説明

運搬機

【課題】運搬機において、排出状態を視認できるようにする
【解決手段】運転席を備えたトラクターの後部に取り付けられる台フレーム11の上方に籾殻の収容部40を設ける。台フレーム11に籾殻の排出部16を設け、排出部16は台フレーム11の前側に設けられる。台フレーム11における底部のほぼ全面にベルトコンベア19を配置すると共に、該ベルトコンベア19の終端19Bを排出部16に接続する。台フレーム11の前側から籾殻Mを排出することができるので、この排出状態をトラクター1の運転席5に座っている運転者は振りかえることで直接視認することで、操作レバーによってコンベア速度、ひいては排出量を調節することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車両の後部に取り付けられ台フレーム側から被収容物を排出する運搬機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして車輪を備えた車台フレ−ムを連結部を介して牽引本機に連結し、前記車台フレームに底板を開閉自在に設け、そして分割底板を回動することにより、底面を全面的に開口して被収容物を落下することができるトレーラーが公知である(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−120023公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の被収容物の排出は、牽引本機に運転者が乗っている状態で車台フレームの底面より被収容物を排出するというものであり、このため排出状態を運転者は視認することができず、この結果被収容物の排出状況や排出に伴う被収容物の厚み等を確認できないという問題があった。
【0004】
解決しようとする問題点は、収容部を設けた台フレームに被収容物の排出部を設けた運搬機において、排出状態を視認できるようにする点である。また、被収容物の排出を良好に行うことができるようにずる点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行車両の後部に取り付けられる台フレームの上方に被収容物の収容部を設けると共に、前記台フレームに前記被収容物の排出部を設けた運搬機において、前記台フレームの前側に前記排出部を設け、前記台フレームにコンベアを設けると共に、該コンベアの終端側を前記排出部に設けたことを特徴とする運搬機である。
【0006】
請求項2の発明は、前記コンベアは前記台フレームの前側及び後側にローラを設けると共に、これら前側及び後側のローラにベルトを巻装したことを特徴とする請求項1記載の運搬機である。
【0007】
請求項3の発明は、前記排出部に開閉体を設けると共に、該開閉体に連動する攪拌体を前記コンベア上に設けることを特徴とする請求項1又は2記載の運搬機である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、被収容物は運搬機の前側より落下するので、この落下状態を運転者は後に振りかえることで直接視認でき、車両を運転しながら排出状態を調節することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、台フレームのほぼ前側の全幅より広範囲に被収容物を排出、散布することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、開閉体の操作のときにコンベア上の被収容体の固まりを攪拌体により解消して良好に散布を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0012】
図1〜図3は実施例1を示しており、この実施例1は籾殻散布運搬機の場合であり、自走式走行車両であるトラクター1の後部に3点リンク機構2を介して運搬機本体7が連結している。尚、図中3,4はトラクター1の前輪、後輪、5は運転席であり、トラクター1の後部には3点リンク機構2とPTO軸6が設けられている。運搬機本体7は前枠部8と左右側枠部9と後枠部10からなる平面が矩形枠形状の台フレーム11における前部の中央に門型をなした連結受け具12が立設して固着され、この連結受け具12の上部に3点リンク機構2の上リンク13が連結すると共に、連結受け具12の左右下部に下リンク14が連結するようになっている。また、連結受け具12の中央にはPTO軸6に連結する従動軸15が回動自在に設けられている。そして、前枠部8における連結受け具12の左右には縁を残して横長な窓孔状の排出部16が形成されている。
【0013】
さらに、台フレーム11には該台フレーム11を左右に等分する仕切り体17が設けられている。実施例では二等分する仕切り体17が前枠部8の中央と後枠部10の中央とを架設するように前後方向に設けられている。この仕切り体17は三角屋根形状であって、峰部18を前後方向に配置している。仕切り体17によって左右にニ分割された台フレーム11の分割された底部にベルトコンベア19をそれぞれ設ける。このベルトコンベア19は、排出部16の後側下部に排出部16に沿って回動自在に配置された駆動側ローラ20と、後枠部10の前側下部に該後枠部10に沿って回動自在に配置された従動側ローラ21と、これら駆動側ローラ20と従動側ローラ21との間に巻いて架け渡すように巻装する環状の平ベルト22とを備え、さらに、駆動側ローラ20と従動側ローラ21との間にはガイドローラ23が駆動側ローラ20、従動側ローラ21と回転軸腺を平行にし複数間隙を有して回動自在に設けられている。前記駆動側ローラ20には従動軸15の回転力がギアボックス或いはチェーンボックスなどの回転力伝動装置24を介して伝達できるようになっている。尚、後側のローラを駆動側、前側のローラを従動側としてもよい。
【0014】
そして、ベルトコンベア19において後枠部10側が始端19Aとなり排出部16側が終端19Bとなる。この終端19Bは排出部16に直接或いは間接的に接続している。
【0015】
さらに、左右一対の排出部16には開閉板状の開閉体25をそれぞれ設ける。この開閉体25は排出部16の前側に配置され、その上部を前枠部8の上部に回動自在に連結する。一方、開閉体25の下部を該開閉体25を閉じたときに籾殻Mが漏れないように平ベルト22に接触或いは近接するように設けている。さらに、開閉体25に操作体たる開閉操作レバー26を連結する。この開閉操作レバー26の先端側は連結受け具12の上部に回動自在に設けられると共に、開閉操作レバー26はレバー用リンク機構28を介して開閉体25に連結している。したがって、開閉操作レバー26を上方へ回動すると開閉体25が開成し、下げると閉成するようになっている。そして、ベルトコンベア19の上面上方に攪拌体29を設ける。この攪拌体29によってベルトコンベア19上に収容された被収容物である籾殻Mをかき混ぜる攪拌手段を形成する。この攪拌体29はベルトコンベア19の上方に塊状となって固まった籾殻Mがある場合にこれを攪拌するために設けられたものであり、ベルトコンベア19の幅の中央に前後方向に設けられ、この攪拌体29はベルトコンベア19上の前後方向に設けた細長い棒状部30に張り出し部31を左右に突設したもので、棒状部30の後端は後部リンク32を介して後枠部10に回動自在に連結しており、一方棒状部30の前端は前部リンク33を介して前枠部8に回動自在に連結している。したがって、開閉操作レバー26によって開閉体25が回動すると、この回動に伴なって攪拌体29が前方へ移動したり、後方へ移動できるようになっている。
【0016】
さらに、台フレーム11の上方に設けられる収容部40は、台フレーム11の四隅に軸やパイプ等の隅支柱34を立設し、これらの隅支柱34の間にそれぞれ中間支柱35を台フレーム11上に立設し、さらに隅支柱34と中間支柱35の間には連結部材36を横向き連結して収納部枠37を形成し、そしてこの収納部枠37の側面四方に透明又は半透明のシートやフィルム等の囲み部38を設けると共に、上部にシートやフィルム等の覆い部39を開閉自在に設けて形成したものである。
【0017】
次に前記実施例についてその作用を説明する。運搬機の運搬機本体7をトラクター1の後部に取り付けるには、トラクター1の上リンク13、下リンク14を連結受け具12の上部、下部両側にそれぞれ回動自在に連結すると共に、PTO軸6に従動軸15を図示しない継手を用いて連結する。この取り付け及び連結はトラクター1に取り付ける他の農作業用アタッチメントと同様である。
【0018】
次に予め開閉体25を閉成状態の収容部40に被収容体である籾殻Mを覆い部39を取り除いて収容する。この後に覆い部39を再び取り付ける。次にトラクター1を運転して圃場等の籾殻Mの散布場所に移動する。
【0019】
籾殻Mを散布する場合は、まず開閉操作レバー26を上方に引き上げると、この引き上げ操作によりレバー用リンク機構28を介して開閉体25がその上部を回転中心として前方へ回動し開成する。この開閉体25の開成作動に伴なって攪拌体29が前方へ移動する。この攪拌体29の移動によって該攪拌体29の上方で籾殻Mが固まっていてもこれを攪拌して固まりをなくすることができる。次にトラクター1の運転席5にあるPTO軸操作レバー(図示せず)よりPTO軸6を回転駆動することで、この回転力は回転力伝動装置24を介して駆動側ローラ20に回転力が伝達される。この伝達によって駆動側ローラ20が回転駆動し、平ベルト22の上面側が排出部16に向って移動し、この結果籾殻Mは排出部16より地面に強制的に落下散布される。この際、籾殻Mは運搬機本体7の前側より落下するので、この落下状態、すなわち落下の厚みや幅等の落下状態をトラクター1の運転者は後に振りかえることで直接視認できる。したがって、落下量が多いときにはPTO軸操作レバーを操作してPTO軸6を低速回転としたり、一方落下量が少ないときにはPTO軸操作レバーを操作してPTO軸6を高速回転として、トラクター1を運転しながら散布量を調節することができる。
【0020】
散布作業の終了時には、PTO操作レバーを操作してPTO軸6を停止することで、駆動側ローラ20が停止し、さらに開閉操作レバー26を下げることにより、レバー用リンク機構28を介して開閉体25を閉成することで、籾殻Mの排出を停止する。
【0021】
尚、散布中であっても、籾殻Mが収容部40内で固まってしまった場合には、開閉操作レバー26を操作することで攪拌体29を作動して固まりを攪拌することができる。
【0022】
以上のように、前記実施例においては運転席5を備えたトラクター1の後部に取り付けられる台フレーム11の上方に籾殻Mの収容部40を設けると共に、前記台フレーム11に前記籾殻Mの排出部16を設け、前記排出部16は前記台フレーム11の前側に設けられ、前記台フレーム11の底にベルトコンベア19を設けると共に、該ベルトコンベア19の終端19Bを前記排出部16に接続したことにより、台フレーム11の前側から籾殻Mを強制的に排出することができるので、この排出状態をトラクター1の運転席5に座っている運転者は振りかえることで直接視認することで、軸操作レバーによってコンベア速度、ひいては排出量を調節することができる。
【0023】
さらに、前記コンベアは前記台フレームの前側及び後側にローラ20,21を設けると共に、これら前側及び後側のローラ20,21に平ベルト22を巻装したことで、仕切り体17を除いた台フレーム11における底部のほぼ全面にベルトコンベア19を配置することができ、したがって、台フレーム11の前枠部8のほぼ全幅に形成した排出部16より籾殻Mを前枠部8のほぼ全幅より広範囲に排出、散布することができる。
【0024】
また、前記排出部16に開閉体25を設け、排出部16を開閉体25で閉成することで、道路などの移動時に籾殻Mが排出されるようなことはなく、さらに、開閉体25に連動する攪拌体29を前記平ベルト22上に設けることで、開閉体25を開成して散布開始時に籾殻Mを攪拌し籾殻Mの固まりを解消して良好に散布を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように本発明にかかる運搬機は、籾殻M散布等の農作作業の他に種々の用途に適用できる。また、コンベアはベルトコンベアではなくスクリューコンベアや他のコンベアでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1を示す前側の一方からの運搬機本体の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1を示す前側の他方からの運搬機本体の斜視図である。
【図3】本発明の実施例1を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 トラクター(走行車両)
11 台フレーム
16 排出部
19 ベルトコンベア(コンベア)
19B 終端
20 駆動側ローラ
21 従動側ローラ
22 平ベルト
籾殻M(被収容物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両の後部に取り付けられる台フレームの上方に被収容物の収容部を設けると共に、前記台フレームに前記被収容物の排出部を設けた運搬機において、前記台フレームの前側に前記排出部を設け、前記台フレームにコンベアを設けると共に、該コンベアの終端側を前記排出部に設けたことを特徴とする運搬機。
【請求項2】
前記コンベアは前記台フレームの前側及び後側にローラを設けると共に、これら前側及び後側のローラにベルトを巻装したことを特徴とする請求項1記載の運搬機。
【請求項3】
前記排出部に開閉体を設けると共に、該開閉体に連動する攪拌体を前記コンベア上に設けることを特徴とする請求項1又は2記載の運搬機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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