説明

遠心脱水装置

【課題】
汚泥から水分を取り除く遠心脱水装置において、装置の運転に要するエネルギーを低減する。
【解決手段】
遠心脱水装置100は、汚泥が流通可能な空洞部およびこの空洞部から汚泥を放出する排出口7cが形成された中空軸2と、この中空軸を回転自在に支持する支持手段3、5と、中空軸の外周部に設けられ軸方向に汚泥を搬送可能な排出手段7aと、この排出手段よりも半径方向外方に前記中空軸とほぼ同軸に配置され、中空軸とは異なる回転速度で回転可能なドラム10とを有する。ドラムはフィルタ9aとこのフィルタの外径側であって円周方向に間隔をおいて多数配置した羽根10aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠心脱水装置に係り、特に、産業排水や公共下水道を流通する下水から脱水して濃縮汚泥を生成するのに好適な遠心脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公共下水道水の処理プロセスにおいては、最終プロセスで捕集される汚泥の体積を減少させ、運搬や汚泥焼却を容易にするために、脱水処理を施す。下水道の処理プロセスにおいては、脱水前の汚泥に95%以上の水分が含まれている。この水分を多量に含む汚泥を運送することは、事実上水を運ぶことになるので運搬経費がかさむ。また、運搬や廃棄が面倒になる。そこで、水分を約80%以下に機械的に脱水して、汚泥を運搬する方法が多用されている。この機械的に脱水する方法の例が、非特許文献1に記載されている。
【0003】
機械的な脱水装置の他の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載の遠心脱水機では、回転軸にらせん状のスクリュー羽根を取り付けている。そして、スクリュー羽根の外周面部に弾性材で構成したスクレーパーを装着し、そのスクレーパーを半径方向に動くことができるようにして、回転軸の回転とともにケーキを掻き取るようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−294644号公報
【非特許文献1】村瀬 他:食品工学基礎講座7 固液分離 「第4章 遠心分離 (3)デカンター」、第124頁、昭和63年9月16日、(株)光琳発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術に記載の遠心脱水装置においては、回転ドラムの内部に汚泥を投入して回転ドラムを回転させている。そして、汚泥固形分と水分とを、回転ドラム内部における比重の違いを利用して遠心沈降分離させている。その際、汚泥固形分を回転ドラムの外周側に、水分を内側に集めて分離する。分離され外周部に堆積する汚泥は、回転軸に取り付けたスクリューなどの搬送機構により、回転ドラム外に送り出される。一方、分離された水分は、回転ドラム内側近くに設置された堰を経て外部に排出される。
【0006】
このように、従来の遠心脱水装置では、回転ドラム内において多量の汚泥を水分とともに回転させるので、大動力を消費する。この消費動力の主因は、回転ドラムを回転させたときに、回転ドラム内で汚泥流動が発生し、この汚泥流動の運動エネルギーが無駄に散逸されることによる。特に、所定割合まで遠心脱水を進めるためには、回転ドラム内に汚泥が所定時間だけ滞留する必要があり、回転ドラムの軸方向長さが長くなるとともに、大量の汚泥が回転ドラム内に保持されて、多大な動力を消費する原因になっている。また、回転ドラムの軸方向長さが長くなることは、必然的に遠心脱水装置の大型化を招く。
【0007】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、遠心脱水装置における脱水操作に要するエネルギーを低減して、下水処理場の省エネルギー化を図ることにある。本発明の他の目的は、遠心脱水装置を軽量化および小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の特徴は、汚泥が流通可能な空洞部及びこの空洞部から汚泥を放出する排出口が形成された中空軸と、この中空軸を回転自在に支持する支持手段と、前記中空軸の外周部に設けられ軸方向に汚泥を搬送可能な排出手段と、この排出手段よりも半径方向外方に前記中空軸とほぼ同軸に配置され中空軸とは異なる回転速度で回転可能なドラムとを有し、このドラムはフィルタとこのフィルタの外径側であって円周方向に間隔をおいて多数配置した羽根とを有することにある。
【0009】
そしてこの特徴において、多数の羽根は、半径方向位置が外側になるに連れて、前記ドラムの回転方向に傾く前向き羽根であり、この前向き羽根の傾き角θは、半径方向線から計って、θ=135°〜150°の範囲にあるのがよく、フィルタは、円筒面に形成された薄板に多数の細孔を形成して作成されており、この細孔はフィルタの円筒軸に対して直角な方向に長い長孔であり、この細孔の長手方向の長さが前記多数の羽根の羽根間距離にほぼ等しいことが望ましい。
【0010】
また、排出手段は、前記中空軸と一体的に形成されたらせん状であって複数条の長さを有するスクリューであってもよく、前記中空軸に対して軸方向の相対位置を可変であり、この排出手段を軸方向に駆動する駆動手段を有するものであっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脱水装置の回転ドラム内に汚泥を投入すると、投入とほぼ同時に遠心作用により汚泥が脱水され、汚泥の回転ドラム内の滞留時間を低減できる。従って、回転ドラム内に含まれる汚泥の量が減り、遠心脱水装置及び下水処理場の省エネルギー化を達成できる。また、遠心脱水装置の回転ドラムに取り付けるフィルタを、高効率で洗浄再生できるので、脱水システムとして省エネルギーになるとともに、遠心脱水装置を軽量化および小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明に係る遠心脱水装置のいくつかの実施例を、図面を用いて説明する。図1に、遠心脱水装置100の一実施例を縦断面図で示す。本遠心脱水装置100は、下水処理場で使用されるものであり、横軸に配置されている。遠心脱水装置100の構成は、以下の通りである。
【0013】
すなわち、軸方向一端側から軸方向の中間部まで中空に形成された排出機構の駆動軸2の外周には、この駆動軸2の数倍の外径位置まで半径方向に延び、螺旋状に複数山巻きつけられた形状をしたスクリュー(排出機構)7aが、駆動軸2と一体的に形成されている。駆動軸2の中空軸側には、複数の原料汚泥排出孔7cが、周方向に間隔をおいて形成されている。この孔7cの孔径は、原料汚泥をスクリュー7aと回転ドラム10とが形成する空間に排出するのに十分な大きさとしている。
【0014】
駆動軸2の中空軸側である左端側には、さらに、フランジを有する汚泥供給中空軸1が貫挿されている。汚泥供給中空軸1は、図示しない汚泥供給用のポンプに接続されており、このポンプにより汚泥が汚泥供給中空軸1の内部に供給される。ここで、中空軸1の外周面と駆動軸2の内周面とは、すべり軸受として作用し、駆動軸2が回転中であっても静止軸である中空軸1から汚泥を供給可能になっている。
【0015】
駆動軸2は、左右両端側において、すべり軸受である内側軸受3、5により回転自在に支持されている。左側の内側軸受3は、部材10fの内周側に保持されている。一方、右側の内側軸受5は、詳細を後述する回転ドラム10を駆動するために設けられた、フランジを有する回転ドラム駆動軸継ぎ手8の内周側に保持されている。回転ドラム駆動軸継ぎ手8は、駆動軸と接続する側が中空になっており、この中空部に内側軸受5及び回転軸2の軸端小径部を収容している。回転ドラム駆動軸継ぎ手8の外周部には、外側軸受6が取り付けられている。回転ドラム駆動軸継ぎ手8のフランジ部には、図示しないモータ等の駆動機が接続される。
【0016】
回転ドラム10は、厚さ数mm以下の金属製薄板に多数の細孔9bを形成し、細孔9bが形成された薄板を円筒状に丸めた円筒状フィルタ9aと、この円筒状フィルタ9aの外周部に周方向間隔をおいて配置された多数の羽根10aと、円筒状に形成したフィルタ9aの両軸端部に配置したリング状のエンドプレート10c、10dとを、一体化して形成されている。なお、図1では細孔9bの一部のみを示しているが、細孔9bは円筒状フィルタ9aの全面に形成されている。
【0017】
円筒状のフィルタ9aの細孔9bは、周方向に長い長孔であり、パンチング等の機械加工で製作されている。回転ドラム10の左側のエンドプレート10cは、部材10fに部材10gを介して接続されている。一方、回転ドラム10の右側のエンドプレート10dは、回転ドラム駆動軸継ぎ手8に、部材10hを介して接続されている。円筒状フィルタ9aの外周部に配置される羽根10aは、半径方向位置が大きくなるに連れて回転ドラムの回転方向前側に位置する前向き羽根である。この羽根10aの内外径比は1に近く、流れ方向に短い。また、隣り合う羽根10aで形成される羽根間流路10bの周方向間隔は、羽根10aの流れ方向長さと同程度かそれよりも狭くなっている(図2参照)。
【0018】
回転ドラム10を覆うように、ほぼ円筒形のケーシング11が配置されている。ケーシングの左側面を形成する部材10fには、外側軸受4が、右側面を形成する仕切り板12と回転ドラム駆動軸継ぎ手8の外周間には、外側軸受6が配置されている。ケーシング11と回転ドラム10とは同心円状に配置されており、ケーシング11の内周面と、回転ドラム10の外周面との間には、リング状の所定の空間が形成されている。ケーシング11の仕切り板12よりも右側には、脱水された汚泥が排出される排出路が、部材16b、16cにより形成されている。ケーシング10の下部であって軸方向左端近くには、回転ドラムで分離された水分を排出する脱水ドレン口17が形成されている。
【0019】
図2に、軸方向中間部(A−A部)における遠心脱水装置100の横断面図を示す。遠心脱水装置100では、真上部及びこの真上から周方向に約30度離れた左右の位置に、洗浄ノズル13が設けられている。洗浄ノズル13は、ケーシングの一部を軸方向に切り欠いた形に形成されており、軸方向にほぼエンドプレート10cからエンドプレート10dの位置まで延びている。洗浄ノズル13は、平行壁部とこの平行壁部に連続するテーパ部とを有しており、その内部に縮流流路が形成されている。洗浄ノズル13の側面には、軸方向に少なくとも1箇所、洗浄水供給口14が形成されている。
【0020】
次にこのように形成した、本実施例の遠心脱水装置100の動作を、説明する。この遠心脱水装置100に供給される原料汚泥30は、処理前の汚泥に凝集材を添加して形成されており、比較的大きな数mm程度の凝集体である。この原料汚泥30を図示しないポンプを用いて、中空軸1の中空部を経て遠心脱水装置100の内部に供給する。中空軸1の中空部から排出機構の駆動軸2に導かれた原料汚泥30は、この駆動軸2の中空部の側面に複数個形成された供給口7cから、遠心力により放射状に分散されながら放出される。そして、回転ドラム10の内周面側に位置するフィルタ9aに達する。
【0021】
フィルタ9aに達した原料汚泥30は、固体分およびそれに強固に結びついている一部の水分は通過を妨げられ、残りの水分だけが遠心分離作用により原料汚泥30のサイズよりも小さく形成されている細孔9bから、フィルタ9aの背面に設けた羽根10aが形成する羽根間流路10bに流入する。これにより、原料汚泥30は、脱水される。
【0022】
ここで、本実施例の遠心脱水装置100では、フィルタ9aを有する回転ドラム10が回転し、さらにフィルタ9aの背面側に前向き羽根10aを多数配置しているので、羽根10aで原料汚泥30が含む水分に遠心力を付加し、脱水効果をさらに高めることができる。つまり、羽根作用により、以下の数1で示した圧力差が生じる。
【0023】
【数1】

ここで、回転ドラム10の外径を400mm、回転ドラム10の内径を360mm、回転ドラム10の回転速度を3000rpmとする。回転ドラム10の内径と外径の速度差が遠心力により生じた圧力である。なお、多数枚設けた羽根10aは、薄板で製作されたフィルタ9aの背面側に位置するので、原料汚泥30に大きな遠心力(上記例では2000G)が作用しても、フィルタ9aが変形することなく、安定して回転できるような支持強度を有する必要がある。
【0024】
脱水された原料汚泥30は、フィルタ9aの内周表面に堆積する。一方、原料汚泥排出口7cからは間断なく原料汚泥30が供給され続ける。そこで、ほぼ連続的に供給される原料汚泥30を円滑に脱水するために、駆動軸2を回転させて、スクリュー7aを回転ドラム10に対して数rpmの回転速度差で回転させる。スクリュー7aはらせん状に形成されているので、スクリュー7aが回転すると、スクリュー7aの先端部がフィルタ9aに堆積した脱水された原料汚泥30に接触する。そして、原料汚泥30を掻き取り、スクリュー7aの表面に原料汚泥30を載せて、左側から右側に搬送する。
【0025】
つまり、回転ドラム10の内表面に堆積した脱水された原料汚泥30は、ほぼフィルタ9aの内径に等しい外径のスクリュー7aにより、仕切り板12側まで搬送され、仕切り板12よりも軸方向外側に形成した排出路から排出口16に送られる。ここで、原料汚泥30がスクリュー7aにより軸方向左端側から右端側まで運ばれるときは、常に回転ドラム10により遠心力が原料汚泥30に作用するので、原料汚泥30は脱水され続ける。そして右端側に至ったときには、水分を80%程度まで低下させた脱水汚泥33になっている。換言すれば、脱水汚泥33の水分濃度が所定濃度以下になるように、スクリュー7a部の軸方向長さを決定する。なお、この一連の動作において、フィルタ9aの内表面は、スクリュー7aにより清掃される。
【0026】
フィルタ9aの細孔9bおよび羽根間流路10bを経てケ−シング11と回転ドラム10間のリング状の空間に流入した脱水は、このリング状の空間を流下して、ケ−シング11の左端に設けた排水口17から遠心脱水装置100の外部へ排出される。なお、脱水汚泥33と原料汚泥30から分離された水とが再び混じらないように、仕切り板12を設けている。
【0027】
なお、本実施例においては、周方向複数箇所に洗浄ノズル13を設けてい。この洗浄ノズル13の動作を、以下に説明する。遠心脱水装置100を作動させると、フィルタ9aの内表面には、原料汚泥30が堆積する。そのため、フィルタ9aに堆積した原料汚泥30を搬出する際に、スクリュー7aの外周部で原料汚泥30を掻き取るが、掻き取りによりフィルタ9aに形成した多数の細孔9b部には、原料汚泥30が詰まりやすい。原料汚泥30が詰まると脱水効果が低減するので、何らかの方法で、原料汚泥を除去する必要がある。本実施例では、噴出口がスリット状をした洗浄ノズル13から、洗浄水15を供給して、細孔9b部を洗浄している。
【0028】
この洗浄の原理を、図3を用いて説明する。この図3では、周方向を縦方向に展開して示している。図3の左右方向は、半径方向を示している。洗浄ノズル13の先浄水供給口14から、水道水または工業用水などを供給する。先浄水の圧力は、0.1〜0.3MPa程度の低圧とする。
【0029】
洗浄水の噴出速度をV(m/s)、回転ドラム10の平均的な周速度をU(m/s)とすると、回転ドラム10が有する羽根10aに対する先浄水の相対速度W(m/s)は、羽根10aが前向き羽根であるので、図に示すように、平均的な周速度Uよりも大きくなる。数1の例の回転ドラム10の場合には、洗浄水の噴出速度Vを、V=10m/sとすると、次式のように、相対速度Wが表される。
【0030】
【数2】

この相対速度Wを圧力に換算すると、約1.9MPaに相当する。この圧力は、洗浄水供給圧力(0.1〜0.3MPa)に比べてかなりの高圧であるから、細孔9b部に詰まった原料汚泥30を除去するのに十分な力を発生可能である。洗浄ノズル13により発生する圧力では、数2から明らかなように、回転ドラム10の平均的な周速度Uが大きく寄与する。また、相対速度Wの向きは、羽根10aが前向き(θ>90度以上)羽根であるので、羽根10aよりも周方向に寝た(小さな角度)方向である。したがって、先浄水は、羽根表面に衝突して反射して向きを変え、内径側に位置したフィルタ9aに向かう。その結果、フィルタ9aに形成した細孔9b部に達し、フィルタ9aを洗浄する。
【0031】
ここで、細孔9bは、羽根10a間に配置されており、スリット状の洗浄ノズル13は洗浄水を無駄なく細孔9bに導くことができる。なお、本実施例では、洗浄ノズル13を回転ドラム10の周方向に3箇所配置したが、3箇所に限ることなく少なくとも1個あればよい。また、原料汚泥30による目詰まりが発生しやすいところがシミュレーション等で予め判明しておれば、その部分に重点的に配置することもできる。
【0032】
なお、フィルタ9aを洗浄するときは、回転ドラム10の羽根10aの回転速度を大きくすれば、洗浄効果も大きくなる。この場合、羽根角度を洗浄水の相対流入角度にほぼ等しくなるように設定すれば、線浄水が羽根に沿って内側に配置された円筒フィルタ9aに到達できる。したがって、羽根角度の最適値は、135°〜150°になる。そこで、遠心脱水装置100を脱水運転で使用するときは、比較的低回転速度とし、洗浄運転で使用するときは回転速度を高めて運転すれば、脱水効率が向上する。
【0033】
また、脱水運転と洗浄運転とを同時に実施しながら、連続運転することもできる。原料汚泥30を原料汚泥供給中空軸1から供給するとともに、駆動軸2を回転させてスクリューを動作させる。さらに、洗浄ノズル13に洗浄水を供給する。脱水性能と洗浄性能とがバランスする回転速度で、回転ドラム10と駆動軸2の回転速度をそれぞれ適宜設定すれば、フィルタ9aの目詰まりを回避しながら、所定水分以下の脱水汚泥33を得ることができる。この場合、回転ドラム10と駆動軸2の回転速度は、原料汚泥30の密度や粘度、粒度などの性質に基づいて、定める。したがって、遠心脱水装置100は、回転ドラム10と駆動軸2の回転速度が、それぞれ可変であることが望ましい。
【0034】
上記実施例では、原料汚泥30を搬送および排出する機構として駆動軸と一体化したスクリュー7aを用いているが、原料汚泥30を搬送および排出するものは、スクリューに限るものではない。図4を用いて、排出機構の他の例を説明する。本実施例では、排出機構に、油圧ユニットで駆動される排出ロッド18bと、この排出ロッド18bの先端に取り付けた排出プレ−ト18aとを用いている。回転ドラム10およびケーシング11、洗浄ノズル13は上記実施例とほぼ同じであるので、説明を省略する。
【0035】
中空に形成された原料汚泥供給中空軸1は、仕切り板12側まで延びており、この中空軸1には、円柱側面部に複数個の原料汚泥排出口7cが形成されている。中空軸1の外周部と摺動可能に、フランジ部を機外側に有する排出ロッド18bが嵌合している。排出ロッド18bは、一端側が機外側に位置し、他端側が回転ドラム10内に位置している。排出ロッド18bの回転ドラム10内に位置する部分には、外径がほぼ回転ドラム10の内径に同じである排出プレート18aが形成されている。排出プレート18aは、中心部が軸方向に厚い断面台形状の円盤形状である。
【0036】
排出ロッド18bの機外側のフランジ部には、油圧ユニット18cが接続されており、油圧により排出ロッド18bを軸方向に移動可能になっている。すなわち、排出ロッド18b及び排出プレ−ト18aは、軸受3に支持されて往復運動し、間歇的に汚泥を排出する。この排出動作は、回転ドラム10の回転動作中でもよく、一旦回転ドラム10の回転速度を低下させたときでもよい。回転ドラム10の回転速度を低下させたときには、脱水運転、汚泥排出運転およびフィルタ洗浄運転を周期的に繰り返して、原料汚泥30の脱水を完了する。これらの動作を、図示しない制御装置で制御する。
【0037】
以上述べたいずれの実施例においても、従来の装置に比べて回転ドラム内に保持する原料汚泥の量を低減できるので、省エネルギーになる。また、遠心脱水装置を、小型化および軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る遠心脱水装置の一実施例の縦断面図。
【図2】図1に示した遠心脱水装置のA−A矢視断面図。
【図3】図1に示した遠心脱水装置の機能を説明する図。
【図4】本発明に係る遠心脱水装置の他の実施例の縦断面図。
【符号の説明】
【0039】
1…原料汚泥供給中空軸、2…排出機構の駆動軸、3〜6…ガイド軸受または軸受、7a…排出機構(スクリュ−羽根)、7b…排出機構軸、7c…原料汚泥排出口、8…回転ドラム駆動軸継ぎ手、9a…円筒フィルタ、9b…円筒フィルタの細孔(メッシュ孔)、10…回転ドラム、10a…前向き羽根、10b…羽根間通路、10c、10d…エンドプレ−ト、11…ケ−シング、12…仕切り板、13…洗浄ノズル、14…洗浄水供給口、15…洗浄水、16…脱水汚泥排出口、17…脱水ドレン口、18a…排出プレ−ト、18b…排出プレ−ト駆動ロッド、18c…油圧ユニット、30…原料汚泥、32…脱水汚泥の排出、33…脱水汚泥。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥が流通可能な空洞部及びこの空洞部から汚泥を放出する排出口が形成された中空軸と、この中空軸を回転自在に支持する支持手段と、前記中空軸の外周部に設けられ軸方向に汚泥を搬送可能な排出手段と、この排出手段よりも半径方向外方に前記中空軸とほぼ同軸に配置され中空軸とは異なる回転速度で回転可能なドラムとを有し、このドラムはフィルタとこのフィルタの外径側であって円周方向に間隔をおいて多数配置した羽根とを有することを特徴とする遠心脱水装置。
【請求項2】
前記多数の羽根は、半径方向位置が外側になるに連れて、前記ドラムの回転方向に傾く前向き羽根であり、この前向き羽根の傾き角θは、半径方向線から計って、θ=135°〜150°の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の遠心脱水装置。
【請求項3】
前記フィルタは、円筒面に形成された薄板に多数の細孔を形成して作成されており、この細孔はフィルタの円筒軸に対して直角な方向に長い長孔であり、この細孔の長手方向の長さが前記多数の羽根の羽根間距離にほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の遠心脱水装置。
【請求項4】
前記排出手段は、前記中空軸と一体的に形成されたらせん状であって複数条の長さを有するスクリューであることを特徴とする請求項1に記載の遠心脱水装置。
【請求項5】
前記排出手段は、前記中空軸に対して軸方向の相対位置を可変であり、この排出手段を軸方向に駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遠心脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−195829(P2009−195829A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40197(P2008−40197)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】