説明

道路用表示板の取付具及び取付構造

【課題】外力を受けても損傷し難く、且つ表示部材を継続的に支持取付可能な道路用表示板の取付具と、これを用いた道路用表示板の取付構造を提供する。
【解決手段】表示部材に取付けられた表示取付部に一方の端部を回動可能に取付け、支持体に取付けられた支持取付部に他方の端部を回動可能に取付けて、前記表示取付部と支持取付部とを連結する連結杆を備えると共に、
前記表示取付部と支持取付部との間に設けられて前記連結杆の回動によって弾性変形し、その復元力によって前記連結杆の回動方向とは逆方向に前記連結杆を復帰回動させる弾性体を取付具に備えさせる。
前記表示部材に車両などが接触した際に、前記連結杆が前記表示取付部と支持取付部との間で回動することにより、その衝撃を逃がし、前記表示部材が損傷することを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路反射鏡や交通標識等の道路用表示板を支柱などの支持体に取付けるための道路用表示板の取付具と、これを用いた道路用表示板の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路脇に設置される道路反射鏡や交通標識等の道路用表示板は、取付金具を介して支柱等に固定される構造が一般的であるが、大型車両などがこれに接触したときに、道路用表示板が破壊されたり、表示面の向きがずれるなどしてその機能が失われる場合があり、その対策について種々の提案がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、カーブミラーを支柱に定着する装置において、鏡体取付部と支柱取付部との間にコイルバネを装置し、かつ、ワイヤーロープによる安全装置を備え、外部からの衝撃により鏡体が受ける損傷を防止することを特徴とするカーブミラーの緩衝定着装置、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−006712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の如きカーブミラーの緩衝定着装置は、鏡体取付部と支柱取付部との間に装置されるコイルバネによって外部からの衝撃を緩和可能となされているが、このコイルバネが経年劣化や外力などによって破壊された際に鏡体の支持が失われるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、外力を受けても損傷し難く、且つ表示部材を継続的に支持取付可能な道路用表示板の取付具と、これを用いた道路用表示板の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用表示板の取付具は、表示板を備えた表示部材を支持体に取付けるための道路用表示板の取付具であって、
前記表示部材に取付けられた表示取付部に一方の端部が回動可能に取付けられ、前記支持体に取付けられた支持取付部に他方の端部が回動可能に取付けられて、前記表示取付部と支持取付部とを連結する連結杆を備えると共に、
前記表示取付部と支持取付部との間に設けられて前記連結杆の回動によって弾性変形し、その復元力によって前記連結杆の回動方向とは逆方向に前記連結杆を復帰回動させる弾性体を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る道路用表示板の取付構造は、前記請求項1に記載の道路用表示板の取付具を用いて、表示板を備えた表示部材が支持体に取付けられていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る道路用表示板の取付具及び取付構造によれば、前記表示部材に取付けられた表示取付部に一方の端部が回動可能に取付けられ、前記支持体に取付けられた支持取付部に他方の端部が回動可能に取付けられて、前記表示取付部と支持取付部とを連結する連結杆を備えるので、前記表示部材に車両などが接触した際に、前記連結杆が前記表示取付部と支持取付部との間で回動することにより、その衝撃を逃がし、前記表示部材が損傷することを抑制できる。
また、前記表示取付部と支持取付部との間に設けられて前記連結杆の回動によって弾性変形し、その復元力によって前記連結杆の回動方向とは逆方向に前記連結杆を復帰回動させる弾性体を備えるので、前記表示部材に車両などが接触して回動した前記連結杆が前記弾性体の復元力によって復帰回動し、前記表示部材の向きを車両の接触前の方向へ復元させるため、前期表示部材の表示機能を継続的に維持できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る道路用表示板の取付構造と取付具によれば、外力を受けても表示部材が損傷し難く、且つ表示部材を継続的に支持固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る道路用表示板の取付構造の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
【図2】図1(イ)の取付具付近を拡大して示す平面図である。
【図3】図2の道路用表示板に外力がかかった状態を示す平面図である。
【図4】図1の取付具を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
【図5】図4(ロ)のA−A断面図である。
【図6】図4(ロ)のB−B断面図である。
【図7】図1の取付具を各部材に分解した状態を示す図である。
【図8】図7の弾性体を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
【図9】図7の表示取付部を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
【図10】図7の支持取付部を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
【図11】図1の取付具の弾性体の貫通穴に内装されているスペーサーを示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は側面図である。
【図12】図1(イ)のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において1は道路用表示板の表示部材であり、2は表示部材1の支持体である支柱である。
支柱2は円筒形状の鋼管からなり、道路脇などの設置面において垂直方向に立設されて設けられている。
前記支柱2の側面には支柱バンド21が取付けられ、この支柱バンド21には取付具3が取付けられており、前記表示部材1は前記取付具3に取付けられ、取付具3、支柱バンド21とを介して支柱2に固定されている。
【0013】
図2は図1(イ)の取付具3付近を拡大して示す平面図であり、図3は図2の道路用表示板1に外力がかかった状態を示す平面図である。
前記取付具3は、一方の端部に前記表示部材1に取付けられた表示取付部31が設けられ、他方の端部に前記支柱バンド21に取付けられた支持取付部32が設けられており、前記表示取付部31と支持取付部32とはそれぞれ連結杆33に取付けられて連結されている。
表示取付部31と支持取付部32とはそれぞれ連結ボルト・ナット34を用いて連結杆33に取付けられており、詳細には連結ボルト・ナット34を軸として表示取付部31と支持取付部32とが連結杆33に対してそれぞれ回動可能に取付けられている。
取付具3が上記のように構成されることで、表示部材1に車両などが接触した際に、図3に示すように、連結杆33が表示取付部31と支持取付部32との間で回動して受けた力を逃がし、表示部材1の損傷を抑制できる。
【0014】
図4は図1の取付具3を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図であり、図5は図4(ロ)のA−A断面図である。
本実施形態の取付具3は、図4(イ)の平面図において、横長に設けられた表示取付部3
1の横方向中央から後方へ延設されるように連結杆33が連結ボルト・ナット34によって取付けられ、更に連結杆33の端から後方へ延設されるように支持取付部32が連結ボルト・ナット34によって取付けられており、平面視において表示取付部31と連結杆33、支持取付部32とがTの字形状を形成するように設けられている。
【0015】
図5に示すように、取付具3の内部には、弾性材料で形成されたTの字形状の弾性体37が前記表示取付部31から、連結杆33と支持取付部32とに亘るように内装されており、図3に示すように外力を受けて表示取付部31と支持取付部32との間で連結杆33が回動したとき(連結杆33から見ると、連結片33に対して表示取付部31と支持取付部32とが回動したとき)には前記弾性体37が弾性変形するように設けられている。そして、この外力が失われたときには、連結杆33が弾性体37の復元力によって復帰回動し(連結杆33から見ると、連結片33に対して表示取付部31と支持取付部32とが弾性体37の復元力によって復帰回動し)、固定具3が元のTの字形状に復元するようになされている。
【0016】
図7は図1の取付具3を各部材に分解した状態を示す図である。
本実施形態の取付具3は、表示取付部31、連結杆33、支持取付部32がそれぞれ回動可能に取付けられてTの字形状を形成するように設けられており、その内部に弾性体37が内装されている。
【0017】
図8は図7の弾性体37を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
本実施形態の弾性体37は、断面がTの字形状に形成されて設けられており、具体的には板面を前方及び後方へ向けた長方形の板状の弾性当接部38と、この弾性当接部38の後面の水平方向中央部分から後方へ突出する板形状の弾性支持部39とを備えるように形成させている。
【0018】
前記弾性当接部38には、前面から後面に貫通する円形の貫通穴38aが水平方向へ2個並設して形成させている。
また前記弾性当接部38の前面には、側面視後方へ窪む凹溝38bが水平方向に沿って形成されている。
【0019】
前記弾性支持部39は、前記弾性当接部38に近い根元側と突出する先の側とで板厚が異なるように形成させており、具体的には、前記根本側に薄肉の弾性変形部39cが設けられ、突出する先側に前記弾性変形部39cより若干厚肉の弾性取付部39bが設けられている。また、前記弾性取付部39bには、一方の面から他方の面へ貫通する円形の貫通穴39aを上下方向へ2個並設して形成させている。
【0020】
図9は図7の表示取付部31を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
本実施形態の表示取付部31は、平板を曲げ加工して形成されており、板面を前方と後方に向ける中板31Bと、この中板31Bの上端から前方へ延設される上板31Aと、中板31Bの下端から前方へ延設される下板31Cとを備える、コの字形状に形成されている。
前記上板31Aと下板31Cには、左右方向の中央位置に丸穴形状の貫通穴31dがそれぞれ1個つづ形成されている。
また、前記中板31Bには、左右方向の中央位置に上端から下端に至る四角形状の角穴31eが貫通して形成されると共に、この角穴31eの左右の両脇に丸穴形状の貫通穴31fがそれぞれ1個づつ、合計2個形成されている。
【0021】
図10は図7の支持取付部32を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は背面図であり、(ハ)は側面図である。
本実施形態の支持取付部32は、平板を曲げ加工して形成されており、板面を左右方向へそれぞれ向ける中板32Bと、この中板32Bの上端から側方へ延設される上板32Aと、中板32Bの下端から側方へ延設される下板32Cとを備える、コの字形状に形成されている。
前記上板32A及び下板32Cの前端は、中板32Bの前端より前方へ突出するように形成されている。そして前記上板31Aと下板31Cの前端付近には、丸穴形状の貫通穴32dがそれぞれ1個つづ形成されている。
また、前記中板32Bには、丸穴形状の貫通穴32eが2個上下方向に並設して形成されている。
【0022】
本実施形態の連結杆33は、板面を上下方向へ向けた前後に細長い平板形状に形成されており、丸穴形状の貫通穴33a、33bがそれぞれ連結杆33の前端付近と後端付近とにそれぞれ1個づつ形成されている。
【0023】
本実施形態の取付具3は、前記表示取付部31と支持取付部32とを2枚の連結杆33で連結させて一体化させている。
具体的には、表示固定部31の上板31Aの上面と、支持固定部32の上板32Aの上面とに連結杆33の下面を架け渡して当接させ、上板31Aの貫通穴31dと連結杆33の貫通穴33aとに挿通させた連結ボルト・ナット34を締結させ、上板32Aの貫通穴32dと連結杆33の貫通穴33bとに挿通させた連結ボルト・ナット34を締結させて、表示取付部31と支持取付部32とを上面部分で連結させている。
更に表示取付部31の下板31Cの下面と、支持取付部32の下板32Cの下面とに連結杆33の上面を架け渡して当接させ、下板31Cの貫通穴31dと連結杆33の貫通穴33aとに挿通させた連結ボルト・ナット34を締結させ、下板32Cの貫通穴32dと連結杆33の貫通穴33bとに挿通させた連結ボルト・ナット34を締結させて、表示取付部31と支持取付部32とを下面部分で連結させている。
尚、前記連結ボルト・ナット34を用いて連結杆33にそれぞれ連結された、表示取付部31及び支持取付部32は、連結杆33に対して連結ボルト・ナット34を軸とした回動が可能となされている。
【0024】
本実施形態の弾性体37は、図5に示すように、弾性当接部38から後方へ突出する弾性支持部39を表示取付部31の角穴31eに挿通させ、弾性当接部38の後面を表示取付部31の中板31Bの前面に当接させて、表示取付部31に内装されるように取り付けられる。
そして、角穴31eを挿通して表示取付部31から後方へ突出する弾性体37の弾性支持部39は、その弾性変形部39cが2枚の連結杆33に挟まれるように位置させ、弾性取付部39bの側面を支持取付部32の中板32Bの側面に当接させて、取り付けられるようになされている。
【0025】
また、弾性体37の弾性当接部38に設けられた各貫通穴38aは、それぞれ表示取付部31に形成された各貫通穴31fに対応した位置に形成されており、弾性体37が表示取付部31に内装されたときに各貫通穴38aと各貫通穴31fの位置とがそれぞれ揃うように設けられている。
図6は図4(ロ)のB−B断面図である。
弾性体37の弾性取付部39bに設けられた各貫通穴39aは、支持取付部32の中板32Bの各貫通穴32eに対応した位置にそれぞれ形成されており、弾性体37が表示取付部31に内装されたときに、各貫通穴39aと各貫通穴32eの位置がそれぞれ揃うように設けられている。
【0026】
図1に戻って示すように、本実施形態の表示部材1は、アルミニウムの板体が長方形に形成された表示板11を備えており、この前面には交通標識が表示されている。
表示板11の後面には、アルミニウム押出形材からなる胴縁12が、長手方向を水平に向け、上下方向に2本並設させて固定させている。
【0027】
図12は図1(イ)のA−A断面図である。
胴縁12には後面において、長手方向に沿って後方へ突出する二本一対の突条13a、13bを上下方向に並設させて形成させており、各突条13a、13bは、その突出する縁部分が他方の突条の方へ曲がって延設されるように形成させている。
前記各突条13a、13bは、その間に固定ボルトB1の頭部を収納させて、その雄ねじ部分を前記の縁部分から後方へ突出させた状態で長手方向へ摺動可能に取り付けられるように形成させている。各突条13a、13bの間に取り付けられたボルトB1は、そのボルト頭部が前記の各突条13a、13bの縁部分に当接されて、後方へ抜けないように取り付けられる。
【0028】
本実施形態の取付具3は、弾性体37の弾性当接部38の前面部分を表示部材1に対向させ、表示部材1より後方へ突出する固定ボルトB1を、弾性体37の弾性当接部38に設けられた前記貫通穴38aから、表示取付部31の中板31Bに設けられた貫通穴31fに挿通させて表示取付部31の中板31Bの後方へ突出させ、これにナットN1を螺結させて、弾性体37及び表示取付部31が表示部材1に取付けられる。
【0029】
なお、弾性当接部38が表示部材1に当接されるときに、前記胴縁12の突条13a、13bは弾性当接部38の凹溝38bに収納されるようになされている。
このようにすることで、表示部材1に上下方向への力がかかったときに、弾性体37の弾性当接部38が歪み、凹溝38bの内側面が突条13a、13bの外側面に当接するので、それ以上の弾性体37の変形が抑制されて弾性体37及び表示取付部31と表示部材1との取付が外れにくくなされる。
【0030】
尚、図5に示すように、弾性体37の弾性当接部38の各貫通穴38aには、あらかじめ円筒形状のスペーサー5が内装されている。
図11は弾性体37の貫通穴に内装されているスペーサー5を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は側面図である。
スペーサー5は、その外径が各貫通穴38aの内径に対応した大きさに形成されると共に、その長さは各貫通穴38aの穴の長さより若干短く形成されており、図5に示すように各貫通穴38aの内部に収納可能に形成されている。
また、スペーサー5は、その内径がボルトB1のそれぞれの雄ねじ部分の外径より若干大きく形成されており、その中空部分にボルトB1の雄ねじ部分を挿通可能に形成されている。
【0031】
弾性体37の弾性当接部38において、前記スペーサー5を内装させた貫通穴38aに、前記ボルトB1の雄ねじ部分を挿通させてナットN1を螺結させることで、前記ボルトB1のボルト頭部の内側の面と、表示取付部31の中板31Bの内側の面とが、それぞれ前記スペーサー5の端縁に当接し、前記スペーサー5の長さ以下の厚みに前記弾性当接部38が変形することを抑制するので、ボルトB1とナットN1とが適正なトルクで締結されて緩みにくいものとなされ、その取付けが安定的に継続される。
【0032】
また、図2に戻って示すように、本実施形態の取付具3は支柱バンド21を介して支持体である支柱2に取付けられている。
本実施形態の支柱バンド21は板状の亜鉛メッキ鋼板を曲げ加工して形成されており、具体的には長方形の亜鉛メッキ鋼板を前記支柱2の外周側面の略全周に対応した形状に曲げ加工させて巻回部23を形成させ、この巻回部23の両側の端からそれぞれ板状のバンド固定部24a、24bを延設させて同一方向へ突出させて形成させている。前記バンド固定部24aとバンド固定部24bとの間には若干の隙間が設けられるように形成させている。
【0033】
各バンド固定部24a、24bには、それぞれバンド貫通穴が形成されている。
そして、ボルトB2の雄ねじ部分を一方のバンド固定部24aの外側からバンド貫通穴に挿通させて、他方のバンド固定部24bのバンド貫通穴から突出させてナットN2に螺結させることで、前記バンド固定部24aとバンド固定部24bとの隙間が狭められて前記巻回部23が支柱2の外周側面を締め付け、前記支柱バンド21が強固に支柱2に固定されるようになされている。
【0034】
また、前記バンド固定部24aには、突出する先の部分が曲げ加工され、前記バンド固定部24bの方向へ垂直に突出する突出片部27が延設されて形成されている。
この突出片部27は、前記各バンド貫通に雄ねじ部分を挿通させたボルトB2とナットN2とを締結させ、前記バンド固定部24aとバンド固定部24bとの隙間が狭められたときに、突出片部27の先端がバンド固定部24bに当接するように形成されており、各バンド固定部24a、24bの先の部分でこれらの間に前記突出片部27の突出する大きさの隙間が形成されるようになされている。このため、前記ボルトB2とナットN2とを更に締結させることで、前記各バンド固定部24a、24bの根元付近におけるこれらの間の隙間が狭められ、前記巻回部23が効率よく支柱2の外周側面を締め付けるようになされている。
【0035】
前記の各バンド固定部24a、24bに設けられた各バンド貫通穴は、具体的には前記弾性体37の弾性取付部39bに設けられた貫通穴39a及び支持取付部32の中板32Bに設けられた貫通穴32eに対応する位置にそれぞれ形成させている。
そして、前記支柱バンド21の一方のバンド固定部24aの外側から前記バンド貫通穴にボルトB2の雄ねじ部分を挿通させて、他方のバンド固定部24bのバンド貫通穴より突出させ、更に弾性体37の弾性取付部39bに設けられた貫通穴39aから支持取付部32の中板32Bに設けられた貫通穴32eに挿通させてナットN2を螺結させることで、弾性体37及び支持取付部32を前記支柱バンド21に取付けると同時に、前記支柱バンド21を支柱2に固定させている。
【0036】
また図6に示すように、弾性支持部39の各貫通穴39aには、あらかじめ円筒形状のスペーサー5が内装されている。
このスペーサー5は、図11に示す形状と同じであり、その外径が各貫通穴39aの内径に対応した大きさに形成されると共に、その長さは各貫通穴39aの穴の長さより若干短く形成されており、各貫通穴39aの内部に収納可能に形成されている。
また、スペーサー5は、その内径がボルトB2のそれぞれの雄ねじ部分の外径より若干大きく形成されており、その中空部分にボルトB2の雄ねじ部分を挿通可能に形成されている。
【0037】
弾性体37の弾性支持部39において、前記スペーサー5を収納させた貫通穴39aに、前記ボルトB2の雄ねじ部分を挿通させてナットN2を螺結させることで、バンド固定部24bの外側の面と、支持取付部32の中板32Bの内側の面とが、それぞれ前記スペーサー5の端縁に当接し、前記スペーサー5の長さ以下の厚みに前記弾性支持部39が変形することを抑制するので、ボルトB2とナットN2とが適正なトルクで締結されて緩みにくいものとなされ、その固定が安定的に継続される。
【0038】
前記の如く、本実施形態の取付具3を介して支柱2に取付けられた表示部材1は、車両などが接触しても、図3に示すように、連結杆33が表示取付部31と支持取付部32との間で回動して受けた力を逃がし、表示部材1が損傷することを抑制できる。また、連結杆33が表示取付部31と支持取付部32との間で回動する際には、弾性体37がこれに追随して弾性変形し、表示部材1への力が失われたときには弾性体37の弾性変形が復元するので、その復元力によって連結杆33が復帰回動し、これを連結杆33から見ると、表示取付部31と支持取付部32とが連結杆33に対して復帰回動し、表示部材1の向きを設置時の状態に戻して、その表示機能を継続させることができる。
【0039】
また、弾性体37において、支柱バンド21との固定に用いられるボルトB2を挿通させる貫通穴39aを弾性取付部39bに形成させ、この弾性取付部39bと表示部材1を固定させた弾性当接部38との間に、弾性取付部39bより薄肉の弾性変形部39cを形成させることで、図2に示すように表示部材1が外力を受けて弾性体37が変形するときに、その変形が弾性変形部39cでなされて弾性取付部39bにおける変形が抑制されるので、ボルトB2とナットN2の締結が緩みにくいものとなされる
【0040】
また、本実施形態の取付具3において、弾性体37の弾性支持部39の弾性変形部39cが2枚の連結杆33に挟まれるように位置させている。弾性変形部39cは、弾性取付部39bより薄肉に形成され、表示部材1が力を受けて弾性体37が変形するときに弾性変形部39cの位置で弾性変形するようになされており、このときこれを挟むように配置された各連結杆33における表示取付部31と支持固定部32との回動がスムーズに行われるように設けられている。そして、これらを変形させる力が除かれたときには、弾性変形した弾性変形部39cの復元力が、これを挟むように配置された各連結杆33に連結された表示取付部31と支持取付部32とに効率良く伝達されて、その復帰回動がスムーズになされるように設けられている。
【0041】
また、本実施形態の取付具3は、弾性支持部39に設けられた各貫通穴39aと、支持取付部32の中板32Bの各貫通穴32eとの位置がそれぞれ揃うように設けられており、これらに雄ねじ部分を挿通させたボルトB2によって支柱バンド21に固定されるようになされている。
このとき、弾性体37と支持取付部32とは、ボルトB2とナットN2の締結によって同時に支柱バンド21に固定されるので、その取り付け作業を容易に行うことができる。
また、弾性体37は、支持取付部32と、支柱バンド21のバンド固定部24bとの間に狭着されて強固に固定されるので、表示部材1が力を受けたときにも、弾性体37の位置ずれや取付けが外れるなどの問題が生じない。
【0042】
また、本実施形態の取付具3は、弾性当接部38に設けられた各貫通穴38aと、表示取付部31の中板31Bの各貫通穴31fとの位置がそれぞれ揃うように設けられており、これらに雄ねじ部分を挿通させたボルトB1によって表示部材1に取付けられるようになされている。
このとき、弾性体37と表示取付部31とは、ボルトB1とナットN1の締結によって同時に表示部材1に固定されるので、その取り付け作業を容易に行うことができる。
また、弾性体37は、表示取付部31と、表示部材1の胴縁12との間に狭着されて強固に固定されるので、表示部材1が力を受けて弾性体37が弾性変形するときにも、弾性体37の位置ずれや取付が外れるなどの問題が生じない。
【0043】
また、本実施形態の取付具3は、各連結ボルト・ナット34を上下方向へ向けて取り付けており、表示取付部31と支持取付部32は、それぞれ連結ボルト・ナット34を軸として連結杆33に対して水平方向へ回動するように設けられている。このように設けることで、表示部材1の重みがかかっても弾性体37が上下方向へ容易に弾性変形しないようになされるので、表示部材1の上部に雪が積もるような場合でも、表示部材1が下を向き難くなされる。
【0044】
そして、取付具3を介して支柱バンド21に取付けられた表示部材1に対して、車両などが繰り返し接触して弾性体37が破損などした場合でも、前記表示取付部31が各連結杆33を介して支持取付部32に支持されるので、表示部材1が落下などせずに安全に利用できる。
また、反対に連結杆33が先に破損などした場合でも、前記表示取付部31が弾性体37を介して支持取付部32に支持されるので、表示部材1が落下などしない。
【0045】
図1に戻って示すように、本実施形態の表示部材1は、表示板11の後面に胴縁12が、長手方向を水平に向け、上下方向に2本並設されており、本実施形態の取付具3は、前記2本の胴縁12の内、上方に配置された胴縁12へボルトB1を用いて固定されている。
そして、下方に配置された胴縁12へは、弾性取付具4が、前記取付具3と同様にボルトを用いて固定されている。
本実施形態の弾性取付具4は、図1に示した取付具3から表示取付部31と支持取付部32と連結杆33とを取り除いた、弾性体37のみを用いたものであり、図8に示す弾性体37と同一の形状に形成されている。
【0046】
本実施形態の弾性取付具4は、その形状は図8に示す弾性体37と同一の形状であるので、各部分の名称及び符号を弾性体37と同じ名称及び符号で説明すると、弾性当接部38の前面部分を表示部材1に対向させ、表示部材1より後方へ突出する固定ボルトB1を貫通穴38aに挿通させて後方へ突出させ、これにナットN1を螺結させて表示部材1に固定される。
弾性固定具4は、取付具3と同様に、弾性当接部38が表示部材1に当接されるときに、前記胴縁12の突条13a、13bとを弾性当接部38の凹溝38bに収納させるように設けられている。
このように設けることで、表示部材1に上下方向への力がかかったときに、弾性取付具4の弾性当接部38が歪み、凹溝38bの内側面が突条13a、13bの外側面に当接するので、それ以上の弾性取付具4の変形が抑制されて弾性取付具4と表示部材1との取付けが外れにくくなされる。
【0047】
そして、本実施形態の弾性取付具4は、前記支柱バンド21の一方のバンド固定部24aの外側からバンド貫通穴にボルトB2の雄ねじ部分を挿通させて、他方のバンド固定部24bのバンド貫通穴より突出させ、更に弾性取付具4の貫通穴39aに挿通させてナットN2を螺結させることで、前記支柱バンド21に固定させると共に、前記支柱バンド21を支柱2に固定させている。
【0048】
また、本実施形態の弾性取付具4の各貫通穴38a及び各貫通穴39aには、取付具3と同様にあらかじめ円筒形状のスペーサー5が内装されている。スペーサー5が内装されることで、前記ボルトB1及びボルトB2のボルト頭部の内側の面と、前記ナットN1及びナットN2の内側の面とが、それぞれ前記各スペーサー5の端縁に当接し、前記各スペーサー5の長さ以下の厚みに前記弾性取付具4が変形することを抑制するので、各ボルト・ナットが適正なトルクで締結されて緩みにくいものとなされ、その取付けが安定的に継続される。
【0049】
本実施形態の道路用表示板11の取付構造においては、表示部材11に2本の胴縁12を上下方向の並設させ、上方の胴縁12に取付具3を取付け、下方の胴縁12に弾性取付具4を取付け、それぞれ支柱バンド21を介して支柱2に固定されているが、これに限るものではなく、下方の胴縁12にも取付具3を取付けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 表示部材
11 表示板
12 胴縁
13a、13b 突条
2 支柱
21 支柱バンド
23 巻回部
24a、24b バンド固定部
27 突出片部
3 取付具
31 表示取付部
31A 上板
31B 中板
31C 下板
31d 貫通穴
31e 角穴
31f 貫通穴
32 支持取付部
32A 上板
32B 中板
32C 下板
32d 貫通穴
32e 貫通穴
33 連結杆
33a 貫通穴
33b 貫通穴
34 連結ボルト・ナット
37 弾性体
38 弾性当接部
38a 貫通穴
39 弾性支持部
39a 貫通穴
39b 弾性取付部
39c 弾性変形部
4 弾性取付具
5 スペーサー
B1、B2 ボルト
N1、N2 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示板を備えた表示部材を支持体に取付けるための道路用表示板の取付具であって、
前記表示部材に取付けられた表示取付部に一方の端部が回動可能に取付けられ、前記支持体に取付けられた支持取付部に他方の端部が回動可能に取付けられて、前記表示取付部と支持取付部とを連結する連結杆を備えると共に、
前記表示取付部と支持取付部との間に設けられて前記連結杆の回動によって弾性変形し、その復元力によって前記連結杆の回動方向とは逆方向に前記連結杆を復帰回動させる弾性体を備えたことを特徴とする道路用表示板の取付具。
【請求項2】
前記請求項1に記載の道路用表示板の取付具を用いて、表示板を備えた表示部材が支持体に取付けられていることを特徴とする道路用表示板の取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−82628(P2012−82628A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230263(P2010−230263)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】