説明

遠心散水装置

【課題】 従来は、ファンとモータを設けケーシングの前部に送風空間を設けた筒体と、筒体の内方に、衝突板と回転板を設け、回転板に、近接し給水管で構成し、衝突板で生成された水粒子を、筒体の前方に誘導し、送風空間を流れる風で、遠方に拡散する構造である。発明は、衝突板と回転板との間には、間隙を形成する構造でないことから、水粒子を送風空間に導くことに改良の余地がある。
【解決手段】 本発明は、
ファンとファンモータを有したケーシングの前部に、送風空間を形成して支持した筒体と、筒体に、前部開放、かつ後部閉塞した一方開放の空間を形成して多数の細孔を設けた衝突体と、衝突体に送風隙間を形成して支持した回転板と、回転板に近接した給水管となる遠心散水装置で、衝突体で生成した水粒子を、送風隙間の風で、ケーシングの開口に導き、送風空間の風で、ケーシングの開口前方に拡散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場の芝養生に最適な遠心散水装置(遠心湿潤装置)であり、さらに詳しくは、ファンと回転板をともに回転した湿潤送風(湿潤状態の確保)と、ファンのみのが回転による送風とを選択できる遠心散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遠心散水装置、即ち、衝突板(エルミネ―タ)と回転板とを利用した遠心噴霧装置しては、色々の提案がされている。そこで、その代表的で、有効と考えられる発明等を説明するとともに、その改良点を考える。
【0003】
例えば、文献1は、本出願人が提案する、特開2009−270812号公報の発明である。この発明は、ケーシング内の後部にファンとモータを設け、その前部に送風空間を設けた筒体を設けるとともに、この筒体の内方に、衝突板と回転板を順次設けるとともに、この回転板の表面に、近接して設けた給水管とで構成し、この衝突板で生成された微粒子(細霧粒子)を、筒体の前方に誘導した後に、前記送風空間を流れる風(送風)を利用して、遠方に拡散する構造である。しかし、この発明では、衝突板と回転板との間には、間隙を形成する構造でないことから、水粒子(微粒子より粒径の大きい水粒子)を送風空間に導くことに改良の余地が考えられること、又は水粒子の滞留が発生し、水滴の生成も考えられること、等の問題点を抱えている。
【0004】
次に、文献2は、同様に本出願人が提案する、特開2007−10239号公報の発明である。この発明は、ケーシングの後部にファンを配備するとともに、このケーシングの中間に、かつその内周面に第一の間隔を持って、後部と前部とが開放した筒体を架承し、この筒体に第二の間隔を持って、複数枚の回転式の衝突板(エルミネータ)を設けるとともに、このエルミネータに開口する給水管とを設けた構造であり、このエルミネータの孔より排出される微粒子は、第二の間隔を流れる風(送風)で前部に導かれ、その後、前記第一の間隔を風で、遠方に向って拡散される。この発明は、エルミネータで生成される微粒子を、第一・第二の間隔を流れる風で、拡散し、細霧冷房を図る構造であり、効果か期待できる。しかし、この発明は、第一・第二の間隔を流れる風に制約があり、この制約を排除し、より効率的で、かつ遠方まで拡散できる遠心散水装置の構造が望まれる処である。
【0005】
また、前記文献2と同様な発明とした、特開2001−141268号公報の発明がある。その内容は、略同じであり、説明は省略する。
【0006】
尚、文献4は、本出願人が提案する、特開2009−270311号公報の発明である。この発明は、アウトリガーに、首振り機構を介して、遠心噴霧装置を搭載した構造である。この発明は、微粒子を生成し、細霧冷房と作物の生育環境を意図する。従って、この発明は、ファンと噴霧ノズルからの水の噴射を介して、微粒子を遠方に飛散する構造に留まっており、本発明が意図する、水粒子を生成し、この水粒子を、効率的で、かつ遠方まで拡散できる遠心散水装置とは機能的に相容れない処である。
【0007】
【特許文献1】特開2009−270812号公報
【特許文献2】特開2007−10239号公報
【特許文献3】特開2001−141268号公報
【特許文献4】特開2009−270311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上で説明した文献1〜文献4は、遠心散水装置の構造を備えた、効率的な微粒子()細霧粒子の拡散と、細霧冷房、並びに温湿度調整に有効な発明である。しかし、ファンで生成された風を有効利用し、細霧粒子をケーシングの前部の開口に送り、このケーシング内において、細霧粒子の滞留を無くし、水滴の生成も皆無とすること、においては、必ずしも十分でない。また、ケーシングの前部の開口に送られた細霧粒子を、ケーシングの内周面を流れる風(送風)で、確実かつ遠方に拡散するには、更なる改良が望まれる。
【0009】
そこで、本発明は、請求項1において、衝突体で生成された水粒子を、送風隙間を流れる風(整流された送風)で、ケーシングの前部の開口に導き、この導いた水粒子を、送風空間を流れる風(整流された送風)で、ケーシングの開口前方に拡散できる遠心散水装置を提供する。そして、この請求項1の目的を達成するために、請求項2−8に示した、それぞれの特徴ある構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、ケーシングに設けた筒体に配備した衝突体で生成された水粒子を、送風隙間を流れる風で、ケーシングの前部の開口に導き、この導いた水粒子を、送風空間を流れる風で、ケーシングの開口前方に拡散できる遠心散水装置を提供する。
【0011】
請求項1は、移動式の筒形ケーシングの後部に、支持したファンとファンモータを有し、かつこのケーシングの前部に、送風空間を形成して支持した筒体と、この筒体に、前部が開放し、かつ後部が閉塞された一方開放の空間を形成して支持した多数の細孔を設けた衝突板と、この衝突板に送風隙間を形成して支持した回転板と、この回転板に近接して設けた給水管と、で構成した遠心散水装置において、
前記衝突体で生成された水粒子を、前記送風隙間の風で、前記ケーシングの前部の開口に導き、この導いた水粒子を、前記送風空間の風で、前記ケーシングの開口前方に拡散することを特徴とした遠心散水装置である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成するために、最適な、送風空間と送風隙間の開口面積の構造を提供する。
【0013】
請求項2は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記送風空間と送風隙間の開口面積を、送風空間>送風隙間とすることを特徴とした遠心散水装置である。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成するために、最適な、排水管の構造を提供する。
【0015】
請求項3は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記一方開放の空間に到った水、又は一部の水粒子を、前記筒体の内周面を利用し、この内周面の底部に設けた排水管を介して、水槽に戻すか、又は地中に供給、或いは空中に放散することを特徴とした遠心散水装置である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、その際に、芝の養生に最適な方法、即ち、湿潤送風と、通常送風とを選択できる構造を提供する。
【0017】
請求項4は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記ファンのモータと、回転板のモータとを、個別に回転可能とし、このファンと、回転板とを回転し、湿潤送風を図り、また、ファンのみの回転で送風を図り、もって、この湿潤送風と、この送風とを選択可能とすることを特徴とした遠心散水装置である。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成するために、最適な、衝突板の底部の構造を提供する。
【0019】
請求項5は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記衝突板の底部に、切欠き部を形成し、この切欠き部を利用し、拡散されない水粒子、又は水を、前記排水管に導く構成としたことを特徴とした遠心散水装置である。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1の目的を達成するために、最適な、給水管の構造を提供する。
【0021】
請求項6は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記給水管の先端に、複数の散水ノズルを付設し、複数個所に亙って水を散水可能とすることを特徴とした遠心散水装置である。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1の目的を達成するために、最適な、ケーシングの首振り機構を提供する。
【0023】
請求項7は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記ケーシングを、フレームに設けた首振り装置を介して、首振り自在に設けることを特徴とした遠心散水装置である。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1の目的を達成するために、最適な、フレームの旋回機構を提供する。
【0025】
請求項8は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記ケーシングを支持するフレームを、車輪を備えた基台に架承するとともに、このフレームに垂下した回転軸を、前記基台に貫設し、この回転軸の先端に駆動手段を設けることを特徴とした遠心散水装置である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明は、移動式の筒形ケーシングの後部に、支持したファンとファンモータを有し、かつケーシングの前部に、送風空間を形成して支持した筒体と、筒体に、前部が開放し、かつ後部が閉塞された一方開放の空間を形成して支持した多数の細孔を設けた衝突板と、衝突板に送風隙間を形成して支持した回転板と、回転板に近接して設けた給水管と、で構成した遠心散水装置において、
衝突体で生成された水粒子を、送風隙間の風で、ケーシングの前部の開口に導き、導いた水粒子を、送風空間の風で、ケーシングの開口前方に拡散することを特徴とした遠心散水装置である。
【0027】
従って、請求項1は、ケーシングに設けた筒体に配備した衝突体で生成された水粒子を、送風隙間を流れる風で、ケーシングの前部の開口に導き、この導いた水粒子を、送風空間を流れる風で、ケーシングの開口前方に拡散できる遠心散水装置を提供できる。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
送風空間と送風隙間の開口面積を、送風空間>送風隙間とすることを特徴とした遠心散水装置である。
【0029】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成するために、最適な、送風空間と送風隙間の開口面積の構造を提供できる。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
一方開放の空間に到った水、又は一部の水粒子を、筒体の内周面を利用し、内周面の底部に設けた排水管を介して、水槽に戻すか、又は地中に供給、或いは空中に放散することを特徴とした遠心散水装置である。
【0031】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成するために、最適な、排水管の構造を提供できる。
【0032】
請求項4の発明は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
ファンのモータと、回転板のモータとを、個別に回転可能とし、ファンと、回転板とを回転し、湿潤送風を図り、また、ファンのみの回転で送風を図り、もって、湿潤送風と、送風とを選択可能とすることを特徴とした遠心散水装置である。
【0033】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成すること、その際に、芝の養生に最適な方法、即ち、湿潤送風と、通常送風とを選択できる構造を提供できる。
【0034】
請求項5の発明は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
衝突板の底部に、切欠き部を形成し、切欠き部を利用し、拡散されない水粒子、又は水を、排水管に導く構成としたことを特徴とした遠心散水装置である。
【0035】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成するために、最適な、衝突板の底部の構造を提供できる。
【0036】
請求項6の発明は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
給水管の先端に、複数の散水ノズルを付設し、複数個所に亙って水を散水可能とすることを特徴とした遠心散水装置である。
【0037】
従って、請求項6は、請求項1の目的を達成するために、最適な、給水管の構造を提供できる。
【0038】
請求項7の発明は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
ケーシングを、フレームに設けた首振り装置を介して、首振り自在に設けることを特徴とした遠心散水装置である。
【0039】
従って、請求項7は、請求項1の目的を達成するために、最適な、ケーシングの首振り機構を提供できる。
【0040】
請求項8は、請求項1に記載の遠心散水装置において、
ケーシングを支持するフレームを、車輪を備えた基台に架承するとともに、フレームに垂下した回転軸を、基台に貫設し、回転軸の先端に駆動手段を設けることを特徴とした遠心散水装置である。
【0041】
従って、請求項8は、請求項1の目的を達成するために、最適な、フレームの旋回機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】遠心散水装置の要部の側面断面図
【図2】遠心散水装置の全体の側面図
【図3】遠心散水装置の要部の正面端面図
【図4】遠心散水装置の全体の正面図
【図5】遠心散水装置の全体の風と水粒子の流れを説明する側面模式図
【図6】遠心散水装置に首振り(旋回)機構を付設した側面図
【図7】遠心散水装置に他の旋回機構を付設した側面図
【図8】遠心散水装置の操作の選択を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の基本の構造を説明すると、移動式の筒形ケーシング1(風洞)の後部1aには、支持したファン2とファン用のモータ3を有している。また、このケーシング1の前部1bには、環状送風空間8(環状が、構造、製作等の面で、望ましい)を形成して支持した底部10cに切欠き部1000を備えた帯状の筒体10(帯状が、構造、製作等の面で、望ましい)が設けられる。そして、この筒体10には、前部20bが開放し、かつ後部20aが閉塞された一方開放の空間20を形成して支持した多数の細孔2200を設けた環状衝突板22(環状が、構造、製作等の面で、望ましい)と、この衝突板22に環状送風隙間30(環状が、構造、製作等の面で、望ましい)を形成して支持した回転板31と、この回転板31のモータ32と、この回転板31に近接して設けたノズルを有する給水管38と、前記筒体10の底部10cに設けた排水管40と、で構成される。尚、前記衝突板22の底部22cには切欠き部2202を設ける。この切欠き部2202を介して、衝突板22で、不幸にも、生じた水滴とか、余剰の水粒子(ミスト状でなく、水滴に近い状態で、例えば、粒子径0.4mm〜1.2mm程度とする)を、排水管40に導く構造である。以下、各構造を詳細に説明する。
【0044】
ケーシング1を支持するフレーム4には移動用の車輪5を備えており、このケーシング1は、フレーム4とともに移動可能である。そして、このケーシング1は、吹出(水粒子拡散・送風)角度が自在となっており、この一例では、吹出角度を確保するために、フレーム4に設けたブラケット6と、このブラケット6に設けた円弧状の長孔600と、長孔600を誘導するケーシング1の外側に螺着した止め具7とによる。例えば、止め具7を螺戻し、この止め具7を基に、長孔600に沿ってケーシング1を回転し、その角度を決定した後に、この止め具7を緊締すると、この角度がケーシング1の変更された向き(変更角度)となる。このような操作で、自由にケーシング1の角度が決定される。図中300はモータ3を支持する取付板(取付材)であり、この取付板300を複数本利用して、ケーシング1の中心に支持するとともに、その一端をケーシング1の内周面に支持する。
【0045】
また、ケーシング1の前部1bには、このケーシング1に基端を支持した複数本の細杆でなる支持杆11(支持材)を介して、筒体10が設けられており、この筒体10の外周面とケーシング1の内周面との間には、送風空間8が形成される。また、この筒体10は、前記ファン2とかなりの距離H(広いスペース:広い空間)と、後述する整流手段を置いて支持される構造を採用することで、ファン2の送風を整流して送風空間8に送るとともに、ケーシング1の内周面に沿って高速の風を送風する構造とする。この筒体10は、ケーシング1の内周面と同じ径の開口100より内側に設置し、前記送風空間8が円筒形状となる構造とすることで、前述した、整流と、高速の風の送風を確保することを意図する。また、この筒体10の内周面は、内方に向って折曲げ形成した内鍔片10aとすることで、例えば、この筒体10の強度の向上と、素材の肉薄化、又は低コスト化等を図る。
【0046】
この筒体10には一方開放の空間20を介して、環状で、前後部が開口2201した衝突板22が設けられており、この衝突板22は、前記支持杆11の内端に支持されている。そして、この衝突板22の開口2201には、環状の送風隙間30を形成して回転板31が設けられる。この回転板31は、ケーシング1に支持した複数本の取付板33に支持されているモータ32の出力軸3200に支持されている。従って、この回転板31はモータ32の回転で、所定の回転数で回転する。また、回転板31の環状端部3100は、衝突板22のセンタに位置しており、この回転板31の環状端部3100より飛散した水滴が、衝突板22の略センタに衝突する構造となっている。また、この回転板31のセンターには、給水管38の先端に設けた水粒子を噴射する散水ノズル3800(放水ノズル)が近接するように設けられる。尚、散水ノズル3800の数は、一個で示したが、複数個の例もあり得る。図中23は整流手段で、この整流手段23は、ケーシング1の内周面に沿った、風が、直進的な流れを確保する目的で配備されており、ケーシング1に設けたモータ3とモータ23との間に設けられている。
【0047】
図中35は回転板31を隠蔽するガード板であり、ケーシング1に差渡した支持板36で支持される。また、図中50はケーシング1の後部1aに設けられたファンガードで、ケーシング1の外周面に突出して設けた複数のブラケット51を介して、その取付部が、ケーシング1の外周面より膨出する構造であり、外気を十分に取り込み可能とする。
【0048】
以下、本発明の機能、即ち、風の流れと、水粒子の移動(動き)を説明する。本発明では、図8の選択1と、選択2の操作ができる。
【0049】
先ず、図8の選択2の水粒子拡散ルートであり、例えば、芝の養生と、乾燥状態の回避等において、先ず、モータ3、32を回転する。このモータ3、32の回転で、ファン2と回転板31が回転する。このファン2の回転で、風Xは、ケーシング1の内周面を通り、送風空間8に至るとともに、他の風Yは、取付板300、33との隙間を通り、送風隙間30に至る。この風Xと他の風Yは、その後、ケーシング1の開口100に送風される。この回転板31の回転で、給水管38より、回転板31の中心、かつ表面に供給された水は、この表面から環状端部3100に至り、この環状端部3100より飛散され、衝突板22に衝突し、粒子化されるとともに、その細孔2200周辺との衝止とを介して水粒子化される。この衝突板22と細孔2200とで生成された水粒子は、細孔2200を通過し、送風隙間30に至ると、ここを送風する整流手段23(渦巻き形状の整流板)による直進的な流れ(後述する)の他の風Yに誘引され、ケーシング1の前部の開口100に導かれる。この開口100に導いた水粒子は、送風空間8の風X(整流手段23を介して、整流「ケーシング1の内周面に沿った、風が、直進的な流れとなること)で、ケーシング1の開口100前方に拡散することで、例えば、芝の湿潤状態を確保し、芝の生育補助と、ゴルファー、観客による踏付け、スイング衝撃回復(樹、枝等の消耗回避)等を図る。従って、この水粒子の拡散は、通常は、プレー後から夕方、又は夜間となる。これにより、所期の目的、即ち、水粒子の拡散、送風による養生システムを作用させる構造である。
【0050】
尚、図8の選択1は、送風ルートであり、例えば、芝への送風と、その過湿潤解消等において、先ず、モータ3を回転する。このモータ3の回転で、ファン2が回転する。このファン2の回転で、風Xは、ケーシング1の内周面を通り、送風空間8に至るとともに、他の風Yは、取付板300、33との隙間を通り、送風隙間30に至る。この風Xと他の風Yは、その後、ケーシング1の開口100に送風される。この開口100に至った風Xと他の風Yは、ケーシング1の開口100前方に拡散することで、前記養生を終了した芝が、自然治癒力を発揮し易い環境を確保することで、所期の目的、即ち、送風による乾燥、又は防霜システムを作用させる構造である。
【0051】
図6は、ケーシング1を首振り動作する首振り機構を示しており、この首振り機構の好ましい一例を説明すると、フレーム4に支柱60を立設し、この支柱60に設けた取付台61に筒体62を介して、架台63を支持する。この取付台61には、モータ6100、クランク機構6101等が設けられており、前記筒体62を回転する構造である。従って、この筒体62に設けた架台63が回転する。この架台63に設けたブラケット65を介して、ケーシング1を支持する。尚、前記ブラケット65に設けた長孔600と、止め具7の構造を採用する。この一例では、モータ6100、クランク機構6101の動きで、架台63を首振り、この首振りをブラケット65を介して、ケーシング1を首振り自在とし、広域的に水粒子の拡散、送風による養生システムと、送風による乾燥、又は防霜システムを作用させる構造である。
【0052】
図7は、ケーシング1の旋回機構を示しており、車輪5を設けた基台66と、この基台66に貫設した回転軸67と、この回転軸67の基端に設けた駆動手段68と、で構成する。従って、駆動手段68により、回転軸67が回転すると、この回転で、回転軸67の他端に設けたフレーム4が旋回する構造である。この旋回を介して、ケーシング1が旋回し、広域的に水粒子の拡散、送風による養生システムと、送風による乾燥、又は防霜システムを作用させる構造である。
【符号の説明】
【0053】
1 ケーシング
1a 後部
1b 前部
100 開口
2 ファン
3 モータ
300 取付板
4 フレーム
5 車輪
6 ブラケット
600 長孔
7 止め具
8 送風空間
10 筒体
10a 内鍔片
10c 底部
1000 切欠き部
11 支持杆
20 空間
20a 後部
20b 前部
22 衝突板
22c 底部
2200 細孔
2201 開口
2202 切欠き部
23 整流手段
30 送風隙間
31 回転板
3100 環状端部
32 モータ
3200 出力軸
33 取付板
35 ガード板
36 支持板
38 給水管
3800 散水ノズル
40 排水管
50 ファンガード
51 ブラケット
60 支柱
61 取付台
6100 モータ
6101 クランク機構
62 筒体
63 架台
65 ブラケット
66 基台
67 回転軸
68 駆動手段
H 距離
X 風
Y 他の風

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形ケーシングの後部に、支持したファンとファンモータを有し、かつこのケーシングの前部に、送風空間を形成して支持した筒体と、この筒体に、前部が開放し、かつ後部が閉塞された一方開放の空間を形成して支持した多数の細孔を設けた衝突板と、この衝突板に送風隙間を形成して支持した回転板と、この回転板に近接して設けた給水管と、で構成した遠心散水装置において、
前記衝突体で生成された水粒子を、前記送風隙間の風で、前記ケーシングの前部の開口に導き、この導いた水粒子を、前記送風空間の風で、前記ケーシングの開口前方に拡散することを特徴とした遠心散水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記送風空間と送風隙間の開口面積を、送風空間>送風隙間とすることを特徴とした遠心散水装置。
【請求項3】
請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記一方開放の空間に到った水、又は一部の水粒子を、前記筒体の内周面を利用し、この内周面の底部に設けた排水管を介して、水槽に戻すか、又は地中に供給、或いは空中に放散することを特徴とした遠心散水装置。
【請求項4】
請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記ファンのモータと、回転板のモータとを、個別に回転可能とし、このファンと、回転板とを回転し、湿潤送風を図り、また、ファンのみの回転で送風を図り、もって、この湿潤送風と、この送風とを選択可能とすることを特徴とした遠心散水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記衝突板の底部に、切欠き部を形成し、この切欠き部を利用し、拡散されない水粒子、又は水を、前記排水管に導く構成としたことを特徴とした遠心散水装置。
【請求項6】
請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記給水管の先端に、複数の散水ノズルを付設し、複数個所に亙って水を散水可能とすることを特徴とした遠心散水装置。
【請求項7】
請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記ケーシングを、フレームに設けた首振り装置を介して、首振り自在に設けることを特徴とした遠心散水装置。
【請求項8】
請求項1に記載の遠心散水装置において、
前記ケーシングを支持するフレームを、車輪を備えた基台に架承するとともに、このフレームに垂下した回転軸を、前記基台に貫設し、この回転軸の先端に駆動手段を設けることを特徴とした遠心散水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−27319(P2013−27319A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163700(P2011−163700)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】