説明

道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置

【課題】スクリューをスクリードとチェーンで連結し該スクリードの上下に連動して上下動させる場合において、施工中にスクリューを下げた状態でアスファルト混合物を撒き出してもスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを防止してアスファルト混合物をスクリューの端部まで適正に撒き出す。
【解決手段】スクリュースプレッダ機構が上下動する際に該スクリュースプレッダ機構側に取り付けられた滑動子25をガイドするガイドレール26のレール溝26aにストッパピン28を出没自在に配設し、ストッパピン28を揺動可能に配設したL字リンクブラケット29の一端に取り付けるとともにL字リンクブラケット29の他端をプルケーブル33a,33bを介して操作レバー32に連結し、スクリュー19が所定高さ位置まで下げられた際に操作レバー32の操作によりストッパピン28を滑動子25側へ突出させて該滑動子25の上方へのスライドを抑止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置に関するものであり、特に、施工中にスクリューを下げた状態でアスファルト混合物を撒き出してもスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを防止してアスファルト混合物をスクリューの端部まで適正に撒き出すことが可能な道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路舗装機械におけるスクリューの従来技術としては、例えば、図5〜図10に示すようなものがある。まず、図5及び図6を用いてスクリューを備えた道路舗装機械から説明する。道路舗装機械1における機械本体2の下部に小径の前輪3と大径駆動輪である後輪4が設けられている。機械本体2上部の前方側には、ダンプトラックなどからアスファルト混合物の投入を受け入れるホッパ5が備えられ、該ホッパ5で受け入れたアスファルト混合物はバーフィーダ6で機械本体2の後部に搬送され、この搬送されたアスファルト混合物が路盤上にスクリュー19で機械本体2の幅方向に撒き広げられる。該スクリュース19の直ぐ前方には、路盤上にアスファルト乳剤を散布する乳剤散布装置7が備えられ、スクリュー19の後方には、アスファルト乳剤が散布された路盤上に撒き広げられたアスファルト混合物を敷均すスクリード8がレべリングアーム9の後端部に支持されて設けられている。
【0003】
レべリングアーム9は、機械本体2の左右に一対設けられている。該レべリングアーム9は、先端部がそれぞれ図示しないレべリングシリンダを介して機械本体2に取り付けられ、後端側は舗装施工中には油圧フリーとなるスクリードリフトシリンダ10をそれぞれ介して機械本体2に取付けられている。主に前記レべリングシリンダを調整することでスクリード8の上下位置調整が行われる。前記スクリュー19は、スクリュー上下用チェーン11でスクリード8に連結されており、該スクリュー19は、後述するように、スクリード8の上下位置調整に連動して上下動するように構成されている。また、機械本体2上部の後方側には、運転席12が設けられている。
【0004】
次いで、図7〜図10を用いて左右のスクリューを含むスクリュースプレッダ機構13の部分を説明する。機械本体2の後端プレート2aの左右中央に動力伝動ケース14が縦方向に配置されている。該動力伝動ケース14の上部左右側面には、左油圧モータ15aと右油圧モータ15bがそれぞれ取り付けられ、動力伝動ケース14の下部左右側面からは左スクリューシャフト16aと右スクリューシャフト16bがそれぞれ回転可能に延び出ている。図示されてないが、動力伝動ケース14には、左油圧モータ15a及び右油圧モータ15bと左スクリューシャフト16a及び右スクリューシャフト16bとの間に次のような動力伝動機構が内装されている。即ち、左油圧モータ15aの出力軸には左駆動スプロケットホイールが固着され、右油圧モータ15bの出力軸には右駆動スプロケットホイールが固着されている。これに対応して左スクリューシャフト16aには左従動スプロケットホイールが固着され、右スクリューシャフト16bには右従動スプロケットホイールが固着されている。そして左駆動スプロケットホイールと左従動スプロケットホイールとの間、及び右駆動スプロケットホイールと右従動スプロケットホイールとの間にそれぞれチェーンが架け渡されている。
【0005】
また、動力伝動ケース14の下方寄りの左右側面には左アーム17aと右アーム17bとがそれぞれ突設され、該左右のアーム17a,17bの各端部に取り付けられたブラケット軸受け18a,18bにより、前記左右のスクリューシャフト16a,16bの各外側端部近傍がそれぞれ回転可能に支持されている。前記左スクリューシャフト16aには複数のスクリューセグメントにより連続する左スクリュー19aが構成され、これと同様に、右スクリューシャフト16bには複数のスクリューセグメントにより連続する右スクリュー19bが構成されている。左スクリュー19aは右ネジで、右スクリュー19bは左ネジとなっている。この左右のスクリュー19a,19bの構成により、動力伝動ケース14の左側へ落下したアスファルト混合物は左油圧モータ15aの駆動で回転する左スクリュー19aによって左方向へ送られ、動力伝動ケース14の右側へ落下したアスファルト混合物は右油圧モータ15bの駆動で回転する右スクリュー19bによって右方向へ送られて、舗装幅の全域へアスファルト混合物が展開される。
【0006】
そして、前記動力伝動ケース14の上部後面には取付部材20を介して、左右両側がスライド部21a,21bとなるプレート部材21が取り付けられ、前記後端プレート2a側には前記左右両側のスライド部21a,21bに対応したガイド溝22aが形成される1対のガイド片22が固設されている。この1対のガイド片22,22による対向したガイド溝22a,22aに、前記プレート部材21における左右両側のスライド部21a,21bが移動自在に係合することにより第1の上部縦方向ガイド部23が形成されている。また、前記左右のアーム17a,17bの各端部寄りの位置には、図10の(a)、(b)、(c)にも拡大して示すように、適宜形状のブラケット板24を介して滑動子25がそれぞれ取り付けられ、これに対応して前記後端プレート2a側には、前記滑動子25をガイドするレール溝26aをそれぞれ有する1対のガイドレール26,26が対向して固設されている。この各滑動子25,25とこれをガイドする1対のガイドレール26,26により、第2の左側縦方向ガイド部27A及び右側縦方向ガイド部27Bが形成されている。
【0007】
この第2の左側縦方向ガイド部27A及び右側縦方向ガイド部27B並びに前記第1の上部縦方向ガイド部23により、左右の油圧モータ15a,15bが取り付けられた動力伝動ケース14及び左右のスクリュー19a,19b等を一体として含むスクリュースプレッダ機構13が、後端プレート2aに対し所要範囲内で上下方向に移動可能に構成されている。この結果、スクリュー上下用チェーン11でスクリード8に連結された左右のスクリュー19a,19bを含むスクリュースプレッダ機構13は、スクリード8の上下位置調整に連動して上下動する。
【0008】
上記の道路舗装機械におけるスクリュースプレッダに関連する従来技術として、例えば、次のような舗装機械のスクリュースプレッダが知られている。この従来技術は、前記とほぼ同様の動力伝動機構が内装された動力伝動ケースが機械本体の後端プレートの左右中央に固定して取り付けられている。該動力伝動ケースの上部左右側面には、左油圧モータと右油圧モータがそれぞれ取り付けられ、動力伝動ケースの下部左右側面からは左スクリューシャフトと右スクリューシャフトがそれぞれ回転可能に延び出ている。該左右のスクリューシャフトの各外側端部近傍は、機械本体の後端プレートに取り付けられた各ブラケット軸受けにそれぞれ回転可能に支持されている。前記左スクリューシャフトには複数のスクリューセグメントにより連続する左スクリューが構成され、これと同様に、右スクリューシャフトには複数のスクリューセグメントにより連続する右スクリューが構成されている。上述のように、この従来技術においては、左右の油圧モータが取り付けられた動力伝動ケース及び左右のスクリュー等を一体として含むスクリュースプレッダ機構が、後端プレートに対し固定して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−121193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図5〜図10に示した従来技術においては、左右の油圧モータが取り付けられた動力伝動ケース及び左右のスクリュー等を一体として含むスクリュースプレッダ機構が、第1の上部縦方向ガイド部並びに第2の左側縦方向ガイド部及び右側縦方向ガイド部により、機械本体の後端プレートに対し所要範囲内で上下方向に移動可能に構成されている。そして該スクリュースプレッダ機構は、スクリュー上下用チェーンでスクリードに連結されて該スクリードの上下位置調整に連動して上下動する。しかしながら、施工中にスクリューを下げた状態でアスファルト混合物を撒き出すとスクリューの左右両端側が浮き上がってしまい、アスファルト混合物をスクリューの端部まで撒き出すことが難しかった。
【0011】
また、特許文献1に記載の従来技術においては、左右の油圧モータが取り付けられた動力伝動ケース及び左右のスクリュー等を一体として含むスクリュースプレッダ機構は、機械本体の後端プレートに固定されていてスクリードの上下位置調整に連動して上下動するようには構成されていない。
【0012】
そこで、スクリューをスクリードとチェーンで連結し該スクリードの上下に連動して上下動させる場合において、施工中にスクリューを下げた状態でアスファルト混合物を撒き出してもスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを防止してアスファルト混合物をスクリューの端部まで適正に撒き出すことができるとともに、浮き上がり防止装置は運転席からの操作を容易に可能とし、またシリンダなどを不使用として軽量で簡易な構成とするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、油圧モータが取り付けられた動力伝動ケース及びスクリューを含むスクリュースプレッダ機構を連結部材を介してスクリードに連結し、該スクリードの上下動に連動して前記スクリュースプレッダ機構を上下動させるようにした道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置であって、前記スクリュースプレッダ機構が上下動する際に該スクリュースプレッダ機構側に取り付けられた滑動子をガイドするガイドレールのレール溝にストッパピンを出没自在に配設し、該ストッパピンを揺動可能に配設したL字リンクブラケットの一端に取り付けるとともに該L字リンクブラケットの他端をプルケーブルを介して操作レバーに連結し、前記スクリューが所定高さ位置まで下げられた際に前記操作レバーの操作により前記ストッパピンを前記滑動子側へ突出させて該滑動子の上方へのスライドを抑止するようにした道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、スクリューを含むスクリュースプレッダ機構がチェーン等の連結部材を介してスクリードに連結され、スクリードの上下動に連動して滑動子がガイドレールのレール溝をガイドされてスクリューを含むスクリュースプレッダ機構が上下動する。このような連動構成において、施工中にスクリューが所定高さ位置まで下げられた際に操作レバーを操作することで、プルケーブル及びL字リンクブラケットを介して、例えば、ストッパピンがレール溝内の滑動子側へ突出される。このストッパピンの突出により、滑動子の上方へのスライドが抑止されてスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのが防止される。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記操作レバーは運転席の近傍位置に配設した道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、操作レバーを運転席の近傍位置に配設したことで、施工中にスクリ
ューが所定高さ位置まで下げられた際のスクリューの左右両端側の浮き上り防止を容易に操作することが可能となる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記動力伝動ケースの下端部左右側方から左スクリューシャフトと右スクリューシャフトとをそれぞれ回転可能に延び出させ、前記左スクリューシャフト上に左スクリューを構成し、前記右スクリューシャフト上に右スクリューを構成するとともに前記動力伝動ケースの下方寄りの左右側部からは左アームと右アームとを突設し、該左右のアームの各端部に取り付けられたブラケット軸受けにより前記左右のスクリューシャフトの各外側端部近傍をそれぞれ回転可能に支持し、前記滑動子、前記レール溝を有するガイドレール、前記ストッパピン及び前記L字リンクブラケットを含む部材で構成されたストッパ機構部を前記左右のアームの各端部寄りの位置にそれぞれ配設し、運転席の近傍位置には単一の操作レバーを配設し、該単一の操作レバーを各プルケーブルを介して前記ストッパ機構部における前記L字リンクブラケットの他端にそれぞれ連結した道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、動力伝動ケースの下方寄りの左右側部から左アームと右アームとを突設し、該左右のアームの各端部からブラケット軸受けを介して左右のスクリューシャフトの各外側端部近傍をそれぞれ回転可能に支持するとともにストッパピンを滑動子の真上へ突出させて滑動子の上方へのスライドを抑止する機能を持つストッパ機構部は前記左右のアームの各端部寄りの位置に2カ所配設されている。これにより運転席からの単一の操作レバーの操作でスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのが一層確実に防止される。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明は、スクリューを含むスクリュースプレッダ機構をチェーン等の連結部材を介してスクリードに連結し、スクリードの上下動に連動して滑動子をガイドレールのレール溝でガイドさせてスクリューを上下動させる場合において、施工中にスクリューを所定高さ位置まで下げた状態でアスファルト混合物を撒き出しても操作レバーを操作することでストッパピンをレール溝内の滑動子側へ突出させて滑動子の上方へのスライドを抑止し、スクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを防止することができる。この結果、アスファルト混合物をスクリューの端部まで適正に撒き出すことができる。また浮き上がり防止装置はシリンダなどを不使用として軽量で簡易な構成とすることができるという利点がある。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えてさらに、施工中にスクリューが所定高さ位置まで下げられた際のスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを防止するための操作レバーの操作を運転席から容易に行うことができるという利点がある。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えてさらに、動力伝動ケースの下方寄りの左右側部から突設した左右のアームの各端部からブラケット軸受けを介して左右のスクリューシャフトの各外側端部近傍をそれぞれ回転可能に支持し、また滑動子の上方へのスライドを抑止する機能を持つストッパ機構部は前記左右のアームの各端部寄りの位置に2カ所配設したことで、施工中にスクリューを所定高さ位置まで下げた状態でアスファルト混合物を撒き出してもスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを一層確実に防止することができて、アスファルト混合物をスクリューの端部まで一層適正に撒き出すことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係る道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置を備えたスクリュースプレッダ機構の背面図。
【図2】図1の左側面図。
【図3】図1の上面図。
【図4】図1中の滑動子をガイドするガイドレール及びストッパピン等の部分を拡大して示す詳細図であり、(a)は正面図、(b)は図(a)の右側面図、(c)は図(b)の右側面図。
【図5】従来のスクリュースプレッダ機構を備えた道路舗装機械の側面図。
【図6】図5の平面図。
【図7】従来のスクリュースプレッダ機構の背面図。
【図8】図7の左側面図。
【図9】図7の上面図。
【図10】図7中の滑動子をガイドするガイドレール部分を拡大して示す詳細図であり、(a)は正面図、(b)は図(a)の右側面図、(c)は図(b)の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、スクリューをスクリードとチェーンで連結し該スクリードの上下に連動して上下動させる場合において、施工中にスクリューを下げた状態でアスファルト混合物を撒き出してもスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを防止してアスファルト混合物をスクリューの端部まで適正に撒き出すことができるとともに、浮き上がり防止装置は運転席からの操作を容易に可能とし、またシリンダなどを不使用として軽量で簡易な構成とするという目的を達成するために、油圧モータが取り付けられた動力伝動ケース及びスクリューを含むスクリュースプレッダ機構を連結部材を介してスクリードに連結し、該スクリードの上下動に連動して前記スクリュースプレッダ機構を上下動させるようにした道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置であって、前記スクリュースプレッダ機構が上下動する際に該スクリュースプレッダ機構側に取り付けられた滑動子をガイドするガイドレールのレール溝にストッパピンを出没自在に配設し、該ストッパピンを揺動可能に配設したL字リンクブラケットの一端に取り付けるとともに該L字リンクブラケットの他端をプルケーブルを介して操作レバーに連結し、前記スクリューが所定高さ位置まで下げられた際に前記操作レバーの操作により前記ストッパピンを前記滑動子側へ突出させて該滑動子の上方へのスライドを抑止することにより実現した。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図4の(a)、(b)、(c)を参照して説明する。なお、図1乃至図4の(a)、(b)、(c)において、前記図5乃至図10の(a)、(b)、(c)における構成要素と同一ないし均等のものは、前記と同一符合を以て示し、重複した説明を省略する。
【0025】
まず、本実施例に係る道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置の構成を説明する。図1及び図2において、前述したように、左右のスクリュー19a,19bを含むスクリュースプレッダ機構13(図7参照)がチェーン11を介してスクリードに連結され、スクリードの上下動に連動して滑動子25がガイドレール26のレール溝26aをガイドされて前記スクリュースプレッダ機構が上下動する。このような連動構成において、本実施例においては、前記滑動子25、前記レール溝26aを有するガイドレール26、ストッパピン28及びL字リンクブラケット29を含む部材で構成されたストッパ機構部30A,30Bが左右のアーム17a,17bの各端部寄りの位置に2カ所配設されている。即ち、本実施例では、前記図9に示した左側及び右側の縦方向ガイド部27A,27Bがそのまま利用されて左右のストッパ機構部30A,30Bが構成されている。いま、左ストッパ機構部30Aについてその詳細構成を説明する。
【0026】
図4の(a)、(b)、(c)にも拡大して示すように、滑動子25をガイドするガイドレール26のレール溝26aに、ガイドレール26に開穿されたピン孔26bを介してストッパピン28が出没自在に配設されている。一方、機械本体の後端プレート2aから植立された枢支ピン31aを揺動支点として該枢支ピン31aにL字リンクブラケット29が揺動可能に取り付けられ、該L字リンクブラケット29の一端に前記ストッパピン28の後端が枢支ピン31bで枢支されている。右ストッパ機構部30Bは、該左ストッパ機構部30Aと対称的に構成されている。
【0027】
そして、運転席12の近傍位置には単一の操作レバー32が配設され、該単一の操作レバー32が各プルケーブル33a,33bを介して左右のストッパ機構部30A,30Bにおける各L字リンクブラケット29の他端にそれぞれ枢支ピン31cで連結されている。この構成により、左右のスクリュー19a,19bが所定高さ位置まで下げられた際に操作レバー32を解除位置からロック位置まで回動操作をすることにより、図4(b)に示すように、左右のストッパ機構部30A,30Bにおける各ストッパピン28が滑動子25の真上に突出して該滑動子25の上方へのスライドが抑止される。
【0028】
次に、上述のように構成された道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置の作用を説明する。施工中にスクリードの上下動に連動して左右のスクリュー19a,19bが所定高さ位置まで下げられた際に操作レバー32を解除位置からロック位置まで回動操作することで、両プルケーブル33a,33bを介して左右のストッパ機構部30A,30BにおけるL字リンクブラケット29が揺動してストッパピン28がレール溝26a内の滑動子25の真上に突出される。このストッパピン28の突出により、左右のアーム17a,17bの各端部寄りの2カ所の位置で滑動子25の上方へのスライドが抑止されて左スクリュー19aと右スクリュー19bとを一体としたスクリュー19の左右両端側が浮き上がってくるのが確実に防止される。
【0029】
上述したように、本実施例に係る道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置においては、施工中にスクリュー19を所定高さ位置まで下げた状態でアスファルト混合物を撒き出しても操作レバー32を操作することでストッパピン28をレール溝26a内の滑動子25の真上に突出させて滑動子25の上方へのスライドを抑止し、スクリュー19の左右両端側が浮き上がってくるのを防止することができる。この結果、アスファルト混合物をスクリュー19の端部まで適正に撒き出すことができる。
【0030】
浮き上がり防止装置はシリンダなどを不使用として軽量で簡易な構成とすることができる。
【0031】
施工中にスクリュー19が所定高さ位置まで下げられた際のスクリュー19の左右両端側が浮き上がってくるのを防止するための操作レバー32の操作を運転席12から容易に行うことができる。
【0032】
動力伝動ケース14の下方寄りの左右側部から突設した左右のアーム17a,17bの各端部からブラケット軸受け18a,18bを介して左右のスクリューシャフト16a,16bの各外側端部近傍をそれぞれ回転可能に支持し、また、ストッパ機構部30A,30Bは左右のアーム17a,17bの各端部寄りの位置に2カ所配設したことで、施工中にスクリュー19を所定高さ位置まで下げた状態でアスファルト混合物を撒き出してもスクリュー19の左右両端側が浮き上がってくるのを一層確実に防止することができて、アスファルト混合物をスクリュー19の端部まで一層適正に撒き出すことができる。
【0033】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
スクリューをスクリードとチェーン等の連結部材で連結し該スクリードの上下に連動して上下動させる場合において、施工中にスクリューを下げた状態でアスファルト混合物を撒き出してもスクリューの左右両端側が浮き上がってくるのを防止してアスファルト混合物をスクリューの端部まで適正に撒き出すことができるとともに、浮き上がり防止装置は運転席からの操作を容易に可能とすることが不可欠な乳剤散布機能付き及び無しの道路舗装機械を含む敷均機械に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 道路舗装機械
2 機械本体
3 前輪
4 後輪
5 ホッパ
6 バーフィーダ
7 乳剤散布装置
8 スクリード
9 レべリングアーム
10 スクリードリフトシリンダ
11 スクリュー上下用チェーン
12 運転席
13 スクリュースプレッダ機構
14 動力伝動ケース
15a,15b 左右の油圧モータ
16a,16b 左右のスクリューシャフト
17a,17b 左右のアーム
18a,18b ブラケット軸受け
19 スクリュー
19a,19b 左右のスクリュー
20 取付部材
21 プレート部材
21a,21b スライド部
22 ガイド片
22a ガイド溝
23 第1の上部縦方向ガイド部
24 ブラケット板
25 滑動子
26 ガイドレール
26a レール溝
26b ピン孔
27A,27B 第2の左側縦方向ガイド部及び右側縦方向ガイド部
28 ストッパピン
29 L字リンクブラケット
30A,30B 左右のストッパ機構部
31a〜31c 枢支ピン
32 操作レバー
33a,33b プルケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧モータが取り付けられた動力伝動ケース及びスクリューを含むスクリュースプレッダ機構を連結部材を介してスクリードに連結し、該スクリードの上下動に連動して前記スクリュースプレッダ機構を上下動させるようにした道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置であって、
前記スクリュースプレッダ機構が上下動する際に該スクリュースプレッダ機構側に取り付けられた滑動子をガイドするガイドレールのレール溝にストッパピンを出没自在に配設し、該ストッパピンを揺動可能に配設したL字リンクブラケットの一端に取り付けるとともに該L字リンクブラケットの他端をプルケーブルを介して操作レバーに連結し、前記スクリューが所定高さ位置まで下げられた際に前記操作レバーの操作により前記ストッパピンを前記滑動子側へ突出させて該滑動子の上方へのスライドを抑止するようにしたことを特徴とする道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置。
【請求項2】
上記操作レバーは運転席の近傍位置に配設したことを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置。
【請求項3】
上記動力伝動ケースの下端部左右側方から左スクリューシャフトと右スクリューシャフトをそれぞれ回転可能に延び出させ、前記左スクリューシャフト上に左スクリューを構成し、前記右スクリューシャフト上に右スクリューを構成するとともに前記動力伝動ケースの下方寄りの左右側部からは左アームと右アームとを突設し、該左右のアームの各端部に取り付けられたブラケット軸受けにより前記左右のスクリューシャフトの各外側端部近傍をそれぞれ回転可能に支持し、前記滑動子、前記レール溝を有するガイドレール、前記ストッパピン及び前記L字リンクブラケットを含む部材で構成されたストッパ機構部を前記左右のアームの各端部寄りの位置にそれぞれ配設し、運転席の近傍位置には単一の操作レバーを配設し、該単一の操作レバーを各プルケーブルを介して前記ストッパ機構部におけるL字リンクブラケットの他端にそれぞれ連結したことを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械におけるスクリューの浮き上がり防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−104177(P2013−104177A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246948(P2011−246948)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【出願人】(590002482)株式会社NIPPO (130)
【Fターム(参考)】