説明

遊星歯車の回転軸支持構造

【課題】遊星歯車機構における遊星歯車配置数の増加容易な遊星歯車の回転軸支持構造を提供する。
【解決手段】遊星歯車は、玉1(1)と玉2(2)と玉1(1)を転がり運動させるような球面状の凹み(3)と玉2(2)を転がり運動させるような球面状の凹み(4)が回転中心両端に形成された歯車(5)を備えており、保持器は、複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉1(1)を転がり運動させるような貫通孔があいている保持器部材1(6)と複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉2(2)を転がり運動させるような貫通孔があいている保持器部材2(7)が結合されており、複数の遊星歯車を一つの保持器で支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星歯車機構における遊星歯車配置数の増加容易な遊星歯車の回転軸支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パワーエレクトロニクスの目覚しい高度化により、モータを利用した製品自体や製品上の仕様箇所が業種を問わず多く見受けられるようなり、モータに対し、より小型で高出力であることを要求する需要が増えている。
【0003】
減速機の小型化の実現方法の一つに、古くから遊星歯車機構を利用した減速機が用いられている。
【0004】
遊星歯車機構を利用した減速機が用いられている理由として、少ない段数で大きな減速比が得られること、複数の遊星歯車で負荷の分散ができるので磨耗や歯車の欠けが少なく大きなトルクが伝達できること、入力軸と出力軸を同軸上に配置できることなどが上げられる。
【0005】
しかし、より小型化を目指し遊星歯車機構を利用した減速機を設計する場合、遊星歯車機構の構造上、太陽歯車と内歯車の間に配置される遊星歯車の径がより小さくなる。
【0006】
遊星歯車の径がより小さくなることにより、遊星歯車の回転軸が細くなり、回転軸の強度を確保するため、遊星歯車の小径化が難しく、小径の遊星歯車機構を利用した減速機における遊星歯車配置数を安易に増加できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遊星歯車機構における遊星歯車配置数の増加容易な遊星歯車の回転軸支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、遊星歯車は、玉1と玉2と玉1を転がり運動させるような球面状の凹みと玉2を転がり運動させるような球面状の凹みが回転中心両端に形成された歯車を備えており、保持器は、複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉1を転がり運動させるような貫通孔があいている円環状の保持器部材1と複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉2を転がり運動させるような貫通孔があいている円環状の保持器部材2が結合されており、複数の遊星歯車を一つの保持器で保持するように構成されていることを特徴とする遊星歯車の回転軸支持構造とする。
【0009】
保持器部材1の貫通孔の形状を保持器1外面側が狭くなる形状とし、遊星歯車の玉1が保持器1より突出しかつ、抜け落ちなくした。
【0010】
保持器部材2の貫通孔の形状を保持器2外面側が狭くなる形状とし、遊星歯車の玉2が保持器2より突出しかつ、抜け落ちなくした。
【0011】
保持器部材1と保持器部材2の中心は同心でありかつ、保持器部材1と保持器部材2のそれぞれ対向する貫通孔同士の中心が同心とした。
【0012】
遊星歯車の歯車が、保持器外径側からはみ出しかつ、保持器内径側からはみ出している。
【0013】
上述構成によれば、遊星歯車は、保持器円環に沿って同一円周状でかつ適正間隔に配置されかつ、歯車両端の玉で自転も公転もできる転動自在に保持できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、遊星歯車機構における遊星歯車の回転軸に円柱状の回転軸の代わりに玉を採用することで、遊星歯車が転動自在な点接触になり、遊星歯車自身に回転軸の剛性を持たせることができるため、遊星歯車の回転軸支持部が小さくなり、遊星歯車遊星歯車配置数の増加容易な遊星歯車の回転軸支持構造が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例を説明する遊星歯車の回転軸支持構造の分解図
【図2】本発明の実施例を説明する遊星歯車の回転軸支持構造の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図1、2を参照しながら説明する。
【0017】
遊星歯車は、玉1(1)と玉2(2)と玉1(1)を転がり運動させるような球面状の凹み(3)と玉2(2)を転がり運動させるような球面状の凹み(4)が回転中心両端に形成された歯車(5)を備えており、保持器は、複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉1(1)を転がり運動させるような貫通孔があいている保持器部材1(6)と複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉2(2)を転がり運動させるような貫通孔があいている保持器部材2(7)が結合されており、複数の遊星歯車を一つの保持器で保持するように構成されている。
【0018】
遊星歯車の回転軸を保持する箇所を点接触とし、の断面図である図2で示している。
【0019】
保持器部材1(6)の貫通孔の形状を保持器外面側が狭くなる形状とし、遊星歯車の玉1(1)が保持器より突出しかつ、抜け落ちなくし、また、保持器部材2(7)の貫通孔の形状を保持器外面側が狭くなる形状とし、遊星歯車の玉2(2)が保持器2より突出しかつ、抜け落ちなくしたことにより、図2で示す遊星歯車12個配置した実施例の遊星歯車の回転軸支持構造において、保持器の両側面より玉1(1)と玉2(2)がそれぞれ転動体として突出している形態となる。
【0020】
したがって、保持器の両側面より突出した転動体により、保持器の両側面より突出した転動体の接する箇所が、玉の直径の半分よりわずかに大きい半径の円弧をなしている軌道溝の場合、軌道溝を軌道として遊星歯車を自転可能としながら、かつ、遊星歯車の回転軸支持構造全体が公転することを可能とする。
【0021】
また、保持器の両側面より突出した転動体により、保持器の両側面より突出した転動体の接する箇所が、玉の直径の半分よりわずかに大きい半径の円弧をなしている窪みの場合には、この窪みの中心を回転軸として遊星歯車を自転可能としながら、かつ、遊星歯車の回転軸支持構造全体の公転を拘束することができる。
【0022】
以上の説明のとおり、本発明により遊星歯車を自転可能としながら、かつ、遊星歯車の回転軸支持構造全体が公転することを可能とする点接触になり、かつ、遊星歯車自身に回転軸の剛性を持たせることができるため、遊星歯車の回転軸支持部が小さくなり、遊星歯車配置数の増加容易な遊星歯車の回転軸支持構造が実現でき、遊星歯車機構の特徴を最大限に利用した小型の減速機が実現できる。
【符号の説明】
【0023】
1 玉1
2 玉2
3 玉1を転がり運動させるような球面状の凹み
4 玉2を転がり運動させるような球面状の凹み
5 歯車
6 保持器部材1
7 保持器部材2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星歯車は、玉1と玉2と玉1を転がり運動させるような球面状の凹みと玉2を転がり運動させるような球面状の凹みが回転中心両端に形成された歯車を備えており、保持器は、複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉1を転がり運動させるような貫通孔があいている円環状の保持器部材1と複数の遊星歯車を互いに接触しないように同一円周状でかつ適正間隔で正しい位置に保持するほか、玉2を転がり運動させるような貫通孔があいている円環状の保持器部材2が結合されており、複数の遊星歯車を一つの保持器で保持するように構成されていることを特徴とする遊星歯車の回転軸支持構造。
【請求項2】
保持器部材1の貫通孔の形状を保持器1外面側が狭くなる形状とし、遊星歯車の玉1保持器1より突出しかつ、抜け落ちなくしたことを特徴とする請求項1記載の遊星歯車の回転軸支持構造。
【請求項3】
保持器部材2の貫通孔の形状を保持器2外面側が狭くなる形状とし、遊星歯車の玉2保持器2より突出しかつ、抜け落ちなくしたことを特徴とする請求項1記載の遊星歯車の回転軸支持構造。
【請求項4】
保持器部材1と保持器部材2の中心は同心でありかつ、保持器部材1と保持器部材2のそれぞれ対向する貫通孔同士の中心が同心であることを特徴とする請求項1記載の遊星歯車の回転軸支持構造。
【請求項5】
遊星歯車の歯車が、保持器外径側からはみ出しかつ、保持器内径側からはみ出していることを特徴とする請求項1記載の遊星歯車の回転軸支持構造。

【図1】
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【図2】
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