説明

遊技機

【課題】大当り遊技終了後の開放延長遊技中における「球減り」の発生によって遊技興趣が低下することを抑制する。
【解決手段】遊技球の通過ゲート通過を契機に可変始動口が開放状態に変化し、可変始動口への遊技球入球に基づき大当り抽選を行い、大当り抽選の当選により大入賞口への遊技球入球が可能となる大当り遊技を行い、可変始動口と大入賞口に遊技球が入球した場合に賞球を払い出し、大当り遊技の終了後、可変始動口の開放時間を延長する開放延長遊技を行う遊技機において、大当り遊技の進行状況が特定段階に達するまでは、大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球払い出しを通常速度で行い、特定段階に達した後は、大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球払い出しを通常速度よりも遅い特殊速度で行う。大当り遊技が終了した後の開放延長遊技においても、当該大当り遊技中における大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球払い出しを特殊速度で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特にパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機では、大当り遊技中に、大入賞口への遊技球の入球に応じた遊技球(賞球)が払出装置によって払い出される。また、大当り遊技の終了後には、普通電動役物により構成される始動口(いわゆる電チュー)の開放時間を延長させる開放延長遊技が行われるように構成されているものが多い(特許文献1参照)。開放延長遊技では、始動口(電チュー)への遊技球の入球頻度が高まることで手持ちの遊技球(持ち球)を減らさずに遊技を行うことができることから、開放延長遊技が行われる遊技状態は「電サポ状態(電チューサポート状態)」とも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−332265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大当り遊技の終了後の開放延長遊技(電サポ状態)では、大当り遊技中に払い出された遊技球(賞球)を用いて遊技を進行させるのが一般的である(持ち球遊技)。しかしながら、始動口(電チュー)を開放させる契機となる通過ゲートを遊技球が通過し難かったり、始動口(電チュー)への遊技球の寄りが悪かったりする場合には、大当り遊技後の電サポ状態において、手持ちの遊技球が減少する「球減り」が生じやすくなる。電サポ状態は、本来、大当り遊技で獲得した多量の遊技球(賞球)を殆ど減らすことなく次の大当りを狙える遊技状態であることから、そのような「球減り」が電サポ状態で発生すると、遊技者の苛立ちや遊技興趣の低下を招くという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記点に鑑み、大当り遊技終了後の開放延長遊技(電サポ状態)における「球減り」の発生による遊技興趣の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、
遊技球が通過可能な通過ゲートと、
遊技球が前記通過ゲートを通過することを契機に遊技球の入球可能性が高まる開放状態となり得る可変始動口と、
前記可変始動口への遊技球の入球に基づき大当り抽選を行う抽選手段と、
遊技球の入球が可能な状態と不能な状態とに変化可能であって、通常時は遊技球の入球が不能とされる大入賞口と、
少なくとも前記可変始動口に遊技球が入球した場合および前記大入賞口に遊技球が入球した場合に賞球を払い出す払出装置と、
前記大当り抽選に当選すると、前記大入賞口への遊技球の入球が可能となる大当り遊技を所定の大当り実行期間が経過するまで行う大当り遊技実行手段と、
前記大当り遊技の終了後、前記可変始動口が前記開放状態とされる開放時間を延長する開放延長遊技を、所定の開放延長実行期間が経過するまで行う開放延長遊技実行手段と、
を備えた遊技機であって、
前記大当り遊技の進行状況が、前記大当り実行期間の経過前の特定段階に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記特定段階に達したと判定するまでは、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを通常速度で行い、前記判定手段が前記特定段階に達したと判定した後は、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記通常速度よりも遅い特殊速度で行うように、前記払出装置を制御する払出制御手段と、を備え、
前記払出制御手段は、前記大当り遊技が終了した後の前記開放延長遊技においても、当該大当り遊技中における前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記特殊速度で行うように、前記払出装置を制御する
ことを特徴としている。
【0007】
このように、大当り遊技中の特定段階に達するまでは賞球の払い出しを通常速度で行い、特定段階に達した後は賞球の払い出しを低速の特殊速度で行うようにすることで、大当り遊技中における大入賞口への遊技球入球による賞球の払い出しが、大当り遊技終了後の開放延長遊技においても確実に行われるという異質な遊技性を実現することができる。この結果、遊技球が通過ゲートを通過し難いことや可変始動口への遊技球の寄りが悪いこと等が原因で、開放延長遊技中であるにもかかわらず可変始動口への遊技球の入球効率が悪いとしても、大当り遊技中に発生した賞球の払い出しが開放延長遊技中にも継続して行われるので、開放延長遊技中に「球減り」が発生しているとの印象を遊技者に与え難くすることができる。
【0008】
また、本発明の遊技機では、
前記払出制御手段は、前記開放延長遊技中における前記可変始動口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記特殊速度で行うように、前記払出装置を制御することを特徴としている。
【0009】
これにより、大当り遊技中における大入賞口への遊技球入球による賞球の払い出しが終了した後も、開放延長遊技中に発生した賞球の払い出しが低速で行われるので、開放延長遊技中に「球減り」が発生しているとの印象を遊技者に与え難くすることができる。
【0010】
また、本発明の遊技機では、
前記開放延長遊技中に前記大当り抽選に当選して前記大当り遊技が開始されると、前記払出制御手段は、前記判定手段が前記特定段階に達したと判定するまで、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記通常速度で行うとともに、前記判定手段が前記特定段階に達したと判定した後、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記特殊速度で行うように、前記払出装置を制御することを特徴としている。
【0011】
これにより、開放延長遊技中に大当り遊技が開始された場合には、その大当り遊技の開始時から特定段階に達するまでの間において、迅速な賞球の払い出しを行うことができる。
【0012】
また、本発明の遊技機では、
前記開放延長遊技中に前記大当り抽選に当選することなく、前記開放延長実行期間の経過により前記開放延長遊技が終了すると、前記払出制御手段は、前記開放延長遊技の終了後における前記可変始動口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記通常速度で行うように、前記払出装置を制御することを特徴としている。
【0013】
これにより、開放延長遊技中には「球減り」の印象を遊技者に与え難くしつつ、開放延長遊技の終了後には迅速な賞球の払い出しを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明の構成によれば、大当り遊技終了後の開放延長遊技中における「球減り」の発生による遊技興趣の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した実施例に係る遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】遊技機の裏機構盤の正面図である。
【図4】遊技球払出装置の内部構成を示す正面図である。
【図5】遊技球払出装置の一部を示す斜視図である。
【図6】電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】メインジョブの流れを示すフローチャートである。
【図8】遊技開始処理を示すフローチャートである。
【図9(a)】特別図柄遊技処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図9(b)】特別図柄遊技処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図10】特別図柄変動表示関連処理を示すフローチャートである。
【図11】大当り遊技処理を示すフローチャートである。
【図12】第1実施例の賞球払出処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施例の賞球払出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図面を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ遊技機(以下、単に遊技機という)に本発明を適用した実施例について説明する。
【0017】
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、外枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、図1では遊技盤20の詳細な図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
【0018】
外枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものである。中枠3はプラスチック製で遊技機1の本体枠を構成するもので、外枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対して開閉可能に左端で軸支されている。この中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられている。なお、遊技盤20は枠体部(中枠3)に対して着脱自在に設けられている。下板部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。
【0019】
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。前面枠4はプラスチック製であり、その奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。前面枠4における遊技盤20の周囲には、LED等のランプ類(図示略)が設けられている。これらのランプ類は、遊技効果を高めるために遊技の進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
【0020】
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。上皿部5は、皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。皿外縁部5aの上面には、演出ボタン5dや球貸ボタン5e等が設けられている。
【0021】
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から下皿部6に遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。下皿部6の左端には灰皿7が設けられている。下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検出する接触検出手段としてのタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
【0022】
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。
【0023】
また、遊技機1には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるためのスピーカ10a〜10dが設けられている。スピーカ10a〜10dは、遊技機1の上部に設けられた上部スピーカ10a、10bと遊技機1の下部に設けられた下部スピーカ10c、10dとからなる。さらに、遊技機1の左側には、プリペイドカードユニット13(CRユニット)が装着されている。
【0024】
次に、本実施例の遊技盤20の表面構造について説明する。図2は遊技盤20の正面図である。遊技盤20は、略長方形の木製の板状体であって中枠3に着脱可能に取り付けられているとともに、裏機構盤(図示略)によりその背面側が覆われている。
【0025】
図2に示すように、遊技盤20には、遊技盤20の表面(盤面)に設けられた外レール22と内レール23とにより、略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21内には、中央装置24、普通図柄作動ゲート27、始動口28、大入賞装置33、左入賞口34,35、右入賞口36,37、第1装飾部材50、第2装飾部材60等の遊技装置が配設されている。また、遊技領域21には各遊技装置との位置バランスを考慮して多数の障害釘が配設されている。
【0026】
中央装置(センター役物)24は遊技領域21の略中央部に配置され、その内側(内周側)に演出表示装置25を備えている。演出表示装置25は、遊技領域21の略中央部位に配置されている。本実施例では、演出表示装置25として液晶表示装置を用いており、演出表示装置25の表示領域では各種演出表示が行われる。
【0027】
大入賞装置33は遊技領域21における中央装置24の下方に配置されており、第1装飾装置50は遊技領域21における大入賞装置33の左側に配置され、第2装飾装置60は遊技領域21における大入賞装置33の右側に配置されている。装飾装置50,60はいわゆるサイド飾りを構成している。また、第1装飾装置50には左入賞口34,35が一体化されており、第2装飾装置60には右入賞口36,37が一体化されている。
【0028】
普通図柄作動ゲート27は、中央装置24の左側に設けられている。普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技盤上を流下する遊技球の通過を検知する普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s(図6参照)が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過することで、普通図柄が変動表示を開始する。なお、普通図柄作動ゲート27が本発明の「通過ゲート」に相当している。
【0029】
始動口28は、中央装置24の中央位置の下方に設けられている。始動口28は、遊技盤20の盤面上を流下する遊技球を受け入れる遊技球受入口が形成された2つの入球口を上下方向に並べて配置したもので、上側に設けられた第1始動口28aと下側に設けられた第2始動口28bとから構成されている。本実施例では、第1始動口28aに遊技球が入球した場合と、第2始動口28bに遊技球が入球した場合とに、それぞれ同数(本実施例では3個)の賞球が払い出される。なお、第1始動口28aの賞球数と第2始動口28bの賞球数は、例えば、第1始動口28aの賞球数を第2始動口28bの賞球数よりも多くしたり、第2始動口28bの賞球数を第1始動口28aの賞球数よりも多くするなど、互いに異ならせてもよい。
【0030】
第1始動口28aは、遊技球受入口の大きさが変化せず遊技球の入球可能性が一定とされる固定式の始動口として構成されており、遊技球の入球が常時可能となっている。一方、第2始動口28bはいわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部を備えており、この一対の翼片部の上端間隙が遊技球受入口となっている。この一対の翼片部は、各々左右方向に傾動することで開閉動作を行うものとされており、この開閉動作により、第2始動口28bは一対の翼片部の遊技球受入口の大きさが変化する可変始動口として構成されている。第2始動口28bは、一対の翼片部が開動作することで入球可能性が高い開放状態となり、一対の翼片部が閉動作することで入球可能性が低い閉鎖状態(入球不能な状態を含む)となる。第2始動口28bは普通電動役物として機能するもので、普通図柄が当り図柄の組合せで停止表示された場合に、一対の翼片部が開動作して第2始動口28bの遊技球受入口が拡大される。第2始動口28bの開閉は、主制御部200により制御される。
【0031】
始動口28の内部には、第1始動口28aへの遊技球の入球を検知する第1始動口入球検知スイッチ28s(図6参照)と、第2始動口28bへの遊技球の入球を検知する第2始動口入球検知スイッチ28t(図6参照)と、一対の翼片部を作動させるための始動口ソレノイド28c(図6参照)とが備えられている。この一対の翼片部が左右に開動作した場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが通常時より拡大され、第2始動口28bは遊技球の入球可能性が第1始動口28aよりも高くなる開放状態となる。一方、一対の翼片部が立設された場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが遊技球の直径より僅かに大きい(遊技球1個が通過可能な)通常の大きさとされ、第2始動口28bは遊技球の入球可能性が第1始動口28aよりも低い閉鎖状態となる。なお、本実施例では、第2始動口28bの真上に第1始動口28aが配置されており、第2始動口28bが閉鎖状態にあるときには、第2始動口28bの遊技球受入口が第1始動口28の外郭を構成する壁部材の底面に覆われた状態となる。これにより、第2始動口28bが閉鎖状態にあるときには第2始動口28bへの遊技球の入球が不能となり、第2始動口28bが開放状態となった場合にのみ、第2始動口28bへの遊技球の入球が可能となる。
【0032】
遊技球が第1始動口28aおよび第2始動口28bのいずれかに入球することで、後述の特別図柄が変動表示を開始する。なお、以下の説明における「遊技球が始動口28に入球する」旨の記載は、特段の理がない限り、遊技球が第1始動口28aまたは第2始動口28bに入球することを意味する。
【0033】
大入賞装置33は、始動口28の下方に配設されている。ここで、大入賞装置33は、帯状に開口された大入賞口33aと、この大入賞口33aを開放・閉鎖する開閉板33bと、この開閉板33bを作動させるための大入賞口ソレノイド33c(図6参照)と、遊技球の入球を検知する入球検知スイッチ33s(図6参照)とから主に構成されている。
【0034】
大入賞装置33の左斜め上方と右斜め上方には、左入賞口34,35と右入賞口36,37が設けられている。これら入賞口34〜37の内部には、それぞれ入賞口入球検知スイッチ34s〜37s(図6参照)が設けられており、これらの入賞口34〜37への遊技球の入球に応じて、所定数(本実施例では10個)の賞球が払い出される。
【0035】
第1装飾部材50には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより、普通図柄表示部51、普図保留表示部52、特別図柄保留表示部53が構成されている。同様に第2装飾部材60には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより、特別図柄表示部61が構成されている。
【0036】
普通図柄表示部51は、1個のLEDから構成されており、このLEDにより普通図柄の表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄の変動表示及び停止表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄作動ゲート27を遊技球が通過することにより普通図柄が変動表示(本実施例ではLEDの点滅表示)を開始し、所定時間経過後に普通図柄が当り普通図柄の表示態様(本実施例ではLEDの点灯表示)あるいは外れ普通図柄の表示態様(本実施例ではLEDの消灯表示)で停止表示される。そして、普通図柄が予め設定された当り普通図柄の表示態様で停止表示すると、第2始動口28bが所定の開放パターンにしたがって開放される。第2始動口28bの開放パターンは複数種類設定されている。第2始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能の非作動時には、通常開放時間(例えば0.2秒)が設定された短時間開放パターンがセットされ、開放時間延長機能の作動時には通常開放時間より長い延長開放時間(例えば5秒)が設定された長時間開放パターンがセットされる。
【0037】
本実施例では、普通図柄当否判定用乱数が用意されており、この普通図柄当否判定用乱数は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過した際に取得されるもので、第2始動口28bを作動させるか否か(開放状態とするか否か)の普通図柄当否判定に用いられる。普通図柄当否判定用乱数には予め当り値が設定されており、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過したタイミングで取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致する場合に当りと判定される。そして、普通図柄当否判定で当りと判定された場合には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は、当り普通図柄の表示態様に決定される。一方、外れと判定された場合(取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致しない場合)には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は外れ普通図柄の表示態様に決定される。
【0038】
ここで、普通図柄の保留について説明する。普図保留表示部52には普通図柄保留数が表示され、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球の数を最大保留数(本実施例では4個)まで保留可能となっている。そして、次回の普通図柄当否判定が行われ普通図柄の変動表示が開始される毎に、未始動回数(保留数)が消化され、普通図柄保留数が1個ずつ減少する。普図保留表示部52は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、4個を上限として保留数を表示することができる。普通図柄の保留に伴って、普通図柄当否判定用乱数が主制御部200のRAMの所定領域に記憶される。
【0039】
なお、普通図柄当否判定、普通図柄の停止図柄の決定、普通図柄の変動パターンの設定、普通図柄の保留および保留消化は、後述の主制御部200によって行われる。
【0040】
次に、特別図柄について説明する。特別図柄表示部61は7個のLEDから構成されており、これらのLEDにより特別図柄が表示される。この特別図柄表示部61を構成する各LEDは、点灯および消灯が可能となっており、これら各LEDの点灯および消灯の組合せにより特別図柄の複数の表示態様を表示できる。そして、7個のLEDで表示される特別図柄の組合せのうち、特定の組合せが大当り図柄(大当り特別図柄)として設定されており、大当り図柄以外が外れ図柄(外れ特別図柄)として設定されている。本実施例では、特別図柄の変動表示を各LEDが点灯と消灯を繰り返す点滅表示で行うものとしている。
【0041】
次に、始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)に遊技球が入球することによって、特別図柄表示部61で特別図柄が変動開始し、所定時間経過後に特別図柄が大当り図柄あるいは外れ図柄で停止表示される図柄変動遊技が行われる。
【0042】
本実施例では、遊技球が始動口28に入球した際に取得され、大当り遊技を実行するか否かの特別図柄当否判定(大当り抽選)に用いられる特別図柄当否判定用乱数が設けられている。さらに、大当り図柄を決定するための大当り種別決定乱数(大当り図柄決定乱数)が設けられている。始動口28への遊技球の入球に伴って、特別図柄当否判定用乱数と大当り種別決定乱数が取得され、この取得された特別図柄当否判定用乱数と大当り種別決定乱数は、主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に保留として記憶される。
【0043】
ここで、特別図柄の保留について説明する。特別図柄保留表示部53は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、それぞれ4個を上限として保留数を表示することができる。
【0044】
始動口28に入球した遊技球数は、特別図柄保留数として最大保留数(本実施例では4個)に達するまで保留可能となっている。特別図柄保留数は、始動口28への遊技球の入球が発生する度に取得されて主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に記憶される特別図柄用乱数(特別図柄当否判定用乱数、特別図柄決定用乱数)の個数(記憶数)に相当する。本実施例では、始動口28への遊技球の入球に伴い、特別図柄当否判定用乱数とともに大当り種別決定乱数も取得されるので、特別図柄保留数は、大当り種別決定乱数の記憶個数にも相当する。そして、特別図柄保留数は、特別図柄当否判定が行われ特別図柄の変動表示が開始される毎に消化され、1個ずつ減少する。特別図柄の保留記憶および保留消化は、後述の主制御部200によって行われる。
【0045】
特別図柄当否判定用乱数には、当否判定用の当り値が設定されており、遊技球が第1始動口28aまたは第2始動口28bに入球したタイミングで取得された特別図柄当否判定用乱数が大当りの当り値(大当り当選値)と一致する場合に大当りと判定される。特別図柄当否判定は、特別図柄が変動表示を開始する際に行われる。
【0046】
特別図柄当否判定用乱数が当り値と一致した場合(大当り抽選に当選した場合)に大当りと判定され、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が大当り図柄に決定される。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りでない場合(大当り抽選に落選した場合)には、特別図柄当否判定の結果は外れであり、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が外れ図柄に決定される。
【0047】
特別図柄は、所定の変動パターンにしたがって変動表示するように構成されている。この変動パターンは、特別図柄の変動時間や、その変動におけるリーチ演出や予告演出の有無(演出内容)を規定するもので、複数種類の変動パターンが変動パターン決定用の乱数値と対応付けて変動パターンテーブルに含まれている。特別図柄の変動パターンは、特別図柄当否判定が実行されて特別図柄の変動表示が開始される際に、変動パターンテーブルから抽選により選択される。特別図柄の変動パターンテーブルは、複数用意されており、それぞれ遊技状態に応じて選択されて用いられる。
【0048】
また、特別図柄当否判定、特別図柄の変動態様の決定、特別図柄の停止図柄の決定、特別図柄の変動表示および停止表示(図柄変動遊技)は、後述の主制御部200によって行われるように構成されている。
【0049】
次に、大当り遊技について説明する。特別図柄表示部61で停止表示された特別図柄が前述した大当り図柄であった場合(特別図柄当否判定の結果が大当りだった場合)に、「大当り遊技実行手段」としての主制御部200は遊技者にとって有利な大当り遊技を開始させる。大当り遊技は、大当り遊技フラグをONに設定することで開始する。大当り遊技は、所定の大当り実行期間が経過するまで大入賞装置33を作動させる、換言すると大入賞口33aを複数回開閉させることで、大入賞口33aへの遊技球の入球に関して遊技者に利益(賞球)を付与するものである。大当り遊技は、主制御部200が後述の大当り遊技処理を繰り返し実行することによって実現される。
【0050】
大当り遊技中は大入賞装置33が作動し、大入賞口33aへの遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して15個の賞球)が払い出される。具体的には、大当り遊技の開始により大入賞装置33を作動させ、大入賞口33aを開放状態と閉鎖状態とに切り替える大入賞口開閉動作が複数回連続して行われる。大入賞装置33の作動開始により、大入賞口33aが開放状態となる。この開放状態は、所定の終了条件成立により終了し、開放していた大入賞口33aが閉鎖状態となる。所定の終了条件として、大入賞口33aの開放時間が規定開放時間(本実施例では30秒)に達したとき、もしくは開放状態の大入賞口33aに入球した遊技球数が規定数(本実施例では10個)に達したときとすることができる。
【0051】
この大入賞口33aの開放状態の開始から終了までを1回のラウンド遊技とした場合、大当り遊技は、所定数のラウンド遊技が行われることで終了する。大入賞装置33では、大入賞口33aの開放が終了、すなわち大入賞口33aが閉鎖状態となってから所定のインターバル時間(本実施例では2秒)が経過した後に、大入賞口33aは再び開放状態となり、次のラウンド遊技が開始する。このような大入賞口33aの開放開始から終了までを1ラウンドとする大入賞口33aの開閉動作は、所定の最高継続ラウンド数(本実施例では16ラウンド)が終了するまで繰り返し継続される。本実施例の大当り遊技は、大入賞口33aの開放時間が長く設定されており、大入賞口33aへの規定数(10個)の入球およびこれに伴う賞球払出の実行可能性が極めて高く、大量の賞球獲得が可能な「出球あり当り遊技」として位置付けられる。
【0052】
本実施例の遊技機では、大当り遊技の終了後、変動時間短縮機能や開放時間延長機能、確率変動機能が作動する特定遊技(いわゆる時短遊技および確変遊技)が開始される。本実施例では、特別図柄当否判定の結果として複数種類の大当りが設定されており、特別図柄当否判定の結果が通常大当り(特別図柄の停止図柄が通常大当り図柄)の場合には、大当り遊技終了後に時短遊技が開始され、特別図柄当否判定の結果が確変大当り(特別図柄の停止図柄が確変大当り図柄)の場合には、大当り遊技終了後に確変遊技が開始される。変動時間短縮機能、開放時間延長機能、確率変動機能の各機能は、それぞれ変動短縮フラグ、開放延長フラグ、確変フラグをONに設定することで作動する。なお、開放時間延長機能が作動した状態で行われる遊技を「開放延長遊技」と称する。開放延長遊技は、大当り遊技の終了後、所定の開放延長実行期間が経過するまで行われる。
【0053】
特別図柄当否判定の結果が通常大当り(特別図柄の停止図柄が通常大当り図柄)の場合には、大当り遊技の終了後、変動時間短縮機能および第2始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能が作動開始し、時短遊技が開始される。
【0054】
変動時間短縮機能(変動時間短縮手段)には、普通図柄変動時間を短縮させる普通図柄変動時間短縮機能と、特別図柄変動時間を短縮させる特別図柄変動時間短縮機能とが含まれている。開放時間延長機能の作動により、第2始動口28bの開放時間が、通常開放時間(例えば0.2秒)であったのが延長開放時間(例えば5秒)に延長される。これにより、第2始動口28bへの遊技球入球頻度が、通常時(開放延長機能未作動時)に比べて高くなる。変動時間短縮機能および開放時間延長機能は、大当り遊技終了後、次回の大当り遊技が開始されるまでの間、または特別図柄の変動回数が所定回数(本例では100回)に到達することで作動を終了する。変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動終了により、第2始動口28bの開放時間が通常開放時間となる通常遊技に移行する。
【0055】
変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動する「電サポ状態(電チューサポート状態)」は、変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動しない非電サポ状態に比較して、第2始動口28b(電チュー)の開放頻度(開放回数、開放時間)が格段に向上する。電サポ状態では、第2始動口28bへの遊技球の入球頻度が高まることで特別図柄当否判定の実行頻度が高まり、大当り遊技が発生しやすくなる。このため、電サポ状態では、非電サポ状態に比較して図柄変動遊技を遊技者に有利に進行させることができる。
【0056】
変動時間短縮機能および開放時間延長機能は、主制御部200の制御により作動開始および作動停止されるものであり、変動時間短縮機能および開放時間延長機能は、それぞれ同時に作動を開始するとともに同時に作動を終了する。以下、変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動状態に関する説明について、何れか一方の機能だけを挙げて説明している場合には、もう一方の機能も対になっているものとする。例えば、以下の説明で「変動時間短縮機能が作動している」と記載する場合、この記載は「開放時間延長機能も作動している」と解することができ、逆に、「開放時間延長機能が作動している」と記載する場合、この記載は「変動時間短縮機能が作動している」と解することができる。なお、主制御部200が本発明の「開放延長遊技実行手段」に相当している。
【0057】
特別図柄当否判定の結果が確変大当り(特別図柄の停止図柄が確変大当り図柄)の場合には、大当り遊技の終了後、確率変動機能が作動開始し、確変遊技が開始される。確変遊技は、主制御部200の制御により実現されるものであり、この確変遊技では、上記変動時間短縮機能および開放時間延長機能に加え、特別図柄当否判定の確率、すなわち特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率を変更(向上)させる確率変動機能(確率変動手段)が作動する。確率変動機能作動中は、当否判定用の当り値が増加することで、特別図柄当否判定の結果が大当りとなる確率が向上する。確率変動機能は、大当り遊技終了後、次回の大当り遊技が開始されるまで作動する。
【0058】
本実施例の遊技機1では、特別図柄表示部61を用いて行われる特別図柄の図柄変動遊技の実行に伴って、演出表示装置25にて図柄変動演出が行われる。図柄変動演出としては、例えば特別図柄表示部61での特別図柄の変動表示に連動して数字図柄からなる演出図柄を変動表示させる変動表示演出や、演出図柄の変動表示中に行われるリーチ演出などが挙げられる。なお、これらの演出内容は複数種類存在し、演出画像データは演出表示制御部280のROMに記憶されている。
【0059】
次に、演出表示装置25で表示される演出図柄について説明する。演出図柄は特別図柄表示部61の特別図柄の変動表示および停止表示に連動して表示される。図2に示すように、演出表示装置25の表示領域には、左図柄が表示される左図柄表示領域、中図柄が表示される中図柄表示領域、右図柄が表示される右図柄表示領域から構成された演出図柄表示部が設けられている。各図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する向き、この場合、上下方向(縦方向)に図柄変動方向が設定されている。各図柄表示領域は、「1」〜「9」からなる図柄をそれぞれ表示可能となっている。
【0060】
演出図柄は、特別図柄が変動表示を開始することにより変動表示を開始し、特別図柄が何れかの図柄で停止表示されると、演出図柄は特別図柄の停止図柄に応じた図柄で停止表示される。演出図柄では、3桁同一の図柄組合せが特別図柄の大当り図柄に対応し、それ以外の図柄組合せが特別図柄の外れ図柄に対応している。
【0061】
演出図柄の変動態様(変動パターン)および停止図柄の決定は、主制御部200から送信される変動パターン指定コマンドおよび停止情報指定コマンドに基づいてサブ制御部260によって行われるように構成されている。ここで、主制御部200からサブ制御部260に向けて送信される変動パターン指定コマンドは、特別図柄の変動パターンを示すもので、具体的には、特別図柄の変動時間や、リーチ演出の有無等の演出内容を示している。主制御部200は、特別図柄の当否判定結果に応じて特別図柄の変動パターンをランダムに(乱数抽選により)決定する。そして、主制御部200により決定された特別図柄の変動パターンに基づき、サブ制御部260が、演出表示装置25の演出図柄表示部で表示される演出図柄の演出パターンを決定する。また、主制御部200からサブ制御部260に向けて送信される停止情報指定コマンドは特別図柄の停止図柄を示すもので、主制御部200は、特別図柄の当否判定結果に応じて特別図柄の停止図柄をランダムに(乱数抽選により)決定する。そして、主制御部200により決定された特別図柄の停止図柄を示す停止情報指定コマンドに基づき、サブ制御部260が、演出表示装置25の演出図柄表示部で停止表示される演出図柄の停止図柄を決定する。
【0062】
また、演出表示装置25の表示領域では、大当り遊技中に大当り遊技の進行に伴う当り関連演出が行われる。当り関連演出としては、大当り遊技開始時に実行される大当り遊技開始演出(ファンファーレ演出)、大当り遊技中に実行されるラウンド演出(大当り遊技演出)、大当り遊技終了時に実行される大当り遊技終了演出(エンディング演出)等がある。これらの当り関連演出は、後述のサブ制御部260が大当り遊技の進行に伴って主制御部200から送信されるコマンドに基づいて実行する。
【0063】
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図3に基づいて説明する。図3は遊技機1の裏機構盤102の正面図である。
【0064】
図3に示すように、裏機構盤102は中枠3における遊技盤20の反対面に設けられており、一対のヒンジ103により中枠3に開閉可能に取り付けられている。裏機構盤102の左上方部には、タンク球切れ検知スイッチ104を内側面に備えた遊技球タンク105が設けられている。遊技球タンク105には、外部の補給装置から供給される払い出し用の遊技球が貯留されている。遊技球タンク105の底面は、遊技機1の背面側からみて右下がりに構成されており、遊技球タンク105の右側下方には、遊技球タンク105と接続したタンクレール106が設けられている。タンクレール106は、裏機構盤102にネジ止めによって組み付けられるもので、遊技球タンク105の右下角部から遊技球払出装置109の上方まで傾斜して形成されている。
【0065】
タンクレール106の右側には、球抜きレバー107が設けられている。球抜きレバー107の下流側には、遊技球払出装置300が設けられている。遊技球払出装置300の構成については後述する。また、タンクレール106の下流側であって、遊技球払出装置300の上方には、タンクレール106を流下してきた遊技球の進行方向を変えて遊技球払出装置300に誘導するためのケースレール(遊技球誘導通路)108が設けられている。
【0066】
タンクレール106の左側であって遊技球タンク105の下方には、球崩モータ110が設けられている。球崩モータ110は、裏機構盤102にネジ止めによって組み付けられるもので、タンク球切れ検知スイッチ104にて遊技球タンク105内の遊技球がなくなったことが検知された際等に、遊技球タンク105を振動させ、遊技球タンク105内に残留している遊技球を遊技球タンク105から完全に排出させるものである。
【0067】
タンクレール106の下方には、前面側に演出表示装置25(図2参照)が取り付けられ、背面側に裏ケース111が設けられている。裏ケース111は、一対のヒンジ112により裏機構盤102に開閉可能に取り付けられている。裏ケース111の内部では、遊技制御に必要となる各種制御基板が収納された基板ケースとして、ランプインタフェース基板ケース、主制御基板ケース、サブ制御基板ケース、演出表示制御基板ケースが、それぞれ遊技盤20の裏面に取り付けられている。
【0068】
裏ケース111の下方には、左側に電源基板ケース116が設けられ、右側に払出制御基板ケース118が設けられている。さらに裏機構盤102の右上方部には、大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、貸球用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた外部端子基板122が設けられている。
【0069】
次に、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置300について図4、図5に基づいて説明する。図4は遊技球払出装置300の内部構成を示す正面図であり、図5は遊技球払出装置300の一部を示す斜視図である。なお、遊技球払出装置300が本発明の「払出装置」に相当している。
【0070】
図4に示すように、遊技球払出装置300には、ケースレール108から供給された遊技球が通過する遊技球通路301が上下方向に設けられている。遊技球通路301の途中には、遊技球の流れを規制する回転体(スプロケット)302が設けられている。回転体302は、後述の払出モータ304により回転駆動される。回転体302が回転することで遊技球の払い出しが行われ、回転体302が停止することで遊技球の払い出しが停止する。遊技球払出装置300で払い出される遊技球には、第1始動口28a、第2始動口28b、大入賞口33a、左入賞口34,35および右入賞口36,37の各々への遊技球入球(入賞)に対して払い出す賞球と、遊技者に貸し出す貸球とが含まれている。
【0071】
回転体302の外周部には、略円弧状の凹部(球受け部)が4つ形成されており、各凹部に遊技球通路301を流れる遊技球が1個ずつ入り込むことができる。図4では、回転体302は、時計方向に回転可能となっており、遊技球流れ方向の上流側から遊技球通路301に供給される遊技球を1個ずつ遊技球流れ方向の下流側へ送り出す(払い出す)ことができる。
【0072】
また、遊技球通路301における回転体302の下方側(遊技球流れ方向の下流側)には、回転体302の回転によって払い出された遊技球を検出する払出センサ303が設けられている。払出センサ303は、近接スイッチによって構成することができる。
【0073】
図5に示すように、遊技球払出装置300には、回転体302を回転駆動する払出モータ304が設けられている。本実施例では、払出モータ304として、パルス駆動されることで1ステップ当り所定角度だけ回転するステッピングモータを用いている。払出モータ304は、払出制御部230によって生成される駆動パルスによってステップ的に回転制御される。
【0074】
遊技球払出装置300は、払出モータ304の回転速度を制御することで、遊技球の払出速度を複数段階に切り替えることができるように構成されている。本実施例の遊技球払出装置300は、遊技球の払出速度を「通常速度」と、通常速度より低速の「特殊速度」の2段階に切り替えることができるようになっている。通常速度では、1分当り900個(1秒間で15個)の遊技球が払い出され、特殊速度では、1分当り60個(1秒間で1個)の遊技球が払い出される。
【0075】
本実施例の遊技球払出装置300は、大当り遊技の進行状況が、大当り遊技の実行期間が経過する前の特定段階に達したことを契機として、払出速度を切り替えるように構成されている。具体的には、大当り遊技中に特定段階に達するまでは、遊技球払出装置300は通常速度(900個/分)で遊技球の払い出しを行う。そして、大当り遊技中に特定段階に達した後は、払出速度を切り替え、特殊速度(60個/分)で遊技球の払い出しを行う。
【0076】
ここで、遊技球の払出速度を切り替える契機となる「大当り遊技中の特定段階」は、大当り遊技が開始してからの遊技球払出数(賞球数)が所定個数に達したときとすることができる。この「所定個数」は、払出速度を特殊速度に切り替えることで、大当り遊技中に発生した賞球から所定個数を引いた残りの賞球払い出しが、大当り遊技の終了後もしばらくの間、継続して実行されるように設定すればよい。
【0077】
上述のように、本実施例では、大当り遊技中の1ラウンドにおいて大入賞口33aに規定数10個の遊技球が入球可能であり、大入賞口33aへの1個の遊技球入球に対して15個の賞球が払い出される。このため、本実施例では、16ラウンドの大当り遊技で獲得可能な賞球数は「2400個」(=規定数10個×賞球数15個×16ラウンド)となる。そして、本実施例では、払出速度を切り替える契機となる「所定個数」を「1500個」と設定している。つまり、大当り遊技の開始後、遊技球払出数が「1500個」に達するまでは「通常速度(900個/分)」で遊技球の払い出しを行い、遊技球払出数が「1500個」に達した後は、残りの「900個」を「特殊速度(60個/分)」で遊技球の払い出しを行う。
【0078】
ここで「900個」の遊技球を特殊速度(60個/分)で払い出すのに要する時間は「900秒(15分)」となる。また、1回のラウンド遊技における大入賞口33aの平均開放時間を25秒とし、インターバル時間を2秒とすると、大当り遊技(16ラウンド)の実行期間は約「430秒」(=25秒×16+2秒×15)となる。このため、大当り遊技中に発生した賞球の払い出しは、大当り遊技の終了後においても確実に行われることとなる。
【0079】
なお、本実施例では、大当り遊技中に遊技球の払出速度を切り替える契機(大当り遊技中の特定段階)を「大当り遊技開始後の遊技球払出数(賞球数)が所定個数(1500個)に達したとき」としているが、この「大当り遊技中の特定段階」は、それに限定されるものではない。例えば、大当り遊技中の特定段階を「大当り遊技開始からの経過時間が所定時間(大当り遊技終了までに要する時間よりも短い時間(例えば「300秒(5分)」)に達したとき」としたり、「大当り遊技での実行済ラウンド数が所定ラウンド数(大当り遊技終了までに行われる総ラウンド数(例えば「16ラウンド」)よりも少ないラウンド数(例えば「10ラウンド」)に達したとき」としたり、「大当り遊技の残りラウンド数が所定ラウンド数(例えば「1〜5ラウンド」までの任意のラウンド数)となったとき」としてもよい。
【0080】
本実施例では、大当り遊技終了後は100%の確率で開放時間延長機能が作動する開放延長遊技(電サポ状態)に移行する。このため、大当り遊技中に発生した賞球の払い出しは、開放延長遊技中にも特殊速度で継続して行われる。そして、開放延長遊技が終了(開放時間延長機能の作動が終了)するまで、遊技球払出装置300による遊技球の払い出しは特殊速度で行われる。このため、開放延長遊技中における第1始動口28aおよび第2始動口28bや左入賞口34,35および右入賞口36,37への遊技球入球に応じた賞球の払い出しも特殊速度で行われることとなる。そして、開放延長遊技中に行われる特別図柄当否判定の結果として「大当り」が得られ、それに伴い大当り遊技が開始された場合には、遊技球払出装置300による払出速度が「特殊速度」から「通常速度」に切り替えられる。また、開放延長遊技中に行われる特別図柄当否判定の結果として「大当り」が得られることなく(大当り遊技が開始されることなく)開放延長遊技が終了し、通常遊技に移行した場合にも、遊技球払出装置300による払出速度が「特殊速度」から「通常速度」に切り替えられる。
【0081】
遊技球払出装置300による遊技球の払い出しに係る制御(払出制御)は、払出制御部230によって行われる。払出制御部230は、主制御部200から所定数の賞球の払い出しを指示する賞球払出要求信号や、貸球ボタン5e(図1参照)の操作に基づく所定数の貸球の払い出しを指示する貸球払出要求信号を受信することで、その受信した払出要求信号に基づき特定される払出要求数に応じた駆動パルスの出力を開始し、これにより払出モータ304が作動を開始し、遊技球払出動作が行われる。
【0082】
また、払出制御部230は、払出センサ303のセンサ信号(検出信号)に基づいて大当り遊技中に払い出された賞球数を計数し、賞球数が「所定個数(1500個)」に達したと判定した場合に、遊技球払出装置300の払出速度を「通常速度」から「特殊速度」に切り替える。払出制御部230は、主制御部200から開放時間延長機能の作動状態を示す遊技状態指定コマンドを受信することで、開放時間延長機能が作動終了したと判定した場合に、遊技球払出装置300の払出速度を特殊速度から通常速度に切り替える。このため、払出制御部230が本発明の「判定手段」および「払出制御手段」に相当している。
【0083】
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図6に基づいて説明する。図6は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0084】
図6に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続された副制御部230、260、280とを含んで構成されている。副制御部は、払出制御部(賞球制御部)230、サブ制御部260及び演出表示制御部280から構成される。主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260及び280は周辺制御基板として払出制御基板230a、サブ制御基板260a及び演出表示制御基板280aをそれぞれ備えている。これらの各制御基板や、その他の基板(電源基板、中継基板、駆動基板、装飾基板、アンプ基板、演出ボタン基板など)は、遊技機1の裏面側に配置される。
【0085】
各制御部200、230、260、280には、図示しない主電源から電源が供給されている。また、電源立上げ時には、システムリセット信号が各制御部200、230、260、280に送信される。なお、本実施例の遊技機1は、電源断時に主制御部200及び払出制御部230に作動電圧を供給する図示しないバックアップ電源部(図示略)を備えており、電源断時にも主制御部200及び払出制御部230のRAMデータが保持される。
【0086】
主制御部200は、遊技の進行を司る主制御手段を構成するものであり、各副制御部230、260に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部230、260、280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
【0087】
主制御部200を構成する主制御基板200aのCPU200bは、CPUコア、内蔵RAM(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM(以下、単にROMともいう)等を備えており、ROMに格納された制御プログラムにより、RAMをワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。また、主制御部200は、CPU200bが主体となって、ROMに格納された当否判定プログラムにより大当り抽選(特別図柄当否判定)を行う大当り抽選手段を構成している。また、主制御部200のCPU200bは、特別図柄当否判定を実行する際に、ROMに格納された特別図柄の変動パターンテーブルから特定の変動パターンを決定する。なお、本実施例の主制御部200のCPU200bの制御周期は4msに設定されている。
【0088】
主制御部200には、盤面入力中継基板201と盤面出力中継基板202とが接続されている。盤面入力中継基板201には、普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s、第1始動口入球検知スイッチ28s、第2始動口入球検知スイッチ28t、大入賞口入球検知スイッチ33s、入賞口入球検知スイッチ34s〜37sが接続されており、これらの信号が主制御部200に入力するように構成されている。盤面出力中継基板202には、普通図柄表示部51(1個のLED)、特別図柄表示部61(7個のLED)、始動口ソレノイド28c、大入賞口ソレノイド33cが接続されており、主制御部200からの制御信号が出力される。
【0089】
払出制御部230を構成する払出制御基板230aは、主制御部200のCPU200bと同様の構成を有するCPU230bを備えている。払出制御部230には、発射制御部250、CRユニット13等が接続されている。また、払出制御部230には、払出装置中継端子板231を介して、遊技球払出装置300(図4、図5参照)を構成する払出センサ303および払出モータ304が接続されている。払出制御部230は、払出センサ303からのセンサ信号が入力するとともに、払出モータ304の回転制御を行うための信号を出力する。
【0090】
主制御部200から払出制御部230には、賞球払出の実行を指示するとともに払い出すべき賞球数を指定する賞球数指定コマンド(賞球払出要求信号)、遊技開始許可を指示する遊技開始許可信号、各種発射制御コマンド等のコマンドが送信される。各種発射制御コマンドには、球送り許可・禁止、発射許可・禁止、遊技開始許可等が含まれている。払出制御基板230aのCPU230bは、主制御部200からの賞球数指定コマンド(賞球払出要求信号)を受信すると、そのコマンドが示す賞球数に基づいて、遊技球払出装置300の払出モータ304を回転駆動することにより、指定された賞球数分の遊技球の払い出し(賞球払出)を行う。
【0091】
発射制御部250には、タッチスイッチ8aと発射停止スイッチ8bが接続されており、遊技者が発射ハンドル8に触れることでタッチスイッチ8aからタッチ信号が入力し、遊技者が発射停止スイッチ8bを操作すること(押圧すること)で、発射停止スイッチ8bから発射停止信号が入力する。
【0092】
サブ制御部260は、遊技の進行に伴って実行される各種演出を制御するサブ制御手段を構成しており、サブ制御基板260aにはCPU260bや図示しないROM、RAM、入出力ポート等を有する演算回路構成要素とサウンドジェネレータが設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。サブ制御部260(CPU260b)は、各種ランプ類による装飾表示、スピーカ10a〜10dから出力される効果音、演出表示装置25による演出図柄の表示等を用いた演出制御を司るように構成されている。
【0093】
主制御部200からサブ制御部260には、遊技の進行に関連する各種制御コマンド(特別図柄変動開始時コマンド、図柄停止コマンド、大当り遊技開始指定コマンド、大当り遊技終了指定コマンド、ラウンド指定コマンド、復帰コマンドなど)、各種ランプ制御コマンド及び各種音声制御コマンドが送信され、サブ制御部260は遊技の進行に伴う演出制御を司るように構成されている。主制御部200から演出表示制御部280には、サブ制御部260を介して、演出図柄の表示制御を指示する各種図柄制御制御コマンドが送信される。そして、サブ制御部260には演出表示制御部280が接続されており、サブ制御部260から演出表示制御部280には、主制御部200からの各種図柄制御コマンドに応じた演出図柄の表示(図柄変動演出)を実現するための演出表示制御を指示する各種演出表示制御コマンドが同時に送信される。
【0094】
演出表示制御部280の演出表示制御基板280aには、CPU280b、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいてサブ制御部260に接続されており、演出表示制御部280には演出表示装置25が接続されている。また、演出表示制御基板280aには、図示しない画像ROMが設けられており、その画像ROMには、演出表示装置25で表示される演出用図柄の画像データ(前述した図柄変動演出に関する画像データなど)が複数格納されている。演出表示制御部280(CPU280b)は、演出表示装置25の駆動制御(各種演出用の図柄データや画像データの表示出力処理)を行うように構成されている。
【0095】
その他、サブ制御部260には、装飾駆動基板261を介して各種LED・ランプ262が接続されており、アンプ基板263には、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等を出力するスピーカ10a〜10dが接続されている。さらに、サブ制御部260には、演出ボタン基板264を介して演出ボタン5dが接続されている。サブ制御部260は、主制御部200や演出ボタン5dからの各種指令(変動パターン指定コマンドの受信、演出ボタン操作信号の入力など)に基づいて、各種LED・ランプの点灯・点滅パターンの選択・実行処理や、スピーカ10a〜10dから出力される効果音データの選択・出力処理や、演出表示装置25での演出表示の実行処理等を行う。
【0096】
次に、本実施例の遊技機1の作動をフローチャートに基づいて説明する。図7は、主制御部200の制御下で行われるメインジョブの一例である。図7に示すメインジョブは、主制御基板200aに実装されたCPU200bが、図示しないROM(CPU200bの内蔵ROMまたは主制御基板200aに実装されるROM)に格納されたプログラムに基づいて実行するもので、電源投入処理(S100)の後、遊技開始処理(S200)、普通図柄遊技処理(S300)、普通電動役物遊技処理(S400)、特別図柄遊技処理(S500)、大当り遊技処理(S600)の各処理が、タイマリセットされる毎(本実施例では4ms毎)に繰り返し実行される。電断発生時処理(S50)は、停電等によって電源断が発生した場合に、使用レジスタやスタックポインタの保存、払出モータの停止等が行われ、システムリセットが発生した場合に電源投入処理(S100)に移るようになっている。
【0097】
電源投入処理(S100)は、電源投入時と電源断発生後の復電時に行われるものであり、電源投入時にはRAM初期化処理等が行われ、電源断復帰時には電源断時の遊技状態に復帰させるための復帰設定等が行われる。
【0098】
次に、遊技開始処理(S200)を図8のフローチャートに基づいて説明する。まず、主制御部200に接続されているRAMクリアスイッチ以外のすべてのスイッチを読み込み(S201)、各々のスイッチ状態を判定して検出情報を保存する(S202)。
【0099】
次に、当否判定用乱数、図柄表示用乱数等の各種乱数の更新を行う(S203)。具体的には、上述のRAMに設定された乱数カウンタの値を、初期値(例えば0)から所定値(例えば255)の間で1ずつ加算する。乱数カウンタの値が所定値を超える場合には初期値に戻る。
【0100】
次に、入賞があったか否かを判定する(S204)。S204の判定処理は、図6を用いて説明した各入球検知スイッチ28s,28t,33s,34s〜37sにより各入賞口28a,28b,33a,34〜37への遊技球入球が検知されたか否かを判定する。この結果、入賞があったと判定された場合には(S204:YES)、入賞検知情報をRAMに保存する(S205)。一方、入賞がなかったと判定された場合には(S204:NO)、そのままS206の処理に移行する。
【0101】
次に、RAMに保存した賞球検知情報があるか否かを判定する(S206)。この結果、賞球検知情報がないと判定された場合には(S206:NO)、遊技開始処理を終了する。一方、賞球検知情報があると判定された場合には(S206:YES)、賞球数を指定する賞球数指定コマンド(賞球払出要求信号)を払出制御部230に送信する(S207)。
【0102】
次に、賞球検知情報が大入賞口33aへの入賞によるものであるか否かを判定する(S208)。この結果、大入賞口33aへの入賞でないと判定された場合には(S208:NO)、遊技開始処理を終了する。一方、大入賞口33aへの入賞であると判定された場合には(S208:YES)、大入賞口33aへの入賞に基づいて賞球が払い出されることを示す賞球払出予定信号をホールコンピュータに対して外部出力する(S209)。これにより、ホールコンピュータは、これから払い出される賞球が大入賞口33aへの入賞に基づくものであることを把握することができる。この結果、大当り遊技中の大入賞口33aへの遊技球入球に基づく賞球の払い出しが、大当り遊技終了後に低速で行われたとしても、ホールコンピュータはこれらの賞球をベース(大当り遊技以外の遊技での入賞に基づき払い出される賞球数)として扱うことなく、大入賞口33aへの入賞に基づく賞球であることを正確に把握できる。
【0103】
図7に戻り、普通図柄遊技処理(S300)では、まず、普通図柄の当否判定を行って、普通図柄表示部51(図2参照)にて普通図柄を当り普通図柄の表示態様で停止表示させるか、外れ普通図柄の表示態様で停止表示させるかを決定する。ここで、本実施例における普通図柄の当否判定は、第2始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の作動状態に応じて、当りとなる確率が異なっており、開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の作動時の方が、開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の非作動時に比べ当りとなる確率が高くなっている。
【0104】
次に、普通図柄の当否判定の結果が得られたら、普通図柄の変動表示時間を設定し、その変動表示時間に従って普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、普通図柄当否判定の結果に応じた表示態様で普通図柄を停止表示させ、普通図柄が当り普通図柄の表示態様で停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる(第2始動口28bを開放状態とする)。普通図柄遊技処理では、以上のようにして、普通図柄の変動表示および停止表示を行い、普通図柄が当り普通図柄の表示態様で停止表示された場合には、第2始動口28bを作動させる処理を行う。第2始動口28bが作動すると、一対の翼片部が左右に開動作して、第2始動口28bが開放状態となる。
【0105】
普通電動役物遊技処理(S400)では、第2始動口28bを開放状態に維持する開放時間が経過したか否かを判定し、開放時間が経過していない場合には、第2始動口28bに規定入賞数の入賞があったか否かを判定する。開放状態にある第2始動口28bに規定入賞数の入賞があったと判定されるか、開放状態にある第2始動口28bの開放時間が経過していると判定された場合には、一対の翼片部が閉動作して、第2始動口28bは通常状態(閉鎖状態)となる。
【0106】
次に、特別図柄遊技処理(S500)を図9、図10のフローチャートに基づいて説明する。まず、図9(a)に示すように、始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)に入賞(遊技球が入球)したか否かを判定し(S501)、始動口28に入賞していないと判定された場合には(S501:NO)。S504の処理に移行する。一方、始動口28に入賞したと判定された場合には(S501:YES)、特別図柄保留数が4未満であるか否かを判定する(S502)。この結果、特別図柄保留数が4未満でない(4以上である)と判定された場合には(S502:NO)、S504の処理に移行し、特別図柄保留数が4未満であると判定された場合には(S502:YES)、特別図柄用乱数を取得してRAMの所定領域に記憶する(S503)。これにより、特別図柄保留数が1増加する。なお、特別図柄用乱数は、特別図柄当否判定用乱数、図柄決定用乱数、リーチ乱数などからなる。
【0107】
次に、大当り遊技中であるか否か(大当り遊技フラグがONであるか否か)を判定する(S504)。この結果、当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S504:YES)、特別図柄遊技処理を終了し、大当り遊技中でない(大当り遊技フラグがOFFである)と判定された場合には(S504:NO)、特別図柄が変動中であるか否かを判定する(S505)。
【0108】
この結果、特別図柄が変動中であると判定された場合には(S505:YES)、後述のS509の処理に移行し、特別図柄が変動中でないと判定された場合には(S505:NO)、特別図柄の停止表示時間中であるか否かを判定する(S506)。ここで、特別図柄の停止表示時間とは、停止表示された特別図柄を確定させる時間のことであり、本実施例では、特別図柄の停止表示時間を「1秒」としている。そして、特別図柄の停止表示時間中であると判定された場合には(S506:YES)、後述のS513の処理に移行し、特別図柄の停止表示時間中でないと判定された場合には(S506:NO)、特別図柄保留数がゼロであるか否かを判定する(S507)。
【0109】
この結果、特別図柄保留数がゼロであると判定された場合には(S507:YES)、特別図柄遊技処理を終了する。一方、特別図柄保留数がゼロでないと判定された場合には(S507:NO)、特別図柄変動表示関連処理を行う(S508)。
【0110】
ここで、特別図柄変動表示関連処理(S508)を図10のフローチャートに基づいて説明する。まず、主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数(始動口28への遊技球入球時に取得された当否判定用乱数)を読み出し(S508a)、特別図柄当否判定を行う(S508b)。
【0111】
次に、S508bで行った特別図柄当否判定の結果が大当りであるか否かを判定する(S508c)。この結果、特別図柄当否判定の結果が大当りであると判定された場合には(S508c:YES)、大当り時変動パターンテーブル振分処理によって特別図柄の変動パターンテーブルを設定する(S508d)。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りでない(外れである)と判定された場合には(S508c:NO)、外れ時変動パターンテーブル振分処理によって特別図柄の変動パターンテーブルを設定する(S508g)。
【0112】
次に、変動パターン決定乱数を取得するとともに、主制御部200のRAMの所定領域に記憶されている図柄決定用乱数(第1始動口28aまたは第2始動口28bへの遊技球入球時に取得された特別図柄決定用乱数)を読み出す(S508h)。
【0113】
次に、特別図柄の変動パターンと停止図柄を決定する(S508i)。特別図柄の変動パターンは、S508hで取得した特別図柄変動パターン決定用乱数を用いて、S508d、S508gの何れかの処理でセットした変動パターンテーブルから特定の変動パターンを選択する。また、特別図柄の停止図柄は、S508hで読み出した図柄決定用乱数を用いて、特別図柄の停止図柄の種類(特別図柄表示部61におけるLEDの表示パターン)を決定する。
【0114】
次に、S508iで決定された停止図柄および変動パターンに従って、特別図柄表示部61で特別図柄の変動表示を開始し(S508j)、これに付随して、図柄変動開始時コマンドとしての特別図柄の変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部260に送信する(S508k)。変動パターン指定コマンドは、S508iで設定された特別図柄の変動パターンを指定するコマンドであり、特別図柄情報指定コマンドは、特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。この変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部260に送信すると、これらコマンド(図柄変動開始時コマンド)を受信したサブ制御部260および演出表示制御部280の制御下で図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が開始される。そして、特別図柄保留数を1減算する(S508l)。以上までが、特別図柄の変動表示を開始する際の処理である。
【0115】
次に、図9(a)に戻り、上記S505で特別図柄が変動中であると判定された場合には(S505:YES)、変動中の特別図柄の変動表示時間が経過しているか否かを判定する(S509)。この結果、特別図柄の変動表示時間が経過していないと判定された場合には(S509:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の変動表示時間が経過していると判定された場合には(S509:YES)、特別図柄の変動表示を停止し(S510)、特別図柄の変動表示が停止したことを示す図柄停止コマンドをサブ制御部260に送信し(S511)、特別図柄の停止表示時間を設定する(S512)。
【0116】
次に、特別図柄の停止図柄表示時間が経過したか否かを判定する(S513)。この結果、特別図柄の停止図柄表示時間が経過していないと判定された場合には(S513:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の停止図柄表示時間が経過していると判定された場合には(S513:YES)、特別図柄表示部61に停止表示された特別図柄の停止図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(図9(b)のS514)。
【0117】
この結果、特別図柄の停止図柄が大当り図柄であると判定された場合には(S514:YES)、大入賞口33aの開放パターンをセットして(S515)、大当り遊技フラグをONにセットする(S516)。これにより、S515の処理でセットされた大入賞口開放パターンに従って大当り遊技が開始される。そして、大当り遊技が開始されることを示す大当り遊技開始指定コマンドを払出制御部230およびサブ制御部260に送信する(S517)。払出制御部230は、大当り遊技開始指定コマンドを受信すると、大当り遊技が開始されて遊技状態が大当り遊技中となったことを認識する。また、サブ制御部260は、大当り遊技開始指定コマンドを受信すると、演出表示装置25等を用いて大当り遊技開始演出(ファンファーレ演出)を実行する。
【0118】
次に、確変フラグがONであるか否かを判定し(S518)、確変フラグがONであると判定された場合は(S518:YES)、確変フラグをOFFにセットし(S519)、S520の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定された場合には(S518:NO)、そのままS520の処理に移行する。
【0119】
S520の処理では、変動短縮フラグがONであるか否かを判定し、変動短縮フラグがONでないと判定された場合には(S520:NO)、そのまま特別図柄遊技処理を終了する。一方、変動短縮フラグがONであると判定された場合には(S520:YES)、変動短縮フラグをOFFにセットし(S521)、さらに開放延長フラグをOFFにセットする(S522)。これにより、大当り遊技の開始に伴い、確率変動機能、変動時間短縮機能、開放時間延長機能が作動を停止する。
【0120】
次に、上記S514の判定処理で、特別図柄表示部61に停止表示された特別図柄の停止図柄が大当り図柄でない(換言すると、外れ図柄である)と判定された場合には(S514:NO)、変動短縮フラグがONであるか否かを判定する(S523)。この結果、変動短縮フラグがONでないと判定された場合は(S523:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、変動短縮フラグがONであると判定された場合は(S523:YES)、変動短縮カウンタを1減算し(S524)、変動短縮カウンタがゼロになったか否かを判定する(S525)。変動短縮カウンタは、変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間をカウントするためのものであり、大当り遊技の終了後に大当りの種類に応じて後述のS617の処理(図11参照)でセットされる。
【0121】
そして、変動短縮カウンタがゼロではないと判定された場合には(S525:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、変動短縮カウンタがゼロであると判定された場合には(S525:YES)、変動短縮フラグをOFFにし(S526)、開放延長フラグをOFFにする(S527)。これにより、変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動停止する。そして、開放時間延長機能の作動が終了したことを示す遊技状態指定コマンドを払出制御部230およびサブ制御部260に送信する(S528)。払出制御部230は、S528の処理で送信される遊技状態指定コマンドを受信すると、遊技状態が開放延長遊技(電サポ状態)から通常遊技(非電サポ状態)に移行したことを認識する。また、サブ制御部260は、S528の処理で送信される遊技状態指定コマンドを受信すると、通常遊技に対応した遊技演出(背景表示、音声出力、ランプ発光など)を実行する。
【0122】
次に、大当り遊技処理(S600)について図11のフローチャートに基づいて説明する。まず、大当り遊技中であるか否か(大当り遊技フラグがONであるか否か)を判定する(S601)。この結果、大当り遊技中でない(大当り遊技フラグがOFFである)と判定された場合には(S601:NO)、大当り遊技処理を終了し、大当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S601:YES)、大入賞口33aが開放中であるか否かを判定する(S602)。この結果、大入賞口33aが開放中であると判定された場合には(S602:YES)、大入賞口33aの開放時間が経過したか否か、換言すると、開放時間が規定開放時間(本実施例では30秒)に達したか否かを判定し(S603)、大入賞口33aの開放時間が経過していないと判定された場合には(S603:NO)、大入賞口33aに規定入賞数の入賞があったか否か(規定数の遊技球が入球したか否か)を判定する(S604)。本実施例では、大入賞口33aに規定入賞数として10個の遊技球が入球したか否かを判定する。
【0123】
S604の処理の結果、大入賞口33aに規定入賞数が入賞していないと判定された場合には(S604:NO)、大当り遊技処理を終了し、大入賞口33aに規定入賞数が入賞していると判定された場合(S604:YES)または大入賞口33aの開放時間が経過している(規定時間に達している)と判定された場合には(S603:YES)、大入賞口33aを閉鎖する(S605)。
【0124】
また、上記S602で、大入賞口33aが開放中でないと判定された場合には(S602:NO)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判定する(S606)。S606の判定処理は、大当り遊技のラウンド数が16ラウンドに達したか否かを判定する。
【0125】
この結果、大当り遊技終了条件が成立していないと判定された場合には(S606:NO)、大入賞口33aの閉鎖時間(インターバル時間)が経過しているか否かを判定し(S607)、大入賞口33aの閉鎖時間が経過していないと判定された場合には(S607:NO)、大当り遊技処理を終了し、大入賞口33aの閉鎖時間が経過していると判定された場合には(S607:YES)、大入賞口33aを開放させる(S608)。
【0126】
上記S606で、大当り遊技終了条件が成立していると判定された場合には(S606:YES)、大当り遊技フラグをOFFにセットする(S609)。これにより、大当り遊技が終了する。そして、大当り遊技が終了することを示す大当り遊技終了指定コマンドを払出制御部230およびサブ制御部260に送信する(S610)。払出制御部230は、大当り遊技終了指定コマンドを受信すると、大当り遊技が終了したことを認識する。また、サブ制御部260は、大当り遊技終了指定コマンドを受信すると、演出表示装置25等を用いて大当り遊技終了演出(エンディング演出)を実行する。
【0127】
次に、終了した大当り遊技を開始させる起因となった大当り図柄の種類が確変大当り図柄であるか否かを判定する(S611)。
【0128】
この結果、大当り図柄の種類が「確変大当り図柄」であると判定された場合には(S611:YES)、確変フラグをONにセットする(S612)。これにより、確率変動機能が作動開始する。一方、大当り図柄の種類が「確変大当り図柄」でない(「通常大当り図柄」である)と判定された場合には(S611:NO)、確変フラグをONにセットする(S612)を行うことなく、S613の処理に移行する。そして、変動短縮フラグをONにセットし(S613)、開放延長フラグをONにセットし(S614)、開放延長回数カウンタに変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間を定めるための値(初期値)をセットする(S615)。これにより、変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動開始する。なお、本実施例では、終了した大当り遊技の開始契機となった大当り図柄の種類が確変大当り図柄である場合(S611:YES)には、開放延長回数カウンタに「10,000」をセットし、通常大当り図柄である場合(S611:NO)には、開放延長回数カウンタに「100」をセットすることとしている。これにより、確変大当り図柄の停止表示を契機とする大当り遊技の終了後は、確率変動機能が作動するとともに、特別図柄の変動回数が「10,000回」に到達するまで変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動する。つまり、確率変動機能、変動時間短縮機能および開放時間延長機能のすべてが、次回の大当り遊技が開始されるまで作動する。また、通常大当り図柄の停止表示を契機とする大当り遊技の終了後は、確率変動機能が作動することなく、変動時間短縮機能および開放時間延長機能が、特別図柄の変動回数が「100回」に到達するまで作動する。
【0129】
そして、確変フラグ、変動短縮フラグおよび開放延長フラグの設定状況に応じた遊技状態指定コマンドを払出制御部230に送信する(S616)。このS616の処理で送信される遊技状態指定コマンドは、大当り遊技終了後の遊技状態を示すもので、本実施例では、確率変動機能、変動時間短縮機能および開放時間延長機能のすべてが作動する「確変遊技」を指定するコマンドと、確率変動機能は作動せず変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動する「時短遊技」を指定するコマンドと、の何れかが送信される。つまり、S616の処理で送信される遊技状態指定コマンドは、何れも開放延長遊技(電サポ状態)が開始されたことを示すコマンドとなる。よって、払出制御部230は、S616の処理で送信される遊技状態指定コマンドを受信すると、遊技状態が大当り遊技から開放延長遊技(電サポ状態)に移行し、開放延長遊技中であることを認識する。また、サブ制御部260は、S616の処理で送信される遊技状態指定コマンドを受信すると、確変遊技もしくは時短遊技(いずれも開放延長遊技)に応じた遊技演出(背景表示、音声出力、ランプ発光など)を実行する。
【0130】
次に、払出制御部230が実行する賞球払出処理を図12に基づいて説明する。図12は、払出制御部230の制御下で行われる賞球払出処理の一例であり、図示しないメインルーチンのサブルーチンとして実行される。図12に示す賞球払出処理は、払出制御基板230aに実装されたCPU230bが、図示しないROM(CPU230bの内蔵ROMまたは払出制御基板230aに実装されるROM)に格納されたプログラムに従って実行する。
【0131】
まず、賞球払出要求があるか否か(払出要求数>0であるか否か)を判定する(S700)。S700の判定処理では、S207の処理(図8)で主制御部200から送信される賞球数指定コマンドを受信し、かつ、賞球数指定コマンドで指定された賞球数の払い出しが終了していない場合に、賞球払出要求がある(払出要求数が「0」を上回っている)と判定される。
【0132】
この結果、賞球払出要求がない(払出要求数=0である)と判定された場合には(S700:NO)、賞球払出処理を終了する。一方、賞球払出要求がある(払出要求数>0である)と判定された場合には(S700:YES)、現在の遊技状態が大当り遊技中であるか否かを判定する(S701)。S701の判定処理では、S517の処理(図9(b))で主制御部200が送信する大当り遊技開始指定コマンドを受信し、かつ、S610の処理(図11)で主制御部200が送信する大当り遊技終了指定コマンドを受信していない場合に、大当り遊技中であると判定される。
【0133】
この結果、大当り遊技中であると判定された場合には(S701:YES)、後述のS706の処理で計数された大当り遊技中の賞球払出数が「1500」未満であるか否かを判定する(S702)。大当り遊技中の賞球払出数は、後述のS706の処理で計数される。この結果、賞球払出数が「1500」未満であると判定された場合には(S702:YES)、遊技球払出装置300による遊技球の払出速度を通常速度(900個/分)に設定する(S703)。一方、賞球払出数が「1500」に達したと判定された場合には(S702:NO)、遊技球払出装置300による遊技球の払出速度を特殊速度(60個/分)に設定する(S704)。
【0134】
次に、S703またはS704の処理で設定された払出速度で払出モータ304を駆動して、遊技球払出装置300による賞球払出を実行する(S705)。そして、払出センサ303による遊技球の検出信号に基づいて、大当り遊技中の大入賞口33aへの遊技球入球に応じて払い出された賞球の数(賞球払出数)を計数する(S706)。賞球払出数の計数値は、「大当り遊技開始時」、「大当り遊技終了時」、「大当り遊技中の大入賞口33aへの遊技球入球に基づく賞球払出の完了時」等にリセットされる。
【0135】
上記S701の判定処理で、大当り遊技中でないと判定された場合には(S701:NO)、開放時間延長機能が作動している開放延長遊技中であるか否かを判定する(S707)。開放延長遊技中であるか否かの判定は、S528の処理(図9(b))やS616の処理(図11)で主制御部200が送信する遊技状態指定コマンドに基づいて行うことができる。
【0136】
この結果、開放延長遊技中であると判定された場合には(S707:YES)、遊技球払出装置300による遊技球の払出速度を特殊速度(60個/分)に設定する(S708)。これにより、大当り遊技終了後の開放延長遊技中においても、遊技球が特殊速度(60個/分)で払い出される。一方、開放延長遊技中ではないと判定された場合には(S707:NO)、遊技球払出装置300による遊技球の払出速度を通常速度(900個/分)に設定する(S709)。これにより、開放延長遊技の終了後(通常遊技への移行後)は、遊技球が通常速度(900個/分)で払い出される。そして、S708またはS709の処理で設定された払出速度で払出モータ304を駆動して、遊技球払出装置300による賞球払出を実行する(S710)。
【0137】
ここで、図9〜図12のフローチャートに示した処理と本発明の各手段との対応関係について説明しておくと、「S516の処理(図9(a))、S601〜S608(図11)」が「大当り遊技実行手段」に対応し、「S614の処理(図11)」が「開放延長遊技実行手段」に対応し、「S702の処理(図12)」が「判定手段」に対応し、「S700〜S710の処理(図12)」が「払出制御手段」に対応している。
【0138】
以上説明した本実施例では、大当り遊技中の賞球払出数が所定個数(1500個)に達するまでは、通常速度(900個/分)で賞球の払い出しを行い、大当り遊技中の賞球払出数が所定個数に達した後は、低速の特殊速度(60個/分)で賞球の払い出しを行うように構成されている。これにより、大当り遊技中における大入賞口33aへの遊技球入球による賞球の払い出しが、大当り遊技の終了後においても確実に行われるという異質な遊技性を実現することができる。この結果、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過し難かったり、第2始動口28bへの遊技球の寄りが悪かったりすること等が原因で、開放延長遊技中(電サポ状態)であるにもかかわらず第2始動口28bへの遊技球の入球効率が悪いとしても、大当り遊技を契機とする賞球の払い出しが開放延長遊技中にも継続して行われるので、開放延長遊技中に「球減り」が発生しているとの印象を遊技者に与え難くすることができる。
【0139】
また、本実施例では、大当り遊技終了後の開放延長遊技中においても、低速の特殊速度による遊技球の払出速度が継続して行われる。このため、開放延長遊技中に第2始動口28bを含む始動口28や、左入賞口34,35および右入賞口36,37への遊技球入球に対する賞球も特殊速度で払い出されることとなる。これにより、大当り遊技中における大入賞口33aへの遊技球入球による賞球の払い出しが終了した後も、開放延長遊技中に発生した賞球の払い出しが低速で行われるので、開放延長遊技中に「球減り」が発生しているとの印象を遊技者に与え難くすることができる。
【0140】
また、本実施例では、開放延長遊技中に大当り遊技が開始された場合には、賞球の払い出しを通常速度で行うように構成されている。そして、大当り遊技中の賞球払出数が所定個数に達した後は、低速の特殊速度で賞球の払い出しを行う。これにより、開放延長遊技中に大当り遊技が開始された場合には、大当り遊技の開始時から当面の間は迅速な賞球の払い出しを行うことができる。
【0141】
また、本実施例では、開放延長遊技中に大当り遊技が開始されることなく、開放延長遊技が終了して通常遊技に移行した場合(開放時間延長機能が作動終了した場合)には、その移行後における賞球の払い出しを通常速度で行うように構成されている。これにより、開放延長遊技中には、「球減り」の印象を遊技者に与え難くしつつ、開放延長遊技の終了後には迅速な賞球の払い出しを行うことができる。
【0142】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例を図13に基づいて説明する。以下、上記第1実施例と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0143】
本第2実施例の遊技球払出装置300は、払出速度を「第1払出速度」と、第1払出速度より低速の「第2払出速度」の2段階に切り替えることができるようになっている。大当り遊技の実行中は、第1払出速度で遊技球の払い出しが行われ、大当り遊技の非実行中(開放延長遊技中または通常遊技中)は、第2払出速度で遊技球の払い出しが行われる。
【0144】
第1払出速度は、1回の大当り遊技で払い出される賞球数(2400個)の払出完了時期が必ず「大当り遊技終了後(エンディング演出終了後)」となる払出速度として設定される。つまり、第1払出速度は、大当り遊技終了時点において、大当り遊技による賞球の未払い分が確実に発生するように設定すればよく、大当り遊技中に発生した賞球の払い出しが大当り遊技の終了後にも確実に行われるように設定する。
【0145】
大当り遊技中に発生した賞球のうち大当り遊技終了後に払い出される賞球数は、1回の大当り遊技で払い出される賞球数に対する所定割合以上の賞球、換言すれば、大当り遊技の最高継続ラウンド数(例えば16ラウンド)における所定ラウンド分(例えば5ラウンド分)以上で獲得可能な賞球とすることができる。例えば、1回の大当り遊技で払い出される賞球数が「2400個」(=規定数10個×賞球数15個×16ラウンド)とした場合には、5ラウンド分の賞球として「900個」の賞球が大当り遊技終了後に払い出されるようすればよい。
【0146】
具体的には、本実施例では、第1払出速度を「1分当り500〜800個(1秒間で8〜13個)」に設定し、第2払出速度を「1分当り60個(1秒間で1個)」に設定している。
【0147】
図13は、本第2実施例の賞球払出処理のフローチャートであり、上記第1実施例の図12に対応している。
【0148】
まず、賞球払出要求があるか否かを判定する(S700)。S700の判定処理では、S207の処理(図8)で主制御部200から送信される賞球数指定コマンドを受信し、かつ、賞球数指定コマンドで指定された賞球数の払い出しが終了していない場合に、賞球払出要求があると判定される。
【0149】
この結果、賞球払出要求がないと判定された場合には(S700:NO)、賞球払出処理を終了する。一方、賞球払出要求があると判定された場合には(S700:YES)、現在の遊技状態が大当り遊技中であるか否かを判定する(S701)。S701の判定処理では、S517の処理(図9(b))で主制御部200が送信する大当り遊技開始指定コマンドを受信し、かつ、S610の処理(図11)で主制御部200が送信する大当り遊技終了指定コマンドを受信していない場合に、大当り遊技中であると判定される。
【0150】
この結果、大当り遊技中であると判定された場合には(S701:YES)、遊技球払出装置300による遊技球の払出速度を「第1払出速度(500〜800個/分)」に設定する(S703A)。一方、大当り遊技中でないと判定された場合には(S701:NO)、遊技球払出装置300による遊技球の払出速度を「第2払出速度(60個/分)」に設定する(S704A)。そして、S703AまたはS704Aの処理で設定された払出速度で払出モータ304を駆動して、遊技球払出装置300による賞球払出を実行する(S705)。
【0151】
以上説明した本実施例では、大当り遊技中の賞球払出速度を「第1払出速度(500〜800個/分)」とし、大当り遊技が終了した後の開放延長遊技中の賞球払出速度を低速の「第2払出速度(60個/分)」としているので、大当り遊技中に発生した賞球の払い出しが大当り遊技終了後にも継続して行われ、しかも大当り遊技終了後の払い出しは低速で行われる。これにより、大当り遊技中における大入賞口33aへの遊技球入球による賞球の払い出しが、大当り遊技終了後の開放延長遊技においても確実に行われるという異質な遊技性を実現することができる。この結果、遊技球が普通図柄作動ゲート27を遊技球が通過し難かったり、第2始動口28bへの遊技球の寄りが悪かったりすること等が原因で、開放延長遊技中(電サポ状態)であるにもかかわらず第2始動口28bへの遊技球の入球効率が悪いとしても、大当り遊技中に発生した賞球の払い出しが大当り遊技終了後にもしばらくの間継続して行われるので、開放延長遊技中に「球減り」が発生しているとの印象を遊技者に与え難くすることができる。
【0152】
また、本実施例では、大当り遊技が終了した後、開放時間延長機能の作動状態に関わらず、第2払出速度で賞球の払い出しを行うように構成されている。このため、開放延長遊技中のみならず、通常遊技中にも第2払出速度で賞球払い出しが行われるので、開放延長遊技から通常遊技に移行しても遊技球払出装置300による賞球払出速度を変更する必要がない。これにより、大当り遊技中は「第1払出速度」で賞球の払い出しを行い、大当り遊技の非実行中(開放延長遊技または通常遊技)は「第2払出速度」で賞球の払い出しを行うという簡便な制御で、開放延長遊技中に「球減り」が発生しているとの印象を遊技者に与え難くする構成を実現できる。
【0153】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0154】
例えば、上記各実施例では、払出制御部230によって払出制御処理を行うように構成したが、主制御部200と払出制御部230とが協働して払出制御処理を行うように構成してもよい。この場合、上記第1実施例の賞球払出処理(図12参照)であれば、払出制御部230で計数した賞球払出数を主制御部200に送信するとともに、主制御部200が賞球払出数や開放時間延長機能の作動状態に基づいて遊技球払出装置300による払出速度を決定し、その決定した払出速度の設定を指示するコマンドを主制御部200から払出制御部230に送信することで、遊技球払出装置300による払出速度を設定することができる。その上で、主制御部200から払出制御部230に賞球払出を指示するコマンド(賞球数指定コマンド)を送信すればよい。また、上記第2実施例の賞球払出処理(図13参照)であれば、主制御部200が大当り遊技中であるか否かに基づいて遊技球払出装置300による払出速度を決定し、その決定した払出速度の設定を指示するコマンドを主制御部200から払出制御部230に送信することで、遊技球払出装置300による払出速度を設定することができる。その上で、主制御部200から払出制御部230に賞球払出を指示するコマンド(賞球数指定コマンド)を送信すればよい。
【0155】
また、上記各実施例では、大当り遊技終了後に100%の確率で開放時間延長機能が作動する遊技機に本発明を適用した例について説明したが、これに限らず、大当り遊技終了後に開放時間延長機能が作動しない「開放延長なし大当り遊技」が設けられた遊技機にも本発明は適用可能である。
【0156】
例えば、上記第1実施例の構成であれば、「開放延長なし大当り遊技」の実行中は、図12の賞球払出処理(S700)を実行せず、大当り遊技中および大当り遊技終了後の通常遊技では、遊技球払出装置300による払出速度として通常速度を維持すればよい。これにより、「開放延長なし大当り遊技」の実行中に発生する賞球の払い出しを迅速に行うことができ、「開放延長なし大当り遊技」の実行中に発生した賞球の払い出しが、その大当り遊技終了後の「非電サポ状態」において無駄に継続して行われないようにすることができる。
【0157】
さらに、上記第2実施例の構成であれば、「開放延長なし大当り遊技」の実行中は、図13の賞球払出処理(S700)を実行せず、「開放延長なし大当り遊技」で発生した賞球の払い出しを、「第1払出速度(例えば500〜800個/分)」より高速の「第3払出速度(例えば900個/分)」で行うようにすることができる。これにより、「開放延長なし大当り遊技」の実行中に発生した賞球の払い出しを迅速に行うことができ、「開放延長なし大当り遊技」の実行中に発生した賞球の払い出しが、その大当り遊技終了後の「非電サポ状態」において無駄に継続して行われないようにすることができる。
【0158】
なお、「開放延長なし大当り遊技」の実行に伴い賞球払出速度を「第3払出速度(例えば900個/分)」に設定した場合には、「開放延長なし大当り遊技」の終了に伴い、賞球払出速度を「第3払出速度」から他の払出速度(「第1払出速度」または「第2払出速度」)に変更すればよい。
【0159】
あるいは、始動口28への遊技球の入球よる賞球数は少数(3〜4個)であり、通常遊技中における始動口28への遊技球の入球頻度は開放延長遊技中よりも低いので、「開放延長なし大当り遊技」の終了に伴って賞球払出速度を変更しても、その変更による遊技上の影響は殆どない。そこで、「開放延長なし大当り遊技」の実行に伴い賞球払出速度を「第3払出速度(例えば900個/分)」に設定した場合には、その払出速度を「開放延長なし大当り遊技」の終了後も維持するようにしてもよい。そして、次に「開放延長あり大当り遊技」が開始された場合に、賞球払出速度を「第3払出速度」から「第1払出速度」に変更すればよい。
【符号の説明】
【0160】
1…遊技機、20…遊技盤、27…普通図柄作動ゲート(通過ゲート)、28b…第2始動口(可変始動口)、33a…大入賞口、200…主制御部(大当り遊技実行手段、開放延長遊技実行手段)、230…払出制御部(判定手段、払出制御手段)、300…遊技球払出装置(払出装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が通過可能な通過ゲートと、
遊技球が前記通過ゲートを通過することを契機に遊技球の入球可能性が高まる開放状態となり得る可変始動口と、
前記可変始動口への遊技球の入球に基づき大当り抽選を行う抽選手段と、
遊技球の入球が可能な状態と不能な状態とに変化可能であって、通常時は遊技球の入球が不能とされる大入賞口と、
少なくとも前記可変始動口に遊技球が入球した場合および前記大入賞口に遊技球が入球した場合に賞球を払い出す払出装置と、
前記大当り抽選に当選すると、前記大入賞口への遊技球の入球が可能となる大当り遊技を所定の大当り実行期間が経過するまで行う大当り遊技実行手段と、
前記大当り遊技の終了後、前記可変始動口が前記開放状態とされる開放時間を延長する開放延長遊技を、所定の開放延長実行期間が経過するまで行う開放延長遊技実行手段と、
を備えた遊技機であって、
前記大当り遊技の進行状況が、前記大当り実行期間の経過前の特定段階に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記特定段階に達したと判定するまでは、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを通常速度で行い、前記判定手段が前記特定段階に達したと判定した後は、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記通常速度よりも遅い特殊速度で行うように、前記払出装置を制御する払出制御手段と、を備え、
前記払出制御手段は、前記大当り遊技が終了した後の前記開放延長遊技においても、当該大当り遊技中における前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記特殊速度で行うように、前記払出装置を制御する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記払出制御手段は、前記開放延長遊技中における前記可変始動口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記特殊速度で行うように、前記払出装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記開放延長遊技中に前記大当り抽選に当選して前記大当り遊技が開始されると、前記払出制御手段は、前記判定手段が前記特定段階に達したと判定するまで、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記通常速度で行うとともに、前記判定手段が前記特定段階に達したと判定した後、前記大入賞口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記特殊速度で行うように、前記払出装置を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記開放延長遊技中に前記大当り抽選に当選することなく、前記開放延長実行期間の経過により前記開放延長遊技が終了すると、前記払出制御手段は、前記開放延長遊技の終了後における前記可変始動口への遊技球の入球に基づく賞球の払い出しを前記通常速度で行うように、前記払出装置を制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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