遠隔会議システム、送信装置および受信装置
【課題】会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制することが可能な遠隔会議システムおよびそれに関連する技術を提供する。
【解決手段】遠隔会議システム100は、MFP10aと、ネットワークを介してMFP10aに接続されるMFP10bとを備える。MFP10bは、MFP10aから送信されてきた会議資料を格納する所定の格納領域を有する。当該所定の格納領域はMFP10aの管理下に置かれる領域である。特に、当該所定の格納領域に対するアクセスは、MFP10aからのアクセス指令を伴う場合とMFP10aによる許可を伴う場合とを除いて、許容されない。
【解決手段】遠隔会議システム100は、MFP10aと、ネットワークを介してMFP10aに接続されるMFP10bとを備える。MFP10bは、MFP10aから送信されてきた会議資料を格納する所定の格納領域を有する。当該所定の格納領域はMFP10aの管理下に置かれる領域である。特に、当該所定の格納領域に対するアクセスは、MFP10aからのアクセス指令を伴う場合とMFP10aによる許可を伴う場合とを除いて、許容されない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔会議システムおよびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地に配置された2つの通信装置(送信装置および受信装置)の相互間で会議資料(詳細には会議資料データ)を送受信し、当該2つの通信装置に接続された表示装置により会議資料の画像を表示する遠隔会議システムが提案されている。
【0003】
このような遠隔会議システムにおいては、会議資料を送信先に予め転送する技術が存在する(特許文献1参照)。当該技術によれば、会議資料を予め送信しておくことによって、会議時の会議資料の表示に要する時間が短縮され得る。
【0004】
しかしながら、このような技術においては、会議資料が送信先装置に転送された後には、当該会議資料は当該送信先装置の管理下に置かれる。そして、何らの手当が為されない場合には、当該会議資料は原則として送信先装置の操作入力部等を介してアクセスされ得る。会議資料の中には、秘密事項等が含まれることもあるため、このような状況は好ましくない。
【0005】
これに対して、特許文献1には、会議資料の送信時に当該会議資料に種々の付加情報を付加し、当該付加情報に基づいて送信先装置(受信装置)での動作を規制する技術が記載されている。
【0006】
特許文献1には、たとえば、会議資料の送信時に当該会議資料に関するコピー(具体的には、スキャンおよびプリントアウト)の可否情報をも送信し、送信先装置にて会議資料に対するアクセス制限を行う技術が記載されている。具体的には、当該会議資料は、コピー可否(許可/禁止)情報とともに送信され、送信先装置で管理される。詳細には、会議資料がコピー許可情報とともに送信されると、送信先装置でのコピー(プリントアウト)が許可される。一方、会議資料がコピー禁止情報とともに送信されると、送信先装置での当該会議資料のコピー(詳細にはプリントアウト)が禁止される(特許文献1の要約等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−141119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る技術においては、基本的には、送信先装置に送信された会議資料は当該送信先装置(受信装置)の管理下に置かれるため、当該会議資料がデジタルコピー(ファイルコピー)されるなどの可能性は残存する。したがって、セキュリティは必ずしも適切には確保されてはいない。
【0009】
そこで、この発明は、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制することが可能な遠隔会議システムおよびそれに関連する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、遠隔会議システムであって、第1の通信装置と、ネットワークを介して前記第1の通信装置に接続される第2の通信装置とを備え、前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から送信されてきた会議資料を格納する所定の格納領域、を有し、前記所定の格納領域は前記第1の通信装置の管理下に置かれる領域であり、前記第1の通信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記第1の通信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記第1の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第1の表示装置と、前記第2の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第2の表示装置と、前記会議資料の複数のページのうち前記第1の表示装置での表示対象ページを選択する第1の操作入力手段とをさらに備え、前記第1の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第1のページ変更指示が付与される場合には、前記第1の通信装置の表示制御手段は、前記第1のページ変更指示に応答して、前記会議資料の変更後のページに対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、前記第2の通信装置の表示制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記会議資料の複数のページのうち前記第2の表示装置での表示対象ページを選択する第2の操作入力手段、をさらに備え、前記第2の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第2のページ変更指示が付与される場合には、当該第2のページ変更指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置の前記表示制御手段は、前記第2のページ変更指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスし、前記第2のページ変更指示による変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記第1の通信装置からの印刷指示であって前記会議資料を前記第2の通信装置で印刷すべき旨の印刷指示が付与される場合には、前記第1の通信装置の印刷制御手段は、前記印刷指示に応答して、前記会議資料に対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、前記第2の通信装置の印刷制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記会議資料を前記第2の通信装置の印刷出力部を用いて印刷出力する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記会議資料とは別の資料を前記第2の通信装置から前記第1の通信装置へと送信する資料送信指示が付与される場合には、前記資料送信指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置のファイル送信制御手段は、前記別の資料の送信指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記別の資料にアクセスし、前記別の資料を前記第1の通信装置に送信する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、遠隔会議システムにおいてネットワークを介して送信装置に接続された受信装置であって、前記送信装置から送信されてきた会議資料を受信するファイル送受信制御手段と、前記送信装置から送信されてきた前記会議資料を格納する格納領域とを備え、前記所定の格納領域は前記送信装置の管理下に置かれる領域であり、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、遠隔会議システムにおいてネットワークを介して受信装置に接続された送信装置であって、前記受信装置の所定の格納領域に会議資料を送信するファイル送受信制御手段と、前記会議資料に対するアクセスを制御するアクセス制御手段とを備え、前記アクセス制御手段は、前記所定の格納領域を前記送信装置の管理下に置き、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて、前記所定の格納領域に対するアクセスを許容しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし請求項5に記載の発明によれば、第2の通信装置に送信された会議資料を第1の通信装置によって適切に管理することができる。特に、第1の通信装置からのアクセス指令を伴う場合と第1の通信装置による許可を伴う場合とを除いて所定の格納領域に対するアクセスが許容されないので、セキュリティの低下を適切に抑制することができる。
【0018】
特に、請求項2に記載の発明によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、第1の表示装置での表示対象ページの変更操作に応じて、第2の表示装置にも変更後のページを同期して表示させることができる。
【0019】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、第2の操作入力手段による独自の操作に応じて会議資料の適宜のページを第2の表示装置を用いて第1の表示装置とは非同期に表示させることができる。
【0020】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、会議資料を第2の通信装置の印刷出力部で印刷出力することができる。
【0021】
また、請求項6および請求項7に記載の発明によれば、受信装置に送信された会議資料を送信装置によって適切に管理することができる。特に、送信装置からのアクセス指令を伴う場合と送信装置による許可を伴う場合とを除いて所定の格納領域に対するアクセスが許容されないので、セキュリティの低下を適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】遠隔会議システムの概要を示すシステム構成図である。
【図2】各MFPの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】会議資料の送信動作を示す概念図である。
【図4】遠隔会議に関する設定画面を示す図である。
【図5】会議資料の表示動作(同期表示)を示す概念図である。
【図6】例外許容設定に関する設定画面である。
【図7】会議資料の表示動作(非同期表示)を示す概念図である。
【図8】会議資料の印刷出力動作を示す概念図である。
【図9】別の会議資料を逆向きに送信する動作を示す概念図である。
【図10】ボックス選択画面を示す図である。
【図11】プレゼンテーションボックス画面を示す図である。
【図12】アップロード手法選択画面を示す図である。
【図13】FTP送信設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
<1.構成概要>
図1は、この実施形態に係る遠隔会議システム100の概要を示すシステム構成図である。当該システム100は、複数のマルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral)(以後、MFPとも略称する)10(10a,10b)を備えている。
【0025】
一のMFP10aと他のMFP10bとは、互いに離れた場所(遠隔地)に配置(遠隔配置)されている。例えば、一方のMFP10aは、大阪の会議室MRaに配置され、他方のMFP10bは、東京の会議室MRbに配置される。このシステム100は、遠隔地に配置された複数のMFP10等の相互間において画像を送受信し、MFP10に接続された表示装置30で当該画像を表示することによって、各種のプレゼンテーションを行う遠隔プレゼンテーションシステムである。各MFP10は、それぞれ、通信装置であるとも表現される。また、主に、MFP10aは、MFP10bに対してデータを送信する送信装置として機能し、MFP10bは、MFP10aからのデータを受信する受信装置として機能する。なお、状況によっては、逆に、MFP10bが、MFP10aに対してデータを送信する送信装置として機能し、MFP10aが、MFP10bからのデータを受信する受信装置として機能することもある。
【0026】
また、MFP10aは、表示装置30aに接続(ネットワーク接続等)されており、当該表示装置30aは、MFP10aから送信されるデータに基づいて画像を表示する。同様に、MFP10bは、表示装置30bに接続(ネットワーク接続等)されており、当該表示装置30bは、MFP10bから送信されるデータに基づいて画像を表示する。なお、各MFP10と各表示装置30との接続は、ネットワーク接続に限定されない。たとえば、各表示装置30は、対応するMFP10に対して、専用の接続ケーブル等を介して電子信号の授受が可能となるように接続されてもよい。
【0027】
さらに、MFP10aは、表示装置30aを介してリモートコントローラ50aに接続されている。具体的には、表示装置30aとリモートコントローラ50aとは無線接続されており、リモートコントローラ50aからの信号は、表示装置30aを介してMFP10aに送信される。なお、表示装置30aとMFP10aとの間での通信は、上記のネットワーク接続が利用される。リモートコントローラ50aは、後述するように会議資料のページの変更指示を付与する操作入力部として機能する。
【0028】
同様に、MFP10bは、表示装置30bを介してリモートコントローラ50bに接続されている。具体的には、表示装置30bとリモートコントローラ50bとは無線接続されており、リモートコントローラ50bからの信号は、表示装置30bを介してMFP10bに送信される。なお、表示装置30bとMFP10bとの間での通信は、上記のネットワーク接続が利用される。リモートコントローラ50bは、後述するように会議資料のページの変更指示を付与する操作入力部として機能する。
【0029】
なお、ここでは、リモートコントローラ50aが表示装置30aを介して間接的にMFP10aに接続されている場合を例示しているが、これに限定されず、MFP10aに直接的に接続されるようにしてもよい。リモートコントローラ50bについても同様であり、MFP10bに直接的に接続されるようにしてもよい。
【0030】
MFP10aとMFP10bとは、ネットワークNWを介して互いに接続されており、ネットワーク通信(データ通信)を行うことが可能である。ここにおいて、ネットワークNWは、LAN、WAN、インターネットなどによって構成される。各装置のネットワークNWへの接続形態は、有線接続であってもよく或いは無線接続であってもよい。
【0031】
また、各MFP10に接続された音声入力部(マイク等)を用いて、一方のMFP10(例えば10a)へと音声が入力され、当該音声は当該一方のMFP10から他方のMFP10(例えば10b)へと配信(送信)され、各MFP10に接続された音声出力部(スピーカ、ヘッドホン等)を用いて音声出力される。これにより、各参加者は、各MFP10を用いて、自らの音声を他の参加者に伝達すること、および他の参加者の音声を聴くことが可能である。
【0032】
図2は、各MFP10(10a,10b)の概略構成を示す機能ブロック図である。MFPは、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ通信機能、印刷出力機能等の複数の機能を有する画像形成装置である。なお、以下では、MFP10aを中心に説明するが、MFP10bもMFP10aと同様の構成を有している。
【0033】
図2の機能ブロック図に示すように、MFP10aは、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0034】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像とも称する)を生成する処理部である。
【0035】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0036】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワークNWを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。また、MFP10は、この通信部4を用いて、電子メールの送受信を行うことも可能である。
【0037】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。この格納部5には、画像読取部2等で生成された原稿画像(画像データ)が格納される。また、格納部5においては、各種のフォルダ(ボックスとも称する)が設けられ、会議資料(詳細には、会議資料ファイルデータ)等が格納される。なお、後述するように、MFP10aのボックス51aに格納された会議資料MAはMFP10bへと送信され、当該MFP10aから送信されてきた会議資料MAはMFP10bのプレゼンテーション用ボックス51bに格納される。
【0038】
入出力部6は、MFP10に対する入力を受け付ける操作入力部61と、各種情報の表示出力を行う表示部62とを備えている。詳細には、MFP10には操作パネル63(図1参照)が設けられている。この操作パネル(タッチスクリーン)63は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されており、表示部62の一部として機能するとともに、操作入力部61の一部としても機能する。
【0039】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。
【0040】
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、ファイル送受信制御部91と表示制御部92と印刷制御部93とアクセス制御部94とを有している。ファイル送受信制御部91は、他のMFP10等へのファイルの送受信等を制御する処理部である。表示制御部92は、表示部62および表示装置30に関する表示動作等を制御する処理部である。印刷制御部93は、印刷出力部3での印刷出力動作等を制御する処理部である。アクセス制御部94は、ファイルに対するアクセス等を制御する処理部である。これらのファイル送受信制御部91と表示制御部92と印刷制御部93とアクセス制御部94とは、MFP10aとMFP10bとの双方にそれぞれ設けられる。また、会議資料MAの送信元装置(送信装置)であるMFP10aのアクセス制御部94(94aとも称する)は、会議資料MAの送信先装置(受信装置)であるMFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセス権の設定動作等をも行う。そして、会議資料MAの送信先装置(受信装置)であるMFP10bのアクセス制御部94(94bとも称する)は、当該プレゼンテーション用ボックス51b内に対するアクセス権限を、送信元装置であるMFP10aに委ねる。これらの各処理部の動作については、後に詳述する。
【0041】
以下では、このような2つのMFP10が会議資料MAを用いて遠隔会議を行う動作について説明する。
【0042】
<2.動作>
<2−1.会議資料転送動作>
まず、本システム100における会議資料MAの転送動作等について、図3および図4を参照しながら説明する。
【0043】
図3に示すように、ここでは発表者PAがMFP10aを操作してMFP10a内の所定のフォルダ(ボックスとも称する)51aに会議資料(会議資料ファイル)MAを既に格納し終えているものとする。一方、MFP10b内には当該会議資料MAは未だ格納されていないものとする。なお、MFP10aのボックス51a内の各ファイルに対するアクセス権限は、当該MFP10aからのアクセスは許容されるが当該MFP10a以外のMFP10b等からのアクセスは禁止されるように構成される。端的に言えば、MFP10aのボックス51a内の各ファイルへのアクセスは、自機(MFP10a)からの操作に対してのみ許容される。
【0044】
その後、発表者PAは、MFP10aを操作して、図4のような画面GAをMFP10aの操作パネル63に表示させる。この画面GAは、遠隔会議(リモートプレゼンテーションとも称される)に関する設定画面の一つである。
【0045】
発表者PAは、この画面GAを用いて、特定のMFP内の所定の格納領域(具体的には、プレゼンテーション用ボックス51b)に会議資料MAを転送し、当該転送された会議資料MAを転送先のMFPを用いて表示させることが可能である。ここでは、MFP10a内のボックス51aからMFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bへと会議資料MAを転送する場合を例示する。
【0046】
具体的には、図4に示すように、「送信対象のMFP」のリストボックスLB1には、予め登録された複数のMFP(「MFP_B」,「MFP_C」,「MFP_D」,...)が送信対象の候補として列挙されている。操作者(発表者)PAは、このリストボックスLB1内の複数の候補の中から、所望の選択肢(ここでは「MFP_B」(MFP10b))を選択する。その後、操作者PAは、プレゼンテーション用ボックスに関する「有効」チェックボックスCB1を押下して当該チェックボックスCB1にチェック印を付加(有効化)する。なお、チェックボックスCB1,CB2は、操作者の選択に応じて、これらのうちの一方のみが選択的に(すなわち排他的に)有効化される。
【0047】
このような操作によりMFP10bが送信対象装置として選択されると、MFP10aのファイル送受信制御部91(91a)は、送信対象装置であるMFP10b内にプレゼンテーション用ボックス51bを作成させる。具体的には、MFP10aのファイル送受信制御部91(91a)は、MFP10bに対して、プレゼンテーション用ボックス51bの作成指示を送出する。そして、当該作成指示を受信したMFP10bのファイル送受信制御部91(91b)は、プレゼンテーション用ボックス51bをMFP10bの格納部5内に作成する。
【0048】
また、MFP10a(ファイル送受信制御部91a)は、プレゼンテーション用ボックス51bがMFP10b内に作成されたことを確認すると、MFP10b内の当該プレゼンテーション用ボックス51bへと会議資料MAを送信する。
【0049】
以後、後述するように、MFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bに格納された会議資料MAが、MFP10bに接続された表示装置30を用いて表示される。
【0050】
ここにおいて、プレゼンテーション用ボックス51bは、会議資料MAの送信先装置(受信装置)であるMFP10b(自機)内に設けられるが、会議資料MAの送信元装置(送信装置)であるMFP10a(他機)の管理下に置かれる格納領域である。
【0051】
そして、プレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセスは、MFP10aからのアクセス指令を伴う場合とMFP10aによる許可を伴う場合とを除いて、許容されない。
【0052】
具体的には、プレゼンテーション用ボックス51bは、MFP10aからはアクセス可能な領域であり、MFP10aからのアクセス指令に応じて、プレゼンテーション用ボックス51b内のファイルに対するアクセスが許容される。たとえば、後述するようなリモートコントローラ50aによるページ変更動作(図5参照)が実行され得る。
【0053】
一方、当該プレゼンテーション用ボックス51bは、MFP10a以外の装置(MFP10bを含む)からは原則としてアクセス不可能な領域である。詳細には、プレゼンテーション用ボックス51bは、MFP10aによる許可が無いときには、MFP10a以外の装置(MFP10b等)からは、アクセス(ファイルオープン、ファイルコピー、ファイル削除、ファイル移動等)できない領域である。そのため、MFP10aによる許可が無いときには、MFP10bの操作者は、当該MFP10bの操作入力部61を操作してもMFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b内のファイル(例えば会議資料MA)にはアクセスすることができない。したがって、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制することが可能である。なお、例外的に、MFP10aによる許可が存在するときには、当該許可対象の装置(たとえばMFP10b)からのプレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセスが許容される。たとえば、後述するようなリモートコントローラ50bによるページ変更動作(図7参照)が実行され得る。
【0054】
ここにおいて、MFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bをMFP10aの管理下に置く手法としては、たとえば、MFP10aに関する認証情報を用いるものが例示される。具体的には、MFP10aによって自動的に生成されたパスワード(認証情報)を用いて、MFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bをロックしておくことなどが例示される。そして、MFP10aからのアクセス指令を伴う場合とMFP10aによる許可を伴う場合とにおいては、当該認証情報を用いて、プレゼンテーション用ボックス51bのロック状態が解除される。このようなプレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセス権の設定動作等は、MFP10aのアクセス制御部94a等によって実行される。
【0055】
なお、上述のように、上記特許文献1に記載の技術においては、会議資料が送信元装置から送信先装置へ送信された後には、送信先装置に格納された会議資料は当該送信先装置によって管理されるため、セキュリティの確保は必ずしも十分ではない。
【0056】
一方、本実施形態のような態様によれば、送信元装置10aから送信先装置10bへと送信され当該送信先装置10bのプレゼンテーション用ボックス51b内に格納された会議資料MAは、送信元装置10aの管理下に置かれる。したがって、送信先装置10bからのアクセスは原則として禁止され、高いセキュリティを確保することができる。特に、MFP10b内に格納された会議資料MAに対するアクセス指令がMFP10a以外の装置(MFP10b自身を含む)から付与される場合において、当該アクセス指令に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていないときには、会議資料MAへのアクセスは許容されない。したがって、会議資料MAに関するセキュリティの低下を適切に抑制することが可能である。
【0057】
<2−2.ページ変更動作(同期表示)>
つぎに、図5を参照しながら、遠隔会議システムにおける会議資料の表示動作等について説明する。図5は、会議資料MAの表示動作等を示す図である。
【0058】
以下では、まず、表示装置30aと表示装置30bとの双方に同じ内容が同期して表示される場合(同期表示)について説明する。
【0059】
会議開始時においては、会議資料MAの第1ページの表示指示が付与されたものとみなされ、会議資料MAの第1ページが表示装置30a,30bの双方に表示される。具体的には、表示装置30aには、MFP10aのボックス51a内の会議資料MAに基づいて当該会議資料MAの第1ページが表示される。また、MFP10aの表示制御部92(92aとも称する)は、当該第1ページの表示指示に応答して、会議資料MAの第1ページに対するアクセス指令および表示指令をMFP10aからMFP10bへと送信して付与する。また、MFP10bの表示制御部92bは、当該アクセス指令および表示指令にしたがってプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスして第1ページの表示画像を生成して当該第1ページを表示装置30bを用いて表示させる。この結果、表示装置30bには、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAに基づいて当該会議資料MAの第1ページが表示される。
【0060】
次に、発表者PAが、リモートコントローラ50aを操作して、ページ更新指示、たとえばページ送り指示(次ページの表示指示)の操作入力を付与すると、当該操作入力に応答して、MFP10aの表示制御部92aは、第1ページの次のページ(すなわち第2ページ)の更新画面をボックス51a内の会議資料MAに基づいて生成し、表示装置30aの表示内容を当該更新画面の内容に変更する。
【0061】
また、このようにリモートコントローラ50aを用いた会議資料MAのページ変更指示C1が付与される場合には、システム100は、表示装置30aの表示更新動作とともに、表示装置30bの表示更新動作をも実行する。具体的には、MFP10aの表示制御部92aは、ページ変更指示C1に応答して、会議資料MAの変更後のページ(第2ページ)に対するアクセス指令および表示指令をMFP10aからMFP10b(詳細にはMFP10bの表示制御部92)へと送信して付与する。また、MFP10bの表示制御部92(92bとも称する)は、当該アクセス指令および表示指令にしたがってプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスして変更後のページ(第2ページ)の表示用データを生成して表示装置30bに送信し、当該第2ページを表示装置30bを用いて表示させる。この結果、表示装置30bには、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAに基づいて、第1ページの次のページ(すなわち第2ページ)が表示される。
【0062】
このようにして、ページの更新動作が実行される。
【0063】
次の第3ページの更新動作が付与された場合にも同様の動作が実行される。
【0064】
また、逆に、ページの戻り操作が行われたときにも、同様の動作が実行され、表示装置30a,30bにそれぞれ、変更後のページの内容が表示される。なお、このとき、表示装置30aの表示内容は、MFP10aのボックス51a内の会議資料MAに基づいて更新され、表示装置30bの表示内容は、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAに基づいて更新される。
【0065】
以上のような動作によれば、会議資料MAに関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、リモートコントローラ50aによる表示装置30aでの表示対象ページの変更操作に応じて、表示装置30bにも変更後のページを同期して表示させることができる。
【0066】
<2−3.ページ変更動作(非同期表示)>
次に、表示装置30aと表示装置30bとにおいて互いに異なる内容が表示される場合(非同期表示)について説明する。
【0067】
図6は、このような非同期表示を許容する設定を行うための設定画面GBである。この設定画面GBは、MFP10aの操作パネル63に表示される画面である。発表者PA等がMFP10aの操作パネル63を操作することによって、同期表示と非同期表示とが切り換えられる。
【0068】
設定画面GBは、中段に「2.MFP_Bからのページ変更」に関する2つのチェックボックスCB3,CB4を有している。チェックボックスCB3,CB4には、排他的にチェック印(図では黒四角)が付与される。
【0069】
チェックボックスCB4(「不許可」)が選択されているときには、MFP10b(MFP_B)によるページ変更が許可されず、上記の同期表示が実行される。一方、チェックボックスCB3(「許可」)が選択されているときには、MFP10b(MFP_B)によるページ変更が許可され、MFP10bがMFP10aとは別個独立のページを選択して表示する「非同期表示」(次述)が実行される。
【0070】
この非同期表示が選択されているときには、表示装置30bでの表示内容には、発表者PAのリモートコントローラ50aによる選択結果が反映されるのではなく、アシスタントユーザ(単にアシスタントとも称する)PBのリモートコントローラ50bによる選択結果が反映される。なお、この「非同期表示」が選択されているときには、ページ変更指示C2(後述)に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されているものとみなされる。そして、当該ページ変更指示C2に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていることを条件として、以下のような動作が実行される。
【0071】
具体的には、図7に示すように、アシスタントPBがリモートコントローラ50bを操作してページ変更指示、たとえばページ送り指示(次ページの表示指示)の操作入力を付与すると、当該操作入力に応答して、MFP10bは、次のページ(例えば第5ページ)の更新画面を生成し表示装置30bの表示内容を当該更新画面の内容に変更する。
【0072】
また、表示装置30aの表示内容には、リモートコントローラ50bによるページ変更操作の結果は反映されず、表示装置30aにはリモートコントローラ50aによって選択されたページの内容が表示される。
【0073】
このように、表示装置30a,30bにはそれぞれ独自の選択ページの内容が表示される。特に、表示装置30bの表示内容に関しては、上記のように、リモートコントローラ50bを用いた会議資料MAのページ変更指示C2が付与される場合には、当該ページ変更指示C2に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていること(チェックボックスCB3がチェックされていること)を条件として、ページ変更指示C2に対応するページ更新動作が表示装置30bにおいて実行される。具体的には、MFP10bの表示制御部92bは、ページ変更指示C2に応答して、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスし、ページ変更指示C2による変更後のページ(たとえば第5ページ)を表示装置30bを用いて表示させる。
【0074】
このような態様によれば、会議資料MAに関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、リモートコントローラ50bによる独自の操作に応じて、表示装置30aでの表示内容とは独立した内容(会議資料MAの適宜のページ)を、表示装置30bを用いて表示させることができる。
【0075】
<2−4.印刷出力動作>
このシステム100においては、セキュリティ確保のため、MFP10aによる許可が無いときには、プレゼンテーション用ボックス51b内のファイルに対するアクセスは禁止されている。そのため、会議資料MAをMFP10bで印刷することは原則としては禁止されている。
【0076】
しかしながら、遠隔会議システム100の利用時において、会議資料MAをMFP10bで印刷出力したい状況も発生し得る。
【0077】
この実施形態では、このような状況において特定の操作を行うことによって、例外的にMFP10bで会議資料MAを印刷出力することが可能である。
【0078】
具体的には、MFP10aに表示された設定画面GB(図6)の印刷ボタンBN2が操作者PA等によって押下されると、MFP10aがMFP10bへと印刷指令およびアクセス指令を付与し、当該印刷指令等に応じてMFP10bが会議資料MAを印刷出力する(図8参照)。
【0079】
詳細には、設定画面GB(図6)の印刷ボタンBN2の押下操作は、会議資料MAをMFP10bで印刷すべき旨の印刷指示C3であるとみなされる。そして、当該印刷指示C3が付与される場合には、MFP10aの印刷制御部93aは、当該印刷指示C3に応答して、会議資料MAに対するアクセス指令および印刷指令をMFP10aからMFP10b(詳細にはMFP10bの印刷制御部93b)へと送信して付与する。MFP10bの印刷制御部93bは、当該アクセス指令および印刷指令にしたがってプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスして会議資料MAをMFP10bの印刷出力部3(3bとも称する)を用いて印刷出力する。
【0080】
以上のような態様によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、会議資料MAをMFP10bの印刷出力部3bで印刷出力することができる。したがって、より柔軟な運用が可能である。
【0081】
<2−5.別資料の送信動作>
また、遠隔会議システム100の利用時において、会議資料MAとは異なる資料MBを、MFP10b側からMFP10aへと逆に送信したい状況も発生し得る。
【0082】
図6の設定画面GBは、最下段に「3.MFP_Bからの資料送信」に関する2つのチェックボックスCB5,CB6を有している。チェックボックスCB5,CB6には、排他的にチェック印(図では黒四角)が付与される。
【0083】
チェックボックスCB6(「不許可」)にチェック印が付与されているときには、MFP10b(MFP_B)による資料送付が許可されない。
【0084】
一方、チェックボックスCB5(「許可」)にチェック印が付与されているときには、MFP10b(MFP_B)による資料送付が許可される。このチェックボックスCB5が選択されているときには、資料送信指示C4(後述)に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されているものとみなされる。そして、資料送信指示C4に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていることを条件として、以下のような動作が実行される。
【0085】
具体的には、MFP10bにおいて画面GC1〜GC4(図10〜図13参照)等を用いた操作入力が行われ、MFP10bからMFP10aへと適宜の資料MBがMFP10aへと送信される(図9参照)。
【0086】
詳細には、MFP10aにてチェックボックスCB5にチェック印が付与されていることを条件に、会議中の適宜の時点において、アシスタントPBは、適宜の操作によって、ボックス選択画面GC1(図10)をMFP10bの操作パネル63(63bとも称する)に表示させる。画面CG1には、ボックスに関する複数の選択肢ボタンBN11,BN12,BN13(「個人ボックス」、「共有ボックス」、「リモートプレゼンテーションボックス」)が表示されている。
【0087】
アシスタントPBは、「リモートプレゼンテーションボックス」の選択肢ボタンBN13を押下して、次の画面GC2(図11)をMFP10bに表示させる。なお、画面GC2では、リモートプレゼンテーションボックスに格納されているファイルがリストボックスLB2内に列挙されるが、当該ファイルに対するアクセスは禁止されている。また、リストボックスLB2内においては、当該ファイルのファイル名は表示されてもよいが、表示されないことが好ましい。
【0088】
その後、アシスタントPBによって「アップロード」ボタンBN14が押下されると、画面GC3(図12)がMFP10bの操作パネル63bに表示される。
【0089】
画面GC3は、アップロード手法の選択画面であり、「FTP」、「メール」、「ファクシミリ」の3つの選択肢ボタンBN21,BN22,BN23を有している。「FTP」、「メール」、「ファクシミリ」の選択肢ボタンBN21,BN22,BN23は、いずれもMFP10aを送信先とする送信指令に対応する。たとえば、「FTP」は、MFP10aの登録済みIPアドレスに向けてFTPプロトコルにより送信対象ファイルを送信する送信指令に対応する。同様に、「メール」は、MFP10aの登録済み電子メールアドレスに向けて、送信対象ファイルを添付した電子メールを送信する送信指令に対応する。また、「ファクシミリ」は、MFP10aの登録済みFAX番号に向けて送信対象ファイルをファクシミリ通信により送信する送信指令に対応する。
【0090】
ここで、例えば「FTP」ボタンBN21が押下されると、さらに画面GC4(図13)がMFP10bに表示される。画面GC4は、送信対象ファイルを指定するための画面である。
【0091】
アシスタントPBが、画面GC4内のファイルリストの中から適宜の送信対象ファイル(資料MB)を指定し、OKボタンBN24を押下すると、送信対象ファイル(資料MB)がプレゼンテーション用ボックス51b内に格納される。そして、当該プレゼンテーション用ボックス51b内に格納された送信対象ファイル(資料MB)は、FTP送信によってMFP10aに向けて送信される。MFP10aは、受信した資料MBをMFP10a内のボックス51aに格納する。そして、資料MBは、MFP10aの操作部を用いた適宜の操作によってアクセス可能な状態になる。
【0092】
より詳細には、OKボタンBN24が押下されると、会議資料MAとは別の資料MBをMFP10bからMFP10aへと送信する資料送信指示C4が付与されたものとみなされる。また、ここでは上述のように、チェックボックスCB5(図6)にチェック印が付与されることによって、資料送信指示C4に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されているとみなされている。そのため、MFP10bのファイル送受信制御部91によるプレゼンテーション用ボックス51b内のファイル(資料MB)へのアクセスが許可される。そして、MFP10bのファイル送受信制御部91bは、資料MBの資料送信指示C4に応答して、プレゼンテーション用ボックス51b内の資料MBにアクセスし、資料MBをMFP10aに送信する。
【0093】
このような動作によれば、遠隔会議システム100の利用時において、会議資料MAとは異なる資料MBを、MFP10b側からMFP10aへと逆に送信することが可能である。
【0094】
<2−6.会議終了時の動作>
会議終了時においては、プレゼンテーション用ボックス51bの無効化処理を行うことによって、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAが削除される。これによって、会議終了後においては、会議資料MAに関する情報漏洩の可能性をさらに低減することができる。すなわち、さらに高いセキュリティが確保される。
【0095】
詳細には、MFP10aの操作パネル63に画面GA(図4)において、対象MFPとして選択されていたMFP10b(「MFP_B」)を指定した状態で、無効チェックボックスCB2にチェック印を付与する。このような無効化操作により、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51bが無効化される。具体的には、当該無効化操作に応答して、MFP10aは、プレゼンテーション用ボックス51bの削除指令をプレゼンテーション用ボックス51bに関するアクセス指令とともにMFP10bに対して付与し、MFP10bは、当該削除指示等に応答して、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b(プレゼンテーション用ボックス51b内の全ファイルを含む)を削除する。
【0096】
これによれば、会議終了後等においては、MFP10b内から会議資料MAを容易に削除することができるので、会議資料MAに関する情報漏洩の可能性をさらに低減することができる。
【0097】
<3.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0098】
たとえば、上記実施形態では、2つのMFP10を用いて遠隔会議が実行される場合を例示したが、さらに多数のMFP10を用いて遠隔会議が実行されてもよい。この場合には、他のMFP10c,10d,...においては、MFP10bの動作と同様の動作が実行されればよい。
【符号の説明】
【0099】
10a,10b MFP(通信装置)
30a,30b 表示装置
50a,50b リモートコントローラ
51b プレゼンテーション用ボックス
100 遠隔会議システム
NW ネットワーク
PA 発表者
PB アシスタント
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔会議システムおよびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地に配置された2つの通信装置(送信装置および受信装置)の相互間で会議資料(詳細には会議資料データ)を送受信し、当該2つの通信装置に接続された表示装置により会議資料の画像を表示する遠隔会議システムが提案されている。
【0003】
このような遠隔会議システムにおいては、会議資料を送信先に予め転送する技術が存在する(特許文献1参照)。当該技術によれば、会議資料を予め送信しておくことによって、会議時の会議資料の表示に要する時間が短縮され得る。
【0004】
しかしながら、このような技術においては、会議資料が送信先装置に転送された後には、当該会議資料は当該送信先装置の管理下に置かれる。そして、何らの手当が為されない場合には、当該会議資料は原則として送信先装置の操作入力部等を介してアクセスされ得る。会議資料の中には、秘密事項等が含まれることもあるため、このような状況は好ましくない。
【0005】
これに対して、特許文献1には、会議資料の送信時に当該会議資料に種々の付加情報を付加し、当該付加情報に基づいて送信先装置(受信装置)での動作を規制する技術が記載されている。
【0006】
特許文献1には、たとえば、会議資料の送信時に当該会議資料に関するコピー(具体的には、スキャンおよびプリントアウト)の可否情報をも送信し、送信先装置にて会議資料に対するアクセス制限を行う技術が記載されている。具体的には、当該会議資料は、コピー可否(許可/禁止)情報とともに送信され、送信先装置で管理される。詳細には、会議資料がコピー許可情報とともに送信されると、送信先装置でのコピー(プリントアウト)が許可される。一方、会議資料がコピー禁止情報とともに送信されると、送信先装置での当該会議資料のコピー(詳細にはプリントアウト)が禁止される(特許文献1の要約等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−141119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る技術においては、基本的には、送信先装置に送信された会議資料は当該送信先装置(受信装置)の管理下に置かれるため、当該会議資料がデジタルコピー(ファイルコピー)されるなどの可能性は残存する。したがって、セキュリティは必ずしも適切には確保されてはいない。
【0009】
そこで、この発明は、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制することが可能な遠隔会議システムおよびそれに関連する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、遠隔会議システムであって、第1の通信装置と、ネットワークを介して前記第1の通信装置に接続される第2の通信装置とを備え、前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から送信されてきた会議資料を格納する所定の格納領域、を有し、前記所定の格納領域は前記第1の通信装置の管理下に置かれる領域であり、前記第1の通信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記第1の通信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記第1の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第1の表示装置と、前記第2の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第2の表示装置と、前記会議資料の複数のページのうち前記第1の表示装置での表示対象ページを選択する第1の操作入力手段とをさらに備え、前記第1の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第1のページ変更指示が付与される場合には、前記第1の通信装置の表示制御手段は、前記第1のページ変更指示に応答して、前記会議資料の変更後のページに対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、前記第2の通信装置の表示制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記会議資料の複数のページのうち前記第2の表示装置での表示対象ページを選択する第2の操作入力手段、をさらに備え、前記第2の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第2のページ変更指示が付与される場合には、当該第2のページ変更指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置の前記表示制御手段は、前記第2のページ変更指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスし、前記第2のページ変更指示による変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記第1の通信装置からの印刷指示であって前記会議資料を前記第2の通信装置で印刷すべき旨の印刷指示が付与される場合には、前記第1の通信装置の印刷制御手段は、前記印刷指示に応答して、前記会議資料に対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、前記第2の通信装置の印刷制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記会議資料を前記第2の通信装置の印刷出力部を用いて印刷出力する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1の発明に係る遠隔会議システムにおいて、前記会議資料とは別の資料を前記第2の通信装置から前記第1の通信装置へと送信する資料送信指示が付与される場合には、前記資料送信指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置のファイル送信制御手段は、前記別の資料の送信指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記別の資料にアクセスし、前記別の資料を前記第1の通信装置に送信する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、遠隔会議システムにおいてネットワークを介して送信装置に接続された受信装置であって、前記送信装置から送信されてきた会議資料を受信するファイル送受信制御手段と、前記送信装置から送信されてきた前記会議資料を格納する格納領域とを備え、前記所定の格納領域は前記送信装置の管理下に置かれる領域であり、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、遠隔会議システムにおいてネットワークを介して受信装置に接続された送信装置であって、前記受信装置の所定の格納領域に会議資料を送信するファイル送受信制御手段と、前記会議資料に対するアクセスを制御するアクセス制御手段とを備え、前記アクセス制御手段は、前記所定の格納領域を前記送信装置の管理下に置き、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて、前記所定の格納領域に対するアクセスを許容しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし請求項5に記載の発明によれば、第2の通信装置に送信された会議資料を第1の通信装置によって適切に管理することができる。特に、第1の通信装置からのアクセス指令を伴う場合と第1の通信装置による許可を伴う場合とを除いて所定の格納領域に対するアクセスが許容されないので、セキュリティの低下を適切に抑制することができる。
【0018】
特に、請求項2に記載の発明によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、第1の表示装置での表示対象ページの変更操作に応じて、第2の表示装置にも変更後のページを同期して表示させることができる。
【0019】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、第2の操作入力手段による独自の操作に応じて会議資料の適宜のページを第2の表示装置を用いて第1の表示装置とは非同期に表示させることができる。
【0020】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、会議資料を第2の通信装置の印刷出力部で印刷出力することができる。
【0021】
また、請求項6および請求項7に記載の発明によれば、受信装置に送信された会議資料を送信装置によって適切に管理することができる。特に、送信装置からのアクセス指令を伴う場合と送信装置による許可を伴う場合とを除いて所定の格納領域に対するアクセスが許容されないので、セキュリティの低下を適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】遠隔会議システムの概要を示すシステム構成図である。
【図2】各MFPの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】会議資料の送信動作を示す概念図である。
【図4】遠隔会議に関する設定画面を示す図である。
【図5】会議資料の表示動作(同期表示)を示す概念図である。
【図6】例外許容設定に関する設定画面である。
【図7】会議資料の表示動作(非同期表示)を示す概念図である。
【図8】会議資料の印刷出力動作を示す概念図である。
【図9】別の会議資料を逆向きに送信する動作を示す概念図である。
【図10】ボックス選択画面を示す図である。
【図11】プレゼンテーションボックス画面を示す図である。
【図12】アップロード手法選択画面を示す図である。
【図13】FTP送信設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
<1.構成概要>
図1は、この実施形態に係る遠隔会議システム100の概要を示すシステム構成図である。当該システム100は、複数のマルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral)(以後、MFPとも略称する)10(10a,10b)を備えている。
【0025】
一のMFP10aと他のMFP10bとは、互いに離れた場所(遠隔地)に配置(遠隔配置)されている。例えば、一方のMFP10aは、大阪の会議室MRaに配置され、他方のMFP10bは、東京の会議室MRbに配置される。このシステム100は、遠隔地に配置された複数のMFP10等の相互間において画像を送受信し、MFP10に接続された表示装置30で当該画像を表示することによって、各種のプレゼンテーションを行う遠隔プレゼンテーションシステムである。各MFP10は、それぞれ、通信装置であるとも表現される。また、主に、MFP10aは、MFP10bに対してデータを送信する送信装置として機能し、MFP10bは、MFP10aからのデータを受信する受信装置として機能する。なお、状況によっては、逆に、MFP10bが、MFP10aに対してデータを送信する送信装置として機能し、MFP10aが、MFP10bからのデータを受信する受信装置として機能することもある。
【0026】
また、MFP10aは、表示装置30aに接続(ネットワーク接続等)されており、当該表示装置30aは、MFP10aから送信されるデータに基づいて画像を表示する。同様に、MFP10bは、表示装置30bに接続(ネットワーク接続等)されており、当該表示装置30bは、MFP10bから送信されるデータに基づいて画像を表示する。なお、各MFP10と各表示装置30との接続は、ネットワーク接続に限定されない。たとえば、各表示装置30は、対応するMFP10に対して、専用の接続ケーブル等を介して電子信号の授受が可能となるように接続されてもよい。
【0027】
さらに、MFP10aは、表示装置30aを介してリモートコントローラ50aに接続されている。具体的には、表示装置30aとリモートコントローラ50aとは無線接続されており、リモートコントローラ50aからの信号は、表示装置30aを介してMFP10aに送信される。なお、表示装置30aとMFP10aとの間での通信は、上記のネットワーク接続が利用される。リモートコントローラ50aは、後述するように会議資料のページの変更指示を付与する操作入力部として機能する。
【0028】
同様に、MFP10bは、表示装置30bを介してリモートコントローラ50bに接続されている。具体的には、表示装置30bとリモートコントローラ50bとは無線接続されており、リモートコントローラ50bからの信号は、表示装置30bを介してMFP10bに送信される。なお、表示装置30bとMFP10bとの間での通信は、上記のネットワーク接続が利用される。リモートコントローラ50bは、後述するように会議資料のページの変更指示を付与する操作入力部として機能する。
【0029】
なお、ここでは、リモートコントローラ50aが表示装置30aを介して間接的にMFP10aに接続されている場合を例示しているが、これに限定されず、MFP10aに直接的に接続されるようにしてもよい。リモートコントローラ50bについても同様であり、MFP10bに直接的に接続されるようにしてもよい。
【0030】
MFP10aとMFP10bとは、ネットワークNWを介して互いに接続されており、ネットワーク通信(データ通信)を行うことが可能である。ここにおいて、ネットワークNWは、LAN、WAN、インターネットなどによって構成される。各装置のネットワークNWへの接続形態は、有線接続であってもよく或いは無線接続であってもよい。
【0031】
また、各MFP10に接続された音声入力部(マイク等)を用いて、一方のMFP10(例えば10a)へと音声が入力され、当該音声は当該一方のMFP10から他方のMFP10(例えば10b)へと配信(送信)され、各MFP10に接続された音声出力部(スピーカ、ヘッドホン等)を用いて音声出力される。これにより、各参加者は、各MFP10を用いて、自らの音声を他の参加者に伝達すること、および他の参加者の音声を聴くことが可能である。
【0032】
図2は、各MFP10(10a,10b)の概略構成を示す機能ブロック図である。MFPは、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ通信機能、印刷出力機能等の複数の機能を有する画像形成装置である。なお、以下では、MFP10aを中心に説明するが、MFP10bもMFP10aと同様の構成を有している。
【0033】
図2の機能ブロック図に示すように、MFP10aは、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0034】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像とも称する)を生成する処理部である。
【0035】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0036】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワークNWを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。また、MFP10は、この通信部4を用いて、電子メールの送受信を行うことも可能である。
【0037】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。この格納部5には、画像読取部2等で生成された原稿画像(画像データ)が格納される。また、格納部5においては、各種のフォルダ(ボックスとも称する)が設けられ、会議資料(詳細には、会議資料ファイルデータ)等が格納される。なお、後述するように、MFP10aのボックス51aに格納された会議資料MAはMFP10bへと送信され、当該MFP10aから送信されてきた会議資料MAはMFP10bのプレゼンテーション用ボックス51bに格納される。
【0038】
入出力部6は、MFP10に対する入力を受け付ける操作入力部61と、各種情報の表示出力を行う表示部62とを備えている。詳細には、MFP10には操作パネル63(図1参照)が設けられている。この操作パネル(タッチスクリーン)63は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されており、表示部62の一部として機能するとともに、操作入力部61の一部としても機能する。
【0039】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。
【0040】
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、ファイル送受信制御部91と表示制御部92と印刷制御部93とアクセス制御部94とを有している。ファイル送受信制御部91は、他のMFP10等へのファイルの送受信等を制御する処理部である。表示制御部92は、表示部62および表示装置30に関する表示動作等を制御する処理部である。印刷制御部93は、印刷出力部3での印刷出力動作等を制御する処理部である。アクセス制御部94は、ファイルに対するアクセス等を制御する処理部である。これらのファイル送受信制御部91と表示制御部92と印刷制御部93とアクセス制御部94とは、MFP10aとMFP10bとの双方にそれぞれ設けられる。また、会議資料MAの送信元装置(送信装置)であるMFP10aのアクセス制御部94(94aとも称する)は、会議資料MAの送信先装置(受信装置)であるMFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセス権の設定動作等をも行う。そして、会議資料MAの送信先装置(受信装置)であるMFP10bのアクセス制御部94(94bとも称する)は、当該プレゼンテーション用ボックス51b内に対するアクセス権限を、送信元装置であるMFP10aに委ねる。これらの各処理部の動作については、後に詳述する。
【0041】
以下では、このような2つのMFP10が会議資料MAを用いて遠隔会議を行う動作について説明する。
【0042】
<2.動作>
<2−1.会議資料転送動作>
まず、本システム100における会議資料MAの転送動作等について、図3および図4を参照しながら説明する。
【0043】
図3に示すように、ここでは発表者PAがMFP10aを操作してMFP10a内の所定のフォルダ(ボックスとも称する)51aに会議資料(会議資料ファイル)MAを既に格納し終えているものとする。一方、MFP10b内には当該会議資料MAは未だ格納されていないものとする。なお、MFP10aのボックス51a内の各ファイルに対するアクセス権限は、当該MFP10aからのアクセスは許容されるが当該MFP10a以外のMFP10b等からのアクセスは禁止されるように構成される。端的に言えば、MFP10aのボックス51a内の各ファイルへのアクセスは、自機(MFP10a)からの操作に対してのみ許容される。
【0044】
その後、発表者PAは、MFP10aを操作して、図4のような画面GAをMFP10aの操作パネル63に表示させる。この画面GAは、遠隔会議(リモートプレゼンテーションとも称される)に関する設定画面の一つである。
【0045】
発表者PAは、この画面GAを用いて、特定のMFP内の所定の格納領域(具体的には、プレゼンテーション用ボックス51b)に会議資料MAを転送し、当該転送された会議資料MAを転送先のMFPを用いて表示させることが可能である。ここでは、MFP10a内のボックス51aからMFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bへと会議資料MAを転送する場合を例示する。
【0046】
具体的には、図4に示すように、「送信対象のMFP」のリストボックスLB1には、予め登録された複数のMFP(「MFP_B」,「MFP_C」,「MFP_D」,...)が送信対象の候補として列挙されている。操作者(発表者)PAは、このリストボックスLB1内の複数の候補の中から、所望の選択肢(ここでは「MFP_B」(MFP10b))を選択する。その後、操作者PAは、プレゼンテーション用ボックスに関する「有効」チェックボックスCB1を押下して当該チェックボックスCB1にチェック印を付加(有効化)する。なお、チェックボックスCB1,CB2は、操作者の選択に応じて、これらのうちの一方のみが選択的に(すなわち排他的に)有効化される。
【0047】
このような操作によりMFP10bが送信対象装置として選択されると、MFP10aのファイル送受信制御部91(91a)は、送信対象装置であるMFP10b内にプレゼンテーション用ボックス51bを作成させる。具体的には、MFP10aのファイル送受信制御部91(91a)は、MFP10bに対して、プレゼンテーション用ボックス51bの作成指示を送出する。そして、当該作成指示を受信したMFP10bのファイル送受信制御部91(91b)は、プレゼンテーション用ボックス51bをMFP10bの格納部5内に作成する。
【0048】
また、MFP10a(ファイル送受信制御部91a)は、プレゼンテーション用ボックス51bがMFP10b内に作成されたことを確認すると、MFP10b内の当該プレゼンテーション用ボックス51bへと会議資料MAを送信する。
【0049】
以後、後述するように、MFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bに格納された会議資料MAが、MFP10bに接続された表示装置30を用いて表示される。
【0050】
ここにおいて、プレゼンテーション用ボックス51bは、会議資料MAの送信先装置(受信装置)であるMFP10b(自機)内に設けられるが、会議資料MAの送信元装置(送信装置)であるMFP10a(他機)の管理下に置かれる格納領域である。
【0051】
そして、プレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセスは、MFP10aからのアクセス指令を伴う場合とMFP10aによる許可を伴う場合とを除いて、許容されない。
【0052】
具体的には、プレゼンテーション用ボックス51bは、MFP10aからはアクセス可能な領域であり、MFP10aからのアクセス指令に応じて、プレゼンテーション用ボックス51b内のファイルに対するアクセスが許容される。たとえば、後述するようなリモートコントローラ50aによるページ変更動作(図5参照)が実行され得る。
【0053】
一方、当該プレゼンテーション用ボックス51bは、MFP10a以外の装置(MFP10bを含む)からは原則としてアクセス不可能な領域である。詳細には、プレゼンテーション用ボックス51bは、MFP10aによる許可が無いときには、MFP10a以外の装置(MFP10b等)からは、アクセス(ファイルオープン、ファイルコピー、ファイル削除、ファイル移動等)できない領域である。そのため、MFP10aによる許可が無いときには、MFP10bの操作者は、当該MFP10bの操作入力部61を操作してもMFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b内のファイル(例えば会議資料MA)にはアクセスすることができない。したがって、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制することが可能である。なお、例外的に、MFP10aによる許可が存在するときには、当該許可対象の装置(たとえばMFP10b)からのプレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセスが許容される。たとえば、後述するようなリモートコントローラ50bによるページ変更動作(図7参照)が実行され得る。
【0054】
ここにおいて、MFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bをMFP10aの管理下に置く手法としては、たとえば、MFP10aに関する認証情報を用いるものが例示される。具体的には、MFP10aによって自動的に生成されたパスワード(認証情報)を用いて、MFP10b内のプレゼンテーション用ボックス51bをロックしておくことなどが例示される。そして、MFP10aからのアクセス指令を伴う場合とMFP10aによる許可を伴う場合とにおいては、当該認証情報を用いて、プレゼンテーション用ボックス51bのロック状態が解除される。このようなプレゼンテーション用ボックス51bに対するアクセス権の設定動作等は、MFP10aのアクセス制御部94a等によって実行される。
【0055】
なお、上述のように、上記特許文献1に記載の技術においては、会議資料が送信元装置から送信先装置へ送信された後には、送信先装置に格納された会議資料は当該送信先装置によって管理されるため、セキュリティの確保は必ずしも十分ではない。
【0056】
一方、本実施形態のような態様によれば、送信元装置10aから送信先装置10bへと送信され当該送信先装置10bのプレゼンテーション用ボックス51b内に格納された会議資料MAは、送信元装置10aの管理下に置かれる。したがって、送信先装置10bからのアクセスは原則として禁止され、高いセキュリティを確保することができる。特に、MFP10b内に格納された会議資料MAに対するアクセス指令がMFP10a以外の装置(MFP10b自身を含む)から付与される場合において、当該アクセス指令に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていないときには、会議資料MAへのアクセスは許容されない。したがって、会議資料MAに関するセキュリティの低下を適切に抑制することが可能である。
【0057】
<2−2.ページ変更動作(同期表示)>
つぎに、図5を参照しながら、遠隔会議システムにおける会議資料の表示動作等について説明する。図5は、会議資料MAの表示動作等を示す図である。
【0058】
以下では、まず、表示装置30aと表示装置30bとの双方に同じ内容が同期して表示される場合(同期表示)について説明する。
【0059】
会議開始時においては、会議資料MAの第1ページの表示指示が付与されたものとみなされ、会議資料MAの第1ページが表示装置30a,30bの双方に表示される。具体的には、表示装置30aには、MFP10aのボックス51a内の会議資料MAに基づいて当該会議資料MAの第1ページが表示される。また、MFP10aの表示制御部92(92aとも称する)は、当該第1ページの表示指示に応答して、会議資料MAの第1ページに対するアクセス指令および表示指令をMFP10aからMFP10bへと送信して付与する。また、MFP10bの表示制御部92bは、当該アクセス指令および表示指令にしたがってプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスして第1ページの表示画像を生成して当該第1ページを表示装置30bを用いて表示させる。この結果、表示装置30bには、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAに基づいて当該会議資料MAの第1ページが表示される。
【0060】
次に、発表者PAが、リモートコントローラ50aを操作して、ページ更新指示、たとえばページ送り指示(次ページの表示指示)の操作入力を付与すると、当該操作入力に応答して、MFP10aの表示制御部92aは、第1ページの次のページ(すなわち第2ページ)の更新画面をボックス51a内の会議資料MAに基づいて生成し、表示装置30aの表示内容を当該更新画面の内容に変更する。
【0061】
また、このようにリモートコントローラ50aを用いた会議資料MAのページ変更指示C1が付与される場合には、システム100は、表示装置30aの表示更新動作とともに、表示装置30bの表示更新動作をも実行する。具体的には、MFP10aの表示制御部92aは、ページ変更指示C1に応答して、会議資料MAの変更後のページ(第2ページ)に対するアクセス指令および表示指令をMFP10aからMFP10b(詳細にはMFP10bの表示制御部92)へと送信して付与する。また、MFP10bの表示制御部92(92bとも称する)は、当該アクセス指令および表示指令にしたがってプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスして変更後のページ(第2ページ)の表示用データを生成して表示装置30bに送信し、当該第2ページを表示装置30bを用いて表示させる。この結果、表示装置30bには、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAに基づいて、第1ページの次のページ(すなわち第2ページ)が表示される。
【0062】
このようにして、ページの更新動作が実行される。
【0063】
次の第3ページの更新動作が付与された場合にも同様の動作が実行される。
【0064】
また、逆に、ページの戻り操作が行われたときにも、同様の動作が実行され、表示装置30a,30bにそれぞれ、変更後のページの内容が表示される。なお、このとき、表示装置30aの表示内容は、MFP10aのボックス51a内の会議資料MAに基づいて更新され、表示装置30bの表示内容は、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAに基づいて更新される。
【0065】
以上のような動作によれば、会議資料MAに関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、リモートコントローラ50aによる表示装置30aでの表示対象ページの変更操作に応じて、表示装置30bにも変更後のページを同期して表示させることができる。
【0066】
<2−3.ページ変更動作(非同期表示)>
次に、表示装置30aと表示装置30bとにおいて互いに異なる内容が表示される場合(非同期表示)について説明する。
【0067】
図6は、このような非同期表示を許容する設定を行うための設定画面GBである。この設定画面GBは、MFP10aの操作パネル63に表示される画面である。発表者PA等がMFP10aの操作パネル63を操作することによって、同期表示と非同期表示とが切り換えられる。
【0068】
設定画面GBは、中段に「2.MFP_Bからのページ変更」に関する2つのチェックボックスCB3,CB4を有している。チェックボックスCB3,CB4には、排他的にチェック印(図では黒四角)が付与される。
【0069】
チェックボックスCB4(「不許可」)が選択されているときには、MFP10b(MFP_B)によるページ変更が許可されず、上記の同期表示が実行される。一方、チェックボックスCB3(「許可」)が選択されているときには、MFP10b(MFP_B)によるページ変更が許可され、MFP10bがMFP10aとは別個独立のページを選択して表示する「非同期表示」(次述)が実行される。
【0070】
この非同期表示が選択されているときには、表示装置30bでの表示内容には、発表者PAのリモートコントローラ50aによる選択結果が反映されるのではなく、アシスタントユーザ(単にアシスタントとも称する)PBのリモートコントローラ50bによる選択結果が反映される。なお、この「非同期表示」が選択されているときには、ページ変更指示C2(後述)に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されているものとみなされる。そして、当該ページ変更指示C2に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていることを条件として、以下のような動作が実行される。
【0071】
具体的には、図7に示すように、アシスタントPBがリモートコントローラ50bを操作してページ変更指示、たとえばページ送り指示(次ページの表示指示)の操作入力を付与すると、当該操作入力に応答して、MFP10bは、次のページ(例えば第5ページ)の更新画面を生成し表示装置30bの表示内容を当該更新画面の内容に変更する。
【0072】
また、表示装置30aの表示内容には、リモートコントローラ50bによるページ変更操作の結果は反映されず、表示装置30aにはリモートコントローラ50aによって選択されたページの内容が表示される。
【0073】
このように、表示装置30a,30bにはそれぞれ独自の選択ページの内容が表示される。特に、表示装置30bの表示内容に関しては、上記のように、リモートコントローラ50bを用いた会議資料MAのページ変更指示C2が付与される場合には、当該ページ変更指示C2に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていること(チェックボックスCB3がチェックされていること)を条件として、ページ変更指示C2に対応するページ更新動作が表示装置30bにおいて実行される。具体的には、MFP10bの表示制御部92bは、ページ変更指示C2に応答して、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスし、ページ変更指示C2による変更後のページ(たとえば第5ページ)を表示装置30bを用いて表示させる。
【0074】
このような態様によれば、会議資料MAに関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、リモートコントローラ50bによる独自の操作に応じて、表示装置30aでの表示内容とは独立した内容(会議資料MAの適宜のページ)を、表示装置30bを用いて表示させることができる。
【0075】
<2−4.印刷出力動作>
このシステム100においては、セキュリティ確保のため、MFP10aによる許可が無いときには、プレゼンテーション用ボックス51b内のファイルに対するアクセスは禁止されている。そのため、会議資料MAをMFP10bで印刷することは原則としては禁止されている。
【0076】
しかしながら、遠隔会議システム100の利用時において、会議資料MAをMFP10bで印刷出力したい状況も発生し得る。
【0077】
この実施形態では、このような状況において特定の操作を行うことによって、例外的にMFP10bで会議資料MAを印刷出力することが可能である。
【0078】
具体的には、MFP10aに表示された設定画面GB(図6)の印刷ボタンBN2が操作者PA等によって押下されると、MFP10aがMFP10bへと印刷指令およびアクセス指令を付与し、当該印刷指令等に応じてMFP10bが会議資料MAを印刷出力する(図8参照)。
【0079】
詳細には、設定画面GB(図6)の印刷ボタンBN2の押下操作は、会議資料MAをMFP10bで印刷すべき旨の印刷指示C3であるとみなされる。そして、当該印刷指示C3が付与される場合には、MFP10aの印刷制御部93aは、当該印刷指示C3に応答して、会議資料MAに対するアクセス指令および印刷指令をMFP10aからMFP10b(詳細にはMFP10bの印刷制御部93b)へと送信して付与する。MFP10bの印刷制御部93bは、当該アクセス指令および印刷指令にしたがってプレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAにアクセスして会議資料MAをMFP10bの印刷出力部3(3bとも称する)を用いて印刷出力する。
【0080】
以上のような態様によれば、会議資料に関するセキュリティの低下を適切に抑制しつつ、会議資料MAをMFP10bの印刷出力部3bで印刷出力することができる。したがって、より柔軟な運用が可能である。
【0081】
<2−5.別資料の送信動作>
また、遠隔会議システム100の利用時において、会議資料MAとは異なる資料MBを、MFP10b側からMFP10aへと逆に送信したい状況も発生し得る。
【0082】
図6の設定画面GBは、最下段に「3.MFP_Bからの資料送信」に関する2つのチェックボックスCB5,CB6を有している。チェックボックスCB5,CB6には、排他的にチェック印(図では黒四角)が付与される。
【0083】
チェックボックスCB6(「不許可」)にチェック印が付与されているときには、MFP10b(MFP_B)による資料送付が許可されない。
【0084】
一方、チェックボックスCB5(「許可」)にチェック印が付与されているときには、MFP10b(MFP_B)による資料送付が許可される。このチェックボックスCB5が選択されているときには、資料送信指示C4(後述)に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されているものとみなされる。そして、資料送信指示C4に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されていることを条件として、以下のような動作が実行される。
【0085】
具体的には、MFP10bにおいて画面GC1〜GC4(図10〜図13参照)等を用いた操作入力が行われ、MFP10bからMFP10aへと適宜の資料MBがMFP10aへと送信される(図9参照)。
【0086】
詳細には、MFP10aにてチェックボックスCB5にチェック印が付与されていることを条件に、会議中の適宜の時点において、アシスタントPBは、適宜の操作によって、ボックス選択画面GC1(図10)をMFP10bの操作パネル63(63bとも称する)に表示させる。画面CG1には、ボックスに関する複数の選択肢ボタンBN11,BN12,BN13(「個人ボックス」、「共有ボックス」、「リモートプレゼンテーションボックス」)が表示されている。
【0087】
アシスタントPBは、「リモートプレゼンテーションボックス」の選択肢ボタンBN13を押下して、次の画面GC2(図11)をMFP10bに表示させる。なお、画面GC2では、リモートプレゼンテーションボックスに格納されているファイルがリストボックスLB2内に列挙されるが、当該ファイルに対するアクセスは禁止されている。また、リストボックスLB2内においては、当該ファイルのファイル名は表示されてもよいが、表示されないことが好ましい。
【0088】
その後、アシスタントPBによって「アップロード」ボタンBN14が押下されると、画面GC3(図12)がMFP10bの操作パネル63bに表示される。
【0089】
画面GC3は、アップロード手法の選択画面であり、「FTP」、「メール」、「ファクシミリ」の3つの選択肢ボタンBN21,BN22,BN23を有している。「FTP」、「メール」、「ファクシミリ」の選択肢ボタンBN21,BN22,BN23は、いずれもMFP10aを送信先とする送信指令に対応する。たとえば、「FTP」は、MFP10aの登録済みIPアドレスに向けてFTPプロトコルにより送信対象ファイルを送信する送信指令に対応する。同様に、「メール」は、MFP10aの登録済み電子メールアドレスに向けて、送信対象ファイルを添付した電子メールを送信する送信指令に対応する。また、「ファクシミリ」は、MFP10aの登録済みFAX番号に向けて送信対象ファイルをファクシミリ通信により送信する送信指令に対応する。
【0090】
ここで、例えば「FTP」ボタンBN21が押下されると、さらに画面GC4(図13)がMFP10bに表示される。画面GC4は、送信対象ファイルを指定するための画面である。
【0091】
アシスタントPBが、画面GC4内のファイルリストの中から適宜の送信対象ファイル(資料MB)を指定し、OKボタンBN24を押下すると、送信対象ファイル(資料MB)がプレゼンテーション用ボックス51b内に格納される。そして、当該プレゼンテーション用ボックス51b内に格納された送信対象ファイル(資料MB)は、FTP送信によってMFP10aに向けて送信される。MFP10aは、受信した資料MBをMFP10a内のボックス51aに格納する。そして、資料MBは、MFP10aの操作部を用いた適宜の操作によってアクセス可能な状態になる。
【0092】
より詳細には、OKボタンBN24が押下されると、会議資料MAとは別の資料MBをMFP10bからMFP10aへと送信する資料送信指示C4が付与されたものとみなされる。また、ここでは上述のように、チェックボックスCB5(図6)にチェック印が付与されることによって、資料送信指示C4に対応するアクセス許可がMFP10aにより付与されているとみなされている。そのため、MFP10bのファイル送受信制御部91によるプレゼンテーション用ボックス51b内のファイル(資料MB)へのアクセスが許可される。そして、MFP10bのファイル送受信制御部91bは、資料MBの資料送信指示C4に応答して、プレゼンテーション用ボックス51b内の資料MBにアクセスし、資料MBをMFP10aに送信する。
【0093】
このような動作によれば、遠隔会議システム100の利用時において、会議資料MAとは異なる資料MBを、MFP10b側からMFP10aへと逆に送信することが可能である。
【0094】
<2−6.会議終了時の動作>
会議終了時においては、プレゼンテーション用ボックス51bの無効化処理を行うことによって、プレゼンテーション用ボックス51b内の会議資料MAが削除される。これによって、会議終了後においては、会議資料MAに関する情報漏洩の可能性をさらに低減することができる。すなわち、さらに高いセキュリティが確保される。
【0095】
詳細には、MFP10aの操作パネル63に画面GA(図4)において、対象MFPとして選択されていたMFP10b(「MFP_B」)を指定した状態で、無効チェックボックスCB2にチェック印を付与する。このような無効化操作により、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51bが無効化される。具体的には、当該無効化操作に応答して、MFP10aは、プレゼンテーション用ボックス51bの削除指令をプレゼンテーション用ボックス51bに関するアクセス指令とともにMFP10bに対して付与し、MFP10bは、当該削除指示等に応答して、MFP10bのプレゼンテーション用ボックス51b(プレゼンテーション用ボックス51b内の全ファイルを含む)を削除する。
【0096】
これによれば、会議終了後等においては、MFP10b内から会議資料MAを容易に削除することができるので、会議資料MAに関する情報漏洩の可能性をさらに低減することができる。
【0097】
<3.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0098】
たとえば、上記実施形態では、2つのMFP10を用いて遠隔会議が実行される場合を例示したが、さらに多数のMFP10を用いて遠隔会議が実行されてもよい。この場合には、他のMFP10c,10d,...においては、MFP10bの動作と同様の動作が実行されればよい。
【符号の説明】
【0099】
10a,10b MFP(通信装置)
30a,30b 表示装置
50a,50b リモートコントローラ
51b プレゼンテーション用ボックス
100 遠隔会議システム
NW ネットワーク
PA 発表者
PB アシスタント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔会議システムであって、
第1の通信装置と、
ネットワークを介して前記第1の通信装置に接続される第2の通信装置と、
を備え、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から送信されてきた会議資料を格納する所定の格納領域、
を有し、
前記所定の格納領域は前記第1の通信装置の管理下に置かれる領域であり、前記第1の通信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記第1の通信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記第1の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第1の表示装置と、
前記第2の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第2の表示装置と、
前記会議資料の複数のページのうち前記第1の表示装置での表示対象ページを選択する第1の操作入力手段と、
をさらに備え、
前記第1の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第1のページ変更指示が付与される場合には、
前記第1の通信装置の表示制御手段は、前記第1のページ変更指示に応答して、前記会議資料の変更後のページに対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、
前記第2の通信装置の表示制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記会議資料の複数のページのうち前記第2の表示装置での表示対象ページを選択する第2の操作入力手段、
をさらに備え、
前記第2の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第2のページ変更指示が付与される場合には、当該第2のページ変更指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置の前記表示制御手段は、前記第2のページ変更指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスし、前記第2のページ変更指示による変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項4】
請求項1に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記第1の通信装置での印刷指示であって前記会議資料を前記第2の通信装置で印刷すべき旨の印刷指示が付与される場合には、
前記第1の通信装置の印刷制御手段は、前記印刷指示に応答して、前記会議資料に対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、
前記第2の通信装置の印刷制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記会議資料を前記第2の通信装置の印刷出力部を用いて印刷出力する、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項5】
請求項1に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記会議資料とは別の資料を前記第2の通信装置から前記第1の通信装置へと送信する資料送信指示が付与される場合には、
前記資料送信指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置のファイル送信制御手段は、前記別の資料の送信指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記別の資料にアクセスし、前記別の資料を前記第1の通信装置に送信する、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項6】
遠隔会議システムにおいてネットワークを介して送信装置に接続された受信装置であって、
前記送信装置から送信されてきた会議資料を受信するファイル送受信制御手段と、
前記送信装置から送信されてきた前記会議資料を格納する格納領域と、
を備え、
前記所定の格納領域は前記送信装置の管理下に置かれる領域であり、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする受信装置。
【請求項7】
遠隔会議システムにおいてネットワークを介して受信装置に接続された送信装置であって、
前記受信装置の所定の格納領域に会議資料を送信するファイル送受信制御手段と、
前記会議資料に対するアクセスを制御するアクセス制御手段と、
を備え、
前記アクセス制御手段は、前記所定の格納領域を前記送信装置の管理下に置き、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて、前記所定の格納領域に対するアクセスを許容しないことを特徴とする送信装置。
【請求項1】
遠隔会議システムであって、
第1の通信装置と、
ネットワークを介して前記第1の通信装置に接続される第2の通信装置と、
を備え、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から送信されてきた会議資料を格納する所定の格納領域、
を有し、
前記所定の格納領域は前記第1の通信装置の管理下に置かれる領域であり、前記第1の通信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記第1の通信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記第1の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第1の表示装置と、
前記第2の通信装置に接続され前記会議資料を表示する第2の表示装置と、
前記会議資料の複数のページのうち前記第1の表示装置での表示対象ページを選択する第1の操作入力手段と、
をさらに備え、
前記第1の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第1のページ変更指示が付与される場合には、
前記第1の通信装置の表示制御手段は、前記第1のページ変更指示に応答して、前記会議資料の変更後のページに対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、
前記第2の通信装置の表示制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記会議資料の複数のページのうち前記第2の表示装置での表示対象ページを選択する第2の操作入力手段、
をさらに備え、
前記第2の操作入力手段を用いた前記会議資料のページ変更指示である第2のページ変更指示が付与される場合には、当該第2のページ変更指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置の前記表示制御手段は、前記第2のページ変更指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスし、前記第2のページ変更指示による変更後のページを前記第2の表示装置を用いて表示させる、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項4】
請求項1に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記第1の通信装置での印刷指示であって前記会議資料を前記第2の通信装置で印刷すべき旨の印刷指示が付与される場合には、
前記第1の通信装置の印刷制御手段は、前記印刷指示に応答して、前記会議資料に対するアクセス指令を前記第1の通信装置から前記第2の通信装置へと送信して付与し、
前記第2の通信装置の印刷制御手段は、前記アクセス指令にしたがって前記所定の格納領域内の前記会議資料にアクセスして前記会議資料を前記第2の通信装置の印刷出力部を用いて印刷出力する、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項5】
請求項1に記載の遠隔会議システムにおいて、
前記会議資料とは別の資料を前記第2の通信装置から前記第1の通信装置へと送信する資料送信指示が付与される場合には、
前記資料送信指示に対応するアクセス許可が前記第1の通信装置により付与されていることを条件として、前記第2の通信装置のファイル送信制御手段は、前記別の資料の送信指示に応答して、前記所定の格納領域内の前記別の資料にアクセスし、前記別の資料を前記第1の通信装置に送信する、ことを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項6】
遠隔会議システムにおいてネットワークを介して送信装置に接続された受信装置であって、
前記送信装置から送信されてきた会議資料を受信するファイル送受信制御手段と、
前記送信装置から送信されてきた前記会議資料を格納する格納領域と、
を備え、
前記所定の格納領域は前記送信装置の管理下に置かれる領域であり、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて前記所定の格納領域に対するアクセスが許容されないことを特徴とする受信装置。
【請求項7】
遠隔会議システムにおいてネットワークを介して受信装置に接続された送信装置であって、
前記受信装置の所定の格納領域に会議資料を送信するファイル送受信制御手段と、
前記会議資料に対するアクセスを制御するアクセス制御手段と、
を備え、
前記アクセス制御手段は、前記所定の格納領域を前記送信装置の管理下に置き、前記送信装置からのアクセス指令を伴う場合と前記送信装置による許可を伴う場合とを除いて、前記所定の格納領域に対するアクセスを許容しないことを特徴とする送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−199549(P2011−199549A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63564(P2010−63564)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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