説明

遊技機

【課題】設定機能付きの遊技機において設定変更があったことを管理者が把握できるようにし、以って設定変更による不正の抑制につなげることのできる遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ遊技機10,10,…、回胴式遊技機20,20,…等の遊技機はホール管理装置40に接続されている。パチンコ遊技機10には確率設定スイッチ14が設けられ、回胴式遊技機20には確率設定スイッチ24が設けられている。ホール管理装置40は、各遊技機10,20、カードサンド30、その他防犯カメラや計数機等の遊技ホール内の各種機器からの検出信号によってそれぞれの稼動状況等を把握するとともに、各種機器へ制御信号を送信して当該機器を一定条件下でそれぞれ制御する。各遊技機10,20からホール管理装置40へは設定値信号が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技ホールには、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機が複数設置され、それら各遊技機は管理室に設置された遊技機管理装置によって集中管理されている。
【0003】
ここで、遊技機として、遊技に基づく遊技媒体の払出に影響を与える設定を複数段階に切り換えることができるようにした設定機能付きの遊技機が知られている。例えば、設定機能付きのパチンコ遊技機においては、大当たり確率等を複数段階に切り換えることのできる設定部が遊技機背面側に設けられ、設定部へのキー操作により大当たり確率等を低くし又は高くすることができる。また、スロットマシンにおいては、ビッグボーナスの成立確率等を複数段階に切り換えることのできる設定部が筐体内に設けられ、設定部へのキー操作によりビッグボーナス確率等を低くし又は高くすることができる。このように遊技機が有する設定機能により、遊技ホール内にある複数の遊技機において、遊技球や遊技コインの獲得期待値に抑揚を与えることができる。かかる設定変更は、遊技ホールにおける経営方針に従って行われる。
【0004】
ところが、不正にパチンコ遊技機が開放されて背面側の設定部にキー操作が行われたり、不正にスロットマシンの前面パネルが開放されて筐体内の設定部にキー操作が行われることにより、遊技機の設定変更がなされてしまうことがあった。かかる不正な設定変更が行われると、遊技球や遊技コインの獲得期待値に変化を与えることとなり、遊技ホールに多大な損害をもたらす結果となる。
【0005】
そこで、遊技機の不正な開放を防止し設定部へのキー操作が困難となるような工夫や、設定部のキーを特殊なものにする工夫などの遊技機自身の機械的な対策(例えば、特許文献1参照。)は行われているが、そのような対策を巧妙に掻い潜った不正の発生も報告されており、設定変更に関する不正対策は万全とは言えないのが現状である。
【0006】
また、低設定とされている遊技機を不正により一旦高設定に変更し、大量の遊技球・遊技コインを獲得した上で更に低設定に設定変更されたとすると、事後的に遊技機の設定状況を確認したとしても、その形跡が残らず、不正な設定変更によるものか偶発的に大量の遊技球・遊技コインが払い出されたのかが判然としない。そのため、不正な設定変更についてはその発見が容易でないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−146541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、設定機能付きの遊技機において設定変更があったことを管理者が把握できるようにし、以って設定変更による不正の抑制につなげることのできる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遊技の進行に伴い発生する各種状況を検出する各種の検出手段と、
遊技に基づく遊技媒体の獲得期待値に変化を与える設定を行う設定手段と
を備えた遊技機において、
前記各検出手段のうち少なくとも一部の検出手段による検出情報をその都度遊技機外部に出力する第1外部出力手段と、
前記設定手段により設定された設定状況を設定情報として記憶する設定情報記憶手段と、
該設定情報記憶手段に記憶された設定情報を前記第1外部出力手段の出力タイミングにあわせて遊技機外部に出力する第2外部出力手段と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設定機能付きの遊技機において設定変更があったことを管理者が把握できるようにし、以って設定変更による不正の抑制につなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施の形態における遊技ホール内の概略構成を示す説明図である。
【図2】パチンコ遊技機、回胴式遊技機及びホール管理装置の主要構成を示すブロック図である。
【図3】ホール管理装置の表示部に表示される管理情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、本実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0013】
手段1.遊技に基づく遊技媒体(遊技球、遊技コイン)の獲得期待値に変化を与える設定を行う設定手段(確率設定スイッチ14,24)を備えた遊技機において、
前記設定手段により設定された設定状況を設定情報として記憶する設定情報記憶手段(設定記憶部52,62)と、
該設定情報記憶手段に記憶された設定情報を遊技機外部に出力する外部出力手段(出力部55,65)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0014】
手段1によれば、設定手段により設定変更を行うことにより、遊技に基づく遊技媒体の獲得期待値に変化が生じ、遊技ホール全体として遊技媒体の獲得期待値に抑揚をもたせることが可能となる。ここで、設定手段による設定状況は設定情報記憶手段に設定情報として記憶され、その設定情報が遊技機外部の例えば遊技機管理装置に出力される。従って、遊技機管理装置等の外部管理側において設定変更がなされたことを確認することができ、以って不正な設定変更の発見が容易になるとともに当該不正な設定変更を抑制することができる。
【0015】
手段2.手段1において、前記外部出力手段は、所定間隔をおいて前記設定情報を出力するものであることを特徴とする遊技機。
【0016】
手段2によれば、所定間隔をおいて設定情報が外部出力されることから、設定変更時に1度だけ設定情報を出力する場合に比べ、不正な設定変更に対して有効となる。すなわち、例えば、設定変更時に1度だけ設定情報を出力することを前提とした場合においては、設定変更の際には外部出力端子を外す等の不正が同時になされていると、外部管理側では設定変更に関する情報が入ってこなくなる。一方、外部出力端子を外したままの状態では管理側において不審な状況と判別することができるので、設定変更後には外部出力端子を元に戻すことになる。そうすると、所定間隔をおいて設定情報が出力されることで、設定変更後においてその不正を発見できる。
【0017】
手段3.遊技の進行に伴い発生する各種状況を検出する各種の検出手段と、
遊技に基づく遊技媒体(遊技球、遊技コイン)の獲得期待値に変化を与える設定を行う設定手段(確率設定スイッチ14,24)と
を備えた遊技機において、
前記各検出手段のうち少なくとも一部の検出手段による検出情報をその都度遊技機外部に出力する第1外部出力手段(出力部55,65)と、
前記設定手段により設定された設定状況を設定情報として記憶する設定情報記憶手段(設定記憶部52,62)と、
該設定情報記憶手段に記憶された設定情報を前記第1外部出力手段の出力タイミングにあわせて遊技機外部に出力する第2外部出力手段(出力部55,65)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0018】
手段3によれば、設定手段により設定変更を行うことにより、遊技に基づく遊技媒体の獲得期待値に変化が生じ、遊技ホール全体として遊技媒体の獲得期待値に抑揚をもたせることが可能となる。ここで、設定手段による設定状況は設定情報記憶手段に設定情報として記憶され、その設定情報が遊技機外部の例えば遊技機管理装置に出力される。従って、遊技機管理装置等の外部管理側において設定変更がなされたことを確認することができ、以って不正な設定変更の発見が容易になるとともに当該不正な設定変更を抑制することができる。
【0019】
また、遊技の進行を検出する各種検出手段の検出結果は、管理のためにその少なくとも一部が外部出力される。その検出結果を出力するタイミングで設定情報も外部出力することで、設定変更時に1度だけ設定情報を出力する場合に比べ、不正な設定変更に対して有効となる。すなわち、例えば、設定変更時に1度だけ設定情報を出力することを前提とした場合においては、設定変更の際には外部出力端子を外す等の不正が同時になされていると、外部管理側では設定変更に関する情報が入ってこなくなる。一方、外部出力端子を外したままの状態では管理側において不審な状況と判別することができるので、設定変更後には外部出力端子を元に戻すことになる。そうすると、検出結果の出力タイミングによって設定情報が出力されることで、設定変更後においてその不正を発見できる。
【0020】
なお、第2外部出力手段によって出力される設定情報は検出情報とともに出力してもよい。すなわち、設定情報と検出情報とを別々に出力しなくても、同一信号線においてシリアル信号として出力してもよい。この場合、設定情報と検出情報とを区別できるようにパルス幅を変更する等のようにするとよい。
【0021】
さらに、検出結果の外部出力は、管理上必要なものであるから、その出力にあわせて設定情報を出力することで、外部出力のためのプログラム設計が容易になる。
【0022】
ここで、検出手段による検出としては、例えばパチンコ遊技機にあっては始動入賞検出、絵柄表示装置の変動が確定する場合の確定検出、遊技球払出検出、大当たり検出などが挙げられる。また、例えばスロットにあってはスタートレバーの操作に基づくスタート検出、ビッグボーナス検出、遊技コイン払出検出などが挙げられる。このような検出結果は、時々刻々と変化する遊技の進行に際して得られるものであるため、かかる検出情報の出力なしに不正な遊技媒体の獲得を行うことはできない。この中でも、確定検出やスタート検出の出力タイミングにあわせて設定情報を出力するものとすれば、設定情報が頻繁に外部出力されて好ましい。また、大当たり検出、遊技球払出検出、ビッグボーナス検出、遊技コイン払出検出は、いずれも直接的に遊技者に対して大量の遊技媒体を放出する又は放出した状況を示すため、それらの出力タイミングにあわせて設定情報を出力するものとすれば、如何なる設定下でそのような大量の遊技媒体が放出されることとなったのかが管理側で容易に把握できる。
【0023】
手段4.遊技に基づく遊技媒体(遊技球、遊技コイン)の獲得期待値に変化を与える設定を行う設定手段(確率設定スイッチ14,24)を備えた遊技機において、
前記設定手段により設定された設定状況を設定情報として記憶する設定情報記憶手段(設定記憶部52,62)と、
予め定めた一定時間を計測するタイマ手段(タイマ)と、
該設定情報記憶手段に記憶された設定情報を前記タイマ手段により計測された一定時間が経過する毎に遊技機外部に出力する外部出力手段(出力部55,65)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0024】
手段4によれば、設定手段により設定変更を行うことにより、遊技に基づく遊技媒体の獲得期待値に変化が生じ、遊技ホール全体として遊技媒体の獲得期待値に抑揚をもたせることが可能となる。ここで、設定手段による設定状況は設定情報記憶手段に設定情報として記憶され、その設定情報が遊技機外部の例えば遊技機管理装置に出力される。従って、遊技機管理装置等の外部管理側において設定変更がなされたことを確認することができ、以って不正な設定変更の発見が容易になるとともに当該不正な設定変更を抑制することができる。
【0025】
また、一定間隔をおいて設定情報が外部出力されることから、設定変更時に1度だけ設定情報を出力する場合に比べ、不正な設定変更に対して有効となる。すなわち、例えば、設定変更時に1度だけ設定情報を出力することを前提とした場合においては、設定変更の際には外部出力端子を外す等の不正が同時になされていると、外部管理側では設定変更に関する情報が入ってこなくなる。一方、外部出力端子を外したままの状態では管理側において不審な状況と判別することができるので、設定変更後には外部出力端子を元に戻すことになる。そうすると、一定間隔をおいて設定情報が出力されることで、設定変更後においてその不正を発見できる。
【0026】
手段5.手段1乃至手段4のいずれかにおいて、前記設定情報記憶手段は、少なくとも設定手段による現在の設定を設定情報として記憶したものであることを特徴とする遊技機。
【0027】
手段5によれば、現在の設定情報が外部出力されることになることから、遊技ホール営業中における設定変更に対処することができる。
【0028】
手段6.遊技機(パチンコ遊技機10、回胴式遊技機20)から出力される情報を入力して遊技機の状況を管理する遊技機管理装置において、
前記遊技機から出力される設定情報を入力して記憶する管理記憶手段(記憶部41a)と、
該管理記憶手段に記憶された設定情報をそのまま又は特定演算を行った上で管理者に視認可能に出力する管理出力手段(管理制御部41)と
を備えたことを特徴とする遊技機管理装置。
【0029】
手段7.遊技機(パチンコ遊技機10、回胴式遊技機20)から出力される検出情報を入力して遊技機の状況を管理する遊技機管理装置において、
前記遊技機から出力される設定情報を入力して記憶する管理記憶手段(記憶部41a)と、
該管理記憶手段に記憶された設定情報をそのまま又は特定演算を行った上で管理者に視認可能に出力する管理出力手段(管理制御部41)と
を備えたことを特徴とする遊技機管理装置。
【0030】
手段6及び手段7によれば、遊技機管理装置は遊技機から出力される情報(検出結果)を入力して集計等することにより遊技機の状況を管理することができる。ここで、遊技機から出力される設定情報は管理記憶手段に記憶され、その設定情報がそのまま又は特定の処理を行った上で画面等に出力される。従って、遊技機管理装置側において設定変更がなされたことを確認することができ、以って不正な設定変更の発見が容易になるとともに当該不正な設定変更を抑制することができる。
【0031】
ここで、遊技機から出力される設定情報とは、次の情報をいう。すなわち、遊技機には遊技に基づく遊技媒体の獲得期待値に変化を与える設定を行う設定手段が備えられ、その設定手段により設定された設定状況に基づく情報をいう。例えば、設定手段により前記獲得期待値の低い設定と、それよりも高い1又は複数の設定とがある場合における設定値に基づく情報を意味し、具体的には設定1であるとか設定6である等の情報である。
【0032】
また、設定情報をそのまま出力する場合とは、例えば設定1〜設定6まであるとすればその設定値を数値表示するような場合をいう。
【0033】
一方、設定情報に特定演算を行った上で出力する場合とは、例えば前回入力した設定情報と今回入力した設定情報とを比較して遊技機の設定が変更されたか否かを判断する設定変更判断手段を備え、該設定変更判断手段により設定変更があったと判断された場合には警告表示するような場合をいう。より具体的には例えば管理側において表示される設定値表示欄において設定変更された設定値の色を他とは異なる色で目立つように表示したり、設定変更があったことを示す専用の警告画面を表示するとよい。
【0034】
手段8.手段1乃至5のいずれかの遊技機を複数備えるとともに、それら各遊技機の外部出力手段(出力部55,65)から出力される設定情報を入力する手段6又は手段7の遊技管理装置を備えたことを特徴とする遊技ホールシステム。
【0035】
手段8によれば、不正な設定変更を管理者が把握することができ、以って設定変更による不正の抑制につなげることのできる遊技ホールシステムを構築することができる。
【0036】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、パチンコ遊技機10,10,…、回胴式遊技機20,20,…等の遊技機が複数設置された遊技ホールの概略構成を示す説明図である。
【0037】
パチンコ遊技機10は、周知のように、上皿11に貯留された遊技球を操作ハンドル12の操作によって所定の遊技領域13に発射し、遊技領域13に設置された各種入賞口への入賞によって所定の賞球を上皿11へ払い出すものである。パチンコ遊技機10の種類はいわゆるデジパチと呼ばれる図柄表示手段(例えば液晶表示装置)及びその表示変動開始のための作動口を備えたものが代表的であるが、他の種類のパチンコ遊技機であってもよいことはいうまでもない。パチンコ遊技機10は図示しない主制御基板、電源基板、払出制御基板、表示制御基板、音声制御基板等を備えており、主制御基板によってパチンコ遊技機10の遊技内容等を統括的に制御している。他の払出制御基板等は主制御基板からの制御信号を受けて個々に分担された機器を制御する。例えば、払出制御基板は主制御基板からの入賞検出等を受けて図示しない払出装置を駆動させることで、上記賞球の払出の他、貸球の払出を行う。
【0038】
パチンコ遊技機10の背面において、例えば電源基板には大当たり確率を設定するための確率設定スイッチ14と大当たり確率の設定値を確認するための設定表示部15とが設けられている。この確率設定スイッチ14は例えば鍵型スイッチよりなり設定キーにより操作されることで大当たり確率の設定値が適宜変更される。本パチンコ遊技機10では、大当たり確率が高低異なる3段階で設定されており、大当たり確率が高い状態を設定1、大当たり確率が低い状態を設定3としている。より具体的には、設定1が1/200、設定2が1/300、設定3が1/400とされている。
【0039】
パチンコ遊技機10の側部にはカードサンド30が設置されている。カードサンド30はパチンコ遊技機10と1対1で対応して設置されており、カード挿入口31にプリペードカードが挿入された状態でパチンコ遊技機10の図示しない貸出スイッチを操作することで、所定金額分の貸出球が払出装置から払い出されるとともにプリペードカードの残高が書き換えられる。
【0040】
回胴式遊技機20は、周知のように、所定数(例えば3枚までの任意数)の遊技コインを投入した上でスタートレバー21を操作することで複数のリール22が回転し、各リール22に対応したストップスイッチ23を操作することでリール22が停止し、その停止時の図柄に応じた遊技が実行される。その際、予め定められた図柄が有効ライン上に停止した場合には賞コインが払い出される。回胴式遊技機20の背面において、例えば電源装置には前記パチンコ遊技機10と同様に確率設定スイッチ24と設定表示部25とが設けられている。本回胴式遊技機20では、ビッグボーナス確率が高低異なる6段階で設定されており、ビッグボーナス確率が高い状態を設定6、ビッグボーナス確率が低い状態を設定1としている。
【0041】
本実施の形態では回胴式遊技機20にもカードサンド30が併設されており、図示しない貸出スイッチを操作することで所定金額分の貸出コインが払出装置から払い出されるとともにプリペードカードの残高が書き換えられる。
【0042】
遊技ホールの管理室には、遊技機管理装置としてのホール管理装置40が設けられている。ホール管理装置40は、各遊技機10,20、カードサンド30、その他防犯カメラや計数機等の遊技ホール内の全機器と接続されており、これら各種機器からの検出信号によってそれぞれの稼動状況等を把握するとともに、各種機器へ制御信号を送信して当該機器を一定条件下でそれぞれ制御する。
【0043】
図2には、各遊技機10,20からホール管理装置40への信号出力に関しての要部構成を示す。
【0044】
ホール管理装置40は大別して、ホール管理コンピュータを構成する管理制御部41と、ディスプレイ等の表示部42と、キーボード等の操作部43とよりなる。管理制御部41は、パチンコ遊技機10や回胴式遊技機20より取り込んだ各種信号に基づいて台番データ、変動回数データ、払出データ、大当たり回数データなど各種データを生成し、それら各種データを表示部42に表示する。なお、管理制御部41は、図示した記憶部41aの他、図示しない入力部,演算部,処理部,設定部,指令部,出力部等により構成されている。
【0045】
パチンコ遊技機10は、少なくとも前記確率設定スイッチ14を含んでなる設定操作部51と、この設定操作部51による設定値を記憶する設定記憶部52と、遊技領域13に打ち出された後いずれの入賞口にも入賞せずにアウト口から排出されるアウト球数を検知するためのアウト球検知部53と、払出装置より払い出される払出球数を検知する払出球検知部54と、設定記憶部52の設定値、アウト球数及び払出球数などを表す各種信号を出力する出力部55とを有する。例えば、アウト球検知部53はアウト口よりも下流側に設けたアウト球センサにより構成され、払出球検知部54は払出装置に設けた払出球センサにより構成される。周知のように前記各検知部からの検出信号は具体的には主基板に入力され、主基板が外部出力端子を介して外部出力されるものであるため、出力部55は主基板を中心として構成されている。
【0046】
設定記憶部52に記憶された設定値は、液晶表示装置等における図柄の変動終了時、より具体的には図柄の確定コマンドの出力時にホール管理装置40に出力され、ホール管理装置40では、受け取った設定値がパチンコ遊技機10の台番号毎に管理制御部41の記憶部41aに順次記憶される。このとき、設定値は少なくとも設定変更の履歴が記憶されるものであればよく、本実施の形態では設定値が前回値と異なる場合に当該設定値の変更履歴(変更前の設定値及び変更後の設定値)と時刻情報とを記憶するようにしている。ここで、各種検出信号の出力は60msec幅のパルス信号よりなるのに対して、設定値信号の出力は60msec幅のパルス信号よりなりそのパルス数により設定値情報がパチンコ遊技機10からホール管理装置40に教授されるようになっている。設定値信号の授受は、パチンコ遊技機10とホール管理装置40とを結ぶ専用線を介して行われる。上記のように、各種検出信号よりも設定値信号のパルス幅を大きくしたことにより、ホール管理装置40において設定値信号の検出漏れを低減することができる。
【0047】
また、回胴式遊技機20は、少なくとも前記確率設定スイッチ24を含んでなる設定操作部61と、この設定操作部61による設定値を記憶する設定記憶部62と、遊技コインの投入数を検知するための投入コイン検知部63と、払出装置より払い出される払出コイン数を検知する払出コイン検知部64と、設定記憶部62の設定値、投入コイン数及び払出コイン数などを表す各種信号を出力する出力部65とを有する。例えば、投入コイン検知部63はコイン投入部に設けた投入コインセンサにより構成され、払出コイン検知部64は払出装置に設けた払出コインセンサにより構成される。
【0048】
設定記憶部62に記憶された設定値は、遊技コインの投入後におけるスタートレバー21の操作時にスタート信号にあわせてホール管理装置40に出力され、ホール管理装置40では、受け取った設定値が回胴式遊技機20の台番号毎に管理制御部41の記憶部41aに順次記憶される。このとき、設定値は毎回全て記憶しなくてもよく、本実施の形態では設定値が前回値と異なる場合にのみ当該設定値を記憶するようにしている。設定値信号や各種検出信号の形態はパチンコ遊技機10と同様である。
【0049】
なお、出力部55,65からは前記検出信号と前記設定値信号とを同時出力されるように構成している。従って、ホール管理装置40では、両信号が同時に入力されたか否かを判断し、同時入力がない場合にはいずれかの信号線が外されたか断線したものとして、エラー表示すれば、その状態を管理側で容易に知ることができる。
【0050】
図3には、ホール管理装置40の表示部42に表示される管理情報の表示例を示す。(a)の台データとしては、台番号毎にアウト球、セーフ球、差球、出球率、特賞回数(大当たり回数)が表示される。なお、アウト球、セーフ球(払出球)、差球は「×10」の球数を表示し、差球は「アウト−セーフ」の球数を表示している。出球率は「セーフ/アウト×100」を表示している。
【0051】
また、(b)の特賞発生データとしては、指定された台番号の遊技機(図では台番号152)について特賞発生回数毎に、特賞発生時刻、特賞間スタート回数、特賞中の出球、特賞終了時の持球、設定値が表示される。なお、特賞中の出球、特賞終了時の持球は「×10」の球数を表示している。
【0052】
設定値は、1回目、2回目の特賞発生時には「3」であるのに対し、3回目以降の特賞発生時には「1」に変更されているのが分かる。これは、ホール営業中に低設定から高設定への設定変更が行われた事実を示している。この設定変更による設定値1の状態はホール管理者側で認知された状態でないため、表示画面上で設定値1の表示を着色表示とすることで、イレギュラーな状態がホール管理者側に警告される。警告の方法は、その他点滅表示としたり、別途音声警告を発したりすることも可能である。
【0053】
以上本実施の形態によれば、例えば、低設定とされている遊技機が不正行為により高設定に変更された場合には、その時点で設定変更がなされたことがホール管理者側で認識できる。また、高設定状態への不正な設定変更により遊技球・遊技コインを大量獲得し、事後的に元の低設定の状態に戻したとしても、その設定変更の履歴が残るため、ホール管理者側では不正の事実を把握することが可能となる。
【0054】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、パチンコ遊技機10において図柄の確定コマンドの出力時に、大当たり確率を示す設定値信号をホール管理装置40に出力するとともに、回胴式遊技機20においてスタートレバー21の操作時に設定値信号をホール管理装置40に出力する構成としたが、本実施の形態ではこの構成を変更する。
【0055】
つまり本実施の形態では、遊技中に遊技者にとって何らかの利益状態が生じる場合に、各遊技機10,20からホール管理装置40に設定値信号を出力する構成とする。具体的には、パチンコ遊技機10では、各種入賞口への遊技球の入賞の都度、設定値信号をホール管理装置40に出力する構成とし、回胴式遊技機20では、リール22に付された図柄が特定の並びになって賞コインが払い出される際に、設定値信号をホール管理装置40に出力する構成とする。
【0056】
不正な設定変更は、遊技球・遊技コインの不正な払出を目的として行われると考えられる。本実施の形態によれば、遊技球・遊技コインの払出が正規なものか、不正な設定変更に関与するものかが特定できるようになる。
【0057】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、パチンコ遊技機10及び回胴式遊技機20において、所定時間が経過する都度、各遊技機10,20からホール管理装置40に設定値信号を出力する構成とする。具体的には、各遊技機10,20が備えるタイマにより時間を計測し、所定時間周期の出力タイミングになる都度、設定値信号をホール管理装置40に出力する。
【0058】
本実施の形態によれば、パチンコ遊技機10において図柄変動や入賞口への入賞が無い状態、或いは回胴式遊技機20においてスタートレバー操作やコイン払出が無い状態であっても、不正な設定変更を見つけることができる。また、遊技ホールの営業前における設定状況の事前チェックもホール管理装置40において行うことができる。
【0059】
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0060】
(a)上記各実施の形態では、パチンコ遊技機10とホール管理装置40とを結ぶ専用線を用いて設定値信号の授受を行う構成としたが、これを変更し、大当たり情報や払出情報をホール管理装置40に出力するための既存の信号線を用いて設定値信号の授受を行う構成としてもよい。この場合、上記実施の形態で説明したとおり、大当たり状態等の検出信号は60msecのパルス幅信号であり、設定値信号は120msecのパルス幅信号であることにより、両信号の区別をホール管理コンピュータ40において行うことができる。
【0061】
(b)各遊技機10,20において、設定変更されたことを例えば主基板等により検知するとともにその履歴情報を記憶する。そして、設定変更を検知したことを契機として、設定値信号をホール管理装置40に出力する構成とする。なおかかる場合にも、前記同様、遊技の進行状況に合わせて或いは所定の時間周期で設定値信号を出力するとよいことは変わりない。
【0062】
(c)設定値信号を出力するための専用線と、大当たり情報や払出情報を出力するための既存の信号線とを共通のコネクタ部材により構成しても良い。これにより、前記専用線のみが開放されることの不都合が生じにくい構成となる。すなわち、設定値信号を出力するための専用線と、大当たり情報や払出情報を出力するための既存の信号線とが個別に設けられている場合には、専用線だけを開放しても他の信号線からの各種信号はホール管理装置40に正常に出力されるため、設定変更の不正は見つけにくいものとなる。この点、共通のコネクタ部材により構成した場合には、専用線を開放すれば他の信号線も開放されることとなるため、大当たり情報や払出情報が正常に出力されている状態下において設定変更の不正を好適に見つけることが可能となる。
【0063】
(d)ホール管理装置40から各遊技機10,20に設定値信号の出力を要求し、その要求に応えるようにして各遊技機10,20が設定値信号を出力する構成としても良い。例えば、所定時間周期でホール管理装置40が設定値信号の出力を要求し、その要求に応えて各遊技機10,20が設定値信号を出力する。
【0064】
(e)設定値信号は、無線信号として出力してもよい。具体的には、出力部55,65の全部又は一部を無線出力部として、設定値信号を予め設定した管理者専用端末に無線出力するようにし、以って管理者が遊技ホールにいなくても設定変更の状況を理解することができるようにしてもよい。この場合、設定変更のあった場合にのみ出力されるようにすれば管理者の煩わしさを解消し得る。
【0065】
(f)出力部55等を主基板から構成するのに代えて、サブ基板により構成してもよい。これにより、主基板の信号処理負担を低減し得る。
【0066】
(g)ホール管理装置40において、管理者(遊技ホールのオーナー等)に専用のキーを用意してそのキーが差し込まれた場合に限って図3(b)の「設定値」情報が表示されるようにしてもよい。専用キーのキー操作に代えて、又は専用キーのキー操作に加えて、管理者のみが知るパスワードを入力した場合に限って上記「設定値」情報が表示されるようにしてもよい。また、管理者専用の画面を用意しておき、管理者専用の画面中にしか設定値情報が含まれないように構成してもよい。さらに、ホール管理装置40において、容易に設定値情報の消去・変更ができないようにデータを保護することが好ましく、このような消去・変更も管理者のみが上記操作に基づいて行えるようにするとよい。これにより、オーナーを除く遊技ホール関係者による不正な設定変更の抑止にもつながる。
【符号の説明】
【0067】
10…パチンコ遊技機、14…確率設定スイッチ、20…回胴式遊技機、24…確率設定スイッチ、40…ホール管理装置、41…管理制御部、41a…記憶部、51…設定操作部、52…設定記憶部、55…出力部、61…設定操作部、62…設定記憶部、65…出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行に伴い発生する各種状況を検出する各種の検出手段と、
遊技に基づく遊技媒体の獲得期待値に変化を与える設定を行う設定手段と
を備えた遊技機において、
前記各検出手段のうち少なくとも一部の検出手段による検出情報をその都度遊技機外部に出力する第1外部出力手段と、
前記設定手段により設定された設定状況を設定情報として記憶する設定情報記憶手段と、
該設定情報記憶手段に記憶された設定情報を前記第1外部出力手段の出力タイミングにあわせて遊技機外部に出力する第2外部出力手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−130795(P2012−130795A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89027(P2012−89027)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【分割の表示】特願2009−169626(P2009−169626)の分割
【原出願日】平成15年7月4日(2003.7.4)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】