説明

遠隔保険契約診査システム

【課題】保険契約の締結に際して行われる診査がネットワークを介して遠隔で行われる場合に、その診査において取得された生体情報のデータが被保険者本人のデータであることの確認の精度を上げるとともに、取得した被保険者の情報の取り扱いを厳重にして外部に漏れることのないようにすることが可能な遠隔保険契約診査システムを提供する。
【解決手段】保険契約の診査に際して、被保険者を撮影する撮影手段2lと、被保険者の生体情報を測定する測定手段2mと、測定された生体情報に測定時期情報を付加して送信データを作成する送信データ作成手段2nとを具備する生体情報測定装置2と、ネットワーク3に接続された生体情報測定装置2から送信された送信データを保存するサーバ4と、サーバ4からネットワーク3を介して送信データを取得し表示する閲覧装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険会社と被保険者が保険契約を締結する際に、被保険者に対して行われる診査を遠隔で行う際に利用する遠隔保険契約診査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生命保険や疾病保険等保険に加入する場合には、被保険者の健康状態が契約内容に適合するものであるかを診査するために、医師等(以下、適宜「診査者」という。)の診断を受けることが多い。保険契約までの流れの一例を説明すると、まず、被保険者が保険会社に行き加入を希望する保険の説明を受ける。その後被保険者は診査のために医療機関に行って医師等の診査を受けて、その結果が保険会社に送付される。保険会社は送付された診査票を基に契約締結の可否を審査し、契約締結可能である場合には、再度被保険者に保険会社に出向いてもらい契約締結となる。このような保険契約の流れを採ると、被保険者は契約締結までに保険会社に2回、医療機関に1回、計3回出向かなければならず煩雑である。
【0003】
ところで、保険契約の他に契約締結にあたり審査を受けることが必要となる例として、会員カードの発行を受ける場合や金融機関から貸し付けを受ける場合を挙げることができる。これらの場合は保険契約締結の際のような医師の診査はないが、本人確認をはじめカード発行や貸し付けを受けるまでに審査を受ける必要があり、申し込みからカード発行や実際の貸し付けを受けるまでにやはり複数回店舗に出向かなければならない。
【0004】
このような利用者の煩雑さを軽減する方法の一例として、以下の特許文献1には次のような発明が開示されている。すなわち、入会申込をネットワークを介して受け付ける受付ステップと、受付ステップにより受け付けた入会申込について所定の審査を行う審査ステップと、この審査ステップによる審査に合格した申込者の端末に対して、ネットワークを介して入会手続のための手続用書類を供給する供給ステップと、申込者からの受け取った記入済みの手続用書類に基づいてカードを発行するステップとを備える会員カード発行方法である。この発明により、申込者の負担を軽減するとともに、入会手続に関する処理の効率を向上させることができるとされる。
【0005】
また、現金貸付返済システムとして次のような発明が以下の特許文献2に開示されている。現金の貸付返済にあたって、ユーザが持っている移動通信端末を利用して管理装置から二次元コードを取得し、移動通信端末に格納された二次元コードを有人店舗に設置された貸付返済仲介端末に読み込ませることによって貸付返済仲介端末から貸付額または返済額が表示された書面を受け取ることができる。そしてこの書面を有人店舗で示すことにより貸付、或いは返済を行うことができるため、ユーザが現金の貸付返済を簡単に行うことができるとされる。
【特許文献1】特開2002−133099号公報
【特許文献2】特開2006−99655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、確かに来店回数が減ることから利用者の負担は減る。但し、保険契約の締結にあたっては上述したように医師等の診査を受けなければならず、この診査を省くことはできない。また、上記開示された発明の構成を用いて、保険会社への来店回数を減らすことはできても、診査を受けるためには医療機関に出向かなければならない。
【0007】
また、保険契約締結の可否を審査する上でこの診査結果は非常に重要な資料となる。従って、保険契約における詐欺等を防止するためには、診査を受けたのが被保険者本人であることの確認を行うとともに、診査において測定された、例えば血圧等のデータ(生体情報)が本人のデータであることまでもが被保険者本人のデータであることが明らかにされていなければならない。上記特許文献1及び2のいずれに開示された発明においても厳しく本人確認が行われるが、カードの発行や契約の締結にあたり利用者の診査を行うことはないため、診査結果を構成する各種データが利用者本人のデータであるか否かまでの確認の手法については開示されていない。
【0008】
特にこの診査を遠隔で行うこととすれば、医師等に送られてきた生体情報のデータがその場で測定されたデータなのか、予め測定されたデータであるのか、或いは、診査の対象となっている被保険者本人のデータであるかが不明になりやすい。
【0009】
一方で、これら診査を受けることにより取得された被保険者の情報は、高度な個人情報に該当するため、その取り扱いについては万全を期す必要がある。
【0010】
また、保険会社からみれば、一度は必ず被保険者は医療機関に行って診査を受けなければならないとすると、診査者のスケジュール管理や被保険者の来店予約等の業務を行わなければならず、非効率である。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、保険契約の締結に際して行われる診査がネットワークを介して遠隔で行われる場合に、その診査において取得された生体情報のデータが被保険者本人のデータであることの確認の精度を上げるとともに、取得した被保険者の情報の取り扱いを厳重にして外部に漏れることのないようにすることが可能な遠隔保険契約診査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施の形態に係る特徴は、遠隔保険契約診査システムにおいて、保険契約の診査に際して、被保険者を撮影する撮影手段と、被保険者の生体情報を測定する測定手段と、測定された生体情報に測定時期情報を付加して送信データを作成する送信データ作成手段とを具備する生体情報測定装置と、ネットワークに接続された生体情報測定装置から送信された送信データを保存するサーバと、サーバからネットワークを介して送信データを取得し表示する閲覧装置とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保険契約の締結に際して行われる診査がネットワークを介して遠隔で行われる場合に、その診査において取得された生体情報のデータが被保険者本人のデータであることの確認の精度を上げるとともに、取得した被保険者の情報の取り扱いを厳重にして外部に漏れることのないようにすることが可能な遠隔保険契約診査システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、遠隔保険契約診査システム1の全体構成を示す構成図である。遠隔保険契約診査システム1は、保険契約を行う際に行われる被保険者の生体情報の測定に用いられる生体情報測定装置2と、ネットワーク3に接続され生体情報測定装置から送信された送信データを保存するサーバ4と、サーバ4からネットワーク3を介して送信データを取得し表示する閲覧装置5とから構成される。生体情報測定装置2、サーバ4、閲覧装置5が接続されるネットワーク3としては、本発明の実施の形態においては、例えばインターネットを使用することができる。
【0016】
生体情報測定装置2は、保険契約の際に診査者が被保険者に対して遠隔で診査の際に必要となる被保険者の生体情報を測定するために用いられる装置である。上述したように、これまでは被保険者が医師等の診査者の元に出向いて直接診査を受けていたが、本発明の実施の形態においては、被保険者は診査者の元に出向かずとも診査を受けることができる。すなわち、生体情報測定装置2は、例えば、保険会社に設置され、診査者の元にある閲覧装置5との間をネットワーク3を介して接続されている。被保険者がこの生体情報測定装置2を診査者の指示に従って使用することで診査が行われる。
【0017】
図2に示す生体情報測定装置2は、例えば、パソコン等の情報端末を使用することができ、CPU(Central Processing Unit)2aと、ROM(Read Only Memory)2bと、RAM(Random Access Memory)2c及び入出力インターフェイス2dがバス2eを介して接続されている。入出力インターフェイス2dには、入力手段2fと、表示手段2gと、通信制御手段2hと、記憶手段2iと、リムーバブルディスク2jと、駆動部制御手段2kとが接続されている。この駆動部制御手段2kは、CPU2aからの指示に基づいて情報端末2の各駆動部の駆動を制御する。なお、以下、本発明の第1の実施の形態では、情報端末を生体情報測定装置2として使用する場合を例に挙げて説明する。
【0018】
CPU2aは、入力手段2fからの入力信号に基づいてROM2bから生体情報測定装置2を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶手段2iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。さらにCPU2aは、入力手段2fや入出力インターフェイス2dを介して、図2においては図示していない外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行ったり、RAM2cや記憶手段2i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM2cにロードするとともに、RAM2cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、データの計算または加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0019】
入力手段2fは、生体情報測定装置2を使用する被保険者が各種の操作を入力するキーボード、マウス等の入力デバイスによって構成されている。被保険者の入力手段2fの操作に基づいて、例えば、被保険者の本人情報が入力信号として作成されバス2eを介してCPU2aに送信される。表示手段2gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU2aからバス2eを介して出力信号を受信し、後述する閲覧装置5に設けられている撮影手段によって撮影された診査者の画像や測定手段2mによる測定結果を表示する手段である。
【0020】
通信制御手段2hは、LANカードやモデム等の手段であり、生体情報測定装置2をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御手段2hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス2d及びバス2eを介してCPU2aに送受信される。
【0021】
記憶手段2iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU2aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。リムーバブルディスク2jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス2d及びバス2eを介してCPU2aに送受信される。
【0022】
本発明の実施の形態における生体情報測定装置2の記憶手段2iには、例えば、測定された被保険者の生体情報に測定時期の情報が付加された送信データ等が記憶されている。また、本発明の実施の形態においては、この送信データの作成にあたっては、後述する送信データ作成手段2nを使用しているが、このような物理的な手段を用いて送信データを作成するのではなく、例えば、予め送信データを作成するプログラムを記憶手段2iに記憶させておくことも可能である。この場合には、送信データ作成プログラム等が生体情報測定装置2のCPU2aに読み込まれ実行されることにより、送信データ作成装置が生体情報測定装置2に実装される。
【0023】
被保険者と診査者との間で診査が行われる場合、両者は遠隔にあることから診査の対象となる者が保険契約の被保険者本人であるか否かを確認することは難しい。そこで、本発明の実施の形態においては、生体情報測定装置2に撮影手段2lを設け、診査の間、常時被保険者を撮影している。そしてその撮影情報を診査者の元に設置されている閲覧装置5に送り、被保険者の姿を表示手段に表示させることとして本人確認を行っている。撮影手段2lとしては、例えば、テレビ電話を使用することができる。
【0024】
測定手段2mは、診査にあたって行われる被保険者の生体情報を測定するための手段である。多くの場合は被保険者の血圧を測定するが、その他に、例えば心電や体脂肪を測定することができるようにされていても良い。
【0025】
送信データ作成手段2nは、測定された被保険者の生体情報に測定時刻情報を付加した送信データを作成する。生体情報に測定時刻情報が付加されることで、診査者にその生体情報は診査中に測定された情報であること及び、診査の対象となる被保険者本人の生体情報であることが明確になるため、保険の診査に使用する情報としてその精度を高めることができる。作成された送信データは、通信制御手段2h、ネットワーク3を介してサーバ4にすぐに送信されても、また、一旦記憶手段2iに記憶されてその後サーバ4に送信されても良い。
【0026】
図3は、サーバ4の内部構成を示すブロック図である。サーバ4は、受信手段4aと、送信データ記憶手段4bと、時刻記憶手段4cと、閲覧要求受付手段4dと、比較・判断手段4eと、閲覧データ作成手段4fと、送信手段4gとから構成される。
【0027】
受信手段4aは、ネットワーク3を介して生体情報測定装置2からの送信データや或いは閲覧装置5からの閲覧要求等を受信する。
【0028】
送信データ記憶手段4bは、半導体や磁気ディスクで構成されており、生体情報測定装置2から送信された送信データを記憶しておく。時刻記憶手段4cは、サーバ4が送信データを受信した時間や閲覧装置5がサーバ4にアクセスした時間を記憶しておく。
【0029】
閲覧要求受付手段4dは、診査者が被保険者の送信データを閲覧する際に、閲覧装置5から送信される閲覧要求を受け付ける。サーバ4では、この閲覧要求を受け付けたことをきっかけにして閲覧装置5へ送信する閲覧データの基となる生体情報測定装置2から送信された送信データの比較判断等を開始する。
【0030】
比較・判断手段4eは、閲覧装置5からのアクセス時間に関する情報と送信データに付加された時刻情報とを比較する。なお、ここで比較の基準となるのは、閲覧装置5からのアクセス時間に関する情報である。この時刻情報と例えば、上述した送信データに付加された時刻情報、或いはこの送信データに付加された生体情報測定装置2からの送信時刻情報、時刻記憶手段4cで記憶された送信データをサーバ4が受信した時刻の情報のいずれかと比較される。いずれの時刻情報と比較されるかは任意に設定することが可能である。そして送信データ記憶手段4b内に記憶されている送信データの中からアクセス時間よりも新しい時刻情報を持つ送信データを判断する。
【0031】
比較され適切な送信データとして判断された送信データを閲覧データ作成手段4fにおいて閲覧データとして作成し、この閲覧データが送信手段4gから閲覧装置5へ送信される。閲覧データの作成にあたっては、送信データとして送られてきた情報を基に、例えば数値の平均値を算出する等、予め閲覧装置5に表示させたい項目に合わせてデータの加工、処理が行われる。
【0032】
図4に示す閲覧装置5は、例えば、生体情報測定装置2同様、パソコン等の情報端末を使用することができ、CPU5aと、ROM5bと、RAM5c及び入出力インターフェイス5dがバス5eを介して接続されている。入出力インターフェイス5dには、入力手段5fと、表示手段5gと、通信制御手段5hと、記憶手段5iと、リムーバブルディスク5jと、駆動部制御手段5kとが接続されている。ここに挙げたCPU5a、ROM5b、RAM5c、入出力インターフェイス5d、バス5e、入出力インターフェイス5d、入力手段5f、表示手段5g、通信制御手段5h、記憶手段5i、リムーバブルディスク5j、駆動部制御手段5kの各働き、役割は、図2に示した生体情報測定装置2を構成するCPU2a、ROM2b、RAM2c、入出力インターフェイス2d、バス2e、入出力インターフェイス2d、入力手段2f、表示手段2g、通信制御手段2h、記憶手段2i、リムーバブルディスク2j、駆動部制御手段2kと各々同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0033】
撮影手段5lは、診査者が被保険者を診査している間、診査者の撮影を行う。この撮影された画像情報は通信制御手段5h、ネットワーク3を介して生体情報測定装置2に送信され、生体情報測定装置2の表示手段2gに表示される。被保険者はこの診査者の映像と見ながら診査者からの診査に応答する。
【0034】
閲覧要求作成手段5mは、サーバ4の送信データ記憶手段4bに記憶されている診査を行っている被保険者に関する送信データを閲覧するための要求を作成する。ここで作成された閲覧要求をサーバ4に送信することでサーバ4から該当する送信データが送られてくる。
【0035】
次に、診査者と被保険者との間で行われる診査の流れを図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
被保険者は、例えば、保険会社で保険加入手続の説明を受けた後、その保険会社内の生体情報測定装置2が設置されている場所に移動する。生体情報測定装置2は、例えば、単数或いは複数台設置されている。複数台設置されている場合には、例えば、距離を離して設置されたり、或いは個別のブース内に設置される等、診査の内容が他の被保険者に知られないようにされている。また、不特定多数の被保険者が診査にあたって同じ生体情報測定装置2を利用することになる。
【0037】
生体情報測定装置2を前に着席した被保険者は、生体情報測定装置2の電源をONする(ST21)。電源がONされると撮影手段2lが被保険者の撮影を開始するとともに、TV電話が受話待機となる(ST22)。
【0038】
一方、病院等医療機関にいる診査者も閲覧装置5の前に着席し、診査者が閲覧装置5をONする(ST51)。さらに保険会社からの電話連絡などにより、診査の対象となっている被保険者の生体情報測定装置2に対してTV電話を発信する(ST52)。閲覧装置5からの発信に応じて生体情報測定装置2では自動着信がされ(ST23)、被保険者からの診査依頼があって診査が開始される(ST24)。逆に、生体情報測定装置2のTV電話から閲覧装置5に対して発信することも可能である。
【0039】
診査は、まず診査者が生体情報測定装置2の前にいる被保険者が対象となっている被保険者本人であるか否かを確認する(ST53)。本人確認は、例えば、本人であることを証明する証明書類を生体情報測定装置2の撮影手段2lの前にかざしたり、或いは、指紋認証装置等の装置を利用して行われる。この本人確認の方法は従来から行われている方法を採用すれば足り、どのような方法であっても構わない。
【0040】
診査の対象が被保険者本人であることを確認したら診査者によって診査が行われる(ST54)。診査は、TV電話を介して被保険者とやり取りをしつつ予め保険会社から渡されている診査項目に従って行われる。診査の途中で診査者から被保険者に対して血圧測定の指示が出される(ST55)。なお、測定対象となる生体情報は、血圧の他にも上述したように心電や体脂肪等を挙げることができるが、以下では生体情報の例として血圧を用いて説明を行う。
【0041】
被保険者は診査者の指示に従って生体情報測定装置2の測定手段2mを使用して血圧を測定する(ST25)。測定された血圧のデータは、送信データ作成手段2nにおいて測定時期の情報が付加される(ST26)。この送信データには、さらに送信時期の情報も付加することができる(ST27)。測定した生体情報に測定時期等の情報も付加することで、被保険者が予め数値の良い生体情報や他人の生体情報を用意して診査を受け、保険の契約を詐取することを防止することができる。
【0042】
このように送信データ作成手段2nによって作成された送信データは、サーバ4にネットワーク3を介して送信される(ST27)。サーバ4では、この送信データを受信し、送信データ記憶手段4bに記憶する(ST41)。送信データの受信にあたってはさらにサーバ4が送信データを受信した(送信データ記憶手段4bに記憶(登録)した)時刻も時刻記憶手段4cに記憶される。この送信データ記憶手段4bには、ネットワーク3に接続されている複数の生体情報測定装置2から送信される送信データを、例えば、生体情報測定装置2ごとに記憶することができる。
【0043】
送信が完了した送信データについては、生体情報測定装置2が不特定多数の被保険者に利用されるという観点から、サーバ4への送信後、記憶手段2iから削除される(ST28)。
【0044】
生体情報測定装置2によって測定され、サーバ4の送信データ記憶手段4bに記憶された送信データを診査及びその後の保険会社の審査に利用するため、診査者はサーバ4にその送信データの閲覧を要求する。実際には、診査者が閲覧を希望する被保険者の送信データを選択することで、閲覧要求作成手段5mにおいて閲覧要求が作成され(ST56)、閲覧装置5からサーバ4へ送信される(ST57)。
【0045】
サーバ4では、閲覧要求受付手段4dにおいて閲覧装置5からの要求を受け付けるとともに(ST42)、その閲覧要求を受け付けた時刻を時刻記憶手段4cにおいて記憶する。閲覧要求の情報は、比較・判断手段4eに伝えられる。この比較・判断手段4eでは、例えば、時刻記憶手段4cにおいて記憶された閲覧要求を受け付けた時刻と、送信データに付加されている血圧を測定した時刻とが比較される。そこで、生体情報測定装置2より送信された送信データの中から該当する送信データを検索し、閲覧データ作成の基礎となるデータを判断する。
【0046】
例えば、すなわち、診査中に血圧の測定が行われた場合であって測定が終了しサーバ4の送信データ記憶手段4bに記憶された直後にその被保険者の血圧データを閲覧したい場合には、比較・判断手段4eはその閲覧要求を受け付けた時刻を基に送信データに付加された時刻と比較する。そして送信データの中からその閲覧要求を受け付けた時刻に直近の時刻を有する送信データを判断して閲覧データ作成手段4fに送信する。また、1日の終了時にその日に診査をした被保険者の送信データをまとめて閲覧したい場合には、そのようにサーバ4に閲覧要求を行うことも可能である。
【0047】
閲覧データ作成手段4fでは、送信された閲覧要求に合致した送信データを閲覧装置5に表示する態様に構成し直して閲覧データを作成する(ST43)。そしてこの閲覧データを送信手段4g、ネットワーク3を介して閲覧装置5へ送信する(ST44)。
【0048】
閲覧装置5ではサーバ4から閲覧データを受信して表示手段5gに閲覧データを表示させる。図6は閲覧データの表示を示す画面例である。この画面例では、サーバ4の送信データ記憶手段4bに記憶(登録)された時期は「登録時期」、被保険者が血圧を測定した時期は「測定時期」として表示されている。さらに、「最高血圧」、「最低血圧」、「平均血圧」、「脈拍数」が表示されている。例えば、このうち生体情報測定装置2においては「平均血圧」は測定されないが、「最高血圧」及び「最低血圧」から閲覧データ作成手段4fが算出し、閲覧データの1つの項目として作成している。また、表示する項目や表示のレイアウト等については任意に設定することができる。
【0049】
診査者は、表示された血圧データを確認し(ST58)、この血圧データを見つつ被保険者に対する診査を続ける(ST59)。診査が終了すると(ST60)、その旨が被保険者に伝えられる(ST29)。診査者はTV電話を切断し(ST61)、閲覧装置5をOFFする(ST62)。また被保険者も審査終了に伴ってTV電話の受話も終了するため(ST30)、生体情報測定装置2をOFFする(ST31)。このようにして、一人の被保険者に対する診査が終了する。この後、別の被保険者に対する診査が行われる場合は、上述した診査の流れが繰り返される。
【0050】
このように、測定された生体情報に測定時期等の時刻情報を付加してサーバに送信するとともに送信済みの生体情報を削除することにより、保険契約の締結の際の診査が不特定多数の被保険者が使用する生体情報測定装置を用いてネットワークを介して遠隔で行われても、その診査において取得された生体情報のデータが被保険者本人のデータであることの確認の精度を上げるとともに、取得した被保険者の情報の取り扱いを厳重にして外部に漏れることのないようにすることが可能な遠隔保険契約診査システムを提供することができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0052】
第2の実施の形態においては、第1の実施の形態において生体情報測定装置の中に一体として備えられていた送信データの送信装置を別体とした点に特徴がある。
【0053】
図7の第2の実施の形態における遠隔保険契約診査システム10の全体構成図に示されているように、被保険者側に設置される機器は、被保険者の生体情報を測定する生体情報測定装置21と測定された生体情報をネットワーク3を介してサーバ4に送信する情報送信装置22とは別れている。なお、ネットワーク3、サーバ4及び閲覧装置5については第1の実施の形態と同一である。
【0054】
図8は、生体情報測定装置21の内部構成を示すブロック図である。この生体情報測定装置21は、被保険者の生体情報を測定することだけを行う装置であり、例えば、血圧計を挙げることができる。この生体情報測定装置21には、第1の実施の形態における生体情報測定装置2とは異なり、TV電話において被保険者を映し出す撮影手段2lは設けられていない。その替わりに情報送信装置22からの送信データの有無に関する問い合わせに対して回答する回答手段21lが設けられている。
【0055】
生体情報測定装置21は、被保険者の生体情報を測定手段21mで測定し、測定データに送信データ作成手段21nで測定した時刻の情報を付加して送信データを作成する。作成された送信データは一旦記憶手段21iに記憶される。
【0056】
また、記憶手段に記憶された送信データを情報送信装置22へ送信した後は、送信済みの送信データは削除手段21jで削除される。第1の実施の形態においてもサーバ4に送信された送信データは削除されているが、第2の実施の形態のように特に削除手段21jを設けて削除しているわけではない点が相違する。
【0057】
図9は、情報送信装置22の内部構成を示すブロック図である。この情報送信装置22は、測定手段2m及び送信データ作成手段2nが設けられていない他は、第1の実施の形態における生体情報測定装置2と同一である。
【0058】
一方で、生体情報測定装置21内の被保険者の送信データの有無を確認するための確認手段22mが設けられている。この確認手段22mは、所定の時間ごとに、例えば赤外線を用いて生体情報測定装置21との間で、いわゆるポーリングを行う。ポーリングを行った結果、サーバ4に送信すべき生体情報(送信データ)がある場合には、生体情報測定装置21から送信データを受信してサーバ4へ送信する。従ってこの場合には、入出力インターフェイス22dを介して、例えば生体情報測定装置21内に記憶されている被保険者の送信データが情報送信装置22に入力される。
【0059】
次に、診査者と被保険者との間で行われる診査の流れを図10のフローチャートに基づいて説明する。なお、第1の実施の形態において示した診査のフローチャートと同一の部分は、ステップの符号を変えずに示して説明を省略する。
【0060】
生体情報測定装置21がONされるとともに情報送信装置22もONされる(ST81)。生体情報測定装置21と情報送信装置22のON、OFFは、連動していても、独立に行われても良い。情報送信装置22がONされることによりTV電話受話が待機の状態となり(ST82)、閲覧装置5からのTV電話発信(ST51a)に基づいてTV電話が自動着信になる(ST83)。被保険者は情報送信装置22にTV電話が着信したことにより情報送信装置22を介して閲覧装置5の前にいる診査者に審査を依頼する(ST84)。その後診査が開始されるが(ST53)、その間も情報送信装置22から生体情報測定装置21には送信データの有無についての問い合わせがなされ(ST85)、その問い合わせに対して生体情報測定装置21から回答が返される(ST85a)。このいわゆるポーリングは所定の時間ごとに自動的に行われる。また、このポーリングの間隔は任意に設定することができる。
【0061】
診査中に血圧の測定が行われると、生体情報測定装置21では測定された血圧データに測定時期の情報を送信データ作成手段21nにおいて付加する(ST26)。そして、作成された送信データは一旦記憶手段21iに記憶される(ST26a)。これは、生体情報の測定中は、生体情報測定装置21は情報送信装置22から発信される赤外線を受信できない位置において使用されることが多いため、送信データを情報送信装置22に送信するまで生体情報測定装置21内に記憶しておく必要があるからである。
【0062】
血圧データ等の生体情報の測定が終了すると、診査者は被保険者に対して生体情報測定装置21を所定の場所に置くように指示がされる(ST55a)。これは、上述したように、第2の実施の形態においては、生体情報測定装置21と情報送信装置22との間は赤外線を利用して送信データの送信等を行うのであり、この赤外線は指向性を有していることから、生体情報測定装置21を情報送信装置22からの赤外線を受信できる一に置く必要があるからである。
【0063】
診査者の指示により指定場所に生体情報測定装置21が載置されると(ST26b)、所定の時間ごとに行われる情報送信装置22からの問い合わせ(ST86)により記憶手段21iに記憶された送信データが生体情報測定装置21から情報送信装置22へ自動的に送信される(ST86a)。このため、診査者は被保険者に対して改めて送信指示を出す手続を省くことができる。
【0064】
送信データを受信した情報送信装置22は(ST87)、さらにサーバ4に対してこの送信データを送信する(ST88)。サーバ4は受信した送信データを送信データ記憶手段4bに格納して記憶する(ST41)。
【0065】
一方、情報送信装置22へ記憶していた送信データを送信してしまった生体情報測定装置21では、記憶手段21i内の送信済みの送信データを削除する(ST28)。このように送信データを送信するたびに送信済みの送信データを削除することにより、被保険者の個人情報が外部に漏れる可能性を低くすることができる。
【0066】
診査が終了すると、閲覧装置5から情報送信装置22に対して診査終了の信号が送信され(ST60)、この信号を受信した情報送信装置22は診査終了、すなわち生体情報測定装置21から送信データを受信してサーバ4への送信を終了する(ST89)。また、閲覧装置5においてTV電話が切断され(ST61)、閲覧装置5がOFFされる(ST62)に合わせて情報送信装置22においてもTV電話受話を終了し(ST90)、情報送信装置22がOFFされる(ST91)。また、生体情報測定装置21もOFFされる(ST31)。
【0067】
このように、測定された生体情報に測定時期等の時刻情報を付加してサーバに送信するとともに送信済みの生体情報を削除することにより、保険契約の締結の際の診査が不特定多数の被保険者が使用する生体情報測定装置を用いてネットワークを介して遠隔で行われても、その診査において取得された生体情報のデータが被保険者本人のデータであることの確認の精度を上げるとともに、取得した被保険者の情報の取り扱いを厳重にして外部に漏れることのないようにすることが可能な遠隔保険契約診査システムを提供することができる。
【0068】
また、被保険者の生体情報を測定する部分と送信データを受信しサーバに送信する部分とが分離して設けられることで、生体情報測定装置を使用しての被保険者の生体情報の測定の自由度が高くなる。従って、上述したように、血圧計の他にも心電を測る機器、体脂肪計等の機器も使用することができる。
【0069】
さらに、所定時間ごとに情報送信装置22から生体情報測定装置21に対してポーリングが行われ、自動的に送信データが生体情報測定装置21から情報送信装置22を介してサーバ4に送信される。そのため、被保険者が送信データをサーバ4に送信するという手続を省略することができ、診査の煩雑さが解消される。
【0070】
なお、この発明は、上述実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る遠隔保険契約診査システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る生体情報測定装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るサーバの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る閲覧装置の内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る診査の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る閲覧装置に表示される閲覧データの表示を示す画面例である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る遠隔保険契約診査システムの全体構成を示す説明図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る生体情報測定装置の内部構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る情報送信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る診査の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1…遠隔保険契約診査システム
2…生体情報測定装置
2l…撮影手段
2m…測定手段
2n…送信データ作成手段
3…ネットワーク
4…サーバ
5…閲覧装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険契約の診査に際して、被保険者を撮影する撮影手段と、被保険者の生体情報を測定する測定手段と、前記測定された生体情報に測定時期情報を付加して送信データを作成する送信データ作成手段とを具備する生体情報測定装置と、
ネットワークに接続された前記生体情報測定装置から送信された前記送信データを保存するサーバと、
前記サーバからネットワークを介して前記送信データを取得し表示する閲覧装置と、
を備えることを特徴とする遠隔保険契約診査システム。
【請求項2】
前記送信データ作成手段は、前記生体情報に付加した測定時期情報に加えて、前記サーバに前記生体情報を送信する送信時期情報も付加して送信データを作成することを特徴とする請求項1に記載の遠隔保険契約診査システム。
【請求項3】
前記生体情報測定装置は、測定した前記生体情報を所定の時間おきに自動で前記サーバに送信するとともに、前記送信済みの生体情報を削除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遠隔保険契約診査システム。
【請求項4】
保険契約の診査に際して、被保険者の生体情報を測定する測定手段と、前記測定された生体情報に測定時期情報を付加して送信データを作成する送信データ作成手段とを具備する生体情報測定装置と、
被保険者を撮影する撮影手段を有するとともに、前記送信データを送信する情報送信装置と、
ネットワークに接続された前記情報送信装置から送信された前記送信データを保存するサーバと、
前記サーバからネットワークを介して前記送信データを取得し表示する閲覧装置と、
を備えることを特徴とする遠隔保険契約診査システム。
【請求項5】
前記生体情報測定装置は、さらに、測定された前記生体情報を記憶する記憶手段と、前記情報送信装置からの問い合わせに対して前記記憶手段内に前記情報送信装置に送信する前記生体情報が存在するか否かを回答する回答手段と、前記情報送信装置に送信された前記生体情報を削除する削除手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載の遠隔保険契約診査システム。
【請求項6】
前記情報送信装置は、さらに、所定の時間おきに前記生体情報測定装置に対して前記記憶手段内に前記情報送信装置に送信する前記生体情報が存在するか否かを問い合わせる確認手段を備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遠隔保険契約診査システム。
【請求項7】
前記確認手段は、指向性を有する赤外線通信を利用して前記生体情報測定装置に対して問い合わせを行うことを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の遠隔保険契約診査システム。
【請求項8】
前記サーバは、
前記閲覧装置からの閲覧要求を受け付ける閲覧要求受付手段と、
前記閲覧要求を受信した時期を記憶する時刻記憶手段と、
前記閲覧要求の受信時期情報と前記生体情報測定装置から送信された生体情報に付加されている時刻情報とを比較しその前後を判断する比較判断手段と、
前記比較判断手段の判断結果から前記閲覧装置に表示する前記生体情報のうち前記閲覧要求の受信時期情報よりも前の時刻情報を有する前記生体情報を削除して閲覧データとする閲覧データ作成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の遠隔保険契約診査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−134724(P2008−134724A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318972(P2006−318972)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【Fターム(参考)】