送信できる情報量を増やすことが可能となっている。
【0138】
次に、図39は、周辺制御部を個別のストローブ信号により選択する、さらに別の例を示している。ここでは、主制御部140(のCPU141)に対し、コマンドデータ(指令信号)の出力ポート回路510と、ストローブ信号生成回路512(ストローブ信号発生手段)とが接続されている。なお、これらの回路510,512のデバイスアドレスは、CPU141のアドレス空間に組み入れられ、CPU141のアドレス端子から、選択すべきデバイスのアドレスが出力されるとともに、これがアドレスデコード回路511に入力され、入力されたアドレスに対応するデバイスを選択するための選択信号が出力される。
【0139】
コマンドデータ出力ポート回路510には、CPU141からの、例えば8ビットデータバスとして構成された共有バス500が入力側に接続される一方、出力側からは、共有バス500から分岐する分岐バス500kが、それぞれ個別のドライバーIC513(ただし、ICの代わりに個別部品で構成した回路としてもよい)を経て、各周辺制御部の入力ポート515につながる形で延びている。一方、ストローブ信号生成回路512の入力側には、共有バス500からの別の分岐バス500jが接続され、出力側からは、該回路512にて生成されたストローブ信号の信号線550が、ドライバーIC513を経て各周辺制御部の入力ポート515につながる形で延びている。
【0140】
上記図39の回路は以下のように作動する。CPU141は、コマンドデータの送信先となる周辺制御部を決定するために、まず、ストローブ信号生成回路512を選択する。すなわち、ストローブ信号生成回路512のデバイスアドレスがCPU141から出力され、アドレスデコード回路511ではこのデバイスアドレスの信号入力を元にストローブ信号生成回路512の選択信号を作り、対応する端子から出力する。アドレスデコード回路511は周知の通り、論理IC群あるいはPLD(Programmable Logic Device)にて構成され、アドレス信号を入力として、予め定められたシーケンスにより論理演算を行い、入力アドレスに応じた選択信号を、選択可能なデバイスに一対一に対応して形成された出力ポートから個別出力するものである。
【0141】
ストローブ信号生成回路512が選択されたら、続いてCPU141は、データ端子からコマンドデータ(特定ビット(例えば上位の2ビット)が周辺制御部の種別を反映した情報となっている必要がある)、あるいはコマンドデータとは別の周辺制御部選択用のデータ(以下、両者を総称して選択用データという)を出力する。ストローブ信号生成回路512は、アドレスデコード回路511と同様に、論理IC群あるいはPLDにて構成され、選択用データを入力として、予め定められたシーケンスにより論理演算を行い、入力データ内容に応じて、対応する周辺制御部への出力ポートからストローブ信号を出力するものである。ストローブ信号の出力ポートは、アサートエッジが表れるように、ストローブ信号出力に伴いノンアクティブ(この実施例ではHレベル:ハイインピーダンス(オープン)ではない)からアクティブ(この実施例ではLレベル)に切り替わものとなるようにしておく。こうしてストローブ信号生成回路512は、選択用データを受けることにより、対応する周辺制御部へドライバーIC513を介してストローブ信号を送信する。周辺制御部のCPUは、受けたストローブ信号のアサートエッジを検出し、コマンドデータの受け入れ待機状態となる。
【0142】
次に、主制御部140のCPU141は、コマンドデータ出力ポート回路510のデバイスアドレスを出力する。アドレスデコード回路511ではこのデバイスアドレスの信号入力を元に、コマンドデータ出力ポート回路510の選択信号を作り、対応するポートから出力する。こうしてコマンドデータ出力ポート回路510が選択されたら、続いてCPU141は、データ端子からコマンドデータを出力する。このコマンドデータは、分岐バス500kによりドライバーIC513を介して全ての周辺制御部に送信・分配されるが、複数の周辺制御部のうち、先にストローブ信号を受けているもののみが、このコマンドデータを取り込こととなる。
【0143】
この方式によれば、例えば周辺制御部に個別にコマンドデータを送信する方式と比べて次の利点がある。すなわち、個別送信の場合、主制御部側では周辺制御部の全てが選択対象デバイスとなるため、アドレスデコード回路の出力ポート数は周辺制御部の数だけ必要となる。例えば図39のように周辺制御部が8個存在すると、8個のデバイスを選択・決定し、個別のポートに選択信号を出力するロジックが必要となる。その結果、デバイス選択信号を作るための論理回路構成が急速に複雑化する。しかしながら、上記の構成では、周辺制御部の数に関係なく、CPU141の選択するデバイス数は、コマンドデータ出力ポート回路510とストローブ信号生成回路512との2つに削減されるので、アドレスデコード回路の構成を大幅に簡略化することが可能となる。
【0144】
上記の実施例においては、図29によれば、賞球獲得上の利害に関係ない制御対象の組(補助制御対象の組)が、各種ランプやLED群からなるランプ410(後述するランプ制御回路とともにランプ点灯機構を形成する)と、音声出力機構(図16のサウンドジェネレータ203と、これに接続されたスピーカ400)との、少なくとも2つ存在している。そして、これら補助制御対象の組についても、それぞれ個別にCPUを有する周辺制御部(170,180)が形成されていた。各周辺制御部が例えば独立した基板の形で配置されていれば、各基板毎に容易に外観検査や機能検査ができる利点がある。
【0145】
一方、最近はCPUの性能向上に伴い、一つのCPUで各種の役割をも果たせることができるようになってきている。また、遊技機においても各種の機能を付加するようになり、遊技機に取付ける電機部品が数多くなってきている。従って、ある程度似通っている機能や遊技者にとり、賞球獲得上の有利・不利を直接もたらさない機能については、これを一つの制御部に統合することが好ましいともいえる(遊技者にとり直接有利・不利をもたらさない部品であれば、不正行為の対象になることもない、ということもある)。
【0146】
具体例を図40に示す。ここでは、ランプ制御部と音制御部とを、CPU391を制御指令主体とする単一の周辺制御基板390に統合している。なお、図16では表れていないが、ランプ410の直接的な作動制御は、基板390上に搭載されたランプ制御回路409(ランプ制御用手段)が、CPU391からの指示を受けてハードウェアシーケンスにより司る。図40では、このランプ制御回路409が基板390上に搭載されている。また、スピーカ400は音声制御回路203(音声制御用手段)に接続されているが、この音声制御回路203は前述のサウンドジェネレータであり、これも基板390上に搭載されている。通常ランプ制御と音声制御は機種毎に変更されることが多く、この両者を同一基板に載せることにより機種変更に対して適切に対応できるようになる。また、遊技者にとり、これらの機能は興趣の盛り上げ等には関係するが、実利に関しては殆ど何らの関与もしていないため不正に改造されることもなく、さらに、この両者の制御に対応できる性能の汎用CPUの使用により、コストダウンの効果も図ることができる。
【0147】
最後に、上記のように複数の周辺制御部が設けられる遊技機の電源系統の望ましい構成態様について説明する。すなわち、図41に示す例では、遊技機の各部への電力供給系統が、遊技球が特定の入賞口に入球又は通過ゲートを通過したことに基づき行われる遊技の進行を主宰する主動制御部を含む第一種作動部、ここでは主制御基板340に電力供給する第一電力供給系610と、前記主動制御部からの指令信号を受けて処理動作する受動制御部の一部又は全てを含む、主動制御部以外の制御部である第二種作動部、例えば枠制御基板350、特別図柄制御基板360、ランプ制御基板370及び音声制御基板380(ないしそのその周辺)に電力供給する第二電力供給系620との少なくとも2つに区分されている。ここで、前記主動制御部は、遊技球が特定の入賞口に入球又は通過ゲート通過したことに基づき行われる遊技の進行を司るCPU、及びそのCPUを作動させるプログラムを記憶するROMや、そのプログラムのワークエリアとしての機能のほか前記遊技の進行状況等を一時的に記憶するRAM等から構成されたものであり、前記主制御部140は概ねこれに該当するものである。他方、前記周辺制御部150〜180は概ね受動制御部に該当する。そして、第一電力供給系610への電力投入状態を維持しつつ、第二電力供給系620の電力遮断が可能となるように構成されている。なお、いずれの電力供給系も主電源600(例えばAC24V)から直接、又は必要に応じて設けられた降圧回路により降圧された形にて受電する。なお、主電源600は、外部交流電源(例えばAC100V)からの交流入力を受けて、これを所定電圧出力に変換する公知の電源回路にて構成される。
【0148】
具体的には、第一電力供給系610に向かう第一電力供給路611と、第二電力供給系620に向かう第二電力供給路621との各基端位置に、それら電力供給系610,620への電力供給を独立にオン・オフする第一及び第二の電源スイッチ601,602が設けられている。これにより、第一電力供給系610(すなわち、第一種作動部)と第二電力供給系620(すなわち、第二種作動部)とを互いに独立に電源遮断できるようになる。
【0149】
すなわち、ゲームの進行状態について遊技者にとり利益のある状態が電源を切断することにより取り消されてしまうことになる基板、即ち、ゲームの進行状態について遊技者にとり利益のある情報を記憶する手段を有する基板(=第1種作動部)の電源をONとしたまま、第1種作動部以外の電気装置の電源を切って点検、修理、交換等を行なうことができるようになる。従来は全電源をオフにして、電気装置の点検、部品の交換をすることが多く、その度に、高確率中とか時短中等の遊技者にとり利益のある状態が解消されてしまい、遊技者に大きな不利益をもたらしてしまっていた。しかし、上記の構成では、遊技機の第二の電源スイッチ602をオフとして第二電力供給系620への電力を遮断しても、第一の電源スイッチ601をオフとしない限り第一電力供給系610(第一種作動部)は受電状態であり、この状態で第二電力供給系620(第二種作動部)の電気装置の点検、修理、交換等を行なうことができる。なお、実際上、第一種作動部に係わる主制御部140や枠制御部150、あるいは、賞球払出装置109等が故障することは殆どなく、故障を起こすのは第一種作動部以外の部品であり、これらの点検、修理の機会は多く、現実上の効果は大きなものである。
【0150】
一方、図42に示すように、第一電力供給系610に向かう第一電力供給路611に、第一電力供給系610への電力供給をオン・オフする第一の電源スイッチ601を設ける一方、第一電力供給路611から分岐して第二電力供給系620に向かう第二電力供給路621に、第一の電源スイッチ601よりも下流側において、第二電力供給系620への電力供給をオン・オフする第二の電源スイッチ602設ける構成とすることもできる。これによっても、第一種作動部の作動継続を確保しつつ、第二種作動部のみ電源遮断する目的を同様に達成することができる。ただし、この場合、第一の電源スイッチ601をオフにすれば、第一電力供給系610とともに第二電力供給系620も電力供給が遮断される。さらに、図43に示すように、遊技機の電力供給系統を、3以上のスイッチにより、第一種作動部と第二種作動部とにまたがらない形でさらに細分化することもできる。ここでは、各制御基板340,350,360,370,380毎に、対応するスイッチ603により、電力供給を独立にオン・オフできるようにしている。
【符号の説明】
【0151】
1 パチンコ機(遊技機)
140 主制御部
141 CPU(主制御部側制御指令主体)
150 枠制御部(周辺制御部)
151 CPU(周辺制御部側制御指令主体)
160 特別図柄制御部(周辺制御部)
161 CPU(周辺制御部側制御指令主体)
170 ランプ制御部(周辺制御部)
171 CPU(周辺制御部側制御指令主体)
180 音声制御部(周辺制御部)
181 CPU(周辺制御部側制御指令主体)
203 音声制御回路(音声制御用手段)
340 主制御基板
350 枠制御基板(周辺制御基板)
360 特別図柄制御基板(周辺制御基板)
370 ランプ制御基板(周辺制御基板)
380 音声制御基板(周辺制御基板)
409 ランプ制御回路(ランプ制御用手段)
500 共有バス(共通信号伝送経路)
512 ストローブ信号生成回路(ストローブ信号発生手段)
610 第一電力供給系
620 第二電力供給系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の基本進行制御を司る主制御部と、その主制御部からの指令信号を受けることにより対応する処理動作を行う複数の周辺制御部とを備えた遊技機であって、
遊技者の賞球獲得上の利害に関与しない制御対象である補助制御対象の組が2以上存在し、各補助制御対象の組の作動制御を司る補助制御手段を1つの周辺制御部に対応して2以上設けるとともに、それら2以上の補助制御手段を、該周辺制御部に設けられた共通の制御指令主体からの指令により制御作動させることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記補助制御対象は、遊技機に設けられたランプ点灯機構と音声出力機構とを含み、それらランプ点灯機構と音声出力機構との作動制御を司る、ランプ制御用手段と音声制御用手段とが、同一の周辺制御部に対応して設けられている請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2010−115512(P2010−115512A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15037(P2010−15037)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【分割の表示】特願平11−212805の分割
【原出願日】平成11年7月27日(1999.7.27)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】