説明

遊技機

【課題】電子タグシールの不正な再利用を阻止することができる遊技機を提供する。
【解決手段】電子タグシール36を被覆する保護カバー部材37と、該保護カバー部材37を所定方向にスライドさせるカバースライド機構115と、電子タグシール36を切って破壊するためのシール破壊機構116とを備え、シール破壊機構116は、保護カバー部材37のスライド方向に沿って貼着部46に形成された破壊用凹部128と、保護カバー部材37に形成された破壊用凸部129と、を備え、電子タグシール36は、破壊用凹部128を覆う状態で貼着部46に貼着され、破壊用凸部129は、保護カバー部材37が装着された常態では、破壊用凹部128に進入しない位置に配置され、保護カバー部材37が前記所定方向にスライドすると、破壊用凹部128内を移動して電子タグシール36のうち破壊用凹部128を覆う部分を切って電子タグシール36を破壊する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技制御実行用の電子部品が実装された制御基板と、該制御基板を内部に収納するための基板ボックスと、予め記憶された固有の識別情報を発信可能な電子タグを有する電子タグシールと、を備え、前記基板ボックスには、前記電子タグシールを貼着するための貼着部を備えたパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えば、パチンコ遊技機やスロットマシンに搭載された遊技制御装置(メイン制御装置)は、各種の電子部品が実装された遊技制御基板を基板ボックスに収納した構成となっている。この基板ボックスは、ベースとなる第1ケース部材と、蓋となる第2ケース部材とから構成され、第1ケース部材と第2ケース部材を重ねると遊技制御基板を収納できる空間部が形成されるようになっている。そして、第2ケース部材には、遊技制御基板上のコネクタ部を外部に露出できる開口部が形成され、遊技制御基板はコネクタ部のみを外部に露出した状態でボックス内に収納可能としている。この種の遊技機では、遊技制御基板を正規のものとは異なる不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
【0003】
このような不正行為に対処すべく、近年では、基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたチップ部(ICチップ部)及びアンテナ部を含む電子タグシールを第1ケース部材と第2ケース部材とに跨って貼り付け、第1ケース部材と第2ケース部材を分離させるとアンテナ部が切断することで、チップ部から外部の読取装置へ識別情報が発信できないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−113710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献に記載された遊技制御装置は、電子タグシールを露出した状態で貼着しているため、不正行為者が再利用目的で電子タグシールを不正に剥がし易い。具体的には、不正行為者が特殊な溶液等を使用したりドライヤー等で加熱したりして電子タグシールの粘着力を弱め、この状態で電子タグシールを破らずに剥がす虞がある。そして、不正に剥がされた電子タグシールが不正行為者により別個に準備された不正な遊技制御装置(詳しくは不正に改竄された遊技制御基板を収納する遊技制御装置)に貼着されてしまうと、不正な遊技制御装置であるにも拘らず、電子タグシールからは正規の識別情報が発信されるため、不正な遊技制御基板が収納されていることを判別することができない。そこで、電子タグシールを保護するカバーを装着することが考えられるが、単にカバーを装着しただけでは、不正行為者が電子タグシールを損傷させずにカバーを取り外し、露出した電子タグシールをきれいに剥がしてしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子タグシールの不正な再利用を阻止することが可能な遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、遊技制御実行用の電子部品が実装された制御基板と、該制御基板を内部に収納するための基板ボックスと、予め記憶された固有の識別情報を発信可能な電子タグを有する電子タグシールと、を備え、前記基板ボックスには、前記電子タグシールを貼着するための貼着部を備えた遊技機において、
前記貼着部に装着されて当該貼着部に貼着された前記電子タグシールを被覆することが可能なカバー部材と、
該カバー部材を所定方向にスライドさせることで前記基板ボックスから取り外し可能とするカバースライド機構と、
前記貼着部に貼着された前記電子タグシールを切って破壊するためのシール破壊機構と、を備え、
前記シール破壊機構は、
前記カバー部材のスライド方向に沿って前記貼着部に形成される破壊用凹部と、
前記カバー部材に形成されて前記破壊用凹部内を移動可能な破壊用凸部と、を備え、
前記電子タグシールは、前記破壊用凹部を覆う状態で前記貼着部に貼着され、
前記破壊用凸部は、前記カバー部材が前記貼着部に装着された常態においては、前記破壊用凹部に進入しない位置に配置され、前記カバー部材が前記所定方向にスライドすると、前記破壊用凹部内を移動して前記電子タグシールのうち前記破壊用凹部を覆う部分を切って破壊することを特徴とする遊技機である。
【0008】
請求項2に記載のものは、前記電子タグには、前記識別情報を記憶したチップ部を有し、
前記電子タグシールは、前記チップ部が前記破壊用凹部に重合する状態で前記貼着部に貼着されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子タグシールの不正な再利用を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】前面側を開放した状態のパチンコ遊技機の斜視図である。
【図2】パチンコ遊技機の背面図である。
【図3】遊技制御装置の後方から見た分解斜視図である。
【図4】第1ケース部材の説明図であり、(a)は後方から見た斜視図、(b)は前方から見た左右両側部の部分拡大図である。
【図5】第2ケース部材の説明図であり、(a)は後方から見た斜視図、(b)は前方から見た左右両側部の部分拡大図である。
【図6】(a)は嵌脱部に係合爪を通した状態の基板ボックスの説明図、(b)は(a)の状態から第2ケース部材を係合方向へスライドした状態の基板ボックスの説明図である。
【図7】貼着ベースの斜視図である。
【図8】電子タグシールの説明図であり、(a)はベースシート側から見た図、(b)は粘着層側から見た図、(c)は分解斜視図である。
【図9】保護カバー部材の説明図であり、(a)は後方から見た斜視図、(b)は前方から見た斜視図である。
【図10】保護カバー部材を貼着ベースに取り付ける直前状態の説明図である。
【図11】保護カバー部材を貼着ベースに取り付けた状態の説明図である。
【図12】(a)は保護カバー部材を取り付けた貼着ベースの背面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は(a)のY−Y断面図である。
【図13】右側封止機構を切除し、カバー止着機構を破壊した状態の基板ボックスの説明図である。
【図14】保護カバー部材をシール被覆位置から取付スライド方向へスライドした状態の基板ボックスの部分拡大図である。
【図15】保護カバー部材を取り外し、左側封止機構を破壊した状態の基板ボックスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
パチンコ遊技機1は、機枠(外枠)2の前面に、大きな矩形状開口を有する略額縁状の前面枠(内枠)3を開閉可能に軸着し、この前面枠3のベースとなる前面枠本体4に矩形状の遊技盤5を前方から収納可能とし、遊技盤5の表面には遊技領域6を区画形成している。また、前面枠3の前側には、一側(図1中、左側)が軸着された透明部材保持枠8を開閉可能に設け、該透明部材保持枠8に透視可能な透明部材9を保持し、透明部材9を通して遊技領域6をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠8の下方には、一側(図1中、左側)が前面枠3に軸着された上皿ユニット11を開閉(回動)可能に設け、該上皿ユニット11の下方には、下皿ユニット12を上皿ユニット11に対して左右方向にずれた位置に配置している。そして、下皿ユニット12の側部(図1中、右側部)には、発射装置(図示せず)を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)14を備えている。
【0012】
また、図2に示すように、前面枠本体4の裏面側には裏機構盤18を形成し、該裏機構盤18に略矩形状の開口窓部19を開設し、前面枠本体4に遊技盤5を前方から交換可能な状態で取り付けるとともに、遊技盤5の後部(裏面側部)を開口窓部19から後方へ臨ませている。さらに、裏機構盤18には一連の裏機構部品を設けている。具体的に説明すると、裏機構盤18の上部には球排出機構20を取り付け、下部にはサブ制御装置の一種である排出制御装置21、電源装置22、中継基板23等をそれぞれ取り付けている。球排出機構20は、上流側から順に、球導出シュートを下部に備えた球タンク24、球タンク24の球導出シュートから遊技球を案内する案内流路25、案内流路25の下端に接続された球排出装置26、球排出装置26から流下した遊技球を上皿ユニット11へ送る球流下路27等を並べて構成されており、排出制御装置21からの制御信号に基づいて遊技球の排出を実行するように構成されている。
【0013】
そして、遊技盤5の裏面のうち、裏機構盤18の開口窓部19から臨む部分に、略矩形状の大きな遊技盤カバー28を備えた裏側ベース29と横長な装着ベース30とを上下に並べた状態で配置し、上側の裏側ベース29の内部には、サブ制御装置の一種である演出制御装置(図示せず)を装着し、下側の装着ベース30の裏面側には、メイン制御装置である遊技制御装置32を着脱可能な状態で装着している。
【0014】
次に、遊技制御装置32について説明する。
遊技制御装置32は、遊技盤5の左右方向に沿って延在する薄い箱状のユニットであり、図3に示すように、透光性を有して内部を透視可能な樹脂製(例えば無色透明な樹脂製)の基板ボックス34と、該基板ボックス34内に収容された矩形状の制御基板35と、当該遊技制御装置32を識別するための電子タグシール36と、該電子タグシール36を保護する保護カバー部材(カバー部材)37とを備えて構成されており、制御基板35にはCPU等からなる遊技制御実行用の電子部品35aや配線接続用の配線コネクタ35bを実装している。
【0015】
基板ボックス34は、装着ベース30に装着された状態で当該基板ボックス34の表側(遊技盤5の前寄り)に配置される第1ケース部材(ベース部材)41と、当該基板ボックス34の裏側(遊技盤5の後寄り)に配置されて第1ケース部材41に重合する第2ケース部材(蓋部材)42とから構成されている。そして、両ケース部材41,42を重合して閉じた状態(重合状態または閉状態)で当該基板ボックス34の内部に制御基板35を収納可能とし、第2ケース部材42には、配線コネクタ35bを露出させるためのコネクタ開口42aを開設している。また、図3に示すように、基板ボックス34の上下両縁部には、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉状態で係合する係合機構43を備え、基板ボックス34の一側(図3中、右側)にはブロック状の貼着ベース44を設け、該貼着ベース44の外面、言い換えると基板ボックス34の外面(表面)に、電子タグシール36を貼着するための貼着部46を電子タグシール36よりも僅かに広く設定された状態で備えている。そして、基板ボックス34の左右両側部、言い換えると基板ボックス34の長手方向の両端部には、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉じた状態で封止し、且つ破壊しない限り基板ボックス34の封止を解除不能とするボックス封止ユニット47を、第1ケース部材41と第2ケース部材42との境界に跨る状態で設けている。
【0016】
係合機構43は、第1ケース部材41の上下両端部に設けられた係合溝部50(図4(a)参照)と、第2ケース部材42の上下両端部から延設された係合片51(図5(a)参照)とから構成されており、係合溝部50を基板ボックス34の横向き延在方向(言い換えると遊技盤5の左右方向)に沿って延在するとともに、基板ボックス34の中央側へ向けて開放して、係合片51を係合溝部50の延在方向に沿って摺動可能としている。また、図4(a)に示すように、係合溝部50の裏側を区画する裏側壁部の側部(図4(a)中、右側部)を後方の第2ケース部材42側へ向けて開放して嵌脱部52を形成し、該嵌脱部52を介して係合片51を係合溝部50へ嵌脱できるように構成されている。
【0017】
このような構成の係合機構43を備えた第1ケース部材41と第2ケース部材42とを取り付けるには、まず、第2ケース部材42を重合方向(図3中、矢印Aで示す方向)へ移動して第1ケース部材41へ裏側から近づけ、嵌脱部52に係合片51を通して第1ケース部材41と第2ケース部材42とを重合する(図6(a)参照)。さらに、第2ケース部材42を第1ケース部材41の一側寄り(図6(a)中、左寄り)へ向かう係合方向(図6(a)中、矢印Bで示す方向)へスライドして係合片51を係合溝部50の一側部(図6(a)中、左側部)へ摺動する。すると、図6(b)に示すように、係合片51が基板ボックス34の裏方向へ移動することを係合溝部50の裏側壁部により規制され、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを取り付けて閉じた状態(係合状態)にすることができる。一方、第1ケース部材41から第2ケース部材42を外す(分離する)には、第2ケース部材42を第1ケース部材41の他側寄り(図6(a)中、右寄り)へ向かう係合解除方向(図6(a)中、矢印Cで示す方向)へスライドして係合片51を嵌脱部52へ臨ませ(図6(a)参照)、この状態で第2ケース部材42を基板ボックス34の裏方向へ向かう離間方向(図3中、矢印Dで示す方向)へ移動して第1ケース部材41から離間する。したがって、第2ケース部材42は、基板ボックス34の重合方向Aへ移動した後に係合方向Bへスライドして第1ケース部材41へ係合される。一方、第1ケース部材41への係合状態から係合解除方向Cへスライドした後に離間方向Dへ移動すれば、第1ケース部材41から離間する。
【0018】
貼着ベース44は、図3〜図7に示すように、第1ケース部材41の側部(図4(a)中、右側部)に設けられた縦向き矩形状の第1ベース部56と、第2ケース部材42の側部(図5(a)中、右側部)に設けられた縦向き矩形状の第2ベース部57とを前後に重ね合わせて構成されている。また、第1ベース部56の側端面(図4(a)中、右端面)には、縦長短冊状の第1貼着部59を形成し、第2ベース部57の裏面(言い換えるとパチンコ遊技機1の後方に露出する面)から側面(図4(a)中、右側面)に亘る箇所には第2貼着部60を形成し、該第2貼着部60のうち第2ベース部57の裏面に臨ませる部分を本体部60aとし、該本体部60aの側縁(図7中、右側縁)から前方の第1ベース部56側へ向けて屈曲した部分を屈曲部60bとしている。そして、図7に示すように、第1貼着部59のうち第2ケース部材42側に位置する後縁部と、第2貼着部60の屈曲部60bのうち第1ケース部材41側に位置する前縁部とを前後に並べて、貼着部46を側部(図7中、右側部)が基板ボックス34の前方へ向けて屈曲した状態で構成している。したがって、第1貼着部59と第2貼着部60とで構成される貼着部46は、電子タグシール36を第1ケース部材41と第2ケース部材42とに跨って貼着可能とし、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを取付・分離するための移動方向(重合方向A、係合方向B、係合解除方向C、離間方向D)に沿って第1ベース部56と第2ベース部57とを移動して当該貼着部46を形成したり分割したりできるように構成されている。言い換えると、貼着部46は、第1ケース部材41に形成される箇所(第1貼着部59)と第2ケース部材42に形成される箇所(第2貼着部60)とに分割される状態で構成されている。
【0019】
また、図3に示すように、第2貼着部60の本体部60aにはベース止着孔61を電子タグシール36で閉塞され得る位置および大きさで開設し、第1ベース部56には、ベース止着孔61に対向し得る位置にベース止着受部62を設け、ベース止着孔61にビス等のベース止着具63を挿通し、この状態でベース止着具63の先端をベース止着受部62に止着して、第1ベース部56と第2ベース部57とを重合状態で止着可能としている。なお、貼着部46の周辺に設けられた構成については、後で詳細に説明する。
【0020】
次に、ボックス封止ユニット(かしめユニット)47について説明する。
ボックス封止ユニット47は、図3に示すように、基板ボックス34のうち遊技盤5の裏側から見て左端部(図3中、左端部)に位置する左側封止ユニット(言い換えると基板ボックス34の中央部分から係合方向Bの先に位置する一側封止ユニット)47Lと、基板ボックス34のうち遊技盤5の裏側から見て右端部(図3中、右端部)に位置する右側封止ユニット(言い換えると基板ボックス34の中央部分から係合解除方向Cの先に位置する他側封止ユニット)47Rとから構成されており、右側封止ユニット47Rを貼着ベース44の上方に配置している。
【0021】
左側封止ユニット47Lは、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉状態で固着して封止するための左側封止機構66と、該左側封止機構66の破壊後に第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉状態で再固着して再封止するための左側再封止機構67とを上下に並んだ状態で備え、左側封止機構66を基板ボックス34の下寄りに配置するとともに左側再封止機構67を基板ボックス34の上寄りに配置している。
【0022】
左側封止機構66は、図3〜図5に示すように、基板ボックス34の一側(図3中、左側)に接続された左側封止部70と、ワンウェイねじ等の左側封止具71と、左側封止具71を被覆する左側封止カバー72とを備えている。左側封止部70は、第1ケース部材41に設けられた左側封止受部73と、第2ケース部材42に設けられた左側封止体74とから構成されている。また、図4(a)および(b)に示すように、左側封止受部73の側面から左側封止受ブラケット73aを突設して第1ケース部材41の一側面(図4(a)中、左側面)へ接続し、図5(a)に示すように、左側封止体74の側面から左側封止ブラケット74aを突設して第2ケース部材42の一側面(図5(a)中、左側面)へ接続している。さらに、左側封止体74には、左側封止具71を挿入するための左側封止挿入口74bを開放し、該左側封止挿入口74bを左側封止カバー72で閉塞可能としている(図3参照)。そして、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを重合して閉じると、左側封止受部73と左側封止体74とが重合方向Aまたは離間方向Dに沿って並んで位置し、この状態で左側封止具71を左側封止挿入口74bから挿入して締め込むと、左側封止具71が左側封止体74と左側封止受部73とを固着し、且つこの固着状態を解除不能とするように構成されている。
【0023】
左側再封止機構67は、図3〜図5に示すように、基板ボックス34の一側(図3中、左側)に接続された左側再封止部77と、ワンウェイねじ等の左側再封止具78とを備えている。左側再封止部77は、第1ケース部材41に設けられた左側再封止受部80と、第2ケース部材42に設けられた左側再封止体81とから構成されている。また、図4(a)に示すように、左側再封止受部80の側面から左側再封止受ブラケット80aを突設して第1ケース部材41の一側面(図4(a)中、左側面)のうち左側封止受ブラケット73aよりも上方の位置に接続し、さらには左側再封止受ブラケット80aと左側封止受ブラケット73aとを上下に連結している。また、図5(a)に示すように、左側再封止体81の側面から左側再封止ブラケット81aを突設して第2ケース部材42の一側面(図5(a)中、左側面)のうち左側封止ブラケット74aよりも上方の位置へ接続し、左側再封止体81には、左側再封止具78を挿入するための左側再封止挿入口81bを開放している。そして、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを重合して閉じると、左側再封止受部80と左側再封止体81とが重合方向Aまたは離間方向Dに沿って並んで位置し、この状態で左側再封止具78を左側再封止挿入口81bから挿入して締め込むと、左側再封止具78が左側再封止体81と左側再封止受部80とを固着し、且つこの固着状態を解除不能とするように構成されている。
【0024】
右側封止ユニット47Rは、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉状態で固着して封止するための右側封止機構86(本発明における封止機構に相当)と、該右側封止機構86の破壊後に第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉状態で再固着して再封止するための右側再封止機構87(本発明における再封止機構に相当)とを上下に並んだ状態で備え、右側封止機構86を基板ボックス34の下寄り(貼着ベース44寄り)に配置するとともに右側再封止機構87を基板ボックス34の上寄りに配置している。
【0025】
右側封止機構86は、図3〜図5に示すように、基板ボックス34の他側(図3中、右側)に接続された右側封止部90と、ワンウェイねじ等の右側封止具91と、右側封止具91を被覆する右側封止カバー92とを備えている。右側封止部90は、第1ケース部材41に設けられた右側封止受部93と、第2ケース部材42に設けられた右側封止体94とから構成されている。また、図4(a)および(b)に示すように、右側封止受部93の外周面から右側封止受ブラケット93aを複数突設して第1ケース部材41の他側面(図4(a)中、右側面)、第1ベース部56の上面、第1ベース部56の上面から上方へ向けて立設された封止支持部96、該封止支持部96の上端部と第1ケース部材41との間に設けられた支持梁部97へそれぞれ接続している。さらに、図5(a)および(b)に示すように、右側封止体94の外周面から右側封止ブラケット94aを複数突設して第2ケース部材42の他側面(図5(a)中、右側面)および第2ベース部57の上面へ接続し、右側封止体94には、右側封止具91を挿入するための右側封止挿入口94bを開放し、右側封止挿入口94bを右側封止カバー92で閉塞可能としている(図3参照)。また、図5(b)に示すように、右側封止体94のうち右側封止受部93側の端部(前端部)には円弧状の封止係合ストッパー94cを設け、右側封止体94が係合方向Bに沿って移動すると、封止係合ストッパー94cが右側封止受部93へ係合して、右側封止体94と右側封止受部93とが中心軸を揃えて位置決めできるように構成されている。そして、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを重合して閉じると、右側封止受部93と右側封止体94とが重合方向Aまたは離間方向Dに沿って並んで位置し、この状態で右側封止具91を右側封止挿入口94bから挿入して締め込むと、右側封止具91が右側封止体94と右側封止受部93とを固着し、且つこの固着状態を解除不能とするように構成されている。
【0026】
右側再封止機構87は、図3〜図5に示すように、基板ボックス34の他側(図3中、右側)に接続された右側再封止部98と、ワンウェイねじ等の右側再封止具99とを備えている。右側再封止部98は、第1ケース部材41に設けられた右側再封止受部100と、第2ケース部材42に設けられた右側再封止体101とから構成されている。また、図4(a)および(b)に示すように、右側再封止受部100の側面から右側再封止受ブラケット100aを突設して第1ケース部材41の他側面(図4(a)中、右側面)のうち右側封止受ブラケット93aよりも上方の位置に接続し、さらには右側再封止受ブラケット100aと支持梁部97とを上下に連結している。さらに、図5(a)および(b)に示すように、右側再封止体101の側面から右側再封止ブラケット101aを突設して第2ケース部材42の他側面(図5(a)中、右側面)のうち右側封止ブラケット94aよりも上方の位置へ接続し、右側再封止体101には、右側再封止具99を挿入するための右側再封止挿入口101bを開放している。また、図5(b)に示すように、右側再封止体101のうち右側再封止受部100側の端部(前端部)には円弧状の再封止係合ストッパー101cを設け、右側再封止体101が係合方向Bに沿って移動すると、再封止係合ストッパー101cが右側再封止受部100へ係合して、右側再封止体101と右側再封止受部100とが中心軸を揃えて位置決めできるように構成されている。そして、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを重合して閉じると、右側再封止受部100と右側再封止体101とが重合方向Aまたは離間方向Dに沿って並んで位置し、この状態で右側再封止具99を右側再封止挿入口101bから挿入して締め込むと、右側再封止具99が右側再封止体101と右側再封止受部100とを固着し、且つこの固着状態を解除不能とするように構成されている。
【0027】
そして、ボックス封止ユニット47は、左側再封止部77の剛性を左側封止部70の剛性よりも強く設定して、左側再封止機構67を左側封止機構66よりも破壊し難い構成とし、さらには、右側再封止部98の剛性を右側封止部90の剛性よりも強く設定して、右側再封止機構87を右側封止機構86よりも破壊し難い構成にしている。詳しくは、基板ボックス34の中央部分から見て係合解除方向Cの上流側に位置する左側封止ユニット47Lにおいては、左側封止部70のうち左側封止体74を支持する左側封止ブラケット74aを、左側封止体74側から第1ケース部材41側へ向かうにつれて上下幅が次第に縮幅する形状とし、左側封止ブラケット74aの裏面(左側封止受部73側に臨ませた面)には支持リブ(図示せず)を1つ立設している。一方、左側再封止部77のうち左側再封止体81を支持する左側再封止ブラケット81aの上下幅を、左側再封止体81側から第1ケース部材41側に亘って均一であり、且つ左側封止ブラケット74aの上下幅よりも広い寸法に設定している。また、左側封止ブラケット74aの裏面(左側封止受部73側に臨ませた面)には支持リブ(図示せず)を3つ立設している。このような構成を備えることにより、左側再封止ブラケット81aの断面積を左側封止ブラケット74aの断面積よりも広くして、左側再封止ブラケット81aを左側封止ブラケット74aよりも破断し難い構成とし、左側再封止部77の剛性を左側封止部70の剛性よりも強く設定している。この結果、左側封止ユニット47Lは、左側再封止機構67を左側封止機構66よりも破壊し難い構成、言い換えると、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉じた状態で封止する機能を失い難く、基板ボックス34の開放を許容し難い構成に設定している。
【0028】
また、基板ボックス34の中央部分から見て係合解除方向Cの下流側に位置する右側封止ユニット47Rにおいては、右側封止部90の右側封止受ブラケット93aの断面および右側封止ブラケット94aの断面をそれぞれ薄肉の短冊状としている。一方、右側再封止部98のうち右側再封止受部100を支持する右側再封止受ブラケット100aを厚肉の断面T字状とし、右側再封止体101を支持する右側再封止ブラケット101aを厚肉の断面E字状としている。このような構成を備えることにより、右側再封止受ブラケット100aの断面積を右側封止受ブラケット93aの断面積よりも広くして、右側再封止受ブラケット100aを右側封止受ブラケット93aよりも破断し難い構成とし、さらには、右側再封止ブラケット101aの断面積を右側封止ブラケット94aの断面積よりも広くして、右側再封止ブラケット101aを右側封止ブラケット94aよりも破断し難い構成としている。したがって、右側再封止部98の剛性を右側封止部90の剛性よりも強く設定している。この結果、右側封止ユニット47Rは、右側再封止機構87を右側封止機構86よりも破壊し難い構成、言い換えると、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉じた状態で封止する機能を失い難く、基板ボックス34の開放を許容し難い構成に設定している。
【0029】
次に、電子タグシール36について説明する。
電子タグシール36は、図8に示すように、不透明なシート材で形成された矩形状のベースシート104と、該ベースシート104の裏面側に貼着された長尺な電子タグ105とを備えて構成されている。また、該電子タグ105には、遊技制御装置32に関する固有の識別情報(例えば、識別ID)が予め記憶されたチップ部(ICチップ)106と、識別情報を発信可能なアンテナ部107とを備え(図8(b),(c)参照)、アンテナ部107から発信された識別情報を外部読取装置(図示せず)により読み取って、遊技制御装置32が正規品であるか否かを確認可能としている。また、図8(b)に示すように、矩形状のベースシート104の裏面側の対角線に沿って長尺なアンテナ部107を直線状に配置し、該アンテナ部107の中央部分にチップ部106を配置し、電子タグシール36を貼着部46へ貼着すると、電子タグ105が第1ケース部材41と第2ケース部材42との境界、詳しくは第1ベース部56と第2ベース部57との境界に交差して跨るように設定されている。
【0030】
そして、図8(a)に示すように、電子タグシール36の表面(ベースシート104の表面)、詳しくは、貼着部46へ貼着した状態で遊技盤5の裏面側に位置する面には「開封禁止」の文字を印刷し、電子タグ105(チップ部106およびアンテナ部107)を含む電子タグシール36の裏面全体、詳しくは、貼着部46に対向する面の全体には粘着層108を設け、該粘着層108を介して電子タグシール36を貼着部46へ貼着可能としている。なお、アンテナ部107は、ベースシート104の対角線上に一直線に配置することが望ましいが、ベースシート104の対角線に平行な状態、あるいは多少傾斜した状態で配置してもよい。また、ベースシート104は、シール剥がし等の溶剤が付着したり、あるいは粘着層108の粘度が十分に低下する温度(例えば60度)まで加熱されたりした場合には変色するように構成されている。したがって、不正行為者が不正に電子タグシール36を貼着部46から剥がそうとしたことをベースシート104の変色により把握することができる。
【0031】
次に、電子タグシール36を保護する保護カバー部材37、および保護カバー部材37と貼着ベース44との間に設けられた構成について説明する。
保護カバー部材37は、図9に示すように、側部が前方の第1ケース部材41側へ向けて屈曲した屈曲板状の部材であり、電子タグシール36よりもひと回り大きく形成されて、電子タグシール36の全体を十分に被覆できるように構成されている。また、当該保護カバー部材37の前寄りに位置する屈曲平面部分を第1カバー体111として第1貼着部59の延在方向と同じ方向へ延在させ、当該保護カバー部材37の後寄りに位置する平面部分を第2カバー体112として第2貼着部60の本体部60aの延在方向と同じ方向へ延在させている。そして、貼着ベース44上において保護カバー部材37が電子タグシール36の全体を十分に被覆可能となる位置をシール被覆位置とし、該シール被覆位置に保護カバー部材37を配置すると、第1カバー体111が電子タグシール36のうち第1貼着部59と第2貼着部60の屈曲部60bとに貼着されている部分を被覆するとともに、第2カバー体112が電子タグシール36のうち第2貼着部60の本体部60aに貼着されている部分を被覆するように構成されている。
【0032】
また、貼着ベース44と保護カバー部材37との間には、保護カバー部材37を電子タグシール36(詳しくは貼着部46に貼着された状態の電子タグシール36)の延在方向、具体的には上下方向に沿ってスライドさせるカバースライド機構115と、貼着部46に貼着された電子タグシール36を切って破壊するためのシール破壊機構116と、貼着ベース44(基板ボックス34)に保護カバー部材37をシール被覆位置で止着するためのカバー止着機構(カバーかしめ機構)117とを備えている。
【0033】
カバースライド機構115は、基板ボックス34(詳しくは基板ボックス34に設けられた貼着ベース44)に対して保護カバー部材37を着脱可能とする機構であり、保護カバー部材37に設けられた複数のスライド係合部120(第1スライド係合部120a,第2スライド係合部120b)と、貼着ベース44に設けられた複数のスライド係合受部121(第1スライド係合受部121a,第2スライド係合受部121b)とを備えて構成されている。そして、スライド係合部120をスライド係合受部121へ貼着ベース44の下方から挿入して係合し、この状態で保護カバー部材37を取付スライド方向(図7に実線の矢印Eで示す上方向)、詳しくは貼着ベース44の下方からシール被覆位置へ向かう方向に沿ってスライドするように構成されている。
【0034】
カバースライド機構115の構成を具体的に説明すると、図9(a)に示すように、第1カバー体111の前縁部に縦長な第1スライド係合部120aを貼着部46(第1貼着部59)とは反対側(図9(a)中、右側)へ向けて突設し、第2カバー体112のうち基板ボックス34の中央寄りに位置する側縁部(図9(a)中、左側縁部)には、縦長な第2スライド係合部120bを貼着部46(第2貼着部60)とは反対側となる後方へ向けて突設している。また、図7に示すように、第1ベース部56のうち第1貼着部59から側方(図7中、右側方)に外れた位置には、第1スライド係合部120aを係合可能な第1スライド係合受部121aを上下方向に延在する姿勢で備え、第1スライド係合受部121aの内部には、第1スライド係合部120aが通過可能な第1係合溝121cを上下両端が開放された状態で形成されている。そして、第1係合溝121cの下端開口を第1スライド係合部120aが進入する入口とし、上端開口を第1スライド係合部120aが引き出される出口としている。
【0035】
さらに、第2ベース部57の裏面のうち第2貼着部60よりも基板ボックス34の中央寄り(図7中、左寄り)に位置する箇所には、第2スライド係合部120bを係合可能な第2スライド係合受部121bを上下方向に延在する姿勢で備え、第2スライド係合受部121bの内部には、第2スライド係合部120bが通過可能な第2係合溝121dを上下両端が開放された状態で形成されている。そして、第2係合溝121dの下端開口を第2スライド係合部120bが進入する入口とし、上端開口を第2スライド係合部120bが引き出される出口としている。このような構成のカバースライド機構115により保護カバー部材37をスライドして、第1スライド係合部120aの長尺方向の中心部分と第1スライド係合受部121aの長尺方向の中心部分とを揃えるとともに、第2スライド係合部120bの長尺方向の中心部分と第2スライド係合受部121bの長尺方向の中心部分とを揃えると、保護カバー部材37がシール被覆位置に位置するように構成されている(図12(a)参照)。
【0036】
また、カバースライド機構115のうち第2スライド係合部120bと第2スライド係合受部121bとの間には、保護カバー部材37を取付スライド方向Eとは反対の逆スライド方向(図7に破線の矢印Fで示す下方向)へスライドすることを規制するカバースライド規制部123を備えている。カバースライド規制部123は、第2スライド係合部120bに設けられたスライド規制片124と、該スライド規制片124が逆スライド方向Fから係止可能なスライド規制受部125とから構成されている。具体的に説明すると、図9(a)および図12(b)に示すように、第2スライド係合部120bの長手方向の中間部にはスライド規制片124を後方の第2スライド係合受部121b側へ突出する状態で備え、このスライド規制片124を当該スライド規制片124の下端部(言い換えると、取付スライド方向Eの後端に位置する部分)が自由端となる片持ち支持姿勢とし、第2スライド係合部120bを挟んで第2係合溝121dから外れる前方へ撓み得るように構成されている。また、図5(b)および図12(b)に示すように、第2係合溝121dの長手方向の中間部を後方へ向けて凹ませてスライド規制受部125を形成し、スライド規制片124の下端部を逆スライド方向Fから係止可能としている。なお、カバースライド規制部123の作用については、後で詳細にする。
【0037】
シール破壊機構116は、第2貼着部60の本体部60aに形成された縦長溝状の破壊用凹部128と、第2カバー体112から突設された破壊用凸部129とから構成されている。詳しくは、図7に示すように、第2貼着部60の本体部60aのうち第1貼着部59寄り(図7中、右寄り)の位置を前方の第1ベース部56側へ向けて溝状に凹ませて破壊用凹部128を形成し、この破壊用凹部128を取付スライド方向Eに沿って延在させている。さらに、破壊用凹部128の上端(取付スライド方向Eの先端に位置する部分)を第2ベース部57の上方へ開放するとともに、破壊用凹部128の下端(取付スライド方向Eの後端に位置する部分)を、第2ベース部57の下部に形成された凹部連通溝130を介して第2ベース部57の下方へ開放し、破壊用凹部128の下端開口を破壊用凸部129が進入する入口とし、上端開口を破壊用凸部129が脱出する出口としている。また、図9(b)に示すように、第2カバー体112の下部のうち第2貼着部60の本体部60aに対向する前面から破壊用凸部129を突設し、保護カバー部材37をシール被覆位置に位置させた状態では、図11に示すように、破壊用凸部129が破壊用凹部128よりも下方において、破壊用凹部128と取付スライド方向Eに沿って直線上に並んで位置するように構成されている。そして、破壊用凸部129の横幅(取付スライド方向Eとは直交する方向)を破壊用凹部128の溝幅よりも狭く設定して、破壊用凸部129が破壊用凹部128内を取付スライド方向Eに沿って移動可能とし、破壊用凸部129のうち取付スライド方向Eの先端に位置する上部を鋭角にして、電子タグシール36を切るための刃先(カッター)129aを形成している。
【0038】
カバー止着機構117は、保護カバー部材37の下部に接続された円筒状のカバー止着体132と、基板ボックス34の第2ベース部57に設けられたカバー止着受部133と、カバー止着体132とカバー止着受部133とを止着可能、且つ止着状態を解除不能とするカバー止着具134とを備えて構成されている。詳しくは、図9(a)に示すように、第2カバー体112の下部のうち破壊用凸部129よりも第2スライド係合部120b寄り(図9(a)中、左寄り)の位置にカバー止着体132を設け、カバー止着体132の上部および側部(図9(a)中、右側部)からは止着ブラケット132aを突設して第2カバー体112へそれぞれ接続している。また、カバー止着体132には、カバー止着具134を挿入するための止着挿入口132bを開放し、該止着挿入口132bを止着具キャップ135で閉塞可能とし(図3参照)、該カバー止着体132のうち第1カバー体111側となる前側には円弧状の止着ストッパー132c(図9(b)参照)を設けている。
【0039】
さらに、図7に示すように、第2ベース部57の下部のうち凹部連通溝130よりも基板ボックス34の中央寄り(図7中、左寄り)の位置を円筒状に凹ませて止着体収容部136を形成し、該止着体収容部136内の前寄りの位置(第1ベース部56寄りの位置)にカバー止着受部133を設けている。そして、図11に示すように、保護カバー部材37をシール被覆位置に位置させると、カバー止着体132が止着体収容部136内に進入してカバー止着受部133と前後方向に並び、止着ストッパー132cがカバー止着受部133へ係合してカバー止着体132とカバー止着受部133とが位置決めされる。この状態でカバー止着具134を止着挿入口132bから挿入して締め込むと、カバー止着具134がカバー止着体132とカバー止着受部133とを固着し、且つこの固着状態を解除不能とするように構成されている。また、止着ブラケット132aを切断してカバー止着機構117を破壊しない限り、保護カバー部材37の貼着ベース44への止着を解除不能としている。
【0040】
そして、基板ボックス34は、第2ベース部57(貼着ベース44)の下部に、縦向き姿勢の当接支持腕部139を破壊用凹部128の下端開口の縁部から凹部連通溝130に沿って垂設して下端を自由端とし、この下端(自由端)には下向き鏃状の凸部当接部材140を設け、該凸部当接部材140の基端部分(上端部分)を凹部連通溝130内に突出させている。また、貼着ベース44の上方に位置する右側封止機構86、言い換えると、シール被覆位置または貼着部46から取付スライド方向Eへずれた箇所に位置する右側封止機構86を第2貼着部60よりも貼着ベース44の後方(基板ボックス34の後方)へ向けて突出させ(図12(c)参照)、シール被覆位置から取付スライド方向Eへスライドしてきた保護カバー部材37が右側封止機構86に当接可能としている。さらに、右側封止体94の側部(図7中、右側部)からカバー位置決め当接片142を突設し、保護カバー部材37の上縁部がカバー位置決め当接片142に当接すると、保護カバー部材37がシール被覆位置に位置決めされるように構成されている。そして、右側封止機構86の上方に位置する右側再封止機構87、言い換えると、右側封止機構86から取付スライド方向Eへずれた箇所に位置する右側再封止機構87を第2貼着部60よりも貼着ベース44の前方へずらして配置し(図12(c)参照)、シール被覆位置から取付スライド方向Eへスライドしてきた保護カバー部材37と右側再封止機構87とを当接不能としている。
【0041】
さらに、保護カバー部材37は、カバー止着体132の側部(図9(a)中、右側部)から横向き短冊状のボックス当接片144を第1カバー体111側(図9(a)中、右側)へ向けて延設し、ボックス当接片144と第2カバー体112の下縁部とを当接片ブラケット144aで接続している。そして、保護カバー部材37を取付スライド方向Eにスライドしてボックス当接片144を第2ベース部57の下面へ当接すると、保護カバー部材37がシール被覆位置に位置決めされ、さらにボックス当接片144が凹部連通溝130の下端開口を閉成するように構成されている。
【0042】
上記構成を備えた遊技制御装置32を組み立てるには、まず、制御基板35を第2ケース部材42の内側へ止着して配線コネクタ35bをコネクタ開口42aに臨ませ、この状態で第2ケース部材42を制御基板35と第1ケース部材41の内側とが対向する姿勢に設定する。第2ケース部材42の姿勢を設定したならば、図6(a)に示すように、第2ケース部材42を重合方向Aに沿って移動して第1ケース部材41へ重合させるとともに、係合片51を嵌脱部52へ通す。そして、第2ケース部材42を係合方向Bへスライドして係合片51を係合溝部50へ係合させて第1ケース部材41と第2ケース部材42とを係合状態(閉じた状態)にする。すると、基板ボックス34は、第1貼着部59と第2貼着部60の側縁部とを上下両縁部がそれぞれ直線状に揃う状態で接続し、左側封止体74と左側封止受部73、左側再封止体81と左側再封止受部80、右側封止体94と右側封止受部93、右側再封止体101と右側再封止受部100をそれぞれ重合する。
【0043】
第1ケース部材41と第2ケース部材42とを係合して閉じたならば、図7に示すように、電子タグシール36を貼着する前に、第1ベース部56と第2ベース部57とをベース止着具63で止着して第1ケース部材41と第2ケース部材42とを係止する。また、左側封止体74と左側封止受部73とを左側封止具71で固着するとともに、右側封止体94と右側封止受部93とを右側封止具91で固着して、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉じた状態で封止する。さらに、左側封止挿入口74bに左側封止カバー72を溶着する等して閉塞して左側封止体74内の左側封止具71の頭部を被覆する一方、右側封止挿入口94bに右側封止カバー92を溶着する等して閉塞して右側封止体94内の右側封止具91の頭部を被覆する。なお、左側再封止体81には左側再封止具78を左側再封止挿入口81bから挿入するが、左側再封止具78の先端を左側再封止受部80に到達させずに左側再封止体81内で留まる状態(仮止め状態)とし、左側再封止体81と左側再封止受部80とを固着しない。また、右側再封止体101には右側再封止具99を右側再封止挿入口101bから挿入するが、右側再封止具99の先端を右側再封止受部100に到達させずに右側再封止体101内で留まる状態(仮止め状態)とし、右側再封止体101と右側再封止受部100とを固着しない。
【0044】
そして、電子タグシール36を当該電子タグシール36の縁部が貼着部46の縁部に沿う状態、且つ「開封禁止」の文字が取付スライド方向Eに沿って並ぶ姿勢で貼着する。すると、電子タグシール36は、図10に示すように、「開封禁止」の文字よりも第1貼着部59側に位置する部分が前方の第1ベース部56側へ折り曲げられた状態で貼着され、ベースシート104でベース止着孔61および破壊用凹部128の後側の縦長な開放部分を被覆(閉成)する。また、電子タグシール36の下縁部の一部を破壊用凹部128の下端開口に臨ませ、チップ部106を破壊用凹部128に重合させる。
【0045】
貼着部46に電子タグシール36を貼着したならば、図10に示すように、保護カバー部材37をカバー止着体132が下側に位置する姿勢、且つ、第1スライド係合部120aが第1スライド係合受部121aの直下に位置するとともに、第1スライド係合部120aが第1スライド係合受部121aの直下に位置する姿勢で貼着ベース44の下方に配置する。この状態で保護カバー部材37を上方へ移動して、第1スライド係合部120aを第1スライド係合受部121aの入口へ挿入するとともに、第2スライド係合部120bを第2スライド係合受部121bの入口へ挿入する。さらに、保護カバー部材37を上方へ移動すると、保護カバー部材37がカバースライド機構115により取付スライド方向Eへスライドし、スライド規制片124を第2スライド係合受部121bの入口の開口縁で押圧して撓ませながら第2係合溝121d内に進入させる。また、破壊用凸部129が凹部連通溝130内に進入し、凸部当接部材140を退けて当接支持腕部139を撓ませながら取付スライド方向Eへ進んで破壊用凹部128の下端に近づく。そして、保護カバー部材37の上縁部がカバー位置決め当接片142に当接するとともに、ボックス当接片144が第2ベース部57の下面へ当接して保護カバー部材37の取付スライド方向Eへのスライドを規制すると、図11および図12(a)に示すように、保護カバー部材37がシール被覆位置に位置決めされて電子タグシール36を被覆する。
【0046】
このとき、カバー止着機構117においては、止着ストッパー132cがカバー止着受部133へ係合してカバー止着体132とカバー止着受部133とが位置決めされる。また、カバースライド規制部123においては、図12(b)に示すように、スライド規制片124がスライド規制受部125に到達したことで撓み状態を解除されてスライド規制受部125内に逆スライド方向Fから係止し、保護カバー部材37の逆スライド方向Fへのスライドを規制する。さらに、凹部連通溝130内においては、図12(c)に示すように、破壊用凸部129が凸部当接部材140よりも上方の破壊用凹部128側に位置して凸部当接部材140を退ける状態(押圧状態)を解除し、当接支持腕部139が撓み状態から復元して凸部当接部材140が凹部連通溝130内に突出する。この結果、凸部当接部材140が破壊用凸部129に取付スライド方向Eから当接して破壊用凸部129を被覆し、破壊用凸部129および保護カバー部材37の逆スライド方向Fへのスライドを規制する。したがって、保護カバー部材37の取付スライド方向Eへのスライドを阻止する構成で、破壊用凸部129が不正に保護カバー部材37から切除されることをも阻止することができる。また、ボックス当接片144が凹部連通溝130の下端開口を塞いでいるので、凸部当接部材140が不正に破壊用凸部129から外されてしまうこと、ひいては破壊用凸部129が不正に切除されることを未然に防ぐことができる。
【0047】
保護カバー部材37をシール被覆位置に位置決めしてスライドを規制した後、図11に示すように、カバー止着具134でカバー止着体132とカバー止着受部133とを止着(固着)して保護カバー部材37を取り外し不能とし、さらにはカバー止着体132に止着具キャップ135を溶着してカバー止着具134を被覆して、遊技制御装置32の組み立てが完了する。組み立てられた遊技制御装置32は、第1ケース部材41が装着ベース30に対向する姿勢とした状態で装着ベース30に装着される。このとき、貼着部46には保護カバー部材37を装着しているので、電子タグシール36が不用意に傷ついたりして識別情報を発信不能となる不都合を未然に防ぐことができる。
【0048】
なお、例えば電子タグシール36を不正に部品取りする目的で、カバー位置決め当接片142を切除したりカバー止着機構117を破壊したりして保護カバー部材37を取り外そうとしたとしても、図12(c)に示すように、右側封止機構86を保護カバー部材37(詳しくは、カバースライド機構115により取付スライド方向Eへスライドしている保護カバー部材37)が当接可能な位置に配置しているので、わざわざ右側封止機構86を破壊しなければ保護カバー部材37を取り外すことができない。したがって、基板ボックス34を封止するための構成で保護カバー部材37の取り外しを規制することができる。
【0049】
このようにして組み立てられた遊技制御装置32においては、次のような手順を行えば基板ボックス34を開放することができる。まず、遊技制御装置32を装着ベース30から外し、図13に示すように、右側封止部90の右側封止受ブラケット93aおよび右側封止ブラケット94aを工具(例えばニッパー)で全て切断して右側封止機構86を破壊(具体的には基板ボックス34から切除)する。なお、保護カバー部材37の上縁部に当接していたカバー位置決め当接片142は、右側封止機構86とともに基板ボックス34から外される。
【0050】
次に、カバー止着機構117の止着ブラケット132aおよびボックス当接片144の当接片ブラケット144aを工具(例えばニッパー)で切断してカバー止着機構117を破壊する。このようにして保護カバー部材37の止着状態を解除したならば、保護カバー部材37を取付スライド方向E(上方)へスライドさせる。このとき、カバースライド規制部123においては、スライド規制片124が第2スライド係合受部121bの上縁部に押圧され、前方の第2ベース部57側へ撓んでスライド規制受部125から外れ、保護カバー部材37の取付スライド方向Eへのスライドを許容する。また、保護カバー部材37のスライドに伴って、破壊用凸部129が凸部当接部材140から上方へ離れて破壊用凹部128内に進入し、破壊用凹部128の下端開口に臨ませた電子タグシール36の下縁部に刃先129aを押圧して、電子タグシール36を縁から切り始める。さらに、図14に示すように、破壊用凸部129が破壊用凹部128内を移動して、電子タグシール36のうち破壊用凹部128を覆う部分を切って電子タグシール36を破壊し、さらには破壊用凹部128に重合していたチップ部106を押圧して電子タグシール36から脱離させる。したがって、保護カバー部材37(言い換えると電子タグシール36を保護する構成)を取り外すだけで電子タグシール36を破壊することができ、電子タグシール36の不正な再利用を阻止するための処理を簡単に実行することができる。また、保護カバー部材37を取り外せばチップ部106が電子タグシール36から脱離するので、電子タグシール36の発信機能(詳しくは識別情報を発信する機能)を無効化することができ、電子タグシール36が不正に再利用される不都合を一層阻止することができる。
【0051】
また、カバースライド規制部123が保護カバー部材37の取付スライド方向Eへのスライドを許容するが、逆スライド方向Fへのスライドを規制するので、電子タグシール36が破壊されずに保護カバー部材37が取り外される不都合、ひいては電子タグシール36が破壊されていない状態で部品取りされて不正に再利用される不都合を阻止することができる。さらに、図12(c)に示すように、右側再封止機構87を保護カバー部材37(詳しくは、カバースライド機構115により取付スライド方向Eへスライドしている保護カバー部材37)が当接不能な位置に配置しているので、右側再封止機構87が保護カバー部材37の取り外し作業の邪魔にならず、保護カバー部材37の取り外し後に利用する予定の右側再封止機構87を破壊する必要がない。
【0052】
保護カバー部材37をカバースライド機構115により取付スライド方向Eへスライドし続け、図15に示すように、破壊用凸部129が電子タグシール36を左右に切断して破壊用凹部128の上端開口から外れると、カバースライド機構115がスライド係合部120とスライド係合受部121との係合を解除し、保護カバー部材37が貼着ベース44から外れる。保護カバー部材37を取り外して電子タグシール36が破壊された状態で露出したならば、電子タグシール36のうちベース止着孔61を被覆している箇所を切り取る等してベース止着具63の頭部を露出させ、露出したベース止着具63を取り外す。さらに、左側封止部70の左側封止ブラケット74aを工具(例えばニッパー)で切断して左側封止機構66を破壊する。このようにして第2ケース部材42の係合解除方向Cへの移動を許容した後、第2ケース部材42を係合解除方向Cへ移動し、さらに離間方向Dへ移動すると、基板ボックス34が開放される。このとき、第1貼着部59と第2貼着部60とが左右に分離し、電子タグシール36が第1貼着部59と第2貼着部60との境界に沿って破れる。したがって、基板ボックス34を開く動作によっても電子タグシール36を破壊することができ、電子タグシール36の不正な再利用を確実に阻止することができる。
【0053】
また、基板ボックス34の開放作業においては、カバー止着機構117を破壊して保護カバー部材37を基板ボックス34から取り外すと、基板ボックス34にカバー止着体132をボックス当接片144が当接した状態で残すので、基板ボックス34にカバー止着体132およびボックス当接片144を保護カバー部材37の取り外し動作の痕跡として残すことができ、保護カバー部材37が取り外されたこと、例えば、不正行為者が不正に基板ボックス34を開放しようとして保護カバー部材37を取り外したことを容易に把握することができる。
【0054】
ところで、遊技制御装置32に対して不正行為が行われた可能性がある場合には、所轄の警察もしくは遊技場側の正規な作業(不正行為を伴わない作業)により、上記手順にしたがって基板ボックス34を開放し、目視等により制御基板35に不正部品が搭載されていないか否か等のチェックが行われる。このチェックの結果、遊技制御装置32に異常が認められなかった場合には、交換用の新たな遊技制御装置32が準備できるまで(例えば、メーカーから遊技場に到着するまで)の間に限り、チェック済みの遊技制御装置32を電子タグシール36が破れた状態、および保護カバー部材37と右側封止機構86とが外れた状態で再び組み立てて仮使用する。
【0055】
遊技制御装置32の再組立について説明すると、まず、制御基板35を第2ケース部材42から外している場合には、制御基板35を第2ケース部材42の内側へ止着して配線コネクタ35bをコネクタ開口42aに臨ませ、この状態で第2ケース部材42を制御基板35と第1ケース部材41の内側とが対向する姿勢に設定する。第2ケース部材42の姿勢を設定したならば、図6(a)に示すように、第2ケース部材42を重合方向Aに沿って移動して第1ケース部材41へ重合させるとともに、係合片51を嵌脱部52へ通す。そして、第2ケース部材42を係合方向Bへスライドして係合片51を係合溝部50へ係合させて第1ケース部材41と第2ケース部材42とを係合状態(閉じた状態)にする。すると、基板ボックス34は、左側再封止体81と左側再封止受部80、右側再封止体101と右側再封止受部100をそれぞれ重合し、左側封止体74と左側封止受部73とが固着された状態の左側封止機構66を第2ケース部材42の側部へ接近させる。
【0056】
第1ケース部材41と第2ケース部材42とを係合して閉じたならば、ベース止着具63により第1ベース部56と第2ベース部57とを止着して、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを係止する。また、予め左側再封止体81に仮止めされていた左側再封止具78を十分に締め込んで左側再封止体81と左側再封止受部80とを固着するとともに、予め右側再封止体101に仮止めされていた右側再封止具99を十分に締め込んで右側再封止体101と右側再封止受部100とを固着して、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉じた状態で再封止する。このようにして、左側封止機構66および右側封止機構86の破壊後から新品交換までの間に基板ボックス34および制御基板35を仮使用(例えば、基板ボックス34および制御基板35に異常がないことを確認した上で一時的に使用)する場合であっても、左側再封止機構67および右側再封止機構87を用いて基板ボックス34を封止することができる。そして、左側再封止機構67と右側再封止機構87とにより、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを閉じた状態で再固着して再封止したならば、遊技制御装置32を第1ケース部材41が装着ベース30に対向する姿勢に設定し、この状態で装着ベース30へ装着する。
【0057】
また、仮使用される遊技制御装置32は、仮使用終了後においては、再封止された基板ボックス34を開放せずに(制御基板35の再チェックを行わずに)交換用の新たな遊技制御装置32に交換される。ここで、左側再封止機構67を左側封止機構66よりも破壊し難い構成にするとともに、右側再封止機構87を右側封止機構86よりも破壊し難い構成にしているので、遊技盤5(パチンコ遊技機1)から外されて交換される予定の基板ボックス34、言い換えると、仮使用終了後に開封不要な基板ボックス34において、左側再封止機構67および右側再封止機構87を無駄に破壊し易くしておかずに済み、制御基板35に対するセキュリティが不必要に弱くなる不都合を抑制することができる。さらに、左側再封止部77の剛性を左側封止部70の剛性よりも強く設定して左側再封止機構67を左側封止機構66よりも破壊し難い構成に設定するとともに、右側再封止部98の剛性を右側封止部90の剛性よりも強く設定して右側再封止機構87を右側封止機構86よりも破壊し難い構成に設定したので、左側再封止機構67および右側再封止機構87を無駄に破壊し易くしておかずに済む構成を、簡単に実現することができる。
【0058】
ところで、上記実施形態では、保護カバー部材37を取り外すと電子タグシール36が2つに切り離されて破壊されるように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、保護カバー部材37を取り外すと、破壊用凸部129が電子タグシール36の一部を切って破壊するように構成してもよい。具体的には、カバースライド機構が保護カバー部材37をシール被覆位置からスライドさせるスライド長さを貼着状態における電子タグシール36の取付スライド方向Eに沿った長さよりも短く設定する。そして、保護カバー部材37をシール被覆位置から取付スライド方向Eへスライドすれば、破壊用凸部129が電子タグシール36を切り始めるが、破壊用凸部129が電子タグシール36を2つに切り離す前にカバースライド機構115の係合状態が解除される。この解除状態で保護カバー部材37および破壊用凸部129を電子タグシール36から離せば、電子タグシール36に縁部から切り込みを入れたり電子タグシール36の一部を切除したりして電子タグシール36を破壊することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、カバースライド規制部123のスライド規制片124を保護カバー部材37に設け、スライド規制受部125を基板ボックス34(貼着ベース44)に設けたが、本発明はこれに限定されない。要は、保護カバー部材37を取付スライド方向Eとは反対方向へスライドすることを規制することができれば、どのような構成のカバースライド規制部であってもよい。例えば、スライド規制受部を保護カバー部材37に設け、スライド規制片を基板ボックス34に設けてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、遊技制御実行用の電子部品が実装された制御基板と、該制御基板を内部に収納するための基板ボックスと、予め記憶された固有の識別情報を発信可能な電子タグを有する電子タグシールと、を備え、前記基板ボックスには、前記電子タグシールを貼着するための貼着部を備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
【0061】
ところで、電子タグシールを保護する構成を取り外すだけで、電子タグシールの不正な再利用を阻止するための処理を簡単に実行することができる遊技機を提供するべく、上記の実施形態から次の発明群が挙げられる。
【0062】
すなわち、第1発明は、遊技制御実行用の電子部品が実装された制御基板と、該制御基板を内部に収納するための基板ボックスと、予め記憶された固有の識別情報を発信可能な電子タグを有する電子タグシールと、を備え、前記基板ボックスの表面には、前記電子タグシールを貼着するための貼着部を備えた遊技機において、
前記貼着部に貼着された前記電子タグシールを被覆するための保護カバー部材と、
該保護カバー部材を前記電子タグシールの延在方向に沿ってスライドさせて、前記基板ボックスに対して着脱可能とするカバースライド機構と、
前記貼着部に貼着された前記電子タグシールを切って破壊するためのシール破壊機構と、を備え、
前記シール破壊機構は、
前記保護カバー部材のスライド方向に沿って前記貼着部に形成された破壊用凹部と、
前記保護カバー部材から突設され、前記破壊用凹部内を移動可能な破壊用凸部と、を備え、
前記保護カバー部材が前記電子タグシールを被覆する位置をシール被覆位置とし、前記保護カバー部材を前記シール被覆位置からスライドして前記基板ボックスから取り外すと、前記破壊用凸部が前記破壊用凹部内を移動して、前記電子タグシールのうち前記破壊用凹部を覆う部分を切って前記電子タグシールを破壊するように構成されたことを特徴とする遊技機である。
【0063】
第2発明は、前記保護カバー部材を前記基板ボックスへの取付時に前記シール被覆位置へ向けてスライドする方向を取付スライド方向とし、
前記カバースライド機構には、前記保護カバー部材を前記取付スライド方向とは反対方向へスライドすることを規制するカバースライド規制部を備え、
該カバースライド規制部は、前記保護カバー部材または前記基板ボックスのいずれか一方に設けられたスライド規制片と、他方に設けられたスライド規制受部とから構成され、
前記保護カバー部材を前記シール被覆位置に位置させると、前記スライド規制片と前記スライド規制受部とが係止して前記保護カバー部材の前記取付スライド方向とは反対方向へのスライドを規制し、
前記保護カバー部材を前記シール被覆位置から前記取付スライド方向へスライドすると、前記スライド規制片が撓んで前記スライド規制受部から外れ、前記保護カバー部材の前記取付スライド方向へのスライドを許容することを特徴とする第1発明に記載の遊技機である。
【0064】
第3発明は、前記シール被覆位置に位置する前記保護カバー部材を前記基板ボックスへ止着するカバー止着機構を備え、該カバー止着機構を破壊しない限り前記保護カバー部材の止着を解除不能とし、
前記カバー止着機構は、前記保護カバー部材に設けられたカバー止着体と、前記基板ボックスに設けられたカバー止着受部と、前記カバー止着体と前記カバー止着受部とを止着可能、且つ止着状態を解除不能とするカバー止着具と、を備えて構成され、
前記カバー止着体には、前記基板ボックスに前記取付スライド方向から当接するボックス当接片を設け、該ボックス当接片が前記基板ボックスに当接すると、前記保護カバー部材が前記シール被覆位置に位置決めされるように構成され、
前記カバー止着機構を破壊して前記保護カバー部材を前記基板ボックスから取り外すと、前記基板ボックスに前記カバー止着体を前記ボックス当接片が当接した状態で残すことを特徴とする第2発明に記載の遊技機である。
【0065】
第4発明は、前記基板ボックスは、前記破壊用凸部に前記取付スライド方向から当接可能な凸部当接部材を備え、
前記保護カバー部材を前記シール被覆位置に位置させると、前記凸部当接部材が前記破壊用凸部に前記取付スライド方向から当接して前記破壊用凸部を被覆し、前記破壊用凸部および前記保護カバー部材の前記取付スライド方向とは反対方向へのスライドを規制することを特徴とする第3発明に記載の遊技機である。
【0066】
第5発明は、前記基板ボックスは、第1ケース部材と、第2ケース部材と、両ケース部材を閉じた状態で固着して封止するための封止機構と、を備え、該封止機構を破壊しない限り当該基板ボックスの封止を解除不能とし、
前記封止機構は、前記シール被覆位置から前記取付スライド方向へずれた位置、且つ前記カバースライド機構によりスライドしている前記保護カバー部材が当接可能な位置に配置されたことを特徴とする第4発明に記載の遊技機である。
【0067】
第6発明は、前記基板ボックスは、前記封止機構の破壊後に前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを閉じた状態で再固着して封止するための再封止機構を備え、該再封止機構の剛性を前記封止機構の剛性よりも強く設定して、前記再封止機構を前記封止機構よりも破壊し難い構成とし、
前記再封止機構は、前記封止機構から前記取付スライド方向へずれた位置、且つ前記カバースライド機構によりスライドしている前記保護カバー部材が当接不能な位置に配置されたことを特徴とする第5発明に記載の遊技機である。
【0068】
第7発明は、前記貼着部は、前記第1ケース部材に形成される箇所と前記第2ケース部材に形成される箇所とに分割される状態で構成されたことを特徴とする第6発明に記載の遊技機である。
【0069】
第8発明は、前記電子タグシールは、前記電子タグのうち前記破壊用凹部に重合可能な位置に、固有の識別情報を記憶したチップ部を配置し、
前記保護カバー部材を前記シール被覆位置からスライドして基板ボックスから取り外すと、前記破壊用凸部が前記チップ部を押圧して前記電子タグシールから脱離させることを特徴とする第7発明に記載の遊技機である。
【0070】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
第1発明によれば、遊技制御実行用の電子部品が実装された制御基板と、該制御基板を内部に収納するための基板ボックスと、予め記憶された固有の識別情報を発信可能な電子タグを有する電子タグシールと、を備え、基板ボックスの表面には、電子タグシールを貼着するための貼着部を備えた遊技機において、貼着部に貼着された電子タグシールを被覆するための保護カバー部材と、該保護カバー部材を電子タグシールの延在方向に沿ってスライドさせて、基板ボックスに対して着脱可能とするカバースライド機構と、貼着部に貼着された電子タグシールを切って破壊するためのシール破壊機構と、を備え、シール破壊機構は、保護カバー部材のスライド方向に沿って貼着部に形成された破壊用凹部と、保護カバー部材から突設され、破壊用凹部内を移動可能な破壊用凸部と、を備え、保護カバー部材が電子タグシールを被覆する位置をシール被覆位置とし、保護カバー部材をシール被覆位置からスライドして基板ボックスから取り外すと、破壊用凸部が破壊用凹部内を移動して、電子タグシールのうち破壊用凹部を覆う部分を切って電子タグシールを破壊するように構成されたので、電子タグシールを保護する構成を取り外すだけで電子タグシールを破壊することができ、電子タグシールの不正な再利用を阻止するための処理を簡単に実行することができる。
【0071】
第2発明によれば、保護カバー部材を基板ボックスへの取付時にシール被覆位置へ向けてスライドする方向を取付スライド方向とし、カバースライド機構には、保護カバー部材を取付スライド方向とは反対方向へスライドすることを規制するカバースライド規制部を備え、該カバースライド規制部は、保護カバー部材または基板ボックスのいずれか一方に設けられたスライド規制片と、他方に設けられたスライド規制受部とから構成され、保護カバー部材をシール被覆位置に位置させると、スライド規制片とスライド規制受部とが係止して保護カバー部材の取付スライド方向とは反対方向へのスライドを規制し、保護カバー部材をシール被覆位置から取付スライド方向へスライドすると、スライド規制片が撓んでスライド規制受部から外れ、保護カバー部材の取付スライド方向へのスライドを許容するので、電子タグシールが破壊されずに保護カバー部材が取り外される不都合、ひいては電子タグシールが破壊されていない状態で部品取りされて不正に再利用される不都合を阻止することができる。
【0072】
第3発明によれば、シール被覆位置に位置する保護カバー部材を基板ボックスへ止着するカバー止着機構を備え、該カバー止着機構を破壊しない限り保護カバー部材の止着を解除不能とし、カバー止着機構は、保護カバー部材に設けられたカバー止着体と、基板ボックスに設けられたカバー止着受部と、カバー止着体とカバー止着受部とを止着可能、且つ止着状態を解除不能とするカバー止着具と、を備えて構成され、カバー止着体には、基板ボックスに取付スライド方向から当接するボックス当接片を設け、該ボックス当接片が基板ボックスに当接すると、保護カバー部材がシール被覆位置に位置決めされるように構成され、カバー止着機構を破壊して保護カバー部材を基板ボックスから取り外すと、基板ボックスにカバー止着体をボックス当接片が当接した状態で残すので、基板ボックスにカバー止着体およびボックス当接片を保護カバー部材の取り外し動作の痕跡として残すことができ、保護カバー部材が取り外されたことを容易に把握することができる。
【0073】
第4発明によれば、基板ボックスは、破壊用凸部に取付スライド方向から当接可能な凸部当接部材を備え、保護カバー部材をシール被覆位置に位置させると、凸部当接部材が破壊用凸部に取付スライド方向から当接して破壊用凸部を被覆し、破壊用凸部および保護カバー部材の取付スライド方向とは反対方向へのスライドを規制するので、保護カバー部材の取付スライド方向へのスライドを阻止する構成で、破壊用凸部が不正に保護カバー部材から切除されることをも阻止することができる。
【0074】
第5発明によれば、基板ボックスは、第1ケース部材と、第2ケース部材と、両ケース部材を閉じた状態で固着して封止するための封止機構と、を備え、該封止機構を破壊しない限り当該基板ボックスの封止を解除不能とし、封止機構は、シール被覆位置から取付スライド方向へずれた位置、且つカバースライド機構によりスライドしている保護カバー部材が当接可能な位置に配置されたので、基板ボックスを封止するための構成で保護カバー部材の取り外しを規制することができる。
【0075】
第6発明によれば、基板ボックスは、封止機構の破壊後に第1ケース部材と第2ケース部材とを閉じた状態で再固着して封止するための再封止機構を備え、該再封止機構の剛性を封止機構の剛性よりも強く設定して、再封止機構を封止機構よりも破壊し難い構成とし、再封止機構は、封止機構から取付スライド方向へずれた位置、且つカバースライド機構によりスライドしている保護カバー部材が当接不能な位置に配置されたので、封止機構の破壊後から新品交換までの間に基板ボックスおよび制御基板を仮使用(例えば、基板ボックスおよび制御基板に異常がないことを確認した上で一時的に使用)する場合であっても、再封止機構を用いて基板ボックスを封止することができる。また、再封止機構が保護カバー部材の取り外し作業の邪魔にならず、保護カバー部材の取り外し後に利用する予定の再封止機構を破壊する必要がない。さらに、遊技機から外されて交換される予定の基板ボックス、言い換えると、仮使用終了後に開封不要な基板ボックスにおいて、再封止機構を無駄に破壊し易くしておかずに済み、制御基板に対するセキュリティが不必要に弱くなる不都合を抑制することができる。
【0076】
第7発明によれば、貼着部は、第1ケース部材に形成される箇所と第2ケース部材に形成される箇所とに分割される状態で構成されたので、基板ボックスを開く動作によっても電子タグシールを破壊することができ、電子タグシールの不正な再利用を確実に阻止することができる。
【0077】
第8発明によれば、電子タグシールは、電子タグのうち破壊用凹部に重合可能な位置に、固有の識別情報を記憶したチップ部を配置し、保護カバー部材をシール被覆位置からスライドして基板ボックスから取り外すと、破壊用凸部がチップ部を押圧して電子タグシールから脱離させるので、保護カバー部材を取り外せば、電子タグシールの発信機能(詳しくは識別情報を発信する機能)を無効化することができ、電子タグシールが不正に再利用される不都合を一層阻止することができる。
【0078】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 パチンコ遊技機
5 遊技盤
32 遊技制御装置
34 基板ボックス
35 制御基板
36 電子タグシール
37 保護カバー部材
41 第1ケース部材
42 第2ケース部材
44 貼着ベース
46 貼着部
56 第1ベース部
57 第2ベース部
59 第1貼着部
60 第2貼着部
66 左側封止機構
67 左側再封止機構
86 右側封止機構
87 右側再封止機構
105 電子タグ
106 チップ部
115 カバースライド機構
116 シール破壊機構
117 カバー止着機構
120 スライド係合部
121 スライド係合受部
123 カバースライド規制部
124 スライド規制片
125 スライド規制受部
128 破壊用凹部
129 破壊用凸部
132 カバー止着体
133 カバー止着受部
134 カバー止着具
139 当接支持腕部
140 凸部当接部材
142 カバー位置決め当接片
144 ボックス当接片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技制御実行用の電子部品が実装された制御基板と、該制御基板を内部に収納するための基板ボックスと、予め記憶された固有の識別情報を発信可能な電子タグを有する電子タグシールと、を備え、前記基板ボックスには、前記電子タグシールを貼着するための貼着部を備えた遊技機において、
前記貼着部に装着されて当該貼着部に貼着された前記電子タグシールを被覆することが可能なカバー部材と、
該カバー部材を所定方向にスライドさせることで前記基板ボックスから取り外し可能とするカバースライド機構と、
前記貼着部に貼着された前記電子タグシールを切って破壊するためのシール破壊機構と、を備え、
前記シール破壊機構は、
前記カバー部材のスライド方向に沿って前記貼着部に形成される破壊用凹部と、
前記カバー部材に形成されて前記破壊用凹部内を移動可能な破壊用凸部と、を備え、
前記電子タグシールは、前記破壊用凹部を覆う状態で前記貼着部に貼着され、
前記破壊用凸部は、前記カバー部材が前記貼着部に装着された常態においては、前記破壊用凹部に進入しない位置に配置され、前記カバー部材が前記所定方向にスライドすると、前記破壊用凹部内を移動して前記電子タグシールのうち前記破壊用凹部を覆う部分を切って破壊することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記電子タグには、前記識別情報を記憶したチップ部を有し、
前記電子タグシールは、前記チップ部が前記破壊用凹部に重合する状態で前記貼着部に貼着されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−52279(P2013−52279A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−275570(P2012−275570)
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2009−292081(P2009−292081)の分割
【原出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】