説明

遊技機

【課題】遊技領域へ打ち出された遊技球を、その勢いを低減させながら流下させるようにする。
【解決手段】遊技領域10における遊技球の打ち出し側と反対側である右上部には、該遊技領域10に打ち込まれた遊技球が衝突することで該遊技球の勢いを低減させる緩衝部材19が配設されている。緩衝部材19の下方には、枠状装飾部材40の庇部42と盤面飾り部材13のレール部13Aとの間に流下経路15が形成され、この流下経路15における前記レール部13A側には、該流下経路15に臨むように緩衝突部60,65が配設されている。これにより、緩衝部材19に衝突した後に流下経路15を流下する遊技球は、緩衝突部60,65に衝突することで勢いが更に低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図柄表示装置における特別遊技状態の発生時に、遊技球の打出しを遊技領域の右方向へ変更するようにした遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等に代表される遊技機は、固定枠としての外枠に組み付けられる本体枠としての中枠と、裏側に設置部材が配設されて前記中枠に取り付けられる遊技盤と、前記中枠の前側に組み付けられる装飾枠としての前枠等を備えている。前記遊技盤は、その中央に前後に大きく開口した貫通口が形成されると共に前面に遊技領域が形成され、各種入賞装置(始動入賞装置や特別入賞装置等)が配設されると共に、前後に開口した表示窓口が形成された枠状の装飾部材が前記貫通口の開口縁に配設されている。前記装飾部材の表示窓口には、遊技盤の裏側に取付けられた設置部材に配設された図柄表示装置や可動演出装置等が臨んでいる。このような遊技機は、遊技領域に打ち出した遊技球が始動入賞口に入球すると図柄表示装置が作動し、該図柄表示装置における図柄組合わせ結果として特別遊技状態(大当たり)が発生すると、特別入賞装置が開放して多数の遊技球の入賞が可能となる。
【0003】
また、近年の遊技機においては、前記特別遊技状態が発生した場合に、特別入賞装置に対する遊技球の入球確率を高めて特別遊技状態の遊技時間を短縮するため、特別入賞装置を遊技領域内の右下(前記枠状装飾部材40の右下)に配設した遊技盤も多く実施されている。このような構成の遊技盤を備えた遊技機は、特別遊技状態の発現時に打球発射装置を所謂「右打ち状態」に変更して、打出した遊技球を遊技領域の右側部分におけるレール部と前記枠状の装飾部材との間に形成された流下経路に移動させ、該流下経路を介して前記特別入賞装置へ至らせるようになっている。このような流下経路を設けた遊技盤を備えた遊技機は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−125564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された遊技機では、該遊技領域の左側部分を少しでも広く確保するため、前記流下経路(誘導手段)が、遊技球が余裕で通過できる必要最低限の幅(パチンコ球の直径の1.5倍程度)しか確保されておらず、案内釘や入賞口等の遊技部品は配設されていない。このため、右打ち状態で打ち出された遊技球は、流下経路を流下する際に勢いが殆ど低減されず、逆に流下するに従って加速して勢いが増し易くなっている。従って、加速して勢いが増した遊技球が、遊技領域の下方に配設された前記特別入賞装置の開放した開閉扉に勢いよく落下してしまい、該特別入賞装置が破損する不都合が発生している。
【0006】
そこで本発明は、前述した課題を解決するために案出されたものであって、遊技領域へ打ち出された遊技球を、その勢いを低減させながら流下させるようにした遊技機を提供することを目的とする。
【0007】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、
レール部(11,12,13)により遊技球が流下する遊技領域(10)が画成された遊技盤(D)と、前記遊技盤(D)に配設されて前記遊技領域(10)の内側に位置する装飾部材(40)とを備え、前記遊技領域(10)には、前記装飾部材(40)の側方に球の流下経路(15)が形成され、前記遊技領域(10)内へ打ち出された遊技球が前記流下経路(15)を通って流下する遊技機において、
前記遊技領域(10)における前記遊技球の打ち出し側と反対側の上部に設けられ、該遊技領域(10)に打ち込まれた前記遊技球が衝突することで該遊技球の勢いを低減させる緩衝部材(19)と、
前記緩衝部材(19)の下方において前記レール部(13)側に位置して前記流下経路(15)に臨むように配設され、該緩衝部材(19)に衝突した遊技球が衝突することで該遊技球の勢いを更に低減させる緩衝部(60)とを備えたことを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、遊技領域へ打ち出した遊技球は、緩衝部材に衝突してその勢いが低減され、更に緩衝部に衝突することで更に勢いが低減され、流下経路を勢いが低減された状態で流下するようになる。従って、流下経路に配設された遊技部品や該流下経路の下方に配設された遊技部品に対して激しく衝突することが防止され、該遊技部品の破損や損耗および故障の発生を防止し得る。
【0009】
請求項2に記載の発明では、
前記装飾部材(40)は、前記遊技盤(D)の前面より前方へ突出して前記流下経路(15)に臨む庇部(42)を備え、
前記緩衝部(60)は、その球接触面(61)と前記庇部(42)の外面との間隔(S)が、前記遊技球の直径より大きく該直径の2倍より小さくなるように配設されていることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、流下経路を流下する際に緩衝部に衝突することで、装飾部材の庇部と該緩衝部との間を、勢いが低減された状態で流下する。従って、遊技球が勢いよく庇部に衝突することが回避され、該庇部の破損や損耗を防止し得る。
【0010】
請求項3に記載の発明では、
前記装飾部材(40)は、前記庇部(42)の後端に、前記遊技盤(D)の前面に沿って側外方へ延出する板部(43)を備え、
前記緩衝部(60)が、前記板部(43)から前方へ突設されていることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、装飾部材の庇部の後端に設けた板部に緩衝部が設けられており、該装飾部材を遊技盤に装着することで該緩衝部が該遊技盤に対して適切な位置に取付けられると共に、該緩衝部の取付作業を省略することができる。また、板部を設けた位置に緩衝部を設けることができるので、緩衝部を設ける位置の自由度が高められる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、
前記庇部(42)の前記緩衝部(60)と相対する部位には、該緩衝部(60)から離間する方向へ窪む窪み部(44)が設けられていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、流下経路を流下する遊技球が、緩衝部に衝突する際に装飾部材の庇部側へ移動し易くなり、該遊技球の流下する勢いを適切に低減することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明では、
前記緩衝部(60)は、前記流下経路(15)における遊技球の流下方向へ間隔をおいて複数設けられていることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、流下経路を流下する遊技球が、各緩衝部に衝突するたびにその勢いが低減されるので、該流下経路を流下する際に勢いが再び増加しない。
【0013】
請求項6に記載の発明では、
前記庇部(42)の前記流下経路(15)に臨む外面において、遊技球の流下方向において離間する上方の緩衝部(60)と相対する部位および下方の緩衝部(60)と相対する部位の中途に、該流下経路(15)に向けて突出して該遊技球が接触可能な突部(45)が設けられていることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、流下経路を流下する遊技球は、上方の緩衝部に衝突した後に庇部側に跳ねて突部に接触し易くなり、該突部に接触した後に庇部から離間する側に跳ねるので下方の緩衝部に衝突し易くなる。従って、流下経路を流下する遊技球は、流下方向と交差する方向へ何度も移動するようになるから、流下する勢いをより適切に低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る遊技機によれば、遊技領域へ打ち出された遊技球をその勢いを低減させながら流下させることができ、流下する該遊技球の衝突による遊技部品の破損や故障等を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】実施例に係るパチンコ機に実施される遊技盤の正面図である。
【図3】実施例の遊技盤を、第1可動演出装置を外した状態で示す斜視図である。
【図4】遊技盤から枠状装飾部材を取り外した状態で示す斜視図である。
【図5】枠状装飾部材に形成した板部に、緩衝突部を設けた構成を示す斜視図である。
【図6】緩衝突部を設けた流下経路をパチンコ球が流下する態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機としては、一般的なパチンコ機Pを例にして説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機Pを前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0017】
(パチンコ機)
実施例に係るパチンコ機Pは、図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠Aの開口前面側に、遊技盤Dを着脱可能に保持する本体枠としての中枠Bが、開閉および着脱可能に組み付けられている。そして、前記遊技盤Dの裏側に、所定条件の成立(後述する始動入賞装置20の始動入賞口20Aへのパチンコ球(遊技球)の入賞)を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行なう図柄表示装置Hが着脱可能に配設されている。また、前記中枠Bの前面側には、前記遊技盤Dを透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板26で前後に開口する窓部を覆うよう構成された装飾枠としての前枠Cが開閉可能に組み付けられると共に、該前枠Cの下方にパチンコ球を貯留する下球皿Fが前記中枠Bに組み付けられる。更に、前記前枠Cの下部位置に、パチンコ球を貯留する上球皿Eが一体的に組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて上球皿Eも一体的に開閉するよう構成される。
【0018】
前記中枠Bの右下方位置には、該中枠Bに配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドルGが設けられており、該操作ハンドルGの操作により打球発射装置が作動されることで、前記上球皿Eに貯留されたパチンコ球が所定間隔(例えば、0.6秒間隔)で1球ずつ前記遊技盤Dに向けて連続的に発射されるようになっている。なお実施例では、前記図柄表示装置Hとして、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。また、前記上球皿Eは、前記前枠Cと別体に形成して中枠Bに対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0019】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、図2および図3に示すように、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂製板やベニア等の木製合板を材質とし、前記中枠Bに設けた遊技盤保持部(図示せず)の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には遊技領域10が設けられると共に、その後側には後述する設置部材30が配設されている。遊技盤Dの前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール11と、この外レール11の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール12と、外レール11の右上部から内レール12の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材13等が配設されており、両レール11,12および盤面飾り部材13で囲まれた内側が前記遊技領域10として構成されている。これにより、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球は、外レール11と内レール12との間を通って遊技領域10の左上部に打ち出された後、該遊技領域10内を流下する。但し、前記内レール12の延在長を大きく設定して、前記外レール11および該内レール12で遊技領域10を形成するように構成してもよい。
【0020】
前記遊技盤Dの遊技領域10において、前記遊技球の打ち出し側である左上部と反対側の右上部、すなわち前記外レール11と前記盤面飾り部材13との境界部分には、図2に示すように、該遊技領域10に打ち込まれたパチンコ球が衝突可能な緩衝部材19が、ネジ等により固定されている。この緩衝部材19は、例えばゴムやウレタン等の弾力性を有する素材から形成されており、前記打球発射装置により強く打ち出されて遊技領域10の右上部まで到達したパチンコ球が衝突することで、該パチンコ球の勢いを好適に低減するようになっていると共に、該パチンコ球の衝突による異音の発生等も抑えるようになっている。
【0021】
そして前記遊技盤Dには、図2および図4に示すように、中央に大きな貫通口14が形成され、前後に開口して遊技演出領域とされる表示窓口41が形成された枠状装飾部材40が、該貫通口14の開口縁に配設されている。この枠状装飾部材40は、図柄表示装置H(後述)で行なわれる遊技内容に合わせた装飾が前部に施されていると共に、遊技盤Dの前面より前方へ突出して前記表示窓口41を囲繞するように形成された庇部42を備えている。そして、実施例のパチンコ機Pでは、前記枠状装飾部材40の庇部42と前記盤面飾り部材13の凹状に形成されたレール部13Aとの間に、パチンコ球の通過が可能な幅の流下経路15が画成されている。すなわち、前記操作ハンドルGの操作量を増加させて打球発射装置を所謂「右打ち状態」に変更して、遊技領域10の右上部に打ち出されたパチンコ球は、枠状装飾部材40の右側部分に沿いながら前記流下経路15に沿って下方へ移動し、遊技領域10の右下方へ流下し得るように構成されている。なお、前記枠状装飾部材40の表示窓口41には、前記設置部材30に着脱可能に配設された図柄表示装置Hの表示部H1や、該設置部材30の前側に配設される装飾部材35および第1〜第3の各可動演出装置36,37,38等が、パチンコ機Pの前側から視認可能に配設されている。
【0022】
また前記遊技盤Dには、前記貫通口14の真下において、該遊技盤Dの左右中央に第1装着口(図示せず)が開設され、該貫通口14の右下方(第1装着口16の右側)に第2装着口(図示せず)が開設されると共に、前記第1装着口の左側に第3装着口(図示せず)が開設されている。前記第1装着口には始動入賞装置20が前側から配設され、前記第2装着口には特別入賞装置21が前側から配設されると共に、第3装着口には3つの入賞口22Aが左右に配列された普通入賞具22が配設されている。すなわち前記特別入賞装置21は、前記枠状装飾部材40の右側に形成された前記流下経路15の下方に位置している。なお、遊技盤Dの前面における前記遊技領域10内には、図2に示すように、多数の球案内釘23や回転球案内具25等が配設されている。
【0023】
前記始動入賞装置20、特別入賞装置21および普通入賞具22には、各々に入賞したパチンコ球を検知する球検知スイッチ(図示省略)が個別に配設され、各球検知スイッチからの球検知信号は、前記設置部材30の後側に取り付けられて当該パチンコ機Pを総合的に制御する主制御装置(図示せず)に送出される。前記主制御装置は、前記始動入賞装置20の球検知スイッチからの検出信号を受けると、大当たり抽選を行なうと共に、前記設置部材30の後側に取り付けられた統括制御装置(図示せず)に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置(図示せず)に制御信号を出力して、球払出装置(図示せず)に所定数の賞球を払い出させる。そして、前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として大当たりが発生する場合には、図柄表示装置Hの表示部H1での図柄変動演出の後に、該表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示され、前記特別入賞装置21の開閉扉21Aが開放位置に姿勢変位して多数のパチンコ球の入賞が可能となる。また主制御装置は、前記特別入賞装置21の球検知スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。更に主制御装置は、前記普通入賞具22の球検知スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0024】
(設置部材)
遊技盤Dの裏側に配設される前記設置部材30は、図3に示すように、前方に開放する略矩形のバケット状に一体成された合成樹脂製の部材であって、前側の開放端を遊技盤Dの後面に突き合わせて該遊技盤Dに取り付けられる。この設置部材30は、遊技盤Dの後面に対して後方から所要の間隔で対向して該遊技盤Dの後面を構成する設置壁部31と、この設置壁部31の周縁から前方へ延出形成された外周壁部32と、この外周壁部32の前端から外方に向けて屈曲形成された縁板部(図示せず)等を備えている。すなわち設置部材30は、外周壁部32で囲われて遊技盤D側に開放する前部開口が矩形状に形成されると共に、縁板部の外周縁が、遊技盤Dの外周縁より一回り小さい形状および大きさで形成されている。このような設置部材30は、縁板部を遊技盤Dの後面にネジ止めすることで該遊技盤Dに固定され、遊技盤Dの後面から離間した設置壁部31の前側に空間SPを画成して、前記装飾部材35や、前記第1〜第3の各可動演出装置36,37,38等が配設されている。
【0025】
(緩衝突部)
実施例のパチンコ機Pでは、図2、図3および図6に示すように、前記緩衝部材19の下方において、前記盤面飾り部材13の右側においてレール部13Aに隣接して位置して前記流下経路15に臨むように配設された緩衝突部(緩衝部)60,65を備えている。しかも、前記流下経路15において、該流下経路15が右下方へ下向きに延在している部分と、該流下経路15が略真下を向いて延在している部分と夫々に、複数(実施例では2つ)の緩衝突部(以降、上方の緩衝突部を「第1緩衝突部60」、下方の緩衝突部を「第2緩衝突部65」という)が設けられており、前記第1緩衝突部60および第2緩衝突部65は、該流下経路15におけるパチンコ球の流下方向へ間隔をおいて位置している。
【0026】
(第1緩衝突部)
前記第1緩衝突部60は、図5および図6に示すように、前記流下経路15に突出した球接触面61を備えている。第1緩衝突部60は、前記盤面飾り部材13のレール部13A側から前記枠状装飾部材40の側へ三角状に突出した形状に形成され、前記球接触面61は略垂直下方に延在する平面状に形成されている。ここで流下経路15は、前記第1緩衝突部60が形成された部分においては右下方へ延在しているから、前記球接触面61は、流下経路15の流下方向下流側に行くに従って該流下経路15へ徐々に突出するように形成されている。
【0027】
(第2緩衝突部)
前記第2緩衝突部65は、図5および図6に示すように、前記流下経路15に突出した球接触面66を備えている。第2緩衝突部65は、前記盤面飾り部材13のレール部13A側から前記枠状装飾部材40側へ半円弧状に突出した形状に形成され、前記球接触面66は、流下経路15の流下方向下流側に行くに従って該流下経路15へ徐々に突出して徐々に後退する曲面状に形成されている、
【0028】
従って、前記第1緩衝突部60および第2緩衝突部65は、各球接触面61,66を前記流下経路15に突出させた状態で配設されているため、該流下経路15を下方へ移動するパチンコ球が各球接触面61,66の各々に衝突するようになり、該パチンコ球が流下する勢いを低減することが可能となっている。すなわち、実施例のパチンコ機Pでは、図6に示すように、右打ち状態で打ち出されたパチンコ球の勢いが、前記緩衝部材19に衝突することで一次的に低減され、該緩衝部材19に衝突した後に流下経路15を下方へ移動する当該パチンコ球の勢いが、前記第1緩衝突部60に衝突することで更に低減され得ると共に、第2緩衝突部65に衝突することで更に低減されるため、勢いが増すことを確実に防止するように構成されている。
【0029】
また前記枠状装飾部材40は、図4および図5に示すように、前記庇部42の後端から該庇部42の側外方へ延出して、先端が前記盤面飾り部材13のレール部13Aに対向する取付板部(板部43)が、該庇部42に一体的に形成されている。この取付板部43は、枠状装飾部材40を貫通口14に装着した際に、該取付板部43の裏面が前記遊技盤Dの前面に当接するようになっており、該取付板部43に形成したネジ孔を介して遊技盤Dにネジをねじ込むことで、当該枠状装飾部材40が該遊技盤Dに固定されるようになっている。すなわち前記取付板部43は、庇部42から前記流下経路15に臨むと共に該流下経路15に沿って右下へ細長く延在するように形成されており、該流下経路15へ流入したパチンコ球は、該取付板部43の前面に沿って下方へ移動するようになっている。そして、前記取付板部43の前面43Aは、所要の凹凸模様に形成された意匠面となっており、流下経路15を下方へ移動するパチンコ球が該前面43Aに接触することで、流下の勢いが低減され得るようになっている。
【0030】
そして、前記第1緩衝突部60および第2緩衝突部65は、図4および図5に示すように、前記枠状装飾部材40の庇部42から側外方へ延出した前記取付板部43の外縁側に、前方へ突出するように設けられている。すなわち、第1緩衝突部60および第2緩衝突部65は、遊技盤Dに装着前の枠状装飾部材40の取付板部43に一体的に形成されており、該枠状装飾部材40を遊技盤Dに固定することで、各緩衝突部60,65も遊技盤Dの前面に配設されるようになっている。なお、第1緩衝突部60および第2緩衝突部65は、前記取付板部43と別部材として別に形成されて、枠状装飾部材40を遊技盤Dに組み付ける前の適時に該取付板部43に組み付けるようにしてもよい。また、第1緩衝突部60および第2緩衝突部65を取付板部43と別部材として構成する場合には、該緩衝突部60を枠状装飾部材40とは別の材料、例えばゴムやウレタン等の弾力性を有する部材から形成することが可能である。
【0031】
前記第1緩衝突部60および第2緩衝突部65は、図6に示すように、その球接触面61と前記庇部42の外面との間隔Sが、前記パチンコ球の直径よりは大きく、かつ該パチンコ球の直径の2倍より小さくなるように設けられている。また、このような条件のもとで、前記庇部42における前記緩衝突部60の球接触面61と相対する部位には、該緩衝突部60から離間する方向へ窪む窪み部44が設けられている。そして、前記枠状装飾部材40の庇部42と前記盤面飾り部材13のレール部13Aとの間隔も、前記パチンコ球の直径よりは大きく、かつ該パチンコ球の直径の2倍より小さくなるように設けられている。従って、流下経路15を下方へ移動する途中で前記第1緩衝突部60の球接触面61および第2緩衝突部65の球接触面66に衝突したパチンコ球は、庇部42に設けた窪み部44の側、すなわち流下方向と交差する方向へ移動して庇部42に適宜接触するようになり、流下経路15を流下する勢いが増すのを好適に抑え得るようになっている。なお、庇部42における第2緩衝突部65に相対する部分の前側には、湾曲した飾り部材46が前側に配設されており(図2、図6参照)、該庇部42に設けた窪み部44は、図6において破線で示すように位置している。
【0032】
更に、図5および図6に示すように、前記庇部42の前記流下経路15に臨む外面において、パチンコ球の流下方向において離間する第1緩衝突部60と相対する部位および第2緩衝突部65と相対する部位の中途に、該流下経路15に向けて突出して該パチンコ球が接触可能な突部45が設けられている。これにより、前記流下経路15を下方へ移動するパチンコ球は、前記第1緩衝突部60の球接触面61に衝突することで前記庇部42側へ移動し、前記突部45に接触することで前記盤面飾り部材13のレール部13A側へ移動し、更に前記第2緩衝突部65球接触面66に再び衝突するようになる。すなわちパチンコ球は、流下経路15を下方へ移動する際に、枠状装飾部材40の庇部72側と盤面飾り部材13のレール部13A側とに所謂千鳥状に左右へ振られるようになり、勢いが適切に減少して流下速度が増加することが抑えられるようになっている。
【0033】
(ゲート部材)
そして、実施例の遊技盤Dでは、図2、図3および図6等に示すように、前記枠状装飾部材40の右側において前記第2緩衝突部65の下方に、球検出機能を備えたゲート部材70が配設されている。前記ゲート部材70は、流下経路15を通過したパチンコ球だけが通過するように構成されており、該パチンコ球が通過してこれを検出した場合には球検出信号を主制御基板へ送出する。そして主制御基板は、前記ゲート部材70からの球検出信号を受けると所定の抽選を行ない、その抽選結果が所定の条件を満たした場合には、前記始動入賞装置20の入賞口20Aに配設した開閉体を開閉動作させる。
【0034】
また、図2に示すように、前記ゲート部材70の下流部分には、左下方へ斜めに延在して下端が前記特別入賞装置21の上方に位置するガイドレール部50が形成されている。従って、流下経路15を流下して勢いが低減されたパチンコ球は、前記ゲート部材70を通過した後に、前記ガイドレール部50に沿って左下方に案内されて、勢いが低減された状態で前記特別入賞装置21における水平前方へ開放した開閉扉21Aの上面に落下するようになっている。
【0035】
(実施例の作用)
実施例のパチンコ機Pは、前述したように、操作ハンドルGにより発射操作を行なうことで打球発射装置が作動し、上球皿E内に貯留された各パチンコ球が、遊技盤Dの遊技領域10内へ所定間隔で打ち出される。大当たり条件が発生する前では、打球発射装置の打ち出し強さを調節して、遊技領域10へ打ち出された各パチンコ球が該遊技領域10における前記枠状装飾部材40の左側部分を流下するようにする。前記枠状装飾部材40の左側部分に打ち出されたパチンコ球は、前記球案内釘23や回転球案内具25等に接触しながら流下し、該パチンコ球の一部は、前記始動入賞装置20の始動入賞口20Aや普通入賞具22の入賞口22Aに入賞する。そして、前記始動入賞装置20にパチンコ球が入賞して、該始動入賞装置20の球検出スイッチからの検出信号を前記主制御装置が受信すると、該主制御装置は、大当たり抽選を行なう一方、統括制御装置に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置に制御信号を出力して、球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0036】
前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として、所定の大当たり条件が成立して特別遊技状態が発生した場合には、図柄表示装置Hの表示部H1での図柄変動演出の後に、該表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されると共に、前記特別入賞装置21の開閉扉21Aを開放させ、該特別入賞装置21に対してパチンコ球が入賞可能となる。
【0037】
前述のように、特別遊技状態が発生して特別入賞装置21の開閉扉21Aが開放したら、該特別入賞装置21に対するパチンコ球の入球確率を高めて特別遊技状態の遊技時間を短縮するため、前記操作ハンドルGを操作量を変更して打球発射装置の打ち出し強さを増加させて「右打ち状態」に変更する。これにより、打球発射装置から発射されたパチンコ球は、勢いよく遊技領域10へ打ち出されるが、前記緩衝部材19に衝突することで一次的にその勢いが低減される。そして、前記緩衝部材19に衝突したパチンコ球は、勢いがある程度に低減した状態で、枠状装飾部材40の庇部42と盤面飾り部材13のレール部13Aとの間に画成された前記流下経路15に向けて流下する。
【0038】
流下経路15へ流下したパチンコ球は、先ず、前記第1緩衝突部60の球接触面61に衝突するので、該球接触面61に衝突した後に枠状装飾部材40の庇部42側へ跳ねるようになり、勢いが更に低減される。そして、第1緩衝突部60に衝突したパチンコ球は、流下経路15を下方へ移動する途中で前記庇部42に設けた突部45に接触することで、盤面飾り部材13のレール部13A側へ適宜跳ねた後、前記第2緩衝突部65の球接触面66に衝突するようになる。また、流下経路15を流下するパチンコ球は、前記取付板部43の前面43Aに接触することによっても、その勢いが低減するようになる。
【0039】
そして、第2緩衝突部65の球接触面66に衝突したパチンコ球は、更に勢いが低減された状態で、流下経路15の下方に配設した案内釘に接触した後に、前記ゲート部材70の上方へ案内される。そして、前記ゲート部材70を通過したパチンコ球は、前記ガイドレール部50に沿って左下方に案内された後に、前記特別入賞装置21に向けて勢いが低減した状態で流下するようになる。前記開閉扉21A上に落下したパチンコ球は、その殆どが特別入賞装置21へ入賞し、該特別入賞装置21に配設された球検出スイッチで検出される。
【0040】
従って、実施例のパチンコ機Pによれば、打球発射装置により遊技領域10へ打ち出したパチンコ球は、緩衝部材19に衝突してその勢いが一次的に低減され、更に流下経路15に臨むように設けた各緩衝突部60,65に衝突することで更に勢いが低減されるから、流下経路15を勢いが低減された状態で流下してゲート部材70に案内される。しかも、流下経路15の流下方向に離間して第1緩衝突部60および第2緩衝突部65を設けたので、流下経路15を流下するパチンコ球の勢いが増すのを好適に防止し得る。従って、流下経路15に配設された遊技部品や、該流下経路15の下方に配設された前記ゲート部材70や特別入賞装置21の開閉扉21Aに対して勢いよくかつ激しく落下して衝突することが防止され、これらゲート部材70や該特別入賞装置21等の破損や損耗および故障の発生を好適に防止し得る。
【0041】
また、前記枠状装飾部材40の庇部42と第1緩衝突部60の球接触面61,66との間隔Sや、該庇部42と第2緩衝突部65の球接触面66との間隔Sを、パチンコ球の直径より大きくかつ直径の2倍より小さく設定してあるから、該パチンコ球は、流下経路15を流下する際に各緩衝突部60,65に確実に衝突するようになり、庇部42と該緩衝突部60との間を勢いが低減された状態で流下する。従って、パチンコ球が勢いよく庇部42の外面に衝突することが回避され、該庇部42の破損や損耗を防止し得る。
【0042】
また、枠状装飾部材40の庇部42の後端に設けた取付板部43に、第1緩衝突部60および第2緩衝突部65が設けられているから、該枠状装飾部材40を遊技盤Dに装着することで各緩衝突部60,65が該遊技盤Dに対して適切な位置に取付けることができると共に、該緩衝突部60,65の取付作業を省略することができる。しかも、取付板部43を設けた位置に各緩衝突部60,65を設けることができるので、該取付板部43を設ける位置を変更することにより緩衝突部60,65を設ける位置を自由に設定することができる。
【0043】
更に、前記庇部42の外面には、前記緩衝突部60と相対する部位に窪み部44を設けてあるので、流下経路15を流下するパチンコ球が、緩衝突部60の球接触面61に衝突する際に該庇部42側へ移動し易くなっている。従ってパチンコ球は、緩衝突部60の球接触面61に衝突すると、流下経路15の流下方向と交差する方向へ跳ねるようになり、該流下経路15を流下する際の勢いが増すのを好適に防止し得る。
【0044】
更にまた、前記庇部42の前記流下経路15に臨む外面において、遊技球の流下方向において離間する第1緩衝突部60と相対する部位および第2緩衝突部65と相対する部位の中途に、該流下経路15に向けて突出した突部45を設けたので、流下経路15を流下する遊技球は、流下方向と交差する方向へ何度も跳ねて移動するようになるから、該パチンコ球の流下する勢いをより確実に低減することができる。
【0045】
(変更例)
本発明に係る遊技機は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)実施例では、流下経路15に臨む部位に、該流下経路15の流下方向に離間して第1緩衝突部60および第2緩衝突部65を設けた場合を例示したが、該緩衝突部の配設数は、2つに限定されるものではなく、1つ、または3つ以上であってもよい。
(2)実施例では、枠状装飾部材40に設けた取付板部43に各緩衝突部60,65を一体に形成した形態を例示したが、該緩衝突部60,65は、取付板部43と別部材として別体に形成して、該取付板部43に取り付けるように構成したものであってもよい。
(3)前記各緩衝突部60,65は、流下経路15に臨む前記盤面飾り部材13のレール部13Aに、該流下経路15に突出するように該盤面飾り部材13に設けるようにしてもよい。この場合、緩衝突部60は、盤面飾り部材13に一体に形成してもよいし、該盤面飾り部材13とは別部材として別体に構成して、該盤面飾り部材13のレール部13Aに取付けるようにしてもよい。
(4)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 遊技領域,11 外レール(レール部),12 内レール(レール部)
13 盤面飾り部材,15 流下経路,19 緩衝部材,40 枠状装飾部材(装飾部材)
42 庇部,43 取付板部(板部),44 窪み部,45 突部,60 緩衝突部(緩衝部)
D 遊技盤,S 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール部により遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤と、前記遊技盤に配設されて前記遊技領域の内側に位置する装飾部材とを備え、前記遊技領域には、前記装飾部材の側方に球の流下経路が形成され、前記遊技領域内へ打ち出された遊技球が前記流下経路を通って流下する遊技機において、
前記遊技領域における前記遊技球の打ち出し側と反対側の上部に設けられ、該遊技領域に打ち込まれた前記遊技球が衝突することで該遊技球の勢いを低減させる緩衝部材と、
前記緩衝部材の下方において前記レール部側に位置して前記流下経路に臨むように配設され、該緩衝部材に衝突した遊技球が衝突することで該遊技球の勢いを更に低減させる緩衝部とを備えた
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記装飾部材は、前記遊技盤の前面より前方へ突出して前記流下経路に臨む庇部を備え、
前記緩衝部は、その球接触面と前記庇部の外面との間隔が、前記遊技球の直径より大きく該直径の2倍より小さくなるように配設されている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記装飾部材は、前記庇部の後端に、前記遊技盤の前面に沿って側外方へ延出する板部を備え、
前記緩衝部が、前記板部から前方へ突設されている請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記庇部の前記緩衝部と相対する部位には、該緩衝部から離間する方向へ窪む窪み部が設けられている請求項2または3記載の遊技機。
【請求項5】
前記緩衝部は、前記流下経路における遊技球の流下方向へ間隔をおいて複数設けられている請求項1〜4の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記庇部の前記流下経路に臨む外面において、遊技球の流下方向において離間する上方の緩衝部と相対する部位および下方の緩衝部と相対する部位の中途に、該流下経路に向けて突出して該遊技球が接触可能な突部が設けられている請求項5記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−102975(P2013−102975A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249023(P2011−249023)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】