説明

遠心分離式の食用油回収装置

【課題】従来は、揚げカスの保管容器とその置き場所を別に要し、狭い厨房では邪魔になり、作業手順を煩雑にしていたが、この改善をはかるべく、揚げたてのカスを処理する有効な食用油回収装置を提供する。
【解決手段】上部に開口部を有するタンク2内に、高速回転する脱油篭11を設け、上記タンク2の底部に食用油の排出口7を、また、同タンク2の上部には、揚げカスの投入口19と開口部を閉塞する蓋体16とを設ける。そして上記タンク2または蓋体16の隙間部に、タンク2内と外方空間とを連通する排熱口20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天ぷらなどの揚げカスに含浸される油分を分離して回収する遠心分離式の食用油回収装置に係り、特に揚げたてのカスを処理するに有効な装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フライヤーに浮遊する天ぷらなどの揚げカスを掬い上げた後に脱油篭内に収容し、この脱油篭の高速回転によって油分を分離回収する技術としては、例えば特許文献1に開示される発明がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−316564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、揚げカスを別の保管容器などに一旦移し、例えば一昼夜放置した後に分離処理を行なうようにしたものであり、このため、従来装置にあっては常温以下の揚げカスを対象として構成を考慮したものである。
【0005】
このように従来装置では、保管容器とその置き場所を要するものであって、狭い厨房で使用するには邪魔になり、また作業手順を煩雑にする一因になっていた。このため、余計な手間などを省略して揚げカスを直接に処理することが間々みられているが、これでは残留する熱によって火傷の危険が生じ、さらには冷却を待っていると長い時間が掛かってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、高温の揚げカスであってもこれを迅速かつ安全に処理すすることができる遠心分離式の食用油回収装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る遠心分離式の食用油回収装置は、上部に開口部を有するタンク内に、高速回転する脱油篭を設けると共に、上記タンクの底部に食用油の排油口を、同タンクの上部に揚げカスの投入口と開口部を閉塞する蓋体とを設けてなる食用油の回収装置において、上記タンクまたは蓋体に、タンク内と外方空間を連通する排熱口を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また本発明の遠心分離式の食用油回収装置は、請求項2においてタンクの開口部に対して隙間空間をもって蓋体を取りつけ、上記の隙間空間を排熱口としたことを特徴としたものである。
【0009】
また本発明の遠心分離式の食用油回収装置は、請求項3において脱油篭の外周部に翼片を取りつけたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0010】
このように構成した課題解決手段によれば、脱油篭内に高温の揚げカスが投入されたとき、その遠心力によって油分を分離して回収することができることは勿論、内部の熱を上昇気流と共に上部の排熱口から外方空間に放出することができる。このため、揚げカスを素早く冷却することができ、処理を安全かつ効率的に行なうことができるという優れた効果を発揮する。
【0011】
また請求項2の発明によれば、特別に細工をする必要がなく排熱口を構成することができるので、製作コスト的に有利である。
【0012】
また請求項3の構成によれば、翼片によって大きな上昇気流を発生し、熱を強制的に排出することができるので、さらに効率的に処理作業を行なうことができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る遠心分離式の食用油回収装置の一実施例を示す縦断側面図である。
【図2】排熱口の他の実施例を示す説明図である。
【図3】同じく、他の実施例を示す説明図である。
【図4】翼片を取りつけた実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1について説明する。図において、1はフレーム 2はフレーム1の上部に設けた有底状のタンク 3はフレーム2の下部に設けた箱状のスタンド 4はスタンド3の下端に設けた接地座である。上記のタンク2の上部には、全面的に開放する開口部5を設ける。またタンク2の底部6は傾斜状に構成し、最低位置には排油口7を設ける。
【0015】
8は回転軸9を上向きにしてフレーム1内に設けた電動モータ この電動モータ8は、吸振手段10を介してスタンド3に保持される。11はカップリング12を介して回転軸9の上端部に設けた脱油篭 この脱油篭11は、カップリング12の上端に固定した有底状の受篭13と、この受篭13に対して着脱自在とした収容篭14によって構成され、タンク2内に回転自在に保持される。
【0016】
16はタンク2の開口部5を覆うように設けた蝶着蓋体 17は蓋体16の回転支軸 18は蓋体16を開閉操作するように自由端側に設けた取手縁 上記の蓋体16は容器状に形成されており、中央部に揚げカスの投入口19を設ける。20はタンク2の開口部5と蓋体16の間に設けた隙間状の排熱口である。
【0017】
以上のように構成した遠心分離式の食用油回収装置によって揚げカスの油分を分離回収するには次のようにする。それには、まず蓋体16を開いて開口部5を開放し、受篭13に収容篭14を取りつける。そして、この後に蓋体16を水平状態に閉じて、その投入口19を収容篭14の上に対応する。
【0018】
この準備操作が終了したならば、天ぷらなどの揚げカスを投入口19から落とし込むようにして収容篭14に投入する。投入後は、直ちに操作スイッチ(図示省略)によって電動モータ8を駆動し、脱油篭11を高速回転する。揚げカスは遠心力を受け、含浸する油分を分離する。分離された油は、タンク2の底部に溜り、排油口7から滴下する。
【0019】
一方において、脱油篭11の高速回転によってタンク2内には上昇気流が生じ、この流れは蓋体16とタンク2における開口部5の隙間すなわち排熱口20から外方空間へと放出する。これによって高温の揚げカスの熱を放散し、冷却することができる。これによって、揚げカスの排出処理を火傷などの虞れもなく迅速に行なうことができる。また上記の排熱によってフレーム1の温度上昇などを防ぐことができるので、安心して作業を行なうことができる。
【0020】
なお上記の一実施例では、蓋体16とタンク2の隙間を利用して排熱口20を設けたが、図2のように蓋体16に排気ダクト21を設けても良い。また図3のようにタンク2の上部壁面に排気ダクト22を設けても良い。
【0021】
また一実施例では、脱油篭11の高速回転時に発生する上昇気流によって排熱を行なったが、より積極的には図4のように、受篭13の外周面に多数の翼片23を取りつけることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 フレーム
2 タンク
3 スタンド
5 開口部
7 排油口
8 電動モータ
9 回転軸
11 脱油篭
13 受篭
14 収容篭
16 蓋体
18 取手縁
19 投入口
20 排熱口
21 排気ダクト
22 排気ダクト
23 翼片













【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有するタンク内に、高速回転する脱油篭を設けると共に、上記タンクの底部に食用油の排油口を、同タンクの上部に揚げカスの投入口と開口部を閉塞する蓋体とを設けてなる食用油の回収装置において、
上記タンクまたは蓋体に、タンク内と外方空間を連通する排熱口を設けたことを特徴とする遠心分離式の食用油回収装置。
【請求項2】
タンクの開口部に対して隙間空間をもって蓋体を取りつけ、上記の隙間空間を排熱口とした請求項1に記載の遠心分離式の食用油回収装置。
【請求項3】
脱油篭の外周部に翼片を取りつけた請求項1に記載の遠心分離式の食用油回収装置。
























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−7128(P2012−7128A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146451(P2010−146451)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000190725)シンクス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】