説明

遊技機

【課題】 所謂釣り糸ゴトと呼ばれる不正行為を効果的に防止することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】 遊技盤の表面に区画形成された遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口(111,112,113等)と、該入賞口に入賞した遊技球を流下させる球流下路(725)と、該球流下路を流下する遊技球を検出可能な球検出部(141)とを備えた遊技機において、前記球検出部に設定され、当該球検出部へ前記球流下路を流下してきた遊技球を検出するための球検出領域(DA)と、該球検出部に対応して設けられ、前記球検出領域に進入した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制することが可能な規制部材(143,143A,143B,141B)とを設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の表面に区画形成された遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口と、該入賞口に入賞した遊技球を流下させる球流下路と、該球流下路を流下する遊技球を検出可能な球検出部とを備えたパチンコ遊技機等の遊技機に関し、特に、釣り糸や磁石を使用して入賞球検出センサを不正に作動させて出玉を獲得する所謂釣り糸ゴトと呼ばれる不正行為を効果的に防止することが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えばパチンコ遊技機においては、遊技盤の表面に区画形成された遊技領域内に、該遊技領域に発射されて流下する遊技球が入賞可能な入賞口(一般入賞口、始動入賞口、大入賞口等)を配設し、遊技盤の裏面側には、入賞口に入賞した遊技球を下方に流下させるための球流下路(入賞球案内路)が設けられ、該球流下路の途中に配設された球検出センサにより遊技球を検出したことに基づいて球払出装置から所定数の賞球を遊技機前面の球貯留皿に払い出すように構成されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−300004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、テグスと呼ばれる釣り糸などを遊技球に巻き付けて、糸を付けたまま遊技球を遊技領域に発射し、その遊技球を磁石により誘導して入賞口に入賞させた後に、遊技球に巻き付けた糸を操作して遊技球を球検出センサの検出領域内で上下させて何度もセンシングさせ、出玉を不正に獲得するような不正(所謂釣り糸ゴト)が発生している。
【0005】
そこで、そのような不正の防止対策として、遊技球を不正に誘導させる磁石を検出する磁気センサを遊技盤に設けるといったことが行われているが、現状の遊技機で使用されている市場で入手可能な磁気センサはその検出範囲が比較的狭いため、遊技領域の全てをカバーしようとすると複数個の磁気センサを設けなければならず、遊技機のコストが増大してしまうという課題がある。
【0006】
また、遊技球にテグス等を巻き付けたものを使用する不正行為では、磁石で遊技球を誘導せずともテグス等を巧みに操作することで入賞口へ誘導することも可能であるため、磁気センサを設けるだけでは根本的な解決にならない場合が多いという課題もある。
【0007】
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであり、所謂釣り糸ゴトと呼ばれる不正行為を効果的に防止することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、
遊技盤の表面に区画形成された遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口と、該入賞口に入賞した遊技球を流下させる球流下路と、該球流下路を流下する遊技球を検出可能な球検出部と、を備えた遊技機において、
前記球検出部に設定され、当該球検出部へ前記球流下路から流下してきた遊技球を検出するための球検出領域と、
前記球検出部に対応して設けられ、前記球検出領域に進入した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制することが可能な規制部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、「入賞口」とは、入賞に対して賞品球を付与する領域の他、特図変動表示ゲームの始動条件を与える始動口、始動条件と共に賞品球も付与する始動口、普図変動表示ゲームの始動条件を与える始動ゲートであってもよい。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、球検出領域に進入した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制することが可能な規制部材を備えたことにより、球検出領域に進入した遊技球が球検出領域に再進入できないので、所謂釣り糸ゴトと呼ばれる不正行為を効果的に防止することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記規制部材は、
前記球流下路を流下してきた遊技球が前記球検出領域に進入することを許容する進入許容状態と、前記球検出領域に進入した遊技球が上流側に戻ることを規制する逆戻り規制状態とに変換可能な第1規制部材と、
前記球検出領域に進入した遊技球が下流側に移動することを許容する順移動許容状態と、前記球検出領域から下流側に移動した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制する再進入規制状態とに変換可能な第2規制部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、球検出領域とその上流との間で遊技球を上下させて何度もセンシングさせるような不正行為を第1規制部材により防止することができるとともに、球検出領域とその下流との間で遊技球を上下させて何度もセンシングさせるような不正行為を第2規制部材により防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記第1規制部材と、前記第2規制部材は、
前記球流下路から外れた位置で当該球流下路を横断する方向に設定される回動軸を中心に回動可能に軸着される軸受け部と、
前記軸受け部から前記回動軸に対して直交する方向に延設されて前記球流下路内に進退自在な規制部と、をそれぞれ備え、
前記規制部が上流側からの遊技球の押圧力を受けて前記球流下路から後退することで前記進入許容状態または前記順移動許容状態に変換する一方、
前記規制部が上流側からの遊技球の押圧力から開放されることで前記球流下路内に突出して前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態に変換することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第1規制部材及び第2規制部材が遊技球から受ける押圧力によって、進入許容状態または順移動許容状態と逆戻り規制状態または再進入規制状態に状態変換するので、状態変換のための駆動源を別途設けなくて済むようになる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記第1規制部材と前記第2規制部材は、常態となる前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態において前記規制部が前記軸受け部よりも下流側の前記球流下路内に配置され、前記球流下路の上流側からの遊技球の押圧力を受けるように当該球流下路を下流側に向けて斜めに横切るよう設定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、規制部が軸受け部よりも下流側の球流下路内に配置され、球流下路の上流側からの遊技球の押圧力を受けるように当該球流下路を下流側に向けて斜めに横切るよう設定されていることにより、逆戻り規制状態または再進入規制状態で規制部が球流下路と直交する状態になるものに比べて、第1規制部材または第2規制部材が状態変換する際の回動量が少なくて済むため、進入許容状態または順移動許容状態に変換されても、速やかに逆戻り規制状態または再進入規制状態に復帰することができるので、不正行為を効果的に防止できる。また、上流側からの遊技球の押圧力を受ける延設端部が遊技球の衝突時の衝撃によって破損し難くなる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の遊技機において、
前記規制部は、前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態において前記球流下路内の遊技球が上流側に向けて移動した際に当該遊技球が下流側から当接する当接部を備え、
前記当接部は、前記規制部とともに前記球流下路へ突出する部位として当該球流下路の中心よりも前記軸受け部側に設定され、下流側から当接した遊技球の押圧力を前記回動軸に向けて伝達する形状に設定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、規制部に設けられた当接部が球流下路の中心よりも軸受け部側に位置するように設定されているため、第1規制部材または第2規制部材の規制部の長さが短くて済むこととなり破損し難くなる。また、第1規制部材や第2規制部材が状態変換する際の回動量がさらに少なくて済むうえに、当接部が遊技球の押圧力を受けたとしても回動方向への力が作用しないようにすることができ、効果的に不正行為を防止することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、
前記球検出部は、前記第2規制部材をアクチュエータとして備え、当該第2規制部材が突出状態から退避状態へと変換することで接点状態が変化するメカ式センサとして構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、遊技球の逆戻りを規制する第2規制部材がメカ式センサのアクチュエータを兼用することとなるので、球検出部や規制部材の配置効率が高まるとともに部品点数が少なくなって組み付け作業が簡単になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、遊技盤の表面に区画形成された遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口と、該入賞口に入賞した遊技球を流下させる球流下路と、該球流下路を流下する遊技球を検出可能な球検出部とを備えた遊技機において、テグス等を用いた所謂釣り糸ゴトと呼ばれる不正行為を効果的に防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用したパチンコ遊技機における遊技盤の一実施形態を示す正面図である。
【図2】実施形態の遊技機における遊技盤の構造を示す分解斜視図である。
【図3】実施形態の遊技盤に設けられる左入賞口ユニットの構造を示す斜視図である。
【図4】実施形態の遊技盤の裏面下部に設けられる裏面下部構成ユニットの構造を示す斜視図である。
【図5】裏面下部構成ユニットと取付ベース基板との関係を示す分解斜視図である。
【図6】左入賞口ユニットと裏面下部構成ユニットの集合流路部材との関係を示す斜視図である。
【図7】左入賞口ユニットと集合流路部材との関係を示す断面側面図である。
【図8】集合流路部材とこの部材の下部に設けられる球検出部の実施例を示す分解斜視図である。
【図9】球検出部の実施例を示す断面正面図である。
【図10】実施例の球検出部の動作を示す断面正面図である。
【図11】実施例の球検出部の動作を示す断面正面図である。
【図12】本発明の第2実施形態を適用したパチンコ遊技機における球検出部の実施例を示す分解斜視図である。
【図13】第2実施形態のパチンコ遊技機に用いられる球検出センサの実施例を示す斜視図である。
【図14】第2実施形態のパチンコ遊技機における球検出部の実施例を示す断面正面図である。
【図15】第2実施形態における球検出部の動作を示す断面正面図である。
【図16】第2実施形態における球検出部の動作を示す断面正面図である。
【図17】本発明の第3および第4実施形態のパチンコ遊技機における球検出部の実施例を示す分解斜視図である。
【図18】本発明の第5実施形態のパチンコ遊技機における球検出部の実施例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る遊技機を適用したパチンコ遊技機の遊技盤の一実施形態を示す正面図である。
【0024】
本実施形態の遊技機の遊技盤100は、表面にガイドレール101で囲まれた略円形状の遊技領域102が区画形成されている。図示しないが、遊技盤100の前方にはこれを覆うカバーガラス(透明部材)を備えたガラス枠が取り付けられ、遊技盤100の前面とカバーガラスとの間に遊技媒体としての遊技球が流下可能な遊技領域102が形成される。遊技領域102のほぼ中央には、例えばLCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する表示装置103を備えたセンターケース104が配置されている。
【0025】
表示装置103はセンターケース104に設けられた凹部に、センターケース104の前面より奥まった位置に取り付けられている。すなわち、センターケース104は表示装置103の表示領域の周囲を囲い、表示装置103の表示面よりも前方へ突出し周囲の遊技領域から遊技球が飛び込みにくくするように形成されている。そして、センターケース104の下部には棚状をなし遊技球が左右に転動可能なステージ105が設けられ、該ステージ105の中央部には遊技球を流下させる流下口106が設けられている。
【0026】
また、センターケース104の下方には、変動表示ゲームの開始条件となる始動入賞口(上始動口)107および始動入賞口(下始動口)を有する開閉可能な普通変動入賞装置108が配設されている。センターケース104の左側方には、普通図柄始動ゲート109が設けられている。さらに、普通図柄始動ゲート109の下方、遊技領域102の左下隅には3つの一般入賞口111,112,113が配置されている。また、普通変動入賞装置108の下方には、表示装置103におけるゲーム結果に応じて遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)110が配設されている。また、遊技領域102の右下隅には一般入賞口114が配置され、さらに遊技領域102の外側、遊技盤100の右下隅には特図変動表示ゲームや普図変動表示ゲームを実行する変動表示器120が設けられている。
【0027】
本実施形態の遊技機100では、図示しない発射装置から遊技領域102に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域102内の各所に配置された障害釘や風車等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域102を流下し、普通図柄始動ゲート109、一般入賞口111,112,113,114、始動入賞口107、普通変動入賞装置108、又は特別変動入賞装置110に入賞するか、遊技領域102の最下部に設けられたアウト口122へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口111,112,113,114、始動入賞口107、普通変動入賞装置108、又は特別変動入賞装置110に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出制御装置によって制御される球払出装置から、前面枠の上皿又は下皿に排出される。
【0028】
なお、普通変動入賞装置108の状態には、可動翼片の開閉によって、遊技球が入賞し易い状態と遊技球が入賞しない状態とがある。通常、普通変動入賞装置108は閉状態であり、遊技球が入賞しない状態にされている。普通図柄始動ゲート109を遊技球が通過することによって、普図変動表示ゲームが実行され、普図変動表示ゲームの結果、当たり状態が発生すると、普通変動入賞装置108が開状態に変換され遊技球が入賞し易い状態となる。
【0029】
始動入賞口107または普通変動入賞装置108へ入賞した遊技球は図示しない始動口スイッチによって検出される。この入賞球の検出タイミングによって乱数値が抽出され、その乱数値は、遊技制御装置のRAM内の始動記憶領域に始動入賞記憶として所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この始動入賞記憶の記憶数は、表示装置103の表示部に表示される。遊技制御装置は、始動入賞記憶に基づいて、変動表示器120にて特図変動表示ゲームを行う。また、この特図変動表示ゲームと並行して、演出制御装置が遊技制御装置からのコマンドに基づいて、表示装置103にて飾り特図変動表示ゲーム(以下特に断らない限りこれを変動表示ゲームと称する)を行う。
【0030】
始動入賞口への入賞球の検出時の乱数値が当たり値であるときには特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当たり状態となる。これにより、特別変動入賞装置110の大入賞口が所定の時間(例えば、30秒)だけ又は所定数の遊技球が入賞するまで、遊技球を受け入れない閉状態から遊技球を受け入れ易い開状態に変換され、多くの賞球を獲得することができるという特典が遊技者に付与される。
【0031】
普図入賞記憶があると、遊技制御装置は、普図入賞記憶に基づいて変動表示部120で普図変動表示ゲームを開始する。すなわち、普通図柄始動ゲート109を通過した遊技球が検出されたとき抽出された乱数値が当たり値であるときには、変動表示部120に表示される普通図柄が当たり状態で停止し、当たり状態となる。このとき、普通変動入賞装置108はソレノイドへの通電により、可動翼片が所定の時間だけ大きく開放するように変換され、遊技球の始動入賞口への入賞確率が高くされる。
【0032】
次に、上記のような構成を有する遊技盤100のより詳細な構造について、図2の分解斜視図を用いて説明する。
【0033】
図2に示すように、遊技盤100にはセンターケース104の開口部104aに対応した開口部100aが形成され、該開口部100aに遊技盤の前面側からセンターケース104が装着されるように構成されている。また、センターケース104の下方に配置される始動入賞口107および普通変動入賞装置108は始動口ユニット130として一体に構成されている。また、一般入賞口111,112,113は下部の装飾プレートと共に左入賞ユニット140として一体に構成され、一般入賞口114は下部の装飾プレートと共に右入賞ユニット150として一体に構成されている。
【0034】
また、遊技盤100の裏面側には、表示装置103および遊技制御装置を取り付けるための制御ベースユニット160が装着され、遊技盤100の裏面、制御ベースユニット160の下方には、上記一般入賞口111,112,113,114、始動入賞口107、普通変動入賞装置108、特別変動入賞装置110に入賞した遊技球を誘導し、検出するため裏面下部構成ユニット170が装着されるように構成されている。
【0035】
図3には、上記左入賞ユニット140の詳細な構造が示されている。なお、図3は、左入賞ユニット140を背部斜め上方から見た斜視図である。
図3に示すように、左入賞ユニット140は、遊技盤100の前面に接合され該ユニット140を遊技盤に固定するための取付ベース401と、該取付ベース401の前面上部に形成され遊技領域を流下して来る遊技球を受け止める一般入賞口111,112,113を形成する入賞口形成部材411,412,413と、取付ベース401の裏面上部に形成され上記入賞口形成部材411,412,413で受け止められた遊技球を裏面側へ誘導する樋状の後方誘導部421,422,423と、取付ベース401の裏面に形成された収納枠431およびその開口部を覆うカバー部材432からなるLED基板収納部430とを備える。取付ベース401の中央部には半透明な装飾プレート402(図6参照)が設けられ、LED基板収納部430内には装飾プレートを発光させるための装飾用のLEDランプを実装した基板が収納されている。
【0036】
図4には、遊技盤100の裏面下部に設けられる前記裏面下部構成ユニット170の詳細な構造が示されている。なお、図4は、裏面下部構成ユニット170を前面側斜め上方から見た斜視図である。
【0037】
図4に示すように、裏面下部構成ユニット170は、その下端部に設けられた取付ベース部材701と、前記左入賞ユニット140および右入賞ユニット150に対応して取付ベース部材701の左右両側の収納部に下側から保持されるように配置された左側集合流路部材702および右側集合流路部材703と、前記左入賞ユニット140と右入賞ユニット150の後方にそれぞれ配置され取付ベース部材701の裏面に装着される左側中継基板ホルダー704および右側中継基板ホルダー705と、左右の中継基板ホルダー704および705の裏面側に装着される遊技制御装置ホルダー706と、を備えている。
【0038】
上記取付ベース部材701の左端および右端にはそれぞれ遊技盤100の裏面に接合される取り付け部711および712が、上端部中央には前記始動入賞口107および普通変動入賞装置108に入賞した遊技球を後方へ誘導するU字状の誘導樋713が、またその下方、取付ベース部材701の下端部中央には特別変動入賞装置110の後部を収納する収納部714と、特別変動入賞装置110に入賞した遊技球を後方へ排出するための排出口715および716が設けられている。また、遊技制御装置ホルダー706の裏面には遊技制御装置180が装着されており、遊技制御装置ホルダー706を介して裏面下部構成ユニット170と一体にされるようになっている。
【0039】
上記左側集合流路部材702は、前記左入賞ユニット140の入賞口形成部材411,412,413で受け止められ後方誘導部421,422,423によって裏面側へ誘導された遊技球を集合して下方、遊技盤中央側へ誘導するように右下がりに傾斜した集合樋724を有する。また、上記右側集合流路部材703は、前記右入賞ユニット150の入賞口へ入賞した遊技球を途中で検出しつつ下方へ流下させる流下路731を有する。
【0040】
図5には、前記取付ベース部材701の左側の収納部に装着される左側集合流路部材702の詳細な構造が示されている。左側集合流路部材702には、前記左入賞ユニット140の後方誘導部421,422,423の後端が臨む位置から集合樋724へ向かって球流下路721,722,723が設けられている。さらに、集合樋724の流下端部には、垂直方向の球合流流下路725が設けられ、該球合流流下路725の途中に後述の入賞球検出センサを保持するセンサ取付部726が設けられている。
【0041】
上記取付ベース部材701には、左側集合流路部材702を収納する収納空間が設けられ、該収納空間の淵に当たる部分には左側集合流路部材702を取付ベース部材701に結合するビスの先端が螺合するためのボス部717a,717bが設けられている。
【0042】
図6には、前記左入賞ユニット140の詳細な構造と左側集合流路部材702との関係が示されている。なお、この図は仮想的な状態を表すもので、実際には、左入賞ユニット140と左側集合流路部材702との間に遊技盤が介在し、左入賞ユニット140は遊技盤の前面に装着され、左側集合流路部材702は遊技盤の裏面に装着されることとなる。そして、左入賞ユニット140と左側集合流路部材702が遊技盤に装着されると、後方誘導部421,422,423の後端が球流下路721,722,723の上部に対向するようになる。また、入賞口形成部材411,412,413の下方の取付ベース401の中央部には、半透明な装飾プレート402が設けられ、内部にLED基板が収納されている。
【0043】
図7には、左入賞ユニット140を遊技盤100の前面に、また左側集合流路部材702を遊技盤100の裏面に装着した状態の断面側面図が示されている。遊技盤100には、左入賞ユニット140裏面の後方誘導部421,422,423が前後に貫通する球通過開口部100Aが形成されており、入賞口形成部材412に形成される入賞口402へ流入した遊技球は、後方誘導部422上を転動して球通過開口部100A内を通過して遊技盤100の裏面側の球流下路721内に流入し、下方へ流下し集合樋724を経て球合流流下路725より排出されるようになっている。そして、この球合流流下路725の途中に配設された球検出センサ141により入賞球が検出されるように構成されている。
【0044】
図8には、球合流流下路725の途中に設けられる球検出部および不正防止機構の詳しい実施例が示されている。この実施例では、球検出センサ141として発光素子と受光素子とを有するコの字型のフォトインタラプタが用いられ、センサ取付部726は球検出センサ141を収納可能な収納部として構成されている。球検出センサ141には、発光素子が埋め込まれた発光腕部141aと、受光素子が埋め込まれ前記発光腕部141aと平行に延びる受光腕部141bと、コネクタ部141cとが設けられており、発光腕部141aと受光腕部141bとが球合流流下路725内に突出する状態でセンサ取付部726に取り付けられる。
【0045】
また、球合流流下路725のセンサ取付部726よりも上方には、第1規制部材取付部727Aと第2規制部材取付部727Bとが設けられ、第1規制部材取付部727Aと第2規制部材取付部727Bには、図8(B)に示すように、第1回動軸728aと第2回動軸728bが設けられている。そして、この第1回動軸728aと第2回動軸728bに、「ヘ」の字状の第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bがそれぞれ回動自在に装着される。
【0046】
第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bは、中央に回動軸142a,142bに係合する軸受け部145a,145bが形成され、先端側(図では左側)が球合流流下路725内に突出するように取り付けられるとともに、後端側(図では右側)には錘となる金属ピン144A,144Bが埋設されており、その重量で第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bにそれぞれ時計回り方向の力を与えるように構成されている。さらに、球合流流下路725のセンサ取付部726近傍には、L字状のカバー部材146が前方から装着され、球検出センサ141と第1球戻り規制部材143Aおよび第2球戻り規制部材143Bが抜け落ちるのを防止するように構成されている。
【0047】
次に、球戻り規制部材143A,143Bの作用について、図9〜図11を用いて説明する。図9〜図11は左側集合流路部材702の球合流流下路725を拡大して示す断面図であり、図9は球合流流下路725に遊技球が流入する前の状態を、図10は球合流流下路725に遊技球が流入し球検出センサ141の検出領域に侵入し始める状態を、図11は遊技球が球検出センサ141の検出領域から流出する状態をそれぞれ示している。
【0048】
図9に示すように、球合流流下路725を形成する部材には、下側から上記第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bに接触して回動を規制するストッパ片725a,725bが設けられており、球合流流下路725に遊技球が流入する前にあっては、第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bは後端の金属ピン144A,144Bの重量で時計回り方向に回ろうとするのを規制して、延設部144a,144bがほぼ水平な姿勢を保持するようにストッパ片725a,725bの位置や高さが設定されている。そして、この状態では、第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bの先端側の規制片143bが、球合流流下路725内に斜め下方へ向かって突出するように設定されている。
【0049】
また、ストッパ片725a,725bは、球合流流下路725を形成する壁体の一部を外側(図では右側)に突出させ、端部が上方を向くように湾曲させてある。これにより、ストッパ片725a,725bの内側に、球戻り規制部材143Aと143Bが反時計方向に回動して先端側の規制片143aと143bが垂直になった際に、規制片143aと143bが球合流流下路725の壁面から飛び出した状態にならないようにする規制片退避空間729aと729bが形成されるようになっている。
なお、図9から分かるように、第2球戻り規制部材143Bはその回動軸728bが球検出センサ141の上部の延長上に配置されることで、先端側の規制片143bが球検出センサ141の検出領域DAの近傍に突出し、第1球戻り規制部材143Aはその回動軸728aが回動軸728bよりもおよそ球1つ分高い位置に配設されることで、球検出センサ141の上方にて球合流流下路725内に突出するように構成されている。
【0050】
上記のように構成された第1規制部材取付部727Aと第2規制部材取付部727Bが設けられた球合流流下路725においては、図10(A)に示すように、球合流流下路725に遊技球が流入して第1球戻り規制部材143Aの先端側の規制片143aに接触すると、その重量で第1球戻り規制部材143Aを反時計回り方向へ回動させながら下方へ流下する。このとき、球合流流下路725の内径は遊技球の径よりも若干大きい程度であるが、第1球戻り規制部材143Aの規制片143aが規制片退避空間729a内に収まることで、遊技球の流下が許容される。
【0051】
その後、図10(B)に示すように、遊技球が球検出センサ141の検出領域DAに侵入し始めて球の中心が第1球戻り規制部材143Aの先端よりも下方に位置するまで移動すると、先端側の規制片143aが後端の金属ピン144Aの重量で時計回り方向に回動し始める。そして、遊技球の下端部が第2球戻り規制部材143Bの先端側の規制片143bに接触する位置まで流下すると、第1球戻り規制部材143Aは先端側の規制片143aが完全に元の位置まで回動復帰する。
【0052】
この状態になると、規制片143aの先端面に遊技球が当接することで、遊技球にテグスが巻かれていて上方に引かれたとしても規制片143aに阻止されて戻り方向へ移動することはない。なお、遊技球の下端部が第2球戻り規制部材143Bの先端側の規制片143bに接触する位置は、遊技球の下端部が球検出センサ141の検出領域DAに侵入した状態になる位置である。また、遊技球の一部が球検出センサ141の検出領域DAに侵入している状態では、球検出センサ141の発光素子からの光が遊技球によって遮断され、受光素子に届かなくなることによって、センサは球有り状態として検出するようになっている。遊技球の一部が球検出センサ141の検出領域DAに侵入しても上方へ戻るとセンサは非検出状態となってしまうが、上記のように第1球戻り規制部材143Aの規制片143aにより遊技球の戻りを阻止することによって同一の遊技球が再度検出されてしまうのを防止することができる。
【0053】
その後、遊技球がさらに流下して、図11(A)に示すように、球の中心が球検出センサ141の検出領域DAの中心まで来ると、その重量で第2球戻り規制部材143Bを反時計回り方向へ回動させ、先端の規制片143bが流路内から規制片退避空間729bへ後退した状態となる。そして、遊技球の上端部が球検出センサ141の検出領域DAから抜け出る位置まで流下すると、後端の金属ピン144Bの重量で時計回り方向に回動し、図11(B)に示すように、第2球戻り規制部材143Bは先端側の規制片143bが完全に元の位置まで回動復帰する。このとき、球検出センサ141は非検出状態となるが、この状態では、遊技球にテグスが巻かれていてそのテグスが上方に引かれたとしても規制片143bにより遊技球の戻り方向へ移動が阻止されて、再度球検出センサ141が検出状態となるのを防止することができる。
【0054】
上記のように、この実施例においては、第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bが設けられていることにより、不正を行おうとする者が、遊技球にテグスを巻いて入賞口411,412,413に入賞させ、さらに遊技球を球検出センサ141の位置まで流下させた状態でテグスを引いたり緩めたりして、遊技球を検出領域近傍で上下させて同一の遊技球で何度も検出信号を発生させようとしてもそれを効果的に防止することができる。
【0055】
上述した説明から、本出願には、遊技盤の表面に区画形成された遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口と、該入賞口に入賞した遊技球を流下させる球流下路と、該球流下路を流下する遊技球を検出可能な球検出部と、を備えた遊技機において、前記球検出部に設定され、当該球検出部へ前記球流下路から流下してきた遊技球を検出するための球検出領域と、前記球検出部に対応して設けられ、前記球検出領域に進入した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制することが可能な規制部材とを備えた発明が含まれることが分かる。
【0056】
そして、かかる発明によれば、球検出領域に進入した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制することが可能な規制部材を備えたことにより、球検出領域に進入した遊技球が球検出領域に再進入できないので、所謂釣り糸ゴトと呼ばれる不正行為を効果的に防止することが可能となる。
【0057】
また、上記実施形態の遊技機は、球流下路を流下してきた遊技球が球検出センサの球検出領域に進入することを許容する進入許容状態と、球検出領域に進入した遊技球が上流側に戻ることを規制する逆戻り規制状態とに変換可能な第1規制部材と、球検出領域に進入した遊技球が下流側に移動することを許容する移動許容状態と、前記球検出領域から下流側に移動した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制する再進入規制状態とに変換可能な第2規制部材とを備えている。
【0058】
そして、上記第1規制部材と第2規制部材とを備えることにより、本実施形態の遊技機は、球検出領域とその上流との間で遊技球を上下させて何度もセンシングさせるような不正行為を第1規制部材により防止することができるとともに、球検出領域とその下流との間で遊技球を上下させて何度もセンシングさせるような不正行為を第2規制部材により防止することができるようになる。
【0059】
さらに、上記実施形態の遊技機は、前記第1規制部材と、前記第2規制部材が、前記球流下路から外れた位置で当該球流下路を横断する方向に設定される回動軸を中心に回動可能に軸着される軸受け部と、前記軸受け部から前記回動軸に対して直交する方向に延設されて前記球流下路内に進退自在な規制部と、をそれぞれ備え、前記規制部が上流側からの遊技球の押圧力を受けて前記球流下路から後退することで前記進入許容状態または前記順移動許容状態に変換する一方、前記規制部が上流側からの遊技球の押圧力から開放されることで前記球流下路内に突出して前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態に変換することとなる。
【0060】
そして、このような構成を有することにより、本実施形態の遊技機は、第1規制部材及び第2規制部材が遊技球から受ける押圧力によって、進入許容状態または順移動許容状態と逆戻り規制状態または再進入規制状態に状態変換するので、状態変換のための駆動源を別途設けなくて済むようになる。
【0061】
次に、上記実施形態のさらに望ましい構造について説明する。具体的には、図11(B)に示すように、第2球戻り規制部材143Bの規制片143bが球合流流下路725内に完全に突出した復帰状態(延設部144bがストッパ片725bに当接して水平になった状態)で、規制片143bと球合流流下路725の内壁面とのなす角度θが45度となり、規制片143bの先端に接触している遊技球の中心と当該規制片の中心線と第2回動軸728bとが一直線上に並ぶように、各部品の寸法や取り付け位置を設計する。これにより、遊技球に巻かれたテグスが上方に引かれたときに、規制片143bにかかる球圧を第2回動軸728bが受けることになり、規制片143bに曲げ応力がかかるのを回避することができる。
【0062】
そのため、第2回動軸728bを金属等の強度の高い材料で形成すれば、規制片143bがプラスチックのような比較的変形や破損しやすい材料で形成されたとしても変形や破損を防止することができるという利点がある。第1球戻り規制部材143Aの構造についても同様である。また、規制片143a,143bが復帰状態で水平な姿勢となるように構成されたものであっても遊技球の戻りを阻止することができるが、上記実施例のように復帰状態で規制片143a,143bが斜め下方へ突出する構成であれば、復帰時の規制片143a,143bの回動角度を少なくして速やかに復帰させることができるとともに、遊技球の戻り量も小さくすることができる。
【0063】
従って、上記実施形態の遊技機においては、前記第1規制部材と前記第2規制部材は、常態となる前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態において前記規制部が前記軸受け部よりも下流側の前記球流下路内に配置され、前記球流下路の上流側からの遊技球の押圧力を受けるように当該球流下路を下流側に向けて斜めに横切るよう設定されていることとなる。
【0064】
そして、上記実施形態の遊技機は、上記規制部が軸受け部よりも下流側の球流下路内に配置され、球流下路の上流側からの遊技球の押圧力を受けるように当該球流下路を下流側に向けて斜めに横切るよう設定されていることにより、逆戻り規制状態または再進入規制状態で規制部が球流下路と直交する状態になるものに比べて、第1規制部材または第2規制部材が状態変換する際の回動量が少なくて済むため、進入許容状態または順移動許容状態に変換されても、速やかに逆戻り規制状態または再進入規制状態に復帰することができるので、不正行為を効果的に防止できる。また、上流側からの遊技球の押圧力を受ける延設端部が遊技球の衝突時の衝撃によって破損し難くなる。
【0065】
さらに、上記実施形態の遊技機は、前記規制部が、前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態において前記球流下路内の遊技球が上流側に向けて移動した際に当該遊技球が下流側から当接する当接部を備え、前記当接部は、前記規制部とともに前記球流下路へ突出する部位として当該球流下路の中心よりも前記軸受け部側に設定され、下流側から当接した遊技球の押圧力を前記回動軸に向けて伝達する形状に設定されていることとなる。
【0066】
このように、規制部に設けられた当接部が球流下路の中心よりも軸受け部側に位置するように設定されているため、上記実施形態の遊技機は、第1規制部材または第2規制部材の規制部の長さが短くて済むこととなり破損し難くなる。また、第1規制部材や第2規制部材が状態変換する際の回動量がさらに少なくて済むうえに、当接部が遊技球の押圧力を受けたとしても回動方向への力が作用しないようにすることができ、効果的に不正行為を防止することができる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施形態を、図12〜図16を用いて説明する。第2の実施形態は、上述した第1の実施形態とは球戻り規制部材の構成と使用する球検出センサ141の構造が異なっている。第2の実施形態においては、図12に示すように、規制部材取付部は1つとされ、規制部材取付部727には、回動軸728と、該回動軸728に回転自在に係合される逆扇型の球戻り規制部材143とが設けられ、球合流流下路725の回動軸728の近傍の壁面には球戻り規制部材143が流路内に侵入/後退可能なスリット725cが形成されている。
球戻り規制部材143は、上記回動軸728に回転自在に係合される円筒状の軸受け部143cと扇型の規制片143dとからなり、規制片143dは枠状に形成することで軽量化を図るとともに、軸受け部143cから放射状に延びる腕部の一方が球規制部として作用し、他方は錘として作用するように構成されている。なお、規制片143dの球規制部から遠い側には錘となる金属片を埋設するようにしてもよい。
【0068】
この実施形態で使用される球検出センサ141は、マイクロスイッチと呼ばれるメカ式のスイッチに似た構造を有するとともに、ドミノ牌に似た形状の本体部の先端に遊技球が通過可能な開口141A(球検出領域に相当)が形成され、該開口141A内にアクチュエータ141Bが突出するように構成されている。ただし、規制部材取付部727の構成は、第1の実施形態における規制部材取付部727Aと同一の構成であってもよい。本実施形態は、このアクチュエータを球戻り規制部材と兼用させることを要旨とするものであり、そのために以下に説明するような工夫を行っている。
【0069】
具体的には、図12(B)に示すように、センサ取付部726は左側集合流路部材702の下端に球検出センサ141の厚みとほぼ同一の高さを有する収納凹部として構成され、該収納凹部(726)の底壁に、両側に平行な切り欠きを有し先端には鋸歯状の突起が形成された脱落規制爪726aを設けて、収納凹部(726)内に球検出センサ141をワンタッチで装着できるとともに、装着された球検出センサ141を脱落規制爪726aでしっかりと固定できるように構成されている。このような構成を有することによって、アクチュエータを球戻り規制部材と兼用させた場合にアクチュエータ141Bに作用する球圧で球検出センサ141がずれて検出タイミングが変化したり破損し易くなったりするのを防止することができる。
【0070】
図13には、本実施形態で使用される球検出センサ141の詳細な構造が示されている。球検出センサ141は、図13(B)に示すように、アクチュエータ141Bの一端が開口141Aの縁部に回動軸141Dにより回動自在に装着されているとともに、センサ本体内には、軸方向に移動可能な円筒状のプランジャ141Eおよび該プランジャ141Eを開口14A側へ押圧する圧縮バネ141Fが内蔵され、該プランジャ141Eの先端が上記アクチュエータ141Bの裏面に当接してこれを前方すなわち開口14Aの中心側へ押圧するように構成されている。
【0071】
また、アクチュエータ141Bは開口141A内へ約45度の角度で下傾斜する姿勢で取り付けられており、開口141Aの内壁には該アクチュエータ141Bの退避空間141Gが設けられている。さらに、この退避空間141Gの上部、開口141Aの縁部にはアクチュエータ141Bが45度以上反時計まわり方向へ回動しないように規制するストッパ部141Hが設けられている。なお、図示しないが、センサ本体内には、上記プランジャ141Eの移動によって開閉される電気的接点や該接点の開閉状態に応じた信号を生成する回路が内蔵されており、該回路で生成された信号がコネクタ141cを介して遊技制御装置へ送信可能に構成されている。
【0072】
図14には、上記球戻り規制部材143および球検出センサ141を左側集合流路部材702の下端の球合流流下路725に装着した状態が示されている。同図に示すように、球戻り規制部材143は、軸受け部143cが回動軸728に係合された状態で、スリット725cから規制片143dの一部(規制部)が球合流流下路725の内部に突出するようにバランスが設定されている。また、回動軸728の右斜め上方には、球戻り規制部材143の回動範囲を規制するストッパ部725cが設けられており、球戻り規制部材143が流下する遊技球によって反時計回り方向へ回動されたときに規制片143dの後端がストッパ部725cに当接することでそれ以上の回動が規制されるようになっている。
【0073】
また、球戻り規制部材143は、軸受け部143cが回動軸728に係合された状態で、規制片143dの下端が球検出センサ141の先端近くに位置するように、回動軸728の位置および規制片143dの大きさが設定されている。次に、上記のような構成された球戻り規制部材143および球検出センサ141の作用について、図15および図16を用いて説明する。
【0074】
図15(A)に示すように、球合流流下路725に遊技球が流入して球戻り規制部材143の規制片143cに接触すると、その重量で球戻り規制部材143を反時計回り方向へ回動させながら下方へ流下する。このとき、球合流流下路725の内径は遊技球の径よりも若干大きい程度であるが、球戻り規制部材143の規制片143cが流路内から後退することで、遊技球の流下が許容される。
【0075】
その後、図15(B)に示すように、遊技球が球検出センサ141の開口141A内に侵入しアクチュエータ141Bに接触する位置まで移動すると、球戻り規制部材143の規制片143cがその重量で時計回り方向に回動し始める。また、アクチュエータ141Bは遊技球に押されてプランジャ141Eが後退することで時計回り方向へ回動して退避空間へ後退することで、遊技球の流下を許容する。そして、図16(A)に示すように、遊技球がアクチュエータ141Bを作動させる位置まで流下すると、第1球戻り規制部材143は規制片143cが完全に元の状態に復帰する。この状態になると、遊技球にテグスが巻かれていて上方に引かれたとしても規制片143cに阻止されて戻り方向へ移動することはない。これによって、遊技球が戻って再度検出されてしまうのを防止することができる。
【0076】
その後、遊技球がさらに流下して、図16(B)に示すように、遊技球の中心が球検出センサ141のアクチュエータ141Bの先端よりも下になる位置まで遊技球が来ると、圧縮バネ141Fの復元力でプランジャ141Eが前方すなわち流下路中心側へ押されてアクチュエータ141Bが元の状態(45度傾斜した状態)に戻り、球検出センサ141は接点が「開」すなわち非検出状態となる。そして、この状態では、遊技球の上端にアクチュエータ141Bの先端が接触しているとともに、アクチュエータ141Bはストッパ部141Hによって45度以上の回動が規制されているため、アクチュエータ141Bによって遊技球の戻り方向へ移動が阻止されて、再度球検出センサ141が検出状態となるのを防止することができる。
【0077】
上記のように、この実施形態においては、球戻り規制部材143と球検出センサ141のアクチュエータ141Bにより、遊技球の戻り方向の移動を阻止することができるため、不正を行おうとする者が、遊技球にテグスを巻いて入賞口411,412,413に入賞させ、さらに遊技球を球検出センサの位置まで流下させた状態でテグスを引いたり緩めたりして、遊技球を検出領域近傍で上下させて同一の遊技球で何度も検出信号を発生させようとしてもそれを有効に防止することができる。
なお、本実施例におけるアクチュエータ141Bの形状を、図9に示されている戻り規制部材143Bのように、先端に遊技球が下流側から当接する当接部(接触面)を有する形状に設計して、遊技球を戻そうとした時に生じる球圧を回転軸141Dで受けることができるように構成してもよい。
【0078】
上述したように、第2実施形態の遊技機は、球検出部が、第2規制部材をアクチュエータとして備え、当該第2規制部材が突出状態から退避状態へと変換することで接点状態が変化するメカ式センサとして構成されていることとなる。このように、第2実施形態の遊技機は、遊技球の逆戻りを規制する第2規制部材がメカ式センサのアクチュエータを兼用することとなるので、球検出部や規制部材の配置効率が高まるとともに部品点数が少なくなって組み付け作業が簡単になる。
【0079】
次に、本発明の他の実施形態を、図17および図18を用いて説明する。図17(A)は第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、上述した第1の実施形態において、球検出センサ141として光電型のセンサの代わりに非接触型の磁気近接スイッチを使用したものである。
磁気近接スイッチは、コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサであり、図17(A)では、センサ本体の一部が球合流流下路725の流路に臨むように配置され、その部位にコイルが配置されており、本体内部にはコイルに接続された検出回路が内蔵されている。この磁気近接センサは、コイルの磁束範囲MAを遊技球が通過するとコイルの磁界が変化してコイルのインピーダンスが変化するので、その変化から遊技球が通過したことを検出することができる。
【0080】
図17(B)は第4の実施形態を示す。第4の実施形態は、上述した第2の実施形態において、扇型の球戻り規制部材143の代わりに、第1の実施形態における規制片143aと延設部144aおよび錘となる金属ピン144Aを有する「へ」の字型の球戻り規制部材143Aを使用するようにしたものである。また、これに応じて、球合流流下路725の壁面には、第1の実施形態と同様なストッパ部725aが設けられている。他の構成および作用は、第1の実施形態で説明したのと同様であるので、同一もしくは相当する部品や部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0081】
図18は第5の実施形態を示す。第5の実施形態は、球検出センサ141の本体ケースを略L字状に形成し、第1の実施形態において、球合流流下路725側に設けられていた第1球戻り規制部材143Aと第2球戻り規制部材143Bを球検出センサ141の本体ケースと一体に設けたものである。球検出センサ141は第1の実施形態におけるのと同様、対向する発光素子と受光素子を備えた光電型のセンサ(フォトインタラプタ)である。他の構成および作用は、第1の実施形態で説明したのと同様であるので、同一もしくは相当する部品や部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0082】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、今回開示した実施形態は、あくまでも例示であって制限的なものではない。例えば、前記実施形態では、2つの球戻り規制部材を共に遊技球の流下方向とは逆の方向への移動を禁止する手段として構成したが、上流側の球戻り規制部材に関しては逆方向への移動を検出したならば流下方向への移動を禁止するような規制部材(シャッタ)を設けて、検出領域への再侵入を禁止するように構成してもよい。
【0083】
また、前記実施形態では、入賞口に対する不正(釣り糸ゴト)の対策を左入賞口ユニット140に適用した場合について説明したが、始動口ユニット130や右入賞口ユニット150に適用しても良い。また、前記実施形態では、球検出センサ141として光電型センサとマイクロスイッチ型センサ、磁気近接スイッチを使用した例を示したが、他の方式のセンサやスイッチを使用する場合にも適用することができる。
【0084】
さらに、以上の説明では本発明をパチンコ遊技機に適用した場合を例にとって説明したが、本発明はパチンコ遊技機に限定されず、アレンジボール遊技機、雀球遊技機など遊技球を使用する他の遊技機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 遊技盤
111 入賞口
112 入賞口
113 入賞口
140 左入賞口ユニット
141 球検出センサ(球検出部)
141B アクチュエータ(第2規制部材)
143A 第1規制部材
143B 第2規制部材
143a 規制片(規制部)
143b 規制片(規制部)
145a 軸受け部
145b 軸受け部
702 集合流路部材
721 球流下路
722 球流下路
723 球流下路
724 集合樋
725 球合流流下路(球流下路)
DA 球検出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の表面に区画形成された遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口と、該入賞口に入賞した遊技球を流下させる球流下路と、該球流下路を流下する遊技球を検出可能な球検出部と、を備えた遊技機において、
前記球検出部に設定され、当該球検出部へ前記球流下路から流下してきた遊技球を検出するための球検出領域と、
前記球検出部に対応して設けられ、前記球検出領域に進入した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制することが可能な規制部材と、を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記規制部材は、
前記球流下路を流下してきた遊技球が前記球検出領域に進入することを許容する進入許容状態と、前記球検出領域に進入した遊技球が上流側に戻ることを規制する逆戻り規制状態とに変換可能な第1規制部材と、
前記球検出領域に進入した遊技球が下流側に移動することを許容する順移動許容状態と、前記球検出領域から下流側に移動した遊技球が当該球検出領域に再進入することを規制する再進入規制状態とに変換可能な第2規制部材と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1規制部材と、前記第2規制部材は、
前記球流下路から外れた位置で当該球流下路を横断する方向に設定される回動軸を中心に回動可能に軸着される軸受け部と、
前記軸受け部から前記回動軸に対して直交する方向に延設されて前記球流下路内に進退自在な規制部と、をそれぞれ備え、
前記規制部が上流側からの遊技球の押圧力を受けて前記球流下路から後退することで前記進入許容状態または前記順移動許容状態に変換する一方、
前記規制部が上流側からの遊技球の押圧力から開放されることで前記球流下路内に突出して前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態に変換することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第1規制部材と前記第2規制部材は、常態となる前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態において前記規制部が前記軸受け部よりも下流側の前記球流下路内に配置され、前記球流下路の上流側からの遊技球の押圧力を受けるように当該球流下路を下流側に向けて斜めに横切るよう設定されていることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記規制部は、前記逆戻り規制状態または前記再進入規制状態において前記球流下路内の遊技球が上流側に向けて移動した際に当該遊技球が下流側から当接する当接部を備え、
前記当接部は、前記規制部とともに前記球流下路へ突出する部位として当該球流下路の中心よりも前記軸受け部側に設定され、下流側から当接した遊技球の押圧力を前記回動軸に向けて伝達する形状に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記球検出部は、前記第2規制部材をアクチュエータとして備え、当該第2規制部材が突出状態から退避状態へと変換することで接点状態が変化するメカ式センサとして構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−143327(P2012−143327A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2646(P2011−2646)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】