説明

遊技機

【課題】扉体の不正開放に対する防御性能を高めることのできる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機10は、外枠11に対し開閉可能に支持される内枠12と、内枠12を外枠11に施錠する施錠装置とを備えている。施錠装置は、シリンダ錠700を備えるとともに、該シリンダ錠700の操作に連動して、内枠12の開放を規制する係止位置から内枠12の開放を許容する非係止位置へと変位する内枠鉤部を備えている。また、パチンコ機10は、電力が供給されている場合に内枠12の開放を許容する第1の状態となり、電力供給が停止された場合に内枠12の開放を規制する第2の状態となる開放規制手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコ機等の遊技機では、店員以外の者が無断で扉体を開放できないように施錠装置が設けられている。それにもかかわらず、遊技ホールでは、扉体を不正に解錠・開放し、扉体裏側に設けられた制御機器を不正に操作したり交換したりする等して、多くの遊技球を獲得する不正行為が行われることもあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−263026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、夜間や営業休日等の営業時間外の遊技ホールに不法侵入され、制御機器を交換する等の不正行為が行われた場合には、その発見が困難であり、そのような不正行為により遊技ホールは多大な損害を被るおそれがあった。
【0005】
尚、かかる課題は、パチンコ機に限らず、スロットマシン等他の遊技機にも内在する問題である。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、扉体の不正開放に対する防御性能を高めることのできる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遊技機は、
固定枠に対して開閉可能な扉体と、前記扉体に対して開閉可能な前扉と、前記前扉を前記扉体に施錠可能であるとともに、前記扉体を前記固定枠に施錠可能な施錠装置とを備え、
前記施錠装置は、
前記扉体のうち前記固定枠に支持された一辺部側とは反対側の他辺部に沿って前記扉体の背面に取付固定される基体と、
前記前扉の開放を規制する係止位置と前記前扉の開放を許容する非係止位置との間を変位可能な第1施錠部材と、
前記扉体の開放を規制する係止位置と前記扉体の開放を許容する非係止位置との間を変位可能な第2施錠部材と、
所定の操作を行うことで、前記係止位置にある前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材を前記非係止位置へと変位可能な操作部材と、
電力が供給されている場合には、前記操作部材が操作されることで前記前扉及び前記扉体の開放を許容する第1の状態となり、
電力供給が停止された場合には、前記操作部材への操作が行われても前記前扉及び前記扉体の開放を規制する第2の状態となる開放規制手段とを備え、
前記基体に対し、前記操作部材、前記第1施錠部材、前記第2施錠部材、及び、前記開放規制手段が取付けられ、
前記開放規制手段は、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位を許容する第1の位置と、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位を規制する第2の位置との間を変位する可動部材と、前記可動部材を変位させる駆動手段とを備え、
電力が供給された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第1の位置へと変位させ、
電力供給が停止された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第2の位置へと変位させ、
前記第1施錠部材と一体的に構成された第1支持片部と、前記第2施錠部材と一体的に構成された第2支持片部とを備え、
前記第1施錠部材の前記非係止位置側への変位方向と、前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位方向とが反対方向であり、
前記可動部材は、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の変位方向に対して直交又はほぼ直交する方向に沿って変位可能に構成され、
前記第2の位置にある前記可動部材は、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の両方に対し、対応する前記第1施錠部材又は前記第2施錠部材が前記非係止位置側に変位しようとした場合に当接する構成であって、
前記駆動手段は、前記可動部材の変位方向に沿った方向において変位可能なプランジャーと、前記プランジャーを突出方向に付勢する付勢手段とを備え、励磁状態とされることで前記プランジャーの突出長が非励磁状態にある場合よりも短くなるプル型のソレノイドにより構成され、
前記可動部材は、磁性体により構成されるとともに、前記プランジャーの先端部に対して非固定状態で当接し、
電力供給が停止された場合には、前記ソレノイドが非励磁状態とされ、前記プランジャーによって前記可動部材が押圧されて前記第2の位置へと変位させられ、
電力が供給された場合には、前記ソレノイドが励磁状態とされ、磁化された前記プランジャーに前記可動部材が引き付けられて前記第1の位置へと変位させられ、
前記第2の位置にある前記可動部材の前記第2の位置側の端部を覆う接触防止手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、扉体の不正開放に対する防御性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の斜視図である。
【図3】パチンコ機の右側面図である。
【図4】内枠及び前面枠セットを開放した状態を示す斜視図である。
【図5】外枠の構成を示す斜視図である。
【図6】内枠及び遊技盤の構成を示す正面図である。
【図7】内枠の構成を示す背面図である。
【図8】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図9】電気的構成を示すブロック図である。
【図10】施錠装置の背面図である。
【図11】施錠装置の右側面図である。
【図12】施錠装置の左側面図である。
【図13】施錠装置の正面図である。
【図14】背面側から見た施錠装置の分解図である。
【図15】側面側から見た施錠装置の分解図である。
【図16】(a)〜(c)はカム板等の作用を説明するための図である。
【図17】取付板の前面に取付けられる施錠ソレノイドの周辺部を示す斜視図である。
【図18】プランジャーが没入した状態にある施錠ソレノイドの周辺部を示す拡大図である。
【図19】プランジャーが突出した状態にある施錠ソレノイドの周辺部を示す拡大図である。
【図20】別の実施形態における施錠ソレノイドの周辺部を示す断面図である。
【図21】別の実施形態における施錠ソレノイドの周辺部を示す拡大図である。
【図22】別の実施形態における施錠装置の下部を示す斜視図である。
【図23】図22に示す施錠装置の背面図である。
【図24】(a)は図22に示す開放規制ユニットの下面図であり、(b)は(a)の分解図である。
【図25】別の実施形態における施錠装置の下部を示す斜視図である。
【図26】別の実施形態における施錠装置の下部を示す斜視図である。
【図27】別の実施形態における施錠ソレノイドの周辺部を示す拡大図である。
【図28】別の実施形態における導通部材等を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
【0011】
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠(遊技機本体)としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に扉体(第1扉体)としての内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。
【0012】
ここで、外枠11について図5を参照しつつ説明する。外枠11の左辺部には、上ヒンジ81及び下ヒンジ82が設けられている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能に支持される。また、外枠11の右辺部には、後述する施錠装置600の内枠鉤部637,638に対応して、上下一対の被係止部としての受け金具83,84が取付けられている。
【0013】
さらに、外枠11下部には、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。幕板飾り85の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。また、外枠11の右辺部内側面には切欠き部89が形成されている。この切欠き部89は、内枠12を閉状態とした際に、内枠12の背面側に設けられた施錠装置600等が外枠12と接触するのを防止するためのものである。
【0014】
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
【0015】
また、内枠12の前面側には、前扉(第2扉体)としての前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
【0016】
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
【0017】
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
【0018】
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
【0019】
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
【0020】
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
【0021】
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図9参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
【0022】
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
【0023】
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0024】
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
【0025】
次に、遊技盤30の構成について図6を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0026】
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
【0027】
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
【0028】
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
【0029】
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
【0030】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
【0031】
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
【0032】
内レール構成部51の先端部分(図6の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
【0033】
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
【0034】
次に、パチンコ機10の背面の構成を図8に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0035】
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
【0036】
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
【0037】
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
【0038】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
【0039】
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
【0040】
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
【0041】
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
【0042】
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
【0043】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
【0044】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
【0045】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、本実施形態における後扉に相当する。
【0046】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
【0047】
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
【0048】
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
【0049】
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
【0050】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0051】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0052】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
【0053】
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0054】
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
【0055】
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
【0056】
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0057】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0058】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0059】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0060】
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0061】
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
【0062】
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0063】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
【0064】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0065】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
【0066】
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0067】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
【0068】
次に、内枠12の施錠機構、前面枠セット14の施錠機構、及び裏パックユニット203の施錠機構について図10乃至図15を参照して説明する。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14及び裏パックユニット203は内枠12に対し施錠される。これらの施錠機構は単一の施錠装置600によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14及び裏パックユニット203を解錠できるようになっている。ここで、図10は、施錠装置600の背面図であり、図11は右側面図、図12は左側面図、図13は正面図である。また、図14は、背面側から見た施錠装置600の分解図であり、図15は、側面側から見た施錠装置600の分解図である。
【0069】
施錠装置600は、内枠12の背面側左側辺部(図7左側)に沿って取付けられている。施錠装置600の外郭を構成する縦長の基体としての基枠601は、内枠12の背面部に固定される取付部としての取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(窓孔39側)の端縁から後方に突出した支持部としての支持板603と、取付板602の内枠12外方側の端縁から後方に突出したフランジ部604とを備えており、これらが一体となって横断面略コ字状をなしている。なお、施錠装置600を構成する基枠601などの各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。
【0070】
また、取付板602では、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間が他部位より左右方向に幅広の幅広部602aとなっており、支持板603では、前記幅広部602aに対応する上下区間が内枠12内方側へ膨出した膨出部603aとなっている。これは、遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保するために、施錠装置600全体の横幅を極力狭くしつつ、シリンダ錠700の配設位置においては、その設置スペースを確保するためである。
【0071】
ここで、先ず前面枠セット14の施錠機構及び裏パックユニット203の施錠機構に係る部分について説明する。基枠601の内側には、前記両施錠機構の主要構成部となる第1摺動杆605が上下方向に摺動可能なように配設されている。
【0072】
第1摺動杆605は、取付板602に略当接状態で摺動する取付側壁部606と、支持板603に略当接状態で摺動する支持側壁部607とからなる横断面L字状の本体部608を備えている。
【0073】
取付側壁部606は、シリンダ錠700の取付けの妨げにならないように、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間(上記取付板602の幅広部602aに対応する所定の上下区間)が切り欠かれた状態となっている。
【0074】
これに合わせて、支持板603の膨出部603aに対応する支持側壁部607の所定の上下区間には、内枠12内方側へ膨出した膨出部607aが形成されている。但し、支持側壁部607の膨出部607aの形成区間は、支持板603の膨出部603aの形成区間よりも短く設定されており、第1摺動杆605の摺動の妨げとならないようになっている。
【0075】
さて、第1摺動杆605には、その上部、中部及び下部の3箇所に、前面枠セット14施錠用の前面枠セット鉤部610,611,612が設けられている。
【0076】
前面枠セット鉤部610,611,612は、取付側壁部606の内枠12外方側の端縁部から前方に向け延出した軸部610a,611a,612aと、当該軸部610a,611a,612aの前端側において前方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部610b,611b,612bとから構成されている。頭部610b,611b,612bの上端部は、軸部610a,611a,612aより上方に突出しており、当該突出部分が係止部(係止爪)として機能する。従って、前面枠セット鉤部610,611,612は、自身の上側において後述する前面枠セット14の受け金具17に係止されることとなる。
【0077】
また、取付側壁部606には、各前面枠セット鉤部610,611,612よりもやや上方位置において、上下方向に長い長円状のガイド孔613,614,615が形成されている。これらガイド孔613,614,615を介して、基枠601内側から取付板602に対しガイドピン616,617,618が固定されている。
【0078】
さらに、第1摺動杆605には、支持側壁部607の後端縁部の上下2箇所において、裏パックユニット203施錠用の裏パック鉤部621,622が設けられている。
【0079】
両裏パック鉤部621,622のうち上側の裏パック鉤部621は、上部の前面枠セット鉤部610と中部の前面枠セット鉤部611の間の高さ位置に設けられている。一方、下側の裏パック鉤部622は、中部の前面枠セット鉤部611と下部の前面枠セット鉤部612との間の高さ位置で、支持側壁部607の膨出部607a(シリンダ錠700の配置位置)よりやや上方位置に設けられている。
【0080】
各裏パック鉤部621,622についてより詳しく説明すると、裏パック鉤部621,622は、支持側壁部607の後端縁部から後方へ延出した基部621a,622aと、当該基部621a,622aからさらに後方へ延出した軸部621b,622bと、当該軸部621b,622bの後端側において後方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部621c,622cとから構成されている。頭部621c,622cの上端部は、軸部621b,622bより上方に突出しており、当該突出部分が係止部(係止爪)として機能する。従って、裏パック鉤部621,622は、自身の上側において後述する裏パックユニット203の受け金具204に係止されることとなる。
【0081】
裏パック鉤部621,622に対応して、支持板603の後端縁部には、後方へ延出した延出部625,626が形成されている。延出部625,626は、裏パック鉤部621,622の基部621a,622aの摺動範囲ほぼ全域において、当該基部621a,622aと重畳するように形成されており、基部621a,622aと常時略当接状態で当該基部621a,622aを支持している。なお、上側の裏パック鉤部621の基部621a及び支持板603の延出部625は、下側の裏パック鉤部622の基部622a及び支持板603の延出部626に比べて、上下方向の形成区間がより長めに設定されており、その下端部は、裏パック鉤部621の軸部621b及び頭部621cの高さ位置より、かなり下方に位置している。これは、後述するように、上側の裏パック鉤部621の基部621aの下部にコイルばねC1を掛けるためである。
【0082】
また、延出部625,626には、各裏パック鉤部621,622より上方位置において、第1摺動杆605の後方への動きを規制する規制突起629,630が設けられている。規制突起629,630は、第1摺動杆605の取付状態の安定性を高める機能とともに、第1摺動杆605の摺動動作の安定性を高めるガイド部としての機能を備えている。従って、第1摺動杆605は、取付板602や規制突起629,630により前後方向への動きを規制され、かつ、上記ガイドピン616,617,618や後述する第2摺動杆635により左右方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
【0083】
さて、取付板602には、前面枠セット鉤部610,611,612に対応して、上下方向3箇所に矩形状の挿入孔631,632,633が形成されている。また、これら挿入孔631,632,633に対応する内枠12の部位には、連通孔97,98,99が形成されている(図6参照)。そして、これら挿入孔631,632,633及び連通孔97,98,99を介して、前面枠セット鉤部610,611,612が内枠12の前面側に突出している。これに対し、前面枠セット14には、その背面側左側辺部(図4参照)に沿って被係止部としての長尺状の受け金具17が取付けられている。受け金具17には、前面枠セット鉤部610,611,612に対応して、上下方向3箇所に矩形状の係止孔17a,17b,17cが設けられている。
【0084】
上記構成により、前面枠セット14の施錠状態においては、前面枠セット鉤部610,611,612が前面枠セット14の受け金具17の係止孔17a,17b,17cを介して、受け金具17の前面側にて係止され、前面枠セット14の開放が規制される。
【0085】
一方、裏パックユニット203には、その前面側右側辺(図4参照)に沿って、被係止部としての長尺状の受け金具204が取付けられている。受け金具204には、裏パック鉤部621,622に対応して、上下2箇所に矩形状の係止孔204a,204bが形成されている。
【0086】
上記構成により、裏パックユニット203の施錠状態においては、裏パック鉤部621,622が、裏パックユニット203の受け金具204の係止孔204a,204bを介して、受け金具204の背面側にて係止され、裏パックユニット203の開放が規制される。
【0087】
なお、第1摺動杆605の摺動範囲のうち、ガイド孔613,614,615の下縁部がガイドピン616,617,618に当接する位置が、前面枠セット鉤部610,611,612及び裏パック鉤部621,622がそれぞれ対応する被係止部(受け金具17及び受け金具204)に係止される位置となる。以下、この位置を、第1摺動杆605の係止位置(基準位置)とも称する。これに対し、ガイド孔613,614,615の上縁部がガイドピン616,617,618に当接する位置が、前面枠セット鉤部610,611,612及び裏パック鉤部621,622が各被係止部(受け金具17及び受け金具204)から離脱する位置となる。以下、この位置を、第1摺動杆605の非係止位置とも称する。
【0088】
次に、内枠12の施錠機構に係る部分について説明する。基枠601の内側には、第2摺動杆635が上下方向に摺動可能なように配設されている。
【0089】
第2摺動杆635は、第1摺動杆605の支持側壁部607に重畳するように配設された長尺状の本体部636と、内枠12施錠用の上下一対の内枠鉤部637,638とを備えている。本実施形態では、内枠鉤部637,638は第2摺動杆635と一体的に形成されている。尚、本実施形態では、内枠鉤部637,638、第2摺動杆635が施錠部材を構成することとなる。
【0090】
支持板603の膨出部603a(支持側壁部607の膨出部607a)に対応する本体部636の所定の上下区間には、同様に内枠12内方側へ膨出した膨出部636aが形成されている。但し、本体部636の膨出部636aの形成区間は、支持側壁部607の膨出部607aの形成区間よりも短く設定されており、第2摺動杆635の摺動の妨げとならないようになっている。
【0091】
両内枠鉤部637,638のうち上側の内枠鉤部637は、上側の前面枠セット鉤部610のやや下方位置でかつ上側の裏パック鉤部621より上方位置に設けられている。一方、下側の内枠鉤部638は、下側の前面枠セット鉤部612のやや下方位置でかつ本体部636の下端部において設けられている。
【0092】
内枠鉤部637,638は、本体部636の後端縁部より後方へ延出した基部637a,638aと、当該基部637a,638aの後端側において後方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部637b,638bとから構成されている。頭部637b,638bの下端部は、基部637a,638aより下方に突出しており、当該突出部分が後述するように係止部(係止爪)として機能する。従って、内枠鉤部637,638は、自身の下側において上記外枠11の受け金具83,84に係止されることとなる。
【0093】
内枠鉤部637,638に対応して、支持板603の後端縁部には、後方へ延出した延出部641,642が形成されている。延出部641,642は、内枠鉤部637,638の基部637a,638aの摺動範囲ほぼ全域において、当該基部637a,638aと重畳するように形成されており、基部637a,638aと常時略当接状態で当該基部637a,638aを支持している。なお、延出部641,642は、内枠鉤部637,638の基部637a,638aと略当接状態となるように、上記第1摺動杆605の厚み分を考慮し、その付根部において支持板603と段差をもって形成されている。
【0094】
内枠鉤部637,638の基部637a,638aには、上下方向に長い長円状のガイド孔643,644が形成されている。これらガイド孔643,644を介して、基枠601内側(内枠12外方側)から延出部641,642に対しガイドピン645,646が固定されている。
【0095】
また、第1摺動杆605の取付側壁部606には、上下方向3箇所において、第2摺動杆635の内枠12外方側への動きを規制する規制突起647,648,649が設けられている。規制突起647,648,649は、第2摺動杆635の内側面(内枠12外方面)と略当接して、該第2摺動杆635の取付状態及び摺動動作の安定性を高める機能を具備する。従って、第2摺動杆635は、第1摺動杆605の支持側壁部607や規制突起647,648,649により左右方向への動きを規制され、かつ、第1摺動杆605の取付側壁部606や支持板603の後端縁部に設けられたフランジ部651,652により前後方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
【0096】
なお、第2摺動杆635の摺動範囲のうち、ガイド孔643,644の上縁部がガイドピン645,646に当接する位置が、内枠鉤部637,638が受け金具83,84に係止される位置となる。以下、この位置を、第2摺動杆635の係止位置(基準位置)と称する。これに対し、ガイド孔643,644の下縁部がガイドピン645,646に当接する位置が、内枠鉤部637,638が受け金具83,84から離脱した位置となる。以下、この位置を、第2摺動杆635の非係止位置とも称する。
【0097】
上記構成により、内枠12の施錠状態においては、外枠11の内側に固定された受け金具83,84に対して内枠鉤部637,638が係止され、内枠12の開放が規制される。
【0098】
さて、第1摺動杆605及び第2摺動杆635は、付勢手段としてのコイルばねC1により、それぞれ上方又は下方へ付勢されている。より詳しくは、第2摺動杆635における本体部636の後端縁部には、第1摺動杆605における上側の裏パック鉤部621の基部621a及び支持板603の延出部625の形成位置に対応して、後方に向け延出した延出部650が形成されている。そして、この延出部650に設けられたフック部653にコイルばねC1の一端が掛けられるとともに、他端が第1摺動杆605(裏パック鉤部621の基部621a)に設けられたフック部654に掛けられている。
【0099】
上記コイルばねC1の引張力によって、通常時には、第1摺動杆605は、ガイド孔613,614,615の下縁部がガイドピン616,617,618に付勢される位置、つまり基準位置において下方への動作が抑えられた状態で保持されている。一方、第2摺動杆635は、ガイド孔643,644の上縁部がガイドピン645,646に付勢される位置、つまり基準位置において上方への動作が抑えられた状態で保持されている。そして、後述するシリンダ錠700が操作された場合には、コイルばねC1の引張力に抗して、第1摺動杆605が下方へ、又は第2摺動杆635が上方へ摺動変位する。
【0100】
さて、取付板602の幅広部602aには、操作部材としてのシリンダ錠700が取付けられている。シリンダ錠700は、取付板602の背面に当接状態で固定されるフランジ部705と、フランジ部705から前方に向けて取付板602を貫通して延び、鍵穴を有する略筒状のシリンダ本体701と、図示しない錠軸に取付けられ、鍵穴に挿入された鍵の回動動作を第1摺動杆605又は第2摺動杆635に伝達するカム板720が固定されている。
【0101】
図16に示すように、カム板720は、上下一対の上係合爪720a及び下係合爪720bを備えている。これらの係合爪720a,720bは、カム板720の回動方向に所定間隔を置いて形成されている。
【0102】
これに合わせて、第1摺動杆605の膨出部607aには、係合爪720a,720bが係合可能な上下一対の上係合孔725及び下係合孔726が形成されている。同様に、第2摺動杆635の膨出部636aには、係合爪720a,720bが係合可能な上下一対の上係合孔727及び下係合孔728が形成されている。また、支持板603には、係合爪720a,720bの動作を妨げないように透孔730が形成されている。
【0103】
第1摺動杆605の係合孔725,726及び第2摺動杆635の係合孔727,728は、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の重畳状態にあっては、少なくとも上係合孔725,727同士、及び、下係合孔726,728同士が連通状態となっている(図16(a)参照)。
【0104】
また、第1摺動杆605側では、両係合孔725,726のうち上係合孔725よりも下係合孔726の方が、上下方向の形成区間が長めに設定されている。これに対し、第2摺動杆635側では、両係合孔727,728のうち下係合孔728よりも上係合孔727の方が、上下方向の形成区間が長めに設定されている。これは、後述するように第1摺動杆605又は第2摺動杆635の一方をカム板720が摺動させる際に、他方に上係合爪720a又は下係合爪720bを接触させないようにして、他方を摺動させないようにするためである。
【0105】
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。先ず前面枠セット14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠セット14の施錠状態においては、第1摺動杆605が基準位置(係止位置)をとることにより、前面枠セット鉤部610,611,612が前面枠セット14の受け金具17の係止孔17a,17b,17cを介して、受け金具17の前面側にて係止され、前面枠セット14の開放が規制されている。
【0106】
そして、前面枠セット14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、パチンコ機10の正面側(図1参照)から見て反時計回り方向に回動させる(キー操作する)。これにより、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが第1摺動杆605の上係合孔725の下縁部に接触する(図16(b)参照)。但し、図16(b)は、パチンコ機10の背面側から見た図であるため、カム板720の回動方向は時計回り方向となっている。
【0107】
その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、上係合爪720aがコイルばねC1の引張力に抗して第1摺動杆605を下方へ押し下げていく。同時に、下係合爪720bは第1摺動杆605及び第2摺動杆635に作用を及ぼすことなく、両下係合孔726,728から離脱する。この際、上係合爪720aが挿通された第2摺動杆635の上係合孔727の下部には、上係合爪720aが下方へ変位するスペースが確保されているため、第1摺動杆605を押し下げていく過程において、上係合爪720aが第2摺動杆635に当接せず、その動作が妨げられないようになっている。
【0108】
第1摺動杆605が下方へ摺動すると、すべての前面枠セット鉤部610,611,612と、受け金具17との係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される。また、前面枠セット14が開放された時点で、鍵を操作する手の力を緩めると、コイルばねC1の引張力により、第1摺動杆605は上方へ引き上げられ、基準位置に復帰する。これに伴い、カム板720(錠軸)も基準位置に復帰する。
【0109】
次に内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、第2摺動杆635が基準位置(係止位置)をとることにより、内枠鉤部637,638が外枠11の受け金具83,84に係止され、内枠12の開放が規制されている。
【0110】
そして、内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、パチンコ機10の正面側から見て時計回り方向に回動させる。これにより、カム板720が同方向に回動して、下係合爪720bが第2摺動杆635の下係合孔728の上縁部に接触する(図16(c)参照)。但し、図16(c)は、パチンコ機10の背面側から見た図であるため、カム板720の回動方向は反時計回り方向となっている。
【0111】
その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、下係合爪720bがコイルばねC1の引張力に抗して第2摺動杆635を上方へ押し上げていく。同時に、上係合爪720aは第1摺動杆605及び第2摺動杆635に作用を及ぼすことなく、両上係合孔725,727から離脱する。この際、下係合爪720bが挿通された第1摺動杆605の下係合孔726の上部には、下係合爪720bが上方へ変位するスペースが確保されているため、第2摺動杆635を押し上げていく過程において、下係合爪720bが第1摺動杆605に当接せず、その動作が妨げられないようになっている。
【0112】
第2摺動杆635が上方へ摺動すると、内枠鉤部637,638と、受け金具83,84との係合が解除され、内枠12の開放が許容される。また、内枠12が開放された時点で、鍵を操作する手の力を緩めると、コイルばねC1の引張力により、第2摺動杆635は下方へ引き上げられ、基準位置に復帰する。これに伴い、カム板720(錠軸)も基準位置に復帰する。
【0113】
次に、裏パックユニット203の施錠及び解錠について詳しく説明する。裏パックユニット203の施錠状態においては、前面枠セット14の場合と同様に、第1摺動杆605が基準位置(係止位置)をとることにより、裏パック鉤部621,622が裏パックユニット203の受け金具204の係止孔204a,204bを介して、受け金具204の背面側にて係止され、裏パックユニット203の開放が規制されている。
【0114】
そして、裏パックユニット203を解錠する際には、内枠12を開放させた後、前面枠セット14の場合と同様にシリンダ錠700の鍵穴に挿入した鍵をパチンコ機10の正面側から見て反時計回り方向に回動させる。これにより、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが第1摺動杆605の上係合孔725の下縁部に接触する。その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、上係合爪720aがコイルばねC1の引張力に抗して第1摺動杆605を下方へ押し下げていくと、裏パック鉤部621,622と受け金具204との係合が解除され、裏パックユニット203の開放が許容される。
【0115】
さて、本実施形態では、外部からの電力供給が停止された状態において、内枠12及び前面枠セット14(裏パックユニット203)の開放が規制されるよう構成されている。以下、かかる構成について図面を参照しつつ説明する。尚、図17は取付板602の前面に取付けられる施錠ソレノイド411の周辺部を示す斜視図である。図18はプランジャー412が没入した状態にある施錠ソレノイド411の周辺部を示す拡大図である。図19はプランジャー412が突出した状態にある施錠ソレノイド411の周辺部を示す拡大図である。
【0116】
図13、図14等に示すように、取付板602には、上部の前面枠セット鉤部610と中部の前面枠セット鉤部611との間において前後方向に貫通する摺動用孔401が支持板603の内側面に沿って形成されている。
【0117】
図15、図17等に示すように、摺動用孔401には、第1摺動杆605の支持側壁部607から前方に延びる第1支持片部402、及び、第2摺動杆635から前方に延びる第2支持片部403が挿通されている。また、第1支持片部402及び第2支持片部403には、左右方向に貫通する第1係合孔404及び第2係合孔405が形成されている。シリンダ錠700のキー操作(操作部材の解錠操作)が行われていないときには、第1係合孔404及び第2係合孔405が左右方向に連通した状態となっている。
【0118】
摺動用孔401の上下幅は、第1支持片部402及び第2支持片部403の上下幅よりも大きくなっており、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の上下方向の摺動を妨げないように構成されている。つまり、摺動用孔401には、第1支持片部402の下方において第1摺動杆605の下方への摺動に伴う第1支持片部402の変位を許容するスペースが確保されるとともに、第2支持片部403の上方において第2摺動杆635の上方への摺動に伴う第2支持片部403の変位を許容するスペースが確保されている。尚、取付側壁部606は、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の上下方向の摺動を妨げないように、第1支持片部202の上方及び下方(本例の構成では上方だけでも可)に対応する部位が切り欠かれている(図14、図15参照)。
【0119】
図18等に示すように、パチンコ機10の前面側から見て第1支持片部402及び第2支持片部403の右側方においては、駆動部としてのプランジャー412が下方に突出するような向きで施錠ソレノイド411が取付板602の前面に対し取付固定されている。本実施形態における施錠ソレノイド411は、電力が供給されて励磁状態とされることでプランジャー412がソレノイド本体に没入し(プランジャー412の突出長が短くなる)、電力供給が停止されて非励磁状態とされることでプランジャー412がソレノイド本体から突出する(プランジャー412の突出長が長くなる)タイプのものを採用している。尚、施錠ソレノイド411の内部には、プランジャー412に対して突出させる方向に力を加えるばねが設けられており、停電時には、かかるばねの働きによって、プランジャー412がソレノイド本体から大きく突出した状態とされる。
【0120】
尚、図9に示すように、施錠ソレノイド411は電源部541と電気的に直接接続されている。つまり、電源部541に対して外部から電力が供給されると、施錠ソレノイド411に対して直ちに+12V電源が供給され、施錠ソレノイド411が直ちに励磁状態とされる。一方、電源部541への電力供給が停止されると、施錠ソレノイド411が直ちに非励磁状態とされる。
【0121】
施錠ソレノイド411の下方には、可動部材421が取付板602の前面に対して回動可能に設けられている。可動部材421は、左右方向に延び、プランジャー412の先端部と当接可能な第1片部423と、パチンコ機10の前面側から見て第1片部423の左端部から第1片部423と45度の角度をなすようにして下向き(図18では右下方)に延びる第2片部424と、第2片部424の先端部から第2片部424と直交するようにして内枠12内方側(図18では左下方)に突出する挿通部425と、挿通部425の先端部から挿通部425と直交するようにして上側(図18では左上方)に突出する状態維持手段としての爪部426とを備えている。第1片部423と第2片部424との境界部には前後方向に貫通する回動孔428が形成されており、かかる回動孔428に挿通状態とされた摺動突起429が、没入状態にあるプランジャー412の左下方(没入状態にあるプランジャー412の先端部よりも下方かつ内枠12内方側)にあたる部位において取付板602前面に固定されている。
【0122】
また、可動部材421の第1片部423と施錠ソレノイド411(施錠ソレノイド411を取付板602に取付固定するための固定金具)との間にかけてコイルばねC3が設けられている。これにより、プランジャー412の出没状態によらず、基本的に第1片部423とプランジャー412とが常に当接状態とされる。尚、プランジャー412に作用する力の関係としては、励磁状態における施錠ソレノイド411の保持力が一番強く、次に施錠ソレノイド411に内蔵されたばねの弾性力(押出す力)が強く、コイルばねC3による引っ張り力が最も弱いこととする。
【0123】
本実施形態では、図18に示すように、プランジャー412の没入状態においては、第1片部423がほぼ水平に延びた状態となる。この状態においては、挿通部425及び爪部426が第2支持片部403よりも内枠12外方側(図18では右側)に位置し、該挿通部425及び爪部426が第1及び第2係合孔404、405に挿通されていない状態となっている。
【0124】
これに対し、図19に示すように、プランジャー412の突出状態においては、第1片部423がプランジャー412に押され、第1片部423の右端部が下方に傾くようにして、図18の状態から時計回りに約45度回動した状態となる。この状態においては、挿通部425がほぼ水平に延びた状態となり、かかる挿通部425が第1係合孔404及び第2係合孔405に挿通状態となる。さらには、爪部426が第1支持片部402よりも内枠12内方側(図19では右側)に位置することとなる。
【0125】
尚、本実施形態では、施錠ソレノイド411、可動部材421、及びコイルばねC3によって開放規制手段が構成され、施錠ソレノイド411及びコイルばねC3によって駆動手段が構成される。また、プランジャー412が没入状態となり、可動部材421の挿通部425が第1係合孔404及び第2係合孔405から抜け出ている状態が開放規制手段の第1の状態に相当し、没入状態のプランジャー412と第1片部423とが当接した状態にあるときの可動部材421の位置(姿勢)が第1の位置に相当する。さらに、プランジャー412が突出状態となり、可動部材421の挿通部425が第1及び第2係合孔404、405に挿通されている状態が開放規制手段の第2の状態に相当し、突出状態にあるプランジャー412と第1片部423とが当接した状態にあるときの可動部材421の位置(姿勢)が第2の位置に相当する。
【0126】
加えて、挿通部425が第1及び第2係合孔404、405に挿通された図19に示す状態において爪部426の上方にあたる部位には、取付板602から前方に突出し、爪部426と当接可能な状態維持手段としての回動規制突起431が設けられている。つまり、可動部材421が図19に示す状態(挿通部425がほぼ水平に延びた状態)からさらに時計回り方向に回動しようとしても、爪部426が回動規制突起431と当接し、それ以上の回動が規制されることとなる。これにより、挿通部425が第1及び第2係合孔404、405に挿通された状態において、例えば、第2摺動杆635に対して上方に力を加えることで、第2係合孔405の下縁部が挿通部425の下辺部と当接し、挿通部425が上方に押される場合であっても、爪部426が回動規制突起431に当接するため、可動部材421の回動が規制されることとなる。
【0127】
図3、図4に示すように、内枠12及び前面枠セット14の各右側部(図3では手前側の側部)には、施錠ソレノイド411、可動部材421、第1支持片部402、及び第2支持片部403(以下、これらの部材をまとめて開放規制機構と称する)に対応して、前後方向に貫通する設置用孔部441、及び前方に凹んでなる収容凹部442が形成されている。施錠装置600の取付状態においては、開放規制機構が設置用孔部441を介して、収容凹部442内に収容される。
【0128】
設置用孔部441及び収容凹部442は、施錠ソレノイド411、可動部材421、及び、取付板602に形成された摺動用孔401を覆うことのできるような大きさとなっており、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動を妨げないようになっている。また、その横幅は取付板602の横幅とほぼ同じくなっており、施錠装置600の取付状態においては、設置用孔部441が取付板602によってほぼ完全に覆われた状態となる。つまり、設置用孔部441と取付板602との間に隙間がほとんどないことから、施錠装置600の取付状態においては、施錠ソレノイド411や可動部材421に対して接触を図ることが困難又は不可能となっている。
【0129】
次に、電源のオン・オフに伴う施錠ソレノイド411等の動きについて、図面を参照しつつ説明する。尚、遊技ホールには多数の遊技機が設置されているため、一般に、各遊技機の電源スイッチは常にオンの状態にしておき、ホールの集中電源(配電盤)でまとめて電源のオン・オフを切替えるようになっている。つまり、配電盤の電源スイッチがオンの状態とされることで各遊技機が起動し、配電盤の電源スイッチがオフの状態とされることで各遊技機の電源が落とされることとなる。
【0130】
パチンコ機10に電力が供給されると、施錠ソレノイド411が励磁状態とされてプランジャー412が没入状態となる。このとき、コイルばねC3の付勢力により可動部材421が図19の状態から図18の状態へと反時計回りに回動し、挿通部425が第1係合孔404及び第2係合孔405から抜け出すこととなる。これにより、第1支持片部402及び第2支持片部403(第1係合孔404及び第2係合孔405の周縁部)と可動部材421の挿通部425とが当接しなくなることから、第1摺動杆605及び第2摺動杆635を摺動させることができる状態となる。このため、上述したように、シリンダ錠700のキー操作に応じて、前面枠セット14(裏パックユニット203)又は内枠12が解錠されることとなる。
【0131】
一方、パチンコ機10への電力供給が停止されると、施錠ソレノイド411が非励磁状態とされてプランジャー412が突出状態となる。このとき、可動部材421がプランジャー412に押され、コイルばねC3に抗して図18の状態から図19の状態へと時計回りに回動し、挿通部425が第1及び第2係合孔404,405に挿通状態とされる。
【0132】
このように挿通部425が第1及び第2係合孔404,405に挿通された状態においては、第1摺動杆605を下方に摺動させようとしても、第1係合孔404の上縁部が可動部材421の挿通部425と当接することによって、その摺動が規制されることとなる。また、第2摺動杆635を上方に摺動させようとしても、第2係合孔405の下辺部が挿通部425の下辺部と当接することによって、その摺動が規制されることとなる。
【0133】
ちなみに、挿通部425が第1係合孔404の上縁部によって下方に押される場合には、可動部材421に対して図19の反時計回り方向に力が加えられるのではあるが、爪部426が第1支持片部402の左側面(内枠12内方側の面)に引っ掛かるため、その回動が規制されることとなる。また、挿通部425が第2係合孔405の下辺部によって上方に押される場合には、可動部材421に対して図19の時計回り方向に力が加えられるのではあるが、爪部426が回動規制突起431に当接することで、その回動が規制されることとなる。
【0134】
以上詳述したように、本実施形態では、パチンコ機10への電力供給が停止された状態においては、第1及び第2支持片部402、403に形成された第1及び第2係合孔404、405に対し挿通部425が挿通状態とされる。これにより、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動が規制され、前面枠セット鉤部610,611,612、裏パック鉤部621,622、及び内枠鉤部637,638の非係止位置側への変位が規制される。このため、電力供給が停止された状態、例えば夜間等の営業時間外において、パチンコ機10内部に侵入させた線材等を内枠鉤部637,638等に引っ掛けて直接力を加えたり、不正に入手した合鍵を使用したりしても、施錠状態にある内枠12及び前面枠セット14(裏パックユニット203)を解錠状態とすることができないようになっている。従って、制御機器が不正に交換される等のパチンコ機10内部に対する不正行為が行われたことに気付かずに、その状態で遊技が行われてしまい、遊技ホールが多大な損害を被ってしまうといった事態を防止することができ、結果として、内枠12及び前面枠セット14(裏パックユニット203)の不正開放に対する防御性能を高めることができる。
【0135】
また、例えば、第1及び第2係合孔404、405に対し施錠ソレノイドのプランジャーを直接挿通させることでも第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動を規制できるのではあるが、この場合には、電力供給が停止された状態において第1摺動杆605や第2摺動杆635を無理に変位させようとする際に、プランジャーに対して直接負荷がかけられてしまうため、プランジャーが変形したり、施錠ソレノイドが故障したりするおそれがある。この点、本実施形態によれば、施錠ソレノイド411とは別に設けられた可動部材421の挿通部425を第1及び第2係合孔部404,405に挿通していることから、施錠ソレノイド411の変形や損傷を防止することができる。結果として、市販品のソレノイドを改良することなくほぼそのまま搭載することができ、コストの削減、生産性の向上等を図ることができる。
【0136】
さらに、本実施形態では、施錠ソレノイド411及び可動部材421が取付板602の前面に設けられおり、施錠装置600を内枠12から取外さない限り、施錠ソレノイド411及び可動部材421が接触不可能又は接触困難となっている。従って、パチンコ機10内部に侵入させた線材等により直接施錠ソレノイド411や可動部材421に対して力をかけて、施錠ソレノイド411を没入状態とさせてしまうといった不正行為を抑止することができる。
【0137】
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0138】
(a)上記実施形態では、電力供給が停止されると、施錠ソレノイド411のプランジャー412が突出し、該プランジャー412に押されて可動部材421が回動し、挿通部425が第1及び第2係合孔405に挿通状態とされることで、内枠12及び前面枠セット14(裏パックユニット203)の開放が規制される構成となっているが、特にこのような構成に限定されるものではない。すなわち、電力供給が停止された状態において少なくとも内枠12の開放が規制される構成となっていればよく、例えば、第1支持片部402や爪部426を省略することも可能である(この場合、電力供給が停止された状態においてもシリンダ錠700のキー操作を行うことで前面枠セット14及び裏パックユニット203を開放することができる)。
【0139】
例えば、プランジャー412が内枠12内方側に突出するようにして横向きに施錠ソレノイド411を設け、プランジャー412の先端部を第1及び第2係合孔404,405に挿通することで、内枠12及び前面枠セット14の開放を規制する構成としてもよい。この場合、第1及び第2係合孔404,405に挿通される部材であるプランジャー412の出没方向と、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動方向とがほぼ直交することとなる。このため、第1及び第2支持片部402,403(第1及び第2係合孔404,405の周縁部)に押されることで、プランジャー412が没入状態となってしまい、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動が許容される状態となってしまうといった事態を防止することができる。従って、不正解錠に対する防御性能を高めるといった作用効果が確実に奏される。
【0140】
また、例えば、図20に示すように、取付板602の背面に対し、上記実施形態の施錠ソレノイド411と同タイプ(パチンコ機10の起動時には励磁されてプランジャー802が没し、電源断時には内蔵されたバネの働きでプランジャー802が突出する)の施錠ソレノイド801をプランジャー802が施錠装置600の右辺部(図20では左側端縁)から出没するようにして設け、当該プランジャー412の先端部を外枠11の内側面に形成された凹部805に挿入状態(図20の二点鎖線で示した状態)とすることで、内枠12の開放を規制する構成としてもよい。この場合、電力供給が停止された状態においては、パチンコ機10内部に侵入させた線材等を内枠鉤部637,638に引っ掛けて直接力を加えたり、不正に合鍵等を入手してシリンダ錠700のキー操作を行ったりすることで、内枠鉤部637,638を非係止位置側(上側)に変位させた(すなわち内枠12を解錠した)としても閉鎖状態にある内枠12を開放できないようになる。従って、基本的に上記実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。尚、耐久性等の観点からすると、凹部805(外枠11)に対してプランジャー802を直接係合させるよりも、プランジャー802の先端部に別部材としての係合部を固定したり、プランジャー802に連動する連動部材を設けたりして、前記係合部や連動部材を凹部805に係合させる方が望ましい。
【0141】
尚、施錠ソレノイドを外枠11側に設けてもよい。すなわち、外枠11に対し、施錠ソレノイドをプランジャーが外枠11の内側面から出没するようにして設け、当該プランジャーの先端部を内枠12の側面又は背面側に設けられた凹部に挿入状態とすることで、内枠12の開放を規制する構成としてもよい。
【0142】
さらに、上記実施形態におけるソレノイド411及び可動部材421に代えて、例えば、図21(a)、(b)に示すような構成を採用してもよい。より詳しく説明すると、取付板602の前面に設けられ、電力供給が停止された場合にプランジャー812が上方に突出することとなる上記実施形態の施錠ソレノイド411と同タイプの施錠ソレノイド811の上方位置には、パチンコ機10の前面側から見て左側に凸となる複数の歯を有するラック部材813が上下方向に摺動可能に設けられている。ラック部材813は施錠ソレノイド411のプランジャー412の先端部に固定されており、プランジャー412が出没することで、ラック部材813が上下に摺動することとなる。ラック部材813には上下に長いガイド孔814が形成されており、該ガイド孔814に対し、取付板602前面に固定されるガイド突起815が係合状態で挿通されている。
【0143】
また、パチンコ機10の前面側から見てラック部材813の左方には、ラック部材813と噛み合う複数の歯を有するピニオン部材821が取付板602前面に対して回動可能に設けられている。ピニオン部材821は、同一の軸に固定された大きさの異なる2つの歯車が前後に重ねられることで構成されており、2つの歯車のうち後方に位置して取付板602前面と略当接状態とされる大車部822と、大車部822の前面側(図21では手前側)に固定され、大車部822よりも直径が小さくかつ歯数が少ない小車部823とを備えている。本実施形態では、ピニオン部材821は、小車部823においてラック部材813と噛み合うように設計されている。
【0144】
さらに、ピニオン部材821の上方には、可動部材としての係合部831が左右方向に摺動可能に設けられている。係合部831には左右に長いガイド孔832が形成されており、該ガイド孔832に対し、取付板602の前面に固定されるガイド突起833が係合状態で挿通されている。また、係合部831は、その下辺部において大車部822と噛み合う複数の歯を有している。このため、係合部831はピニオン部材821が回動することで左右方向に摺動することとなる。
【0145】
より詳しくは、上記のように、ピニオン部材821は、施錠ソレノイド411のプランジャー812に接続されたラック部材813と噛み合っており、図21(a)に示すように、プランジャー812が上方に突出した場合には、ピニオン部材821が同図の反時計回り方向に回動するとともに、係合部831が左方に摺動する。その一方で、図21(b)に示すように、プランジャー812が下方に没入した場合には、ピニオン部材821が同図の時計回り方向に回動するとともに、係合部831が右方に摺動する。尚、ラック部材813及び係合部831は互いの摺動を妨げないよう構成されることとする。
【0146】
そして、図21(a)に示すようなプランジャー412が突出した状態において、係合部831が第1及び第2係合孔404、405に挿通状態とされるよう構成する。以上のような構成を採用する場合にも、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。尚、係合部831の上辺部や下辺部と摺接可能な支持突起を設けることとしてもよい。この場合、支持突起によって、係合部831の摺動がガイドされるとともに、第1及び第2係合孔404、405の上縁部や下縁部と当接した際に係合部831を支持することができ、係合部831の変形等を防止することができる。尚、電源断時において係合部831をよりスムースに第1及び第2係合孔404、405へ挿通させるべく、係合部831に対して図21(a)、(b)の左側に力を加える弾性体(バネ等)を設けたり、ラック部材813に対して上方に力を加える弾性体を設けたりしてもよい。
【0147】
また、例えば、施錠ソレノイド411として永久磁石を内蔵し、停電してもプランジャー412がそのままの位置で保持されるソレノイドを採用してもよい。この場合、プランジャー412を突出させるための回路と、プランジャー412を没入させるための回路とを備え、どちらの回路に電力を供給するかといった切替え制御を行うことで、プランジャー412を出没させる。つまり、パチンコ機10の起動時にはプランジャー412を突出させるための回路に電力を供給し、電源断時(電源スイッチをオフする際と停電時)には、プランジャー412を没入させるための回路に電力を供給し(蓄電手段を設けて電力供給してもよい)、プランジャー412を没入させてから、施錠ソレノイド411への電力供給が完全に断たれることとしてもよい。
【0148】
また、施錠ソレノイド411とは別に、停電時にプランジャー412の位置を保持することのできるロック機構を設けることとしてもよい。例えば、施錠ソレノイド411のプランジャー412の先端部に孔を形成するとともに、ソレノイド等によってスライド可能に構成され、電源断時にかかる孔に挿入される規制片を設けることとしてもよい。
【0149】
尚、上記したいずれの例示においてもソレノイドを使用しているが、ソレノイド以外にも例えばモータ(ステッピングモータ)やシリンダ機構等を使用して、電力供給が停止された状態において内枠12の開放が規制されるよう構成してもよい。また、種類の異なるソレノイド(通電時にプランジャーが突出するタイプのものやロータリーソレノイド)を使用してもよい。加えて、上記実施形態では施錠ソレノイド411として、プランジャー412に対して力を作用させるばねが内蔵されているタイプのソレノイドが採用されているが、前記ばねがソレノイド本体の外部に露出状態で設けられるタイプのソレノイドを採用してもよい。この場合、プランジャーに拡径部を設け、当該拡径部とソレノイド本体との間にばねを配置することとしてもよい。
【0150】
(b)上記実施形態では、施錠ソレノイド411を取付板602の前面に設けているが、施錠ソレノイド411を取付板602の背面に設けることとしてもよい。この場合、施錠ソレノイド411を覆うカバー部材を設けることとしてもよい。カバー部材を設けることで、施錠ソレノイド411を取付板602前面に設ける場合と同様に、プランジャー412に対し直接力を加えて引っ込めてしまうといった行為を防止することができる。特に、カバー部材を取付板602に取付けるためのねじを取付板602の前面側から取付ける場合には、施錠装置600を取外さないとカバー部材を取外せないこととなるため、かかる作用効果が確実に奏される。
【0151】
(c)上記実施形態では、内枠12の施錠機構、前面枠セット14の施錠機構、及び裏パックユニット203の施錠機構が単一の施錠装置600によって具現化されている。しかしながら、施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば前面枠セット14が内枠12と一体形成された構成等においては、当該前面枠セット14の施錠機構を省略し、内枠12の施錠機構及び裏パックユニット203の施錠機構からなる施錠装置を採用してもよい。また、裏パックユニット203の施錠機構(裏パック鉤部621,622、延出部625,626、受け金具204)を省略してもよい。
【0152】
(d)また、上記実施形態では、第1摺動杆605及び第2摺動杆635に対してそれぞれ前面枠セット14を施錠するための前面枠セット鉤部610,611,612、裏パックユニット203を施錠するための裏パック鉤部621,622、及び内枠12を施錠するための内枠鉤部637,638が固定的(相対変位不能)に設けられているが特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、第1摺動杆605及び第2摺動杆635に対して、内枠鉤部637,638、前面枠セット鉤部610,611,612、及び裏パック鉤部621,622を相対移動可能に設けることとしてもよい。
【0153】
以下、図22、図23、図24に示す態様例について説明する。図22は施錠装置900の下部を示す斜視図である。図23は施錠装置900の下部を示す背面図である。図24(a)は開放規制ユニット931を示す下面図であり、(b)は(a)の分解図である。尚、図22、図23では、内枠鉤部材912及び前面枠セット施錠部材913がともに係止位置にあるときの状態を示している。また、図22、図23では、便宜上、施錠装置900の下部のみを示し、上部の構成の図示を省略している。
【0154】
先ず、図22等に示す施錠装置900の基本構成について説明する。施錠装置900は、内枠12の右側辺部(背面視では左側の辺部)に沿って内枠12の背面に当接固定される取付板902と、取付板902の内枠12内方側(図22、図23では右側)の端縁から後方に延びる支持板903とを具備する断面略L字状の基枠901を備えている。
【0155】
図23に示すように、取付板902には上下一対の挿入孔902aが形成されている。尚、内枠12(樹脂ベース38)には、施錠装置900の取付状態において挿入孔902aと相対する位置に、連通孔(図示略)が形成されている。そして、前面枠セット14の閉時においては、前面枠セット14の背面側に延びる前面枠セット鉤部14aが、連通孔を介して、挿入孔902aに進入するようになっている。
【0156】
また、施錠装置900は、支持板903の内面(図23では左面)に沿って上下方向に摺動可能に設けられた摺動杆911と、摺動杆911の内面(図23では左面)に沿って上下方向に摺動可能な上下一対の内枠鉤部材912とを備えている。摺動杆911及び内枠鉤部材912は、上下一対のコイルばねC1により、常には下方に付勢されている。本実施形態では、内枠鉤部材912が第2施錠部材を構成し、内枠鉤部材912の摺動範囲のうち、下方位置が係止位置に相当し、上方位置が非係止位置に相当する。
【0157】
内枠12の閉状態においては、外枠11の内側に固定された受け金具(上記実施形態の受け金具83,84と同様のもの)の上辺部に対して内枠鉤部材912が係止される。これにより、外枠11に対し内枠12が施錠される。尚、内枠12を閉じるときの内枠鉤部材912の動きを簡単に説明すると、内枠鉤部材912は、受け金具と接触することによって上方に押され、コイルばねC1の付勢力に抗して一旦上方の非係止位置に向けて摺動する。その後、コイルばねC1の付勢力で下方の係止位置に戻り、受け金具に係止される。
【0158】
上下一対の内枠鉤部材912は、摺動杆911の上方への摺動に連動して、両方同時に上方に向けて摺動するよう構成されている。一方、摺動杆911は、内枠鉤部材912に対して直接力が加えられることにより該内枠鉤部材912が上方に摺動したとしても、連動して摺動しないよう構成されている。つまり、内枠鉤部材912は、それぞれ独立して移動可能となっており、例えば、上下一対の内枠鉤部材912のうち一方を上方に移動させたとしても、他方は移動せずに係止位置のままである。
【0159】
また、施錠装置900は、各内枠鉤部材912の上方位置において、取付板902の背面に沿って上下方向に摺動可能な上下一対の前面枠セット施錠部材913を備えている。前面枠セット施錠部材913は、取付板902の背面に摺接する取付側片部914と、摺動杆911の内面に摺接する支持側片部915とを備え、取付側片部914には矩形状の係止孔914aが形成されている。係止孔914aは、取付板902に形成された挿入孔902aと相対配置されている。また、摺動杆911及び前面枠セット施錠部材913は、上下一対のコイルばねC2により、常には上方に付勢されている。本実施形態では、前面枠セット施錠部材913が第1施錠部材を構成し、前面枠セット施錠部材913の摺動範囲のうち、上方位置が係止位置に相当し、下方位置が非係止位置に相当する。尚、摺動杆911は、コイルばねC1及びC2により、上方及び下方のどちらにも移動可能な中間位置(基準位置)において緊張状態とされている。
【0160】
前面枠セット14の閉状態においては、前面枠セット14に設けられた前面枠セット鉤部14aが、内枠12の連通孔及び取付板902の挿入孔902aを介して係止孔914aに挿通され、前面枠セット施錠部材913(取付側片部914の背面)に係止される。これにより、内枠12に対し前面枠セット14が施錠される。尚、前面枠セット14を閉じるときの前面枠セット施錠部材913の動きを簡単に説明すると、前面枠セット施錠部材913は、前面枠セット鉤部14aと接触することによって下方に押され、コイルばねC2の付勢力に抗して一旦下方の非係止位置に向けて摺動する。その後、コイルばねC2の付勢力で上方の係止位置に戻り、前面枠セット鉤部14aを係止する。
【0161】
さらに、上下一対の前面枠セット施錠部材913は、摺動杆911の下方への摺動に連動して、両方同時に下方に向けて摺動するよう構成されている。一方、摺動杆911は、前面枠セット施錠部材913に直接力が加えられることにより前面枠セット施錠部材913が下方に摺動したとしても、連動して摺動しないよう構成されている。つまり、前面枠セット施錠部材913は、それぞれ独立して下方に移動可能となっており、例えば、上下一対の前面枠セット施錠部材913のうち一方を下方に移動させたとしても、他方は移動せずに係止位置のままである。
【0162】
そして、シリンダ錠921の鍵穴に挿入した鍵を時計回り方向に回転させた場合、摺動杆911が基準位置から上方に摺動するとともに、当該摺動に連動して内枠鉤部材912が上方の非係止位置へと変位し、内枠鉤部材912と受け金具との係止状態が解除される(内枠12が解錠される)。一方、シリンダ錠921の鍵穴に挿入した鍵を反時計回り方向に回転させた場合、摺動杆911が基準位置から下方に摺動するとともに、当該摺動に連動して前面枠セット施錠部材913が下方の非係止位置へと変位し、前面枠セット施錠部材913と前面枠セット鉤部14aとの係止状態が解除される(前面枠セット14が解錠される)。
【0163】
次に、前面枠セット14及び内枠12の不正開放に対する防御性能を高めるための構成について説明する。
【0164】
基枠901の下部には、支持板903の外面(内枠12内方側の面:図23では右面)に対し、開放規制手段としての開放規制ユニット931が取付けられている。尚、本態様例では、開放規制ユニット931は、上下方向において、係止位置にある下側の内枠鉤部材912と、係止位置にある下側の前面枠セット施錠部材913との間に対応する位置に設けられている。
【0165】
図24に示すように、開放規制ユニット931は、支持板903に固定される取付台932と、取付台932に固定される施錠ソレノイド933とを備えている。取付台932は、支持板903の外面と面当接した状態でねじ固定される固定部932aと、固定部932aの後端縁から内枠12内方側(図22、図23では右方)に延びる台座部932bと、固定部932aと台座部932bとの境界部から後方に延びるユニット側ガイド壁部932cとを備えている。本態様例では、1枚の金属板を折り曲げ形成することで取付台932が構成されている。また、取付台932は、ユニット側ガイド壁部932cが基枠901の支持板903の後縁部よりも後方に突出するようにして取付けられる。加えて、ユニット側ガイド壁部932cには左右方向に貫通するガイド孔935(開口部)が形成されている(図23等参照)。
【0166】
図22に示すように、基枠901の支持板903は、後縁部から後方に突出し、ユニット側ガイド壁部932cと対向する本体側ガイド壁部941を備えている。本体側ガイド壁部941には、ユニット側ガイド壁部932cのガイド孔935に臨むガイド孔942が形成されている(図23参照)。
【0167】
また、図24に示すように、開放規制ユニット931は、一端部側がユニット側ガイド壁部932cのガイド孔935に嵌め込み固定された略筒状の導通部材951と、導通部材951に挿通された可動部材955とを備えている。
【0168】
開放規制ユニット931の基枠901への取付状態においては、導通部材951の他端部が本体側ガイド壁部941のガイド孔942に嵌め込み固定される。また、図24(b)に示すように、導通部材951は、長手方向中間部位において、外周側に突出する膨出部952を備えており、開放規制ユニット931の基枠901への取付状態においては、膨出部952がユニット側ガイド壁部932cと本体側ガイド壁部941とで挟持される格好となる(図23参照)。当該膨出部952の存在により、導通部材951が各ガイド壁部932c、941のガイド孔935、942から脱落しないようになっている。本態様例では、導通部材951は樹脂により構成されている。
【0169】
図24に示すように、可動部材955は、円柱状の可動部材本体956と、可動部材本体956の一端部側に形成された拡径部957とを備えており、内枠12内方側から導通部材951に挿通されている。拡径部957の存在により、可動部材955が導通部材951から内枠12外方側へ抜け落ちないようになっている。また、可動部材955は導通部材951よりも長く構成されており、拡径部957と導通部材951とが当接すると、可動部材955の先端部が導通部材951から内枠12外方側(図23では左方)へ大きく突出することとなる。本態様例では、可動部材955は、磁性体(軟磁性体)により構成されている。
【0170】
図24に示すように、施錠ソレノイド933は、ソレノイド本体961と、ソレノイド本体961に対して出没動作可能に設けられたプランジャー962と、プランジャー962をソレノイド本体961から突出する方向に付勢するコイルばね963とを備え、プランジャー962が内枠12外方側(図23では左方)に突出する向きで、台座部932bの背面側に固定されている。本態様例の施錠ソレノイド933はプル型のソレノイドであるため、施錠ソレノイド933への電力供給が停止され、施錠ソレノイド933が非励磁状態とされた場合には、コイルばね963の付勢力により、プランジャー962がソレノイド本体961から突出する方向に変位する。一方、施錠ソレノイド933に電力が供給され、施錠ソレノイド933が励磁状態とされた場合には、コイルばね963の付勢力に抗して、プランジャー962がソレノイド本体961に引っ込む方向に変位する。
【0171】
また、本態様例では、当該施錠ソレノイド933により前記可動部材955を変位させる構成となっている。すなわち、施錠ソレノイド933は、プランジャー962の先端部が可動部材955の拡径部957と当接可能な位置に配置され、当該施錠ソレノイド933が非励磁状態とされると、可動部材955は、プランジャー962に押圧されて、拡径部957と導通部材951とが当接するまで図23の左方に変位する。これにより、可動部材955の先端部が導通部材951から内枠12外方側に大きく突出した状態となる。
【0172】
一方、施錠ソレノイド933が励磁状態とされると、上記のようにプランジャー962がソレノイド本体961に引っ込む側に変位するとともに、磁性体である可動部材955が磁化されたプランジャー962に引き付けられて、図23の右方に変位する。これにより、可動部材955の先端部が、導通部材951の内側に収容された状態となる。尚、施錠ソレノイド933は、励磁状態にあるときのプランジャー962と導通部材951との距離が、可動部材955の長さよりも短くなるように配置されており、これにより、可動部材955が導通部材951から内枠12内方側へ抜け落ちないようになっている。
【0173】
また、図22に示すように、摺動杆911は、後縁部から後方に突出し、基準位置にある状態(シリンダ錠921の操作がなされていない状態)において本体側ガイド壁部941と対向する係止片971を備えている。係止片971には、摺動杆911が基準位置にある状態において、ユニット側ガイド壁部932c及び本体側ガイド壁部941のガイド孔935、942に臨む係止孔972が形成されている。
【0174】
そして、施錠ソレノイド933が励磁状態とされた場合には、導通部材951から図23の左方に突出した可動部材955が係止片971の係止孔972に挿通される。これにより、摺動杆911の変位が規制されることとなる。また、施錠ソレノイド933が非励磁状態とされると、可動部材955が係止片971の係止孔972から抜け出す。これにより、摺動杆911の変位が許容されることとなる。
【0175】
以上の構成を採用することで、電力供給が停止された状態において、例えば、不正入手した合鍵を用いて前面枠セット14や内枠12を解錠しようとしても、可動部材955により摺動杆911の変位が規制されるため、前面枠セット14や内枠12を解錠させることが不可能となる。従って、基本的に上記実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0176】
また、施錠ソレノイド933のプランジャー962及び可動部材955は常に当接状態となっているが、両者間が固定されているわけではない。このため、電力供給が停止された状態において、内枠鉤部材912(又は前面枠セット施錠部材913)の変位を規制した際に可動部材955に作用する応力が施錠ソレノイド933に及んでしてしまい、施錠ソレノイド933が損傷してしまうといったおそれを抑制することができる。特に、本態様例では、可動部材955(プランジャー962)の変位方向と、内枠鉤部材912及び前面枠セット施錠部材913の変位方向とが直交しているため、当該作用効果が一層確実に奏される。また、例えば、可動部材955が損傷した場合には、可動部材955単位で比較的スムースに交換することができる。すなわち、可動部材955とプランジャー962とが取外し不可能に固定される場合に比べて、省資源化、コストの削減等を図ることができ、可動部材955とプランジャー962とが取外し可能に固定される場合に比べて、着脱作業が不要なことから製造作業性及びメンテナンス性の向上が図られるとともに、ねじ等が不要なことから構成の簡素化を図ることができる。さらに、市販品のソレノイドを改良することなくほぼそのまま搭載することができ、コストの削減、生産性の向上等を図ることができる。
【0177】
加えて、施錠ソレノイド933が励磁状態とされた場合に、可動部材955が磁化されたプランジャー962に引き付けられて係止片971の係止孔972から抜け出すといった構成を採用することにより、施錠ソレノイド933が励磁状態とされた際に可動部材955を変位させるべく、ばね等の付勢手段や付勢手段を固定する固定部等を別途設ける必要がなく、構成の簡素化等を図ることができる。
【0178】
さらに、開放規制ユニット931の取付状態において、ユニット側ガイド壁部932c及び本体側ガイド壁部941の各ガイド孔935、942に嵌め込み固定される導通部材951の存在により、開放規制ユニット931と基枠901との位置決め、ひいては、摺動杆911の係止片971の係止孔972と可動部材955との位置決めをより確実に行うことができる。従って、例えば、施錠ソレノイド933の取付位置や取付向きが的確ではない等の不具合がある開放規制ユニット931が基枠901に取付けられてしまい、上記各作用効果が上手く奏されないといった事態を防止することができる。また、導通部材951の存在により、開放規制ユニット931の取付状態の安定化(取付台932のがたつき防止)を図ったり、可動部材955をより確実にガイドしたりすることができる。
【0179】
また、取付台932と施錠ソレノイド933と可動部材955とがユニット化されていることから、施錠ソレノイド933と可動部材955とが別々に固定されるような場合や、施錠ソレノイド933と可動部材955とが別々の部材に固定されるような場合(例えば、施錠ソレノイド933が樹脂ベース38に直接固定されるとともに、可動部材955が基枠901に固定されるような場合)に比べ、取付作業性の向上やメンテナンス性の向上等を図ることができる。また、開放規制ユニット931単位で取付位置を変更することができることから、機種変更に際して係止片971等の位置変更を余儀なくされた場合であっても、かかる施錠装置に対して開放規制ユニット931を取付けることができる。
【0180】
尚、上記態様例では、施錠ソレノイド933のプランジャー962と可動部材955とが固定されていなかったが、両者を固定してもよい。当該構成を採用する場合であっても、導通部材951(本体側ガイド壁部941及びユニット側ガイド壁部932c)を設けることにより、内枠鉤部材912や前面枠セット施錠部材913の変位を規制した際に可動部材955に作用する応力を受け止めることができ、かかる応力が施錠ソレノイド933に作用することに起因して、施錠ソレノイド933が損傷してしまうといった事態を防止することができる。
【0181】
また、本体側ガイド壁部941及びユニット側ガイド壁部932cのうち一方を省略してもよい。尚、施錠ソレノイド933のプランジャー962と可動部材955とが固定されている場合には両者を省略することも可能であるが、上記の通り、施錠ソレノイド933の損傷を防止するといった観点からすると、少なくとも一方が設けられていることが望ましい。また、導通部材951の取付けを考慮すると、両者が設けられている方が望ましい。
【0182】
尚、上記実施形態において、施錠ソレノイド411、可動部材421、及びコイルばねC3をユニット化することとしてもよい。
【0183】
(e)上記(d)において図22等を参照して説明した態様例では、前面枠セット施錠部材913及び内枠鉤部材912がそれぞれ独立して変位可能に構成されることから、摺動杆911の摺動を規制しても、前面枠セット施錠部材913及び内枠鉤部材912に直接力が加えられた場合、当該前面枠セット施錠部材913及び内枠鉤部材912の変位を規制することができない。従って、例えば、上下一対の内枠鉤部材912に対して、パチンコ機10内部に侵入させた線材等を引っ掛け、両内枠鉤部材912を非係止位置へと変位させた場合、内枠12が不正開放されてしまうおそれがある。このため、電力供給が停止された状態において内枠12の解錠を規制するためには、内枠鉤部材912又は内枠鉤部材912に対して変位不可能かつ取外し不可能(取外し困難)に固定される部材のうち少なくとも1つに対して施錠ソレノイド933等の開放規制手段を当接可能に構成し、電力供給が停止された状態において内枠鉤部材912の変位を直接規制することが望ましい。
【0184】
すなわち、図25に示すように、内枠鉤部材912から本体側ガイド壁部941に向けて上方に延びる内枠係止片981を設けるとともに、内枠係止片981に対して、内枠鉤部材912が係止位置にあるときに各ガイド壁部932c、941のガイド孔935、942に臨む内枠係止孔981aを形成し、施錠ソレノイド933が非励磁状態とされると、ガイド孔935、942及び内枠係止孔981aに可動部材955が挿通され、内枠鉤部材912の変位が規制されるといった構成を採用してもよい。このように、内枠鉤部材912に連動する摺動杆911ではなく、内枠鉤部材912の変位を直接規制する構成を採用することにより、電源供給が停止された状態において、内枠鉤部材912に直接力を加えたとしても、内枠鉤部材912を変位させることが不可能となる。従って、より確実に内枠12の不正開放を防止することができる。
【0185】
さらに、同図に示すように、前面枠セット施錠部材913から本体側ガイド壁部941に向けて延出する前面枠係止片983を設けるとともに、前面枠係止片983に対して、前面枠セット施錠部材913が係止位置にあるときに前記内枠係止片981の内枠係止孔981a、及び各ガイド壁部932c、941のガイド孔935、942に臨む前面枠係止孔983aを形成し、施錠ソレノイド933が非励磁状態とされると、ガイド孔935、942、内枠係止孔981a、及び前面枠係止孔983aに可動部材955が挿通され、前面枠セット施錠部材913の変位が規制されるといった構成を採用してもよい。この場合、電源供給が停止された状態において、前面枠セット施錠部材913に直接力を加えたとしても、前面枠セット施錠部材913を変位させることが不可能となる。従って、より確実に前面枠セット14の不正開放を防止することができる。
【0186】
尚、図25に示すように、内枠係止片981及び前面枠係止片983の両方を設ける場合には、内枠鉤部材912及び前面枠セット施錠部材913のうち一方に設けられた内枠係止片981又は前面枠係止片983によって、他方の変位が阻害されないように、左右方向において、内枠係止片981と前面枠係止片983との位置をずらす(左右方向において内枠係止片981と前面枠係止片983とが重なり合うように構成する)こととする。また、図25に示す構成を採用する場合、施錠ソレノイド933が非励磁状態にあるときには、可動部材955が、係止位置から非係止位置へと向かう方向が逆方向である内枠係止片981及び前面枠係止片983にそれぞれ設けられた内枠係止孔981a及び前面枠係止孔983aに挿通されている。このため、内枠鉤部材912及び前面枠セット施錠部材913のうち一方側の変位を規制する際に、当該一方側に設けられた内枠係止片981又は前面枠係止片983から力が加えられた可動部材955は、他方側に設けられた前面枠係止片983又は内枠係止片981と導通部材951とによって支持されることとなる。
【0187】
尚、図25に示す構成においては、内枠係止片981に形成された内枠係止孔981a、及び前面枠係止片983に形成された前面枠係止孔983aに可動部材955が挿通されることで内枠鉤部材912及び前面枠セット施錠部材913の変位が規制されているが、例えば、図26に示すように、可動部材955の下辺部が内枠鉤部材912の上部に略当接するとともに、上辺部が前面枠セット施錠部材913の下部に略当接することで内枠鉤部材912及び前面枠セット施錠部材913の変位を規制するといった構成を採用してもよい。この場合も、同様の作用効果が奏される。
【0188】
(f)上記実施形態において、図27に示すように、第1摺動杆605の第1支持片部402に対し、第2係合孔405及び第1係合孔404に挿通され、第1支持片部402から内枠12外方側に突出する可動部材421の挿通部425及び爪部426を覆う接触防止キャップ991(接触防止手段)を設けてもよい。
【0189】
例えば、施錠ソレノイド411全体(プランジャー412、可動部材421、第1支持片部402、及び第2支持片部403等)を覆うカバー部材を設ける場合、当該カバー部材に対し、第1支持片部402及び第2支持片部403の摺動を許容するためのスリットを形成する必要がある。当該スリットを小さく構成した場合には、製造誤差等に起因して第1支持片部402や第2支持片部403の摺動を阻害してしまうおそれが高くなり、スリットを大きく構成した場合には、スリットを介して線材等をカバー部材の内部に侵入させ、可動部材421の先端部を押圧操作するといった行為が行われるおそれがある。
【0190】
これに対し、第1支持片部402に接触防止キャップ991を設ける構成を採用することにより、可動部材421の先端部(挿通部425の内枠12外方側の端部及び爪部426)を接触不可能とすることができる。従って、可動部材421の先端部を押圧して、第1摺動杆605及び第2摺動杆635を摺動可能な状態にしてしまうといった行為をより確実に防止することができる。
【0191】
尚、接触防止キャップ991は、図27(a)に示すように、第1支持片部402と一体的に形成してもよいし、図27(b)に示すように、第1支持片部402とは別体として構成されてもよい。但し、接触防止キャップ991は、第1支持片部402に対して取外し困難に設けられる(例えば、接触防止キャップ991を固定したねじの頭部が第2支持片部403と対向する面側に位置する)ことが望ましく、取外し不可能に設けられることがより望ましい。また、接触防止キャップ991とは別に、可動部材421のうち第2支持片部403よりも内枠12内方側(図27では右側)に位置する部位、及び施錠ソレノイド411(及びコイルばねC3)を覆うカバー部材を設けることとしてもよい。この場合、可動部材421やプランジャー412を押圧して、第1摺動杆605及び第2摺動杆635を摺動可能な状態にしてしまうといった行為をより確実に防止することができる。
【0192】
尚、上記(d)にて記載した図22に示す構成に対応しては、摺動杆911(係止片971)に対して接触防止キャップ991を設けることとしてもよい。また、上記(e)にて記載した図25に示す構成に対応しては、前面枠係止片983に対して接触防止キャップ991を設けることとしてもよい。また、図22や図25等に示した導通部材951を図28(a)、(b)のように構成してもよい。すなわち、導通部材951に対し、施錠ソレノイド933が非励磁状態にある場合において、可動部材955の拡径部957を覆う閉塞部993を設けることとしてもよい。この場合、拡径部957に線材等を引っ掛けて可動部材955を変位させるといった行為を防止することができる。尚、非励磁状態にあるプランジャー962が押圧されることで、当該プランジャー962が引っ込む方向に変位すると、可動部材955も同方向に変位するといった構成を採用する場合(例えば、プランジャー962と可動部材955とが連結されている場合)には、プランジャー962の先端部に形成され、コイルばね963の一端部を支持するためのばね掛部962aについても、施錠ソレノイド933が非励磁状態にある場合においては、閉塞部993によって覆われることとしてもよい。
【0193】
図28(a)、(b)に示すように、基枠901や取付台932(図22、図25参照)とは別体として構成される導通部材951に対して閉塞部993を一体形成する場合には、基枠901や取付台932に閉塞部993を形成する場合に比べ、閉塞部993を比較的容易に形成することができる。特に、図28(a)に示すように、導通部材951の拡径部957がユニット側ガイド壁部932c及び本体側ガイド壁部941によって挟持される構成を採用する場合には、開放規制ユニット931を基枠901から取外さなければ導通部材951を取外すことが不可能であるため、導通部材951自体が取外されるといった事態を防止することができる。従って、構成の簡素化を図りつつ、不正解錠に対する防犯性能を高めることができる。
【0194】
(g)上記実施形態では特に言及しなかったが、シリンダ錠700としては、例えば、鍵穴に挿入された鍵の回動操作(シリンダ錠700のキー操作)が行われない限りカム板720が変位不能なものを採用してもよいし、鍵穴に対して鍵が挿入されることでカム板720が変位可能となるものを採用してもよい。
【0195】
また、上記実施形態では特に言及しなかったが、第1摺動杆605や第2摺動杆635が基準位置にある場合において、カム板720の上係合爪720a及び下係合爪720bが、それぞれ対応する上係合孔725,727及び下係合孔726,728に挿通していてもよいし、挿通していなくてもよい。尚、前者の構成を採用する場合、キー操作を行わなければ、第1摺動杆605及び第2摺動杆635に対して直接力を加えたとしても当該第1摺動杆605及び第2摺動杆635を変位不能とすることができることから、電力が供給されている状態においても前面枠セット14及び内枠12の不正開放に対する防御性能を高めることができる。また、前者の構成を採用する場合には、電力供給が停止された場合にカム板720と当接状態となってカム板720の回動動作を規制する開放規制手段を設けることで、電力供給が停止された状態におけるキー操作を不可能とすることができ、上記実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0196】
一方、後者の構成を採用する場合には、例えば、第1摺動杆605の略中間位置において内枠12外方側に突出する摺動操作部を設けるとともに、第2摺動杆635に対して摺動操作部の挿通及び下方への変位を許容するための許容孔を形成することとしてもよい。すなわち、後者の構成を採用する場合には、カム板720によって第1摺動杆605や第2摺動杆635の摺動が規制されないことから、内枠12を開放した状態において、シリンダ錠700のキー操作を行わなくても、摺動操作部を押下げることで第1摺動杆605を下方に摺動させ、前面枠セット14(裏パックユニット203)を開放できるように構成することができる。
【0197】
また、キーコードを変更可能なシリンダ錠を採用してもよい。キーコードの変更手順の一例としては、まず、所定のリセットピンを押圧した状態で鍵穴に現状の鍵を挿入して回動操作した後、該鍵を引き抜く。そして、リセットピンを押圧したまま、新たに設定したい鍵を鍵穴に挿入し、前記現状の鍵とは逆向きに回動操作した後、リセットピンの押圧状態を解除してから鍵を引き抜く。以上のような操作を行うことで、新たに設定したい鍵に合ったキーコードとすることができる。これにより、遊技ホール単位で鍵を統一できるとともに、不正防止のため、定期的に鍵を変更することができる。
【0198】
(h)前面枠セット14の施錠機構に関し、上記実施形態では、施錠装置600側に、係止爪となる前面枠セット鉤部610,611,612が設けられ、前面枠セット14側に、前記前面枠セット鉤部610等と係合する受け金具17が設けられた構成となっている。これに限らず、前面枠セット14側に爪部を有する鉤部材を設け、施錠装置600側の摺動杆(第1摺動杆605)が当該鉤部材と係合する構成としてもよい。この場合、解錠の際には、施錠装置600側の摺動杆が動作することにより、両者の係合状態が外れることとなる。もちろん、裏パックユニット203の施錠機構に関しても同様のことが言える。
【0199】
(i)第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動方向が逆であってもよい。つまり、上記実施形態では、例えば第2摺動杆635が上方へ摺動することにより、内枠鉤部637,638が受け金具83,84から離脱する構成となっているが、第2摺動杆635が下方へ摺動することにより、内枠鉤部637,638が受け金具83,84から離脱する構成を採用してもよい。
【0200】
(j)上記実施形態では、シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、時計回り方向に回動操作することで内枠12が解錠され、反時計回りに回動操作することで前面枠セット14及び裏パックユニット203が解錠される構成となっている。これに限らず、三者の解錠操作が異なる構成としてもよい。例えば、シリンダ錠700とは異なるシリンダ錠を採用するとともに、第3の摺動杆を備えることにより、時計回り方向に回動操作することで内枠12が解錠され、反時計回りに回動操作することで前面枠セット14が解錠され、錠軸を奥側へスライドさせた状態で時計回り方向若しくは反時計回り方向に回動操作することで裏パックユニット203が解錠される構成としてもよい。
【0201】
(k)内枠鉤部637,638等の各鉤部の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内枠鉤部637,638等の各鉤部が第1摺動杆605及び第2摺動杆635に一体形成されているが、これに限らず、内枠鉤部637,638等を構成する鉤部材がネジ等の固定手段により第1摺動杆605及び第2摺動杆635に対し相対変位不能に固定された構成としてもよい。
【0202】
また、上記実施形態では、先端に向け先細りした略三角形状の頭部を有した鉤部を採用しているが、これに限らず、例えば頭部の先端が上下方向に沿って略直線状に形成された鉤部を採用してもよい。
【0203】
また、内枠鉤部637,638等の各鉤部及びこれに対応する受け金具83,84等の各被係止部の数は、上記実施形態の数に限定されるものではなく、例えば1つであってもよい。
【0204】
(l)図3、図4に示すように、上記実施形態では、内枠12及び前面枠セット14の右側部には、施錠ソレノイド411、可動部材421、第1支持片部402、及び第2支持片部403を収容するために、前後に貫通する設置用孔部441及び収容凹部442が形成されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、内枠12に形成される設置用孔部441を、前後に貫通する孔ではなく、前方に凹む凹部として構成し、前面枠セット14を開放しても、施錠ソレノイド411、可動部材421、第1支持片部402、及び第2支持片部403を接触不可能としてもよい。
【0205】
また、例えば、施錠ソレノイド411、可動部材421、第1支持片部402、及び第2支持片部403を内枠12(樹脂ベース38)の背面側に配置することで、設置用孔部441及び収容凹部442を省略し、前面枠セット14を開放しても、施錠ソレノイド411等の部材を接触不可能としてもよい。
【0206】
これらの構成を採用する場合には、施錠ソレノイド411及び可動部材421を取付板602の前面に設けることで、施錠ソレノイド411及び可動部材421を接触不可能又は接触困難とすることができ、従って、施錠ソレノイド411を没入状態とさせてしまうといった不正行為を抑止することができるといった作用効果が一層確実に奏される。
【0207】
また、内枠12を開放しない限り前面枠セット14を開放することができない構成としてもよい。例えば、第1摺動杆605(本体部608の支持側壁部607)から後方に延びる係止片部を設け、内枠12及び前面枠セット14の閉時に、かかる係止片部が、外枠11に設けられた係止金具の上辺部に当接して係止されることとしてもよい。この場合、内枠12及び前面枠セット14の閉時においては、第1摺動杆605を下方へ摺動させようとしても、係止片部が係止金具に引っ掛かり、その摺動が規制される。一方、内枠12を開放すれば、係止片部と係止金具との係止状態が解除されるので、第1摺動杆605を下方へ摺動させることができるようになる。
【0208】
(m)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
【0209】
[付記]
上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
【0210】
一般にパチンコ機等の遊技機では、店員以外の者が無断で扉体を開放できないように施錠装置が設けられている。それにもかかわらず、遊技ホールでは、扉体を不正に解錠・開放し、扉体裏側に設けられた制御機器を不正に操作したり交換したりする等して、多くの遊技球を獲得する不正行為が行われることもあった(例えば特許文献1参照)。
【0211】
しかしながら、夜間や営業休日等の営業時間外の遊技ホールに不法侵入され、制御機器を交換する等の不正行為が行われた場合には、その発見が困難であり、そのような不正行為により遊技ホールは多大な損害を被るおそれがあった。
【0212】
尚、かかる課題は、パチンコ機に限らず、スロットマシン等他の遊技機にも内在する問題である。
【0213】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、扉体の不正開放に対する防御性能を高めることのできる遊技機を提供することにある。
【0214】
手段1.遊技機本体に対し開閉可能に支持される扉体と、前記扉体を前記遊技機本体に施錠する施錠装置とを備え、
前記施錠装置は、所定の操作部材を操作して、施錠部材を前記扉体の開放を規制する係止位置から前記扉体の開放を許容する非係止位置へと変位させることで、前記扉体を施錠する施錠状態から解錠状態へと切替わる遊技機において、
電力が供給されている場合に前記扉体の開放を許容する第1の状態となり、電力供給が停止された場合に前記扉体の開放を規制する第2の状態となる開放規制手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【0215】
手段1によれば、操作部材を操作して扉体の施錠及び解錠を行う施錠装置に加えて、電力供給が停止された場合に扉体の開放を規制する開放規制手段が設けられている。これにより、電力供給が停止されている場合には、施錠装置の解錠操作の有無に関わらず、扉体を開放することができなくなる。このため、電力供給が停止された状態、例えば夜間等の営業時間外において扉体が不正に開放されてしまうといったおそれを防止することができる。従って、制御機器が不正に交換される等の遊技機内部に対する不正行為が行われたことに気付かずに、その状態で遊技が行われてしまい、遊技ホールが多大な損害を被ってしまうといった事態を防止することができる。結果として、扉体の不正開放に対する防御性能を高めることができる。
【0216】
尚、開放規制手段は施錠装置に設けられていることとしてもよい。この場合、部品点数の削減や省スペース化を図ることができる。また、「電力が供給されている状態」としては「遊技機が起動している状態」という意味も含み、「電力供給が停止された状態」としては「遊技機が起動していない状態」という意味も含む。尚、扉体の前面側や後面側において扉体の左右一側部にて開閉可能に支持される前扉や後扉が設けられる場合には、かかる前扉や後扉についても、少なくとも電力供給が停止された状態においては開放が規制されるよう構成してもよい。尚、「操作部材」としては「鍵が挿入されて回動操作されるシリンダ錠」等が挙げられる。
【0217】
尚、「前記扉体の開放を規制する」とあるのは、操作部材の解錠操作を行うことができなくなる(例えば操作部材がシリンダ錠である場合には鍵を回せなくなる)ことであったり、施錠部材が操作部材の解錠操作に連動しなくなる(解錠操作は行えるがかかる解錠操作を行ったとしても施錠装置を非係止位置に変位させることができず、扉体を解錠することができない)ことであったりする。
【0218】
手段2.前記開放規制手段は、前記遊技機本体又は前記扉体の一方に設けられるとともに、
第1の位置と第2の位置との間で変位可能な可動部材と、電力が供給されることに基づいて前記可動部材を前記第2の位置から前記第1の位置へと変位させ、電力供給が停止されることに基づいて前記可動部材を前記第1の位置から前記第2の位置へと変位させる駆動手段とを備え、
前記操作部材を解錠操作して、閉鎖状態にある前記扉体を開方向に移動させる場合に、
電力供給が停止された状態においては、前記第2の位置にある前記可動部材が、前記遊技機本体又は前記扉体の他方に当接することで、前記扉体の開放が規制され、
電力が供給されている状態においては、前記第1の位置にある前記可動部材と、前記遊技機本体又は前記扉体の他方とが当接することなく、前記扉体の開放が許容されることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
【0219】
手段2によれば、電力供給が停止された状態においては、開放規制手段により扉体と遊技機本体との相対移動が規制される。これにより、例えば、遊技機内部に侵入させた線材等を施錠部材に引っ掛けて直接力を加えたり、不正に合鍵等を入手して操作部材を解錠操作したりすることで、施錠部材を非係止位置に変位させた、すなわち扉体を解錠したとしても、閉鎖状態にある扉体を開放することができないようになっている。従って、扉体の不正開放に対する防御性能を高めるといった上記手段1の作用効果が確実に奏される。
【0220】
尚、可動部材が第1の位置にある状態が開放規制手段の第1の状態であり、可動部材が第2の位置にある状態が開放規制手段の第2の状態である。加えて、可動部材としては例えばソレノイドのプランジャー等が挙げられ、駆動手段としては例えばソレノイド本体等が挙げられる。また、可動部材は、駆動手段(駆動手段の駆動部)とは別体として構成されていることとしてもよい。この場合、駆動手段が損傷し、可動部材を変位させることができなくなってしまうといったおそれを抑制することができる。加えて、ソレノイドにより駆動手段を構成することで、構成の複雑化を防止したり、開放規制手段の大型化を抑制したりすることができる。
【0221】
手段3.前記開放規制手段は、前記施錠部材の前記非係止位置側への変位を許容する第1の位置と、前記施錠部材の前記非係止位置側への変位を規制する第2の位置との間で変位可能な可動部材と、前記可動部材を変位させる駆動手段とを備え、
電力が供給された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第1の位置へと変位させ、
電力供給が停止された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第2の位置へと変位させることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
【0222】
手段3によれば、電力供給が停止された状態においては、施錠部材の非係止位置側への変位が規制される。これにより、施錠装置の解錠が不可能となるため、閉鎖状態にある扉体を開放することができなくなる。従って、扉体の不正開放に対する防御性能を高めるといった上記手段1の作用効果が確実に奏される。また、本手段によれば、所定の動作を行うことで施錠部材が連動することとなる部材ではなく、施錠部材自体の変位を規制しているため、施錠部材を不正に変位させて扉体を解錠するといった行為を確実に防止することができる。尚、施錠部材が複数設けられている場合、電力供給が停止されている状態において、複数設けられた施錠部材のうち少なくとも1つの非係止位置側への変位が規制される構成となっていればよい。
【0223】
尚、「前記開放規制手段は、前記遊技機本体又は前記扉体の一方に設けられるとともに、 第1の位置と第2の位置との間で変位可能な可動部材と、電力が供給されることに基づいて前記可動部材を前記第2の位置から前記第1の位置へと変位させ、電力供給が停止されることに基づいて前記可動部材を前記第1の位置から前記第2の位置へと変位させる駆動手段とを備え、前記操作部材を解錠操作した場合(前記施錠部材に対して前記非係止位置側に力を加えた場合)、電力供給が停止された状態においては、前記第2の位置にある前記可動部材が前記施錠部材の所定部位に当接することで、前記施錠部材の前記非係止位置側への変位が規制され、電力が供給されている状態においては、前記第1の位置にある前記可動部材と前記施錠部材とが当接することなく、前記施錠部材の前記非係止位置側への変位が許容されること」としてもよい。また、例えば、「電力供給が停止された状態においては、施錠部材が第1の位置にある可動部材に当接することなく、又は摺接しながら非係止位置へと変位可能であり、電力が供給された状態においては、施錠装置が第2の位置にある可動部材に当接することで、施錠装置に作用した非係止位置側へと向かう応力の全てが可動部材に受け止められ、施錠部材の非係止位置側への変位が規制される」こととしてもよい。
【0224】
手段4.遊技機本体に対して開閉可能な扉体(第1扉体)と、前記扉体に対して開閉可能な前扉(第2扉体)と、前記前扉を前記扉体に施錠可能であるとともに、前記扉体を前記遊技機本体に施錠可能な施錠装置とを備え、
前記施錠装置は、
前記前扉の開放を規制する係止位置と前記前扉の開放を許容する非係止位置との間を変位可能な第1施錠部材と、
前記扉体の開放を規制する係止位置と前記扉体の開放を許容する非係止位置との間を変位可能な第2施錠部材と、
所定の操作を行うことで、前記係止位置にある前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材を前記非係止位置へと変位可能な操作部材とを備え、
電力が供給されている場合には、前記操作部材が操作されることで前記前扉及び前記扉体の開放を許容する第1の状態となり、
電力供給が停止された場合には、前記操作部材の操作が行われても前記前扉及び前記扉体の開放を規制する第2の状態となる開放規制手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【0225】
手段4によれば、扉体(第1扉体)及び前扉(第2扉体)の不正開放に対する防御性能を高めることができる。
【0226】
手段5.前記開放規制手段は、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位を許容する第1の位置と、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位を規制する第2の位置との間を変位する可動部材と、前記可動部材を変位させる駆動手段とを備え、
電力が供給された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第1の位置へと変位させ、
電力供給が停止された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第2の位置へと変位させることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
【0227】
手段5によれば、上記手段4の構成を確実に実現することができる。また、本手段によれば、所定の動作を行うことで第1施錠部材、第2施錠部材が連動することとなる部材ではなく、第1及び第2施錠部材自体の変位を規制しているため、第1及び第2施錠部材を不正に変位させて扉体(第1扉体)や前扉(第2扉体)を解錠するといった行為を確実に防止することができる。さらに、1つの開放規制手段(可動部材)により扉体及び前扉の不正開放を規制可能な構成とすることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0228】
尚、「前記開放規制手段は、前記係止位置から前記非係止位置へと変位する前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材と当接することのない第1の位置と、前記係止位置から前記非係止位置へと変位する前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材と当接し、前記非係止位置側への変位を規制する第2の位置との間を変位する可動部材と、電力が供給されることに基づいて前記可動部材を前記第2の位置から前記第1の位置へと変位させ、電力供給が停止されることに基づいて前記可動部材を前記第1の位置から前記第2の位置へと変位させる駆動手段とを備え、電力が供給されている状態においては、前記可動部材が前記第1の位置において保持され、電力供給が停止された状態においては、前記可動部材が前記第2の位置において保持されること」としてもよい。
【0229】
手段6.前記可動部材の変位方向と、閉鎖状態にある前記扉体を開放する方向とが交差していることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
【0230】
手段6によれば、電力供給が停止されている状態において、可動部材により扉体の不正開放を確実に規制することができる。また、電力が供給されている状態において、扉体の開閉を開放規制手段により阻害されることなくスムースに行うことができる。
【0231】
手段7.電力供給が停止された状態において前記施錠部材に対して前記非係止位置側へと向かう力が作用した場合に、前記施錠部材が前記第2の位置にある前記可動部材と当接することで、当該施錠部材の前記非係止位置側への変位が規制される構成であって、前記可動部材の変位方向と、前記施錠部材の変位方向とが交差していることを特徴とする手段3又は5に記載の遊技機。
【0232】
例えば、第2の位置にある可動部材に対して第1の位置となるように大きな負荷がかけられると当該可動部材が第1の位置側に変位してしまうおそれがある場合には、可動部材の変位方向と施錠部材の変位方向とが揃っていると、施錠部材に対して非係止位置側に力を加えることで、可動部材が施錠部材に押されて第1の位置側に変位してしまうおそれがある。この場合、不正行為者であっても遊技機内部に線材等を侵入させて施錠部材に対して直接力を加えたり、不正入手した合鍵を使用したりすることで扉体や前扉を開放できてしまうおそれがある。
【0233】
この点、本手段7によれば、可動部材と施錠部材とが交差するようにして当接することとなる。このため、施錠部材に押されることで、第2の位置にある可動部材が第1の位置となってしまうといった事態を防止することができる。従って、不正解錠に対する防御性能を高めるといった上記作用効果が確実に奏される。
【0234】
尚「交差する」とあるのに代えて「直交又はほぼ直交する」としてもよい。この場合、上記作用効果がより確実に奏される。
【0235】
手段8.前記施錠部材は、前記第2の位置にある前記可動部材の前記第2の位置側の端部を覆う接触防止手段を備えることを特徴とする手段3、5、7のいずれかに記載の遊技機。
【0236】
手段8によれば、接触防止手段により、第2の位置にある可動部材の先端部への接触を防止することができる。従って、可動部材の先端部を押圧する等して、可動部材を第1の位置へと変位させてしまうといった行為を確実に防止することができる。尚、接触防止手段は、施錠部材と一体的に形成されてもよいし、施錠部材本体とは別に形成された後、施錠部材本体に対して(取外し困難又は取外し不可能に)固定されるものであってもよい。
【0237】
尚、前記施錠部材に対して孔部を形成し、前記第2の位置にある前記可動部材が前記孔部に挿通状態とされることで前記施錠部材の前記非係止位置側への変位が規制されるといった構成を採用する場合には、前記孔部に対応して前記接触防止手段が設けられることとしてもよいし、前記第2の位置にある前記可動部材の先端部が前記施錠部材の前記非係止位置側に位置することで施錠部材の非係止位置側への変位が規制されるといった構成を採用する場合には、前記施錠部材から前記非係止側に突出するようにして接触防止手段が設けられることとしてもよい。
【0238】
手段9.前記可動部材は前記駆動手段とは別体として構成されるとともに、前記可動部材と前記駆動手段とが非固定状態で当接していることを特徴とする手段2、3、5〜8のいずれかに記載の遊技機。
【0239】
手段9によれば、可動部材が扉体又は前扉の不正開放を規制する際に可動部材に作用する応力(手段6に対応しては、電力供給が停止された状態において、施錠されている扉体を開放させようとした際に、可動部材が、遊技機本体又は扉体のうち開放規制手段が設けられていない他方から受ける力。手段7に対応しては、電力供給が停止された状態において、係止位置にある施錠部材を非係止位置へと変位させようとした際に、可動部材が施錠部材から受ける力)が駆動手段に作用してしまい、駆動手段が損傷してしまうといったおそれを抑制することができる。特に、駆動手段の駆動によって変位する可動部材の変位方向と、可動部材が扉体又は前扉の不正開放を規制する際に可動部材に作用する力の方向とが交差又は直交している場合には、当該作用効果が一層確実に奏される。また、例えば、可動部材が損傷した場合には、可動部材単位で比較的スムースに交換することができる。すなわち、可動部材と駆動手段とが取外し不可能に固定される場合に比べて、省資源化、コストの削減等を図ることができ、可動部材と駆動手段とが取外し可能に固定される場合に比べて、着脱作業が不要なことから製造作業性及びメンテナンス性の向上が図られるとともに、ねじ等が不要なことから構成の簡素化を図ることができる。加えて、市販品の駆動手段(例えばソレノイド等)を改良することなくほぼそのまま搭載することができ、コストの削減、生産性の向上等を図ることができる。
【0240】
尚「前記駆動手段はプル式のソレノイドにより構成され、前記可動部材は磁性体により構成され、前記駆動手段への電力供給が停止されて当該駆動手段が非励磁状態とされた場合には、プランジャーに対応して設けられたばねの付勢力により、前記プランジャーがソレノイド本体から突出する向きに変位するとともに、当該プランジャーにより前記可動部材が押圧されて前記第2の位置へと変位し、前記駆動手段に電力が供給されて当該駆動手段が励磁状態とされた場合には、前記プランジャーが前記ばねの付勢力に抗してソレノイド本体へ没入する向きに変位するとともに、前記可動部材が磁化されたプランジャーに引き付けられて前記第1の位置へと変位すること」としてもよい。この場合、比較的簡単に当該手段9の作用効果が奏される開放規制手段を構成することができる。すなわち、駆動手段が励磁状態とされた際に可動部材を第1の位置へと変位させるべく、ばね等の付勢手段や付勢手段を固定する固定部等を別途設ける必要がなく、これにより、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0241】
手段10.前記施錠装置は、前記扉体に固定される基体を備え、前記施錠部材は、前記基体に対して相対変位することで、前記係止位置と前記非係止位置との間を変位する構成であって、
前記開放規制手段は、前記基体に固定される取付台と、前記取付台に固定される前記駆動手段と、前記駆動手段の駆動に基づいて前記第1の位置と前記第2の位置との間を変位する前記可動部材とがユニット化されることで構成されていることを特徴とする手段2、3、5〜9のいずれかに記載の遊技機。
【0242】
手段10によれば、例えば、駆動手段と可動部材とが別々に固定されるような場合や、駆動手段と可動部材とが別々の部材に固定されるような場合(例えば、駆動手段が扉体(第1扉体)に直接固定されるとともに、可動部材が基体に固定されるような場合)に比べ、取付作業性の向上やメンテナンス性の向上等を図ることができる。また、開放規制手段は、ユニット単位で取付位置を変更することができることから、機種変更に際して開放規制手段の取付位置の変更を余儀なくされた場合であっても、かかる施錠装置に対して開放規制手段を取付けることができる。
【0243】
手段11.前記基体は、前記可動部材が挿通可能な開口部を有する本体側ガイド壁部を備えていることを特徴とする手段10に記載の遊技機。
【0244】
手段11によれば、開放規制手段と基体との位置決め、ひいては、可動部材と施錠部材との位置決めをより確実に行うことができる。従って、例えば、駆動手段の取付位置や取付向きが的確ではない等の不具合がある開放規制手段が基体に取付けられてしまい、上記各作用効果が上手く奏されないといった事態を防止することができる。尚、本体側ガイド壁部により、扉体や前扉の開放を規制する際に所定の応力が作用する可動部材を支持する構成とすることもできる。かかる構成を採用する場合であって、可動部材と駆動手段とが固定されている場合には、駆動手段の損傷を抑止することができ、可動部材と駆動手段とが固定されていない場合には、扉体や前扉の開放を確実に規制することができる。
【0245】
手段12.前記取付台は、前記本体側ガイド壁部と対向するとともに、前記本体側ガイド壁部の開口部に臨む位置に開口部が形成されたユニット側ガイド壁部を備え、
前記開放規制手段の前記基体への取付状態において、前記ユニット側ガイド壁部及び前記本体側ガイド壁部の各開口部に嵌め込まれることで固定され、前記可動部材が挿通可能な略筒状の導通部材を備えることを特徴とする手段11に記載の遊技機。
【0246】
手段12によれば、上記手段11の作用効果が一層確実に奏される。また、導通部材の存在により、開放規制手段の取付状態の安定化(取付台のがたつき防止)を図ったり、可動部材をより確実にガイドしたりすることができる。
【0247】
手段13.前記第2の位置にある前記可動部材の前記第1の位置側への変位を規制する状態維持手段を具備することを特徴とする手段2、3、5〜12のいずれかに記載の遊技機。
【0248】
手段13によれば、第2の位置にある可動部材に対して力が加えられることで当該可動部材が第1の位置へと変位させられてしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0249】
手段14.前記施錠装置は、前記扉体(第1扉体)のうち前記遊技機本体に支持された一辺部側とは反対側の他辺部に沿って前記扉体の背面に取付固定される基体を備え、前記基体に対し前記操作部材が取付けられる構成であって、
前記開放規制手段は、前記基体の前面に設けられることを特徴とする手段1乃至13のいずれかに記載の遊技機。
【0250】
手段14によれば、開放規制手段が基体(施錠装置)の前面に設けられる。このため、施錠装置を扉体(第1扉体)から取外さない限り、開放規制手段を接触不可能又は接触困難とすることができる。従って、遊技機内部に侵入させた線材等により直接開放規制手段に対して力をかけて、開放規制手段を第1の状態へと状態変化させてしまうといった不正行為を抑止することができる。結果として、扉体(第1扉体)及び前扉(第2扉体)の不正開放をより確実に防止することができる。
【0251】
手段15.前記開放規制手段を覆うカバー部材を設けたことを特徴とする手段1乃至14のいずれかの記載の遊技機。
【0252】
手段15によれば、直接開放規制手段に対して力をかけて、開放規制手段を第1の状態へと状態変化させてしまうといった不正行為を抑止することができる。従って、基本的に上記手段14と同様の作用効果が奏される。尚、カバー部材は基体の前面側からでないと取外せないようにすることが望ましい。この場合、カバー部材自体が取外されるといった事態を防止することができる。
【0253】
また、カバー部材と、上記手段8に記載の接触防止手段とを併用する場合、前記カバー部材は、少なくとも前記開放規制手段が前記第2の状態にあるときに、前記可動部材及び前記駆動手段の駆動部において形成される段差部を覆うこととしてもよい。この場合、段差部に線材等を引っ掛けて可動部材を変位させるといった行為を防止することができる。加えて、上記手段12に対応しては、導通部材は、前記可動部材及び前記駆動手段の駆動部において形成される段差部を覆う閉塞部を備えることとしてもよい。この場合、導通部材(閉塞部)によりカバー部材が構成される。また、基体から開放規制手段(取付台)を取外さないと導通部材が取外せない構成としておくことにより、導通部材自体が取外されてしまうといった事態を防止することができる。
【0254】
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
【0255】
A.上記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
【0256】
B.上記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
【0257】
C.上記遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
【0258】
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)の付された複数の回転体を回転させた後に識別情報を確定停止表示する可変表示装置を備え、始動操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して回転体の回転が開始され、停止操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して回転体が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技媒体が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
【0259】
E.上記遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。
【符号の説明】
【0260】
10…パチンコ機、11…外枠、12…内枠、14…前面枠セット、17…受け金具、83,84…受け金具、203…裏パックユニット、204…受け金具、411…施錠ソレノイド、412…プランジャー、421…可動部材、600…施錠装置、601…基枠、602…取付板、605…第1摺動杆、610,611,612…前面枠セット鉤部、621,622…裏パック鉤部、635…第2摺動杆、637,638…内枠鉤部、700…シリンダ錠、720…カム板、C3…コイルばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定枠に対して開閉可能な扉体と、前記扉体に対して開閉可能な前扉と、前記前扉を前記扉体に施錠可能であるとともに、前記扉体を前記固定枠に施錠可能な施錠装置とを備え、
前記施錠装置は、
前記扉体のうち前記固定枠に支持された一辺部側とは反対側の他辺部に沿って前記扉体の背面に取付固定される基体と、
前記前扉の開放を規制する係止位置と前記前扉の開放を許容する非係止位置との間を変位可能な第1施錠部材と、
前記扉体の開放を規制する係止位置と前記扉体の開放を許容する非係止位置との間を変位可能な第2施錠部材と、
所定の操作を行うことで、前記係止位置にある前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材を前記非係止位置へと変位可能な操作部材と、
電力が供給されている場合には、前記操作部材が操作されることで前記前扉及び前記扉体の開放を許容する第1の状態となり、
電力供給が停止された場合には、前記操作部材への操作が行われても前記前扉及び前記扉体の開放を規制する第2の状態となる開放規制手段とを備え、
前記基体に対し、前記操作部材、前記第1施錠部材、前記第2施錠部材、及び、前記開放規制手段が取付けられ、
前記開放規制手段は、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位を許容する第1の位置と、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位を規制する第2の位置との間を変位する可動部材と、前記可動部材を変位させる駆動手段とを備え、
電力が供給された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第1の位置へと変位させ、
電力供給が停止された状態においては、前記駆動手段が前記可動部材を前記第2の位置へと変位させ、
前記第1施錠部材と一体的に構成された第1支持片部と、前記第2施錠部材と一体的に構成された第2支持片部とを備え、
前記第1施錠部材の前記非係止位置側への変位方向と、前記第2施錠部材の前記非係止位置側への変位方向とが反対方向であり、
前記可動部材は、前記第1施錠部材及び前記第2施錠部材の変位方向に対して直交又はほぼ直交する方向に沿って変位可能に構成され、
前記第2の位置にある前記可動部材は、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の両方に対し、対応する前記第1施錠部材又は前記第2施錠部材が前記非係止位置側に変位しようとした場合に当接する構成であって、
前記駆動手段は、前記可動部材の変位方向に沿った方向において変位可能なプランジャーと、前記プランジャーを突出方向に付勢する付勢手段とを備え、励磁状態とされることで前記プランジャーの突出長が非励磁状態にある場合よりも短くなるプル型のソレノイドにより構成され、
前記可動部材は、磁性体により構成されるとともに、前記プランジャーの先端部に対して非固定状態で当接し、
電力供給が停止された場合には、前記ソレノイドが非励磁状態とされ、前記プランジャーによって前記可動部材が押圧されて前記第2の位置へと変位させられ、
電力が供給された場合には、前記ソレノイドが励磁状態とされ、磁化された前記プランジャーに前記可動部材が引き付けられて前記第1の位置へと変位させられ、
前記第2の位置にある前記可動部材の前記第2の位置側の端部を覆う接触防止手段を備えていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−59685(P2013−59685A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1541(P2013−1541)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2007−311936(P2007−311936)の分割
【原出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】