説明

遊技機

【課題】回路基板の転用などの不正行為を防止でき、かつ、配線パターンが同一の回路基板の共用化も可能となる遊技機を提供する。
【解決手段】絶縁性のベース基板571上に配線として導電パターンが形成された回路基板(主基板535)を備え、回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機において、回路基板を特定可能な識別標識を複数形成し(識別標識581,582)、複数形成された識別標識のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に除去し、除去されていない前記特定するための識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別標識を回路基板上に表示した遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やパチスロ機等の遊技機は、遊技制御基板或いは主基板などと呼ばれる回路基板を有し、この主基板によって遊技の進行等を含む遊技に関する制御が行われている。この主基板は、絶縁性のベース基板上に所定の配線パターンを形成し、CPU、遊技プログラム等を記憶するためのROM、及びデータの一時記憶用のRAM等を内蔵した遊技機用マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)などの電子部品を実装したものである。
【0003】
この主基板のような回路基板は、他の遊技機で使用していたもの(例えば、配線パターンが同一でも、遊技プログラムが異なる主基板等)を転用できると、不正に賞球を獲得するなどの不正行為に利用できる恐れがある。そのため、このような不正を発見可能とすべく、前記回路基板には、この回路基板を特定するために、各種の識別標識が表示される。例えば、その回路基板を使用する遊技機の製造業者を特定する識別標識や、その回路基板を使用する遊技機の機種を特定する識別標識(管理番号)等が、前記回路基板には表示される。
【0004】
ところで、前記回路基板上に表示された識別標識が容易に消去可能であると、前述した不正行為を発見することが困難となる。例えば、識別標識がベース基板の表面にシルク印刷等の方法で形成されている構成では、適正な識別標識を消去し、異なる識別標識を新たに形成して回路基板を転用するなどの不正行為が、発見されることなくできてしまう虞がある。特に、配線パターン等が同一であれば、遊技プログラムが異なっていても、識別標識が変えられてしまうことで、外観の区別がつかなくなってしまうので、前記不正行為が発見困難となる。
【0005】
そこで識別標識も、配線パターンと同様に、回路基板の導体層によって形成し、絶縁皮膜(保護膜)で覆うようにした回路基板が、特許文献1で公開された。この回路基板であると、ベース基板上に識別標識を配線パターン同様にプリントし、ベース基板を全面的に絶縁皮膜で覆っているので、後から識別標識を簡単に消すことができなくなる。これによって、他の遊技機で使用されていた類似の主基板が転用や改造された場合には、識別標識を確認することによってその転用や改造などの不正を容易に発見し、不正防止を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−299553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、識別標識を簡単に消去できないと、識別標識を除く回路基板のハード構成が同一であっても、遊技機の機種等が異なって識別標識が異なれば、回路基板を同一のものとして使用できなくなり、生産性等が悪いという問題がある。というのは、近年のパチンコ機等は、液晶表示装置を制御するサブ制御基板がスピーカやランプ類や装飾用の可動部などを制御しており、主基板は、サブ制御基板へ制御コマンドを送ることで前記可動部などを間接的に制御している。このため、主基板の配線パターンなどのハード構成は機種が異なっても同じであり、遊技機用マイコンに機種毎の遊技プログラムをインストールすることによって、技術的には主基板を機種が異なっても共用できる。ところが、機種等によって異なる識別標識が消去できないと、この識別標識の違いだけで回路基板の共用化ができなくなる。
【0008】
特に近年は、遊技機の製造業者が、遊技機の販売戦略として、グループ企業によるセカンドブランドの製造業者登録を行い、グループの中核をなす製造業者ブランドの遊技機の方向性と、セカンドブランドの遊技機の方向性を相違させ、販路を広げている。このようなグループ企業においては、共通使用可能な回路基板を相違するブランド(製造業者)・機種においても使用可能であるが、前述した不正防止のために識別標識を相違するブランド(製造業者)・機種毎に表示しなければならず、配線パターンなどが同一で互いに共有可能であるにも拘わらず、相違するブランド(製造業者)・機種ごとに回路基板を作成することになってしまい、効率的ではなく生産性が悪い。共用化できれば、使い回しが可能となり在庫による廃棄を抑制でき、また大量生産が可能となりコストを抑えることもできるが、それが実現できていない。
【0009】
そこで本発明は、回路基板の転用などの不正行為を防止でき、かつ、配線パターンが同一の回路基板の共用化も可能となる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の遊技機は、
絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機において、
前記回路基板を特定可能な識別標識を前記回路基板に複数形成し、
該複数形成された識別標識のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に除去し、除去されていない前記特定するための識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、識別標識は、回路基板に、導電パターンによって、また導電パターンからベース基板面を臨ませることによって明示しているので、識別標識が簡単に消去できないことを担保させることができる。しかも、この担保された状態で、複数形成された識別標識のうち、回路基板を特定するための識別標識が残され、回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に除去し、除去されていない識別標識によって回路基板が特定されることで、回路基板の共通利用を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パチンコ機の前面側斜視図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤の前面図である。
【図3】パチンコ機の裏面図である。
【図4】パチンコ機の遊技盤の裏面図である。
【図5】パチンコ機の制御系(主に遊技制御装置)を示すブロック図である。
【図6】パチンコ機の制御系(主に演出制御装置)を示すブロック図である。
【図7】(a)は遊技制御装置の斜視図であり、(b)は同装置の後面図である。
【図8】遊技制御装置(ベース部材、主基板、蓋部材)の分解斜視図である。
【図9】蓋部材の後面側(外面側)を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は後面図である。
【図10】蓋部材の前面側(内面側)を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は前面図である。
【図11】(a)は主基板の斜視図であり、(b)は主基板の平面図である。
【図12】ベース部材の後面側(内面側)を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は後面図である。
【図13】ベース部材の前面側(外面側)を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は前面図である。
【図14】タグカバーを示す図であり、(a)は後側斜視図、(b)は前側斜視図、(c)は後面図、(d)は前面図である。
【図15】主基板の識別標識の部分を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は斜視図である。
【図16】主基板の識別標識の部分を示す図であり、(a)は平面図(一方の除去有り)、(b)は斜視図(一方の除去有り)、(c)は平面図(他方の除去有り)、(d)は斜視図(他方の除去有り)である。
【図17】主基板の識別標識(ベース基板面を臨ませる態様)の部分を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は斜視図である。
【図18】主基板の識別標識(ベース基板面を臨ませる態様)の部分を示す図であり、(a)は平面図(一方の除去有り)、(b)は斜視図(一方の除去有り)、(c)は平面図(他方の除去有り)、(d)は斜視図(他方の除去有り)である。
【図19】主基板の識別標識(長辺側と短辺側に配置した態様)の部分を示す図であり、(a)は平面図(除去無し)、(b)は平面図(短辺側の除去有り)、(c)は平面図(長辺側の除去有り)である。
【図20】主基板の識別標識(3個ある態様)の部分を示す平面図であり、(a)は除去無しの場合、(b)〜(d)は特定の識別標識を除いて除去有りの場合である。
【図21】主基板の識別標識の部分を示す図であり、(a)は平面図(隠蔽無し)、(b)は平面図(隠蔽有り)、(c)は断面図(隠蔽有り)、(d)は斜視図(隠蔽有り)である。
【図22】主基板の識別標識の部分を示す図であり、(a)は平面図(一方の隠蔽有り)、(b)は断面図(一方の隠蔽有り)、(c)は平面図(他方の隠蔽有り)、(d)は断面図(他方の隠蔽有り)である。
【図23】主基板の識別標識(ベース基板面を臨ませる態様)の部分を示す図であり、(a)は平面図(一方の隠蔽有り)、(b)は斜視図(一方の隠蔽有り)、(c)は平面図(他方の隠蔽有り)、(d)は斜視図(他方の隠蔽有り)である。
【図24】主基板の識別標識(長辺側と短辺側に配置した態様)の部分を示す図であり、(a)は平面図(隠蔽無し)、(b)は平面図(短辺側の隠蔽有り)、(c)は平面図(長辺側の隠蔽有り)である。
【図25】主基板の識別標識(3個ある態様)の部分を示す平面図であり、(a)は隠蔽無しの場合、(b)〜(d)は特定の識別標識を除いて隠蔽有りの場合である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例1として、パチンコ機の主基板に適用した場合の形態例を、図面を参照して説明する。
本実施例1は、主基板(遊技制御装置の回路基板)に複数形成した識別標識のうち、当該主基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に除去し、除去しない前記識別標識によって当該主基板を特定可能とさせたものである。
【0014】
A.パチンコ機の正面構成
最初に、図1によって本例のパチンコ機の全体構成について説明する。図1は本例のパチンコ機1の前面側斜視図である。
パチンコ機1は、当該パチンコ機1が設置される島に対して固定される機枠2と、この機枠2にヒンジ部3において回動可能に軸支されることによって、機枠2に対して開閉自在とされた前面枠4とを備える。この前面枠4には、遊技盤20(図2に示す)が取り付けられている。
【0015】
また前面枠4には、その前面上側を覆うようにガラス枠5が開閉自在に取付けられている。なお、このガラス枠5により保持されるガラス板(透明のプラスチックボードでもよい、符号は省略)を介して、遊技盤20の後述する遊技領域22が前面から視認可能となっている。またガラス枠5は、ヒンジ部3において前面枠4に開閉可能に軸支されている。そして、このガラス枠5の下側には、操作パネル6が前面枠4に対して固定状態に設けられている。
ここで、前面枠4は遊技枠という名称で呼称され、ガラス枠5は前枠という名称で呼称されることもあるが、本実施例では前面枠4、ガラス枠5で説明している。
なお、通常、パチンコ機1には遊技媒体貸出装置としてのCRユニット(カード式球貸制御ユニット)が併設されるが、ここでは図示を略している。
【0016】
図2に示すように、遊技盤20は、板状の基材(いわゆるベニア)の前面に遊技釘を植設したもので、その前面の略円形領域がガイドレール21で囲まれることにより遊技領域22が形成されたものである。遊技領域22は、打ち込まれた遊技球を上方から落下させつつアウトあるいはセーフの判定(入賞したか否かの判定)を行う領域であり、入賞口に遊技球が入って有効にセーフとなる場合は、所定数の遊技球がガラス枠5の下部に設けられた上皿7に排出される(即ち、賞球として排出される)構成となっている。
また、前面枠4の開閉側(図1において右側)の縁部には、前面枠4及びガラス枠5の施錠装置(図示省略)の鍵挿入部8が形成されている。
【0017】
また、ガラス枠5の下部に設けられた上皿7は、賞球として又は貸球として排出された発射前の遊技球を一時保持するものである。この上皿7には、遊技者が操作する押ボタン式の演出ボタン9が設けられている。
また、操作パネル6には、上皿7の遊技球を遊技者の操作によって移すことができる下皿10と、遊技球の発射操作を行う発射操作ハンドル11とが設けられている。
また、図1において符号12a、12bで示すものは、効果音等を出力するスピーカである。このうち符号12aは、ガラス枠5の上部左右両側に設けられた上スピーカである。また符号12bは操作パネル6の左端部(下皿10の左側)に設けられた下スピーカである。
【0018】
また図1において、符号13で示すものは、ガラス枠5の前面に設けられたLED(発光ダイオード)を発光原とする装飾ランプであり、符号14で示すものは、ガラス枠5の上部左右両側前面に設けられたムービングライトである。図示省略しているが、ムービングライト14は、発光原としてLEDを備え、駆動原としてモータを備えている。ここで、装飾ランプ13とムービングライト14は図6に示す枠装飾装置43を構成し、またムービングライト14は図6に示す枠演出装置45も構成する。
【0019】
B.遊技盤の前面構成
図2において、符号21は遊技盤20のガイドレールであり、既述したように、遊技盤前面の略円形領域がこのガイドレール21で囲まれることにより遊技領域22が形成されている。
遊技領域22には、図2に示すように、アウト球流入口23、センターケース24、第1始動入賞口25、普通電動役物(普電)としての第2始動入賞口26、変動入賞装置27、一般入賞口28〜31、普図始動ゲート(図示省略)、多数の遊技釘(図示省略)などが設けられている。また、遊技盤20の遊技領域22外には、一括表示装置35(図5に示す。図2では図示省略)が設けられている。なお遊技釘は、遊技領域22の上部に飛入した遊技球がこれに当たりながら流下するものであり、センターケース等の取付部分を除いた遊技領域内に複数本植設されている。
【0020】
センターケース24は、遊技盤20の裏側に取り付けられる表示装置41(図6に示す)の表示部41a(図2に示す)の前面周囲を囲む部材である。図示省略しているが、このセンターケース24には、演出又は装飾のためのLEDを発光源とするランプ類や、例えば表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物(モータやソレノイドなどの駆動源によって作動する可動部を有する役物)が設けられている。
なお、演出又は装飾のためのランプ類は、遊技盤20のセンターケース24以外の部分(遊技領域22外でもよい)にも設けられる。なお、遊技盤20(センターケース24含む)に設けられた演出又は装飾のためのランプ類は、盤装飾装置42(図6に示す)を構成している。また、センターケース24に設けられた電動役物は、盤演出装置44(図6に示す)を構成している。なお、盤演出装置44を構成する電動役物は、遊技盤20のセンターケース24以外の箇所に設けられてもよい。
【0021】
表示装置41は、例えば液晶表示装置を含んで構成され、通常、変動表示装置と称されるものである。
表示装置41は、数字や文字などの識別情報(特図という)を表示可能な表示部41a(画面)を有し、複数列の特図を表示可能である。例えば、左側と中央と右側に特図を縦3列に表示し、各列において数字や文字等よりなる特図を停止状態で表示(停止表示)したり、あるいは変動状態(例えば、縦方向にスクロールする状態)で表示(即ち、変動表示)したりすることが可能である。
また表示部には、上記特図とは別個に背景画像やキャラクタ画像などの演出用又は情報報知用の画像、或いは、いわゆる普図に相当する画像が表示可能である。なお、特図とは大当りに関連する変動表示ゲームで変動表示される識別情報であり、普図とは普図当り(大当りではない)に関連する変動表示ゲームで変動表示される識別情報である。
【0022】
また始動入賞口25,26は、後述するように特図の始動入賞口として機能する入賞口であり、本例では図2に示すように上下に並んで配設されている。上側の第1始動入賞口25は常に開口している。下側の第2始動入賞口26は、開閉部材26aを左右両側に有し、これら開閉部材26aが逆ハの字状に開くと入賞可能になり、図2に示すようにこれら開閉部材26aが閉じていると入賞不可能である。これら始動入賞口25,26は、センターケース24の中央部下方に配置されている。
また変動入賞装置27は、開閉部材27bによって開閉される大入賞口27aを有する装置(いわゆるアタッカー)である。この大入賞口27aは、後述する大当りになったことを条件として開放されて遊技球が入賞可能となる。
【0023】
次に一括表示装置35(図5に示す)は、いわゆる普図の表示や特図の表示、さらには特図や普図の始動記憶の保留表示(場合により、特図保留表示、普図保留表示という)や、遊技状態の表示を行うものであり、例えばLEDを発光源とする複数の表示器(例えば、1個の小さなランプよりなる表示器、或いは本特図としての数字等を表示可能な例えば7セグメントの表示器)によって構成される。なお、始動記憶の保留表示(場合により、単に始動記憶表示という)とは、変動表示ゲームが未実施の状態で保留されている始動記憶の数等を報知するための表示であり、一般的には、始動記憶毎にランプ等の点灯によって表示する。即ち、始動記憶が3個有れば、3個のランプを点灯させたり、3個の図形を表示させたりすることによって行われる。
【0024】
なお、この一括表示装置35の表示器によって表示されるものが本特図や本普図(正式な特図や普図)であるのに対して、前述の変動表示装置41の表示部41a等で行われる特図や普図の表示は、遊技者向けの演出用のダミー表示である。このため、遊技者から見て特図や普図といえば、このダミー表示の方を指している。なお以下では、このダミー表示であることを強調する場合に、例えば「飾り特図」と表記する。
このように、この一括表示装置35は、遊技者向けのものではなく、遊技盤20の検査などで使用されるものである。例えば、遊技者向けの特図の始動記憶の表示(特図保留表示)は、例えば変動表示装置41の表示部41a、或いは遊技盤20に設けた複数のランプ(発光部)によって行われる。
【0025】
C.パチンコ機裏側の構成
次に図3は、本実施例のパチンコ機1の裏側全体構成を示す図である。また図4は、遊技盤20の裏面図である。
パチンコ機1における裏機構の主要な部品としては、貯留タンク81、誘導路82、払出ユニット83、外部情報端子板71、払出制御装置200、遊技制御装置100、演出制御装置300(図4に示す)、及び電源装置400などがある。
なお図4は、図3におけるカバー300aを取り外した状態を示している。カバー300aは、遊技盤20に取り付けられて演出制御装置300等を覆うカバーである。
【0026】
貯留タンク81は、払出される前の球を予め貯留しておくもので、この貯留タンク81の球数の不足は補給センサ(図示略)によって検出され、不足のときは島設備のシュートと呼ばれる機器から球が補給される。貯留タンク81内の球は誘導路82により誘導され、払出モータ(図示省略)を内蔵する払出ユニット83によって前述の上皿7に排出される。なお、払出ユニット83は、例えば払出モータの回転量に応じた球数の遊技球の排出が可能であり、この払出ユニット83によって上皿7に向けて払い出される遊技球は、払出球検出スイッチ(図示省略)によって検出される。
外部情報端子板71はパチンコ機1の各種情報をホールの管理装置に送る場合の中継端子基板としての機能を有するものである。
【0027】
払出制御装置200は、遊技球の払出(賞球払出と貸球払出の両方)に必要な制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。この払出制御装置200は、遊技制御装置100から送信される払出制御コマンド等(賞球払出しのコマンドやデータ)に基づき、前記払出ユニット83を制御して、所定数の遊技球を賞球として上皿7に排出させる賞球払出の制御を行う。また払出制御装置200は、前記CRユニットからの信号(貸球要求信号等)に基づいて、前記払出ユニット83を制御して、所定数の遊技球を貸球として上皿7に排出させる貸球払出の制御を行う。
遊技制御装置100は、遊技盤20に配設されているソレノイド等を制御するとともに、他の制御装置に制御情報(コマンド)を送って、遊技の進行を統括的に管理制御するものであり、これら制御を行うマイコンを含む回路が形成された回路基板(後述する主基板535)が、所定のケース(後述する基板ボックス534)内に収納された構成となっている(詳細後述する)。
【0028】
演出制御装置300は、遊技制御装置100から送信されるコマンドに基づき、前述の変動表示装置41や装飾ランプや演出装置やスピーカ12a、12bの制御を行うものであり(詳細後述する)、所定のケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。
【0029】
D.制御系の構成
次に、本例のパチンコ機1の制御系について、図5及び図6を参照して説明する。なお図や以下の説明において、「SW」はスイッチを意味する。パチンコ機1は、制御系の主な構成要素として、遊技制御装置100、払出制御装置200、演出制御装置300、及び電源装置400を備えている。
【0030】
(遊技制御装置関係)
まず、遊技制御装置100の構成と、この遊技制御装置100に接続される機器について、図5によって説明する。
遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置であって、後述する回路基板(主基板535、図8に示す)に形成された図5に示す回路よりなる。この遊技制御装置100は、図5に示すように、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110、入力ポートなどを有する入力部120、出力ポートなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
【0031】
上記CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン111と、後述する近接I/F121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路113などを有する。
遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111Cを備える。
【0032】
ROM111Bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に記憶し、RAM111Cは、遊技制御時にCPU111Aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM111B又はRAM111Cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
【0033】
CPU111Aは、ROM111B内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したり後述のソレノイド72,73や一括表示装置35の駆動信号を生成したりしてパチンコ機1全体の制御を行う。
また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、普図変動表示ゲームの当り判定用乱数等をハード的に生成するための乱数生成回路と、発振回路113からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU111Aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータと、を備えている。
【0034】
ここで、遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動される後述のソレノイド72,73などの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。
電源装置400は、24Vの交流電源から上記DC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V,DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータなどを有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAMに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部420と、停電監視回路や初期化スイッチを有し遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部430などを備える。
【0035】
この実施形態では、電源装置400は、遊技制御装置100と別個に構成されているが、バックアップ電源部420及び制御信号生成部430は、別個の基板上あるいは遊技制御装置100と一体、即ち、主基板上に設けるように構成してもよい。但し、遊技盤20及び遊技制御装置100は機種変更の際に交換の対象となるので、このように、電源装置400若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部420及び制御信号生成部430を設けることにより、機種変更の際の交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
【0036】
上記バックアップ電源部420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM111C)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAMに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、例えば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出したとして停電監視信号を変化させる(例えば、オンさせる)とともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。
【0037】
初期化スイッチ信号は、図示省略した初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン111内のRAM111C及び払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。なお本例の場合、初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は、制御システム全体をリセットさせる。
【0038】
次に、遊技制御装置100の入力部120には、入力ポートとして、第1入力ポート123と第2入力ポート122が設けられている。この入力部120には、第1始動口SW51(図5では始動口1SW)、第2始動口SW52(図5では始動口2SW)、ゲートSW53、入賞口SW54(図5では入賞口SW1〜N)、カウントSW55、磁気SW61、振動SW62、ガラス枠開放SW63、及び前面枠開放SW64からの検出信号が入力される。
ここで、ガラス枠開放SW63は、パチンコ機前面のガラス枠5が開放されていることを検出するセンサである。また前面枠開放SW64は、ガラス枠5が取り付けられた前面枠4が開放されていることを検出するセンサである。また磁気SW61や振動SW62は、前面枠4等に設けられ、磁気又は振動によって不正を検出するセンサである。
【0039】
また、第1始動口SW51は、前記第1始動入賞口25に入賞した遊技球を1個ずつ検出する入賞球検出用のセンサである。第2始動口SW52は、前記第2始動入賞口26に入賞した遊技球を検出する同様のセンサである。カウントSW55は、前記変動入賞装置27の大入賞口27aに入賞した遊技球を検出する同様のセンサである。また入賞口SW54は、一般入賞口28〜31に対してそれぞれ設けられた同様のセンサであり、一般入賞口がn個あるときには、それぞれに1個、全体としてn個設けられる。またゲートSW53は、前記普図始動ゲートを通過する遊技球を1個ずつ検出するセンサである。これら遊技球を検出するセンサであるSW51〜SW55は、本例では近接スイッチであり、ハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の検出信号を出力する。入力部120には、これらSW51〜SW55から入力される検出信号を0V−5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)121が設けられている。近接I/F121は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチ(SW51〜SW55)のリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常状態を検出でき、このような異常状態を検出すると異常検知信号を出力する構成とされている。また近接I/F121には、前記のような信号レベル変換機能を可能にするため、電源装置400から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されている。
【0040】
ここで、近接I/F121の出力(異常検知信号除く)はすべて第2入力ポート122へ供給されデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるとともに、主基板100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F121の出力のうち第1始動口SW51と第2始動口SW52の検出信号は、第2入力ポート122の他、反転回路112を介して遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。反転回路112を設けているのは、遊技用マイコン111の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、即ち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
【0041】
また、第2入力ポート122には、磁気SW61や振動SW62からの検出信号も入力されている。第2入力ポート122が保持しているデータは、遊技用マイコン111が第2入力ポート122に割り当てられているアドレスをデコードすることによりイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる(他のポートも同様)。第1入力ポート123のイネーブル信号はCE2である。
【0042】
一方、第1入力ポート123には、ガラス枠開放SW63や前面枠開放SW64からの信号、及び払出制御装置200からの信号が入力されている。そしてこれら信号は、第1入力ポート123からデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給されている。払出制御装置200からの信号には、払出異常を示すステータス信号、払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号がある。オーバーフロースイッチ信号は、下皿10に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号である。
【0043】
また入力部120には、電源装置400からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの信号を遊技用マイコン111等に入力するためのシュミットトリガ回路124が設けられており、シュミットトリガ回路124はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置400からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦第1入力ポート123に入力され、データバス140を介して遊技用マイコン111に取り込まれる。つまり、前述の各種SWからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン111に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
【0044】
一方、シュミットトリガ回路124によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン111に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部130の各ポート(後述するポート131,132,135,136,137)に供給される。また、リセット信号RSTは出力部130を介さずに直接中継基板70に出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板70のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板70を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。なお、リセット信号RSTは入力部120の各入力ポート122,123には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン111によって出力部130の各ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部120の各ポートから遊技用マイコン111が読み込んだデータは、遊技用マイコン111のリセットによって廃棄されるためである。
【0045】
次に、遊技制御装置100の出力部130は、データバス140に接続された出力ポートとして、第1ポート131、第2ポート132、第3ポート135、第4ポート136、及び第5ポート137を備える。なお、技制御装置100から払出制御装置200及び演出制御装置300へは、上記ポート131,132を介してパラレル通信でデータが送信される。
第1ポート131は、払出制御装置200へ出力する4ビットのデータ信号(例えば、賞球払出しのコマンドやデータ)と、このデータ信号の有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)と、バッファ133を介して演出制御装置300へ出力するデータストローブ信号SSTBとを生成する。
第2ポート132は、演出制御装置300へ出力する8ビットのデータ信号を生成する。
なおバッファ133は、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにするため、即ち、片方向通信を担保するために、第1ポート131からの上記データストローブ信号SSTB及び第2ポート132からの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファである。なお、第1ポート131から払出制御装置200へ出力する信号に対しても同様のバッファを設けるようにしてもよい。
【0046】
第3ポート135は、変動入賞装置27の開閉部材27bを開閉させるソレノイド(大入賞口ソレノイド)72や第2始動入賞口26の開閉部材26aを開閉させるソレノイド(普電ソレノイド)73の開閉データと、一括表示装置35のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための出力ポートである。
第4ポート136は、一括表示装置35に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための出力ポートである。
また第5ポート137は、大当り情報などパチンコ機1に関する情報を外部情報信号として外部情報端子71へ出力するための出力ポートである。なお、外部情報端子71から出力された情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や管理装置(図示省略)に供給される。
【0047】
なお出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。このバッファ134は遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ機1の遊技制御装置100(主基板)には実装されない部品である。なお、前記近接I/F121から出力される始動口SWなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ134を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。
【0048】
一方、磁気SW61や振動SW62のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工されて、例えば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、上記バッファ134から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
【0049】
また出力部130には、複数の駆動回路(第1ドライバ138a〜第4ドライバ138d)が設けられている。第1ドライバ138aは、第3ポート135から出力される大入賞口ソレノイド72や普電ソレノイド73の開閉データ信号を受けて、それぞれのソレノイド駆動信号を生成し出力する。第2ドライバ138bは、第3ポート135から出力される一括表示装置35の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する。第3ドライバ138cは、第4ポート136から出力される一括表示装置35の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する。また第4ドライバ138dは、第5ポート137から管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子71へ出力するものである。
【0050】
なお、第1ドライバ138aには、32Vで動作する各ソレノイド72,73を駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置400から供給される。また、前記セグメント線を駆動する第3ドライバ138cには、DC12Vが供給される。また前記デジット線を駆動する第2ドライバ138bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。なお一括表示装置35は、12Vを出力する第3ドライバ138cにより前記セグメント線を介して所定のLEDのアノード端子に電流が流し込まれ、接地電位を出力する第2ドライバ138bにより所定のLEDのカソード端子からセグメント線を介して電流が引き抜かれることで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて所定のLEDが点灯する。また第4ドライバ138dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。
【0051】
さらに、出力部130には、外部の検査装置450へ各遊技機の識別コードやプログラムなどの情報を送信するためのフォトカプラ139が設けられている。フォトカプラ139は、遊技用マイコン111が検査装置450との間でシリアル通信によってデータの送受信を行なえるように双方通信可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン111が有するシリアル通信端子を利用して行なわれるため、入力ポート122,123のようなポートは設けられていない。
なお本例の場合、遊技制御装置100を構成する後述の主基板535が、本発明の回路基板に相当し、この主基板に識別標識が複数形成されている(詳細後述する)。
【0052】
(演出制御装置関係)
次に、演出制御装置300の構成と、この演出制御装置300に接続される機器について、図6によって説明する。演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)311と、該1stCPU311の制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312と、該2ndCPU312からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)313と、各種のメロディや効果音などをスピーカ12a,12bから再生させるため音の出力を制御する音源LSI314を備えている。
【0053】
上記主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)321、322がそれぞれ接続され、VDP313にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM323が接続され、音源LSI314には音声データが記憶された音声ROM324が接続されている。
主制御用マイコン311は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111からの制御コマンド(前記第2ポート132から出力される8ビットのデータ信号)を解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ表示装置41の出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、前述した装飾装置42,43や演出装置44,45の駆動制御などの処理を実行する。
【0054】
例えば、変動表示ゲームを実行する際には、遊技制御装置100から停止図柄の組み合わせ(結果態様)のデータと、リーチ系統(或いは変動時間)のデータとを含むコマンド(例えば後述する変動パターンコマンド)が、演出制御装置300に送信される構成となっており、これを受けた主制御用マイコン311は、この停止態様と変動時間を満足する変動態様を選択して、映像制御用マイコン312及びVDP313を介して表示装置41に所定の特図を変動表示させて最終的に特定の図柄の組み合わせ(結果態様)を導出表示させる特図変動表示ゲームの制御を行う構成となっている。
なお、演出制御装置300の制御で実際に実施される特図の変動表示等の態様は、遊技制御装置100からのコマンドによって一義的に決定されてもよいが、上記コマンドで与えられた条件の範囲で、演出制御装置300の主制御用マイコン311又は映像制御用マイコン312が乱数抽出などによって態様を最終的に選択する構成(演出制御装置300にも態様を選択する、ある程度の裁量が与えられた構成)となっている。
【0055】
ここで、主制御用マイコン311と映像制御用マイコン312の作業領域を提供するRAMは、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAMはチップ外部に設けるようにしてもよい。
また、特に限定されるわけではないが、主制御用マイコン311と映像制御用マイコン312との間、主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行なわれ、映像制御用マイコン312とVDP313との間は、パラレル方式でデータの送受信が行なわれるように構成されている。一般には、パラレル方式でデータを送受信することで、シリアルの場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。
VDP313には、画像ROM323から読み出されたキャラクタなどの画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)313aや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ313b、LVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置41へ送信する映像信号を生成する信号変換回路313cなどが設けられている。
【0056】
VDP313から主制御用マイコン311へは表示装置41の映像とガラス枠5や遊技盤20に設けられているランプ類の点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。さらに、VDP313から映像制御用マイコン312へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜nと、映像制御用マイコン312からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITと、が入力される。また、映像制御用マイコン312から主制御用マイコン311へは、映像制御用マイコン312が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。
【0057】
なお、映像制御用マイコン312には、主制御用マイコン311よりも高速なつまり高価なCPUが使用されている。主制御用マイコン311とは別に映像制御用マイコン312を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン311のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置41に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン312と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。また、CPUを2つ設けることによって、2つのCPUの制御プログラムを別々に並行して開発することが可能となり、これによって新機種の開発期間を短縮することができる。
【0058】
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100の遊技用マイコン111から送信されてくるコマンド(前記第2ポート132から出力される8ビットのデータ信号)を受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)331が設けられている。このコマンドI/F331を介して、上記遊技用マイコン111からの制御コマンド、例えば飾り特図保留数コマンド、特図種別・図柄情報コマンド、変動パターン乱数コマンド、客待ちデモコマンド、変動パターンコマンド、及びファンファーレコマンド等を、主制御用マイコン311が受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置300の主制御用マイコン311はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F331には信号のレベル変換の機能が設けられている。
【0059】
また、演出制御装置300には、前述の盤装飾装置42のLEDを駆動制御する盤装飾LED制御回路332、前述の枠装飾装置43のLEDを駆動制御する枠装飾LED制御回路333、前述の盤演出装置44のモータやソレノイドを駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路334、前述の枠演出装置45のモータ(例えば前記ムービングライト14を動作させるモータ等)を駆動制御する枠演出モータ制御回路335が設けられている。これらの制御回路332〜335は、アドレス/データバス340を介して主制御用マイコン(1stCPU)311と接続されている。なお、盤装飾装置42や枠装飾装置43の発光原として、LED以外の発光原が使用されてもよい。
【0060】
さらに、演出制御装置300には、ガラス枠5に設けられた演出ボタン9に内蔵されている演出ボタンSW46や上記盤演出装置44内のモータの初期位置を検出する演出モータSW47のオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するSW入力回路336、ガラス枠5に設けられた上スピーカ12aを駆動するオーディオパワーアンプなどからなるアンプ回路337a、操作パネル6に設けられた下スピーカ12bを駆動するアンプ回路337bが設けられている。
【0061】
電源装置400の通常電源部410は、上記のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給するため、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネルからなる表示装置41を駆動するためのDC12V、コマンドI/F331の電源電圧となるDC5Vの他に、前述のLEDやスピーカ12a,12bを駆動するためのDC18Vやこれらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させるのに使用するNDC24Vの電圧を生成するように構成されている。さらに、主制御用マイコン(1stCPU)311や映像制御用マイコン(2ndCPU)312として、3.3Vあるいは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5Vに基づいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC−DCコンバータが演出制御装置300に設けられる。なお、DC−DCコンバータは通常電源部410に設けるようにしてもよい。
【0062】
電源装置400の制御信号生成部430により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン311、映像制御用マイコン312、VDP313、音源LSI314、前述の制御回路332〜335、アンプ回路337a、337bに供給され、これらをリセット状態にする。また、この実施例においては、映像制御用マイコン312の有する汎用のポートを利用して、VDP313に対するリセット信号を生成して供給する機能を有するように構成されている。これにより、映像制御用マイコン312とVDP313の動作の連携性を向上させることができる。
【0063】
なお本例の場合、上記演出制御装置300を構成する回路基板が、サブ制御基板に相当する。そして、以上説明したように、表示装置41を制御する演出制御装置300(サブ制御基板)がスピーカやランプ類や装飾用の可動部などを制御しており、遊技制御装置100を構成する後述の主基板535は、サブ制御基板へ制御コマンドを送ることで前記可動部などを間接的に制御している。このため、主基板535の配線パターンなどのハード構成は機種が異なっても基本的に同じであり、遊技機用マイコン111に機種毎の遊技プログラムをインストールすることによって、技術的には主基板535を機種やブランドが異なっても共用できる。
【0064】
E.遊技の概要
次に、本例のパチンコ機で行われる遊技の概要や遊技の流れについて説明する。
まず、遊技開始当初の時点(或いは遊技開始前の時点)では、客待ち状態(デモ中)となっており、客待ち画面の表示を指令するコマンドが遊技制御装置100から演出制御装置300に送信され、表示装置41の表示部41aには客待ち画面(動画又は静止画)が表示される。なお遊技開始当初の時点では、一般的には、ゲーム状態は通常モード(通常遊技状態)となっている。この通常モードでは、特図が大当りとなる確率は通常の確率(後述する確変モードよりも低い確率)となっている。
【0065】
そして、ガイドレール21を介して遊技領域22に打込まれた遊技球が、特図の始動入賞口25又は26に入賞すると(即ち、特図の始動入賞があると)、特図の変動表示を指令するコマンドが遊技制御装置100から演出制御装置300に送信され、表示部41aにおいて特図(数字、文字、記号、模様等よりなるもの)が変動(例えば、スクロール)する表示(いわゆる変動表示)が行われて、特図の変動表示ゲーム(以下、特図変動表示ゲームという)が行われる。
【0066】
そして、この特図変動表示ゲームの停止結果(変動表示により導出された特図の組合せ)が特別結果(例えば、「3、3、3」などのゾロ目)であれば、大当りと呼ばれる特典が遊技者に付与される。なお制御上は、例えば始動入賞があったことを条件として、大当り乱数等の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、予め大当りとするか否かが決定され、この決定に応じて上記特図変動表示ゲームが開始される。
また、通常モードにおいて、特図変動表示ゲームの停止結果が特別結果のうちの特定の態様(例えば、「7、7、7」のゾロ目)であれば、上記大当りになるとともに、大当り遊技後(後述する特賞期間後)に、ゲーム状態が通常モードから確変モードへ移行する。この確変モードでは、特図が大当りになる確率(以下、特図の大当り確率という)を高める制御が行われる。
【0067】
なお、この変動表示ゲームの後半として、リーチ状態が発生する場合がある。リーチ状態とは、変動表示ゲームにおいて、変動表示制御が進行して表示結果全体が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果全体が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。代表的なリーチ状態は、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果となる条件を満たしている表示状態(例えば、「3,3,3」といったように3列の特図が揃うと特別結果となる場合に、「3,↓,3」といったように中央1列だけが変動して左右2列が「3」で導出表示されている状態)である。そして、例えば、特別結果が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。
【0068】
また、確変モードにおいて特定の態様(「7、7、7」のゾロ目)で大当りになると、ゲーム状態はまた確変モードに維持される。但し、確変モードになってから、大当たりが発生しないで、特図の変動回数が所定回数になると、ゲーム状態は通常モードに移行する。即ち、確変モードは、特図の変動回数が所定回数までに制限されている。ここで、所定回数は、特に限定されるものではなく、予め定められた回数であり、大当たりの種類毎に異なっていてもよい。
また、変動表示ゲームの停止結果によっては、いわゆる時短状態(時短モード)が発生する態様でもよい。時短状態とは、特図又は普図の変動表示ゲームの変動時間が通常状態よりも短く制御されて、その結果として特図又は普図が当り易くなる状態である。
【0069】
上記大当りになって大当り状態に移行すると、ファンファーレ期間(大当りになったことを演出する効果音の出力などが実行される期間)を経て、変動入賞装置27の大入賞口27aが、規定時間(例えば、30秒)を越えない範囲内において、例えば10個入賞までの期間だけ一時的に開放される開放動作(大当たりラウンド)が行われる。そしてこの開放動作は、規定のランド数だけ繰り返し行われる。また、この大当り状態では、大当り状態を演出したり大当りラウンド数などを遊技者に報知するための大当り画面の表示を指令するコマンドが遊技制御装置100から演出制御装置300に送信され、表示部41aでは、このような大当り中の表示が実行される。
【0070】
なお、この大当り状態になっている期間(ファンファーレ期間と、大入賞口12aが開放されている大当りラウンドの期間と、大当りラウンドと次の大当りラウンドの間のインターバル期間)が、特賞期間に相当する。
また上記大当りのラウンド数としては、例えば、通常は15ラウンド大当りが主の大当りであるが、プレミアとして16R大当りを発生させる構成でもよいし、その他の構成でもよい。また、いわゆる突確(出玉の少ない大当りを経由して大当り確率が変化する突然確変)として2ラウンド大当り等があってもよい。
【0071】
また、上記特図変動表示ゲーム中又は大当り中に、始動入賞口25又は26にさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等で特図の始動記憶の保留表示が行われて例えば4個まで記憶され、変動表示ゲーム又は大当り状態が終了した後に、その始動記憶に基づいて上記特図の変動表示ゲームが繰り返されたり、客待ち状態に戻ったりする。
即ち、変動表示ゲームが大当りで終了すれば大当り状態に移行し、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶があれば再度変動表示ゲームが実行され、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶がなければ客待ち状態に戻り、大当りが終了して始動記憶があれば再度変動表示ゲームが実行され、大当りが終了して始動記憶がなければ客待ち状態に戻る流れとなっている。
【0072】
なお本例の場合、特図の始動記憶(特図始動記憶)の表示を2種類(特図1保留表示と特図2保留表示)行うようにし、特図変動表示ゲームとして、2種類の変動表示ゲーム(第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲーム)を実行する。即ち、遊技球が第1始動入賞口25に入ることによる特図始動入賞(第1始動入賞)が発生すると、表示装置41にて特図1の変動表示による第1変動表示ゲームが行われる。そして、何れかの特図変動表示ゲーム中などに遊技球が第1始動入賞口25に入賞すると、第1始動記憶(特図1保留表示に対応する始動記憶)が1個記憶され、これに対して、上記特図変動表示ゲーム終了後などに、表示装置41にて特図1の変動表示による第1変動表示ゲームが行われる。
【0073】
また、遊技球が第2始動入賞口26に入ることによる特図始動入賞(第2始動入賞)あると、表示装置41にて特図2の変動表示による第2変動表示ゲームが行われる。そして、何れかの特図変動表示ゲーム中などに遊技球が第2始動入賞口26に入賞すると、第2始動記憶(特図2保留表示に対応する始動記憶)が1個記憶され、これに対して、上記特図変動表示ゲーム終了後などに、表示装置41にて特図2の変動表示による第2変動表示ゲームが行われる構成となっている。なお、第1始動記憶と第2始動記憶の両方があるときには、予め設定されたルールに従って第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームのうちの何れかが先に実行される。例えば、第2始動入賞口26に対応する第2変動表示ゲームが優先的に行われる態様(即ち、第2始動記憶が優先的に消化される態様)、或いは2種類の変動表示ゲームが交互に行われる態様などが有り得る。
【0074】
一方、遊技中に、遊技球が普図始動ゲートを通過したときは、表示部41a等で普図の変動表示による普図の変動表示ゲーム(以下、普図変動表示ゲームという)が行われる。そして、この普図変動表示ゲーム結果(停止した普図)が所定の態様(特定表示態様)であれば、普図当りと呼ばれる特典が付与される。
この普図当りになると、第2始動入賞口26の一対の開閉部材26aが逆ハの字に開いた開状態に、所定の開放時間だけ一時的に保持される遊技が行われる。これにより、遊技球が始動入賞し易くなり、その分、特図変動表示ゲームの実施回数が増えて大当りになる可能性が増す。
また、上記普図変動表示ゲーム中に、普図始動ゲートにさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等で普図始動記憶の保留表示が実行されてこの場合4個まで記憶され、普図の変動表示ゲームの終了後に、その記憶に基づいて上記普図の変動表示ゲームが繰り返される。
【0075】
F.遊技制御装置の構造
次に、遊技制御装置100の構造について、図3及び図7〜図14により説明する。
遊技制御装置100は、前述の図3に示すように、遊技盤20の左右方向に沿って延在する薄い箱状のユニットである。そして図7及び図8に示すように、遊技制御装置100は、透光性を有して内部を透視可能な樹脂製(例えば無色透明な樹脂製)の基板ボックス534と、該基板ボックス534内に収容された矩形状の回路基板である主基板535と、当該遊技制御装置100を識別するための電子タグシール(図示省略)を保護する保護カバー537とを備えて構成されている。
なお、図8及び図11に示すように、主基板535には、遊技用マイコン111等の電子部品や配線接続用の複数の配線コネクタ535bが実装され、図5に示した遊技制御装置100の回路が形成されている。主基板535に実装された各電子部品や、各配線コネクタ535bの種類についての説明は省略する。
【0076】
基板ボックス534は、遊技盤20の裏面に取り付けられた状態において、遊技盤20に近い前面側(図3における向こう側)に配置されるベース部材541と、遊技盤20から遠い後面側(図3における手前側)に配置されてベース部材541に重合する蓋部材542と、を備えて構成されている。また、図7(a)及び図7(b)に示すように、基板ボックス534の上下両縁部には、ベース部材541と蓋部材542とを重合した状態で係合する係合機構544を備え、基板ボックス534の左右両側部には、基板ボックス534を封止する封止機構545を備えている。そして、基板ボックス534の後面側の下部には、電子タグシールを貼着するための貼着部546(図9及び図12に示す)を電子タグシールよりも僅かに広く設定された状態で備え、該貼着部546には、電子タグシールを基板ボックス534の後面側から被覆して保護する保護カバー537を装着する構成となっている。また、蓋部材542には、配線コネクタ535bを露出させるためのコネクタ開口547(図9に示す)を開設し、ベース部材541の下部には、横長な突出部548(図12に示す)を蓋部材542側へ向けて突出している。
【0077】
係合機構544は、ベース部材541の上下両端部に設けられた係合溝部550(図12及び図13参照)と、蓋部材542の上下両端部から延設された係合片551(図9及び図10参照)とから構成されている。係合溝部550は、基板ボックス534の横向き延在方向(言い換えると遊技盤20の左右方向)に沿って延在し、係合片551を係合溝部550の延在方向に沿って摺動可能としている。また、図12(a)及び図12(b)に示すように、係合溝部550の後側(図12(b)における手前側)を区画する後側壁部の一側部(図12(b)において右側部)を後方の蓋部材542側へ向けて開放して嵌脱部552を形成し、該嵌脱部552を介して係合片551を係合溝部550へ嵌脱できるように構成されている。
【0078】
このような構成の係合機構544を備えてベース部材541と蓋部材542とを互いに取り付けるには、まず、蓋部材542を重合方向(図8において矢印Aで示す前後方向の前向き)へ移動してベース部材541へ後側から近づけ、嵌脱部552に係合片551を通してベース部材541と蓋部材542とを重合する(図7(a)参照)。さらに、蓋部材542をベース部材541の他側寄り(図7(b)において左方)へ向かう係合方向(図7(a)において矢印Bで示す方向)へスライドして係合片551を係合溝部550の他側部(図7(b)において左側部)へ摺動する。すると、係合片551が基板ボックス534の後方向へ移動することを係合溝部550の裏側壁部により規制され、ベース部材541と蓋部材542とを取り付けて係合状態にすることができる。
【0079】
一方、ベース部材541から蓋部材542を外す(分離する)には、蓋部材542をベース部材541の一側寄り(図7(b)において右方)へ向かう係合解除方向(図7(a)において矢印Cで示す方向)へスライドして係合片551を嵌脱部552へ臨ませ、この状態で蓋部材542を基板ボックス534の裏方向へ向かう離間方向(図8に矢印Dで示す方向)へ移動してベース部材541から離間する。したがって、蓋部材542は、基板ボックス534の重合方向Aへ移動した後に係合方向Bへスライドしてベース部材541へ係合される。一方、ベース部材541への係合状態から係合解除方向Cへスライドした後に離間方向Dへ移動すれば、ベース部材541から離間する。
【0080】
封止機構545は、蓋部材542の左右各側部に複数(本実施形態では左右それぞれに2つずつ)配置された封止頭部554(図9参照)と、ベース部材541の左右各側部のうち封止頭部554と重合可能な位置に配置された複数の封止受部555(図12参照)と、ワンウェイねじ等の封止部材(図示せず)とから構成されている。
【0081】
貼着部546は、ベース部材541に形成されたベース側貼着部557及び下側貼着部558(図12に示す)と、蓋部材542に形成された蓋側貼着部559(図9に示す)とからなり、電子タグシールをベース部材541の一部と蓋部材542の一部とに跨って貼着可能としている。さらに、ベース側貼着部557と蓋側貼着部559とを、ベース部材541と蓋部材542とを取付・分離するための移動方向(重合方向A、係合方向B、係合解除方向C、離間方向D)に沿って組付けることができるように構成されている。
【0082】
詳しくは、ベース部材541の突出部548(図12(a)に示す)の先端(突出端)にベース側貼着部557を設け、突出部548の下面部には、下側貼着部558を基板ボックス534の前後方向に延在する状態で設けている。また、蓋部材542の後面側の下部には、蓋側貼着部559を起立矩形状で形成している。そして、ベース部材541と蓋部材542とを互いに取り付けると、該蓋側貼着部559、ベース側貼着部557、及び下側貼着部558によって、下部が基板ボックス534の前側へ向けて屈曲した状態の貼着部546が形成される構成とされている。また、ベース部材541と蓋部材542とを互いに取り付けた状態では、蓋側貼着部559とベース側貼着部557とが接合して略同一平面上に位置するように構成されている。
【0083】
そして、基板ボックス534は、蓋側貼着部559とベース側貼着部557が接合する箇所に、ベース部材541と蓋部材542とを係止する係止機構565(図9及び図12に示す)を備えている。具体的に説明すると、図9(b)に示すように、蓋部材542の蓋側貼着部559の下端面における左右両側位置には、係止突起561が、下方に突出するように設けられている。なお、この係止突起561は、前後方向において、蓋側貼着部559の表面よりも前側(図9(b)における向こう側)にずれた位置に設けられている。一方、図12(a)に示すように、ベース部材541の突出部548のうちベース側貼着部557の左右両側位置には、ベース部材541と蓋部材542とを互いに取り付けた状態(前述の係合機構544を係合させた状態)において、係止突起561と重合する重合部566が形成されている。また、これら重合部566から係合解除方向Cへずれた位置に、係止突起561が前後方向に嵌脱可能な切り欠きである嵌脱部567が形成されている。
【0084】
そして、この係止機構565は、次のように機能する構成となっている。即ち、ベース部材541と蓋部材542とを互いに取り付ける場合に、蓋部材542を前記重合方向Aへ移動させる際には、係止突起561が嵌脱部567に嵌め込まれ、この嵌脱部567よりも奥(前側)まで移動する。そしてその後、蓋部材542を前記係合方向Bへスライドさせる際には、係止突起561が前述の重合部566の前側(図12(b)における向こう側)に重合し、これにより蓋側貼着部559がベース側貼着部557に対して前後方向の相互移動を規制された状態に係合する。なお、このようにベース部材541と蓋部材542とが互いに取り付けられて、係止機構565が作用した状態においては、重合している係止突起561と重合部566は、図示省略したビス等の止着部材によって相互に固着できる構成とされている。
【0085】
次に、電子タグシールについて説明する。
電子タグシールは、図示省略しているが、矩形状のベースシートと、該ベースシートの後面側に貼着された長尺なタグ部とを備えて構成されている。また、該タグ部には、遊技制御装置100に関する固有の識別情報(例えば、識別ID)を記憶したチップ部(ICチップ)と、識別情報を発信可能なアンテナ部とを備え、アンテナ部から発信された識別情報を外部読取装置(図示せず)により読み取って、遊技制御装置100が正規品であるか否かを確認可能としている。また、矩形状のベースシートの後面側の対角線に沿って長尺なアンテナ部を直線状に配置し、該アンテナ部の所定位置にチップ部を配置し、電子タグシールを貼着部546へ貼着すると、チップ部が例えばベース側貼着部557上に位置し、且つアンテナ部がベース側貼着部557と蓋側貼着部559との境界(嵌合境界)に交差するように設定されている。
【0086】
そして、電子タグシールの表面(ベースシートの表面)、言い換えると貼着部546へ貼着した状態で遊技盤20の裏面側に位置する面には「開封禁止」の文字を印刷し、タグ部(チップ部およびアンテナ部)を含む電子タグシールの裏面全体、言い換えると貼着部546に対向する面の全体には粘着層を設け、該粘着層を介して電子タグシールを貼着部546へ貼着可能としている。なお、アンテナ部は、ベースシートの対角線上に一直線に配置することが望ましいが、ベースシートの対角線に平行な状態、あるいは多少傾斜した状態で配置してもよい。
【0087】
次に、保護カバー537について説明する。
保護カバー537は、図14に示すように、貼着部546に装着して前記電子タグシールを覆うことができる断面L字状の部材である。この保護カバー537の上端には、止着部568が上方に突出するように形成され、この止着部568には前後方向に貫通する貫通孔568aが形成されている。一方、蓋部材542の蓋側貼着部559の上側には、図9(a)等に示すように、前記止着部568が嵌り込む嵌合凹部569が形成され、この嵌合凹部569の奥面にはネジ孔569aが前方に向かって形成されている。
【0088】
なお、図10(a)等において符号569bで示すのは、蓋部材542の前面側(内面側)に形成されたボス部であり、このボス部の内部に前記ネジ孔569aが形成されている。
また保護カバー537は、貼着部546に装着されると、前記止着部568が前記嵌合凹部569に嵌り込む構成とされている。そして保護カバー537は、この装着状態で、前記止着部568の貫通孔568aから挿入されて前記ネジ孔569aにねじ込まれるビス等の止着部材(図示省略)によって、蓋部材542に対して固定される構成となっている。
【0089】
このような構成を備えた遊技制御装置100を組み立てるには、まず、主基板535を蓋部材542の内側へ止着して配線コネクタ535bをコネクタ開口547に臨ませ、この状態で蓋部材542を主基板535とベース部材541の内側とが対向する姿勢に設定する。蓋部材542の姿勢を設定したならば、蓋部材542を重合方向A(図8に示す)に沿って移動させて、ベース部材541へ重合させるとともに、係合片551を嵌脱部552へ通す。また、係止突起561を嵌脱部567へ嵌合し、嵌脱部567より奥に位置させる。そして、図7(a)に示すように、蓋部材542を係合方向Bへスライドさせて係合片551を係合溝部550へ係合させて係合機構544を係合状態にするとともに、前述の係止機構565も係止状態とする。これにより、ベース部材541と蓋部材542とが、主基板535を内側に装着した状態で、相互に取り付けられる。
【0090】
ベース部材541と蓋部材542とを相互に取り付けたならば、電子タグシールを貼着する前に、封止頭部554と封止受部555とを封止部材で止着して基板ボックス534を封止する。さらに、電子タグシールを当該電子タグシールの縁部が貼着部546の縁部に沿う状態で貼着する。すると、電子タグシールは、当該電子タグシールの下部を折り曲げて下側貼着部558上へ貼着し、ベースシートで係止機構565を被覆し、チップ部が例えばベース側貼着部557上に配置される。また、アンテナ部を図9(b)において例えば左側へ向けて上り傾斜した姿勢に設定して、アンテナ部の延在方向と係合方向Bおよび係合解除方向Cとを交差させ、さらには、ベース側貼着部557と蓋側貼着部559との嵌合境界にアンテナ部を交差させる。貼着部546に電子タグシールを貼着したならば、貼着部546に保護カバー537を装着して電子タグシールを被覆する。この保護カバー537を装着することにより、電子タグシールが不用意に傷ついたりして識別情報を発信不能となる不都合を未然に防ぐことができる。
【0091】
このようにして組み立てられた遊技制御装置100において、電子タグシールを剥がさずに基板ボックス534を不正開封しようとすると、次にようになる。すなわち、封止部材で止着(封止)された封止頭部554および封止受部555を基板ボックス534から切除する。また、保護カバー537を外し、貼着部546に貼着された電子タグシールのうち重合部566を被覆している箇所を切り取る等して重合部566と係止突起561を固着している止着部材を露出させ、露出した止着部材を取り外す。このように、ベース部材541と蓋部材542とを分離するには、電子タグシールの一部を破って止着部材を取り外すことになる。したがって、電子タグシールに破れが生じているか否かを目視により確認すれば、不正行為者がベース部材541と蓋部材542とを分離した、若しくは、ベース部材541と蓋部材542との分離を試みたことを簡単に把握することができる。
【0092】
そして、重合部566と係止突起561を固着していた止着部材および封止機構545を外した状態で蓋部材542を係合解除方向Cへスライドすると、遊技制御装置100は、電子タグシールのうちチップ部を含んでベース側貼着部557上に貼着された箇所をベース側貼着部557に残し、電子タグシールを前記嵌合境界に沿って破断し、さらには、アンテナ部を切断する。また、電子タグシールの下部を下側貼着部558に残した状態で切断する。したがって、電子タグシールの発信機能(詳しくは識別情報を発信する機能)を無効化することが可能となる。また、識別情報が発信されないことに基づいて、基板ボックス534が不正に開放されたことを把握することができる。そして、不正行為が行われた後で電子タグシールの発信機能が再利用される不都合を阻止することができる。
【0093】
なお、上記実施形態では、ベース部材541と蓋部材542とを取付・分離するための移動方向を、基板ボックス534の表裏方向に沿った方向(重合方向A、離間方向D)と、基板ボックス534の左右方向に沿った方向(係合方向B、係合解除方向C)との2方向に設定したが、これに限定されない。例えば、蓋部材542を基板ボックス534の表裏方向に沿った方向にのみ移動するだけでベース部材541と蓋部材542とを取付・分離可能としてもよいし、あるいは、蓋部材542を基板ボックス534の左右方向に沿った方向にのみ移動するだけでベース部材541と蓋部材542とを取付・分離可能としてもよい。
【0094】
G.主基板の構造及び識別標識
次に、主基板535の構造及び識別標識について、図11及び図15〜図16により説明する。
(a)主基板の構造
まず、主基板535の構造について説明する。主基板535は、図15(b)に示すように、絶縁性で板状の基材であるベース基板571の表面に導電性の材料(例えば銅)よりなる導電層572を形成し、さらにこの導電層572の表面に絶縁性保護膜としてのレジスト層573を形成してなる基板本体574を有する。ここで、導電層572は、レジスト層573で覆われる前に、公知のパターン成形技術(例えば、エッチングなど)によってパターン成形され、回路導体(回路の配線)としての導電パターン(配線パターンともいう)を形成している。即ち、基板本体574は例えばプリント配線板(ベアボード)であり、主基板535は例えばプリント回路板(プリント配線板に部品を実装してなるもの)である。なお、「プリント基板」という用語があるが、これは、部品を実装していないプリント配線板を意味する場合と、部品を実装したプリント回路板を意味する場合とがあるので、ここでは用いない。
【0095】
また、この基板本体574は、図11(a)及び(b)に示すように、全体として矩形状となっている。また、この基板本体574に遊技用マイコン111のチップをはじめとする各種の電子部品や複数の配線コネクタ535bが実装され、図11(a)及び(b)に示す主基板535(即ち、遊技制御装置100の回路が形成された回路基板)が構成されている。
【0096】
(b)主基板の識別標識
次に、主基板535の識別標識について説明する。主基板535は、この例の場合、図11(a)及び(b)に符号H1で示す左上縁部の位置に、図15(a)及び(c)に示すように複数(この場合二つ)の識別標識581,582が形成されており、特定の機種に使用される前の保管状態では、これら識別標識581,582が全て除去されないで残っている。識別標識581,582は、回路基板(この場合、主基板535)が使用される遊技機の機種、及び製造業者又はブランドを特定可能な基板特定情報(文字や数字や記号や図形などよりなる情報)を表示するものである。
【0097】
この場合、識別標識581は、図15(a)に示すように、製造会社名或いはブランド名としての「ソフィア」(「SOPHIA」などでもよい)という文字よりなる基板特定情報と、機種の管理番号としての「SP09015」という文字及び数字よりなる基板特定情報とが、左右に一列に並んだ状態で、導通状態に関係しない導電パターンによる表示によって表されたものである。また、識別標識582は、図15(a)に示すように、製造会社名或いはブランド名としての「NISHIJIN」(「西陣」でもよい)という文字よりなる基板特定情報と、機種の管理番号としての「NS08015」という文字及び数字よりなる基板特定情報とが、左右に一列に並んだ状態で、導通状態に関係しない導電パターンによる表示によって表されたものである。
【0098】
このように、本例の識別標識581,582は、導電層572がパターン成形されることによって形成された導通状態に関係しない導電パターンによる表示によって、前記基板特定情報を表示するものである。
ここで、「導通状態に関係しない導電パターンによる表示」とは、導電パターンで例えば「ソフィア」という文字自体を構成し、「ソフィア」という文字の外側(背景)は、導電層572を取り除いてベース基板面(ベース基板571の表面)を観察者に見せることで、文字等の情報が認識できる構成の表示のことである。なお、図15(a)では、識別標識581,582の前述の製造会社名や機種の管理番号を表す文字や数字の周囲を矩形状の線で囲んでいるが、この矩形状の囲み線は、導電層572がある部分と無い部分の境界を示している。なお、この囲み線で図示する境界は、図のような矩形状のものに限られず、その形状や大きさは限定されるものではない。
【0099】
またここで、「導通状態に関係しない導電パターン」とは、回路(この場合、遊技制御装置100を構成する回路)を構成する回路導体としての導電パターンではなく、回路に無関係な導電層572よりなるパターンを意味する。但し、グランド電位となる回路導体としての導電パターンが含まれてもよい。この導通状態に関係しない導電パターン(即ち、識別標識581,582を構成する導電パターン)は、例えば、遊技制御装置100を構成する回路の回路導体としての導電パターンをパターン成形する際に、同時に成形すれば、回路基板(この場合、主基板535)の製造工程が増加しない。
なお、このように導電層572によって識別標識を構成することによって、識別標識自体は、取り除いたり、書き換えたりすることが、困難になる。特に、痕跡を残さずに、取り除いたり、書き換えたりすることは、非常に困難となる。
【0100】
そして本実施例では、以上のように形成された複数の識別標識581,582のうち、当該回路基板(この場合主基板535)を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に除去し、除去されていない識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせている。即ち、少なくとも、最終的に遊技機に組み付けて使用する状態では、当該回路基板が使用される遊技機の機種等に対応する識別標識を除いた残りの識別標識は、識別困難に除去された構成となっている。
【0101】
ここで、「除去」の態様としては、剥離(剥がし取ること)、切削(削り取ったり、切り取ったりすること)などがある(以下同様)。なお、除去するのは、識別標識を構成する導電層572の一部と、その表面に位置するレジスト層573のみであることが好ましい。例えば、識別標識が形成された部分を、ベース基板571も含めて除去してしまうことも可能であるが、この場合、除去作業が容易ではない。これに対して、識別標識を構成する導電層572の一部とその表面のレジスト層573のみを除去する構成であれば、除去作業が容易であるという効果がある。
【0102】
またここで、除去の手順としては、回路基板を使用前にストックしておく保管状態では複数形成された識別標識を全て除去しない状態としておき、回路基板を特定の遊技機の生産に使用する際に、該当する識別標識を除いたその余の識別標識のみを除去して取り除くようにする。これにより、前記保管状態における回路基板が共用化できる。
【0103】
なお、識別標識を除去する態様としては、識別標識を構成する導電層の一部とその表面のレジスト層を工具又は工作機械(例えば、フライス盤や超音波スピンドル装置)によって物理的に剥離させたり又は削り取ったりする態様でもよいが、レーザー光を用いたレーザー加工で除去する(例えば、剥離する)態様が望ましい。特に、回路基板の損傷を防止しつつ、識別標識を構成する導電層の一部とその表面のレジスト層のみをきれいに除去して、識別標識を除去した部分のきれいな仕上がりを実現するためには、レーザー加工が好ましい。
【0104】
なお、超音波スピンドル装置は、ドリルなどの工具を軸方向に極めて微小な振幅で超音波振動させつつ高速回転させる装置であり、ガラスやセラミックやプラスチックなどの脆弱性材料でも加工が可能である。また、レーザー加工は、レーザー光を照射することにより、対象物を溶融・蒸発させる加工技術であり、除去、切断、穴あけ等が非接触で可能である。非接触であるために、対象物に余計なストレスを与えずに加工でき、対象物の変形やクラックによる破損もない。また、微小なビーム径のレーザー光によって微細加工が可能であるとともに、レーザー光の出力調整等によって加工深度も微調整可能である。このため、レーザー加工を使用すれば、前記導電層の一部とその表面のレジスト層のみを、回路基板を損傷させることなく、きれいに除去できる。なお、識別標識を除去した後、再度その部分にレジスト層を形成して保護するようにしてもよい。
【0105】
また、回路基板への部品(電子部品や配線コネクタ含む)の実装の手順としては、本例の主基板535の場合、例えば遊技用マイコン111は機種毎にインストールされるソフト(プログラム)が異なるので、前記保管状態では実装しておくことができず、特定の遊技機の生産に使用する際に回路基板に実装(ハンダ付けなどの端子接続を含む、以下同様)する必要がある。
これに対し、この遊技用マイコン111のような機種(ブランドの違い含む)によって異なる機種毎に固有な部品(以下、固有実装部品という)を除く他の部品(以下、共通実装部品という)については、機種が異なっても同じであり、このような共通実装部品については、前記保管状態において実装しておいてもよいし、前記保管状態においては実装しておかない態様でもよい。
【0106】
また、前記除去の手順において、該当する識別標識を除いたその余の識別標識のみを取り除く工程の前に、部品(共通実装部品と固有実装部品のうちの一方又は両方、以下同様)を実装しておいてもよいし、同工程以降に、部品を実装してもよい。
また、回路基板に実装される各部品の部品番号の表示は、保管状態の回路基板に予めシルク印刷等によって形成しておいてもよいが、例えば回路基板を特定の遊技機の生産に使用する際に、シルク印刷等によって形成する態様でもよい。
【0107】
以下、図15(a)等に示す具体例で、前記除去の手順等を説明する。
まず、主基板535をストックしておく保管状態では識別標識581,582の全てを図15(a)及び(c)に示すように除去しないで残しておく。
そして、主基板535を「ソフィア」の管理番号「SP09015」に対応する機種K1の生産に使用する際には、当該機種K1に対応する遊技用マイコン111等の固有実装部品を実装するとともに、該当する識別標識581を除いたその余の識別標識582のみを図16(a)及び(b)に示すように例えばレーザー加工によって取り除いた状態とする。この際、図16(a)及び(b)に示すように、ベース基板571は除去せず、識別標識582を構成していた導電層572の一部とその表面のレジスト層573のみを除去するのが好ましい。
【0108】
また、主基板535を「NISHIJIN」の管理番号「NS08015」に対応する機種K2の生産に使用する際には、当該機種K2に対応する遊技用マイコン111等の固有実装部品を実装するとともに、該当する識別標識582を除いたその余の識別標識581のみを図16(c)及び(d)に示すように例えばレーザー加工によって取り除いた状態とする。この際、図16(c)及び(d)に示すように、ベース基板571は除去せず、識別標識581を構成していた導電層572の一部とその表面のレジスト層573のみを除去するのが好ましい。
【0109】
なお、共通実装部品については、前記保管状態の主基板535には実装せずに使用時に実装(例えば固有実装部品と同じ工程で実装)するようにしてもよいが、前記保管状態の主基板535に予め実装しておいてもよい。
【0110】
この場合、前記保管状態では、識別標識581,582の全てが除去されずに残っているので、主基板535は、前記機種K1とK2の何れの機種にも共通利用可能な状態(以下、このような状態の回路基板を共通回路基板という)となる。即ち、前記保管状態で共通実装部品を実装しておかない場合には、共通の導電パターン(識別標識581,582含む)を有してレジスト層573もコーティングされた基板本体574が、共通回路基板となる。また、前記保管状態で共通実装部品を実装しておく場合には、前記基板本体574に共通実装部品を実装したものが、共通回路基板となる。言い換えれば、共通実装部品を実装する前と後の2段階で共通利用可能な状態でストックできる。
【0111】
以上説明した実施例1によれば、以下のような効果がある。
即ち、まず、識別標識581,582は、導電層572をパターン成形してなる導電パターンにより構成されているため、それ自体を消したり、書き変えたりすることは困難である。特に、痕跡を残さずに、識別標識581,582を、取り除いたり、書き換えたりすることは、非常に困難となる。このため、回路基板(この場合、主基板535)の不正な転用などの不正行為を防止できる。
しかも、機種が異なっても配線パターン(導電パターン)が共通な回路基板(この場合、主基板535)を前記共通回路基板という状態で共用化して有効に活用することができ、使い回しが可能となり在庫による廃棄を抑制できる。また、回路基板の大量生産が可能となるのでコストを抑えることができる。
【0112】
また、前記除去の手順でレーザー加工によって識別標識581又は582を取り除く場合は、電子部品(例えば共通実装部品)が実装されていても、作業効率が良いという効果を奏する。というのは、例えば前記除去の手順で、識別標識581又は582を、電子部品が実装された状態で機械加工等によって除去するのは、電子部品が邪魔になって困難である。これに対して、レーザー加工によって識別標識581又は582を取り除く作業は、非接触加工であるために、電子部品が実装された状態でも作業効率が良い。
また、本例の識別標識581,582は、導電パターンによる表示によるものであるため、後述する実施例2の態様(ベース基板面を臨ませることによる表示)に比較して、次のような効果がある。即ち、導電パターンからベース基板面見せることで識別標識を形成する場合よりも、識別標識を導電性パターンで形成する方が、少ない量の導電パターン等(導電層の一部とその表面のレジスト層)を除去するだけなので、除去する量が少なくて済み、除去することにより発生する剥離塵や削り屑などを片付ける手間を最小限に抑えることができる。
【実施例2】
【0113】
次に、本発明の実施例2を図17及び図18に基づいて説明する。
実施例2は、主基板535が、ベース基板面を臨ませることによる識別標識583,584を有する基板本体574からなる点に特徴を有し、他の構成は、実施例1と同じでよい。即ち本例では、図17(a)〜(c)に示すように、導電パターン572からベース基板面(ベース基板571の表面)を臨ませることによる表示によって、当該回路基板(この場合、主基板535)を特定可能な識別標識を表示している。「導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示」とは、ベース基板面が例えば「ソフィア」と見えるように、即ち「ソフィア」の文字を形成する外側(背景)に導電パターン(好ましくは、導通状態に関係しない部分、或いは回路上グランド電位となる部分)を残し、「ソフィア」の文字を形成する部分は導電層を取り除くことで文字等の情報が認識できる構成の表示のことである。つまり、この「導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示」とは、実施例1の「導電パターンによる表示」に対して文字等と背景とが反転した関係にある。
【0114】
なお、識別標識583,584の表示内容は、実施例1の識別標識581,582と同じである。
この実施例2でも、実施例1と同様に、識別標識583,584のうちの使用機種に対応しないものを除去し(図18(a)〜(d)参照)、同様の作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0115】
次に、本発明の実施例3を図19に基づいて説明する。
実施例3は、図19(a)に示すように、識別標識581,582のうち一方の識別標識581を基板本体574の長辺側の縁部に形成し、他方の識別標識582を基板本体574の短辺側の縁部に形成した点に特徴を有し、他の構成は実施例1と同じでよい。
この実施例3でも、実施例1と同様に、識別標識581,582のうちの使用機種に対応しないものを除去し(図19(b)及び(c)参照)、同様の作用効果を奏することができる。
しかも、この実施例3のように、長手方向と短手方向とに分けて識別標識を形成して配置すると、除去されていない識別標識の位置によっても識別できるので、何れの機種(或いは、何れの製造業者又はブランド)の回路基板か識別し易くなる効果がある。
【実施例4】
【0116】
次に、本発明の実施例4を図20に基づいて説明する。
実施例4は、三つの識別標識585,586,587が形成された例である。識別標識が3個あり、それにより除去する識別標識が2個あることを除いて、実施例1と同じ構成でよい。図20に示すように、識別標識585,586,587は、本例では全て同一のブランド「ソフィア」のものであり、同一ブランド内の機種の違いを表示している。
この実施例3でも、実施例1と同様に、識別標識585〜587のうちの使用機種に対応しないものを除去し(図20(b)〜(d)参照)、同様の作用効果を奏することができる。
このように本発明の識別標識は、3個以上あってもよい。また、この実施例4のように複数の識別標識が全て同一ブランドのものであってもよいし、実施例1のように複数の識別標識に異なるブランドのものがあってもよい。
【0117】
次に、上記各実施例から抽出される発明概念について順次説明する。
<発明概念B2>
本願の請求項1に記載の発明(発明概念B1)の下位概念発明に相当する発明概念B2は、
「絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機において、
前記回路基板を特定可能な識別標識を前記回路基板に複数形成し、
該複数形成された識別標識のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識をレーザー加工によって識別困難に除去し、除去されていない前記特定するための識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせたことを特徴とする遊技機」である。
【0118】
この発明概念B2によれば、
識別標識が簡単に消去できないことを担保された状態で、複数形成された識別情報のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識をレーザー加工によって識別困難に除去し、除去されていない前記特定するための識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせたことで、回路基板の共通利用を行うことができる。
これにより配線パターンが共通な回路基板を有効に活用することができ、使い回しが可能となり在庫による廃棄を抑制できる。また大量生産が可能となるのでコストを抑えることができる。
しかも、レーザー加工で除去(例えば、剥離)するので、電子部品が実装されていても、その状態で機械加工等によって除去する場合より作業効率が上がるという効果を奏する。
【0119】
<発明概念B3>
次に、前記発明概念B1及びB2の何れかの下位概念発明に相当する発明概念B3は、
「前記回路基板は、
遊技の進行を管理する遊技プログラムが内蔵された遊技用マイクロコンピュータが搭載されていることを特徴とする遊技機」である。具体例を挙げれば、回路基板が、実施例1の主基板535のように遊技プログラムが内蔵された遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン111)が搭載されたものである構成である。
この発明概念B3によれば、
不正行為が行えない回路基板に、遊技用マイクロコンピュータを搭載するので、不正に対する遊技機の安全性が担保される。
【0120】
<発明概念B1P>
なお、前記発明概念B1(本願請求項1に記載の発明)を、製造方法として記載した発明概念B1Pは、
「絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機の前記回路基板を製造する製造方法であって、
前記識別標識を前記回路基板に複数形成する標識形成工程と、
該複数形成された識別標識のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に除去する標識除去工程と、
を含むことを特徴とする遊技機の回路基板の製造方法」である。
ここで、標識形成工程は、例えば前記識別標識を構成する部分を含む導電パターンをパターン成形技術によって形成する工程である。また、標識除去工程は、当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を例えばレーザー加工によって除去する工程である。
【0121】
次に、前述した各実施例1〜4(実施形態B)とは異なる実施形態であって、本発明と同じ課題を解決するための他の実施形態A(実施例A1〜A5)について順次説明する。
<実施例A1>
実施例A1は、主基板(遊技制御装置の回路基板)に複数形成した識別標識のうち当該主基板を特定するための識別標識を除いて識別困難に隠蔽し、隠蔽されていない前記識別標識によって当該主基板を特定可能とさせたものである。識別標識の構成以外については、前述した実施例1と同じでよい。
【0122】
即ち、主基板535は、この例の場合、図11(a)及び(b)に符号H1で示す左上縁部の位置に、図21(a)に示すように複数(この場合二つ)の識別標識581,582が形成されている。識別標識581,582は、実施例1と同様に、回路基板(この場合、主基板535)が使用される遊技機の機種、及び製造業者又はブランドを特定可能な基板特定情報(文字や数字や記号や図形などよりなる情報)を表示するものである。
【0123】
この場合、識別標識581は、図21(a)に示すように、製造会社名或いはブランド名としての「ソフィア」(「SOPHIA」などでもよい)という文字よりなる基板特定情報と、機種の管理番号としての「SP09015」という文字及び数字よりなる基板特定情報とが、左右に一列に並んだ状態で、導通状態に関係しない導電パターンによる表示によって表されたものである。また、識別標識582は、図21(a)に示すように、製造会社名或いはブランド名としての「NISHIJIN」(「西陣」でもよい)という文字よりなる基板特定情報と、機種の管理番号としての「NS08015」という文字及び数字よりなる基板特定情報とが、左右に一列に並んだ状態で、導通状態に関係しない導電パターンによる表示によって表されたものである。
【0124】
そして本実施例では、以上のように形成された複数の識別標識581,582のうち、当該回路基板(この場合主基板535)を特定するための識別標識を除いて、識別困難に隠蔽し、隠蔽されていない識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせている。即ち、少なくとも、最終的に遊技機に組み付けて使用する状態では、当該回路基板が使用される遊技機の機種等に対応する識別標識を除いた残りの識別標識は、識別困難に隠蔽した構成となっている。
【0125】
ここで、隠蔽の手段としては、例えば図21(b)及び(c)に示すように、レジスト層573の表面に光を透過しない隠蔽層575,576が識別標識を覆うように形成される。この隠蔽層575,576は、例えば塗料を塗布することにより形成された塗膜でもよいし、接着剤や粘着剤によってレジスト層573の表面に貼り付けられた板状部材(プラスチックや紙など)であってもよい。例えば、回路基板に実装される各部品の部品番号の表示を回路基板上に形成するのと同様の手法(通常はシルク印刷)によって形成されたものでもよい。この場合、前記部品番号の表示と隠蔽層575,576とを同時に形成することによって、作業工程の増加を回避できる。なお、接着剤や粘着剤によってレジスト層の表面に貼り付けた板状部材によって隠蔽層を構成する場合、それを単純に人力等で剥がすと(或いは剥がそうとすると)必ず痕跡が残るような接着剤や粘着剤であることが好ましい。
【0126】
またここで、隠蔽の手順としては、第1に、回路基板を使用前にストックしておく保管状態では複数形成された識別標識を全て隠蔽しておき、回路基板を特定の遊技機の生産に使用する際に、該当する識別標識の隠蔽のみを取り除いて該当する識別標識のみを露見させる方法がある。また第2に、前記保管状態では複数形成された識別標識を全て隠蔽しない状態としておき、回路基板を特定の遊技機の生産に使用する際に、該当する識別標識を除いたその余の識別標識を隠蔽する方法がある。これらいずれかの方法であれば、前記保管状態における回路基板が共用化できる。
【0127】
なお、隠蔽を取り除く態様(隠蔽を除去する態様)としては、隠蔽層を人力、工具又は工作機械(例えば、フライス盤や超音波スピンドル装置)によって物理的に剥離させたり又は削り取ったりする態様でもよいが、レーザー光を用いたレーザー加工で除去する(例えば、剥離する)態様が望ましい。特に、回路基板の損傷を防止しつつ、隠蔽層のみをきれいに除去して、隠蔽層を除去した部分のきれいな仕上がりを実現するためには、レーザー加工が好ましい。
【0128】
また、回路基板への部品(電子部品や配線コネクタ含む)の実装の手順としては、前述した固有実装部品については、特定の遊技機の生産に使用する際に回路基板に実装する必要があるが、前述した共通実装部品については、前記保管状態において実装しておいてもよいし、前記保管状態においては実装しておかない態様でもよい。
【0129】
また、前記第1の隠蔽の手順において、該当する識別標識の隠蔽のみを取り除く工程の前に、部品(共通実装部品と固有実装部品のうちの一方又は両方、以下同様)を実装しておいてもよいし、同工程以降に、部品を実装してもよい。また、前記第2の隠蔽の手順において、該当する識別標識を除く識別標識を隠蔽する工程の前に、部品を実装しておいてもよいし、同工程以降に、部品を実装してもよい。
【0130】
以下、図21(a)等に示す具体例で、前記隠蔽の手順等を説明する。
まず、第1の隠蔽の手順としては、主基板535をストックしておく保管状態では識別標識581,582の全てに対して図21(b)、(c)及び(d)に示すように隠蔽層575,576を例えばシルク印刷によって形成しておく。そして、主基板535を「ソフィア」の管理番号「SP09015」に対応する機種K1の生産に使用する際には、当該機種K1に対応する遊技用マイコン111等の固有実装部品を実装するとともに、該当する識別標識581の隠蔽層575のみを図22(a)及び(b)に示すように例えばレーザー加工によって取り除いた状態とする。また、主基板535を「NISHIJIN」の管理番号「NS08015」に対応する機種K2の生産に使用する際には、当該機種K2に対応する遊技用マイコン111等の固有実装部品を実装するとともに、該当する識別標識582の隠蔽層576のみを図22(c)及び(d)に示すように例えばレーザー加工によって取り除いた状態とする。
【0131】
この際、共通実装部品については、前記保管状態の主基板535には実装せずに使用時に実装(例えば固有実装部品と同じ工程で実装)するようにしてもよいが、前記保管状態の主基板535に予め実装しておいてもよい。また、部品番号の表示は、保管状態の主基板535に予め隠蔽層575,576を形成しておく工程とは別の工程で形成してもよいが、保管状態の主基板535に予め隠蔽層575,576を形成しておく工程と同じ工程において例えばシルク印刷によって同時に形成すれば、工程が増えない。
【0132】
この第1の隠蔽の手順の場合、前記保管状態では、識別標識581,582の全てに対して隠蔽層575,576が形成されているので、主基板535は、前記機種K1とK2の何れの機種にも共通利用可能な状態(以下、このような状態の回路基板を共通回路基板という)となる。即ち、前記保管状態で共通実装部品を実装しておかない場合には、共通の導電パターン(識別標識581,582含む)を有してレジスト層573もコーティングされた基板本体574に、隠蔽層575,576を形成したものが、共通回路基板となる。また、前記保管状態で共通実装部品を実装しておく場合には、前記基板本体574に隠蔽層575,576を形成し共通実装部品を実装したものが、共通回路基板となる。言い換えれば、共通実装部品を実装する前と後の2段階で共通利用可能な状態でストックできる。
【0133】
次に、第2の隠蔽の手順としては、主基板535をストックしておく保管状態では識別標識581,582の全てに対して図21(a)に示すように隠蔽層を形成しないでおく。そして、主基板535を「ソフィア」の管理番号「SP09015」に対応する機種K1の生産に使用する際には、当該機種K1に対応する遊技用マイコン111等の固有実装部品を実装し、該当する識別標識581を除いたその余の識別標識582に対して、図22(a)及び(b)に示すように隠蔽層576を形成する。また、主基板535を「NISHIJIN」の管理番号「NS08015」に対応する機種K2の生産に使用する際には、当該機種K2に対応する遊技用マイコン111等の固有実装部品を実装し、該当する識別標識582を除いたその余の識別標識581に対して、図22(c)及び(d)に示すように隠蔽層575を形成する。
【0134】
この際、共通実装部品については、前記保管状態の主基板535には実装せずに使用時に実装(例えば固有実装部品と同じ工程で実装)するようにしてもよいが、前記保管状態の主基板535に予め実装しておいてもよい。また、部品番号の表示は、生産に使用する際に隠蔽層575又は576を形成する工程とは別の工程で形成してもよいが(例えば、共通回路基板の状態で部品番号の表示を形成しておいてもよいが)、生産に使用する際に隠蔽層575又は576を形成する工程と同じ工程において例えばシルク印刷によって同時に形成すれば、工程が増えない。
【0135】
この第2の隠蔽の手順の場合、前記保管状態では、識別標識581,582の全てに対して隠蔽層575が形成されていないので、主基板535は、やはり、何れの機種にも共通利用可能な状態(共通回路基板)となる。即ち、前記保管状態で共通実装部品を実装しておかない場合には、共通の導電パターン(識別標識581,582含む)を有してレジスト層573もコーティングされた基板本体574が、共通回路基板となる。また、前記保管状態で共通実装部品を実装しておく場合には、前記基板本体574に共通実装部品を実装したものが、共通回路基板となる。言い換えれば、共通実装部品を実装する前と後の2段階で共通利用可能な状態でストックできる。
【0136】
以上説明した実施例A1によれば、以下のような効果がある。
即ち、まず、識別標識581,582は、導電層572をパターン成形してなる導電パターンにより構成されているため、それ自体を消したり、書き変えたりすることは困難である。特に、痕跡を残さずに、識別標識581,582を、取り除いたり、書き換えたりすることは、非常に困難となる。このため、回路基板(この場合、主基板535)の不正な転用などの不正行為を防止できる。なお、識別標識581,582のうちの一方を隠蔽している隠蔽層575又は576を不正に取り除き、他方の識別標識を不正に隠蔽することによって、露見している識別標識を変えてしまう不正行為が考えられる。しかしこの場合、不正に転用できる範囲が複数の識別標識の何れかに対応する機種に限られるとともに、隠蔽層を取り除いた痕跡や、不正に形成した隠蔽層によって不正行為を発見できる可能性が相当高い。
しかも、機種が異なっても配線パターン(導電パターン)が共通な回路基板(この場合、主基板535)を前記共通回路基板という状態で共用化して有効に活用することができ、使い回しが可能となり在庫による廃棄を抑制できる。また、回路基板の大量生産が可能となるのでコストを抑えることができる。
【0137】
また、前記第1の手順でレーザー加工によって隠蔽層575又は576を取り除く場合は、電子部品(例えば共通実装部品)が実装されていても、作業効率が良いという効果を奏する。というのは、例えば前記第2の手順で、隠蔽層575又は576を、電子部品が実装された状態でシルク印刷等により形成するのは、電子部品が邪魔になって困難である。これに対して、レーザー加工によって隠蔽層575,576を取り除く作業は、非接触加工であるために作業効率が良い。
また、前記第1の手順で取り除くのはシルク印刷などにより形成された隠蔽層575,576であり、レジスト層573がコーティングされた導電パターン(レジスト層573+導電層572)を取り除くのではないので、電子部品が実装された状態でも、電子部品であるIC等の端子間に導電層572の剥離屑や切り屑によるショート等の危険性を考慮する必要がなくなるという効果がある。
【0138】
<実施例A2>
次に、実施例A2を図17及び図23に基づいて説明する。
実施例A2は、主基板535が、ベース基板面を臨ませることによる識別標識583,584を有する基板本体574からなる点に特徴を有し、他の構成は、実施例A1と同じでよい。即ち本例では、図17(a)〜(c)に示すように、導電パターン(導電層572)からベース基板面(ベース基板571の表面)を臨ませることによる表示によって、当該回路基板(この場合、主基板535)を特定可能な識別標識583,584を表示している。
【0139】
なお、識別標識583,584の表示内容は、実施例1の識別標識581,582と同じである。
この実施例A2でも、実施例A1と同様に、隠蔽層575,576によって、識別標識583,584のうちの使用機種に対応しないものを最終的に隠蔽し(図23(a)〜(d)参照)、同様の作用効果を奏することができる。
【0140】
<実施例A3>
次に、実施例A3を図24に基づいて説明する。
実施例A3は、図24(a)に示すように、識別標識581,582のうち一方の識別標識581を基板本体574の長辺側の縁部に形成し、他方の識別標識582を基板本体574の短辺側の縁部に形成した点に特徴を有し、他の構成は実施例A1と同じでよい。
この実施例A3でも、実施例A1と同様に、隠蔽層575,576によって、識別標識581,582のうちの使用機種に対応しないものを最終的に隠蔽し(図22(b)及び(c)参照)、同様の作用効果を奏することができる。
しかも、この実施例A3のように、長手方向と短手方向とに分けて識別標識を形成して配置すると、露見している識別標識の位置によっても識別できるので、何れの機種(或いは、何れの製造業者又はブランド)の回路基板か識別し易くなる効果がある。
【0141】
<実施例A4>
次に、実施例A4を図25に基づいて説明する。
実施例A4は、三つの識別標識585,586,587が形成された例である。識別標識が3個あり、それに対応する隠蔽層577,578,579があることを除いて、実施例A1と同じ構成でよい。図25に示すように、識別標識585,586,587は、本例では全て同一のブランド「ソフィア」のものであり、同一ブランド内の機種の違いを表示している。
【0142】
この実施例A4でも、実施例A1と同様に、隠蔽層によって、識別標識585〜587のうちの使用機種に対応しないものを最終的に隠蔽し(図25(b)〜(d)参照)、同様の作用効果を奏することができる。
このように識別標識は、3個以上あってもよい。また、この実施例A4のように複数の識別標識が全て同一ブランドのものであってもよいし、実施例A1のように複数の識別標識に異なるブランドのものがあってもよい。
【0143】
<実施例A5>
次に、実施例A5を説明する。
実施例A5は、例えば、いわゆるレーザーマーカによって識別標識581,582のうちの露見させない識別標識(回路基板を特定する識別標識でないもの)を隠蔽する態様である。他の構成は、実施例A1と同様でよい。
【0144】
レーザーマーカは、レーザー光を利用して素材を変色又は発色させる技術であり、発砲により色を薄くするマーキングと、凝縮によるマーキングと、炭化によるマーキングと、化学変化によるマーキングと、がある。このうち、例えば凝縮によるマーキングは、素材に所定の添加剤(例えば、レーザー光の吸収率が高い顔料)を添加しておき、照射したレーザー光の熱効果により添加剤の分子密度を上げて凝縮させることにより、例えば素材の表面の一部を濃色に変色させるものである。また、炭化によるマーキングは、やはり素材に添加剤を添加しておき、より高いエネルギーのレーザー光を照射し続けることにより、添加剤周辺の素材の高分子を炭化させて、例えば素材の表面の一部を黒く発色させるものである。また、化学変化によるマーキングは、基材中の顔料などの成分に金属イオンが含まれる場合、レーザー光を照射することにより、このイオンの結晶構造の変化や結晶中の水和量の変化を起こすことにより、その成分の組成そのものを化学的に変化させて、その顔料などの濃度を増加させて発色させるものである。
【0145】
本実施例A5は、例えば、上記凝縮によるマーキング、炭化によるマーキング、化学変化によるマーキングのうちの何れかを使って、例えば図21(a)に示した状態の基板本体574における識別標識581,582のうちの露見させない識別標識を構成する導電パターン(導電層572)自体や、この識別標識を構成する導電パターンの表面や周辺に位置するレジスト層573又は/及びベース基板571を変色又は発色させることによって、当該露見させない識別標識を識別困難に隠蔽するものである。
本実施形態Aは、このような変色又は発色による隠蔽の方式を採用してもよく、この場合には、前述した隠蔽層575,576のような光を透過させない層を形成する必要は無くなる。またこの場合、剥離塵や削り屑などが発生しない利点もある。
【0146】
なお、本実施例A5は、次のような態様でもよい。即ち、例えば、上記凝縮によるマーキング、炭化によるマーキング、或いは化学変化によるマーキングによって、変色又は発色が可能な素材よりなり、当初(マーキング前)は透明又は半透明である材料によって、マーキングのためのマーキング層を形成しておく。このマーキング層は、隠蔽層575,576と同様に、少なくとも各識別標識581,582を覆う位置範囲に形成しておく。そして、露見させない識別標識を隠蔽する場合には、前記マーキング層における少なくとも当該識別標識の表面に位置する部分を前記マーキングによって変色又は発色させて、当該識別標識を視認困難とすることで、隠蔽する方式でもよい。
この態様であると、マーキングする部分(マーキング層)をマーキングに最適な材料(必要に応じて添加剤が添加されたもの)で構成し易いので、例えばレーザーマーカによって、より完全かつ容易に識別標識の隠蔽が可能となる効果がある。
【0147】
次に、上記実施形態Aから抽出される発明概念について順次説明する。
<発明概念A1>
発明概念A1は、
「絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機において、
前記回路基板を特定可能な識別標識を前記回路基板に複数形成し、
該複数形成された識別標識のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いて識別困難に隠蔽し、隠蔽されていない前記識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせたことを特徴とする遊技機。」である。
この発明概念A1によれば、識別標識は、回路基板に、導電パターンによって、また導電パターンからベース基板面を臨ませることによって明示しているので、識別標識が簡単に消去できないことを担保させることができる。しかも、この担保された状態で、複数形成された識別標識のうち、回路基板を特定するための識別標識が残され、その余の識別標識が識別困難に隠蔽されているので、回路基板の共通利用を行うことができる。
【0148】
<発明概念A2>
次に、前記発明概念A1の下位概念発明に相当する発明概念A2は、
「絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機において、
前記回路基板を特定可能な識別標識を前記回路基板に複数形成し、
該複数形成された識別標識を識別困難となるように隠蔽部が形成され、前記識別困難とされた隠蔽部のうち当該回路基板を特定するための識別標識が隠蔽されている隠蔽部の部分を除去して前記特定するための識別標識を露見させ、該露見した識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせたことを特徴とする遊技機」である。
ここで、「除去」の態様としては、剥離(剥がし取ること)、切削(削り取ったり、切り取ったりすること)などがある(以下同様)。
【0149】
この発明概念A2によれば、
識別標識が簡単に消去できないことを担保された状態で、複数形成された識別情報を識別困難となるように隠蔽部が形成され、当該回路基板を特定するための識別標識が隠蔽されている隠蔽部の部分を除去して特定するための識別情報を露見させ、該露見した識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせることで回路基板の共通利用を行うことができる。
これにより配線パターンが共通な回路基板を有効に活用することができ、使い回しが可能となり在庫による廃棄を抑制できる。また大量生産が可能となるのでコストを抑えることができる。
また、除去するのは例えばシルク印刷物であり、レジストがコーティングされた回路パターン(例えば、レジスト+銅箔)を除去するのではないので、電子部品が実装された状態でも、IC等の端子間に回路パターンの除去屑(例えば剥離屑)によるショート等の危険性を考慮する必要がなくなるという効果がある。
【0150】
<発明概念A3>
次に、前記発明概念A2の下位概念発明に相当する発明概念A3は、
「絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機において、
前記回路基板を特定可能な識別標識を前記回路基板に複数形成し、
該複数形成された識別標識を識別困難となるように隠蔽部が形成され、前記識別困難とされた隠蔽部のうち当該回路基板を特定するための識別標識が隠蔽されている隠蔽部の部分をレーザー加工によって除去して前記特定するための識別標識を露見させ、該露見した識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせたことを特徴とする遊技機」である。
【0151】
この発明概念A3によれば、
識別標識が簡単に消去できないことを担保された状態で、複数形成された識別情報を識別困難となるようにシルク印刷等によって隠蔽部が形成され、当該回路基板を特定するための識別標識が隠蔽されている隠蔽部の部分をレーザー加工によって除去して特定するための識別標識を露見させ、該露見した識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせることで回路基板の共通利用を行うことができる。
これにより配線パターンが共通な回路基板を有効に活用することができ、使い回しが可能となり在庫による廃棄を抑制できる。また大量生産が可能となるのでコストを抑えることができる。
【0152】
しかも、レーザーで除去(例えば、剥離)するので、電子部品が実装されていても、その状態でシルク印刷等して隠蔽するより作業効率が上がるという効果を奏する。
また、除去するのは例えばシルク印刷物であり、レジストがコーティングされた回路パターン(例えば、レジスト+銅箔)を除去するのではないので、電子部品が実装された状態でも、IC等の端子間に回路パターンの除去屑(例えば剥離屑)によるショート等の危険性を考慮する必要がなくなるという効果がある。
【0153】
<発明概念A4>
次に、前記発明概念A1、A2、及びA3のうちの何れかの下位概念発明に相当する発明概念A4は、
「前記回路基板は、
遊技の進行を管理する遊技プログラムが内蔵された遊技用マイクロコンピュータが搭載されていることを特徴とする遊技機」である。具体例を挙げれば、回路基板が、実施例1の主基板535のように遊技プログラムが内蔵された遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン111)が搭載されたものである構成である。
この発明概念A4によれば、
不正行為が行えない回路基板に、遊技用マイクロコンピュータを搭載するので、不正に対する遊技機の安全性が担保される。
【0154】
<発明概念A1P>
なお、前記発明概念A1を、製造方法として記載した発明概念A1Pは、
「絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機の前記回路基板を製造する製造方法であって、
前記識別標識を前記回路基板に複数形成する標識形成工程と、
該複数形成された識別標識のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に隠蔽する標識隠蔽工程と、
を含むことを特徴とする遊技機の回路基板の製造方法」である。
ここで、標識形成工程は、例えば前記識別標識を構成する部分を含む導電パターンをパターン成形技術によって形成する工程である。また、標識隠蔽工程は、当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を隠蔽する隠蔽層を例えばシルク印刷によって形成する工程(或いは、前記マーキング等による変色又は発色により隠蔽する工程)である。
【0155】
<発明概念A2P>
また、前記発明概念A2を、製造方法として記載した発明概念A2Pは、
「絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機の前記回路基板を製造する製造方法であって、
前記識別標識を前記回路基板に複数形成する標識形成工程と、
該複数形成された識別標識を識別困難となるようにそれぞれ隠蔽する隠蔽部を形成する標識隠蔽工程と、
前記隠蔽部のうち当該回路基板を特定するための識別標識を隠蔽している隠蔽部の部分を除去して、前記特定するための識別標識を露見させる隠蔽除去工程と、
を含むことを特徴とする遊技機の回路基板の製造方法」である。
ここで、標識形成工程は、例えば前記識別標識を構成する部分を含む導電パターンをパターン成形技術によって形成する工程である。また、標識隠蔽工程は、各識別標識を隠蔽する隠蔽層を例えばシルク印刷によって形成する工程である。また、隠蔽除去工程は、前記隠蔽層のうち、当該回路基板を特定可能な識別標識を隠蔽する部分を例えばレーザー加工によって除去する工程である。
【0156】
なお、上記実施形態A及びBでは、代表的な遊技機であるパチンコ機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、回路基板を備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、パチスロ機、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
また、上記実施形態A及びBでは、回路基板の片面にのみ識別標識が形成された具体例を挙げて説明したが、これに限られない。例えば、回路基板の両面に、導電層があり、各導電層よりなる導電パターンによって回路基板の両面に識別標識が形成されていてもよい。
【0157】
また、本発明の回路基板は、遊技制御装置を構成する主基板に限らない。遊技機における他の制御装置や配線板を構成する各種の回路基板に対して適用可能である。
また、本発明の回路基板は、絶縁性のベース基板上に導電パターンが形成されたものであればよく、各種の態様が有り得る。例えば、回路基板の基板本体は、プリント配線板に限定されない。また、片面にのみ導電パターンがあるタイプに限定されず、両面に導電パターンがあるものでもよいし、多層状にベース基板と導電パターンを積み重ねた多層基板であってもよい。また、電子部品も両面に実装されていてもよいし、実装形態もスルーホール実装に限定されず、表面実装などの形態でもよい。また、基板本体は、柔軟性の無いリジット基板でもよいが、柔軟性の有るフレキシブル基板でもよい。
【0158】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0159】
1 パチンコ機(遊技機)
100 遊技制御装置
111 遊技用マイコン(遊技用マイクロコンピュータ)
535 主基板(回路基板)
571 ベース基板
572 導電層
573 レジスト層
574 基板本体
575,576,577,578,579 隠蔽層(隠蔽部)
581,582,583,584,585,586,587 識別標識

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のベース基板上に配線として導電パターンが形成された回路基板を備え、前記回路基板には、導通状態に関係しない導電パターンによる表示または導電パターンからベース基板面を臨ませることによる表示によって、当該回路基板を特定可能な識別標識を表示する遊技機において、
前記回路基板を特定可能な識別標識を前記回路基板に複数形成し、
該複数形成された識別標識のうち当該回路基板を特定するための識別標識を除いたその余の識別標識を識別困難に除去し、除去されていない前記特定するための識別標識によって当該回路基板を特定可能とさせたことを特徴とする遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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