説明

遊技機

【課題】 扉枠の撓みに関連して行われる不正行為を防止することのできる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機1は、外枠2と、該外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持された前面枠3とを備えている。前面枠3の前面側には、ガラス扉枠4が開閉自在に設けられている。前面枠3の後側には遊技盤が着脱可能に装着されている。ガラス扉枠4裏側の開閉軸側には、前面枠3に係止される留め金が設けられており、前面枠3には留め金が係止される箇所に留め金受部が設けられている。これにより、ガラス扉枠4の閉状態においては、留め金が留め金受部に係止されることにより、ガラス扉枠4の前方向への撓みが規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の遊技領域を有する遊技盤と、該遊技盤を覆うように開閉可能に軸支される扉枠とを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機の一種として、所定の遊技領域を有する遊技盤を備えたパチンコ機が知られている。このようなパチンコ機は、前記遊技盤を取付けるための前面枠や、遊技盤の前面側において前面枠に対し開閉可能に軸支されたガラス扉枠等を備えている。
【0003】
遊技盤には、可変入賞装置、作動チャッカー、可変表示装置等が配設されている。可変表示装置の表示部には、例えば複数の図柄より構成される複数の図柄列が表示され、これら図柄が各図柄列毎に可変表示される。また、可変入賞装置は、通常、遊技球が入賞できない状態又は入賞し難い状態になっている。
【0004】
作動チャッカーに対し遊技球が入賞すると、可変表示装置の表示部では図柄が可変表示される。そして、そこに確定された図柄の組合せが予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生し、可変入賞装置の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。従って、このような大当たり状態では、大入賞口に遊技球が入賞することに基づいて、遊技者に対し多数の景品球が払い出されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来では、ガラス扉枠を前方へ引っ張って撓ませることにより様々な不正行為が行われるおそれがあった。例えば、ガラス扉枠を撓ませることにより、作動チャッカー等とガラスとの間を広げ、遊技盤に設けられた釘等との関係上、遊技球を作動チャッカー等へ比較的入賞させやすくする不正行為が行われるおそれがあった。
【0006】
また、ガラス扉枠を撓ませることにより生じた隙間から針金等をパチンコ機内へ侵入させ、大当たり状態が発生していないにもかかわらず強制的に可変入賞装置を作動させ、多くの景品球を払い出させる不正行為が行われるおそれがあった。特に、上述した不正行為は、ガラス扉枠のロック機構が設けられていない側、すなわちガラス扉枠の軸支部側から行われるおそれが強い。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、扉枠の撓みに関連して行われる不正行為を防止することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0009】
手段1.前面枠と、前記前面枠に取付けられ、所定の遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技盤の前面側において前記前面枠に対し開閉可能に軸支される扉枠とを備えた遊技機であって、
前記扉枠の閉状態において、前記前面枠に係止される少なくとも1つの係止部材を前記扉枠の軸支部側の側縁部又はその近傍に設け、
前記扉枠の前方向への撓みを規制するようにしたことを特徴とする遊技機。
【0010】
上記手段1によれば、扉枠が閉じられた状態で前面枠に係止される係止部材が扉枠の軸支部側の側縁部又はその近傍に設けられていることにより、扉枠の前方向への撓みが規制される。このため、扉枠を前方向に引っ張っても、扉枠に設けられる例えばガラス等と遊技盤との間が広がりにくく、遊技盤面上における遊技媒体例えば遊技球等の挙動への影響が低減される。従って、扉枠を撓ませ、遊技媒体の挙動を変化させるような不正行為を防止することができる。また、扉枠を前方向に引っ張っても、扉枠と前面枠との間に針金等を侵入させる隙間が生じにくくなり、針金等を利用した不正行為を防止することができる。上記手段では、係止部材が扉枠の軸支部側の側縁部又はその近傍に設けられていることから、特に扉枠の軸支部側の撓みが規制され、軸支部側から針金等を侵入させることが困難な状況となっている。
【0011】
手段2.手段1において、前記係止部材は、前記扉枠の閉動作に伴って前記前面枠に係止され、
前記扉枠の開動作に伴って係止解除されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
【0012】
上記手段2によれば、扉枠の開閉動作に伴って、係止部材が係止されたり、係止解除されたりするため、係止部材を操作する機構を別途備える必要がない。結果として、遊技機の構造を複雑にすることなく、上記手段1の効果が奏される。
【0013】
手段3.手段2において、前記係止部材は、前記扉枠に対して略垂直に突出した突部を備えるとともに、
前記突部には、前記前面枠に係止される係止部が形成され、
前記前面枠には、前記突部が回動可能なように、前記突部の回動経路に沿って溝部が形成されるとともに、
前記溝部の開口部の一部を覆うように、前記係止部が係止される係止受部が設けられ、
前記突部が前記溝部に収容された状態で、前記係止部が前記係止受部に係止されるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【0014】
上記手段3によれば、扉枠に設けられた係止部材の突部を収容可能な溝部が前面枠に設けられていることにより、係止部材を設けたことにより起こり得る扉枠を閉めにくくなるような不具合の発生を抑えることができる。また、前記溝部が前記突部の回動経路に沿って形成されているため、前記突部の回動動作、引いては扉枠の開閉動作をスムーズに行うことができる。
【0015】
手段4.手段3において、前記係止部材は、前記扉枠とは別部材で構成され、前記扉枠に取付固定するための略平板状の基部を備え、
前記突部は前記基部から略垂直に突出するように一体形成されていることを特徴とする遊技機。
【0016】
上記手段4によれば、係止部材が扉枠と別部材で構成されているため、従来の扉枠に比較的簡単な加工を施すだけで、扉枠に係止部材を設けることができる。また、係止部材の材質を例えば金属のようなより硬質なものにして、係止部材の係止状態をより強固なものとすることができる。
【0017】
手段5.手段3又は手段4において、前記係止部は、前記突部の先端部から前記扉枠の外方向に向かって突出するように形成されていることを特徴する遊技機。
【0018】
上記手段5によれば、係止部が突部の先端部から扉枠の外方向に向かって突出するように形成されている。このため、突部の回動動作及び扉枠の開閉動作とともに、係止部を係止受部に係止させたり、係止解除させたりすることができる。また、係止部がより外側で前面枠に係止されることから、より一層不正行為を行いにくくしている。
【0019】
手段6.手段3乃至手段5のいずれかにおいて、前記係止受部は、前記前面枠とは別部材よりなる平板体によって構成され、前記溝部の開口部の一部を覆うように取付固定されていることを特徴とする遊技機。
【0020】
上記手段6によれば、係止受部が前面枠とは別部材で構成されているため、従来の前面枠に比較的簡単な加工を施すだけで、前面枠に係止部材を設けることができる。また、係止受部の材質を例えば金属のようなより硬質なものにして、係止部材の係止状態をより強固なものとすることができる。
【0021】
手段7.手段6において、前記係止受部は、前記突部の回動経路と重なる部分が切欠き状となった凹字形状であることを特徴とする遊技機。
【0022】
上記手段7によれば、突部の回動経路と重なる部分が切欠き状となった凹字形状であることから、係止受部の所定の強度を保ちつつ、前記突部の回動動作、ひいては扉枠の開閉動作に支障をきたすことを防止できる。
【0023】
手段8.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記係止部材は、前記扉枠の長手方向の中央部より下方に設けられていることを特徴する遊技機。
【0024】
上記手段8によれば、扉枠の長手方向の中央部より下方には比較的針金等を侵入させる隙間が生じやすい。また、扉枠の長手方向の中央部より下方に対応する遊技盤上においては遊技媒体が入賞する例えば作動チャッカー等が配設されている。その扉枠の長手方向の中央部より下方に係止部材が設けられていることから、より一層不正行為を行いにくくしている。
【0025】
手段9.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記扉枠は、前記遊技領域を視認可能とする窓部を有し、
前記係止部材は、前記窓部の下端位置に対応する高さ位置に設けられていることを特徴とする遊技機。
【0026】
上記手段9によれば、係止部材は、窓部の下端位置に対応する高さ位置に設けられている。係止部材をこの位置に設ければ、比較的針金等を侵入させやすい扉枠の側方下部付近に針金等を侵入させる隙間を生じさせにくくすることができる。結果として、針金等を利用した不正行為を防止することをできる。
【0027】
手段10.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記遊技機は、遊技媒体として遊技球を利用するものであって、
前記遊技盤面には、前記遊技球を入賞させる入賞装置が配設され、
前記係止部材は、前記入賞装置に対応する高さ位置に設けられていることを特徴とする遊技機。
【0028】
上記手段10によれば、係止部材は、遊技盤に配設された遊技球の入賞装置に対応する高さ位置に設けられている。係止部材をこの位置に設ければ、不正行為の対象となる入賞装置に近い部分に針金等を侵入させる隙間を生じさせにくくすることができる。結果として、針金等を利用した不正行為を防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の遊技機によれば、扉枠の撓みに関連して行われる不正行為を防止することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】ガラス扉枠を開放した状態における前面枠、遊技盤等を示す正面図である。
【図3】ガラス扉枠を示す背面図である。
【図4】留め金の取付部分を示すガラス扉枠の部分背面図である。
【図5】留め金受部の取付部分を示す前面枠の部分正面図である。
【図6】(a)はガラス扉枠の開状態における留め金の状態を示す図2及び図5のB−B線部分断面図であり、(b)はガラス扉枠の閉状態における留め金の状態を示す図1及び図7のA−A線部分断面図である。
【図7】留め金が留め金受部に係止された状態を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1,2に示すように、パチンコ機1は、外枠2と、該外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持された前面枠3とを備えている。外枠2は、パチンコ機1のベースとなる枠であり、板材により全体として矩形状に構成されている。尚、本実施の形態では、外枠2は木製であって、上下方向の長さは808mm、左右方向の長さは520mmとなっている(従来と同等サイズ)。また、前面枠3は合成樹脂、具体的にはポリカーボネート樹脂により構成されている。前面枠3の開閉軸線はパチンコ機1の正面からみて左側に上下に延びるように設定されている。尚、外枠2は樹脂により構成されていてもよく、あたかも外枠2及び前面枠3が一体物のように見えるよう構成されていてもよい。
【0033】
前面枠3の前面側には、扉枠としてのガラス扉枠4が開閉自在に設けられている。また、ガラス扉枠4の開閉軸線(軸支部)もパチンコ機1の正面からみて左側に上下に延びるように設定されている。詳しくは、ガラス扉枠4の背面図である図3に示すように、ガラス扉枠4の裏側から見て右側の上端部付近に回動軸91が設けられ、図2に示すように前面枠3の正面からみて左側の上端部付近には回動軸91が嵌め込まれる軸受部92が設けられている。また、軸受部92の下方には、上方に突出する突回動軸93が設けられ、ガラス扉枠4の下側面には、前記回動軸91の下方位置において、前記突回動軸93を嵌め込むための図示しない軸受凹部が設けられている。そして、突回動軸93を前記軸受凹部に嵌め込み、回動軸91を軸受部92に嵌め込むことによって、ガラス扉枠4が軸支され開閉可能となる。このように本実施の形態では、回動軸91と突回動軸93を結ぶ線がガラス扉枠4の開閉軸線として設定されている。
【0034】
また、ガラス扉枠4には、裏側から一対のガラス42が並行して取付けられている。ガラス扉枠4の左右方向の長さは、前面枠3とほぼ同等であり、該ガラス扉枠4によって前面枠3の下部を除くほとんどの部分が覆われるようになっている。
【0035】
前記前面枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、遊技盤5が着脱可能に装着されている。なお、遊技盤5は、その周縁部が前面枠3の裏側に当接した状態で取付けられており、図2では、遊技盤5の前面部の略中央部分だけが前面枠3の前面側に露出した状態となっている。この遊技盤5の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは451mmとなっている(従来と同等サイズ)。また、遊技盤5には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には、普通入賞チャッカー6、可変入賞装置7、作動チャッカー8、可変表示装置9、スルーチャッカー10等が配設されている。本実施の形態における可変表示装置9は、液晶表示部と、当該液晶表示部の周囲に配設されたセンターフレームと、液晶表示部における表示制御を実行するための表示制御基板とを備えている。
【0036】
可変表示装置9の液晶表示部には、例えば左図柄列、中図柄列及び右図柄列の3つの表示列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が各図柄列毎にスクロールされるように表示画面に可変表示されるようになっている。
【0037】
また、可変入賞装置7は、通常、遊技球Bが入賞できない状態又は入賞し難い状態になっている。より詳しくは、作動チャッカー8に対し遊技球Bが入賞することに基づいて、可変表示装置9の液晶表示部の図柄が可変表示される。そして、確定された図柄の組合せが予め設定した特定の図柄の組合せとなったこと、ここでは停止した図柄が特定の組み合わせであることを必要条件に特別遊技状態が発生し、可変入賞装置7の大入賞口が所定の開放状態となり(具体的には所定時間、所定回数だけ開く)、遊技球Bが入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。なお、周知のとおり、前記一般入賞口6、可変入賞装置7、作動チャッカー8に遊技球Bが入賞することに基づいて、後述する上受皿54(場合によっては下受皿53)に対し所定数の景品球が払い出されるようになっている。また、遊技盤5には、遊技球Bの落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0038】
さて、前記前面枠3は、外形が前記外枠2とほぼ同一形状をなす樹脂ベース11と、この樹脂ベース11の最内周側に位置し略円弧状をなすよう一体形成された内レール12と、主として図の左側の内レール12に対し所定間隔を隔てて前記樹脂ベース11に一体形成された外レール13とを備えている。これら内レール12及び外レール13は遊技球発射ハンドル52の回動操作に基づき発射装置から発射された遊技球Bを遊技盤5上部へ案内する発射路としての役割を主として果たすものである。従って、内レール12と外レール13とが並行する部分(向かって左側の部分)によって、誘導レールが構成されることとなる。
【0039】
前記内レール12の下端部付近において、遊技盤5には遊技球Bを導出するアウト口25が形成されている。そして、遊技盤5の下部に落下した遊技球Bの多くは、このアウト口25を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。
【0040】
このような構成の下、前面枠3の内周側の窓孔によって主として遊技領域の外延が確定されており、前面枠3に対し遊技盤5が装着された状態にあっては、内レール12及び外レール13が遊技盤5に当接又は近接した状態となる。そして、遊技球発射装置により発射された遊技球Bは、主として外レール13によって遊技盤5の上部へと案内される。
【0041】
次に、遊技領域について説明する。すなわち、本実施の形態では、遊技盤5の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール13の最上部地点から遊技盤5下部までの間の距離は462mm(従来品よりも75mm長い)、外レール13の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は449mm(従来品よりも65mm長い)となっている。また、内レール12の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は432mmとなっている。
【0042】
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機1の正面から見て、内レール12及び外レール13によって囲まれる領域のうち、内外レール12,13の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。
【0043】
さらに、本実施の形態では、遊技盤5面に対する遊技領域の面積の比率は約73%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤5の面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤5を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。
【0044】
また、パチンコ機1全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機1全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
【0045】
但し、本実施の形態においては、上記のように遊技領域を大きくする都合上、遊技領域が遊技盤5面の周縁に非常に近い位置まで占めている。その結果、内外レール12,13の誘導レール部分の一部が、遊技盤5よりも外にはみ出した格好となっている。
【0046】
ここで、ガラス扉枠4について説明する。ガラス扉枠4には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部41が形成されている。具体的には、前記窓部41は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、前記窓部41の上端(外レール13の最上部、遊技領域の上端)と、ガラス扉枠4の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は50mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べ、著しく短くなっている。なお、上記距離は、80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
【0047】
また、窓部41の左端と、ガラス扉枠4の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅)は、ガラス扉枠4自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。より詳しくは、図1及び図2を相互に比較すると明らかなように、ガラス扉枠4が閉じられた状態において、外レール13の左端部はもちろん、内レール12の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。即ち、誘導レールの一部が覆い隠される。このように遊技球Bが一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球Bが遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球Bが視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、ガラス扉枠4の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、外レール13の左端位置と外枠2の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール12の右端位置)と外枠2右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。また、図3に示すように、ガラス扉枠4には、その左右フレーム部分の裏側において、該ガラス扉枠4を補強するための例えば金属製の補強部材43,44が取付けられている。
【0048】
併せて、図1及び図2に示すように、ガラス扉枠4の存在していない前面枠3下部は、例えばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂よりなる下受皿ユニット51となっている。下受皿ユニット51の右下部からは、遊技球発射用ハンドル52が手前側に延設されている。また、下受皿ユニット51のほぼ中央部には球受皿としての景品球払出用の下受皿53が設けられている。
【0049】
これに対し、球受皿としての上受皿54はガラス扉枠4の下部フレームに一体的に設けられている。
【0050】
なお、本実施の形態においては、ガラス扉枠4の周囲(例えばコーナー部分や窓部41の周縁)に、各種ランプ、LED等の発光手段を備えた電飾部材が設けられている。これら電飾部材は、大当たり時や所定のリーチ時等の遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光手段の発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすようになっている。もちろん、これら電飾部材を、遊技盤5に設ける構成(コーナー飾りと称される電飾部材を遊技盤5のコーナー部等に配設する)としてもよいし、場合によっては前面枠3に設ける構成としてもよい。さらには、前後一対のガラス42間に配設する構成としてもよい。
【0051】
また、周知のとおり、前面枠3が外枠2に対し閉じられると自動的にロックがかかるようになっており、所定のキー操作が行われることによりロックが解除されるようになっている。同様に、ガラス扉枠4が前面枠3に対し閉じられると自動的にロックがかかり、別途のキー操作が行われることによりロックが解除されるようになっている。このようにロック及びロック解除を行うためのロック機構が前面枠3の右下部に設けられている。ロック機構には、鍵穴を有するキーシリンダ(解除キー)55、前面枠3及び外枠2間でのロック及び解除を行うための第1ロック機構、並びに、ガラス扉枠4及び前面枠3間でのロック及び解除を行うための第2ロック機構が含まれる。本実施の形態では、最も幅狭で、遊技領域の拡張を阻害する前面枠3の右中央部ではなく、比較的スペース的にもゆとりのある前面枠3の右下部に、キーシリンダ55をはじめとする上記ロック機構(特にキーシリンダ55)が配設されている。換言すれば、キーシリンダ55は、遊技領域の最大幅となる位置を避けて配置されている。
【0052】
このような構成により、遊技領域の拡張をより容易かつ確実に図ることができる。また、通常、キーシリンダを配設するための切り欠き又は穴をガラス扉枠4等に設ける必要があるのであるが、上記のような構成によれば、比較的強度の高い幅広な部分(右下部)にキーシリンダ用の切り欠き又は穴を設けるため、ガラス扉枠4等の右側部の強度低下を抑制することができる。
【0053】
もちろん、最も幅狭な部分以外であれば、上記以外の部位に設けてもよく、例えば、前面枠3の右上部に設けるような構成としてもよい。また、上記例では、第1ロック機構及び第2ロック機構をキーシリンダ55でともにロック状態を解除可能としたが、それぞれの解除のためのキーシリンダを別体で設けることとしてもよい。
【0054】
さらに、本実施の形態では、図3,4に示すように、前記ガラス扉枠4の裏側には、その開閉軸側の側縁部近傍において、ガラス扉枠4の撓みを規制するための係止部材としての留め金61が取付けられている。本実施の形態における留め金61は、前記補強部材44に対し取付けられており、その取付位置は前記窓部41の下端部付近に対応する高さ位置となっている。
【0055】
詳しくは、留め金61は、金属製であって、平板状をなす基部62と、基部62の下端部から略垂直に突出する平板状の突部としての突片63とにより構成されている。基部62には複数の孔64が形成され、補強部材44には各孔64に対応するように図示しない貫通孔が形成され、前面枠3には各孔64に対応するようにネジ孔(図示略)を有するボス状の取付部65が形成されている(図6参照)。そして、これら孔64、貫通孔、ネジ孔が位置合わせされた状態で、ネジ66が螺着されることで、留め金61は補強部材44、ひいては前面枠3に固定されている。従って、図6に示すように、留め金61は、ガラス扉枠4の開閉動作とともに、ガラス扉枠4の開閉軸Jを中心として回動するように構成されている。また、前記突片63の先端部には、ガラス扉枠4の閉時において外方向に向かって突出する係止部としての係止爪67が一体形成されている。
【0056】
一方、図5,6に示すように、前面枠3には、その開閉軸側において、前記突片63を受入可能な溝部81が設けられている。すなわち、溝部81の位置は、ガラス扉枠4の開閉動作とともに回動する留め金61の突片63に対応する位置となっており、ガラス扉枠4の閉状態においては、突片63が溝部81に収納された状態となり、また、溝部81はガラス扉枠4の開閉に支障をきたさないよう突片63の回動経路に沿って形成されている。
【0057】
溝部81の開口部には、前記係止爪67が係止される係止受部としての留め金受部71が取付られている。この留め金受部71は、金属製であって、前記突片63の回動経路と重なる部分が切欠き状となっており、全体として凹字形状をなしている。また、留め金受部71は、溝部81の前面枠3外側方向の端部に対して、溝部81の開口部の一部を覆うようにしてネジ79で固定されている。
【0058】
かかる構成の下、図6(a)に示すように、ガラス扉枠4の開状態においては、留め金61(突片63)が前面枠3の溝部81から抜け出した状態となる。また、この状態から、ガラス扉枠4を閉めていくと、留め金61は、ガラス扉枠4の開閉軸Jを中心として前面枠3方向に向かって回動する。そして、突片63の先端部及び係止爪67が前記溝部81内に挿入されていく。
【0059】
図6(b)に示すように、ガラス扉枠4が完全に閉じられた状態となると、突片63は溝部81内に収納された状態となり、かつ、係止爪67が留め金受部71の裏側に当接した状態となる。すなわち、係止爪67が遊技機1の前面方向に対して留め金受部71に係止された状態となる(図7参照)。
【0060】
以上詳述したように、ガラス扉枠4が閉じられた状態で前面枠3に係止される留め金61がガラス扉枠4の開閉軸側の側縁部に設けられていることにより、ガラス扉枠4の前方向への撓みが規制されるようになっている。このため、ガラス扉枠4を前面方向に引っ張ってもガラス扉枠4の撓みが抑制されることから、ガラス扉枠4を撓ませることにより、作動チャッカー8とガラス42との間を広げ、遊技球Bを作動チャッカー8へ入賞させやすくする不正行為を防止することができる。また、ガラス扉枠4と前面枠3との間に針金等を侵入させる隙間が生じにくくなり、針金等を利用した不正行為を防止することができる。特に、上述した効果は、本実施の形態のように、窓部41の領域を従来の遊技機に比べて大きくして、その周囲のフレーム部分の幅が短くなっているガラス扉枠4を採用した遊技機において、より効果的なものとなる。
【0061】
加えて、本実施の形態では、ガラス扉枠4の開閉に伴って、留め金61が前面枠3に係止されたり、係止解除されたりするため、留め金61を操作する機構を別途備える必要がない。つまり、パチンコ機1の構造を複雑にすることなく、比較的簡素な構造で上記効果が奏される。
【0062】
また、前面枠3には突片63の回動経路に沿って形成された溝部81が設けられていることから、ガラス扉枠4を閉める際に留め金61が邪魔とならず、ガラス扉枠4を閉めにくくなるといった不具合が発生しにくい。
【0063】
さらに、留め金61は、窓部41の下端位置に対応する高さ位置に設けられているため、不正行為の比較的行われやすいガラス扉枠4の側方下部付近に針金等を侵入させる隙間が生じにくい。そのため、可変入賞装置7の大入賞口を強制的に開放させるといった不正行為をより確実に防止することができる。
【0064】
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0065】
(a)上記実施の形態では、係止部材として金属製の留め金61が採用されているが、材質の異なるもの例えば硬質樹脂等の係止部材を採用してもよい。同様に、留め金受部71も金属製ではなく、他の材質のものを採用してもよい。また、留め金61、留め金受部71がそれぞれガラス扉枠4、前面枠3と一体形成された構成としてもよい。また、留め金61については、前記補強部材44と一体形成された構成としてもよい。
【0066】
(b)留め金61、留め金受部71をそれぞれガラス扉枠4、前面枠3の開閉軸側の複数箇所に設けるようにしてもよい。また、ガラス扉枠4の長手方向に沿って長尺状に形成された留め金を採用してもよい。このようにすれば、ガラス扉枠4の撓みを規制するのみならず、前記留め金が前面枠3に係止される比較的長い区間においては、ガラス扉枠4と前面枠3とに針金等の侵入を許容するような隙間が形成されず、より確実に不正行為を防止することができる。
【0067】
(c)留め金受部71の形状は、凹字形状に限られるものではなく、突片63の回動動作を妨げない限り、どのような形状のものでもよい。
【0068】
(d)上記実施の形態では、ガラス扉枠4にガラス42を取付けているが、所定の透明性を有していれば、ガラスに代えて樹脂板を採用してもよい。
【0069】
(e)上記実施の形態では、従来の遊技機に比べて、遊技領域及び窓部41の領域が大きくなったパチンコ機1に、本発明を適用している。これに限らず、従来のような遊技領域や窓部等を有するパチンコ機等の遊技機にも適用できる。また、本発明は、上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等の遊技機にも適用できる。従って、可変表示装置9等のないパチンコ機や、他の役物を備えたパチンコ機、アレパチと称されるアレンジパチンコ機、雀球と称されるパチンコ機等の遊技機にも応用できる。
【符号の説明】
【0070】
1…遊技機としてのパチンコ機、3…前面枠、4…ガラス扉枠、5…遊技盤、41…窓部、61…係止部材としての留め金、62…基部、63…突部としての突片、67…係止部としての係止爪、71…係止受部としての留め金受部、81…溝部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面枠と、前記前面枠に取付けられ、所定の遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技盤の前面側において前記前面枠に対し開閉可能に軸支される扉枠とを備えた遊技機であって、
前記扉枠の閉状態において、前記前面枠に係止される少なくとも1つの係止部材を前記扉枠の軸支部側の側縁部又はその近傍に設け、
前記扉枠の前方向への撓みを規制するようにしたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−139941(P2011−139941A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94867(P2011−94867)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【分割の表示】特願2001−287169(P2001−287169)の分割
【原出願日】平成13年9月20日(2001.9.20)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】