説明

遊星歯車減速機の潤滑装置

【課題】遊星歯車の支持軸に給油溜まりを設け、その給油溜まり側から転がり軸受に給油する場合において、公転中心に近い方の軸受部分にも十分潤滑油を供給できるようにした遊星歯車減速機の潤滑装置を提供することを課題とする。
【解決手段】遊星歯車機構11によって公転する縦向きの支持軸16に転がり軸受19を介して支持された遊星歯車15と、前記遊星歯車15の移動経路上に下向きに設置された給油ノズル26とからなり、前記給油ノズル26の下方を前記遊星歯車15が通過する間にその給油ノズル26から前記転がり軸受19に給油するようにした遊星歯車減速機の潤滑装置において、前記支持軸16に上向きに開放された給油溜まり25が設けられ、前記給油溜まり25の周壁に前記転がり軸受19の内部に通じた軸側給油穴27が設けられ、その軸側給油穴27に前記給油溜まり25の内部の潤滑油を送り出すポンプ装置29が設けられた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊星歯車減速機の潤滑装置に関し、特に自転しつつ公転する遊星歯車の支持軸受の潤滑に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊星歯車減速機における遊星歯車の潤滑装置として、従来から特許文献1に開示されたものが知られている。この遊星歯車減速機は、入出力軸が縦向きに配置され、入力軸に太陽歯車が設けられる。その太陽歯車と、太陽歯車の周りに同軸状態に固定された内歯歯車との間に遊星歯車が介在される。前記遊星歯車の支持軸も縦向きであり、その支持軸はキャリヤを介して出力軸に結合される。
【0003】
前記遊星歯車は、前記支持軸の周りに介在された転がり軸受により支持され、自転しつつ太陽歯車の周りを公転し、前記キャリヤを介して出力軸をその公転速度で減速回転させる。前記の入力と出力を入れ替えると、増速機として作用することは周知のとおりである。
【0004】
この場合の遊星歯車の潤滑装置は、前記遊星歯車の転がり軸受の上方に給油ノズルが下向きに固定され、その転がり軸受の上方から下向きに潤滑油を供給するようにしている。
【0005】
一般に、転がり軸受の潤滑構造として、その支持軸に設けた給油経路の終端部を径方向外向きに屈曲して軸受内輪の給油穴に潤滑油を供給することが知られている(特許文献2)。また、遊星歯車減速機において、遊星歯車が自転のみ行い内歯歯車が公転するようにした場合において、その遊星歯車の支持軸受の潤滑油を支持軸側から供給するようにすることも知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−101333号公報(図4)
【特許文献2】特開2008−19948号公報(図1)
【特許文献3】実開平5−69442号公報(図2、油通路32b)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の特許文献1に開示された遊星歯車減速機の潤滑装置は、遊星歯車が公転しているため、給油ノズルから軸受上に供給された潤滑油は、公転する遊星歯車に作用する遠心力によって外向きの力を受ける。そのため、潤滑油が軸受内部に流入し難く、軸受の潤滑が十分に行われ難い問題がある。
【0008】
この問題を解決すべく、前記特許文献1に係る発明においては、軸受外輪の上端面外周に沿って、内向きに開放された溝を有する規制リング(オイルスクープリング)を装着し、外向きにはね飛ばされた潤滑油を受け止め、軸受側へ押し戻すようにしている(同文献図1参照)。
【0009】
前記のような規制リングを用いることなく、軸受内部に効率よく潤滑油を供給するために、特許文献2、同3の開示内容に基づき、軸受の支持軸に設けた給油経路を径方向外向きに屈曲して軸受内輪の給油穴に潤滑油を供給する構造を想定することができる。
【0010】
しかし、前記特許文献2、同3に開示された軸受潤滑装置は、支持軸が自転のみする構造であり公転する構造ではなく、支持軸が公転する場合において、その内部に設けられた給油経路に外部から潤滑油を供給する手段は開示されていない。この場合、公転のみ行う支持軸の内部に外部から潤滑油を供給する手段として、特許文献1の開示内容に基づき、当該支持軸に上向きに開放された給油溜まりを設け、その給油溜まりの移動軌跡上に下向きの給油ノズルを設ける構成を採ることが考えられる。
【0011】
しかし、仮にそのような構成を採ったとしても、給油溜まり内部の潤滑油に支持軸の公転に伴う遠心力が作用するので、給油溜まりの周壁の給油穴から支持軸外周の軸受に供給される潤滑油は、公転中心から遠い部分の給油穴に集まる傾向がある。このため、公転中心に近い部分の給油穴からの給油量が不足し、当該給油穴に対向した軸受部分の潤滑が不足する問題がある。
【0012】
そこで、この発明は、遊星歯車の支持軸に給油溜まりを設け、その給油溜まりの周壁に設けた給油穴から支持軸外周の軸受に給油する場合において、公転中心に近い軸受部分にも十分潤滑油を供給できるようにした遊星歯車減速機の潤滑装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題を解決するために、この発明は、遊星歯車機構によって公転する縦向きの支持軸に軸受を介して支持された遊星歯車と、前記遊星歯車の移動軌跡上に下向きに設置された給油ノズルとからなり、前記給油ノズルの下方を前記遊星歯車が通過する間にその給油ノズルから前記軸受に給油するようにした遊星歯車減速機の潤滑装置において、前記支持軸に上向きに開放された給油溜まりが設けられ、前記給油溜まりの周壁に前記軸受内部に通じた給油穴が設けられ、その給油穴に前記給油溜まり内部の潤滑油を送り出すポンプ装置が設けられた構成としたものである。
【0014】
前記ポンプ装置は遊星歯車の公転中心に相対的に近い部分に給油穴を設けることが望ましい。公転中心から遠い部分の給油穴からは、遠心力の作用によって外部への給油が行われる。
【0015】
前記ポンプ装置としては、前記給油穴を吐出口とする給油シリンダーと、その給油シリンダーの周壁に設けられた給油受け口と、前記給油シリンダーに進退自在に挿入されたピストンと、そのピストンの往復駆動手段とにより構成することができる。
【0016】
前記ピストンの往復駆動手段としては、前記給油溜まりの底部に設けられた回転板と、その回転板を支持し前記給油溜まりの底部に貫通された回転軸と、その回転軸の下端に取り付けられた駆動歯車とからなり、前記ピストンが前記回転板の偏心位置に回転自在に連結され、前記駆動歯車が前記遊星歯車機構の内歯歯車又は太陽歯車に噛み合わされた構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、支持軸に設けた給油溜まり内部の潤滑油は、その内部に設けたポンプ装置によって給油穴を通じ外周部の軸受に供給されるので、支持軸に作用する遠心力の影響を受けることなく、公転中心に相対的に近い給油穴からも軸受に対し確実に給油することができる。これにより遊星歯車を支持する軸受の潤滑、特に、その軸受の公転中心に近い部分の潤滑を改善することができる。
【0018】
また、前記のポンプ装置として、給油シリンダーを用い、その給油シリンダーのピストンの往復駆動手段として、回転板の回転軸に駆動を設け、その駆動歯車を遊星歯車機構の内歯歯車又は太陽歯車に噛み合わせた構成を採ることにより、特別な駆動源を設けることなく、ポンプ装置を駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施形態1の一部を示す縦断正面図である。
【図2】図2は、図1のX1−X1線の断面図である。
【図3】図3は、図1の一部拡大図である。
【図4】図4は、実施形態1の変形例の一部を示す縦断正面図である。
【図5】図5(a)は、実施形態2の一部を示す縦断正面図、同(b)は、同(a)のX2−X2線の断面図、同(c)は同(b)のX3−X3線の断面図である。
【図6】図6(a)は、図5(b)のX4−X4線の拡大断面図、同(b)は変形例の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
[実施形態1]
図1から図3に示したように、実施形態1の遊星歯車減速機の潤滑装置は、遊星歯車機構11を構成する縦向きの入力軸12の上端部に同芯状態に設けられた太陽歯車13、その太陽歯車13の周りに同芯状態に配置固定された内歯歯車14、太陽歯車13と内歯歯車14との間に介在された1以上の遊星歯車15、その遊星歯車15を支持する縦向きの支持軸16を一端部に設けたキャリヤ17、そのキャリヤ17の他端部と一体化され前記入力軸12と同芯状態に配置された出力軸18を有する。
【0022】
前記遊星歯車15と、その支持軸16との間に転がり軸受19が介在される。転がり軸受19は、支持軸16の外径面に嵌合固定された内輪21、遊星歯車15の内周側に一体化された外輪20、前記内輪21の外径面に形成された軌道と外輪20の内径面に形成された軌道との間に介在され、保持器22によって保持された複列のころ23により構成される。
【0023】
前記の支持軸16は上下方向に開放された円筒状に形成され、前記のキャリヤ17はその外周面に一体化されている。前記円筒状の支持軸16の下端部に閉塞蓋24が嵌合され、ねじ止め等により固定される。その閉塞蓋24により、支持軸16の内部に上向きに開放された所要径の給油溜まり25が当該支持軸16と同芯状態に形成される。給油溜まり25の回転軌跡上において、入力軸12の中心である公転中心P(図2参照)側に片寄って給油ノズル26が下向きに設けられる。
【0024】
前記給油溜まり25の周壁には、その中心と公転中心Pを結ぶ線上において径方向に対向した2個所に軸側給油穴27が設けられる(図2参照)。これらの軸側給油穴27は、それぞれ転がり軸受19の内輪21の同位置に設けられた軸受側給油穴28に連通している。前記の軸側給油穴27のうち、遊星歯車15の公転中心P近い方の軸側給油穴27にポンプ装置29が設けられる。
【0025】
なお、前記の軸側給油穴27及びこれと連通した軸受側給油穴28は、軸受の使用条件により周方向の複数個所に設けることができる。
【0026】
ポンプ装置29は、前記の公転中心Pに近い軸側給油穴27の内側において、その軸側給油穴27を吐出口として給油溜まり25の内周面に接合された給油シリンダー31、その給油シリンダー31の周壁に上向きに設けられた給油受け口32、前記給油シリンダー31に進退自在に挿入されたピストン33と、そのピストン33の往復駆動手段34とによって構成される。
【0027】
前記の給油受け口32は、給油ノズル26の下方においてこれに対向して設けられ、給油ノズル26から滴下又は噴射される潤滑油を給油シリンダー31の内部に受け入れる。
【0028】
前記のピストン33の往復駆動手段34は、図3に拡大して示したように、ピストン33に自在継手35aを介して取り付けられたピストンロッド35、偏心ピン40を設けた回転板36、給油溜まり25の閉塞蓋24の中心部を貫通し前記回転板36の中心に固定された回転軸37、その回転軸37の下端に一体に設けられた駆動歯車38とによって構成される。
【0029】
ピストンロッド35は偏心ピン40に回転継手35bを介して水平面内で回転可能に取り付けられる。また、閉塞蓋24を貫通して給油溜まり25内に突き出した回転軸37に軸受を兼ねたスペーサ41が挿通され、回転軸37の上端部に挿通された回転板36を前記スペーサ41によって支持している。回転板36は、回転軸37の上端部に嵌めたナット39によって締め付けられ固定される。また、閉塞蓋24の下面において、駆動歯車38との間に滑り軸受42が介在される。
【0030】
前記の駆動歯車38は内歯歯車14に噛み合わされる。駆動歯車38を太陽歯車13に噛み合わせてもよい。前者のように、駆動歯車38を内歯歯車14に噛み合わせた場合は、後者のように太陽歯車13に噛み合わせた場合に比べ、回転板36の回転が速くなるため、ピストン33の往復速度が増し給油量が増大する。給油の必要量に応じて、前者の構成と後者の構成を使い分ければよい。
【0031】
また、給油受け口32に効率よく潤滑油を集めるために、図4に示したように、その給油受け口32に漏斗43を取り付け、その漏斗43によって給油ノズル26から滴下又は噴射される潤滑油を受けるようにしてもよい。
【0032】
実施形態1の潤滑装置は以上のように構成され、この遊星歯車機構11が駆動されると、入力軸12と一体の太陽歯車13が回転し、その太陽歯車13に噛み合った遊星歯車15が内歯歯車14にも噛み合い、自転しつつ太陽歯車13の周りを公転する。遊星歯車15の公転に伴い、キャリヤ17を介して出力軸18がその公転速度で回転し、出力軸18を減速回転させる。この場合、遊星歯車15、これと一体の外輪20は自転しつつ公転するが、内輪21及びその支持軸16は自転することなく公転のみ行う。
【0033】
また、遊星歯車機構11が駆動されると、給油ノズル26から潤滑油が下向きに滴下又は噴射され、その下を通過する給油溜まり25に潤滑油が供給される。
【0034】
給油溜まり25内においては、給油シリンダー31の給油受け口32から潤滑油が給油シリンダー31の内部に取り込まれる一方、その給油受け口32に入らなかった潤滑油及びその給油受け口32から溢れた潤滑油が給油溜まり25内に溜まる。
【0035】
前記遊星歯車15の公転に伴い、ポンプ装置29の駆動歯車38が内歯歯車14に噛み合って回転し、回転軸37を通じて回転板36を回転させる。これによりピストンロッド35及びそれに結合されたピストン33が径方向に往復運動し、給油シリンダー31の内部の潤滑油が軸側給油穴27及び軸受側給油穴28を経て転がり軸受19の内部に供給される。
【0036】
一方、公転中心Pから遠い方の軸側給油穴27へは、支持軸16の公転に伴う遠心力によって潤滑油が送り込まれる。図4のように、給油受け口32に漏斗43を設けた場合、その漏斗43の開口の大きさは、給油シリンダー31に効率よく給油できる最小の大きさにとどめ、給油溜まり25へ直接落下できる分量を確保することが必要である。
【0037】
[実施形態2]
図5及び図6に示した実施形態2の場合は、前記のポンプ装置29の構成において実施形態1の場合と一部相違している。
【0038】
即ち、この場合は、給油シリンダー31、そのピストン33、ピストン33の往復駆動手段34の基本的構成は実施形態1の場合と同様であるが、回転板36の外径が給油溜まり25の内周面に接近する大きさに形成され、かつその上面に複数のフィン44が設けられる点において相違がある。回転板36は、閉塞蓋24との間に滑り軸受45を介在して支持される。
【0039】
前記のフィン44は回転板36の中心の周りに放射状に設けられる。図示の場合は回転方向A(図5(b)参照)に湾曲した形状となっている。このフィン44は、給油シリンダー31の下部を通過できるように、その高さが制限されている(図5(c)参照)。
【0040】
前記のフィン44は、回転板36の回転に伴い、給油溜まり25内において遠心力で公転中心Pから遠い部分に集められた潤滑油a(図5(b)参照)を回転方向Aに押し出し、給油溜まり25の内周面に沿って給油シリンダー31の方向に移動する潤滑油の流れbを作る。
【0041】
また、この場合の給油シリンダー31に設けられた給油受け口46は、前記の流れbに対向するように、斜め下向きに開口するように設けられる(図5(c)及び図6(a)参照)。詳細には、図6(a)に示したように、給油シリンダー31の中心Oで直交するx、y軸のx軸を回転板36と平行に設定し、y軸と給油シリンダー31との交点のうち、上端の交点を基準点とした場合、前記の給油受け口46は、ピストン33側から右回り見て、前記基準点から180度と270度の範囲に設けられる。
【0042】
前記のように、給油受け口46をフィン44の回転方向に対向するよう斜め下向きに開口するように設けることにより、図6(a)に示したように、フィン44よって押された潤滑油の流れbが給油受け口46に押し込まれ易くなる。
【0043】
図6(b)に示した変形例は、給油受け口46の範囲を前記のように定めた場合において、フィン44による潤滑油の押し込みを一層効率よくするために、フィン44を前記の場合より高く形成したものである。
【0044】
即ち、この場合のフィン44は、給油受け口46の下端を基準とし、その下端からの立ち上がり高さをHとし、給油受け口46の上下端間の開口幅Wとを比較した場合、HがWの1/2以上(H≧W/2)となるようにその高さが設定されている。このような高さに設定することにより、潤滑油の流れbを一層効率よく給油受け口46に押し込むことができる。
【0045】
前記のフィン44はゴム、樹脂、シリコン樹脂等の軟質材で形成される。これにより、フィン44が給油シリンダー31に衝突した場合に、図6(b)に示したように、容易に弾性変形してその下を潜り抜けることができ、回転板36の回転を妨げることがない。
【符号の説明】
【0046】
11 遊星歯車機構
12 入力軸
13 太陽歯車
14 内歯歯車
15 遊星歯車
16 支持軸
17 キャリヤ
18 出力軸
19 転がり軸受
20 外輪
21 内輪
22 保持器
23 ころ
24 閉塞蓋
25 給油溜まり
26 給油ノズル
27 軸側給油穴
28 軸受側給油穴
29 ポンプ装置
31 給油シリンダー
32 給油受け口
33 ピストン
34 往復駆動手段
35 ピストンロッド
35a 自在継手
35b 回転継手
36 回転板
37 回転軸
38 駆動歯車
39 ナット
40 偏心ピン
41 スペーサ
42 滑り軸受
43 漏斗
44 フィン
45 滑り軸受
46 給油受け口




【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星歯車機構によって公転する縦向きの支持軸に軸受を介して支持された遊星歯車と、前記遊星歯車の移動軌跡上に下向きに設置された給油ノズルとからなり、前記給油ノズルの下方を前記遊星歯車が通過する間にその給油ノズルから前記軸受に給油するようにした遊星歯車減速機の潤滑装置において、前記支持軸に上向きに開放された給油溜まりが設けられ、前記給油溜まりの周壁に前記軸受内部に通じた給油穴が設けられ、その給油穴に前記給油溜まり内部の潤滑油を送り出すポンプ装置が設けられたことを特徴とする遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項2】
前記ポンプ装置が、前記遊星歯車の公転中心に相対的に近い給油穴に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項3】
前記ポンプ装置が、前記給油穴を吐出口とする給油シリンダーと、その給油シリンダーの周壁に設けられた給油受け口と、前記給油シリンダーに進退自在に挿入されたピストンと、そのピストンの往復駆動手段とにより構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項4】
前記ピストンの往復駆動手段は、前記給油溜まりの底部に設けられた回転板と、その回転板を支持し前記給油溜まりの底部に貫通された回転軸と、その回転軸の下端に取り付けられた駆動歯車とからなり、前記ピストンが前記回転板の偏心位置に回転自在に連結され、前記駆動歯車が前記遊星歯車機構の内歯歯車又は太陽歯車に噛み合わされた構成であることを特徴とする請求項3に記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項5】
前記給油受け口は、前記給油シリンダーの周壁に上向きに設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項6】
前記給油受け口に、上方に開放された漏斗を取り付けたことを特徴とする請求項5に記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項7】
前記回転板は、前記給油溜まりの内周面に接近する大きさに形成され、その回転板の上面に所要数のフィンが設けられ、前記フィンは前記回転板の回転によって給油溜まり内部の潤滑油をその内周面に沿って回転させる流れを生じさせ、前記給油受け口が前記潤滑油の流れに対向するように斜め下向きに開放されたことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項8】
前記給油受け口が、前記給油シリンダー周壁の上下端を通る縦軸の上端点を基準とし、当該給油シリンダーを前記ピストン側から見て180度から270度にわたる角度範囲に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項9】
前記フィンが、前記回転板の回転方向に湾曲した形状であることを特徴とする請求項7又は8に記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項10】
前記フィンの前記給油受け口下端からの高さが、当該給油受け口の上下端間の開口幅の半分以上の大きさに形成され、かつ当該フィンの素材が弾性変形可能な軟質材であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。
【請求項11】
前記給油穴が、前記遊星歯車の中心とその公転中心を結ぶ径方向の線上の2個所に設けられたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の遊星歯車減速機の潤滑装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−252551(P2011−252551A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127405(P2010−127405)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】