説明

過酸化物により硬化される熱可塑性加硫物

本発明は動的硬化されたゴム、及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性加硫物を提供し、ゴムは高ビニルポリジエン、高ビニルポリジエンコポリマー、α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩又はこれらの混合物よりなる群から選択される補助剤の存在下で硬化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一以上の実施の態様は、一以上の特定の硬化補助剤の使用に少なくとも部分的に由来する技術的に有用な特徴を示す過酸化物硬化加硫物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム及びプラスチックのブレンドは、少なくとも幾つかの熱硬化性エラストマーの特性を示すが、熱可塑性物質として加工が可能な組成物である熱硬化性エラストマーを生成することを期待して生産されている。例えば、米国特許第3,806,558号は、ゴムが動的条件下で部分的に硬化されているモノオレフィンコポリマーゴム及びポリオレフィン樹脂のブレンドを教示する。過酸化物硬化剤はこのプロセスで、硫黄、bisマレイミドを含むマレイミド、ポリ不飽和化合物(例えば、シアヌール酸塩、及びアクリルエステル(例えば、トリメチロールプロパントリメチタアクリル酸)の様な補助剤と共に使用しても良い。これらのブレンド中のゴムのゲル含有量は96%を超えない。
【0003】
これらの組成物の光学的特性の改善を試みて、米国特許第4,087,485号はポリプロピレン、低密度ポリエチレン、及びエチレンープロピレン コポリマーゴムの動的硬化ブレンドについて教示する。動的硬化プロセスは、低密度ポリエチレン及びゴムを少なくとも部分的に硬化させるが、ポリプロピレンの分解を防ぐことのできる硫黄及び/又はある三官能性モノマーと共に有機過酸化物を用いて実行しても良い。これらの三官能性モノマーは、シアヌル酸トリアリル、リン酸トリアリル、及びリン酸トリ(2,3-ジブロモプロピル)を含む。
【0004】
同様に、永久歪及びこれらのブレンドの引張り強さ、対候性、対油性及び熱安定性の様な特性のバランスを改善するために、米国特許第4,108,947号は、本質的にオレフィン系ゴム、ポリオレフィン樹脂及び1,2−付加単位が70%以上のポリブタジエンよりなる動的硬化されたブレンドを教示する。組成物の流動性を維持するために部分交差結合(すなわち、96%未満)であることが重要である。
【0005】
流動性の問題について、米国特許第4,247,652号は過酸化物硬化オレフィンコポリマーゴム(例えば、 EPDM)、過酸化物分解オレフィンプラスチック(例えば、アイソタクチック ポリプロピレン)、過酸化物非硬化性炭化水素ゴム状物質(ブチルゴム)、及び鉱物油軟化剤のブレンドを教示する。これらのブレンドは、過酸化物を、硫黄、p−キノン ジオキシム、p、p’−ジベンゾイル キノン ジオキシム、N-メチルーN, 4−ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニル グアニジン、トリメチロール プロパンーN,N’―m−フェニレン ジマレアミドの様なペルオキシー硬化促進剤、又はジビニルベンゼンの様な多官能性 ビニルモノマー、又はシアヌル酸トリアリル、又はエチレングリコール ジメタクリル樹脂、ジエチレングリコール ジメタクリル樹脂、ポリエチレングリコール ジメタクリル樹脂、トリメチロール プロパン トリメタクリル樹脂、又はアリル メタクリル樹脂の様な多官能性メタクリル樹脂モノマーと共に過酸化物を使用することにより動的硬化される。本特許は部分的に硬化されたゴムについて教示するにも関わらず、このゴムは35℃のシクロヘキサン中で約20から99%ゲル含有量の範囲で硬化されると言われている。しかし明細書に示されているデータは99%よりかなり低い硬化のレベルを示唆する。
【0006】
同様に、米国特許第4,785,045号は過酸化物―交差結合可能なオレフィンコポリマーゴム、過酸化物―交差結合可能なポリオレフィン樹脂、及び過酸化物―分解可能なポリオレフィン樹脂の動的硬化されたブレンドを教示する。動的硬化は過酸化物を、p−キノン ジオキシム、p、p’−ジベンゾイル キノン ジオキシム、N-メチルーN, 4−ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニル グアニジン、トリメチロール プロパンーN,N’―m−フェニレン ジマレアミド、ジビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、エチレングリコール ジメタクリル樹脂、ジエチレングリコール ジメタクリル樹脂、ポリエチレングリコール ジメタクリル樹脂、トリメタロール プロパン トリメタクリル樹脂、アリル メタクリル樹脂、ビニル ブチラート及びビニル ステアレートの様な交差結合助剤と共に用いて実行する。本特許は部分的に硬化されたゴムを教示するが、ゴムはシクロヘキサン中で約45から98%の範囲で硬化されうるとしている。
【0007】
同様に、全般の特性、特に引張り強さ及び弾性値の良好なバランスを得るために、米国特許第4,948,840号は、プロピレンポリマー材料、非晶質エチレンープロピレンコポリマーゴム、及び半結晶質、低密度、本質的に線状のエチレンープロピレンコポリマーの動的硬化されたブレンドを教示する。組成物は、1,2−ポリブタジエン及び過酸化物交差結合剤を含む硬化系で部分的に硬化される。1,2−ポリブタジエンに加え、硬化系は更に、フェニレンーbis―マレイミド及び/又はメルカプトベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジスルフィド、テトラメチルチウラム モノスルフィド、テトラメチルチウラム ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム ヘキサスルフィド、N,N’―ジエチルチオウリア及びジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の様な補助剤を含んでも良い。ゴムは94%ゲルを超えない範囲で硬化する。
【0008】
また、ゴムが十分硬化したゴム及びプラスチックのブレンドが開示されている。例えば、米国特許第4,130,535号は、ゴムは完全に硬化している(すなわち、23℃のシクロヘキサンでゴムが3%を超えて抽出されない)オレフィンゴム及び熱可塑性オレフィン樹脂のブレンドを含む熱硬化性加硫物を開示する。硫黄又は過酸化物をベースとする硬化系を含み多くの硬化系が開示されている。
【0009】
熱硬化性加硫物を十分に硬化させる過酸化物の使用がプラスチックに好ましくない副次的影響を与えることがあることを考慮し、米国特許第6,656,693号は、エチレン、α―オレフィン及び5−ビニルー2−ノルボルネンの共重合から得られるエラストマー性コポリマーゴムの使用について教示する。このゴムを使用する場合、硬化の程度が高い硬化熱硬化性加硫物が、従来用いられた過酸化物よりも、より少量の過酸化物で達成が可能であった。過酸化程度の低い物を用いることにより、可塑剤相に起因するこれらの物理的特性が維持され得た。
【0010】
熱可塑性加硫物のゴム相を動的に硬化―理想的には十分硬化させるために過酸化物硬化系を用いことにより、多くの利点が提供される限り、過酸化物硬化系を改良するための、特に、これらの系が熱可塑性加硫物の熱可塑性相に与える効果を求める要望は存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、一般的に、動的硬化されたゴム、及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性加硫物を提供することに関し、ゴムは高ビニルポリジエン、高ビニルポリジエンコポリマー、α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩又はこれらの混合物よりなる群から選択される補助剤の存在下で過酸化物により硬化されたものである。
【0012】
本発明は、また熱可塑性加硫物を生成する方法を含み、前記方法はゴム及びプラスチックを含むブレンド中でゴムを動的硬化させることを含み、前記加硫には過酸化物硬化剤、及び高ビニルポリジエン、高ビニルポリジエンコポリマー、ジメタクリル酸亜鉛又はこれらの混合物よりなる群から選択される補助剤を使用する。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明の一以上の実施の態様においては、高ビニルポリジエン又はポリジエン コポリマー、α―β―エチレン不飽和カルボン酸塩又はこれらの混合物を補助剤として含む過酸化物硬化剤系によって硬化される熱可塑性加硫物に関する。これらの補助剤は、予想に反して、特に熱老化の後に、技術的に有用な機械的特性を示す高度に硬化された熱可塑性加硫物を提供する。一以上の実施の態様においては、熱可塑性加硫物は追加の補助剤の存在下で過酸化物により硬化され、更に有利な特性を提供しうる。
【0014】
一以上の実施の態様においては、本発明の熱可塑性加硫物は動的硬化されたゴム及び熱可塑性樹脂を含み、ゴムは高ビニルポリジエン又はポリジエン コポリマー、α―β―エチレン不飽和カルボン酸塩又はこれらの混合物よりなる群から選択される補助剤の存在下で過酸化物により動的硬化される。他の任意選択的成分には、プロセス添加剤、オイル、充填剤、及び通常熱可塑性過酸化物に含まれる他の成分を含む。
【0015】
ゴム及びこれらの混合物であって過酸化物硬化剤系で動的硬化させることのできるものであれば、どの様なものでも使用することができる。ゴムという場合は一より多い混合物を含んでもよい。有用なゴムにはオレフィン系エラストマーコポリマー、天然ゴム、スチレン−ブタジエン−コポリマー ゴム、ブタジエン ゴム、アクリルニトリルゴム、ブタジエンースチレンービニル ピリジンゴム、ウレタンゴム、ポリイソプレンゴム、エピクロロヒドリン ターポリマーゴム、ポリクロロプレン及びこれらの混合物を含むがこれに限定されるものではない。
【0016】
オレフィン系エラストマーコポリマーの用語は、エチレン、少なくとも一つのα―オレフィンモノマー、及び任意選択的に少なくとも一つのジエンモノマーから重合されるゴム状コポリマーを言う。α―オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルー1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。ある実施の態様においては、α―オレフィンには、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン又はこれらの組み合わせを含む。ジエンモノマーは、5−エチリデンー2ーノルボルネン、5−ビニルー2ーノルボルネン、ジビニル ベンゼン、1,4−ヘキサジエン、5−メチレンー2ーノルボルネン、1,6−オクタジエン、5−メチルー1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチルー1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサンジエン、ジシクロペンタジエン又はこれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。コポリマーがエチレン、α―オレフィン及びジモノマーから生成される場合は、コポリマーは、複数α―オレフィン又はジエンが使用される場合は、ターポリマー、又はテトラポリマーと呼ばれることもある。
【0017】
一以上の実施の態様において、オレフィン系エラストマーコポリマーは、エチレンモノマー由来のエチレン単位を重量で約12から約85%、又は約20から約80%、又は約40から約70%、及び/又は約60から約66%、及びジエンモノマー由来のジエン単位を重量で約0.1から約15%、又は約0.5から約12%、又は約1から約10%、又は約2から約8%で含み、残りはα―オレフィンモノマー由来のα―オレフィン単位(例えば、プロピレン)を含む。ある実施の態様におけるターポリマーは、モルパーセント表示で、ジエンモノマー由来のジエン単位を約0.1から約5モルパーセント、又は約0.5から約4 モルパーセント、又は約1から約2.5モルパーセント含む。一以上の実施の態様においては、ジエンが5−エチリデンー2ーノルボルネンを含む場合は、オレフィン系エラストマーコポリマーは5−エチリデンー2ーノルボルネン由来の単位を重量で少なくとも6%、他の実施の態様においては重量で少なくとも8%、他の実施の態様においては重量で少なくとも10%含む。
【0018】
一以上の実施の態様においては、有用なオレフィン系エラストマーコポリマーは、重量平均分子量(Mw)が50,000より大きく、他の実施の態様においては、100,000より大きく, 他の実施の態様においては、200,000より大きく、他の実施の態様においては、300,000より大きく、ある実施の態様における好ましいオレフィン系エラストマーコポリマーの重量平均分子量は、1,200,000未満、他の実施の態様においては、1,0000,000未満、他の実施の態様においては、900,000未満、他の実施の態様においては、800,000未満である。一以上の他の実施の態様においては、有用なオレフィン系エラストマーコポリマーは、数平均分子量(Mn)が20,000より大きく、他の実施の態様においては、60,000より大きく、他の実施の態様においては、100,000より大きく他の実施の態様においては、150,000より大きく、一以上の他の実施の態様においてオレフィン系エラストマーコポリマーは、数平均分子量(Mn)は500,000未満、他の実施の態様においては、400,000未満、他の実施の態様においては、300,000未満、他の実施の態様においては、250,000未満である。
【0019】
一以上の他の実施の態様においては、有用なオレフィン系エラストマーコポリマーは、またASTM D 1646によるムーニー粘度(ML(1+4) 125℃)は約50から約500、又は約75から約450であることもある。本発明の熱可塑性加硫物の範囲で、高分子量のオレフィン系エラストマーコポリマーが使用される場合は、これらの高分子量ポリマーは油展の形で得ることもできる。これらの油展コポリマーは典型的には、ゴムの重量100部分当り、重量で約15から約100部分のパラフィン系オイルを含む。これらの由展コポリマーのムーニー粘度は約45から約80又は約50から約70であっても良い。
【0020】
一以上の実施の態様においては、有用なオレフィン系エラストマーコポリマーは、135℃デカリン中で測定した固有粘度が約2から約8dl/g、又は約3から約7dl/g、又は約4から約6.5dl/gであることもある。
【0021】
ある実施の態様においては、エラストマー性コポリマーはエチレン、少なくとも一つのα―オレフィンモノマー及び5−ビニルー2−ノルボルネンのターポリマーである。このターポリマーは、過酸化物硬化剤が米国特許第5,656,693号に記載の様に用いられる場合に有益である。本文献は参照により本明細書に組み入れられる。一以上の実施の態様においては、ターポリマーの全モル数に基づき、ターポリマーは約40から約90モルパーセントのエチレン由来のポリマー単位、約0.2から約5モルパーセントのビニルノルボルネン由来のポリマー単位を含み、残りは、αーオレフィンモノマー由来の単位を含む。他の実施の態様においては、エラストマー性コポリマーは、5−ビニルー2−ノルボルネン由来の単位を重量により約1から約8%、他の実施の態様においては、約2から約5%含む。他の有用なエラストマー性コポリマーは米国特許第6,268,438号, 第6,288,171号, 第6,245,856号, 及び第6,867,260号,及び米国特許出願第2005/010753号に開示されている。
【0022】
有用なオレフィン系エラストマー性コポリマーは、種々の技術を用いて製造又は合成することが出来る。例えば、これらのコポリマーは、チーグラー・ナッタ系、バナジウム触媒及びIV−VI族メタロセンを含む単一部位触媒及びブルックハート(Brookhart)触媒を含む種々の触媒系を用いた液相、スラリー又は気相重合技術を用いて合成することができる。エラストマー性コポリマーは市場で、商標名Vistalon(登録商標)(ExxonMobil Chemical Co.; Houston, Texas), VISTAMAXX(登録商標)(ExxonMobil), Keltan(登録商標) (DSM Copolymers; Baton Rouge, Louisiana), Nordel(登録商標)IP (DuPont Dow Elastomers; Wilmington, Delaware), NORDEL MG(登録商標)(DuPont Dow Elastomers), Royalene(登録商標)(Crompton) 及びBuna(登録商標)(Bayer Corp.; Germany)で調達可能である。
【0023】
一以上の実施の態様においては、ゴムは高度に硬化しうる。ある実施の態様においては、ゴムは完全に又は十分硬化させるのが有利である。硬化の程度はシクロヘキサン又は沸騰キシレンを抽出剤として用いて、熱可塑性加硫物から抽出されるゴムの量により測定することができる。この方法は米国特許第4,311,628号に開示されており、本文献は米国特許の実務慣例に従い、参照により本明細書に組み入れられる。ある実施の態様においては、ゴムの硬化の程度は5重量%、他の実施の態様においては3重量%、及び他の実施の態様においては2重量%を超えない量が、米国特許第5,100,947号及び第5,157,081号に記載の方法により23℃のシクロヘキサン中で溶出される程度である。本文献は米国特許の実務慣例に従い、参照により本明細書に組み入れられる。または、一以上の実施の態様においては、ゴムの硬化の程度は、その架橋密度が、ゴム ミリリットリあたり好ましくは少なくとも4 x 10-5,他の実施の態様においては、少なくとも7 x 10-5, 及び他の実施の態様においては、少なくとも10 x 10-5 モルであるのが良い。またEllul他によるRUBBER CHEMISTRY AND TECHNOLOGY, 68巻, 573-584ページ (1995)「動的加硫されたTPEの架橋密度及び形態相」(Crosslink Densities and Phase Morphologies in Dynamically Vulcanized TPEs)を参照願いたい。
【0024】
有用な過酸化物硬化剤には有機過酸化物を含む。有機過酸化物の例には、
di−tert−ブチル過酸化物(di-tert-butyl peroxide)、ジクミル過酸化物(dicumyl peroxide)、t−ブチルクミル過酸化物(t-butylcumyl peroxide)、(α,α−bis(tert−ブチルペロキシ)ジイソプロピル ベンゼン(α,α-bis(tert-butylperoxy) diisopropyl benzene)、2,5−ジメチルー2,5―di(tert−ブチルペロキシ)ヘキサン(2,5-dimethyl-2,5-di(t-butylperoxy)hexane (DBPH))、1,1−di(tert−ブチルペロキシ)−3,3,5−トリメチル シクロヘキサン(1,1-di(tert-butylperoxy)-3,3,5- trimethyl cyclohexane)、n−ブチルー4-4-bis(tert―ブチルペロキシ)−吉草酸塩(n-butyl-4-4-bis(tert-butyiperoxy) valerate)、ベンゾイル過酸化物(benzoyl peroxide)、ラウロイル過酸化物(lauroyl peroxide)、ジラウウロイル過酸化物(dilauroyl peroxide)、2,5−ジメチル−2,5-di(tert−ブチルペロキシ)−ヘキサン−3(2,5-dimethyl-2,5-di(tert- butylperoxy) hexyne-3)及びこれらの混合物を含む。またジアリール過酸化物(diaryl peroxide)、ケトン過酸化物(ketone peroxide)、ペロキシ二炭酸塩(peroxydicarbonate)、ペロキシエステル(peroxyester)、ジアルキル過酸化物(dialkyl peroxide)、ヒドロペルオキシド(hydroperoxide)、ペロキシケタール(peroxyketal)及びこれらの混合物も使用しても良い。熱可塑性加硫物の動的加硫に使用される有用な過酸化物及びその使用方法は米国特許第5,656,693号に開示されており、本文献は米国特許の実務慣例に従い、参照により本明細書に組み入れられる。
【0025】
一以上の実施の態様においては、高ビニルポリジエン又はポリジエンコポリマ−は、少なくとも50%のジエニル マー単位(dienyl mer unit)、他の実施の態様においては少なくとも65%、他の実施の態様においては少なくとも75%、他の実施の態様においては少なくとも85%が、1,2又はビニル微細構造又は形態にあるポリマー及びコポリマーを含む。ジエニル マー単位は、1,3−ブタジエンの様な共役ジエンの重合に由来のものでも良いが、これに限定されるものではない。高ビニルーポリブタジエンは、特定の共役ジエン(例えば、ポリブタジエン)のホモポリマー又は2以上の共役ジエンのコポリマーを含んでも良い。他の実施の態様においては、高ビニルーポリブタジエン又はポリジエンコポリマーは、ビニル芳香族モノマーの様な共役ジエンと共重合可能なモノマー由来の非ジエン単位を含んでも良い。例えば、高ビニルーポリジエンコポリマーはスチレンモノマーとの共重合由来のスチレン単位を含んでも良い。
【0026】
一以上の他の実施の態様においては、高ビニルーポリジエンは、アタクチック1,2−ポリブタジエンを含む。アタクチック1,2−ポリブタジエン又はアタクチック高ビニルーポリジエンは、側鎖ビニル基がランダムに位置する構造を持つ粘稠液を含んでも良い。これらのポリマーは、例えば、キレート ジアミン、酸素含有エーテル化合物、アセタール及びケタールの様な極性改質剤を用いたリチウム触媒重合により生成されうる。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,696,986号は有用な方法を教示する。アタクチックポリブタジエンは典型的には約1,300から130,000数平均分子量(Mn)を持つこともある。アタクチックポリブタジエンは市場で液状及び固体により担持された形で入手可能である。
【0027】
他の実施の態様においては、高ビニルーポリジエンはシンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンを含んでも良い。シンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンは、側鎖ビニル基がポリマー主鎖に対して交互に反対側に位置する立体規則性構造を持つ半結晶質熱可塑性樹脂を含む。ブタジエンの1,2重合は頭から尾の方向に起き、それにより新しいキラル中心を作り出す。シンジオタクチックポリマーでは交互のキラル中心は同じ構成を持ちうる。一以上の実施の態様におけるシンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンは、約90%を下回る結晶化度である特徴を持つものもある。
【0028】
シンジオタクチック 1,2−ポリブタジエン ポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて溶液、乳液、又は懸濁液重合を含む適当な方法であればどの様な方法により生成しても良い。コバルトベース、鉄ベース、モリブデンベース、及びクロムベース触媒系のような種々の配位触媒も、米国特許第6,201,080号に記載されている様に使用することができる。本文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0029】
シンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンの形の物理的、機械的及び流動学的特性は、その融点、ビニル含有量及び結晶化度により影響されることもある。
【0030】
合成方法によるが、206℃の融点となることもあり得る。
【0031】
一以上の実施の態様においては、シンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンのシンジオタクチック含有量は十分高く、少なくとも約60℃の結晶融点を与えることができる程度であり得、他の実施の態様においては、70℃より高く、他の実施の態様においては、205℃より低い。1,2−ビニル含有量は50%より多く、他の実施の態様においては、75%より多くても良い。シンジオタクチックポリブタジエンの結晶化度の程度は約50%より低く、他の実施の態様においては、10から45%である。一以上の実施の態様において用いられるシンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンの重量平均分子量(Mw)は約100,000より大きく。有利なことには、シンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンは取り扱いが容易であり、アタクチック ポリブタジエンよりも廉価であり得る。
【0032】
1,3−ブタジエン及びスチレンの高ビニル ポリブタジエンコポリマーは高ビニル 溶液 スチレンーブタジエンエラストマーを含む。これらのコポリマーは、1,3−ブタジエンの様な共役ジオレフィンモノマーとスチレンの様なビニル芳香族モノマーとの共重合により形成しても良い。一以上の実施の態様においては、高ビニル 溶液 スチレンーブタジエンエラストマーのビニル含有量は約60%より大きく、他の実施の態様においては、約70%より大きい。高ビニル スチレンーブタジエンを生成する液重合プロセスについては、米国特許第6,140,434号に記載されており、本文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0033】
一以上の実施の態様においては、高ビニルポリジエン又はポリジエン コポリマーは支持材又は担持体とともに用いることも出来る。一以上の実施の態様においては、これらの支持材又は担持体には固体の不活性材料を含む。固体不活性材料の例には、シリカ、種々の粘土及びケイ酸塩を含む。
【0034】
高ビニルポリジエンは市場で種々のソースから入手可能である。一例として、低分子量の、非常に高いビニル官能性を持つ液状ポリブタジエン樹脂であるRicon(登録商標)154 (Sartomer; Pennsylvania) ポリブタジエン樹脂がある。また、同様なポリブタジエン樹脂が、商標名Ricon(登録商標)154Dで不活性粉末支持材とともに入手可能である。
【0035】
一以上の実施の態様においては、α―β―エチレン不飽和カルボン酸塩(すなわち、α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩)は3から約8の炭素原子を含む。金属塩基により反応させ、又は相互反応させカルボン酸を生成することのできる代表的なα―β―エチレン不飽和カルボン酸塩には、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、及びクロトン酸を含む。カルボン酸と反応させ、又は相互反応させることのできる金属イオンには、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、リチウム及びカドミウムを含む。一以上の実施の態様においては、α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩には、ジメタクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛又はこれらの混合物を含む。
【0036】
有用なジメタクリル酸は市場で種々のソースから入手可能である。一例として、商標名SR708(登録商標)(Sartomer; Pennsylvania)がある。有用なジアクリル酸亜鉛は市場で種々のソースから入手可能である。一例として、商標名SR705(登録商標)(Sartomer; Pennsylvania)がある。
【0037】
α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩及び/又は高ビニルポリジエン又はポリジエン コポリマーに加え、相補的補助剤を使用しても良い。これらの相補的補助剤は、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、リン酸トリアリル、硫黄、N−フェニル bis−マレアミド、ジビニル ベンゼン、トリメタクリル酸トリメチロール プロパン、ジメタクリル酸 テトラメチレン グリコール 、三官能性 アクリルエステル、ジペンタエリチリトールペンタアクリル酸、多官能性アクリル酸、遅延シクロヘキサン ジメタノール ジアクリル酸エステル、多官能性メタクリル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸金属塩及びジオキシム キノンの様なオキシマー(oximer)よりなる群から選択しても良い。
【0038】
熱可塑性加硫物を製造するのに用いられる熱可塑性樹脂であればどの様な樹脂であっても、本発明の熱可塑性加硫物を製造するのに用いることができる。有用な熱可塑性樹脂には、固体の、通常高分子量プラスチック樹脂を含む。これらの樹脂には、示差走査熱量計(differential scanning calorimetry)で測定した結晶化度が少なくとも25%ある結晶質及び半結晶質ポリマーを含む。選択される特定の樹脂には、選択されたゴムの分解温度より低い溶融温度を持つ樹脂を含む。
【0039】
一以上の実施の態様においては、有用な樹脂はMw が約200,000から約2,000,000、及び他の実施の態様においては約300,000から約600,000である。またこれらの樹脂は、ポリスチレン標準によるGPCによる測定によるMn が約80,000から約800,000であり、他の実施の態様においては、約90,000から約150,000である。
【0040】
一以上の実施の態様においては、これらの熱可塑性樹脂は230℃及び2.16 kg 負荷でASTM D-1238により測定したメルトフローレートが約10 dg/分未満、他の実施の態様においては約2 dg/分未満、他の実施の態様においては約1.0 dg/分未満、他の実施の態様においては約0.5 dg/分未満でありうる。
【0041】
一以上の実施の態様においては、これらの樹脂はまた約150℃から約250℃の融点(Tm)を持っても良く、他の実施の態様においては約155℃から約170℃、他の実施の態様においては約160℃から約165℃であり得る。これらの樹脂はガラス転移温度(Tg)が約-10から約10℃であり、他の実施の態様においては約-3から約5℃、他の実施の態様においては約0から約 2℃であっても良い。一以上の他の実施の態様においては、これらの樹脂は結晶化度温度(Tc)が、任意選択的に少なくとも約75℃、他の実施の態様においては少なくとも約95℃、他の実施の態様においては少なくとも約100℃、他の実施の態様においては少なくとも105℃、ある実施の態様においては、105℃から115℃の範囲であっても良い。
【0042】
また、これらの熱可塑性ポリマー樹脂は、溶融熱が少なくとも25 J/gであり、他の実施の態様においては50 J/gを超え、他の実施の態様においては75 J/gを超え、及び他の実施の態様においては95 J/gを超えても良い。
【0043】
代表的な熱可塑性樹脂は結晶質及び結晶化可能なポリオレフィンを含む。また、熱可塑性樹脂は、スチレン−エチレン コポリマーの様なポリオレフィンとスチレンとのコポリマーを含んでいても良い。ある実施の態様においては、熱可塑性樹脂は、エチレン又はプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチルー1−プロペン、3−メチルー1−ペンテン、4−メチルー1−ペンテン、5−メチルー1−ヘキセン、及びこれらの混合物の様なα―オレフィンの重合により形成される。エチレンとプロピレンのコポリマー、及びエチレンとプロピレンと他のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチルー1−プロペン、3−メチルー1−ペンテン、4−メチルー1−ペンテン、5−メチルー1−ヘキセン、及びこれらの混合物のコポリマーもまた対象となる。特に含まれるべきものは、プロピレンとエチレン又は上に記載のより高級なα−オレフィン、又はC10−C20との反応器、衝撃及びランダムコポリマーである。これらのプロピレンコポリマーのコモノマー含有量は、典型的にはポリマーの重量の1から約30%である。米国特許第6,268,438号, 第6,288,171号, 第6,867,260号B2, 第6,245,856号及び米国特許出願第2005/010753号を参照願いたい。これら文献は参照により本明細書に組み入れられる。商標名VISTAMAXX(登録商標)(ExxonMobil)で入手可能なコポリマーは特に好ましい。本明細書に記載の2以上のポリオレフィン熱可塑性物質のブレンド又は混合物、又は他のポリマー系改質剤を持ったものも本発明に適合する。これらのホモポリマー及びコポリマーは、技術分野で知られている適当な重合技術、例えば、従来のチーグラー・ナッタタイプ重合、及びこれに限定されるものではないがメタロセン触媒を含む単一部位有機金属触媒を用いる触媒作用を、用いて合成しても良いがこれに限定されるものではない。
【0044】
ある実施の態様においては、熱可塑性樹脂には高結晶化度を持つアイソタクチック又はシンジオタクチックポリプロピレンが含まれる。このポリプロピレンは約0.85から約0.91 g/ccの密度、その大半がアイソタクチックポリプロピレンであるポリプロピレンは約0.90から約0.91 g/ccの密度を持つ。また、僅かのメルトフローレートを持つ高分子量及び超高分子量ポリプロピレンも用いることができる。これらのポリプロピレン樹脂は、2.16 kg負荷でのASTM D-1238によるメルトフローレートが10 dg/分以下、任意選択的に1.0 dg/分以下、また任意選択的に0.5 dg/分以下である。
【0045】
ある実施の態様においては、熱可塑性樹脂はモノマーの共重合に由来するプロピレンコポリマーを含み、前記コポリマーは、i)プロピレン, ii)α、内部非共役ジエンモノマー(internal non-conjugated diene monomer)、 iii) 任意選択的にα、ω非共役ジエンモノマー及び iv)任意選択的にエチレン又は、i) プロピレン、 ii) 不安定水素を含むオレフィン、及び iii) 任意選択的にエチレンを含むモノマーの共重合由来のプロピレンコポリマーを含む。これらのプロピレンコポリマーは米国特許出願第10/938,369号に開示されており、本文献は参照により本明細書に組み入れられる。これらのコポリマーは単独の熱可塑性成分として用いても良く、又は本明細書に記載の熱可塑性樹脂を含み、他の熱可塑性樹脂を共に用いても良い。
【0046】
ある実施の態様においては、熱可塑性加硫物はポリマー系プロセス添加剤を含むこともある。プロセス添加剤は、非常に高いメルトフロー指数を持つポリマー性樹脂であっても良い。これらの樹脂は線状及び分枝状ポリマーを両方含み、これらのポリマーのメルトフローレートは約500 dg/分より大きく、より好ましくは約750 dg/分より大きく、更に好ましくは約1000 dg/分より大きく、更に好ましくは約1200 dg/分より大きく、更に好ましくは約 1500 dg/分より大きいのが良い。種々の分枝又は種々の線状ポリマー性プロセス添加剤の混合物、並びに線状及び分枝状の両方のポリマー性プロセス添加剤の混合物も用いることができる。ポリマー性プロセス添加剤には、特に断らない限り線状及び分枝状添加剤の両方を含む。線状ポリマー性プロセス添加剤にはポリプロピレン ホモポリマーを含み、分枝状ポリマー性プロセス添加剤にはジエン改質ポリプロピレンポリマーを含む。同様なプロセス添加剤を含む熱可塑性加硫物は、米国特許第6,451,915号に開示されており、本文献は米国特許の実務慣例に従い、参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
一以上の実施の態様においては、熱可塑性加硫物は鉱油、合成油、又はこれらの油の組み合わせを含む。これらの油はまた可塑剤又はエキステンダーとも呼ばれることもある。鉱油は芳香族系、ナフテン系、パラフィン系、及びイソパラフィン系油を含む。一以上の実施の態様においては、鉱油は処理され、又は処理されていなくとも良い。有用な鉱油は商標名SUNPAR(登録商標)(Sun Chemicals)で入手可能である。他の調達可能な鉱油は商標名PARALUX(登録商標)(Chevron)がある。
【0048】
一以上の実施の態様においては、合成油には、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、及びこれらの混合物を含むブテンのポリマー及びオリゴマーを含む。一以上の実施の態様においては、これらのオリゴマーはイソブテニル マー(mer)単位を含む。代表的な合成油には、ポリイソブチレン、ポリ(イソブチレン−co−ブテン)、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−co−ブテン)、及びこれらの混合物を含む。一以上の実施の態様においては、合成油は、ポリ線状(polylinear)α−オレフィン、ポリ分枝(polybranched)α−オレフィン、水素化 ポリアルファオレフィン、及びこれらの混合物を含む。
【0049】
一以上の実施の態様においては、合成油は、粘度が約20 cpを超え、他の実施の態様においては約100 cpを超え、他の実施の形態においては約190 cpを超える合成ポリマー又はコポリマーを含み、粘度は38℃でASTM D-4402に従いBrookfield粘度計により測定され、この実施の態様、又は他の実施の態様において、これらの油の粘度は4,000 cpより小さく、他の実施の態様においては、1,000 cpより小さい。
【0050】
ある実施の態様においては、これらのオリゴマーは、数平均分子量(Mn)が約300から約9,000 g/モル、他の実施の態様においては、約700から約1,300 g/モルでありうる。
【0051】
有用な合成油は、商標名Polybutene(登録商標)(Soltex; Houston, Texas), Indopol(登録商標)(BP; Great Britain)及びParapol(登録商標)(ExxonMobil)で市場で入手可能である。ブタジエン由来のオリゴマー性コポリマー及びそのコモノマーは、商標名Ricon Resin(登録商標) (Ricon Resins, Inc; Grand Junction, Colorado)で入手可能である。合成ホワイトオイルは商標名SPECTRASYN(登録商標)(ExxonMobil)、以前のSHF Fluids (Mobil)で入手可能である。
一以上の実施の態様においては、エキステンダーオイルは米国特許第5,290,866号及び第5,397,832号に開示されているものを含み、有機エステル、アルキルエーテル、又はこれらの組み合わせを含んでも良い。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。一以上の実施の態様において、有機エステル及びアルキルエーテル エステルは、通常分子量が約10,000未満であることもある。一以上の実施の態様においては、好適なエステルは、平均分子量が約2,000未満であるモノマー性及びオリゴマー性材料を含み、他の実施の態様においては、600未満であるモノマー性及びオリゴマー性材料を含む。
【0052】
一以上の実施の態様においては、エステルは組成物のポリアルファオレフィン及びゴム成分の両方と相溶性を持ち又は混和する。すなわち、これらは他の成分と混合し、単一相を形成する。一以上の実施の態様においては、エステルは脂肪族モノ、又はジエステル、又は代替的にオリゴマー性脂肪族エステル、又はアルキルエーテルエステルを含む。一以上の実施の態様においては、熱可塑性加硫物はリン酸塩エステルのみならずポリマー性脂肪族エステル、及び芳香族エステルを持っていない。
【0053】
ゴム、熱可塑性樹脂、及び任意選択的にプロセス添加剤に加え、本発明の熱可塑性加硫物は、任意選択的に、補強充填剤及び非補強充填剤、抗酸化剤、安定剤、ゴムプロセス油、潤滑剤、ブロック防止剤、静電防止剤、ワックス、発泡剤、色素、難燃剤及びゴム加工分野で知られている他のプロセス助剤を含んでも良い。これらの添加剤は、全組成物の約50重量%まで含まれても良い。使用できる充填剤及びエキステンダーには、炭酸カルシウム、粘土、タルク、二酸化チタン、黒鉛等の様な従来の無機物を含む。
【0054】
一以上の実施の態様においては、本発明の熱可塑性加硫物は十分な量のゴムを含み、その物質のゴム状組成物を形成する。当業者は、物質のゴム状組成物には、極大伸びが100%より大きく、そして元の長さの200%まで伸長され、元の長さの200%の長さで約10分置かれた後、約10分内に元の長さの150%以下に直ぐ戻る組成物が含まれることを了解するであろう。
【0055】
この様に、一以上の実施の態様においては、熱可塑性加硫物は重量で少なくとも約25%のゴム、他の実施の態様においては少なくとも約45%、他の実施の態様においては少なくとも約65%、他の実施の態様においては少なくとも約75%のゴムを含んでも良い。これらの、又は他の実施の形態においては、熱可塑性加硫物内のゴムの量は、ゴム及び熱可塑性物質を合計した全重量に基づき、重量で約15から約90%、他の実施の態様においては約45から約85%、 他の実施の態様においては約60から約80%であり得る。
【0056】
一以上のある実施の態様においては、熱可塑性加硫物内の熱可塑性樹脂の量は、ゴム及び熱可塑性物質の合計重量に基づき、重量で約15から約85%であり得、他の実施の態様においては、約20から約75%であり得る。これら及び他の実施の形態においては、熱可塑性加硫物は、ゴムの重量100部分当り、重量で約15から約25部分、他の実施の態様においては、約30から約60部分、他の実施の態様においては、約75から約300部分の熱可塑性樹脂の含んでも良い。
【0057】
熱可塑性加硫物が使用される場合は、ゴム重量100部分当り、ポリマー性プロセス添加剤を重量で約0から約20部分、又は約1から約10部分又は約2から約6部分含んでも良い。
【0058】
黒鉛又は粘土の様な充填剤は、ゴム100重量部分当り、約10から約250で添加しても良い。使用可能な黒鉛の量は、少なくとも部分的に、使用される黒鉛の種類及びエキステンダー油の量による。
【0059】
一般的に、ゴム100部分当り、エキステンダー油は重量で約5から約300部分、又は約30から約250部分、又は約70から約200部分で添加しても良い。添加されるエキステンダー油の品質は、所望の特性によって、その上限は特定の油及びブレンド成分の相溶化度に依り、エキステンダー油が過度に染み出す場合にはこの限界を超えることになる。エキステンダー油の量は、少なくとも部分的にゴムの種類に依る。高粘度ゴムはより油展されうる。エステル系可塑剤が使用される場合は、通常100部分ゴムに対して、約 250部分未満、又は約175部分未満の量が使用される。
【0060】
一以上の実施の態様においては、ゴムは動的加硫により硬化され又は架橋される。動的加硫の用語は、熱可塑性樹脂とのブレンド中に含まれるゴムの加硫又は硬化プロセスを言い、熱可塑性物質の融点より高い温度で高せん断条件でゴムが架橋され又は加硫されることを言う。
【0061】
ある実施の態様においては、他の形態もまた存在するが、ゴムは熱可塑性マトリクス中で同時に架橋されると共に細かい粒子として分散されうる。動的加硫は、熱可塑性エラストマー成分を、高温で、ロール圧延機、安定化装置、バンベリーミキサー、ブラベンダーミキサー、連続ミキサー、混合押出機等の従来の混合機器で混合することにより実施されうる。熱可塑性加硫物の製法は.米国特許第4,311,628号, 第4,594,390号及び第6,656,693号に記載されているが、低せん断速度を用いる方法も用いることもできる。これら文献は米国特許の実務慣例に従い、参照により本明細書に組み入れられる。複数ステップのプロセスもまた用いることができ、プラスチック、油、及び捕捉剤の様な成分は、国際出願PCT/US04/30517に開示されている様に、動的加硫が達成された後に添加され得る。この文献は米国特許の実務慣例に従い、参照により本明細書に組み入れられる。
【0062】
当業者は、過度の計算又は実験をすることなく、使用される加硫剤の十分又は効果的量を容易に決定することができるであろう。
【0063】
一以上の実施の態様においては、二官能性過酸化物が使用され、過酸化物はゴム重量100部分当り約1 x 10-5 モルから 約 1 x 10-1モル, 任意選択的に約 1 x10-4モルから 約 9 x 10-2 モル、任意選択的に約1x10-2モルから約4 x10-2 モルの量で用いても良い。当業者は、これらの教示に基づき他の過酸化物に有用なモル数を容易に算出することができる。例えば、単官能性過酸化物化合物にはより多くの過酸化物が有用であり、より多くの官能性を持つ過酸化物が用いられる場合は過酸化物は少なくても良い。その量はゴム重量100部分当りの重量として表わしても良い。しかし、この量は使用される硬化剤により変わり得る。例えば、4,4-bis(tert−ブチル ペロキシ)ジイソプロピル ベンゼンが用いられる場合は、用いられる量はゴムの重量100部分当り、約0.5から約12及び任意選択的に約1から約6部分含んでも良い。
【0064】
高ビニルポリジエン又はポリジエンコポリマーが、補助剤として用いられる場合、ポリジエン補助剤の有用な量には、ゴムの重量100部分当り重量で約5から約50部分、及び他の実施の態様においては、約10から約25部分の高ビニルポリジエン又はポリジエンコポリマーを含む。
【0065】
α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩が補助剤として使用される場合、α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩の有用な量には、ゴムの重量100部分当り重量で約2から約30部分、他の実施の態様においては約4から約 20、及び他の実施の態様においては約8から約10部分のα―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩を含む。
【0066】
シアヌル酸トリアリルの様な相補的補助剤が使用される場合、有用なシアヌル酸トリアリルの量はゴムの重量100部分当り約2から約12、他の実施の態様においては約4から約10、及び他の実施の態様においては約6から約8部分の相補的補助剤を含む。一以上の他の実施の態様においては、補助剤の量(すなわち、モル又は重量部分)は、所望の特性により増加させ又は減少させることも出来る。
【0067】
ゴムは部分的に又は十分硬化させることができる事実より、本発明の組成物は、従来のプラスチック加工技術、例えば、押出、射出成形、ブロー成形及び圧縮成形等により加工及び再加工することができる。これらの熱可塑性エラストマー内のゴムは、連続熱可塑性相又はマトリクス内で、加硫され又は硬化されたゴムの微粉化され及び十分分散した粒子の形であり得る。他の実施の態様においては、共連続形態、又は位相反転が実施されうる。硬化ゴムが、熱可塑性媒体内で微粉化され及び十分分散した粒子の形であるこれらの実施の態様においては、ゴムの粒子は、平均直径が50μm未満、任意選択的に30μm未満、任意選択的に10μm未満、任意選択的に5μm未満、及び任意選択的に1μm未満であっても良い。ある実施の態様においては、粒子の少なくとも50%, 任意選択的に少なくとも60%及び任意選択的に少なくとも75%が、その平均直径が5 μm未満、任意選択的に2μm未満、及び任意選択的に1μm未満である。
【0068】
本発明の熱可塑性エラストマーは、ウエザーシール、ホース、ベルト、ガスケット、成形品、長靴、弾性繊維及び同様な商品の様な種々の商品を製造するのに有用である。これらは特に、ブロー成形、押出、射出成形、熱成形、弾性溶接及び圧縮成形技術により商品を生成するのに有用である。より具体的には、これらは、ウエザーシール、カップ、カプリングディスク、ダイアフラム カップを含むブレーキ用部品、等速ジョインの様なブーツ、及びラック、ピニオンジョイント、チュービング、シーリングガスケット、油圧又は空気圧使用機器の部品、O−リング、ピストン、弁、弁座、弁受け、他のエラストマー性ポリマーベースの部品又はエラストマーポリマーと金属/プラスチックの組み合わせ材料のような他の材料と組み合わされたエラストマー系ポリマーを製造するのに有用である。また、V−ベルト、頭部が切断された肋材の表面が繊維よりなるV−ベルトを持つ歯付ベルト、砕いた短繊維補強V−ベルト、又は、短繊維を集めて成形されたゴムのV−ベルトを含む伝導ベルトも考慮される。
【0069】
本発明の実施の態様を示すために、以下の実施例が準備され、テストされた。しかし実施例は本発明の範囲を限定するものと解してはならない。特許請求の範囲に記載の発明がその範囲を規定する。
【0070】
実施例
実施例1−31
31の熱硬化性加硫物が種々の補助剤を含む過酸化物硬化系を用いてエラストマー性コポリマーを動的加硫することにより生成された。
【0071】
各サンプルでは以下の成分が用いられ、米国特許第4,594,390号及び第6,656,693号に一般的に記載されている手順により処理された。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。成分は、エラストマー性コポリマーの重量100部分を含み(原料は重量100部分のゴム及び重量100部分の油を含むが、この量は、単にゴム成分のみを指す)、各々エラストマー性コポリマーの100部分に基づき重量で56部分の熱可塑性ポリマー、重量で125全部分のパラフィン系油(125部分は、ゴムを含む100部分を含む)重量で42部分の粘土、2重量部分の抗酸化剤を含んでいた。
【0072】
エラストマー性コポリマーは、約3重量%のジエン含有量を持ち、ムーニー粘度が約63(油展されたもの)、エチレン含有量が約63重量%、100phrの油含有量を持つポリ(エチレンーcoープロピレンーcoービニル ノルボルネン)であり、上に述べた様に、上記のゴム重量部分は、ゴムの原料は油を含んでいるが、単にゴムの量を指す。過酸化物は、商標名PAR 100(登録商標)(Rhein Chemie)で購入した
2,5-ジメチル-2,5-di(t-ブチルペロキシ)ヘキサンであり、この過酸化物はパラフィン系油中で50%活性を持ち、このことは重量で、成分の50%は活性過酸化物化合物であり、50%はパラフィン系油であることを示す。熱硬化性樹脂はMFR が0.7 dg/分であった。抗酸化剤は、商標名IRGANOX(登録商標)1010 (Ciba Geigy)で購入したテトラキス(メチレン 3,5−ditert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロケイ皮酸エステル)メタン(tetrakis(methylene 3,5-ditert-butyl-4 hydroxy hydrocinnamate)methane)であった。
【0073】
補助剤については、ジアクリル酸亜鉛はSR708(Sartomer)であり、ジアクリル酸亜鉛は商標名SR705 (Sartomer)のものを購入し、トリメチロール プロパン トリメタクリル酸はケイ酸カルシウム支持体上で75%活性があり、高ビニル ポリブタジエンは分子量が5,200、ビニル含有量が90%、ポリブタジエンは商標名Ricon(登録商標)154Dがマスターバッチとして得られ、65重量%添加剤であり、30%がケイ酸カルシウム支持体であり、ジビニルベンゼンはAldrichから購入し、シクロヘキサン ジメタノール ジアクリル酸は73%が活性で、重量で2%のアルキル化フェノール及び25%ケイ酸カルシウム支持体を含み、イソシアヌル酸トリアリルは純粋液体であり、N,N’-m-フェニレンジマレイミド (HVA-2)はEPDMバインダー中で70% 活性を持ち、商標名Polydispersion(登録商標) T MPDM D7055C (Rhein Chemie)のものを購入した。
【0074】
各サンプルで用いられる過酸化物硬化剤の量、及び補助剤の種類及び量は表1に示す。また各サンプルについて以下の動的加硫により実施された種々の試験の結果を表1に示す。また、熱老化後の種々の試験の結果を表1に示す。熱老化は熱風循環炉内で150℃で1週間行われた。特に断らない限り、本明細書に示す他の表、並びに表1に示す量は、100部分のゴムの重量当りの重量部分で示す。比較例のサンプルであるは、「C」の表示を付し、本発明での実施例サンプルの熱硬化性加硫物は「I」の文字を付した。
【表I】



ショア硬度は、ASTM D-2240により決定された。極限引張り強さ(Ultimate Tensile Strength(UTS))、極限伸び、及び100%モジュラスは、Instron試験機を用いて、23℃でASTM D-412に従い決定された。重量増加はASTM D-471に従い決定された。残留伸び及び圧縮永久歪はASTM D-142により決定された。比重はASTM D 792により決定された。
【0075】
LCR毛管粘土はDynisco(登録商標)毛管レオメータにより1200 秒-1で30:1 L/Dにより決定された。サンプルは熱風循環炉内で150℃の温度で1週間、加速熱老化を行った。重量増加はASTM D471により決定された。
【0076】
表1のデータは、本発明を実施して得られた予期しない結果の幾つか示す。特に、補助剤のレベルを増加させても、本発明に従い生成された熱可塑性加硫物の引張り強度に有害な影響を与えず、事実補助剤のレベルが増加すると、引張り強度は向上することが見られた。例えば、サンプル1及び2において、引張り強さは、6.88から8.02 MPaに増大した。同様な結果が、サンプル5及び6のみならず、サンプル3及び4でも得られた。これは、望ましい、低い圧縮永久歪を得るために、高いレベルの補助剤を用いることができる限り、非常に有利である。通常用いられる補助剤、例えば、シアヌル酸トリアリルは、これと逆の効果を示す。すなわち、サンプル7及び8に示す様に、補助剤のレベルの増加は極限引張り強さ(UTS)を低減させた。同様な結果は、サンプル24及び25においてシクロヘキサン ジメタノール ジアクリル酸を用いて得られた。
【0077】
更に、本発明にしたがった補助剤の使用により、熱老化後の機械的特性は予期しない結果を示した。補助剤を適当に選択することにより、過度の抗酸化剤を使用することなくより安定した組成物を得ることができるかを決定するために、表 Iのサンプルは、意図的に抗酸化剤により単に安定化を軽く抑えているものであった。一般的に、本発明における補助剤の選択では、熱老化後の機械的特性は許容範囲の変化であったが、比較例で用いた補助剤を用いた組成物の幾つかは機械的特性に有害な変化を示した。
【0078】
サンプル32−37
補助剤の混合物を用いたことを除いて、サンプル1−32と同様な方法により、更に6つの熱硬化性加硫物が生成された。熱硬化性加硫物の特徴、並びに補助剤の種類及び量は表IIに記載の通りである。
【表II】

表IIのデータは、ジメタクリル酸亜鉛又はジアクリル酸亜鉛を相補的補助剤と組み合わせたものは、熱老化後に比較的安定的な熱硬化性加硫物を生成することを示し、これは、熱老化後に劣化した、表Iの比較例サンプルと明確な対照を示す。
【0079】
サンプル38−45
異なるゴムが使用されたことを除いては、前記のサンプルと同様な方法で、更に8つの熱可塑性加硫物が生成された。すなわち、ゴムは、約9重量%のジエン含有量を持ち、ムーニー粘度が約70(油展されたもの)、エチレン含有量は約63重量%、及び100phrの油含有量を持つポリ(エチレンーcoープロピレンーcoーエチリデン−2−ノルボルネン)であり、上に述べた様に、上に開示されたゴム重量部分は、ゴムの原料は油を含んでいるが、ゴムの量のみを指す。熱硬化性加硫物の特徴並びに補助剤の種類、及び量は表IIIに示す。
【表III】

表IIIのデータは表I及のデータと矛盾せず、本発明による補助剤を選択することにより有利な熱硬化性加硫物が生成されうることを示す。特に、比較的低い圧縮永久歪を持つ熱硬化性加硫物は機械的特性に有害な影響を与えることなく生成され得る。事実、ジメタクリル酸亜鉛又はジアクリル酸亜鉛を用いることにより、実際に補助剤の投入量を増すことにより引張り強度が増大する結果となった。また、熱老化後に機械的特性に許容範囲での変化が見られたが、これは通常使用される補助剤の幾つかと対照的であった。
【0080】
サンプル64−54
異なるゴムが使用されたことを除いては、前記のサンプルと同様な方法で、更に9つの熱可塑性加硫物が生成された。すなわち、ゴムは、約4重量%のジエン含有量を持ち、ムーニー粘度が約55(油展されたもの)、エチレン含有量は約64重量%、及び75phrの油含有量を持つポリ(エチレンーcoープロピレンーcoーエチリデン−2−ノルボルネン)であり、上で述べた様に、上に開示されたゴム重量部分は、ゴムの原料は油を含んでいるが、ゴムの量のみをを指す。熱硬化性加硫物の特徴並びに補助剤の種類、及び量は表IVに示す。
【表IV】

これまでの表のデータと同様に、表IVは本発明を実施して得られた幾つか予期しなかった結果を示す。特に、補助剤の使用レベルを増加させると圧縮永久歪が低減する(これは予想されていたことであるが)のみならず、引張り特性が増大する。これが熱老化による比較的安定した特性と組み合わされて、通常使用される補助剤を用いて生成される熱硬化性加硫物と比較した有利な熱硬化性組成物であることを示唆している。
【0081】
本発明の範囲、及び精神から逸脱することなく、本発明に種々の修飾及び改変を加えることは当業者にとって明らかである。本発明は本明細書に具体的に説明された範囲のものに限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性加硫物であって、
動的硬化されたゴム、及び
熱可塑性樹脂を含み、
前記ゴムは高ビニル ポリジエン、高ビニル ポリジエンコポリマー、α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩又はこれらの混合物よりなる群から選択される補助剤の存在下で、過酸化物で硬化される、
前記熱可塑性加硫物。
【請求項2】
前記ゴムが相補的補助剤の存在下で過酸化物で硬化された、請求項1に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項3】
前記相補的補助剤がシアヌル酸トリアリルである、請求項2に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項4】
前記相補的補助剤がトリメタクリル酸トリメチロール プロパンである、請求項2に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項5】
前記ゴムが、エチレン、少なくとも一つのα―オレフィンモノマー、及び少なくとも一つのジエンモノマーの重合に由来のオレフィン系エラストマーコポリマーを含む、請求項1に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項6】
前記ジエンが5−ビニルー2−ノルボルネンを含み、前記コポリマーが、約2から約5重量%の前記5−ビニルー2−ノルボルネンを含む、請求項5に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項6】
前記少なくとも一つのジエンモノマーが5−ビニルー2−ノルボルネンを含み、コポリマーは2から5重量%の前記5−ビニルー2−ノルボルネンを含む、請求項5に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項7】
前記少なくとも一つのジエンモノマーが5−エチリデンー2−ノルボルネンを含み、コポリマーは少なくとも約8重量%の前記5−エチリデンー2−ノルボルネンを含む、請求項5に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂がi)プロピレン, α、内部非共役ジエンモノマー、任意選択的にα、ω非共役ジエンモノマー、及び任意選択的にエチレンの重合に由来のコポリマー、及びii) プロピレン、不安定水素を含むオレフィン、及び任意選択的にエチレンの重合に由来のコポリマー、よりなるプロピレンコポリマーの群から選択されるプロピレンコポリマーを含む、請求項1に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項9】
前記高−ビニル ポリジエンが高−ビニル ポリブタジエンを含む、請求項1に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項10】
前記ゴムが、ゴムの重量100部分当り重量で約5から約50部分の高−ビニル ポリブタジエンの存在下で硬化される、請求項9に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項11】
前記α―β―エチレン不飽和金属カルボン酸塩がジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、又はこれらの混合物を含む、請求項11に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項12】
前記ゴムが、ゴムの重量100部分当り、重量で約2から約30部分のジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、又はこれらの混合物の存在下で硬化される、請求項1に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項13】
前記動的硬化されるゴムは、23℃のシクロヘキサンにより抽出されるゴムが6重量%未満の範囲で硬化される、請求項1に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項14】
前記動的硬化されるゴムは、23℃のシクロヘキサンにより抽出されるゴムが5重量%未満の範囲で硬化される、請求項13に記載の前記熱可塑性加硫物。
【請求項15】
熱可塑性加硫物を生成する方法であって、前記方法は、
ゴム及びプラスチックを含むブレンド内でゴムを動的加硫させ、前記加硫は過酸化物硬化剤、及び高−ビニル ポリジエン又は高−ビニル ポリジエンコポリマー、ジメタクリル酸亜鉛、又はこれらの混合物よりなる群から選択される補助剤を用いることを含む、前記方法。

【公表番号】特表2009−501261(P2009−501261A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521378(P2008−521378)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/015433
【国際公開番号】WO2007/008271
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(591162239)アドバンスド エラストマー システムズ,エル.ピー. (14)
【住所又は居所原語表記】388 South Main Street,Akron,Ohio 44311−1059,United Stetes of America
【Fターム(参考)】