運転支援装置
【課題】運転者のエコ運転の習熟度に関係なく、かつ、エコ運転の度合いを定量的に表示することが可能な、運転者のエコ運転を支援する運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する車両走行状態情報取得部と、取得した前記車両走行状態情報に基づいて、該車両からの二酸化炭素の排出量を算出するための排出量算出条件が成立したか否かを判定する排出量算出条件成立判定部と、前記排出量算出条件が成立したと判定したときの、前記二酸化炭素の排出量の算出する二酸化炭素排出量算出部と、算出した前記二酸化炭素の排出量に関する情報を含むエコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力タイミングが到来したか否かを判定するエコ運転支援情報出力タイミング判定部と、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定したときに、前記エコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力部と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する車両走行状態情報取得部と、取得した前記車両走行状態情報に基づいて、該車両からの二酸化炭素の排出量を算出するための排出量算出条件が成立したか否かを判定する排出量算出条件成立判定部と、前記排出量算出条件が成立したと判定したときの、前記二酸化炭素の排出量の算出する二酸化炭素排出量算出部と、算出した前記二酸化炭素の排出量に関する情報を含むエコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力タイミングが到来したか否かを判定するエコ運転支援情報出力タイミング判定部と、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定したときに、前記エコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者のエコ運転を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から運転者のエコ運転を支援するエコ運転支援装置が車両に搭載されるようになってきた。例えば、運転者の運転特性に適したエコ運転支援の表示を表示領域に表示させることができるエコ運転支援装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0003】
「エコ」は、エコノミーとエコロジーの両方、またはいずれか一方の意味を含むものである。エコノミーとは、燃料の消費を抑えて燃料を節約すること(省燃費)を意味する。また、エコロジーとは、化石燃料の消費を抑えたり、または化石燃料の燃焼などによって生じる有害物質や二酸化炭素の発生、排出を抑えることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−145828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成は、運転者のエコ運転の習熟度を表示するものであるが、メーカによる習熟度の分割数の策定および習熟度合いの増減の適合が難しく、運転者のエコ運転向上につながらない場合がある。例えば、習熟しやすく適合すると運転者によっては常に習熟度が最高になりエコ運転の向上につながらない。また、習熟しにくく適合する、もしくは習熟度の分割数を増やして習熟度が最高レベルになかなか達しないように適合した場合には、運転者のエコ習熟度が上がっていく楽しさが少ないため、逆にストレスとなりかねないという問題が生ずる。
【0006】
また近年、運転者のエコ運転への意識は益々高まってきており、燃料消費量の低減に加えて、CO2(二酸化炭素)の排出量を減少させる運転をしたいというニーズも高まっている。特許文献1では、どのような運転をしたらエコ運転であるのか運転者に知らせることはできるが、運転の際に、使用燃料量やCO2排出量といった、運転者に分かりやすい定量的な指標がどう推移するかが分かり難いという問題もある。したがって、燃料消費量を1mlでも減らしたい、CO2排出量を1gでも減らしたいという運転者にとっては、特許文献1の構成は、十分なエコ運転指南機能となり得ていない。
【0007】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、運転者のエコ運転の習熟度に関係なく、かつ、エコ運転の度合いを定量的に表示することが可能な、運転者のエコ運転を支援する運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するための運転支援装置は、車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する車両走行状態情報取得部と、取得した車両走行状態情報に基づいて、該車両からの二酸化炭素の排出量を算出するための排出量算出条件が成立したか否かを判定する排出量算出条件成立判定部と、排出量算出条件が成立したと判定したとき、二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出部と、算出した二酸化炭素の排出量に関する情報を含むエコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力タイミングが到来したか否かを判定するエコ運転支援情報出力タイミング判定部と、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定したときに、エコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、運転者が実際にCO2排出量を減少させるためにはどういう表示が必要かということに着眼したものである。従来技術とは異なり、全運転領域での運転習熟度を表示するのではなく、加速時やアイドル放置時のような、運転者の運転によって調節できる領域でのCO2排出量を定量的に出力(例えば表示)する。これにより、従来技術のようなエコ運転の習熟度表示ではエコ運転であったかどうか分からなかったものを、運転者の操作毎の具体的な数値表示でエコ運転であったかどうかを、運転者自身が判断できるようになる。また、実際の燃料消費量もしくはCO2排出量を表示するため、習熟度の分割や習熟度合いの適合は不要となる。
【0010】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の燃料消費量に関する情報を含み、二酸化炭素排出量算出部は、燃料消費量に基づいて二酸化炭素の排出量を算出する。
【0011】
燃料消費量は、エンジンへの燃料の流量やエンジンでの燃料噴射量から算出することができる。また、ガソリンの主成分はオクタン(C8H18)とされ、この場合、炭素の重量の割合は12×8/(12×8+18×1)となり、ガソリン1リットルあたりの炭素の重量は約0.63kgとなる。ガソリンは燃焼すると水(H2O)と二酸化炭素(CO2)になるので、二酸化炭素の排出量はガソリン1リットルあたり約2.32kgと算出することができる。上記構成によって、コスト上昇を抑えつつ二酸化炭素の排出量を算出することが可能となる。
【0012】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の速度に関する情報を含み、車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、算出した車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、排出量算出条件成立判定部は、加速状態判定部が、車両が加速していると判定したときに、排出量算出条件が成立したと判定し、エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、検出した車両の加速度が予め定められた加速度閾値を上回るとき、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する。
【0013】
上記構成によって、例えば急加速時におけるCO2排出量を算出・出力することができる。
【0014】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の速度に関する情報を含み、車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、算出した車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、排出量算出条件成立判定部は、加速状態判定部が、車両が加速していると判定したときに、排出量算出条件が成立したと判定し、車両が加速している状態が継続する時間である加速継続時間を計測する加速継続時間計測部をさらに備え、エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、加速継続時間が予め定められた加速継続時間閾値を上回ったときに、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する。
【0015】
上記構成によって、急加速ではないが加速状態が長く続くときにもCO2排出量を算出・出力することができる。
【0016】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の速度に関する車速情報を含み、加速度算出部は、検出した車両の速度が予め定められた速度閾値を上回るときに、車両の加速度を算出する。
【0017】
上記構成によって、例えば渋滞時のノロノロ運転中の加速時には、CO2排出量を算出・出力しないようにすることができる。
【0018】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両のエンジン状態に関する情報を含み、エンジン状態に基づいて、車両のエンジンがアイドル状態であるか否かを判定するアイドル状態判定部と、を備え、排出量算出条件成立判定部は、車両のエンジンがアイドル状態であると判定したときに、排出量算出条件が成立したと判定し、アイドル状態の継続時間を計測するアイドル継続時間計測部と、をさらに備え、エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、アイドル状態の継続時間が予め定められたアイドル継続時間閾値を上回ったときに、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する。
【0019】
上記構成によって、エンジンのアイドル状態が長く続くときに、CO2排出量を算出・出力することができる。
【0020】
また、本発明の運転支援装置は、エコ運転支援情報出力部が出力したエコ運転支援情報を表示する表示部を備える。
【0021】
上記構成によって、運転者は、自らの(無駄な)運転操作によってどれだけの二酸化炭素が(余計に)排出されたことを知らされるので、よりエコ運転を行うための注意を喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】運転支援装置の構成を示すブロック図。
【図2】エコ運転支援情報出力処理を説明するフロー図(実施例1)。
【図3】エコ運転支援情報出力処理を説明するフロー図(実施例2)。
【図4】エコ運転支援情報出力処理を説明するフロー図(実施例3)。
【図5】図2のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャート(実施例1)。
【図6】図3のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャート(実施例2)。
【図7】図4のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャート(実施例3)。
【図8】エコ運転支援情報表示処理を説明するフロー図。
【図9】通常時の表示画面例を示す図。
【図10】エコ運転支援情報表示時の表示画面例を示す図(実施例2)。
【図11】エコ運転支援情報表示時の表示画面例を示す図(実施例3)。
【図12】ユーザ設定画面の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の運転支援装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1のように、運転支援装置1はエコ判定ECU10,表示器21の表示を制御する表示器制御ECU20,エンジンおよびトランスミッションの制御を行うパワートレイン制御ECU(以下、「パワトレECU」と略称することもある)30を含んで構成される。そして、これらECUは車内LAN(Local Area Network)50により通信可能にネットワーク接続されている。
【0024】
また、上述の各ECUは、CPU,ROM,RAM(いずれも図示せず)等を含む制御部や、入出力回路,通信インターフェース等の周辺回路など(いずれも図示せず)を備える周知のコンピュータハードウェアとして構成され、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、各ECUにおける所定の機能を実現する。すなわち、入出力回路あるいは通信インターフェースを介して取得したセンサ信号等の入力情報に基づいて、CPUにおいて対応する演算処理を行い、演算結果に基づいてアクチュエータを作動させたり、演算結果を外部へ出力する。
【0025】
パワートレイン制御ECU30は、各種センサ31から吸入空気量や車速等を表すセンサ信号を取得して、取得したセンサ信号に基づいて燃料噴射量,点火時期,変速タイミング等の制御指令値の演算を行い、この演算結果に基づいてインジェクタや点火コイル等のアクチュエータ(図示せず)を制御する。
【0026】
各種センサ31は、例えばアクセルペダルの踏み込み量であるアクセルポジションを検出するアクセルポジションセンサ,スロットルバルブの開度であるスロットルポジションを検出するスロットルポジションセンサ,エンジンがアイドル状態かを検出するアイドルスイッチ(SW),エンジンの給排気バルブ(可変タイミングバルブあるいは可変バルブともいう)の開閉状態を検出するバルブタイミングセンサ,車速を検出する車速センサ,エンジン回転数を検出するエンジン回転センサを含んでいる。他に、エンジンが吸入する空気の温度を検出する吸気温センサ,エンジン冷却水の温度を検出する水温センサを含んでもよい。
【0027】
上記のような構成を有することにより、パワートレイン制御ECU30は、例えば、アクセルポジション信号あるいはスロットルポジション信号に基づいて、スロットルバルブ開度算出部30bでスロットルバルブの開度を算出し、車速信号などの他のセンサ信号とから、必要な燃料噴射量や点火時期を算出する。また、燃料消費量演算部30aでは、燃料噴射量,エンジン回転数,エンジンのシリンダ数(あるいはインジェクタの数),点火時期から、単位時間あたりあるいはエンジン1回転あたりの燃料消費量を演算し、エンジンの回転制御を行う。また、各種センサ情報および燃料消費量情報を、LAN50を介して他のECUに出力する。なお、燃料消費量演算部30a,スロットルバルブ開度算出部30bは、上述した制御部(30k)に含まれる。
【0028】
エコ判定ECU10は、車両の加速に関する演算・判定を行う加速判定部10a,エンジンのアイドル状態に関する演算・判定を行うアイドル判定部10b,エンジンの燃料消費量を算出する燃料消費量算出部10c,燃料消費量に基づいてCO2排出量を算出するCO2排出量算出部10dを含む制御部10kと、車内LAN50を介して他のECUとの通信を行う通信I/F(インターフェース)11を備えている。
【0029】
なお、加速判定部10aが本発明の加速度算出部,加速状態判定部,加速継続時間計測部に相当する。また、アイドル判定部10bが本発明のアイドル状態判定部,アイドル継続時間計測部に相当する。また、CO2排出量算出部10dが本発明の二酸化炭素排出量算出部に相当する。また、制御部10kが本発明の排出量算出条件成立判定部,エコ運転支援情報出力タイミング判定部に相当する。また、通信I/F11が本発明の車両走行状態情報取得部,エコ運転支援情報出力部に相当する。
【0030】
表示器制御ECU20は、表示用の情報を車内LAN50を介して取得し、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成される表示内容カスタマイズ部20bに記憶されたカスタマイズ内容に基づいて、表示/非表示あるいは表示内容を決定し、表示制御部20a(上述の制御部と同様の構成をとる)が、表示器21に対して描画指示を送る。描画指示の内容には、例えば、描画用のデータ,その描画用のデータの表示時間を含む。
【0031】
表示器21は、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)として構成される。LEDインジケータ群として構成してもよい。また、表示器21は、これら表示デバイスを表示駆動するためのドライバ回路も含んでいる。なお、表示器21が本発明の表示部に相当する。
【0032】
また、表示器21には、周知のメカニカルスイッチあるいは表示器21の表面に取り付けられたタッチパネルで構成されたスイッチ(SW)入力部22が接続され、運転者等が操作入力を行うことができるようになっている。SW入力部22には、例えば、表示モードを切り替える「mode」ボタン,表示内容を選択する「select」ボタン,表示内容あるいは設定内容をリセットする「reset」ボタン等が備えられている。
【0033】
表示器制御ECU20,表示器21を、車両の計器パネル内のメータ表示の制御を行う、いわゆるメータECUと構成してもよい。また、エコ判定ECU10,表示器制御ECU20,表示器21を、周知の車両用ナビゲーション装置の機能の一部として構成してもよい。
【実施例1】
【0034】
図2を用いて、エコ判定ECU10におけるエコ運転支援情報出力処理の第1の実施例について説明する。本処理は、車両の加速度に基づいてエコ運転支援情報を出力するものである。なお、本処理は、エコ判定ECU10の制御部10kにおいてCPUがROMに記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに繰り返し実行される。
【0035】
まず、パワトレECU30から車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する(S11)。車両走行状態情報は、以下のうち後述の処理で必要なものを含む。
・アクセルポジション。
・スロットルポジション。
・燃料消費量(あるいは燃料噴射量)。
・車速。
・アイドルSWの状態。
・エンジン回転数。
【0036】
次に、取得した車速(図2では「速度」と表記)がROM(図示せず)に予め記憶された速度閾値を上回るか否かを判定する。速度が速度閾値を上回らないとき(S12:No)、燃料消費量およびCO2(二酸化炭素)排出量を初期化(例えば、ゼロクリア)して(S21)、本処理を終了する。一方、車速が速度閾値を上回るとき(S12:Yes)、次のステップ(S13)に進む。
【0037】
上述の例では、車速が速度閾値を上回ることを前提条件としているが、車速に依らず、すなわちステップS12をスキップして以降の処理を実行するようにしてもよい。
【0038】
ステップS13では、加速判定部10aにて、以下の少なくとも1つを用いて車両の加速度を算出する。
・車速の単位時間あたりの変化量から加速度を算出する。
・アクセルポジションの単位時間あたりの変化量から加速度を算出する。
・スロットルポジションの単位時間あたりの変化量から加速度を算出する。
【0039】
次に、加速判定部10aにて、車両が加速中であるか否か(すなわち、排出量算出条件が成立したか否か)を判定する。これは、例えば算出した加速度が0を除く正の値となるときに、車両が加速中であると判定する。車両が加速中でないとき(S14:No)、燃料消費量およびCO2排出量を初期化して(S21)、本処理を終了する。
【0040】
一方、車両が加速中であるとき(S14:Yes)、パワトレECU30から車両走行状態情報を取得し、燃料消費量算出部10cにて燃料消費量を算出(累算)してRAM(図示せず)に記憶する(S15)。燃料消費量は、例えば、以下のように算出することができる。
・単位時間当たりの燃料消費量(ml/sec)を取得する場合は、単位時間あたりの燃料消費量とエコ運転支援情報出力処理の実行間隔との積を燃料消費量として算出する。
・シリンダ1本あたりの燃料噴射量およびエンジン回転数(rpm)を取得する場合を取得する場合は、燃料噴射量,シリンダ数,およびエコ運転支援情報出力処理の実行間隔内でのエンジン回転数との積を燃料消費量として算出する。
【0041】
次に、CO2排出量算出部10dにて、算出した燃料消費量に基づいて、CO2排出量を算出(累算)してRAMに記憶する(S16)。CO2排出量は、燃料消費量に、ROM(図示せず)に記憶され予め定められたCO2換算定数を乗じて算出する。CO2換算定数は、上述したCO2排出量の算出方法から導かれる2.32を用いてもよいし、車両の走行状態に応じて定められたマップデータを参照する方法を用いてもよい。
【0042】
次に、加速判定部10aにて、ステップS15で取得した車両走行状態情報に基づいて加速度を算出する(S17)。ステップS13で算出した加速度を用いてもよい。そして、算出した加速度が加速度閾値を上回らないとき(S18:No)、ステップS11に戻り、ステップS11〜ステップS17の車速判定,加速判定,燃料消費量およびCO2排出量の算出(累算)を繰り返す。
【0043】
一方、算出した加速度が加速度閾値を上回るとき(S18:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S19)。エコ運転支援情報に、燃料消費量を含めてもよい。
【0044】
図5に、上述のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャートを示す。但し、車速に関する前提条件は省いてある。加速度が0を除く正の値となったときに、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始し、これを累算していく。そして、加速度が加速度閾値THaccを上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。エコ運転支援情報が出力されると、表示器制御ECU20はこれを取得して表示器21に所定のタイミングで表示する(詳細は後述)。
【0045】
図5のように、車両が加速を終了したときにも、エコ運転支援情報を出力してもよい。この場合、加速中における全燃料消費量および全CO2排出量の算出および表示を行うことができる。
【実施例2】
【0046】
図3を用いて、エコ判定ECU10におけるエコ運転支援情報出力処理の第2の実施例について説明する。本実施例2は、上述の実施例1の変形例であるため、実施例1と同一のステップには同一の番号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0047】
まず、パワトレECU30から車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する(S11)。次に、取得した車両走行状態情報に含まれる車速が予め記憶された速度閾値を上回るか否かを判定する。車速が速度閾値を上回らないとき(S12:No)、燃料消費量,CO2(二酸化炭素)排出量,および加速継続時間を初期化(例えば、ゼロクリア)して(S211)、本処理を終了する。
【0048】
一方、車速が速度閾値を上回るとき(S12:Yes)、加速判定部10aにて、車両の加速度を算出し(S13)、車両が加速中であるか否かを判定する。車両が加速中でないとき(S14:No)、燃料消費量,CO2排出量,および加速継続時間を初期化して(S211)、本処理を終了する。
【0049】
一方、車両が加速中であるとき(S14:Yes)、加速継続時間を計測する(S141)。例えば、加速継続時間カウンタをインクリメントして、カウント値はRAM(図示せず)に記憶する。続いて、パワトレECU30から車両走行状態情報を取得し、燃料消費量算出部10cにて燃料消費量を算出(累算)してRAM(図示せず)に記憶する(S15)。次に、CO2排出量算出部10dにて、算出した燃料消費量に基づいて、CO2排出量を算出(累算)してRAMに記憶する(S16)。
【0050】
次に、加速判定部10aにて、ステップS15で取得した車両走行状態情報に基づいて加速度を算出する(S17)。ステップS13で算出した加速度を用いてもよい。そして、算出した加速度が加速度閾値を上回るとき(S18:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S19)。
【0051】
一方、算出した加速度が加速度閾値を上回らないとき(S18:No)、加速継続時間が加速継続時間閾値を上回ったか否かを判定する。加速継続時間が加速継続時間閾値を上回らないとき(S181:No)、ステップS11に戻り、ステップS11〜ステップS17の車速判定,加速判定,燃料消費量およびCO2排出量の算出(累算)を繰り返す。
【0052】
一方、加速継続時間が加速継続時間閾値を上回るとき(S181:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S19)。
【0053】
なお、ステップS18の加速度が加速度閾値を上回るか否かの判定を行わない構成としてもよい。また、実施例1と同様に、車速が速度閾値を上回ることを前提条件としなくてもよい。
【0054】
図6に、上述のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャートを示す。但し、車速に関する前提条件は省いてある。加速度が0を除く正の値となったときに、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始して、これを累算し、さらに加速継続時間の計測を開始する。そして、図5と同様に、加速度が加速度閾値THaccを上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。このようにすると急加速であることも運転者に表示することができる。
【0055】
また、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始してから(すなわち、加速中と判定してから)の加速継続時間が加速継続時間閾値T1を上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。エコ運転支援情報が出力されると、表示器制御ECU20はこれを取得して表示器21に所定のタイミングで表示する(詳細は後述)。また、図5と同様に、車両が加速を終了したときにも、エコ運転支援情報を出力してもよい。
【実施例3】
【0056】
図4を用いて、エコ判定ECU10におけるエコ運転支援情報出力処理の第3の実施例について説明する。本処理は、車両のエンジンのアイドル状態に基づいてエコ運転支援情報を出力するものである。なお、本処理は、エコ判定ECU10の制御部10kにおいてCPUがROMに記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0057】
まず、パワトレECU30から車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する(S31)。車両走行状態情報は、以下のうち後述の処理で必要なものを含む。
・アクセルポジション。
・スロットルポジション。
・燃料消費量(あるいは燃料噴射量)。
・車速。
・アイドルSW。
・エンジン回転数。
【0058】
次に、取得した車両走行状態情報に基づいて、車両のエンジンがアイドル状態であるか否かを判定する。判定方法は、以下のうちのいずれか1つ、あるいは複数の組み合わせを用いる。
・アクセルポジションが基準位置(すなわち、アクセルペダルが踏み込まれていない状態)にあるとき、アイドル状態と判定。
・スロットルポジションが全閉状態あるいはアイドル位置にあるとき、アイドル状態と判定。
・燃料消費量(あるいは燃料噴射量)が予め定められた値を下回るとき、アイドル状態と判定。
・車速がゼロである(あるいは予め定められた車速を下回る)下回るとき、アイドル状態と判定。
・アイドルSWがオン状態のとき、アイドル状態と判定。
(上述の各方法では、エンジンが回転していることを前提条件にしてもよい)
・エンジン回転数が予め定められた値を下回るとき、アイドル状態と判定。
また、エンジン回転時に、図示しないシフトポジションセンサで検出したシフトポジションが、ニュートラルあるいはパーキングの位置にあるとき、アイドル状態と判定してもよい。
【0059】
車両のエンジンがアイドル状態でないとき(S32:No)、燃料消費量,CO2(二酸化炭素)排出量,およびアイドル継続時間を初期化(例えば、ゼロクリア)して(S41)、本処理を終了する。
【0060】
一方、車両のエンジンがアイドル状態であるとき(S32:Yes)、アイドル継続時間を計測する(S33)。例えば、アイドル継続時間カウンタをインクリメントして、カウント値はRAM(図示せず)に記憶する。続いて、パワトレECU30から車両走行状態情報を取得し、燃料消費量算出部10cにて燃料消費量を算出(累算)してRAM(図示せず)に記憶する(S34)。次に、CO2排出量算出部10dにて、算出した燃料消費量に基づいて、CO2排出量を算出(累算)してRAMに記憶する(S35)。
【0061】
次に、アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を上回ったか否かを判定する。アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を上回らないとき(S36:No)、ステップS31に戻り、ステップS31〜ステップS35の燃料消費量およびCO2排出量の算出(累算)を繰り返す。
【0062】
一方、アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を上回るとき(S36:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S37)。エコ運転支援情報に、燃料消費量を含めてもよい。
【0063】
図7に、上述のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャートを示す。車両のエンジンがアイドル状態となったとき(IDL=ON)、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始して、これを累算し、さらにアイドル継続時間の計測を開始する。そして、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始してから(すなわち、アイドル中と判定してから)のアイドル継続時間がアイドル継続時間閾値T2を上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。
【0064】
エコ運転支援情報が出力されると、表示器制御ECU20はこれを取得して表示器21に所定のタイミングで表示する(詳細は後述)。
【0065】
図7のように、車両のエンジンがアイドル状態ではなくなったときにも、エコ運転支援情報を出力してもよい。この場合、アイドル期間中における全燃料消費量および全CO2排出量の算出および表示を行うことができる。
【0066】
図8を用いて、表示器制御ECU20におけるエコ運転支援情報表示処理について説明する。なお、本処理は、表示器制御ECU20の表示制御部20aにおいてCPUがROMに記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに繰り返し実行される。
【0067】
まず、車内LAN50を介して、エコ判定ECU10からエコ運転支援情報を取得したか否かを判定する。表示器制御ECU20では、エコ判定ECU10の通信I/F11と同様の回路(図示せず)を備え、予め定められたタイミングで車内LAN50からデータを取得しており、そのデータの中にエコ運転支援情報が含まれていれば、これを取得する。また、エコ判定ECU10から送信宛先を表示器制御ECU20に指定して、エコ運転支援情報を出力してもよい。
【0068】
エコ運転支援情報を取得しないとき(S51:No)、表示器21に通常時の表示画面を表示する(S56)。図9に、その一例を示す。図9の例では、ドライブモニタとして瞬間燃費および平均燃費が表示されている。瞬間燃費および平均燃費は、パワトレECU30から車内LAN50を介して必要な情報(例えば車両走行状態情報あるいは燃料消費量情報)を取得し、表示制御部20aで所定の演算処理を行って算出してもよいし、他の車載機器で算出された燃費情報を取得して表示してもよい。
【0069】
通常時の表示画面は、ドライブモニタの他に、運転者等の乗員のSW入力部22(例えば、「mode」ボタン)の操作により所望の画面を表示することができる。
【0070】
一方、エコ運転支援情報を取得したとき(S51:Yes)、表示内容カスタマイズ部20bを参照し(S52)、そのエコ運転支援情報を表示する設定になっているか否かを判定する。該エコ運転支援情報を表示しない設定になっているとき(S53:No)、表示器21に通常時の表示画面を表示する(S56)。
【0071】
一方、エコ運転支援情報を表示する設定になっているとき(S53:Yes)、表示器21に、該当するエコ運転支援情報を表示する(S54)。図10,図11に表示例を示す。図10は、加速継続時間が加速継続時間閾値を超えたときにエコ判定ECU10から出力されたエコ運転支援情報を表示したもので(実施例2)、図11は、アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を超えたときにエコ判定ECU10から出力されたエコ運転支援情報を表示したものである(実施例3)。これらの図のように、各状態の継続時間,燃料消費量,CO2排出量,および運転者に注意喚起を行うためのメッセージを表示する。
【0072】
そして、予め定められた表示終了タイミングが到来したとき(S55:Yes)、上述の通常表示に戻る(S56)。表示終了タイミングは、以下のいずれを用いてもよい。
・エコ運転支援情報を表示してから、例えば5秒のような予め定められた時間が経過ときを表示終了タイミングとする。
・エコ運転支援情報を取得後に、エコ判定ECU10からエコ運転支援情報表示終了コマンドを取得したときを表示終了タイミングとする。
・表示制御部20aにおいて、運転者等のSW入力部22の操作による、エコ運転支援情報の表示終了の指示を検出したとき。
【0073】
上述のエコ運転支援情報の表示/非表示を、運転者がカスタマイズ設定可能としてもよい。SW入力部22の操作により、図12のようなユーザ設定画面を表示し、アイドル節約表示(アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を超えたときの表示)、および加速節約表示(急加速時あるいは加速継続時間が加速継続時間閾値を超えたときの表示)のそれぞれについて表示(有り)/非表示(無し)を設定し、「決定」ボタンを押下(すなわち、画面をタッチ)する。設定内容は表示内容カスタマイズ部20bに記憶される。
【0074】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 運転支援装置
10 エコ判定ECU
10a 加速判定部(加速度算出部,加速状態判定部,加速継続時間計測部)
10b アイドル判定部(アイドル状態判定部,アイドル継続時間計測部)
10c 燃料消費量算出部
10d CO2排出量算出部(二酸化炭素排出量算出部)
10k 制御部(排出量算出条件成立判定部,エコ運転支援情報出力タイミング判定部)
11 通信I/F(車両走行状態情報取得部,エコ運転支援情報出力部)
20 表示器制御ECU
21 表示器(表示部)
20b 表示内容カスタマイズ部
30 パワートレイン制御ECU
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者のエコ運転を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から運転者のエコ運転を支援するエコ運転支援装置が車両に搭載されるようになってきた。例えば、運転者の運転特性に適したエコ運転支援の表示を表示領域に表示させることができるエコ運転支援装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0003】
「エコ」は、エコノミーとエコロジーの両方、またはいずれか一方の意味を含むものである。エコノミーとは、燃料の消費を抑えて燃料を節約すること(省燃費)を意味する。また、エコロジーとは、化石燃料の消費を抑えたり、または化石燃料の燃焼などによって生じる有害物質や二酸化炭素の発生、排出を抑えることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−145828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成は、運転者のエコ運転の習熟度を表示するものであるが、メーカによる習熟度の分割数の策定および習熟度合いの増減の適合が難しく、運転者のエコ運転向上につながらない場合がある。例えば、習熟しやすく適合すると運転者によっては常に習熟度が最高になりエコ運転の向上につながらない。また、習熟しにくく適合する、もしくは習熟度の分割数を増やして習熟度が最高レベルになかなか達しないように適合した場合には、運転者のエコ習熟度が上がっていく楽しさが少ないため、逆にストレスとなりかねないという問題が生ずる。
【0006】
また近年、運転者のエコ運転への意識は益々高まってきており、燃料消費量の低減に加えて、CO2(二酸化炭素)の排出量を減少させる運転をしたいというニーズも高まっている。特許文献1では、どのような運転をしたらエコ運転であるのか運転者に知らせることはできるが、運転の際に、使用燃料量やCO2排出量といった、運転者に分かりやすい定量的な指標がどう推移するかが分かり難いという問題もある。したがって、燃料消費量を1mlでも減らしたい、CO2排出量を1gでも減らしたいという運転者にとっては、特許文献1の構成は、十分なエコ運転指南機能となり得ていない。
【0007】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、運転者のエコ運転の習熟度に関係なく、かつ、エコ運転の度合いを定量的に表示することが可能な、運転者のエコ運転を支援する運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するための運転支援装置は、車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する車両走行状態情報取得部と、取得した車両走行状態情報に基づいて、該車両からの二酸化炭素の排出量を算出するための排出量算出条件が成立したか否かを判定する排出量算出条件成立判定部と、排出量算出条件が成立したと判定したとき、二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出部と、算出した二酸化炭素の排出量に関する情報を含むエコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力タイミングが到来したか否かを判定するエコ運転支援情報出力タイミング判定部と、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定したときに、エコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、運転者が実際にCO2排出量を減少させるためにはどういう表示が必要かということに着眼したものである。従来技術とは異なり、全運転領域での運転習熟度を表示するのではなく、加速時やアイドル放置時のような、運転者の運転によって調節できる領域でのCO2排出量を定量的に出力(例えば表示)する。これにより、従来技術のようなエコ運転の習熟度表示ではエコ運転であったかどうか分からなかったものを、運転者の操作毎の具体的な数値表示でエコ運転であったかどうかを、運転者自身が判断できるようになる。また、実際の燃料消費量もしくはCO2排出量を表示するため、習熟度の分割や習熟度合いの適合は不要となる。
【0010】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の燃料消費量に関する情報を含み、二酸化炭素排出量算出部は、燃料消費量に基づいて二酸化炭素の排出量を算出する。
【0011】
燃料消費量は、エンジンへの燃料の流量やエンジンでの燃料噴射量から算出することができる。また、ガソリンの主成分はオクタン(C8H18)とされ、この場合、炭素の重量の割合は12×8/(12×8+18×1)となり、ガソリン1リットルあたりの炭素の重量は約0.63kgとなる。ガソリンは燃焼すると水(H2O)と二酸化炭素(CO2)になるので、二酸化炭素の排出量はガソリン1リットルあたり約2.32kgと算出することができる。上記構成によって、コスト上昇を抑えつつ二酸化炭素の排出量を算出することが可能となる。
【0012】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の速度に関する情報を含み、車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、算出した車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、排出量算出条件成立判定部は、加速状態判定部が、車両が加速していると判定したときに、排出量算出条件が成立したと判定し、エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、検出した車両の加速度が予め定められた加速度閾値を上回るとき、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する。
【0013】
上記構成によって、例えば急加速時におけるCO2排出量を算出・出力することができる。
【0014】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の速度に関する情報を含み、車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、算出した車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、排出量算出条件成立判定部は、加速状態判定部が、車両が加速していると判定したときに、排出量算出条件が成立したと判定し、車両が加速している状態が継続する時間である加速継続時間を計測する加速継続時間計測部をさらに備え、エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、加速継続時間が予め定められた加速継続時間閾値を上回ったときに、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する。
【0015】
上記構成によって、急加速ではないが加速状態が長く続くときにもCO2排出量を算出・出力することができる。
【0016】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両の速度に関する車速情報を含み、加速度算出部は、検出した車両の速度が予め定められた速度閾値を上回るときに、車両の加速度を算出する。
【0017】
上記構成によって、例えば渋滞時のノロノロ運転中の加速時には、CO2排出量を算出・出力しないようにすることができる。
【0018】
また、本発明の運転支援装置における車両走行状態情報は、車両のエンジン状態に関する情報を含み、エンジン状態に基づいて、車両のエンジンがアイドル状態であるか否かを判定するアイドル状態判定部と、を備え、排出量算出条件成立判定部は、車両のエンジンがアイドル状態であると判定したときに、排出量算出条件が成立したと判定し、アイドル状態の継続時間を計測するアイドル継続時間計測部と、をさらに備え、エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、アイドル状態の継続時間が予め定められたアイドル継続時間閾値を上回ったときに、エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する。
【0019】
上記構成によって、エンジンのアイドル状態が長く続くときに、CO2排出量を算出・出力することができる。
【0020】
また、本発明の運転支援装置は、エコ運転支援情報出力部が出力したエコ運転支援情報を表示する表示部を備える。
【0021】
上記構成によって、運転者は、自らの(無駄な)運転操作によってどれだけの二酸化炭素が(余計に)排出されたことを知らされるので、よりエコ運転を行うための注意を喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】運転支援装置の構成を示すブロック図。
【図2】エコ運転支援情報出力処理を説明するフロー図(実施例1)。
【図3】エコ運転支援情報出力処理を説明するフロー図(実施例2)。
【図4】エコ運転支援情報出力処理を説明するフロー図(実施例3)。
【図5】図2のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャート(実施例1)。
【図6】図3のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャート(実施例2)。
【図7】図4のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャート(実施例3)。
【図8】エコ運転支援情報表示処理を説明するフロー図。
【図9】通常時の表示画面例を示す図。
【図10】エコ運転支援情報表示時の表示画面例を示す図(実施例2)。
【図11】エコ運転支援情報表示時の表示画面例を示す図(実施例3)。
【図12】ユーザ設定画面の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の運転支援装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1のように、運転支援装置1はエコ判定ECU10,表示器21の表示を制御する表示器制御ECU20,エンジンおよびトランスミッションの制御を行うパワートレイン制御ECU(以下、「パワトレECU」と略称することもある)30を含んで構成される。そして、これらECUは車内LAN(Local Area Network)50により通信可能にネットワーク接続されている。
【0024】
また、上述の各ECUは、CPU,ROM,RAM(いずれも図示せず)等を含む制御部や、入出力回路,通信インターフェース等の周辺回路など(いずれも図示せず)を備える周知のコンピュータハードウェアとして構成され、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、各ECUにおける所定の機能を実現する。すなわち、入出力回路あるいは通信インターフェースを介して取得したセンサ信号等の入力情報に基づいて、CPUにおいて対応する演算処理を行い、演算結果に基づいてアクチュエータを作動させたり、演算結果を外部へ出力する。
【0025】
パワートレイン制御ECU30は、各種センサ31から吸入空気量や車速等を表すセンサ信号を取得して、取得したセンサ信号に基づいて燃料噴射量,点火時期,変速タイミング等の制御指令値の演算を行い、この演算結果に基づいてインジェクタや点火コイル等のアクチュエータ(図示せず)を制御する。
【0026】
各種センサ31は、例えばアクセルペダルの踏み込み量であるアクセルポジションを検出するアクセルポジションセンサ,スロットルバルブの開度であるスロットルポジションを検出するスロットルポジションセンサ,エンジンがアイドル状態かを検出するアイドルスイッチ(SW),エンジンの給排気バルブ(可変タイミングバルブあるいは可変バルブともいう)の開閉状態を検出するバルブタイミングセンサ,車速を検出する車速センサ,エンジン回転数を検出するエンジン回転センサを含んでいる。他に、エンジンが吸入する空気の温度を検出する吸気温センサ,エンジン冷却水の温度を検出する水温センサを含んでもよい。
【0027】
上記のような構成を有することにより、パワートレイン制御ECU30は、例えば、アクセルポジション信号あるいはスロットルポジション信号に基づいて、スロットルバルブ開度算出部30bでスロットルバルブの開度を算出し、車速信号などの他のセンサ信号とから、必要な燃料噴射量や点火時期を算出する。また、燃料消費量演算部30aでは、燃料噴射量,エンジン回転数,エンジンのシリンダ数(あるいはインジェクタの数),点火時期から、単位時間あたりあるいはエンジン1回転あたりの燃料消費量を演算し、エンジンの回転制御を行う。また、各種センサ情報および燃料消費量情報を、LAN50を介して他のECUに出力する。なお、燃料消費量演算部30a,スロットルバルブ開度算出部30bは、上述した制御部(30k)に含まれる。
【0028】
エコ判定ECU10は、車両の加速に関する演算・判定を行う加速判定部10a,エンジンのアイドル状態に関する演算・判定を行うアイドル判定部10b,エンジンの燃料消費量を算出する燃料消費量算出部10c,燃料消費量に基づいてCO2排出量を算出するCO2排出量算出部10dを含む制御部10kと、車内LAN50を介して他のECUとの通信を行う通信I/F(インターフェース)11を備えている。
【0029】
なお、加速判定部10aが本発明の加速度算出部,加速状態判定部,加速継続時間計測部に相当する。また、アイドル判定部10bが本発明のアイドル状態判定部,アイドル継続時間計測部に相当する。また、CO2排出量算出部10dが本発明の二酸化炭素排出量算出部に相当する。また、制御部10kが本発明の排出量算出条件成立判定部,エコ運転支援情報出力タイミング判定部に相当する。また、通信I/F11が本発明の車両走行状態情報取得部,エコ運転支援情報出力部に相当する。
【0030】
表示器制御ECU20は、表示用の情報を車内LAN50を介して取得し、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成される表示内容カスタマイズ部20bに記憶されたカスタマイズ内容に基づいて、表示/非表示あるいは表示内容を決定し、表示制御部20a(上述の制御部と同様の構成をとる)が、表示器21に対して描画指示を送る。描画指示の内容には、例えば、描画用のデータ,その描画用のデータの表示時間を含む。
【0031】
表示器21は、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)として構成される。LEDインジケータ群として構成してもよい。また、表示器21は、これら表示デバイスを表示駆動するためのドライバ回路も含んでいる。なお、表示器21が本発明の表示部に相当する。
【0032】
また、表示器21には、周知のメカニカルスイッチあるいは表示器21の表面に取り付けられたタッチパネルで構成されたスイッチ(SW)入力部22が接続され、運転者等が操作入力を行うことができるようになっている。SW入力部22には、例えば、表示モードを切り替える「mode」ボタン,表示内容を選択する「select」ボタン,表示内容あるいは設定内容をリセットする「reset」ボタン等が備えられている。
【0033】
表示器制御ECU20,表示器21を、車両の計器パネル内のメータ表示の制御を行う、いわゆるメータECUと構成してもよい。また、エコ判定ECU10,表示器制御ECU20,表示器21を、周知の車両用ナビゲーション装置の機能の一部として構成してもよい。
【実施例1】
【0034】
図2を用いて、エコ判定ECU10におけるエコ運転支援情報出力処理の第1の実施例について説明する。本処理は、車両の加速度に基づいてエコ運転支援情報を出力するものである。なお、本処理は、エコ判定ECU10の制御部10kにおいてCPUがROMに記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに繰り返し実行される。
【0035】
まず、パワトレECU30から車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する(S11)。車両走行状態情報は、以下のうち後述の処理で必要なものを含む。
・アクセルポジション。
・スロットルポジション。
・燃料消費量(あるいは燃料噴射量)。
・車速。
・アイドルSWの状態。
・エンジン回転数。
【0036】
次に、取得した車速(図2では「速度」と表記)がROM(図示せず)に予め記憶された速度閾値を上回るか否かを判定する。速度が速度閾値を上回らないとき(S12:No)、燃料消費量およびCO2(二酸化炭素)排出量を初期化(例えば、ゼロクリア)して(S21)、本処理を終了する。一方、車速が速度閾値を上回るとき(S12:Yes)、次のステップ(S13)に進む。
【0037】
上述の例では、車速が速度閾値を上回ることを前提条件としているが、車速に依らず、すなわちステップS12をスキップして以降の処理を実行するようにしてもよい。
【0038】
ステップS13では、加速判定部10aにて、以下の少なくとも1つを用いて車両の加速度を算出する。
・車速の単位時間あたりの変化量から加速度を算出する。
・アクセルポジションの単位時間あたりの変化量から加速度を算出する。
・スロットルポジションの単位時間あたりの変化量から加速度を算出する。
【0039】
次に、加速判定部10aにて、車両が加速中であるか否か(すなわち、排出量算出条件が成立したか否か)を判定する。これは、例えば算出した加速度が0を除く正の値となるときに、車両が加速中であると判定する。車両が加速中でないとき(S14:No)、燃料消費量およびCO2排出量を初期化して(S21)、本処理を終了する。
【0040】
一方、車両が加速中であるとき(S14:Yes)、パワトレECU30から車両走行状態情報を取得し、燃料消費量算出部10cにて燃料消費量を算出(累算)してRAM(図示せず)に記憶する(S15)。燃料消費量は、例えば、以下のように算出することができる。
・単位時間当たりの燃料消費量(ml/sec)を取得する場合は、単位時間あたりの燃料消費量とエコ運転支援情報出力処理の実行間隔との積を燃料消費量として算出する。
・シリンダ1本あたりの燃料噴射量およびエンジン回転数(rpm)を取得する場合を取得する場合は、燃料噴射量,シリンダ数,およびエコ運転支援情報出力処理の実行間隔内でのエンジン回転数との積を燃料消費量として算出する。
【0041】
次に、CO2排出量算出部10dにて、算出した燃料消費量に基づいて、CO2排出量を算出(累算)してRAMに記憶する(S16)。CO2排出量は、燃料消費量に、ROM(図示せず)に記憶され予め定められたCO2換算定数を乗じて算出する。CO2換算定数は、上述したCO2排出量の算出方法から導かれる2.32を用いてもよいし、車両の走行状態に応じて定められたマップデータを参照する方法を用いてもよい。
【0042】
次に、加速判定部10aにて、ステップS15で取得した車両走行状態情報に基づいて加速度を算出する(S17)。ステップS13で算出した加速度を用いてもよい。そして、算出した加速度が加速度閾値を上回らないとき(S18:No)、ステップS11に戻り、ステップS11〜ステップS17の車速判定,加速判定,燃料消費量およびCO2排出量の算出(累算)を繰り返す。
【0043】
一方、算出した加速度が加速度閾値を上回るとき(S18:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S19)。エコ運転支援情報に、燃料消費量を含めてもよい。
【0044】
図5に、上述のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャートを示す。但し、車速に関する前提条件は省いてある。加速度が0を除く正の値となったときに、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始し、これを累算していく。そして、加速度が加速度閾値THaccを上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。エコ運転支援情報が出力されると、表示器制御ECU20はこれを取得して表示器21に所定のタイミングで表示する(詳細は後述)。
【0045】
図5のように、車両が加速を終了したときにも、エコ運転支援情報を出力してもよい。この場合、加速中における全燃料消費量および全CO2排出量の算出および表示を行うことができる。
【実施例2】
【0046】
図3を用いて、エコ判定ECU10におけるエコ運転支援情報出力処理の第2の実施例について説明する。本実施例2は、上述の実施例1の変形例であるため、実施例1と同一のステップには同一の番号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0047】
まず、パワトレECU30から車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する(S11)。次に、取得した車両走行状態情報に含まれる車速が予め記憶された速度閾値を上回るか否かを判定する。車速が速度閾値を上回らないとき(S12:No)、燃料消費量,CO2(二酸化炭素)排出量,および加速継続時間を初期化(例えば、ゼロクリア)して(S211)、本処理を終了する。
【0048】
一方、車速が速度閾値を上回るとき(S12:Yes)、加速判定部10aにて、車両の加速度を算出し(S13)、車両が加速中であるか否かを判定する。車両が加速中でないとき(S14:No)、燃料消費量,CO2排出量,および加速継続時間を初期化して(S211)、本処理を終了する。
【0049】
一方、車両が加速中であるとき(S14:Yes)、加速継続時間を計測する(S141)。例えば、加速継続時間カウンタをインクリメントして、カウント値はRAM(図示せず)に記憶する。続いて、パワトレECU30から車両走行状態情報を取得し、燃料消費量算出部10cにて燃料消費量を算出(累算)してRAM(図示せず)に記憶する(S15)。次に、CO2排出量算出部10dにて、算出した燃料消費量に基づいて、CO2排出量を算出(累算)してRAMに記憶する(S16)。
【0050】
次に、加速判定部10aにて、ステップS15で取得した車両走行状態情報に基づいて加速度を算出する(S17)。ステップS13で算出した加速度を用いてもよい。そして、算出した加速度が加速度閾値を上回るとき(S18:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S19)。
【0051】
一方、算出した加速度が加速度閾値を上回らないとき(S18:No)、加速継続時間が加速継続時間閾値を上回ったか否かを判定する。加速継続時間が加速継続時間閾値を上回らないとき(S181:No)、ステップS11に戻り、ステップS11〜ステップS17の車速判定,加速判定,燃料消費量およびCO2排出量の算出(累算)を繰り返す。
【0052】
一方、加速継続時間が加速継続時間閾値を上回るとき(S181:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S19)。
【0053】
なお、ステップS18の加速度が加速度閾値を上回るか否かの判定を行わない構成としてもよい。また、実施例1と同様に、車速が速度閾値を上回ることを前提条件としなくてもよい。
【0054】
図6に、上述のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャートを示す。但し、車速に関する前提条件は省いてある。加速度が0を除く正の値となったときに、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始して、これを累算し、さらに加速継続時間の計測を開始する。そして、図5と同様に、加速度が加速度閾値THaccを上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。このようにすると急加速であることも運転者に表示することができる。
【0055】
また、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始してから(すなわち、加速中と判定してから)の加速継続時間が加速継続時間閾値T1を上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。エコ運転支援情報が出力されると、表示器制御ECU20はこれを取得して表示器21に所定のタイミングで表示する(詳細は後述)。また、図5と同様に、車両が加速を終了したときにも、エコ運転支援情報を出力してもよい。
【実施例3】
【0056】
図4を用いて、エコ判定ECU10におけるエコ運転支援情報出力処理の第3の実施例について説明する。本処理は、車両のエンジンのアイドル状態に基づいてエコ運転支援情報を出力するものである。なお、本処理は、エコ判定ECU10の制御部10kにおいてCPUがROMに記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0057】
まず、パワトレECU30から車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する(S31)。車両走行状態情報は、以下のうち後述の処理で必要なものを含む。
・アクセルポジション。
・スロットルポジション。
・燃料消費量(あるいは燃料噴射量)。
・車速。
・アイドルSW。
・エンジン回転数。
【0058】
次に、取得した車両走行状態情報に基づいて、車両のエンジンがアイドル状態であるか否かを判定する。判定方法は、以下のうちのいずれか1つ、あるいは複数の組み合わせを用いる。
・アクセルポジションが基準位置(すなわち、アクセルペダルが踏み込まれていない状態)にあるとき、アイドル状態と判定。
・スロットルポジションが全閉状態あるいはアイドル位置にあるとき、アイドル状態と判定。
・燃料消費量(あるいは燃料噴射量)が予め定められた値を下回るとき、アイドル状態と判定。
・車速がゼロである(あるいは予め定められた車速を下回る)下回るとき、アイドル状態と判定。
・アイドルSWがオン状態のとき、アイドル状態と判定。
(上述の各方法では、エンジンが回転していることを前提条件にしてもよい)
・エンジン回転数が予め定められた値を下回るとき、アイドル状態と判定。
また、エンジン回転時に、図示しないシフトポジションセンサで検出したシフトポジションが、ニュートラルあるいはパーキングの位置にあるとき、アイドル状態と判定してもよい。
【0059】
車両のエンジンがアイドル状態でないとき(S32:No)、燃料消費量,CO2(二酸化炭素)排出量,およびアイドル継続時間を初期化(例えば、ゼロクリア)して(S41)、本処理を終了する。
【0060】
一方、車両のエンジンがアイドル状態であるとき(S32:Yes)、アイドル継続時間を計測する(S33)。例えば、アイドル継続時間カウンタをインクリメントして、カウント値はRAM(図示せず)に記憶する。続いて、パワトレECU30から車両走行状態情報を取得し、燃料消費量算出部10cにて燃料消費量を算出(累算)してRAM(図示せず)に記憶する(S34)。次に、CO2排出量算出部10dにて、算出した燃料消費量に基づいて、CO2排出量を算出(累算)してRAMに記憶する(S35)。
【0061】
次に、アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を上回ったか否かを判定する。アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を上回らないとき(S36:No)、ステップS31に戻り、ステップS31〜ステップS35の燃料消費量およびCO2排出量の算出(累算)を繰り返す。
【0062】
一方、アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を上回るとき(S36:Yes)、上述で算出したCO2排出量を含むエコ運転支援情報を、通信I/F11,車内LAN50を介して他のECUに出力する(S37)。エコ運転支援情報に、燃料消費量を含めてもよい。
【0063】
図7に、上述のエコ運転支援情報出力処理における各処理の動作タイミングを表したタイミングチャートを示す。車両のエンジンがアイドル状態となったとき(IDL=ON)、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始して、これを累算し、さらにアイドル継続時間の計測を開始する。そして、燃料消費量およびCO2排出量の算出を開始してから(すなわち、アイドル中と判定してから)のアイドル継続時間がアイドル継続時間閾値T2を上回るとき、エコ運転支援情報を出力する。
【0064】
エコ運転支援情報が出力されると、表示器制御ECU20はこれを取得して表示器21に所定のタイミングで表示する(詳細は後述)。
【0065】
図7のように、車両のエンジンがアイドル状態ではなくなったときにも、エコ運転支援情報を出力してもよい。この場合、アイドル期間中における全燃料消費量および全CO2排出量の算出および表示を行うことができる。
【0066】
図8を用いて、表示器制御ECU20におけるエコ運転支援情報表示処理について説明する。なお、本処理は、表示器制御ECU20の表示制御部20aにおいてCPUがROMに記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに繰り返し実行される。
【0067】
まず、車内LAN50を介して、エコ判定ECU10からエコ運転支援情報を取得したか否かを判定する。表示器制御ECU20では、エコ判定ECU10の通信I/F11と同様の回路(図示せず)を備え、予め定められたタイミングで車内LAN50からデータを取得しており、そのデータの中にエコ運転支援情報が含まれていれば、これを取得する。また、エコ判定ECU10から送信宛先を表示器制御ECU20に指定して、エコ運転支援情報を出力してもよい。
【0068】
エコ運転支援情報を取得しないとき(S51:No)、表示器21に通常時の表示画面を表示する(S56)。図9に、その一例を示す。図9の例では、ドライブモニタとして瞬間燃費および平均燃費が表示されている。瞬間燃費および平均燃費は、パワトレECU30から車内LAN50を介して必要な情報(例えば車両走行状態情報あるいは燃料消費量情報)を取得し、表示制御部20aで所定の演算処理を行って算出してもよいし、他の車載機器で算出された燃費情報を取得して表示してもよい。
【0069】
通常時の表示画面は、ドライブモニタの他に、運転者等の乗員のSW入力部22(例えば、「mode」ボタン)の操作により所望の画面を表示することができる。
【0070】
一方、エコ運転支援情報を取得したとき(S51:Yes)、表示内容カスタマイズ部20bを参照し(S52)、そのエコ運転支援情報を表示する設定になっているか否かを判定する。該エコ運転支援情報を表示しない設定になっているとき(S53:No)、表示器21に通常時の表示画面を表示する(S56)。
【0071】
一方、エコ運転支援情報を表示する設定になっているとき(S53:Yes)、表示器21に、該当するエコ運転支援情報を表示する(S54)。図10,図11に表示例を示す。図10は、加速継続時間が加速継続時間閾値を超えたときにエコ判定ECU10から出力されたエコ運転支援情報を表示したもので(実施例2)、図11は、アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を超えたときにエコ判定ECU10から出力されたエコ運転支援情報を表示したものである(実施例3)。これらの図のように、各状態の継続時間,燃料消費量,CO2排出量,および運転者に注意喚起を行うためのメッセージを表示する。
【0072】
そして、予め定められた表示終了タイミングが到来したとき(S55:Yes)、上述の通常表示に戻る(S56)。表示終了タイミングは、以下のいずれを用いてもよい。
・エコ運転支援情報を表示してから、例えば5秒のような予め定められた時間が経過ときを表示終了タイミングとする。
・エコ運転支援情報を取得後に、エコ判定ECU10からエコ運転支援情報表示終了コマンドを取得したときを表示終了タイミングとする。
・表示制御部20aにおいて、運転者等のSW入力部22の操作による、エコ運転支援情報の表示終了の指示を検出したとき。
【0073】
上述のエコ運転支援情報の表示/非表示を、運転者がカスタマイズ設定可能としてもよい。SW入力部22の操作により、図12のようなユーザ設定画面を表示し、アイドル節約表示(アイドル継続時間がアイドル継続時間閾値を超えたときの表示)、および加速節約表示(急加速時あるいは加速継続時間が加速継続時間閾値を超えたときの表示)のそれぞれについて表示(有り)/非表示(無し)を設定し、「決定」ボタンを押下(すなわち、画面をタッチ)する。設定内容は表示内容カスタマイズ部20bに記憶される。
【0074】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 運転支援装置
10 エコ判定ECU
10a 加速判定部(加速度算出部,加速状態判定部,加速継続時間計測部)
10b アイドル判定部(アイドル状態判定部,アイドル継続時間計測部)
10c 燃料消費量算出部
10d CO2排出量算出部(二酸化炭素排出量算出部)
10k 制御部(排出量算出条件成立判定部,エコ運転支援情報出力タイミング判定部)
11 通信I/F(車両走行状態情報取得部,エコ運転支援情報出力部)
20 表示器制御ECU
21 表示器(表示部)
20b 表示内容カスタマイズ部
30 パワートレイン制御ECU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する車両走行状態情報取得部と、
取得した前記車両走行状態情報に基づいて、該車両からの二酸化炭素の排出量を算出するための排出量算出条件が成立したか否かを判定する排出量算出条件成立判定部と、
前記排出量算出条件が成立したと判定したとき、前記二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出部と、
算出した前記二酸化炭素の排出量に関する情報を含むエコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力タイミングが到来したか否かを判定するエコ運転支援情報出力タイミング判定部と、
前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定したときに、前記エコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力部と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記車両走行状態情報は、前記車両の燃料消費量に関する情報を含み、
前記二酸化炭素排出量算出部は、前記燃料消費量に基づいて前記二酸化炭素の排出量を算出する請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記車両走行状態情報は、前記車両の速度に関する情報を含み、
前記車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、
算出した前記車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、
前記排出量算出条件成立判定部は、前記加速状態判定部が、前記車両が加速していると判定したときに、前記排出量算出条件が成立したと判定し、
前記エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、検出した前記車両の加速度が予め定められた加速度閾値を上回るとき、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記車両走行状態情報は、前記車両の速度に関する情報を含み、
前記車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、
算出した前記車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、
前記排出量算出条件成立判定部は、前記加速状態判定部が、前記車両が加速していると判定したときに、前記排出量算出条件が成立したと判定し、
前記車両が加速している状態が継続する時間である加速継続時間を計測する加速継続時間計測部をさらに備え、
前記エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、前記加速継続時間が予め定められた加速継続時間閾値を上回ったときに、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両走行状態情報は、前記車両の速度に関する車速情報を含み、
前記加速度算出部は、検出した前記車両の速度が予め定められた速度閾値を上回るときに、前記車両の加速度を算出する請求項3または請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記車両走行状態情報は、前記車両のエンジン状態に関する情報を含み、
前記エンジン状態に基づいて、前記車両のエンジンがアイドル状態であるか否かを判定するアイドル状態判定部と、を備え、
前記排出量算出条件成立判定部は、前記車両のエンジンがアイドル状態であると判定したときに、前記排出量算出条件が成立したと判定し、
前記アイドル状態の継続時間を計測するアイドル継続時間計測部と、をさらに備え、
前記エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、前記アイドル状態の継続時間が予め定められたアイドル継続時間閾値を上回ったときに、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記エコ運転支援情報出力部が出力した前記エコ運転支援情報を表示する表示部を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項1】
車両の走行状態を含む車両走行状態情報を取得する車両走行状態情報取得部と、
取得した前記車両走行状態情報に基づいて、該車両からの二酸化炭素の排出量を算出するための排出量算出条件が成立したか否かを判定する排出量算出条件成立判定部と、
前記排出量算出条件が成立したと判定したとき、前記二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出部と、
算出した前記二酸化炭素の排出量に関する情報を含むエコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力タイミングが到来したか否かを判定するエコ運転支援情報出力タイミング判定部と、
前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定したときに、前記エコ運転支援情報を出力するエコ運転支援情報出力部と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記車両走行状態情報は、前記車両の燃料消費量に関する情報を含み、
前記二酸化炭素排出量算出部は、前記燃料消費量に基づいて前記二酸化炭素の排出量を算出する請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記車両走行状態情報は、前記車両の速度に関する情報を含み、
前記車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、
算出した前記車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、
前記排出量算出条件成立判定部は、前記加速状態判定部が、前記車両が加速していると判定したときに、前記排出量算出条件が成立したと判定し、
前記エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、検出した前記車両の加速度が予め定められた加速度閾値を上回るとき、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記車両走行状態情報は、前記車両の速度に関する情報を含み、
前記車両の速度に基づいて、該車両の加速度を算出する加速度算出部と、
算出した前記車両の加速度に基づいて、該車両が加速しているか否かを判定する加速状態判定部と、を備え、
前記排出量算出条件成立判定部は、前記加速状態判定部が、前記車両が加速していると判定したときに、前記排出量算出条件が成立したと判定し、
前記車両が加速している状態が継続する時間である加速継続時間を計測する加速継続時間計測部をさらに備え、
前記エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、前記加速継続時間が予め定められた加速継続時間閾値を上回ったときに、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両走行状態情報は、前記車両の速度に関する車速情報を含み、
前記加速度算出部は、検出した前記車両の速度が予め定められた速度閾値を上回るときに、前記車両の加速度を算出する請求項3または請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記車両走行状態情報は、前記車両のエンジン状態に関する情報を含み、
前記エンジン状態に基づいて、前記車両のエンジンがアイドル状態であるか否かを判定するアイドル状態判定部と、を備え、
前記排出量算出条件成立判定部は、前記車両のエンジンがアイドル状態であると判定したときに、前記排出量算出条件が成立したと判定し、
前記アイドル状態の継続時間を計測するアイドル継続時間計測部と、をさらに備え、
前記エコ運転支援情報出力タイミング判定部は、前記アイドル状態の継続時間が予め定められたアイドル継続時間閾値を上回ったときに、前記エコ運転支援情報出力タイミングが到来したと判定する請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記エコ運転支援情報出力部が出力した前記エコ運転支援情報を表示する表示部を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−203456(P2011−203456A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70199(P2010−70199)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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